IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NTN株式会社の特許一覧

特開2024-112706パラレルリンク機構およびリンク作動装置
<>
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図1
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図2
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図3
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図4
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図5
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図6
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図7
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図8
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図9
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図10
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図11
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図12
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図13
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図14
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図15
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図16
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図17
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図18
  • 特開-パラレルリンク機構およびリンク作動装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112706
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】パラレルリンク機構およびリンク作動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 21/54 20060101AFI20240814BHJP
   B25J 11/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
F16H21/54
B25J11/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017940
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直彦
【テーマコード(参考)】
3C707
3J062
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707AS35
3C707BT16
3C707HT12
3C707HT22
3C707MT02
3J062AA60
3J062AB03
3J062AB05
3J062AB21
3J062AB28
3J062AC07
3J062AC08
3J062AC09
3J062AC10
3J062BA12
3J062CB04
3J062CB15
3J062CB18
3J062CB28
3J062CB33
(57)【要約】
【課題】姿勢変更を高速に行いつつ、エンドエフェクタを平行移動させることができるパラレルリンク機構およびリンク作動装置を提供する。
【解決手段】パラレルリンクは、球面リンク機構であって、基端側のリンクハブ2に対し先端側のリンクハブ3を、2組以上のリンク機構4を介して姿勢を変更可能に連結する。先端側リンクハブ3と基端側リンクハブ2とが棒状部材20によって、先端側および基端側の連結部22,24を介してそれぞれ動作可能に連結されている。棒状部材20と基端側の連結部22が基端側のリンクハブ2に対して回転可能に連結されるとともに、棒状部材20と先端側の連結部24が先端側のリンクハブ3に対して回転可能に連結されている。棒状部材20を回転させる回転駆動源30が基端側のリンクハブ2に固定され、棒状部材20の回転を直線運動に変換する変換機構32が先端側のリンクハブ3に固定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブを、2組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、
前記各リンク機構は、前記基端側のリンクハブに一端が回転可能に連結された基端側の端部リンク部材と、前記先端側のリンクハブに一端が回転可能に連結された先端側の端部リンク部材と、これら基端側および先端側の端部リンク部材の他端に両端が回転可能に連結された中央リンク部材とを有する球面リンク機構を備えたパラレルリンク機構であって、
前記先端側リンクハブと前記基端側のリンクハブとが棒状部材によって、先端側および基端側の連結部を介してそれぞれ動作可能に連結され、
前記棒状部材と前記基端側の連結部が前記基端側のリンクハブに対して回転可能に連結されるとともに、前記棒状部材と前記先端側の連結部が前記先端側のリンクハブに対して回転可能に連結され、
前記棒状部材を回転させる回転駆動源が、前記基端側のリンクハブに固定され、
前記棒状部材の回転を直線運動に変換する変換機構が、前記先端側のリンクハブに固定されているパラレルリンク機構。
【請求項2】
請求項1に記載のパラレルリンク機構において、前記変換機構が、回転摺動部の回転摩擦抵抗を低減する摩擦低減部材を有しているパラレルリンク機構。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパラレルリンク機構において、前記棒状部材、前記基端側および先端側の連結部並びに前記変換機構の回転軸の少なくとも一つが中空であるパラレルリンク機構。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のパラレルリンク機構と、
前記先端側のリンクハブの姿勢を制御する姿勢制御駆動源と、を備えたリンク作動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器や産業機器等の精密で広範な作動範囲を必要とする機器に用いられるパラレルリンク機構およびリンク作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先端側のリンクハブと基端側のリンクハブを2系列以上のリンク系によって動作可能に連結したパラレルリンク機構が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1のようなパラレルリンク機構は、コンパクトでありながら、基端側のリンクハブに対して先端側のリンクハブを精密で広範囲に回転2自由度で姿勢変更可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-224564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなパラレルリンク機構の先端に1自由度の並進運動機構があれば、適用範囲が広がる。このような並進運動機構により、例えば、カメラのピントを合わせたり、ねじを引き抜いたりすることができる。この解決策の1つとして、パラレルリンク機構の先端に駆動源を設置することが考えられる。
【0005】
しかしながら、パラレルリンク機構の先端に駆動源を設置すると、先端の重量が増加する、つまり、慣性モーメントが大きくなる。その結果、先端の可動部が軽量かつコンパクトでなくなるうえに、精密かつ広範囲な動作を実現できなくなる。また、この駆動源の先にエンドエフェクタが取り付けられるので、装置のサイズが更に大きくなり、慣性モーメントも更に増える。
【0006】
本発明の目的は、姿勢変更を高速に行いつつ、エンドエフェクタを平行移動させることができるパラレルリンク機構およびリンク作動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパラレルリンク機構は、基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブを、2組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各リンク機構は、前記基端側のリンクハブに一端が回転可能に連結された基端側の端部リンク部材と、前記先端側のリンクハブに一端が回転可能に連結された先端側の端部リンク部材と、これら基端側および先端側の端部リンク部材の他端に両端が回転可能に連結された中央リンク部材とを有する球面リンク機構を備えたパラレルリンク機構である。前記先端側リンクハブと前記基端側リンクハブとが棒状部材によって、先端側および基端側の連結部を介してそれぞれ動作可能に連結されている。前記棒状部材と前記基端側の連結部が前記基端側のリンクハブに対して回転可能に連結されるとともに、前記棒状部材と前記先端側の連結部が前記先端側のリンクハブに対して回転可能に連結されている。前記棒状部材を回転させる回転駆動源が前記基端側のリンクハブに固定され、前記棒状部材の回転を直線運動に変換する変換機構が前記先端側のリンクハブに固定されている。
【0008】
この構成によれば、パラレルリンク機構は、回転2自由度以上で動作可能であり、先端側と基端側の球面リンクの中心間の距離が維持される。これにより、リンク全体の剛性が向上するとともに、動きが滑らかになる。また、球面リンクの姿勢に因らず棒状部材が独立して回転する。つまり、リンク機構は、全体で3自由度以上のパラレルリンク機構である。先端の3自由度以上の回転のうち1自由度の回転を変換機構によって直線運動に変換する。これにより、先端側のリンクハブに支持されたエンドエフェクタを平行移動させることができる。
【0009】
さらに、基端側のリンクハブに回転駆動源が設けられ、先端側のリンクハブに変換機構が設けられている。これにより、先端側の重量が増加するのが抑制され、慣性モーメントが大きくなるのを防ぐことができる。その結果、先端側の構成が軽量かつコンパクトとなり、精密かつ広範囲な動作を実現できる。
【0010】
本発明のパラレルリンク機構において、前記変換機構が、回転摺動部の回転摩擦抵抗を低減する摩擦低減部材を有していてもよい。摩擦低減部材は、例えば、グリスオイルのような固体・液体潤滑剤である。この構成によれば、変換機構が滑らかに回転するので、回転摺動部の摩耗が減り、変換機構の寿命が延びる。
【0011】
本発明のパラレルリンク機構において、前記棒状部材、前記基端側および先端側の連結部、並びに前記変換機構の回転軸の少なくとも一つが中空であってもよい。この構成によれば、中空部にケーブル等を挿通できるので、外観がよい。
【0012】
本発明のリンク作動装置は、本発明のパラレルリンク機構と、前記先端側のリンクハブの姿勢を制御する姿勢制御駆動源とを備えている。2つ以上のリンク機構を制御することで、基端側リンクハブに対する先端側リンクハブの姿勢が変更可能となる。これにより、軽量かつコンパクトでありながら、精密かつ広範囲の高速動作を実現できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のパラレルリンク機構におよびリンク作動装置よれば、回転用駆動源が基端側リンクハブに固定され、変換機構が先端側のリンクハブに固定されているので、姿勢変更を高速で行いつつ、エンドエフェクタを平行移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係るリンク作動装置を示す正面図である。
図2】同リンク作動装置の図1の縦断面図である。
図3】同リンク作動装置の折れ角が50°の状態を示す正面図である。
図4】同リンク作動装置の図3の縦断面図である。
図5】同リンク作動装置の一つリンク機構を直線で表現した図である。
図6】同リンク作動装置の各回転対偶部の構成を示す水平断面図である。
図7】同リンク作動装置の変換機構の正面図である。
図8】同変換機構の縦断面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係るリンク作動装置を示す正面図である。
図10】同リンク作動装置のスライド保持部材を省略した状態を示す斜視図である。
図11】同リンク作動装置の変換機構を示す平面図である。
図12】同変換機構を示す水平断面図である。
図13】本発明の第3実施形態に係るリンク作動装置を示す正面図である。
図14】同リンク作動装置を示す斜視図である。
図15】本発明の第4実施形態に係るリンク作動装置を示す正面図である。
図16】同リンク作動装置を示す斜視図である。
図17】同リンク作動装置の変換機構を示す斜視図である。
図18】同変換機構を示す水平断面図である。
図19】同変換機構を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1および3は本発明の第1実施形態に係るリンク作動装置を示す正面図で、図2および4は同リンク作動装置の縦断面である。図1および図2は折れ角が0°の状態を示し、図3および図4は折れ角が50°の状態を示す。図1に示すリンク作動装置1は、基端側のリンクハブ2に対し先端側のリンクハブ3を2組以上のリンク機構4を介して姿勢変更可能に連結している。本実施形態では、リンク機構4の数は3組である。
【0016】
<リンク機構>
各リンク機構4は、基端側の端部リンク部材5、先端側の端部リンク部材6、および中央リンク部材7を有し、4つの回転対偶からなる3節連鎖のリンク機構である。具体的には、図5に示す基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5が第1回転対偶K1で連結され、基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7が第2回転対偶K2で連結され、中央リンク部材7と先端側の端部リンク部材6が第3回転対偶K3で連結され、先端側の端部リンク部材6とが先端側のリンクハブ3第4回転対偶K4で連結されている。
【0017】
本実施形態では、図1に示す基端側および先端側の端部リンク部材5,6はL字状である。各リンク機構4の基端側の端部リンク部材5の一端が、基端側のリンクハブ2に回転自在に連結されている。各基端側の端部リンク部材5は、基端側のリンクハブ2の外周面に円周方向に等間隔に配置されている。同様に、各リンク機構4の先端側の端部リンク部材6の一端が、先端側のリンクハブ3に回転自在に連結されている。各先端側の端部リンク部材6は、先端側のリンクハブ3の外周面に円周方向に等間隔に配置されている。ただし、基端側および先端側の端部リンク部材5,6は円周方向に等間隔に配置されていなくてもよい。中央リンク部材7の両端に、基端側および先端側の端部リンク部材5,6の他端が回転自在に連結されている。
【0018】
3組のリンク機構4における基端側および先端側の端部リンク部材5,6は、球面リンク構造を有している。詳細には、図6に示すように、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク5の第1回転対偶K1の中心軸AX1は基端側の球面リンク中心P1で交差する。同様に、先端側のリンクハブと先端側の端部リンク6の第4回転対偶K4の中心軸AX4は先端側の球面リンク中心P2で交差する。
【0019】
3組のリンク機構4において、本実施形態では、図5に示す基端側の球面リンク中心P1から基端側の端部リンク5までの距離L1は同じである。同様に、先端側の球面リンク中心P2から先端側の端部リンク6までの距離L2も同じである。ただし、距離L1,L2は異なっていてもよい。
【0020】
図1に示す基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7との第2回転対偶K2の中心軸AX2と、先端側の端部リンク部材6と中央リンク部材7との第3回転対偶K3の中心軸AX3は、ある交差角をもっていてもよいし、平行であってもよい。
【0021】
3組のリンク機構4は、それぞれが幾何学的に同一形状をなす。幾何学的に同一形状とは、図5に示すように、各リンク部材5,6,7を直線で表現した幾何学モデル、すなわち各回転対偶K1~K4と、これら回転対偶K1~K4間を結ぶ直線とで表現したモデルが、中央リンク部材7の中間点7aに対する基端側部分PPと先端側部分DPが対称を成す形状であることをいう。ただし、機構的に対称であって、基端側部分PPと先端側部分DPの個々の部品の寸法は異なっていてもよい。
【0022】
詳細には、基端側部分PPは、基端側のリンクハブ2と、基端側の端部リンク部材5と、中央リンク部材7における中間点7aよりも基端側の部分7bとからなる。先端側部分DPは、先端側のリンクハブ3と、先端側の端部リンク部材6と、中央リンク部材7における中間点7aよりも先端側の部分7cからなる。これら基端側部分PPと先端側部分DPが、中央リンク部材7の対称面Aに対して対称となっている。対称面Aは、それぞれの中央リンク部材7の中間点7aとパラレルリンク中心点Oを通過する面である。
【0023】
本実施形態のリンク機構4は、鏡像対称タイプで、基端側部分PPと先端側部分DPの位置関係が、中央リンク部材7の対称面Aに対して鏡像対称となっている。図5は、基端側のリンクハブ2の中心軸Bに対して先端側のリンクハブ3の中心軸Cが所定の屈曲角をとった状態を示す。
【0024】
基端側のリンクハブ中心軸Bは、基端側のリンクハブ2の基端側の球面リンク中心P1を通ってパラレルリンク中心点Oに向かって延びる直線である。同様に、先端側のリンクハブ中心軸Cは、先端側のリンクハブ3の先端側の球面リンク中心P2を通ってパラレルリンク中心点Oに向かって延びる直線である。図1に示す基端側リンクハブ中心軸Bと先端側リンクハブ中心軸Cが一致した状態を基準姿勢とする。
【0025】
パラレルリンク中心点Oは、基端側および先端側のリンクハブ中心軸B,Cの交点Oであり、基端側および先端側のリンクハブ中心軸B,Cが同一線上に並ぶときの球面リンク中心P1,P2の中点Oである。各リンク機構4の姿勢が変化しても、基端側と先端側の球面リンク中心P1,P2間の距離Lは常に一定である。
【0026】
基端側のリンクハブ2と先端側のリンクハブ3と3組のリンク機構4により、基端側のリンクハブ2に対し先端側のリンクハブ3が回転2自由度に移動自在な2自由度機構が構成されている。この2自由度機構は、コンパクトでありながら、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の可動範囲を広くとれる。
【0027】
例えば、基端側のリンクハブ中心軸Bと先端側のリンクハブ中心軸Cの折れ角(2×θ)の最大値である最大折れ角を約±90°とすることができる。また、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の旋回角φを0°~360°の範囲に設定できる。折れ角(2×θ)は、基端側のリンクハブ2の中心軸Bに対して先端側のリンクハブ3の中心軸Cが傾斜した垂直角度である。旋回角φは、基端側のリンクハブ中心軸Bに対して先端側のリンクハブ中心軸Cが傾斜した水平角度である。
【0028】
このリンク作動装置1において、中央リンク部材7の対称面Aに対して、基端側部分PPと先端側部分DPとの角度位置関係を基端側と先端側とで同じにすれば、幾何学的対称性から基端側のリンクハブ2および基端側の端部リンク部材5と、先端側のリンクハブ3および先端側の端部リンク部材6とは同じに動く。
【0029】
このとき、例えば、基端側のリンクハブ2に基端側のリンクハブ中心軸Bと同軸に回転軸を設け、先端側のリンクハブ2に先端側のリンクハブ中心軸Cと同軸に回転軸を設け、基端側から先端側へ回転伝達を行う場合、基端側と先端側は同じ回転角になって等速で回転する等速自在継手となる。
【0030】
図1に示すように、基端側の端部リンク部材5に、先端側のリンクハブ3の姿勢を制御する姿勢制御駆動源10が設けられている。本実施形態では、姿勢制御駆動源10は、各リンク機構4に設けられているが、リンク機構4の数が3組以上である場合、2組以上のリンク機構4に設ければよい。各姿勢制御駆動源10を制御して、基端側の端部リンク部材5を回動させることにより、基端側のリンクハブ2に対して先端側のリンクハブ3を任意の姿勢に変更できる。
【0031】
<棒状部材および連結部>
先端側リンクハブ3と基端側リンクハブ2とは、棒状部材20によって動作可能に連結されている。詳細には、図4に示すように、棒状部材20は、基端側の連結部22を介して基端側リンクハブ2に回動自在に連結されるともに、先端側の連結部24を介して先端側リンクハブ3に回動自在に連結されている。換言すれば、棒状部材20と基端側の連結部22が基端側のリンクハブ2に対して回転可能に連結されるとともに、棒状部材20と先端側の連結部24が先端側のリンクハブ3に対して回転可能に連結されている。本実施形態の棒状部材20は剛体であるが、棒状部材20は、弾性を有していてもよい。
【0032】
本実施形態では、棒状部材20は、2つの球面リンク中心P1,P2を通過している。詳細には、図6に示すように、基端側のリンクハブ2に貫通孔12が設けられ、この貫通孔12に環状の基端側の連結部22が装着され、基端側の連結部22に棒状部材20が連結されている。基端側の連結部22は、円筒形状で、中空孔22aを有している。図1に示す基準姿勢のとき、棒状部材20の中心軸線は基端側のリンクハブ中心軸Bと一致する。
【0033】
図6では、基端側のリンクハブ2、その貫通孔12および基端側の連結部22について示されているが、先端側のリンクハブ3、その貫通孔14および先端側の連結部24も同じ構成である。
【0034】
本実施形態では、基端側および先端側の連結部22,24として、等速ジョイント(例えば、ツェッパ形等速ジョイント)が用いられている。図4に示すように、基端側および先端側の連結部22,24は、外方部材22b,24bと、内方部材22c,24cとを有している。各外方部材22b,24bは、基端側および先端側のリンクハブ2,3に対して基端側および先端側のリンクハブの中心軸B,C回りに回転する。内方部材22c,24cは、外方部材22b,24bに対して各球面リンク中心P1、P2を中心に回転2自由度で姿勢変化可能に連結され、外方部材22b,24bの基端側および先端側リンクハブの中心軸B、C周りの回転を棒状部材20に伝達する。
【0035】
ただし、連結部22,24は、等速ジョイントに限定されず、例えば、カルダンジョイントのようなユニバーサルジョイントであってもよい。また、本実施形態では、棒状部材20の基端側および先端側の両端部が連結部22,24により動作可能に連結されているが、一方の端部のみを連結部22,24により動作可能に連結してもよい。
【0036】
図1に示すように、基端側のリンクハブ2に回転駆動源30が固定されている。回転駆動源30は、棒状部材20を回転駆動させる。本実施形態では、回転駆動源30は、連結部22,24ごと棒状部材20を回転させる。このように、回転駆動源30が連結部22,24ごと棒状部材20を回転させることで、先端側リンクハブ3に回転運動が伝達される。棒状部材20の回転運動は、パラレルリンク機構4の姿勢制御とは独立しており、パラレルリンク機構4の任意の姿勢で独立して回転できる。
【0037】
<変換機構>
一方、先端側のリンクハブ3に変換機構32が固定されている。変換機構32は、棒状部材20の回転を直線運動に変換する。詳細には、変換機構32は、先端側のリンクハブ3に伝達された先端側のリンクハブ中心軸線Cを中心とする回転運動を、先端側のリンクハブ中心軸線Cに沿った直線運動に変換する。変換機構32の直線運動は、棒状部材20の回転運動によって制御される。このように、棒状部材20の回転運動を直線運動に変換するので、変換機構32の直線運動もパラレルリンク機構4の姿勢制御とは独立している。
【0038】
以下に、本実施形態の変換機構32を説明する。図7は変換機構32の正面図で、図8は変換機構32の縦断面図である。変換機構32は、ねじ部材34と、スライド部材40とを有している。ねじ部材34は、先端側の連結部24に連結され、先端側の連結部24の回転運動を直線運動に変換する。詳細には、先端側の連結部24における先端側のリンクハブ中心軸C回りの回転運動を、先端側のリンクハブ中心軸Cに沿った直線運動に変換する。
【0039】
本実施形態では、変換機構32のねじ部材34は、台形ねじ35で構成されている。ただし、ねじ部材34は、台形ねじに限定されず、例えば、ボールねじ、滑りねじ等であってもよい。詳細には、ねじ部材34は、台形ねじ35が固定された台座部36と、台座部36を先端側の連結部24の外方部材24bに固定する柱部38とを有している。本実施形態では、ねじ部材34は、周方向に離間した3つの柱部38を有している。ただし、柱部38の数はこれに限定されない。これにより、先端側の連結部24の外方部材24bが回転すると、ねじ部材34も回転する。
【0040】
<スライド部材>
スライド部材40は、先端側のリンクハブ3に対して相対移動可能に連結されている。詳細には、スライド部材40は、先端側のリンクハブ3に対して先端側のリンクハブ中心軸C方向に相対移動可能である。スライド部材40に、エンドエフェクタ25が配置されている。エンドエフェクタ25は、スライド部材40に着脱自在に取り付けられてもよく、あるいはスライド部材40自体がエンドエフェクタの機能を備えてもよい。
【0041】
スライド部材40は、環状のナット部42と、柱部44とを有している。ナット部42は、その中空孔に雌ねじ42aを有し、ねじ部材34の台形ねじ35と螺合している。ナット部42は、柱部44を介して先端側のリンクハブ3に相対移動可能に支持されている。本実施形態では、3本の柱部44が周方向に並んで配置され、先端側のリンクハブ3に先端側のリンクハブ中心軸Cの方向に移動自在に挿通されている。これにより、スライド部材40は、先端側のリンクハブ3に対してリンクハブ中心軸Cの方向に直線運動できるが、回転運動はできない。
【0042】
スライド部材40は、先端側のリンクハブ3に対してリンクハブ中心軸Cの方向に直線運動可能で、回転運動不能に支持されていればよく、スライド部材40の先端側のリンクハブ3に対する支持構造は、本実施形態の構造に限定されない。
【0043】
このように、変換機構32の回転運動部分であるねじ部材34が先端側の連結部24に連結され、直線運動部分であるスライド部材40が先端側のリンクハブ3に連結されている。つまり、先端側の連結部24に連結されたねじ部材34の台形ねじ35が回転し、先端側のリンクハブ3に連結されたスライド部材40のナット部42が先端側のリンクハブ中心軸Cと平行に移動する。このように、本実施形態では、ねじ部材34の台形ねじ35が変換機構32の回転軸を構成する。
【0044】
本実施形態の変換機構32は、その回転摺動部45の回転摩擦抵抗を低減する摩擦低減部材50を有している。摩擦低減部材50は、例えば、回転摺動部45に設けられるグリスオイルのような固体・液体潤滑剤である。摩擦低減部材50により、回転摺動部45の摩耗が低減し寿命が延びるうえに、回転摺動部45のガタが減り位置精度がよくなる。ただし、摩擦低減部材50はなくてもよい。
【0045】
本実施形態では、棒状部材20、基端側の連結部22、先端側の連結部24および変換機構32の回転軸(台形ねじ35)が中空となっている。つまり、図1に示すように、棒状部材20、基端側の連結部22、先端側の連結部24および台形ねじ35は、中空孔20a、22a、24a、35aを有している。これらの中空孔20a、22a、24a、35aに、エンドエフェクタ25のケーブル(図示せず)を配線することができる。なお、棒状部材20、基端側の連結部22、先端側の連結部24および変換機構32の回転軸(台形ねじ35)のすべての中空である必要はなく、少なくとも一つが中空であってもよく、すべてが中空でなくてもよい。
【0046】
<リンク作動装置の動作>
つぎに、本実施形態のリンク作動装置1の動作を説明する。姿勢制御駆動源10によりリンク機構4を制御することで、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の姿勢が回転2自由度で変化する。さらに、リンク機構4の姿勢に因らず、棒状部材20がこれとは独立して基端側および先端側の連結部22、24を介して回転する。したがって、リンク作動装置1は、リンク機構4の回転2自由度と、棒状部材20の回転1自由度の回転3自由度で動作する。
【0047】
棒状部材20は、回転駆動源30により基端側および先端側の連結部22,24とともに回転する。先端側のリンクハブ3に変換機構32が取り付けられているので、回転駆動源30による回転運動が直線運動に変換され、エンドエフェクタ25は先端側のリンクハブ中心軸C方向に移動可能である。このように、回転3自由度と直線1自由度の動作により、幅広い用途にリンク作動装置1を適用できる。例えば、リンク作動装置1をカメラのピントを合わせたり、ねじを引き抜いたりする用途に用いることができる。
【0048】
上記構成によれば、リンク機構4は、回転2自由度以上で動作可能であり、先端側と基端側の球面リンク2,3の中心点間の距離が維持される。これにより、リンク全体の剛性が向上するとともに、動きが滑らかになる。また、球面リンク4の姿勢に因らず棒状部材20が独立して回転する。つまり、リンク機構4は、全体で3自由度以上のパラレルリンク機構を構成している。先端の3自由度以上の回転のうち1自由度の回転が、変換機構32によって直線運動に変換されている。これにより、先端側のリンクハブ3に支持されたエンドエフェクタ25を平行移動(直線運動)させることができる。
【0049】
さらに、基端側のリンクハブ2に回転駆動源30が設けられ、先端側のリンクハブ3に変換機構32が設けられている。これにより、先端側の重量が増加するのが抑制され、慣性モーメントが大きくなるのを防ぐことができる。その結果、先端側の構成が軽量かつコンパクトとなり、精密かつ広範囲な動作を実現できる。
【0050】
図8に示すように、変換機構32が、回転摺動部45の回転摩擦抵抗を低減する摩擦低減部材50を有している。これにより、変換機構32が滑らかに回転するので、回転摺動部45の摩耗が減り、変換機構32の寿命が延びる。
【0051】
図2に示すように、棒状部材20、基端側の連結部22、先端側の連結部24および台形ねじ35は、中空孔20a、22a、24a、35aを有している。これらの中空孔20a、22a、24a、35aに、例えば、エンドエフェクタ25のケーブル等を挿通できるので、配線がコンパクトになるうえに、機構がケーブル等を挟みにくくなり、外観もよい。
【0052】
以下に、本発明の他の実施形態に係るリンク作動装置を説明する。他の実施形態の説明において、第1実施形態と共通の構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0053】
[第2実施形態]
図9~12は、本発明の第2実施形態に係るリンク作動装置1Aを示す。第1実施形態のリンク作動装置1の変換機構32は送りねじ機構であるのに対し、第2実施形態のリンク作動装置1Aの変換機構32Aはラック・アンド・ピニオンである点で両者は相違している。以下に、第2実施形態の変換機構32Aの詳細を説明する。
【0054】
<変換機構>
図9において、第2実施形態の変換機構32Aは、先端側のリンクハブ中心C回りの回転運動を先端側のリンクハブ中心Cに直交する方向の直線運動に変換する。詳細には、図10に示す変換機構32Aは、先端側の連結部24に連結された駆動ギヤ52と、駆動ギヤ52と噛合うピニオンギヤ54と、ピニオンギヤ54と噛合うラックギヤ56とを有している。本実施形態では、駆動ギヤ52およびピニオンギヤ54は平歯車である。
【0055】
駆動ギヤ52が先端側の連結部24と一体に回転し、ピニオンギヤ54が駆動ギヤ52に連動して回転する。さらに、ピニオンギヤ54の回転力により、ラックギヤ54が直線運動(水平運動)する。
【0056】
本実施形態の変換機構32Aは、一対のラックギヤ、すなわち2つのラックギヤ56,56を有しており、2つのラックギヤ56,56が平行でかつ逆方向に直線運動する。各ラックギヤ56は、係合突起56aを有している。係合突起56aは、移動方向に直交する方向、図10では上方に突出している。本実施形態では、ラックギヤ56はスライド部材58と一体化されており、スライド保持部材60を介して先端側のリンクハブ3に直線運動可能に保持されている。図10は、スライド保持部材60が省略されている。
【0057】
図12に示すように、スライド保持部材60は、第1軸挿通孔60aと、第2軸挿通孔60bとを有している。第1軸挿通孔60aに、駆動ギヤ52の歯車軸体52aが回転自在に支持されている。歯車軸体52aは、図9に示す柱部52bを介して先端側の連結部24の外方部材24bに固定されている。本実施形態では、周方向に離間した3つの柱部52bが設けられている。ただし、柱部52bの数はこれに限定されない。これにより、先端側の連結部24の外方部材24bが回転すると、駆動ギヤ52も回転する。
【0058】
図12に示す第2軸挿通孔60bに、ピニオンギヤ54の歯車軸体54aが回転自在に支持されている。歯車軸体54aは、図9に示す先端側のリンクハブ3に回転可能に支持されている。これにより、駆動ギヤ52が回転すると、ピニオンギヤ54も回転する。
【0059】
このように、先端側の連結部24とピニオンギヤ54との間に駆動ギヤ52を配置することで、駆動ギヤ52とピニオンギヤ54との間でギヤ比を変更できる。また、駆動ギヤ52を配置することで、直線運動に変換する回転運動として時計回りと半時計回りのどちらも利用できる。
【0060】
本実施形態では、1つのピニオンギヤ54から軸体54aを挟んで逆方向の直線運動を取り出し、等しく開閉する機構が得られる。これに代えて、2つのピニオンギヤ54を設けたり、駆動ギヤから直接、直線運動を取り出したりすることで、同方向かつ速度の異なる直線運動を得ることもできる。
【0061】
また、先端側の連結部24とピニオンギヤ54との間に駆動ギヤ52を配置することで、ピニオンギヤ54の軸体54aを先端側のリンク中心軸Cから離れた位置に配置できる。本実施形態では、平歯車からなる駆動ギヤ52によりピニオンギヤ54の軸体54aを先端側のリンク中心軸Cから離れた位置に配置しているが、平歯車に代えて、例えば、ベルトとプーリ、あるいはチェーンとスプロケットを用いてもよい。
【0062】
図12に示すように、スライド保持部材60は、2つのスライド溝60c、60cを有している。スライド溝60cは、先端側のリンク中心軸Cに直交する平面上に配置され、2つのスライド溝60c、60cは平行に延びている。各スライド溝60cに、ラックギヤ56の係合突起56aが係合する。つまり、係合突起56aがスライド溝60cに案内されて、ラックギヤ56がスライド保持部材60のスライド溝60cに沿って移動する。このように、スライド保持部材60によってラックギヤ56の直線運動可能な範囲が制限される。
【0063】
上述のように、本実施形態では、先端側のリンクハブ3、変換機構32A、スライド部材58およびスライド保持部材60により、エンドエフェクタ25Aが構成されている。詳細には、本実施形態のエンドエフェクタ25Aは、2つのスライド部材58が1つのピニオンギヤ54(平歯車)によって逆方向にスライドすることで等しく開閉し、ワークを把持する機能を備える。
【0064】
第2実施形態の変換機構32Aも、第1実施形態と同様に、回転摺動部45の回転摩擦抵抗を低減する摩擦低減部材50を有していてもよい。また、第1実施形態と同様に、棒状部材20、基端側の連結部22、先端側の連結部24および駆動ギヤ52の歯車軸体52aの少なくとも一つが、中空孔を有していてもよい。
【0065】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果、すなわち、姿勢変更を高速に行いつつ、エンドエフェクタ25Aを平行移動させることができる効果を得ることができる。
【0066】
[第3実施形態]
図13および図14は、本発明の第3実施形態に係るリンク作動装置1Bを示す。第3実施形態のリンク作動装置1Bも、変換機構32Bの構成が第1および第2実施形態と異なる。第3実施形態のリンク作動装置1Bの変換機構32Bは、傘歯車62、64,66と、プーリ68,70と、ベルト72,74とからなる。以下に、変換機構32Bを詳細に説明する。
【0067】
<変換機構>
第3実施形態の変換機構32Bでは、先端側の連結部24の先端側のリンクハブ中心軸C回りの回転運動が、傘歯車62、64,66によって回転方向が変換され、ベルト72,74から直線運動が取り出されている。
【0068】
本実施形態では、1つの入力傘歯車62と、これに噛合う2つの出力傘歯車64,66の3つの傘歯車が設けられている。出力傘歯車は1つでもよく、3つ以上でもよい。これら傘歯車62、64,66が、ステージ69を介して先端側のリンクハブ3に支持されている。ステージ69は、平板からなる本体部69aを有し、本体部69aが複数の柱部69bにより先端側のリンクハブ3に固定されている。本実施形態では、周方向に離間した3つの柱部69bが設けられている。ただし、柱部69bの構造は、本実施形態の構造に限定されない。
【0069】
本体部69aは、その中心部に貫通孔69cを有しており、この貫通孔69cに入力傘歯車62が回転自在に支持されている。入力傘歯車62は、柱部62aを介して先端側の連結部24の外方部材24bに固定されている。本実施形態では、周方向に離間した3つの柱部62aが設けられている。ただし、柱部62aの数はこれに限定されない。これにより、先端側の連結部24の外方部材24bが回転すると、入力傘歯車62も回転する。
【0070】
ステージ69は、本体部69aに連接する取付部69d,69dを有している。取付部69d,69dは、板金を折り曲げることで形成され、本体部69aから先端側のリンクハブ中心軸Cに沿う方向に先端側のリンクハブ3と反対側に延びている。
【0071】
各取付部69dは挿通孔69eを有しており、この挿通孔69eに出力傘歯車64,66が回転自在に支持されている。出力傘歯車64,66の回転軸心AX5,6は、先端側のリンクハブ中心軸Cと直交する方向に延びている。本実施形態では、2つの出力傘歯車64,66は、その回転軸心AX5,AX6が一致するように配置されている。ただし、2つの出力傘歯車64,66の配置はこれに限定されない。これにより、入力傘歯車62が先端側のリンクハブ中心軸C回りに回転すると、2つの出力傘歯車64,66が回転軸心AX5,AX6回りに回転する。
【0072】
各出力傘歯車64,66が歯車軸体64a,66aに、プーリ68,70が連結されている。各プーリ68,70は、先端側のリンクハブ中心軸C方向に離間して一対設けられている。一対のプーリ68,68にベルト72が掛け渡され、一対のプーリ70,70にベルト74が掛け渡されている。ベルト72,74は、タイミングベルトであってもよく、チェーンであってもよい。タイミングベルトを用いると、プーリとの滑り損失が減少する。
【0073】
各ベルト72,74に、エンドエフェクタ25Bが取り付けられている。エンドエフェクタ25Bは、ベルト72,74に直接取り付けられてもよく、ステーのような中間部材を介してベルト72,74に取り付けられてもよい。これにより、入力傘歯車62に連動して出力傘歯車64,66が回転すると、傘歯車64,66につながった駆動側プーリ68a,70aから被駆動側プーリ68b,70bにベルト72,74で回転が伝達され、ベルト72,74に取り付けられたエンドエフェクタ25Bが直線運動する。
【0074】
第3実施形態によれば、無限回転するベルト72,74に取り付けられたエンドエフェクタ25Bが取り付けられているので、直線運動と回転運動の両方を利用できる。また、被駆動側プーリ68b,70bの配置によって、回転運動および直進運動の方向の自由度が高い。具体的には、ベルト72,74を利用した直線運動の方向は、入力傘歯車62から放射状に配置できる。さらに、ベルト72,74またはエンドエフェクタ25Bの直線運動を補助するガイド、レール等を設けてもよい。
【0075】
第3実施形態の変換機構32Bも、第1実施形態と同様に、回転摺動部45の回転摩擦抵抗を低減する摩擦低減部材50を有していてもよい。また、第1実施形態と同様に、棒状部材20、基端側の連結部22、先端側の連結部24および入力傘歯車62の歯車軸体62aの少なくとも一つが、中空孔を有していてもよい。
【0076】
第3実施形態においても、第1および第2実施形態と同様の効果、すなわち、姿勢変更を高速に行いつつ、エンドエフェクタ25Bを平行移動させることができる効果を得ることができる。
【0077】
[第4実施形態]
図15~19は、本発明の第4実施形態に係るリンク作動装置1Cを示す。図15および図16はそれぞれ、第4実施形態のリンク作動装置1Cの正面図および斜視図である。図17は第4実施形態の変換機構32Cの斜視図で、図18は同変換機構32Cの水平断面図で、図19は同変換機構32Cの縦断面図である。第4実施形態のリンク作動装置1Cも、変換機構32Cの構成が第1~第3実施形態と異なる。第4実施形態のリンク作動装置1Cの変換機構32Cは、太陽歯車76と、遊星歯車78と、ウォームギヤ80とからなる。以下に、変換機構32Cを詳細に説明する。
【0078】
<変換機構>
第4実施形態の変換機構32Cでは、先端側の連結部24の先端側のリンクハブ中心軸C回りの回転運動が、太陽歯車76の外周部の3つの遊星歯車78と、これに連結されたウォームギヤ80により直線運動に変換されている。本実施形態では、太陽歯車76および遊星歯車78は、平歯車である。ウォームギヤ80は、ねじ歯車82と、これに噛合う雌ねじ84とを有している。
【0079】
太陽歯車76は、柱部76aを介して先端側の連結部24の外方部材24bに固定されている。本実施形態では、周方向に離間した3つの柱部76aが設けられている。ただし、柱部76aの構造は、本実施形態の構造に限定されない。これにより、先端側の連結部24の外方部材24bが回転すると、太陽歯車76も回転する。
【0080】
3つの遊星歯車78,78,78は、太陽歯車76の外周に周方向に等間隔で離間して配置されており、太陽歯車76に噛合っている。各遊星歯車78の歯車軸体78aは、先端側のリンクハブ3に回転自在に支持されている。これにより、太陽歯車76が先端側のリンクハブ中心軸C回りに回転すると、3つの遊星歯車78,78,78が連動して回転する。
【0081】
各遊星歯車78の歯車軸体78aに、ウォームギヤ80のねじ歯車82が連結されている。ねじ歯車82は、ボールねじからなり、先端側のリンクハブ中心軸C方向に延びている。各ねじ歯車82に、雌ねじ84が噛合っている。
【0082】
本実施形態では、単一のスライド部材86に、内側に雌ねじ84を有する3つの貫通孔が形成されている。詳細には、スライド部材86は、先端側のリンクハブ中心軸C方向から見て三角形状であり、三角形の3つの角部に貫通孔が形成され、各貫通孔に雌ねじ84が形成されている。この3つの雌ねじ84に、ねじ歯車82が噛合っている。これにより、太陽歯車76に連動して3つの遊星歯車78が回転すると、遊星歯車78に連結されたねじ歯車82が回転して、スライド部材86が直線運動する。
【0083】
スライド部材86に、エンドエフェクタ25Cが取り付けられている。本実施形態では、スライド部材86は、その中心部に貫通孔86aを有し、貫通孔86aに先端回転部材88が回転自在に支持されている。この先端回転部材88に、エンドエフェクタ25Cが着脱自在に取り付けられている。エンドエフェクタ25Cは、スライド部材86に直接取り付けられてもよい。
【0084】
図15に示すように、本実施形態では、先端回転部材88の回転軸心AX7は先端側のリンク中心軸Cと一致している。図19に示すように、先端回転部材88の回転軸体88aは、太陽歯車76の回転軸体76bに連結されている。これにより、エンドエフェクタ25Cは、先端側のリンク中心軸C方向に直線運動するとともに、先端側のリンク中心軸C回りに回転運動する。
【0085】
第4実施形態によれば、スライド部材86が、3つのウォームギヤ80で3点支持されるので、スライド部材86およびこれに取り付けられたエンドエフェクタ25Cの支持が安定する。また、先端側のリンクハブ中心軸C方向に直線運動可能なスライド部材86と、このスライド部材86に対して回転可能な先端回転部材88を設けることで、エンドエフェクタ25Cの回転運動と直線運動を同時に実現できる。
【0086】
第4実施形態の変換機構32Cも、第1実施形態と同様に、回転摺動部45の回転摩擦抵抗を低減する摩擦低減部材50を有していてもよい。また、第1実施形態と同様に、棒状部材20、基端側の連結部22、先端側の連結部24および太陽歯車76の歯車軸体76aの少なくとも一つが、中空孔を有していてもよい。
【0087】
第4実施形態においても、第1~第3実施形態と同様の効果、すなわち、姿勢変更を高速に行いつつ、エンドエフェクタ25Cを平行移動させることができる効果を得ることができる。
【0088】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、上記実施形態のリンク作動装置1は、各リンク機構4が鏡像対称タイプであるが、各リンク機構4が点対称タイプであってもよい。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
1,1A,1B,1C リンク作動装置
2 基端側のリンクハブ
3 先端側のリンクハブ
4 リンク機構(パラレルリンク機構、球面リンク機構)
5 基端側の端部リンク部材
6 先端側の端部リンク部材
7 中央リンク部材
10 姿勢制御駆動源
20 棒状部材
22 基端側の連結部
24 先端側の連結部
30 回転駆動源
32,32A,32B,32C 変換機構
45 回転摺動部
50 摩擦低減部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19