(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112784
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】皮膚処置装置
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016108
(22)【出願日】2024-02-06
(31)【優先権主張番号】2301777.5
(32)【優先日】2023-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】516165778
【氏名又は名称】アイパルス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IPULSE LIMITED
【住所又は居所原語表記】Office Block A, Bay Studios Business Park, Fabian Way, Swansea, SA1 8QB, GB
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート テリー ジョーンズ
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PC01
4C082PE03
4C082PG11
4C082PJ30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】広帯域光のパルスを発生する光脱毛装置に関する。
【解決手段】光パルス送出制御用の制御システムと光を被験者の皮膚に導き被験者の皮膚と接触する第1皮膚接触面を画定する固体材料の第1ライトガイドとを備え、固体材料を冷却する冷却装置が提供され、ヘッドが本体に着脱自在に設けられ、ヘッドは、本体に解放可能に取付ける後方端部と第2皮膚接触面を画定する前方端部に延びる前方端部を備え、前後端部の間に延びて光パルス伝送チャンネルを画定する第2ライトガイドを備え、第2皮膚接触面が光パルス伝送チャンネルへの開口部を画定し、第2皮膚接触面が開口部周縁の少なくとも一部の周囲に延び、ヘッドが本体から取外された第1状態とヘッドが本体に取付けられた第2状態とで操作でき、第2状態で第1皮膚接触面が被験者の皮膚から離間し、光パルスが第1ライトガイドの固体材料と第2ライトガイドの光パルス伝送チャンネルの両方を通過する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の皮膚に光エネルギーパルスを供給する皮膚処置装置であって、
- 本体と、
- 光エネルギーパルスを放出するために本体内に収容された光源と、
- 光エネルギーパルスの供給を制御する制御システムと、
- 光源からの光エネルギーを被験者の皮膚に導くためのものであって、光エネルギーパルスが透過する固体材料から成り、前記固体材料は、被験者の皮膚と接触するための第1の皮膚接触面を画定する第1のライトガイドと、
- 前記固体材料を冷却するための冷却装置と、
- 前記本体に取付け、取外し可能に設けられたヘッドと
を備え、
前記ヘッドは、前記本体に解放可能に取付けるための後方端部を含んでいて第2の皮膚接触面を含む前方端部まで延びており、且つ前記ヘッドは、前記前方端部と前記後方端部との間を延びている光エネルギーパルス伝送チャンネルを画定する第2のライトガイドを更に含み、前記第2の皮膚接触面は、前記光エネルギーパルス伝送チャンネルへの開口部を画定しており、前記第2の皮膚接触面は、前記開口部の周縁の少なくとも一部の周囲を延びており、
前記皮膚処置装置は、前記ヘッドが本体から取り外された第1の状態と前記ヘッドが前記本体に取り付けられた第2の状態とで操作可能であり、前記第2の状態では、第1の皮膚接触面が被験者の皮膚から離間し、光エネルギーパルスが第1のライトガイドの固体材料と第2のライトガイドの光エネルギーパルス伝送チャンネルとの両方を通過する
皮膚処置装置。。
【請求項2】
前記皮膚処理装置は、前記ヘッドがハウジングに取り付けられているか、前記ハウジングから取り外されているかを検出するように構成され、前記制御システムは、前記ヘッドが前記ハウジングに取り付けられているか、前記ハウジングから取り外されているかに応じて、皮膚処置装置の動作を変更するように構成されている請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項3】
前記制御システムは、複数の光エネルギーパルスの送出を制御し、光パワー出力の送出を制御するように構成され、前記制御システムは、更に、前記ヘッドがハウジングに取り付けられているか、又は前記ハウジングから取り外されているかに基づいて、前記光パワー出力の修正を引き起こすように構成され、前記光パワー出力は、前記皮膚処置装置から放出される1パルスあたりの光出力エネルギーを、連続するパルス間の時間で割ったものとして定義される請求項1に記載の皮膚治療装置。
【請求項4】
前記光パワー出力は、前記ヘッドが本体に取り付けられているときに大きくなる請求項3に記載の皮膚処置装置。
【請求項5】
前記光パワー出力は、前記ヘッドが本体に取り付けられているとき、1.5乃至3倍大きくなる請求項4に記載の皮膚処置装置。
【請求項6】
前記制御システムは、複数の光エネルギーパルスの送出を制御するように設けられ、前記制御システムは、更に、連続するパルスの送出間の期間を制御し、前記ヘッドが本体に取り付けられているか、本体から取り外されているかに基づいて複数の異なる時間周期から時間周期を選択するように構成されている請求項2に記載の皮膚処置装置。
【請求項7】
前記ヘッドが本体から取り外されているとき、時間周期がより長くなっている請求項6に記載の皮膚処置装置。
【請求項8】
ヘッドが本体に取り付けられているか、本体から取り外されているかを検出する検出器を更に備えている請求項2に記載の皮膚処置装置。
【請求項9】
前記第1のライトガイドの固体材料がガラス又はサファイアから成っている請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項10】
前記第1のライトガイドは、所定の波長の光エネルギーをフィルタリングするフィルターを更に備えている請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項11】
前記光エネルギーパルス伝送チャンネルの大部分が貫通ボアから成っている請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項12】
前記第2の皮膚接触面が前記第2のライトガイドの光エネルギーパルス伝送チャンネルへの開口部の周囲に延びている周縁リムによって画定されている請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項13】
前記冷却装置は、熱電冷却システム(TEC)である請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項14】
前記TECは、熱電冷却器と熱交換器とこれらの間のヒートパイプから成っており、前記TECは、前記熱交換器に向けて空気を送るファンを更に含んでいる請求項13に記載の皮膚処置装置。
【請求項15】
前記第1のライトガイドの固体材料の温度を測定するように設けられた温度センサーを備え、前記制御システムは、測定された温度に基づいて前記冷却配置の動作パラメータを制御するようにアレンジされている請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項16】
前記制御システムは、測定された温度が閾値に達するか閾値を超えた場合、光パワー出力を低下するようにアレンジされている請求項15に記載の皮膚処置装置。
【請求項17】
前記制御システムは、前記測定された温度が閾値に達したか、又は閾値を超えた場合、光エネルギーパルスの送出を阻止するように構成されている請求項15に記載の皮膚処置装置。
【請求項18】
前記冷却配置は、第1と第2の作動可能な状態の両方で作動される請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項19】
前記ヘッドは、前記開口部に隣接して配置された複数のセンサーを備え、前記第2の作動可能な状態において、前記制御システムは、前記複数のセンサーからのセンサー出力を受信し、前記センサー出力に基づいて前記皮膚処置装置の動作を制御するようにアレンジされている請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項20】
前記本体は、前記第1の皮膚接触面に隣接して配置された複数のセンサーを備え、前記第1の状態において、前記制御システムは、前記複数のセンサーからセンサー出力を受信し、前記センサー出力に基づいて前記皮膚処置装置の動作を制御するようにアレンジされている、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記本体に固定するためのものであって、前記第1の皮膚接触面を部分的に覆い隠すように設けられたアダプターを更に備えている請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項22】
前記第2の皮膚接触面を含むヘッドの前方端部の少なくとも一部は、皮膚の形状に合わせて静止位置から偏向位置へ少なくとも部分的に移動可能である請求項1に記載の皮膚処置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚処置(治療)装置に関し、好ましくは、広帯域光の高強度パルスを発生する強力パルス光(Intense Pulsed Light=IPL)脱毛装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光パルスは、典型的には、パルスの形態の光エネルギーを供給するキセノンフラッシュランプを通してコンデンサに蓄積された電気エネルギーを放電することにより生成される。ランプからの光は、フィルターに通され、紫外線や青色領域の潜在的に有害な波長を除去する。その後、この光は、皮膚の処置(治療)部位に照射される。本装置から放出され、従って皮膚に到達する光エネルギーは「光出力エネルギー」と称されている。
【0003】
フラッシュランプを使用するIPL装置の場合、蓄積された電気エネルギーの光出力エネルギーへの変換効率は、一般的に20%から40%である。残りの60%から80%のエネルギーは、ランプと電子機器によって直接発生する廃熱となり、吸収(即ち、反射損失又は透過損失)により光路内のコンポーネント(例えば、ライトガイド、フィルター)内で消費される。
従って、
(放出される光エネルギーパルスあたり)使用される電気エネルギー = (放出される光エネルギーパルスあたり)出力される光エネルギー + 廃熱
となる。
【0004】
近似値として、キセノンフラッシュランプを使用するIPL装置の効率は、25%であると仮定される。即ち、廃熱/光エネルギー出力の比率は、3/1である。
【0005】
更に、光パワー(ワット)は、次のように定義される:
光パワー = 1フラッシュ(閃光)あたりの光出力エネルギー / フラッシュ間の時間
従って、この例では、廃熱パワー(ワット)は、次のようになる:
廃熱パワー = 3 * 光パワー
【0006】
一般的に、IPL装置は、比較的高い光パワーを有することが有益である。光出力が高いほど、装置は、高いフラッシュ(閃光)速度で1フラッシュあたり効率的なレベルのエネルギーを供給することができる。つまり、光出力が高い装置は、光出力が低い装置よりも、皮膚の所与の領域をより迅速に、及び/又は、より効果的に処置(治療)することができる。これは、脚、胸、背中の如き、処置すべき面積が広い身体部位に特に有用である。これらのパワー方程式及び例示の値から、1フラッシュあたりのエネルギーが高いほど、及び/又は装置のフラッシュ速度が速いほど、1秒あたりに発生する廃熱量(廃熱パワー)が大きくなることが理解できる。
【0007】
これは、装置自体の損傷や使用者の火傷を防ぐために廃熱を除去しなければならないために、IPL装置に問題を生じる。従って、典型的には、装置から発生するこの廃熱は、強制空冷システムによって除去される。この強制空冷システムは、装置内の小型電動ファンを含んでおり、このファンは、周囲の空気を装置内に取り込み、高温の内部部品(例えば、ランプ、リフレクターなど)に当ててから、ハンドセットから排気する。この強制空冷システムの熱除去能力は、ハンドセット構成部品の過熱を防止するために、装置の廃熱出力と同じか、それを上回るように設計されなければならない。
【0008】
光エネルギーパルスが実際に皮膚に照射されることを保証し、目にとって安全でないレベルを避けるために迷光放射を最小限に抑える必要があるため、装置は、皮膚に接触していなければならない(又は、知覚できないほど接近していなければならない)。迷光放射とは、光源から放射される光のうち、処置(治療)目的の皮膚領域で吸収されることを意図しているが、意図したターゲットを外れるか、ターゲットから反射又は再放射されるものと定義することができる。これは、装置から皮膚に廃熱が伝わるという問題がある。従って、装置が皮膚にどのように接触するかは、注意深く考慮されなければならない。既存の装置には、主に2種類の皮膚接触状態がある。
【0009】
タイプ1-非接触型-中空ライトパイプ
ランプから放出された光エネルギーパルスは、フィルターにかけられ、典型的には、フィルターと皮膚の間に位置するチューブ/チャンネルを画定する薄い反射性アルミニウム材料の壁から作られる中空の「光パイプ」を通って皮膚に伝達される。光パイプは中空であるので、ランプによって生成された光エネルギーパルスは、皮膚に当たるまで光パイプ内の空気を通過する。このアレンジメントの利点は、第1に、アルミニウム製ライトパイプが安価に製造できることである。第2には、光が空気を通過して皮膚に当たるので、皮膚に接触する直接光エネルギー伝達経路には、伝達損失により高温になる固体媒体が存在せず、従って、皮膚接触材料が低温を維持するための複雑な冷却アレンジメントが不要である。
【0010】
このようなタイプ1の装置は、比較的高い光出力を発することができ、典型的には、20Wのオーダーである。これは、パルス繰り返し率が高いため、脚や背中の如き身体の広い範囲を比較的早く処置することができることを意味する。しかし、このようなタイプ1の機器は、脇の下やビキニエリアの如き小さくて熱に敏感な部位にはあまり有益ではない。従って、タイプ2の機器が便利である。
【0011】
タイプ2 - 接触型 - 固体(ソリッド)ライトガイド
ランプから発生した光は,フィルターにかけられ、作動時に皮膚に接触する固体(中実)ライトガイドを通して皮膚に伝達される。ライトガイドは、典型的には、ガラス又はサファイアの如き透明な材料で作られている。
【0012】
固体ライトガイド材料は、光エネルギーパルスの放出毎の間、透過損失と伝導とにより加熱される。固体ライトガイドが特に冷却されない場合には、最終的に皮膚に痛みを与えるか有害な温度に達する可能性がある。従って、固体ライトガイドは、典型的には、サーモエレクトリック冷却システム(TEC)と組み合わせて使用され、ライトガイドから熱を抽出して冷却し、通常の皮膚温度以下で皮膚に冷却効果を与えるように作用することができる。このTECシステムは、装置にさらなる費用、複雑さ、大きさ、重さを付加する。サーモエレクトリック装置自体も、また、追加の廃熱を発生し、この廃熱は、強制空冷システムによって排気されなければならない。
【0013】
この装置の光出力が高ければ高いほど、固体ライトガイドへの廃熱入力は高くなり、従って、ライトガイドを冷却するために必要なTECパワーも高くなり、装置に更に大きなレベルの費用と、大きさと、複雑さとが加わる。典型的なタイプ2の装置の最大光出力は、8Wである。TECシステムのパワー、サイズ、費用は、光パワーに比例して増加しなければならない。そのため、ある光パワーに対して、タイプ2の装置は、タイプ1の装置よりも大きく、重く、高価になる。しかし、固体ライトガイドは、透過効率が高く、重要なこととして、通常の皮膚温度以下に冷却できるという大きな利点がある。これにより、処置(治療)される皮膚の表面が冷却され、処置がより安全で痛みが少なくなる。これは、脇の下やビキニエリア(bikini areas)エリアの如き敏感な部分には特に有効である。
【0014】
従って、タイプ1(非接触型)の装置(機器)は、所定の処理フルエンスに対して高速処理する高光出力装置に適しており、脚や背中の如き大きな身体部位の処理に適していることが明らかである。タイプ2(接触型)のシステムは、サファイアライトガイドを皮膚温度以下に冷却することができるため、敏感な部位(脇の下やビキニエリアなど)の処置に適している。これにより、処置中の皮膚表面が冷却され、処置(治療)時の痛みが軽減される。
【0015】
注目すべきことであるが、最も敏感な体の部位(脇の下やビキニエリア)は、比較的小さいため、これらの部位に対するタイプ2システムの出力やスピードが低くても大きな問題にはならない。
【0016】
従って、タイプ1とタイプ2の処理による有益な効果を可能にするためには、複数の装置が必要となるが、これは、非現実的で高価であり、特に家庭用の用途では、ほとんどの場合実行の可能性がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記の欠点に対処するか、少なくとも有用な代替手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、被験者の皮膚に光エネルギーパルスを供給するための皮膚処置装置が提供され、この皮膚処置装置は、
- 本体と、
- 光エネルギーパルスを放出するために本体内に収容された光源と、
- 光エネルギーパルスの供給を制御する制御システムと、
- 光源からの光エネルギーを被験者の皮膚に導くためのものであって、光エネルギーパルスが透過する固体材料から成り、前記固体材料は、被験者の皮膚と接触するための第1の皮膚接触面を画定する第1のライトガイドと、
- 前記固体材料を冷却するための冷却装置と、
- 前記本体に着脱自在にアレンジされたヘッドであって、前記ヘッドは、前記本体に解放可能に取付けるための後方端部を含んでいて第2の皮膚接触面を有する前方端部まで延びており、前記ヘッドは、前記前方端部と前記後方端部との間に延びていて前記第2の皮膚接触面が光エネルギーパルス伝送チャンネルへの開口部を画定する第2のライトガイドを更に含み、前記第2の皮膚接触面は、前記開口部の周縁の少なくとも一部の周囲に延びているヘッドとを備え、
前記ヘッドが前記本体から取り外された第1の状態と、前記ヘッドが前記本体に取り付けられた第2の状態とで操作可能であり、前記第2の状態では、前記第1の皮膚接触面が被験者の皮膚から離間し、光エネルギーパルスが前記第1のライトガイドの固体材料と前記第2のライトガイドの光エネルギーパルス伝送チャンネルとの両方を通過する
装置である。
【0019】
従って、この装置は、サイズ、コスト、重量を増加することなく、使用者による簡単な再設定で、第2の状態のタイプ1のシステム(高出力、高速)と第1の状態のタイプ2のシステム(安全、低い痛み)の利点を兼ね備えている。
【0020】
ヘッドが本体に装着された状態では、ヘッドが第1の皮膚接触面を皮膚から離間させることにより、第1の皮膚接触面と(ヘッドの前縁によって画定される)第2の皮膚接触面との間に第2のライトガイドが画定される。従って、ヘッドが本体に装着された状態では、第1の皮膚接触面は、第2の皮膚接触面の後方にある。
【0021】
ヘッドの第2の皮膚接触面は、有益には、出力窓を画定している。この第2の皮膚接触面は、好ましくは、第2のライトガイドへの開口部の周囲に延びる周辺リムによって画定される。
【0022】
装着状態では、光源から前方端(従って皮膚)までの光エネルギー伝達経路は、第1と第2のライトガイドを通ることは、理解されることと思う。
【0023】
第2の状態では、第2のライトガイドは、ヘッドによって画定され、光エネルギーは、第1のライトガイドの固体材料の皮膚接触面から皮膚に向かって導かれることが理解されることと思う。
【0024】
本装置は、ヘッドがハウジングに取り付けられているか、ハウジングから取り外されているか否かを検出するように構成されている。検出器が設けられるのが有益である。この検出器は、ヘッド内のマイクロプロセッサとの通信を決定するように構成されている制御システムであることが有益である。
【0025】
光エネルギーパルス伝送チャンネルは、好ましくは、開口部から後方端部に向けて延びる孔(bore)から成っている。この孔は、開口部から後方端部まで全長にわたって延びていてもよい。
【0026】
冷却アレンジメントは、熱電冷却システム(TEC)であるのが有益である。この冷却システムは、第2の状態では、第1の皮膚接触面が皮膚から離れていて第1の皮膚接触面の冷却が不要であるため、第1の状態のみで作動可能とすることができる。TECは、好ましくは、熱電冷却器と、熱交換器と、これらの間の熱パイプとを含んでおり、このシステムは、熱交換器に空気を向けるためのファンを更に備えている。
【0027】
好ましくは、本装置は、ヘッドがハウジングに取り付けられているか、又はハウジングから取り外されているか否かを検出するように構成され、制御システムは、ヘッドがハウジングに取り付けられているか、又はハウジングから取り外されているかに基づいて、皮膚処置(治療)装置の動作を変更するように構成されている。
【0028】
制御システムは、好ましくは、複数の光エネルギーパルスの供給を制御して光パワー出力の供給を制御するように構成され、この制御システムは、更に、ヘッドがハウジングに取り付けられているか、又はハウジングから取り外されているかに基づいて、光パワー出力に変更を生ずるように構成され、光パワー出力は、装置から放出される1パルスあたりの光出力エネルギーを連続するパルス間の時間で割ったものとして定義される。従って、光パワー出力の値は、、有益に変更される。本装置は、好ましくは、使用者の入力なしに装置の動作を変更することが可能である。これは、使用者に安全上の利点を提供する。従って、制御システムは、ヘッドが本体に取り付けられているか否かに応じて、装置の動作方法を変更することができる。光パワー出力は、好ましくは、ヘッドが本体に装着されているときに大きくなり、ヘッドが本体に装着されているときにこの光パワー出力が1.5乃至3倍大きくなることがある。
【0029】
制御システムは、好ましくは、複数の光エネルギーパルスの送出を制御するようにアレンジされ、更に、制御システムは、連続するパルスの送出間の時間周期を制御し、ヘッドが本体に取り付けられているか、又は本体から取り外されているかに基づいて複数の異なる時間周期から時間周期を選択するように構成されている。好ましくは、ヘッドがハウジングから取り外されているとき、時間期間は、より短くなる。これは、ヘッドがハウジングに取り付けられた状態では、光エネルギーパルスの繰り返し率が高くなることを意味する。従って、装置の使用者は、ヘッドを本体に取り付けた状態で、より大きな身体領域をより速く処置(治療)することができる。
【0030】
光パワー出力は、1パルスあたりの光出力エネルギーを変更することによって変更できることも理解されることと思う。光エネルギーパルスは、典型的には、光エネルギー源上のコンデンサを放電することによって放出される。例えば、コンデンサの電圧を変更することにより、光源から放出される光出力エネルギーを変更することができる。
【0031】
ヘッドが装着された第2の状態では、光パワー出力がより高く、例えば、20Wとなり、全光エネルギー出力が18Jの場合、光エネルギーパルスの照射間隔は0.9秒となる。第1の状態でヘッドが取り外された場合、光パワー出力は、例えば、6Wであり、この場合、全光エネルギー出力が18Jのとき、光エネルギーパルスの照射間隔は、3秒となる。これらの例示的な値では、第1と第2のライトガイドの断面積が3cm2である場合、合計エネルギーは、18Jの出力であり、6J/cm2のフルエンスが得られる。このフルエンスレベルのIPL脱毛装置の典型的なパルス持続時間は、0.5ミリ秒から2.5ミリ秒の範囲である。
【0032】
本装置は、好ましくは、非作動状態(非作動構成)と作動状態(作動構成)との間で切り替え可能な使用者入力トリガーを更に備え、作動状態は、光エネルギーパルスの放出を作動する状態であり、制御システムは、使用者入力トリガーを作動位置に維持すると、パルス繰り返し周波数で複数の光エネルギーパルスが放出せしめられるようにアレンジされている。従って、この装置は、使用者入力に応じて異なる方法で作動可能である。使用者が使用者入力トリガーを押し続けると、光エネルギーパルスが制御システムによって制御される最大許容繰り返し周波数で連続して放出される。使用者入力トリガーが押されたり、離されたりする場合、連続パルスが放出される時間に達する前に離された場合、単一パルスが放出されることもある。連続パルスは、使用者入力トリガーが再び押し下下られたときに、その期間が満たされていることを条件として発することができる。
【0033】
第2の状態では、第1と第2のライトガイドの組み合わせが、光源から被験者の皮膚への光エネルギーパルスの経路の少なくとも一部を画定することが理解されることと思う。
【0034】
第1のライトガイドの固体材料は、光を透過することができることが理解されることと思う。この第1のライトガイドの固体材料は、好ましくは、ガラス又はサファイアから成っている。
【0035】
第2のライトガイドの光エネルギーパルス伝送チャンネルは、好ましくは貫通ボア(穴)から成っており、好ましくは、光エネルギーパルス伝送チャンネルの全体が貫通ボアである。光エネルギーパルス伝送チャンネルは、好ましくは、チャンネル壁によって画定され、チャンネルは、エアギャップを構成している。このチャンネル壁は、チャンネルを通して光エネルギーパルスを案内するものであり、反射性であるのが有益である。第2のライトガイドは、有益には、中空ライトガイドである。別の同等の用語として、第2のライトガイドは、ライトパイプである。チャンネル壁は、アルミニウムで構成されていてもよい。
【0036】
第1のライトガイドの材料は、光源と皮膚接触面との間の距離の全体に延びていなくてもよい。従って、光源と材料との間に隙間があってもよい。第1のライトガイドは、好ましくは、光エネルギーの所定の波長をフィルタリングするためのフィルターを更に備えている。このフィルターは、好ましくは、470乃至650nmの範囲のカットオン値を有する。このフィルターは、固体材料上のコーティングから構成されていてもよい。その代わりに、、このフィルターは、光源と固体材料との中間にある固体材料とは別個の構成要素から構成されていてもよい。
【0037】
好ましくは、本装置は、第1のライトガイドの固体材料の温度を測定するように配置された温度センサーを更に含んでおり、制御システムは、測定された温度に依存して冷却装置の動作パラメータを制御するように設けられている。制御システムは、好ましくは、測定された温度が閾値に達するか、又は閾値を超える場合、光パワー出力を低下するようにアレンジされている。制御システムは、測定された温度が閾値に達するか、又は閾値を超える場合、光エネルギーパルスの送出を阻止するように構成されてもよい。
【0038】
冷却装置は、好ましくは、第1及び第2の操作可能状態の両方で作動される。この冷却装置は、第2の作動可能状態で、低いパワーモードで作動されてもよい。
【0039】
好ましくは、ヘッドは、開口部に隣接して配置された複数のセンサーを備え、第2の状態において、制御システムは、複数のセンサーからセンサー出力を受信し、このセンサー出力に基づいて装置の動作を制御するようにアレンジされている。
【0040】
本体は、好ましくは、第1の皮膚接触面に隣接して配置された複数のセンサーを備え、第1の状態では、制御システムは、複数のセンサーからセンサー出力を受信し、このセンサー出力に基づいて装置の動作を制御するようにアレンジされている。第1の皮膚接触面に隣接して配置された複数のセンサーは、ヘッドによって隠されるか、又はヘッドが本体に取り付けられた第2の状態では動作不能である。
【0041】
本装置の動作を制御することは、フラッシュランプが光エネルギーパルスを放射できるか否かを決定することと、そのパルスの特性(例えばフルエンス)を決定することの一方又は両方を含んでいてもよい。
【0042】
本装置は、第1の皮膚接触面を部分的に覆い隠すように配置されて、本体に固定するためのアダプターを含んでいてもよい。これによって、より小さな身体領域の処置(治療)に容易に使用することができる。
【0043】
第2の皮膚接触面を構成するヘッドの前方端部の少なくとも一部は、好ましくは、皮膚の形状に合わせて静止位置から偏向位置まで少なくとも部分的に移動可能である。
【0044】
光源は、フラッシュランプ、好ましくはキセノンフラッシュランプである。
【0045】
皮膚処置装置は、有益には、手持ち型の皮膚処置(治療)器である。本体は、有益には、使用者によって把持されるように設けられている。
【0046】
以下、本発明の態様を、添付図面のみを参照して説明する:
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】
図1aは本発明の例示的実施形態による装置をヘッドが取り付けられた状態で示す概略透視図、
図1bは本発明の例示的実施形態による装置をヘッドが取り外された状態で示す概略透視図である。
【
図2】
図2aは本発明の例示的実施形態による装置をヘッドが取り付けられた状態で示す概略断面図、
図2bは本発明の例示的実施形態による装置をヘッドが取り外された状態で示す概略断面図である。
【
図3】
図3aは本発明の例示的実施形態による装置をヘッドが取り付けられた状態で示す概略透視図、
図3bは本発明の例示的実施形態による装置をヘッドが取り外された状態で示す概略透視図である。
【
図4】
図4aは本発明の例示的実施形態による装置をヘッドが取り付けられた状態で示す概略透視図、
図4bは本発明の例示的実施形態による装置をヘッドが取り外された状態で示す概略透視図である。
【
図5】
図5は、アダプターを有する本発明の他の例示的実施形態による装置の概略透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1aを参照すると、本発明の例示的な実施形態の概略透視図があり、此処に提示されているのは、使用者の手で受け取られるようにしたハウジング/本体4を有するIPL装置2である。この装置は、コード6を介して主電源に接続され、操作を生じさせる押しボタン8の形態の使用者操作トリガーを備えている。ハウジングには、熱気を排出するための通気口10が設けられている。ハウジング4の前方端11には、ハウジング4に対してヘッド12が取り付けられているのが示されている。このヘッドは、ハウジング4に対して取り付け、取り外しができるように配置された後方端部14aと、光エネルギーパルスが透過する出力窓18を取り囲む周縁リムの形態の(第2の)皮膚接触面16を画定する前方端部14bとを備えている。出力窓18は、ヘッド12への開口部であり、具体的には、光エネルギーパルスを出力窓18を通して使用者の皮膚に導くための、アルミニウム製チャンネル壁から成っているチャンネルの形態の第2のライトガイド20への開口部である。このチャンネルは、前方端14bから後方端14aまでヘッド全体を貫通して延びる貫通ボア(穴)から構成されていてもよい。皮膚接触面16には、使用者の皮膚との接触を判定するために1つ以上のセンサーが設けられており、このセンサーから装置2の動作を制御するための出力が制御システムに送信される。ヘッド12がハウジング4に取り付けられた状態では、装置は、本体4の先端が使用者の皮膚に物理的に接触していない状態(configuration)で操作可能であり、この状態では、皮膚に接触するのは、むしろヘッドの周辺縁である。
【0049】
次に、
図1bを参照すると、ヘッド12は、ハウジング4から取り外されている。従って、装置2は、ヘッド12が存在しない第1の状態(構成)で操作可能である。ハウジング4の前方端部は、ヘッド12を受け取る形状を有しており、第1の皮膚接触面28を有する材料26から成っている第1のライトガイド24を備えている。動作中、材料26から成っている第1の皮膚接触面28が皮膚と接触し、
図2に関して更に説明するように冷却効果を提供する。
【0050】
次に、
図2aを参照すると、本発明の例示的な実施形態の断面図であってヘッド12が示されており、このヘッド12は、ハウジング4と連通した状態(
図2a)、及びヘッド12がハウジング4から取り外された状態(
図2b)で示されている。本装置は、コンデンサの形態の電荷蓄積装置30と、フラッシュランプ34にコンデンサを放電する動作を含む装置の動作を制御するための制御システム32とを備えている。更に、フラッシュランプ34を横切って冷却空気を通気口10から送り出すためのファン36が設けられている。
図2bを参照すると、破線24で表された第1のライトガイドが、フラッシュランプ34と第1の皮膚接触面28との間に画定されている。第1のライトガイド24は、典型的にはガラス又はサファイアである固体(中実)材料26から成っており、その後縁には、フラッシュランプ34によって本質的に放出される紫外線及び青色波長域の最も有害な波長光をフィルタリングするフィルター28を有し、このフィルターは、材料26上のコーティングとすることができる。この第1のライトガイドは、固体材料26が配置されるチャンネル39を画定する光反射壁から成っている。固体材料26は、この壁に衝合しているため、光エネルギーパルスは、固体材料を通過する必要がある。
【0051】
ヘッド12がハウジング4から取り外された第1の操作可能な状態での装置の操作中、固体材料26は、フラッシュランプ34からの各エネルギーパルスの放出中に、伝送損失と伝導とにより加熱される。材料26を冷却しないと、材料が皮膚に痛いか有害な温度に達する可能性がある。従って、装置2は、ペルチェ40の如き熱電冷却器、ヒートパイプ42及び熱交換器44から成る熱電冷却システム(TEC)の形態で材料26を冷却するための冷却装置を更に含んでいる。ファン36は、熱交換器44を横切って空気を駆動する。空気入口46は、熱交換器44への冷却空気の通過を可能にするためにハウジングに設けられている。固体材料26を使用することの重要な利点は、通常の皮膚温度より低い温度まで冷却できることであり、これは、材料26の皮膚接触面28が皮膚を冷却することを意味し、脇の下やビキニエリアの如き敏感な処置(治療)領域にとって特に有益である。
【0052】
ヘッド12の後方端14aは、コネクタ50を介してハウジング4の先端部分に取り付けられるようになっている。図示の実施形態では、コネクタ50は、ヘッド12の後方端部14aから外側に延び、ハウジング4の前方端部の対応する開口に着座する。コネクタ50とハウジングとが係合すると、ヘッド12がハウジング4に結合される。機械的又は磁気的な取り付け機構の如き、係合を可能にする付加的又は代替的な接続部を設けてもよい。ヘッド内に存在する電子機器(以下に更に説明する)は、コネクタ50によってヘッドが取り付けられた状態で制御システムに結合される。
【0053】
本装置は、ヘッドが本体(ハウジング)に取り付けられていること、及び/又はヘッドが本体(ハウジング)から取り外されていることを判断し、装置の動作を変更することができる。これは、例えば、センサー出力や、ヘッドに設けられた電子機器間の電気的接続の検出によって達成することができる。動作パラメータは、典型的には、パワーであり、制御システムは、ヘッドが取り付けられた状態で、ヘッドが取り外された状態での光出力と比較して、より高い出力パワーを出力することができる。ヘッドが取り外された第1の状態では、一例として、光パワーは、6Wの低い値である。このパワーを生成するため、光パワーは、18Jで、フラッシュ間を3秒で出力される。18Jは、3cm2の処置(治療)に対して6J/cm2である。TECは、皮膚接触面28が皮膚を冷却するように固体材料26の温度を制御するのに適したパワーで動作する。ヘッドをハウジングに取り付けた第2の操作状態では、比較的高い光パワーを出力することができる。例えば、20Wは、18Jとフラッシュ間0.9秒によって生成することができ、この18Jは、3cm2の処置(治療)領域に対してこれも6J/cm2とすることができる。この第2の操作状態では、TECは、皮膚からの第1の皮膚接触面28の間隔に起因して、スイッチオフされるか、又は(光パワーと比較して)低いパワーで動作することができる。
【0054】
図2に戻ると、ヘッド12は、使用時に皮膚に接触する第2の皮膚接触面16を画定している。第2のライトガイドは、第1の皮膚接触面28と第2の皮膚接触面16との間に画定される。第2のライトガイドは、光エネルギーパルスのためのチャンネル又は通路を画定する反射壁52を含んでいる。チャンネルは、エアギャップであり、第2のライトガイドは、ライトパイプと呼ばれることもある。典型的なライトガイドは、チャンネルを画定する反射アルミニウム壁で構成され、皮膚に接触可能な固体媒体を有していない。第2の皮膚接触面は、ヘッド12の先端の周縁部である。
【0055】
次に、
図3a及び
図3bを参照すると、本発明の例示的な実施形態による装置の透視図が示され、ヘッド12を取り付けた状態(
図3a)とヘッド12を取り外した状態(
図3b)が正面で示されている。本発明による装置では、フラッシュランプからのエネルギーパルスの放射を可能にする前に、良好な皮膚接触が要求されることが重要である。良好な接触とは、光出力領域が皮膚によって十分に覆われ、いかなる迷光放射も有害なレベル以下である状態と定義することができる。このように、安全機能は、装置が使用者の皮膚と接触していない限り、装置が放射線を放出しないように実装され、目にとって安全でないレベルの可能性がある動作中の装置からの迷光放射を最小限に抑える。これは、通常、出力窓の各側(例えば、長方形の出力窓の上、下、両側)に隣接して複数のセンサーを装置のヘッドに設けることによって達成される。一つのセンサーが閾値を測定しない場合、装置の制御システムによって皮膚接触がないと判断され、発射が阻止される。これは、皮膚との良好な接触が達成されないと、潜在的に有害なレベルの迷光放射が放出される危険性を伴う装置の発射を防止することである。迷光放射は、処置(治療)目的のために標的となる皮膚領域によって吸収されることを意図されるが、意図された標的を外れるか、標的から反射されるか、又は再放射される、装置によって放出される光と定義することができる。静電容量式接触センサーや近接センサーの如き、種々のセンサーを利用することができる。
【0056】
図3a及び
図3bに示すように、いずれの状態(ヘッドを装着した状態又は装着していない状態)においても、第1と第2のライトガイドの出口の周縁部に複数の静電容量式皮膚接触センサー60が配置される。センサー60は、ヘッド14の周縁部16の周囲に配置され、またヘッド14が取り外された状態では材料26の皮膚接触面28の周囲に配置される。これらのセンサーからの出力は、制御システムによって受信され、装置の制御は、センサー出力に依存して行われる。例えば、センサーから閾値静電容量が測定されたと仮定すると、皮膚との接触があり、エネルギーパルスの放出が安全であると判断されるので、装置の制御システムは、エネルギーパルスの放出を妨げることはない。(反射率を測定することができる)肌色センサー62の如き付加的なセンサーを設けてもよく、制御システムは、エネルギーパルスを放射することができるかどうかを制御するためにこの測定値を使用することができ、また、反射率(従って、決定された肌色)に基づいて放射される光エネルギーパルスのエネルギーを制御するためにも使用することができる。
【0057】
本発明の一つの実施形態では、出力窓の周縁の周囲に配置されていると説明したハウジングの前方端のセンサー60、62は、取り外し可能なカバーによって保持されて制御システムに接続するように配置されて、上述したのと同様に動作する。
【0058】
次に、
図4a及び
図4bを参照すると、
図4aではヘッドが取り付けられた状態で、また、
図4bではヘッドが取り外された状態で、本発明の例示的な実施形態による装置の概略透視図が示されている。この例示的な実施形態では(
図3aにも概略的に示されているように)、ヘッド12の前方端部の少なくとも一部は、移動可能とすることができる。ヘッド12の前方端部は、第2の皮膚接触面16を有している。皮膚接触面を有するヘッドの前方端部の少なくとも一部は、処置されるべき皮膚の形状に対応させるために、静止位置から偏向位置に少なくとも部分的に移動可能とすることができる。これは、例えば、皮膚の形状に適合するように互いに独立して偏向するように配置された1つ又は複数の突起(図示の実施形態では2つ示されている)66を備えることによって達成することができる。各突起は、センサー60、62を備えている。突起66又は突起66の各々は、ヘッド12の本体の対応する開口部に受け入れられるように設けられ、静止位置にある突起は、ヘッド本体の開口部から外側に延び、偏向位置では突起は、ヘッド本体の開口部に少なくとも部分的に引き込まれる。少なくとも1つの突起は、ばねによって静止位置に付勢されているのが有益であり、それぞれヘッド12の本体に対して枢動自在に取り付けられている。
【0059】
例示的な実施形態のいずれかによる装置は、第1のライトガイド24の材料26の温度を監視するように配置されていてもよく、制御システムは、測定値に基づいてTECの動作パラメータを制御するようになっていてもよい。抵抗性温度測定器の熱電対の如き適切な温度センサーを利用することができる。制御システム32は、連続パルスを放出するように使用者が装置を作動させる速度とは独立して、第1の皮膚接触面28の一定の材料温度を維持するようにTECの(ペルチェ電流の如き)パラメー タを制御するように構成されている。この温度モニタリングは、また、(連続する光エネルギーパルスの放出間の時間又は1パルスあたりのエネルギーのいずれかの修正を通して)光パワーを制御して、装置内で発生する廃熱の低減を補助したり、材料26が更に速く冷却されたりすることができるようにするのに使用することができる。更に、この温度モニタリングは、材料26の温度が所定の温度範囲内にない限り、制御システムが光エネルギーパルスの放出を阻止するようにも使用することができる。これは、安全な処置には温度が高すぎる場合には、光エネルギーパルスの放出が阻止されることを意味する。これは、装置が最初にスイッチオンされたとき、又は第2の動作状態から第1の動作状態に移行するとき、特に装置が第2の状態において高い光出力で動作していた場合に生ずる。
【0060】
本発明の例示的な実施形態による付加的なオプション機能は、光出力窓の断面積が異なる複数の異なるヘッド12を設けることである。更に、
図5に示すように、第1の皮膚接触面領域28を減少するようにしてハウジング4の前方端部にアダプター70を固定してもよい。このような実施形態では、処置(治療)領域が縮小され、従って、上唇の如き小さな領域が処置(治療)されて使用性が改善される。このような状態では、アダプター70によって覆われるセンサー60は、無効にされる有益性がある。
【0061】
図示の実施形態の各々において、装置は、ヘッド12がハウジング4に取り付けられるか又はハウジング4から取り外されるかの少なくとも2つの状態で操作可能であることが理解されることと思う。従って、使用者が処置(治療)を希望する身体の部位に応じて、単一の装置で再構成することができるという大きな利点が提供される。従って、装置2は、サイズ、コスト及び重量を増加させることなく、単一の装置で、タイプ1のシステムの高出力及び高速性と、タイプ2のシステムの安全性の向上及び痛みの軽減とを兼ね備えている。
【0062】
本発明の態様は、例示のためにのみ記載されており、当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって付与される保護範囲から逸脱することなく、修正及び変形がなされ得ることが理解されるであろう。