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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112823
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】システムおよびプログラム等
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20240814BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20240814BHJP
   F02N 11/08 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
E05B49/00 K
B60R25/24
F02N11/08 U
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024075136
(22)【出願日】2024-05-07
(62)【分割の表示】P 2020083533の分割
【原出願日】2020-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】上村 浩司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 新也
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来よりも優れたシステム等を提供する。
【解決手段】本発明のシステムは、車両を遠隔から操作するための無線信号を送出する機能を備えた携帯機と、携帯機からの無線信号を受信して車両にエンジンの始動をさせるための制御を行う車両に後付される車載器を備える車両の遠隔操作システムであって、車載器は、エンジン始動命令を示す無線信号を受信したとき、車両の運転席のドアのドアノブに人が触れたと車両の純正キーフリー制御部に認識させるための制御である第一の制御を備える第一段階制御を行った後、車両に対して車両のエンジンの始動をさせるための制御である第二段階制御を行う。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を遠隔から操作するための無線信号を送出する機能を備えた携帯機と、前記携帯機からの無線信号を受信して車両に所定の制御をさせるための制御を行う車両に後付される後付車載機を備える車両の遠隔制御システムであって、
前記後付車載機は、前記所定の無線信号を受信したとき、当該車両の所定のドアのドアノブに人が触れたと前記車両の制御部に認識させるための制御である第一の制御、当該車両の所定のドアロックが解除されたと前記車両の制御部に認識させるための制御である第二の制御、当該車両の所定のドアを開けたと前記車両の制御部に認識させるための制御である第三の制御の少なくともいずれか一つの制御である第一段階制御を行った後、
前記車両に対する前記所定の制御である第二段階制御を行うこと
を特徴とする遠隔制御システム。
【請求項2】
前記後付車載機は、前記第一段階制御の後、ドアを施錠する制御を行う機能を備えたこと
を特徴とする請求項1に記載の遠隔制御システム。
【請求項3】
前記第一段階制御は、車両のドアロックが施錠されていないときには行わないようにする機能を備えたこと
を特徴とする請求項1または2に記載の遠隔制御システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の遠隔制御システムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシステムおよびプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、遠隔操作(リモートコントロール)によってエンジン始動を行うエンジン始動装置において、子機からの信号を受けた車載機がエンジンキーによるキーシリンダの動きを模してエンジンの始動を行うものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-36505
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシステムには、様々な問題があった。
そこで、本発明は従来よりも優れた特性を有するシステム及びプログラム等を提供することを目的とする。
【0005】
本発明の目的はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」「~可能である」などと記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、各々の課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙示的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正又は分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題を解決する構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)車両を遠隔から操作するための無線信号を送出する機能を備えた携帯機と、前記携帯機からの無線信号を受信して車両に所定の制御をさせるための制御を行う車両に後付される後付車載機を備える車両の遠隔制御システムであって、 前記後付車載機は、前記所定の無線信号を受信したとき、当該車両の所定のドアのドアノブに人が触れたと前記車両の制御部に認識させるための制御である第一の制御、当該車両の所定のドアロックが解除されたと前記車両の制御部に認識させるための制御である第二の制御、当該車両の所定のドアを開けたと前記車両の制御部に認識させるための制御である第三の制御の少なくともいずれか一つの制御である第一段階制御を行った後、 前記車両に対する前記所定の制御である第二段階制御を行う遠隔制御システムとするとよい。
【0007】
前記「当該車両の所定のドアのドアノブに人が触れたと前記車両の制御部に認識させるための制御」の部分を備える構成によれば、車両の制御部が所定の制御に先立って当該車両の所定のドアのドアノブに人が触れたという認識がなかったときに前記所定の制御を実行しない機能を備える車両において、車両から離れた遠隔の場所から無線によりユーザーの携帯機の操作によって所定の制御を車両にさせることができる。
【0008】
前記「当該車両の所定のドアロックが解除されたと前記車両の制御部に認識させるための制御」の部分を備える構成によれば、車両の制御部が所定の制御に先立って当該車両の所定のドアロックが解除されたという認識がなかったときに前記所定の制御を実行しない機能を備える車両において、車両から離れた遠隔の場所から無線によりユーザーの携帯機の操作によって所定の制御を車両にさせることができる。
【0009】
前記「当該車両の所定のドアを開けたと前記車両の制御部に認識させるための制御」の部分を備える構成によれば、車両の制御部が所定の制御に先立って当該車両の所定のドアを開けたという認識がなかったときに前記所定の制御を実行しない機能を備える車両において、車両から離れた遠隔の場所から無線によりユーザーの携帯機の操作によって所定の制御を車両にさせることができる。
【0010】
車両としては、特にいわゆるイモビライザー機能を有する車両とするとよく、例えば、純正キーと車両との間で無線による情報を用いて認証を行い、認証に成功した場合には所定の制御をし、認証に成功しない場合には所定の制御をしない機能を有する車両とするとよい。このような車両においては、純正キーと車両との間で無線による情報の送受信を行うが、車両においては、純正キーを持ったドライバーが車両の中にいることを検出してから行いたい所定の制御(例えば後述するエンジン始動など)がある。しかしながら、純正キーと車両の制御部との通信には無線通信を用いるため、純正キーが車外にあるのか、車内にあるのかを、無線通信によって判別するのが困難であるという問題がある。例えば車内向けに車内で送信する電波の出力を弱めると車内での通信ができないケースがでてくるので強めると今度は車外に純正キーがある場合でも通信してしまうという問題がある。そこで、車両の制御部は、運転者が乗っている状態であるのかを従来よりも厳格に検出するようにしたものがある。このような車両では、運転者が車外にいる状態から乗り込む間に必要な操作を検出するとよい。したがって、例えば、「車両を遠隔から操作するための無線信号を送出する機能を備えた携帯機と、前記携帯機からの無線信号を受信して車両に所定の制御をさせるための制御を行う車両に後付される車載機を備える車両の遠隔制御システムであって、 後付車載機は、前記所定の無線信号を受信したとき、運転者が車外にいる状態から乗り込む間に必要な操作があったと認識させるための制御を行った後、 前記車両に対する前記所定の制御を行うこと を特徴とする遠隔制御システム。」とするとよい。特にこうした車両において、「 車載機は、前記所定の無線信号を受信したとき、当該車両の所定のドアのドアノブに人が触れたと前記車両の制御部に認識させるための制御、当該車両の所定のドアロックが解除されたと前記車両の制御部に認識させるための制御、当該車両の所定のドアを開けたと前記車両の制御部に認識させるための制御の少なくともいずれか一つを行った後、 前記車両に対する前記所定の制御を行う」とよい。
【0011】
「遠隔」としては、車両の外であって、車両の純正キーの通信範囲より離れた位置とするとよく、特に数十メートルから数キロ程度とするとよい。携帯機を、携帯電話・スマートフォン等として、5GやLTE網を介して、制御するようにしてもよい。しかし、特に、自宅の駐車場に止めた車両を自宅内から制御可能な程度とするとよい。
【0012】
「操作」としては、携帯機が備えるセンサ等に所定の変化があったことにより検出してもよい。特にユーザからの操作を入力する入力手段を備え、入力手段に対する所定の操作が検出されたときに無線信号を出力する構成とするとよい。
【0013】
「無線信号」としては、特に「遠隔」の範囲に到達する周波数や出力などの特性を持つ電波を送信する構成とするとよい。特に車両が用いる周波数帯とは異なる周波数帯を用いるとよい。例えば、適合技術基準の特定小電力無線局テレコントロール用無線設備とするとよい。特に周波数420MHz帯、送信出力1mW以下とするとよい。また特に920MH帯、送信出力20mW以下とするとよく、特に送信出力10mW以下とするとよい。
【0014】
「携帯機」としては、車両の純正キーとは異なる携帯機とするとよい。「携帯機」としては、前記操作を入力する入力手段を備えるとよい。入力手段はタッチパネル等としてもよいが、スイッチとするとよい。スイッチとしては、各種のスイッチを用いることができ、例えば静電容量スイッチとしてもよいが、特にタクトスイッチとするとよい。
「携帯機」としては、「無線信号」を送信可能な携帯機側送信手段を備えるとよい。
【0015】
「車両に所定の制御をさせるための制御」の「所定の制御」としては、特に、運転者が車両に乗った際に快適に出発できる状態をつくるのに要する制御とするとよく、特にエアコンを動作状態にできる状態とするとよい。特にモータによる駆動を行わないエンジンを有する車両においては、エンジンを始動させる制御とするとよい。特にモータによる駆動を行う車両においてはいわゆるメインパワーをオンにする状態とするとよい。例えば車両のタイヤを駆動不能な状態から駆動可能な状態へ変化させる制御とするとよい。
【0016】
「車両に所定の制御をさせるための制御」としては、例えば、車両のブレーキを踏んだ状態でプッシュスタートボタンを押すという操作を模擬する信号を車両の制御部に送出する制御とするとよい。例えば車両の制御部が接続されたブレーキ線、車両の制御部が接続されたプッシュスタートスイッチの信号線に接続し、当該信号線にブレーキを踏んだこと、プッシュスタートスイッチが押されたことを示す信号を送信する構成とするとよい。
【0017】
「後付される」としては、特に車両メーカの車両の工場では取り付けられないものとするとよい。「後付される」としては、車両のディーラーでディーラーオプションとして後付されるもの、車用品の販売店等で後付されるものとするとよい。
「後付車載機」としては、携帯機の送出する無線信号を受信可能な後付車載機側受信手段を備えるとよい。
「後付車載機」としては、一つの筐体で実現されるものとしてもよいが、複数の筐体等の部材で実現されるものとしてもよい。
【0018】
「所定の無線信号」としては、車両に所定の制御をさせるための無線信号とするとよく、例えば車両に所定の制御をさせるための指示のための特定のパターンを有する無線信号とするとよい。例えば車両に所定の制御をさせるための指示のための特定のデータを含む無線信号とするとよい。
「所定の無線信号を受信したとき」としては、所定の無線信号を受信した後、所定時間内とするとよい。特に所定の無線信号を受信した直後とするとよい。
【0019】
「当該車両の所定のドアのドアノブに人が触れたと前記車両の制御部に認識させるための制御」としては、車両の制御部が所定のドアノブに人が触れたと検知するセンサ部またはスイッチ部に接続する接続線に対してドアノブに人が触れたときと同等の信号を出力する制御としたり、車両の制御部が車内ネットワークを介して所定のドアのドアノブに人が触れたことを示す情報を受信するように、車内ネットワークに接続された後付車載機の制御手段から車内ネットワークに対して所定のドアのドアノブに人が触れたことを示す情報を送信するようにしたりするとよい。
所定のドアノブとしては、車両のいずれかのドアノブとしてもよいが、特に運転席のドアノブとするとよい。
【0020】
「当該車両の所定のドアロックが解除されたと前記車両の制御部に認識させるための制御」としては、車両の制御部が所定のドアロックが解除されたことを検知するセンサ部またはスイッチ部に接続する接続線に対して所定のドアロックが解除されたときと同等の信号を出力する制御としたり、車両の制御部が車内ネットワークを介して所定のドアロックが解除されたことを示す情報を受信するように車内ネットワークに接続された後付車載機の制御手段から車内ネットワークに対して所定のドアロックが解除されたことを示す情報を送信するようにしたりするとよい。
所定のドアロックとしては、車両のいずれかのドアのドアロックとしてもよいが、特に運転席のドアのドアロックとするとよい。
【0021】
「当該車両の所定のドアを開けたと前記車両の制御部に認識させるための制御」としては、車両の制御部が所定のドアを開いたことを検知するセンサ部またはスイッチ部に接続する接続線に対して所定のドアを開いたときと同等の信号を出力する制御としたり、車両の制御部が車内ネットワークを介して所定のドアを開いたことを示す情報を受信するように車内ネットワークに接続された後付車載機の制御手段から車内ネットワークに対して所定のドアを開いたことを示す情報を送信するようにしたりするとよい。
所定のドアとしては、車両のいずれかのドアとしてもよいが、特に運転席のドアとするとよい。
【0022】
なお、前記車両の制御部に接続された信号線は、車両の制御部に間接的に接続された信号線としてもよいが、車両の制御部に直接接続された信号線とするとよい。また例えば車両の制御部に接続された信号線は、前記制御部と制御対象との間の信号線に単に接続するようにしてもよいが、前記制御部と制御対象(例えばドアノブ、ドアロック、ドアの状態を検出するスイッチやセンサ等)との間の信号線を切断した制御部側の信号線に接続し、前記車両の制御部が前記認識させるための制御を行っている間は、(前記制御部と制御対象との間の信号線を切断した制御対象側の信号線の状態にかかわらず)当該制御部側の信号線に前記認識される信号を出力する一方、前記車両の制御部が前記認識させるための制御を行っていない間は、前記制御部と制御対象との間の信号線を切断した制御対象側の信号線の状態を出力するようにしてもよい。
【0023】
車内ネットワークは、例えば所定の回路、例えば所定のゲートウェイECU等を介して間接的に接続された車内ネットワークの信号線としてもよいが、例えば所定のゲートウェイECU等を介さず接続された車内ネットワークの信号線とするとよい。前記制御部が制御対象が所定の状態であると認識する信号の送出は、繰り返し実行するとよい。前記制御部(例えばエンジンECU)等の制御対象に対する状態の問い合わせ信号を検出したときに、制御対象の制御部(例えばボディECU等)が当該問い合わせ信号に対する応答信号を返信するよりも先に前記制御部(例えばエンジンECU)が所定の状態にあると認識する信号の送出を行うとよい。
(2)前記後付車載機は、前記第一段階制御の後、ドアを施錠する制御を行うとよい。
【0024】
このようにすれば、後付車載機からの第一段階制御によって車両のドアロックが解除されてしまうような車両においても、携帯機からによる遠隔からの車両の所定の制御の指示があったときにドアロックを施錠させることができる。したがって、ドアロックが解除されたままになって車内に入られいたずらをされたり、車両が盗難にあうことを防止しつつ、携帯機からの指示で、車両に所定の制御を行わせることができる。
【0025】
なお、前記後付車載機は、前記第一段階制御の後、ドアが解錠されているかを確認しドアが施錠されている場合にはドアの施錠をする制御を行わず、ドアが解錠されている場合にはドアを施錠する制御を行った後、前記車両に対する所定の制御を行うとよい。ドアを施錠する制御は、ドアを施錠するためのアクチュエータ(例えばモータやソレノイドなど)を駆動する信号線に接続した信号線に対してアクチュエータを駆動して施錠する信号を出力するようにしてもよいし、ドアを施錠する信号を車内ネットワークに出力するようにしてもよい。
【0026】
前記第一段階制御の後としては、前記車両に対する所定の制御である第二段階制御を行った後としてもよいが、前記第一段階制御の後、前記車両に対する所定の制御である第二段階制御を行う前とするとよい。このようにすれば、より盗難や車内のいたずらにあう可能性を低減できる。
(3)前記第一段階制御は、車両のドアロックが施錠されていないときには行わないようにしてもよい。
【0027】
ドアロックが施錠されていないときとしては、ドアロックの施錠が検出されないときまたはドアの解錠が検出されているときとするとよい。ドアロックの状態は車両の制御部がドアロックを検出するための信号線に接続して取得する、車内ネットワークを介して流れる車両のドアロックの状態に関する信号を取得する、ドアロックの状態を取得するセンサをドアロックの付近に新たに設置して取得するの少なくともいずれか1つとするとよい。
(4)(1)から(3)のいずれかに記載のシステムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとするとよい。
【0028】
上述した(1)から(3)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、(1)に示した発明の全て又は一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、(1)から(3)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。また「~の場合」「~のとき」という記載があったとしても、その場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらはよりよい構成の例を示しているものであって、これらの場合やときでない構成についても権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えたりした構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、従来よりも優れたシステム等を提供できる。
【0030】
なお、本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」「~可能である」などと記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「~できる」「~可能である」などといった記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る中継システムを含む車両遠隔操作システムの一例(第1実施形態等)を示す図である。
図2】第1実施形態等の各データ・信号の通信タイミングを示す図である。
図3】給電手段(ダミー電池)を示す図である。
図4】本発明に係る中継システムを含む車両遠隔操作システムの一例(第2実施形態等)を示す図である。
図5】第2実施形態等の各データ・信号の通信タイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明を提供した一つの実施形態であり、以下の記載に基づいて本願発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【0033】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成や形状等は単なる説明例であり、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
[第一実施形態]
【0034】
以下、図面を用いて本発明の好適な第一実施形態を説明する。本実施形態の遠隔式エンジン始動システム(エンジンスタータシステム)は、キーフリーシステムを採用する車両に搭載される。キーフリーシステムは、エンジンキー(メカニカルキー)をキーシリンダにキーインすることなく、キーフリーキー用の純正携帯機100を携帯した状態で、エンジン始動スイッチ200を操作することで、エンジンを始動・停止の制御を行うことができるもので、インテリジェントキー(登録商標:日産自動車)やスマートキー(登録商標:トヨタ自動車)などと称されるものが製品化されている。すなわち、純正携帯機100には、所定のコード等の識別情報が記憶されており、純正携帯機100は、送受信機を備え車両側からの問い合わせ無線信号を受信したときにその識別情報を無線送信する。車両側の純正キーフリー制御部300(ECU)は、送受信機を備え純正携帯機に定期的或いは人センサによる人の検知,及びトリガ(プッシュスイッチ・ドアノブスイッチ等)がONした時に問い合わせ信号を無線送信し、これに対する応答として純正携帯機100から送られてくる識別情報を受信すると、それが自己に対応する正規の純正携帯機100からのものか否かを判断する。そして、純正携帯機100から識別情報を受信した状態で、エンジン始動スイッチ1がONになった場合、純正キーフリー制御部300は、スタータモータ4を回転させ、エンジン始動処理を実行する。
【0035】
また、本実施形態の純正キーフリー制御部300は、ドア錠の施錠・解錠も制御する。すなわち、純正携帯機100から、ドア錠の施錠/解錠の命令信号を受けた場合、ドアロック部500に対して受信した命令信号に応じた制御信号を送り、ドア錠の施錠(ロック),解錠(アンロック)の制御を行う。ここでドアロック部500は、例えば、ドア錠用の駆動モータであり、その駆動モータを正逆回転することで、施錠したり解錠したりする。また、純正キーフリー制御部300は、上記のように、純正携帯機100から命令信号を受信したときに限らず、純正携帯機100を携帯したユーザが、車両のドアに設けたスイッチを押下したことに基づき、施錠/解錠のための制御を行うべくドアロック部500に対して制御信号を送る機能も備える。なお、純正携帯機100にはこのドア錠の施錠・解錠の制御機能は、無くても良い。
【0036】
本実施形態の純正キーフリー制御部300にはドアノブセンサ600が接続されている。ドアノブセンサ600は、車両の外側の運転席のドアノブの内側の内部に設けられた静電容量タッチセンサであり、運転者が車両の外側から運転席のドアを開けようと運転席の外側のドアノブに手をかけたことを静電容量の変化から検出するものであり、様々な車両に採用されているものである。純正キーフリー制御部300は、ドアノブセンサ600の静電容量の変化から運転席のドアノブに手がかけられたと判定した場合には、純正携帯機100から受信した認証情報が正規のものであるかを判定し、正規のものである場合には、ドアロック部500に対してドア錠の解錠(アンロック)の制御を行う。これにより運転席のドアロックが解除され運転者は運転席に乗り込む。純正キーフリー制御部300は、ドアノブセンサ600の静電容量の変化を検出し運転席のドアノブに手がかけられたと判定した後に、エンジン始動スイッチ200が押下されたことを検出した場合にエンジンを始動する。純正キーフリー制御部300は、ドアノブセンサ600の静電容量の変化がなく運転席のドアノブに手がかけられたと判定していない状態で、エンジン始動スイッチ200が押下されたことを検出した場合はエンジンを始動しない制御を行う。
【0037】
車両側の、エンジン始動スイッチ200は、回転により操作するイグニッションノブや、押下により操作するボタンなどがある。そして、純正の機能は、車両に搭載される従来公知のものであるので、公知の点については、詳細な説明を省略する。
【0038】
次に、遠隔式エンジン始動システムについて説明する。この遠隔式エンジン始動システムは、車両メーカの車両の工場では取り付けられないものであり、車両メーカからの出荷後に、後付されるものである。例えば、車両のディーラーでディーラーオプションとして後付されるもの、例えばアフターマーケット等の車用品の販売店等で後付されるものとするとよい。
【0039】
この遠隔式エンジン始動システムは、ユーザが手元におく携帯機(子機)8と、自動車に搭載される車載器(装置本体)9とを備える。携帯機8は、ケース表面にエンジン始動ボタン8aとエンジン停止ボタン8bを備える。携帯機8は、車載器9との間で双方向通信可能なトランシーバー機能を備えているため、内部には送受信回路や制御部等を備えている。さらに図示省略するが、LED・液晶パネル・スピーカー等の出力手段を設けても良い。携帯機8内の制御部は、エンジン始動ボタン8a或いはエンジン停止ボタン8bが押下されたことを認識すると、自己を特定するための所定のコード(認証情報)とともに、押下されたボタンの内容(エンジン始動/停止)を示す命令信号を、送信回路を介して送信する。
【0040】
また、携帯機8の受信回路が、対応する車載器9からの信号を受信すると、携帯機8内の制御部はその受信した信号に応じた処理をする。すなわち、車載器9は、後述するように携帯機8から送られてきた命令信号を受信すると、その命令信号に応じた処理を実行し、その結果をアンサーバックとして返信するので、携帯機8は、アンサーバックの内容に応じた処理を実行する。一例としては、出力手段を備えている場合には、そのアンサーバックの内容(成功/失敗)を報知する。また、一定時間以内にアンサーバックを受信しない場合、制御部は、再度認証情報と共に命令信号を送信する。
【0041】
車載器9は、リモコン送受信機10と、制御部としてのMPU15とを備える。MPU15はCPU、ROM、RAM、周辺回路等を備えるマイコンであり、ROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することで処理を行い、機能を実現する。リモコン送受信機10は、アンテナ11と受信回路12と送信回路13とを備えている。アンテナ11経由で受信回路12で受信した信号は、MPU15に与えられる。MPU15は、受信した信号に含まれる認証情報から、受信した信号が対となる携帯機8からのものであるか否かを判断し、対となる携帯機8からの信号である場合、その受信した信号に含まれる命令信号に基づく処理を実行する。そして、命令信号に基づく処理を実行後、制御部15は、アンサーバック信号を生成し送信回路13経由で携帯機8に向けて返信する。なお、制御部15が行う具体的な処理は、後述する。
【0042】
MPU15は、純正キーフリー制御部300に接続される。具体的な接続箇所は、純正の、エンジン始動スイッチ200から純正キーフリー制御部300へ接続される箇所と同じ箇所である。そして、MPU15は、エンジン始動時並びにエンジン停止時において、エンジン始動スイッチ200から純正キーフリー制御部300へ与えられる信号と同様の信号を与える。これにより、エンジン始動命令を受信したMPU15は、エンジン始動スイッチがON(エンジン始動)と同様の信号を純正キーフリー制御部300に与えることで、純正キーフリー制御部300は、エンジン始動処理を実行し、スタータモータ400を回転させてエンジンを始動させる。同様に、エンジン停止命令を受信したMPU15は、エンジン始動スイッチ200がOFF(エンジン停止)と同様の信号を純正キーフリー制御部300に与えることで、純正キーフリー制御部300は、エンジン停止処理を実行し、始動中のエンジンを停止する。
【0043】
ただし、本実施形態の車両の純正キーフリー制御部300は、ドアノブセンサ600の静電容量の変化がなく運転席のドアノブに手がかけられたと判定していない状態で、エンジン始動スイッチ200が押下されたことを検出した場合はエンジンを始動しない制御を行う。そこで、MPU15は、ドアノブセンサ600にも接続されている。具体的な接続箇所は、純正の、ドアノブセンサ600から純正キーフリー制御部300へ接続される箇所と同じ箇所である。たとえばエレクトロタップ等により、ドアノブセンサ600から純正キーフリー制御部300へ接続される信号線を分岐して接続する。そして、MPU15は、エンジン始動時において、エンジン始動スイッチ200から純正キーフリー制御部300へ与えられる信号と同様の信号を与える前に、ドアノブセンサ600から純正キーフリー制御部300へ与えられるドアノブへ手が触れたことによる静電容量の変化に相当する信号と同様の信号を出力した後に、エンジン始動スイッチ200から純正キーフリー制御部300へ与えられる信号と同様の信号を与える。このようにすることで、運転者が実際には車両の外で、純正携帯機100と車両との通信距離よりも離れた遠隔の位置にいるときであっても、エンジンを始動することができる。
【0044】
なお、さらに、自動車のシフトポジションがパーキング位置にあるかどうか、イグニションキースイッチがOFF位置にあるかどうかなど、エンジンを始動させてよいかどうかの安全確認用センサ16を備える。この安全確認用センサ16により安全が確認されている場合のみ、MPU15は、エンジン始動処理を実行する。
【0045】
またエンジンが始動しているかどうかを検出する始動確認用センサ19を備える。例えば、MPU15は、エンジン始動命令を純正キーフリー制御部300に与えた後、一定期間以内に始動確認用センサ19がONするか否かにより、今回行った始動命令に基づくエンジン始動処理が成功したか失敗したかを判断し、その結果を送信回路13経由で返信する。また、失敗した場合には、MPU15は、再度純正キーフリー制御部300に対してエンジン始動命令を出力するようにしても良い。
【0046】
また、本体部分で各種の操作入力を与えるためのキーボードのような操作部17を備える。さらに、車室内の温度を検出するための温度センサ18を備える。例えば、予めルームエアコンのスイッチをONにしておき、エンジン始動に伴いルームエアコンが動作し、この温度センサ18により検出される車内温度が設定値になった場合にMPU15はエンジンを停止する制御を行う。なお、上記の各センサ16,18,19や操作部17は、従来公知のものを用いることができ、また、本発明では、必ずしも無くても良い。
【0047】
ところで、純正キーフリー制御部300によるエンジン始動(スタータモータ400の回転開始)を行うためには、対応する純正携帯機100から正規の認証情報を受信する必要がある。そこで、本実施形態では、純正携帯機100を、車室内の所定位置(純正キーフリー制御部300との間で通信可能な場所)に置いておき、MPU15は、純正キーフリー制御部300に対してエンジン始動命令を出力する(エンジン始動スイッチ200のONと同じ状態にする)に際し、純正携帯機100から正規の認証情報を出力させるようにする。これにより、純正キーフリー制御部300は、純正携帯機100から出力された正規の認証情報を受信するので、MPU15から与えられるエンジン始動命令に従ってスタータモータ400を始動する。
【0048】
ここで、MPU15が純正携帯機100から所望のタイミングで正規の認証情報を出力する制御は、定常状態では純正携帯機100の動作(少なくとも正規の認証情報を出力する動作・機能)を停止させておき、必要なときに純正携帯機100の正規の認証情報を出力する動作・機能を起動させるもので、具体的には、純正携帯機100に対する給電を制御する。すなわち、通常、純正携帯機100は、電池駆動なため、純正携帯機100の電池ホルダー(収納部)から当該電池を取り外し、車載器9(MPU15)に接続された給電手段20を電池ホルダーに装着する。純正携帯機100は、電源がONしているときは、所定のタイミング(たとえば一定間隔)で正規の認証情報を出力するので、エンジン始動命令を出力するに際し、MPU15は給電手段20から純正携帯機100に対して給電を開始する。そして、平常時は、給電を停止する。これにより、携帯機8からエンジン始動命令を受信した車載器9のMPU15は、ドアノブセンサ600から純正キーフリー制御部300へ与えられるドアノブへ手が触れたことによる静電容量の変化に相当する信号と同様の信号を出力した後に、給電手段20によって純正携帯機100に対して電源を供給し、純正携帯機100を作動させることで純正キーフリー制御部300に対するイモビライザの認証をさせるとともに、純正のエンジン始動時に純正キーフリー制御部300へ出力するエンジン始動信号と同様の信号を発生させて、純正キーフリー制御部300によりエンジンを始動させる。このようにすることで、運転者が実際には車両の外で、純正携帯機100と車両との通信距離よりも離れた遠隔の位置にいるときであっても、エンジンを始動することができる。
【0049】
また、エンジン停止命令を出力する場合も、同様にして行うことができる。なお、エンジン停止のときには、エンジン始動の際に行ったドアノブセンサ600から純正キーフリー制御部300へ与えられるドアノブへ手が触れたことによる静電容量の変化に相当する信号と同様の信号を出力の処理は行わない。
【0050】
エンジン始動とエンジン停止以外の時(純正キーフリー制御部300による純正携帯機100の認証が不要なとき)は、純正携帯機100に対する給電を停止することで、純正携帯機100から正規の認証情報を出力させないようにする。この時にもエンジン始動の際に行ったドアノブセンサ600から純正キーフリー制御部300へ与えられるドアノブへ手が触れたことによる静電容量の変化に相当する信号と同様の信号を出力の処理は行わない。
【0051】
このようにすることで、純正携帯機100を車内においたままにしても、その車内に置かれた純正携帯機100からは正規の認証情報が出力されないので、純正キーフリー制御部300は純正携帯機100の存在を認識できず、たとえば降車時にドア錠を施錠することができる。すなわち、上述したように、純正携帯機100からの命令信号や、純正携帯機100を携帯した状態でのドアスイッチの押下によりドア錠の施錠/解錠を制御するドアロックシステムを採用した車両では、正規の認証情報を出力している純正携帯機100が車室内に置かれている状態ではドア錠が施錠されないような制御が行われるが、上記のように、定常状態では給電を停止することで、ドア錠の施錠/解錠を行うことができる。もちろん、通常、純正携帯機は、複数用意されるので、そのうちの1つを本システムにおける純正携帯機100として車内の所定位置に置いておき、別の純正携帯機を用いることで、当該純正携帯機を用いた遠隔でのドア錠の施錠/解錠の制御や、エンジン始動スイッチ200の操作に基づくエンジン始動・停止の制御を行うことができる。
【0052】
図2は、エンジン始動の処理アルゴリズムを示す。まず、ユーザは、携帯機8のエンジン始動ボタン8aを指で押す操作をする。この操作に伴い、携帯機8は、エンジン始動命令を示す無線信号を送信する。車載器9(MPU15)は、対となる携帯機8からエンジン始動命令を受信すると、ドアノブセンサ600から純正キーフリー制御部300へ与えられるドアノブへ手が触れたことによる静電容量の変化に相当する信号と同様の信号を出力して、所定時間(本実施形態では10秒)、待つ。この所定時間は運転者が車外からドアをあけて運転席に乗り込むのに要する時間より長い時間とするとよい。その後、続いて、給電手段20であるダミー電池に対し、給電を開始する(S2)。この給電は、純正携帯機100が、正規の認証情報を出力する動作が行えるようになっていればよい。
【0053】
純正携帯機100は、ダミー電池による給電開始に伴い、認証情報を出力開始する(S3)。これに伴い、純正キーフリー制御部300は、純正携帯機100からの正規の認証情報を受信することで、純正携帯機100が車室内等に存在していると認識する。
【0054】
ついでMPU15は、純正キーフリー制御部300に対し、エンジン始動信号を出力する(S4)。これを受けて、純正キーフリー制御部300は、エンジン始動スイッチ200がONになったのと同じ状態になり、処理ステップS3の実行により正規の認証情報も受信しているので、スタータモータ400を回転させ、通常のエンジン始動処理を実行する。
MPU15は、始動確認用センサ19からの入力により、エンジンの始動を確認したならば(S5)、MPU15は、給電手段への給電を停止する(S6)。
【0055】
MPU15は、ドアロック部500にも接続されている。具体的な接続箇所は、純正の、ドアロック部500から純正キーフリー制御部300へ接続される箇所と同じ箇所である。たとえばエレクトロタップ等により、ドアロック部から純正キーフリー制御部300へ接続される信号線を分岐して接続する。そして、MPU15は、純正キーフリー制御部300からドアロック部へドアロックの際に与えられる信号と同様の信号を与える。このようにすることで、この車両のドアロックをかけることができる(S7)。
【0056】
さらに本実施形態では、給電手段としては、純正携帯機の電池ホルダーに入り、電池ホルダー内の電源端子に対応する部位に電源を供給する給電部位を設けたものを用いる。例えば、純正携帯機の電池がボタン電池であれば、図3に示すように、そのボタン電池と同様の形状のものとする。すなわち、給電手段20は、純正携帯機100用のボタン電池と同様の外形状からなるケース本体21を備える。ケース本体21は、上下に2分割された上ケース21aと下ケース21bを、接合することで構成する。ケース本体21の内部空間内に正極端子板22と負極端子板23を配置し、その正極端子板22と負極端子板23の一部をケース本体21の外部に露出させる。この外部に露出する位置は、純正携帯機100の電池ホルダー内の給電端子に接触する位置とする。そして、正極端子板22と負極端子板23は、それぞれリード線24に接続され、そのリード線24を介して車載器9に接続される。MPU15からの指示に従い、車載器9からリード線24経由で給電手段20(ダミー電池)の両端子部間に所望の電圧を印加し、純正携帯機100の給電を可能とする。
【0057】
なお、上述した実施形態では、セルモータを駆動して始動するエンジン始動装置に適用した例を示したが、本発明はそれに限ることはなく、電気自動車の始動装置や、電気自動車等におけるエアコン装置や、その他のリモコン操作により始動する装置(車載装置・車両装置)に適用することができる。
【0058】
本実施形態では、車両を遠隔から操作するための無線信号を送出する機能を備えた携帯機8と、携帯機8からの無線信号を受信して車両にエンジンの始動をさせるための制御を行う車両に後付される車載器9を備える車両の遠隔操作システムであって、車載器9は、エンジン始動命令を示す無線信号を受信したとき、車両の運転席のドアのドアノブに人が触れたと車両の純正キーフリー制御部300に認識させるための制御である第一の制御(S1)を備える第一段階制御を行った後、車両に対して車両のエンジンの始動をさせるための制御である第二段階制御(S2からS6)を行う。
【0059】
この第一段階制御について本実施形態では、車両の運転席のドアのドアノブに人が触れたと車両の純正キーフリー制御部300に認識させるための制御としたが、車両の純正キーフリー制御部300が車両の所定のドアロックが解除されたことが、エンジン始動の操作の前に検出する車両においては、これに代えて、あるいは、これとともに、車両の所定のドアロックが解除されたと車両の純正キーフリー制御部300に認識させるための制御である第二の制御を同様に行うとよい。また、この第一段階制御について本実施形態では、車両の運転席のドアのドアノブに人が触れたと車両の純正キーフリー制御部300に認識させるための制御としたが、車両の純正キーフリー制御部300が、当該車両の所定のドアを開けたことが、エンジン始動の操作の前に検出する車両においては、これに代えて、あるいは、これとともに、当該車両の所定のドアを開けたと車両の純正キーフリー制御部300に認識させるための制御である第三の制御を同様に行うとよい。これらの組み合わせを設定するディップスイッチ等の切り替え機能を設け、第一から第三のそれぞれについて、制御を実行するか否かを設定し、この設定にしたがって実行する構成とするとよい。
【0060】
車両の所定のドアのドアノブ(上述の実施形態では運転席の外側のドアノブ)に人が触れたと車両の純正キーフリー制御部300に認識させるための制御の部分を備える構成によれば、車両の純正キーフリー制御部300が所定の制御に先立って当該車両の所定のドアのドアノブに人が触れたという認識がなかったときに前記所定の制御を実行しない機能を備える車両において、車両から離れた遠隔の場所から無線によりユーザーの携帯機の操作によって所定の制御を車両にさせることができる。
【0061】
車両の所定のドアロックが解除されたと前記車両の純正キーフリー制御部300に認識させるための制御の部分を備える構成によれば、車両の純正キーフリー制御部300が所定の制御に先立って当該車両の所定のドアロックが解除されたという認識がなかったときに前記所定の制御を実行しない機能を備える車両において、車両から離れた遠隔の場所から無線によりユーザーの携帯機の操作によって所定の制御を車両にさせることができる。
【0062】
車両の所定のドアを開けたと前記車両の純正キーフリー制御部300に認識させるための制御の部分を備える構成によれば、車両の純正キーフリー制御部300が所定の制御に先立って当該車両の所定のドアを開けたという認識がなかったときに前記所定の制御を実行しない機能を備える車両において、車両から離れた遠隔の場所から無線によりユーザーの携帯機の操作によって所定の制御を車両にさせることができる。
【0063】
車両としては、本実施形態のように、特にいわゆるイモビライザー機能を有する車両とするとよく、例えば、純正携帯機100と車両との間で無線による情報を用いて認証を行い、認証に成功した場合には所定の制御をし、認証に成功しない場合には所定の制御をしない機能を有する車両とするとよい。このような車両においては、純正携帯機100と車両との間で無線による情報の送受信を行うが、車両においては、純正携帯機100を持ったドライバーが車両の中にいることを検出してから行いたい所定の制御(例えばエンジン始動など)がある。しかしながら、純正携帯機100と車両の純正キーフリー制御部300との通信には無線通信を用いるため、純正携帯機100が車外にあるのか、車内にあるのかを、無線通信によって判別するのが困難であるという問題がある。例えば車内向けに車内で送信する電波の出力を弱めると車内での通信ができないケースがでてくるので強めると今度は車外に純正携帯機100がある場合でも通信してしまうという問題がある。そこで、車両の純正キーフリー制御部300は、運転者が乗っている状態であるのかを従来よりも厳格に検出するようにしたものがある。このような車両では、運転者が車外にいる状態から乗り込む間に必要な操作を検出するとよい。したがって、例えば、「車両を遠隔から操作するための無線信号を送出する機能を備えた携帯機8と、携帯機8からの無線信号を受信して車両に所定の制御をさせるための制御を行う車両に後付される車載機9を備える車両の遠隔制御システムであって、 車載器9は、前記所定の無線信号を受信したとき、運転者が車外にいる状態から乗り込む間に必要な操作があったと認識させるための制御を行った後、 前記車両に対する前記所定の制御を行うこと を特徴とする遠隔制御システム。」とするとよい。特にこうした車両において、「 車載機は、前記所定の無線信号を受信したとき、当該車両の所定のドアのドアノブに人が触れたと前記車両の純正キーフリー制御部300に認識させるための制御、当該車両の所定のドアロックが解除されたと前記車両の純正キーフリー制御部300に認識させるための制御、当該車両の所定のドアを開けたと前記車両の純正キーフリー制御部300に認識させるための制御の少なくともいずれか一つを行った後、 前記車両に対する前記所定の制御を行う」とよい。
【0064】
「遠隔」としては、車両の外であって、車両の純正携帯機100の通信範囲より離れた位置とするとよく、特に数十メートルから数キロ程度とするとよい。携帯機8は携帯電話・スマートフォン等として、5GやLTE網を介して、制御するようにしてもよい。しかし、特に、自宅の駐車場に止めた車両を自宅内から制御可能なリモコンとするとよい。
【0065】
「操作」としては、本実施形態ではボタンの押下としたが、携帯機8が備えるセンサ等に所定の変化があったことにより検出してもよい。ただし、特に本実施形態のようにボタンには限らないが、ユーザからの操作を入力する入力手段を備え、入力手段に対する所定の操作が検出されたときに無線信号を出力する構成とするとよい。
【0066】
「無線信号」としては、特に「遠隔」の範囲に到達する周波数や出力などの特性を持つ電波を送信する構成とするとよい。特に車両が用いる周波数帯とは異なる周波数帯を用いるとよい。例えば、適合技術基準の特定小電力無線局テレコントロール用無線設備とするとよい。特に周波数420MHz帯、送信出力1mW以下とするとよい。または、特に920MH帯、送信出力20mW以下とするとよく、特に送信出力10mW以下とするとよい。
【0067】
「携帯機8」としては、車両の純正携帯機100とは異なる携帯機とするとよい。「携帯機8」としては、前記操作を入力する入力手段を備えるとよい。入力手段はタッチパネル等としてもよいが、スイッチとするとよい。スイッチとしては、各種のスイッチを用いることができ、例えば静電容量スイッチとしてもよいが、特にタクトスイッチとするとよい。
「携帯機8」としては、「無線信号」を送信可能な携帯機側送信手段を備えるとよい。
【0068】
「車両に所定の制御をさせるための制御」の「所定の制御」としては、特に、運転者が車両に乗った際に快適に出発できる状態をつくるのに要する制御とするとよく、特にエアコンを動作状態にできる状態とするとよい。特にモータによる駆動を行わないエンジンを有する車両においては、上述した実施形態のようにエンジンを始動させる制御とするとよい。一方、モータによる駆動を行う車両においてはいわゆるメインパワーをオンにする状態とする制御とするとよい。例えば車両のタイヤを駆動不能な状態から駆動可能な状態へ変化させる制御とするとよい。
【0069】
「車両に所定の制御をさせるための制御」としては、例えば、車両のブレーキを踏んだ状態でプッシュスタートボタンを押すという操作を模擬する信号を車両の純正キーフリー制御部300に送出する制御とするとよい。例えば車両の純正キーフリー制御部300が接続されたブレーキ線、車両の純正キーフリー制御部300が接続されたプッシュスタートスイッチの信号線に接続し、当該信号線にブレーキを踏んだこと、プッシュスタートスイッチが押されたことを示す信号を送信する構成とするとよい。
「車載器9」としては、携帯機の送出する無線信号を受信可能な車載器側受信手段を備えるとよい。
「車載器9」としては、一つの筐体で実現されるものとしてもよいが、複数の筐体等の部材で実現されるものとしてもよい。
【0070】
「所定の無線信号」としては、車両に所定の制御をさせるための無線信号とするとよく、例えば車両に所定の制御をさせるための指示のための特定のパターンを有する無線信号とするとよい。例えば車両に所定の制御をさせるための指示のための特定のデータを含む無線信号とするとよい。
「所定の無線信号を受信したとき」としては、所定の無線信号を受信した後、所定時間内とするとよい。特に所定の無線信号を受信した直後とするとよい。
【0071】
「当該車両の所定のドアのドアノブに人が触れたと前記車両の純正キーフリー制御部300に認識させるための制御」としては、車両の純正キーフリー制御部300が所定のドアノブに人が触れたと検知するセンサ部またはスイッチ部に接続する接続線に対してドアノブに人が触れたときと同等の信号を出力する制御としたり、車両の純正キーフリー制御部300が車内ネットワークを介して所定のドアのドアノブに人が触れたことを示す情報を受信するように、車内ネットワークに接続された車載器9の制御手段から車内ネットワークに対して所定のドアのドアノブに人が触れたことを示す情報を送信するようにしたりするとよい。
所定のドアノブとしては、車両のいずれかのドアノブとしてもよいが、特に上述した実施形態のように運転席のドアノブとするとよい。
【0072】
「当該車両の所定のドアロックが解除されたと前記車両の純正キーフリー制御部300に認識させるための制御」としては、車両の純正キーフリー制御部300が所定のドアロックが解除されたことを検知するセンサ部またはスイッチ部に接続する接続線に対して所定のドアロックが解除されたときと同等の信号を出力する制御としたり、車両の純正キーフリー制御部300が車内ネットワークを介して所定のドアロックが解除されたことを示す情報を受信するように車内ネットワークに接続された車載器9の制御手段から車内ネットワークに対して所定のドアロックが解除されたことを示す情報を送信するようにしたりしてもよい。
所定のドアロックとしては、車両のいずれかのドアのドアロックとしてもよいが、特に運転席のドアのドアロックとするとよい。
【0073】
「当該車両の所定のドアを開けたと前記車両の純正キーフリー制御部300に認識させるための制御」としては、車両の純正キーフリー制御部300が所定のドアを開いたことを検知するセンサ部またはスイッチ部に接続する接続線に対して所定のドアを開いたときと同等の信号を出力する制御としたり、車両の純正キーフリー制御部300が車内ネットワークを介して所定のドアを開いたことを示す情報を受信するように車内ネットワークに接続された車載器9の制御手段から車内ネットワークに対して所定のドアを開いたことを示す情報を送信するようにしたりするとよい。
所定のドアとしては、車両のいずれかのドアとしてもよいが、特に運転席のドアとするとよい。
【0074】
なお、前記車両の純正キーフリー制御部300に接続された信号線は、車両の純正キーフリー制御部300に間接的に接続された信号線としてもよいが、上述した実施形態のように車両の純正キーフリー制御部300に直接接続された信号線とするとよい。また例えば車両の純正キーフリー制御部300に接続された信号線は、上述した実施形態では純正キーフリー制御部300と制御対象との間の信号線に単に接続するようにしたが、前記純正キーフリー制御部300と制御対象(例えばドアノブ、ドアロック、ドアの状態を検出するスイッチやセンサ等)との間の信号線を切断した純正キーフリー制御部300側の信号線に接続し、前記車両の純正キーフリー制御部300が前記認識させるための制御を行っている間は、(前記純正キーフリー制御部300と制御対象との間の信号線を切断した制御対象側の信号線の状態にかかわらず)当該純正キーフリー制御部300側の信号線に前記認識される信号を出力する一方、前記車両の純正キーフリー制御部300が前記認識させるための制御を行っていない間は、前記純正キーフリー制御部300と制御対象との間の信号線を切断した制御対象側の信号線の状態を出力するようにしてもよい。
【0075】
車内ネットワークは、例えば所定の回路、例えば所定のゲートウェイECU等を介して間接的に接続された車内ネットワークの信号線としてもよいが、例えば所定のゲートウェイECU等を介さず接続された車内ネットワークの信号線とするとよい。前記純正キーフリー制御部300が、制御対象が所定の状態であると認識する信号の送出は、繰り返し実行するとよい。前記純正キーフリー制御部300(例えばエンジンECU)等の制御対象に対する状態の問い合わせ信号を検出したときに、制御対象の純正キーフリー制御部300(例えばボディECU等)が当該問い合わせ信号に対する応答信号を返信するよりも先に前記純正キーフリー制御部300(例えばエンジンECU)が所定の状態にあると認識する信号の送出を行うとよい。
車載器9は、上述した実施形態のように第一段階制御の後、ドアを施錠する制御を行うとよい。
【0076】
このようにすれば、車載器9からの第一段階制御によって車両のドアロックが解除されてしまうような車両においても、携帯機からによる遠隔からの車両の所定の制御の指示があったときにドアロックを施錠させることができる。したがって、ドアロックが解除されたままになって車内に入られいたずらをされたり、車両が盗難にあうことを防止しつつ、携帯機からの指示で、車両に所定の制御を行わせることができる。
【0077】
なお、前記車載器9は、前記第一段階制御の後、ドアが解錠されているかを確認しドアが施錠されている場合にはドアの施錠をする制御を行わず、ドアが解錠されている場合にはドアを施錠する制御を行った後、前記車両に対する所定の制御を行うとよい。ドアを施錠する制御は、ドアを施錠するためのアクチュエータ(例えばモータやソレノイドなど)を駆動する信号線に接続した信号線に対してアクチュエータを駆動して施錠する信号を出力するようにしてもよいし、ドアを施錠する信号を車内ネットワークに出力するようにしてもよい。
【0078】
第一段階制御(S1)の後としては、上述した実施形態のように車両に対する所定の制御である第二段階制御(S2からS6)を行った後としてもよいが、第一段階制御(S1)の後、車両に対する所定の制御である第二段階制御(S2)を行う前、すなわち、例えば、S1とS2の間で行うようにしてもよい。このようにすれば、より盗難や車内のいたずらにあう可能性を低減できる。
第一段階制御は、車両のドアロックの状態を確認し、ドアが施錠されていないときには行わないようにし、ドアが施錠されているときに行うようにしてもよい。
【0079】
ドアロックが施錠されていないときとしては、ドアロックの施錠が検出されないときまたはドアの解錠が検出されているときとするとよい。ドアロックの状態は車両の純正キーフリー制御部300がドアロックを検出するための信号線に接続して取得する、車内ネットワークを介して流れる車両のドアロックの状態に関する信号を取得する、ドアロックの状態を取得するセンサをドアロックの付近に新たに設置して取得するの少なくともいずれか1つとするとよい。
[第2実施形態]
【0080】
図4は、本発明の中継システムを用いた車両遠隔操作システムの第2実施形態を示している。この図4に基づいて、通信処理の動作を説明しつつ本システムの前提となる基本構成を説明する。このシステムは、車両に設置される車両制御装置1(第1実施形態における車両側の純正キーフリー制御部300(ECU)に対応する)と、車両中継機2(第1実施形態における車載器(装置本体)9に対応する)と、携帯中継機3(第1実施形態における携帯機(子機)8に対応する)と、携帯機4(第1実施形態における純正携帯機100に対応する)を備える。以下、第1実施形態と対応させて異なる部分を説明し、同じ構成の部分については説明を省略する。第1実施形態では純正携帯機100を車両内に置くこととしたが、第2実施形態では携帯機4は携帯中継機3とともに、運転者が車両から持ち出して携帯する。そして、携帯機4に記憶されている認証情報は携帯中継機3と車両中継機2との通信を介して、車両中継機2に接続された車両制御装置1へ、中継される。
【0081】
車両制御装置1は、車両の所定機器を制御するための装置である。この所定の機器の制御は、例えば、プッシュスタートボタンの押下等のユーザの操作に応じて車両を走行可能な状態に始動するためのもので、例えば内燃機関を動力源とする自動車におけるセルモータのON(エンジン始動)や、電動機(モーター)を動力源とする電気自動車における電動機への電源をONにすること等がある。以下、「エンジンの始動」を行う場合について例示して説明する。
【0082】
本実施形態の車両制御装置1は、制御対象の車両の機器に対する制御を行うに先立ち、携帯機4に記憶されている認証情報と、車両制御装置1に記憶されている認証情報が合致することを条件の一つとして、エンジンの始動等の制御を行う。
【0083】
係る処理を行うため、車両制御装置1と携帯機4は、相互に無線通信可能として構成される。係る処理を行うため車両制御装置1は、制御部1aと、送受信部1bと、認証情報記憶部1cを備える。図示省略するが、車両制御装置1は、車両のバッテリーに接続され、当該バッテリーから電力供給を受ける。車両制御装置1は、制御対象の車両の機器との間で例えば有線通信により連係し、所定の機器の制御を行う。認証情報記憶部1cは、不揮発性の記憶手段であり、正規の携帯機4の認証情報を記憶する。認証情報は、例えばIDコード等がある。正規の携帯機4が複数存在する場合、その複数の携帯機4のそれぞれの認証情報を記憶する。
【0084】
制御部1aは、例えばMPU等により構成する。制御部1aは、制御対象の車両の機器を制御するための制御信号を出力する機能や、認証情報記憶部1cに記憶した認証情報に基づき、正規の携帯機4の存在を確認するための応答要求信号(LFデータ)等の他の装置と通信を行う際のコマンド・データ等を出力する機能等を有する。
【0085】
送受信部1bは、携帯機4や車両中継機2に実装された送受信部と無線通信を行うものである。送受信部1bは、例えば車載用の送受信用RFICにより構成する。この送受信部1bは、制御部1aから出力される各種のコマンド・データ等のLFデータを第一周波数で無線送信する機能、他の装置から第二周波数で無線送信されてきたコマンド・データ等のRFデータを受信し、制御部1aに渡す機能等を有する。第二周波数は第一周波数よりも高い周波数であり、第二周波数を用いたRFデータの通信可能な距離も長い。一例を示すと、第一周波数は134kHzであり、第二周波数は314MHzである。
【0086】
携帯機4は、例えばスマートキー、純正キーなどと称されるものである。携帯機4は、制御部4aと、送受信部4bと、認証情報記憶部4cを備える。携帯機4の電源は、内蔵した一次電池を用いる。一次電池は、市販の乾電池やボタン電池等を用いると、容易に入手し実装でき、取り扱いが容易となるので良い。特に、ボタン電池とすると、携帯機4の小型化が図れるので良い。
【0087】
認証情報記憶部4cは、イモビライザ機能のための認証情報として固有のIDコードを格納する。制御部4aは、例えばMPU等により構成する。制御部1aは、対を構成する車両制御装置1からの自己宛の応答要求信号を受信した場合、応答信号(RFデータ:レスポンスデータ)を出力する。送受信部4bは、車両制御装置1や携帯中継機3に実装された送受信部と無線通信を行うものである。例えば車載用の送受信用RFICにより構成する。この送受信部4bは、第一周波数で無線送信されてきたコマンド・データ等のLFデータを受信して制御部4aに渡す機能、制御部4aから出力される応答信号等の各種のコマンド・データ等のRFデータを第二周波数で無線送信する機能等を備える。
【0088】
車両制御装置1の制御部1aは、所定の信号の受信などの送信タイミングを満たすと、認証情報記憶部1cにアクセスし、記憶された認証情報としてのIDコードを取得し、そのIDコードを含む応答要求信号(LFデータ)を出力する。所定の信号は、例えば、車両のフットブレーキペダルの踏み込みに伴い出力されるフットブレーキ信号がある。携帯機4が当該応答要求信号の通信可能距離内に存在し、当該応答要求信を受信すると、携帯機4は自己の認証情報を含む応答信号を無線送信する。上述したように、車両制御装置1は、応答要求信号を出力してから一定時間内に正規の認証情報を含む応答信号の受信を条件の一つとして、車両制御装置1の制御部1aは、エンジン始動処理を行う。
【0089】
上記の車両制御装置1と携帯機4間の通信可能な距離は、例えば携帯機4を携帯した運転者が運転席に座ってエンジン始動の操作を行っている状況で通信可能であれば足りるため、比較的短い。この比較的短い距離は、LFデータを送信する第一周波数が、134kHzとすると、1~2m程度となる。本実施形態では、車両中継機2と携帯中継機3を設け、それら中継機により車両制御装置1と携帯機4間で行う無線通信を中継することで、通信可能な距離を長くする。このように通信可能な距離を長くすることで、本システムは、例えば、携帯中継機3並びに携帯機4を携帯したユーザが、車両から比較的離れた位置にいても、車両制御装置1と携帯機4間での認証情報を用いた認証を行え、当該離れた位置からエンジンの始動を行うことができる。
【0090】
車両中継機2は、車両内の所定位置に配置する。車両中継機2は、車両中継機2の制御を司る制御部2aと、車両制御装置1と無線通信を行うための第一車両側送受信部2bと、携帯中継機3と無線通信を行うための第二車両側送受信部2cを備える。図示省略するが、車両中継機2は、車両のバッテリーに接続され、当該バッテリーから電力供給を受ける。制御部2aは、例えばMPU等により構成し、記憶されたプログラムを実行することで機能を実現する。また、第一車両側送受信部2b並びに第二車両側送受信部2cは、それぞれ車載用の送受信用RFICにより構成する。
【0091】
第一車両側送受信部2bは、車両制御装置1の送受信部1bとの間でデータの送受を行い、送受信部1bの送信周波数帯(第一周波数)で無線送信された電波を受信し、第二周波数で無線送信する。そして、通信距離が短いので、無線局の一つである微弱無線局で用いられる微弱な電波を用いる。また、第二車両側送受信部2cは、特定省電力無線局に用いられる周波数帯の電波を使用する。この特定省電力無線通信を利用することで、通信距離は、例えば見晴らし距離で1~2km程度になり、また、障害物があった場合でも例えば数百m程度になる。よって、例えば自宅が戸建て住宅や、マンションで、車両を敷地内の駐車場に駐車した場合でも、車両制御装置1と通信可能となる。
【0092】
さらに本実施形態では、車両中継機2と車両制御装置1との間は、有線通信を行う通信ケーブルにより接続される。車両中継機2の制御部2aは、この有線通信を利用して、運転席の外側のドアノブに手が触れたことによる静電容量の変化に相当する信号と同様の信号を送った後、フットブレーキ信号と、エンジン始動要求信号を送信する。フットブレーキ信号は、車両のフットブレーキペダルが踏まれたときに出力される信号に対応する信号である。エンジン始動要求信号は、例えば、車両のプッシュスタートボタンが押下されたときに出力される信号に対応する信号である。
【0093】
携帯中継機3は、携帯中継機3の制御を司る制御部3aと、携帯機4と通信を行うための第一携帯側送受信部3bと、車両中継機2と通信を行うための第二携帯側送受信部3cを備える。さらに、携帯中継機3は、操作部3dと、報知部3eを備える。
【0094】
操作部3dは、例えば、始動スイッチ、停止スイッチ等の動作指示に対応する押しボタンスイッチである。車両から離れた位置にいるユーザは、当該操作部3dを押下することで、車両に搭載された車両制御装置1を動作させ、エンジンを始動させたり、停止させたりして、遠隔操作する。係る処理を行うため、制御部3aは、この操作部3dに対する操作を検知すると、係る操作に対応する指示命令を第二携帯側送受信部3cから送信する。携帯中継機3の電源は、内蔵した一次電池を用いる。一次電池は、市販の乾電池やボタン電池等を用いると、容易に入手し実装でき、取り扱いが容易となるので良い。特に、ボタン電池とすると、携帯中継機3の小型化が図れるので良い。
【0095】
報知部3eは、動作状況等を報知するもので、例えば、車両制御装置1・車両中継機2から送られてきたエンジン始動成功・エラーなどの実行結果を報知する。報知部3eは、視覚や聴覚を用いて報知するものである。視覚を用いるものの場合、報知部3eは、例えば、表示パネルを用い、実行結果を文字、図形等で表示するようにしたり、LEDなどの発光手段を用い、点灯状態(点滅/消灯/点灯)や、発光色により報知したりする。また、聴覚を用いるものの場合、報知部3eは、例えばスピーカを用い音声やブザーなどで報知する。これらを一つ又は複数を組み合わせて実現する。
【0096】
制御部3aは、例えばMPU等により構成する。また、第一携帯側送受信部3b並びに第二携帯側送受信部3cは、それぞれ車載用の送受信用RFICにより構成する。そして、第一携帯側送受信部3bは、携帯機4の送受信部4bの受信周波数帯(第一周波数)で無線送信し、送受信部4bの送信周波数(第二周波数)で無線受信する。そして、通信距離が短いので、無線局の一つである微弱無線局で用いられる微弱な電波を用いる。また、第二携帯側送受信部3cは、特定省電力無線局に用いられる周波数帯の電波を使用する。
【0097】
そして、本実施形態では、図4図5に示すような通信遷移で、中継機能を用いたエンジンの遠隔始動を可能としている。(0)携帯中継機3の制御部3aは、操作部3dの押下に伴い、始動信号を出力する。第二携帯側送受信部3cは、この始動信号を車両中継機2に向けて無線送信する。
【0098】
(1)車両中継機2の第二車両側送受信部2cは、携帯中継機3から送信されてきた始動信号を受信する。車両中継機2の制御部2aは、当該始動信号を受信すると、有線通信機能を用いて車両制御装置1にドアノブ接触信号を送信する。本実施形態では、運転席の外側のドアノブに手が触れたことによる静電容量の変化に相当する信号と同様の信号を送信する。その後、所定時間を待って(図5では短く記載しているが、実際は第1実施形態とどうように例えば10秒とするとよい)。その後、図5に示すようにフットブレーキ信号を送信する。図5に示すように、車両中継機2は、以下に示す各データ・信号の中継・送信処理中、フットブレーキ信号をONにした状態を維持する。
【0099】
(3)車両制御装置1の制御部1aは、当該フットブレーキ信号を受信すると、認証情報記憶部1cにアクセスし、記憶された認証情報としてのIDコードを取得し、そのIDコードを含む応答要求信号(LFデータ)を出力する。送受信部1bは、無線送信機能を用いて当該LFデータを送信する。
【0100】
(4)車両中継機2の第一車両側送受信部2bは、当該LFデータを受信する。車両中継機2は、その受信したLFデータに基づく無線LFデータを、第二車両側送受信部2cの送信機能を用いて携帯中継機3に向けて無線送信する。無線LFデータは、LFデータと可逆性のあるデータである。
【0101】
(5)携帯中継機3の第二携帯側送受信部3cは、無線LFデータを受信する。携帯中継機3は、その受信した無線LFデータから元のLFデータを生成し、その生成したLFデータを第一携帯側送受信部3bの送信機能を用いて携帯機4に向けて第一周波数で送信する。
【0102】
(6)携帯中継機3が送信する当該LFデータは、第一周波数で送信され、車両制御装置1の送受信部1bが送信したLFデータと等価のものとなるので、携帯機4の送受信部4bは、当該LFデータを受信する。制御部4aは、受信したLFデータが自己宛のものか否かを判断する。具体的には、LFデータに含まれるIDコードが、認証情報記憶部4cに格納された自己のIDコードと一致するか否かを判断する。そして、IDコードが一致する場合、応答信号であるRFデータ(レスポンスデータ)を送受信部4bの送信機能を用いて送信する。なお、制御部4aは、IDコードが一致しない場合、何も送信しない。
【0103】
(7)携帯中継機3の第一携帯側送受信部3bは、RFデータを受信する。携帯中継機3は、その受信したRFデータに基づく無線RFデータを、第二携帯側送受信部3cの送信機能を用いて送信する。無線RFデータは、LFデータと可逆性のあるデータである。
【0104】
(8),(9)車両中継機2の第二車両側送受信部2cは、無線RFデータを受信する。車両中継機2は、その受信した無線RFデータから元のRFデータを生成し、その生成したRFデータを第一車両側送受信部2bの送信機能を用いて第二周波数で送信する。また、車両中継機2の制御部2aは、第一車両側送受信部2bからのRFデータの送信に先立ち、有線通信機能を用いて車両制御装置1にエンジン始動要求信号を送信する。車両中継機2は、エンジン始動要求信号をONにした状態を維持しつつ、上記のRFデータを無線送信する。
【0105】
車両制御装置1の送受信部1bは、車両中継機2から送られてきたRFデータを受信する。制御部1aは、受信したRFデータが正規の携帯機4からのRFデータ(レスポンスデータ)か否かの認証を行う。そして、認証結果が正規の携帯機4からのRFデータの場合であり、エンジン始動要求信号とフットブレーキ信号がともにONの場合、エンジンを始動する制御を行う。その後、図5に示すように、車両中継機2の制御部2aは、有線通信機能を用いて車両制御装置1にドアロック信号を送信する。これに応じて車両のドアがロックされる。
【0106】
なお、エンジンの始動から一定時間経過すると、制御部1aはエンジンを停止する制御を行う。このエンジンの運転動作の継続により、暖機運転を行ったり、車両に搭載されたエアコンにより車室内の温度を適温にしたりする。
【0107】
なおまた、暖機運転中にエンジンを停止する場合、ユーザは、携帯中継機3の操作部3dを操作する。携帯中継機3は、この操作部3dの操作に伴う動作停止命令を受け付けると、当該動作停止命令を送信する。その送信された動作停止命令は、車両中継機2を経由して車両制御装置1に至る。制御部1aは、動作停止命令を受信すると、運転動作中のエンジンを停止する制御を行う。さらに、制御部1aは、受信した動作命令に対する実行結果を、LFデータと同様に中継・送信し、携帯中継機3に至ると、その結果の通知を行う。
本実施形態のバリエーションは、第1実施形態と同様である。
[その他の実施形態]
【0108】
なお、本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
【0109】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素又は発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正又は分割出願等において権利取得する意思を有する。「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0110】
また、意匠登録出願への変更により、全体意匠又は部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としても良いし、その部材の部分としても良い。全体意匠はもちろんのこと、図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を、権利化する意思を有する。また、装置の筐体の内部のモジュール・部材・部品等についても、図面に表示されているものは、いずれも独立して取引の対象となるものであって、同様に、意匠登録出願への変更を行って権利化を行う意思を有するものである。
【符号の説明】
【0111】
100 純正携帯機
200 エンジン始動スイッチ
300 純正キーフリー制御部
400 スタータモータ
500 ドアロック部
600 ドアノブセンサ
800 携帯機
900 車載器
1 車両制御装置
1a 制御部
1b 送受信部
1c 認証情報記憶部
2 車両中継機
2a 制御部
2b 第一車両側送受信部
2c 第二車両側送受信部
2d パラメータ記憶部
2e 報知部
3 携帯中継機
3a 制御部
3b 第一携帯側送受信部
3c 第二携帯側送受信部
3d 操作部
3e 報知部
3f パラメータ記憶部
3g 設定スイッチ
3h 正常LFデータ情報記憶部
4 携帯機
4a 制御部
4b 送受信部
4c 認証情報記憶部

図1
図2
図3
図4
図5