(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112731
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】フープ材切断機及びその装置
(51)【国際特許分類】
B23D 15/08 20060101AFI20240814BHJP
B23D 33/02 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B23D15/08 Z
B23D33/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017998
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】502182008
【氏名又は名称】エムエスシー製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090413
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 康稔
(72)【発明者】
【氏名】徳勝 賢治
【テーマコード(参考)】
3C039
3C051
【Fターム(参考)】
3C039AA02
3C039AA25
3C039AA35
3C039AA43
3C051AA12
(57)【要約】
【課題】 更なる減容化を図ることができるフープ材切断機及びその装置を提供する。
【解決手段】 フープ材HMが所定量間欠送りされると、切断機200が閉じているため、プレス機20側から間欠送りされたフープ材HMは湾曲するようになる。この状態で、切断機200が開くと、湾曲部分がバネとして作用し、フープ材HMが切断刃から先に送り出され、フープ材HMが切断されて、切断片HMPが落下する。そして、次に切断刃が開くと、再び湾曲部分の作用により、フープ材HMが切断刃から先に送り出される。しかし、このときの送り量は、フープ材HMの湾曲が小さいため、前回よりも少なくなる。このような動作を繰り返すと、徐々に切断の間隔が狭くなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搖動するラムに設けた動刃と固定刃とによって構成した刃部でフープ材を切断する切断機であって、
前記刃部に対してフープ材を導入する導入部を備えており、
該導入部から導入されたフープ材を、加工時の間欠送りピッチよりも狭いピッチで切断するように、前記ラムの揺動を制御する制御手段を備えたことを特徴とするフープ材の切断機。
【請求項2】
前記導入部は、前記刃部における刃の方向に対して斜めの方向から前記フープ材を導入することを特徴とする請求項1記載の切断機。
【請求項3】
前記導入部は、前記フープ材が間欠送りされて湾曲しても、前記刃部にフープ材を送ることができる間口の開口を有することを特徴とする請求項1記載のフープ材の切断機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の前記切断機を支持する支持手段を備えており、
該支持手段と前記切断機との間に、切断機の姿勢を調整する調整手段を設けたことを特徴とするフープ材切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動プレス装置等に併設してスクラップフープ材(コイル材)を切断するフープ材切断装置に関し、更に具体的には、切断後の減容に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フープ材をプレス装置でプレス加工した後のスクラップを、フープ材切断装置(フープ材カッター)で、ストリップのまま切断処理することが行われている。この種のフープ材切断装置は、モータの軸にキーを介して固定してカムの回転により軸受を介してラムが搖動しつつ往復動することにより、ラムの裏面に取り付けた動刃とベース側に固定した固定刃との間にてフープ材を切断するものである。
【0003】
ところで、プレス加工後のフープ材の切断においては、より細かく切断できれば、切断片を収容袋に収容したときにかさばらなくなり、容積の低減(減容)を図ることができる。これにより、収容袋の取り換え頻度が低下したり、あるいは収容袋を小さくすることで、作業効率の向上を図ることができる。
【0004】
このような減容という観点に着目した背景技術としては、例えば下記特許文献1記載の「フープ材切断装置」がある。これは、フープ材の送り方向に対して切断刃が傾いた配置となっており、このため、隣接する抜き穴の両方に跨る方向に沿ってフープ材が同調切断される。これにより、フープ材を送り方向に直交する方向で切断する場合と比較すると、切断片の幅が1/2となって、収容袋内で切断片間の隙間が小さくなり、全体として容積が低減されるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した背景技術では、フープ材に対する加工時の送りピッチと、切断時の送りピッチが同じであり、加工と切断が同期して行われているため、切断片の狭小化による減容に限度があった。
【0007】
本発明は、以上のような点に着目したもので、更なる減容化を図ることができるフープ材切断装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のフープ材の切断機は、搖動するラムに設けた動刃と固定刃とによって構成した刃部でフープ材を切断する切断機であって、前記刃部に対してフープ材を導入する導入部を備えており、該導入部から導入されたフープ材を、加工時の間欠送りピッチよりも狭いピッチで切断するように、前記ラムの揺動を制御する制御手段を備えたことを特徴とする。フープ材は、加工時に間欠送りされるが、そのピッチよりも狭いピッチで切断することで細かくなり、減容が可能となる。
【0009】
主要な形態の一つによれば、前記導入部は、前記刃部における刃の方向に対して斜めの方向から前記フープ材を導入することを特徴とする。斜めにフープ材を切断することで、切断片がより細かくなり、減容を図ることができる。他の形態によれば、前記導入部
は、前記フープ材が間欠送りされて湾曲しても前記刃部にフープ材を送ることができる間口の開口を有することを特徴とする。フープ材の送りピッチと切断ピッチが異なることから、間欠送りされるフープ材は湾曲するようになるが、この湾曲が生じても刃部に送ることができる開口を有するように導入口が構成される。
【0010】
本発明のフープ材切断装置は、前記切断機の支持手段を備えており、該支持手段と前記切断機との間に、切断機の姿勢を調整する調整手段を設けたことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フープ材の間欠送りのピッチよりも狭いピッチでフープ材を切断することとしたので、更なる減容化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】(A)は前記
図1を矢印F2A方向から見た図、(B)は矢印F2B方向から見た図である。
【
図4】(A)は前記実施例における切断の様子を示す図、(B)及び(C)は他の切断例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例0014】
最初に、
図1~
図4を参照しながら本発明の実施例1を説明する。
図1には、本実施例にかかるフープ材切断装置が示されており、同図の矢印F2A,F2Bから見た様子が、
図2(A),(B)にそれぞれ示されている。また、
図3には、フープ材の送り時の様子が示されている。これらの図において、フープ材切断装置10は、支持フレーム100に切断機200を取り付けた構成となっている。支持フレーム100は、水平部110の両端に脚部120,122が設けられており、これら脚部120,122の下端にはキャスター部130,132が設けられて、移動自在となっている。水平部110の中間位置には、取付板150,152が設けられている。これら取付板150,152の取付面は、水平部110の水平方向と略直交している。図示の例では、水平部110は、上下2段にビームを差し渡した構成となっている。
【0015】
切断機200は、例えば前記特許文献1に開示されているフープ材切断装置と同様の構成となっており、
図3に概略を示すように、上段に揺動駆動されるラムプレート202が収納されており、このラムプレート202の下端に動刃204が設けられている。一方、下段には固定刃206が設けられており、この固定刃206に対して前記ラムプレート202により動刃204を揺動駆動することで、動刃204と固定刃206に挟まれたフープ材HMが切断されるようになっている。また、本実施例では、切断機200の切断刃(動刃及び固定刃)の切断方向に対して、フープ材HMの移送方向が、例えば角度θ=30°傾いた斜めの方向となっている。この点は、前記特許文献1と同様である。
【0016】
切断機200の側面には、支持腕210,212がそれぞれ設けられており、これら支持腕210,212の端部が、前記支持フレーム100の取付板150,152に支持されている。取付板150,152には、弧状の長穴160,162が設けられており、これらの長穴160,162にボルトないしピンを挿通して前記切断機200の支持腕210,212に結合する構成となっている。長穴160,162は、形成方向が異なっており、これにより、切断機200の姿勢を変更することができるようになっている。
【0017】
切断機200のフープ材導入部220には、上下のガイド板222,224と、左右のガイドポール230,232がそれぞれ設けられている。本実施例では、入口226に対するフープ材HMの導入角度が後述するように変化することから、ガイド板222,224は、大きく口を開いた構造となっている。フープ材HMは、
図3に示すように、プレス機20による打ち抜き加工を行った後、間欠的に切断機200に送られるようになっている。
【0018】
前記動刃が設けられたラムプレートを駆動する駆動モーター250には、
図2(B)に示すように、例えば200Vの商用電源300の電力がインバーター302を介して供給されている。インバーター302は、制御回路304で制御されており、これにより動刃の切断間隔が変動可能となっている。
【0019】
次に、本実施例の全体の動作を説明する。以下の説明では、制御回路304は、等間隔で切断するように、駆動モーター250を制御する。
図3には、主要な動作態様が示されており、(A)は、フープ材HMの間欠送りとその切断が終了した状態である。この状態で、フープ材HMが所定量間欠送りされると、同図(B)に示すようにフープ材HMが湾曲する。すなわち、切断機200が閉じているため、プレス機20側から間欠送りされたフープ材HMは湾曲するようになる。また、湾曲しても、フープ材導入部220が大きく開口しているので、入口226に良好に入り込んだ状態が維持される。この状態で、プレス機20によるプレス加工が行われる。
【0020】
この状態で、切断機200が開くと、湾曲部分がバネとして作用し、同図(C)に示すように、フープ材HMが切断刃から先に送り出される。この状態で、同図(D)に示すようにフープ材HMが切断され、切断片HMPが落下する。そして、次に切断刃が開くと、再び湾曲部分の作用により、同図(E)に示すように、フープ材HMが切断刃から先に送り出される。しかし、このときの送り量は、フープ材HMの湾曲が小さいため、前回よりも少なくなる。このような動作を繰り返すと、
図4(A)に示すように、切断の間隔が徐々に狭くなる。図示の例では、間隔ΔA>ΔB>ΔC>ΔDとなっている。そこで、間隔の狭い切断位置が、フープ材HMの抜き穴HL間の接続部分にかかるようにすれば、全体として切断片HMPが細分化され、減容を図ることができる。
【0021】
切断された切断片HMPは、切断機200から排出されて落下するが、本実施例では、支持フレーム100の下側が空いているので、フレーム直下に回収用の収容袋を置くことができ、切断装置全体としての設置スペースを節約することができるといった利点もある。
【0022】
図4(A)の実施例では、フープ材HMの1回の間欠送りに同期して、3回切断を行っているが、制御回路304によってインバーター302の駆動制御を行うことで、各種の切断の態様が可能である。例えば、以下のような切断設定を行うようにしてよい。
a,
図4(B)に示すように、フープ材HMの間欠送りに同期することなく切断を行う。
b,
図4(C)に示すように、徐々に間隔を狭くして切断し、その後徐々に間隔を広くして切断する。