(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112782
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】自己潤滑性被膜、製造方法、および電気コンタクト
(51)【国際特許分類】
C23C 28/00 20060101AFI20240814BHJP
H01R 13/03 20060101ALI20240814BHJP
C23C 16/30 20060101ALI20240814BHJP
C23C 14/06 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
C23C28/00 A
H01R13/03 Z
C23C16/30
C23C14/06 D
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024015379
(22)【出願日】2024-02-05
(31)【優先権主張番号】10 2023 103 001.9
(32)【優先日】2023-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100229736
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 剛
(72)【発明者】
【氏名】マルチェラ ヨアナ オベルスト
(72)【発明者】
【氏名】イザベル ブレシュ
(72)【発明者】
【氏名】フランク オステンドルフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルゲ シュミット
【テーマコード(参考)】
4K029
4K030
4K044
【Fターム(参考)】
4K029BA04
4K029BA12
4K029BA51
4K029BB02
4K029EA01
4K030BA14
4K030BA50
4K030BB12
4K030JA01
4K044BA06
4K044BA08
4K044BA19
4K044BB04
4K044BB11
4K044BC01
4K044CA13
4K044CA14
4K044CA17
4K044CA18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高電流コンタクト用の被膜のための自己潤滑性組成物、ならびに差し込み力のさらなる低減および低い接触抵抗が得られるように電気コネクタの接触面が処理される、それらの製造のための安価、簡略、かつ信頼性の高い方法を提供する。
【解決手段】銀マトリックスに添合されている硫黄を含有するナノ粒子から作製されている分散系を備え、硫黄を含有するナノ粒子は、Ag
2Sおよび/またはAu
2Sの組成物を有する、自己潤滑性皮膜が提供される。さらに、フッ素化グラフェン、および/またはカーボンナノチューブ(CNT)、および/または銀マトリックスに添合されている式(CF)
xの炭素ナノ粒子から作製されている分散系を備え、フッ素化グラフェン、CNT、または式(CF)
xの炭素ナノ粒子は、1~1.25のフッ素対炭素比を有する、自己潤滑性被膜が提供される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀マトリックスに添合されている硫黄を含有するナノ粒子から作製されている分散系を備え、前記硫黄を含有するナノ粒子は、Ag2Sおよび/またはAu2Sの組成物を有する、自己潤滑性被膜。
【請求項2】
前記硫黄を含有するナノ粒子は、分散被膜の100体積%を基準として、0.01~10体積%の量で前記分散系に含有されている、請求項1に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項3】
前記硫黄を含有するナノ粒子は、5~300nmの平均粒径D50を有する、請求項1または2に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項4】
前記硫黄を含有するナノ粒子は、50~90nmの平均粒径D50を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項5】
フッ素化グラフェン、および/またはカーボンナノチューブ(CNT)、および/または銀マトリックスに添合されている式(CF)xの炭素ナノ粒子を用いて作製されている分散系を備え、前記フッ素化グラフェン、CNT、または式(CF)xの炭素ナノ粒子は、1~1.25のフッ素対炭素比を有する、自己潤滑性被膜。
【請求項6】
前記フッ素化炭素ナノ粒子は、双峰性の粒度分布を有し、平均粒径D50は、2~50nmおよび0.4~10μmである、請求項5に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項7】
式(CF)xのフッ素化炭素ナノ粒子は、1~1.25のフッ素対炭素比を有する、請求項5または6に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項8】
前記分散系は、式(CF)xのフッ素化炭素ナノ粒子を備える、請求項5から7のいずれか一項に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項9】
前記マトリックスにおける銀含量は、前記分散被膜の100体積%を基準として、90~99.99体積%の量で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項10】
前記被膜は、分散剤をさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項11】
前記分散剤は、極性分散剤の群から選択されている、請求項10に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項12】
銀およびナノ粒子を備える分散層を備え、前記ナノ粒子は、Ag2Sおよび/またはAu2Sから選択されている硫黄を含有するナノ粒子であるか、または、フッ素化グラフェン、および/またはカーボンナノチューブ(CNT)、および/または1~1.25のフッ素対炭素比を有する式(CF)xの炭素ナノ粒子である、被膜。
【請求項13】
前記分散系は、式(CF)xのフッ素化炭素ナノ粒子を備える、請求項11 7に記載の被膜。
【請求項14】
前記被膜は、ニッケル、ニッケルリン、銅、または純銀を備える追加層をさらに備え、この層は、好ましくは1~4マイクロメートルの厚さを有する、請求項1または5または12に記載の被膜。
【請求項15】
前記被膜は、銀を備える層と請求項1または5または12の前記被膜を用いて作製されている前記層との間の2つの中間層を備え、前記第1の中間層は、好ましくはニッケルを備え、前記第1の中間層は、好ましくは0.5~4マイクロメートルの厚さを有し、前記第2の中間層は、好ましくは銀を備え、前記第2の中間層は、好ましくは0.5~4マイクロメートルの厚さを有する、請求項1または5または12に記載の被膜。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の前記被膜を備える電気コンタクト。
【請求項17】
請求項1から10のいずれか一項に記載の前記被膜で基材を被覆することを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の被膜の製造のための方法。
【請求項18】
前記被膜は、電着により製造される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記被膜は、PVD(物理気相成長)を用いた物理蒸着、CVD(化学気相成長)またはプラズマ蒸着により製造される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己潤滑性被膜、被膜の製造のための方法、およびそのような被膜を備える電気コンタクトに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の構成を有する電気コネクタが知られている。電気コネクタは、差し込まれた状態において電気的接続を確立するように意図されている。電気コネクタは一般に、信号伝送または電力伝送のいずれかに用いられる。この目的で、電気コネクタは通常、コネクタがプラグ接続されたときに互いに接触する導電性コンタクト要素を備える。一方のコネクタ要素のコンタクト要素は、多くの場合、コンタクトピンとして構成され、相手部品のコンタクト要素は、1つの部品で、またはコンタクトばねが挿入された2つの部品で、ソケットとして構成される。コネクタおよびソケットがプラグ接続されると、コンタクトばねが弾性ばね力をコンタクトピンに及ぼすことで、信頼性の高い導電接続を確実にする。
【0003】
電気コネクタは、例えば自動車において、エネルギーを伝達し、電気および電子システムを相互接続するために用いられる。自動車において、コネクタは、激しい温度変動、振動、水分、および腐食媒体にさらされる。特に広く用いられているスズめっき銅系コンタクト要素では、動作温度の増大により、接触抵抗の増大が生じる。
【0004】
特に高電流コンタクト要素について、銀被膜が提案されている。これは、低い電気抵抗および接触抵抗などの所望の電気的特性をもたらす。純銀被膜は、良好な電気的特性を有するが、不都合なトライボロジー特性を有する。これにより、コネクタの要素が頻繁にプラグ接続される場合、または振動負荷が生じる場合に、接触の問題が生じ得る。したがって、硫化銀フィルム、いわゆる「青銀(blue silver)」が、銀被膜の上の追加の被膜として提案された。これは、最初のうちは挿入力の低減および安定した低い接触抵抗をもたらす。代替的に、向上した摩耗挙動および恒久的に低い接触抵抗を実現するために、黒鉛粒子が銀被膜に添加される場合がある。
【0005】
しかしながら、黒鉛粒子を有する既知の分散系は、被膜を作製するために用いる、または後の処理中に取り扱うことが難しく、それにより、被覆プロセスが複雑になり、制限され、より高価になる。
【0006】
さらに、向上した摩耗挙動および低い接触抵抗を得るために、六方晶窒化ホウ素(hBN)、炭化ケイ素(SiC)、または硫化タングステン(IV)(WS2)から作製される粒子を銀被膜に添加することが提案された。しかしながら、これらの添加物は、このように被覆された電気コンタクトの電気的特性における所望の向上を十分に実証するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、電気コンタクト、好ましくは高電流コンタクト用の被膜のための自己潤滑性組成物、ならびに、差し込み力のさらなる低減および低い接触抵抗が得られるように電気コネクタの接触面が処理される、それらの製造のための安価、簡略、かつ信頼性の高い方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項の主題により解決される。本発明の有利なさらなる発展例が、従属請求項の対象である。
【0009】
本発明のより良好な理解のために、以下の図面に示す実施形態に関連して本発明をより詳細に説明する。同じ部分には、同じ参照符号および同じ構成要素名が付されている。さらに、図示および説明されている様々な実施形態におけるいくつかの特徴または特徴の組み合わせは、それら自体が、独立な、発明的な、または本発明に係る解決策に相当する場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】Ag
2S被膜が配された銀被膜の一例を示す図である。
【
図2】黒鉛粒子が分散した銀被膜の一例を示す図である。
【
図3】本発明に係る、ナノ粒子が分散した銀被膜の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によれば、一実施形態における本発明は、銀マトリックス(silver matrix)に添合された(配合された、incorporated)硫黄を含有するナノ粒子(nanoparticles)から作製される分散系(dispersion)を備える自己潤滑性被膜を提供する。硫黄を含有するナノ粒子は、Ag2Sおよび/またはAu2Sから選択される。硫黄を含有するナノ粒子は、銀マトリックスに分散し、したがってそこから形成される被膜中で均一に分布する。
【0012】
図1は、先行技術から知られている、Ag
2S被膜2が配された銀被膜1を示す。
図2は、黒鉛粒子4が分散した銀被膜3の一例を示す。比較のために、
図3は、本発明に係る、ナノ粒子6が分散した銀被膜5を示す。これらのナノ粒子6は、例えば硫黄を含有するナノ粒子またはフッ素化炭素ナノ粒子(フッ化炭素ナノ粒子、fluorinated carbon nanoparticles)、例えばフッ素化グラフェン(フッ化グラフェン、fluorinated graphene)、カーボンナノチューブ(CNT)、または式(CF)
xの炭素ナノ粒子を備える。
【0013】
硫黄を含有するナノ粒子は、被膜の100体積%を基準として、好ましくは0.01~10体積%の量、より好ましくは0.1~8体積%の量、さらに好ましくは0.5~6体積%の量で分散系として含有される。硫黄を含有するナノ粒子は、被膜に自己潤滑特性を与える。
【0014】
硫黄を含有するナノ粒子は、好ましくは20~150nmの平均粒径(平均粒度)D50、より好ましくは40~120nmの平均粒径D50、さらに好ましくは50~90nmの平均粒径D50を有する。平均粒径D50は、DIN ISO 9276-2:2018-09に記載されているような方法を用いて決定されてよい。
【0015】
本発明によれば、本発明は、銀マトリックスに添合されたフッ素化グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、または式(CF)xの炭素ナノ粒子から構成される銀系分散被膜を備える、さらなる実施形態における自己潤滑性被膜を提供する。フッ素化グラフェン、CNT、または1~1.25のフッ素対炭素比(fluorine to carbon ratio)を有する式(CF)xの炭素ナノ粒子が用いられてよい。フッ素化グラフェン、CNT、または炭素ナノ粒子は、銀マトリックスに分散し、したがってそこから形成される被膜中で均一に分布する。少なくとも1~1.25のフッ素対炭素比を有する式(CF)xのフッ素化炭素ナノ粒子は、優れた熱安定性を呈し、強いアルカリ性および酸性の環境において腐食せず、優れた自己潤滑特性を呈する。一方で1未満のフッ素対炭素比を有する式(CF)xのフッ素化炭素ナノ粒子は、著しく劣った熱安定性を呈し、したがって潤滑剤として適さない。
【0016】
フッ素化ナノ粒子は、被膜の100体積%を基準として、好ましくは0.01~10体積%の量、より好ましくは0.1~8体積%の量、さらに好ましくは0.1~5体積%の量で分散系に含有される。フッ素化炭素ナノ粒子は、被膜に自己潤滑特性を与える。
【0017】
フッ素化炭素ナノ粒子は、双峰性の粒度分布を有することが好ましく、双峰分布は、5nm~10nmおよび50nm~10μmまたは20nm~50nmおよび100nm~15μmである。
【0018】
式(CF)xのフッ素化炭素ナノ粒子は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1~1.25のフッ素対炭素比を有する。
【0019】
被膜は、銀マトリックスに添合された式(CF)xの炭素ナノ粒子を備えることが好ましい。
【0020】
式(CF)xの炭素ナノ粒子の粒子濃度は、被膜の0.01~5重量%であることが好ましい。
【0021】
上記の実施形態において、銀粒子は、被膜の100体積%を基準として、90~99.9体積%の量で含有されることが好ましい。
【0022】
本発明に係る被膜は、純銀の低い接触抵抗を維持しつつ、向上した摩耗挙動を有利に示す。
【0023】
さらに、自己潤滑性被膜は、分散剤を備えてよい。好適な分散剤は、極性起源のものであり、好ましい分散剤は、N-メチルピロリドンなどの窒素を含有する有機溶媒である。
【0024】
本発明はまた、銀およびナノ粒子を備える層を備える被膜を提供する。ナノ粒子は、Ag2SおよびAu2Sから選択される硫黄を含有するナノ粒子であるか、または式(CF)xのフッ素化炭素ナノ粒子であり、1~1.25のフッ素対炭素比を有する。
【0025】
被膜は、Ag2SおよびAu2Sから選択される硫黄を含有するナノ粒子、または1~1.25のフッ素対炭素比を有する式(CF)xの炭素ナノ粒子を備えることが好ましい。
【0026】
被膜は、好ましくはニッケル、純銀、または銅から構成される少なくとも1つの中間層をさらに備えてよく、これは、好ましくは0.5~4マイクロメートルの厚さ、より好ましくは1.0~3マイクロメートルの厚さを有し、その上方に配される分散系を含有する銀層は、0.5~25μmの層厚さ、より好ましくは0.5~4μmまたは5~25μmの厚さを有する。
【0027】
加えて、被膜は、銀を備える層および本発明に係る被膜と共に製造される層に加えて、さらなる層を備える多層系を備えてよい。さらなる有利の実施形態によれば、中間層は、スズ、および/またはニッケルもしくはNiP(ニッケルリン)、および/または銀、および/または銅、および/またはスズ、ニッケル、銀、銅の合金を備える。これらの材料は、耐錆性および耐熱性を有し、これはコネクタの長寿命性を保証する。中間層は、ニッケルを備えることが好ましく、その上方の中間層は、銀を備える。中間層は各々、好ましくは0.5~4マイクロメートルの厚さ、より好ましくは1.0~3マイクロメートルの厚さを有する。
【0028】
有利には、本発明に係る被膜により製造される被膜は、純銀の低い接触抵抗を維持しつつ、向上した摩耗挙動を呈する。
【0029】
本発明はさらに、本発明に係る被膜を備える電気コンタクトを提供する。
【0030】
本発明は、最後に、本発明に係る被膜で基材を被覆することを含む、本発明に係る被膜の製造のための方法を提供する。特に、本発明は、電気コネクタ用の導電性コンタクト要素の表面処理のための方法を含み、導電性コンタクト要素は、金属接触面を有する。加えて、本発明に係る被膜は、導電性コンタクト要素の接触面の少なくとも部分的領域に施される。
【0031】
被膜は、電着により作製されるか、またはPVDを用いた物理蒸着、CVDまたはプラズマ蒸着により作製されることが好ましい。
【0032】
Ag2SまたはAu2Sのナノ粒子は、被覆槽のpH範囲において正のゼータ電位が確立されるようにマスキングされることが好ましい。これは、粒子の互いとの間での凝集または不所望な化学反応を回避するために必要であり、電気的引力の結果として、カソードにおけるナノ粒子の共析が銀マトリックスにおいて生じる。制御された堆積のためには、光子相関分光法(PCS)およびレーザドップラー流速測定(LDA)などのプロセス分析方法が必要である。
【0033】
本発明の被膜は、被覆方法および処理を簡略化しつつ、優れた耐摩耗性および低い接触抵抗を呈する。本発明に係る被膜はまた、高電流コンタクトに特に好適な優れた電気的特性を有する。
【0034】
本発明に係る被膜により、多数の差し込み接続部を有する電気コンタクトを同時に差し込むこと、最大50,000回のコネクタサイクル、高い振動負荷を伴うアプリケーション、および最大200℃の適用温度が可能となる。プラグ接続部は、先行技術において既に知られている任意のタイプの差し込み接続部であってよい。
【符号の説明】
【0035】
1 銀被膜
2 Ag2S被膜
3 分散した粒子を有する銀被膜
4 黒鉛粒子
5 分散したナノ粒子を有する銀被膜
6 ナノ粒子
【手続補正書】
【提出日】2024-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀マトリックスに添合されている硫黄を含有するナノ粒子から作製されている分散系を備え、前記硫黄を含有するナノ粒子は、Ag2Sおよび/またはAu2Sの組成物を有する、自己潤滑性被膜。
【請求項2】
前記硫黄を含有するナノ粒子は、分散被膜の100体積%を基準として、0.01~10体積%の量で前記分散系に含有されている、請求項1に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項3】
前記硫黄を含有するナノ粒子は、5~300nmの平均粒径D50を有する、請求項1に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項4】
前記硫黄を含有するナノ粒子は、50~90nmの平均粒径D50を有する、請求項1に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項5】
フッ素化グラフェン、および/またはカーボンナノチューブ(CNT)、および/または銀マトリックスに添合されている式(CF)xの炭素ナノ粒子を用いて作製されている分散系を備え、前記フッ素化グラフェン、CNT、または式(CF)xの炭素ナノ粒子は、1~1.25のフッ素対炭素比を有する、自己潤滑性被膜。
【請求項6】
フッ素化炭素ナノ粒子は、双峰性の粒度分布を有し、平均粒径D50は、2~50nmおよび0.4~10μmである、請求項5に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項7】
式(CF)xのフッ素化炭素ナノ粒子は、1~1.25のフッ素対炭素比を有する、請求項5に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項8】
前記分散系は、式(CF)xのフッ素化炭素ナノ粒子を備える、請求項5に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項9】
前記銀マトリックスにおける銀含量は、分散被膜の100体積%を基準として、90~99.99体積%の量で存在する、請求項1または5に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項10】
前記自己潤滑性被膜は、分散剤をさらに備える、請求項1または5に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項11】
前記分散剤は、極性分散剤の群から選択されている、請求項10に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項12】
銀およびナノ粒子を備える分散層を備え、前記ナノ粒子は、Ag2Sおよび/またはAu2Sから選択されている硫黄を含有するナノ粒子であるか、または、フッ素化グラフェン、および/またはカーボンナノチューブ(CNT)、および/または1~1.25のフッ素対炭素比を有する式(CF)xの炭素ナノ粒子である、被膜。
【請求項13】
前記分散系は、式(CF)xのフッ素化炭素ナノ粒子を備える、請求項1に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項14】
前記自己潤滑性被膜は、ニッケル、ニッケルリン、銅、または純銀を備える追加層をさらに備え、この層は、好ましくは1~4マイクロメートルの厚さを有する、請求項1または5に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項15】
前記被膜は、ニッケル、ニッケルリン、銅、または純銀を備える追加層をさらに備え、この層は、好ましくは1~4マイクロメートルの厚さを有する、請求項12に記載の被膜。
【請求項16】
前記自己潤滑性被膜は、銀を備える層と請求項1または5の前記自己潤滑性被膜を用いて作製されている前記層との間の2つの中間層を備え、前記2つの中間層は、第1の中間層と、第2の中間層を含み、前記第1の中間層は、好ましくはニッケルを備え、前記第1の中間層は、好ましくは0.5~4マイクロメートルの厚さを有し、前記第2の中間層は、好ましくは銀を備え、前記第2の中間層は、好ましくは0.5~4マイクロメートルの厚さを有する、請求項1または5に記載の自己潤滑性被膜。
【請求項17】
前記被膜は、銀を備える層と請求項12の前記被膜を用いて作製されている前記層との間の2つの中間層を備え、前記2つの中間層は、第1の中間層と、第2の中間層を含み、前記第1の中間層は、好ましくはニッケルを備え、前記第1の中間層は、好ましくは0.5~4マイクロメートルの厚さを有し、前記第2の中間層は、好ましくは銀を備え、前記第2の中間層は、好ましくは0.5~4マイクロメートルの厚さを有する、請求項12に記載の被膜。
【請求項18】
請求項1または5に記載の前記自己潤滑性被膜を備える電気コンタクト。
【請求項19】
請求項12に記載の前記被膜を備える電気コンタクト。
【請求項20】
請求項1または5に記載の前記自己潤滑性被膜で基材を被覆することを含む、請求項1または5に記載の自己潤滑性被膜の製造のための方法。
【請求項21】
前記自己潤滑性被膜は、電着により製造される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記自己潤滑性被膜被膜は、PVD(物理気相成長)を用いた物理蒸着、CVD(化学気相成長)またはプラズマ蒸着により製造される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
請求項12に記載の前記被膜で基材を被覆することを含む、請求項12に記載の被膜の製造のための方法。
【請求項24】
前記被膜は、電着により製造される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記被膜は、PVD(物理気相成長)を用いた物理蒸着、CVD(化学気相成長)またはプラズマ蒸着により製造される、請求項23に記載の方法。
【外国語明細書】