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特開2024-112776ビデオシーケンスの検証のための送信機、受信機、ならびに送信機および受信機における方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112776
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】ビデオシーケンスの検証のための送信機、受信機、ならびに送信機および受信機における方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 9/32 20060101AFI20240814BHJP
   H04N 19/467 20140101ALI20240814BHJP
   H04N 19/90 20140101ALI20240814BHJP
   G06F 21/64 20130101ALI20240814BHJP
【FI】
H04L9/32 200B
H04N19/467
H04N19/90
G06F21/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024007740
(22)【出願日】2024-01-23
(31)【優先権主張番号】23153865
(32)【優先日】2023-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】502208205
【氏名又は名称】アクシス アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ボルカー, ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】ルンドベリ, ステファン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】受信機がビデオシーケンスを検証する能力を犠牲にするかまたは劣化させることなく、デジタル署名と暗号ハッシュ値とを送信する方法を提供する。
【解決手段】方法は、それぞれの可逆的に圧縮された(LC)符号化画像フレームを取得するために、各符号化画像フレームの可逆圧縮を実施すること(S502)と、取得されたLC符号化画像フレームの中で、各々が事前定義されたバイト数よりも小さいデータサイズを有する小さいフレームを識別すること(S504)と、識別された小さいフレームおよびそれぞれの小さいフレームを欠くすべての符号化画像フレームまたは小さいフレームとは異なるすべての他の取得されたLC符号化画像フレームのいずれかの個々のハッシュを含むデータ構造を生成すること(S506)と、デジタル署名を生成すること(S512)と、データ構造およびデジタル署名をビデオシーケンスに提供すること(S514)と、を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオシーケンスの検証を、前記ビデオシーケンスにデータ構造およびデジタル署名を提供することによって可能にするための、送信機によって実行される方法であって、前記ビデオシーケンスが符号化画像フレームを含み、前記方法は、
-それぞれの可逆的に圧縮された(LC)符号化画像フレームを取得するために、前記ビデオシーケンスの各符号化画像フレームの可逆圧縮を実施することと、
-取得された前記LC符号化画像フレームの中で、各々が事前定義されたバイト数よりも小さいデータサイズを有する1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームを識別することと、
-識別された前記1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム、および
-個々のハッシュであって、
それぞれの小さいLC符号化画像フレームを欠くすべての符号化画像フレーム、または
前記1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームとは異なるすべての他の取得されたLC符号化画像フレーム、のいずれかの個々のハッシュ
を含むデータ構造を生成することであって、
前記個々のハッシュがそれぞれ、それぞれの小さいLC符号化画像フレームを欠く前記すべての符号化画像フレームの各々を個々にハッシュすることによって、または前記すべての他の取得されたLC符号化画像フレームの各々を個々にハッシュすることによって、取得される、データ構造を生成することと、
-前記ビデオシーケンスのためのデジタル署名を生成することと、
-前記データ構造および前記デジタル署名を前記ビデオシーケンスに提供し、それにより、受信機が前記ビデオシーケンスを検証することを可能にすることと
を含む、方法。
【請求項2】
識別された前記1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームのうちの少なくとも1つが、第1のタイプの小さいLC符号化画像フレームであり、そのそれぞれの符号化画像フレームに等しいかまたは前記符号化画像フレームの前記LC符号化画像フレームに等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
識別された前記1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームのうちの少なくとも1つが、第2のタイプの小さいLC符号化画像フレームであり、記憶された事前定義された符号化画像フレームの識別子と、前記第2のタイプの前記小さいLC符号化画像フレームと前記記憶された事前定義された符号化画像フレームとの間の可能な差とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
-各小さいLC符号化画像フレームについて、前記データ構造中のその位置を決定することと、
-各小さいLC符号化画像フレームの、前記データ構造中の前記位置と、任意選択的に前記データサイズとを指定する情報を、前記データ構造に提供することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記データ構造が、縮小されたハッシュリストを含むドキュメントであり、前記縮小されたハッシュリストが、
-識別された前記1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームと、
-前記個々のハッシュであって、
それぞれの小さいLC符号化画像フレームを欠くすべての符号化画像フレーム、または
前記1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームとは異なるすべての他の取得されたLC符号化画像フレーム、のいずれかの前記個々のハッシュと、
からのみ構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記送信機が秘密-公開鍵ペアへのアクセス権を有し、前記デジタル署名を生成することが、
前記秘密-公開鍵ペアの秘密鍵を用いて、
前記データ構造のハッシュ、または
前記ビデオシーケンスのすべての前記符号化画像フレーム、もしくはすべての前記取得されたLC符号化画像フレーム、のいずれかの個々のハッシュのうちのハッシュ
のいずれかを暗号化することによって、前記デジタル署名を生成すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
データ構造およびデジタル署名を提供されたビデオシーケンスを検証するための、受信機によって実行される方法であって、前記ビデオシーケンスが符号化画像フレームを含み、前記方法は、
-送信機から、符号化画像フレームを含み前記データ構造および前記デジタル署名を提供された前記ビデオシーケンスを受信することであって、
受信された前記データ構造が、
-1つまたは複数の小さい可逆的に圧縮された(LC)符号化画像フレームであって、各小さいLC符号化画像フレームが、事前定義されたバイト数よりも小さいデータサイズを有し、前記送信機から送信されたビデオシーケンス中に含まれるそれぞれの送信された符号化画像フレームのLCバージョンである、1つまたは複数の小さい可逆的に圧縮された(LC)符号化画像フレームと、
-個々のハッシュであって、
それぞれの小さいLC符号化画像フレームを欠くすべての送信された符号化画像フレーム、または
前記1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームとは異なるすべての他のLC符号化画像フレームであって、前記すべての他のLC符号化画像フレームの各々が、前記送信されたビデオシーケンス中に含まれるそれぞれの送信された符号化画像フレームのLCバージョンである、すべての他のLC符号化画像フレーム、
のいずれかの個々のハッシュと、
を含む、前記ビデオシーケンスを受信することと、
-前記受信されたデータ構造を使用して、受信された前記デジタル署名を確認することと、
-前記受信されたデータ構造を使用して、受信された前記符号化画像フレームを、前記送信された符号化画像フレームに等しいものとして確認することであって、それにより、受信された前記ビデオシーケンスが、前記受信されたデジタル署名および前記受信された符号化画像フレームが確認されたとき、前記送信されたビデオシーケンスに等しいものとして検証される、前記受信された符号化画像フレームを、前記送信された符号化画像フレームに等しいものとして確認することと
を含む、方法。
【請求項8】
前記受信されたデータ構造が、それぞれの小さいLC符号化画像フレームを欠くすべての送信された符号化画像フレームの個々のハッシュを含むとき、前記受信されたデータ構造を使用して、前記受信された符号化画像フレームを、前記送信された符号化画像フレームに等しいものとして確認することは、
-前記受信されたビデオシーケンス中に含まれる各受信された符号化画像フレームの個々のハッシュを生成することと、
-それぞれの符号化画像フレームを取得するために、前記受信されたデータ構造中に含まれる前記1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームの各々の可逆解凍を実施することと、
-各取得されたそれぞれの符号化画像フレームの個々のハッシュを生成することと、
-前記受信されたビデオシーケンス中に含まれる各受信された符号化画像フレームの生成された前記個々のハッシュが、各取得されたそれぞれの符号化画像フレームの前記生成された個々のハッシュに一致するとき、前記受信された符号化画像フレームを、前記送信された符号化画像フレームに等しいものとして確認することと
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記受信されたデータ構造が、前記1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームとは異なるすべての他のLC符号化画像フレームの個々のハッシュを含むとき、前記受信されたデータ構造を使用して、前記受信された符号化画像フレームを、前記送信された符号化画像フレームに等しいものとして確認することは、
-それぞれのLC受信された符号化画像フレームを取得するために、前記受信されたビデオシーケンス中に含まれる各受信された符号化画像フレームの可逆圧縮を実施することと、
-すべての取得されたそれぞれのLC受信された符号化画像フレームの個々のハッシュを生成することと、
-前記受信されたデータ構造によって与えられるすべての前記LC符号化画像フレームについての個々のハッシュを生成することと、
-前記受信されたデータ構造によって与えられるすべての前記LC符号化画像フレームについての前記生成された個々のハッシュが、すべての取得されたそれぞれのLC受信された符号化画像フレームの前記生成された個々のハッシュに一致するとき、前記受信された符号化画像フレームを、前記送信された符号化画像フレームに等しいものとして確認することと
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記小さいLC符号化画像フレームのうちの1つまたは複数が、第1のタイプの小さいLC符号化画像フレームであり、そのそれぞれの送信された符号化画像フレームに等しいかまたは前記符号化画像フレームの前記LC符号化画像フレームに等しく、前記受信されたデータ構造が、前記第1のタイプの前記小さいLC符号化画像フレームの、前記データ構造中の位置と、任意選択的にサイズとを指定する情報をさらに含み、前記受信されたデータ構造によって与えられるすべての前記LC符号化画像フレームについての個々のハッシュを生成することが、
-前記受信されたデータ構造から、前記第1のタイプの前記小さいLC符号化画像フレーム、および前記すべての他のLC符号化画像フレームの前記個々のハッシュを抽出することと、
-前記第1のタイプの抽出された小さいLC符号化画像フレームの前記個々のハッシュを、それらを個々にハッシュすることによって生成することと、
-抽出された前記第1のタイプの小さいLC符号化画像フレームの生成された前記個々のハッシュと、前記すべての他の符号化画像フレームの抽出された前記個々のハッシュとの組合せとして、すべての前記LC符号化画像フレームの前記個々のハッシュを生成することと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記小さいLC符号化画像フレームのうちの1つまたは複数が、第2のタイプの小さいLC符号化画像フレームであり、記憶された事前定義された符号化画像フレームの識別子と、前記それぞれの送信された符号化画像フレームと前記記憶された事前定義された符号化画像フレームとの間の可能な差とを含み、前記受信されたデータ構造が、前記第2のタイプの前記小さいLC符号化画像フレームの、前記データ構造中の位置と、任意選択的に前記データサイズとを指定する情報をさらに含み、前記受信されたデータ構造によって与えられるすべての前記LC符号化画像フレームについての個々のハッシュを生成することが、
前記受信されたデータ構造から、
前記第2のタイプの各小さいLC符号化画像フレームについて、前記記憶された符号化画像フレームの前記識別子、および前記それぞれの送信された符号化画像フレームと前記記憶された符号化画像フレームとの間の前記可能な差、ならびに
前記すべての他のLC符号化画像フレームの前記個々のハッシュ
を抽出することと、
前記ビデオシーケンスの前記送信機および前記受信機にアクセス可能なデータストレージから、抽出された前記識別子を使用して、前記記憶された事前定義された符号化画像フレームを取り出すことと、
取り出された前記記憶された事前定義された符号化画像フレームと前記可能な差とを組み合わせることによって、前記第2のタイプの各LC符号化画像フレームについて各それぞれの送信された符号化画像フレームを再構成することと、
再構成された前記送信された符号化画像フレームの可逆圧縮を実施することと、
前記LC再構成された送信された符号化画像フレームの個々のハッシュを、それらを個々にハッシュすることによって生成することと、
前記LC再構成された送信された符号化画像フレームの前記生成された個々のハッシュと、前記すべての他のLC符号化画像フレームの抽出された前記個々のハッシュとを含むように、さらなるデータ構造を生成することと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記受信されたデータ構造が、前記1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームとは異なるすべての他のLC符号化画像フレームの個々のハッシュを含むとき、前記受信されたデータ構造を使用して、前記受信された符号化画像フレームを、前記送信された符号化画像フレームに等しいものとして確認することは、
-それぞれのLC受信された符号化画像フレームを取得するために、前記受信されたビデオシーケンス中に含まれる各受信された符号化画像フレームの可逆圧縮を実施することと、
-データ構造を生成することであって、
各々が事前定義されたバイト数よりも小さいデータサイズを有すると識別された1つまたは複数の小さいLC受信された符号化画像フレームと、
前記1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームとは異なるすべての他のLC受信された符号化画像フレームの個々のハッシュであって、前記個々のハッシュが、前記すべての他のLC受信された符号化画像フレームの各々を個々にハッシュすることによって取得される、個々のハッシュと、
を含むデータ構造を生成することと、
-生成された前記データ構造が前記受信されたデータ構造に一致するとき、前記受信された符号化画像フレームを、前記送信された符号化画像フレームに等しいものとして確認することと
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記受信機が、前記送信機の秘密-公開鍵ペアの公開鍵へのアクセス権を有し、前記受信されたデジタル署名を確認することが、前記公開鍵を使用して、前記受信されたデジタル署名を解読することと、前記受信されたデータ構造のハッシュが、解読された前記受信されたデジタル署名に一致したとき、前記受信されたデジタル署名を確認することとを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
ビデオシーケンスの検証を、前記ビデオシーケンスにデータ構造およびデジタル署名を提供することによって可能にするための送信機であって、前記送信機が、前記送信機に請求項1に記載の動作のいずれかを実行させるように構成された処理回路を備える、送信機。
【請求項15】
データ構造およびデジタル署名を提供されたビデオシーケンスを検証するための受信機であって、前記受信機が、前記受信機に請求項7に記載の動作のいずれかを実行させるように構成された処理回路を備える、受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオシーケンスの検証を可能にするための送信機、および送信機における方法に関する。また、本発明は、ビデオシーケンスを検証するための受信機、および受信機における方法に関する。特に、検証は、ビデオシーケンスにデータ構造およびデジタル署名を提供することによって可能にされる。
【背景技術】
【0002】
デジタル署名は、送信機から受信機にセキュアでないチャネルを通して送信される、符号化画像フレームを含むビデオシーケンスなどのデジタルメッセージに、検証およびセキュリティの層を提供する。送信機は、秘密-公開暗号鍵ペアの秘密暗号鍵を使用して、ビデオシーケンスの1つまたは複数の暗号ハッシュ値を暗号化することによって、デジタル署名を生成し得る。暗号ハッシュ値は、フレームごとの暗号ハッシュ値であり得、各暗号ハッシュ値は、それぞれの符号化画像フレームの画像データのハッシュ値、または任意選択のさらなる情報と組み合わせたその符号化画像フレームの画像データのハッシュ値であり得る。通常、生成されたデジタル署名と、デジタル署名を生成するために使用されるフレームごとの暗号ハッシュ値の両方が、ビデオシーケンスを受信機に送信する前に、送信機によってビデオシーケンスに提供される。
【0003】
受信されたビデオシーケンスが、主張される送信機からの真正のビデオシーケンスであること、および受信されたビデオシーケンスが操作されていないことを検証するために、受信機は、デジタル署名と受信された符号化画像フレームの両方を確認する必要がある。
【0004】
受信されたデジタル署名を確認するために、ビデオシーケンスの受信機は、送信機の秘密-公開暗号鍵ペアの公開鍵を使用して、受信されたデジタル署名を解読し、解読された受信されたデジタル署名を、受信された1つまたは複数の暗号ハッシュ値と比較する。解読された受信されたデジタル署名が、受信された暗号ハッシュ値に等しい、例えば一致する場合、受信されたデジタル署名は確認される。それにより、受信機によって受信されたビデオシーケンスが、主張される送信機によってデジタル署名されたことが確認される。
【0005】
デジタル署名の確認に加えて、受信機は、受信されたビデオシーケンスが、送信機によって送信されたビデオシーケンスと同じであることを確認する必要がある。受信された符号化画像フレームのシーケンスを確認する1つの方法は、送信機が暗号ハッシュ値を生成したのと同じ方法で、受信機が、受信されたビデオシーケンス中の符号化画像フレームの暗号ハッシュ値を生成することである。したがって、暗号ハッシュ値をどのように生成するかに関して、送信機と受信機との間で合意がある。受信機が暗号ハッシュ値を生成すると、受信機は、その生成された暗号ハッシュ値を、受信された暗号ハッシュ値と比較し、それらが同じである、例えば互いに一致する場合、受信されたビデオシーケンスは、送信されたビデオシーケンスと同じであると確認されている。
【0006】
しかしながら、デジタル署名を付加することによって、特に、ビデオシーケンスに暗号ハッシュ値を付加することによって、ビデオシーケンスを送信するために必要なビットレートが増加する。利用可能なビットレートは、通信チャネルを介してビデオシーケンスを送信するときの制限要因となり得るので、受信機がビデオシーケンスを検証する能力を犠牲にするかまたは劣化させることなく、デジタル署名と暗号ハッシュ値とを送信するために必要なビットレートを低減する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
したがって、上記に鑑みて、本発明の目的は、先行技術に伴う欠点を軽減すること、および、ビデオシーケンスを送信するための必要なビットレートと、検証のために必要な追加データとを、先行技術と比較して低減して、ビデオシーケンスの検証を可能にすることである。さらなる目的は、追加データのサイズを縮小し、それにより、送信のための必要なビットレートを減少させることである。またさらなる目的は、データ構造およびデジタル署名としての追加データをビデオシーケンスに提供することであり、そのデータ構造およびデジタル署名は、ビデオシーケンスが検証されることを可能にし、同時に、送信のための利用可能なビットレートリソースの量の低減を必要とする。またさらなる目的は、これらの機能を有する送信機およびコンピュータプログラムを提案することである。さらなる目的は、データ構造およびデジタル署名を提供されたビデオシーケンスの検証を実施することである。またさらなる目的は、これらの機能を有する受信機およびコンピュータプログラムを提案することである。
【0008】
これらの目的のうちの少なくともいくつかは、独立請求項によって定義されるように、本発明によって達成される。従属請求項は、有利な実施形態に関する。
【0009】
本開示の第1の態様によれば、ビデオシーケンスにデータ構造およびデジタル署名を提供することによってビデオシーケンスの検証を可能にするための、送信機によって実行される方法が提供され、ビデオシーケンスは符号化画像フレームを含む。
【0010】
本方法は、それぞれの可逆的に圧縮された(LC)符号化画像フレームを取得するために、ビデオシーケンスの各符号化画像フレームの可逆圧縮を実施することを含む。
【0011】
さらに、本方法は、取得されたLC符号化画像フレームの中で、各々が事前定義されたバイト数よりも小さいデータサイズを有する1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームを識別することを含む。
【0012】
さらに、本方法は、識別された1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームと、個々のハッシュであって、それぞれの小さいLC符号化画像フレームを欠くすべての符号化画像フレーム、または1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームとは異なるすべての他の取得されたLC符号化画像フレーム、のいずれかの個々のハッシュと、を含むデータ構造を生成することを含む。個々のハッシュは、それぞれ、それぞれの小さいLC符号化画像フレームを欠くすべての符号化画像フレームの各々を個々にハッシュすることによって、またはすべての他の取得されたLC符号化画像フレームの各々を個々にハッシュすることによって、取得される。
【0013】
またさらに、本方法は、ビデオシーケンスのためのデジタル署名を生成することと、データ構造およびデジタル署名をビデオシーケンスに提供することとを含む。それにより、受信機がビデオシーケンスを検証することを可能にする。
【0014】
可逆圧縮を実施することによって、およびそれぞれのハッシュの代わりに、識別された小さいLC符号化画像フレームをデータ構造中に含めることによって、ビデオシーケンスを検証するときのデータ構造の有用性を損なうことなく、データ構造のサイズが縮小され得る。
【0015】
本開示では、「データ構造」という用語は、いくつかの例を挙げると、ビデオシーケンスに提供されるように構成され、情報を、テキストのテキストシーケンスとして、バイナリシーケンス、すなわちビットストリームとして、バイトのシーケンス、すなわちバイトストリームとして、またはそれらの組合せとして含むように構成された、任意の構造、要素、またはユニットとして理解されるべきである。データ構造はドキュメントと呼ばれることがある。データ構造は、1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームと、1つまたは複数の個々のハッシュとを含むように構成される。データ構造は、メタデータ、すなわち、データ構造中に含まれる情報に関連し得るデータをも含み得る。したがって、メタデータは、1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム、および/または1つまたは複数の個々のハッシュに関連し得る。以下で説明されるように、データ構造は、1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームの位置、また任意選択的にサイズに関する情報を含むことがある。したがって、位置およびサイズは、データ構造中に含まれ得るメタデータの2つの例である。メタデータの別の例は、小さいLC符号化画像フレームのタイプである。以下で説明されるように、小さいLC符号化画像フレームは、第1のタイプまたは第2のタイプのものであり得、したがって、この情報は、メタデータとしてデータ構造中に含まれ得る。
【0016】
本明細書で使用されるとき、「それぞれの小さいLC符号化画像フレームを欠くすべての符号化画像フレーム」という表現は、取得されたそれぞれのLC符号化画像フレームがそれぞれの小さいLC符号化画像フレームとして識別されないすべての符号化画像フレームとして理解されるべきである。言い換えれば、それぞれの小さいLC符号化画像フレームを欠くすべての符号化画像フレームは、小さいLC符号化画像フレームではないそれぞれのLC符号化画像フレームを有する。したがって、それぞれの小さいLC符号化画像フレームを欠くすべての符号化画像フレームのそれぞれのLC符号化画像フレームのデータサイズは、事前定義されたバイト数よりも小さくはなく、代わりに、データサイズは、事前定義されたバイト数に等しいかまたはそれよりも大きい。
【0017】
本明細書で使用されるとき、「小さいLC符号化画像フレームとは異なるすべての他のLC符号化画像フレーム」という表現は、小さいLC符号化画像フレームとして識別されない取得されたLC符号化画像フレームとして理解されるべきである。したがって、小さいLC符号化画像フレームとは異なるすべての他のLC符号化画像フレームは、各々、所定のバイト数よりも小さくないデータサイズを有するが、代わりに、所定のバイト数に等しいかまたはそれよりも大きいデータサイズを有する。
【0018】
本明細書で使用される「デジタル署名」とは、送信機の識別情報を確認するために、送信されたビデオシーケンスに提供されるデジタルコードを意味する。デジタルコードは、秘密/公開鍵暗号化によって生成および認証される。より詳細には、送信機は、送信機の暗号鍵ペアの秘密鍵を使用してデジタルコードを生成し、受信機は、送信機の暗号鍵ペアの公開鍵を使用してデジタルコードを認証する。
【0019】
本明細書で使用されるとき、「各符号化画像フレームの可逆圧縮を実施すること」という表現が意味するのは、画像情報の消失なしに、各符号化画像フレームを、圧縮された符号化画像フレームに圧縮することである。圧縮された符号化画像フレームは、符号化画像フレームに等しいかまたはそれよりも小さいデータサイズを有し得る。圧縮された符号化画像フレームは、符号化画像フレームよりも大きいデータサイズを有することがあり、そのような場合、符号化画像フレームは、圧縮された符号化画像フレームとして使用され得る。他の場合、可逆圧縮は、別の符号化画像フレームへの参照を含む圧縮された符号化画像フレームをもたらし得る。別の符号化画像フレームは、ビデオシーケンス中の前の符号化画像フレーム、または記憶された符号化画像フレームであり得る。重要なことには、可逆圧縮を実施するときに画像情報が失われない。可逆圧縮において画像情報が失われないので、元の符号化画像フレームが、画質を落とすことなく、圧縮された符号化画像フレームから完全に再構成され得る。圧縮された符号化画像フレームから元の符号化画像フレームを再構成する動作は、圧縮された符号化画像フレームを本来の符号化された画像フレームに解凍することと呼ばれ得る。圧縮された符号化画像フレームは、本開示では、可逆的に圧縮された(LC)符号化画像フレームと呼ばれる。
【0020】
可逆圧縮アルゴリズムのいくつかの例は、ハフマンコーディング、算術符号化、コードブックベース符号化、およびランレングス符号化である。上記で説明されたように可逆圧縮を実施するデバイスは、本明細書では、符号化画像フレームの可逆圧縮を実施するように構成された可逆圧縮モジュールと呼ばれる。
【0021】
本開示では、「可逆的に圧縮された(LC)符号化画像フレーム」とは、符号化画像フレームの可逆圧縮から生じる画像フレームを意味する。
【0022】
「符号化画像フレームを個々にハッシュすること」という表現が意味するのは、個々のハッシュを取得するためにハッシュ関数(または一方向関数)を各個々の符号化画像フレームに適用することである。ハッシュ関数は、署名されるべきビデオシーケンスの機密性に鑑みて、および/または、ビデオシーケンスが無認可の当事者によって操作される場合に危機にある値に鑑みて、十分と考えられる安全レベルを提供する、暗号学的ハッシュ関数であり得る。ハッシュ関数の3つの例は、セキュアハッシュアルゴリズム256ビット(SHA-256)、セキュアハッシュアルゴリズム3 512ビット(SHA3-512)、およびRivest-Shamir-Adleman1024ビット(RSA-1024)である。ハッシュ関数は、デジタル署名および/またはデータ構造が受信機によって確認されるべきであるときに個々のハッシュが再生成され得るように事前定義されるものとする(例えば、ハッシュ関数は再生可能であるものとする)。
【0023】
本明細書で使用される「個々のハッシュ」とは、個々の符号化画像フレームまたは個々のLC符号化画像フレームにハッシュ関数を適用することによって取得される個々の暗号ハッシュ値を意味する。
【0024】
本開示の第2の態様によれば、データ構造およびデジタル署名を提供されたビデオシーケンスを検証するための、受信機によって実行される方法が提供され、ビデオシーケンスは符号化画像フレームを含む。
【0025】
本方法は、送信機から、符号化画像フレームを含み、データ構造およびデジタル署名を提供された、ビデオシーケンスを受信することを含む。
【0026】
受信されたデータ構造は、
1つまたは複数の小さい可逆的に圧縮された(LC)符号化画像フレームであって、各小さいLC符号化画像フレームが、事前定義されたバイト数よりも小さいデータサイズを有し、送信機から送信されたビデオシーケンス中に含まれるそれぞれの送信された符号化画像フレームのLCバージョンである、1つまたは複数の小さい可逆的に圧縮された(LC)符号化画像フレームと、
個々のハッシュであって、それぞれの小さいLC符号化画像フレームを欠くすべての送信された符号化画像フレーム、または1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームとは異なるすべての他のLC符号化画像フレーム、のいずれかの個々のハッシュと、
を含む。すべての他のLC符号化画像フレームの各々は、送信されたビデオシーケンス中に含まれるそれぞれの送信された符号化画像フレームのLCバージョンである。
【0027】
さらに、本方法は、受信されたデータ構造を使用して、受信されたデジタル署名を確認することと、受信されたデータ構造を使用して、受信された符号化画像フレームを、送信された符号化画像フレームに等しいものとして確認することとを含む。それにより、受信されたビデオシーケンスは、受信されたデジタル署名および受信された符号化画像フレームが確認されたとき、送信されたビデオシーケンスに等しいものとして検証される。
【0028】
本開示の第3の態様によれば、ビデオシーケンスの検証を、ビデオシーケンスにデータ構造およびデジタル署名を提供することによって可能にするための送信機が提供され、送信機は、送信機に第1の態様の方法の動作のいずれかを実行させるように構成された処理回路を備える。
【0029】
本開示の第4の態様によれば、データ構造およびデジタル署名を提供されたビデオシーケンスを検証するための受信機が提供され、受信機は、受信機に第2の態様の方法の動作のいずれかを実行させるように構成された処理回路を備える。
【0030】
本開示の第5の態様によれば、処理機能を有するデバイスによって実行されたときに第1の態様の方法を行うように適合されたコンピュータコード命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。
【0031】
本開示の第6の態様によれば、処理機能を有するデバイスによって実行されたときに第2の態様の方法を行うように適合されたコンピュータコード命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。
【0032】
第2、第3、第4、第5、および第6の態様は、一般に、第1の態様と同じ特徴および利点を有し得る。
【0033】
本開示は、さらに、
コンピュータに上記の方法のいずれか1つを行わせるための命令を含む
コンピュータプログラムに関する。コンピュータプログラムは、データキャリアに記憶されるか、またはデータキャリア上で分散され得る。本明細書で使用される「データキャリア」は、変調された電磁波もしくは光波などの一時的データキャリア、または非一時的データキャリアであり得る。非一時的データキャリアは、磁気タイプ、光タイプ、またはソリッドステートタイプの永続的および非永続的記憶媒体など、揮発性および不揮発性メモリを含む。依然として「データキャリア」の範囲内で、そのようなメモリは、固定して取り付けられることも、携帯可能であることもある。
【0034】
一般に、特許請求の範囲において使用されるすべての用語は、本明細書で別段に明示的に定義されない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「1つの/その(a/an/the)要素、装置、構成要素、手段、ステップなど」へのすべての言及は、別段に明記されない限り、要素、装置、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも1つの例を指すものとして公然と解釈されるべきである。本明細書に開示される任意の方法のステップは、明記されない限り、開示された正確な順序で実行される必要はない。本発明は、別段に明記されない限り、本明細書に開示される特徴のすべての可能な組合せに関連することにさらに留意されたい。
【0035】
本発明の上記の、ならびに追加の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の例示的および非限定的な詳細な説明によってよりよく理解され、同様の要素のために同じ参照番号が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ビデオシーケンスの検証を可能にするための、およびビデオシーケンスを検証するためのシステムの実施形態を概略的に示す図である。
図2A】実施形態によるビデオシーケンスを概略的に示す図である。
図2B】実施形態による、符号化画像フレームのシーケンス、対応するLC符号化画像フレームのシーケンス、およびデータ構造コンテンツの2つの例を概略的に例示する図。
図3】実施形態による送信機を概略的に示す図である。
図4】実施形態による受信機を概略的に示す図である。
図5】実施形態による、ビデオシーケンスの検証を可能にするための、送信機によって実施される方法のフローチャートである。
図6】実施形態による、ビデオシーケンスを検証するための、受信機によって実施される方法のフローチャートである。
図7A】実施形態による、受信された符号化画像フレームを確認するための、受信機によって実施されるサブ方法のフローチャートである。
図7B】実施形態による、受信された符号化画像フレームを確認するための、受信機によって実施されるサブ方法のフローチャートである。
図7C】実施形態による、受信された符号化画像フレームを確認するための、受信機によって実施されるサブ方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、本開示の態様が、本発明のいくつかの実施形態が示されている添付の図面を参照しながら、以下でより十分に説明される。しかしながら、これらの態様は、多くの異なる形態で具体化され得、限定するものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であるように、および本発明のすべての態様の範囲を当業者に十分に伝えるように、例として提供される。説明全体を通して、同様の番号は同様の要素を指す。
【0038】
通信ネットワークを介してビデオシーケンスを送信するとき、特に、ビデオシーケンスの検証を可能にする追加データを有するビデオシーケンスを送信するときのビットレート利用可能性の制約を克服または軽減するために、本発明は、検証の信頼性を低下させない追加データのサイズの縮小に関する。本開示では、追加データは、データ構造およびデジタル署名である。特に、本発明は、検証を信頼できるものに保ちながらデータ構造のコンテンツのサイズを縮小することによる、データ構造のサイズの縮小に関する。
【0039】
データ構造およびデジタル署名を提供されたビデオシーケンスの検証をどのように可能にするかと、ビデオシーケンスをどのように検証するかとに関する詳細に進む前に、本発明が実現され得るシステムの構成要素が説明される。
【0040】
図1を参照すると、ビデオシーケンスの検証を可能にするための、およびビデオシーケンスを検証するためのシステム100の実施形態が説明される。システム100は、ビデオシーケンスの検証を可能にするように構成された送信機110を備える。送信機110は、1つまたは複数のカメラ112を備え得るか、またはそれに接続され得る。代替的に、送信機110は、カメラ112中に含まれ得る。送信機110および1つまたは複数のカメラ112は、カメラシステムと呼ばれ得る。カメラシステムは、単一のユニット、すなわち送信機110および1つまたは複数のカメラ112を備える1つのユニット、またはいくつかの別個のユニット中に含まれ得る。カメラ112は、監視(surveillance)カメラと呼ばれることもある、監視(monitoring)カメラであり得る。さらに、カメラ112は、固定(stationary)カメラなどの固定(fixed)カメラ、または、パン、チルトおよびズーム(PTZ)カメラなどの可動カメラであり得る。カメラ112は、可視光カメラ、熱カメラ、または可視光カメラと熱カメラの両方を備えるカメラであり得る。カメラ112は、従来のカメラシステムにおいて一般的であり、その目的および動作が当業者によく知られている、例えば、キャプチャモジュールなどの画像キャプチャ、および符号化モジュールなどの画像処理に関連するいくつかの構成要素を含み得る。そのような構成要素は、明確にするために図1の例示および説明から省略されている。
【0041】
図1にさらに示されているように、送信機110は、通信ネットワーク120を介して受信機130と通信するように構成される。通信ネットワーク120は、送信機110がビデオシーケンスを受信機130に送信する有線または無線通信ネットワークであり得る。受信機130は、受信機130によって受信されたビデオシーケンスをオペレータに表示するように構成された表示デバイス150を備え得るか、またはそれに接続され得る。送信機110および受信機130は、直接、または通信ネットワーク120を介してのいずれかで、データストレージ122と通信するように構成される。データストレージ122は、符号化画像フレームおよび/またはLC符号化画像フレームに関連するデータなど、ビデオシーケンスに関連するデータを記憶するように構成され得る。例えば、データストレージ122は、事前定義された符号化画像フレーム220eを含み得る。事前定義された符号化画像フレーム220eは、ルックアップテーブルとしてデータストレージ122に記憶され得、各記憶された事前定義された符号化画像フレーム220eは、インデックスまたはキーと呼ばれることがある識別子によって識別される。いくつかの実施形態では、ルックアップテーブルはコードブックであり、インデックス/キーはコードワードである。データストレージ122は、不揮発性メモリであり得る。さらに、データストレージは、共通ライブラリを含み得る。
【0042】
送信機110と通信ネットワーク120との間、通信ネットワーク120と受信機130との間、およびデータストレージ122と送信機110と通信ネットワーク120と受信機130との間の送信のために使用され得る無線および有線送信モデルの多くの組合せがあることと、図1が一例を示しているにすぎないこととを理解されたい。
【0043】
図2Aは、実施形態による例示的なビデオシーケンス200を概略的に示す。ビデオシーケンス200は、いくつかの符号化画像フレーム220を含む。他のフレームを予測コーディングするための参照として使用される符号化画像フレームは、参照フレームと呼ばれる。他のフレームからの情報なしに符号化されたフレームは、イントラコーディングされたフレーム、イントラフレーム、Iフレーム、またはキーフレームと呼ばれる。1つまたは複数の参照フレームからの予測を使用するフレームは、インターコーディングされたフレームまたはインターフレームと呼ばれる。Pフレームは、1つまたは複数の先行参照フレーム(または、各領域の予測のための1つまたは複数のフレーム)からの予測を使用するインターフレームであり、Bフレームは、2つの参照フレーム、1つまたは複数の先行フレーム、および/または1つまたは複数の後続フレームの(場合によっては重み付けされた)平均からの予測を使用するインターフレームである。フレームは、ピクチャと呼ばれることがある。
【0044】
符号化画像フレーム220は、1つまたは複数のピクチャグループ(GOP)で配置され得る。図2Aでは、符号化画像フレーム220は、複数のGOPで配置され、そのうちの第1のGOP210aおよび第2のGOP210bが示されている。例示的なビデオシーケンス200において概略的に示されているように、第1のGOP210aは、第1のIフレームI0、第1のPフレームP00、第2のPフレームP01、および第3のPフレームP02からなり、第2のGOP210bは、第1のIフレームI1、第1のPフレームP10、第2のPフレームP11、および第3のPフレームP12からなる。
【0045】
いくつかの従来のビデオ符号化プロトコルがある。本発明の様々な実施形態と連携するいくつかの一般的なビデオ符号化プロトコルは、いくつかの例を挙げると、H.265およびMPEG-H Part2としても知られている高効率ビデオコーディング(HEVC)、H.264およびMPEG-4 Part10としても知られているアドバンストビデオコーディング(AVC)、H.266、MPEG-I Part3および将来のビデオコーディング(FVC)としても知られている汎用ビデオコーディング(VVC)、VP9、VP10およびAOMedia Video 1(AV1)を含む。
【0046】
次に、ビデオシーケンス200の検証を、ビデオシーケンス200にデータ構造320およびデジタル署名340を提供することによって可能にするための、送信機110によって実行される方法が、図5のフローチャートを参照して、および実施形態による送信機110を概略的に示す図3を参照して説明される。実施形態による、符号化画像フレームのシーケンス、対応するLC符号化画像フレームのシーケンス、およびデータ構造コンテンツの2つの例を概略的に例示する図2Bも参照する。
【0047】
前述したように、ビデオシーケンス200は符号化画像フレーム220を含み、ビデオシーケンス200は少なくとも1つのピクチャグループ(GOP)210a、210bから構成され得る。図2Bに示されているように、符号化画像フレームのシーケンスは、符号化画像フレームI0、P00、P01、P02、I1、P10、P11、P12、P13、およびI2を含み得、符号化画像フレームI0、P00、P01、およびP02は1つのGOP中に含まれ得、符号化画像フレームI1、P10、P11、P12、およびP13は別のGOP中に含まれ得、符号化画像フレームI2は、さらに別のGOP中に含まれ得る。
【0048】
ビデオシーケンス200の符号化画像フレーム220は、シーンを描写するいくつかの画像フレームをキャプチャし、キャプチャされた画像フレームを符号化画像フレーム220に符号化したカメラ112から取得されていることがある。カメラ112は、符号化画像フレーム220を、送信機110の取得モジュール114に提供し得る。カメラ112が送信機110中に含まれる場合(その場合カメラシステム110と呼ばれる)、カメラ112は、送信機110の取得モジュールを実現する。カメラ112が送信機110の外部にあり、それに接続される他の場合には、送信機110の取得モジュール114は内部データストレージによって実現され得、内部データストレージは、カメラ112から符号化画像フレーム220を受信し、受信された符号化画像フレーム220を内部データストレージに記憶するように構成される。
【0049】
ステップS502において、送信機110は、それぞれのLC符号化画像フレーム220LCを取得するために、ビデオシーケンス200の各符号化画像フレーム220の可逆圧縮を実施する。これは、可逆圧縮が実施された符号化画像フレーム220のサイズに等しいかまたはそれよりも小さいサイズを有するそれぞれのLC符号化画像フレームを取得すると同時に、可逆圧縮が実施された符号化画像フレーム220と同じ画質を有するそれぞれのLC符号化画像フレームを取得するために行われる。図2Bに示されているように、LC符号化画像フレームのシーケンスは、LC符号化画像フレームI0LC、P00LC、P01LC、P02LC、I1LC、P10LC、P11LC、P12LC、P13LC、およびI2LCを含む。符号化画像フレームのシーケンスのうちの1つの符号化画像フレームからLC符号化画像フレームのシーケンスのうちの1つのLC符号化画像フレームまでの矢印によって、同じく図2Bに示されているように、符号化画像フレームの可逆圧縮は、それぞれのLC符号化画像フレームをもたらす。例えば、符号化画像フレームI0の可逆圧縮はLC符号化画像フレームI0LCをもたらし、符号化画像フレームP00の可逆圧縮はLC符号化画像フレームP00LCをもたらし、符号化画像フレームP01の可逆圧縮はLC符号化画像フレームP01LCをもたらすなどである。したがって、図2Bに示されているように、各符号化画像フレームは、それぞれのLC符号化画像フレームを有する。
【0050】
可逆圧縮は、いくつかの例を挙げると、ハフマンコーディング、算術符号化、コードブックベース符号化、およびランレングス符号化のうちの1つまたは複数に基づいて実施され得る。ステップS502は、送信機110中に含まれ、符号化画像フレームの可逆圧縮を実施するように構成された、可逆圧縮モジュール116によって実行され得る。
【0051】
上述したように、可逆圧縮の目的は、そのそれぞれの符号化画像フレーム220のデータサイズに等しいかまたはそれよりも小さいデータサイズを有するそれぞれのLC符号化画像フレーム220LCを取得することである。しかしながら、可逆圧縮は、それぞれのLC符号化画像フレーム220LCが、そのそれぞれの符号化画像フレーム220のデータサイズと比較して等しいまたは低減されたデータサイズを有することを常にもたらすとは限らない。したがって、可逆圧縮モジュール116は、それぞれのLC符号化画像フレーム220LCのサイズをそのそれぞれの符号化画像フレーム220のサイズと比較し、それぞれのLC符号化画像フレーム220LCがより大きいサイズを有する場合、可逆圧縮モジュール116は、そのそれぞれの符号化画像フレーム220をLC符号化画像フレームとして出力する。LC符号化画像フレームのサイズを縮小する代替方法は、それが画像情報を欠くが、記憶された事前定義された符号化画像フレーム220eなどの別の符号化画像フレームへの参照、および場合によってはそれに対する差を含むように、LC符号化画像フレームを作成することである。これは、送信機110が、可逆圧縮が実施された符号化画像フレームがスキップフレームであると決定した場合であり得る。
【0052】
「スキップフレーム」とは、残差値のない他のフレーム中の画像データのみを参照することによって(例えば、それへの参照のみを含めることによって)画像データを表すインターフレームのタイプを意味する。スキップフレームを復号するとき、デコーダは、参照された画像データを、(残差値がないので)調整を行うことなくスキップフレームによって表される画像データの表現として使用する。
【0053】
ステップS504において、送信機110は、取得されたLC符号化画像フレーム220LCの中で、各々が事前定義されたバイト数よりも小さいデータサイズを有する1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2を識別する。事前定義されたバイト数は、使用されるハッシュ関数に依存して設定され得る。例えば、事前定義されたバイト数は、SHA-2ハッシュの場合、64バイト(512ビット)、48バイト(384ビット)または32バイト(256ビット)であり、SHA-1ハッシュの場合、20バイト(160ビット)であり得る。送信機110中に含まれ、1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームを識別するように構成された、識別モジュール117が、ステップS504を実行し得る。識別モジュール117は、可逆圧縮モジュール116中に含まれ得る。代替的に、識別モジュール117は、送信機110のデータ構造生成モジュール118中に含まれ得る。データ構造生成モジュール118は、以下で説明される。
【0054】
1つまたは複数の識別された小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2は、小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1の第1のタイプのものであり得、その各々は、事前定義されたバイト数よりも小さいデータサイズを有し、可逆圧縮が実施された、(元の)符号化画像フレーム220に等しいか、または、LC符号化画像フレーム220LCが(元の)符号化画像フレーム220よりも小さく、事前定義されたバイト数よりも小さいデータサイズを有するときは、(元の)符号化画像フレーム220のLC符号化画像フレーム220LCに等しい。
【0055】
前者は、例えば、事前定義されたバイト数よりも小さいデータサイズを有する符号化画像フレーム220の可逆圧縮が同じ符号化画像フレーム220をもたらしたとき、または、符号化画像フレーム220の可逆圧縮の結果、LC符号化画像フレーム220LCが符号化画像フレーム220よりも大きくなる場合であり得る。上述したように、この場合、可逆圧縮を実施する可逆圧縮モジュール116は、元の符号化画像フレーム220をLC符号化画像フレーム220LCb-1として出力する。
【0056】
したがって、いくつかの実施形態では、識別された1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2のうちの少なくとも1つが、第1のタイプの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1であり、そのそれぞれの符号化画像フレーム220に等しいかまたは符号化画像フレーム220のLC符号化画像フレーム220LCに等しい。
【0057】
代替または追加として、1つまたは複数の識別された小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2は、小さいLC符号化画像フレーム220LCb-2の第2のタイプのものであり得、その各々は、記憶された符号化画像フレーム220eの一部に等しく、記憶された符号化画像フレーム220eの識別子、および場合によっては差をも含む。
【0058】
これは、可逆圧縮が実施された符号化画像フレーム220が、記憶された符号化画像フレーム220eと同一であるか、または記憶された符号化画像フレーム220eと部分的に同一である場合であり得る。符号化画像フレームがスキップフレームである場合、記憶された符号化画像フレーム220eと符号化画像フレーム220との間に差はなく、したがって、第2のタイプの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-2は、記憶された符号化画像フレーム220eの識別子のみを含み、差は含まない。
【0059】
しかしながら、符号化画像フレーム220は、記憶された符号化画像フレーム220eと部分的に同一であり得、その場合、第2のタイプの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-2は、記憶された符号化画像フレーム220eの識別子と差とを含み得る。差は、いくつかの時点で更新または変更される他の一定の画像フレームの一部に関連し得る。例えば、差は、符号化画像フレーム220中に含まれるカウンタ、またはクロックに関連し得、差は、符号化画像フレーム220を、記憶された符号化画像フレーム220eと異なるものにする唯一のものである。そのような場合、第2のタイプの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-2中に含まれる差は、カウンタ値またはクロックの時間に関連する。
【0060】
したがって、いくつかの実施形態では、識別された1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2のうちの少なくとも1つが、第2のタイプの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-2であり、記憶された事前定義された符号化画像フレーム220eの識別子と、第2のタイプの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-2と記憶された事前定義された符号化画像フレーム220eとの間の可能な差とを含む。
【0061】
ビデオシーケンスの検証を可能にするために、データ構造320が必要とされる。したがって、ステップS506において、送信機110は、識別された1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2と個々のハッシュとを含むデータ構造320を生成する。データ構造320中に含まれる個々のハッシュは、2つの方法で生成され得る。第1に、個々のハッシュは、図2Bの第1のデータ構造320-1に示されているように、それぞれの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2を欠くすべての符号化画像フレーム220の個々のハッシュであり得る。第2に、個々のハッシュは、図2Bの代替の第2のデータ構造320-2に示されているように、1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2とは異なるすべての他の取得されたLC符号化画像フレーム220LCaの個々のハッシュであり得る。したがって、個々のハッシュは、それぞれの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2を欠くすべての符号化画像フレーム220、または1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2とは異なるすべての他の取得されたLC符号化画像フレーム220LCaのいずれかの個々のハッシュである。送信機110は、それぞれ、それぞれの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2を欠くすべての符号化画像フレーム220の各々を個々にハッシュすることによって、またはすべての他の取得されたLC符号化画像フレーム220LCaの各々を個々にハッシュすることによって、個々のハッシュを取得する。データ構造は、以下で説明されるように、ビデオシーケンスを検証するときに受信機130によって使用されることになる。送信機110は、データ構造を生成するように構成されたデータ構造生成モジュール118を備え、データ構造生成モジュール118は、ステップS506を実行し得る。
【0062】
図2Bに示されている例では、LC符号化画像フレームP01LC、P02LC、I1LC、P12LC、およびI2LCは、小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2であるものとして識別され、したがって、示されている第1のデータ構造320-1と代替の第2のデータ構造320-2の両方が、これらの小さいLC符号化画像フレームP01LC、P02LC、I1LC、P12LC、およびI2LCを含む。
【0063】
小さいLC符号化画像フレームに加えて、第1のデータ構造320-1は、それぞれの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2を欠くすべての符号化画像フレーム220の個々のハッシュを含む。したがって、図示の例では、(第1の)データ構造は、個々のハッシュHI0、HP00、HP10、およびHP13をも含む。
【0064】
代替の第2のデータ構造320-2は、小さいLC符号化画像フレームに加えて、識別された小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2とは異なるすべての他の取得されたLC符号化画像フレーム220LCaの個々のハッシュを含む。したがって、代替の(第2の)データ構造は、LC符号化画像フレームI0LC、P00LC、P10LC、およびP13LCの個々のハッシュである個々のハッシュHI0LC、HP00LC、HP10LC、およびHP13LCをも含む。
【0065】
データ構造320は、縮小されたハッシュリストを含むドキュメントと呼ばれ得る。ハッシュリストは、それが完全なハッシュリストのようにすべての符号化画像フレームについてのハッシュを含むだけでなく、縮小されたハッシュリストが、小さいLC符号化画像フレームのハッシュの代わりに、小さいLC符号化画像フレームを、そのまま、すなわちハッシュ化されていないまま含むので、縮小される。これは、データ構造が、ビデオシーケンスの各符号化画像フレームについてのそれぞれの個々のハッシュからなる完全なハッシュリストを含むドキュメントである場合とは対照的である。具体的には、本データ構造320は、小さいとして識別される各LC符号化画像フレームのためのLC符号化画像フレームと、それぞれの小さいLC符号化画像フレームを欠くすべての符号化画像フレーム220、または事前定義されたバイト数に等しいかまたはそれよりも大きいサイズを有するすべてのLC符号化画像フレームのいずれかの個々のハッシュとを含む。したがって、縮小されたハッシュリストは、識別された1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2と、それぞれの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2を欠くすべての符号化画像フレーム220、または1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2とは異なるすべての他の取得されたLC符号化画像フレーム220LCaのいずれかの個々のハッシュと、からのみ構成される。
【0066】
ビデオシーケンスがGOPから構成される実施形態では、送信機110は、1つまたは複数のGOP210a、210bごとに1つのデータ構造320および1つのデジタル署名340を生成する。それにより、送信されたビデオシーケンスは、ビデオシーケンス全体ごとではなくGOPごとに受信機130によって検証され得る。これは、1つまたは複数の符号化画像フレームまたはGOPが検証され得ない場合、受信機が、検証されたGOPおよび検証されたGOPの符号化画像フレームの真正性を依然として信頼することができるので、受信機130にとって有利である。これは、ビデオシーケンスが全体的に検証されなければならず、ビデオシーケンス全体が検証され得ない場合、受信機がビデオシーケンスの符号化画像フレームのどれの真正性も信頼することができない場合とは対照的である。
【0067】
データ構造中で小さいLC符号化画像フレームの各々がどこに位置するかに関する情報を提供することが、時々有利である。これは、例えば、受信機130が、受信されたデータ構造から小さいLC符号化画像フレームを見つけ、抽出することを単純化し得る。受信機130によって実行される方法を説明するときに以下で説明されるように、受信機130は、受信された符号化画像フレームを確認するとき、抽出された小さいLC符号化画像フレームを使用して、それらの対応する送信された符号化画像フレームとそれらのハッシュとを、生成、すなわち再構成し得る。
【0068】
したがって、いくつかの実施形態はステップS508を含み、送信機110は、各小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2について、データ構造320中の各小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2の位置を決定する。ステップS508において、送信機110はまた、各小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2のデータサイズを決定し得る。ステップS508は、送信機110中に含まれ、データ構造中の各小さいLC符号化画像フレームの位置を決定するように構成された、決定モジュール119によって実行され得る。決定モジュール119は、可逆圧縮モジュール116中に含まれ得る。代替的に、決定モジュール119は、送信機110のデータ構造生成モジュール118中に含まれ得る。実施形態はまた、ステップS510を含み得、送信機110は、各小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2の、データ構造320中の位置と、任意選択的にデータサイズとを指定する情報を、データ構造320に提供する。データ構造320への位置指定情報の提供は、データ構造生成モジュール118によって実施され得る。
【0069】
ビデオシーケンスの検証を可能にするために、デジタル署名も必要とされる。したがって、動作S512において、送信機110は、ビデオシーケンス200のためのデジタル署名340を生成する。このステップは、デジタル署名を生成するように構成され、送信機110中に含まれる、デジタル署名生成モジュール124によって実行され得る。
【0070】
送信機110は、秘密-公開鍵ペアへのアクセス権を有し得、秘密-公開鍵ペアの秘密鍵を用いて、
データ構造320のハッシュ、または
ビデオシーケンス200のすべての符号化画像フレーム220、もしくはすべての取得されたLC符号化画像フレーム220LC、220LCa、220LCb-1、220LCb-2のいずれかの個々のハッシュのうちのハッシュ
のいずれかを暗号化することによって、デジタル署名を生成し得る。
【0071】
秘密-公開鍵ペアの秘密鍵は、送信機110によってのみアクセス可能なセキュアストレージに記憶され得る。セキュアストレージは、セキュア要素(SE)、例えば、耐タンパ性プロセッサチップまたはセキュア構成要素中のセキュアオペレーティングシステム(OS)、あるいはトラステッドプラットフォームモジュール(TPM)、例えば、セキュアクリプトプロセッサまたはセキュアチップであり得る。送信機の秘密-公開鍵ペアの公開鍵は、受信機130によってアクセス可能なデータストレージ、例えばデータストレージ122に記憶され得る。代替的に、送信機の秘密-公開鍵ペアの公開鍵は、ビデオシーケンス200と共に受信機130に送信され得る。例えば、送信機の秘密-公開鍵ペアの公開鍵は、ビデオシーケンス200中に含まれるか、またはそれに追加され得る。
【0072】
動作S514において、送信機110は、ビデオシーケンス200にデータ構造320およびデジタル署名340を提供する。それにより、受信機130がビデオシーケンス200を検証することを可能にする。送信機110中に含まれ、ビデオシーケンスにデータ構造およびデジタル署名を提供するように構成された、提供モジュール126が、ステップS514を実行し得る。
【0073】
送信機110は、例えば、提供モジュール126によって、ビデオシーケンス200の補足情報ユニット(SIU)中にデータ構造320およびデジタル署名340を提供し得る。補足情報ユニットは、ビデオシーケンスに関する、またはそれに関連する補足情報を含むように構成されたユニットまたはメッセージである。補足情報ユニットは、例えば、H.26x符号化フォーマットにおける補足エンハンスメント情報(SEI)メッセージ、またはAV1符号化フォーマットにおけるメタデータオープンビットストリームユニット(OBU)であり得る。
【0074】
受信機130は、以下で詳細に説明されるように、受信されたデジタル署名および受信されたデータ構造を使用して、受信されたビデオシーケンスを検証し得る。
【0075】
次に、データ構造320およびデジタル署名340を提供されたビデオシーケンス200’を検証するための、受信機130によって実行される方法が、図6のフローチャートと、図4に概略的に示されている受信機130の実施形態とを参照して説明される。ビデオシーケンス200’は、符号化画像フレーム220’を含む。
【0076】
ステップS602において、受信機130は、送信機110から、符号化画像フレーム220’を含み、データ構造320およびデジタル署名340を提供された、ビデオシーケンス200’を受信する。好ましくは、受信機130によって受信されたビデオシーケンス200’と、送信機110によって送信されたビデオシーケンス200とは、同一である。しかしながら、送信されたビデオシーケンスは、その送達後およびその受信前に操作され得、したがって、参照番号200は、送信されたビデオシーケンスのために使用され、参照番号200’は、受信されたビデオシーケンスのために使用される。ステップS602は、受信機130中に含まれ、ビデオシーケンスを受信するように構成された、受信モジュール132によって実行され得る。
【0077】
受信されたデータ構造320は、1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2を含み、各小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2は、事前定義されたバイト数よりも小さいデータサイズを有し、送信機110から送信されたビデオシーケンス200中に含まれるそれぞれの送信された符号化画像フレーム220のLCバージョンである。受信されたデータ構造320は、それぞれの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2を欠くすべての送信された符号化画像フレーム220、または1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2とは異なるすべての他のLC符号化画像フレーム220LCaのいずれかの個々のハッシュをも含む。すべての他のLC符号化画像フレーム220LCaの各々は、送信されたビデオシーケンス200中に含まれるそれぞれの送信された符号化画像フレーム220のLCバージョンである。
【0078】
前述したように、送信機110によって実行される方法を説明するとき、事前定義されたバイト数は、使用されるハッシュ関数に依存して設定され得る。送信機110と受信機130とは同じハッシュ関数を使用するので、送信機110において設定された事前定義されたバイト数は、受信機130において使用される事前定義されたバイト数と同じであることが理解される。事前定義されたバイト数は、受信機130において事前設定され得るか、または、送信機110によって使用される事前定義されたバイト数に関する情報は、例えば、ビデオシーケンスと共に、送信機110から受信機130に送信され得る。
【0079】
ステップS604において、受信機130は、受信されたデータ構造320を使用して、受信されたデジタル署名340を確認する。ステップS604は、受信機130中に含まれ、デジタル署名を確認するように構成された、確認モジュール134によって実行され得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、受信機130は、送信機110の秘密-公開鍵ペアの公開鍵へのアクセス権を有する。そのような実施形態では、受信機130は、公開鍵を使用して受信されたデジタル署名340を解読し、受信されたデータ構造320のハッシュが解読された受信されたデジタル署名340に一致するとき、受信されたデジタル署名340を確認することによって、受信されたデジタル署名340を確認する。代替的に、受信されたデジタル署名340は、受信されたデータ構造340によって与えられるすべてのLC符号化画像フレームについてのすべての個々のハッシュのうちのハッシュが、解読された受信されたデジタル署名340に一致するとき、確認される。さらに代替として、受信されたデジタル署名340は、受信されたデータ構造340によって与えられるすべての符号化画像フレームについてのすべての個々のハッシュのうちのハッシュが、解読された受信されたデジタル署名340に一致するとき、確認される。
【0081】
ステップS606において、受信機130は、受信されたデータ構造320を使用して、受信された符号化画像フレーム220’を、送信された符号化画像フレーム220に等しいものとして確認する。ステップS606は、受信機130中に含まれ、符号化画像フレームを確認するように構成された、確認モジュール134によって実行され得る。受信されたビデオシーケンス200’は、受信されたデジタル署名340および受信された符号化画像フレーム220’が確認されたとき、送信されたビデオシーケンス200に等しいものとして検証される。
【0082】
受信された符号化画像フレーム220’の確認(ステップS606)
次に、受信された符号化画像フレーム220’の確認(ステップS606)が、いくつかの異なる実施形態を参照してより詳細に説明される。詳細に進む前に、一般に、確認は、(以下のいくつかの第1の実施形態の場合のように)受信された符号化画像フレームのハッシュを、受信されたデータ構造によって与えられる符号化画像フレームのハッシュと比較することによって、(以下のいくつかの第2の実施形態の場合のように)LC受信された符号化画像フレームのハッシュを、受信されたデータ構造によって与えられるLC符号化画像フレームのハッシュと比較することによって、または(以下のいくつかの第3の実施形態の場合のように)受信されたデータ構造を、生成されたデータ構造と比較することによって行われると言われることがある。
【0083】
さらに、送信機110によって送信され、受信機130によって受信されるデータ構造320は、1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2に加えて、(以下のいくつかの第1の実施形態の場合のように)それぞれの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2を欠くすべての送信された符号化画像フレーム220、または(以下のいくつかの第2および第3の実施形態の場合のように)1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2とは異なるすべての他のLC符号化画像フレーム220LCaのいずれかの個々のハッシュを含むことが、想起されるべきである。
【0084】
いくつかの第1の実施形態
いくつかの第1の実施形態では、受信されたデータ構造320は、小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2に加えて、それぞれの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2を欠くすべての送信された符号化画像フレーム220の個々のハッシュを含む。そのような第1の実施形態では、受信機130は、受信された符号化画像フレームのハッシュを生成しなければならず、受信されたデータ構造320中に含まれる1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2のそれぞれの符号化画像フレームの個々のハッシュを決定しなければならない。したがって、受信されたデータ構造320を使用して、受信された符号化画像フレーム220’を、送信された符号化画像フレーム220に等しいものとして確認すること(ステップS606)は、図7Aに示されている4つのサブステップS606.1.1~S606.1.4を含む。
【0085】
サブステップS606.1.1において、受信機130は、受信されたビデオシーケンス200’中に含まれる各受信された符号化画像フレーム220’の個々のハッシュを生成する。受信機130中に含まれるハッシュ生成モジュール136が、個々のハッシュの生成を実施し得る。
【0086】
サブステップS606.1.2において、受信機130は、それぞれの符号化画像フレームを取得するために、受信されたデータ構造320中に含まれる1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2の各々の可逆解凍を実施する。LC符号化画像フレーム220LCに対して可逆解凍を実施することによって、送信機110がLC符号化画像フレームを取得するために可逆圧縮を実施した(元の)符号化画像フレーム220が、取得される。可逆解凍アルゴリズムのいくつかの例は、ハフマン復号、算術復号、コードブックベース復号、およびランレングス復号である。受信機130中に含まれる可逆解凍モジュール138が、可逆解凍を実施し得る。
【0087】
サブステップS606.1.3において、受信機130は、各取得されたそれぞれの符号化画像フレーム220の個々のハッシュを生成する。これは、ハッシュ生成モジュール136によって実施され得る。
【0088】
サブステップS606.1.4において、受信機130は、受信されたビデオシーケンス200’中に含まれる各受信された符号化画像フレーム220’の生成された個々のハッシュが、各取得されたそれぞれの符号化画像フレーム220の生成された個々のハッシュに一致するとき、受信された符号化画像フレーム220’を、送信された符号化画像フレーム220に等しいものとして確認する。これは、確認モジュール134によって実施され得る。
【0089】
いくつかの第2の実施形態
いくつかの第2の実施形態では、受信されたデータ構造320は、小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2に加えて、1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2とは異なるすべての他のLC符号化画像フレーム220LCaの個々のハッシュを含む。そのような第2の実施形態では、受信されたデータ構造320を使用して、受信された符号化画像フレーム220’を、送信された符号化画像フレーム220に等しいものとして確認すること(ステップS606)は、図7Bに示されている4つのサブステップS606.2.1~S606.2.4を含む。
【0090】
サブステップS606.2.1において、受信機130は、それぞれのLC受信された符号化画像フレーム220LC’、220LCa’、220LCb-1’、220LCb-2’を取得するために、受信されたビデオシーケンス200’中に含まれる各受信された符号化画像フレーム220’の可逆圧縮を実施する。可逆圧縮アルゴリズムのいくつかの例は、ハフマンコーディング、算術符号化、コードブックベース符号化、およびランレングス符号化である。受信機130中に含まれる可逆圧縮モジュール140が、可逆圧縮を実施し得る。
【0091】
サブステップS606.2.2において、受信機130は、すべての取得されたそれぞれのLC受信された符号化画像フレーム220LC’、220LCa’、220LCb-1’、220LCb-2’の個々のハッシュを生成する。これは、ハッシュ生成モジュール136によって実施され得る。
【0092】
サブステップS606.2.3において、受信機130は、受信されたデータ構造320によって与えられるすべてのLC符号化画像フレーム220LC、220LCa、220LCb-1、220LCb-2についての個々のハッシュを生成する。1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2とは異なるすべての他のLC符号化画像フレーム220LCaの個々のハッシュが、受信されたデータ構造320中に含まれるので、受信機130は、それらを、データ構造320から直接取り出すことができる。さらに、受信機130は、受信されたデータ構造320中に含まれる1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2を取り出し、次いで、それらを個々にハッシュする。受信機130は、個々のハッシュを、1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2が第1のタイプのものであるのか第2のタイプのものであるのかに応じて、別様に生成する。サブステップS606.2.3は、ハッシュ生成モジュールによって実行され得る。個々のハッシュの生成の詳細な説明は、サブステップS606.2.4の説明の後に与えられる。
【0093】
サブステップS606.2.4において、受信機130は、受信されたデータ構造320によって与えられるすべてのLC符号化画像フレーム220LC、220LCa、220LCb-1、220LCb-2についての生成された個々のハッシュが、すべての取得されたそれぞれのLC受信された符号化画像フレーム220LC’、220LCa’、220LCb-1’、220LCb-2’の生成された個々のハッシュに一致するとき、受信された符号化画像フレーム220’を、送信された符号化画像フレーム220に等しいものとして確認する。これは、確認モジュール134によって実施され得る。
【0094】
すべてのLC符号化画像フレームについての個々のハッシュの生成(サブステップS606.2.3)
次に、受信機130が、受信されたデータ構造320によって与えられるすべてのLC符号化画像フレーム220LC、220LCa、220LCb-1、220LCb-2についての個々のハッシュをどのように生成するか(上記のサブステップS606.2.3)が、2つのシナリオを参照してより詳細に説明される。
【0095】
第1のシナリオでは、1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1は、第1のタイプのものであり、事前定義されたバイト数よりも小さいデータサイズを有する符号化画像フレーム220に等しいか、または、LC符号化画像フレーム220LCが符号化画像フレーム220よりも小さく、事前定義されたバイト数よりも小さいデータサイズを有するときは、符号化画像フレーム220のLC符号化画像フレーム220LCに等しい。符号化画像フレーム220は、送信機110によって送信された元の符号化画像フレームである。小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1は、元の符号化画像フレームに対して可逆圧縮を実施するときに送信機の可逆圧縮モジュール116によって取得されたLC符号化画像フレームが、元の符号化画像フレームよりも大きいサイズを有するときは、符号化画像フレーム220に等しく、可逆圧縮モジュール116は、元の符号化画像フレームを、取得されたLC符号化画像フレームとして出力する。したがって、第1のシナリオでは、小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2のうちの1つまたは複数は、第1のタイプの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1であり、そのそれぞれの送信された符号化画像フレーム220に等しいかまたは符号化画像フレーム220のLC符号化画像フレーム220LCに等しい。受信されたデータ構造320は、第1のタイプの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1の、データ構造320中の位置と、任意選択的にサイズとを指定する情報を、さらに含む。この第1のシナリオでは、受信されたデータ構造320によって与えられるすべてのLC符号化画像フレーム220LCa、220LCb-1、220LCb-2についての個々のハッシュを生成することは、
-受信されたデータ構造320から、第1のタイプの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1およびすべての他のLC符号化画像フレーム220LCaの個々のハッシュを抽出することと、
-第1のタイプの抽出された小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1の個々のハッシュを、それらを個々にハッシュすることによって生成することと、
-抽出された第1のタイプの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1の生成された個々のハッシュと、すべての他のLC符号化画像フレーム220LCaの抽出された個々のハッシュとの組合せとして、すべてのLC符号化画像フレーム220LCa、220LCb-1、220LCb-2についての個々のハッシュを生成することと
を含む。
【0096】
第2のシナリオでは、1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-2は、第2のタイプのものである。これは、送信機110が、第2のタイプの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-2のそれぞれの(元の)符号化画像フレーム220が、記憶された符号化画像フレーム220eの一部に等しいと決定した場合であり得る。例えば、送信機110が、例えば可逆圧縮モジュール116によって、それぞれの符号化画像フレーム220が、記憶された符号化画像フレーム220eと同一であるスキップフレームであると決定したとき、第2のタイプの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-2は、他の画像データなしで、記憶された符号化画像フレーム220eの識別子のみを含むように生成され得る。別の例として、送信機110は、例えば可逆圧縮モジュール116によって、それぞれの符号化画像フレーム220が、記憶された符号化画像フレーム220eと部分的に同一であると決定し得る。その場合、第2のタイプの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-2は、記憶された符号化画像フレーム220eの識別子と、記憶された符号化画像フレーム220eに対する差とを含むように生成され得る。したがって、小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2のうちの1つまたは複数が、第2のタイプの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-2であり、記憶された事前定義された符号化画像フレーム220eの識別子と、それぞれの送信された符号化画像フレーム220と記憶された事前定義された符号化画像フレーム220eとの間の可能な差とを含む。受信されたデータ構造320は、第2のタイプの小さいLC符号化画像フレーム220LCb-2の、データ構造320中の位置と、任意選択的にデータサイズとを指定する情報を、さらに含む。この第2のシナリオでは、受信されたデータ構造320によって与えられるすべてのLC符号化画像フレーム220LCa、220LCb-1、220LCb-2についての個々のハッシュを生成することは、
受信されたデータ構造320から、
第2のタイプの各小さいLC符号化画像フレーム220LCb-2について、記憶された事前定義された符号化画像フレーム220eの識別子、およびそれぞれの送信された符号化画像フレーム220と記憶された符号化画像フレーム220eとの間の可能な差、ならびに
すべての他のLC符号化画像フレーム220LCaの個々のハッシュ
を抽出することと、
ビデオシーケンス200の送信機110および受信機130にアクセス可能なデータストレージ122から、抽出された識別子を使用して、記憶された符号化画像フレーム220eを取り出すことと、
取り出された記憶された事前定義された符号化画像フレーム220eと可能な差とを組み合わせることによって、第2のタイプの各LC符号化画像フレーム220LCb-2について各それぞれの送信された符号化画像フレーム220を再構成することと、
再構成された送信された符号化画像フレームの可逆圧縮を実施することと、
LC再構成された送信された符号化画像フレームの個々のハッシュを、それらを個々にハッシュすることによって生成することと、
LC再構成された送信された符号化画像フレーム220の生成された個々のハッシュと、すべての他のLC符号化画像フレーム220LCaの抽出された個々のハッシュとを含むように、さらなるデータ構造330を生成することと
を含む。
【0097】
いくつかの第3の実施形態
いくつかの第3の実施形態では、受信されたデータ構造320は、1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1、220LCb-2とは異なるすべての他のLC符号化画像フレーム220LCaの個々のハッシュを含む。受信された符号化画像フレーム220’を確認するために、受信機130は、1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームと、1つまたは複数の小さい符号化画像フレームとは異なるすべてのLC符号化画像フレームの個々のハッシュとを含むデータ構造を生成し、それを、受信されたデータ構造と比較する。したがって、そのような第3の実施形態では、受信されたデータ構造320を使用して、受信された符号化画像フレーム220’を、送信された符号化画像フレーム220に等しいものとして確認すること(ステップS606)は、図7Cに示されている3つのサブステップS606.3.1~S606.3.3を含む。
【0098】
サブステップS606.3.1において、受信機130は、それぞれのLC受信された符号化画像フレーム220LCa’、220LCb-1’、220LCb-2’を取得するために、受信されたビデオシーケンス200’中に含まれる各受信された符号化画像フレーム220’の可逆圧縮を実施する。可逆圧縮アルゴリズムのいくつかの例は、ハフマンコーディング、算術符号化、コードブックベース符号化、およびランレングス符号化である。受信機130中に含まれる可逆圧縮モジュール(図示せず)が、可逆圧縮を実施し得る。
【0099】
サブステップS606.3.2において、受信機130は、
各々が事前定義されたバイト数よりも小さいデータサイズを有すると識別された1つまたは複数の小さいLC受信された符号化画像フレーム220bLC-1’、220LCb-2’と、
1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレーム220LCb-1’、220LCb-2’とは異なるすべての他のLC受信された符号化画像フレーム220LCa’の個々のハッシュと
を含むデータ構造320’を生成する。個々のハッシュは、すべての他のLC受信された符号化画像フレーム220LCa’の各々を個々にハッシュすることによって取得される。
【0100】
これは、受信機130中に含まれるデータ構造生成モジュール142によって実施され得る。
【0101】
サブステップS606.3.3において、受信機130は、生成されたデータ構造320’が受信されたデータ構造320に一致するとき、受信された符号化画像フレーム220’を、送信された符号化画像フレーム220に等しいものとして確認する。これは、確認モジュール134によって実施され得る。
【0102】
実施形態はまた、処理機能を有するデバイスによって実行されたときに本明細書で説明される方法の実施形態を行うように適合されたコンピュータコード命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体に関する。
【0103】
上記で説明されたように、送信機110は、ビデオシーケンスにデータ構造およびデジタル署名を提供することによってビデオシーケンスの検証を可能にするための方法を実装するように構成され得、受信機130は、ビデオシーケンスにデータ構造およびデジタル署名を提供することによってビデオシーケンスを検証するための方法を実装するように構成され得る。この目的のために、送信機110および受信機130は、それぞれ、本明細書で説明される様々な方法ステップを実装するように構成された、それぞれ処理回路111、131を含み得る。
【0104】
ハードウェア実装形態では、処理回路111、131は、専用であり、方法ステップのうちの1つまたは複数を実装するように特別に設計され得る。回路は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路または1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイなど、1つまたは複数の集積回路の形態であり得る。
【0105】
したがって、例として、送信機110は、使用時に、
それぞれのLC符号化画像フレームを取得するために、ビデオシーケンスの各符号化画像フレームの可逆圧縮を実施することと、
取得されたLC符号化画像フレームの中で、各々が事前定義されたバイト数よりも小さいデータサイズを有する1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームを識別することと、
識別された1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームと、それぞれの小さいLC符号化画像フレームを欠くすべての符号化画像フレーム、または1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームとは異なるすべての他の取得されたLC符号化画像フレームのいずれかの個々のハッシュとを含むデータ構造を生成することであって、個々のハッシュが、それぞれ、それぞれの小さいLC符号化画像フレームを欠くすべての符号化画像フレームの各々を個々にハッシュすることによって、またはすべての他の取得されたLC符号化画像フレームの各々を個々にハッシュすることによって、取得される、データ構造を生成することと、
ビデオシーケンスのためのデジタル署名を生成することと、
データ構造およびデジタル署名をビデオシーケンスに提供することと
を行う、処理回路111を備え得る。それにより、受信機がビデオシーケンスを検証することを可能にする。
【0106】
例として、受信機130は、使用時に、
符号化画像フレームを含み、データ構造およびデジタル署名を提供された、ビデオシーケンスを受信すること
を行う処理回路131を備え得る。受信されたデータ構造は、1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームであって、各小さいLC符号化画像フレームが、事前定義されたバイト数よりも小さいデータサイズを有し、送信機から送信されたビデオシーケンス中に含まれるそれぞれの送信された符号化画像フレームのLCバージョンである、1つまたは複数のLC符号化画像フレームと、それぞれの小さいLC符号化画像フレームを欠くすべての送信された符号化画像フレーム、または1つまたは複数の小さいLC符号化画像フレームとは異なるすべての他のLC符号化画像フレームのいずれかの個々のハッシュとを含む。すべての他のLC符号化画像フレームの各々は、送信されたビデオシーケンス中に含まれるそれぞれの送信された符号化画像フレームのLCバージョンであり、
受信されたデータ構造を使用して、受信されたデジタル署名を確認することと、受信されたデータ構造を使用して、受信された符号化画像フレームを、送信された符号化画像フレームに等しいものとして確認することとを行う。それにより、受信されたビデオシーケンスは、受信されたデジタル署名および受信された符号化画像フレームが確認されたとき、送信されたビデオシーケンスに等しいものとして検証される。
【0107】
ソフトウェア実装形態では、回路は、代わりに、不揮発性メモリなどの(非一時的)コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータコード命令に関連して、送信機110および受信機130それぞれに、本明細書に開示されるそれぞれの方法を行わせる、マイクロプロセッサなどのプロセッサの形態であり得る。不揮発性メモリの例は、読取り専用メモリ、フラッシュメモリ、強誘電体RAM、磁気コンピュータ記憶デバイス、光ディスクなどを含む。したがって、ソフトウェアの場合、上記で説明された方法ステップの各々は、プロセッサによって実行されたとき、送信機110および受信機130それぞれに、本明細書に開示されるそれぞれの方法を行わせる、コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータコード命令の一部に対応し得る。
【0108】
いくつかの方法ステップがハードウェアで実装され、他の方法ステップがソフトウェアで実装されることを意味する、ハードウェア実装形態とソフトウェア実装形態との組合せを有することも可能であることを理解されたい。
【0109】
当業者は、上記で説明された実施形態を多くの方法で修正し、さらに上記の実施形態に示された本発明の利点を使用することができることが諒解されよう。したがって、本発明は、図示の実施形態に限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されるべきである。さらに、当業者が理解するように、図示の実施形態は組み合わせられ得る。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
【外国語明細書】