IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 杭▲やん▼集団股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特開2024-112793煙道ガス中の二酸化炭素及び窒素ガスを回収する装置及び方法
<>
  • 特開-煙道ガス中の二酸化炭素及び窒素ガスを回収する装置及び方法 図1
  • 特開-煙道ガス中の二酸化炭素及び窒素ガスを回収する装置及び方法 図2
  • 特開-煙道ガス中の二酸化炭素及び窒素ガスを回収する装置及び方法 図3
  • 特開-煙道ガス中の二酸化炭素及び窒素ガスを回収する装置及び方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112793
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】煙道ガス中の二酸化炭素及び窒素ガスを回収する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   F25J 3/02 20060101AFI20240814BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20240814BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20240814BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20240814BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20240814BHJP
【FI】
F25J3/02 A
B01D53/62 ZAB
B01D53/82
B01D53/96
C01B32/50
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017273
(22)【出願日】2024-02-07
(31)【優先権主張番号】202310077474.5
(32)【優先日】2023-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524052837
【氏名又は名称】杭▲やん▼集団股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HANGZHOU OXYGEN PLANT GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】799 Xiangfu Road, Qingshanhu Street, Lin’an District Hangzhou City, Zhejiang Province 311300 P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】韓 一松
(72)【発明者】
【氏名】譚 芳
(72)【発明者】
【氏名】蒋 云云
(72)【発明者】
【氏名】姚 蕾
(72)【発明者】
【氏名】高 毅
(72)【発明者】
【氏名】彭 旭東
(72)【発明者】
【氏名】李 良英
【テーマコード(参考)】
4D002
4D047
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA04
4D002BA13
4D002BA20
4D002DA41
4D002DA45
4D002EA01
4D002EA05
4D002EA07
4D002FA10
4D002GA01
4D002GB20
4D002HA08
4D047AA07
4D047AB00
4D047AB02
4D047BA10
4D047BB03
4D047BB10
4D047CA07
4D047DA04
4D047DA05
4G146JA02
4G146JB09
4G146JC08
4G146JC10
4G146JC25
4G146JC27
4G146JD03
4G146JD06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低コスト、低エネルギー消費で煙道ガス中のCO及びNを回収する装置及び方法を提供する。
【解決手段】前処理システムは、高温NG冷却器と、気液分離器と、昇圧ブロワと、乾燥機とを含み、CO・N分離システムは、低温LNG冷却器と、低温吸着装置とを含み、N精製液化システムは、圧縮機と、冷却器と、熱交換器と、気液分離器と、精留塔とから構成されるN精留液化装置を含み、CO精製液化システムは、圧縮機と、冷却器と、凝縮器と、蒸発器と、液化器と、精製塔とから構成されるCO精留液化装置を含み、CO・N分離システムから得られた脱着ガスをさらに精製液化する。上記の各システムは、管路及びバルブを介して接続される。本発明の装置及び方法は、煙道ガスからCO及びNを回収し、LNG冷熱によりCO及びNの液化を駆動し、回収のエネルギー消費及びコストを大幅に減少させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙道ガス中の二酸化炭素及び窒素ガスを回収する装置であって、
前記装置は、互いに管路及びバルブを介して接続される前処理システム(01)と、CO・N分離システム(02)と、N精製液化システム(03)と、CO精製液化システム(04)とを含み、前記前処理システム(01)は、高温NG冷却器(1a)と、気液分離器(1b)と、昇圧ブロワ(1c)と、乾燥機(1d)とを含み、煙道ガスから水分を除去し、煙道ガスを冷却するものであり、前記CO・N分離システム(02)は、低温LNG冷却器(2a)と、低温吸着装置(2b)とを含み、前処理後の煙道ガスをさらに冷却、吸着してCOとNを分離するものであり、前記N精製液化システム(03)は、原料圧縮機と、熱交換器(3c)と、冷却器(3b)と、気液分離器(3i)と、精留システム(3m)とから構成されるN精留液化装置を含み、CO・N分離システムから得られた窒素含有ガスをさらに精製液化するものであり、前記CO精製液化システム(04)は、CO圧縮機(4a)と、冷却器(4b)と、蒸発器(4c)と、凝縮器(4f)と、液化器(4d)と、精製塔(4e)とから構成されるCO精留液化装置を含み、CO・N分離システムから得られた脱着ガスをさらに精製液化するものであり、
前記前処理システム(01)における前記高温NG冷却器(1a)の第1入口(10)は、煙道ガス排出口に接続され、高温冷熱NGにより煙道ガスをさらに冷却し、冷却後の煙道ガスは前記高温NG冷却器(1a)の第1出口(11)を経て気液分離器(1b)により煙道ガス中のほとんどの水は除去され、水は前記気液分離器(1b)の水出口(12)から排出され、冷却後の煙道ガスは前記気液分離器(1b)のガス出口(13)を経て前記昇圧ブロワ(1c)により加圧された後、通路(14)を経て前記乾燥機(1d)に入ってさらに乾燥され、前記前処理システム(01)における前記乾燥機(1d)は、低温LNG冷却器(2a)の入口(15)に接続され、LNG冷熱により前処理後の乾燥煙道ガスをCO沸点温度程度まで冷却し、前記低温LNG冷却器(2a)の出口(16)は、前記低温吸着装置(2b)の入口に接続され、低温吸着の原理により低温煙道ガス中のCOを吸着して捕捉し、前記低温吸着装置(2b)の脱着ガス出口(18)で炭素純度が比較的高い粗二酸化炭素ガスが得られ、前記低温吸着装置(2b)の排気出口(17)で二酸化炭素1ppm以下を含むかつ窒素純度が比較的高い窒素含有ガスが得られ、これによって炭素窒素分離の目的が達成され、前記低温吸着装置(2b)で使用される吸着剤は、主にモレキュラーシーブ、活性炭であり、
前記低温吸着装置(2b)の排気出口(17)は、N精製液化システム(03)の原料圧縮機(3a)の入口(19)に接続され、窒素含有ガスを加圧し、前記原料圧縮機(3a)の出口は、前記冷却器(3b)の第1入口(20)に接続され、前記冷却器(3b)の第1出口は、前記熱交換器(3c)の第1入口(21)に接続され、前記冷却器(3b)の第2入口(80)は、高温冷熱NG導入管路に接続され、前記冷却器(3b)の第2出口(90)は、NG排出管路に接続され、前記熱交換器(3c)の第1出口(22)は、前記精留システム(3m)に接続され、前記精留システム(3m)の窒素ガス出口は、前記熱交換器の第2入口(33)に接続され、前記熱交換器(3c)の第2出口(34)は、循環圧縮機(3k)の入口に接続され、前記循環圧縮機(3k)の出口は、前記熱交換器(3c)の第3入口(35)に接続され、前記熱交換器の第3出口(36)は、前記気液分離器(3i)の第1入口に接続され、前記気液分離器(3i)の底部で液体窒素製品が得られ、前記気液分離器(3i)の第1出口(38)から流出し、前記気液分離器(3i)の第2出口は、前記熱交換器(3c)の第6入口(37)に接続され、第6入口(37)は、前記熱交換器(3c)の第2出口(34)に接続され、前記精留システム(3m)のベント出口は、前記熱交換器の第4入口(29)に接続され、前記熱交換器の第4出口(30)は、ベント管路に接続され、LNG液体の入口は、前記熱交換器の第5入口(39)に接続され、高温冷熱NG出口は、前記熱交換器の第5出口(40)に接続され、低温精留原理によりCO・N分離システムから得られた窒素含有ガスをさらに精製液化することで高純度の液体窒素製品が得られ、前記精留システム(3m)は、一塔式精留又は二塔式精留であり、
前記低温吸着装置(2b)の脱着ガス出口(18)は、CO精製液化システム(04)のCO圧縮機(4a)の入口(41)に接続され、粗二酸化炭素ガスを加圧し、前記CO圧縮機(4a)の出口は、前記冷却器(4b)の第1入口(42)に接続され、前記冷却器(4b)の第1出口(43)は、前記蒸発器(4c)の入口に接続され、前記冷却器(4b)の第2入口(47)は、高温冷熱NG導入管路に接続され、前記冷却器(4b)の第2出口(52)は、NG排出管路に接続され、前記蒸発器(4c)の出口は、前記液化器(4d)の第1入口(44)に接続され、前記液化器(4d)の第1出口(45)は、前記精製塔(4e)の中間入口に接続され、前記液化器(4d)の第2入口(48)は、高温冷熱NG導入管路に接続され、前記液化器(4d)の第2出口(53)は、NG排出管路に接続され、前記凝縮器(4f)の第1入口(46)は、高温冷熱NG導入管路に接続され、前記凝縮器(4f)第1出口(51)は、NG出口管路に接続され、前記精製塔(4e)の底部で工業グレードの液体二酸化炭素製品を取得し、前記精製塔(4e)の底部の第1出口(49)を介して貯蔵システムに連通し、二酸化炭素精制システムに連通してもよく、COを二次精製して食品グレード二酸化炭素を取得し、前記精製塔(4e)の第2出口(50)は、排ガスベント管路に接続されることを特徴とする、装置。
【請求項2】
下記のステップ1から3を含む、請求項1に記載の装置を用いて煙道ガス中の二酸化炭素及び窒素ガスを回収する方法であって、
ステップ1:煙道ガス前処理において、
常温常圧の煙道ガスに対して冷却乾燥処理を行い、
ステップ2:COとNの分離において、
乾燥機で乾燥されたガスが低温LNG冷却器及び低温吸着装置(2b)を通過することでガスから粗二酸化炭素ガスが脱着され、窒素含有ガスが排出され、
ステップ3:精製液化によるCO及びN製品の取得において、
粗二酸化炭素ガス及び排出された窒素含有ガスをCO精留液化装置及びN精留液化装置に通過させて精製液化することを特徴とする、方法。
【請求項3】
前記ステップ1:煙道ガス前処理の方法において、常温常圧の煙道ガスは高温NG冷却器(1a)の第1入口(10)に入り、前記冷却器(1a)において高温冷熱NGにより煙道ガスを冷却し、冷却後の煙道ガスは高温NG冷却器(1a)に入り、高温NG冷却器(1a)の第1出口(11)から気液分離器(1b)に入り、煙道ガス中のほとんどの水は気液分離器の水出口(12)から排出され、冷却後の煙道ガスは気液分離器(1b)のガス出口(13)から排出され、昇圧ブロワ(1c)によって加圧された後、通路(14)を経て乾燥機(1d)に入り、露点が関連要求を満たすまでさらに乾燥されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ2のCOとNの分離の方法において、乾燥機(1d)によって乾燥されたガスは低温LNG冷却器(2a)の入口(15)から低温LNG冷却器(2a)に入り、低温LNG冷却器(2a)においてLNG冷熱により乾燥煙道ガスをCO沸点温度程度まで冷却し、低温LNG冷却器(2a)の出口(16)は、低温吸着装置(2b)の入口に接続され、低温吸着の原理により低温乾燥煙道ガス中のCOを吸着して捕捉し、低温吸着装置(2b)の脱着ガス出口(18)で炭素純度が比較的高い粗二酸化炭素ガスが得られ、低温吸着装置(2b)の排気出口(17)で二酸化炭素1ppm以下を含むかつ窒素純度が比較的高い窒素含有ガスが得られ、これによって、二酸化炭素及び窒素ガスの精製原料ガスが得られ、炭素窒素分離の目的が達成されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ3のN精製液化の方法において、低温吸着装置(2b)の排気出口(17)からの排気は、パイプを介して原料圧縮機(3a)の入口(19)に接続され、窒素含有ガスを加圧し、原料圧縮機(3a)の出口は、冷却器(3b)の第1入口(20)に接続され、冷却器(3b)の第1出口は、熱交換器(3c)の第1入口(21)に接続され、冷却器(3b)の第2入口(80)は、高温冷熱NG導入管路に接続され、冷却器(3b)の第2出口(90)は、NG排出管路に接続され、加圧冷却後の窒素含有ガスは、熱交換器(3c)において外部からのLNG、精留循環窒素ガス、精留パージガスと熱交換し、熱交換器(3c)の第1出口(22)を介して精留システム(3m)に接続され、精留システム(3m)において分離精製を行い、精留システム(3m)の窒素ガス出口は、熱交換器(3c)の第2入口(33)に接続され、前記窒素ガスは循環窒素ガスとして用いられ、熱交換器(3c)の第2出口(34)を介して循環圧縮機(3k)の入口に接続され、循環圧縮機(3k)の出口は、熱交換器(3c)の第3入口(35)に接続され、熱交換器(3c)の第3出口(36)は、気液分離器(3i)に接続され、気液分離器(3i)の底部で高純度の液体窒素製品が得られ、気液分離器(3i)の第1出口(38)から流出し、気液分離器(3i)のガスは、気液分離器(3i)の第2出口から熱交換器(3c)の第6入口(37)に入り、熱交換器によって再加熱された後、第2出口(34)から循環圧縮機(3k)に入って圧縮され、精留システム(3m)のパージガスは、熱交換器(3c)の第4入口(29)に接続され、再加熱された後、熱交換器(3c)の第4出口(30)からパージされ、LNG液体入口は、熱交換器(3c)の第5入口(39)に接続され、高温冷熱のNGは熱交換器(3c)の第5出口(40)から流出して他のシステムの高温冷熱の由来源となり、前記ステップ3のCO精製液化の方法において、低温吸着装置(2b)からの脱着ガスは、脱着ガス出口(18)を介してCO圧縮機(4a)の入口(41)に接続され、粗二酸化炭素ガスを加圧し、CO圧縮機(4a)の出口は、冷却器(4b)の第1入口(42)に接続され、冷却器(4b)の第2入口(47)は、高温冷熱NG導入管路に接続され、冷却器(4b)の第2出口(52)は、NG排出管路に接続され、冷却器(4b)において高温冷熱NGにより圧縮後の粗二酸化炭素ガスを冷却し、冷却器(4b)の第1出口(43)は、蒸発器(4c)の入口に接続され、冷却後の粗二酸化炭素ガスは蒸発器の熱源として液体二酸化炭素の気化のために熱を供給し、蒸発器(4c)の出口は、液化器(4d)の第1入口(44)に接続され、液化器(4d)の第2入口(48)は、高温冷熱NG導入管路に接続され、液化器(4d)の第2出口(53)は、NG排出管路に接続され、液化器(4d)において、高温冷熱NGにより粗二酸化炭素を液化凝縮し、液化器(4d)の第1出口(45)は、精製塔(4e)の中間入口に接続され、精製塔に入って粗二酸化炭素に対して精製塔内で熱移動と物質移動により精製され、塔頂凝縮器(4f)の第1入口(46)は、高温冷熱NG導入管路に接続され、凝縮器(4f)の第1出口(51)は、NG出口管路に接続され、高温冷熱NGにより塔頂上昇ガスを凝縮還流し、同時に一部の排気を精製塔(4e)の第2出口(50)からパージし、精製塔(4e)の底部で工業グレードの液体二酸化炭素を取得し、精製塔(4e)の底部の第1出口(49)を介して貯蔵システムに連通し、工業グレードの液体二酸化炭素製品を取得し、二酸化炭素精制システムに連通してもよく、COを二次精製して食品グレードの二酸化炭素を取得することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記冷却器(4b)、前記液化器(4d)、前記凝縮器(4f)及びN精製液化システム(03)における前記冷却器(3b)の冷源は、LNGの気化過程において発生した高温冷熱NGに由来し、通常の電気駆動式冷凍機を用いて冷熱を生産する方式と比較してエネルギー消費が低く、安全で環境に優しく、LNG高温冷熱の回収利用を実現することもできることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記N精製液化システム(03)は、電気エネルギーによる圧縮・膨張により冷熱を発生させる従来の方式の代わりに、前記熱交換器(3c)においてLNGの気化による冷熱により駆動して液体窒素製品を製造することによって、高純度液体窒素製品の製造エネルギー消費量が大幅に削減されるとともに、LNGがN精製液化システム(03)において気化してエネルギーを放出するときに発生した高温冷熱NGは回収システムの他の部材の冷源としてLNGの異なる温度の冷熱のカスケード利用を実現することができることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙道ガス中の二酸化炭素及び窒素ガスを回収する装置及び方法に関し、低温技術の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料の排出は世界の二酸化炭素総排出量の40%を占めている。中国では、現在のエネルギー構造は石炭が多く、石油が少なく、天然ガスが少ないため、石炭燃焼排ガスが中国の主な二酸化炭素排出源となっている。そのため、石炭燃焼煙道ガスに対する炭素排出量削減は、環境上重要な意味を持っている。エネルギー利用の過程において、COを分離回収する主な技術には、吸収技術、吸着技術、膜分離技術及び低温相変化分離技術などがある。溶液吸収法は、最も成熟したCO捕捉方法であり、世界中の様々な煙道ガスに使用されており、常圧低濃度の煙道ガスからCOを分離できるだけでなく、処理可能な量が大きく、得られたCOの純度が高い。しかし、この方法では、吸収後の溶液の再生に大量の熱を消費する必要があるとともに、吸収剤の製造に資源を消耗するだけでなく、一定期間使用すると効果がなくなるため、常に補充する必要がある。化学吸収剤もある程度毒性及び腐食性を有し、環境に対する影響が大きく、製造と回収のコストが高い。膜分離法は、ポリマー材料により製造されたフィルムの異なるガスに対する透過率の違いによりガスを分離し、圧力差を駆動力とする技術であるが、大規模な応用は比較的制限されている。圧力スイング吸着技術は、その吸着剤が再生されやすく、吸着剤の使用寿命が長く、設備が簡単などの多くの利点を有するが、低濃度二酸化炭素の煙道ガスに対して、常温圧力スイング吸着技術のコスト及びエネルギー消費はいずれも非常に高い。
【0003】
また、中国はLNGの主要輸入国である。LNGとは、気体状の天然ガスを低温プロセスにより液化精製して得られる低温混合液体であり、常圧での温度は-162℃である。LNGは受入基地で再気化する過程において大量の冷熱を放出し、従来の再気化プロセスでは、海水を用いてLNGを気化させるため、極めて大きな冷熱浪費が引き起こされ、周囲の海域又は地域の環境に冷汚染をもたらす。LNG受入基地の近くには石炭火力発電所が建設され、LNGの気化により放出された冷熱により煙道ガス中のCO及びNを回収することによって、LNG気化装置のコストが削減されるとともに、回収装置の電力消費が減少し、間接的に温室効果ガスの排出が減少し、非常に大きな経済的及び社会的利益を有する。
【0004】
中国特許CN107899376Aには、煙道ガス中の二酸化炭素及び窒素ガスの液化捕捉回収装置及び方法が開示されており、膜分離回収技術に属する。しかし、膜は、ガス源の清浄度に対する要求が高く、使用寿命が短く、製品純度が低く、価格が高く、工業的な大量生産には適していない。
【0005】
中国特許CN210825439Uには、石炭火力発電所ボイラー煙道ガスから二酸化炭素と窒素ガスを同時に回収するシステムが開示されている。このシステムは、煙道ガス前処理システムと、PSA1システムと、PSA2システムと、二酸化炭素圧縮精製システムと、二酸化炭素精留貯蔵システムと、PSAによる高純度窒素製造システムとを含む。このシステムは、二酸化炭素と窒素ガスを最大限に捕捉することができ、製品の純度が高い。しかし、設備の操作が不便で、エネルギー消費が多いという問題が存在する。
【0006】
中国特許CN216481836Uには、ボイラー煙道ガスから窒素ガスと二酸化炭素を同時に回収するシステムが開示されている。このシステムは、煙道ガス前処理システムと、炭素窒素分離システムと、二酸化炭素二次精製システムと、窒素ガス濃縮精製システムとを含む。このシステムは、二酸化炭素と窒素ガスを最大限に回収することができる。しかし、このシステムの炭素窒素分離は、常温圧力スイング吸着技術を採用し、吸着圧力が0.2~0.4MPaと高いため、エネルギー消費が多い。また、冷熱の生産は、通常の電気駆動式冷凍を利用するため、回収コストが高い。
【発明の概要】
【0007】
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、煙道ガス中の二酸化炭素及び窒素ガスを回収する装置及び方法を提供することである。本発明は、LNG気化による冷熱により、低温吸着技術と組み合わせて、低コスト、低エネルギー消費で煙道ガス中のCO及びNの回収利用を実現し、比較的高い経済的価値と社会的価値を有する。上記の目的を達成するために、本発明は、以下の技術を利用する。
煙道ガス中の二酸化炭素及び窒素ガスを回収する装置であって、
前記装置は、互いに管路及びバルブを介して接続される前処理システムと、CO・N分離システムと、N精製液化システムと、CO精製液化システムとを含み、前記前処理システムは、高温NG冷却器と、気液分離器と、昇圧ブロワと、乾燥機とを含み、煙道ガスから水分を除去し、煙道ガスを冷却するものであり、前記CO・N分離システムは、低温LNG冷却器と、低温吸着装置とを含み、前処理後の煙道ガスをさらに冷却、吸着してCOとNを分離するものであり、前記N精製液化システムは、原料圧縮機と、熱交換器と、冷却器と、気液分離器と、精留システムとから構成されるN精留液化装置を含み、CO・N分離システムから得られた窒素含有ガスをさらに精製液化するものであり、前記CO精製液化システムは、CO圧縮機と、冷却器と、蒸発器と、凝縮器と、液化器と、精製塔とから構成されるCO精留液化装置を含み、CO・N分離システムから得られた脱着ガスをさらに精製液化するものである。
【0008】
好ましくは、前記前処理システムにおける前記高温NG冷却器の第1入口は、煙道ガス排出口に接続され、高温冷熱NGにより煙道ガスをさらに冷却し、冷却後の煙道ガスは前記高温NG冷却器の第1出口を経て気液分離器により煙道ガス中のほとんどの水は除去され、水は前記気液分離器の水出口から排出され、冷却後の煙道ガスは前記気液分離器のガス出口を経て前記昇圧ブロワにより加圧された後、通路を経て前記乾燥機に入ってさらに乾燥され、前記前処理システムにおける前記乾燥機は、低温LNG冷却器の入口に接続され、LNG冷熱により前処理後の乾燥煙道ガスをCO沸点温度程度まで冷却し、前記低温LNG冷却器の出口は、前記低温吸着装置の入口に接続され、低温吸着の原理により低温煙道ガス中のCOを吸着して捕捉し、前記低温吸着装置の脱着ガス出口で炭素純度が比較的高い粗二酸化炭素ガスが得られ、前記低温吸着装置の排気出口で二酸化炭素1ppm以下を含むかつ窒素純度が比較的高い窒素含有ガスが得られ、これによって炭素窒素分離の目的が達成され、前記低温吸着装置で使用される吸着剤は、主にモレキュラーシーブ、活性炭である。
【0009】
好ましくは、前記低温吸着装置の出口の排気パイプは、N精製液化システムの原料圧縮機の入口に接続され、窒素含有ガスを加圧し、前記原料圧縮機の出口は、前記冷却器の第1入口に接続され、前記冷却器の第1出口は、前記熱交換器の第1入口に接続され、前記冷却器の第2入口は、高温冷熱NG導入管路に接続され、前記冷却器の第2出口は、NG排出管路に接続され、前記熱交換器の第1出口は、前記精留システムに接続され、前記精留システムの窒素ガス出口は、前記熱交換器の第2入口に接続され、前記熱交換器の第2出口は、循環圧縮機の入口に接続され、前記循環圧縮機の出口は、前記熱交換器の第3入口に接続され、前記熱交換器の第3出口は、前記気液分離器の第1入口に接続され、前記気液分離器の底部で液体窒素製品が得られ、前記気液分離器の第1出口から流出し、前記気液分離器の第2出口は、前記熱交換器の第6入口に接続され、第6入口は、前記熱交換器の第2出口に接続され、前記精留システムのベント出口は、前記熱交換器の第4入口に接続され、前記熱交換器の第4出口は、ベント管路に接続され、LNG液体の入口は、前記熱交換器の第5入口に接続され、高温冷熱NG出口は、前記熱交換器の第5出口に接続され、低温精留原理によりCO・N分離システムから得られた窒素含有ガスをさらに精製液化することで高純度の液体窒素製品が得られ、前記精留システムは、一塔式精留又は二塔式精留である。
【0010】
好ましくは、前記低温吸着装置の出口の脱着ガスパイプは、CO精製液化システムのCO圧縮機の入口に接続され、粗二酸化炭素ガスを加圧し、前記CO圧縮機の出口は、前記冷却器の第1入口に接続され、前記冷却器の第1出口は、前記蒸発器の入口に接続され、前記冷却器の第2入口は、高温冷熱NG導入管路に接続され、前記冷却器の第2出口は、NG排出管路に接続され、前記蒸発器の出口は、前記液化器の第1入口に接続され、前記液化器の第1出口は、前記精製塔の中間入口に接続され、前記液化器の第2入口は、高温冷熱NG導入管路に接続され、前記液化器の第2出口は、NG排出管路に接続され、前記凝縮器の第1入口は、高温冷熱NG導入管路に接続され、前記凝縮器第1出口は、NG出口管路に接続され、前記精製塔の底部で工業グレードの液体二酸化炭素製品を取得し、前記精製塔の底部の第1出口を介して貯蔵システムに連通し、二酸化炭素精制システムに連通してもよく、COを二次精製して食品グレード二酸化炭素を取得し、前記精製塔の第2出口は、排ガスベント管路に接続される。
【0011】
煙道ガス中の二酸化炭素及び窒素ガスを回収する方法であって、
ステップ1:煙道ガス前処理において、
常温常圧の煙道ガスに対して冷却乾燥処理を行い、
ステップ2:COとNの分離において、
乾燥機で乾燥されたガスが低温LNG冷却器及び低温吸着装置を通過することでガスから粗二酸化炭素ガスが脱着され、窒素含有ガスが排出され、
ステップ3:精製液化によるCO及びN製品の取得において、
粗二酸化炭素ガス及び排出された窒素含有ガスをCO精留液化装置及びN精留液化装置に通過させて精製液化する。
【0012】
好ましくは、前記ステップ1:煙道ガス前処理の方法において、常温常圧の煙道ガスは高温NG冷却器の第1入口に入り、前記冷却器において高温冷熱NGにより煙道ガスを冷却し、冷却後の煙道ガスは高温NG冷却器に入り、高温NG冷却器の第1出口から気液分離器に入り、煙道ガス中のほとんどの水は気液分離器の水出口から排出され、冷却後の煙道ガスは気液分離器のガス出口から排出され、昇圧ブロワによって加圧された後、通路を経て乾燥機に入り、露点が関連要求を満たすまでさらに乾燥される。
【0013】
好ましくは、前記ステップ2のCOとNの分離の方法において、乾燥機によって乾燥されたガスは低温LNG冷却器の入口から低温LNG冷却器に入り、低温LNG冷却器においてLNG冷熱により乾燥煙道ガスをCO沸点温度程度まで冷却し、低温LNG冷却器の出口は、低温吸着装置の入口に接続され、低温吸着の原理により低温乾燥煙道ガス中のCOなどを吸着して捕捉し、低温吸着装置の脱着ガス出口で炭素純度が比較的高い粗二酸化炭素ガスが得られ、低温吸着装置の排気出口で二酸化炭素1ppm以下を含むかつ窒素純度が比較的高い窒素含有ガスが得られ、これによって、二酸化炭素及び窒素ガスの精製原料ガスが得られ、炭素窒素分離の目的が達成される。
【0014】
好ましくは、前記ステップ3のN精製液化の方法において、低温吸着装置の排気出口からの排気は、パイプを介して原料圧縮機の入口に接続され、窒素含有ガスを加圧し、原料圧縮機の出口は、冷却器の第1入口に接続され、冷却器の第1出口は、熱交換器の第1入口に接続され、冷却器の第2入口は、高温冷熱NG導入管路に接続され、冷却器の第2出口は、NG排出管路に接続され、加圧冷却後の窒素含有ガスは、熱交換器において外部からのLNG、精留循環窒素ガス、精留パージガスと熱交換し、熱交換器の第1出口を介して精留システムに接続され、精留システムにおいて分離精製を行い、精留システムの窒素ガス出口は、熱交換器の第2入口に接続され、この窒素ガスは循環窒素ガスとして用いられ、熱交換器の第2出口を介して循環圧縮機の入口に接続され、循環圧縮機の出口は、熱交換器の第3入口に接続され、熱交換器の第3出口は、気液分離器に接続され、気液分離器の底部で高純度の液体窒素製品が得られ、気液分離器の第1出口から流出し、気液分離器のガスは、気液分離器の第2出口から熱交換器の第6入口に入り、熱交換器によって再加熱された後、第2出口から循環圧縮機に入って圧縮され、精留システムのパージガスは、熱交換器の第4入口に接続され、再加熱された後、熱交換器の第4出口からパージされ、LNG液体入口は、熱交換器の第5入口に接続され、高温冷熱のNGは熱交換器の第5出口から流出して他のシステムの高温冷熱の由来源となり、
前記ステップ3のCO精製液化の方法において、低温吸着装置からの脱着ガスは、脱着ガス出口を介してCO圧縮機の入口に接続され、粗二酸化炭素ガスを加圧し、CO圧縮機の出口は、冷却器の第1入口に接続され、冷却器の第2入口は、高温冷熱NG導入管路に接続され、冷却器の第2出口は、NG排出管路に接続され、冷却器において高温冷熱NGにより圧縮後の粗二酸化炭素ガスを冷却し、冷却器の第1出口は、蒸発器の入口に接続され、冷却後の粗二酸化炭素ガスは蒸発器の熱源として液体二酸化炭素の気化のために熱を供給し、蒸発器の出口は、液化器の第1入口に接続され、液化器の第2入口は、高温冷熱NG導入管路に接続され、液化器の第2出口は、NG排出管路に接続され、液化器において、高温冷熱NGにより粗二酸化炭素を液化凝縮し、液化器の第1出口は、精製塔の中間入口に接続され、精製塔に入って粗二酸化炭素に対して精製塔内で熱移動と物質移動により精製され、塔頂凝縮器の第1入口は、高温冷熱NG導入管路に接続され、凝縮器の第1出口は、NG出口管路に接続され、高温冷熱NGにより塔頂上昇ガスを凝縮還流し、同時に一部の排気を精製塔の第2出口からパージし、精製塔の底部で工業グレードの液体二酸化炭素を取得し、精製塔の底部の第1出口を介して貯蔵システムに連通し、工業グレードの液体二酸化炭素製品を取得し、二酸化炭素精制システムに連通してもよく、COを二次精製して食品グレードの二酸化炭素を取得する。
【0015】
好ましくは、前記冷却器、前記液化器、前記凝縮器及びN精製液化システムにおける前記冷却器の冷源は、LNGの気化過程において発生した高温冷熱NGに由来し、通常の電気駆動式冷凍機を用いて冷熱を生産する方式と比較してエネルギー消費が低く、安全で環境に優しく、LNG高温冷熱の回収利用を実現することもできる。
【0016】
好ましくは、前記N精製液化システムは、電気エネルギーによる圧縮・膨張により冷熱を発生させる従来の方式の代わりに、前記熱交換器においてLNGの気化による冷熱により駆動して液体窒素製品を製造することによって、高純度液体窒素製品の製造エネルギー消費量が大幅に削減されるとともに、LNGがN精製液化システムにおいて気化してエネルギーを放出するときに発生した高温冷熱NGは回収システムの他の部材の冷源としてLNGの異なる温度の冷熱のカスケード利用を実現することができる。
【0017】
本発明で提供される煙道ガス中の二酸化炭素及び窒素ガスを回収する装置及び方法は、以下の有益な効果を有する。
1)本発明の装置及び方法では、LNGをシステムの冷熱の由来源として使用することにより、外部の電気冷凍システムを必要とせず、より省エネである。また、各システムの異なる温度要求に応じてLNGの異なる温度での冷熱と合わせてLNG冷熱の効率的な利用を実現する。
2)本発明の装置及び方法では、低温吸着により炭素窒素分離を実現し、低圧下で含有量が比較的高い粗二酸化炭素ガス及び窒素含有ガスを得ることができ、後の精製システムの加圧電力使用率がより高く、全体的なエネルギー消費が少ない。
3)本発明では、LNG冷熱液化により煙道ガス中のCO及びNを回収し、低温吸着分離の特性によりCOとNを効率的に分離し、低温精留法によりCO及びNを精製液化することにより、低エネルギー消費、低コストで高純度の液体二酸化炭素及び高純度の液体窒素を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のフローチャートである。
図2】本発明のN精製液化構造の模式図である。
図3】本発明のCO精製液化構造の模式図である。
図4】本発明の別のN精製液化構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明が解決しようとする技術的問題、技術的解決策及び有益な効果をより明確にするために、以下、図1-4及び具体的な実施形態により本発明をさらに詳しく説明する。なお、当業者であれば、本発明の原理を逸脱しない限り、本発明に複数の改良及び修飾を加えることができ、これらの改良及び修飾も本発明の保護範囲に含まれる。
【0020】
図1は、煙道ガス中の二酸化炭素及び窒素ガスを回収する装置を示す。前記装置は、互いに管路及びバルブを介して接続される前処理システム01と、CO・N分離システム02と、N精製液化システム03と、CO精製液化システム04とを含み、前記前処理システム01は、高温NG冷却器1aと、気液分離器1bと、昇圧ブロワ1cと、乾燥機1dとを含み、煙道ガスから水分を除去し、煙道ガスを冷却するものであり、前記CO・N分離システム02は、低温LNG冷却器2aと、低温吸着装置2bとを含み、前処理後の煙道ガスをさらに冷却、吸着してCOとNを分離するものであり、前記N精製液化システム03は、圧縮機3a及び3kと、冷却器3bと、熱交換器3cと、気液分離器3iと、精留システム3mとから構成されるN精留液化装置を含み、CO・N分離システムから得られた窒素含有ガスをさらに精製液化するものであり、前記CO精製液化システム04は、CO圧縮機4aと、冷却器4bと、蒸発器4cと、凝縮器4fと、液化器4dと、精製塔4eとから構成されるCO精留液化装置を含み、CO・N分離システムから得られた脱着ガスをさらに精製液化するものである。
【0021】
前記前処理システム01は、高温NG冷却器1aと、気液分離器1bと、昇圧ブロワ1cと、乾燥機1dを含む。前記高温NG冷却器1aの第1入口10は、煙道ガス排出口に接続され、高温冷熱NGにより煙道ガスをさらに冷却し、冷却後の煙道ガスは前記高温NG冷却器1aの第1出口11を経て気液分離器1bにより煙道ガス中のほとんどの水は除去され、水は前記気液分離器1bの水出口12から排出され、冷却後の煙道ガスは前記気液分離器1bのガス出口13を経て前記昇圧ブロワ1cにより加圧された後、通路14を経て前記乾燥機1dに入って露点が関連要求を満たすまでさらに乾燥される。
【0022】
前記CO・N分離システムは、低温LNG冷却器2aと、低温吸着装置2bとを含む。低温LNG冷却器2aの入口15は、前処理システム01における乾燥器1dの出口に接続され、LNG冷熱により前処理後の乾燥煙道ガスをCO沸点温度程度まで冷却する。低温LNG冷却器2aの出口16は、低温吸着装置2bの入口に接続され、低温吸着の原理により低温煙道ガスにおけるCOを吸着して捕捉し、低温吸着装置の脱着ガス出口18で炭素純度が比較的高い粗二酸化炭素ガスが得られ、低温吸着装置の排気出口17で二酸化炭素1ppm以下を含むかつ窒素純度が比較的高い窒素含有ガスが得られ、炭素窒素分離の目的が達成される。
【0023】
図2に示すように、前記N精製液化システム03の前記原料圧縮機3aの入口19は、前記低温吸着装置2bの排気出口17に接続され、窒素含有ガスを加圧する。前記原料圧縮機3aの出口は、前記冷却器3bの第1入口20に接続され、前記冷却器3bの第1出口は、前記熱交換器3cの第1入口21に接続され、前記冷却器3bの第2入口80は、高温冷熱NG導入管路に接続され、前記冷却器3bの第2出口90は、NG排出管路に接続され、前記熱交換器3cの第1出口22は、前記精留システム3mに接続され、前記精留システム3mの窒素ガス出口は、前記熱交換器の第2入口33に接続され、前記熱交換器3cの第2出口34は、循環圧縮機3kの入口に接続され、前記循環圧縮機3kの出口は、前記熱交換器3cの第3入口35に接続され、前記熱交換器の第3出口36は、前記気液分離器3iの第1入口に接続され、前記気液分離器3iの底部で液体窒素製品が得られ、前記気液分離器3iの第1出口38から流出し、前記気液分離器3iの第2出口は、前記熱交換器3cの第6入口37に接続され、第6入口37は、前記熱交換器3cの第2出口34に接続され、前記精留システム3mのベント出口は、前記熱交換器の第4入口29に接続され、前記熱交換器の第4出口30は、ベント管路に接続され、LNG液体の入口は、前記熱交換器の第5入口39に接続され、高温冷熱NG出口は、前記熱交換器の第5出口40に接続され、低温精留原理によりCO・N分離システムから得られた窒素含有ガスをさらに精製液化することで高純度の液体窒素製品が得られる。
【0024】
図3に示すように、前記CO精製液化システム04は、CO圧縮機4aと、冷却器4bと、蒸発器4cと、液化器4dと、凝縮器4fと、精製塔4eとからなるCO精留液化装置を含む。CO圧縮機4aの入口41は、低温吸着装置2bの脱着ガス出口18に接続され、粗二酸化炭素ガスを加圧する。CO圧縮機4aの出口は、冷却器4bの第1入口42に接続され、冷却器4bの第1出口43は、蒸発器4cの入口に接続され、冷却器4bの第2入口47は、高温冷熱NG導入管路に接続され、冷却器4bの第2出口52は、NG排出管路に接続される。蒸発器4cの出口は、液化器4dの第1入口44に接続され、液化器4dの第1出口45は、精製塔4eの中間入口に接続され、液化器4dの第2入口48は、高温冷熱NG導入管路に接続され、液化器4dの第2出口53は、NG排出管路に接続される。凝縮器4fの第1入口46は、高温冷熱NG導入管路に接続され、凝縮器4fの第1出口51は、NG出口管路に接続される。精製塔4eの底部で工業グレードの液体二酸化炭素製品が得られ、精製塔4eの底部の第1出口49を介して貯蔵システムに連通し、二酸化炭素精制システムに連通してもよく、COを二次精製して食品グレードの二酸化炭素を取得する。精製塔4eの第2出口50は、排ガスベント管路に接続される。
【0025】
具体的な実施形態は、以下のステップを含む。
ステップ1:常温常圧の煙道ガスは高温NG冷却器1aの第1入口10に入り、前記冷却器1aにおいて高温冷熱NGにより煙道ガスを冷却し、冷却後の煙道ガスは高温NG冷却器1aに入り、高温NG冷却器1aの第1出口11から気液分離器1bに入り、煙道ガス中のほとんどの水は気液分離器の水出口12から排出され、冷却後の煙道ガスは気液分離器1bのガス出口13から排出され、昇圧ブロワ1cによって加圧された後、通路14を経て乾燥機1dに入り、露点が関連要求を満たすまでさらに乾燥される。
【0026】
ステップ2:乾燥機1dによって乾燥されたガスは低温LNG冷却器2aの入口15から低温LNG冷却器2aに入り、低温LNG冷却器2aにおいてLNG冷熱により乾燥煙道ガスをCO沸点温度程度まで冷却し、低温LNG冷却器2aの出口16は、低温吸着装置2bの入口に接続され、低温吸着の原理により低温乾燥煙道ガス中のCOなどを吸着して捕捉し、低温吸着装置2bの脱着ガス出口18で炭素純度が比較的高い粗二酸化炭素ガスが得られ、低温吸着装置2bの排気出口17で二酸化炭素1ppm以下を含むかつ窒素純度が比較的高い窒素含有ガスが得られ、これによって、二酸化炭素及び窒素ガスの精製原料ガスが得られ、炭素窒素分離の目的が達成される。
【0027】
ステップ3:低温吸着装置2bの排気出口17からの排気は、パイプを介して原料圧縮機3aの入口19に接続され、窒素含有ガスを加圧し、原料圧縮機3aの出口は、冷却器3bの第1入口20に接続され、冷却器3bの第1出口は、熱交換器3cの第1入口21に接続され、冷却器3bの第2入口80は、高温冷熱NG導入管路に接続され、冷却器3bの第2出口90は、NG排出管路に接続され、加圧冷却後の窒素含有ガスは、熱交換器3cにおいて外部からのLNG、精留循環窒素ガス、精留パージガスと熱交換し、熱交換器3cの第1出口22を介して精留システム3mに接続され、精留システム3mにおいて分離精製を行い、精留システム3mの窒素ガス出口は、熱交換器3cの第2入口33に接続され、この窒素ガスは循環窒素ガスとして用いられ、熱交換器3cの第2出口34を介して循環圧縮機3kの入口に接続され、循環圧縮機3kの出口は、熱交換器3cの第3入口35に接続され、熱交換器3cの第3出口36は、気液分離器3iに接続され、気液分離器3iの底部で高純度の液体窒素製品が得られ、気液分離器3iの第1出口38から流出し、気液分離器3iのガスは、気液分離器3iの第2出口から熱交換器3cの第6入口37に入り、熱交換器によって再加熱された後、第2出口34から循環圧縮機3kに入って圧縮され、精留システム3mのパージガスは、熱交換器3cの第4入口29に接続され、再加熱された後、熱交換器3cの第4出口30からパージされ、LNG液体入口は、熱交換器3cの第5入口39に接続され、高温冷熱のNGは熱交換器3cの第5出口40から流出して他のシステムの高温冷熱の由来源となる。
【0028】
ステップ4:低温吸着装置2bからの脱着ガスは、脱着ガス出口18を介してCO圧縮機4aの入口41に接続され、粗二酸化炭素ガスを加圧し、CO圧縮機4aの出口は、冷却器4bの第1入口42に接続され、冷却器4bの第2入口47は、高温冷熱NG導入管路に接続され、冷却器4bの第2出口52は、NG排出管路に接続され、冷却器4bにおいて高温冷熱NGにより圧縮後の粗二酸化炭素ガスを冷却し、冷却器4bの第1出口43は、蒸発器4cの入口に接続され、冷却後の粗二酸化炭素ガスは蒸発器の熱源として液体二酸化炭素の気化のために熱を供給し、蒸発器4cの出口は、液化器4dの第1入口44に接続され、液化器4dの第2入口48は、高温冷熱NG導入管路に接続され、液化器4dの第2出口53は、NG排出管路に接続され、液化器4dにおいて、高温冷熱NGにより粗二酸化炭素を液化凝縮し、液化器4dの第1出口45は、精製塔4eの中間入口に接続され、精製塔に入って粗二酸化炭素に対して精製塔内で熱移動と物質移動により精製され、塔頂凝縮器4fの第1入口46は、高温冷熱NG導入管路に接続され、凝縮器4fの第1出口51は、NG出口管路に接続され、高温冷熱NGにより塔頂上昇ガスを凝縮還流し、同時に一部の排気を精製塔4eの第2出口50からパージし、精製塔4eの底部で工業グレードの液体二酸化炭素を取得し、精製塔4eの底部の第1出口49を介して貯蔵システムに連通し、工業グレードの液体二酸化炭素製品を取得し、二酸化炭素精制システムに連通してもよく、COを二次精製して食品グレードの二酸化炭素を取得する。
【0029】
前記低温吸着装置2bに使用される吸着剤は、主にモレキュラーシーブ、活性炭である。
【0030】
前記N精製液化システム03における前記精留システム3mは、一塔式精留プロセスであってもよく、二塔式精留プロセスであってもよい。
【0031】
本発明の装置及び方法では、LNGが気化する際に放出された冷熱をシステムの冷熱の由来源とすることにより、外部の電気冷凍システムを必要とせず、より省エネである。また、各システムの異なる温度要求に応じてLNGの異なる温度での冷熱と合わせてLNGの異なる勾配冷熱の効率的な利用を実現する。
【0032】
本発明の装置及び方法では、低温吸着により炭素窒素分離を実現し、低圧下で含有量が比較的高い粗二酸化炭素ガス及び窒素含有ガスを得ることができ、全体的なエネルギー消費が少ない。
【0033】
図4は、前記装置及び方法におけるN精製液化システム03の変形例の模式図であり、前記N精製液化システム03の精留システム3mは、主に第1圧力塔3dと、第1凝縮蒸発器3eと、過冷却器3fと、第2圧力塔3gと、第2凝縮蒸発器3hと、液体窒素ポンプ3jとを含む。
【0034】
具体的な実施手順は以下の通りである。
熱交換器3cの第1出口22は、第1圧力塔3dの底部入口に接続され、第1圧力塔3dの底部出口の液体は、過冷却器3fの第1入口23に接続され、過冷却器3fの第1出口24は、第1凝縮蒸発器3eの入口に接続され、第1圧力塔3dの底部液体は、過冷却器3fによって過冷却された後、第1凝縮蒸発器3eに入って冷源として使用される。第1凝縮蒸発器3eの出口25は、第2圧力塔3gの底部入口に接続され、第1圧力塔3dの頂部出口の窒素ガスは、熱交換器の第2入口33に接続される。第2圧力塔3gの底部出口は、過冷却器3fの第2入口26に接続され、過冷却器3fの第2出口27は、第2凝縮蒸発器3hの入口に接続され、第2圧力塔3gの底部液体は、過冷却器3fによって過冷却された後、第2凝縮蒸発器3hに入って冷源として使用される。第2凝縮蒸発器3hの出口は、過冷却器3fの第3入口28に接続され、過冷却器3fの第3出口は、熱交換器の第4入口29に接続される。第2圧力塔3gの頂部31から液体窒素を抜き出して液体窒素ポンプ3jによって加圧した後、第1圧力塔3dの頂部32に戻す。
【0035】
具体的な実施例
実施例1
図1図2及び図3を参照されたい。
1.国家超低排出基準を満たすボイラー煙道ガスである常温常圧煙道ガス10(約50℃,0.1MPaA)を、パイプを介して高温NG冷却器1aの入口に流入させた。この冷却器において高温冷熱NGにより煙道ガスをさらに5℃程度まで冷却した。冷却後の煙道ガスは、気液分離器1bの第1入口11に入り、煙道ガス中のほとんどの水は気液分離器の水出口12から排出された。冷却後の煙道ガスは、気液分離器ガスの出口13から排出され、昇圧ブロワ1cによって加圧された後、通路14を経て約0.12MPaAで乾燥機1dに入って露点が関連要求を満たすまでさらに乾燥された。
【0036】
2.乾燥機1dの出口の乾燥ガスは、低温LNG冷却器2aの入口15に接続され、この冷却器においてLNG冷熱により乾燥煙道ガスをCO沸点温度程度-78℃(約0.11MPaA)まで冷却した。低温LNG冷却器2aの出口16は、低温吸着装置2bの入口に接続され、低温吸着の原理により低温煙道ガス中のCOなどを吸着して捕捉し、低温吸着装置2bの脱着ガス出口18で炭素純度が比較的高い粗二酸化炭素ガスが得られ、低温吸着装置2bの排気出口17で二酸化炭素1ppm以下を含むかつ窒素純度が比較的高い窒素含有ガスが得られた。これによって、二酸化炭素及び窒素ガスの精製原料ガスが得られ、炭素窒素分離の目的が達成された。
【0037】
3.低温吸着装置2bの出口の排気出口17(約-70℃,0.1MPaA)は、パイプを介して原料圧縮機3aの入口19に接続され、窒素含有ガスを約0.75MPaAに加圧した。原料圧縮機3aの出口は、冷却器3bの第1入口20に接続され、冷却器3bの第1出口(約5℃)は、熱交換器3cの第1入口21に接続され、冷却器3bの第2入口80は、高温冷熱NG導入管路に接続され、冷却器3bの第2出口90は、NG排出管路に接続された。加圧窒素含有ガスは、熱交換器3cにおいて、LNG、精留循環窒素ガス、精留パージガスと熱交換し、熱交換器3cの第1出口22(約-172℃,0.72MPaA)を介して精留システム3mに接続され、精留システムにおいて分離精製した。精留システム3mの出口での窒素ガス(約0.71MPaA)は、熱交換器3cの第2入口33に接続され、この窒素ガスは循環窒素ガスとして用いられ、熱交換器3cの第2出口34(約-121℃,0.7MPaA)を介して循環圧縮機3kの入口に接続され、循環圧縮機3kの出口(約-50℃,6.0MPaA)は、熱交換器3cの第3入口35に接続され、熱交換器3cの第3出口36は、気液分離器3iに接続され、気液分離器3iの底部で高純度の液体窒素製品が得られ、気液分離器3iの第1出口38(約-191℃,0.6MPaA)から排出された。気液分離器3iにおけるガスは、頂部の第2出口を介して熱交換器3cの第6入口37に接続され、第6入口37は、熱交換器3cの第2出口34に接続され、循環圧縮機の入口に戻った。精留システム3mからのパージガスは、熱交換器3cの第4入口29(約-178℃,0.14MPaA)に接続され、常温まで再加熱した後、熱交換器3cの第4出口30からパージされた。LNG液体入口(約-140℃,10.0MPaA)は、熱交換器3cの第5入口39に接続され、高温冷熱NGを経て熱交換器3cの第5出口40(約-70℃,9.7MPaA)から流出して他のシステムの高温冷熱の由来源とされた。
【0038】
低温吸着装置2bの脱着ガス出口18は、CO圧縮機4aの入口41に接続され、粗二酸化炭素ガスを約2.4MPaAに加圧した。CO圧縮機の出口は、冷却器4bの第1入口42に接続され、冷却器4bの第1出口43は、蒸発器4cの入口に接続され、冷却器4bの第2入口47は、高温冷熱NG導入管路に接続され、冷却器4bの第2出口52は、NG排出管路に接続され、冷却器4bにおいて高温NGにより圧縮後の粗二酸化炭素ガスを冷却した。冷却器4bの第1出口43(約6℃)は、蒸発器4cの入口に接続され、冷却後の粗二酸化炭素ガスは蒸発器の熱源として液体二酸化炭素の気化のために熱を供給した。蒸発器4cの出口(約15℃)は、液化器4dの第1入口44に接続され、液化器4dの第1出口45は、精製塔4eの中間入口に接続され、液化器4dの第2入口48は、高温冷熱NG導入管路に接続され、液化器4dの第2出口53は、NG排出管路に接続され、液化器において高温冷熱NGにより粗二酸化炭素ガスを液化凝縮した。精製塔に入った粗二酸化炭素に対して精製塔内で熱移動及び物質移動を行い、さらに精製した。塔頂凝縮器4fの第1入口46は、高温冷熱NG導入管路に接続され、凝縮器4fの第1出口51は、NG出口管路に接続され、高温冷熱NGにより塔頂上昇ガスを凝縮還流し、同時に一部の排気が精製塔4eの頂部の第2出口からパージし、精製塔4eの底部で工業グレードの液体二酸化炭素製品を取得し、精製塔4eの底部の第1出口49(約-17℃,2.3MPaA)を介して貯蔵システムに連通し、COを二次精製するために二酸化炭素精制システムに連通してもよく、食品グレードの二酸化炭素を取得した。
【0039】
実施例2
図4示すように、熱交換器3cの第1出口22(約-172℃,0.72MPaA)は、第1圧力塔3dの底部入口に接続され、第1圧力塔3dにおいて分離精製を行った。第1圧力塔3dの底部出口の液体は、過冷却器3fの第1入口23に接続され、過冷却器3fの第1出口24(約-175℃,0.72MPaA)は、第1凝縮蒸発器3eの入口に接続され、第1圧力塔3dの塔底部での液体は、過冷却器3fによって過冷却された後、第1凝縮蒸発器3eに入って冷源として使用された。第1凝縮蒸発器3eの出口25(約-180℃,0.4MPaA)は、第2圧力塔3gの底部入口に接続され、冷源が蒸発した後、第2圧力塔3gに入って二次分離精製を行った。第1圧力塔3dの頂部出口での窒素ガス(約0.71MPaA)は、熱交換器3cの第2入口33に接続された。第2圧力塔3gの底部出口(約-180℃,0.4MPaA)は、過冷却器3fの第2入口26に接続され、過冷却器3fの第2出口27は、第2凝縮蒸発器3hの入口に接続され、第2圧力塔3gの底部での液体は、過冷却器3fによって過冷却された後、第2凝縮蒸発器3hに入って冷源として使用された。第2凝縮蒸発器3hの出口は、過冷却器の第3入口28に接続され、過冷却器3fの第3出口は、熱交換器3cの第4入口29(約-178℃,0.14MPaA)に接続された。第2圧力塔3gの頂部31から液体窒素を抜き出して液体窒素ポンプ3jにより約1.0MPaAに加圧し、第1圧力塔3dの頂部32に戻した。
図1
図2
図3
図4