(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112906
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】穿刺装置、穿刺装置を含む穿刺システム、およびそれらの方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/15 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
A61B5/15 100
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024081703
(22)【出願日】2024-05-20
(62)【分割の表示】P 2021563704の分割
【原出願日】2020-04-22
(31)【優先権主張番号】62/841,501
(32)【優先日】2019-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】メサリー、シェイン
(57)【要約】
【課題】静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成された穿刺装置を提供すること。
【解決手段】穿刺装置は、シャフト、シャフトの内径によって画定される内腔およびシャフトの遠位端部分の先端を有する針と、シャフトの近位端部分上に配置されたハブと、ハブは針の内腔と連通する血液フラッシュバックチャンバを有し、前記チャンバは、患者の静脈または動脈のアクセス時に、針による穿刺によって該チャンバ内に血液のアリコートを取り込むように構成され、ハブと統合された酸素センサであって、前記チャンバ内に取り込まれた血液中の酸素濃度を比色表示し、取り込まれた酸素濃度が静脈血または動脈血と一致するか判断して静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成され、前記チャンバ内に配置されたアルカリ性緩衝液および着色剤としてのインディゴカルミンを有する化学製剤を含む、酸素センサと、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成された穿刺装置であって、
シャフト、シャフトの内径によって画定される内腔、およびシャフトの遠位端部分における先端を有する針と、
前記シャフトの近位端部分の上に配置されたハブであって、前記針の内腔と連通する血液フラッシュバックチャンバを有しており、血液フラッシュバックチャンバは、前記針による穿刺によって患者の静脈または動脈にアクセスする際に、血液フラッシュバックチャンバ内に血液のアリコートを取り込むように構成されている、ハブと、
前記ハブと統合された酸素センサであって、前記血液フラッシュバックチャンバ内に取り込まれた血液中の酸素濃度を比色表示し、続いて取り込まれた血液中の酸素濃度が静脈血または動脈血と一致するかどうかを判断して、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成されており、酸素センサは、前記血液フラッシュバックチャンバ内に配置されたアルカリ性緩衝液および着色剤としてのインディゴカルミンを有する化学製剤を含む、酸素センサと、を備えている、穿刺装置。
【請求項2】
前記ハブが、前記取り込まれた血液中の酸素濃度が静脈血または動脈血と一致するかどうかを比色分析的に決定するための単純な比較器を含む、請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項3】
静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成された穿刺システムであって、
穿刺装置であって、
シャフト、シャフトの内径によって画定される内腔、およびシャフトの遠位端部分における先端を有する針と、
前記シャフトの近位端部分の上に配置されたハブと、
前記針のシャフト内に配置されて、前記シャフトに入る際に血液から生じる圧力の変化に応答するように構成された静電容量式(capacitive)圧力センサと、を有する穿刺装置と、
前記圧力センサに結合された外部メーターであって、該圧力センサから受け取った圧力の変化から平均血圧を決定し、前記平均血圧を静脈血または動脈血で予想される平均血圧と比較し、前記平均血圧が静脈血または動脈血と一致するかどうかを示して静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成されている、外部メーターと、を備える穿刺システム。
【請求項4】
前記圧力センサが、非変形性の基板上に変形可能なダイヤフラムを有する微小電気機械システムであり、圧力の変化に応答するコンデンサを形成しており、前記圧力センサが、圧力の変化に対応する静電容量の変化を、圧力の変化として前記外部メーターに送るように構成されている、請求項3に記載の穿刺システム。
【請求項5】
静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成された穿刺システムであって、
穿刺装置であって、
シャフト、シャフトの内径によって画定される内腔、およびシャフトの遠位端部分における先端を有する針と、
前記シャフトの近位端部分の上に配置されたハブと、
前記針のシャフト内に配置された1対の電極であって、前記シャフト内の血液のインピーダンスを測定するために小電流を印加および検出するように構成されている1対の電極と、を有する穿刺装置と、
前記1対の電極に結合された外部メーターであって、前記シャフト内の血液の電気抵抗率からインピーダンスを決定し、前記インピーダンスを静脈血または動脈血で予想されるインピーダンスと比較し、さらに前記インピーダンスが静脈血または動脈血と一致するかどうかを示して静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成されている、外部メーターと、を備える穿刺システム。
【請求項6】
静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成された穿刺システムであって、
穿刺装置であって、
シャフト、シャフトの内径によって画定される内腔、およびシャフトの遠位端部分における先端を有する針と、
前記シャフトの近位端部分の上に配置されたハブであって、前記針の内腔と連通する血液フラッシュバックチャンバを有しており、血液フラッシュバックチャンバは、前記針による穿刺によって患者の静脈または動脈にアクセスする際に、血液フラッシュバックチャンバ内に血液のアリコートを取り込むように構成されている、ハブと、を備える穿刺装置、および、
外部メーターであって、
前記穿刺装置の血液フラッシュバックチャンバの周りに配置するように構成された酸素センサを含み、酸素センサは、前記血液フラッシュバックチャンバ内に取り込まれた血液中の酸素を測定し、続いて取り込まれた血液中の酸素濃度を決定し、取り込まれた血液中の酸素濃度を静脈血または動脈血で予想される酸素濃度と比較し、さらに取り込まれた血液が静脈血であるか動脈血であるかを示して静脈穿刺と動脈穿刺とを区別する、外部メーター、を備える穿刺システム。
【請求項7】
前記酸素センサが、前記外部メーターの発光ダイオード(LED)ハウジング内に配置された赤色LED、前記LEDハウジング内に配置された赤外線LED、および前記LEDハウジングの反対側の前記外部メーターの光検出器ハウジング内に配置された光検出器を含む光学センサである、請求項6に記載の穿刺システム。
【請求項8】
前記外部メーターが、赤色光および赤外光の吸光度測定を用いてルックアップテーブルから、取り込まれた血液中の酸素濃度を決定し、取り込まれた血液中の酸素濃度を静脈血または動脈血で予想される酸素濃度と比較し、さらに取り込まれた血液が静脈血または動脈血であるかどうかを示して静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成されている、請求項6または7に記載の穿刺システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿刺装置、穿刺装置を含む穿刺システム、およびそれらの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動脈にカニューレを挿入することは望ましくないため、カテーテルを留置する前に静脈と動脈を見分けることが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書では、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するための穿刺装置、そのような穿刺装置を含む穿刺システム、およびその方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書では、第1のタイプの酸素センサによって静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成された穿刺装置を開示している。穿刺装置は、いくつかの実施形態では、針、針の上に配置されたハブ、およびハブと統合された酸素センサを含む。針は、シャフト、シャフトの内径によって画定される内腔、およびシャフトの遠位端部分における先端を含む。ハブは、シャフトの近位端部分の上に配置される。ハブは、針の内腔と連通する血液フラッシュバックチャンバを含む。血液フラッシュバックチャンバは、針で穿刺して患者の静脈または動脈にアクセスする際に、その中に血液のアリコートを取り込むように構成されている。酸素センサは、血液フラッシュバックチャンバ内に取り込まれた血液中の酸素を測定し、続いて取り込まれた血液中の酸素濃度を決定し、取り込まれた血液中の酸素濃度を静脈血または動脈血で予想される酸素濃度と比較し、さらに取り込まれた血液が静脈血であるか動脈血であるかを示すことで静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、酸素センサは、半透膜によって血液フラッシュバックチャンバから分離された電解質中に配置されたアノードおよびカソードを含む電気化学センサである。
【0006】
いくつかの実施形態では、半透膜は、カソードでの酸素の電気化学還元のために、取り込まれた血液中の酸素が半透膜を透過できるように構成されている。カソードで酸素が還元されると、取り込まれた血液中の酸素分圧に比例する測定可能な電流が発生する。
【0007】
いくつかの実施形態では、電気化学センサは外部メーターに結合されている。外部メーターは、測定可能な電流から取り込まれた血液中の酸素濃度を決定し、取り込まれた血液中の酸素濃度を静脈血または動脈血で予想される酸素濃度と比較し、取り込まれた血液が静脈血であるか動脈血であるかを示すことで、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成されている。
【0008】
本明細書ではまた、第2のタイプの酸素センサによって静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成された穿刺システムを開示している。穿刺システムは、いくつかの実施形態では、穿刺装置および外部メーターを含む。穿刺装置は、針および針の上に配置されたハブを含む。針は、シャフト、シャフトの内径によって画定される内腔、およびシャフトの遠位端部分における先端を含む。ハブは、シャフトの近位端部分の上に配置される。ハブは、針の内腔と連通する血液フラッシュバックチャンバを含む。血液フラッシュバックチャンバは、針で穿刺して患者の静脈または動脈にアクセスする際に、その中に血液のアリコートを取り込むように構成されている。外部メーターは、穿刺装置の血液フラッシュバックチャンバの周りに配置するように構成された酸素センサを含む。酸素センサは、血液フラッシュバックチャンバ内に取り込まれた血液中の酸素を測定して、続いて取り込まれた血液中の酸素濃度を決定し、取り込まれた血液中の酸素濃度を静脈血または動脈血で予想される酸素濃度と比較し、さらに取り込まれた血液が静脈血であるか動脈血であるかを示すことで静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、酸素センサは光学センサであり、光学センサは、外部メーターの発光ダイオード(LED)ハウジング内に配置された赤色LED、そのLEDハウジング内に配置された赤外線LED、およびLEDハウジングの反対側の外部メーターの光検出器ハウジング内に配置された光検出器を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、外部メーターは、赤色光および赤外光の吸光度測定を用いてルックアップテーブルから取り込まれた血液中の酸素濃度を決定し、取り込まれた血液中の酸素濃度を静脈血または動脈血で予想される酸素濃度と比較し、さらに取り込まれた血液が静脈血であるか動脈血であるかを示すことで静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成されている。
【0011】
また、本明細書では、第3のタイプの酸素センサによって静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成された穿刺装置を開示している。穿刺装置は、いくつかの実施形態では、針、針の上に配置されたハブ、およびハブと統合された酸素センサを含む。針は、シャフト、シャフトの内径によって画定される内腔、およびシャフトの遠位端部分における先端を含む。ハブは、シャフトの近位端部分の上に配置される。ハブは、針の内腔と連通する血液フラッシュバックチャンバを含む。血液フラッシュバックチャンバは、針で穿刺して患者の静脈または動脈にアクセスする際に、その中に血液のアリコートを取り込むように構成されている。酸素センサは、血液フラッシュバックチャンバ内に取り込まれた血液中の酸素濃度を示すように構成されており、続いて取り込まれた血液中の酸素濃度が静脈血または動脈血と一致するかどうかを判断して、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別する。
【0012】
いくつかの実施形態では、酸素センサは、血液フラッシュバックチャンバ内に配置された化学製剤である。化学製剤は、取り込まれた血液中の酸素濃度を比色表示するように構成されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、化学製剤は、少なくとも緩衝剤および発色試薬を含む。
いくつかの実施形態では、緩衝剤はアルカリ性緩衝剤であり、発色試薬はインジゴカルミンである。
【0014】
いくつかの実施形態では、ハブは、取り込まれた血液中の酸素濃度が静脈血と動脈血のどちらと一致するかを比色的に判断するための単純比較器を備えている。
また、本明細書では、静脈穿刺と動脈穿刺とをインピーダンスによって区別するように構成された穿刺システムを開示している。穿刺システムは、いくつかの実施形態では、穿刺装置および外部メーターを含む。穿刺装置は、針、針の上に配置されたハブ、および針内に配置された少なくとも1対の電極を含む。針は、シャフト、シャフトの内径によって画定される内腔、およびシャフトの遠位端部分における先端を含む。ハブは、シャフトの近位端部分の上に配置される。1対の電極は、シャフト内に配置され、シャフト内の血液のインピーダンスを測定するために小電流を印加および検出するように構成されている。外部メーターは1対の電極に結合されている。外部メーターは、シャフト内の血液の電気抵抗率からインピーダンスを決定し、そのインピーダンスを静脈血または動脈血で予想されるインピーダンスと比較し、そのインピーダンスが静脈血または動脈血と一致するかどうかを示すことで、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成されている。
【0015】
また、本明細書では、圧力センサによって静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成された穿刺システムを開示している。穿刺システムは、いくつかの実施形態では、穿刺装置および外部メーターを含む。穿刺装置は、針、針の上に配置されたハブ、および針内に配置された圧力センサを含む。針は、シャフト、シャフトの内径によって画定される内腔、およびシャフトの遠位端部分における先端を含む。ハブは、シャフトの近位端部分の上に配置される。圧力センサは、シャフト内に配置されて、シャフトに入った血液から生じる圧力の変化に反応するように構成されている。外部メーターは圧力センサに結合されている。外部メーターは、圧力センサから受け取った圧力の変化から平均血圧を決定し、平均血圧を静脈血または動脈血で予想される平均血圧と比較し、平均血圧が静脈血または動脈血と一致するかどうかを示すことで、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、圧力センサは、非変形性の基板上に変形可能なダイヤフラムを有する微小電気機械システムであり、それによって、圧力の変化に応答してコンデンサ(capacitor)が形成される。圧力センサは、圧力の変化に対応する静電容量(capacitance)の変化を、圧力の変化として外部メーターに送るように構成されている。
【0017】
また、本明細書では、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するための方法も開示している。この方法は、いくつかの実施形態では、穿刺装置を用いた穿刺によって患者の静脈または動脈にアクセスすること、および静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するために穿刺区別手段を参照する(consult)ことを含む。穿刺区別手段は、穿刺装置の血液フラッシュバックチャンバに取り込まれた血液中の酸素を測定するための酸素センサ、穿刺装置の針内の血液のインピーダンスを測定するための1対の電極、または針に入る血液から生じる圧力の変化を測定するための圧力センサを含む。穿刺装置は、針および針の上に配置されたハブを含む。針は、シャフト、シャフトの内径によって画定される内腔、およびシャフトの遠位端部分における先端を含む。ハブは、シャフトの近位端部分の上に配置される。ハブは、針の内腔と連通する血液フラッシュバックチャンバを含み、針による穿刺によって患者の静脈または動脈にアクセスする際に、血液フラッシュバックチャンバに血液のアリコートを取り込むように構成されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、この方法はさらに、電気化学センサのカソードでの酸素の電気化学的還元によって発生する電流の測定値を用いて、電気化学センサを使って、取り込まれた血液中の酸素濃度を穿刺区別手段によって決定すること、穿刺区別手段によって、取り込まれた血液中の酸素濃度を静脈血または動脈血で予想される酸素濃度と比較すること、および、穿刺区別手段によって、取り込まれた血液が静脈血であるか動脈血であるかを示すことで静脈穿刺と動脈穿刺とを区別することを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、この方法はさらに、穿刺区別手段によって、光学センサの光検出器による赤色光および赤外光の吸光度測定を用いて、光学センサを使って取り込まれた血液中の酸素濃度を決定すること、穿刺区別手段によって、取り込まれた血液中の酸素濃度を静脈血または動脈血で予想される酸素濃度と比較すること、および、穿刺区別手段によって、取り込まれた血液が静脈血であるか動脈血であるかを示すことで静脈穿刺と動脈穿刺とを区別することを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、この方法はさらに、穿刺区別手段によって、針のシャフトに配置された1対の電極間の血液の電気抵抗からインピーダンスを決定すること、穿刺区別手段によって、インピーダンスを静脈血または動脈血で予想されるインピーダンスと比較すること、および、穿刺区別手段によって、インピーダンスが静脈血または動脈血と一致するかどうかを示し、それによって静脈穿刺と動脈穿刺とを区別することを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、この方法はさらに、穿刺区別手段によって、針のシャフトに入る血液から平均血圧を、シャフトに配置された微小電気機械圧力センサの静電容量の変化によって決定すること、穿刺区別手段によって、この平均血圧を静脈血または動脈血で予想される平均血圧と比較すること、および、穿刺区別手段によって、平均血圧が静脈血または動脈血と一致するかどうかを示し、それによって静脈穿刺と動脈穿刺とを区別することを含む。
【0022】
本明細書で提供される概念のこれらおよび他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に開示する添付の図面および以下の説明を考慮して、当業者にとってより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】いくつかの実施形態による穿刺装置およびカテーテルを示す。
【
図2】いくつかの実施形態による穿刺装置の上に配置された
図1のカテーテルを示す。
【
図3】いくつかの実施形態による第1のタイプの酸素センサを含む穿刺装置を示す。
【
図4】いくつかの実施形態による第2のタイプの酸素センサを含む穿刺装置を示す。
【
図5】いくつかの実施形態による第3のタイプの酸素センサを含む穿刺装置を示す。
【
図6】いくつかの実施形態によるインピーダンスを利用した穿刺システムを示す。
【
図7】いくつかの実施形態による血圧感知式穿刺システムを示す。
【
図8】いくつかの実施形態による、拡張期血圧と収縮期血圧の3分の1の合計としての平均血圧を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の複数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有し得ることも理解されたい。
【0025】
本明細書で使用される用語に関して、これらの用語は、いくつかの特定の実施形態を説明することを目的とするものであり、これらの用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、特徴またはステップのグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、シリアルまたは数値の制限を提供しない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」などの表示は便宜上のものであり、例えば特定の固定された位置、方向、向きなどを意味するものではない。代わりに、そのような表示は、例えば、相対的な位置、向き、または方向を反映するために使用される。「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」の単数形には、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の対象が含まれる。
【0026】
例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位」、「近位部分」または「近位端部分」に関して、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位の長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができる。しかしながら、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0027】
例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「遠位」、「遠位部分」または「遠位端部分」に関して、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近くまたは患者の体内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位の長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近くまたは患者の体内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに、患者の近くまたは患者の体内にあることを意図したカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができる。しかしながら、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0028】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
図1は、いくつかの実施形態による、穿刺装置100およびカテーテル199を示している。
図2は、いくつかの実施形態による、穿刺装置100の上に配置されたカテーテル199を示している。
【0029】
図に示すように、穿刺装置100は、針110およびハブ120を含む。針110は、シャフト112、シャフト112の内径によって画定される内腔114、およびシャフト112の遠位端部分における先端116を含む。ハブは、シャフトの近位端部分の上に配置される。ハブ120は、針110の内腔114と連通する血液フラッシュバックチャンバ122を備えており、血液フラッシュバックチャンバ122は、針による穿刺によって患者の静脈または動脈にアクセスする際に、血液のアリコートを中に取り込むように構成されている。血液フラッシュバックチャンバ122は、臨床医が血液フラッシュバックチャンバ内の取り込まれた血液を視覚化できるように透明に構成されている。血液があれば、穿刺装置100が患者の血管にうまく入ったことを示すが、静脈や動脈などの血管の種類は、血液フラッシュバックチャンバ122に入った血液だけではわからない。このため、静脈への穿刺(すなわち静脈穿刺)と動脈への穿刺(すなわち動脈穿刺)とを区別するための、穿刺装置、穿刺装置を含む穿刺システム、およびその方法について以下に述べる。そのような穿刺装置は、干渉することなくカテーテル199などのカテーテルを穿刺装置の上に配置できるように構成される。
【0030】
血中酸素検知装置およびシステム
静脈血と動脈血との間の血中酸素の差が比較的大きいため、血中酸素検出装置およびそのような装置を含むシステムは、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するのに有用である。
【0031】
図3は、いくつかの実施形態による、第1のタイプの酸素センサを含む穿刺装置300を示している。穿刺装置300は、以下に記載するような第1のタイプの酸素センサによって、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成されている。
【0032】
図に示すように、穿刺装置300は、針110などの針、針の上に配置されたハブ320、およびハブ320と統合された酸素センサ330を含む。針は、シャフト312、シャフト312の内径によって画定される内腔314、およびシャフト312の遠位端部分にある針110の先端116などの先端を含む。ハブ320は、シャフト312の近位端部分の上に配置される。ハブ320は、針の内腔314と連通する血液フラッシュバックチャンバ322を含む。血液フラッシュバックチャンバ322は、針で穿刺して患者の静脈または動脈にアクセスする際に、その中に血液のアリコートを取り込むように構成されている。酸素センサ330は、血液フラッシュバックチャンバ322内に取り込まれた血液中の酸素を測定して、続いて取り込まれた血液中の酸素濃度を決定し、取り込まれた血液中の酸素濃度を静脈血または動脈血で予想される酸素濃度と比較し、さらに取り込まれた血液が静脈血であるか動脈血であるかを示すことで静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成されている。
【0033】
酸素センサ330は、半透膜336によって血液フラッシュバックチャンバ322から分離された電解質中に配置されたアノード332およびカソード334を含む電気化学センサである。酸素センサ330がポラログラフィック酸素センサとして構成されている場合、アノード332は銀であり、カソード334は金または白金などの貴金属であり、電解質は塩化カリウム水溶液である。酸素センサ330がガルバニ酸素センサとして構成されている場合、アノード332は亜鉛、鉛、または別の活性金属であり、カソード334はニッケルまたは銀などの貴金属であり、電解質は塩化ナトリウム水溶液または水酸化ナトリウム水溶液である。酸素センサ330がポラログラフィック酸素センサであってもガルバニ酸素センサであっても、半透膜336は、取り込まれた血液中の酸素が半透膜336を透過するように構成されており、酸素はカソード334で電気化学的還元される。カソード334で酸素が還元されると、取り込まれた血液中の酸素の分圧に比例した測定可能な電流が発生する。
【0034】
電気化学センサは、超音波トランスデューサと任意に統合できる外部メーター302に結合することができ、それによって、穿刺装置300を含む穿刺システムを形成する。外部メーター302は、前述の測定可能な電流から、取り込まれた血液中の酸素濃度を決定するために、そのメモリ内にアルゴリズムを有するように構成することができる。メ外部メーター302は、取り込まれた血液中の酸素濃度を、静脈血または動脈血で予想される酸素濃度と比較するために、メモリ内に別のアルゴリズムを有するように構成することができる。外部メーター302は、取り込まれた血液が静脈血であるか動脈血であるかを示して、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するためのディスプレイ(図示せず)を有するように構成することができる。少なくともポラログラフ酸素センサの場合、外部メーター302はまた、カソード334で酸素を電気化学的に還元するためのアノード332とカソード334との間の電位を一定に保つために、電気化学センサ330に電流を供給するように構成することもできる。
【0035】
図4は、いくつかの実施形態による、第2のタイプの酸素センサを含む穿刺装置を示している。穿刺システムは、以下に記載する第2のタイプの酸素センサによって、穿刺装置400を用いて静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成される。
【0036】
図に示すように、穿刺システムは、穿刺装置400および外部メーター402を含む。穿刺装置400は、針110などの針と、針の上に配置されたハブ420とを含む。針は、シャフト412、シャフト412の内径によって画定される内腔414、およびシャフト412の遠位端部分にある針110の先端116などの先端を含む。ハブ420は、シャフト412の近位端部分の上に配置される。ハブ420は、針の内腔414と連通する血液フラッシュバックチャンバ422を含む。血液フラッシュバックチャンバ422は、針で穿刺して患者の静脈または動脈にアクセスする際に、その中に血液のアリコートを取り込むように構成されている。外部メーター402は、穿刺装置400の血液フラッシュバックチャンバ422の周りに配置するように構成された酸素センサ430を備えている。酸素センサ430は、血液フラッシュバックチャンバ422内に取り込まれた血液中の酸素を測定して、続いて取り込まれた血液中の酸素濃度を決定し、取り込まれた血液中の酸素濃度を静脈血または動脈血で予想される酸素濃度と比較し、さらに取り込まれた血液が静脈血であるか動脈血であるかを示すことで静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成されている。
【0037】
酸素センサ430は、外部メーター402のLEDハウジング435に配置された赤色LED432、LEDハウジング435に配置された赤外線LED434、およびLEDハウジングの反対側の外部メーターの光検出器ハウジング437に配置された光検出器436を含む光学センサである。任意選択で、LEDハウジング435および光検出器ハウジング437は同じハウジングであり、穿刺装置400の血液フラッシュバックチャンバ422を支えるために「C」形状で構成されている。取り込まれた血液などに含まれる酸素化ヘモグロビンは、脱酸素化(または還元)ヘモグロビンに比べて、赤外光をより多く吸収し、赤色光をより多く透過させる(脱酸素化ヘモグロビンは赤色光をより多く吸収し、赤外光をより多く透過させる)。したがって、LED432は、最適化された600~750nmの波長で赤色光を放出するように構成され、一方、LED434は、最適化された850~1000nmの波長で赤外光を放出するように構成される。任意選択で、LED432およびLED434の相関関係(function)は、赤色光と赤外光とを異なるタイミングで放出するように構成された単一のLEDで具体化される。
【0038】
超音波トランスデューサと任意に統合することができる外部メーター402は、そのメモリ内にアルゴリズムを有するように構成することができ、アルゴリズムは、光検出器436によって提供される赤色光および赤外光の吸光度測定を用いて、メモリ内のルックアップテーブルから、取り込まれた血液中の酸素濃度を決定するように構成される。外部メーター402は、取り込まれた血液中の酸素濃度を、静脈血または動脈血で予想される酸素濃度と比較するために、メモリ内に別のアルゴリズムを有するように構成することができる。外部メーター302は、取り込まれた血液が静脈血であるか動脈血であるかを示して、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するためのディスプレイ(図示せず)を有するように構成することができる。
【0039】
図5は、いくつかの実施形態による、第3のタイプの酸素センサを含む穿刺装置500を示している。穿刺装置500は、以下に記載するような第3のタイプの酸素センサによって、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成されている。
【0040】
図に示すように、穿刺装置は、針110などの針、針の上に配置されたハブ520、およびハブ520と統合された酸素センサを含む。針は、シャフト512、シャフト512の内径によって画定される内腔514、およびシャフト512の遠位端部分にある針110の先端116などの先端を含む。ハブ520は、シャフト512の近位端部分の上に配置される。ハブ520は、針の内腔514と連通する血液フラッシュバックチャンバ522を含む。血液フラッシュバックチャンバ522は、針で穿刺して患者の静脈または動脈にアクセスする際に、その中に血液のアリコートを取り込むように構成されている。酸素センサは、臨床医などのユーザに血液フラッシュバックチャンバ内に取り込まれた血液中の酸素濃度を示すように構成されており、次に、取り込まれた血液中の酸素濃度が静脈血または動脈血と一致するかどうかを判断して、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別する。
【0041】
酸素センサは、血液フラッシュバックチャンバ520内に配置された化学製剤である。化学製剤は、取り込まれた血液中の酸素濃度を比色表示するように構成されている。化学製剤は、少なくとも発色試薬と、発色試薬が機能できる特定のpH範囲内に発色試薬を保つように構成された緩衝剤とを含む。発色試薬はインジゴカルミンであってもよく、緩衝剤は、インジゴカルミンを約8~9のpHに保つように構成されたアルカリ性緩衝液であってもよい。
【0042】
ハブ520は、取り込まれた血液中の酸素濃度が静脈血または動脈血と一致するかどうかをユーザが比色的に判断するために、その上に印刷された単純な比較器524を含むことができる。任意選択で、単純な比較器524は、穿刺装置500に備えられた紙または板紙上に設けられる。
【0043】
インピーダンスを利用した装置およびシステム
静脈血と動脈血とのインピーダンスの差は比較的小さいかもしれないが、インピーダンを利用した装置とそのような装置を含むシステムは、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するのに役立つ。
【0044】
図6は、いくつかの実施形態による、インピーダンスを利用した穿刺システムを示している。穿刺システムは、以下に示すように、インピーダンスによって、穿刺装置600を用いて静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成されている。
【0045】
図に示すように、穿刺システムは、穿刺装置600および外部メーター602を含む。穿刺装置600は、針610、針610上に配置されたハブ620、および針610内に配置された少なくとも1対の電極630を含む。針610は、シャフト612、シャフト612の内径によって画定される内腔614、およびシャフト612の遠位端部分における針610の先端616を含む。ハブ620は、シャフト612の近位端部分の上に配置される。任意選択で、ハブ620は、針610の内腔614と連通している血液フラッシュバックチャンバ622を含み、血液フラッシュバックチャンバ622は、針610による穿刺によって患者の静脈または動脈にアクセスする際に、その中に血液のアリコートを取り込むように構成される。1対の電極630は、シャフト内に配置され、シャフト内の血液のインピーダンスを測定するために小電流を印加および検出するように構成されている。血液フラッシュバックチャンバ622が存在する場合、1対の電極630は、血液フラッシュバックチャンバ622内に代替的に配置されてもよく、血液フラッシュバックチャンバ622内の血液のインピーダンスを測定するために小電流を印加および検出するように構成される。外部メーター602は、超音波トランスデューサと任意に統合することができ、1対の電極に結合されている。外部メーター602は、シャフト612(または血液フラッシュバックチャンバ622)内の血液の電気抵抗率からインピーダンスを決定するために、そのメモリ内にアルゴリズムを有するように構成することができる。外部メータ602は、そのインピーダンスを静脈血または動脈血で予想されるインピーダンスと比較するために、メモリ内に別のアルゴリズムを有するように構成することができる。外部メーター602は、インピーダンスが静脈血または動脈血と一致するかどうかを示して、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するためのディスプレイ(図示せず)を備えるように構成することができる。
【0046】
血圧検知装置およびシステム
静脈血圧P
venousと平均動脈圧MAPとの比較によって
図8に示すように、静脈血と動脈血との間の血圧Pの差が比較的大きいため、血圧検知装置およびそのような装置を含むシステムは、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するのに有用である。
【0047】
図7は、いくつかの実施形態による血圧検知式穿刺システムを示している。穿刺システムは、以下に述べるように、血圧によって、穿刺装置700を用いて静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するように構成されている。
【0048】
図に示すように、穿刺システムは、穿刺装置700および外部メーター702を含む。穿刺装置700は、針710、針710上に配置されたハブ720、および針710内に配置された圧力センサ730を含む。針710は、シャフト712、シャフト712の内径によって画定される内腔714、およびシャフト712の遠位端部分の先端716を含む。ハブ720は、シャフト712の近位端部分の上に配置される。任意選択で、ハブ720は、針710の内腔714と連通している血液フラッシュバックチャンバ722を含み、血液フラッシュバックチャンバ722は、針710による穿刺によって患者の静脈または動脈にアクセスする際に、その中に血液のアリコートを取り込むように構成される。圧力センサ730は、シャフト712に入った血液から生じる圧力の変化に反応できるように、シャフト712内に配置されている。外部メーター702は、超音波トランスデューサと任意に統合することができ、圧力センサ730に結合されている。外部メーター702は、圧力センサ730から受け取った圧力の変化から平均血圧を決定するために、そのメモリ内にアルゴリズムを有するように構成することができる。外部メーター702は、平均血圧を静脈血または動脈血で予想される平均血圧と比較するために、メモリ内に別のアルゴリズムを有するように構成することができる。外部メーター702は、平均血圧が静脈血または動脈血と一致するかどうかを示して、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するためのディスプレイ(図示せず)を備えるように構成することができる。
【0049】
圧力センサ730は、非変形性の基板上に変形可能なダイヤフラムを有する微小電気機械システムであってもよく、それによって、圧力の変化に反応するコンデンサを形成する。圧力センサ730は、圧力の変化に対応する静電容量の変化を、圧力の変化として外部メーター702に送るように構成されている。
【0050】
方法
前述の穿刺装置および穿刺装置を含む穿刺システムを考慮して、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するための方法も提供される。
【0051】
静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するための方法は、穿刺装置300、400、500、600、700を用いた穿刺によって患者の静脈または動脈にアクセスすること、および、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するための穿刺区別手段を参照することを含み、穿刺区別手段は、穿刺装置300、400、500の血液フラッシュバックチャンバ322、433、522に取り込まれた血液中の酸素を測定するための酸素センサ330、430、穿刺装置600の針610内の血液のインピーダンスを測定するための1対の電極630、または穿刺装置700の針710に入る血液から生じる圧力の変化を測定するための圧力センサ730を含む。穿刺区別手段は、穿刺装置300、400、500、600、700のいずれか1つの構成要素、または静脈穿刺と動脈穿刺とを区別するための前述の穿刺装置を含むシステムを含む。
【0052】
この方法は、外部メーター302のメモリ内のアルゴリズムによって、電気化学センサのカソード334での酸素の電気化学的還元によって発生する電流の測定値を用いて、電気化学センサとして構成された酸素センサ330を使って取り込まれた血液中の酸素濃度を決定すること、外部メーター302のメモリ内の他のアルゴリズムによって、取り込まれた血液中の酸素濃度を、静脈血または動脈血で予想される酸素濃度と比較すること、および、取り込まれた血液が静脈血であるか動脈血であるかを外部メーター302のディスプレイ上に示し、それによって、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別することをさらに含むことができる。
【0053】
この方法は、外部メーター402のメモリ内のアルゴリズムによって、光学センサの光検出器436による赤色光および赤外光の吸収度測定を用いて、光学センサとして構成された酸素センサ430を使って取り込まれた血液中の酸素濃度を決定すること、外部メーター402のメモリ内の他のアルゴリズムによって、取り込まれた血液中の酸素濃度を、静脈血または動脈血で予想される酸素濃度と比較すること、および、外部メーター402のディスプレイ上に、取り込まれた血液が静脈血であるか動脈血であるかを示し、それによって、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別することをさらに含むことができる。
【0054】
この方法は、外部メーター602のメモリ内のアルゴリズムによって、針610のシャフト612に配置された1対の電極630間の血液の電気抵抗率からインピーダンスを決定すること、外部メーター602のメモリ内の他のアルゴリズムによって、そのインピーダンスを静脈血または動脈血で予想されるインピーダンスと比較すること、および、そのインピーダンスが静脈血または動脈血と一致するかどうかを外部メーター602のディスプレイ上に示し、それによって、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別することをさらに含むことができる。
【0055】
この方法は、外部メーター702のメモリ内のアルゴリズムによって、シャフト712に配置された微小電気機械式圧力センサ730の静電容量の変化による、針710のシャフト712に入る血液からの平均血圧を決定すること、外部メーター702の他のアルゴリズムによって、その平均血圧を静脈血または動脈血で予想される平均血圧と比較すること、および、外部メーター702のディスプレイ上に、その平均血圧が静脈血または動脈血と一致するかどうかを示し、それによって、静脈穿刺と動脈穿刺とを区別することをさらに含むことができる。
【0056】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されており、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を制限することは意図されていない。追加の適合および/または修正は、当業者には明らかであり得、より広い態様では、これらの適合および/または修正もまた包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から逸脱することができる。
【外国語明細書】