(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112712
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】防滴用キャップ
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20240814BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240814BHJP
F16J 15/00 20060101ALI20240814BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H05K5/03 G
H05K5/02 L
F16J15/00 D
F16J15/10 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017950
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】岩田 明久
【テーマコード(参考)】
3J040
4E360
【Fターム(参考)】
3J040AA17
3J040BA03
3J040EA16
3J040FA05
3J040HA03
3J040HA23
4E360AB33
4E360BA08
4E360BB22
4E360BC06
4E360BD02
4E360BD05
4E360BD07
4E360EA18
4E360EC05
4E360EC12
4E360ED03
4E360ED23
4E360GA04
4E360GA29
4E360GA53
4E360GA60
4E360GC08
(57)【要約】
【課題】防滴性を備える機器から取り外した後も防滴用キャップを再利用可能にする。
【解決手段】防滴用キャップ10は、防滴対象の空間20を覆うキャップであって、開口部110を有する上面部11と、防滴用キャップ10の外側方向に突起した突起部120を有し、空間20を囲む壁面21と接する側面部12と、により形成され、側面部12は、防滴用キャップ10が空間20を覆う状態において、突起部120が壁面21と接することにより空間20の内側方向に曲がることによって、開口部110を塞ぐように形成され、上面部11及び側面部12は、開口部110が塞がれた状態において、開口部110に工具30を挿入可能な可撓性を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防滴対象の空間を覆うキャップであって、
開口部を有する上面部と、
前記キャップの外側方向に突起した突起部を有し、前記空間を囲む壁面と接する側面部と、
により形成され、
前記側面部は、前記キャップが前記空間を覆う状態において、前記突起部が前記壁面と接することにより前記空間の内側方向に曲がることによって、前記開口部を塞ぐように形成され、
前記上面部及び前記側面部は、前記開口部が塞がれた状態において、前記開口部に工具を挿入可能な可撓性を有する、
防滴用キャップ。
【請求項2】
前記開口部は、前記上面部における前記側面部との境界に位置する、
請求項1に記載の防滴用キャップ。
【請求項3】
前記上面部と前記側面部とは、前記キャップの前記空間に対する被覆方向において溝を成して互いに接し、
前記開口部は、前記溝に位置する、
請求項2に記載の防滴用キャップ。
【請求項4】
前記開口部は、前記工具が挿入された状態における前記工具との間において、第1の閾値以上の摩擦係数を有する、
請求項1または請求項2に記載の防滴用キャップ。
【請求項5】
前記開口部は、前記工具が挿入された状態における前記工具との間において、第2の閾値以下の摩擦係数を有する、
請求項1または請求項2に記載の防滴用キャップ。
【請求項6】
前記工具は、括れ部を有する棒状であり、
前記上面部及び前記側面部は、前記工具における前記括れ部よりも前記開口部への挿入方向先端側にある先端部が前記開口部を貫通可能な可撓性を有する、
請求項1または請求項2に記載の防滴用キャップ。
【請求項7】
前記上面部及び前記側面部の材質は、ゴムあるいはシリコンである、
請求項1に記載の防滴用キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防滴用キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な機器において、外観の印象が低下しないように、ネジの取り付け箇所を覆い隠すためのキャップが取り付けられている。そして、そのキャップの取り付け及び取り外し作業を容易にし、かつ、取り付けられたキャップの脱落を防止するための技術が、様々な機器において使用されている。
【0003】
上述の技術に関連して、特許文献1には、ハウジングに冷媒用の流路口が形成され、ハウジングに突設されたフランジ部に、流路口に接続される外部配管を固定するネジ孔が形成された圧縮機に用いられ、流路口に嵌合される嵌合部を有するキャップ本体を備えた流路口を密閉する圧縮機の流路口閉塞装置が開示されている。この装置では、フランジ部にネジ孔が貫通形成され、前記ネジ孔に挿通される挿入体を備える。当該挿入体の先端部は、ネジ孔よりフランジ部の裏面に突出する延設部を有する。そして当該延設部に、フランジ部の裏面に係止される係止機構が設けられている。
【0004】
また、特許文献2には、その表面に少なくとも入力操作に必要なキーボタン及び表示部が設けられている上ケースと、その上ケースとネジにより締結された下ケースとにより形成された筐体を備える携帯端末が開示されている。この携帯端末は、上ケースまたは下ケースの内の一方のケース内に、他方のケース及び電機部品の実装に必要な基板をネジにて固定するためのネジボス及びネジ孔を備える。この端末装置は、他方のケースに、締結しているネジを目隠しするための目隠しキャップが挿入される凹部を備える。そしてこの端末装置は、挿入されている目隠しキャップを取り外すスティックを挿入するための穴が、他方のケースの側面から凹部まで貫通して設けられている。
【0005】
また、特許文献3には、裂切可能なゲートを介して枠状ランナーに支持される可撓性のねじキャップを枠状ランナーの中心部に一体形成し、同枠状ランナーの一表面に位置決めピンを突起させたことを特徴とするねじキャップ部品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-062917号公報
【特許文献2】特開2001-024763号公報
【特許文献3】実開平03-058056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
防滴性(防水性)が求められる
図5に例示するような機器において、外装(フロントカバー及びリヤカバー)を固定するねじ止め部分の防滴性の確保のために、
図6に例示するように、ねじの締結後に例えばゴム製の防滴用キャップをねじ止め部分に圧入することによって、ねじ止め部分から装置内への浸水を防止している。
図7及び
図8に例示するように、一般的な防滴用キャップの外径ΦAを、リヤカバーにおけるねじ止め部の穴の内径ΦCよりも大きくすることにより、防滴性が確保されている。したがって、修理等の目的で機器を分解する場合、通常、
図9に例示するように、先端が尖った工具を防滴用キャップに刺すことによって防滴用キャップをねじ止め部から取り外す(引き抜く)ことが行われる。しかしながらこの場合、
図10に例示するように防滴用キャップに刺し傷が残る(穴が開く)ことにより、防滴性が確保できなくなるので、取り外された防滴用キャップは再利用されずに廃棄される。従ってコストを低減する観点から、防滴性を備える機器から防滴用キャップを取り外した後も、その防滴用キャップを再利用できるようにすることが課題である。上述した特許文献1乃至3はこの課題を解決できない。
【0008】
本発明の主たる目的は、防滴性を備える機器から防滴用キャップを取り外した後も、その防滴用キャップを再利用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る防滴用キャップは、防滴対象の空間を覆うキャップであって、開口部を有する上面部と、前記キャップの外側方向に突起した突起部を有し、前記空間を囲む壁面と接する側面部と、により形成され、前記側面部は、前記キャップが前記空間を覆う状態において、前記突起部が前記壁面と接することにより前記空間の内側方向に曲がることによって、前記開口部を塞ぐように形成され、前記上面部及び前記側面部は、前記開口部が塞がれた状態において、前記開口部に工具を挿入可能な可撓性を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、防滴性を備える機器から取り外した後も再利用可能な防滴用キャップが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る防滴用キャップ10の形状を示す外観図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る防滴用キャップ10を防滴対象の空間20に取り付ける際における防滴用キャップ10の形状の変化を例示する図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る防滴用キャップ10を防滴対象の空間20から取りはずす際において、工具30を開口部110に挿入したときの防滴用キャップ10の外観を例示する図である。
【
図4】括れ部31及び先端部32を有する工具30を開口部110に挿入したときの防滴用キャップ10の外観を例示する図である。
【
図5】防滴性を備える機器の外観を例示する図である。
【
図6】防滴性を備える機器への防滴用キャップの取り付けを例示する図である。
【
図7】一般的な防滴用キャップの形状を示す外観図である。
【
図8】一般的な防滴用キャップを機器に取り付けた状態を側面から俯瞰した図である。
【
図9】防滴性を備える機器からの工具を用いた一般的な防滴用キャップの取りはずしを例示する図である。
【
図10】防滴性を備える機器から取り外した後の一般的な防滴用キャップの外観を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る防滴用キャップ10の形状を示す外観図である。
図1に示す外観図は、防滴用キャップ10を俯瞰した全体俯瞰図、線分B-Bを含むXZ平面における防滴用キャップ10の断面を俯瞰したB-B断面俯瞰図、防滴用キャップ10をZ軸の正方向から負方向に見たXY平面における上面図を含む。尚、本実施形態では、各図面に3次元空間におけるX軸、Y軸、Z軸を示して説明することとする。
【0014】
本実施形態に係る防滴用キャップ10は、上面部11及び側面部12により形成されている。防滴用キャップ10の材質は可撓性(弾性)を有する材質であり、その材質は、例えば、ゴムあるいはシリコン等である。上面部11は開口部110を有し、側面部12は防滴用キャップ10の外側方向に突起した突起部120を有する。上面部11と側面部12とは、Z軸の負方向に対して溝13を形成して互いに接している。そして開口部110は溝13の中に位置している。
【0015】
図2は、防滴用キャップ10を防滴対象の空間20に取り付ける際における、防滴用キャップ10の形状の変化を例示する図である。防滴対象の空間20は、例えば
図5及び6に例示するような防滴性を備える機器のリヤカバーに含まれる、ねじ止めを行うために形成されたくぼみ(凹部)である。尚、防滴対象の空間20は、ねじ止めを行うために形成された空間に限定されない。防滴対象の空間20は、例えば、機器のフロントカバーとリヤカバーとをねじとは異なる機構により固定するためにリヤカバーに形成された空間でもよい。
【0016】
防滴用キャップ10の外径ΦAは、
図8を参照して上述した一般的な防滴用キャップと同様に、空間20の内径ΦCよりも大きい。したがって、
図2に例示する通り、側面部12は空間20を囲む壁面21と密着することによって、空間20の防滴性が確保される。
【0017】
防滴用キャップ10の空間20への取り付け開始時には、防滴用キャップ10は、原形を維持しており、開口部110は開口した状態にある。防滴用キャップ10は、Z軸の負方向(空間20を被覆する方向)側に押し込まれることによって、空間20への取り付けが完了する。
【0018】
防滴用キャップ10の空間20への取り付けが完了した状態では、突起部120が壁面21と接することによって、突起部120が空間20の内側方向に曲がった(倒れ込んだ)状態になる。防滴用キャップ10が上述の通りに変形することによって、
図2に例示する通り、開口部110は塞がれた状態になる。したがって、防滴用キャップ10の空間20への取り付けが完了した状態において、空間20の防滴性は確保されている。
【0019】
図3は、防滴用キャップ10を防滴対象の空間20から取りはずす際において、工具30を開口部110に挿入したときの防滴用キャップ10の外観を例示する図である。工具30は棒状であり、その材質は可撓性のない(剛性を有する)材質であり、例えば、金属、木、プラスチック等である。
【0020】
図3に例示する通り、工具30は、塞がれた状態にある開口部110に対してZ軸の負方向に挿入される。上述した通り、防滴用キャップ10の材質は可撓性を有し、工具30の材質は剛性を有するので、開口部110は工具30の挿入にともない変形(開口)し、工具30は開口部110の奥まで挿入される。作業者による工具30を用いて防滴用キャップ10をZ軸の正方向に引き上げる操作によって、防滴用キャップ10はZ軸の正方向に移動し、空間20から取り外される。
【0021】
また、開口部110と挿入された工具30との間の摩擦係数が小さいほど、防滴用キャップ10を空間20から引き出す際に工具30が滑って開口部110から抜けやすくなり、防滴用キャップ10を取り外すことが困難になる。従って、開口部110は、工具30が挿入された状態における工具30との間において、第1の閾値以上の摩擦係数を有することが望ましい。
【0022】
また、開口部110と挿入された工具30との間の摩擦係数が大きいほど、工具30を開口部110に挿入するために強い力が必要となるので、工具30を開口部110に挿入することが困難になる。従って、開口部110は、工具30が挿入された状態における工具30との間において、第2の閾値以下の摩擦係数を有することが望ましい。
【0023】
したがって、開口部110と挿入された工具30との間の摩擦係数が、第1の閾値以上でありかつ第2の閾値以下である(但し、第2の閾値は第1の閾値よりも大きいとする)ことを満たすような材質を、防滴用キャップ10及び工具30の材質として用いればよい。
【0024】
図4は、棒状であってその一部が括れている(その周辺部分よりも細くなっている)形状の工具30を開口部110に挿入したときの防滴用キャップ10の外観を例示する図である。この場合、工具30は括れ部31と先端部32とを含む。括れ部31は、工具30においてその周辺よりも細い(断面積が小さい)部分である。先端部32は、工具30において括れ部31よりも開口部110への挿入方向の先端側にある部分である。
【0025】
この場合、防滴用キャップ10は、
図4に例示するように先端部32が開口部110を貫通可能な可撓性を有することが望ましい。
図4に例示するように先端部32が開口部110を貫通した状態で工具30が開口部110に挿入されている場合、工具30をZ軸の正方向に引き上げる際に先端部32が開口部110に引っかかるので、防滴用キャップ10を空間20から容易に取り外すことができる。
【0026】
本実施形態に係る防滴用キャップ10は、防滴性を備える機器から取り外した後も再利用することができる。その理由は、防滴用キャップ10は、工具30を挿入するための開口部110を有しており、防滴対象の空間20に取り付けられた状態では、側面部12における突起部120が空間20の内側方向に曲がることによって、防滴性を確保できるよう開口部110を塞ぐように形成されているからである。
【0027】
以下に、本実施形態に係る防滴用キャップ10によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0028】
防滴性が求められる機器において、外装を固定するねじ部の防滴性の確保のために、
図6に例示するように、ねじの締結後に例えばゴム製の防滴用キャップをねじ部に圧入することによって、ねじ部から装置内への浸水を防止している。そして、修理等の目的で機器を分解する場合、通常、
図9に例示するように、先端が尖った工具を防滴用キャップに刺すことによって防滴用キャップを取り外すことが行われる。しかしながらこの場合、
図10に例示するように防滴用キャップに刺し傷が残る(穴が開く)ことにより、防滴性が確保できなくなるので、取り外された防滴用キャップは再利用されずに廃棄され、コストの観点において問題となる。
【0029】
このような問題に対して、本実施形態に係る防滴用キャップ10は、開口部110を有する上面部11と、防滴用キャップ10の外側方向に突起した突起部120を有し、防滴対象の空間20を囲む壁面21と接する側面部12と、により形成されている。側面部12は、防滴用キャップ10が空間20を覆う状態において、突起部120が壁面21と接することにより空間20の内側方向に曲がることによって、開口部110を塞ぐように形成されている。そして、上面部11及び側面部12は、開口部110が塞がれた状態において、開口部110に工具30を挿入可能な可撓性を有する。
【0030】
即ち、防滴用キャップ10は、開口部110を有するものの、空間20を覆うように取り付けられた状態では、突起部120が空間20の内側方向に曲がることによって開口部110を塞ぐように変形し、防滴性を確保している。そして、防滴用キャップ10は、元々有している開口部110に工具30が挿入されることによって空間20から取り外される。即ち、防滴用キャップ10を空間20から取り外す際に、防滴用キャップ10において刺し傷等は発生しない。これにより、防滴用キャップ10は、防滴性を備える機器から取り外した後も、廃棄されずに再利用することができる。
【0031】
また、本実施形態に係る防滴用キャップ10は、上面部11と側面部12とが、空間20に対する被覆方向において溝13を成して互いに接し、開口部110は、溝13に位置するように形成されている。これにより、防滴用キャップ10が空間20に取り付けられたときに、突起部120は空間20の内側方向に曲がりやすくなるので、防滴用キャップ10は、より確実に開口部110を塞ぎ、防滴性を高めることができる。
【0032】
また、本実施形態に係る防滴用キャップ10では、開口部110は、挿入された工具30との間において、第1の閾値以上であり第2の閾値以下である適切な摩擦係数を有する。これにより、防滴用キャップ10は、空間20から取り外される際に、工具30が開口部110から滑って抜けることを防止し、かつ、強い力を必要とせずに工具30を開口部110に挿入できるようにする。したがって、防滴用キャップ10は、空間20から防滴用キャップ10をとり外す作業を、より容易にすることができる。
【0033】
また、本実施形態に係る防滴用キャップ10は、括れ部31を有する棒状の工具30が用いられる場合において、上面部11及び側面部12は、工具30における括れ部31よりも開口部110への挿入方向先端側にある先端部32が開口部110を貫通可能な可撓性を有する。即ち、防滴用キャップ10は、括れ部31を有する工具30を用いた空間20からの取り外し作業を可能とすることによって、空間20から防滴用キャップ10をとり外す作業を、より容易にすることができる。
【0034】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 防滴用キャップ
11 上面部
110 開口部
12 側面部
120 突起部
13 溝
20 空間
21 壁面
30 工具
31 括れ部
32 先端部