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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112728
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】ハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/04 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
B62D1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017993
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】大畑 智則
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DA11
3D030DA86
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ハンドルを使用者の方に向けて変形させることなく、ハンドルの幅を拡大縮小可能なハンドル装置の提供を目的とした。
【解決手段】ハンドル装置10は、右側ハンドル22及び左側ハンドル24を備えたハンドル部20と、位置調整部70とを備えている。位置調整部70は、ラックアンドピニオンギア機構72と、ロック部74と、を備えている。ラックアンドピニオンギア機構72は、第一ラックギア80と、第二ラックギア82と、ピニオンギア84と、を構成要素として備えており、ロック部74により右側ハンドル22及び左側ハンドル24を間隔調整不能とする幅方向ロック状態と、右側ハンドル22及び左側ハンドル24を間隔調整可能とする幅方向アンロック状態とに切り替え可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対に設けられた右側ハンドル及び左側ハンドルを備えたハンドル部と、
前記右側ハンドル及び前記左側ハンドルの位置を調整する位置調整部と、
を備えており、
前記位置調整部が、ラックアンドピニオンギア機構と、ロック部と、を備えており、
前記ラックアンドピニオンギア機構が、
前記右側ハンドルと連動して進退する第一ラックギアと、
前記左側ハンドルと連動して進退する第二ラックギアと、
前記第一ラックギア及び前記第二ラックギアに対して噛み合うピニオンギアと、
を構成要素の一部又は全部として備えており、
前記ロック部により、
前記第一ラックギア及び前記第二ラックギアの進退を制限することにより前記右側ハンドル部及び左側ハンドル部を間隔調整不能とする幅方向ロック状態と、
前記第一ラックギア及び前記第二ラックギアの進退を許容することにより前記右側ハンドル部及び左側ハンドル部を間隔調整可能とする幅方向アンロック状態と、に切り替え可能であること、を特徴とするハンドル装置。
【請求項2】
前記右側ハンドル及び前記左側ハンドルを支持する支持部と、
前記右側ハンドル及び前記左側ハンドルが近接離反する方向に対して交差する交差方向に前記支持部を移動させる移動部と、
を有し、
前記ロック部により、前記支持部の前記交差方向への移動が制限された交差方向ロック状態と、前記支持部の前記交差方向への移動が許容された交差方向アンロック状態とに切り替え可能であること、を特徴とする請求項1に記載のハンドル装置。
【請求項3】
前記ロック部が、
前記幅方向ロック状態とした状態において、前記支持部の前記交差方向への移動が制限された交差方向ロック状態となり、
前記幅方向アンロック状態とした状態において、前記支持部の前記交差方向への移動が許容された交差方向アンロック状態となること、を特徴とする請求項2又は3に記載のハンドル装置。
【請求項4】
前記ロック部が、操作を受け付ける操作部を有し、
前記支持部及び前記移動部のうち一方に、前記操作部が設けられており、
前記支持部及び前記移動部のうち他方に、前記操作部が係脱可能な被係合部が設けられており、
前記操作部と前記被係合部とを係合させることにより前記交差方向ロック状態とし、
前記操作部と前記被係合部とを離脱させることにより前記交差方向アンロック状態とすることができること、を特徴とする請求項3に記載のハンドル装置。
【請求項5】
前記ロック部が、操作を受け付ける操作部を有し、
前記操作部を操作することにより、前記ラックアンドピニオンギア機構を構成する前記構成要素に対して前記操作部を係脱させることにより、前記幅方向ロック状態と、前記幅方向アンロック状態と、に切り替え可能なものであること、を特徴とする請求項1又は2に記載のハンドル装置。
【請求項6】
前記ロック部が、
操作を受け付ける操作部と、
前記操作部の操作を制限する操作制限部と、
前記操作制限部による前記操作部の操作制限を解除する解除部と、
を有すること、を特徴とする請求項1又は2に記載のハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように、運転者の体格や好みに応じて把持部の位置を変更することができる操舵装置の操作子が提供されている。特許文献1の操作子は、コアから放射状に延びるつの固定スポークと、固定スポークに移動可能に取り付けられた可動スポークと、可動スポークの先端に連結されたグリップ本体と、隣り合うグリップ本体,を接続しグリップ本体を出入りする連結体と、固定スポークに回転可能に支持されたピニオンと、可動スポークに固定されピニオンと噛み合うラックとを備え、ピニオンを回転することによってラックに連結された可動スポークを径方向へ移動し、グリップ本体,間の距離を変更するものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-179137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1の操作子は、幅方向への大きさを変化させつつ、前後方向には大きさを変化させないような使い方ができない。特許文献1の操作子は、径方向への拡大縮小が可能なものであるため、幅方向への間隔を大きくしようとすると、手前方向に向けて径が大きくなる。そのため、特許文献1の操作子は、例えば使用者が体格の大きな人である等して幅方向への大きさを大きくしようとすると、使用者の方に向けて操作子が大きくなるように変形してしまい、使用者による使用上、邪魔な配置になってしまう懸念がある。
【0005】
そこで本発明は、ハンドルを使用者の方に向けて変形させることなく、ハンドルの幅を拡大縮小可能なハンドル装置の提供を目的とした。
ハンドル装置の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明のハンドル装置は、左右一対に設けられた右側ハンドル及び左側ハンドルを備えたハンドル部と、前記右側ハンドル及び前記左側ハンドルの位置を調整する位置調整部と、を備えており、前記位置調整部が、ラックアンドピニオンギア機構と、ロック部と、を備えており、前記ラックアンドピニオンギア機構が、前記右側ハンドルと連動して進退する第一ラックギアと、前記左側ハンドルと連動して進退する第二ラックギアと、前記第一ラックギア及び前記第二ラックギアに対して噛み合うピニオンギアと、を構成要素の一部又は全部として備えており、前記ロック部により、前記第一ラックギア及び前記第二ラックギアの進退を制限することにより前記右側ハンドル部及び左側ハンドル部を間隔調整不能とする幅方向ロック状態と、前記第一ラックギア及び前記第二ラックギアの進退を許容することにより前記右側ハンドル部及び左側ハンドル部を間隔調整可能とする幅方向アンロック状態と、に切り替え可能であること、を特徴とするものである。
【0007】
本発明のハンドル装置は、上記(1)のような構成とすることにより、ハンドル部を使用者の方に向けて変形させることなく、ラックアンドピニオンギア機構により、左右一対に設けられた右側ハンドル及び左側ハンドルの間隔(幅)を拡大縮小させることができる。また、本発明のハンドル装置は、ロック部を幅方向アンロック状態とすることにより、右側ハンドル及び左側ハンドルの間隔を調整した後、ロック部を幅方向ロック状態とすることにより、右側ハンドル及び左側ハンドルを所望の間隔に調整された状態において安定的に使用できる。
【0008】
(2)本発明のハンドル装置は、前記右側ハンドル及び前記左側ハンドルを支持する支持部と、前記右側ハンドル及び前記左側ハンドルが近接離反する方向に対して交差する交差方向に前記支持部を移動させる移動部と、を有し、前記ロック部により、前記支持部の前記交差方向への移動が制限された交差方向ロック状態と、前記支持部の前記交差方向への移動が許容された交差方向アンロック状態とに切り替え可能であるものであると良い。
【0009】
本発明のハンドル装置は、上記(2)のような構成とした場合、ロック部を交差方向アンロック状態とすることにより、右側ハンドル及び左側ハンドルが近接離反する方向に対して交差する交差方向に向けて、右側ハンドル及び左側ハンドルを移動させることができる。これにより、本発明のハンドル装置は、右側ハンドル及び左側ハンドルの間隔(幅)を使用者にとって最適な大きさにしつつ、右側ハンドル及び左側ハンドルを交差方向に移動させることにより、使用者にとって邪魔にならない位置に配置することができる。また、本発明のハンドル装置は、ロック部を交差方向ロック状態とすることにより、右側ハンドル及び左側ハンドルの位置を交差方向において所望の位置に調整した状態において安定的に使用できる。
【0010】
(3)本発明のハンドル装置は、前記ロック部が、前記幅方向ロック状態とした状態において、前記支持部の前記交差方向への移動が制限された交差方向ロック状態となり、前記幅方向アンロック状態とした状態において、前記支持部の前記交差方向への移動が許容された交差方向アンロック状態となるものであると良い。
【0011】
本発明のハンドル装置は、上記(3)のような構成とすることにより、幅方向アンロック状態及び交差方向アンロック状態を同時に実現できる。これにより、本発明のハンドル装置は、右側ハンドル及び左側ハンドルを、近接離反方向(幅方向)、及び交差方向の双方に纏めて位置調整することができる。また、本発明のハンドル装置は、幅方向ロック状態及び交差方向ロック状態とすることにより、近接離反方向(幅方向)、及び交差方向の双方に位置固定された状態で使用することができる。これにより、本発明のハンドル装置は、右側ハンドル及び左側ハンドルが近接離反方向(幅方向)、あるいは交差方向にロックされていない不安定な状態で使用されるのを抑制できる。
【0012】
(4)本発明のハンドル装置は、前記ロック部が、操作を受け付ける操作部を有し、前記支持部及び前記移動部のうち一方に、前記操作部が設けられており、前記支持部及び前記移動部のうち他方に、前記操作部が係脱可能な被係合部が設けられており、前記操作部と前記被係合部とを係合させることにより前記交差方向ロック状態とし、前記操作部と前記被係合部とを離脱させることにより前記交差方向アンロック状態とすることができるものであると良い。
【0013】
本発明のハンドル装置は、上記(4)のような構成とすることにより、操作部の操作により操作部を被係合部に対して係脱させる簡単な構成及び操作により、交差方向ロック状態と交差方向アンロック状態とに切り替え、ハンドル部の交差方向への位置調整を行うことができる。
【0014】
(5)本発明のハンドル装置は、前記ロック部が、操作を受け付ける操作部を有し、前記操作部を操作することにより、前記ラックアンドピニオンギア機構を構成する前記構成要素に対して前記操作部を係脱させることにより、前記幅方向ロック状態と、幅方向アンロック状態と、に切り替え可能なものであると良い。
【0015】
本発明のハンドル装置は、上記(5)のような構成とすることにより、操作部の操作によりラックアンドピニオンギア機構の構成要素に対して操作部を係脱させる簡単な構成及び操作により、幅方向ロック状態と幅方向アンロック状態とに切り替え、ハンドル部の幅方向への位置調整を行うことができる。
【0016】
(6)本発明のハンドル装置は、前記ロック部が、操作を受け付ける操作部と、前記操作部の操作を制限する操作制限部と、前記操作制限部による前記操作部の操作制限を解除する解除部と、を有するものであると良い。
【0017】
本発明のハンドル装置は、上記(6)のような構成とすることにより、使用者が意図せず操作部が操作されてハンドル部の位置が変更されたり、ハンドル部が不安定な状態になったりするのを抑制できる。
【0018】
(7)本発明のハンドル装置は、前記操作部が、上方から下方への押圧力を作用させる操作を受け付けるものであり、前記解除部が、下方から上方への押圧力を作用させる操作を受け付けるものであると良い。
【0019】
本発明のハンドル装置は、上記(7)のような構成とすることにより、使用者が意図しないまま、荷物や使用者の身体により操作部に対して上方から荷重が作用したとしても、解除部に対して意図的に下方から上方に押圧力を作用させなければ、操作部の操作が制限されるものとすることができる。そのため、本発明のハンドル装置は、上記(7)のような構成とすることにより、使用者が意図しないまま操作部が操作されることにより、ハンドル部の位置が変更されたり、ハンドル部が不安定な状態になったりするのを抑制できる。
【0020】
(8)本発明のハンドル装置は、前記ロック部が、前記操作部及び前記解除部を挟むように把持して操作可能なものであると良い。
【0021】
本発明のハンドル装置は、上記(8)のような構成とすることにより、使用者が意図的に操作部及び解除部を挟むように把持することによって操作部を操作できるものとすることができる。これにより、本発明のハンドル装置は、使用者が意図しないまま、荷物や使用者の身体により操作部に対して上方から荷重が作用する等して、使用者が意図しないまま操作部が操作されるのを抑制できる。また、本発明のハンドル装置は、上述したような構成とすることにより、使用者が片手でロック部を操作可能なものとすることができる。
【0022】
(9)本発明のハンドル装置は、前記交差方向の所定位置から離れた位置に存在する前記支持部に対し、前記所定位置に戻る方向に付勢力を作用させる付勢部を備えているものであると良い。
【0023】
本発明のハンドル装置は、上記(9)のような構成とすることにより、支持部及びこれに支持されている右側ハンドル及び左側ハンドルについて、交差方向の所定位置から離れた位置から所定位置に戻す作業をスムーズに行うことが可能となる。
【0024】
(10)本発明の移動体は、上述した本発明のハンドル装置を備えているものである。
【0025】
本発明の移動体は、上述した本発明のハンドル装置を備えたものであるため、ハンドルを使用者の方に向けて変形させることなくハンドルの幅を拡大縮小して使用可能なものとすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、上述した課題を解消したハンドル装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係るハンドル装置を備えた移動体の一例を模式的に示した説明図である。
図2】本発明の一実施形態に係るハンドル装置を示した斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るハンドル装置について、支持部の天面を取り外した状態で示した平面図である。
図4図2のA-A断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るハンドル装置について、支持部及び左側ハンドルを取り外した状態で示した斜視図である。
図6図2のB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係るハンドル装置10、及びこれを備えた移動体100について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、上下方向や左右方向、前後方向等の位置関係については、特に断りのない限り通常の使用状態を基準として説明する。
【0029】
図1に示した移動体100は、シニアカー等と称されるものである。移動体100は、ハンドル装置10に加えて、車体フレーム110や着座シート120、駆動源となるバッテリ(図示せず)、各種のセンサ(図示せず)類、電子機器(図示せず)等を備えている。移動体100は、車体フレーム110に対して取り付けられた左右一対の前輪112及び後輪114によって支持されており、駆動源から出力された駆動力を前輪112及び後輪114のいずれか一方又は双方に伝達することにより走行可能とされている。着座シート120は、車体フレーム110に設けられており、移動体100の使用者が搭乗可能とされている。移動体100は、着座シート120に使用者が着座した状態において、前方となる位置にハンドル装置10を備えている。
【0030】
ハンドル装置10は、移動体100において着座シート120に搭乗した使用者が操舵するために設けられたものである。図2図6に示すように、ハンドル装置10は、ハンドル部20、支持部30、移動部40、付勢部60、及び位置調整部70を具備している。
【0031】
図2図3に示すように、ハンドル部20は、左右一対に設けられた右側ハンドル22、及び左側ハンドル24を具備している。右側ハンドル22及び左側ハンドル24は、それぞれ筒状あるいは棒状の部材を「コ」字型に屈曲させた形状とされている。右側ハンドル22は、移動体100に取り付けられた状態において、移動体100の車幅方向に延びる幅方向延伸部22a,22bと、移動体100の前後方向に延びる前後方向延伸部22cとを有し、幅方向延伸部22a,22bの一端側において、両者の間を前後方向延伸部22cによって繋いだ形状とされている。左側ハンドル24は、右側ハンドル22と同様の構成とされている。すなわち、左側ハンドル24は、幅方向延伸部22a,22bと同様に移動体100の車幅方向に延びる幅方向延伸部24a,24bと、前後方向延伸部22cと同様に移動体100の前後方向に延びる前後方向延伸部24cとを有する。左側ハンドル24は、幅方向延伸部24a,24bの一端側において、両者の間を前後方向延伸部24cによって繋いだ形状とされている。
【0032】
右側ハンドル22及び左側ハンドル24は、それぞれ移動体100の車幅方向に対向するように配置されている。すなわち、右側ハンドル22及び左側ハンドル24は、幅方向延伸部22a,22b、及び幅方向延伸部24a,24bにおいて、前後方向延伸部22cや前後方向延伸部24cとの接続側を移動体100の車幅方向両端側に向け、前後方向延伸部22cや前後方向延伸部24cとは反対側の端部(後に詳述する位置調整部70に対する接続側の端部)を移動体100の車幅方向中央側に向けた姿勢で配置されている。これにより、右側ハンドル22及び左側ハンドル24は、移動体100の上方から見て、移動体100の車幅方向に対称となるように配されている。また、右側ハンドル22及び左側ハンドル24は、上下方向に同様の高さとなるように配されている。このように、右側ハンドル22及び左側ハンドル24は、移動体100の車幅方向に対称かつ高さ方向に同様の高さとなるように配することにより、移動体100の車幅方向に対向するように配置されている。
【0033】
支持部30は、右側ハンドル22及び左側ハンドル24を支持するものである。図2図4図6に示すように、支持部30は、箱状の形状とされており、後に詳述する位置調整部70を収容しつつ、位置調整部70に接続された右側ハンドル22及び左側ハンドル24を支持するものとされている。右側ハンドル22及び左側ハンドル24は、幅方向延伸部22a,22b及び幅方向延伸部24a,24bにおいて、後に詳述する位置調整部70に対する接続側の端部(前後方向延伸部22c,24cとは反対側)となる部分を、支持部30をなす側面32,34を貫通するように差し込んだ状態において、支持部30に対して支持されている。
【0034】
図4図6等に示すように、支持部30の底面36には、ガイド係合部36a,36a、及び開口部36bが設けられている。ガイド係合部36a,36aは、後に詳述する移動部40のガイド44,44に対応して設けられたものである。ガイド係合部36a,36aは、移動体100に対して支持部30を取り付けた状態において、移動体100の前後方向に延びる溝によって形成されている。ガイド係合部36a,36aは、ガイド44,44を差し込み可能であって、ガイド44,44よりも前後方向に長く、直線的に延びるスリット状の溝とされている。また、開口部36bは、後に詳述する位置調整部70をなす操作部90に対応して設けられている。開口部36bは、位置調整部70の端部に設けられた係合部90bが、支持部30をなす箱体の内側から外側に向けて突出するように挿通される部分である。
【0035】
移動部40は、支持部30を移動体100の前後方向(交差方向:右側ハンドル22及び左側ハンドル24が近接離反する幅方向に対して交差する交差方向)に移動させることにより、支持部30に支持されたハンドル部20(右側ハンドル22及び左側ハンドル24)を前後方向に位置調整可能とするものである。移動部40は、支持部30を前後方向に移動させることができるものであれば良いが、本実施形態では支持部30の底面36に沿って配される板状の移動部構成体42を備えたものとされている。
【0036】
図5図6等に示すように、移動部構成体42は、移動体100への取り付け状態において、前後方向に延びるガイド44を有する。図示例においては、移動部構成体42の幅方向両端部を上側に屈曲させた部分が、ガイド44,44とされている。ガイド44,44は、上述した支持部30の底面36に設けられたガイド係合部36a,36aに差し込まれ、ガイド係合部36a,36aに沿って前後方向に移動可能とされる。これにより、移動部40は、支持部30及びこれに支持されたハンドル部20(右側ハンドル22及び左側ハンドル24)を移動体100の前後方向に向けて直線的に移動させることができる。
【0037】
また、図4図5等に示すように、移動部構成体42は、幅方向中間部に、被係合部46を有する。被係合部46は、後に詳述する位置調整部70の操作部90に設けられた係合部90bが係合する部分である。被係合部46は、係合部90bが係合可能な係合溝46aを、前後方向に所定の間隔毎に複数備えている。そのため、被係合部46は、係合部90bが係合する係合溝46aを変更することにより、係合部90bとの係合位置を前後方向に変更可能なものとされている。
【0038】
付勢部60は、支持部30に対して、移動体100の前後方向(交差方向)に戻る方向に付勢力を作用させるものである。付勢部60は、支持部30に対して付勢力を作用させることができるものであれば良いが、本実施形態ではバネ62によって構成されている。付勢部60をなすバネ62は、その一端側が移動部40に対して固定され、他端側が支持部30の底面36に対して固定され、移動体100の前後方向に伸縮するように設けられている。また、付勢部60は、移動部40を基準として支持部30が基準位置よりも前方に向けて移動した状態である場合に、支持部30に対して後方に向けて付勢力を作用可能なように取り付けられている。また、付勢部60をなすバネ62は、移動体100の幅方向に間隔を開けて二つ取り付けられている。バネ62,62は、それぞれ支持部30の幅方向一方側及び他方側(側面32,34側)に設けられている。
【0039】
位置調整部70は、ハンドル部20をなす右側ハンドル22及び左側ハンドル24の位置調整を行うためのものである。図2図6に示すように、位置調整部70は、ラックアンドピニオンギア機構72、及びロック部74を備えている。位置調整部70を構成するラックアンドピニオンギア機構72及びロック部74は、それぞれ支持部30をなす箱体に対して組み込まれている。
【0040】
ラックアンドピニオンギア機構72は、第一ラックギア80、第二ラックギア82、及びピニオンギア84を構成要素として具備している。ラックアンドピニオンギア機構72は、支持部30をなす箱体の内部に収容されている。第一ラックギア80及び第二ラックギア82は、それぞれ移動体100への設置状態においてピニオンギア84側を向く面に、幅方向に歯部80a,82aが並ぶように設けられている。また、ピニオンギア84は、支持部30の内部において幅方向の略中央部において、上下方向に延びる支軸を中心として回動可能とされている。第一ラックギア80は、ピニオンギア84を介して移動体100の後方側に配置されている。これに対し、第二ラックギア82は、ピニオンギア84を介して移動体100の前方側に配置されている。第一ラックギア80及び第二ラックギア82は、それぞれ両者に対して前後方向中間部に配されたピニオンギア84に対して噛み合っている。これにより、第一ラックギア80及び第二ラックギア82は、ピニオンギア84を基準として移動体100の幅方向反対方向にスライド移動可能とされている。
【0041】
第一ラックギア80及び第二ラックギア82は、それぞれ左側ハンドル24及び右側ハンドル22と連動して幅方向に進退可能とされている。本実施形態では、第一ラックギア80には、左側ハンドル24を構成する幅方向延伸部22bの端部が接続されている。これにより、第一ラックギア80は、左側ハンドル24と連動して幅方向に進退可能とされている。第二ラックギア82には、右側ハンドル22を構成する幅方向延伸部22aの端部が接続されている。これにより、第二ラックギア82は、右側ハンドル22と連動して幅方向に進退可能とされている。また、
【0042】
また、第一ラックギア80は、ピニオンギア84との噛み合い用として設けられた歯部80aに加えて、後に詳述するロック部74に設けられた係合歯部96と噛み合う被係合歯部80bを備えている。被係合歯部80bは、第一ラックギア80において、ロック部74の係合歯部96に対向する位置に設けられている。本実施形態では、第一ラックギア80に対して下方側にロック部74の係合歯部96が配されるため、被係合歯部80bは、第一ラックギア80の底面側に設けられている。
【0043】
図4図5等に示すように、ロック部74は、操作部90、操作制限部92、解除部94、及び係合歯部96を備えている。ロック部74は、幅方向(左右方向)及び前後方向(交差方向)へのハンドル部20の移動制限(ロック)を行うものである。ロック部74は、使用者が操作部90及び解除部94を挟むように把持することにより、ハンドル部20の移動制限(ロック)を解除する操作を行える。
【0044】
操作部90は、ロック部74に対する操作を受け付ける部分である。操作部90は、側面視において、いわゆるクランク状に折れ曲がった形状を有する板状の部分を主要部とする部材である。操作部90は、支持部30及び移動部40のうち一方に設けると良い。本実施形態では、操作部90は、支持部30に設けられている。また、操作部90は、上方から平面視した状態において、始端側から終端側に向けて前後方向に延びる姿勢とされ、支持部30に対して組み込まれている。
【0045】
操作部90は、その一端側に、操作に際して使用者が把持する際に手を添えるための操作把持部90aを有する。また、操作部90は、他端側に係合部90bを有する。操作把持部90aは、操作部90の主要部をなす板状の部材の始端側において、水平方向に延びるように形成された部分によって構成されている。また、係合部90bは、操作部90の終端側において、上方から下方に延びるように形成された部分によって構成されている。係合部90bは、上述した移動部40の被係合部46をなす係合溝46aに係脱可能なものとされている。
【0046】
操作部90は、中間部90cをなす水平方向に拡がる部分(支持部30の内部において底面36に沿って拡がる部分)に支軸挿通部90dを備えている。操作部90は、支軸挿通部90dに対して、支持部30の側面32,34に亘って幅方向に延びる支軸(図示略)を挿通することにより、当該支軸を支点として上下方向に揺動可能とされている。また、操作部90は、操作把持部90aに対して上方から下方への押圧力を作用させる操作を受け付け可能とされている。そのため、操作部90は、始端側に設けられた操作把持部90aに対して下方に向かう押圧力を作用させることにより、終端側に設けられた係合部90bを支持部30の底面36から上方に離れる方向に移動させることができる。
【0047】
また、操作部90は、上方から平面視した状態において、中間部90cにおいて支軸挿通部90dよりも始端側(操作把持部90a側)に外れた位置において、中間部90cの下方に配された操作部付勢部材98によって上方に向けて付勢されている。そのため、操作部90は、操作把持部90aに対する下方への押圧力を解除すると、係合部90bが支持部30の底面36側に移動した状態になる。上述したように、支持部30の底面36には、係合部90bに相当する位置に開口部36bが設けられている。そのため、操作把持部90aに対して下方への押圧力が作用していない状態においては、係合部90bが開口部36bを介して支持部30の底面36から下方に突出した状態となる。
【0048】
操作制限部92は、操作部90の操作を制限してロックするためのものである。操作制限部92は、支持部30の底面36と操作部90の中間部90cとの間に配された板状の部材である。操作制限部92は、底面36と中間部90cとの間において起立した状態と、横転した状態とに姿勢を切り替えるように揺動(回動)可能とされている。具体的には、操作制限部92は、下端側(底面36側)において幅方向に延びる支軸92aを中心として揺動(回動)可能とされている。操作制限部92は、操作部90の揺動支点(支軸挿通部90dに相当する位置)よりも操作部90側に離れた位置に配されている。本実施形態では、操作制限部92は、操作部付勢部材98に対して隣接する位置に設けられている。また、操作制限部92は、付勢部材(図示せず)により、横転した状態から起立した状態になるように付勢されている。そのため、操作制限部92は、常時においては操作部90の中間部90cを下方において起立した状態とされ、操作部90の操作を制限(揺動を制限)するように支持している。
【0049】
解除部94は、操作制限部92による操作部90の操作制限を解除するものである。解除部94は、下方から上方への押圧力を作用させる操作を受け付けるものとされている。本実施形態では、図4図5等に示すように「L」字型に屈曲した解除操作片94aを有し、操作部90の操作把持部90aに対して下方に離れた位置に配されている。解除操作片94aは、操作部90の操作把持部90aをなす平面と略平行に配される解除把持部94bを有する。これにより、解除部94は、例えば使用者の親指を操作部90の操作把持部90aにあてがいつつ、使用者の親指以外の指を解除把持部94bをあてがった状態で挟み込むように把持することにより、解除部94に対して下方から上方への押圧力を作用させることができる。
【0050】
解除部94は、上述した操作制限部92に対して連結体94cを介して連結されている。また、解除部94は、操作制限部92に対して前後方向(本実施形態では後方)に離れた位置に設けられている。これにより、解除部94を下方から上方に移動させる操作にとなって、起立状態にある操作制限部92を横転する方向に揺動させることができる。そのため、解除部94を持ち上げる操作することにより、操作部90を揺動支点(支軸挿通部90dに相当する位置)を中心として揺動操作可能な状態になる。従って、使用者が操作部90の操作把持部90aと解除部94の解除把持部94bを挟み込むように把持して解除部94を持ち上げた状態とした後、操作把持部90aと解除把持部94bとを把持した状態(摘まんだ状態)のまま操作部90を下方に押圧する操作を行うことにより、操作部90を揺動操作することができる。
【0051】
上述したようにして操作部90の操作把持部90aに対して押圧力を作用させることにより操作部90を揺動操作すると、ハンドル装置10は、ハンドル部20を構成する右側ハンドル22及び左側ハンドル24を左右方向(幅方向)にロックされた状態(幅方向ロック状態)から、ロック解除された状態(幅方向アンロック状態)に切り替え可能である。すなわち、操作部90の操作把持部90aを下方に押し下げると、ロック部74に設けられた係合歯部96と、第一ラックギア80に設けられた被係合歯部80bとの噛み合い(係合)が解除される。これにより、ラックアンドピニオンギア機構72が動作可能となり、右側ハンドル22及び左側ハンドル24を左右方向に近接離反させる動作を行えるようになる。
【0052】
また、上述したようにして操作部90の操作把持部90aに対して押圧力を作用させることにより操作把持部90aを下方に押し下げると、操作部90の終端部に設けられた係合部90bが支持部30の底面36に設けられた開口部36bから抜け、上方に持ち上がった状態になる。これにより、操作部90の係合部90bと、移動部40に設けられた被係合部46の係合溝46aとの係合が解除される。その結果、ハンドル装置10は、支持部30及びこれに支持されているハンドル部20(右側ハンドル22及び左側ハンドル24)が前後方向に移動制限とされた状態(交差方向ロック状態)から、前後方向に移動可能とされた(交差方向アンロック状態)になる。
【0053】
一方、上述したようにして操作把持部90aと解除把持部94bとを把持しつつ、操作部90を下方に押圧して揺動させるのをやめると、操作部付勢部材98による付勢力によって操作部90が上方に付勢され、操作把持部90aが上方に戻る。またこれに連動して、操作制限部92が図示しない付勢部材による付勢力によって起立状態に復元するとともに、解除部94が操作制限部92によって引っ張られ、解除操作片94aが下方に移動する。これにより、ロック部74に設けられた係合歯部96と、第一ラックギア80に設けられた被係合歯部80bとが噛み合いって係合した状態になる。その結果、ハンドル装置10は、ハンドル部20を構成する右側ハンドル22及び左側ハンドル24が左右方向(幅方向)にロック解除された状態(幅方向アンロック状態)から、ロックされた状態(幅方向ロック状態)になる。
【0054】
また、操作部90の終端部に設けられた係合部90bが支持部30の底面36に設けられた開口部36bから移動部40側に突出した状態になる。これにより、操作部90の係合部90bと、移動部40に設けられた被係合部46の係合溝46aとが係合した状態になる。その結果、ハンドル装置10は、支持部30及びこれに支持されているハンドル部20(右側ハンドル22及び左側ハンドル24)が、前後方向に移動可能とされた(交差方向アンロック状態)から、前後方向に移動制限とされた状態(交差方向ロック状態)になる。
【0055】
≪作用効果について≫
上述した本実施形態のハンドル装置10、及びこれを備えた移動体100は、以下の(a)~(j)のような特徴的構成を備えている。これにより、ハンドル装置10及び移動体100は、以下に記載のような特有の効果を奏することができる。
【0056】
(a)本実施形態のハンドル装置10は、左右一対に設けられた右側ハンドル22及び左側ハンドル24を備えたハンドル部20と、右側ハンドル22及び左側ハンドル24の位置を調整する位置調整部70と、を備えており、位置調整部70が、ラックアンドピニオンギア機構72と、ロック部74と、を備えており、ラックアンドピニオンギア機構72が、右側ハンドル22と連動して進退する第一ラックギア80と、左側ハンドル24と連動して進退する第二ラックギア82と、第一ラックギア80及び第二ラックギア82に対して噛み合うピニオンギア84と、を構成要素の一部又は全部として備えており、ロック部74により、第一ラックギア80及び第二ラックギア82の進退を制限することにより右側ハンドル22及び左側ハンドル24を間隔調整不能とする幅方向ロック状態と、第一ラックギア80及び第二ラックギア82の進退を許容することにより右側ハンドル22及び左側ハンドル24を間隔調整可能とする幅方向アンロック状態と、に切り替え可能であること、を特徴とするものである。
【0057】
本実施形態のハンドル装置10は、上記(a)のような構成とすることにより、ハンドル部20を使用者の方に向けて変形させることなく、ラックアンドピニオンギア機構72により、左右一対に設けられた右側ハンドル22及び左側ハンドル24の間隔(幅)を拡大縮小させることができる。また、本実施形態のハンドル装置10は、ロック部74を幅方向アンロック状態とすることにより、右側ハンドル22及び左側ハンドル24の間隔を調整した後、ロック部74を幅方向ロック状態とすることにより、右側ハンドル22及び左側ハンドル24を所望の間隔に調整された状態において安定的に使用できる。
【0058】
(b)本実施形態のハンドル装置10は、右側ハンドル22及び左側ハンドル24を支持する支持部30と、右側ハンドル22及び左側ハンドル24が近接離反する方向に対して交差する交差方向に支持部30を移動させる移動部40と、を有し、ロック部74により、支持部30の交差方向への移動が制限された交差方向ロック状態と、支持部30の交差方向への移動が許容された交差方向アンロック状態とに切り替え可能であるものであると良い。
【0059】
本実施形態のハンドル装置10は、上記(b)のような構成とした場合、ロック部74を交差方向アンロック状態とすることにより、右側ハンドル22及び左側ハンドル24が近接離反する方向に対して交差する交差方向に向けて、右側ハンドル22及び左側ハンドル24を移動させることができる。これにより、本実施形態のハンドル装置10は、右側ハンドル22及び左側ハンドル24の間隔(幅)を使用者にとって最適な大きさにしつつ、右側ハンドル22及び左側ハンドル24を交差方向に移動させることにより、使用者にとって邪魔にならない位置に配置することができる。また、本実施形態のハンドル装置10は、ロック部74を交差方向ロック状態とすることにより、右側ハンドル22及び左側ハンドル24の位置を交差方向において所望の位置に調整した状態において安定的に使用できる。
【0060】
(c)本実施形態のハンドル装置10は、ロック部74が、幅方向ロック状態とした状態において、支持部30の交差方向への移動が制限された交差方向ロック状態となり、幅方向アンロック状態とした状態において、支持部30の交差方向への移動が許容された交差方向アンロック状態となるものであると良い。
【0061】
本実施形態のハンドル装置10は、上記(c)のような構成とすることにより、幅方向アンロック状態及び交差方向アンロック状態を同時に実現できる。これにより、本実施形態のハンドル装置10は、右側ハンドル22及び左側ハンドル24を、近接離反方向(幅方向)、及び交差方向の双方に纏めて位置調整することができる。また、本実施形態のハンドル装置10は、幅方向ロック状態及び交差方向ロック状態とすることにより、近接離反方向(幅方向)、及び交差方向の双方に位置固定された状態で使用することができる。これにより、本実施形態のハンドル装置10は、右側ハンドル22及び左側ハンドル24が近接離反方向(幅方向)、あるいは交差方向にロックされていない不安定な状態で使用されるのを抑制できる。
【0062】
(d)本実施形態のハンドル装置10は、ロック部74が、操作を受け付ける操作部90を有し、支持部30及び移動部40のうち一方に、操作部90が設けられており、支持部30及び移動部40のうち他方に、操作部90が係脱可能な被係合部46が設けられており、操作部90と被係合部46とを係合させることにより交差方向ロック状態とし、操作部90と被係合部46とを離脱させることにより交差方向アンロック状態とすることができるものであると良い。
【0063】
本実施形態のハンドル装置10は、上記(d)のような構成とすることにより、操作部90の操作により操作部90を被係合部46に対して係脱させる簡単な構成及び操作により、交差方向ロック状態と交差方向アンロック状態とに切り替え、ハンドル部20の交差方向への位置調整を行うことができる。
【0064】
(e)本実施形態のハンドル装置10は、ロック部74が、操作を受け付ける操作部90を有し、操作部90を操作することにより、ラックアンドピニオンギア機構72を構成する構成要素に対して操作部90を係脱させることにより、幅方向ロック状態と、幅方向アンロック状態と、に切り替え可能なものであると良い。
【0065】
本実施形態のハンドル装置10は、上記(e)のような構成とすることにより、操作部90の操作によりラックアンドピニオンギア機構72の構成要素に対して操作部90を係脱させる簡単な構成及び操作により、幅方向ロック状態と幅方向アンロック状態とに切り替え、ハンドル部20の幅方向への位置調整を行うことができる。
【0066】
(f)本実施形態のハンドル装置10は、ロック部74が、操作を受け付ける操作部90と、操作部90の操作を制限する操作制限部92と、操作制限部92による操作部90の操作制限を解除する解除部94と、を有するものであると良い。
【0067】
本実施形態のハンドル装置10は、上記(f)のような構成とすることにより、使用者が意図せず操作部90が操作されてハンドル部20の位置が変更されたり、ハンドル部20が不安定な状態になったりするのを抑制できる。
【0068】
(g)本実施形態のハンドル装置10は、操作部90が、上方から下方への押圧力を作用させる操作を受け付けるものであり、解除部94が、下方から上方への押圧力を作用させる操作を受け付けるものであると良い。
【0069】
本実施形態のハンドル装置10は、上記(g)のような構成とすることにより、使用者が意図しないまま、荷物や使用者の身体により操作部90に対して上方から荷重が作用したとしても、解除部94に対して意図的に下方から上方に押圧力を作用させなければ、操作部90の操作が制限されるものとすることができる。そのため、本実施形態のハンドル装置10は、上記(g)のような構成とすることにより、使用者が意図しないまま操作部90が操作されることにより、ハンドル部20の位置が変更されたり、ハンドル部20が不安定な状態になったりするのを抑制できる。
【0070】
(h)本実施形態のハンドル装置10は、ロック部74が、操作部90及び解除部94を挟むように把持して操作可能なものであると良い。
【0071】
本実施形態のハンドル装置10は、上記(h)のような構成とすることにより、使用者が意図的に操作部90及び解除部94を挟むように把持することによって操作部90を操作できるものとすることができる。これにより、本実施形態のハンドル装置10は、使用者が意図しないまま、荷物や使用者の身体により操作部90に対して上方から荷重が作用する等して、使用者が意図しないまま操作部90が操作されるのを抑制できる。また、本実施形態のハンドル装置10は、上述したような構成とすることにより、使用者が片手でロック部74を操作可能なものとすることができる。
【0072】
(i)本実施形態のハンドル装置10は、交差方向の所定位置から離れた位置に存在する支持部30に対し、所定位置に戻る方向に付勢力を作用させる付勢部60を備えているものであると良い。
【0073】
本実施形態のハンドル装置10は、上記(i)のような構成とすることにより、支持部30及びこれに支持されている右側ハンドル22及び左側ハンドル24について、交差方向の所定位置から離れた位置から所定位置に戻す作業をスムーズに行うことが可能となる。
【0074】
(j)本実施形態の移動体100は、上述した本実施形態のハンドル装置10を備えているものである。
【0075】
本実施形態の移動体100は、上述した本実施形態のハンドル装置10を備えたものであるため、ハンドルを使用者の方に向けて変形させることなくハンドルの幅を拡大縮小して使用可能なものとすることができる。
【0076】
≪変形例≫
上記実施形態において例示したハンドル装置10及び移動体100は、本発明の一例を示したものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、例えば上述した(a)~(j)に係る構成を上記実施形態において例示したものとは異なるものとしたり、(a)~(j)に含まれる構成に加えて、あるいは(a)~(j)に含まれる構成に代えて他の構成を備えたものとしたり、一部の構成を省略した構成としたりしても良い。
【0077】
具体的には、上記実施形態では、上記(b)のように支持部30と移動部40とを有し、ロック部74により移動部40に対する支持部30の交差方向(前後方向)への移動が制限された交差方向ロック状態と、交差方向への移動が許容された交差方向アンロック状態とに切り替え可能なものとした例を示したが,本発明はこれに限定されない。ハンドル装置10は、上記(b)のような構成を備えていないものや、上記(b)とは異なる構成により、交差方向(前後方向)にハンドル部20を移動可能なものとすることができる。
【0078】
上記実施形態では、上記(c)のように、幅方向ロック状態とした状態において交差方向ロック状態となり、幅方向アンロック状態とした状態において交差方向アンロック状態となるものとした例を示したが、ハンドル装置10は、上記(c)のような構成とせず、幅方向へのハンドル部20(右側ハンドル22及び左側ハンドル24)のロック、アンロックと、交差方向(前後方向)へのハンドル部20のロック、アンロックとを連動できない構成としても良い。
【0079】
上記実施形態では、上記(d)のように、操作部90と被係合部46とを係合させることにより交差方向ロック状態とし、操作部90と被係合部46とを離脱させることにより交差方向アンロック状態とすることができるものとした例を示したが、ハンドル装置10において交差方向(前後方向)へのハンドル部20のロックを行うための機構として、上述したのとは異なる構成を採用したものとすることが可能である。また、上記実施形態では、支持部30に操作部90が設けられ、移動部40に被係合部46が設けられたものを例示したが、操作部90のように使用者が操作するための操作部材を移動部40に設け、当該操作部材との組み合わせでロックする部材等を支持部30に設けた構成としても良い。
【0080】
上記実施形態では、上記(e)のように、操作部90を操作することにより、ラックアンドピニオンギア機構72を構成する構成要素である第一ラックギア80に対して操作部90を係脱させることにより、幅方向ロック状態と、幅方向アンロック状態とに切り替え可能なものとした例を示したが、本発明はこれに限定されない。具体的には、ハンドル装置10は、操作部90の操作により係合するラックアンドピニオンギア機構72の構成要素は、第一ラックギア80に限らず、第二ラックギア82やピニオンギア84等とすることができる。
【0081】
上記実施形態では、上記(f)のように、ロック部74について、操作部90と、操作制限部92と、解除部94とを備えたものとした例を示したが、本発明はこれに限定されない。ハンドル装置10は、ロック部74を備えていないものや、上述したのとは異なる構成のロック機構等をロック部74に代えて備えたもの等とすることができる。
【0082】
上記実施形態では、上記(g)のように、操作部90について上方から下方への押圧力を作用させる操作を受け付けるものとし、解除部94について下方から上方への押圧力を作用させる操作を受け付けるものとした例や、上記(h)のように、ロック部74について、操作部90及び解除部94を挟むように把持して操作可能なものとした例を示したが、操作部90や解除部94は必ずしもこのような操作方法で操作可能なものでなくても良い。
【0083】
上記実施形態では、上記(i)のように、交差方向(前後方向)の所定位置から離れた位置に存在する支持部30に対し、所定位置に戻る方向に付勢力を作用させる付勢部60を備えているものを例示したが、ハンドル装置10は、付勢部60を備えていないもの等とすることも可能である。
【0084】
上記実施形態では、上記(j)のように、上述したハンドル装置10を移動体100に適用した例を示したが、ハンドル装置10は移動体100に限らず、ハンドルを備えた他の装置類においても好適に採用できる。
【0085】
本発明は、上述した実施形態や変形例等として示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得る。上述した実施形態の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また実施形態の任意の構成要素と、課題を解決するための手段に記載の任意の構成要素または課題を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成してもよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、例えばシニアカー等の移動体や、ハンドルを備えたその他の装置類などに用いられるハンドル装置全般、及びハンドル装置を備えた移動体等の装置類全般において好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0087】
10 :ハンドル装置
20 :ハンドル部
22 :右側ハンドル
24 :左側ハンドル
30 :支持部
40 :移動部
46 :被係合部
60 :付勢部
70 :位置調整部
72 :ラックアンドピニオンギア機構
74 :ロック部
80 :第一ラックギア
82 :第二ラックギア
84 :ピニオンギア
90 :操作部
92 :操作制限部
94 :解除部
100 :移動体
図1
図2
図3
図4
図5
図6