(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112796
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】肺の気流の改善
(51)【国際特許分類】
A61F 2/844 20130101AFI20240814BHJP
A61F 2/88 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
A61F2/844
A61F2/88
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024061167
(22)【出願日】2024-04-05
(62)【分割の表示】P 2022195369の分割
【原出願日】2016-09-13
(31)【優先権主張番号】14/852,609
(32)【優先日】2015-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524026506
【氏名又は名称】アプレオ ヘルス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メイズ、マーティン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】気道内の気流を改善するためのデバイス、システムおよび方法を提供する。
【解決手段】被検者を治療するための方法であって、方法は、(1)被検者の気管支幹の1または複数の気道内に、拡張可能なオブジェクトを配置する段階と、(2)1または複数の気道の壁の少なくとも一部が拡張されるように、拡張可能なオブジェクトを、1または複数の気道のうち少なくとも1つの気道内で拡張させる段階と、(3)ステントの一部が、1または複数の拡張された気道の壁の一部に隣接するように、ステントを気道内に配置する段階と、を含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気腫性肺の病変部分を有する被検者の治療に用いられる医療デバイスであって、前記医療デバイスは、
第1の端部及び第2の端部を有する埋め込み可能なオブジェクト
を備え、
前記埋め込み可能なオブジェクトは、前記第1の端部が気管支幹内の第1の気道に配置され、且つ、前記第2の端部が前記気管支幹内の第2の気道に配置されるように、複数の世代の接続された気道にわたって配置されるように構成されており、前記第2の気道は前記第1の気道より高い世代であり、
前記埋め込み可能なオブジェクトは、前記埋め込み可能なオブジェクトが配置される前の初期の直径から前記初期の直径より大きい拡張された直径まで、前記複数の世代の接続された気道の一部を少なくとも拡張する方法で拡張可能であるようにさらに構成されている、
医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本願は、2015年9月13日に出願された米国非仮特許出願第14/852,609号(発明の名称「肺の気流の改善」)に基づく優先権を主張し、当該出願は、参照によりその全体が本明細書で援用される。
【背景技術】
【0002】
肺気腫、慢性気管支炎、喘息その他を含む、閉塞性肺疾患は、気管支幹内の気道の様々な閉塞および/または狭窄をもたらし得る。閉塞性肺疾患によって影響を受ける気道としては、例えば、気管、主気管支、葉気管支、区域気管支、亜区域気管支、細気管支、誘導細気管支、終末細気管支、および呼吸細気管支の任意のものが含まれ得る。気道閉塞には、気道内の粘液の形成および/または気道の瘢痕の形成が含まれ得る。気道狭窄は、他の例の中でも特に、気道の放射状張力の損失、気道壁の肥厚、および/または気管支収縮によって特徴付けられ得る。さらに、閉塞性肺疾患は、肺胞壁の崩壊につがなり得る。
【0003】
気道または肺胞が損傷を受けると、患者は呼出することがだんだん困難になっていく。また、他の病気の影響の中でも特に、閉塞性肺疾患に苦しむ患者は、筋力の損失および一般的な日常動作を行うことが不可能になることにも直面し得る。以下に、肺、気管支幹および気道の追加的な態様を含め、閉塞性肺疾患のより詳細な態様について、さらに説明する。
【0004】
閉塞性肺疾患によって引き起こされる気管支幹の損傷を治療および/または改善するための多くの試みが存在している。閉塞性肺疾患によって引き起こされる閉塞および/または狭窄を緩和するための他の試みもなされている。肺の肺胞への気流の出入りを改善するためのさらなる他の試みもなされている。しかしながら、これまでのところ、これらの試みは、多くの課題に直面している。
【0005】
いくつかの治療法には、これらの気道の開存性の維持を試み、中枢気道(すなわち、気管、主気管支、葉気管支および/または区域気管支)に従来型ステント等のプロテーゼを配置することが含まれる。残念なことには、中枢気道は、閉塞性肺疾患を持つ患者に見られる気道閉塞および/または気道狭窄の全体の一部にのみ寄与する。さらに、プロテーゼが気管支の気道内に配置される場合、プロテーゼには、肉芽組織の形成および粘液栓を含む、閉塞の問題がつきまとう。従って、ステントは最終的に閉塞されるので、気道内への従来型ステントの配置を伴う治療法は、しばしば、患者にとっての短期の改善結果しかもたらさない。
【0006】
他の治療法としては、胸壁を通して肺の外側部分に穿孔を形成することで、閉塞した気管支気道をバイパスし、それにより、病変肺胞と身体外部との間に直接の連通(すなわち、バイパス管)を形成する試みが含まれる。他の措置を取らない場合、これらのバイパス管は、正常な治癒または肉芽組織の形成によって閉じられることになる。治療する医師たちは、バイパス管内に管状の中空プロテーゼを配置することで、開存性の継続期間を延長することを試みることがある。しかしながら、このようなプロテーゼは、異物反応を誘発し、肉芽組織の形成を加速化させ、それにより、最終的にバイパス管を閉塞させる可能性がある。さらに、このようなバイパス手術を行うことは困難であり、時間がかかり、患者にとって心地良くなく、不便で、患者を衰弱させる。
【0007】
さらなる他の治療法には、閉塞された接続気道をバイパスすることを試み、主気管支または葉気管支等の選択した中枢気道と、病変肺胞との間に穿孔を形成することが含まれる。他の措置を取らない場合、穿孔は通常、治癒し閉じられ、かかる治療の長期の有効性を最小化させる。穿孔の内腔に、支持ステントを配置することで、穿孔の開存性を維持する試みがなされている。また、正常な治癒反応の効果および/または肉芽組織の形成を含む、異物反応を最小化すべく、ステントはシリコーンで覆われ、および/または抗増殖薬で被覆されることがある。しかしながら、残念なことに、通常、これらの措置は不十分であり、支持ステントはここでも再び、ステントを頻繁に閉塞させ、穿孔の閉鎖をもたらす肉芽組織の形成を含む異物反応を誘発する。また、中枢気道中の腺から生成される粘液が、頻繁にステントを閉塞させ、穿孔の閉鎖をもたらす。
【0008】
これらの問題および他の問題が、閉塞性肺疾患の既存治療法に引き続きつきまとっており、かかる問題を回避する信頼性のある方法は、未だ開発されていない。従って、例示的な気管支幹の気道の閉塞および狭窄を含む、閉塞性肺疾患によって引き起こされる課題のための、既存の治療法が直面する問題をより高信頼性を備えて回避する、治療法の開発が望ましい。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、気管支幹内の気流および/または肺の肺胞への気流の出入りを改善するために有用な様々なデバイス、システムおよび方法を含む。いくつかの例において、中枢気道と肺胞との間の気流を改善すべく、中枢気道を肺胞に接続する気道が、拡大される。いくつかの場合において、さらに気流を改善すべく、中枢気道を肺胞に接続する接続気道は、それらの通常のサイズを超えて拡大されてよい。さらなる他の場合において、気道がそれらの通常のサイズを超えて拡大されると、気道の一部の壁は、穿孔された状態になってよく、接続気道に隣接する追加の肺胞と中枢気道との連通を可能にしてよい。
【0010】
本開示の第1の態様は、開いた形のステントを含み、当該開いた形のステントは概して、患者の肺内に配置されると、特定の肺胞およびより中枢の気道へのおよび/または特定の肺胞およびより中枢の気道からの気流を促進させ、並びにまた、肉芽組織の形成の最小化および局在化も促進させる。有利な点としては、第1の態様の開いた形のステントはまた、特定の肺胞と、肺に通常存在する、閉塞された肺において際立つ、および気腫を持つ肺においてさらに際立つ、周囲の肺胞との間の側副気流を利用する。特に、開いた形のステントは、特定の肺胞と、より中枢の気道との間の気流を改善するので、さらに多くの側副気流が、中枢気道へ進入することも可能である。
【0011】
本開示の第2の態様は、拡張可能なオブジェクトを含み、当該拡張可能なオブジェクトは、患者の肺内に配置されると、1または複数の気道をそれらの通常の直径を超えて、拡張させてよい。気道の拡張により、気道の壁に穿孔または裂開を生じさせ、それにより、気道と周囲の肺胞との間の直接の連通を形成してよく、および気道の拡張は、それにより、気道の気流の出入りを増大させてよく、それには、気道に通常接続されている肺胞からだけでなく、気道を囲む肺胞からのものが含まれる。一例において、拡張可能なオブジェクトは、拡張バルーンである。別の例において、拡張可能なオブジェクトは、拡張クライオバルーンである。別の例において、拡張可能なオブジェクトは、ワイヤバスケットである。別の例において、拡張可能なオブジェクトは、開いた形のステントである。他の例も存在する。
【0012】
本開示の第3の態様は、ステント(いくつかの例において、開いた形のステント)および拡張可能なオブジェクトを用いて、患者を治療する方法を含む。かかる方法によると、拡張可能なオブジェクトを用いて、1または複数の閉塞気道を拡張させ、および/または、気道の壁に穿孔または裂開(すなわち、開口部)を生じさせてよく、その後ステントが気道内に配置され、気道内の気流をさらに促進させてよい。ステントは、無期限に配置されてよく、または所与の期間の後、除去されてよい。
【0013】
いくつかの例において、ステントは、拡張可能なオブジェクトを用いずに、気流を改善するために用いられてよい。他の例において、拡張可能なオブジェクトは、ステントを用いずに、気流を改善するために用いられてよい。
【0014】
以下により詳細に説明する通り、本開示は、他の態様も含み、それらの一部は、上記3つの態様を含んで、および/または、組み込む。
【0015】
例示的な一実施形態は、被検者を治療する方法を含む。当該方法は、(1)上記被検者の上記気管支幹の1または複数の気道内に、拡張可能なオブジェクトを配置する段階と、(2)上記1または複数の気道の上記壁の少なくとも一部が拡張されるように、上記拡張可能なオブジェクトを、上記1または複数の気道のうち少なくとも1つの気道内で拡張させる段階と、(3)ステントの一部が、上記1または複数の拡張された気道の上記壁の上記一部に隣接するように、上記ステントを上記1または複数の気道内に配置する段階と、を含む。いくつかの例において、当該方法は、(1)被検者の気管支幹の2または2より多い気道内に、拡張可能なオブジェクトを配置する段階であって、上記拡張可能なオブジェクトの第1の端部は、前記気管支幹の第1の気道内に置かれ、且つ上記拡張可能なオブジェクトの第2の端部は、上記気管支幹の第2の気道内に置かれる、配置する段階と、(2)上記2または2より多い気道の壁の少なくとも一部が拡張されるように、上記拡張可能なオブジェクトを、上記2または2より多い気道のうち少なくとも2つの気道内で拡張させる段階と、(3)ステントの一部が、上記2または2より多い拡張された気道の上記壁の上記一部に隣接するように、上記ステントを、上記2または2より多い気道のうち上記少なくとも2つの気道内に配置する段階と、を含む。
【0016】
別の例示的実施形態は、被検者を治療するために用いられるシステムを含む。当該システムは、(1)拡張可能なオブジェクトと、(2)ステントと、(3)上記拡張可能なオブジェクトおよび上記ステントを用いて、被検者の気管支幹の1または複数の気道内の気流を改善するための命令と、を含む。上記拡張可能なオブジェクトおよび上記ステントを用いて、上記被検者の上記気管支幹の上記気道内の気流を改善するための上記命令は、一例において、(a)上記被検者の上記気管支幹の1または複数の気道内に、拡張可能なオブジェクトを配置させることと、(b)上記1または複数の気道の上記壁の少なくとも一部が拡張されるように、上記拡張可能なオブジェクトを、上記1または複数の気道のうち少なくとも1つの気道内で拡張させることと、(c)上記ステントの一部が、上記1または複数の拡張された気道の上記壁の上記一部に隣接するように、上記ステントを上記1または複数の気道内に配置させることと、を含んでよい。
【0017】
以下の詳細な説明を該当する添付図面を参照して読むことで、当業者には、これらの実施形態、態様および利点に加え、他の実施形態、態様および利点並びに代替例が自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【
図3B】気道内の例示の開いた形のステントの態様を示す。
【0022】
【
図4A】気道内に配置された例示の開いた形のステントを有する、気道の態様を示す。
【
図4B】気道内に配置された例示の開いた形のステントを有する、気道の態様を示す。
【0023】
【
図4C】気道内に配置された例示の閉じた形のステントを有する、気道の態様を示す。
【
図4D】気道内に配置された例示の閉じた形のステントを有する、気道の態様を示す。
【0024】
【0025】
【
図5C】気道内の例示の開いた形のステントの態様を示す。
【0026】
【
図6A】例示の拡張可能なオブジェクトの態様を示す。
【
図6B】例示の拡張可能なオブジェクトの態様を示す。
【0027】
【
図7A】気道内の拡張可能なオブジェクトの態様を示す。
【
図7B】気道内の拡張可能なオブジェクトの態様を示す。
【0028】
【
図7C】例示の拡張可能なオブジェクトの態様を示す。
【0029】
【
図8】気道内の気流を改善するための例示的な方法を示す。
【0030】
【0031】
【0032】
【
図11】気道内の気流を改善するための例示的な方法を示す。
【0033】
【
図12】気道内の気流を改善するための例示的な方法を示す。
【0034】
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の詳細な説明中、添付図面への参照がなされる。添付図面は、詳細な説明の一部を形成する。これらの図面において、文脈が別途指定しない限り、同様の記号は通常、同様のコンポーネントを識別する。詳細な説明、図面および特許請求の範囲において記載される例示的な実施形態は、限定的となることを意味していない。本明細書に示される発明の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態が用いられてよく、他の変更がなされてよい。概して本明細書に記載され、図面に示される本開示の態様は、様々な異なる構成において編成され、置換され、組み合わされ、分離され、および/または設計されてよく、これらのすべてが本明細書において想定されていることが、容易に理解されるだろう。
【0036】
本明細書に記載のデバイス、システムおよび方法は、気管支幹内の気流を改善する目的で用いられてよい。より具体的には、本明細書に記載のいくつかのデバイス、システムおよび方法は、患者の気管支幹の気道内の気流を改善するために用いられてよいステントおよび拡張可能なオブジェクトを含む。しかしながら、かかる適用は、本明細書に記載のデバイス、システムおよび方法の1つの特定の適用にすぎないこと、および他の適用も確かに可能であることを理解されたい。
【0037】
概して、本明細書に記載のデバイス、システムおよび方法は、他の技術と比較した際、比較的に有効、効率的および冗長性のある態様で、気流の改善をもたらしてよい。一例として、本明細書に記載のデバイス、システムおよび方法は、肉芽組織を最小化してよく、および/または、異物の使用を伴う他の既知の技術に関連する閉塞の問題を最小化してよい。また、本明細書に記載のデバイス、システムおよび方法は、バイパス経路の使用を伴ういくつかの既知の技術に関連する、一定の不快感および不便さを回避してよい。従って、気流の改善の試みを対象とする他の技術の欠点の多くが、回避されてよい。
1.[例示の患者]
【0038】
例示および説明のため、
図1は、例示の患者100の態様を示す。図示の通り、患者100の中に、肺102が存在する。概して、治療する医師は、おそらくは、気管支鏡、カテーテルまたは患者の気管に口若しくは鼻を通して導入される他のそのような送達デバイスを用いて、患者の気管104を介して、肺102にアクセスしてよい。
【0039】
患者の肺は、患者の気管支幹106の一部を含む。気管支幹106は、左右の主気管支および葉気管支等の中枢気道、多数の区域気管支および亜区域気管支等の中間気道、並びに細気管支、誘導細気管支、終末細気管支および呼吸細気管支等といった非中枢の末梢気道を含む、多数の気道を含む。これらについては、さらに後述する。
【0040】
図示した例示の気管支幹は、気管支幹の終端に位置する病変部分108も含む。いくつかの例示的な状況において、病変部分108は、他の例の中でも特に、肺気腫等の閉塞性肺疾患によって影響を受けたものと理解してよい。
【0041】
当該病変部分は、気道と肺胞との間の空気の通路を損ない、その結果、究極的には、患者の外部の空気と、患者の肺および血流間とのガスの出入りの通路を損なう、損傷として特徴付けられてよい。例えば、病変部分内の特定の気道は、閉塞され、縮小され、および/またはさもなければ狭窄される可能性がある。同時に、病変部分の肺胞内の肺胞壁は、崩壊している可能性がある。
【0042】
閉塞性肺疾患の有害作用を十分理解するために、肺の機能の概説が有用であろう。肺の一機能としては、血液から二酸化炭素を取り除き、二酸化炭素を酸素と交換することで、2つのガスの交換を可能にすることである。このガス交換を促進すべく、肺は、気管支幹から肺胞へのバルク伝導および患者の肺胞内の血液ガス界面にわたる拡散により、患者の身体の外部の空気と血液との間で、酸素および二酸化炭素を移動させる。
【0043】
空気は、患者の気管支幹の気道を介して、患者の肺胞に運ばれ、患者の肺内に収容される。気管支幹は、気管支幹が肺により深く入り込むにつれ、より狭小、より短く、より多数になる分岐する気道を含む。上に特記の通り、気管は左右の主気管支に分岐し、主気管支は、葉気管支から始まり、区域気管支および亜区域気管支等の中間気道、細気管支、誘導細気管支等の末梢気道、並びに最終的な終末細気管支といった多数の誘導気道に分化される。
【0044】
終末細気管支はそれぞれ、いくつかの呼吸細気管支を発生させ、呼吸細気管支は、しばしば2から11にわたる数の複数の肺胞管に分かれる。
図2は、このようなより小さな細気管支の例を含む、例示の気管支幹の末端部分の態様を示す。
【0045】
例示の気管支幹200は、終末細気管支204に分かれる細気管支202を含む。その後、終末細気管支204は、呼吸細気管支206に分かれる。また、肺胞嚢210を含む例示の肺胞208が示されている。図示の通り、様々な肺胞212が、呼吸細気管支206の長さに沿っても存在する可能性がある。
【0046】
終末細気管支204は、肺胞を含まない最小の気道である。気管支および細気管支の機能は、肺胞へのおよび肺胞からの空気を伝える誘導気道を提供することである。しかしながら、誘導気道は、肺胞を含まず、ガス交換に参与しない。むしろ、ガス交換は、誘導気道より遠位に位置する、呼吸細気管支で開始する肺胞において行われる。
【0047】
「世代」により気管支幹の様々な気道について言及する、または気管支幹の様々な気道を特徴付けることが一般的である。例えば、気管は、気管支幹の「世代0」として言及される。左右の主気管支を含む様々なレベルの気管支が、「世代1」として言及される。葉気管支は「世代2」として言及される。区域気管支は、「世代3」として言及される。様々な細気管支は、「世代4から世代19」として言及される。例えば、終末細気管支は、およそ「世代14~18」である。例えば、呼吸細気管支は、およそ「世代16~20」である。さらに、気管から終末気管支まで伸びる気道を「誘導気道」として言及することが一般的である。
【0048】
特に肺気腫等の閉塞性肺疾患は、肺胞壁の不可逆的破壊で特徴付けられ、当該肺胞壁は、小さい気道上の外向きの放射状牽引力を維持し、吸入および呼出において有用な弾性線維を含む。これらの弾性線維が損傷すると、これらの小さい気道は、もはや外向きの放射状牽引力を受けなくなり、特に呼出中に縮小する可能性がある。そのため、これらの線維が損傷すると、空気は肺の中で閉じ込められる可能性があり、呼出中、完全に排出できなくなる。肺気腫は、肺の過膨張(空気の閉じ込め)およびその人が、呼出できない状態に至らせる。この状況においては、肺は満足する割合でガス交換を行えず、肺は過膨張し、胸壁、横隔膜および周囲構造に加圧するので、その人は、衰弱することになる。
【0049】
肺胞壁の破壊のさらなる一態様は、側副換気または側副気流として知られる、近傍の空気嚢間の気流が増加することである。しかしながら、これのみでは、空気は、縮小および閉塞した気道を通して、相変わらず肺へ流入および流出できないので、患者に対しほとんどまたは全く利点とならない。
【0050】
慢性気管支炎は、気管支幹における過度の粘液の生成で特徴付けられる。通常、大型気管支の一般的に大幅な増大(肥大)および小さい気道における炎症性変化が存在する。過剰な量の粘液が気道内に見つかり、粘液の半固体の栓が、小さな気管支を閉塞させる可能性がある。また、通常、小さい気道は狭められ、炎症性変化を呈する。
【0051】
概して、本明細書に記載のデバイス、システムおよび方法を用いて、肺気腫および/または気管支炎等の閉塞性肺疾患により影響を受けた、肺の病変部分108内の過膨張した肺胞から、気管支幹の中枢気道への気流を改善してよい。従って、以下により詳細に説明する例示のステントおよび拡張可能なオブジェクトが、中枢気道を遠位気道および病変部分108の肺胞へと接続する気道に供給され、および気道の内部に配置されてよい。
2.[例示の開いた形のステント]
【0052】
図3Aは、例示の開いた形のステント300の態様を示す。図示の通り、概して、開いた形のステントは、コイルのような構造またはスプリングのような構造の形の開構成を有してよい。コイルは、連続的な外径で特徴付けられるものとして理解されてよい。本明細書において、例示および説明のため、コイルの外径は、場合によって「開いた形の壁」として言及されてよい。ステントの開いた形の構成の結果、開いた形のステントのいずれの部分も、開いた形の壁の所与の領域を完全に分離させないことを理解されたい。換言すると、開いた形の壁は、連続的に開いた螺旋状表面を備え、これについては、
図4Aおよび
図4Bに関連してさらに詳しく後述する。
【0053】
図3Bは、気道350内の開いた形のステント352の態様を示す。当業者は、気道350の表面は、その内壁にある、気道内の粘液を取り除くことが可能な粘液線毛の構造(または「エレベータ」)で特徴付けられてよいことを理解されたい。粘液線毛の構造は、気道沿いに、および最終的には気道の外部に、粘液を連続的に移動させる繊毛を含んでよい。開いた形のステント350のどの部分も、気道350の内壁の所与の領域を完全に分離させないので、概して、気道の粘液線毛の自然プロセスは、開いた形のステントが所定の位置に配置されても、阻害されなくてよい。
【0054】
図4Cおよび
図4Dを参照して以下に詳細に後述するように、従来型の閉じた形のステントは、粘液を粘液線毛の構造へ完全に晒すことを阻止することによって、および/または、気道壁の所与の領域を閉鎖することによって、粘液線毛の構造の機能を妨害し、その結果、粘液は、気道沿いにそれ以上前進できなくなる可能性がある。しかしながら、
図3Aおよび
図3Bに示す、開いた形のステントは、ステントが所定の位置に配備されたときであっても、気道壁を気道の内部へと晒すことを可能とし、また、いずれの一方向においても、粘液線毛の構造を完全には遮断しない。そのため、開いた形のステントが所定の位置に配備される場合でも、粘液線毛の構造は、コイルの中心を通って伸びる螺旋状経路沿いで、粘液の除去の促進を継続してよい。
【0055】
別の利点として、開いた形のステントは、特定量の可撓性および反動で特徴付けられてよく、その結果、開いた形のステントは、とりわけ複数の気道にわたる拡張時に、気道内の機械的毒性を最小化する。開いた形のステントの可撓性を考慮すれば、当該ステントは、気道と共に屈曲および移動してよく、それにより、気道内の異物反応を最小化してよい。その結果、かかる開いた形のステントは、炎症を最小化し、気道内の肉芽組織の形成を最小化することになる。さらに、形成されるどのような炎症および肉芽組織も、ステントの気道壁との接触部分近くに集中しており、その結果、空気および/または粘液は、依然として、ステントの螺旋状の開いた空間において気道沿いを移動できる。
【0056】
さらなる別の利点として、開いた形のステントは、ステントの外部をステントの内部から閉鎖しない開いた形の壁で特徴付けられるので、開いた形のステントは、肺胞または他の周辺肺胞へ接続する誘導穿孔等の側通路から、気道の主内腔への側副気流を可能としてよい。
【0057】
開いた形のステントは、任意の好適な材料で形成されてよい。例えば、開いた形のステントは、シリコーンポリエステル材料で形成されてよい。例として、ウレタン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が挙げられる。他の場合においては、開いた形のステントは、金属材料で形成されてよい。例として、ステンレス鋼およびニトリルが挙げられる。他の例の好適な材料も存在する。
【0058】
開いた形のステントは、1または複数の好適な被膜で被覆されてよい。一例において、開いた形のステントは、とりわけ、シロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、パクリタキセル、タキソテール、マイトマイシン‐C等の抗増殖剤で被覆されてよい。別の例において、開いた形のステントは、アトロピン、イプラトロピウム、チオトロピウムまたはステロイド等の抗粘液剤で被覆されてよい。さらなる別の例において、開いた形のステントは、N‐アセチルシステインまたはグアイフェネシン等の粘液溶解材料で被覆されてよい。さらなる別の例において、開いた形のステントは、親水性材料で被覆されてよい。他の例の好適な被膜も存在する。
【0059】
図3Aに示す通り、例示の開いた形のステント300は、所与の長さ302を有し、所与の長さ302は、任意の好適な長さであってよく、また所与の長さ302は、開いた形のステントが最終的にどのような気道に配置されるかを含め、適用に応じて変わってよい。一例において、長さ302は、2cm~10cmの長さの範囲内であってよい。例えば、長さ302は、およそ6cmの長さであってよい。他の長さも好適であってよい。
【0060】
また
図3Aに示される通り、例示の開いた形のステント300は、所与の高さ、すなわち直径304を有し、当該直径は任意の好適な直径であってよく、開いた形のステントが最終的にどのような気道に配置されるかを含め、適用に応じて変わってよい。一例において、直径304は、1mm~10mmの範囲内であってよい。例えば、直径は、4mm~8mmの範囲内であってよい。他の場合においては、直径は、およそ6mmであってよい。他の直径も好適であってよい。
【0061】
さらに、例示の開いた形のステント300は、一端または両端にフック306を含んでよい。フックは、一端または両端において、閉じた構造を形成すべく、ループされてよい。代替的および/または追加的に、開いた形のステント300は、一端または両端に滑らかな丸みのあるボールを含んでよい。気道内に開いた形のステントを配置する際、フック、ループまたはボールのようなかかる構造を用いて、開いた形のステントへのアクセスのしやすさ、および/または開いた形のステントの操縦性を補助してよい。さらに、かかる構造を用いることで、開いたステントの端部が、組織に引き起こす可能性のある外傷を制限してよい。例えば、さらに、かかる構造は、肉芽組織の形成を制限してよく、または、かかる構造は、開いた形のステントの一端が臓側胸膜と接触するに至った場合の気胸の形成を防止してよく、および/または、かかる構造は、開いた形のステントの一端が、壁側胸膜に直接若しくは間接的に接触するに至った場合の痛みを防止してよい。
【0062】
図4Aは、気道400内の開いた形のステント402の態様を示す。また
図4Aに、気道400の壁沿いの連続的な螺旋状経路が示されており、当該経路は、開いた形のステント402が、気道400内に配置される際、そのまま残る。
図4A中、様々な矢印で示す通り、連続的な螺旋状経路は、開いた形のステントの開いた形の壁沿いに存在し、連続的な螺旋状経路は、螺旋状経路沿いの気道の内壁の比較的妨害されない、横断する動きを可能にする。上に特記の通り、粘液は、気道400の粘液線毛の構造によって、この螺旋状経路沿いで取り除かれてよい。留意すべきは、開いた形のステント402は、気道400の単一部分内にのみ図示されているが、開いた形のステント402は、気道400の他の部分へ延在してよく、および/または、全く他の気道へ延在してよいことを理解されたい。
【0063】
図4Bは、気道450内の開いた形のステント452の態様を示す。開いた形のステント402と同様、開いた形のステント452は、その開いた形の壁沿いに存在する連続的な螺旋状経路で特徴付けられる。また
図4Bに示す通り、開いた形のステント452の構造に沿って、開いた形のステント452沿いの様々なXインジケータで示すような肉芽組織が存在する。図示の通り、肉芽組織の形成は、開いた形のステント自体の構造沿いに局所化している。その結果、開いた形の壁沿いの連続的な螺旋状経路は、そのまま残っている。故に、肉芽組織の形成にも関わらず、気道450の粘液線毛の構造は、気道から粘液を取り除くための機能を阻止されず、気道沿いの空気の移動のための妨害されない経路は、そのまま残っている。
【0064】
図4Cは、気道460内の当該技術分野で既知の閉じた形のステント462の態様を示す。
図4Aおよび
図4Bに示す、例示の開いた形のステントと対照的に、閉じた形のステント462は、気道460の壁沿いに連続的な螺旋状経路を提供しない。代わりに、閉じた形のステント462の構造は、長さ沿いにその覆うような構造を含み、気道の内壁の横断する動きを阻止する。
図4Cには、閉じた形のワイヤフレームとしての特定の例示的構造が示されているが、一枚壁(ワイヤフレーム以外)で特徴付けられるステントを含む、他の既知の閉じた形のステントが存在することは、当業者の理解するところであろう。
【0065】
図4Dは、気道470内の閉じた形のステント472の態様を示す。閉じた形のステント462と同様、閉じた形のステント472は、気道470の壁沿いに連続的な螺旋状経路を提供しない。また、
図4Dに示す通り、閉じた形のステント472の構造に沿って、閉じた形のステント沿いの様々なXインジケータで示すような肉芽組織が存在する(閉じた形のステントの全構造沿いに、典型的な肉芽組織が示されているわけではない)。図示の通り、肉芽組織の形成は、閉じた形のステントの構造沿いに局所化しているが、閉じた形のステントは、その長さ沿いに覆うような構造を含むので、肉芽組織の形成も、閉じた形のステントの長さ沿いに覆う。故に、
図4Aおよび
図4Bに示す開いた形のステントの場合と異なり、閉じた形のステント472沿いの肉芽組織の形成は、気道470の粘液線毛の構造が、気道から粘液を取り除くために機能することをさらに阻止する。
【0066】
図5A~
図5Cは、代替的な例示の開いた形のステントを示す。
図5Aは、
図3Aおよび
図3Bを参照して上に示したものよりも、単位長さ当たりの巻きが比較的少ないものとして特徴付けられる、例示の開いた形のステント500を示す。一実施において、開いた形のステント500のコイル構造は、少なくとも1つの追加のコイル構造と組み合わされて、少なくとも二重螺旋構造で特徴付けられる、開いた形のステントを形成してよい。
【0067】
図5Bに、例示の二重螺旋状の開いた形のステント550の一例が示されている。図示の通り、例示の開いた形のステントは、第1のコイル構造552および第2のコイル構造554で形成される。いくつかの実施形態において、第1のコイル構造552および第2のコイル構造554は、開いた形のステントの一端または両端に接続し、それにより、ループを形成してよい。かかるループが配置または除去を補助してよく、また、かかるループは、第1のコイル552および第2のコイル554の潜在的な尖った端部を解消してよく、それにより、開いた形のステントが、気道および周囲組織に対しもたらし得る外傷を減らす。この二重コイルの開いた形のステントは、単一コイルの開いた形のステントと同一の、ステント‐気道壁の接触面積をもたらしてよいが、しかしながら、単一コイルのステントがもたらす接触面積と比べ、複数のコイルワイヤの気道に対する角のある部分は、より少ないものをもたらしてよい。それにより、二重コイルの開いた形のステントは、気道沿いの空気および粘液の移動のためのより直接的な経路を可能にしてよい。実際、かかる二重螺旋の開いた形のステントが、気管支幹の気道内に配置され、気流を改善してよい。
【0068】
例えば、
図5Cに示す通り、二重螺旋状の開いた形のステント582が、気道580内に配置されている。留意すべきは、開いた形のステント582は、気道580の単一部分内にのみ図示されているが、開いた形のステントは、気道580の他の部分へ延在してよく、および/または、全く他の気道へ延在してよいことを理解されたい。
3.[例示の拡張バルーン]
【0069】
図6Aは、例示の拡張可能なオブジェクト600の態様を示す。図示の通り、概して、拡張可能なオブジェクトは、内部空間を囲む、弾性的な可撓性の球状体または他の開放体(open body)で特徴付けられてよい。
【0070】
拡張可能なオブジェクト600は、閉じた第1の端部602および開いた第2の端部604を有してよい。しかしながら、別の例においては、第1の端部も開いていてよい。一方または両方の開いた端部は、他の拡張体、または管等の接続オブジェクトに連結されてよく、当該拡張体または当該接続オブジェクトは、気体および/または液体等の流体が、拡張可能なオブジェクト600の内部空間に出入りする連通を可能にする。
【0071】
拡張可能なオブジェクトは、任意の好適な材料で形成されてよい。例えば、拡張可能なオブジェクトは、シリコーン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX)、マイラーおよび/またはラテックスのうちの1または複数で形成されてよい。他の例の好適な材料も存在する。
【0072】
拡張可能なオブジェクトは、任意の好適な材料で被覆されてよい。例えば、拡張可能なオブジェクトは、抗増殖剤(他の例の中でも特に、タキソテール、パクリタキセルおよび/またはシロリムス等)で被覆されてよい。留意すべきことには、概して、かかる抗増殖薬は、拡張可能なオブジェクトを用いて、気道壁に形成される任意の裂開または穿孔の開存性の維持を補助してよい。このように、かかる抗増殖薬は、特に治療がステントの配置を伴わない場合の治療の有効性の確保に役立ってよい。追加的および/または代替的に、拡張可能なオブジェクトは、抗粘液剤、粘液溶解剤および親水性の薬剤のうちの1または複数で被覆されてよい。他の例の好適な被膜も存在する。
【0073】
図6Aを参照すると、拡張可能なオブジェクト600が、拡張されていないときの弛緩状態で示されている。比較として、
図6Bを参照すると、例示の拡張可能なオブジェクト650が、拡張状態で示されている。
【0074】
以下に詳細に後述する通り、動作においては、拡張可能なオブジェクトが、1つの気道、またはより中枢の気道から、より末梢の気道若しくは肺胞への経路を形成する複数の接続された気道に配置された後、拡張されてよく、その結果、当該1つの気道または当該複数の接続された気道も拡張させる。そのため、時折、本明細書において拡張可能なオブジェクトは、「拡張バルーン」と呼ばれることがある。
【0075】
一部の適用において、拡張バルーンを意図的に用いて、気道または複数の接続された気道の一部をその通常または自然の直径を超えて拡張させてよい。かかる状況においては、拡張バルーンは、気道または複数の接続された気道の一部の壁を穿孔、破裂、またはさもなければ損傷させてよい。いくつかの場合において、拡張バルーンの拡張は、気道または複数の接続された気道の一部の壁に、概して長手方向の裂開を形成するよう動作する。留意すべきことには、かかる長手方向の裂開は、血管に対しおおむね平行に伸びる傾向があり、血管自体は、気道の長さに沿って伸びる傾向にある。結果的に、血管自体への外傷が最小化されることになり、そのため、出血も最小化されることになる。
【0076】
図7Aおよび
図7Bは、気道内の例示の拡張可能なオブジェクトを示す。
図7Aを参照すると、拡張可能なオブジェクト700が、弛緩状態で気道702内に導入されている様子が示されている。
図7Bを参照すると、拡張可能なオブジェクト700が、気道702内に拡張状態で示されている。図示の通り、拡張可能なオブジェクト700は、気道702をその通常のサイズを超えて拡張させ、気道702の壁に開口部704を導入している。この効果は、単一の気道の壁において、または複数の接続された気道の1または複数の壁に対し生じてよい。留意すべきは、拡張可能なオブジェクト700は、気道702の単一の部分内にのみ図示されているが、拡張可能なオブジェクト700は、気道702の他の部分へ延在してよく、および/または、全く他の気道へ延在してよいことを理解されたい。
【0077】
例示の拡張可能なオブジェクトは、一定の形状を有するように図面中に示されているが、他の形状も可能であってよい。例えば、バルーンは、一端から他端へサイズがテーパ状になってよい。別の例としては、バルーンは、バルーン本体の別の部分よりも比較的大きい、球根状の端部を含んでよい。さらなる別の例としては、バルーンは、2つの球根状の端部を含んでよい。さらなる別の例としては、バルーンは、その外面に、突起部または他の隆起部等の1または複数の不規則な実装部を含んでよく、当該突起部または他の隆起部は、バルーンの加圧中および拡張中に生じる力を集中させてよく、且つバルーンが拡張時に、より容易に気道壁に穿孔することを可能にしてよい。概して、バルーンの当該不規則な形状は、所望の開口部を気道に導入すべく、所望の方法で気道を拡張させる目的を果たしてよい。
【0078】
いくつかの適用において、本明細書に記載した拡張バルーンの使用は、気管支形成術で用いられる拡張バルーン等、気管支幹内の拡張可能なオブジェクトの先行技術での使用とは異なってよい。例えば、気管支形成術の適用においては、拡張可能なオブジェクトは通常、中枢気道内に配置される一方、本明細書に記載の拡張バルーンは、
図2を参照して上記したもの等、より末梢の気道で用いられてよい。別の例としては、気管支形成術の適用においては、拡張可能なオブジェクトは通常、閉塞した気道をその通常のサイズまで拡張させるために用いられるが、本明細書に記載の拡張バルーンは、気道をその通常のサイズを超えて拡張させるために用いられてよく、いくつかの例においては、気道壁または1または複数の接続された気道に開口部を生成してよい。従って、気道壁に導入された開口部は、肺胞と他のより中枢の気道との間の気流を改善することを補助してよい。
【0079】
穿孔および/または裂開等の開口部を気道の表面に導入することで、気道の追加の開口部を肺胞へ晒すことをもたらしてよい。このようにして、肺胞への気道内の気流は、有利に増大されてよい。さらに、末梢気道は、比較的少ない粘膜で特徴付けられるので、穿孔および/または裂開の閉塞は、最小化されることになる。
【0080】
本目的のために、拡張バルーンを末梢気道へ導入することは、比較的迅速且つ効率的な医療処置を用いて達成されてよく、当該医療処置においては、他のアクセス方法の中でも特に、拡張バルーンは、気管または他の気道内に配置される気管支鏡を通り、気管内に配置された気管内チューブを通り、下咽頭に配置されたラリンジアルマスクを通って、気道内に直接配置されてよい。いくつかの例においては、当該処置は、外来処置として達成されてよい。このように、当該処置は、気流を改善するための他の技術よりも、はるかにより便宜であり、はるかによりじゃまにならないものであってよい。
【0081】
一例において、拡張可能なオブジェクトは、クライオバルーンの形態を取ってよい。
図7Cは、送達カテーテル782と流体連通するように連結された、例示のクライオバルーン780のいくつかの態様を示す。図示の通り、カテーテル782は、流体送達通路784および流体ドレイン通路786を含んでよい。カテーテル782、流体送達通路784および流体ドレイン通路786の壁の各々は、当業者に既知の材料で作成されてよい。例示および説明のために、例示のクライオバルーン780の態様は、簡素化されている。クライオバルーン780は、当業者に理解されるような他の態様を含んでよい。
【0082】
使用において、クライオバルーン780は、所望の気道または気管支幹の複数の接続された気道内に配置されてよい。その後、冷却剤が、加圧されたカートリッジ、コンテナおよび/またはポンプ(不図示)から、流体送達通路784を通してバルーン内に放出され、本適用に対し適切な程度に気道を冷却してよい。いくつかの場合において、冷却剤は、流体送達通路784、別個の噴霧器または他の好適な要素を通してバルーン内に噴霧されてよい。バルーンを所望の圧力(所望のサイズに対応)まで膨張(例えば、冷却剤により)させてよい。結果的に、気道の温度は下がってよい。得られる温度は、体温未満であってよく、改善結果をもたらし得るものとしては、0℃未満であってよく、さらなる一層の改善結果をもたらし得るものとしては、0℃を大きく下回るものであってよい。バルーンの温度を、0℃を大きく下回って下げることにより、周囲組織の温度も、0℃を大きく下回って下げられてよい。周囲組織の体温を、0℃未満に下げることで、組織および周囲の血管中の血液を乾燥させ、その結果、流れを止めさせ、それにより、気道壁内の粘液細胞を破壊させ、その後の肉芽組織の形成を低減させ、且つ出血を最小化させる。その後、冷却剤は、流体ドレイン通路786を通して、後でバルーンから排出されてよい。
【0083】
膨張流体は、エタノール混合液または生理食塩水混合液、またはN2O若しくはCO2等の液化ガス等、任意の好適な低凝固点の液体であってよい。液体N2は、汎用の冷却剤として用いられてよい。N2が用いられる場合、N2は液相でバルーンまで搬送されてよく、液相において、N2は流体送達通路784の出口で蒸発し、バルーンにガスとして入る。フロン、N2OガスおよびCO2ガスも、冷却剤として用いられてよい。冷たい生理食塩水、Fluisol、または生理食塩水とエタノールとの混合物等、他の冷却剤が用いられてよい。他の例の冷却剤も存在する。
【0084】
例示の拡張可能なオブジェクトは、拡張バルーンの形態を取るものとして上記されたが、これは必須ではない。拡張可能なオブジェクトは、他の形態もとり得る。一代替例において、拡張可能なオブジェクトは、減圧および圧縮が可能なワイヤバスケットの形態を取ってよい。かかるワイヤバスケットは、気道壁を拡張させることに加えて、気道壁内に穿孔および/または裂開を生じさせるために十分好適であってよい。
4.[第1の例示的な方法]
【0085】
図8は、概して、気道内の気流を改善するための例示的な方法800を示す。
【0086】
わかりやすくするため、
図8中の方法800は、本明細書において上の図面を参照して説明されてよい。しかしながら、これは、専ら例示および説明のためであること、並びに方法の操作は、これらの図面によって限定されることはないことを理解されたい。方法800は、各図のブロックの1または複数で示すような1または複数の操作、機能または動作を含んでよい。ブロックは、順番に示されているが、これらのブロックは、並行しておよび/または本明細書で示すものと異なる順番で実行されてもよい。また、所望の実施形態に基づき、様々なブロックを組み合わせて、より少ない数のブロックにしてよく、追加のブロックに分割してよく、および/または除去してよい。
【0087】
概して、方法800は、ブロック802において、拡張可能なオブジェクトを被検者の気管支幹の1または複数の気道に配置する段階を含む。ブロック804は、気道内の拡張可能なオブジェクトを拡張させる段階を含む。ブロック806は、ステントを気道内に配置する段階を含む。図示の通り、追加/随意で、方法800は、ブロック801において、治療すべき病変部位を識別する段階を含んでよい。
【0088】
以下に、これらのブロックの各々についてさらに詳しく説明する。
a.[治療すべき病変部位を識別する]
【0089】
ブロック801は、治療すべき病変部位を識別する段階を含む。ブロック801により、治療する医師は、当業者に既知の任意のかかる好適な技術を含む、任意の好適な技術を用いて、気管支幹の病変部位を識別してよい。一例において、治療する医師は、
図1中に示す領域108のような病変部位を識別してよい。
b.[拡張可能なオブジェクトを被検者の気管支幹の気道内に配置する]
【0090】
ブロック802は、拡張可能なオブジェクトを被検者の気管支幹の1または複数の気道内に配置する段階を含む。ブロック802により、被検者は、患者100をとして理解されてよい。一例において、気管支幹は、気管支幹106であってよく、1または複数の気道、または1または複数の気道の少なくとも一部は、肺の病変領域108内の気道または複数の接続された気道の一部であってよい。一例において、ブロック802は、拡張可能なオブジェクトを、ブロック801で識別された病変部位に配置する段階を含む。
【0091】
いくつかの例において、拡張可能なオブジェクトを配置する段階は、拡張可能なオブジェクトを被検者の気管支幹の2または2より多い気道内に配置する段階を含んでよい。かかる状況において、拡張可能なオブジェクトの第1の端部は、気管支幹の第1の気道内に置かれ、拡張可能なオブジェクトの第2の端部は、気管支幹の第2の気道内に置かれる。
【0092】
拡張可能なオブジェクトは、任意の好適な拡張可能なオブジェクトであってよく、そのようなものとしては、
図6A、6B、7A、7Bおよび7Cを参照して上記した例示の拡張可能なオブジェクトのうちの任意のものを含むが、これらのいずれかに限定はされない。
【0093】
一例において、拡張可能なオブジェクトは、拡張バルーンを含んでよい。いくつかの例において、かかる拡張バルーンは、クライオバルーンであってよい。一例において、拡張バルーンは、遠位端に球根状の形態を含んでよい。別の例において、拡張バルーンは、非一様の、その外面の少なくとも一部を含んでよい。例えば、外面は、気道壁における拡張および/または開口部の形成を補助するための突起部および/または他の隆起部を含んでよい。
【0094】
一例において、拡張可能なオブジェクトを配置する段階は、カテーテル、ガイドワイヤ、気管支鏡等といった送達デバイスを用いて、拡張可能なオブジェクトを配置する段階を含んでよい。いくつかの例において、拡張可能なオブジェクトを配置する段階は追加的に、病変した肺の対象領域を識別する段階、および、拡張可能なオブジェクトの少なくとも一部が、肺の病変部分の近傍に位置するように、拡張可能な領域を当該対象領域に向けて方向付ける段階を含んでよい。当業者が理解するように、拡張可能なオブジェクトは、送達カテーテルの遠位端に取り付けられてよい。その後、治療する医師は、拡張可能なオブジェクトを患者の気管104に導入してよい。その後、治療する医師は、送達カテーテルを用いて、拡張可能なオブジェクトを、気管支幹を通して、気管支幹の末梢気道へとガイドしてよい。拡張可能なオブジェクトの遠位端は、最終的に、末梢の病変領域108へと、および呼吸細気管支206内へと送達されてよい一方、拡張可能なオブジェクトの近位端は、終末細気管支、誘導細気管支、細気管支、亜区域気管支、区域気管支または葉気管支等のより近位の気道内にとどまる。
【0095】
図9Aおよび9Bを参照して、ブロック802の態様を示す。
図9Aを参照すると、気道902内にガイドされている拡張可能なオブジェクト900が、示されている。
図9Bを参照すると、気道902の所望の位置に配置された拡張可能なオブジェクト900が、示されている。
【0096】
上記の通り、および
図9Gを参照してさらに後述するように、拡張可能なオブジェクトの代替例の配置は、拡張可能なオブジェクトが複数のタイプの気道にわたるように、拡張可能なオブジェクトを気管支幹内に配置することを含んでよい。例えば、
図9Gに示す通り、拡張可能なオブジェクト912の遠位端が、呼吸細気管支内に置かれるように、且つ、近位端が、より大きな、より中枢の気道に近位に延在するように、拡張可能なオブジェクト912は、気管支幹910内に配置される。
c.[気道内で拡張可能なオブジェクトを拡張させる]
【0097】
ブロック804は、気道の少なくとも一部または複数の接続された気道の少なくとも一部が拡張されるように、拡張可能なオブジェクトを気道内で拡張させる段階を含む。いくつかの場合において、拡張可能なオブジェクトの拡張の結果として、少なくとも1つの開口部が、気道の壁内に形成される。
【0098】
いくつかの例において、拡張可能なオブジェクトを拡張させる段階は、2または2より多い気道の壁の少なくとも一部が、拡張されるように、2または2より多い気道の少なくとも2つの気道内で、拡張可能なオブジェクトを拡張させる段階を含んでよい。
【0099】
上記の通り、拡張可能なオブジェクトは、液体および/またはガス等の流体を拡張可能なオブジェクトへ導入することにより、拡張されてよい。例えば、拡張可能なオブジェクトがクライオバルーンである一例においては、クライオバルーンは、N2Oをクライオバルーンへ導入することにより拡張されてよい。
【0100】
図9Cを参照して、ブロック804の態様を示す。
図9Cに示す通り、気道902が、その通常のサイズを超えて拡張されるように、拡張可能なオブジェクト900は、拡張されている。その結果、図示された特定の例において、拡張可能なオブジェクトは、ここで開口部が気道壁に存在するように、気道902を裂開させる。
【0101】
気道902内に形成された裂開が示されているが、すべての実施形態において、開口部が必要ではないことを理解されたい。いくつかの実施形態においては、気道を裂開させることなく、気道を拡張させることが望ましく、および/または十分であってよい。
【0102】
さらに、気道902内に単一の裂開が形成されるように図示されているが、1つより多い裂開が形成されてよいことを理解されたい。すなわち、ブロック804は、気道壁内に少なくとも1つの開口部を形成する段階を含んでよい。
【0103】
さらに、
図9Gを再度参照すると、気管支幹910の気道の複数の部位が拡張されるように、拡張可能なオブジェクト912は、拡張されてよい。この場合は、複数の裂開および/または穿孔が、気道の複数の部位内に形成されてよい。
【0104】
いくつかの実施形態においては、拡張可能なオブジェクトが拡張された後、拡張可能なオブジェクトは、その後除去されてよい。
図9Dを参照して示す通り、拡張可能なオブジェクト900は、弛緩状態に戻されている。その後、拡張可能なオブジェクト900は、気道から出て、気管支幹を再び通り、患者の気管の外部へ出るようにガイドされてよい。
d.[気道内へステントを配置する]
【0105】
ブロック806は、ステントの一部が、1または複数の拡張された気道の壁の一部に隣接するように、ステントを気道内に配置する段階を含む。ブロック804により、気道壁が裂開された一実施形態において、ステントを配置する段階は、ステントの一部が、気道の壁の開口部の少なくとも一部に隣接するように、ステントを気道内に配置する段階を含んでよい。
【0106】
いくつかの例において、ステントを配置する段階は、ステントの一部が、2または2より多い拡張された気道の一部に隣接するように、ステントを2または2より多い気道のうち、少なくとも2つの気道内に配置する段階を含んでよい。
【0107】
ステントは、任意の好適なステントであってよく、そのようなものとしては、
図3A、3B、4A、4B、5A、5Bおよび5Cを参照して上記した、開いた形のステントのうちの任意のものが含まれるが、これらに限定はされない。
【0108】
例えば、開いた形のステントの少なくとも一部は、コイルを含んでよい。いくつかの場合において、ステントは、第1のコイルおよび第2のコイルの両方を含んでよい。
【0109】
一例において、開いた形のステントは、上記のような開いた形の壁を有する。かかる例においては、開いた形のステントの少なくとも特定の長さに対し、開いた形の壁のどの部分も、開いた形の壁の所与の領域を完全には分離させない。そのため、開いた形の壁は、その長さに沿って、連続的に開いた螺旋状表面を有してよい。
【0110】
本明細書に記載の例は、開いた形のステントの配置を含むが、いくつかの場合において、方法は、より従来型の閉じた形のステントを用いて実行されてもよいことを理解されたい。かかる場合、ブロック806は、閉じた形のステントを配置する段階を含んでよい。
【0111】
図9Eおよび
図9Fを参照して、ブロック806の態様を示す。
図9Eを参照すると、気道902内にガイドされている開いた形のステント904が、示されている。図示の通り、開いた形のステントは所定の位置にガイドされる間、気管支幹を通す操縦性を補助すべく、圧縮された形態に保持されてよい。
図9Eを参照すると、気道902の所望の位置に配置され、拡張できる状態にされた、開いた形のステント904が示されている。図示の通り、開いた形のステント904は、気道902内の開口部に隣接して配置されている。
【0112】
その後、開いた形のステント904は、無期限に、および/または、治療する医師が開いた形のステントを除去すると判断するまで、気道内に留置されてよい。代替的に、開いた形のステントは、一時的に配置され、一定のあらかじめ定められた時間の後、除去されてよい。このようにして、開いた形のステントの除去により、開いた組織管路を中枢気道および肺胞間に残してよい。
【0113】
上記の例において、方法900の一実施形態は、ステントが気道内に配置される前に、拡張可能なオブジェクトが、気道から除去される場合について説明している。しかしながら、これは必須ではない。方法900の別の実施形態においては、拡張可能なオブジェクトは、ステントと共に配置されてよい。かかる実施形態の例示的な態様が、
図10A、10B、10C、10D、10Eおよび10Fを参照して示されている。
【0114】
図10Aを参照して示すように、拡張可能なオブジェクト1000を配置する前に、拡張可能なオブジェクトの少なくとも一部を囲むように、ステント1002が位置決めされてよい。このように、拡張可能なオブジェクト1000およびステント1002は、気道内へと共にガイドされてよいパッケージを形成する。
【0115】
図10Bを参照すると、拡張可能なオブジェクト1000およびステント1002のパッケージは、その後、気道1004内にガイドされてよい。
図10Cに示す通り、拡張可能なオブジェクト1000およびステント1002のパッケージは、気道の所望の位置に配置されている。
【0116】
図10Dを参照すると、その後、拡張可能なオブジェクト1000は、拡張されてよい。図示の通り、ステント1002は、拡張可能なオブジェクト1000が拡張するにつれて、サイズを増大させるように構成されてよい。拡張可能なオブジェクト1000の拡張の後、気道1004内に開口部が形成される。
【0117】
図10Eを参照すると、その後、拡張可能なオブジェクト1000は、弛緩状態に戻されてよい。同時に、開いた形のステント1002は、減圧された形を維持してよく、その結果、開いた形のステント1002は、ここで気道または複数の接続された気道の一部で、放射状張力を発揮する。
図10Eに示す通り、開いた形のステント1004は、形成された少なくとも1つの開口部の少なくとも一部に隣接する、気道または複数の接続された気道の一部で、かかる放射状張力を発揮してよい。拡張可能なオブジェクト1000が弛緩状態に戻されると、拡張可能なオブジェクト1000は、気道から出て、気管支幹を再び通り、患者の気管の外部へ出るようにガイドされてよい。
【0118】
図10Fを参照すると、拡張可能なオブジェクト1000が気道から除去されると、ステント1002は、気道1004内または複数の接続された気道の一部内の所定の位置に留置されてよい。さらに、いくつかの例において、ステントが複数のタイプの気道にわたるように、ステント1002は、気管支幹内の所定の位置に留置されてよい。例えば、
図9Gに示す拡張可能なオブジェクト912に類似するいくつかの方法において、ステントの遠位端が、呼吸細気管支内に置かれるように、且つ、近位端が、より大きな、より中枢の気道に近位に延在するように、ステント1002は、気管支幹内に配置されてよい。
5.[第2の例示的な方法]
【0119】
上記の様々な機能は、時折、同一方法の一部として共に実行されるように説明されているが、これは、必須ではないことを理解されたい。いくつかの場合において、例えば、本明細書に記載したステントは、拡張可能なオブジェクトを用いずに用いられてよい。他方で、本明細書に記載した拡張可能なオブジェクトは、ステントを用いずに用いられてよい。他の例も存在してよい。
【0120】
図11は、概して、気道内または一連の複数の接続された気道の一部内の気流を改善するための別の例示の方法1100を示す。
【0121】
わかりやすくするため、
図11中の方法1100は、様々な他の図を参照して本明細書で説明されてよい。しかしながら、これは、専ら例示および説明のためであること、並びに方法の操作は、これらの図面によって限定されることはないことを理解されたい。方法1100は、各図のブロックの1または複数で示すような1または複数の操作、機能、または動作を含んでよい。ブロックは、順番に示されているが、これらのブロックは、並行しておよび/または本明細書で示すものと異なる順番で実行されてもよい。また、所望の実施形態に基づき、様々なブロックを組み合わせて、より少ない数のブロックにしてよく、追加のブロックに分割してよく、および/または除去してよい。
【0122】
方法1100は、概して、ブロック1102において、開いた形のステントをサイズ設定する段階を含む。ブロック1104は、開いた形のステントを配置する段階を含む。
a.[ステントのサイズ設定]
【0123】
ブロック1102は、ステントをサイズ設定する段階を含む。ステントのサイズは、ステントの直径およびステントの長さの両方の概算で特徴付けられてよい。
【0124】
開いた形のステントは、任意の好適なステントであってよく、そのようなものとしては、
図3A、3B、4A、4B、5A、5Bおよび5Cを参照して上記した、開いた形のステントのうちの任意のものが含まれるが、これらに限定はされない。
【0125】
ブロック1102により、ステントは、任意の好適な技術によりサイズ設定されてよい。
【0126】
一例において、ステントは、ステントが配置されるべき気道のおよそのサイズに基づいて、サイズ設定されてよい。例えば、呼吸細気管支の平均的なサイズに対応するサイズが用いられてよい。別の例としては、ステントが配置されるべき、最も近位の気道の直径に対応するサイズが用いられてよい。
【0127】
別の例において、開いた形のステントは、所与の患者の気管支幹の画像に基づいて、サイズ設定されてよい。例えば、ステントの配置前に、患者の気管支幹が既知のイメージング技術を用いて撮像されてよく、ステントは、当該画像が示すサイズに従い、サイズ設定されてよい。または、例えば、実際の処置中に患者の胸部の距離が、既知のイメージング技術を用いて生成された画像から、推定されてよい。
【0128】
さらなる別の例において、ステントは、本明細書の他の箇所に記載の拡張可能なオブジェクト等の拡張可能なオブジェクトを用いてサイズ設定されてよい。例えば、ステントの配置前に、拡張可能なオブジェクトが気道内に配置され、拡張されてよい。その後、拡張可能なオブジェクトの拡張状態のサイズが、ステントの適切なサイズを推測するために用いられてよい。一例において、拡張可能なオブジェクトが拡張状態にあるときに、拡張可能なオブジェクトの圧力が測定されてよい。当該圧力は、拡張可能なオブジェクトの送達システムの近位端に配置された圧力計を用いて測定されてよい。測定された圧力は、ステントの適切なサイズに相関付けられてよい。
b.[開いた形のステントを配置する]
【0129】
ブロック1104は、ステントを1または複数の気道内に配置する段階を含む。ブロック1104により、ステントは、任意の好適な態様で配置されてよい。例えば、ステントは、
図9Eおよび
図9Fに関し上記した説明に従い、配置されてよい。
6.[第3の例示的な方法]
【0130】
図12は、概して、気道内の気流を改善するための別の例示の方法1200を示す。
【0131】
わかりやすくするため、
図12中の方法1200は、本明細書において様々な他の図を参照して説明されてよい。しかしながら、これは、専ら例示および説明のためであること、並びに方法の操作は、これらの図面によって限定されることはないことを理解されたい。方法1200は、各図のブロックのうち1または複数で図示するような1または複数の操作、機能、または動作を含んでよい。ブロックは、順番に示されているが、これらのブロックは、並行しておよび/または本明細書で示すものと異なる順番で実行されてもよい。また、所望の実施形態に基づき、様々なブロックを組み合わせて、より少ない数のブロックにしてよく、追加のブロックに分割してよく、および/または除去してよい。
【0132】
概して、方法1200は、ブロック1202において、拡張可能なオブジェクトを被検者の気管支幹の1または複数の気道内に配置する段階を含む。ブロック1204は、1または複数の気道のうち少なくとも1つの気道内で、拡張可能なオブジェクトを弛緩状態から拡張状態へ拡張させる段階を含む。ブロック1206は、拡張可能なオブジェクトを拡張状態から弛緩状態に戻す段階を含む。および、ブロック1208は、拡張可能なオブジェクトを細気管支から除去する段階を含む。
a.[拡張可能なオブジェクトを被検者の気管支幹の気道内に配置する]
【0133】
ブロック1202は、拡張可能なオブジェクトを被検者の気管支幹の1または複数の気道内に配置する段階を含む。拡張可能なオブジェクトは、本明細書で上記したものを含む、任意の好適な技術を用いて配置されてよい。例えば、拡張可能なオブジェクトは、
図9Aおよび
図9Bまたは
図10Bおよび
図10Cを参照して上に示すように、配置されてよい。
b.[拡張可能なオブジェクトを気道内で拡張状態に拡張させる]
【0134】
ブロック1204は、気道または複数の接続された気道の少なくとも一部が拡張されるように、拡張可能なオブジェクトを、1または複数の気道のうち少なくとも1つの気道内で、弛緩状態から拡張状態へ拡張させる段階を含む。いくつかの場合において、拡張可能なオブジェクトの拡張の結果として、少なくとも1つの開口部が、1または複数の気道の壁内に形成される。拡張可能なオブジェクトは、本明細書で上記したものを含む、任意の好適な技術を用いて気道内で拡張されてよい。例えば、拡張可能なオブジェクトは、
図9Cおよび
図10Dを参照して上に示すように、拡張されてよい。
【0135】
いくつかの例において、拡張可能なオブジェクトは、ステントに関し上記したものと同様に、その拡張時の外径を前提とするようにサイズ設定されてよい。
c.[拡張可能なオブジェクトを弛緩状態に戻す]
【0136】
ブロック1206は、拡張可能なオブジェクトを拡張状態から弛緩状態へ戻す段階を含む。拡張可能なオブジェクトは、本明細書で上記したものを含む、任意の好適な技術を用いて弛緩状態に戻されてよい。例えば、拡張可能なオブジェクトは、
図9Dおよび
図10Eを参照して上に示すように、弛緩状態に戻されてよい。
d.[気道から拡張可能なオブジェクトを除去する]
【0137】
ブロック1208は、1または複数の気道から、拡張可能なオブジェクトを除去する段階を含む。拡張可能なオブジェクトは、本明細書に記載した技術を含め、任意の好適な技術を用いて除去されてよい。例えば、拡張可能なオブジェクトは、
図9Dおよび
図10Eを参照して上に示すように、除去されてよい。
7.[例示的な治療プロトコール]
【0138】
図13は、概して、気道内の気流を改善するための本明細書に記載の様々な技術と連携させて用いられてよい、例示的な治療プロトコール1300を示す。治療プロトコール1300に関する特定の機能が説明されているが、追加のおよび/または他の機能も実行されてよいことを理解されたい。
【0139】
治療プロトコール1300は、ブロック1302で開始し、ブロック1302では、患者に肺の病歴および身体所見が行われる。肺の病歴(Hx)および/または身体所見が、肺疾患の可能性が存在することを示す場合、プロトコールは、ブロック1304へと継続する。
【0140】
ブロック1304において、患者に肺機能検査(PFT)が行われる。PFTは、一連のテストを含んでよく、そのようなものとしては、他の例の中でも特に、スパイロメトリ、静肺容量測定、一酸化炭素の拡散能力、気道抵抗、呼吸筋力および動脈血液ガスが含まれるが、これらに限定はされない。
【0141】
ブロック1306において、患者の1秒量(FEV)と努力肺活量(FVC)との比率が、0.7より大きいかが判定される。いいえの場合、プロトコールは、ブロック1308に進み、そこで終了する。はいの場合、プロトコールは、ブロック1310に進む。留意すべきことは、ブロック1306において、決定ポイントに他の基準が用いられ得ることである。例えば、深刻な過膨張の証拠が存在する(全肺気量(TLC)に対する残気量(RV)の比率が0.65以上である)場合、プロトコールはブロック1310に進んでよい。
【0142】
ブロック1310において、患者は、CTスキャンが行われる。次に、CTスキャン画像およびデータが、治療する医師によって解析される。
【0143】
ブロック1312において、患者のCTスキャンチャートが、患者が均質性であれ、異質性であれ、肺気腫等の肺疾患を有していることを示すかを判定する。いいえの場合、プロトコールは、ブロック1314に進み、そこで終了する。はいの場合、プロトコールは、ブロック1316に進む。いくつかの状況において、ブロック1316に進む前に、肺気腫と同時に、顕著な気道疾患の証拠が存在しないか、または孤立性気道疾患が存在しないかということがさらに判定されてよい。
【0144】
ブロック1315において、治療する医師は、治療すべき病変部位を識別する。ブロック1315により、治療する医師は、当業者に既知の任意のかかる好適な技術を含む、任意の好適な技術を用いて、気管支幹の病変部位を識別してよい。一例において、治療する医師は、
図1に示すような領域108等の病変部位を識別してよい。
【0145】
ブロック1316において、治療する医師は、気流を改善すべく、患者の気管支幹内の1または複数の気道を治療する。本明細書に記載の、例えば、方法800、方法1100および方法1200のうちの1または複数を含め、気道内の気流を改善するための任意の方法により、気道は、治療されてよい。
【0146】
ブロック1318において、治療が気流の改善において成功したかが判定される。はいの場合、プロトコールは、ブロック1320に進み、そこで終了する。いいえの場合、気流を改善すべく、ブロック1316が繰り返される。
8.[例示的な治療プロトコール]
【0147】
一実施形態において、本明細書に記載の様々な方法による、システムが提供されてよい。システムは、拡張可能なオブジェクト、ステントおよび気管支幹の気道内の気流を改善するための命令のうちの1または複数を含んでよい。
【0148】
ステントは、
図3A、3B、4A、4B、5A、5Bおよび5Cを参照して上記した本明細書に記載のステントのうちの任意のものであってよい。拡張可能なオブジェクトは、
図6A、6B、7A、7B、および7Cを参照して上記した本明細書に記載の拡張可能なオブジェクトのうちの任意のものであってよい。気流を改善するための命令は、方法800、1100および1200のうちの任意のもの等、本明細書に記載の気流を改善するための例示的な方法のうちの任意のものに対応してよい。
【0149】
システムは、さらに他のオブジェクトを含んでよい。一例としては、拡張可能なオブジェクトを拡張させるために用いられる圧縮ガスおよび/または液化ガスを含むカートリッジが含まれる。別の例としては、拡張可能なオブジェクト内の圧力をモニタリングするために用いられる圧力計が含まれる。さらなる別の例としては、気管支幹内で、拡張可能なオブジェクトおよび/またはステントをガイドするために用いられる1または複数の送達カテーテルが含まれる。
9.[結論]
【0150】
本明細書に様々な態様および実施形態が開示されているが、当業者には他の態様および実施形態が自明であろう。本明細書に開示した様々な態様および実施形態は、以降の特許請求の範囲が示す真の範囲および精神についての例示目的のためのものであり、限定的となることを意図していない。
[項目1]
被検者の気管支幹の2または2より多い接続された気道内に、拡張可能なオブジェクトを配置する段階であって、上記拡張可能なオブジェクトの遠位端は、上記気管支幹の第1の気道内に置かれ、且つ上記拡張可能なオブジェクトの近位端は、上記気管支幹の第2の気道内に置かれ、上記第2の気道は、上記第1の気道よりも、上記気管支幹内において、より下位世代の気道である、配置する段階と、
上記2または2より多い接続された気道の壁の少なくとも一部が拡張されるように、上記拡張可能なオブジェクトを、上記2または2より多い接続された気道のうち少なくとも2つの気道内で拡張させる段階と、
ステントの一部が、上記2または2より多い拡張された気道の上記壁の一部に隣接するように、上記ステントを、上記2または2より多い接続された気道のうち上記少なくとも2つの気道内に配置する段階と、を備える、被検者を治療するための方法。
[項目2]
上記拡張可能なオブジェクトを、上記2または2より多い接続された気道のうち上記少なくとも2つの気道内で拡張させる段階は、少なくとも1つの開口部が、上記2または2より多い接続された気道の上記壁の少なくとも上記一部に形成されるように、上記拡張可能なオブジェクトを、上記2または2より多い接続された気道のうち上記少なくとも2つの気道内で拡張させる段階を含む、項目1に記載の方法。
[項目3]
上記ステントは、開いた形のステントである、項目1または2に記載の方法。
[項目4]
上記開いた形のステントは、開いた形の壁を有し、上記開いた形の壁は、連続的な開いた螺旋状表面を有する、項目3に記載の方法。
[項目5]
上記開いた形のステントは、コイルを有する、項目3に記載の方法。
[項目6]
上記コイルは、4ミリメータ(mm)~10mmの範囲内の直径を有する、項目5に記載の方法。
[項目7]
上記拡張可能なオブジェクトは、拡張バルーンを含む、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
[項目8]
上記拡張バルーンは、クライオバルーンを含む、項目7に記載の方法。
[項目9]
上記拡張バルーンは、4ミリメータ(mm)~10mmの範囲内の直径を有する、項目7に記載の方法。
[項目10]
上記拡張可能なオブジェクトは、抗増殖剤を含む、項目1から9のいずれか一項に記載の方法。
[項目11]
上記拡張可能なオブジェクトを配置する前に、上記ステントは、上記拡張可能なオブジェクトの少なくとも一部を囲むように位置決めされる、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
[項目12]
上記ステントを配置した後、上記拡張可能なオブジェクトを縮小させる段階と、
上記拡張可能なオブジェクトを上記2または2より多い接続された気道から除去する段階と、をさらに備える、項目11に記載の方法。
[項目13]
上記ステントを配置する前に、上記拡張可能なオブジェクトを上記2または2より多い接続された気道から除去する段階をさらに備える、項目1から12のいずれか一項に記載の方法。
[項目14]
上記拡張可能なオブジェクトを配置する段階と、上記拡張可能なオブジェクトを上記2または2より多い接続された気道のうち上記少なくとも2つの気道内で拡張させる段階の間、上記拡張可能なオブジェクトのいずれの部分も、上記2または2より多い接続された気道のそれぞれの気道壁の外部に伸展しない、項目1から13のいずれか一項に記載の方法。
[項目15]
拡張可能なオブジェクトと、
ステントと、
上記拡張可能なオブジェクトおよび上記ステントを用いて、被検者の気管支幹の1または複数の気道内の気流を改善するための命令と、を備える、システム。
[項目16]
上記拡張可能なオブジェクトおよび上記ステントを用いて、上記被検者の上記気管支幹の上記1または複数の気道内の気流を改善するための上記命令は、
上記被検者の上記気管支幹の1または複数の気道内に、上記拡張可能なオブジェクトを配置させることと、
上記1または複数の気道の壁の少なくとも一部が拡張されるように、上記拡張可能なオブジェクトを、上記1または複数の気道のうち少なくとも1つの気道内で拡張させることと、
上記ステントの一部が、上記1または複数の拡張された気道の上記壁の上記一部に隣接するように、上記ステントを上記気道内に配置させることと、を含む、項目15に記載のシステム。
[項目17]
上記ステントは、開いた形のステントである、項目16に記載のシステム。
[項目18]
拡張バルーンは、クライオバルーンを含む、項目16に記載のシステム。
[項目19]
上記拡張バルーンは、抗増殖剤を含む、項目18に記載のシステム。
[項目20]
被検者の気管支幹の2または2より多い気道内に、拡張可能なオブジェクトを配置する段階と、
上記2または2より多い気道の壁に、少なくとも1つの開口部が形成されるように、上記拡張可能なオブジェクトを弛緩状態から拡張状態へと、上記2または2より多い気道のうち少なくとも2つの気道内で拡張させる段階と、
上記拡張可能なオブジェクトを、上記拡張状態から上記弛緩状態へと戻す段階と、
上記拡張可能なオブジェクトを、上記1または複数の気道から除去する段階と、
ステントの一部が、上記少なくとも1つの開口部に隣接するように、上記ステントを、上記2または2より多い気道のうち上記少なくとも2つの気道内に配置する段階と、を備える、被検者を治療するための方法。
[項目21]
上記ステントは、開いた形のステントである、項目20に記載の方法。
[項目22]
上記拡張可能なオブジェクトは、拡張バルーンを含む、項目20または21に記載の方法。
[項目23]
被検者の気管支幹の病変部位を識別する段階と、
上記被検者の上記気管支幹内の2または2より多い接続された気道を治療する段階と、を備え、上記2または2より多い接続された気道を治療する段階は、
上記被検者の上記気管支幹の上記2または2より多い接続された気道内に、拡張可能なオブジェクトを配置する段階であって、上記拡張可能なオブジェクトの遠位端は、上記気管支幹の第1の気道内に置かれ、且つ上記拡張可能なオブジェクトの近位端は、上記気管支幹の第2の気道内に置かれ、上記第2の気道は、上記第1の気道よりも、上記気管支幹内において、より下位世代の気道であり、上記拡張可能なオブジェクトの上記遠位端または上記近位端のうち少なくとも1つは、上記気管支幹の上記識別された病変部位内に置かれている、配置する段階と、
上記2または2より多い接続された気道の壁の少なくとも一部が拡張されるように、上記拡張可能なオブジェクトを、上記2または2より多い接続された気道のうち少なくとも2つの気道内で拡張させる段階と、
ステントの一部が、2または2より多い拡張された上記気道の上記壁の上記一部に隣接するように、上記ステントを、上記2または2より多い接続された気道のうち上記少なくとも2つの気道内に配置する段階と、を含む、被検者を治療するための方法。
[項目24]
上記ステントは、開いた形のステントである、項目23に記載の方法。
[項目25]
上記拡張可能なオブジェクトは、拡張バルーンを含む、項目23または24に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉塞性肺疾患を示す肺の病変部分を有する被検者の治療に用いられる医療デバイスであって、前記医療デバイスは、
第1の端部および第2の端部を有する埋め込み可能なオブジェクト
を備え、
前記埋め込み可能なオブジェクトは、前記第1の端部が気管支幹内の第1の気道に配置され、且つ、前記第2の端部が前記気管支幹内の第2の気道に配置されるように、複数の世代の接続された気道にわたって配置されるように構成されており、前記第2の気道は前記第1の気道より高い世代であり、
前記埋め込み可能なオブジェクトは、前記埋め込み可能なオブジェクトが配置される前の第1の直径から前記第1の直径より大きい第2の直径まで、前記複数の世代の接続された気道の一部を少なくとも拡張する方法で拡張可能であるようにさらに構成されている、
医療デバイス。
【請求項2】
前記埋め込み可能なオブジェクトは、ステントを有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記埋め込み可能なオブジェクトは、前記埋め込み可能なオブジェクトの外部を前記埋め込み可能なオブジェクトの内部から閉鎖しない壁を含み、それにより、前記埋め込み可能なオブジェクトが前記複数の世代の接続された気道にわたって配置されるときに、側通路から気道の主内腔への気流を可能とする、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記埋め込み可能なオブジェクトは、前記埋め込み可能なオブジェクトが前記複数の世代の接続された気道にわたって配置されるときに、前記埋め込み可能なオブジェクトが気道と共に屈曲および移動することが可能であるように、特定のレベルの可撓性を有する壁を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記埋め込み可能なオブジェクトは、前記埋め込み可能なオブジェクトが前記複数の世代の接続された気道にわたって配置されるときに、気道の壁を前記気道の内部へと晒すことを可能にするように構成されている壁を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記埋め込み可能なオブジェクトは、コイルのような構造またはスプリングのような構造を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記埋め込み可能なオブジェクトは、連続的に開いた螺旋状表面を有する開いた形の壁を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記埋め込み可能なオブジェクトは、金属を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記埋め込み可能なオブジェクトは、前記埋め込み可能なオブジェクトが配置される前記複数の世代の接続された気道内の1または複数の気道のサイズに基づいてサイズ設定されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記埋め込み可能なオブジェクトは、前記気管支幹の画像に基づいてサイズ設定されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記画像は、コンピュータ断層撮影(CT)画像である、請求項10に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記埋め込み可能なオブジェクトは、拡張可能なオブジェクトを用いてサイズ設定されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記気管支幹の中枢部分内の前記第1の気道は、葉気管支または区域気管支のうちの1つを含み、
前記気管支幹の末梢部分内の前記第2の気道は、前記肺の前記病変部分が位置する細気管支を含む、
請求項1から12のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記埋め込み可能なオブジェクトは、前記複数の世代の接続された気道に放射状張力を発揮するように構成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記複数の世代の接続された気道の前記一部の前記第2の直径は、前記複数の世代の接続された気道の前記一部の正常で病前の直径に等しい、またはそれより大きい直径を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項16】
前記複数の世代の接続された気道の前記一部の前記第2の直径は、少なくとも2ミリメータである、請求項1から15のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項17】
前記埋め込み可能なオブジェクトは、前記第1の端部と前記第2の端部との間で延在する長手方向軸を含み、前記埋め込み可能なオブジェクトは、前記長手方向軸の周囲に延在する単一のストランドから形成される、請求項1から16のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項18】
前記医療デバイスは、閉塞または気道狭窄の少なくとも一方を有する肺の病変部分を有する被検者の治療に用いられる、請求項1から17のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項19】
前記医療デバイスは、気腫を有する被検者の治療に用いられる、請求項1から18のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項20】
前記医療デバイスは、慢性気管支炎を有する被検者の治療に用いられる、請求項1から19のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項21】
前記医療デバイスは、喘息を有する被検者の治療に用いられる、請求項1から20のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【外国語明細書】