(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112978
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】アゴニスト抗体の活性を増強する抗体重鎖定常領域配列
(51)【国際特許分類】
C07K 16/00 20060101AFI20240814BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240814BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240814BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20240814BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240814BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240814BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240814BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20240814BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240814BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
C07K16/00 ZNA
C07K19/00
C07K16/28
C07K16/46
A61P35/00
A61P37/06
A61P29/00
A61K39/39
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K39/395 E
A61K39/395 D
A61K38/16
C07K16/00
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024087108
(22)【出願日】2024-05-29
(62)【分割の表示】P 2021088589の分割
【原出願日】2017-06-08
(31)【優先権主張番号】201610404956.7
(32)【優先日】2016-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】518436135
【氏名又は名称】シャンハイ ジャオ トン ユニバーシティ スクール オブ メディシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リ フービン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ シャオボー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン イェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ インジエ
(72)【発明者】
【氏名】シー フアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン フイフイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バイオ医薬品分野、特にアゴニスト抗体又はアゴニスト分子(重鎖定常領域配列を含む融合タンパク質)の活性を増強できる重鎖定常領域配列と分子、及び当該重鎖定常領域に基づき構築された抗体又は融合タンパク質を提供する。
【解決手段】CH1ドメインと、ヒンジ領域と、CH2ドメインと、CH3ドメインとを含む重鎖定常領域を提供し、上記のCH1ドメインとヒンジ領域の配列は、ヒトIgG2由来のCH1ドメインとヒンジ領域の配列であり、上記のCH2ドメインとCH3ドメインの配列は、ヒトIgG由来のCH2ドメインとCH3ドメイン配列であり、かつ上記の抗体重鎖定常領域のヒトFcγRIIBとの親和性は、ヒトIgG1のヒトFcγRIIBとの親和性より大きいか等しい、上記の抗体重鎖定常領域のI/A比率は、ヒトIgG1のI/A比率より大きいか等しい。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N端末からC端末まで順に配列させて連結されたCH1ドメインとヒンジ領域とCH2ドメインとCH3ドメインとを含む重鎖定常領域であって、上記のCH1ドメインとヒンジ領域との配列は、ヒトIgG2由来のCH1ドメインとヒンジ領域との配列であり、上記のCH2ドメインとCH3ドメインとの配列は、
a) ヒトIgG1由来のCH2ドメインとCH3ドメインとの配列、ただし、上記のC
H2ドメインとCH3ドメインとが、G237DとP238DとP271GとA330Rとの変異を含む;或いは
b)ヒトIgG1由来のCH2ドメインとCH3ドメインとの配列、ただし、上記のCH2ドメインとCH3ドメインとが、G237DとP238DとH268DとP271GとA330Rとの変異を含む;或いは
c)ヒトIgG2由来のCH2ドメインとCH3ドメインとの配列、ただし、上記のCH2ドメインとCH3ドメインとが、S267EとL328Fとの変異を含む;或いは
d) ヒトIgG2由来のCH2ドメインとCH3ドメインとの配列、ただし、上記のCH
2ドメインとCH3ドメインとが、H268DとP271Gとの変異を含む;
重鎖定常領域。
【請求項2】
上記の抗体重鎖定常領域は、SEQ ID NO:11或いはSEQ ID NO:12或いはSEQ ID NO:13或いはSEQ ID NO:14に示される配列を有することを特徴とする請求項1に記載された重鎖定常領域。
【請求項3】
N端末からC端末まで順に配列させて連結されたCH1ドメインとヒンジ領域とCH2ドメインとCH3ドメインとを含む重鎖定常領域であり、上記のCH1ドメインとヒンジ領域との配列は、ヒトIgG2由来のCH1ドメインとヒンジ領域との配列であり、上記のCH2ドメインとCH3ドメインとの配列は、ヒトIgG由来のCH2ドメインとCH3ドメインとの配列であり、かつ上記の抗体重鎖定常領域のヒトFcγIIBとの親和性は、ヒトIgG1のヒトFcγIIBとの親和性より大きいか等しく、上記の抗体重鎖定常領域のI/A比率は、ヒトIgG1のI/A比率より大きいか等しい、重鎖定常領域。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一つに記載された重鎖定常領域及び上記の重鎖定常領域のN端及び/又はC端に位置する抗原結合モジュールを含む、融合タンパク質。
【請求項5】
上記の抗原結合モジュールは、抗体の抗原結合断片、アドネクチン、ナノボディ、ミニ抗体、アフィボディー、アフィリン、受容体の標的結合領域、細胞接着分子、リガンド、酵素、サイトカイン或いはケモカインから選ばれる、請求項4に記載された融合タンパク質。
【請求項6】
上記の抗原結合モジュールは、ナノボディである、請求項4に記載された融合タンパク質。
【請求項7】
上記の抗原結合モジュールは、リガンドであり、上記のリガンドは、免疫共刺激分子であり、上記の免疫共刺激分子は、CD80、CD86、ICOSL、OX40L、CD137L、CD40L、CD30L、CD27L、CD244、CD150、CD48、CD84、CD319、Ly118CD229或いはSLAMF8から選ばれる、請求項4に記載された融合タンパク質。
【請求項8】
上記の抗原結合モジュールが標的にする抗原は、CD40、DR5、OX40、CD137、CD27、CD30、GITR、HVEM、TACI、DR4又はFASから選ば
れる、請求項4に記載された融合タンパク質。
【請求項9】
上記の抗原結合モジュールが標的にする抗原は、CD40である、請求項4に記載された融合タンパク質。
【請求項10】
上記の抗原結合モジュールが標的にする抗原は、PD-1、CTLA-4、VISTA、TIM-3、BTLA或いはLAG-3から選ばれる、請求項4に記載された融合タンパク質。
【請求項11】
上記の抗原結合モジュールは、リガンドであり、上記のリガンドは、免疫抑制性リガンド分子であり、上記の免疫抑制性リガンド分子は、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、CD47、VISTA、HVEM又はGAL9から選ばれる、請求項4に記載された融合タンパク質。
【請求項12】
請求項1~3のいずれか一つに記載された重鎖定常領域を含む抗体。
【請求項13】
上記の抗体は、アゴニスト抗体である、請求項12に記載された抗体。
【請求項14】
上記の抗体は、IgGである、請求項12に記載された抗体。
【請求項15】
上記の抗体は、ヒト抗体或いはヒト化抗体或いはキメラ抗体である、請求項12に記載された抗体。
【請求項16】
上記の抗体が標的にする抗原は、CD40、DR5、OX40、CD137、CD27、CD30、GITR、HVEM、TACI、DR4又はFASから選ばれる、請求項12に記載された抗体。
【請求項17】
上記の抗体が標的にする抗原はCD40である、請求項12に記載された抗体。
【請求項18】
上記の抗体の軽鎖は、SEQ ID NO:47に示された配列を有し、上記の抗体的重鎖は、SEQ ID NO:27或いはSEQ ID NO:43に示された配列を有する、請求項15に記載された抗体。
【請求項19】
上記の抗体が標的にする抗原はDR5である、請求項12に記載された抗体。
【請求項20】
上記の抗体が標的にする抗原は、免疫抑制性受容体分子であり、かつ上記の免疫抑制性受容体分子は、PD-1、CTLA-4、VISTA、TIM-3、BTLA又はLAG-3から選ばれる、請求項12に記載された抗体。
【請求項21】
抗がん薬物の調製における、請求項4~9のいずれか一つに記載された融合タンパク質又は請求項12~19のいずれか一つに記載された抗体の使用。
【請求項22】
a)治療有効量の請求項4~9のいずれか一つに記載された融合タンパク質又は請求項12~19のいずれか一つに記載された抗体;及びb)薬学的に許容される薬物担体;を含む増殖性疾患を治療する薬物組成物。
【請求項23】
請求項9に記載された融合タンパク質又は請求項17~18のいずれか一つに記載された抗体のワクチンアジュバンドとしての使用。
【請求項24】
a)治療有効量の請求項9に記載された融合タンパク質又は請求項17~18のいずれ
か一つに記載された抗体;及びb)ワクチン;を含むワクチン組成物。
【請求項25】
腫瘍の予防及び/又は治療における請求項24に記載されたワクチン組成物の使用。
【請求項26】
炎症及び/又は自己免疫症状を軽減する薬物の調製における、請求項10或いは11に記載された融合タンパク質又は請求項20に記載された抗体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオ医薬品分野、特にアゴニスト抗体又はアゴニスト分子(重鎖定常領域配列を含む融合タンパク質)の活性を増強できる重鎖定常領域配列と分子、及び当該重鎖定常領域に基づき構築された抗体又は融合タンパク質に関わる。
【背景技術】
【0002】
抗体と重鎖定常領域(Fc断片を含む)に基づく分子標的療法は、抗体と重鎖定常領域融合タンパク質を含み、過去30年間にバイオ医薬品分野に大きな成功を収めながら、引き続き当該分野の焦点になり、複数の疾患の治療のための新しい方法と可能性を提供する。既に承認された重鎖定常領域に基づく生物治療手段(包括重鎖定常領域融合タンパク質的分子)は、約30個があり、ただし、臨床試験段階におけるのは300個超、作用方式より、これらの生物治療は、主に三類に分けられる:標的(分子と細胞)を取り除くエフェクター分子と、標的が関与するシグナル経路を遮断する阻断型分子と、標的の下流シグナル経路を活性化するアゴニスト分子。
【0003】
近年に、腫瘍の免疫療法が、重大な進展を遂げた。これは、免疫を抑制するノードを遮断することで、免疫細胞の活性を向上する、腫瘍を殺滅する抗体を使用することのかげである。しかしながら、ただいま相変わらず、多くのがん患者は、既存の治療手段に反応しない。そして、一方では、既存の腫瘍免疫療法の手段を最適化する必要があり、他方では、新しい腫瘍免疫療法の薬物を研究開発することは、急務である。特に、「アゴニスト抗体」と呼ばれる腫瘍免疫療法手段は、免疫細胞の表面との結合によって、免疫活性化シグナルの標的分子を転送し、かつそれに制御される重要な免疫活性化シグナル経路を活性化して、さらに抗腫瘍免疫応答を増強して、間接に腫瘍細胞を殺滅できる。しかしながら、アゴニスト腫瘍免疫療法の抗体の大きな可能性は、既に動物モデルに証明され、かつ広くに納得されだけではなく、将来性があるとみられる腫瘍免疫療法構想になるが、これらの抗体の研究開発がまだ成功していない、腫瘍免疫療法の分野における大きな課題です。また、アゴニスト抗体の活性化も、他の生物学過程における肝心なシグナル経路を介入・調整する有利な手段であり、疾患の予防と制御及び治療分野に広い応用見通しがある。たとえば、免疫抑制シグナル経路を活性化すると、炎症と自己免疫症状の軽減に役立つ可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
発明の内容
本発明が主に解決しようとする技術問題は、バイオ医薬品分野、特にアゴニスト抗体又はアゴニスト分子(重鎖定常領域配列を含む融合タンパク質)の活性を増強できる重鎖定常領域配列と分子、及び当該重鎖定常領域に基づき構築された抗体又は融合タンパク質を提供することである。
【0005】
上記の技術問題を解決するために、本発明に採用された技術案の一つは:
CH1ドメインと、ヒンジ領域と、CH2ドメインと、CH3ドメインとを含む重鎖定常領域を提供し、上記のCH1ドメインとヒンジ領域の配列は、ヒトIgG2由来のCH1ドメインとヒンジ領域の配列であり、上記のCH2ドメインとCH3ドメインの配列は、
a) ヒトIgG1由来のCH2ドメインとCH3ドメインの配列、ただし、上記のC
H2ドメインとCH3ドメインが、G237Dと、P238Dと、P271Gと、A330R変異を含む;或いは
b) ヒトIgG1由来のCH2ドメインとCH3ドメインの配列、ただし、上記のC
H2ドメインとCH3ドメインが、G237Dと、P238Dと、H268Dと、P271Gと、A330R変異を含む;或いは
c) ヒトIgG2由来のCH2ドメインとCH3ドメインの配列、ただし、上記のC
H2ドメインとCH3ドメインが、S267Eと、L328F変異を含む;或いは
d) ヒトIgG2由来のCH2ドメインとCH3ドメインの配列、ただし、上記のC
H2ドメインとCH3ドメインが、H268Dと、P271G変異を含む
から選べる。
【0006】
より好ましいのは、上記の重鎖定常領域が、SEQ ID NO:11に示されるような配列を有し、或いは上記の重鎖定常領域が、SEQ ID NO:12に示されるような配列を有し、或いは上記の重鎖定常領域が、SEQ ID NO:13に示されるような配列を有し、或いは上記の重鎖定常領域が、SEQ ID NO:14に示されるような配列を有する。
【0007】
なお、CH1ドメインと、ヒンジ領域と、CH2ドメインと、CH3ドメインとを含む重鎖定常領域も提供し、上記のCH1ドメインとヒンジ領域の配列は、ヒトIgG2由来のCH1ドメインとヒンジ領域の配列であり、上記のCH2ドメインとCH3ドメインの配列は、ヒトIgG由来のCH2ドメインとCH3ドメイン配列であり、かつ上記の抗体重鎖定常領域のヒトFcγRIIBとの親和性は、ヒトIgG1のヒトFcγRIIBとの親和性より大きいか等しいであり、上記の抗体重鎖定常領域のI/A比率は、ヒトIgG1のI/A比率より大きいか等しいである。
【0008】
好ましくに、上記の抗体重鎖定常領域のヒトFcγRIIBとの親和性は、ヒトIgG1のヒトFcγRIIBとの親和性の3.2倍又は以上であり、上記の抗体重鎖定常領域のI/A比率は、0.32より大きいか等しいである;同様に好ましくに、上記の抗体重鎖定常領域のヒトFcγRIIBとの親和性は、ヒトIgG1のヒトFcγRIIBとの親和性より大きいか等しいであり、上記の抗体重鎖定常領域のI/A比率は、1より大きいか等しいである;より好ましくに、上記の抗体重鎖定常領域のヒトFcγRIIBとの親和性は、ヒトIgG1のヒトFcγRIIBとの親和性の30倍又は以上であり、上記の抗体重鎖定常領域のI/A比率は、1より大きいか等しいである;より好ましくに、上記の抗体重鎖定常領域のヒトFcγRIIBとの親和性は、ヒトIgG1のヒトFcγRIIBとの親和性の60倍又は以上であり、上記の抗体重鎖定常領域のI/A比率は、40より大きいか等しいである;特くに好ましくに、上記の抗体重鎖定常領域のヒトFcγRIIBとの親和性は、ヒトIgG1のヒトFcγRIIBとの親和性の90倍又は以上であり、上記の抗体重鎖定常領域のI/A比率は、100より大きいか等しいである。
【0009】
本発明の実施例による重鎖定常領域は、高い阻害型Fc受容体の親和性を有し、著しくにアゴニスト抗体或いはアゴニスト分子(たとえばアゴニスト融合タンパク質)と阻害性Fc受容体との架橋を増強でき、そして上記のアゴニスト抗体或いはアゴニスト分子のアゴニスト活性を向上する;同時に、低い活性化型Fc受容体の親和性も有し、活性化型受容体により結合することによるADCC等の細胞毒性を低減できる。本発明の実施例による重鎖定常領域は、より優れる活性を有するアゴニスト抗体或いはアゴニスト分子の開発に用いられる。
【0010】
本発明のもう一つは、上記の的重鎖定常領域及び上記の重鎖定常領域のN端又はC端に位置する抗原結合モジュールを含む融合タンパク質を提供する。
好ましくに、上記の抗原結合モジュールは、抗体の抗原結合断片、adnectin、ナノボディ(nanobody)、ミニ抗体、アフィボディー(affibodies)、affilin、受容体の標的結合領域、細胞接着分子、リガンド、酵素、サイトカイン又はケモカインから選ばれるいずれか一つである;より好ましくに、上記の抗原結合モ
ジュールは、ナノボディである。
【0011】
ナノボディは、アルパカの抗体由来の重鎖可変領域であり、当該可変領域は、本発明の重鎖定常領域と融合し、完整なキャメル抗体構造(二つの重鎖からなる)を有するキメラ抗体分子を構築でき、このキメラ抗体分子は、同時にナノボディの高親和性と、高特異性及び本発明の重鎖可変領域のアゴニスト活性の増強された特性を有し、非常に良い開発見通しを持っている。
【0012】
もう一つの好ましい本発明の抗体の実施例において、上記の抗原結合モジュールは、リガンドであり、上記のリガンドは、免疫共刺激分子であり、上記の免疫共刺激分子は、CD80、CD86、ICOSL、OX40L、CD137L、CD40L、CD30L、CD27L、CD244、CD150、CD48、CD84、CD319、Ly118或いはCD229から選ばれるいずれか一つである。これらの融合タンパク質は、抗がん薬物として使えられる。
【0013】
もう一つの好ましい本発明の融合タンパク質の実施例において、上記の抗原結合モジュールが標的にする抗原は、CD40、DR5、OX40、CD137、CD27、CD30、GITR、HVEM、TACI、DR4又はFASから選ばれるいずれか一つである。
【0014】
本発明によるCD40に標的するアゴニスト分子(融合タンパク質)は、免疫助成剤として使えられる。当該免疫助成剤は、ワクチン(たとえばOVA)と共同使用できて、ワクチン組成物にして、腫瘍と感染の予防及び/又は治療に使えられる。
【0015】
もう一つの好ましい本発明の融合タンパク質の実施例において、上記の抗原結合モジュールが標的にする抗原は、PD-1、CTLA-4、VISTA、TIM-3、BTLA又はLAG-3から選ばれるいずれか一つである。これらの標的に用いられ際に、上記の融合タンパク質は、炎症及び/又は自身免疫症状を軽減する薬物、たとえば喘息を治療する薬物の調製に使えられる。
【0016】
もう一つの好ましい本発明の抗体の実施例において、上記の抗原結合モジュールは、リガンドであり、上記のリガンドは、免疫抑制性リガンドであり、上記の免疫抑制性リガンドは、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、CD47、VISTA、HVEM又はGAL9から選ばれるいずれか一つである。これらの標的に用いられ際に、上記の抗体は、炎症及び/又は自身免疫症状を軽減する薬物、たとえば喘息を治療する薬物の調製に使えられる。
【0017】
本発明のもう一つは、本発明の上記の重鎖定常領域を含む抗体を提供する。
好ましくに、上記の抗体は、アゴニスト抗体である。
好ましくに、上記の抗体は、IgGである。
【0018】
好ましくに、上記の抗体は、ヒト抗体又はヒト化抗体又はキメラ抗体である。
もう一つの好ましい本発明の抗体の実施例において、上記の抗体が標的にする抗原は、CD40、DR5、OX40、CD137、CD27、CD30、GITR、HVEM、TACI、DR4、FASから選ばれるいずれか一つである。
【0019】
さらに、上記の抗体が標的にする抗原はCD40である。
より好ましくに、上記の抗体の重鎖は、SEQ ID NO:27に示されるような配列を有し、上記の抗体の軽鎖は、SEQ ID NO:47に示されるような配列を有する;或いは上記の抗体の重鎖は、SEQ ID NO:43に示されるような配列を有し
、上記の抗体の軽鎖は、SEQ ID NO:47に示されるような配列を有する。
【0020】
本発明によるCD40を標的にするアゴニスト抗体は、免疫助成剤として使えられる。当該免疫助成剤は、ワクチン(たとえばOVA)と共同使用できて、ワクチン組成物にして、腫瘍と感染の予防及び/又は治療に使えられる。
【0021】
もう一つの好ましい本発明の抗体の実施例において、上記の抗体が標的にする抗原は、免疫抑制性受容体分子であり、かつ上記の免疫抑制性受容体分子は、PD-1、CTLA-4、VISTA、TIM-3、BTLA、LAG-3から選ばれるいずれか一つである。これらの標的に用いられ際に、上記の抗体は、炎症及び/又は自身免疫症状を軽減する薬物、たとえば喘息を治療する薬物の調製に使えられる。
【0022】
本発明は、さらに抗がん薬物の調製における、本発明の融合タンパク質或いは抗体の応用を提供する。
好ましくに、抗結腸がん薬物或いは抗線維肉腫薬物の調製に使用する。
【0023】
本発明は、さらに、本発明の融合タンパク質或いは抗体、及び薬学的に許容される薬物担体を含む薬物組成物を提供する。当該薬物組成物は、がんを治療する薬物の調製に使えられる。好ましくに、抗結腸がん薬物或いは抗線維肉腫薬物の調製に使用する。
【0024】
本発明は、さらに、人体に治療の有効投与量の本発明の融合タンパク質或いは抗体を適用することを含む人の内源性免疫応答を増強する方法を提供する。
本発明は、さらに、人体に治療の有効投与量の本発明の融合タンパク質或いは抗体を適用することを含む免疫治療方法を提供する。
【0025】
本発明の有益效果は:本発明に提供される重鎖定常領域配列が、アゴニスト抗体又はアゴニスト分子(重鎖定常領域配列を含む融合タンパク質)の活性を著しくに増強でき、報道された類似の分子と比べて、より優れる活性を増強する效果を有する;かつ本発明の重鎖定常領域配列を有するアゴニスト抗体又は融合タンパク質が、より優れる活性を有しながら、より広い有効投与量の範囲及びより良い安全性を有し、重要な市場価値を備える。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】
図2は重鎖定常領域の配列アラインメント図であり、異なる人IgGサブタイプ(IgG1、IgG2、IgG3とIgG4)の重鎖定常領域の構造を示す。
【
図3】
図3は、抗原結合活性テストであり、本発明によるアゴニスト抗マウスCD40と抗ヒトCD40抗体の実施例には、それぞれにマウスとヒトCD40抗原を特異性に結合できることを示す。抗CD40抗体とCD40抗原の結合は、ELISAで分析され、勾配のように希釈された各種の抗体が、コーティングされたマウスCD40(A)又はヒトCD40(B)と結合した後に、抗ヒトIgGに検出されたELISAシグナル(A650)を示す。
【
図4】
図4は、OVA特異性CD8陽性T細胞増幅モデルにおける各IgGサブタイプの活性テストであり、アゴニスト抗マウスCD40抗体の生体内活性は、抑制型Fcγ受容体FcγRIIBに特異性に依存することを示す。まず、図に示されたマウスは、OVA特異性CD8陽性T細胞(OT-I T細胞)に養子送達を行われ、1日後、パターン抗原OVA(DEC-OVAの形式で、OVAと抗DEC205抗体の融合タンパク質であり、OVA抗原を有効的に送達する手段である)とコントロール(Ctl IgG)或いは図に示された抗体定常領域を有する抗CD40抗体で、マウスを免疫して、6日後、フロー技術で脾臓におけるOT-I T細胞の増幅状況を分析する。OT-I T細胞の増幅程度が、アゴニスト抗マウスCD40抗体が、OVAに免疫されたマウスにおける、OVAパターン抗原特異性CD8陽性T細胞の活性化・増幅する活性を促進することを反映する。実験に使用された抗マウスCD40抗体の投与量は、30μg/マウスである。(A)アゴニスト抗CD40抗体の活性には、Fcγ受容体の参与と相互作用は必要; (B)Fcγ受容体と結合する能力を有しないヒトIgG2(G2-NA)抗体は、免疫を活性化する活性がない; (C)抑制型Fcγ受容体を発現しないマウス(R2-/-)において、アゴニスト抗CD40抗体は活性を有しないが、ヒト化抑制型Fcγ受容体のマウス(R2-/-hR2BTg)において、抑制型Fcγ受容体は、免疫を活性化する活性を単独に駆動できる。
【
図5】
図5は、マウス脾臓細胞の生体外刺激実験であり、人のアゴニスト抗CD40抗体の生体外活性は、抑制型Fcγ受容体に依存することを示す。B細胞を活性化する活性分析は、アゴニスト抗ヒトCD40抗体の生体内活性が、ヒト抑制型Fcγ受容体の生体内活性の駆動に依存することを示す。図に示された遺伝子型を有するマウス(hCD40
Tg/hFCGR
Tg:同時にヒトCD40とFcγRsを発現するもの;hCD40
Tg/hR2B-/-:ヒトCD40と人のFcγ受容体(FcγRIIBを除く)を発現するもの)から脾臓細胞を分離して、図に示されたコントロール或抗ヒトCD40抗体を有する培地に、48時間にかけて培養して、その後、フロー技術でB細胞活化標識分子CD80、CD86の発現水平を分析して、CD80とCD86発現レベルの上昇の程度は、抗CD40抗体の活性を反映する。2B6は、ヒト抑制性Fcγ受容体FcγRIIB特異性な遮断抗体である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例による重鎖定常領域実施例のELISA分析試験であり、異なる重鎖定常領域(JAC3とJAC4を含む)とヒトFcγ受容体(FcγRI、FcγRIIA-R131及びFcγRIIB)の結合特性が異なることを示す。テスト方法はELISAであり、図に示された組換え抗ヒトCD40抗体でコーティングして、ビオチンにマークされた図に示されたようなヒトFcγ受容体分子と、コーティングされた抗体と、の結合を検出する。
【
図7】
図7は、OVA特異性CD8陽性T細胞増幅モデルにおける活性テストであり、JAC1配列を有する抗CD40抗体は、ヒトIgG2抗CD40抗体の活性より優れることを示す。分析方法は、
図4に示されたが、使用されたマウスは、それぞれにhFCGR
Tgマウス(A)とhCD40
Tg/ hFCGR
Tgマウス(B)であり、抗CD40抗体の投与量は、10μg/マウスである。示されたOT-I T細胞の数量が、抗CD40抗体に誘導されたOT-I T細胞の活化と増幅の活性を反映する。
【
図8】
図8は、JAC3(anti-hCD40-hIgG2-SELF)とJAC4(anti-hCD40-hIgG2-HDPG)を含む抗ヒトCD40抗体が、hIgG2より強いアゴニスト活性を有することを示す。図に示された抗ヒトCD40抗体が、B細胞を活性化する活性は、それぞれに、hCD40
TghFCGR
Tg脾臓細胞(A)とPMBC細胞(B)において、検出された。B細胞を活性化する活性分析は、ヒトhIgG2と比べて、anti-hCD40-hIgG2-SELF、anti-hCD40-hIgG2-HDPGがアゴニスト抗CD40抗体活性をもっとサポートできることを示す。図に示された抗ヒトCD40抗体が、B細胞を活性化する活性は、それぞれに、hCD40
TghFCGR
Tg脾臓細胞(A)とPMBC細胞(B)において、検出された。図に示された勾配のように希釈された濃度のコントロール或いはアゴニスト抗ヒトCD40抗体を有する培養液で、細胞を48時間にかけて培養して、その後、フロー技術で、マウスB細胞活化標識分子CD86の発現レベル(A)或いは人B細胞活化標識分子CD54の発現レベルを分析する。これらの分子の発現レベルの上昇の程度は、抗CD40抗体の活性を反映する。
【
図9】
図9は、hIgG3と比べて、hIgG2のCH1-ヒンジ領域が、アゴニスト抗CD40抗体に、強い生体内の免疫を活性化する活性を与えられることを示す。
図4と
図7と同じ方法で、hFCGR
Tgマウスには、OVAワクチンモデルでそれぞれに、図に示された異なる抗マウスCD40抗体の活性を分析して、OT-I T細胞の増幅程度が、抗CD40抗体の活性を反映する。抗体の投与量は、10μg/マウスである。(A)4つのhIgGサブタイプには、hIgG2サブタイプが、かなり強い免疫を活性化する活性を示すが、ほかのhIgGサブタイプ、すなわちhIgG1、hIgG3とhIgG4は、基本的に活性を有しない。(B)コントロールグループと比べて、hIgG2は、明らかな活性を有するが、hIgG2のCH1-ヒンジ領域がhIgG3のCH1-ヒンジ領域に置換されたバリアントhIgG2(H3)は、基本的に活性を有しない。
【
図10】
図10は、IgG1とIgG3のCH1-ヒンジ領域と比べて、ヒトIgG2のCH1-ヒンジ領域が、OVAワクチンモデルにおける抗CD40抗体の免疫アゴニスト活性をもっとサポートできることを示す。
図4と
図7と同じ方法で、hFCGR
Tgマウスには、OVAワクチンモデルでそれぞれに、図に示された異なる抗マウスCD40抗体の活性を分析して、OT-I T細胞の増幅程度(A)とCD8:CD4割合(B)が、抗CD40抗体の活性を反映する。抗体の投与量は、10μg/マウスである。
【
図11】
図11は、OVAワクチンモデルにおいて、ヒトIgG2(Anti-mCD40-hIgG2)と、V11(H1)を含む抗マウスCD40抗体(Anti-mCD40-hIgG1(V11))と比べて、JAC1を含む抗マウスCD40抗体(Anti-mCD40-hIgG2(V11))は、より優れる活性を有することを示す。
図4と
図7と同じ方法で、hFCGR
Tgマウスには、OVAワクチンモデルでそれぞれに、図に示された異なる抗マウスCD40抗体の活性を分析して、OT-I T細胞の増幅程度(A)とCD8:CD4割合(B)が、抗CD40抗体の活性を反映する。抗体の投与量は、10μg/マウスである。
【
図12】
図12は、PBMC生体外刺激実験において、ヒトIgG2(Anti-hCD40-hIgG2)と、V11(H1)を含む抗ヒトCD40抗体(Anti-hCD40-hIgG1(V11))と比べて、JAC1を含む抗ヒトCD40抗体(Anti-hCD40-hIgG2(V11))は、より優れる活性を有することを示す。
【
図13】
図13は、MC38腫瘍成長曲線であり、MC38腫瘍モデルにおいて、ヒトIgG2(Anti-mCD40-hIgG2)と、V11(H1)を含む抗マウスCD40抗体(Anti-mCD40-hIgG1(V11))と比べて、JAC1を含む抗マウスCD40抗体(Anti-mCD40-hIgG2(V11))は、より優れる活性を有することを示す。hFCGR
Tgマウスは、0日目にMC38腫瘍細胞を皮下移植され、腫瘍形成後に、7日目と10日目に、二回に腹腔内注射で図に示された抗体を投与して、治療を行って、投与量は、マウス1匹あたり毎回31.6μgであり、その後、腫瘍の体積(Tumor Volume)の変化(グループあたりは7匹マウス)を測量する。
【
図15】
図15は、MO4腫瘍成長曲線であり、MO4マウス線維肉腫モデルにおいて、ヒトIgG2(Anti-mCD40-hIgG2)と、V11(H1)を含む抗マウスCD40抗体(Anti-mCD40-hIgG1(V11))と比べて、JAC1を含む抗マウスCD40抗体(Anti-mCD40-hIgG2(V11))は、より優れる活性を有することを示す。hFCGR
Tgマウスは、0日目にMO4腫瘍細胞を皮下移植され、腫瘍形成後に、7日目に、腹腔内注射で図に示された抗体とパターン抗原OVA(OVAと抗DEC205抗体の融合タンパク質の形式として)を投与して、治療を行って、投与量は、マウス1匹あたり31.6 μg抗体と、2μg OVAパターン抗原であり、その後、腫瘍の体積を測量する。
【
図16】
図16は、MC38腫瘍成長曲線であり、IgG Fc受容体ノックアウトマウス( FcγR
-/- )には、アゴニスト抗マウスCD40抗体が抗腫瘍活性を有しないことを示す。
【
図17】
図17は、OVAワクチンモデルにおいて、低い投与量の、JAC1を含む抗マウスCD40抗体(Anti-mCD40-hIgG2(V11))が活性を有することを示す。
図4と
図7と同じ方法で、hFCGR
Tgマウスには、OVAワクチンモデルでそれぞれに、図に示された異なる投与量のコントロールとJAC1抗マウスCD40抗体の活性を分析して、OT-I T細胞の増幅程度が、抗CD40抗体の活性を反映する。
【
図18】
図18は、OVAワクチンモデルにおいて、JAC4を含む抗マウスCD40抗体は強いアゴニスト活性を有することを示す。
図4と
図7と同じ方法で、hFCGR
Tgマウスには、OVAワクチンモデルでそれぞれに、図に示された異なる抗マウスCD40抗体の活性を分析して、OT-I T細胞の増幅程度が、抗CD40抗体の活性を反映する。
【
図19】
図19は、JAC1を含む抗DR5抗体は、より強いアポトーシスを促進する能力を有することを示す。抗DR5抗体活性をサポートする能力は、ヒトIgG2より優れて、かつヒト抑制性Fcγ受容体に依存する。コントロールと異なる抗マウスDR5抗体が、それぞれに、図に示された遺伝子型マウス脾臓細胞(FcgR-/-或hFCGR
Tg)を存在しない又は存在する場合に、及びヒト抑制性Fcγ受容体特異性遮断抗体2B6存在しない又は存在する場合に、MC38細胞を処理して、その後、MC38細胞におけるCaspase-3の活化状況(Active caspase-3 (%)、抗DR5抗体が、DR5下流細胞アポトーシスシグナルの活性を活性化することを反映するもの)を分析する。
【
図20】
図20は、抗体定常領域と活性化型Fcγ受容体の結合能力の向上(I/A比率の低下)が、アゴニスト抗CD40的活性を低減させることを示す。図において、バリアントanti-mCD40-hIgG1-SDIEとバリアントanti-mCD40-hIgG1-GASDALIEは、活性化型Fcγ受容体とのより強い結合能力と、より低いI/A比率を有して、その生体内免疫活性化活性は、より高いI/A 比率を有する抗体anti-mCD40-G1(H2)より低い、そして、OT1細胞の割合と、OT1細胞の絶対数及びCD8+T細胞の割合がいずれも著しくに低下することを表して、活性化型Fcγ受容体との結合能力が抗体の活性に重要な影響を有することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
特に記載がない限り、本明細書で使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。また、本明細書に特に限定されていない限り、単数の用語は複数を含み、複数の用語は単数を含む。一般に、本明細書に記載される細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、およびタンパク質と核酸化学に関わる命名法および技術は、当技術分野において公知なものであり、一般的に用いられている。
【0028】
本発明の方法および技術は、一般に、当技術分野で公知の従来の方法に従って行われ、特に限定されていない限り、本明細書に列挙された一般的および専門的な参考文献に記載されている。たとえば、SambrookなどのMolecular Cloning:
A Laboratory Manual、第2版(Cold Spring Harbor
Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989))及びAusubelなどのCurrent Protocols in Molecular Biology(Greene Publishing Associates (1992)、及びHarlowとLaneのAntibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1990))を参照して、その内容は引用の方式で本明細書に取り入られる。酵素反応および精製技術は、製造者の指示に従って行われ、一般に、当該分野で公知の方法または本明細書に記載の方法に従って実施することができる。本明細書に記載される生物学、薬理学、および医学および薬学に関連する命名法、ならびに実験方法と技術は、当技術分野において公知なものであり、一般的に用いられている。化学合成方法、化学分析方法、医薬品製造方法、調製方法および送達方法、および患者の治療方法には、いずれも標準的な技術が用いられる。
【0029】
特に断りのない限り、以下の用語は以下の定義を有する:
用語「抗体」(「mAb」)又は「モノクローナル抗体」とは、単一な分子組成を有する抗体分子(すなわち、一次配列が基本的に同じで、かつ特定なエピトープに対して、単一な結合特異性と、親和性を表す抗体分子)の調製品である。抗体は、ハイブリドーマ、組換え、トランスジーン又は当業者が既知した他の技術より製造できる。
【0030】
「抗体」が、免疫グロブリン(Ig)を含むが、それに限定されない。物理化学性質と生物学的な機能によって、抗体は、IgM、IgG、IgA、IgE、IgDの五種類に分けられる。ヒトIgGが、IgG1、IgG2、IgG3とIgG4の四つのサブクラスを含む(Vidarsson G, Dekkers G and Rispens T (2014) IgG subclasses and allotypes: from structure to effector functions. Front. Immunol. 5:520)。本発明には、hIgG1、hIgG2、hIgG3とhIgG4は、それぞれに、人のIgG1、IgG2、IgG3とIgG4を表す。
【0031】
「抗体」が、特異性に抗原と結合し、かつ少なくともジスルフィド結合で互いに連結する二つの重鎖(H)と二つの軽鎖(L)を含む。各重鎖が、重鎖可変領域(本明細書には、単にVHという)と、重鎖定常領域(本明細書には、単にCHという)を含む;各軽鎖が、軽鎖可変領域(VL)と軽鎖定常領域(CL)を含む。抗体の「重鎖定常領域」は、CH1、CH2とCH3の三つのドメイン、及びCH1ドメインとCH2ドメインの間に位置するヒンジ領域(Hinge)を含む。
図1は、IgG抗体の基本構造の模式図を示す。
【0032】
Kabatなどが、重鎖と軽鎖可変領域の多くの一次配列を集めた。彼らは、配列の保存程度に基づき、各の一次配列をCDRとフレームに分けて、かつそれらのリストを作成する(SEQUENCES OF IMMUNOLOGICAL INTERES T,第5版, NIHpublication, No. 91-3242, E. A. Kabatなどを参照して、全てを取り入れて参考になる)。IMGTデータには、ヒトIgGの各ドメインのEU指数は整理された(http://www.imgt.org/IMGTScientificChart/ Numbering/Hu_IGHGnber.html)。IgG抗体の背景において、重鎖定常領域のCH1ドメインとは、KabatのEU指数に基づき番号をつけられたサイト118-215である;重鎖定常領域のCH2ドメインとは、KabatのEU指数に基づき番号をつけられたサイト231-340である;重鎖定常領域とCH3ドメインとは、KabatのEU指数に基づき番号をつけられたサイト341-447である;重鎖定常領域のヒンジ領域(Hinge)が、サイト216 (IgGl中的E216)-230(IgGl中的P230)を含み、ただしKabatなどのEU指数に基づき番号をつけられた。
図2は、ヒトのIgG1、IgG2、IgG3とIgG4の重鎖可変領域の配列アラインメント図を示す。
【0033】
各軽鎖は、「軽鎖可変領域」(本明細書には、単にVLという)と「軽鎖定常領域」を含む。軽鎖定常領域は、一つのドメインCLからなるものである。VHとVL領域は、更に、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる高度可変な領域に細かく分かれ、それらの間に、比較的に保存な、フレーム領域(FR)と呼ばれる領域が散在してある。各VHとVLは、三つのCDRと四つのFRからなり、アミノ末端からカルボキシ末端まで、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順に並べる。重鎖と軽鎖の可変領域は、抗原と互いに作用する結合ドメインを含む。
【0034】
「Fc領域」(結晶化可能領域)又は「Fcドメイン」又は「Fc」とは、抗体の重鎖におけるC-末端領域であり、それが、免疫システムの各種の細胞(たとえば、エフェクター細胞)に位置するFc受容体との結合、或いは古典的補体系の第一成分(C1q)と
の結合を含む、免疫グロブリンと宿主組織或いは因子との結合を仲介する。IgG、IgAとIgD抗体のアイソタイプには、Fc領域は、抗体の二つの重鎖のCH2ドメインと、CH3ドメインの二つの同一のタンパク質断片からなる;IgMとIgEのFc領域は、各ポリペプチド鎖に三つの重鎖恒定ドメイン(CHドメイン2-4)を含む。免疫グロブリンの重鎖のFc領域の限界は変化できるが、ヒトIgG重鎖のFc領域は、通常に、重鎖のC226或P230位置のアミノ残基からカルボキシ末端までの配列断片と定義され、ただし、当該番号は、Kabatのように、EU指数に基づくものである。本明細書に使用されたように、Fc領域は、天然配列のFcであっても良い、或いはバリアントFcであっても良い。
【0035】
「Fc受容体」又は「FcR」は、免疫グロブリンのFc領域と結合する受容体である。IgG抗体と結合するFcRは、FcγRファミリーの受容体を含み、これらの受容体の対立遺伝子バリアントと選択的スプライシング形式も含む。ヒトFcγ受容体ファミリーは、いくつのメンバーを含む: FcγRI (CD64)、FcγRIIA (CD32a)、FcγRIIB (CD32b)、FcγRIIIA (CD16a)、FcγRIIIB (CD16b)。その中、FcγRIIBは、唯一の抑制性Fcγ受容体であり、他のは、いずれも活化型Fcγ受容体である。大多数の自然エフェクター細胞型が、一種又は多種の活性化性FcγRと抑制性FcγRIIBを共発現するが、ナチュラルキラー(NK)細胞が、選択的に一つの活性化性Fcγ受容体(在マウス中是FcγRIII、在人中是FcγRIIIA)を発現しつつ、マウスとヒトに、抑制性FcγRIIBを発現しない。これらのFcγ受容体の分子構造が異なるから、各IgG抗体サブクラスに対する異なる親和性を有する。これらのFcγ受容体の中、FcγRIは、高親和性の受容体であるが、FcγRIIA、FcγRIIBとFcγRIIIAは、低親和性の受容体である。遺伝子多型も、これらの異なるFcγ受容体に存在しつつ、それらの結合親和性に影響する。最も一般的な遺伝子多型は、FcγRIIAのR131/H131と、FcγRIIIAのV158/F158などの多型形式である。これらの多型形式の中、多種の疾患に関係することを見つかれることもあり、一部の特定な治療抗体の效果も、患者が特定なFcγ受容体遺伝子多型形式を持つか否かに依存する。
【0036】
本発明に記載された「配列」は、本発明の配列と実質的に同一の配列を含むと理解され、上記の「実質的に同一の配列」とは、最適化アラインメントされた後に、例えばGAP又はBESTFITプログラムを採用し、使用デフォルトギャップ値で測定する際に、二種類のペプチド配列の間に、少なくとも70、75或80%の配列同一性を有し、好ましくに、少なくとも90或95%の配列同一性を有し、より好ましくに、少なくとも97、98或99%の配列同一性を有する。好ましくに、異なる残基位置の相違は、保存性のアミノ酸置換であるは思わしい。「保存性のアミノ酸置換」とは、その中のアミノ酸残基は、別の化学的な性質(たとえば:電荷又は親水性)が類似する側鎖のR基を有するアミノ酸残基で置換されることである。一般的に、保存性のアミノ酸置換は、実質的にタンパク質の機能と性質を変わらない。その中の二種類又は複数種のアミノ酸配列の相違は、保存性の置換である場合に、配列の同一性百分比或いは類似性は向上され、置換作用の保存性を訂正する。たとえば、Pearson、Methods Mol.Biol.243:
307-31(1994)を参照する。化学的な性質が類似する側鎖を有するアミノ酸基の実例は、1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、とイソロイシン;2)脂肪族-ヒドロキシル基側鎖:セリンとトレオニン;3)アミドを含有する側鎖:アスパラギンとグルタミン;4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、とトリプトファン;5)アルカリ側鎖:リシン、アルギニン、とヒスチジン;6)酸性側鎖:アスパラギン酸とグルタミン酸;及び7)硫黄を含有する側鎖:システイン与メチオニンを含む。好ましい保存性のアミノ酸置換のグループは、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リシン-アルギニン、アラニン-バリン、グルタミン酸-アスパラギン酸、及びアスパラギン-グルタミンである。
【0037】
本発明の抗体及びその断片或いはドメインのアミノ酸のシリアルナンバーは、IgG EU番号(http://www.imgt.org/ IMGTScientificChart/ Numbering/Hu_IGHGnber.html)に基づくものである。抗体は、一般的に高親和性でその関連する抗原と特異性に結合し、10-5-10-11M又はより小さい解離定数(KD)を表す。約10-4M-1より大きい、任意なKDは、一般的に非特異性の結合を指示する。本明細書に使用されたように、抗原と「特異性に結合」する抗体とは、高親和性で、抗原や基本的に同一の抗原と結合する抗体であり、それは、KDは、10-7M又はより小さい、好ましくに10-8M又はより小さい、より好ましくに5× 10-9M又はより小さい、最も好ましくに10-8-10-10M又はより小さいことを表すが、高親和性で関係がない抗原と結合しない。抗原が、指定された抗原と、高い配列同一性を表し、たとえば、指定された抗原の配列と、少なくとも80%、少なくとも90%、好ましくに少なくとも95%、より好ましくに少なくとも97%、又はより好ましくに少なくとも99%の配列同一性を表すと、当該抗原は、指定された抗原とは、「基本的に同一」なものである。
【0038】
本発明に記載された「抑制性Fcγ受容体及び活化性Fcγ受容体に対する親和性の比率」或いは「I/A比率」とは、タンパク質分子が、抑制性Fc受容体に対する親和性と、活性化性Fc受容体に対する親和性との比率であり、本発明には、I/A比率は、以下のように計算される:I/A比率=[KD(hFcγRIIA)或いはKD(hFcγRIIIA)の中に比較に低いKD値]/KD(hFcγRIIB);ただし、KD(hFcγRIIA)は、当該分子がhFcγRIIA受容体(バリアントhFcγRIIA-R131を代表とする)に対する平衡解離定数であり、KD (hFcγRIIIA)は、当該分子がhFcγRIIIA受容体(バリアントhFcγRIIIA-F158を代表とする)に対する平衡解離定数であり、KD(hFcγRIIB)は、当該分子が、hFcγRIIB受容体に対する平衡解離定数である;hFcγRIIAとは、ヒトのFcγRIIA受容体であり、hFcγRIIIAとは、ヒトのFcγRIIIA受容体であり、hFcγRIIBとは、ヒトのFcγRIIB受容体である。上記の「親和性」とは、二つの分子の間の結合能の大きさであり、通常に、KDで計測する。
【0039】
「KD」とは、二つの分子が(たとえば:特定な抗体と抗原、或いはリガンドと受容体)互いに作用する平衡解離定数である。「抗原結合モジュール」とは、高親和性で特異性に抗原と結合するタンパク質であり、抗体の抗原結合断片、adnectin、 ナノボディ(nanobody)、ミニ抗体、アフィボディー(affibodies)、affilin、受容体の標的結合領域、細胞接着分子、リガンド、酵素、サイトカイン、とケモカインなどを含むが、それらに限らない。抗原結合モジュールが標的にする抗原は、TNF受容体スーパーファミリーメンバー、免疫抑制性受容体分子などを含むが、それらに限らない。
【0040】
用語「抗体の抗原結合部分」とは、抗原と結合する責任をもつ抗体のアミノ酸残基である。抗体の抗原結合部分は、「相補性決定領域」又は「CDR」由来のアミノ酸残基を含む。「フレームワーク」又は「FR」領域は、本明細書に定義された高度可変領域に属しない、これらの可変領域である。したがって、抗体の軽鎖と重鎖可変ドメインは、N末端からC末端まで、領域FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3とFR4を含む。特に、重鎖のCDR3は、抗原の結合と、抗体の性能を定義することに最も寄与する領域である。CDRとFRは、Kabatなどの、SEQ ID NO:uences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD(1991)の標準定義及び/又は「高度可変環」の残基より確定される。
【0041】
本発明の「抗体」は、たとえば天然に存在する、或いは天然に存在しない抗体;モノクローナルとポリクローナル抗体;キメラとヒト化抗体;ヒト或いは非ヒト抗体;完全合成抗体を含む。
【0042】
「ヒト」抗体とは、その可変領域は、ヒト生殖系免疫グロブリン配列由来のフレーム領域とCDR領域を有する抗体である。なお、抗体が定常領域を含有すると、定常領域もヒト生殖系免疫グロブリン配列由来のものである。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖系免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(たとえば、生体外でのランダムまたは部位特異的突然変異や、生体内での体細胞突然変異によって、導入された突然変異)を含んでも良い。しかしながら、本明細書に使用されたように、用語「ヒト抗体」は、他の哺乳動物種(マウスのような)種系由来のCDR配列を、ヒトフレーム配列に移植してなる抗体を含むことを意図しない。用語「ヒト」抗体は、「完全ヒト」抗体との同義語として使用される。
【0043】
「ヒト化」抗体とは、その中の非ヒト抗体CDRドメインを除く一部、大部分或いは全部のアミノ酸は、ヒト免疫グロブリン由来の相応のアミノ酸に取り替えられる抗体である。ヒト化形式抗体の一つの実施の形態において、CDRドメインを除く一部、大部分或いは全部のアミノ酸は、ヒト免疫グロブリン由来のアミノ酸に取り替えられるが、一つ又は以上のCDR領域のうちの一部、大部分又は全部のアミノ酸は変わらない。抗体が、特定な抗原と結合する能を取り除かない限り、アミノ酸に対する小さい付加、欠失、挿入、置換または修飾は許容される。「ヒト化」抗体は、オリジナル抗体に類似する抗原特異性を保留する。
【0044】
「キメラ抗体」とは、可変領域と定常領域は、それぞれに異なる種に由来する抗体であり、たとえば可変領域は、マウス抗体に由来するが、定常領域はヒト抗体に由来する抗体である。
【0045】
「アゴニスト抗体」は、受容体と結合し、かつ受容体を活性化する抗体である。アゴニスト抗体の機能の実例は、1)抗DR5のアゴニスト抗体が、DR5と結合し、かつDR5受容体を発現する細胞のアポトーシスを誘導する;2)抗CD40のアゴニスト抗体が、免疫細胞の表面と結合することで、免疫活性化シグナルの標的分子を転送し、かつそれに制御された重要な免疫活性化シグナル経路を活性化し、そして抗腫瘍免疫応答を増強し、間接に腫瘍細胞を殺滅できることを含むが、それらに限定されない。
【0046】
臨床研究段階に入ったアゴニスト抗体の一部の実例を、以下の表1に示す。
【0047】
【0048】
【0049】
上記の表に示されたアゴニスト抗体は、重鎖定常領域を本発明の重鎖定常領域に取り替えることで、より高いアゴニスト活性を得られる。或いは、本発明のアゴニスト抗体は、上記の表に示されたアゴニスト抗体の抗原結合断片を採用し、特定なTNF受容体スーパーファミリーメンバーに対する活性を増強されたアゴニスト抗体を構成できる。
【0050】
「免疫共刺激因子」とは、免疫細胞活化に、第二活化シグナルを提供するリガンド分子である。MHC/抗原ペプチド-T細胞受容体(TCR)に第一シグナルを提供する以外に、T細胞の活化には、さらにB7/CD28、ICOSL/ICOS、OX40L/OX40、4-1BBL/4-1BBなどを含むものが共刺激シグナルを提供することも必要が有る。B細胞の活化には、抗原/B細胞受容体(BCR)以外に、CD40L/CD40などが提供する共刺激シグナルも必要が有る。こんなシグナル経路におけるリガンド分子は、免疫共刺激因子である。本発明には、好ましい免疫共刺激因子の実例は、B7(CD80、CD86)、ICOSL、OX40L/CD134、4-1BBL/CD137L、CD40L/CD154、CD30L/CD153、CD27L/CD70或いはSLAMファミリー分子(CD244、CD150、CD48、CD84、CD319、Ly108、CD229、SLAMF8)など含むが、それらに限定されない。
【0051】
本明細書の「腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー」或いは「TNF受容体スーパーファミリー」とは、TNFファミリーのサイトカインと結合できる受容体ポリペプチドである。一般的に、これらの受容体は、その細胞外領域に一つ又は以上のシステイン豊富の重複配列を有するI型膜貫通受容体である。TNF遺伝子ファミリーの中のサイトカインの実例は、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、腫瘍壊死因子-β(TNF-β又はリンパ毒素)、CD30リガンド、CD27リガンド、CD40リガンド、OX-40リガンド
、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド(Fasリガンド又はCD95リガンドとも言う)、Apo-2リガンド(TRAILとも言う)、Apo-3リガンド(TWEAKとも言う)、osteoprotegerin(OPG)、APRIL、RANKリガンド(TRANCEとも言う)、とTALL-1(BlyS、BAFF又はTHANKとも言う)を含む。TNF受容体スーパーファミリーの中の受容体の実例は、1型腫瘍壊死因子受容体(TNFR1)、2型腫瘍壊死因子受容体(TNFR2)、p75神経成長因子受容体(NGFR)、B細胞表面抗原CD40、T細胞抗原OX-40、Apo-1受容体(Fas又はCD95)、Apo-3受容体(DR3、sw1-1、TRAMPとLARDとも言う)、「膜貫通型の活性化因子およびCAMLインタラクタ(interactor)」又は「TACI」と呼ばれる受容体、BCMAタンパク質、DR4、DR5(或いは、Apo-2;TRAIL-R2、TR6、Tango-63、hAPO8、TRICK2又はKILLERとも言う)、DR6、DcR1(TRID、LIT又はTRAIL-R3とも言う)、DcR2(TRAIL-R4又はTRUNDDとも言う)、OPG、DcR3(TR6又はM68とも言う)、CAR1、HVEM(ATAR又はTR2とも言う)、GITR、ZTNFR-5、NTR-1、TNFL1、CD30、リンパ毒素β受容体(LTBr)、4-1BB受容体和TR9(EP988,371 A1)を含む。本発明には、好ましいTNF受容体スーパーファミリーメンバーの実例は、CD40、DR5、OX40、CD137、CD27、CD30、GITR、HVEM、TACI、DR4或いはFASなどを含むが、それらに限定されない。
【0052】
「免疫抑制性受容体」は、膜貫通糖タンパク質の一つであり、免疫細胞内の活化シグナルの伝達を抑制或いは遮断でき、本発明の実施例において、免疫抑制性受容体分子は、PD-1、CTLA-4、VISTA、TIM-3、BTLA或いはLAG-3などを含むが、それらに限定されない。
【0053】
「免疫抑制性リガンド」は、免疫抑制性受容体のリガンドであり、免疫抑制性受容体と結合し、かつその下流の抑制性シグナルを活性化でき、本発明の実施例において、免疫抑制性リガンド分子は、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、VISTA、HVEM或いはGAL9のいずれかの一つを含むが、それらに限定されない。
【0054】
「免疫応答」とは、脊椎動物生体内における、外来の作用媒介に対する生物学応答であり、当該応答が、生物体を、これらの作用媒介或いはそれによる疾患の傷害から保護できる。免疫応答は、免疫システムの細胞(たとえば、T淋巴細胞、B淋巴細胞、ナチュラルキラーNK)細胞、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞或好中球)とこれらの細胞のいずれか一つ又は肝臓に産生される可溶性巨大分子(抗体、サイトカインと補体を含む)の作用によるものであり、それが、脊椎動物生命体が病原体、細胞又は病原体に感染される組織、がん細胞或いは他の異常細胞に侵入すること、或いは自己免疫性又は病理学的炎症に、正常のヒト細胞又は組織を選択性に標的、結合、損害、破壊、及び/又は除去することを引く。
【0055】
「免疫療法」とは、免疫応答を誘導、強化、抑制或いは修飾することを含む方法で、疾患を有し、疾患が発生するリスクがあり、或いは疾患を再発する被験者を治療することである。
【0056】
「内因性免疫応答を増強」とは、被験者の生体内に既有の免疫応答の有効性又は強度を強化することである。こんな效率と潜在力の強化は、たとえば、内因性の宿主免疫応答に対する抑制を克服する機構で、或いは内因性の宿主免疫応答に対する強化を刺激する機構で達成できる。
【0057】
薬物又は治療剤(たとえば本発明の融合タンパク質或いは抗体)の「治療有効量」又は
「治療有効投与量」とは、薬物の以下のように記載された任意の量である:当該量の薬物を、単独に使用し、又は別の治療剤と組み合わせて使用する際に、疾患の退行を促進できる;疾患の退行は、疾患の症状の重症度の軽減、疾患の症状がない期間の頻度と期間の増加、或いは疾患による障害又は不自由の防止に表れる。薬物の治療有効量又は投与量は、「予防有効量」又は「予防有効投与量」を含み、「予防有効量」又は「予防有効投与量」とは、薬物の以下のように記載された任意の量である:当該量の薬物を、単独に、又は別の治療剤と組み合わせて、疾患が発生するリスクがあり、或いは疾患を再発する被験者に給与する際に、疾患の発生または再発を阻害できる。治療剤が、疾患の退行を促進する、又は疾患の進展や再発を阻害する能は、当業者が既知の各方法で評価でき、たとえば人被験者の臨床試験において、人における效力を予測する動物モデルシステムに、或いは生体外の測定システムに、試薬の活性を測定できる。
【0058】
例を挙げると、抗がん剤(治療がんの薬物組成物)が、被験者の生体内の腫瘍の退行を促進する。好ましい実施の形態において、治療有効量の薬物が癌細胞の退行ないしがんの消除を促進する。「がんの退行を促進」とは、単独に、又は抗腫瘍剤(anti-neoplastic agent)と組み合わせて、治療有効量の薬物を投与することで、腫
瘍の成長や大きさの減少、腫瘍の壊死、少なくとも一つの疾患の症状の重症度の軽減、疾患の症状がない期間の頻度と期間の増加、疾患による障害又は不自由の防止を引き、或いは他の方式で患者の疾患の症状を改善することである。また、治療に関する「有効」と「有効性」という用語は、薬理学的な有効性と生理学的な安全性を含む。薬理学的な有効性とは、薬物が、患者がんの退行を促進する能を指す。生理学的な安全性とは、薬物の使用による細胞、器官及び/又は生物体レベルの毒性、或いは他の有害な生理效果(有害作用)のレベルを指す。
【0059】
腫瘍を治療する例として、治療されていない被験者と比べて、治療有効量又は投与量の薬物は、好ましくに、少なくとも約20%、より好ましくに少なくとも約40%、さらに好ましくに少なくとも約60%、かつもっとより好ましくに少なくとも約80%ほどに、細胞の成長、又は腫瘍の成長を抑制する。最も好ましい実施の形態において、治療有効量又は投与量の薬物は、完全に細胞の成長又は腫瘍の成長を抑制でき、すなわち、好ましくに、100%ほど細胞の成長又は腫瘍の成長を抑制する。化合物が、腫瘍の成長を抑制する能を、動物モデルシステムで評価でき、たとえば本明細書に記載されたMC38結腸腺癌マウス腫瘍モデルは、ヒト腫瘍における效力を予測できる。代わりに、組成物の当該性質は、化合物が細胞の成長を抑制する能を検出ことで評価でき、こんな抑制は、当業者が既知の測定方法で生体外に測量できる。本発明の他の好ましい実施の形態において、腫瘍の退行は、観察されて、かつこんな退行は、少なくとも約20日、より好ましくに少なくとも約40日、又はさらに好ましくに少なくとも約60日にかけて続ける。
【0060】
被験者に対する「治療」又は「療法」とは、疾患に関する症状、合併症、病気又は生化学的な指標の出現、進展、発展、重症度又は再発を、逆転、緩和、改善、抑制、減速または予防することを目的として、被験者にいずれかタイプの介入又は処理し、或いは活性剤を投与することである。
【0061】
本発明の免疫治療方法の好ましい実施の形態において、被験者は人である。
「がん」とは、異常な細胞が生体内に制御されなく成長することを特徴とする多様な疾患を指す。制御されない細胞分裂と成長が、悪性腫瘍又は細胞の形成を引き、それらが、近傍の組織に侵入しながら、リンパ系又は血流より、身体の遠位部分に転移する。本発明には、「がんを治療」の別の同等の記述は、「腫瘍を治療」或いは「抗がん」或いは「抗腫瘍」である。
【0062】
上記に記載されたように、本発明は、本発明の重鎖定常領域配列の抗体又は融合タンパ
ク質が、がんのような増殖性疾患を治療する応用を含む。がんは、身体の器官とシステムの正常機能細胞の成長を、制御されていないに障害する病症である。がんを有する被験者は、がん細胞が、被験者の生物体内に、客観的に測定可能に存在する被験者である。がんが進展する危険がある被験者は、がん(たとえば家族歴、遺伝的素因に基づき)が進展しやすい被験者や、放射線又は他のがんをもたらす試薬を接触する被験者である。元の部位から転移し、かつ重要な器官に接種するがんは、影響された器官の機能の退化で、最終的に被験者の死亡を引き起こす。造血器がん(例えば白血病)が、被験者の正常の造血器との競合に勝ち得り、そして、(貧血、血小板減少症と好中球減少症の形式で)造血不全になり、最終に死亡を引き起こす。
【0063】
本発明は、以下の内容を含む:多様ながん、又はがんが進展する危険がある被験者を治療するために、本発明の重鎖定常領域配列の抗体又は融合タンパク質を使用すること。こんながんの例としては、乳がん、前立腺がん、肺がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、黒素瘤、結腸がん、胃がん、肝がん、食道がん、腎臓がん、咽喉がん、甲状腺がん、膵臓がん、精巣がん、脳がん、骨がん和血液かん(例えば白血病、慢性リンパ球性白血病)などを含む。一つの実施例において、本発明のワクチン組成物は、免疫反応を刺激するために用いられ、腫瘍の成長の抑制又は遷延や、腫瘍の大きさの減少で、腫瘍を治療する。腫瘍に関する抗原は、主に(それらに限定されない)腫瘍細胞が発現する抗原であっても良い。
【0064】
他のがんは、基底細胞がん、胆道がん、膀胱がん、骨がん、脳および中枢神経系(CNS)がん、子宮頸がん、絨毛がん、結腸直腸がん、結合組織がん、消化器系がん、子宮内膜がん、食道がん、目がん、頭頸部がん、胃がん、上皮性腫瘍、腎臓がん、喉がん、肝がん、(小細胞、大細胞)肺がん、リンパ腫(ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫を含む);黒素瘤;神経芽細胞腫;口腔がん(たとえば唇、舌、口、及びのど);卵巣がん;膵臓がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸がん;呼吸器系がん;肉腫;皮膚がん;胃がん;精巣がん;甲状腺がん;子宮がん;泌尿器系がん;及び他のがんと肉腫を含むが、それらに限定されない。
【0065】
「ワクチン」とは、単独に投与し、又は補助剤と結合して投与する際に、免疫的な抗原特異性効果を引き起こす組成物である。保護を与える予防性ワクチンと、治療性ワクチンを含む。
【0066】
本発明のワクチン組成物が、治療又は予防できる感染は、バクテリア、ウイルス、真菌又は寄生虫を含む。他の珍しいタイプの感染は、リケッチア(rickettsiae)、マイコプラズマ(mycoplasms)と病原体(agents)に引かれるスクレイピー(scrapie)、牛海綿状脳症(BSE)及びプリオン病(たとえばクールー病(kuru)とクロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jacobdisease))を含む。人を感染するバクテリア、ウイルス、真菌又は寄生虫の例は、既知されたものである。感染は、急性、亜急性、慢性または潜在的なものであってよい、かつ局所または全身性なものであってよい。また、感染は、宿主における感染性生物因子のライフサイクルの少なくとも一つの段階に、主に細胞内又は細胞外に位置しても良い。
【0067】
本発明のワクチン組成物と方法で対抗できるバクテリア感染は、グラム陰性とグラム陽性菌を含む。グラム陽性菌の例として、パスツレラ属(Pasteurella)種、ブドウ球菌(Staphylococci)種とレンサ球菌(Streptococci)種を含むが、それらに限定されない。グラム陰性菌の例として、大腸菌(Escherichiacoli)、シュードモナス属(Pseudomonas)種とサルモネラ属(Salmonella)種を含むが、それらに限定されない。感染性バクテリアの特定の例として、ヘリコバクター・ピロリ(Heliobacterpyloris)、ボレリ
ア・ブルグドルフェリ(Borreliaburgdorferi)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionellapneumophilia)、マイコバクテリア属(Mycobacteria)種(たとえばマイコバクテリウム・ツベルクローシス(M.tuberculosis)、マイコバクテリウム・アビウム(M.avium)、マイコバクテリウム・イントラセルラーエ(M.intracellilare)、マイコバクテリウム・カンサシ(M.kansaii)、マイコバクテリウム・ゴルドネ(M.gordonae))、黄色ブドウ球菌(Staphylococcusaureus)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseriameningitidis)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeriamonocytogeners)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcuspyogenes)(A群レンサ球菌属)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcusagalactiae)(B群レンサ球菌属)、レンサ球菌属(緑膿菌群)、大便レンサ球菌(Streptococcusfaecalis)、ウシレンサ球菌(streptococcusbovis)、レンサ球菌属(Streptococcus)(aenorobicspp.)、肺炎レンサ球菌(Streptococcuspneumoniae)、病原性カンピロバクター属(pathogenicCampylobacter)種、エンテロコッカス属(Enterococcus)種、インフルエンザ菌(Haemophilusinfluenzae)、炭疽菌(Bacillusanthracis)、ジフテリア菌(Corynebacteriumdiptheriae)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)種、豚丹毒菌(Erysipelothrixrhusiopathie)、ウエルシュ菌(Clostridiumperfringens)、破傷風菌(Clostridiumtetani)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacteraerogenes)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiellapneumoniae)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurellamultocida)、バクテロイデス属(Bacteroides)種、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacteriumnucleatum)、トレプトバチルス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、梅毒トレポネーマ(Treponemapallidum)、トレポネーマ・ペルテヌエ(Treponemapertenue)、レプトスピラ属(Leptospira)、リケッチア属(Rickettsia)とアクチノマイセス・イスラエリー(Actinomycesisraelii)を含むが、それらに限定されない。
【0068】
人の感染を引き起こすウイルスの例として、レトロウイルス科(Retroviridae)(たとえばHIV-1(HTLV-IIIとも言う)、HIV-II、LAC或IDLV-III/LAV或HIV-IIIのようなヒト免疫不全ウイルス、及びHIV-LPのような他の分離株)、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)(たとえばポリオウイルス(poliovirus)、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス(enteroviruses)、ヒトコクサッキーウイルス(humanCoxsackieviruses)、ライノウイルス(rhinoviruses)、エコーウイルス(echoviruses))、カリシウイルス科(Calciviridae)(たとえば胃腸炎を引き起こす菌株)、トガウイルス科(Togaviridae)(たとえばウマ脳炎ウイルス(equine encephalitisviruses)、風疹ウイルス(rubellaviruses))、フラビウイルス科(Flaviviridae)(たとえばデング熱ウイルス(dengueviruses)、脳炎ウイルス(encephalitisviruses)、黄熱病ウイルス(yellowfeverviruses))、コロナウイルス科(Coronaviridae)(たとえばコロナウイルス(coronaviruses))、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)(たとえば水疱性口内炎ウイルス(vesicularstomataviruses)、狂犬病ウイルス(rabiesviruses))、フィロウイルス科(F
iloviridae)(たとえばエボラウイルス(Ebolaviruses))、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)(たとえばパラインフルエンザウイルス(parainfluenzaviruses)、流行性耳下腺炎ウイルス(mumpsviruses)、麻疹ウイルス(measlesvirus)、呼吸器合胞体ウイルス(respiratorysyncytialvirus))、オルソミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)(たとえばインフルエンザウイルス(influenzaviruses))、ブニヤウイルス科(Bungaviridae)(たとえばハンターンウイルス(Hataanviruses)、ブニヤウイルス(bungaviruses)、フレボウイルス(phleoboviruses)とナイロウイルス))、アレナウイルス科(Arenaviridae)(出血熱ウイルス(hemorrhagicfeverviruses))、レオウイルス科(Reoviridae)(たとえばレオウイルス(reoviruses))、オルビウイルス(orbiviruses)、ロタウイルス(rotaviruses))、ビマウイルス科(Bimaviridae)、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)(B型肝炎ウイルス)、パルボウイルス科(Parvoviridae)(パルボウイルス(parvoviruses))、パポバウイルス科(Papovaviridae)(パピローマウイルス(papillomaviruses)、ポリオーマウイルス(polyomaviruses))、アデノウイルス科(Adenoviridae)(アデノウイルス(adenoviruses))、ヘルペスウイルス科(Herpeviridae)(たとえば単純ヘルペスウイルス(herpessimplexvirus)(HSV)IとII、水痘帯状疱疹ウイルス(varicellazostervirus)、ポックスウイルス(poxviruses))とイリドウイルス科(Iridoviridae)(たとえばアフリカ豚熱ウイルス(Africanswinefevervirus))と未分類ウイルス(たとえば海綿状脳症の病因因子(etiologicagents)、D型肝炎ウイルスの因子、非A非B型肝炎の因子(1類腸管伝染;2類腸管外伝染、例えばD型肝炎);ノーウォーク(Norwalk)及び相関するウイルスとアストロウイルス(astroviruses))を含むが、それらに限定されない。
【0069】
真菌の例として、アスペルギルス属(Aspergillus)種、コクシジオイデス・イミチス(Coccidoidesimmitis)、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcusneoformans)、カンジダ・アルビカンス(Candidaalbicans)及び他のカンジダ属種、ブラストミセス・デルマチチジス(Blastomycesdermatidis)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydiatrachomatis)、ノカルディア属(Nocardia)種とニューモシスチス・カリニ(Pneumocytiscarinii)を含む。
【0070】
寄生虫として、血液感染性及び/又は組織寄生虫を含み、例えばバベシア・ミクロチ(Babesiamicroti)、バベシ・ディベルガンス(Babesidivergans)、赤痢アメーバ(Entomoebahistolytica)、ランブル鞭毛虫(Giardalamblia)、リーシュマニア・トロピカ(Leishmaniatropica)、リーシュマニア属(Leishmania)種、ブラジルリーシュマニア(Leishmaniabraziliensis)、ドノバンリーシュマニア(Leishmaniadonovdni)、熱帯熱マラリヤ原虫(Plasmodiumfalciparum)、四日熱マラリア原虫(Plasmodiummalariae)、卵形マラリア原虫(Plasmodiumovale)、三日熱マラリア原虫(Plasmodiumvivax)、トキソプラズマ(Toxoplasmagondii)、ガンビアトリパノソーマ(Trypanosomagambiense)、ローデシアトリパノソーマ(Trypanosomarhodesiense)(アフリカ睡眠病)、クルーズトリパノソーマ(Trypanosomacruzi)(シャーガス病(Cha
gus’disease))とトキソプラズマ(Toxoplasmagondii)、ヒラムシ(flatworms)と回虫(roundworms)を含むが、それらに限定されない。
【0071】
「薬学的に許容される薬物担体」は、生理的に相容するいずれか及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗バクテリア剤と抗真菌剤、等張剤と吸收遅延剤などを含む。好ましい担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄(spinal)または表皮投与(たとえば注射や輸液の方式)に適用する。
【0072】
本発明の薬物組成物/ワクチン組成物は、本分野に既知された多種の方法で投与できる。当業者が理解するように、投与経路及び/又は方式は、所望の結果に応じて変化する。ある投与経路で本発明の化合物を投与するために、化合物の失活を防止する材料をそれにコーティングし、又は化合物と共投与することもある。たとえば、被験者に、たとえばリポソームや希釈剤のような適当な担体にある化合物を投与しても良い。薬学的に許容される希釈剤は、塩溶液および水性緩衝液を含む。
【0073】
薬学的に許容される担体は、無菌水溶液または分散液、ならびに無菌注射用溶液または分散液の一時的調製のための無菌粉末を含む。薬物活性物質におけるこんな媒体と薬剤の応用は、当分野に公知なものである。
【0074】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を詳細に説明し、本発明の利点および特徴を、当業者により容易に理解させ、本発明の範囲をより明確に定義する。
材料と方法
本発明の具体的な実施例に採用された一部の材料と、試験方法は、以下に示される。本明細書に挙げられた材料と方法における言及されていないもの、及び本明細書に関する他の材料と方法は、いずれも先行技術に一般的な技術手段であり、本分野の当業者が、先行技術に従って得ることができ、ここで詳しくに説明しない。
1、抗体
具体的な実施例には、抗マウスCD40とDR5抗体の重鎖可変領域と軽鎖配列は、既に前の研究に得られたものである(Li F, Ravetch JV. 2011. Inhibitory Fcgamma receptor engagement drives adjuvant and anti-tumor activities
of agonistic CD40 antibodies. Science 333: 1030-4;Li F, Ravetch JV. 2012. Apoptotic and antitumor activity of death receptor antibodies require inhibitory Fcgamma receptor engagement. Proc Natl Acad Sci U S A 109: 10966-71)。抗ヒトCD40抗体の重鎖可変領域と軽鎖配列は、US7338660に開示された。
【0075】
本発明のヒトIgGの抗体重鎖定常領域配列(ヒトIgG1、IgG2、IgG3とIgG4の抗体重鎖定常領域を含む)は、既に前の研究に得られたものである(Li F,
Ravetch JV. 2011. Inhibitory Fcgamma receptor engagement drives adjuvant and anti-tumor activities of agonistic CD40 antibodies. Science 333: 1030-4;Li F, Ravetch JV. 2012. Apoptotic and antitumor activity of death receptor antibodies require inhibitory Fcgamma receptor engagement. Proc Natl Acad Sci U S A 109: 10966-
71)が、無ければ遺伝子で合成する。本発明の抗体重鎖定常領域のバリアントは、上記のヒトIgGの抗体の重鎖定常領域配列に基づき、点突然変異などの方法で構築するものである。用いられる抗体は、いずれもHEK 293T 細胞の一過性トランスフェクションで発現され、かつprotein G Sepharose 4 Fast Flow (GE Healthcare)で上清を精製することで得られる。コントロールマウスとヒトIgG抗体は、Jackson ImmunoResearch Laboratoryから購入したものである。
2、マウス
Fcγ受容体欠損マウス、すなわちFcγ受容体α鎖欠損マウス(FcgR-/-)、とFcγ受容体ヒト化マウス(FcgR-/-hFCGRTg、hFCGRTgとも言う)は、既に文献に述べられた(Smith P, DiLillo DJ, Bournazos S, Li F, Ravetch JV. 2012. Mouse model recapitulating human Fcgamma receptor structural and functional diversity. Proc Natl Acad Sci U S A 109: 6181-6)。FcγII受容体欠損マウスR2-/-(FcgR2b-/-)とFcγRIIB受容体ヒト化マウスR2-/-hR2BTg(FcgR2b-/- hFCGR2BTg)は、既に文献に述べられた(Li F, Ravetch JV. 2011. Inhibitory Fcgamma receptor engagement drives adjuvant and anti-tumor activities of agonistic CD40 antibodies. Science 333: 1030-4;Li F, Ravetch JV. 2012. Apoptotic and
antitumor activity of death receptor antibodies require inhibitory Fcgamma receptor engagement. Proc Natl Acad Sci U S A 109: 10966-71)。ヒトCD40を発現するトランスジーンマウスは、ヒトCD40を発現するBACトランスジーンマウス(hCD40Tg)である。hCD40+マウスとhFCGRTgマウスとの交雑は、CD40及びFcγ 受容体均ヒト化のマウス(hCD40Tg hFCGRTg)を得られ、同時に、hCD40+マウスと、hFCGR2BTgを除く他のhFCGRTgを発現するマウス(hCD40Tg hR2B-/-)も得られる。全ての実験用マウスは、上海交通大学医学部動物科学センターに養殖され,全ての実験の開展は、中国法律と各規制に合致しつつ、上海交通大学医学部動物介護と使用委員会の許可を得る上に行われる。
3、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)で抗CD40抗体のCD40と結合する能の測定を分析する
抗ヒトCD40抗体を分析する際に、組換えヒトCD40タンパク質(近岸タンパク質科技有限会社)で酵素プレートをコーティングし、常温において一晩し、室温で1% BSAで2hブロッキングした後に、PBST(0.05% Tween 20を含むPBS)で三回洗浄し、各穴に、100μLの勾配のように希釈されたヒトアゴニストCD40抗体を添加し、室温で1hで孵育した後に、PBSTで四回洗浄し、濃度100ng/mlビオチンでマークされた抗ヒトIgκ軽鎖的二抗を添加し、室温で1hインキュベートした後に、PBSTで四回洗浄し、適当な濃度のSAV-HRPを添加し、室温で1hインキュベートした後に、発色基質を添加し、5分間後に、650nmにおける吸光値を測定した。
【0076】
抗マウスCD40抗体を分析する際に、組換えマウスCD40タンパク質(近岸タンパク質科技有限会社)でコーティングし、HRPでマークされたヤギ抗ヒトIgG-Fc抗体を二次抗体として検出を行う以外に、上記の実験方法と同じように行った。
4、OVA特異性CD8陽性T細胞増幅モデル
2-4月齡のマウスに、尾静脉注射より、2x106個の、200マイクロリットルの
PBSに再懸濁されたOT-I脾臓細胞(CD45.1+)を養子転移し、その後、腹腔内注射で免疫した。コントロールグループに、2マイクログラムのDEC-OVAタンパク質とコントロール抗体(Li F, Ravetch JV. 2011. Inhibitory Fcgamma receptor engagement drives adjuvant and anti-tumor activities of agonistic CD40 antibodies. Science 333: 1030-4)を注射し、残るグループに、2マイクログラムのDEC-OVAタンパク質と抗CD40抗体を注射した。6日後、マウス脾臓細胞を採取し、かつACK細胞溶解液で、赤血球を溶解した後に、FACS緩衝液(PBSに0.5%FBS、2mM EDTAと0.1%NaN3を添加してなるもの)に再懸濁し、単個脾臓細胞の浮遊液を調製した;そして、フロー染色でOVA特異性CD8+ T細胞(OT-1)の増幅を分析した。使われた抗体は、蛍光標識された抗マウス CD45.1、CD4、CD8、とTCR-Vα2抗体を含む。フロー分析には、DAPI染色で、死細胞を取り除き、CD45.1+/CD8+/TCR-Vα2+は、OT-1/CD8+ T細胞に識別された。
5、マウス脾臓細胞の生体外刺激実験
マウス脾臓細胞を採取し、ACK細胞溶解液で赤血球を溶解した後に、脾臓細胞培養液(RPMI+10%FBS+1% P/S二重抗体)に再懸濁し、各穴に2×105細胞を播種し、勾配のように希釈されたアゴニスト抗CD40抗体で処理を行い、37℃で48時間培養し、そしてFACSでマウスB細胞表面活化標識分子(CD80、CD86)の発現状況を分析した。活化標識分子の発現状況は、平均蛍光強度(MFI)に表れ、アゴニスト抗CD40抗体がB細胞を活性化する活性と正の相関関係である。
6、PBMC生体外刺激実験
Ficoll分離で、健康な人の末梢血単核細胞(PBMC)を得、各穴に2×105細胞を播種し、勾配のように希釈されたアゴニスト抗CD40抗体で処理し、37度で48時間培養し、そしてFACSでPBMCにおけるB細胞表面活化標識分子(CD54、CD80、CD86、HLA-DR)の発現状況を分析し、活化標識分子の発現状況は、平均蛍光強度(MFI)に表れ、アゴニスト抗CD40抗体がB細胞を活性化する活性と正の相関関係である。
7、ELISAで抗体とFcγRとの結合特性を分析する
酵素プレートに、適当な濃度の100μLの抗体を添加し、一晩でコーティングし、上清を捨て、1% BSAを含むPBSで2時間ブロッキングし、PBST(0.05%Tween 20を含むPBS)で洗浄し、そして適当な濃度のbiotinにマークされたFcγR細胞外ドメインタンパク質(北京義翹神州生物技術有限会社)を添加し、室温で1時間インキュベートした後に、上清を捨て、PBSTで洗浄した。Streptavidin-HRP (BD Biosciences)を添加し、室温で1時間インキュベートし、biotinタンパク質を検出し、上清を捨て、発色液を添加し、20-40分間発色した後、650nmにおける吸光値A650を測定した。
8、表面プラズモン共鳴
全ての表面プラズモン共鳴(SPR)分析実験に使用された緩衝システムは:10 mM Hepes(pH 7.4)、150 mM NaCl、3.4 mM EDTA、0.005% 界面活性剤 P20、実験は、いずれもBiacore T100(GEヘルスケア)SPRシステムに行い、温度を25℃に設定した。pH 4.5の条件において、アミンカップリングで、約2000の応答単位(response unites、RUs)密度になるように、Hisにマークされた可溶性マウスFcγR細胞外ドメインタンパク質(北京義翹神州生物技術有限会社)をCM5チップに固定した。二倍に勾配のように希釈された、適当な濃度範囲を有する抗体サンプルを、30 μL/minの速度で移動相に注入し、3分間結合した後に、5分間解離した。各分析サイクル終了の後、一定の濃度のNaOHを、50 μL/minの流速でセンサー表面に30秒間注入し、それを再生した。Biacore T100 分析ソフトウェア(バージョン 1.1、GEヘルスケア)に、チャネルが決まらない背景結合シグナルを排除した後、1:1の結
合動力学モードを採用し、フィッティング計算を行い、親和定数KD値を得た。
9、MC38腫瘍モデル
MC38は、マウス結腸がん細胞株であり、2~4月齡のhFCGRTgマウスに、皮下注射で2×106個のMC38細胞を接種し、3日ごとに、ノギスで腫瘍の大きさを測量し、かつ公式(L12×L2)/2で腫瘍の体積を計算した;ただし、L1は、腫瘍組織の最短直径であり、L2は、最長直径である。腫瘍細胞を接種した7日後、腫瘍の大きさより、マウスをランダムにグループに分け(0日目)、腹腔内注射で、コントロールグループマウスに、31.6μgのアイソタイプコントロールIgGを投与し、残るグループに31.6 μgの相応抗体を投与した。3日目、0日目と同じ処理を与え、すなわちコントロールグループマウスにアイソタイプコントロールIgGを投与し、残るグループに相応抗体を投与した。その後、続いて腫瘍の大きさを測量し、腫瘍の体積を計算した。
【0077】
10、MO4腫瘍モデル
MO4は、マウス線維肉腫細胞株であり、2~4月齡のhFCGRTgマウスに、皮下注射で2×106個のMO4細胞を接種し、3日ごとに、ノギスで腫瘍の大きさを測量し、かつ公式(L12×L2)/2で腫瘍の体積を計算した;ただし、L1は、腫瘍組織の最長直径であり、L2は、最短直径である。腫瘍細胞を接種した7日後、腫瘍の大きさより、マウスをランダムにグループに分け(0日目)、腹腔内注射で、コントロールグループマウスに、31.6μgのアイソタイプコントロールIgGと2μgOVA抗原(DEC205抗体とOVA融合タンパク質の形式として)を投与し、残るグループに31.6 μgの相応抗体と2μgOVA抗原(DEC205抗体とOVA融合タンパク質の形式として)を投与した。その後、続いて腫瘍の大きさを測量し、腫瘍の体積を計算した。
11、抗DR5抗体のDR5と結合する能を分析する
異なる抗DR5抗体が、DR5に対する結合能を分析するために、アイスFACS緩衝液(PBS+0.5%FBS+2mM EDTA+0.1%NaN3)でMC38細胞を再懸濁し、3.16倍の勾配のように希釈されたコントロールと抗DR5抗体を添加し、濃度範囲を2ng-20μg/mLにし、室温で15分間インキュベートした後、アイスFACS緩衝液で二回洗浄した;そして、FITCマークされたヤギ抗ヒト抗体(VECTOR FI-3080)でフロー染色し、氷上に、暗所で25分間インキュベートし、FACS緩衝液で二回洗浄し、そしてフロー分析を行った。抗体がDR5と結合する能は、FITC平均蛍光強度(MFI)と正の相関関係であり、結果としては、抗DR5抗体のDR5と結合する能は、同等であることを表す。
12、抗DR5抗体が、アポトーシスを促進する活性を分析する
抗DR5抗体が、アポトーシスを促進する活性を分析するために、MC38細胞を、平底96ウェルプレートに播種し、一晩に培養し、培養液を捨て、各穴に100μLの新しい培養液(当該培養液には、それぞれに106個のFcgR-/-、hFCGRTg遺伝子型(B6背景)のマウス赤血球を溶解したなる脾臓細胞を含む/含まない)を添加し、
同時に、各穴に別に、1 μg/mL 2B6抗体を含む/含まない1 μg/mLコン
トロール又は抗DR5抗体を有する100μL新しい培養液を添加し、37℃で4時間インキュベートした。96ウェルプレートを取り出し、氷上に置き、静かに上清を吸引して捨て、200μLのアイスPBSで洗浄した;100μLのトリプシンで3-5分間消化し、等体積の全培養液で終了し、細胞を採取し、4℃、400×gで5分間遠心分離し、収集し、そして、CD45抗体(clone:30-F11; Biolegend)で表面分子フロー染色を行い、さらに活性化されたcaspase-3の細胞内染色(抗体clone C92-605; BD Biosciences)を行い、フロー分析した。MC38細胞に、順に前方散乱角FSCと側散乱角SSC、及びCD45陰性で丸をつけ、活性化されたcaspase-3(活性化型カスパーゼ)の発現を分析した。アポトーシスを促進する能は、活性化されたcaspase-3の染色の平均蛍光強度(MFI)と正の相関関係である。
実施例1.本発明の重鎖定常領域、及び本発明の重鎖定常領域配列を含むアゴニスト抗体
上記に言及された遺伝子クローニングと発現精製技術によって、本発明が、一連の異なる重鎖定常領域の具体的な実施例を構築して、これらの重鎖定常領域に基づき、抗ヒトCD40或いは抗マウスCD40の抗体、及び抗マウスDR5の抗体を構築した。
【0078】
要するに、本発明の具体的な実施例において、重鎖定常領域は、CH1-ヒンジ領域部分及びCH2-CH3ドメイン部分を含む二つの部分に分けられ、最適化を研究した。上記のCH1-ヒンジ領域部分とは、抗体CH1ドメインとヒンジ領域からなるセクションであり、CH2-CH3ドメイン部分とは、抗体CH2ドメインとCH3ドメインからなるセクションである。具体的な実施例において、CH1-ヒンジ領域が、突然変異がないhIgG1のCH1-ヒンジ領域(SEQ ID NO:1)、或いはhIgG2のCH1-ヒンジ領域(SEQ ID NO:2)、或いはhIgG3のCH1-ヒンジ領域(SEQ ID NO:3)、或いはhIgG4のCH1-ヒンジ領域(SEQ ID NO:4)を採用する;CH2-CH3ドメインが、突然変異がないhIgG1のCH2-CH3ドメイン(SEQ ID NO:5)、或いはhIgG2のCH2-CH3ドメイン(SEQ ID NO:6)、或いはhIgG3のCH2-CH3ドメイン(SEQ ID NO:7)、或いはhIgG4のCH2-CH3ドメイン(SEQ ID NO:8)、或いはhIgG CH2-CH3ドメインに基づきアミノ酸突然変異があるCH2-CH3ドメインを採用する;hIgG CH2-CH3ドメインに基づきアミノ酸突然変異があるCH2-CH3ドメインとは、たとえば:V11突然変異を有するCH2-CH3ドメイン(SEQ ID NO:9)は、hIgG1のCH2-CH3ドメインに基づき、G237D/P238D/H268D/P271G/A330Rが突然変異して得るCH2-CH3ドメイン;V9突然変異を有するCH2-CH3ドメイン(SEQ ID NO:10)は、hIgG1のCH2-CH3ドメインに基づきG237D/P238D /P271G/A330Rが突然変異して得るCH2-CH3ドメインである。
【0079】
本発明の重鎖定常領域の実施例において、重鎖定常領域の配列は、相応的なCH1-ヒンジ領域配列及びCH2-CH3ドメイン配列を組み合わせて得るものである。本発明の重鎖定常領域の実施例の詳しい情報について、表2を参照する。
【0080】
注意すべきのは、表2に関わる重鎖定常領域の実施例は、いずれもヒトのIgGに基づき構築され、hIgG1、hIgG2、hIgG3とhIgG4は、それぞれにヒトのIgG1、IgG2、IgG3とIgG4を表示する。表2には、一部の配列が、突然変異を有して、具体的な突然変異列は、括弧に記載され、かつ突然変異する具体的なアミノ酸のシリアルナンバーは、IgG EU番号に基づくものである。
【0081】
以下に、具体的な例を挙げて、表2に記載された重鎖定常領域の構造を説明する。G1と呼ばれる重鎖定常領域のCH1-ヒンジ領域の由来は、hIgG1であり、CH2-CH3ドメインの由来は、hIgG1であり、そして、G1の配列は、突然変異がないhIgG1のCH1-ヒンジ領域の配列と、突然変異がないhIgG1CH2-CH3ドメインの配列とを寄せ集めてなるものである。V11(H2)と呼ばれる重鎖定常領域(本明細書には、JAC1とも言う)のCH1-ヒンジ領域の由来は、hIgG2であり、CH2-CH3ドメインの由来は、G237D/P238D/H268D/P271G/A330R突然変異を有するhIgG1であり、そして、V11(H2)の配列(SEQ ID NO:11)は、突然変異がないhIgG2のCH1-ヒンジ領域の配列と、G237D/P238D/H268D/P271G/A330R突然変異を有するhIgG1CH2-CH3ドメインの配列とを寄せ集めてなるものである。他の重鎖定常領域の実施例の配列は、いずれも表2及び本発明に添付された配列表から得る。
【0082】
【0083】
【0084】
本発明の具体的な実施例に構築された抗体は、いずれもヒト抗体或いはキメラ抗体(全ての抗体定常領域は、ヒト由来であり、抗ヒトCD40抗体のCDRは、ヒト由来であり、抗マウスCD40と抗マウスDR5抗体のCDRは、マウス由来である)であり、ただし、ヒト抗ヒトCD40或いはヒト抗マウスCD40の抗体及びヒト抗マウスDR5の抗体は、いずれも相応的な本発明の重鎖定常領域に基づくものであり、そして、相応的な番号は、主に異なる重鎖定常領域によって分けられ、本発明の実施例に関わる抗体の具体的な情報は、表3を参照する。本発明の実施例において、同じ抗原に対する抗体は、同じ軽鎖配列及び同じ重鎖可変領域配列を有するが、重鎖定常領域の配列は異なる。たとえば:本発明の実施例において、ヒト抗ヒトCD40の抗体(Anti-hCD40-hIgG)は、同じ軽鎖配列(SEQ ID NO:47)及び同じ重鎖可変領域配列を有する;実際に、本発明の抗ヒトCD40抗体(Anti-hCD40-hIgG)の軽鎖配列、重鎖可変領域配列は、アゴニスト抗体CP-870893の軽鎖配列、重鎖可変領域配列と同じが、CP-870893は、最初にPfizerに開発され、hCD40標的に対する全ヒトIgG2アゴニスト抗体であり、固形腫瘍の免疫療法及びワクチン活性の増強に用いられる。本発明の実施例において、ヒト抗マウスCD40の抗体(Anti-mCD40-hIgG)は、同じ軽鎖配列(SEQ ID NO:48)及び同じ重鎖可変領域配列を有する;本発明の実施例において、ヒト抗マウスDR5の抗体(Anti-mDR5-hIgG)は、同じ軽鎖配列(SEQ ID NO:49)及び同じ重鎖可変領域配列を有する。
【0085】
注意すべきのは、本発明の一部の抗体の実施例は、実際に異なる抗体セクションを応用して構築された融合タンパク質と見なされても良い、それは、構造の形式に、抗体の特徴をとどめられるが、具体的な各の機能部分は、異なる抗体IgGサブタイプ由来のものである可能性があり、一部が、更にアミノ酸突然変異を有する。したがって、本発明の実施例の重鎖定常領域の配列は、さらに他の本発明以外の、上記の実施例に提供されたアゴニスト抗体又は融合タンパク質に応用されたも良いことが理解される。
【0086】
一つの具体的な実施例において、特異性結合抗原の抗体の重鎖可変領域と軽鎖が、本発明に提供された重鎖定常領域に融合され、效果が増強された他の抗体を得っても良い、たとえば:上記の表1の記載された研究中のアゴニスト抗体の重鎖可変領域と軽鎖が、本発明に提供されたJAC1と融合して、活性が増強された、異なるTNFRに対する抗体を得られる。
【0087】
他の一つの具体的な実施例において、特異性結合抗原の抗原結合モジュールが、本発明に提供された重鎖定常領域と融合して、效果が増強された融合タンパク質を得っても良い、たとえば:CD40と特異性に結合するナノボディ(nanobody)が、本発明に提供されたJAC1と融合して、活性が増強された融合タンパク質を得られる。
【0088】
もう一つの実施例において、本発明の抗体は、ヒト抗体であっても良く、キメラ抗体、ヒト化抗体などであっても良い。
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
上記に言及された酵素結合免疫吸着検定(ELISA)方法を応用して、本発明の抗CD40抗体の実施例のCD40と結合する能を測定した。
図3に示されたように、抗マウスCD40の抗体(
図3A)及び抗ヒトCDの抗体(
図3B)は、いずれもCD40と結合する能のテストを行った。結果は、本発明の実施例に構築された抗CD40の抗体は、いずれもCD40に対する結合能を有することを示す。注意すべきのは、本実験のELISA分析が、他のバリアントと比べて、Anti-hCD40-hIgG2とAnti-hCD40-hIgG2(V11)のhCD40に対する結合能は、より低いことを示す。結合能が比較的に低いAnti-hCD40- hIgG2(V11)が、生体内外の実験に、いずれも活性に優位を示したことを考慮すると、抗ヒトCD40抗体(Anti-hCD40-hIgG)のバリアントが、ヒトCD40に対する結合能には、著しくい格差を有しないと判断した。
実施例2.ヒトIgGアゴニスト抗体の活性が、抗体FcとFcγ受容体との互いに作用に依存する
ヒトIgGアゴニスト抗体の活性は、抗体FcとFcγ受容体との互いに作用に調節されるかどうかを研究するために、四種のIgGサブタイプ(hIgG1、hIgG2、hIgG3、hIgG4)のアゴニスト抗マウスCD40抗体(Anti-mCD40-hIgG1、Anti-mCD40-hIgG2、Anti-mCD40-hIgG3、A
nti-mCD40-hIgG4)は、モデル抗体(
図2A)として、真っ先に、その免疫活性化活性は、Fcγ受容体の発現に影響されるかどうかという研究に用いられる。
【0093】
アゴニストCD40が、抗原特異性の細胞活化を促進し、かつ抗原特異性CD8陽性T細胞の活化と増幅する免疫活性化活性を有するから、アゴニストヒト抗マウスCD40抗体(Anti-mCD40-hIgG)が、OVA免疫されたマウスに、OVAパターン抗原特異性CD8陽性T細胞の活化と増幅を促進する能は、その免疫活性化活性(Science. 2011 Aμg 19;333(6045):1030-4)の評価に使用された。当該分析において、マウスは、まずOVA特異性CD8陽性T細胞(OT-I
T細胞)に養子送達を行われ、1日後、抗原DEC-OVA(OVAと抗DEC205抗体の融合タンパク質であり、OVA抗原を有効的に送達する手段である)と抗CD40抗体に免疫され、そして、マウスが免疫された6日後、OT-I T細胞の増幅を分析する。
【0094】
図4に示されたように、投与量が比較に高い(30μg/マウス)Anti-mCD40-hIgG1、Anti-mCD40-hIgG2、Anti-mCD40-hIgG4抗体のいずれかは、Fcγ受容体ヒト化マウス(hFCGR
Tg)に活性を有するが、同じ条件において、Anti-mCD40-hIgG1、Anti-mCD40-hIgG2、Anti-mCD40-hIgG4は、Fcγ受容体欠損マウス(FcgR
-/-)に明らかな活性を見られなかった(
図3A)。アゴニストヒトIgG抗マウスCD40抗体の活性に対して、Fcγ受容体の発現は必要なものであることを表す。
【0095】
研究アゴニストヒトIgG抗マウスCD40抗体は、Fcγ受容体と結合する能を有する必要が有るかどうかを研究するために、N297のグリコシル化サイトの点突然変異(N297A)は、ヒトIgG2抗マウスCD40抗体(Anti-mCD40-hIgG2)に導入され、そして、Anti-mCD40-hIgG2-NAを得た。Anti-mCD40-hIgG2-NA抗体Fcの、Fcγ受容体と結合する能が失せて(
図6)、OVAワクチンモデルにおける、Anti-mCD40-hIgG2-NA抗体が誘導する、OT-I T細胞を活化と増幅する活性も完全に失せて(
図3B)、ヒトAnti-mCD40-hIgG2抗体の免疫活性化能は、抗体FcのFcγ受容体と結合する能に依存することを表す。
実施例3.ヒト抑制性Fcγ受容体(hFcγRIIB)と抗体Fcとの特異性互いに作用がアゴニストヒト抗CD40抗体の活性を促進する。
【0096】
Fcγ受容体ファミリーに、具体的にヒトIgGアゴニスト抗体の活性依存を提供する、Fc-Fcγ受容体と互いに作用する特定なFcγ受容体を分析するために、ヒト抑制性Fcγ受容体hFcγRIIBの貢献は、更に分析された。抑制性Fcγ受容体ヒト化マウス(Fcgr2b
-/-hFCGR2B
Tg)とコントロールマウス(Fcgr2b
-/-)において、Anti-mCD40-hIgG2抗体は、Fcgr2b
-/-マウスにおける活性(
図4C)を有しないが、抑制性Fcγ受容体ヒト化マウス(Fcgr2b
-/-hFCGR2B
Tg)における活性(約80%近いOT-I CD8
+、
図4C)は、全てのヒトFcγ受容体を発現するヒト化マウス(hFCGR
Tg)における活性(約60-80%近いOT-I CD8
+、
図4A)と相当する;それは、ヒト抑制性Fcγ受容体は、Anti-mCD40-hIgG2をサポートする活性を十分に提供できることを説明した。
【0097】
同時に、Anti-hCD40-hIgG1、Anti-hCD40-hIgG2、Anti-hCD40-hIgG3、Anti-hCD40-hIgG4が、生体外に、マウスB細胞促進活化標識分子(CD80、CD86)の発現を刺激する際に、異なるFcγ受容体環境(hCD40
TghFCGR
Tg 、hCD40
TghR2B
-/-)は、
抗体の活性に著しくに影響した(
図5)。ヒトAnti-hCD40-hIgG1、Anti-hCD40-hIgG2及びAnti-hCD40-hIgG4の活性は、hCD40
Tg/ hFCGR
Tg に良いが、hCD40
Tg hR2B
-/-の環境に弱くて、ほぼ完全に消えた;同時にヒト抑制性Fcγ受容体(hFcgRIIB)の特異性抗体2B6も、著しくにAnti-hCD40-hIgG抗体の活性を抑制でき、ヒト抑制性Fcγ受容体が、ヒトIgG(hIgG1、hIgG2、hIgG4)の抗ヒトCD40抗体の活性に対して、決定的な正の調節作用を有する。これは、ヒトIgG(hIgG1、hIgG2、hIgG4)の抗マウスCD40抗体に基づく研究結果と一致し、ヒト抑制性Fcγ受容体と、IgG抗体Fcとの相互作用が、ヒトIgG(hIgG1、hIgG2、hIgG4)抗CD40抗体活性に正の調節を行うことは、一般的な規則であることを更に説明した。
【0098】
既存の他の文献が、アゴニスト抗体のアゴニスト活性は、それと抑制性Fcγ受容体との結合に依存することを記載して、かつ本発明の試験は、当該規則を更に検証しただけではなく、かつ同じ重鎖定常領域を移植することで、異なる抗原に対するアゴニスト抗体は、基本的に類似するFcγ結合モード及びアゴニスト活性を有させる傾向があることを表す。たとえば:上記の実施例において、Anti-mCD40-hIgG2とAnti-hCD40-hIgG2が、同じ重鎖定常領域を有するが、Anti-mCD40-hIgG2の抗原はmCD40で、Anti-hCD40-hIgG2の抗原はhCD40である。ELISA、OVAモデル及びPMBC刺激試験が、Anti-mCD40-hIgG2とAnti-hCD40-hIgG2は基本的に類似するFcγ結合モード及びアゴニスト活性を有することを示す。そして、重鎖定常領域は、アゴニスト抗体のアゴニスト活性を最適化する要所であり、かつ好ましい重鎖定常領域は、異なる抗原に対するアゴニスト抗体に広くに応用され、類似するFcγ結合モード及びアゴニスト活性を得る。そのため、本発明が、重鎖定常領域を選別した。
実施例4. 好ましい、より良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能と傾向性を有するヒトIgG重鎖定常領域の選択。
【0099】
より良い活性のアゴニスト抗体は、高いFcγRIIB受容体親和性を有することを要求する以外に、更に高い抑制性Fc受容体:活性化性Fc受容体親和性比率(I:A比率)を有することも必要とすることを表明した研究は、かなりがある。ヒト抑制性Fcγ受容体とIgG抗体Fcとの相互作用が、ヒトIgG(hIgG1、hIgG2、hIgG4)抗CD40抗体活性に対する正の調節作用は、抗体活性の増強に応用できることを分析するために、より良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能と傾向性を有する重鎖定常領域配列を取捨選択を行う必要が有る。ヒトIgG1に基づく複数な重鎖定常領域配列バリアントは、既により良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能と傾向性を有することを報道されたが、他のIgGサブタイプ(hIgG2、3、4)重鎖定常領域配列に基づく、より良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能と傾向性を有する定常領域配列は、まだ明確されない。そのため、選別と分析する必要が有る。ヒトIgG重鎖定常領域と抑制性Fcγ受容体の結合能は、親和性で計測するが、抑制性Fcγ受容体の傾向性は、I/A比率で計測する。より良い抑制性Fcγ受容体結合能と傾向性を有するヒトIgG (hIgG2、hIgG4)重鎖定常領域を取捨選択するために、まず、選択されようとする重鎖定常領域或いは定常領域のFc部分が、ヒトFcγ受容体(抑制性Fcγ受容体(ヒトFcγRIIB)と、ならびに活化性Fcγ受容体(ヒトFcγRI、FcγRIIA、FcγRIIIA、FcγRIIIBを含む)を含む)と結合する能を比較し、より良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能(結合親和性は、ヒトIgG1と相当し、或いはより高い)と傾向性(I/A比率は、ヒトIgG1より大きいか等しい)を有するヒトIgG重鎖定常領或いは定常領域のFc部分を選択する。好ましくに、上記の抗体重鎖定常領域のヒトFcγRIIBとの親和性は、ヒトIgG1のヒトFcγRIIBとの親和性の3.2倍又は以上であり、上記の抗体重鎖定常領域のI/A比率は、0.32より大きいか等しいである;同様に
好ましくに、上記の抗体重鎖定常領域のヒトFcγRIIBとの親和性は、ヒトIgG1のヒトFcγRIIBとの親和性より大きいか等しいであり、上記の抗体重鎖定常領域のI/A比率は、1より大きいか等しいである;より好ましくに、上記の抗体重鎖定常領域のヒトFcγRIIBとの親和性は、ヒトIgG1のヒトFcγRIIBとの親和性の30倍又は以上であり、上記の抗体重鎖定常領域のI/A比率は、1より大きいか等しいである;より好ましくに、上記の抗体重鎖定常領域のヒトFcγRIIBとの親和性は、ヒトIgG1のヒトFcγRIIBとの親和性の60倍又は以上であり、上記の抗体重鎖定常領域のI/A比率は、40より大きいか等しいである;特くに好ましくに、上記の抗体重鎖定常領域のヒトFcγRIIBとの親和性は、ヒトIgG1のヒトFcγRIIBとの親和性の90倍又は以上であり、上記の抗体重鎖定常領域のI/A比率は、100より大きいか等しいである。
【0100】
選択されようとする重鎖定常領域配列は、自然の、一つ又は以上の部位特異的突然変異を有する、或いは一つ又は以上のランダム突然変異を有するヒトIgG重鎖定常領域配列を含む;選択されようとする重鎖定常領域のFc部分は、自然の、一つ又は以上の部位特異的突然変異を有する、或いは一つ又は以上のランダム突然変異を有する各Fc配列を含む。選択されようとする重鎖定常領域或いは定常領域のFc部分の、Fcγ受容体結合能を分析することで、ヒトIgG1定常領域のFc部分に基づく突然変異体V11、V9は、より良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能と傾向性を有することは見出され(表4)、これらの重鎖定常領域のFc部分は、ヒトIgG重鎖定常領域の他の部分(CH1-ヒンジ領域)と結合でき、選択されようとするヒトIgG重鎖定常領域を得る。更に、選択されようとする完全なヒトIgG重鎖定常領域配列のFcγ受容体結合能を分析し、これらの抗体は、より良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能と傾向性を有するか否かを検証し、JAC1(V11 Fc配列を有するヒトIgG2重鎖定常領域)とJAC2(V9 Fc配列を有するヒトIgG2重鎖定常領域)を有する重鎖定常領域は、より良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能と傾向性を有するヒトIgG2重鎖定常領域配列(
図6)であることを見出した。同時に、選択されようとするヒトIgG2重鎖定常領域配列には、JAC3(S267E/L328F点突然変異を有するヒトIgG2重鎖定常領域配列)和JAC4(H268D/P271G点突然変異を有するヒトIgG2重鎖定常領域配列)重鎖定常領域配列も、より良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能と傾向性を有する(
図6)ことを見出された。
【0101】
【0102】
*:I/A比率=[KD(hFcγRIIA-R131)或いはKD(hFcγRIIIA-F158)の中の最小値)]/KD(hFcγRIIB)。上記の表4の抗体Fc断片の名称は、表2の重鎖定常領域の名称と相応するもので表示するものであり、相応な名称のFc断片は、表2の相応な名称の重鎖定常領域のFc断片と理解される。
【0103】
本発明による判断方法を採用すると、その他のCH1-ヒンジ領域及びCH2-CH3ドメインを取捨選択できて、そして他のより良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能と傾向性を有するヒトIgG (hIgG2、hIgG4)重鎖定常領域を得られる。同時に、本発明の好ましい重鎖定常領域は、高いI/A比率、即より低い活化型Fcγ受容体の結合力を有するから、本発明の好ましい重鎖定常領域から構築されたアゴニスト抗体は、より低いADCCを誘導する活性や、より少ない非特異性細胞毒性を有する可能性がある。
実施例5. より良いヒト抑制性Fcγ受容体(hFcγRIIB)結合能と傾向性を有するヒトIgG重鎖定常領域が、より強いアゴニスト抗CD40抗体活性をサポートする
より良いヒト抑制性Fcγ受容体(hFcγRIIB)結合能と傾向性を有するヒトIgG (hIgG2、hIgG4)重鎖定常領域は、より強いアゴニスト抗CD40抗体の活性をサポートできるか否かを分析するために、OVAワクチンモデルには、JAC1重鎖定常領域を有する抗マウスCD40抗体(Anti-mCD40-hIgG2(V11))と抗ヒトCD40抗体(Anti-hCD40-hIgG2(V11))が、OT-I T細胞活化と増幅を誘導する活性は分析され、結果として、Anti-mCD40-hIgG2(V11)は、Anti-mCD40-hIgG2の活性(
図7A)より著しくに優れることを表明した;Anti-hCD40-hIgG2(V11)は、Anti-hCD40-hIgG2の活性より著しくに優れ(
図7B)、刺激免疫システム能力を増強することを表し、ただし、OT1細胞絶対数とCD8+T細胞割合は、いずれも明
らかに向上した。同時に、JAC3とJAC4の抗ヒトCD40抗体(Anti-hCD40-hIgG2-SELF、Anti-hCD40-hIgG2-HDPG)を有するB細胞活性化活性に対する分析は、Anti-hCD40-hIgG2-SELFとAnti-hCD40-hIgG2-HDPGの活性も明らかにヒトIgG2抗体より優れる(
図8)ことを表明し、これは、刺激マウスB細胞に発現されたより高い表面活化分子CD86や、ヒトB細胞に発現されたより高いレベルの表面活性化分子hCD54に表現された。これらの結果は、より良いヒト抑制性Fcγ受容体(hFcγRIIB)結合能と傾向性を有するヒトIgG(hIgG2、hIgG4)重鎖定常領域が、より強いアゴニスト抗CD40抗体活性をサポートすることを証明した
実施例6.CH1-ヒンジ領域が、アゴニストヒトIgG抗CD40抗体の活性を調節できる
低い投与量のアゴニストヒトIgG抗CD40抗体(10μg/マウス)の活性に対する分析が、Anti-mCD40-hIgG1、Anti-mCD40-hIgG2、Anti-mCD40-hIgG3とAnti-mCD40-hIgG4には、Fcγ受容体ヒト化マウス(hFCGR
Tg)において、Anti-mCD40-hIgG2の活性は最も高いが、Anti-mCD40-hIgG3の活性は、最も弱い(
図9A)。ヒトIgG抗体CH1-ヒンジ領域が、アゴニストヒトIgG抗CD40抗体を調節する活性を有するか否かことを分析するために、ヒトIgG3のCH1-ヒンジセクション部分は、ヒトIgG2抗体のCH1-ヒンジ領域を置換するために使用され、置換されたアゴニストヒトIgG2抗マウスCD40抗体(Anti-mCD40-hIgG2(H3)は、免疫活性化活性を喪失し(
図9B)、CH1-ヒンジ領域が、アゴニストヒトIgG抗CD40抗体の活性を調節できることを説明する。
実施例7.IgG1とIgG3のヒンジ領域と比べて、ヒトIgG2ヒンジ領域は、より強いアゴニストヒトIgG抗CD40抗体活性をサポートできる
ヒトIgG1、2、3のCH1-ヒンジセクションが、アゴニストヒトIgG抗CD40抗体活性をサポートする能を比較するために、同じFcと異なるCH1-ヒンジ領域を有する抗CD40抗体は、調製された。活性分析より、これらの抗体の活性は、著しくに異なり、ただし、ヒトIgG2のCH1-ヒンジ領域を有する抗体(Anti-mCD40-hIgG2(V11))の活性は最高であり、ヒトIgG1のCH1-ヒンジ領域を有する抗体の活性は、副次なものであるが(Anti-mCD40-hIgG1(V11))、ヒトIgG3のCH1-ヒンジ領域を有するの抗体(Anti-mCD40-hIgG3(V11))の活性は、最低であり(
図10)、IgG1とIgG3のヒンジ領域と比べて、ヒトIgG2ヒンジ領域は、より強いアゴニストヒトIgG抗CD40抗体活性をサポートできることを説明した。
実施例8.好ましいヒトIgG2ヒンジ領域と、より良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能と傾向性を有するFcとは、相乗的に、より強いアゴニストヒトIgG抗CD40抗体活性を提供できる
ヒトIgGのFcとCH1-ヒンジセクションは、いずれもアゴニストヒトIgG抗CD40抗体の活性に影響できるから、より良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能と傾向性を有するFcと、より良いCH1-ヒンジ領域との併用が、アゴニストヒトIgG抗CD40抗体の活性を更に向上できるか否かを研究する必要がある。最も良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能と傾向性を有するヒトIgG1抗体バリアント(Anti-mCD40-hIgG1(V11)、即ヒトIgG1のV11バリアント)、最も良いCH1-ヒンジ領域を有するヒトIgG2抗体(Anti-mCD40-hIgG2)、及びV11のFcγ受容体結合能とIgG2のCH1-ヒンジ領域(JAC1)とを結び付けてなる抗体(Anti-mCD40-hIgG2(V11))の活性を比較すると、結果としては、最適化のFcと好ましいCH1-ヒンジ領域とを結び付けてなるAnti-mCD40-hIgG2(V11)は、明らかにより強い活性を有することを示し、OVAワクチンモデルにおいて、OT-I細胞の絶対数及びCD8
+ T細胞の割合は、著しくに向上されたことに表現された(
図11)。同時に、PMBC細胞刺激試験には、Anti-hCD4
0-hIgG1(V11)、Anti-hCD40-hIgG2及びAnti-hCD40-hIgG2(V11)の免疫刺激活性を比較し(
図12)、結果として、同様に、最適化のFcと好ましいCH1-ヒンジ領域とを結び付けてなるAnti-hCD40-hIgG2(V11)は、明らかにより強い活性を有することを示した。
【0104】
hIgG2(V11)のような、より強い活性は、hIgG1(V11)とhIgG2の活性の単純な加算を超え、好ましいヒトIgG2 CH1-ヒンジ領域と、より良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能と傾向性を有するFcは、相乗的に、より強い他のアゴニストヒトIgG抗体活性を提供できることを説明した。
【0105】
MC38腫瘍モデルにおいて、Anti-mCD40-hIgG1(V11)、Anti-mCD40-hIgG2及びAnti-mCD40-hIgG2(V11)の三つの抗体の抗腫瘍活性を更に分析し(試験方法は、上記の「材料と方法」部分を参照)、Anti-mCD40-hIgG2(V11)の抗腫瘍活性も、著しくにAnti-mCD40-hIgG1(V11)とAnti-mCD40-hIgG2抗体の抗腫瘍活性を超え(
図13、14)、Anti-mCD40-hIgG2(V11)治療グループに、7匹の受試マウスのうち、5匹マウスの生体内の腫瘍は、完全に取り除かられ、優れた腫瘍治療活性を示した。
【0106】
同様に、MO4腫瘍モデルにおいて、Anti-mCD40-hIgG1(V11)、Anti-mCD40-hIgG2及びAnti-mCD40-hIgG2(V11)の三つの抗体の抗腫瘍活性を更に分析し(試験方法は、上記の「材料と方法」部分を参照)、当該モデルには、Anti-mCD40-hIgG2(V11)の抗腫瘍活性も、同様に、Anti-mCD40-hIgG1(V11)とAnti-mCD40-hIgG2抗体の抗腫瘍活性を著しくに超えた(
図15)。
【0107】
上記の抗腫瘍活性テストの結果は、OVAワクチンモデルに基づく分析の結果(
図11)とほぼ一致する。かつAnti-mCD40-hIgG1(V11)、Anti-mCD40-hIgG2及びAnti-mCD40-hIgG2(V11)の三つの抗体は、Fc受容体ノックアウトマウス(FcγR-/-)のMC38腫瘍モデルには、抗腫瘍活性を示していない(
図16)。これは、アゴニスト抗体の抗腫瘍活性に対して、Fcγ受容体との結合は、必要なものであることを説明し、本発明の重鎖定常領域、たとえば:G2(V11)(JAC1とも言う)は、ヒトIgG抗体CD40抗体の、ワクチンにおける佐剤とする活性を向上できるだけなく、当該抗体の抗腫瘍活性も向上できる。
【0108】
なお、OVAワクチンモデル試験は、投与量を3.16μg/マウス及び1μg/マウスにする場合に、Anti-mCD40-hIgG2(V11)が、著しい活性を有するが(
図17)、投与量を10μg/マウスにする場合に、Anti-mCD40-IgG1抗体は、もう活性を有しない(
図9A)ことを表明する。
【0109】
OVAワクチンモデルを利用する際に、JAC4配列を含む抗CD40抗体(Anti-mCD40-hIgG2-HDPG)と、突然変異がないIgG2抗CD40抗体(Anti-mCD40-hIgG2)との免疫アゴニスト活性を比較し、結果として、Anti-mCD40-hIgG2と比べて、Anti-mCD40-hIgG2-HDPGは、明らかにより強い活性を有することを示し、CD8
+ T細胞におけるOT-I細胞の割合、及びCD8+ T細胞の割合は著しくに向上したことに表現される(
図18)。同時に、Anti-mCD40-hIgG2-HDPG抗体の活性は、少なくともAnti-mCD40-hIgG1(V11)と相当し、或いはより高い(
図18)。
【0110】
そして、本発明の重鎖定常領域(たとえば:JAC1或いはJAC4)に基づき構築さ
れたアゴニスト抗CD40抗体は、より良い免疫刺激活性及び抗腫瘍活性を有し、その最小有効投与量は、現在研究されている、IgG1に基づくアゴニスト抗体の最小有効投与量の1/10又はより低い量であるから、より良い活性、より広い有効投与量の範囲、及びより優れる安全性を有し、抗腫瘍薬物として開発されても良く、腫瘍ワクチン或いは感染性疾患に対するワクチンの免疫效果を増強するための免疫助成剤として用いられても良い。
実施例9.好ましいヒトIgG2 CH1-ヒンジ領域と、より良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能と傾向性を有するFcとは、相乗的に、より強い他のアゴニストヒトIgG抗体活性を提供できる
Fcγ受容体結合能が、他のヒトアゴニスト抗体活性に対する影響、及び好ましいヒトIgG2 CH1-ヒンジ領域とより良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能と傾向性を有するFcとは、より強い他のアゴニストヒトIgG抗体活性を相乗に提供できるか否かを研究するために、異なるCH1-ヒンジ領域とFcを有するアゴニスト抗DR5抗体(Anti-mDR5-IgG)は調製され、かつ抗DR5抗体が、MC38のプログラム細胞死を誘導する活性を分析した。結果として、ヒトIgG2抗DR5抗体(Anti-mDR5-IgG2)は、活性を有しない;JAC1配列を有する抗DR5抗体(Anti-mDR5-IgG2(V11))は、活性を有するが、Fcγ受容体(hFCGR
Tg)を発現する環境は必要のものである(
図19)。また、ヒト抑制性Fcγ受容体特異性抗体2B6が、こんな活性を完全に遮断でき、JAC1配列を有する抗DR5抗体(Anti-mDR5-IgG2(V11))の活性は、ヒト抑制性Fcγ受容体との相互作用に特異性に調節されることを説明し、アゴニスト抗DR5抗体活性の調節機構は、抗CD40抗体の調節機構と一致することをさらに説明した。そして、好ましいヒトIgG2 CH1-ヒンジ領域と、より良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能と傾向性を有するFcとは、より強いアゴニストヒトIgG抗DR5抗体活性を提供できる
実施例10.好ましい抗体定常領域が、好ましいヒトIgG2 CH1-ヒンジ領域と良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能のFcを有することは十分ではなく、Fcとして、良いヒト抑制性Fcγ受容体結合の傾向性、即より高いI/A比率も必要とする。
【0111】
ヒト抑制性Fcγ受容体結合の傾向性が、増強された抑制性Fcγ受容体結合能を有する抗体重鎖定常領域の活性化活性に対する影響を研究するために、それぞれに、重鎖定常領域G2-SDIEと、G2-GASDALIEと、G1(H2)に基づく抗マウスCD40抗体Anti-mCD40-hIgG2-SDIEと、Anti-mCD40-hIgG2-GASDALIEと、Anti-mCD40-hIgG1(H2)は構築され、かつOVAワクチンモデルにおいて、異なる抗体を有するものの免疫活性化活性は、比較された。三つの抗体は、いずれも好ましいヒトIgG2のCH1-ヒンジ領域を有する;Anti-mCD40- hIgG1(H2)と比べて、Anti-mCD40-hIgG2-SDIEとAnti-mCD40-hIgG2-GASDALIEは、より良いヒト抑制性Fcγ受容体結合能を有するが(表4)、同時に、より強いヒト活化性Fcγ受容体と結合する能を有し(表4)、そしてより低いI/A比率を有する(表4)。OVAワクチンモデルの分析結果として、Anti-mCD40-hIgG2-SDIEとAnti-mCD40-hIgG2-GASDALIE抗体の活性は、Anti-mCD40- hIgG1(H2)抗体より優れているわけではないが、逆に劣ることを示し(
図20)、好ましい抗体は、増強されたヒト抑制性Fcγ受容体結合能を必要だけではなく、ヒト抑制性Fcγ受容体結合の傾向性も必要とすることを説明した。こんな傾向性は、より高いI/A比率に表現され、例えば0.32或いはより高い。
【0112】
本発明に提供された好ましい抗体重鎖定常領域の実施例は、アゴニスト抗CD40とDR5抗体の活性の向上に用いられても良いだけではなく、OX40、CD137、CD27、CD30、GITR、HVEM、TACI、DR4、FAS等のような他のTNF受容体スーパーファミリーメンバーに対するアゴニスト抗体、ならびに非TNF受容体スー
パーファミリーメンバー(CD28、SLAMファミリー分子)に対するアゴニスト抗体に用いられても良い。免疫活性化を調節するや、プログラム細胞死を誘導する受容体分子に対するアゴニスト抗体だけではなく、他の生物学機能を有する受容体分子に対するアゴニスト抗体に用いられても良い、例えば免疫抑制性受容体分子(免疫チェックポイント)(例えばPD-1、CTLA-4、VISTA、TIM-3、BTLA、LAG-3等)に対するアゴニスト抗体。ヒトIgG抗体に基づくアゴニスト抗体ではなく、他の種の配列を含むキメラ抗体に基づくアゴニスト抗体に用いられても良い。二つの重鎖と二つの軽鎖を有する典型的なIgGアゴニスト抗体だけではなく、重鎖のみ含むIgGアゴニスト抗体、及び他のIgGから誘導したバリアント形式のアゴニスト抗体(例えば、三つ以上の抗原結合サイトを有する抗体、抗体重鎖のC端に抗原結合サイトを有する二重特異性抗体或いは多特異性抗体)も含む。抗体配列に基づくアゴニスト抗体ではなく、抗体定常領域配列を有する、標的を活性化する機能を有する融合タンパク質も含む、例えばCD40L-Fc融合タンパク質、OX40L-Fc融合タンパク質、4-1BBL-Fc融合タンパク質、CD27L-Fc融合タンパク質、CD30L-Fc融合タンパク質、CD95L-Fc融合タンパク質、TRAIL-Fc融合タンパク質、PD-L1-Fc融合タンパク質等;具体的に、CD40L-JAC1、CD40L-JAC4、OX40L- JAC1、OX40L- JAC4、PD-L1-JAC1、PD-L1-JAC4等にしてもよい。(表5)
【0113】
【0114】
以上に、例で説明するために、本発明の詳しい実施形態を説明したが、当業者にとって、特許請求の範囲に記載された本発明から逸脱することなく、詳細に多くの変更を加えることができる。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アゴニスト活性を増強するための重鎖定常領域と、上記重鎖定常領域のN末端に抗原結合モジュールとを含む、アゴニスト活性が増強された融合タンパク質であって、上記重鎖定常領域は、N末端からC末端の方向に順に連結されたCH1ドメイン、ヒンジ領域、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含み、上記CH1ドメイン及びヒンジ領域の配列は、ヒトIgG2のCH1ドメイン及びヒンジ領域の配列に由来し、ヒトIgG2のCH1ドメイン及びヒンジ領域の野生型機能を有し、上記CH2ドメイン及び上記CH3ドメインの配列は、ヒトIgGのCH2ドメイン及びCH3ドメインの配列の変異体であり、
上記CH2ドメイン及び上記CH3ドメインは、ヒトFcγRIIBに対する親和性が、ヒトIgG1のヒトFcγRIIBに対する親和性よりも高く、上記CH2ドメイン及び上記CH3ドメインは、ヒトFcγRI、FcγRIIA、及びFcγRIIIAから選択される活性化ヒトFcγRよりもヒトFcγRIIBに対して、ヒトIgG1よりも高い相対結合傾向性を有し、
活性化ヒトFcγRよりもヒトFcγRIIBに対しての上記結合傾向性は、ヒトFcγRI、FcγRIIA、及びFcγRIIIAから選択される活性化ヒトFcγRよりもヒトFcγRIIBに対しての相対結合親和性によって定義され、次式によって計算されるI/A比として定量化され、
I/A比=変異体hFcγRIIA-R131のタンパク質分子の平衡解離定数と変異体hFcγRIIIA-F158の分子の平衡解離定数のいずれか低い方をhFcγRIIB受容体の分子の平衡解離定数で割った値であり、ここで、上記融合タンパク質のI/A比は0.32以上であり、
ここで、上記CH2ドメイン及び上記CH3ドメインは、以下からなる群から選択され、
a)ヒトIgG1のCH2-CH3ドメインの配列であり、アミノ酸変異G237D、P238D、P271G及びA330Rを含む配列、
b)ヒトIgG1のCH2-CH3ドメインの配列であり、アミノ酸変異G237D、P238D、H268D、P271G及びA330Rを含む配列、
c)ヒトIgG2のCH2-CH3ドメインの配列であり、アミノ酸変異S267E及びL328Fを含む配列、並びに
d)ヒトIgG2のCH2-CH3ドメインの配列であり、アミノ酸変異H268D及びP271Gを含む配列、
アミノ酸変異の位置は、IgGのEU番号に従って番号付けされる、融合タンパク質。
【請求項2】
上記抗体重鎖定常領域は、SEQ ID NO:11或いはSEQ ID NO:12或いはSEQ ID NO:13或いはSEQ ID NO:14に示された配列を有する、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
上記抗原結合モジュールは、ナノボディである、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
上記抗原結合モジュールは、リガンドの細胞外ドメインであり、上記リガンドは、免疫共刺激分子であり、上記免疫共刺激分子は、CD80、CD86、ICOSL、OX40L、CD137L、CD40L、CD30L、CD27L、CD244、CD150、CD48、CD84、CD319、Ly118、CD229又はSLAMF8からなる群から選ばれる、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
上記抗原結合モジュールは、CD40、DR5、OX40、CD137、CD27、CD30、GITR、HVEM、TACI、DR4又はFASからなる群から選ばれる抗原を標的にする、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
上記抗原結合モジュールは、CD40を標的にする、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項7】
上記抗原結合モジュールは、PD-1、CTLA-4、VISTA、TIM-3、BTLA又はLAG-3からなる群から選ばれる抗原を標的にする、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項8】
上記抗原結合モジュールは、リガンドであり、上記リガンドは、免疫抑制性リガンド分子であり、上記免疫抑制性リガンド分子は、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、CD47、VISTA、HVEM及びGAL9からなる群から選ばれる、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項9】
重鎖定常領域を含むアゴニスト活性が強化された抗体であって、上記重鎖定常領域は、N末端からC末端の方向に順に連結されたCH1ドメイン、ヒンジ領域、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含み、上記CH1ドメイン及びヒンジ領域の配列は、ヒトIgG2のCH1ドメイン及びヒンジ領域の配列に由来し、ヒトIgG2のCH1ドメイン及びヒンジ領域の野生型機能を有し、上記CH2ドメイン及び上記CH3ドメインの配列は、ヒトIgGのCH2ドメイン及びCH3ドメインの配列の変異体であり、
上記CH2ドメイン及び上記CH3ドメインは、ヒトFcγRIIBに対する親和性が、ヒトIgG1のヒトFcγRIIBに対する親和性よりも高く、上記CH2ドメイン及び上記CH3ドメインは、ヒトFcγRI、FcγRIIA、及びFcγRIIIAから選択される活性化ヒトFcγRよりもヒトFcγRIIBに対して、ヒトIgG1よりも高い結合傾向性を有し、
活性化ヒトFcγRよりもヒトFcγRIIBに対しての上記結合傾向性は、ヒトFcγRI、FcγRIIA、及びFcγRIIIAから選択される活性化ヒトFcγRよりもヒトFcγRIIBに対しての相対結合親和性を表し、次式によって計算されるI/A比として定量化され、
I/A比=変異体hFcγRIIA-R131のタンパク質分子の平衡解離定数と変異体hFcγRIIIA-F158の分子の平衡解離定数のいずれか低い方をhFcγRIIB受容体の分子の平衡解離定数で割った値であり、ここで、上記抗体のI/A比は0.32以上であり、
ここで、上記CH2ドメイン及び上記CH3ドメインは、以下からなる群から選択され、
a)ヒトIgG1のCH2-CH3ドメインの配列であり、アミノ酸変異G237D、P238D、P271G及びA330Rを含む配列、
b)ヒトIgG1のCH2-CH3ドメインの配列であり、アミノ酸変異G237D、P238D、H268D、P271G及びA330Rを含む配列、
c)ヒトIgG2のCH2-CH3ドメインの配列であり、アミノ酸変異S267E及びL328Fを含む配列、並びに
d)ヒトIgG2のCH2-CH3ドメインの配列であり、アミノ酸変異H268D及びP271Gを含む配列、
アミノ酸変異の位置は、IgGのEU番号に従って番号付けされる、抗体。
【請求項10】
上記抗体は、CD40、DR5、OX40、CD137、CD27、CD30、GITR、HVEM、TACI、DR4及びFASからなる群から選ばれる抗原を標的にし、或いは、PD-1、CTLA-4、VISTA、TIM-3、BTLA及びLAG-3からなる群から選ばれる免疫抑制性受容体分子を標的にする、請求項9に記載の抗体。
【請求項11】
上記抗体はCD40を標的にする、請求項9に記載の抗体。
【請求項12】
上記抗体の軽鎖は、SEQ ID NO:47に示された配列を有し、上記抗体の重鎖は、SEQ ID NO:27或いはSEQ ID NO:43に示された配列を有する、請求項9に記載の抗体。
【請求項13】
上記抗体重鎖定常領域は、SEQ ID NO:11或いはSEQ ID NO:12或いはSEQ ID NO:13或いはSEQ ID NO:14に示された配列を有する、請求項9に記載の抗体。
【請求項14】
上記抗体は、CD40及びDR5からなる群から選ばれる抗原を標的にする、請求項9に記載の抗体。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか一項に記載の融合タンパク質又は請求項9~14のいずれか一つに記載の抗体をコードする核酸。
【請求項16】
がんを治療するための医薬の調製における、請求項1~8のいずれか一項に記載の融合タンパク質又は請求項9~14のいずれか一項に記載の抗体の使用。
【請求項17】
a)治療有効量の請求項1~8のいずれか一項に記載の融合タンパク質又は請求項9~14のいずれか一項に記載の抗体、及びb)薬学的に許容される担体を含む増殖性疾患を治療するための薬物組成物。
【請求項18】
請求項1~8のいずれか一項に記載の融合タンパク質又は請求項9~14のいずれか一項に記載の抗体を有するアジュバンド。
【請求項19】
a)治療有効量の請求項1~8のいずれか一項に記載の融合タンパク質又は請求項9~14のいずれか一項に記載の抗体、及びb)ワクチンを含むワクチン組成物。
【請求項20】
腫瘍の予防及び/又は治療における使用のための請求項19に記載のワクチン組成物。
【請求項21】
炎症及び/又は自己免疫症状を軽減するための医薬の調製における、請求項1~8のいずれか一項に記載の融合タンパク質又は請求項9~14のいずれか一項に記載の抗体の使用。