(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112842
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】MCL1タンパク質を阻害する化合物を投与するための製剤及び投与量
(51)【国際特許分類】
A61K 31/395 20060101AFI20240814BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240814BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20240814BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240814BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240814BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
A61K31/395
A61K9/08
A61K47/40
A61K47/04
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024076328
(22)【出願日】2024-05-09
(62)【分割の表示】P 2022505615の分割
【原出願日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】62/880,383
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】19208217.0
(32)【優先日】2019-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケリー,ロン・シー
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ,マイケル・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ラ,スティーブダット・ケイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】血液学的悪性腫瘍を含む癌を有する患者において治療するための医薬製剤を提供する。
【解決手段】式Iの化合物の製剤は、例えば、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫及び非ホジキンリンパ腫等の血液学的悪性腫瘍を含む癌を治療する方法において有用である用量及び投与計画と同様に提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬製剤であって、前記製剤は:
a)式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの前記化合物は、下記の構造:
【化1】
を有する式Iの前記化合物若しくはその前記塩;
b)シクロデキストリン化合物;
c)緩衝剤;及び
d)水を含み、
前記製剤中の式Iの前記化合物若しくはその前記塩の濃度は、15mg/mL~30mg/mLの範囲に及び、前記製剤のpHは、8.7~9.9の範囲に及ぶ医薬製剤。
【請求項2】
前記緩衝剤は、グリシンである、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記シクロデキストリン化合物は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである、請求項1又は請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記製剤の前記pHは、8.8~9.8である、請求項1~3の何れか一項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記pHは、8.9~9.5に及ぶ、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記製剤の前記pHは、8.9~9.2に及ぶ、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記製剤の前記pHは、9である、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記製剤中の式Iの前記化合物若しくはその前記塩の前記濃度は、20~30mg/mLの範囲に及ぶ、請求項1~7の何れか一項に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記製剤中の式Iの前記化合物若しくはその前記塩の前記濃度は、22~28mg/mLの範囲に及ぶ、請求項8に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記製剤中の式Iの前記化合物若しくはその前記塩の前記濃度は、24~26mg/mLの範囲に及ぶ、請求項8に記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記製剤中の式Iの前記化合物若しくはその前記塩の前記濃度は、25mg/mLである、請求項8に記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記製剤中の前記シクロデキストリン化合物の量は、7.5~13重量%の範囲に及ぶ、請求項1~11の何れか一項に記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記製剤中の前記シクロデキストリン化合物の前記量は、8~12重量%に及ぶ、請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記製剤中の前記シクロデキストリン化合物の前記量は、9~11重量%の範囲に及ぶ、請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項15】
前記製剤中の前記シクロデキストリン化合物の前記量は、10重量%である、請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項16】
前記製剤はグリシンを用いて緩衝されており、前記製剤を緩衝するために使用される前記緩衝剤は、80mM~120mMの範囲に及ぶ濃度でグリシンを含む、請求項1~15の何れか一項に記載の医薬製剤。
【請求項17】
前記製剤はグリシンを用いて緩衝されており、前記製剤を緩衝するために使用される前記緩衝剤は、90mM~110mMの範囲に及ぶ濃度でグリシンを含む、請求項16に記載の医薬製剤。
【請求項18】
前記製剤はグリシンを用いて緩衝されており、前記製剤を緩衝するために使用される前記緩衝剤は、グリシンを95mM~105mMの範囲に及ぶ濃度で含む、請求項16に記載の医薬製剤。
【請求項19】
前記製剤はグリシンを用いて緩衝されており、前記製剤を緩衝するために使用される前記緩衝剤は、グリシンを100mMの濃度で含む、請求項16に記載の医薬製剤。
【請求項20】
前記製剤の容積は、5mL~25mLの範囲に及ぶ、請求項1~19の何れか一項に記載の医薬製剤。
【請求項21】
前記製剤の前記容積は、8mL~20mLの範囲に及ぶ、請求項20に記載の医薬製剤。
【請求項22】
前記製剤の前記容積は、9mL~15mLの範囲に及ぶ、請求項20に記載の医薬製剤。
【請求項23】
前記製剤の前記容積は、10mLである、請求項20に記載の医薬製剤。
【請求項24】
前記製剤の前記容積は、14mL~15mLの範囲に及ぶ、請求項20に記載の医薬製剤。
【請求項25】
前記製剤の前記容積は、14.4mLである、請求項20に記載の医薬製剤。
【請求項26】
前記製剤は、20mg/mL~30mg/mLの式Iの前記化合物及び8重量%~12重量%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含み、90mM~110mMのグリシンを用いて8.8~9.2のpHへ緩衝されている水性製剤である、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項27】
前記製剤は、25mg/mLの式Iの前記化合物、及び100mMのグリシンを用いてpH9へ緩衝されている10重量%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含む水性製剤である、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項28】
前記製剤の前記量は、9mL~15mLの範囲に及ぶ、請求項26又は請求項27に記載の医薬製剤。
【請求項29】
前記製剤の前記量は、10mLである、請求項26又は請求項27に記載の医薬製剤。
【請求項30】
前記製剤の前記量は、14.4mLである、請求項26又は請求項27に記載の医薬製剤。
【請求項31】
前記製剤は、バイアル内に含有されている、請求項1~30の何れか一項に記載の医薬製剤。
【請求項32】
前記バイアルは、20mLのホウケイ酸ガラスバイアル又は20mLのアルミノケイ酸ガラスバイアルであり、前記バイアルは、栓及びフリップオフカバー付きのアルミニウムシールを備える、請求項31に記載の医薬製剤。
【請求項33】
治療薬の水溶液であって、前記溶液は:
a)式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの前記化合物は、下記の構造:
【化2】
を有する式Iの前記化合物若しくはその前記塩;
b)シクロデキストリン化合物;
c)緩衝剤;
d)塩化ナトリウム;及び
e)水を含み、
溶液中の式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩の量は、25mg~400mgの範囲に及ぶ水溶液。
【請求項34】
前記緩衝剤は、グリシンである、請求項33に記載の水溶液。
【請求項35】
前記シクロデキストリン化合物は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである、請求項33又は請求項34に記載の水溶液。
【請求項36】
前記溶液中の式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩の前記量は、200mg~360mgの範囲に及ぶ、請求項33~35の何れか一項に記載の水溶液。
【請求項37】
前記溶液は、IVバッグ内に含有される、請求項33~36の何れか一項に記載の水溶液。
【請求項38】
患者に静脈内注入するために好適な水溶液を作成するための方法であって:請求項1~32の何れか一項に記載の医薬製剤を生理食塩水と混ぜ合わせる工程を含む方法。
【請求項39】
前記生理食塩水は、前記医薬製剤を前記生理食塩水と混ぜ合わせる工程の前に、8g/L~10g/Lの範囲に及ぶ量で塩化ナトリウムを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記生理食塩水は、前記医薬製剤を前記生理食塩水と混ぜ合わせる工程の前に、9g/Lの量で塩化ナトリウムを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
がん患者を治療する方法であって、前記方法は:前記患者に、式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の塩を含む水溶液を投与する工程を含み、式Iの前記化合物は、下記の構造:
【化3】
を有し、
及び更に、式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩は、25mg/m
2~960mg/m
2の範囲に及ぶ量で存在する方法。
【請求項42】
前記癌は、血液学的悪性腫瘍である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病である、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記患者は、再発性若しくは難治性急性骨髄性白血病を有する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記血液学的悪性腫瘍は、多発性骨髄腫である、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記患者は、再発性若しくは難治性多発性骨髄腫を有する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫である、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記がんは、乳癌、結腸直腸癌、皮膚癌、黒色腫、卵巣癌、腎癌、肺癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫又は急性骨髄性白血病から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩は、50mg/m2~250mg/m2の範囲に及ぶ量で存在する、請求項41に記載の方法。
【請求項51】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩は、50mg/m2~200mg/m2の範囲に及ぶ量で存在する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩は、60mg/m2~180mg/m2の範囲に及ぶ量で存在する、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩は、60mg/m2の量で存在する、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩は、120mg/m2の量で存在する、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩は、180mg/m2の量で存在する、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
前記方法は、式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む水溶液を前記患者に少なくとも週2回投与する工程を更に含む、請求項41~55の何れか一項に記載の方法。
【請求項57】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は:
a)シクロデキストリン化合物;
b)緩衝剤;及び
c)塩化ナトリウム、を更に含む、請求項41~55の何れか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記シクロデキストリン化合物は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記緩衝剤は、グリシンである、請求項57又は請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記方法は、式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む水溶液を前記患者に少なくとも1~6週間に渡り週1回又は2回投与する工程を含む、請求項41~56の何れか一項に記載の方法。
【請求項61】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は、前記患者に少なくとも6週間に渡り投与される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は、前記患者に少なくとも5週間に渡り投与される、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は、前記患者に少なくとも4週間に渡り投与される、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は、前記患者に少なくとも3週間に渡り投与される、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は、前記患者に少なくとも2週間に渡り投与される、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液を前記患者に1日1回又は2回投与する工程を更に含む、請求項41~65の何れか一項に記載の方法。
【請求項67】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は、少なくとも連続2日間投与される、請求項41~66の何れか一項に記載の方法。
【請求項68】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は、静脈内投与される、請求項41~67の何れか一項に記載の方法。
【請求項69】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は、少なくとも2時間に渡り静脈内投与される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記方法は、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含む、請求項41~69の何れか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記方法は、第2治療薬としてカルフィルゾミブを投与する工程を更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項72】
治療薬の水溶液であって、前記溶液は:式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの前記化合物は、下記の構造:
【化4】
を有する式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含み、
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩は、25mg/m
2~960mg/m
2の範囲に及ぶ量で存在する水溶液。
【請求項73】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩は、25mg/m2~250mg/m2の範囲に及ぶ量で存在する、請求項72に記載の水溶液。
【請求項74】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩は、50mg/m2~200mg/m2の範囲に及ぶ量で存在する、請求項72に記載の水溶液。
【請求項75】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩は、60mg/m2~180mg/m2の範囲に及ぶ用量で存在する、請求項72に記載の水溶液。
【請求項76】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩は、60mg/m2の用量で存在する、請求項72に記載の水溶液。
【請求項77】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩は、120mg/m2の用量で存在する、請求項72に記載の水溶液。
【請求項78】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩は、180mg/m2の用量で存在する、請求項72に記載の水溶液。
【請求項79】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は:
a)シクロデキストリン化合物;
b)緩衝剤;及び
c)塩化ナトリウム、を更に含む、請求項72~78の何れか一項に記載の水溶液。
【請求項80】
前記緩衝剤は、グリシンである、請求項79に記載の水溶液。
【請求項81】
前記シクロデキストリン化合物は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである、請求項79又は請求項80に記載の水溶液。
【請求項82】
患者におけるがんを治療する方法において使用するための水溶液であって、前記水溶液は、式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の塩を含み、式Iの前記化合物は、下記の構造:
【化5】
を有し、
前記方法は、式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を25mg/m
2~960mg/m
2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含む、水溶液。
【請求項83】
前記癌は、血液学的悪性腫瘍である、請求項82に記載の使用のための水溶液。
【請求項84】
前記血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫である、請求項83に記載の使用のための水溶液。
【請求項85】
前記血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病である、請求項83に記載の使用のための水溶液。
【請求項86】
前記患者は、再発性若しくは難治性急性骨髄性白血病を有する、請求項85に記載の使用のための水溶液。
【請求項87】
前記血液学的悪性腫瘍は、多発性骨髄腫である、請求項83に記載の使用のための水溶液。
【請求項88】
前記患者は、再発性若しくは難治性多発性骨髄腫を有する、請求項87に記載の使用のための水溶液。
【請求項89】
前記血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫である、請求項83に記載の使用のための水溶液。
【請求項90】
前記がんは、乳癌、結腸直腸癌、皮膚癌、黒色腫、卵巣癌、腎癌、肺癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫又は急性骨髄性白血病から選択される、請求項82に記載の使用のための水溶液。
【請求項91】
前記方法は、式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を50mg/m2~250mg/m2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含む、請求項82~90の何れか一項に記載の使用のための水溶液。
【請求項92】
前記方法は、式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を50mg/m2~200mg/m2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含む、請求項91に記載の使用のための水溶液。
【請求項93】
前記方法は、式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を60mg/m2~180mg/m2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含む、請求項91に記載の使用のための水溶液。
【請求項94】
前記方法は、60mg/m2の量で式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を投与する工程を含む、請求項91に記載の使用のための水溶液。
【請求項95】
前記方法は、式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を120mg/m2の量で投与する工程を含む、請求項91に記載の使用のための水溶液。
【請求項96】
前記方法は、180mg/m2の量で式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を投与する工程を含む、請求項91に記載の使用のための水溶液。
【請求項97】
前記方法は、式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液を前記患者に少なくとも週2回投与する工程を含む、請求項82~96の何れか一項に記載の使用のための水溶液。
【請求項98】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は:
a)シクロデキストリン化合物;
b)緩衝剤;及び
c)塩化ナトリウム、を更に含む、請求項82~96の何れか一項に記載の使用のための水溶液。
【請求項99】
前記シクロデキストリン化合物は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである、請求項98に記載の使用のための水溶液。
【請求項100】
前記緩衝剤は、グリシンである、請求項98又は請求項99に記載の使用のための水溶液。
【請求項101】
前記方法は、式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液を前記患者に少なくとも1週間に渡り週1回又は2回投与する工程を含む、請求項82~96の何れか一項に記載の使用のための水溶液。
【請求項102】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は、前記患者に少なくとも6週間に渡り投与される、請求項101に記載の使用のための水溶液。
【請求項103】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は、前記患者に少なくとも5週間に渡り投与される、請求項101に記載の使用のための水溶液。
【請求項104】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は、前記患者に少なくとも4週間に渡り投与される、請求項101に記載の使用のための水溶液。
【請求項105】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は、前記患者に少なくとも3週間に渡り投与される、請求項101に記載の使用のための水溶液。
【請求項106】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は、前記患者に少なくとも2週間に渡り投与される、請求項101に記載の使用のための水溶液。
【請求項107】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液を前記患者に1日に1回又は2回投与する工程を更に含む、請求項82~106の何れか一項に記載の使用のための水溶液。
【請求項108】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は、少なくとも連続2日間投与される、請求項82~106の何れか一項に記載の使用のための水溶液。
【請求項109】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は、静脈内投与される、請求項82~108の何れか一項に記載の使用のための水溶液。
【請求項110】
式Iの前記化合物若しくは式Iの前記化合物の前記塩を含む前記水溶液は、少なくとも2時間に渡り静脈内投与される、請求項109に記載の使用のための水溶液。
【請求項111】
前記方法は、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含む、請求項82~110の何れか一項に記載の使用のための水溶液。
【請求項112】
前記方法は、第2治療薬としてカルフィルゾミブを投与する工程を更に含む、請求項87に記載の使用のための水溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式Iの化合物及び/又はそれらの塩を含む新規な製剤、並びに急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫及び非ホジキンリンパ腫等の血液学的悪性腫瘍を含む癌をそのような悪性腫瘍を有する患者において治療する方法に関する。本発明は、そのような疾患を治療するための投与量及び投与スケジュールに更に関する。
【背景技術】
【0002】
プログラム細胞死若しくはアポトーシスは、B細胞リンパ腫/白血病2(BCL2)タンパク質ファミリーを形成するプロアポトーシスサブグループと抗アポトーシスサブグループとの間のタンパク質-タンパク質相互作用の複合ネットワークによって調節される(Czabotar et al,Nat’l Rev Mol Cell Biol.15:49-63(2014);Strasser et al,EMBO J.30:2667-3683(2011);Kozopas et al,Proc Nat’l Acad Sci USA 90:3516-3520(1993))。骨髄細胞白血病1(MCL1)は、このファミリーの抗アポトーシスメンバーの一員であり、細胞生存を促進する。対照的に、ミトコンドリアポア形成因子BCL2同種アンタゴニスト/キラー(BAK)、BCL2結合X(BAX)等のプロアポトーシスファミリーメンバー、又は細胞死(BIM)のBCL2相互作用メディエーター及びアポトーシスのp53上方制御モデュレーター(PUMA)等のBCL2ホモロジー3(BH3)-onlyタンパク質ファミリーメンバーは、アポトーシスを誘導するための極めて重要なエフェクターである。アポトーシス刺激が誘導されると、プロアポトーシスBH3-onlyタンパク質は、MCL1及び他の生存促進性BCL2ファミリーメンバーに結合し、MCL1とプロアポトーシスエフェクタータンパク質であるBAK及びBAXとの間の相互作用を破壊させる。この破壊は、BAK及びBAXの活性化及びオリゴマー化;ミトコンドリアの他の外膜の透過化(MOMP);チトクロムCの遊離;カスパーゼ活性化;及び細胞死をもたらす(Czabotar et al(2014);Strasser et al,(2011))。
【0003】
骨髄細胞白血病1は、ある範囲のヒト及びマウス組織中で発現する。マウスでは、例えば、条件付き遺伝子ノックアウト試験は、MCL1がリンパ球、造血幹細胞、好中球及び心筋細胞を含む多数の細胞型が生存するために重要であることを証明している(Thomas et al,Genes Dev 27:1365-1377(2014);Wang et al,Genes Dev 27:1351-1364(2013);Strasser et al,(2011))。MCL1の過剰発現は、更に多数の固形癌及び造血癌の発生に関係付けられてきた(Ashkenazi et al.Nature Rev 15:273-284(2017);Merino et al,Sci Transl Med 9:1-10(2017);Kotschy et al,Nature 538:477-482(2016);Glaser et al,Genes Dev.26:120-125(2012))。
【0004】
式Iの化合物及び式Iの化合物の塩は、MCL1タンパク質を阻害する化合物である。式Iの化合物の構造は、下記に示す。
【化1】
式Iの化合物及びそれらの塩並びに化合物を合成するための方法は、国際公開第2016/033486号パンフレット及び米国特許第9,562,061号明細書に記載されている。これらの参考文献は、あたかも詳細に明記されているかのように、参照によりそれらの全体として本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016/033486号パンフレット
【特許文献2】米国特許第9,562,061号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Czabotar et al,Nat’l Rev Mol Cell Biol.15:49-63(2014)
【非特許文献2】Strasser et al,EMBO J.30:2667-3683(2011)
【非特許文献3】Kozopas et al,Proc Nat’l Acad Sci USA 90:3516-3520(1993)
【非特許文献4】Thomas et al,Genes Dev 27:1365-1377(2014)
【非特許文献5】Wang et al,Genes Dev 27:1351-1364(2013)
【非特許文献6】Ashkenazi et al.Nature Rev 15:273-284(2017)
【非特許文献7】Merino et al,Sci Transl Med 9:1-10(2017)
【非特許文献8】Kotschy et al,Nature 538:477-482(2016)
【非特許文献9】Glaser et al,Genes Dev.26:120-125(2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
式Iの化合物及び/又は式Iの化合物の塩等のMCL1タンパク質を阻害する化合物を含む好適な製剤、用量及び投与スケジュールに対する必要が存在する。更に、癌並びに数ある中で急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫(MM)及び特に非ホジキンリンパ腫(NHL)等の血液学的悪性腫瘍を治療するために有用な製剤及びそのような製剤の量が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本発明は、医薬製剤であって、製剤は:
a)式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの化合物が、下記の構造:
【化2】
を有する式Iの化合物若しくはその塩;
b)シクロデキストリン化合物;
c)緩衝剤;及び
d)水を含み、
製剤中の式Iの化合物若しくはその塩の濃度は、15mg/mL~30mg/mLの範囲に及び、製剤のpHは、8.7~9.9の範囲に及ぶ医薬製剤を提供する。
【0009】
別の態様では、本発明は、治療薬の水溶液であって、溶液は:
a)式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの化合物が、下記の構造:
【化3】
を有する式Iの化合物若しくはその塩;
b)シクロデキストリン化合物;
c)緩衝剤;
d)塩化ナトリウム;及び
e)水を含み、
溶液中の式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩の量は、25mg~400mgの範囲に及ぶ、治療薬の水溶液を提供する。
【0010】
更に別の態様では、本発明は、患者に静脈内注入するために好適な水溶液を作成するための方法であって:実施形態1~36の何れか一種の医薬製剤を生理食塩水と結び付ける工程を含む方法を提供する。
【0011】
更に別の態様では、本発明は、癌患者を治療する方法であって、方法は:患者に、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液を投与する工程を含み、式Iの化合物が、下記の構造:
【化4】
を有し、
及び更に、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩は、25mg/m
2~960mg/m
2の範囲に及ぶ量で存在する方法を提供する。
【0012】
更に別の態様では、本発明は、治療薬の水溶液であって、溶液は:式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの化合物が、下記の構造:
【化5】
を有する式Iの化合物若しくはその塩を含み、
式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩は、25mg/m
2~960mg/m
2の範囲に及ぶ量で存在する水溶液を提供する。
【0013】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、当業者には以下の説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】雌性胸腺欠損ヌードマウスに埋植されたヒトHEK293M MCL1(1-327)-Luc/BAK-Luc細胞を含有するMatrigel(商標)プラグ内のMCL1-BAK相互作用のAMG176による破壊を示すグラフである。
【
図2】AMG176を用いて処置されたOPM2-Luc腫瘍異種移植片におけるBAK活性化を示すグラフである。
【
図3】AMG176を用いて処置されたOPM2-Luc腫瘍異種移植片における切断型カスパーゼ3の誘導を示すグラフである。
【
図4】AMG176の1日1回投与を受けているOPM2-Luc異種移植片における腫瘍増殖阻害を示すグラフである。
【
図5】AMG176の間欠的投与を受けているOPM2-Luc異種移植片における腫瘍増殖阻害を示すグラフである。
【
図6】雌性胸腺欠損ヌードマウスにおける腫瘍サイズへのAMG176処置の作用を示すグラフである。
【
図7】NOD/SCID IL2rg(NSG)マウスにおける全身バイオルミネセンスイメージング法によって測定した腫瘍組織量へのAMG176処置が及ぼす作用を示す図である。
【
図8】NOD/SCID IL2rg(NSG)マウスにおける全身バイオルミネセンスイメージング法によって測定した、腫瘍組織量にAMG176+カルフィルゾミブの組み合わせ処置の作用を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲に使用される成分の量、反応条件等を表す全ての数字は、全ての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解すべきである。従って、そうではない旨の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメーターは、それらの各試験測定値において判明する標準偏差に応じて変動し得る近似値である。典型的には、そのような数値量は、提供された数値から5%超逸脱することはないであろう。
【0016】
用語「含む(comprising)」は、オープンエンドであること、即ち、全てを包含するが限定するものではないことを意味する。この用語は、本明細書において「有する(having)」又は「含む(including)」と同意語として使用され得る。含む(comprising)は、指示又は列挙されたあらゆる構成成分又は要素を含みながら、その他の構成成分又は要素を除外しないことが意図される。例えば、組成物がA及びBを含むと述べられる場合、組成物は、その中にA及びBを有するが、C又はC、D、E及び他の更なる構成成分でさえも含み得ることを意味する。
【0017】
本発明において使用するための化合物としては、式Iの化合物が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、薬学的に許容される塩もまた使用され得る。用語「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容される、且つ親化合物の所望の薬理学的活性を有する化合物の塩を指す。そのような塩としては、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸と共に形成される;若しくは酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸等の有機酸と共に形成される酸付加塩;又は(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン若しくはアルミニウムイオンにより置き換えられたとき;若しくはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン等の有機塩基と配位させたときに形成される塩が挙げられる。
【0018】
緩衝剤は、弱酸及びその塩又は弱塩基及びその塩の何れかを含有する溶液を作成するために使用できる溶液若しくは物質である。緩衝液は、pHの変化に耐性である。典型的には、緩衝剤は、弱酸及びその共役塩基又は弱塩基及びその共役酸何れかの水溶液である。緩衝剤は、典型的にはそれらが少量の追加の酸若しくは塩基を中和できるように、溶液中の安定性pHを維持するために使用される。所定の緩衝液に対しては、pHが変化するであろう前に中和できる作業pH範囲及び一定量の酸又は塩基が存在する。そのpHを変化させる前に緩衝剤に加えることができる酸又は塩基の量は、その緩衝能力と呼ばれる。一部の緩衝剤の例としては、クエン酸、酢酸、KH2PO4、ホウ酸塩及びグリシンが挙げられるが、それらに限定されない。グリシンは、本発明の実施形態における好ましい緩衝剤である。約9の安定化pHを提供するために好適な任意の安全で非毒性、非反応性の緩衝剤は、本発明に従って使用され得る。
【0019】
語句「シクロデキストリン」は、α-1,4-グリコシド結合によって結合されたグルコースサブユニットの大環状環を含む環状オリゴ糖を含む化合物ファミリーのメンバーを指す。シクロデキストリンは、典型的にはデンプンから酵素的変換によって生成される。それらは、食品、医薬品、薬物送達及び化学産業並びに農業及び環境工学において使用される。シクロデキストリンは、5個以上の結合α-D-グルコピラノシド単位を含む。典型的には、シクロデキストリンは、6~8個のグルコースモノマーを含有する。しかしながら、32個以上の1,4-アンヒドログルコピラノシド単位を継続しているシクロデキストリンが知られている。幾つかの実施形態では、シクロデキストリン化合物は、Sigma Aldrich社(Saint Louis,Missouri)を含む多数の供給業者から市販で入手できるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである。一般に、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を溶解させる任意のシクロデキストリンは、非毒性且つヒトに投与するために好適であることを前提に、本発明に従って使用され得る。天然シクロデキストリンの溶解度は、不良になる傾向がある。しかしながら、2、3及び6つのヒドロキシル部位での化学的置換は、溶解度を大きく増加させる。
【0020】
好ましくは、シクロデキストリン化合物は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである。
【0021】
下記では、本開示の実施形態について詳細に言及する。本開示の特定の実施形態を記載するが、本開示の実施形態がそれらの記載された実施形態に限定されることを意図するものではないことは理解されるであろう。反対に、本開示の実施形態に対する言及は、添付の特許請求の範囲によって定義される通りの本開示の実施形態の範囲内に包含され得るような代替形態、修正形態及び均等物を包含することが意図されている。
【0022】
実施形態
以下に列挙した実施形態は、便宜上、複数の実施形態を参照する際に、参照を容易にして明確にするために、番号を付与した形で示した。本開示は、それらの実施形態が相互に組み合わされて明示的には開示されていない場合、又は相互に明示的に結合されている場合でさえ、技術的に互換性のある実施形態(下記に示す実施形態を含む)のありとあらゆる組み合わせの開示を構成する。
【0023】
第1の態様及び実施形態では、本発明は、医薬製剤であって、製剤は:
a)式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの化合物が、下記の構造:
【化6】
を有する式Iの化合物若しくはその塩;
b)シクロデキストリン化合物;
c)緩衝剤;及び
d)水を含み、
製剤中の式Iの化合物若しくはその塩の濃度は、15mg/mL~30mg/mLの範囲に及び、製剤のpHは、8.7~9.9の範囲に及ぶ医薬製剤を提供する。
2.緩衝剤は、グリシンである、実施形態1の医薬製剤。
3.シクロデキストリン化合物は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである、実施形態1又は実施形態2の医薬製剤。
4.製剤のpHは、8.8~9.8である、実施形態1~3の何れか一つの医薬製剤。
5.pHは、8.9~9.5の範囲に及ぶ、実施形態4の医薬製剤。
6.製剤のpHは、8.9~9.2の範囲に及ぶ、実施形態4の医薬製剤。
7.製剤のpHは、9である、請求項4の医薬製剤。
8.製剤中の式Iの化合物若しくはその塩の濃度は、20~30mg/mLの範囲に及ぶ、実施形態1~7の何れか一つの医薬製剤。
9.製剤中の式Iの化合物若しくはその塩の濃度は、22~28mg/mLの範囲に及ぶ、実施形態8の医薬製剤。
10.製剤中の式Iの化合物若しくはその塩の濃度は、24~26mg/mLの範囲に及ぶ、実施形態8の医薬製剤。
11.製剤中の式Iの化合物若しくはその塩の濃度は、25mg/mLである、実施形態8の医薬製剤。
12.製剤中のシクロデキストリン化合物の量は、7.5~13重量%の範囲に及ぶ、実施形態1~11の何れか一つの医薬製剤。
13.製剤中のシクロデキストリン化合物の量は、8~12重量%の範囲に及ぶ、実施形態12の医薬製剤。
14.製剤中のシクロデキストリン化合物の量は、9~11重量%の範囲に及ぶ、実施形態12の医薬製剤。
15.製剤中のシクロデキストリン化合物の量は、10重量%である、実施形態12の医薬製剤。
16.製剤はグリシンを用いて緩衝されており、製剤を緩衝するために使用される緩衝剤は、80mM~120mMの範囲に及ぶ濃度でグリシンを含む、実施形態1~15の何れか一つの医薬製剤。
17.製剤はグリシンを用いて緩衝されており、製剤を緩衝するために使用される緩衝剤は、90mM~110mMの範囲に及ぶ濃度でグリシンを含む、実施形態16の医薬製剤。
18.製剤はグリシンを用いて緩衝されており、製剤を緩衝するために使用される緩衝剤は、95mM~105mMの範囲に及ぶ濃度でグリシンを含む、実施形態16の医薬製剤。
19.製剤はグリシンを用いて緩衝されており、製剤を緩衝するために使用される緩衝剤は、100mMの濃度でグリシンを含む、実施形態16の医薬製剤。
20.製剤の容積は、5mL~25mLの範囲に及ぶ、実施形態1~19の何れか一つの医薬製剤。
21.製剤の容積は、8mL~20mLの範囲に及ぶ、実施形態20の医薬製剤。
22.製剤の容積は、9mL~15mLの範囲に及ぶ、実施形態20の医薬製剤。
23.製剤の容積は、10mLである、実施形態20の医薬製剤。
24.製剤の容積は、14mL~15mLの範囲に及ぶ、実施形態20の医薬製剤。
25.製剤の容積は、14.4mLである、実施形態20の医薬製剤。
26.製剤は、20mg/mL~30mg/mLの式Iの化合物及び8重量%~12重量%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含み、90mM~110mMのグリシンを用いて8.8~9.2のpHへ緩衝されている水性製剤である、実施形態1の医薬製剤。
27.製剤は、25mg/mLの式Iの化合物、及び100mMのグリシンを用いてpH9へ緩衝されている10重量%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含む水性製剤である、実施形態1の医薬製剤。
28.製剤の量は、9mL~15mLの範囲に及ぶ、実施形態26又は実施形態27の医薬製剤。
29.製剤の量は、10mLである、実施形態26又は実施形態27の医薬製剤。
30.製剤の量は、14.4mLである、実施形態26又は実施形態27の医薬製剤。
31.製剤は、バイアル内に含有されている、実施形態1~30の何れか一つの医薬製剤。
32.バイアルは、20mLのホウケイ酸ガラスバイアル又は20mLのアルミノケイ酸ガラスバイアルであり、バイアルは、栓及びフリップオフカバー付きのアルミニウムシールを備える、実施形態31の医薬製剤。
【0024】
33.第2態様及び第33実施形態では、本発明は、治療薬の水溶液であって、溶液は:
a)式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの化合物が、下記の構造:
【化7】
を有する式Iの化合物若しくはその塩;
b)シクロデキストリン化合物;
c)緩衝剤;
d)塩化ナトリウム;及び
e)水を含み、
溶液中の式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩の量は、25mg~400mgの範囲に及ぶ水溶液を提供する。
34.緩衝剤は、グリシンである、実施形態33の水溶液。
35.シクロデキストリン化合物は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである、実施形態33又は実施形態34の水溶液。
36.溶液中の式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩の量は、200mg~360mgの範囲に及ぶ、実施形態33~35の何れか一つの水溶液。
37.溶液は、IVバッグ内に含有される、実施形態33~36の何れか一つの水溶液。
【0025】
38.第3態様及び第38実施形態では、本発明は、患者に静脈内注入するために好適な水溶液を作成するための方法であって:実施形態1~32の何れか一つの医薬製剤を生理食塩水と結び付ける工程を含む方法を提供する。幾つかのそのような実施形態では、患者に静脈内注入するために好適な水溶液を作成するための方法は、実施形態1~32の何れか一つの医薬製剤を生理食塩水に移す工程を含む。幾つかのそのような実施形態では、生理食塩水は、IVバッグに含まれている。
39.医薬製剤を生理食塩水と結び付ける前の生理食塩水は、8g/L~10g/Lの範囲に及ぶ量で塩化ナトリウムを含む、実施形態38の方法。
40.医薬製剤を生理食塩水と結び付ける前の生理食塩水は、9g/Lの量で塩化ナトリウムを含む、実施形態38の方法。
【0026】
41.第4態様及び第41実施形態では、本発明は、癌患者を治療する方法であって、方法は:患者に、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液を投与する工程を含み、式Iの化合物が、下記の構造:
【化8】
を有し;
及び更に、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩は、25mg/m
2~960mg/m
2の範囲に及ぶ量で存在する方法。
42.癌は、血液学的悪性腫瘍である、実施形態41の方法。
43.血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫である、実施形態42の方法。
44.血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病である、実施形態42の方法。
45.患者は、再発性若しくは難治性急性骨髄性白血病を有する、実施形態44の方法。
46.血液学的悪性腫瘍は、多発性骨髄腫である、実施形態42の方法。
47.患者は、再発性若しくは難治性多発性骨髄腫を有する、実施形態46の方法。
48.血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫である、実施形態42の方法。
49.癌は、乳癌、結腸直腸癌、皮膚癌、黒色腫、卵巣癌、腎癌、肺癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫又は急性骨髄性白血病から選択される、実施形態41の方法。
50.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩は、50mg/m
2~250mg/m
2の範囲に及ぶ量で存在する、実施形態41の方法。
51.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩は、50mg/m
2~200mg/m
2の範囲に及ぶ量で存在する、実施形態50の方法。
52.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩は、60mg/m
2~180mg/m
2の範囲に及ぶ量で存在する、実施形態50の方法。
53.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩は、60mg/m
2の量で存在する、実施形態50の方法。
54.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩は、120mg/m
2の量で存在する、実施形態50の方法。
55.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩は、180mg/m
2の量で存在する、実施形態50の方法。
56.方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液を患者に少なくとも週2回投与する工程を更に含む、実施形態41~55の何れか一つの方法。
57.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は:
a)シクロデキストリン化合物;
b)緩衝剤;及び
c)塩化ナトリウム、を更に含む、実施形態41~55の何れか一つの方法。
58.シクロデキストリン化合物は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである、実施形態57の方法。
59.緩衝剤は、グリシンである、実施形態57又は実施形態58の方法。
60.方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液を患者に少なくとも1~6週間に渡り、週1回又は2回投与する工程を含む、実施形態41~56の何れか一つの方法。
61.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は、患者に少なくとも6週間に渡り投与される、実施形態60の方法。
62.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は、患者に少なくとも5週間に渡り投与される、実施形態60の方法。
63.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は、患者に少なくとも4週間に渡り投与される、実施形態60の方法。
64.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は、患者に少なくとも3週間に渡り投与される、実施形態60の方法。
65.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は、患者に少なくとも2週間に渡り投与される、実施形態60の方法。
66.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液を患者に1日1回又は2回投与する工程を更に含む、実施形態41~65の何れか一つの方法。
67.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は、少なくとも連続2日間投与される、実施形態41~66の何れか一つの方法。
68.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は、静脈内投与される、実施形態41~67の何れか一つの方法。
69.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は、少なくとも2時間に渡り静脈内投与される、実施形態68の方法。
【0027】
70.第5態様及び第70実施形態では、本発明は、治療薬の水溶液であって、溶液は:式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの化合物が、下記の構造:
【化9】
を有する式Iの化合物若しくはその塩を含み;
式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩は、25mg/m
2~960mg/m
2の範囲に及ぶ量で存在する水溶液を提供する。
71.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩は、25mg/m
2~250mg/m
2の範囲に及ぶ量で存在する、実施形態70の水溶液。
72.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩は、50mg/m
2~200mg/m
2の範囲に及ぶ量で存在する、実施形態70の水溶液。
73.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩は、60mg/m
2~180mg/m
2の範囲に及ぶ用量で存在する、実施形態70の水溶液。
74.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩は、60mg/m
2の用量で存在する、実施形態70の水溶液。
75.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩は、120mg/m
2の用量で存在する、実施形態70の水溶液。
76.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩は、180mg/m
2の用量で存在する、実施形態70の水溶液。
77.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は:
a)シクロデキストリン化合物;
b)緩衝剤;及び
c)塩化ナトリウム、を更に含む、実施形態70~76の何れか一つの水溶液。
78.緩衝剤は、グリシンである、実施形態77の水溶液。
79.シクロデキストリン化合物は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである、実施形態77又は実施形態78の水溶液。
80.患者における癌を治療する方法において使用するための水溶液であって、水溶液は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含み、式Iの化合物が、下記の構造:
【化10】
を有し;
方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を25mg/m
2~960mg/m
2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含む、水溶液。
81.癌は、血液学的悪性腫瘍である、実施形態80による使用のための水溶液。
82.血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫である、実施形態81による使用のための水溶液。
83.血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病である、実施形態81による使用のための水溶液。
84.患者は、再発性若しくは難治性急性骨髄性白血病を有する、実施形態83による使用のための水溶液。
85.血液学的悪性腫瘍は、多発性骨髄腫である、実施形態81による使用のための水溶液。
86.患者は、再発性若しくは難治性多発性骨髄腫を有する、実施形態85による使用のための水溶液。
87.血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫である、実施形態81による使用のための水溶液。
88.癌は、乳癌、結腸直腸癌、皮膚癌、黒色腫、卵巣癌、腎癌、肺癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫又は急性骨髄性白血病から選択される、実施形態80による使用のための水溶液。
89.方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を50mg/m
2~250mg/m
2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含む、実施形態80~88の何れか一つによる使用のための水溶液。
90.方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を50mg/m
2~200mg/m
2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含む、実施形態89による使用のための水溶液。
91.方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を60mg/m
2~180mg/m
2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含む、実施形態89による使用のための水溶液。
92.方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を60mg/m
2の量で投与する工程を含む、実施形態89による使用のための水溶液。
93.方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を120mg/m
2の量で投与する工程を含む、実施形態89による使用のための水溶液。
94.方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を180mg/m
2の量で投与する工程を含む、実施形態89による使用のための水溶液。
95.方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液を患者に少なくとも週2回投与する工程を含む、実施形態80~94の何れか一つによる使用のための方法。
96.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は:
a)シクロデキストリン化合物;
b)緩衝剤;及び
c)塩化ナトリウム、を更に含む、実施形態80~95による使用のための水溶液。
97.シクロデキストリン化合物は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである、実施形態96による使用のための水溶液。
98.緩衝剤は、グリシンである、実施形態96又は実施形態97による使用のための水溶液。
99.方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液を患者に少なくとも1週間に渡り週1回又は2回投与する工程を含む、実施形態80~95の何れか一つによる使用のための水溶液。
100.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は、患者に少なくとも6週間に渡り投与される、実施形態99による使用のための水溶液。
101.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は、患者に少なくとも5週間に渡り投与される、実施形態99による使用のための水溶液。
102.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は、患者に少なくとも4週間に渡り投与される、実施形態99による使用のための水溶液。
103.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は、患者に少なくとも3週間に渡り投与される、実施形態99による使用のための水溶液。
104.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は、患者に少なくとも2週間に渡り投与される、実施形態99による使用のための水溶液。
105.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液を患者に1日に1回又は2回投与する工程を更に含む、実施形態80~104の何れか一つによる使用のための水溶液。
106.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は、少なくとも連続2日間投与される、実施形態80~105の何れか一つによる使用のための水溶液。
107.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は、静脈内投与される、実施形態80~106の何れか一つによる使用のための水溶液。
108.式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液は、少なくとも2時間に渡り静脈内投与される、実施形態107による使用のための水溶液。
【0028】
幾つかの実施形態では、式Iの化合物若しくはその塩は、少なくとも一種の第2治療薬と一緒に投与され得る。幾つかのそのような実施形態では、第2治療薬は、式Iの化合物若しくはその塩の投与の前に投与される。幾つかのそのような実施形態では、第2治療薬は、式Iの化合物若しくはその塩が患者に投与された後に投与される。更に他のそのような実施形態では、第2治療薬は、式Iの化合物若しくはその塩が患者に投与されるのと同時に投与される。使用され得る様々な第2治療薬としては、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0029】
式Iの化合物及び/又はその化合物の塩を含む本明細書に提供した水性製剤は、多発性骨髄腫を治療するために使用され得る。典型的には、連続2日間に渡る1日1回及びその後の5日間の無治療期間(QD2)に渡り多発性骨髄腫を治療するための用量としては、例えば、30、40、50、60、120、180、240、360、480、600、720、840及び960mg/m2(IV;QD2)のQD2用量を含む30~960mg/m2の範囲に及ぶ用量が挙げられる。典型的には、多発性骨髄腫を週1回(QW)治療するための用量としては、例えば、180、240、360、480、600、720、840及び960mg/m2のQW用量を含む180~960mg/m2の範囲に及ぶ用量が挙げられる。製剤は、典型的には、静脈内投与される。
【0030】
式Iの化合物及び/又はその化合物の塩を含む本明細書に提供した水性製剤は、更に急性骨髄性白血病を治療するために使用され得る。典型的には、連続2日間に渡る1日1回及びその後の5日間の無治療期間(QD2)に渡り急性骨髄性白血病を治療するための用量としては、例えば、60、120、180、240、360、480、600、720、840及び960mg/m2(IV;QD2)のQD2用量を含む30~960mg/m2の範囲に及ぶ用量が挙げられる。典型的には、急性骨髄性白血病を週1回(QW)治療するための用量としては、例えば、180、240、360、480、600、720、840及び960mg/m2のQW用量を含む180~960mg/m2の範囲に及ぶ用量が挙げられる。製剤は、典型的には、静脈内投与される。
【0031】
本発明は、式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの化合物が、治療方法において使用するために下記の構造:
【化11】
を有する式Iの化合物若しくはその塩を提供する。好ましくは、方法は、溶液を静脈内投与する工程を含む。方法は、任意選択的に、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含み得る。任意選択的に、方法は、実施形態1~30の何れか一つの医薬製剤又は実施形態33~36の何れか一つの水溶液を投与する工程を含み得る。
【0032】
本発明は、式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの化合物が、多発性骨髄腫を治療する方法において使用するために下記の構造:
【化12】
を有する式Iの化合物若しくはその塩を提供する。好ましくは、方法は、溶液を静脈内投与する工程を含む。方法は、任意選択的に、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含み得る。任意選択的に、方法は、実施形態1~30の何れか一つの医薬製剤又は実施形態33~36の何れか一つの水溶液を投与する工程を含み得る。
【0033】
本発明は、式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの化合物が、急性骨髄性白血病を治療する方法において使用するために下記の構造:
【化13】
を有する式Iの化合物若しくはその塩を提供する。好ましくは、方法は、溶液を静脈内投与する工程を含む。方法は、任意選択的に、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含み得る。任意選択的に、方法は、実施形態1~30の何れか一つの医薬製剤又は実施形態33~36の何れか一つの水溶液を投与する工程を含み得る。
【0034】
本発明は、式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの化合物が、非ホジキンリンパ腫を治療する方法において使用するために下記の構造:
【化14】
を有する式Iの化合物若しくはその塩を提供する。好ましくは、方法は、溶液を静脈内投与する工程を含む。方法は、任意選択的に、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含み得る。任意選択的に、方法は、実施形態1~30の何れか一つの医薬製剤又は実施形態33~36の何れか一つの水溶液を投与する工程を含み得る。
【0035】
本発明は、治療薬の水溶液であって、溶液は:
a)式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの化合物が、下記の構造:
【化15】
を有する式Iの化合物若しくはその塩;
b)シクロデキストリン化合物;
c)緩衝剤;
d)塩化ナトリウム;及び
e)水を含み、
溶液中の式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩の量は、25mg~400mgの範囲に及び;溶液中の式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩の濃度は、15mg/mL~30mg/mLの範囲に及び、製剤のpHは、8.7~9.9の範囲に及ぶ治療薬の水溶液を提供する。本発明は、患者における癌を治療する方法において使用するための水溶液であって、好ましくは、癌が、血液学的悪性腫瘍、最も好ましくは、癌が、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫及び非ホジキンリンパ腫から成るリストから選択される前記水溶液を更に提供する。好ましくは、方法は、前記水溶液を静脈内投与する工程を含み、及び好ましくは、方法は、例えば、静脈内投与の前に生理食塩水を含有するバッグ内で溶液を希釈する工程を含む。方法は、任意選択的に、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含み得る。
【0036】
本発明は、治療方法において使用するための治療薬の水溶液であって、溶液は:
a)式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの化合物が、下記の構造:
【化16】
を有する式Iの化合物若しくはその塩;
b)シクロデキストリン化合物;
c)緩衝剤;
d)塩化ナトリウム;及び
e)水を含み、
溶液中の式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩の量は、25mg~400mgの範囲に及ぶ、治療薬の水溶液を提供する。好ましくは、方法は、その溶液を静脈内投与する工程を含み、及び好ましくは、方法は、例えば、静脈内投与の前に、生理食塩水を含有するバッグ内でその溶液を希釈する工程を含む。方法は、任意選択的に、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含み得る。
【0037】
本発明は、治療方法において使用するための医薬製剤であって、製剤は:
a)式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの化合物が、下記の構造:
【化17】
を有する式Iの化合物若しくはその塩;
b)シクロデキストリン化合物;
c)緩衝剤;及び
d)水を含み、
製剤中の式Iの化合物若しくはその塩の濃度は、15mg/mL~30mg/mLの範囲に及び、製剤のpHは、8.7~9.9の範囲に及ぶ医薬製剤を提供する。好ましくは、方法は、製剤を静脈内投与する工程を含み、及び好ましくは、方法は、例えば、静脈内投与の前に生理食塩水を含有するバッグ内で製剤を希釈する工程を含む。方法は、任意選択的に、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含み得る。
【0038】
本発明は、患者における癌を治療する方法において使用するための水溶液であって、水溶液は:
a)式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩であって、式Iの化合物が、下記の構造:
【化18】
を有する式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩;
b)シクロデキストリン化合物;
c)緩衝剤;
d)塩化ナトリウム;及び
e)水を含み;
溶液中の式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩の量は、25mg~400mgの範囲に及ぶ水溶液を提供する。好ましくは、癌は、血液学的悪性腫瘍であり、及び最も好ましくは、癌は、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫から成るリストから選択される。好ましくは、方法は、溶液を静脈内投与する工程を含み、及び好ましくは、方法は、例えば、静脈内投与の前に生理食塩水を含有するバッグ内で希釈する工程を含む。方法は、任意選択的に、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含み得る。
【0039】
本発明は、癌を治療する方法において使用するための水溶液であって、水溶液は:
a)式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩であって、式Iの化合物が、下記の構造:
【化19】
を有する式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩;
b)シクロデキストリン化合物;
c)緩衝剤;
d)塩化ナトリウム;及び
e)水を含み;
溶液中の式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩の量は、25mg~400mgの範囲に及び;
方法は、25mg/m
2~960mg/m
2の範囲に及ぶ量で式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を投与する工程を含む、水溶液を提供する。好ましくは、癌は、血液学的悪性腫瘍であり、及び最も好ましくは、癌は、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫から成るリストから選択される。好ましくは、方法は、溶液を静脈内投与する工程を含み、及び好ましくは、方法は、例えば、静脈内投与の前に生理食塩水を含有するバッグ内で希釈する工程を含む。方法は、任意選択的に、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含み得る。
【0040】
本発明は、癌を治療する方法において使用するための医薬製剤であって、医薬製剤は:
a)式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの化合物が、下記の構造:
【化20】
を有する式Iの化合物若しくはその塩;
b)シクロデキストリン化合物;
c)緩衝剤;及び
d)水を含み、
製剤中の式Iの化合物若しくはその塩の濃度は、15mg/mL~30mg/mLの範囲に及び、製剤のpHは、8.7~9.9の範囲に及ぶ医薬製剤を提供する。好ましくは、癌は、血液学的悪性腫瘍であり、及び最も好ましくは、癌は、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫から成るリストから選択される。好ましくは、方法は、製剤を静脈内投与する工程を含み、及び好ましくは、方法は、例えば、静脈内投与の前に生理食塩水を含有するバッグ内で製剤を希釈する工程を含む。方法は、任意選択的に、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含み得る。
【0041】
本発明は、癌を治療する方法において使用するための医薬製剤であって、医薬製剤は:
a)式Iの化合物若しくはその塩であって、式Iの化合物が、下記の構造:
【化21】
を有する式Iの化合物若しくはその塩;
b)シクロデキストリン化合物;
c)緩衝剤;及び
d)水を含み、
製剤中の式Iの化合物若しくはその塩の濃度は、15mg/mL~30mg/mLの範囲に及び、製剤のpHは、8.7~9.9の範囲に及ぶ医薬製剤を提供し;
方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を25mg/m
2~960mg/m
2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含む、医薬製剤を提供する。好ましくは、癌は、血液学的悪性腫瘍であり、及び最も好ましくは、癌は、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫から成るリストから選択される。好ましくは、方法は、製剤を静脈内投与する工程を含み、及び好ましくは、方法は、例えば、静脈内投与の前に生理食塩水を含有するバッグ内で製剤を希釈する工程を含む。方法は、任意選択的に、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含み得る。
【0042】
本発明は、患者における癌を治療する方法において使用するための水溶液であって、水溶液は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含み、式Iの化合物が、下記の構造:
【化22】
を有し、
方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を25mg/m
2~960mg/m
2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含み;
方法は、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含む、水溶液を提供する。好ましくは、癌は、血液学的悪性腫瘍であり、及び最も好ましくは、癌は、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫から成るリストから選択される。任意選択的に、方法は、実施形態1~30の何れか一つの医薬製剤又は実施形態33~36の何れか一つの水溶液を投与する工程を含み得る。
【0043】
本発明は、患者における急性骨髄性白血病を治療する方法において使用するための水溶液であって、水溶液は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含み、式Iの化合物が、下記の構造:
【化23】
を有し、
方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を25mg/m
2~960mg/m
2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含む、水溶液を提供する。好ましくは、方法は、水溶液を静脈内投与する工程を含む。方法は、任意選択的に、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含み得る。
【0044】
本発明は、患者における多発性骨髄腫を治療する方法において使用するための水溶液であって、水溶液は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含み、式Iの化合物が、下記の構造:
【化24】
を有し、
方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を25mg/m
2~960mg/m
2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含む、水溶液を提供する。好ましくは、方法は、水溶液を静脈内投与する工程を含む。方法は、任意選択的に、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含み得る。
【0045】
本発明は、患者における非ホジキンリンパ腫を治療する方法において使用するための水溶液であって、水溶液は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含み、式Iの化合物が、下記の構造:
【化25】
を有し、
方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を25mg/m
2~960mg/m
2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含む、水溶液を提供する。好ましくは、方法は、水溶液を静脈内投与する工程を含む。方法は、任意選択的に、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含み得る。
【0046】
本発明は、多発性骨髄腫を治療する方法において使用するための水溶液であって、水溶液は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含み、式Iの化合物が、下記の構造:
【化26】
を有し、
方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を25mg/m
2~960mg/m
2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含み;
方法は、第2治療薬としてカルフィルゾミブを投与する工程を更に含む、水溶液を提供する。好ましくは、方法は、溶液を静脈内投与する工程を含む。
【0047】
本発明は、患者における癌を治療する方法において使用するためのベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される治療薬であって:方法は、前記治療薬をその患者に投与する工程を含み、更に式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を含む水溶液を投与する工程を含み、式Iの化合物が、下記の構造:
【化27】
を有し、
方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を25mg/m
2~960mg/m
2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含む、治療薬を提供する。好ましくは、癌は、血液学的悪性腫瘍であり、及び最も好ましくは、癌は、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫から成るリストから選択される。好ましくは、方法は、溶液を静脈内投与する工程を含む。任意選択的に、方法は、実施形態1~30の何れか一つの医薬製剤又は実施形態33~36の何れか一つの水溶液を投与する工程を含み得る。
【0048】
本発明は、患者における癌を治療する方法において使用するための本明細書に開示した製剤の何れか一種を提供する。言うまでもなく、好ましくは、患者はヒトであり、好ましくは、本発明が向けられる癌はヒトの癌である。好ましくは、方法は、製剤を静脈内投与する工程を含む。
【0049】
本発明は、患者における急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫を治療する方法において使用するために本明細書に開示した製剤の何れかを更に提供する。
【0050】
本発明は、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫を治療する方法において使用するための上記の実施形態1の医薬組成物を更に提供する。
【0051】
本発明は、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫を治療するための方法において使用するための上記の実施形態33の水溶液を更に提供する。
【0052】
本発明は、患者における癌を治療する方法において使用するための本明細書に開示した製剤の何れか一つであって、前記方法は、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を更に含む製剤を提供する。好ましくは、式Iの化合物若しくはその塩を含む製剤は、静脈内投与される。
【0053】
本発明は、本明細書に開示した製剤の何れか一つ並びにベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を含む、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫若しくは非ホジキンリンパ腫を治療する方法において使用するための本明細書に開示した製剤の何れか一つを更に提供する。
【0054】
本発明は、患者における急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫若しくは非ホジキンリンパ腫を治療する方法において使用するための上記の実施形態1の医薬組成物であって:患者に上記の実施形態1の医薬組成物並びにベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を含む医薬組成物を更に提供する。好ましくは、医薬組成物は、静脈内投与される。任意選択的に、方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を25mg/m2~960mg/m2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含む。
【0055】
本発明は、患者における多発性骨髄腫を治療する方法において使用するための上記の実施形態1の医薬組成物であって、患者に上記の実施形態1の医薬組成物及び第2治療薬としてのカルフィルゾミブを投与する工程を含む医薬組成物を更に提供する。好ましくは、医薬組成物は、静脈内投与される。任意選択的に、方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を25mg/m2~960mg/m2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含む。
【0056】
本発明は、患者に上記の実施形態33の水溶液並びにベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及びデキサメタゾンから成るリストから選択される第2治療薬を投与する工程を含む、患者における急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫若しくは非ホジキンリンパ腫を治療する方法において使用するための上記の実施形態33の水溶液を更に提供する。好ましくは、水溶液は、静脈内投与される。任意選択的に、方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を25mg/m2~960mg/m2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含む。
【0057】
本発明は、患者に上記の実施形態33の水溶液及び第2治療薬としてのカルフィルゾミブを投与する工程を含む、患者における多発性骨髄腫を治療する方法において使用するための上記の実施形態33の水溶液を更に提供する。好ましくは、水溶液は、静脈内投与される。任意選択的に、方法は、式Iの化合物若しくは式Iの化合物の塩を25mg/m2~960mg/m2の範囲に及ぶ量で投与する工程を含む。
【0058】
本発明は、上記の実施形態1~30の何れか一つの医薬製剤を含むバイアルを提供する。
【0059】
本発明は、バイアルが20mLのホウケイ酸ガラスバイアル又は20mLのアルミノケイ酸ガラスバイアルであり、バイアルが、栓及びフリップオフカバー付きのアルミニウムシールを備える、上記の実施形態1~30の何れか一つの医薬製剤を含むバイアルを更に提供する。
【0060】
本発明は、上記の実施形態33~36の何れか一つの水溶液を含むバイアルを更に提供する。
【0061】
本発明は、上記の実施形態33~36の何れか一つの水溶液を含むIVバッグを更に提供する。
【0062】
本発明は、上記の実施形態1~30の何れか一つの医薬製剤を含むIVバッグを更に提供する。好ましい実施形態では、IVバッグ内の溶液は、例えば、IVバッグ内に移される製剤中に存在しない生理食塩水を追加して含むので、IVバッグ内に移される製剤に比較して希釈されている。
【0063】
一実施形態では、本明細書に開示した医学的使用又は治療方法は、下記の:
・ BCL2及び/又はBCL-XLに比して、MCL1に対する少なくとも1000倍、好ましくは2000倍、より好ましくは3000倍及び最も好ましくは、4000倍の選択性;及び
・ 安定(stable disease)、及びより好ましくは部分寛解(partial remission)及び最も好ましくは完全寛解(complete remission)の達成の1つ以上を生じさせる。この箇条書きの2つ目は、好ましくは、AMLの治療に関連して該当する-下記の実施例を参照されたい。
【0064】
本明細書に開示した組み合わせ療法は、任意の順序で、同時に、個別に、及び連続的に投与され得る。従って、純粋に例として、本発明は、本明細書に開示したAMG176実施形態(溶液及び製剤等)の何れか一種と組み合わせて投与した場合に、癌を治療する方法において使用するためのベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及び/又はデキサメタゾンに関する。代替実施形態では、本発明は、ベネトクラクス、カルフィルゾミブ、アザシチジン及び/又はデキサメタゾンと組み合わせて投与した場合に癌を治療する方法において使用するためのAMG176実施形態(溶液及び製剤等)の何れか一種に関する。好ましくは、任意のそのような組み合わせ療法は、単独で投与された構成単剤の一種により達成される作用を超える(又は、組み合わせ療法が三種以上の薬剤を包含する場合は、好ましくは、組み合わせは、単独で投与された構成単剤の一種及び組み合わせ療法を構成する構成副組み合わせの何れか一種を用いて達成される作用を超える)。
【0065】
本発明を以下の実施例を参照しながら更に説明する。これらの実施例は、特許請求された本発明を例証することを目的とするものであるが、いかようにも限定することを目的とするものではない。
【実施例0066】
式Iの化合物は、癌を有する患者、及び特に多発性骨髄腫及び急性骨髄性白血病を含むがそれらに限定されない血液学的悪性腫瘍を有する患者における治療において研究されているBCL2ファミリーのMCL1メンバーとプロアポトーシスメンバーとの間のタンパク質-タンパク質相互作用の選択的低分子阻害剤である(Caenepeel et al,Cancer Discov 8:1582-1597(2018))。
【0067】
式Iの化合物及び式Iの化合物の塩は、MCL1タンパク質を阻害する化合物である。式Iの化合物の構造は、下記に示す。
【化28】
式1の化合物は、AMG176とも呼ばれる。式Iの化合物及びそれらの塩並びに化合物を合成するための方法は、国際公開第2016/033486号パンフレット及び米国特許第9,562,061号明細書に記載されている。これらの参考文献は、あたかも詳細に明記されているかのように、参照によりそれらの全体として本明細書に組み込まれる。
【0068】
非臨床試験-薬理学
式Iの化合物は、選択的にin vitroで、時間分解蛍光共鳴エネルギー転移をベースとするアッセイにおいて、ヒトMCL1-BIM相互作用を崩壊させ、0.241nMの平均50%阻害濃度(IC50)を生じさせる(表1)。更に、化合物は、MCL1に対して高度に選択性であり、生存促進性BCL2ファミリーメンバー、BCL2及びB細胞リンパ腫/超大細胞型白血病(BCL-XL)に比して4000倍を超える選択性を証明している。細胞アッセイでは、式Iの化合物は、30.8nMの平均IC50を伴って、MCL1とBAKとの間の相互作用を崩壊させる。多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病及び非ホジキンリンパ腫に由来する一群の腫瘍細胞系において実施した細胞生存性試験では、本化合物は、試験した23の細胞系中12細胞系において観察された1μM未満のIC50値と共に、14nM~20μM超の範囲のIC50値を示した。
【0069】
【0070】
式Iの化合物による治療は、In vivoでは、ヒトMCL1とヒトBAKとの間の相互作用の用量依存性阻害を生じさせた。化合物を用いた治療は、更に、ルシフェラーゼ遺伝子を用いて安定性で形質導入されたヒトMCL1依存性多発性骨髄腫細胞系由来の腫瘍異種移植片(OPM2-Luc)におけるBAK活性化及びカスパーゼ3切断を含む、アポトーシスの複数のマーカーの用量依存性誘導も生じさせた。OPM2-Luc異種移植片有効性モデルでは、式Iの化合物を用いた治療は、定着腫瘍の増殖を有意に阻害し、1日1回、30mg/kg及び60mg/kgの2種の投与量で腫瘍退縮が観察された。式Iの化合物の有効性を試験する追加の試験は、間欠的投与スケジュールを用いてOPM2-Luc腫瘍異種移植片モデルにおいて実施した。式Iの化合物は、2日間の投薬/5日間の休薬及び5日間の投薬/2日間の休薬のスケジュールでの30mg/kg及び60mg/kgの用量で定着腫瘍の増殖を有意に阻害した。50及び100mg/kgの用量のAMG176の週1回の経口投与は、それぞれ97%及び70%の腫瘍増殖阻害率(TGI)を生じさせた。式Iの化合物の有効性は、更にMOLM13腫瘍細胞がマウスの骨髄細胞中に移植された急性骨髄性白血病のMOLM13ルシフェラーゼ標識同所性モデルにおいても評価した。このモデルでは、2日間の投薬/5日間の休薬(QD2)のスケジュールでの30mg/kg又は60mg/kgでの化合物の経口投与は、全身ルミネセンスによって評価した腫瘍組織量の有意な用量依存性阻害を生じさせ(それぞれ28%及び69%のTGI)、更に100mg/kgでの化合物の1日1回経口投与は86%のTGIを生じさせた。式Iの化合物とプロテアーゼ阻害剤であるカルフィルゾミブの組み合わせの治療能力を同所性OPM2-Lucモデルにおいて試験した。本化合物(20mg/kg)を用いて1日1回及びカルフィルゾミブ(3mg/kg)を用いて週2回治療されたマウスでは、この組み合わせは、腫瘍組織量の有意な阻害(99%のTGI)を達成し、何れかの単剤単独を用いて達成された作用(式Iの化合物による86%のTGI及びカルフィルゾミブによる82%のTGI)を上回った。
【0071】
MCL1及びBAKを用いて一過性でトランスフェクトされたHEK293M細胞を用いた試験では、AMG176は、無血清増殖培地中で、30.8nMの平均IC50を伴ってMCL1とBAKとの間の相互作用を阻害した。AMG176は、OPM2多発性骨髄腫の腫瘍細胞系の生存性を用量依存方法で阻害し、15.5nM(無血清増殖培地)、235.7nM(10%ウシ胎児血清[FBS]を含有する増殖培地)及び703.4nM(5%のヒト血清を含有する増殖培地)のIC50値を生じさせた。10%のFBSを含有する増殖培地中で実施した追加の腫瘍細胞生存性試験では、多発性骨髄腫、AML及びNHLに由来する23の腫瘍細胞系中12の腫瘍細胞系において、AMG176は、1μM未満のIC50値を示した(表2)。
【0072】
【0073】
HEK293M Matrigel(商標)プラグモデルにおけるMCL1-BAKタンパク質-タンパク質相互作用のAMG176による阻害
MCL1-BAKタンパク質-タンパク質相互作用の阻害は、それぞれ蛍ルシフェラーゼのN末端断片及びC末端断片に連結した、アミノ酸1~327をコードするヒトMCL1のN末端断片及び全長ヒトBAKを発現するように安定性でトランスフェクトされたHEK293M細胞における薬力学(PD)アッセイとして使用した(MCL1[1~327]とBAKとの間の相互作用は、ルシフェラーゼのC末端とN末端断片との相補性及び活性ルシフェラーゼの形成を生じさせる)。用量及び時間両方の関数としてのMCL1-BAKタンパク質-タンパク質相互作用にAMG176が及ぼす作用は、雌性胸腺欠損ヌードマウスに埋植されたヒトHEK293M MCL1(1~327)Luc/BAK-Luc細胞を含有するMatrigel(商標)プラグにおいて評価した;AMG176は、ルシフェラーゼ活性によって測定した、MCL1-BAKタンパク質-タンパク質相互作用を有意に阻害した(
図1)。ビヒクルコントロール群と比較した場合に、3mg/kgのAMG176(2時間後、8時間後、12時間後及び24時間後の時点)、10mg/kgのAMG176(2時間後、4時間後、8時間後及び12時間後の時点)並びに30mg/kgのAMG176(2時間後、4時間後、8時間後、12時間後及び24時間後の時点)を用いて統計的有意な阻害が見られた(p<0.0025、(
図1))。
【0074】
OPM2-Luc腫瘍異種移植片における、カスパーゼ3切断のBAK活性化を含む、AMG176によるアポトーシスの複数のホールマークの誘導
MCL1依存性OPM2-Luc多発性骨髄腫腫瘍細胞におけるプロアポトーシスポア形成タンパク質BAKの活性化及びシステイン-アスパラギン酸プロテアーゼカスパーゼ3(アポトーシスの誘導のホールマーク)のタンパク質分解的切断は、PDアッセイとして機能した。雌性胸腺欠損ヌードマウスには、0.1mL中の細胞5×10
6個が皮下注射された(SC)。腫瘍がおよそ400~600mm
3の範囲に及ぶ容積に達した時点に、AMG176は、10、20、30又は60mg/kgの用量での経口補給によって投与した。マウスには投与の2時間後、4時間後、8時間後、12時間後及び24時間後に麻酔をかけ(n=3/群)、PK分析のために末端血漿試料を収集し、腫瘍を半分に分割し、PK及び分子解析のために液体窒素中で急速冷凍した。電気化学発光イムノアッセイを用いてBAK活性化及びカスパーゼ3切断を評価するために、腫瘍溶解液を調製した。ビヒクル(25%のHPβCD、pH8)を用いて処置した腫瘍は、陰性コントロールとして機能し、アポトーシスのベースラインレベルを示した。ビヒクルコントロール群と比較した場合に、30mg/kg(2時間後、4時間後及び8時間後の時点)及び60mg/kgの(2時間後、4時間後、8時間後及び12時間後の時点)の用量で、統計的有意なBAKの活性化が観察された(p<0.05[
図2])。4時間後の時点での60mg/kg群では、ピークAMG176血漿濃度に対応して、最大のBAK活性化が観察された。
図3は、血漿及び腫瘍中でのカスパーゼ3切断の誘導及びAMG176の対応する濃度を示している。ビヒクルコントロール群と比較した場合に、20mg/kg(4時間後、8時間後及び12時間後の時点)、30mg/kg(2時間後、4時間後、8時間後及び12時間後の時点)及び60mg/kgの(2時間後、4時間後、8時間後、12時間後及び24時間後の時点)の用量で統計的有意なカスパーゼ3切断の誘導が観察された(p<0.05[
図2])。投与の2時間後に、切断されたカスパーゼ3のおよそ7.5倍の誘導が60mg/kg群で観察されたが、これは投与12時間後まで持続した。投与24時間後までに、切断されたカスパーゼレベルは、AMG176血漿濃度の減少に対応して、コントロールの5倍超に低下していた。
【0075】
AMG176は単剤としてOPM2-Luc腫瘍異種移植片の増殖を阻害した
AMG176がMCL1依存性OPM2多発性骨髄腫異種移植片モデルにおいて腫瘍増殖を阻害する能力について評価した。OPM2-Luc細胞(5×10
6)を雌性胸腺欠損ヌードマウスの皮下に埋植した。ビヒクル又は経口補給による10、20、30若しくは60mg/kgでのAMG176による1日1回の処置は、腫瘍容積がおよそ150mm
3(n=10/群)に達した第14日に開始した。用量依存性TGIが観察され、及びAMG176は、20、30及び60mg/kgの用量でOPM2-Luc腫瘍の増殖を統計的有意に阻害した(ビヒクルコントロール群と比較してp<0.001)(
図4)。20mg/kg群は、63%のTGIを示した(ビヒクルコントロール群と比較してp<0.001)。30及び60mg/kg群は、ビヒクルコントロール群と比較して、統計的有意な腫瘍退縮を示した(それぞれ50%の退縮及び100%の退縮、;それぞれp<0.001及びp<0.0001)。30mg/kg群の動物10匹中3匹及び60mg/kg群の動物10匹中10匹には、第24日に腫瘍がなかった。体重及び身体スコア評価におけるAMG176関連性変化の証拠はなかった;しかしながら、AMG176はヒトMCL1に対するよりもマウスMCL1に対して効力が低いことを言及しなければならない。
【0076】
別個の試験では、様々な間欠的投与スケジュールを用いるOPM2-Luc多発性骨髄腫異種移植片モデルにおいて、AMG176が腫瘍増殖を阻害する能力について試験した。OPM2-Luc細胞(5×10
6)を雌性胸腺欠損ヌードマウスの皮下に埋植した。腫瘍容積がおよそ150mm
3に到達した時点に、1日1回のビヒクル又は30若しくは60mg/kg(QD)の用量で、5日間の投薬/2日間の休薬(5×/週、QD5)又は2日間の投薬/5日間の休薬(2×/週、QD2)による経口補給によって第14日に、処置を開始した(n=10/群)。試験した全用量及びスケジュールと共に、用量依存性TGIが観察された(
図5)。30mg/kgの用量では、84%のTGIは、1日1回の投与(ビヒクルコントロール群と比較してp<0.001)により観察され、85%のTGIは、5日間の投薬/2日間の休薬により観察され(p<0.001)、及び54%のTGIは、2日間の投薬/5日間の休薬により観察された(p<0.001)。60mg/kgの用量では、100%の腫瘍退縮は1日1回の投与で観察され、87%の腫瘍退縮は5日間の投薬/2日間の休薬で観察され、そして21%の腫瘍退縮は2日間の投薬/5日間の休薬で観察された(p<0.001)。60mg/kgの5日間の投薬/2日間の休薬群の動物10匹中6匹及び1日1回投与群の動物10匹中10匹には、第26日に腫瘍がなかった。AMG176処置群においては、体重及び身体スコア評価における変化によって決定されるように明白な毒性の証拠は観察されなかった;しかしながら、上述したように、AMG176はヒトMCL1に対するよりもマウスMCL1に対しては効力が低い。
【0077】
雌性胸腺欠損ヌードマウスにおけるOPM2-Luc異種移植片における腫瘍増殖にAMG176の週1回投与が及ぼす作用
週1回投与スケジュールを用いてOPM2多発性骨髄腫異種移植片モデルにおいてAMG176が腫瘍増殖を阻害する能力について試験した。雌性胸腺欠損ヌードマウスには、5×10
6個のヒトOPM2-Luc多発性骨髄腫腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍容積が平均120~206mm
3に達した時点に、ビヒクル又は50若しくは100mg/kgの週1回経口用量及び50mg/kgの週1回腹腔内投与を用いて、第15日に治療を開始した。腫瘍容積及び体重は、第26日まで週2回測定した。AMG176は、OPM2-Luc腫瘍の増殖を有意に阻害した。50mg/kgの経口群では、97%のTGI(p<0.0001)が観察された;100mg/kg群では、70%の退縮が観察された(p<0.0001)。50mg/kgの腹腔内投与群では、98%の退縮が観察された(p<0.0001)(
図6)。100mg/kg群の動物10匹中5匹には、第26日に腫瘍がなかった。体重における変化によって決定されるようにAMG176治療群では明らかな毒性の証拠は観察されなかった。
【0078】
雌性NSGマウスにおけるMOLM13-Luc急性骨髄性白血病同所性モデルにおけるAMG176のin vivo活性
雌性NOD/SCID IL2rg(NSG)マウスにおいて定着したMolm13-Luc同所性腫瘍の増殖を阻害する能力を調査するためにAMG176を評価した。第0日に、70匹の雌性NSGマウスに5×10
4のヒトMolm13-Luc AML腫瘍細胞をIV注射した。4群(n=10/群)への無作為割付後、第7日に開始したAMG176を用いた経口処置は、同所性Molm13-Lu腫瘍の有意なTGIを生じさせた。QD2治療スケジュールでは、30mg/kgのAMG176は、ビヒクルコントロール群と比較して28%のTGIを生じさせ(p<0.0001)、及び60mg/kgのAMG176は、69%のTGIを生じさせた(p<0.0001);100mg/kg QDでのAMG176による処置は、86%のTGIを生じさせた(p<0.0001)(
図7)。体重における変化によって決定されるように、AMG176治療群で明らかな毒性の証拠は観察されなかった。
【0079】
OPM2-Luc多発性骨髄腫同所性モデルにおけるAMG176+カルフィルゾミブのin vivo活性
AMG176は、以前にOPM2-Luc多発性骨髄腫モデルにおいて単剤としての統計的に有意なTGIを誘導する能力を証明した。本試験は、OPM2-Luc同所性モデルにおいてAMG176とカルフィルゾミブとの組み合わせが腫瘍増殖を阻害する可能性について調査した。第0日に、雌性NSGマウスには、蛍ルシフェラーゼ遺伝子によりトランスフェクトされた1×10
6OPM2-LucヒトOPM2-Luc多発性骨髄腫腫瘍細胞をIV注射した。4群(n=10/群)への無作為割付後、マウスはビヒクル又は20mg/kgでのAMG176を用いて1日1回経口により処置し、ビヒクル若しくは第4日~第20日まで週2回、3mg/kgのカルフィルゾミブの何れかを用いてIV処置した。AMG176(20mg/kg)を用いて1日1回及びカルフィルゾミブ(3mg/kg)を用いて週2回処置したマウスでは、この組み合わせは、腫瘍組織量の統計的有意な阻害(カルフィルゾミブ単独に対して、99%のTGI、p<0.0001)を達成し、何れかの単剤を用いて達成された作用(それぞれAMG176又はカルフィルゾミブによる86%及び82%のTGI)を上回った(
図8)。カルフィルゾミブ単剤療法群及び組み合わせ群において予定外の死亡が観察されたが、これはNSGマウスにおけるIVカルフィルゾミブの忍容性の欠如を示している。
【0080】
非臨床試験-薬物動態
単回静脈(IV)投与又は経口投与後の式Iの化合物の薬物動態(PK)を雄性CD1マウス、雌性胸腺欠損ヌードマウス、雄性Nu/Nuマウス、雄性Sprague Dawleyラット、雄性ビーグル犬及び雄性カニクイザルにおいて特性解析した。本化合物のクリアランス(CL)は、マウス、ラット、イヌ及びサルではそれらの肝血流に比較して低かった。マウス、ラット、イヌ及びサルにおける定常状態での分布容積(Vss)は、種を横断して可変性であった。マウス、ラット、イヌ及びサルにおける平均末梢排出半減期(t1/2,z)値は、それぞれ13.8、19.5、10.8及び1.66時間であった。式Iの化合物は、in vitroで高度に血漿-タンパク質結合しており、血液細胞中には優先的に分散しなかった。
【0081】
非臨床試験-毒物学
式Iの化合物に関する非臨床安全性試験は、潜在的な心血管作用を特性解析するために、予備的14日間イヌIV毒物学試験、医薬品安全性試験実施基準(GLP)28日間ラット及びイヌIV毒物学試験、in vitro予備的遺伝毒性試験(GLPヒト遅延整流性カリウムイオンチャネル遺伝子(human ether-a-go-go related gene[hERG]及び非GLP単離ウサギ心)から構成した。28日間IVラット及びイヌ毒物学試験のために選択した用量は、式Iの化合物の毒性を特性解析し、ヒト初回投与(FIH)試験における開始用量を支持するデータを提供することが意図された。IV投与経路及び2日間の投薬/5日間の休薬の投与スケジュールは、予想臨床経路及び投与スケジュールを支持するために使用した。28日間GLPラットIV注射毒物学試験では、動物の10%における極めて毒性の用量(STD10)は、120mg/kg試験での死亡率に基づき60mg/kgであり、及びイヌにおける28日間GLP IV毒物学試験では、重篤な毒性が発現しない最大投与量(HNSTD)は、20mg/kgでの死亡率に基づいて10mg/kgであった。ラット及びイヌの両方において、罹患率及び死亡率は、小腸及び大腸における粘膜上皮変性と関連していた。式Iの化合物は、in vitro遺伝毒性試験においては突然変異誘発性でも染色体異常誘発性でもなかった。本化合物は、in vivo光毒性試験においても光毒性ではなかった。ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含有するビヒクル中では、式Iの化合物は、ラット血において0.048、0.12、0.24、1.2及び2.4mg/mL並びにイヌ血において0.1及び1.0mg/mLの濃度で全血の血液溶解(in vitro)を示したが、ヒト血においては試験した0.25mg/mLの最高濃度で血液溶解性ではなかった。
【0082】
ヒトにおける作用
式Iの化合物は、再発性/難治性多発性骨髄腫を有する被験者及び再発性/難治性急性骨髄性白血病を有する被験者における第1相FIH多施設共同非無作為化オープンラベル用量探索試験において調査されており、且つ調査されてきた。予備的データは、多発性骨髄腫を有する被験者32例及びAMLを有する被験者10例について入手できた。
【0083】
多発性骨髄腫
計32例の被験者が登録され、式Iの化合物の少なくとも1用量を摂取していた:パート1aの被験者26例(連続2日間に渡り1日1回、その後に5日間の休薬[QD2])及びパート1bの被験者6例(週1回[QW])。パート1aでは、被験者は8コホートに渡って登録され、用量の範囲は30~240mg/m2[QD2]に及んだ。パート1bでは、被験者は2コホートに渡って登録され、用量の範囲は120/180mg/m2又は~120/240mg/m2に及んだ。
【0084】
予備的PKデータは、パート1aにおける被験者25例及びパート1bにおける被験者6例から入手できた。AMG176の暴露(最大観察薬物濃度[Cmax]及び濃度-時間曲線下面積[AUC])は、試験した用量範囲に渡って用量の増加に伴って一般に増加した。
【0085】
パート1aでは、被験者25例(96%)において治療中に発生した有害事象が報告された;最も頻回に報告された事象(被験者の≧20%)は、悪心(35%)、好中球減少症及び下痢(各31%)並びに疲労及び貧血(各27%)であった。グレード3の有害事象は被験者17例(65%)で発生し、グレード4の有害事象は被験者8例(31%)で発生した;2例以上の被験者において報告されたグレード3以上の有害事象は、好中球減少症(31%)、貧血(15%)並びに白血球数の減少、高血圧及び好中球数の減少(各8%)であった。重篤な有害事象は、被験者8例(31%)において報告された;優先使用語によって、2例以上の被験者における重篤な有害事象は発生しなかった。治験薬の投与中止をもたらした有害事象はなかった。2例の致死性有害事象が発生した。肝不全の致死性事象は、50mg/m2コホート内の被験者において発生した;この事象は、増悪の状況において発生し、治験担当医師によってAMG176とは非関連性であると考察された。腫瘍溶解症候群の致死性事象は、240mg/m2コホート内の被験者1例において発生した;この事象は、治験担当医師によってAMG176に関連すると見なされ、更に報告された唯一の用量制限毒性(DLT)であった。治験担当医師によってAMG176治療に関連すると見なされた有害事象は、被験者18例(69%)において報告された;優先使用語によって、最も頻回に報告された事象(≧15%の被験者)は、好中球減少症(23%)、悪心(23%)及び下痢(19%)であった。
【0086】
パート1bでは、被験者5例(83%)において有害事象が報告された;最も頻回に報告された事象(被験者2例以上で発生)は、好中球減少症(67%)、悪心(50%)並びに下痢、疲労及び高血圧(各33%)であった。グレード3の有害事象は被験者5例(83%)で発生し、グレード4の有害事象は被験者1例(17%)で発生した;2例以上の被験者において報告されたグレード3以上の有害事象は、好中球減少症(67%)及び高血圧(33%)であった。重篤な有害事象は報告されず、治験薬の投与中止をもたらした有害事象はなく、致死性有害事象は発生しなかった。治験担当医師によってAMG176治療に関連すると見なされた有害事象は、被験者5例(83%)において報告された;優先使用語によって、最も頻回に報告された事象(≧30%の)は、
【0087】
急性骨髄性白血病
パート3では、計10例の被験者を2コホートに渡って登録し、用量は、60mg/m2又は~120mg/m2であった。
【0088】
予備的PKデータは、AMLを有する被験者10例から入手可できた。AMG176の暴露(Cmax及びAUC)は、試験した用量範囲に渡って用量の増加に伴って一般に増加した。
【0089】
有害事象は、被験者8例(80%)において報告された;最も頻回に報告された事象(被験者2例以上で発生)は、低カリウム血症、末梢浮腫及び悪心(各30%)並びに血中ビリルビン値の増加、低マグネシウム血症、貧血、発熱及び嘔吐(各20%)であった。グレード3の有害事象は、被験者7例(70%)で発生し、グレード4の有害事象は、被験者2例(20%)で発生した;2例以上の被験者において報告されたグレード3以上の有害事象は、結び付けた両コホートについて、貧血(20%)であった。重篤な有害事象は、被験者6例(60%)において報告された;基本使用語によって、2例以上の被験者において重篤な有害事象は発生しなかった。有害事象は、被験者2例(20%)において治験薬の投与中止をもたらした;基本使用語によって、上大静脈症候群及び発熱性好中球減少症はそれぞれ被験者の10%において報告された。致死性有害事象は、発生しなかった。治験担当医師によってAMG176治療に関連すると見なされた有害事象は、被験者4例(40%)において報告された;優先使用語によって、最も頻回に報告された事象(2例以上の被験者において発生)は、悪心(20%)及び血中ビリルビン値の増加(20%)であった。
【0090】
AMG176を用いた臨床試験を実施するための論理的根拠
アポトーシスは、多数のタイプの癌細胞によって使用される生存メカニズムとして明確に確立されている(Fouad and Aanei,Am J Can Res 7:1016-1036(2017);Hanahan and Weinberg,Vell 144:646-674(2011))。悪性形質転換は、腫瘍遺伝子における低酸素症及び機能獲得型変異を含む、最終的にアポトーシスの回避になるメカニズムを進化させるための腫瘍の強力な選択的利点が存在するように、様々なプロアポトーシス発作からの細胞ストレスを生じさせる。
【0091】
アポトーシスは、BCL2タンパク質ファミリーを形成するプロアポトーシスサブグループと抗アポトーシスサブグループとの間のタンパク質-タンパク質相互作用の複合ネットワークによって調節される(Czabotar et al,2014;Strasser et al,2011;Kozopas et al,1993)。骨髄細胞白血病1は、このファミリーの抗アポトーシスメンバーの一員であり、細胞生存を促進する。対照的に、ミトコンドリアポア(mitochondrial-pore)形成因子であるBAK、BAX等のプロアポトーシスファミリーメンバー、又はBIM及びPUMA等のBH3-onlyタンパク質ファミリーメンバーは、アポトーシスを誘導するための極めて重要なエフェクターである。アポトーシス刺激が誘導されると、プロアポトーシスBH3-onlyタンパク質は、MCL1及び他の生存促進性BCL2ファミリーメンバーに結合し、MCL1とプロアポトーシスエフェクタータンパク質であるBAKとBAXとの間の相互作用を破壊させる。この破壊は、BAK及びBAXの活性化及びオリゴマー化;MOMP;チトクロムCの遊離;カスパーゼ活性化;及び細胞死をもたらす(Czabotar et al(2014);Strasser et al,(2011))。骨髄細胞白血病1は、ある範囲のヒト及びマウス組織中で発現する。マウスでは、例えば、条件付き遺伝子ノックアウト試験は、MCL1がリンパ球、造血幹細胞、好中球及び心筋細胞を含む多数の細胞型が生存するために重要であることを証明している(Thomas et al,2013;Wang et al,2013;Strasser et al,2011)。
【0092】
MCL1の過剰発現は、多数の固形癌及びヒト造血癌の発生(Ashkenazi et al 2017;Merino et al,2017;Kotschy et al,2016;Glaser et al,2012)並びに化学療法及びBCL2/BCL-XL阻害剤に対する耐性に関係付けられてきた(Wertz et al,Nature 471:119-114(2011);van Delft et al,Cancer Cell 10:389-399(2006))。MCL1遺伝子の限局性増幅は、肺癌及び乳癌を含む複数の組織タイプに由来する10%までの癌において観察されてきた(Beroukhim et al,Nature 463:899-905(2010))。これらの観察所見は、MCL1の阻害が、癌の治療のための新規且つ説得力のある治療戦略を表すことを示唆している。
【0093】
AMG176は、多発性骨髄腫及びAMLを含む血液学的悪性腫瘍を有する患者を治療する意図を持って開発されているMCL1とBCL2ファミリーのプロアポトーシスメンバーとの間のタンパク質-タンパク質相互作用の低分子の強力且つ選択的阻害剤である。AMG176は、in vitroでは、MCL1とプロアポトーシスエフェクタータンパク質であるBAKとの間の相互作用の用量依存性阻害を生じさせ、及びAMG176による治療は、血液学的癌細胞系におけるアポトーシスの急速な誘導をもたらした。AMG176による治療は、in vivoでは、多発性骨髄腫及びAML腫瘍異種移植片モデルの増殖を有意に阻害した。
【0094】
全てのヒト試験は、適切な規制機関のガイドラインに従って実施した。
【0095】
医薬製剤
使用した式Iの化合物(AMG176)は、白から薄茶色の粉末である無水結晶材料である。式Iの化合物は、注射用の無菌濃縮液として調製されている。この濃縮液は、生理食塩水(0.9%の塩化ナトリウム(9g/L))を含有するIVバッグ内で希釈した後に静脈内投与される。
【0096】
剤形
AMG176は、国際公開第2016/033486号パンフレット及び米国特許第9,562,061号明細書に規定された手順を用いて合成することができる。AMG176は、10重量/重量%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)(高モル置換用グレードのCavitron(商標)W7 HP7 PHARMA(Ashland Inc.(Covington,KY)から市販で入手可能)で25mg/mLの濃度で注入溶液のための無菌濃縮物として調製し、100mMのグリシン(Sigma Aldrich(St.Louis,MO)及びEMD Millipore(Burlington,MA)から市販で入手可能)を用いてpH9へ緩衝した。従ってAMG176は、10mLの25mg/mLのAMG176を含有する使い捨てのバイアル中の無菌の保存剤を含まないIV注射用の溶液として供給された。14.4mLの25mg/mLのAMG176を含有する使い捨て用バイアルもまた調製し、有用であることが見いだされた。
【0097】
10mLの濃縮溶液用の一次容器閉鎖システムは、20mmのエラストマー製栓及びフリップオフダストカバーを備えたアルミニウムシールを備えた20mLのホウケイ酸ガラスバイアルであった。14.4mLの濃縮溶液のためには、20mmのエラストマー製栓及びフリップオフダストカバーを備えたアルミニウムシールを備えた30Rのホウケイ酸ガラスバイアルを使用した。
【0098】
AMG176無菌濃縮液バイアルは、溶液配合及び無菌充填プロセスによって製造した。最初に、全バッチ重量のおよそ70重量%~75重量%の注射用水(WFI)を配合容器に装填した。次に混合を開始し、HPβCDを容器に装填し、これをシクロデキストリンが溶解するまで混合した。次に容器に水酸化ナトリウムを添加し、NaOHが溶解するまで生じた混合物を混合した。次に生じた混合物を45℃へ加温した。AMG176は次に、温度を45℃に維持しながら容器に添加し、生じた混合物をAMG176が溶解するまで混合した。生じた溶液を25℃に冷却し、次にグリシンを容器に添加した。生じた混合物を全グリシンが溶解するまで混合した。塩酸(1M)を溶液のpHが9.1になるまで混合しながら容器に漸増的に添加した。容器には次に、WFIを全バッチ重量のおよそ95%まで十分に(Q.S.)装填した。溶液のpHを測定し、そして必要であれば、9.1の目標pHが達成されるまで1MのHClを添加した。次に100%の全バッチ重量を提供するためにWFIを十分に添加した。次にAMG176のpH及び濃度を決定した。バルク薬製品の濾過は、ポリエーテルスルホン(PES)製の0.2μmフィルターを用いて、配合容器から適切な保持容器へ内容物を移しながら実施した。濾過前及び濾過後の完全性試験は、フィルター装置を対象に実施した。保持容器は、滅菌濾過及び充填を開始するまで、30℃未満の温度で閉鎖した。次に試料溶液を単一のインラインPES 0.2μM滅菌フィルターに通して第2無菌容器に濾過して入れ、その後に濾過前後に充填及びフィルター完全性試験を実施した。次に濾過した混合物を使用して目標容積までバイアルを充填し、次にバイアルにキャップを付け、充填重量をチェックした後に密封した。密封したバイアルを25℃以下で保管し、光線から保護した。次に目視検査を実施し、規格試験のためにバイアルを引っ張った。
【0099】
再発性若しくは難治性AMLを有する成人患者は、用量漸増試験の一部として28日間サイクルの第1、2、8、9、15及び16日に静脈内AMG176(少なくとも2時間に渡って注入された)を摂取した。用量の漸増は、60mg/m2で開始した。180mg/m2以上の用量レベルに対しては、120mg/m2のリードイン用量を第1週中に埋植した。主要な目的は、安全性、忍容性及び薬物動態の評価を含んでいた。副次的目的は、ELN基準を用いて評価する、有効性の予備的評価であった。予備的エンドポイントは、循環中AMLブラスト内でのMCL-1阻害の薬力学的評価を含んでいた。
【0100】
データカットオフ日(2019年5月17日)に、患者11例(メジアン年齢[範囲]=74[36~81]歳)は、AMG176(60mg/m2、n=5;120mg/m2、n=5;180mg/m2、n=1)を摂取した。患者は、メジアン(範囲)2(1~5)種の先行療法を摂取し、患者7例は、先行ベネトクラクスを摂取していた。患者は、メジアン(範囲)1(1~6)サイクルに渡りAMG176により治療された。患者11例中10例は、治療を中止した。投薬中止の理由は、進行(disease progression)、n=5;有害事象、n=3;及び患者の要請、n=2であった。治療中に発生した任意のグレードの有害事象(TEAE)は、患者10例(91%)において発生し、及び≧3のグレードのTEAEは、患者8例(73%)において発生した(表3)。任意のグレード(≧3例の患者において発生する)の一般的TEAEは、末梢浮腫(n=4、36%)及び悪心(n=4、36%)であった。一般的なグレード≧3のTEAE(≧2例の患者において発生する)は、悪心であった(n=2、18%)。治療関連性AEは、5例(46%)の患者において発生した;≧3のグレードの治療関連性AEは、2例(18%)の患者において発生した。致死性有害事象は報告されなかった。
【0101】
AMG176最高血漿濃度は、予想通りに静脈内注入の終了近くに観察され、AMG176血漿暴露は用量関連法で増加した。患者11例中4例は、データカットオフ時にベースライン後応答評価を有し、最善の総合応答は、不完全な血液学的回復(CRi;n=1、60mg/m2用量で)を伴う完全寛解、部分寛解(n=1、60mg/m2用量)、及び安定(stable disease)(n=2)であった。CRiを達成した患者では、薬力学的衝撃の証拠は、プロアポトーシスタンパク質Baxの遊離及び注入3時間後の末梢血AMLブラスト内でのエフェクターカスパーゼ3の活性化を通して観察された。データカットオフ日に、AMG176の最大忍容用量には未だ到達しなかった。
【0102】
評価した用量レベルでは、単剤療法として投与されたAMG176は、許容できる安全性、忍容性及び薬物動態プロファイルを有している。in vivoでの狙い通りのプロアポトーシス活性の予備的証拠が観察され、現在までに患者2例において臨床上の有効性が観察された。AMLを有する患者におけるAMG176の安全性及び有効性の詳細な評価試験は、現在進行中である。
【0103】
【0104】
本明細書で引用される全ての刊行物及び特許出願は、あたかもそれぞれの個々の刊行物又は特許出願が具体的且つ個別に参照により組み込まれるものと示されたかのように、且つあたかもそれぞれの参照がその全体に完全に記載されたかのように、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。上記の発明は、理解を明確にする目的で、図示及び実施例によってある程度詳細に説明してきたが、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなくこれに対して特定の変更及び修正がなされ得ることは、当業者には容易に明らかであろう。