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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112786
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】医薬品販売管理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20240814BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240814BHJP
【FI】
G16H20/10
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016616
(22)【出願日】2024-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2023017756
(32)【優先日】2023-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390015406
【氏名又は名称】三幸電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(72)【発明者】
【氏名】香川 俊宗
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】薬剤師によって販売する医薬品の記録、及びその医薬品の注意事項の提示を行い、その記録を行うことができる医薬品販売管理システムを提供する。
【解決手段】本医薬品販売管理システムは薬剤師の識別情報を取得する薬剤師識別情報取得手段と、販売する医薬品の識別情報を取得する医薬品識別情報取得手段と、医薬品識別情報取得手段で得た各医薬品の識別情報に対応する説明情報を取得する説明情報取得手段と、説明情報取得手段により取得した説明情報を販売対象者に対して提示する説明情報提示手段と、販売対象者に対し、説明情報を確認させる提示確認手段と、提示確認手段による確認後、医薬品識別情報取得手段により得た医薬品の識別情報、現在日時から決定される販売日時、及び薬剤師識別情報取得手段により得た薬剤師の識別情報を含む販売履歴情報を履歴データベースに記録する履歴記憶手段と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品の利用指導を行う薬剤師の識別情報を取得する薬剤師識別情報取得手段と、
販売する1以上の前記医薬品の識別情報を取得する医薬品識別情報取得手段と、
前記医薬品識別情報取得手段で得た各前記医薬品の識別情報に対応する説明情報を取得する説明情報取得手段と、
前記説明情報取得手段により取得した前記医薬品の説明情報を前記医薬品の販売対象者に対して提示する説明情報提示手段と、
前記販売対象者に対し、前記説明情報提示手段により提示された前記医薬品の説明情報を確認させる提示確認手段と、
前記提示確認手段による確認後、前記医薬品識別情報取得手段により得た前記医薬品の識別情報、現在日時から決定される販売日時、及び前記薬剤師識別情報取得手段により得た前記薬剤師の識別情報を含む販売履歴情報を履歴データベースに記録する履歴記憶手段と、
を備えることを特徴とする医薬品販売管理システム。
【請求項2】
前記医薬品識別情報取得手段は、前記医薬品に添付されている前記医薬品の識別情報が記録されたバーコードを読み取るバーコード読取手段によって前記医薬品の識別情報を取得する請求項1記載の医薬品販売管理システム。
【請求項3】
前記薬剤師識別情報取得手段は、前記薬剤師が所持する前記薬剤師の識別情報が記録されたバーコードを読み取るバーコード読取手段によって前記薬剤師の識別情報を取得する請求項1記載の医薬品販売管理システム。
【請求項4】
前記販売対象者の識別情報を取得する販売対象者識別情報取得手段を更に備え、前記履歴記憶手段は前記販売対象者識別情報取得手段により取得した前記販売対象者の識別情報を含めた前記販売履歴情報を前記履歴データベースに記録する請求項1記載の医薬品販売管理システム。
【請求項5】
前記販売対象者の識別情報は、医薬品を販売する店舗の会員の識別番号である請求項4記載の医薬品販売管理システム。
【請求項6】
前記説明情報提示手段は、前記バーコード読取手段により前記医薬品の識別情報を読み取ったとき、前記薬剤師の識別情報が読み取り済みであるかを判断し、
読み取り済みであれば前記医薬品の説明情報と共に前記薬剤師の情報を前記販売対象者に対して提示する請求項3乃至5のいずれか一項に記載の医薬品販売管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品販売管理システムに関する。詳しくは、販売する医薬品の記録、及びその医薬品の注意事項の提示を行うことができる医薬品販売管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
市販される医薬品の中でも要指導医薬品や第一類医薬品等については、その販売時に薬剤師の対面による医薬品に関する情報の提供及び薬学的知見に基づく指導が行われることが必要である。医薬品販売者は、この情報の提供時に、チェックシート等の医薬品の説明情報を販売対象者に提示し、その記録を取って管理を行う必要がある。
このようなシステムがいくつか検討されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3150049号公報
【特許文献2】特開2010-170218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、医薬品に添付されているバーコードを読み取り、対応する使用上の注意を画面表示する情報提供システムである。特許文献2は、商品に付されているコードをスキャナーで読み取り、説明が必要な場合はその説明書を印刷する販売処理装置である。
【0005】
特許文献1、2の通り医薬品の説明書を提示するシステム化が検討されているが、薬剤師による指導が行われたかどうかは記録されておらず、指導の有無を判断することができなかった。本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、薬剤師によって販売する医薬品の記録、その医薬品の注意事項の提示、及び他の医薬品等の組み合わせの検討をするための情報表示を行い、その記録を行うことができる医薬品販売管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下のとおりである。
1.医薬品の利用指導を行う薬剤師の識別情報を取得する薬剤師識別情報取得手段と、
販売する1以上の前記医薬品の識別情報を取得する医薬品識別情報取得手段と、
前記医薬品識別情報取得手段で得た各前記医薬品の識別情報に対応する説明情報を取得する説明情報取得手段と、
前記説明情報取得手段により取得した前記医薬品の説明情報を前記医薬品の販売対象者に対して提示する説明情報提示手段と、
前記販売対象者に対し、前記説明情報提示手段により提示された前記医薬品の説明情報を確認させる提示確認手段と、
前記提示確認手段による確認後、前記医薬品識別情報取得手段により得た前記医薬品の識別情報、現在日時から決定される販売日時、及び前記薬剤師識別情報取得手段により得た前記薬剤師の識別情報を含む販売履歴情報を履歴データベースに記録する履歴記憶手段と、
を備えることを特徴とする医薬品販売管理システム。
2.前記医薬品識別情報取得手段は、前記医薬品に添付されている前記医薬品の識別情報が記録されたバーコードを読み取るバーコード読取手段によって前記医薬品の識別情報を取得する前記1.記載の医薬品販売管理システム。
3.前記薬剤師識別情報取得手段は、前記薬剤師が所持する前記薬剤師の識別情報が記録されたバーコードを読み取るバーコード読取手段によって前記薬剤師の識別情報を取得する前記1.記載の医薬品販売管理システム。
4.前記販売対象者の識別情報を取得する販売対象者識別情報取得手段を更に備え、前記履歴記憶手段は前記販売対象者識別情報取得手段により取得した前記販売対象者の識別情報を含めた前記販売履歴情報を前記履歴データベースに記録する前記1.記載の医薬品販売管理システム。
5.前記販売対象者の識別情報は、医薬品を販売する店舗の会員の識別番号である前記4.記載の医薬品販売管理システム。
6.前記説明情報提示手段は、前記バーコード読取手段により前記医薬品の識別情報を読み取ったとき、前記薬剤師の識別情報が読み取り済みであるかを判断し、
読み取り済みであれば前記医薬品の説明情報と共に前記薬剤師の情報を前記販売対象者に対して提示する前記3.乃至5.のいずれかに記載の医薬品販売管理システム。
【発明の効果】
【0007】
本医薬品販売管理システムは、店舗において販売する特定の医薬品について、販売対象者に対して注意事項の提示を行うことができる。また、薬剤師別に定められた識別情報により、医薬品の対面での指導を行った薬剤師を記録することができるため、医薬品の情報の提供及び薬学的知見に基づく指導が行われたことを管理することができる。また、履歴データベースを参照することで販売対象者が利用している医薬品を薬剤師等が確認することができる。そして、市販される医薬品をより適切に活用するために薬剤師が指導を行うための情報として参照及び利用をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
図1】本医薬品販売管理システムの構成を説明するためのブロック図である。
図2】説明情報の例を示す図である。
図3】履歴データベースに記録される販売履歴情報の内容を説明するための図である。
図4】販売履歴情報を履歴データベースに記録する流れを説明するフローチャートである。
図5】薬剤師識別情報取得手段11の流れを説明するフローチャートである。
図6】医薬品識別情報取得手段21の流れを説明するフローチャートである。
図7】説明情報取得手段22の流れを説明するフローチャートである。
図8】提示確認手段24の流れを説明するフローチャートである。
図9】他の医薬品販売管理システムの構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
以下、図を参照しながら、本発明を詳しく説明する。
本医薬品販売管理システムの実施形態として、医薬品の利用指導を行う薬剤師の識別情報を取得する薬剤師識別情報取得手段11と、販売する1以上の前記医薬品の識別情報を取得する医薬品識別情報取得手段21と、医薬品識別情報取得手段21で得た各医薬品の前記識別情報に対応する説明情報を取得する説明情報取得手段22と、前記説明情報取得手段22により取得した前記医薬品の説明情報を前記医薬品の販売対象者に対して提示する説明情報提示手段23と、前記販売対象者に対し、前記説明情報提示手段23により提示された前記医薬品の説明情報を確認させる提示確認手段24と、前記提示確認手段24による確認後、前記医薬品識別情報取得手段21により得た前記医薬品の識別情報、現在日時から決定される販売日時、及び前記薬剤師識別情報取得手段11により得た前記薬剤師の識別情報を含む販売履歴情報を履歴データベースに記録する履歴記憶手段31と、を備える。
また、販売対象者識別情報取得手段によって取得された販売対象者識別情報に対応する身体情報を記録する身体情報データベース33、販売対象者の身体情報を薬剤師及び/又は販売対象者に表示する身体情報表示手段34を備え、提示確認手段による提示時に身体情報表示手段34を実施することができる。更に、前記身体情報データベース33及び販売する医薬品が販売対象者の身体情報及び他の販売する医薬品の識別情報が、前記販売する医薬品の販売規制情報に対応するかを判断し、該当する場合購入者に対して通知を行う販売規制手段35を備え、販売対象者識別情報取得手段25が履歴記憶手段31を実施する前に販売規制手段35を実施することができる。
【0011】
本医薬品販売管理システムで取り扱う医薬品は、医薬品を購入しようとする販売対象者に対して要指導医薬品及び第一類医薬品等の販売時に薬剤師の対面による医薬品情報の提供が必要な医薬品を少なくとも含む。また、情報の提供が不要の第二類医薬品及び第三類医薬品等の医薬品や、医薬部外品及び健康食品等を含めても良い。
【0012】
薬剤師の識別情報とは、医薬品の指導を行う薬剤師を識別する情報であって、薬剤師が所持する情報媒体に記録される。薬剤師識別情報取得手段11は、この情報媒体を任意の読取手段によって、その薬剤師について履歴データベースに記憶されている薬剤師情報を取得することができる。
情報媒体として例えば、紙やプラスチック等でできたカード及び装身具等に、識別情報を記録したバーコード(一次元バーコード、二次元バーコードを例示することができる)、RFチップ、文字、磁気ストラップ等を挙げることができる。この情報媒体をバーコードリーダ、磁気読み取り機、カメラ、磁気カードリーダ等の読み取り手段を用いて薬剤師の識別情報を取得することができる。顔面、指紋及び虹彩等の生体情報や、パスワード入力を用いても良い。また、前記識別情報を複数組み合わせて全体として1つの薬剤師の識別情報として用いても良い。
また、本システムで有効な薬剤師識別情報であるかどうかをアルゴリズムやデータベースに記憶する薬剤師識別情報で判断して、無効の薬剤師識別情報である場合は、その後の処理を中止することができる。
【0013】
医薬品の識別情報とは、販売する医薬品の種類を個別に識別することができる情報である。この識別情報の種類は特に問わず、医薬品の製造会社が付する商品コード等の既存の識別用のコードを用いても良いし、独自に付したコードであっても良い。また、医薬品の商品画像等により医薬品を識別してもよい。
前記医薬品識別情報取得手段21は、販売する医薬品について、販売対象者に対して注意事項の説明や指導を行うことが必要とされる特定の医薬品であるかどうか、を判断するように構成することができる。少なくとも要指導医薬品や第一類医薬品は前記特定の医薬品と判断する。また、前記特定の医薬品として、販売者が定めた医薬品が含められてもよい。
【0014】
医薬品の説明情報とは、医薬品の成分、効果、注意事項及び確認用のチェック項目等が記載されており、販売対象者に対して薬剤師によって提示する説明文書である。販売対象者に対して提示する説明文書は、医薬品に添付されている説明書等であってもよいし、説明及び確認を求める事項として編集・整理等された内容であってもよいし、販売者が独自に用意した文書や図面、画像等を含めても良い。
説明情報取得手段22は、医薬品識別情報に対応する医薬品の説明情報を取得することができれば良く、例えば、医薬品識別情報及び対応する医薬品説明情報が記録された医薬品データベース26を参照して、医薬品の説明情報を取得することができる。また、外部のデータベースを参照したり、医薬品の製造会社等の医薬品毎のデータベースを個別に参照したりして医薬品説明情報を取得することができる。
【0015】
説明情報提示手段23は、説明情報取得手段22から取得した医薬品の説明情報を提示可能な形態に加工することができる。例えば、医薬品説明情報を提示するためのディスプレイ等の表示手段の縦横の大きさに合わせて縮尺を変更する、視認距離に合わせて文字の大きさやレイアウトを調節する、複数の医薬品の説明情報を順次表示するためのボタン等を追加する、販売対象者に対して重要な箇所のハイライト表示等のマーキング表示・操作等を行う、医薬品説明情報の特定キーワードや符号に対して販売対象者に合わせた補足追加、日時計算等の追記等を例示することができる。
【0016】
薬剤師識別情報及び医薬品識別情報としてバーコードを用いる場合、任意のバーコード(縞模様状の一次元コードに限らず、二次元コードを含めることができる)を用いることができる。また、薬剤師識別情報及び医薬品識別情報が同じ種類のバーコードを用いてもよい。同じ種類のバーコードを用いる場合、それぞれのバーコードを異なるバーコード読取手段によって取得しても良いし、一つのバーコード読取手段によって取得しても良い。一つのバーコード読取手段によって取得する場合、各識別情報を取得する順番を決めて順次取得することで、薬剤師識別情報及び医薬品識別情報を順次取得しても良いし、取得したバーコードの値がいずれかを判断する識別情報判断手段42を設けて薬剤師識別情報及び医薬品識別情報のいずれかを判断し、判断した識別情報に対応する手段を実施しても良い。即ち、バーコードから得られた値が薬剤師識別情報と判断した場合は、薬剤師識別情報取得手段11を実施し、前記値が医薬品識別情報と判断した場合は医薬品識別情報取得手段21を実施し、いずれでもない場合は読み取り失敗を通知することができる。
【0017】
識別情報判断手段42は、バーコードから得られた数値、文字等からなる値の桁数の違い(例えば所定桁数未満のときは薬剤師識別情報、前記所定桁数以上のときは医薬品識別情報)、値の範囲の違い、チェックディジット、チェックサム及びハッシュ値等を用いた誤り検出符号の違い等を使って識別情報が薬剤師識別情報及び医薬品識別情報のいずれかを判断することができる。
【0018】
説明情報提示手段23による医薬品の説明情報を提示する手段は、販売対象者が医薬品の説明情報を文書等として提示し、確認できるようにするための手段であり、提示のための表示手段としてタブレット等の端末や、レジスター等の画面に表示しても良いし、印刷手段としてプリンター等によって紙に印刷し、印刷した紙による提示をできるようにしてもよい。また、音声や動画像等の再生手段による再生を併用しても良い。
説明情報提示手段23は、販売対象者が医薬品の説明情報の確認を検出することができる提示確認手段24を更に備えることができる。提示確認手段24は、タッチパネルやボタン装置等によって用意された確認ボタン等を押下させる、署名を手書き入力させる、ポイントカードや電子証明書を備えるICカード等の識別可能な媒体の読み取りを行って識別する等の入力操作により、販売対象者が医薬品の説明情報を確認したかどうかを検出することができる。また、前記入力操作に用いた確認の情報は販売履歴情報として履歴記憶手段31により記憶させることができる。
【0019】
販売対象者識別情報は、販売する医薬品の販売対象者が識別可能な情報である。このような情報として、氏名の他、住所及び電話番号を組み合わせて用いることができる。また、医薬品を販売するポイントカードや会員アプリ等の店舗の会員の識別番号等を販売対象者識別情報とすることができる。更に、顔面、指紋及び虹彩等の生体情報を販売対象者識別情報とすることができる。
【0020】
販売対象者識別情報取得手段25は、前記販売対象者識別情報を取得する手段である。販売対象者識別情報取得手段25は、端末のタッチパネルやキーボード等の任意の入力手段から販売対象者識別情報を得たり、販売に用いるPOS端末に入力済みの販売対象者識別情報を取得したりすることで、販売対象者識別情報を取得することができる。また、販売対象者識別情報取得手段25は、履歴記憶手段31による販売履歴情報の記録が行われるまでであれば任意のタイミングで実施することができるが、例えば、提示確認手段24と同時の実施することができる。同時に実施する場合は、提示確認手段24によって入力された署名等の確認用の情報を販売対象者識別情報として活用することができ、再度の入力を不要とすることができる。
【0021】
販売履歴情報は、医薬品の販売、及び販売時に薬剤師による情報提供がされたかどうかを確認するための履歴に用いる情報である。また、販売履歴情報は、履歴記憶手段31によって履歴データベース32に保存され、販売履歴や指導の確認を履歴データベース32から参照することができる。
販売履歴情報は、医薬品識別情報取得手段21から得た医薬品識別情報、現在日時から決定される販売日時、及び前記薬剤師識別情報取得手段から得た前記薬剤師情報を少なくとも含む。また、販売対象者識別情報、販売対象者による入力されたチェック項目、署名等の確認情報、医薬品の金額等の任意の情報を含めることができる。尚、情報の提供が不要の第二類医薬品及び第三類医薬品等の医薬品や、医薬部外品及び健康食品等の別種の販売物を本システムで扱う場合は、販売物の種類情報を含めることができる。
履歴データベース32に記録された販売履歴情報は、市販の医薬品の活用をするために例えば、医薬品を過剰に使用するいわゆるオーバードーズを防止するための情報として利用することができる。また、販売対象者が、処方した薬を記録するお薬手帳と同様に薬の組み合わせ確認等を行うための健康管理の情報として用いることができるため、履歴データベース32を健康管理データベースとして用いることができる。
更に、販売した医薬品と同等の効能を備える市販の医薬品や医療用の薬品を検索可能なデータベースを組み合わせることで、同等の効能を備える市販の医薬品や医療用の薬品を選択及び提示するための情報として利用することができる。前記用途は、医療用の医薬品の代わりに市販の医薬品を提示するための利用ができる。また、市販の医薬品を取り扱わない医師や病院、調剤薬局が市販の医薬品の効能を知るため利用したり、販売対象者の医薬品の利用状況を把握するために利用したりすることができる。
【0022】
本医薬品販売管理システム1は更に、同一の販売対象者に対して販売する医薬品の数量を一定数に収まるよう制限を行う販売数量制限手段を設けてもよい。例えば、医薬品の既知の購入制限数の情報を取得し、販売履歴情報から同一人の販売対象者による一定期間の医薬品の購入数を算出し、前記購入制限数を超えた場合は通知を行うことができる。前記一定期間及び前記購入数は、医薬品の服用可能な上限などの制限に基づいて決定される。
尚、販売数量制限手段を実施するときに販売対象者識別情報が取得されていない場合は、先に販売対象者識別情報取得手段を実施して販売対象者識別情報を取得することができる。
また、販売する医薬品と同等の効能を備えるジェネリック医薬品等の同等医薬品とを対応づける同等品データベースを参照して、医薬品の説明情報の提示時に併せて提示する同等医薬品提示手段を設けても良い。
【0023】
更に、販売対象者識別情報取得手段によって取得された販売対象者識別情報に対応する身体情報を記録する身体情報データベース33を備えることができる。身体情報データベース33は、販売する類似医薬品を選択するための判断情報や、医薬品の禁忌に該当しているかを判断するための判断情報に必要な情報であれば特に問わず、例えば、薬剤服用歴、年齢、血圧、心拍数、心電数、主に女性の基礎体温、身長、ウエスト周囲径、体重、体脂肪率、一日の摂取エネルギー量(摂取カロリー量)、一日の歩数等の値及びその履歴、BMI等の算出値、アレルギー疾患となるアレルゲン、飲食した飲食物の画像等を挙げることができる。
尚、前記摂取エネルギー量は、飲食した飲食物を撮影した画像を解析して飲食物とその量を認識し、データベースに記録した飲食物の認識情報と単位量あたりのエネルギー量を参照して、エネルギー量を算出することができる。
【0024】
前記身体情報データベース33は、身体情報表示手段34、及び販売規制手段35に用いることができる。尚、身体情報表示手段34及び販売規制手段35は、説明情報提示手段と同時に実施されて説明情報提示手段による説明情報の表示と同時に実施することができる。また、前記説明情報を表示しているときに操作者の操作によって実施することができる。更に、販売対象者識別情報取得手段の実施により販売対象者識別情報を取得したときに実施することができる。また、身体情報表示手段34及び販売規制手段35を実施するときに販売対象者識別情報が取得されていない場合は、先に販売対象者識別情報取得手段を実施して販売対象者識別情報を取得することができる。
【0025】
前記身体情報表示手段34は、販売対象者の身体情報を薬剤師及び/又は販売対象者に表示する手段である。前記身体情報表示手段34は、販売対象者情報に対応する身体情報を身体情報データベース33から取得して、前記取得した身体情報を表示する。この身体情報を用いて薬剤師が前記身体情報を参照して販売する医薬品の選択や医薬品の禁忌となる判断情報とすることができる。
また、日々の健康管理・生活習慣病予防のための判断に用いることができる。更に、飲食した飲食物の画像と購入する医薬品から、飲み合わせの悪い飲食物や医薬品であるかを判断し、薬剤師に通知しても良い。このような通知は、薬剤師の負担を減らしたり、薬剤師の教育材料に利用したりすることができる。
【0026】
前記販売規制手段35は、販売する医薬品が販売対象者の身体情報及び他の販売する医薬品の識別情報が、前記販売する医薬品の販売規制情報に対応するかを判断し、該当する場合購入者に対して通知を行う手段である。
前記販売する医薬品の販売規制情報は、医薬品データベース26に対応する医薬品の識別情報に紐付けて記憶される情報である。前記販売規制情報は、規制する身体情報として年齢制限情報、アレルゲン情報、飲食品情報等を含めることができる。
前記年齢制限情報は、所定年齢未満、所定年齢以上等の制限条件と、販売不可又は保護者による同意確認等の制限内容情報を含むことができる。
前記販売規制手段35は、販売する医薬品が前記販売規制情報の制限条件に該当する場合、前記制限内容情報に基づく通知を行うことができる。
前記販売規制手段35の例として年齢による販売制限を行うことができる。年齢による販売制限は、所定年齢未満、所定年齢以上等の条件に該当する場合は販売不可、又は保護者による同意確認の通知を行い、薬剤師に警告することができる。これらの条件を用いることで、小児が服用できない大人用の医薬品、未成年の場合に保護者の同意が必要なアフターピル、高齢者の服用に注意が必要な抗ヒスタミン薬の販売時に薬剤師に警告することができる。
また、前記保護者の同意の確認は、販売対象者識別情報取得手段25によって保護者の販売対象者識別情報を取得したり、提示確認手段24によって保護者の署名を入力したりすることによって行われる。
【0027】
本医薬品販売管理システムは、タブレットやパソコン等の端末で実行されるソフトウェアから構成されていても良いし、サーバで実行され前記端末から使用できるサービスであっても良い。また、端末もPOS端末等の販売に用いる端末の一機能として設けられていてもよい。
【0028】
このような本医薬品販売管理システムの具体例は図1に示すように、タブレット端末等の携帯端末上のプログラムとして構成されており、薬剤師識別情報取得手段11、医薬品識別情報取得手段21、説明情報取得手段22、説明情報提示手段23、提示確認手段24、販売対象者識別情報取得手段25、及び履歴記憶手段31を備える医薬品販売管理システム1とすることができる。更に、薬剤師データベース12、医薬品データベース26、履歴データベース32、更にバーコード読取手段41を備える。薬剤師データベース12は、本医薬品販売管理システムによって医薬品を販売することができる全ての薬剤師の識別情報を記録したデータベースである。照会した識別情報が薬剤師データベース12に含まれていないときは、該当識別情報は医薬品の販売をすることができないと判断することができる。医薬品データベース26は、医薬品の識別情報と、その医薬品に対応する医薬品の説明情報が記憶されているデータベースである。前記医薬品の説明情報は、例えば図2に例示するようなチェックシートを表す文書、医薬品添付文書やこれらに関係する画像等を1以上組み合わせて構成されている。履歴データベース32は、図3に例示するように、販売した日時、販売した医薬品の識別情報(図3の項目でいう医薬品名)、販売した医薬品の数量、販売した医薬品の購買時の確認、販売対象者の氏名(図3の項目でいう購入者氏名)、薬剤師識別情報(図3の項目でいう薬剤師氏名)の情報を記録するデータベースである。
以下、図4に示すフローチャートに従い具体例を説明する。
【0029】
(1)薬剤師識別情報取得(ステップS01)
本医薬品販売管理システムは、始めに図5に示すフローチャートに従い、薬剤師識別情報取得手段11によって販売を行う薬剤師の識別情報を取得する。薬剤師識別情報取得手段11は、前記薬剤師が所持するネームプレート等の情報媒体に印刷されたバーコード形態の薬剤師識別情報を携帯端末のカメラを用いたバーコード読取手段41によって読み込むことで取得できる(ステップS011を参照。)。また、薬剤師識別情報取得手段11は、薬剤師識別情報の一覧が記録されている薬剤師データベース12を参照して取得した薬剤師識別情報が記録されているかを確認する(ステップS012)。薬剤師識別情報が薬剤師データベース12に記録されていた場合は、該当薬剤師識別情報を取得して履歴記憶手段31に出力する(ステップS013)。
【0030】
(2)医薬品識別種類取得(ステップS02)
次いで図6に示すフローチャートに従い、医薬品識別情報取得手段21によって販売する医薬品の識別情報を取得する。医薬品識別情報取得手段21は、販売する医薬品の包装等に付されている商品コードからなる医薬品識別情報をバーコード読取手段41等によって読み込むことで取得する(ステップS021)。また、取得した医薬品識別情報は、説明情報取得手段22及び履歴記憶手段31によって利用される。医薬品識別情報取得手段21は、販売する医薬品が複数であり、未処理の医薬品が残っている場合は(ステップS022を参照。)、再度ステップS021を実施することで各医薬品の識別情報をバーコード読取手段41によって順次取得する。全ての医薬品について医薬品識別情報を取得後、説明情報取得手段22を実施する。
【0031】
(3)医薬品の説明情報取得(ステップS03)
その後図7に示すフローチャートに従い、説明情報取得手段22によって医薬品識別情報取得手段21で得た医薬品の識別情報に対応する医薬品の説明情報を取得する。説明情報取得手段22は、医薬品識別情報取得手段21で得た医薬品識別情報をキーとして医薬品データベース26を照会して、対応する医薬品の説明情報を取得する(ステップS031)。
また、販売する医薬品が複数であり、対応する医薬品説明情報を取得していない識別情報がある場合は、再度ステップS031を実施し、各医薬品に対応する医薬品説明情報の全てを取得する(ステップS032)。説明情報取得手段22は、得られた全ての医薬品説明情報を説明情報提示手段23に渡す。
【0032】
(4)説明情報を提示(ステップS04)
次いで、説明情報取得手段22によって取得した全ての医薬品説明情報を受け取った説明情報提示手段23は、医薬品説明情報を端末のタッチパネル付きディスプレイ等の表示手段によって順次表示を行う。また、説明情報提示手段23は、医薬品説明情報を表示するときに表示手段によって表示できるように医薬品説明情報の加工を行う。
このとき販売を行う薬剤師は、表示された1以上の医薬品説明情報を販売対象者に提示し、医薬品の説明及び指導を行うことができる。
【0033】
(5)説明情報の提示の確認(ステップS05)
その後図8に示すフローチャートに従い、説明情報提示手段23は各医薬品の説明情報の表示後、提示確認手段24による説明情報の提示の確認を行う。薬剤師は、販売対象者に対して医薬品説明情報の確認の操作を依頼する。販売対象者は、タッチパネル付きディスプレイに表示される確認ボタンや、端末のボタンを操作することにより確認操作を行う(ステップS051)。
提示確認手段24は、確認操作が行われたことを検出して、確認操作を行わずに操作のキャンセルがされた場合は販売中止として、履歴の登録を行わない(ステップS052)。また、未確認の医薬品の説明情報が残っている場合は、次の医薬品説明情報について再度ステップS051を実施する(ステップS053)。全ての医薬品説明情報について確認操作が行われたときに、販売対象者識別情報取得手段25により販売対象者識別情報を取得する。
販売対象者識別情報取得手段25は、端末のタッチパネル等を介した販売対象者の署名入力や、販売店の会員番号の入力等により販売対象者識別情報を取得し(ステップS054)、その後、履歴記憶手段31を実施する。
【0034】
(6)販売履歴の記録(ステップS06)
履歴記憶手段31は、薬剤師識別情報取得手段11によって薬剤師識別情報を取得し、医薬品識別情報取得手段21によって医薬品識別情報を取得し、提示確認手段24によって説明情報の提示確認の情報を取得し、販売対象者識別情報取得手段25によって販売対象者識別情報を取得する。そして、薬剤師識別情報(図3における薬剤師氏名)と、医薬品識別情報(図3における医薬品名)と、入力された医薬品識別情報を集計することによって得られる医薬品数量情報(図3における数量)と、説明情報確認(図3における販売時確認)と、販売対象者識別情報(図3における購入者氏名)と、販売日時(現在日時)とを含む販売履歴情報を履歴データベース32に記録する(図3を参照。)。
尚、医薬品数量情報は、販売した医薬品の数量である。医薬品数量情報及び販売対象者識別情報は、販売に用いたPOS端末から取得、または本医薬品販売管理システム1のタッチパネル等の入力手段から取得される。
【0035】
また、本医薬品販売管理システムの他の具体例として図9に示すように、図1に示す医薬品販売管理システム1の各構成要素に加えて、身体情報データベース33、身体情報表示手段34及び販売規制手段35を備える医薬品販売管理システム1aを以下に説明する。
身体情報データベース33は、販売対象者の販売対象者識別情報と、その販売対象者の身体情報を記憶するデータベースである。また、身体情報として年齢等の情報を記憶する。更に、医薬品データベース26は、医薬品識別情報に対応する販売規制情報を記憶する。記憶される販売規制情報は、販売規制を行う年齢の範囲、及び販売規制の内容が含まれる。また、販売規制の内容は、販売対象者の身体情報に含まれる年齢が、前記年齢の範囲に該当する場合において、販売を規制する内容もしくは保護者の同意があるときだけ規制する内容が含まれる。
【0036】
(7)販売対象者の情報
本医薬品販売管理システム1aは、身体情報表示手段34により販売対象者の身体情報を表示することができる。身体情報表示手段34は、提示確認手段24による説明情報の確認表示(ステップS05)のときに表示される、身体情報表示手段34の実行ボタンである「パーソナルデータの確認」ボタンを操作することで実行される(図2を参照。)。
前記ボタン操作によって実行される身体情報表示手段34は、ステップS054と同様に販売対象者識別情報取得手段25によって販売対象者識別情報を取得し、その後、身体情報データベース33によって取得した販売対象者識別情報に対応する身体情報を取得する。次いで、取得した身体情報の表示を行う。その後、身体情報の表示の終了操作が行われたときは、提示確認手段24による説明情報の確認表示(ステップS05)に戻る。
【0037】
(8)販売規制
本医薬品販売管理システム1aは、販売規制手段35によって、販売対象者の身体情報に応じた販売規制を行うことができる。販売規制手段35は、提示確認手段24による説明情報の確認表示(ステップS05)を確認した後に実施される。
販売規制手段35は、ステップS054と同様に販売対象者識別情報取得手段25によって販売対象者識別情報を取得する。その後、身体情報データベース33によって取得した販売対象者識別情報に対応する身体情報を取得する。
また、販売規制手段35は、各医薬品識別情報に対応する販売規制情報を医薬品データベース26から取得する。
その後、取得した全ての規制情報について前記身体情報が該当するかを比較し、該当する場合は、その旨を表示する。また、販売規制情報の販売規制の内容に従って、販売の中止又は保護者の同意の確認を行うことができる。
【0038】
例えば、医薬品がアフターピルのとき、販売規制手段35は、規制情報として身体情報の年齢が未成年であるかを判断する。そして、年齢が未成年である場合、保護者による同意確認を行う。その後、保護者による同意確認が得られた場合は、販売を続行し販売履歴の記録を行う。一方同意確認が得られなかった場合は販売の中止をすると共にその旨の通知を行う。
【0039】
本医薬品販売管理システム1は、上記手順を行うことにより販売する医薬品がどの薬剤師により説明されたかどうかを1対1のレコードとして履歴データベースに記憶することができ、薬剤師による医薬品の指導及び販売の販売履歴を正しく管理することができる。
【0040】
尚、本発明においては、上記の具体的実施形態に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施形態とすることができる。
【符号の説明】
【0041】
1、1a;医薬品販売管理システム、
11;薬剤師識別情報取得手段、12;薬剤師データベース、
21;医薬品識別情報取得手段、22;説明情報取得手段、23;説明情報提示手段、24;提示確認手段、25;販売対象者識別情報取得手段、26;医薬品データベース、
31;履歴記憶手段、32;履歴データベース、33;身体情報データベース、34;身体情報表示手段、35;販売規制手段、
41;バーコード読取手段、42;識別情報判断手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9