IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンクの特許一覧

特開2024-112783スペーサを有する光ファイババックプレーンコネクタ
<>
  • 特開-スペーサを有する光ファイババックプレーンコネクタ 図1
  • 特開-スペーサを有する光ファイババックプレーンコネクタ 図2
  • 特開-スペーサを有する光ファイババックプレーンコネクタ 図3
  • 特開-スペーサを有する光ファイババックプレーンコネクタ 図4
  • 特開-スペーサを有する光ファイババックプレーンコネクタ 図5
  • 特開-スペーサを有する光ファイババックプレーンコネクタ 図6
  • 特開-スペーサを有する光ファイババックプレーンコネクタ 図7
  • 特開-スペーサを有する光ファイババックプレーンコネクタ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112783
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】スペーサを有する光ファイババックプレーンコネクタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20240814BHJP
   G02B 6/46 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G02B6/36
G02B6/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024015405
(22)【出願日】2024-02-05
(31)【優先権主張番号】18/107305
(32)【優先日】2023-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100229736
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 剛
(72)【発明者】
【氏名】デビッド ジェームス フェビアン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス パトリック モジャー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー グロス
【テーマコード(参考)】
2H036
2H038
【Fターム(参考)】
2H036JA02
2H036QA03
2H036QA11
2H036QA34
2H036QA43
2H036QA49
2H036QA56
2H038CA38
(57)【要約】      (修正有)
【課題】バックプレーンとシステムシャーシエンクロージャとの間で光ファイバを引き回すための追加のスペースを提供することができる光ファイババックプレーンコネクタを提供する。
【解決手段】バックプレーンに装着するように構成され、リテーナ長さを画定し、ケーブルアセンブリの少なくとも1つのフェルールを受け入れるように、かつインサートと結合することによりケーブルアセンブリをインサートに固定するように構成されているリテーナと、アウターシェルと、第1の端部がバックプレーンの前面に着座し、スペーサの第2の端部がアウターシェルに着座することを可能とするように構成されているスペーサであって、スペーサの長さは、スペーサが、リテーナ長さの50%以下がバックプレーンの裏面を越えて延びるようなリテーナの少なくとも一部分を受け入れるように十分に長い、少なくとも1つのスペーサとを備えるバックプレーンコネクタキット。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面(150a)および裏面(150b)を有し、孔(151)を画定するバックプレーン(150)に装着するように構成されているバックプレーンコネクタキット(100)であって、前記前面(150a)は、前記孔(151)の周囲に第1のフットプリントを画定し、前記第1のフットプリントは、第1のジオメトリを有し、

前記バックプレーンコネクタキット(100)は、
● インサート(101)と、
● リテーナ長さを画定し、ケーブルアセンブリ(181)の少なくとも1つのフェルール(180)を受け入れるように、かつ前記インサート(101)と結合することにより前記ケーブルアセンブリ(181)を前記インサート(101)に固定するように構成されているリテーナ(102)と、
● 前記第1のジオメトリを有するフットプリントに着座するように構成されている第2のジオメトリを有する第2のフットプリント(103a)を有し、前記インサート(101)を受け入れて前記インサート(101)がアウターシェル(103)内で横方向に浮動することを可能とするように構成されているアウターシェル(103)と、
● 第1の端面(105a)および第2の端面(105b)を有し、キャビティ(106)および前記第1の端面(105a)と前記第2の端面(105b)との間の長さを画定する中空本体(105)
を少なくとも備える少なくとも1つのスペーサ(104)であって、
前記第1の端面(105a)および前記第2の端面(105b)は、それぞれ第3のフットプリント(107)および第4のフットプリント(108)を画定し、前記第3のフットプリント(107)および前記第4のフットプリント(108)は、それぞれ第2のジオメトリおよび第1のジオメトリを有し、よって前記第3のフットプリント(107)は、前記第1のジオメトリを有するフットプリントに着座し、前記第4のフットプリント(108)は、前記第2のジオメトリを有するフットプリントに着座し、それにより、前記スペーサの第1の端部が前記バックプレーンの前記前面に着座し、前記スペーサの前記第2の端部が前記アウターシェルに着座することが可能となり、
前記キャビティは、前記リテーナに結合した場合の前記インサートが前記キャビティ内で横方向に移動することを可能とするように十分に幅広く、
前記長さは、前記スペーサが、前記インサートの少なくとも一部分と、前記リテーナ長さの50%以下が前記バックプレーンの前記裏面を越えて延びるように前記リテーナの少なくとも十分な部分とを受け入れるように十分に長い、
少なくとも1つのスペーサ(104)と
を備える、
バックプレーンコネクタキット。
【請求項2】
前記リテーナ長さの25%以下が、前記バックプレーンの前記裏面の下方に延びる、
請求項1に記載のバックプレーンコネクタキット。
【請求項3】
前記バックプレーンの前記裏面の下方に延びる前記リテーナの部分がない、
請求項1に記載のバックプレーンコネクタキット。
【請求項4】
前記スペーサは、前記リテーナの全体を受け入れる、
請求項1に記載のバックプレーンコネクタキット。
【請求項5】
前記バックプレーンの前記裏面の下方に延びる前記リテーナ長さの部分がない、
請求項1に記載のバックプレーンコネクタキット。
【請求項6】
前記リテーナは、前記バックプレーンの前記前面の上方にある、請求項5に記載のバックプレーンコネクタキット。
【請求項7】
前記インサート、前記リテーナ、および前記アウターシェルの各々は、それぞれ標準的インサート、標準的リテーナ、および標準的アウターシェルである、
請求項1に記載のバックプレーンコネクタキット。
【請求項8】
前記リテーナおよび前記アウターシェルの各々は、それぞれ標準的リテーナおよび標準的アウターシェルである、
請求項1に記載のバックプレーンコネクタキット。
【請求項9】
改変されたインサートを備え、
前記改変されたインサートは、前記標準的インサートから改変されており、
前記標準的インサートは、その中間部の周囲に配置されているフランジを有し、
前記改変されたインサートは、前記標準的インサートに対して短くなっており、その後部の周囲に配置されている前記フランジを有する、 請求項8に記載のバックプレーンコネクタキット。
【請求項10】
前記リテーナは、標準的リテーナである、
請求項1に記載のバックプレーンコネクタキット。
【請求項11】
改変されたインサートおよび改変されたアウターシェルを備え、
前記改変されたインサートおよび前記改変されたアウターシェルは、それぞれ標準的インサートおよび標準的アウターシェルから改変されており、
前記標準的インサートは、前記インサートの中間部に沿って配置されているフランジを有し、
前記標準的アウターシェルは、特定の長さを有し、
前記改変されたインサートは、前記標準的インサートに対して短くなっており、その後部の周囲に配置されている前記フランジを有する、
請求項10に記載のバックプレーンコネクタキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の主題は、一般に光コネクタに関し、より具体的には、バックプレーンとシステムシャーシエンクロージャとの間で光ファイバを引き回すための追加のスペースを提供する光ファイババックプレーンコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
バックプレーンコネクタキットは周知であり、例えばVITA 66.5コネクタキットを含む。このバックプレーンコネクタキットは、プラグインモジュールカードに配置される光ファイバトランシーバのMTインターフェースに、または相手側MTケーブルアセンブリに接続するためにバックプレーンを通過するMT光ファイバケーブルアセンブリを収容する。図5を参照すると、先行技術のバックプレーンコネクタキット500が示されている。バックプレーンコネクタキット500は、固定アウターシェル501、浮動インサート502、リテーナ503、および他の構成要素を含む。インサートは、アウターシェルとバックプレーン開口部との間で横方向に浮動可能であるように、それらの間に挟み込まれる。
リテーナは、MTケーブルアセンブリ504を浮動インサート内に固定し、位置合わせピン505を用いてインサートと位置合わせされる。設置されたケーブルアセンブリは、MTフェルールを含み、またこれは、MT-MT間嵌合インターフェースを支持する機械力を提供するばね506を含む場合がある。
【0003】
通常、プラグインモジュールを有するバックプレーンベースのシステム(VPXまたはOpenVPXシステムなど)は、システムシャーシ/エンクロージャ内に格納される。バックプレーンとシャーシエンクロージャとの間のスペースは、限られる場合がある。
【0004】
出願人は、特定のアプリケーションにおいて、設置された光ファイバケーブルが直角(90°)に曲がる可能性に適応するために、コネクタの後方にスペースが必要とされることを認識している。具体的には、出願人は、光ファイバケーブルアセンブリが、バックプレーンにおける別のカードスロット位置への、またはエンクロージャを通したシステムI/Oインターフェースへの引き回しのために、バックプレーンの後方で直角に曲がることを必要とし得ることを認識している。しかしながら、システム構成によっては、バックプレーンとエンクロージャの内面との間のスペースが限られる場合がある。背景として、既存の標準的なコネクタ構成は、相手側コネクタおよびトランシーバがプラグインモジュールpcボードへと延びるスペースを最小化するように設計される。結果として、信頼性を確保するべく、突出するバックプレーンコネクタおよび光ファイバの最小曲げ半径の両方に適応するために、相当なスペースがバックプレーンの後方に必要とされる。
【0005】
出願人は、必要とするバックプレーンの後方のスペースがより小さくなるように新規なコネクタが開発されることもあり得るが、異なるスペース制約を有するアプリケーションについて別個の設計を行うことは、現実的でもなく費用効果も低い場合があることを認識している。
【0006】
出願人はまた、従来のバックプレーンコネクタは現場で組み立てる必要があり、これは非効率的であり得ることを認識している。具体的には、標準的なコネクタを設置するための作業場での処理には、いくつかのステップが必要となる。まず、ユーザがアウターシェル内の浮動インサートの向きを調整し、次いでそれらをバックプレーンpcボードの装着側におけるそれぞれの開口部に配置する。次いで、装着ねじがボードの裏側から固定される。これには、ボードの一方側においてアウターシェルおよび浮動インサートを別個の部品として取り扱いつつ、他方側からねじを設置することが必要となる。次に、ユーザが、MTケーブルアセンブリをインサートに実装し、次いでリテーナを設置して、留めねじにより所定位置に固定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、出願人は、バックプレーンの後部に調節可能なクリアランスを有するバックプレーンコネクタ、および現場での組み立てを削減するバックプレーンコネクタが必要であることを明らかにした。本発明は、特にこれらの必要性を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0008】
出願人は、MT嵌合インターフェースをバックプレーンに対して前方に移動させるためのスペーサ構成要素を含むバックプレーンコネクタキットを開発した。これは、バックプレーンの後方で、すなわちバックプレーンとシステムシャーシエンクロージャとの間で光ファイバを引き回すための追加のスペースを提供する。一実施形態において、このスペーサは、標準的なバックプレーンコネクタ構成要素の使用を可能とする。
【0009】
本発明の利点のうちの1つは、バックプレーン装着面に対して測定した場合の、新規な低背型の構成を形成する点である。また、一実施形態において、これは、この効果を実現するための新規な追加のスペーサ構成要素と共に、標準的なコネクタの既存のアウターシェル、浮動インサート、およびリテーナ構成要素を再利用する。よって、標準的な構成要素の特別なバリエーションが必要でない。加えて、スペーサ厚さを、所与のシステムアプリケーション内で利用可能なクリアランスに基づいて選択することができる。スペーサ厚さは、バックプレーンとエンクロージャとの間の利用可能なスペースに応じて適宜に最適化されてよい。換言すると、他の構成要素は共通なままでありながら、異なる厚さのスペーサが用いられてよい。これは、異なるスペース制約を有するアプリケーションをサポートする柔軟性を提供する。
【0010】
新規なスペーサ構成要素が提供する別の利点は、工場でサブアセンブリを予め構築することを可能とする点である。サブアセンブリは、アウターシェル、浮動インサート、およびスペーサからなる。次いで、ユーザは単純に、このユニット化されたサブアセンブリをバックプレーンに設置する。これにより、ユーザの作業場での処理が容易になり、加えて、設置の誤りのリスクが低減し得る。
【0011】
一実施形態において、前面および裏面を有し、孔を画定するバックプレーンに装着するように構成されているバックプレーンコネクタキットであって、前記前面は、孔の周囲に第1のフットプリントを画定し、第1のフットプリントは、第1のジオメトリを有し、バックプレーンコネクタキットは、(a)インサートと、(b)リテーナ長さを画定し、ケーブルアセンブリの少なくとも1つのフェルールを受け入れるように、かつインサートと結合することによりケーブルアセンブリをインサートに固定するように構成されているリテーナと、(c)第1のジオメトリを有するフットプリントに着座するように構成されている第2のジオメトリを有する第2のフットプリントを有し、インサートを受け入れてインサートがアウターシェル内で横方向に浮動することを可能とするように構成されているアウターシェルと、(d)(i)第1の端面および第2の端面を有し、キャビティおよび第1の端面と第2の端面との間の長さを画定する中空本体を少なくとも備える少なくとも1つのスペーサであって、(ii)第1の端面および第2の端面は、それぞれ第3のフットプリントおよび第4のフットプリントを画定し、第3のフットプリントおよび第4のフットプリントは、それぞれ第2のジオメトリおよび第1のジオメトリを有し、よって第3のフットプリントは、第1のジオメトリを有するフットプリントに着座し、第4のフットプリントは、第2のジオメトリを有するフットプリントに着座し、それにより、スペーサの第1の端部がバックプレーンの前面に着座し、スペーサの第2の端部がアウターシェルに着座することが可能となり、(iii)キャビティは、リテーナに結合した場合のインサートがキャビティ内で横方向に移動することを可能とするように十分に幅広く、(iv)長さは、スペーサが、インサートの少なくとも一部分と、リテーナ長さの50%以下がバックプレーンの裏面を越えて延びるようにリテーナの少なくとも十分な部分とを受け入れるように十分に長い、少なくとも1つのスペーサとを備える。
【0012】
ここで、添付の図面を参照して、本発明を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のバックプレーンコネクタキットの一実施形態の分解図である。
図2】部分的に組み立てられた図1のバックプレーンコネクタキットの分解図である。
図3】バックプレーンに組み付けられ接続された図1のバックプレーンコネクタキットの断面を示す図である。
図4】先行技術のバックプレーンコネクタを横に並べて図1の組み立て済みバックプレーンコネクタとの対照比較を示す図である。
図5】先行技術のバックプレーンコネクタの分解図である。
図6】本発明のバックプレーンコネクタの異なる実施形態の断面図である。
図7】本発明のバックプレーンコネクタのさらに別の実施形態の断面図である。
図8】本発明の「積層可能」なスペーサの実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1図3を参照すると、本発明のバックプレーンコネクタキット100の一実施形態が示されている。キット100は、前面150aおよび裏面150bを有し、孔151を画定するバックプレーン150に装着するように構成される。前面は、孔の周囲に第1のフットプリント152を画定し、第1のフットプリントは、第1のジオメトリを有する。
【0015】
バックプレーンコネクタキットは、(a)インサート101と、(b)リテーナ長さ(RL)を画定し、ケーブルアセンブリ181の少なくとも1つのフェルール180を受け入れるように、かつインサートと結合することによりケーブルアセンブリをインサートに固定するように構成されているリテーナ102と、(c)第1のジオメトリを有するフットプリントに着座するように構成されている第2のジオメトリを有する第2のフットプリント103aを有し、インサートを受け入れてインサートがアウターシェル内で横方向に浮動することを可能とするように構成されているアウターシェル103と、(d)スペーサ104とを備える。
【0016】
スペーサ104は、(i)第1の端面105aおよび第2の端面105bを有し、キャビティ106および第1の端面と第2の端面との間の長さ(L)を画定する中空本体105を少なくとも備え、(ii)第1の端面および第2の端面は、それぞれ第3のフットプリント107および第4のフットプリント108を画定し、第3のフットプリントおよび第4のフットプリントは、それぞれ第2のジオメトリおよび第1のジオメトリを有し、よって第3のフットプリントは第1のジオメトリを有するフットプリントを伴い、第4のフットプリントは第2のジオメトリを有するフットプリントに着座し、それにより、スペーサの第4のフットプリントがバックプレーンの第1のフットプリントに着座し、スペーサの第3のフットプリントがインサートの第2のフットプリントに着座することが可能となり、(iii)キャビティは、リテーナに結合した場合のインサートがキャビティ内で横方向に移動することを可能とするのに十分な幅(W)を有し、(iv)長さLは、スペーサが、インサートの少なくとも一部分と、リテーナ長さRLの50%以下がバックプレーンの裏面を越えて延びるようにリテーナの少なくとも十分な部分とを受け入れるように十分に長い。
【0017】
これらの特徴の各々を、選択された代替的実施形態と共に、下記でより詳細に説明する。
【0018】
図1図3はまた、当技術分野において公知の様々な留め具160、位置合わせピン161、およびダストキャップ162を開示する。図3はまた、バックプレーン150、およびプラグインモジュールPCボード191に装着されたトランシーバ190の両方に接続された組み立て済みバックプレーンコネクタを示す。
【0019】
本発明の一実施形態の重要な特徴は、スペーサである。スペーサは、リテーナの後部とシステムエンクロージャとの間の距離を増大させるように機能する。この目的で、スペーサは、リテーナをバックプレーンに対して前方に移動させる。スペーサがリテーナをバックプレーンに対して前方に移動させる程度は変動可能であり、一般にバックプレーンとシステムエンクロージャとの間の利用可能なスペースに依存する。換言すると、バックプレーンとシステムエンクロージャとの間のスペースが比較的小さいシステムにおいては、リテーナをバックプレーンに対してより前方に、すなわちシステムエンクロージャからより遠くに配置するために、スペーサをより長くする必要があり得る。
一実施形態において、スペーサの長さLは、スペーサが、リテーナ長さRLの50%以下、または25%以下がバックプレーンの裏面を越えて延びるか、またはバックプレーンの裏面を越えて延びる部分がないようにリテーナの少なくとも十分な部分を受け入れるように、十分に長い。一実施形態において、スペーサは、リテーナの全体を受け入れる。一実施形態において、スペーサは、リテーナがバックプレーンの前面の前方にあるようにリテーナ全体を受け入れる。
【0020】
図4を参照すると、本発明のバックプレーンコネクタ100の対照比較が、先行技術のバックプレーンコネクタ400と比較されている。図示のように、バックプレーン150は、システムエンクロージャ402内にあり、そのため、バックプレーン150およびシステムエンクロージャの後方の距離Xが限られる。これは、先行技術のバックプレーンコネクタ構成において示すように、ケーブルアセンブリがシステムエンクロージャを通して出る先行技術の構成では問題とならない場合がある。しかしながら、ケーブルアセンブリがシステムエンクロージャから出ることができない場合、ケーブルアセンブリをシステムエンクロージャの内面に沿って延びるように曲げる必要がある。公知のように、ファイバは、鋭角な曲げを含まない最小曲げ半径を有する。
【0021】
しかしながら、バックプレーンコネクタ100は、リテーナを収容してバックプレーンに対して前方に移動させるためのスペーサ104を備えるので、このときスペースXは、ケーブルアセンブリの適切な曲げを可能とするために利用可能となる。他方、先行技術のバックプレーンコネクタ400を参照すると、リテーナ403は、バックプレーンコネクタから後方に延び、そのため、ファイバを曲げるためのゆとりが小さいかまたはない。
【0022】
図1図3の本実施形態においては、バックプレーンの前方における本発明のバックプレーンコネクタの延長した長さに適応するために、プラグインモジュールカード191の部分401が取り除かれていることに留意されたい。
【0023】
一実施形態において、スペーサ104は、図8に示すように、1つまたは複数の積層可能な構成要素を備えてよい。本実施形態において、スペーサ104は、スペーサのサイズをカスタマイズするために互いにスナップ接続するように構成される。この目的で、スペーサ104は、一方の端面におけるプレス嵌めキャビティ801、および他方の面におけるポスト802を備える。一実施形態において、スペーサ4つのうちの1つはまた、一方の端面における位置合わせスロット803、および他方の端面における位置合わせピン804を備える。プレス嵌めキャビティは、ポストを受け入れるように構成され、位置合わせスロットは、位置合わせピンを受け入れるように構成される。したがって、ポストをプレス嵌めキャビティに、位置合わせピンを位置合わせスロットに挿入することにより、2つのスペーサを結合および位置合わせすることができる。2つのスペーサが図8に示されているが、構成可能なスペーサ長さを実現するために、任意の数のスペーサが互いにスナップ接続してよいことを理解されたい。
【0024】
一実施形態において、スペーサは、標準的なバックプレーンコネクタ構成要素の使用を容易にする。本発明のコネクタキットは、一方の端面におけるアウターシェルの着座ジオメトリおよび他方の端面におけるバックプレーンの着座ジオメトリを模倣するようにスペーサを構成することにより、標準的な構成要素の使用を容易にする。これにより、スペーサをそれら2つの間に挿入して、バックプレーンの前方におけるリテーナのためのスペースを提供することが可能となる。一実施形態において、リテーナ、インサートまたはアウターシェルのうちの少なくとも1つは、標準的な構成要素である。一実施形態においては、それらの構成要素のうちの少なくとも2つが標準的である。図1図3の実施形態においては、それらの構成要素のうちの3つ全てが標準的である。1つまたは複数の標準的なコネクタ構成要素と共にスペーサを使用することが可能となることは、在庫要件が低減し、構成要素を再設計する必要性が最小限になり、スペーサの早期採用が容易になるため、有益である。
【0025】
本明細書において用いられる場合、「標準的」なバックプレーン構成要素とは、公知のバックプレーン規格に準拠するものである。そのような規格は、周知であり、通常バックプレーンにおけるフットプリントのジオメトリを規定する。例えば、そのような規格としては、ANSI/VITA 67.3-2022、Connector Module Type A Backplane Aperture(ANSI/VITA 67.1-2019、図3.3.2-1による)、ANSI/VITA 67.3-2022、Connector Module Type B Backplane Aperture(ANSI/VITA 67.2-2020、図3.3.2-1による)、ANSI/VITA 67.3-2022、Connector Module Type C Backplane Aperture(図6.1.3.2-1による)、ANSI/VITA 67.3-2022、Connector Module Type D Backplane Aperture(図6.1.3.2-1による)、ANSI/VITA 67.3-2022、Connector Module Type E Backplane Aperture(図6.1.3.2による)、ANSI/VITA 67.3-2022、Connector Module Type F Backplane Aperture(図6.1.6.2-1による)、(ANSI/VITA 66.0-2016、図3.2.1-1)、ANSI/VITA 66.0-2016、図3.2.1-1:Full-Width Fiber Optic Interconnect Backplane Interfaceが挙げられる。
【0026】
標準的な構成要素の使用を容易にすることに加え、一実施形態において、本発明のスペーサは、バックプレーンコネクタの事前組み立てを容易にする。背景として、上記のバックプレーンコネクタは、上述のように、バックプレーンにおいて現場で組み立てる必要がある。しかしながら、本発明によれば、アセンブリを事前に組み立てることができる。一実施形態においては、工場で、シェル、インサートおよびスペーサが事前に組み立てられる。これは、シェル内でインサートを誤った向きにするユーザの誤りのリスクを回避する。一実施形態において、上述のように、スペーサは、構成要素を共に保持するシェルの1つの配置ポストを受け入れるプレス嵌めキャビティを含む。ユーザは単純に、シェル、インサートおよびスペーサのユニット化されたサブアセンブリをバックプレーン開口部の前側に配置する。
標準的なキットと同様に、ユーザは、コネクタ装着ねじをバックプレーンの裏側から組み付け、それらをシェルにねじ込む。同様に、ユーザは、MTケーブルアセンブリをインサートに実装し、次いでリテーナを設置して、留めねじを用いてインサートに固定する。
【0027】
図6を参照すると、本発明のバックプレーンコネクタキット600の別の実施形態が示されている。この実施形態は、インサート601が標準的インサートではない点で、図1図3の実施形態と異なる。より具体的には、キット600は、(a)インサート601と、(b)リテーナ長さ(RL)を画定し、ケーブルアセンブリの少なくとも1つのフェルールを受け入れるように、かつインサートと結合することによりケーブルアセンブリをインサートに固定するように構成されているリテーナ102と、(c)第1のジオメトリを有するフットプリントに着座するように構成されている第2のジオメトリを有する第2のフットプリント103aを有し、インサートを受け入れてインサートがアウターシェル内で横方向に浮動することを可能とするように構成されているアウターシェル103と、(d)スペーサ604とを備える。
【0028】
スペーサ604の機能は、スペーサ104の機能と同様である。具体的には、スペーサ604は、(i)第1の端面605aおよび第2の端面605bを有し、キャビティおよび第1の端面と第2の端面との間の長さ(L)を画定する中空本体605を少なくとも備え、(ii)第1の端面および第2の端面は、それぞれ第3のフットプリント607および第4のフットプリント608を画定し、第3のフットプリントおよび第4のフットプリントは、それぞれ第2のジオメトリおよび第1のジオメトリを有し、よって第3のフットプリントは第1のジオメトリを有するフットプリントに着座し、第4のフットプリントは第2のジオメトリを有するフットプリントに着座し、それにより、スペーサの第4のフットプリントがバックプレーンの第1のフットプリントに着座し、スペーサの第3のフットプリントがインサートの第2のフットプリントに着座することが可能となり、(iii)キャビティは、リテーナに結合した場合のインサートがキャビティ内で横方向に移動することを可能とするのに十分な幅(W)を有し、(iv)長さLは、スペーサが、インサートの少なくとも一部分と、リテーナ長さRLの50%以下がバックプレーンの裏面を越えて延びるようにリテーナの少なくとも十分な部分とを受け入れるように十分に長い。
【0029】
インサート601は、図1図3に示す標準的インサート101からわずかに改変されている。具体的には、標準的インサートはその中間部の周囲に配置されるフランジを有するが、改変されたインサート601は、その後部の周囲に配置されるフランジ601aを有する。
【0030】
図7を参照すると、本発明のバックプレーンコネクタキット700の別の実施形態が示されている。この実施形態は、インサート701およびリテーナ702の両方が標準的ではない点で、図1図3の実施形態と異なる。より具体的には、キット700は、(a)インサート701と、(b)リテーナ長さを画定し、ケーブルアセンブリの少なくとも1つのフェルールを受け入れるように、かつインサートと結合することによりケーブルアセンブリをインサートに固定するように構成されているリテーナ702と、(c)第1のジオメトリを有するバックプレーンフットプリント152に着座するように構成されている第2のジオメトリを有する第2のフットプリント703aを有し、インサートを受け入れてインサートがアウターシェル内で横方向に浮動することを可能とするように構成されているアウターシェル103と、(d)スペーサ704とを備える。
【0031】
スペーサ704は、インサート701と一体化され、アウターシェルまたはバックプレーンに着座しない点で、他の実施形態のスペーサと異なる。むしろ、これは単に、リテーナ702を前方に移動させるための物理的スペーサである。一実施形態において、スペーサ704は、(i)第1の端面705aおよび第2の端面705bを有し、キャビティおよび第1の端面と第2の端面との間の長さ(L)を画定する中空本体705を少なくとも備え、長さLは、スペーサが、インサートの少なくとも一部分と、リテーナ長さRLの50%以下がバックプレーンの裏面を越えて延びるようにリテーナの少なくとも十分な部分とを受け入れるように十分に長い。
【0032】
インサート701は、図1図3に示す標準的インサート101から改変されている。具体的には、一実施形態において、インサート701はスペーサ704と組み合わされ、フランジ704aがスペーサの後部から突出する。一実施形態において、インサートおよびスペーサは、一体に成形される。
【0033】
バックプレーンとシステムエンクロージャとの間の最小のスペースXは、バックプレーンベースのシステムにおいて珍しいものではない。本発明において用いられるアプローチ、すなわち専用のスペーサ構成要素の追加は、類似の光ファイバおよびRFのバックプレーンコネクタの製品および構成に潜在的に拡張され得る。これらは、特にVITA 66.5、Style C-HybridおよびStyle Dのコネクタを含む。
【0034】
加えて、物理接触インターフェースを有するMTフェルールが、標準的なバックプレーンコネクタにおいて現在用いられている。将来のアプリケーションは、レンズ付きインターフェースを有するMTフェルールを含み得る。スペーサありおよびなしの同様のバックプレーンコネクタキットが、レンズ付きMTフェルールを収容するように開発され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】