(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112981
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】インビトロ細胞培養粘液系
(51)【国際特許分類】
C12N 5/071 20100101AFI20240814BHJP
C12N 5/074 20100101ALI20240814BHJP
【FI】
C12N5/071
C12N5/074
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024087182
(22)【出願日】2024-05-29
(62)【分割の表示】P 2021517604の分割
【原出願日】2019-11-15
(31)【優先権主張番号】62/768,259
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501345323
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】アルブリトン,ナンシー,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユリ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトを生ずる方法を提供する。
【解決手段】方法が:細胞支持体構造の上側表面の少なくとも或る部分が幹細胞に依って被覆される迄、上側表面及び下側表面両方を有する細胞支持体構造の上側表面上の粘液産生細胞に分化する事が出来る幹細胞を培養する事と;幹細胞を更に培養して、粘液産生細胞を含む細胞単層を生じ、細胞単層が基底側及び内腔側を有する事と、を含む、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトを生ずる方法である。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法が:
細胞支持体構造の上側表面の少なくとも或る部分が幹細胞に依って被覆される迄、上側表面及び下側表面両方を有する細胞支持体構造の上側表面上の粘液産生細胞に分化する事が出来る幹細胞を培養する事と;
幹細胞を更に培養して、粘液産生細胞を含む細胞単層を生じ、細胞単層が基底側及び内腔側を有する事と、
を含み、
細胞単層の粘液産生細胞が、細胞単層の内腔側に粘液層を確立し、其れに依って、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトを生ずる、
粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトを生ずる方法。
【請求項2】
粘液層が微小物体にとって実質的に透過不可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
粘液層の厚さが約1ミクロンから約1cmである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
粘液層の厚さが約30ミクロンから約1cmである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
基底リザーバが粘液産生細胞を含む細胞単層の基底側の下方に存在し、内腔リザーバが粘液産生細胞を含む細胞単層の内腔側の上方に存在し、基底リザーバ及び内腔リザーバは其々が液体培地を含み;
方法が:更に、
内腔リザーバ内の液体培地を取り除いて、粘液産生細胞を含む細胞単層の内腔側に気液界面を生ずる事;及び/又は
内腔リザーバ内の液体培地の体積を、細胞単層の内腔側の上方に於いて、約0.001mmから約10mm、任意に約0.001mmから約1mmの範囲の深さに調整する事、
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
更に、粘液産生細胞を含む細胞単層の内腔側に又は其の上方に、不透過性の物理的バリア及び/又は部分的に透過性の物理的バリアを配置する事を含む、請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
不透過性の物理的バリア及び/又は部分的に透過性の物理的バリアが、粘液産生細胞を含む細胞単層及び/又は細胞単層の粘液産生細胞に依って生ずる粘液層の内腔側と直接的接触をしている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
液体培地が、不透過性の物理的バリア及び/又は部分的に透過性の物理的バリアと、粘液産生細胞を含む細胞単層及び/又は粘液層の内腔側との間にあり、液体培地の深さが約0.001mmから約10mm、任意に約0.001mmから約1mmの範囲である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
液体培地がホルモン、化学的添加剤、食品添加剤、細菌代謝物、及び/又は高張塩溶液を含む(ホルモン、化学的添加剤、食品添加剤、細菌代謝物、及び/又は高張塩溶液)、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
幹細胞が、上皮幹細胞、腸上皮幹細胞、基底幹細胞、人工多能性幹細胞、呼吸器幹細胞、胃幹細胞、鼻腔幹細胞、生殖器官細胞(子宮頸部、膣、子宮)、尿道細胞、嗅覚細胞、口腔細胞、舌細胞、及び/又は結膜細胞である、請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
幹細胞が腸上皮幹細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
粘液層が、約1から約100ミクロンのサイズ範囲のビーズ又は微生物にとって実質的に透過不可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
力が細胞単層の表面に平行して適用される、請求項1~12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
力が表面張力の力の適用又は機械的な力の適用を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
機械的な力が、攪拌子、細胞表面に平行して動く半固体材料、及び/又は細胞表面の上側に於けるスラリーの循環である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1~15の何れか1項に記載の方法に依って生ずる、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクト。
【請求項17】
粘液層が基底側及び内腔側を含み、基底側が粘液産生細胞に隣接し且つ下方である、請求項16に記載の生細胞コンストラクト。
【請求項18】
粘液層が微小物体(micro-objective)にとって実質的に透過不可能である、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクト。
【請求項19】
粘液層が約1ミクロンから約1cmの厚さを含む、請求項18に記載の生細胞コンストラクト。
【請求項20】
粘液層が約1ミクロンから約100ミクロンのサイズ範囲の微小物体にとって透過不可能である、請求項18に記載の生細胞コンストラクト。
【請求項21】
粘液層が基底側及び内腔側を含み、基底側が粘液産生細胞に隣接し且つ下方である、請求項18に記載の生細胞コンストラクト。
【請求項22】
方法が:
請求項16に記載の生細胞コンストラクトの粘液層の内腔側を生物、薬物、又は粒子と接触させる事と;
生物、薬物、又は粒子が粘液層中へと動く距離を測定し、其れに依って、生細胞コンストラクトの細胞単層の粘液層を横断する生物、薬物、又は粒子の能力を決定する事と、
を含む、
細胞単層の粘液層を横断する生物、薬物、又は粒子の能力を決定する方法。
【請求項23】
生物が細菌、ウイルス、真菌、原虫、及び/又は蠕虫である、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2018年11月16日出願の米国仮特許出願シリアルNo.62/768,259の利益及び優先権を主張し、此れの開示は其の全体が参照に依って本願に組み込まれる。
【0002】
政府の支援の申し立て
本発明は、国立衛生研究所から授与された助成金番号DK109559に依る政府の支援に依って成された。政府は本発明に或る種の権利を有する。
【0003】
本開示は、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含むインビトロ細胞培養、及び其れを作り用いる方法に関する。
【背景技術】
【0004】
小及び大腸の内腔表面は粘液の厚いブランケットに依って保護されている。小腸は粘液の50から450μmの単一層を生じるが、大腸の粘液コーティングは2つの構造的に別個の層から構成される(非特許文献1)1。400から800μmの外側粘液(mucosal)層は緩く詰まっており、細菌が生息する為の快適な環境を提供するが、100から300μmの内側粘液(mucosal)層は細菌にとって透過不可能で且つ上皮に固く取り付いた儘である(非特許文献2及び3)2,3。両方の臓器に於いて、粘液は腸上皮を内張りする杯細胞に依って連続的に作り出され、分泌される。細胞の上方の粘液層は数時間のオーダーで取り替えられると概算されている(非特許文献4)4。ムチン2(Muc2)は腸粘液の最も豊富なゲル形成コンポーネントである(非特許文献5)5。粘液層はインビボの結腸粘膜のホメオスタシスを持続させる為に必須である。粘液層の主な機能は、下に重なる上皮を病原体侵入から保護する為のバリアとして働く事と、粘液中に存在する高い濃度の水(約97%)を原因として結腸の内張りを潤滑な且つ湿った儘に保つ事とである(非特許文献6及び7)6,7。粘液層は、食品又は細菌に由来する分子及び其れ等の代謝物の拡散を妨害する為のバリアとしてもまた作用し、腸に依って分泌される分泌型IgA(sIgA)及び抗細菌ペプチド等の分子をトラップする(非特許文献8)8。
【0005】
インビトロ腸上皮モデルは、高度に複雑な腸上皮系をコントロールされた様式で研究する為の価値あるツールを提供する。Caco-2及びHT-29を包含する腺癌細胞株は腸上皮のインビトロモデルとして広く用いられているが、其れ等は高密度の粘液層を生じない(非特許文献9)9。メトトレキサートに依る処置後に派生するHT-20の安定な均質な亜集団のHT29-MTXは、多くの場合に粘液分泌細胞モデルとして用いられる(非特許文献10)10。然し乍ら、此れ等の腫瘍細胞は正常なシグナル伝達経路、生理的な粘液分泌、又は外部刺激に対する適切な応答を保有しない。近年、腸幹細胞生物学に於けるブレークスルーは初代腸上皮幹細胞に基づくインビトロモデルを築く事を可能にしている(非特許文献11)11。オルガノイド培養モデルは、初めて、成人腸上皮幹細胞のインビトロの拡大培養及び系列操作を実現した。作り出された「ミニガット」オルガノイドは、粘液を分泌する杯細胞を包含するインビボの上皮に於いて見出される細胞系列の多様性を保有する(非特許文献11~14)11-14。細胞は、其れ等の頂端表面が閉じられたルーメンに面し、且つ其れ等の基底側がマトリゲル(登録商標)又は他のECMコンポーネントに取り付けられる様にして、極性化している(非特許文献15)15。然し乍ら、粘液は、細胞の層及びマトリゲル(登録商標)又はコラーゲン等の高密度のハイドロゲルによって取り囲まれたオルガノイドのルーメンへと分泌及び蓄積される。此の粘液分泌は容易に定量又は操作されず、粘液もまた外部刺激に対するバリアとして作用しない。
【0006】
内腔表面を露出する試みに於いて、細胞外マトリックスの厚い又は薄い層何方かに依ってコーティングされた多孔質膜上に於いて腸上皮幹細胞(例えば、単離された陰窩、又は解離したオルガノイド断片から)を培養する事に依って、単層モデルが築かれている(非特許文献16~23)16-23。細胞は成長因子(Wnt-3A、R-スポンジン(spondin)、及びノギン(Noggin))の存在下で増殖し、成長因子の不在下では分化して、生理的な経上皮電気抵抗(TEER)を保有する連続的な単層を形成した。其れ等の開放された内腔表面に依って、単層はオルガノイドと比べて固有の利点を保有する。此れは、食品コンポーネント、微生物、生物活性代謝物、薬物、及び有毒化合物のインパクト、吸収、又は代謝をアッセイする為の頂端上皮への容易なアクセスを許す。単層モデルはIgAトランスサイトーシス(非特許文献16)16、細菌との共培養(非特許文献17及び18)17,18、鉄輸送(非特許文献19)19、ホルモン分泌(非特許文献19)19、マクロファージとの共培養(非特許文献20)20、筋線維芽細胞及び腸ニューロンとの共培養(非特許文献21)21、並びにサイトカイン分泌(非特許文献20及び21)20,21を研究する為に用いられている。初代細胞の上記の報告された単層モデルの全てでは、細胞は浸漬培養系であり、即ち、水性培地が基底及び内腔リザーバ内に置かれた。Muc2抗体に依る染色に依って、微量の粘液が同定された(非特許文献18)18。粘液厚さは、細胞に蛍光マイクロビーズを重層する事と、細胞と粘液を透過するには大き過ぎるビーズとの間の距離を測定する事とに依って測定される(非特許文献16)16。然し乍ら、粘液層は連続的ではなく(非特許文献18)18、マイクロビーズを上皮から分離するにも十分に厚くはなかった(非特許文献16)16。其れ故に、ビーズは顕微鏡画像の解像度内では頂端上皮表面との接触をしている様に見える。然し乍ら、Muc2は細胞の上方の上清中に検出され、幾らかの量のMuc2が合成及び分泌されるが、粘液層を再現するには十分な数量又は密度ではないという事を示唆した(非特許文献24)24。
【0007】
其れ故に、コントロール可能な厚さを有する実質的にマイクロビーズ又は細菌透過不可能である高密度の粘液層は、初代腸上皮細胞から構築される何れかのインビトロ腸上皮モデルに於いては未だ達成されていない。かかるインビトロモデルはインビボの条件を反映する為に必要とされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】アレン(Allen)A,キャロル(Carroll)NJH著,「胃及び十二指腸に於ける粘着性の且つ可溶性の粘液(Adherent and Soluble Mucus in the Stomach and Duodenum)」,ディジェスティブ・ディジージズ・アンド・サイエンシズ(Digestive Diseases and Sciences),1985年;第30巻:p.55S
【非特許文献2】ペラセイエド(Pelaseyed)T,ベリストローム(Bergstrom)JH,グスタフソン(Gustafsson)JK,エルムント(Ermund)A,バーシュノー(Birchenough)GMH,シュッテ(Schutte)A,ファンデルポスト(van der Post)S,スベンソン(Svensson)F,ロドリゲス・ピネイロ(Rodriguez-Pineiro)AM,ニストローム(Nystrom)EEL,ワイズング(Wising)C,ヨハンソン(Johansson)MEV,ハンソン(Hansson)GC著,「杯細胞及びエンテロサイトの粘液及びムチンは胃腸管の第一防衛線を提供し、免疫系と相互作用する(The mucus and mucins of the goblet cells and enterocytes provide the first defense line of the gastrointestinal tract and interact with the immune system)」,イミュノロジカル・レビューズ(Immunological reviews),2014年;第260巻:p.8-20
【非特許文献3】ムルジア(Murgia)X,ロレッツ(Loretz)B,ハートウィグ(Hartwig)O,ヒッティンガー(Hittinger)M,レアー(Lehr)CM著,「薬物輸送に対する粘液の役割と治療アウトカムに影響する其のポテンシャル(The role of mucus on drug transport and its potential to affect therapeutic outcomes)」,アドバンスト・ドラッグ・デリバリー・レビューズ(Advanced Drug Delivery Reviews),2018年;第124巻:p.82-97
【非特許文献4】レアー(Lehr)CM,ポールマ(Poelma)FGJ,ジャンギンガー(Junginger)HE,タッカー(Tukker)JJ著,「ラットのインサイチュループに於ける腸粘液ゲル層のターンオーバー時間の概算(An estimate of turnover time of intestinal mucus gel layer in the rat in situ loop)」,インターナショナル・ジャーナル・オブ・ファーマシューティクス(International Journal of Pharmaceutics),1991年;第70巻:p.235-240
【非特許文献5】ウェイ(Wei)XC,ヤン(Yang)Z,レイ(Rey)FE,リドーラ(Ridaura)VK,デビッドソン(Davidson)NO,ゴードン(Gordon)JI,セメンコビッチ(Semenkovich)CF著,「脂肪酸シンターゼはムチン2のパルミトイル化に依って腸バリア機能を調節する(Fatty Acid Synthase Modulates Intestinal Barrier Function through Palmitoylation of Mucin 2)」,セル・ホスト&マイクローブ(Cell Host & Microbe),2012年;第11巻:p.140-152
【非特許文献6】ヨハンソン(Johansson)MEV,フィリプソン(Phillipson)M,ペテルソン(Petersson)J,ベルシック(Velcich)A,ホルム(Holm)L,ハンソン(Hansson)GC著,「結腸に於ける2つのMuc2ムチン依存的な粘液層の内側は細菌を欠く(The inner of the two Muc2 mucin-dependent mucus layers in colon is devoid of bacteria)」,米国科学アカデミー紀要,2008年;第105巻:p.15064-15069
【非特許文献7】ハンソン(Hansson)GC著,「ガット感染及び炎症に於ける粘液層の役割(Role of mucus layers in gut infection and inflammation)」,カレント・オピニオン・イン・マイクロバイオロジー(Current Opinion in Microbiology),2012年;第15巻:p.57-62
【非特許文献8】カールソン(Carlson)TL,ロック(Lock)JY,キャリア(Carrier)RL著,「粘液バリアを人工する(Engineering the Mucus Barrier)」,アニュアル・レビュー・オブ・バイオメディカル・エンジニアリング(Annual Review of Biomedical Engineering),2018年;第20巻:p.197-220
【非特許文献9】ワーラング(Werlang)C,カルカルモ・オジャルセ(Carcarmo-Oyarce)G,リベック(Ribbeck)K著,「マイクロバイオームを研究及び支配する為に粘液を人工する(Engineering mucus to study and influence the microbiome)」,ネイチャー・レビューズ・マテリアルズ(Nature Reviews Materials),2019年;第4巻:p.134-145
【非特許文献10】ロジェ(Rogier)EW,フランツ(Frantz)AL,ブルーノ(Bruno)MEC,ケッツェル(Kaetzel)CS著,「分泌型IgAはガット細菌と共に結腸粘液の外側層に濃縮される(Secretory IgA is Concentrated in the Outer Layer of Colonic Mucus along with Gut Bacteria)」,パソジェンズ(Pathogens),2014年;第3巻:p.390-403
【非特許文献11】グナセカラ(Gunasekara)DB,スピア(Speer)J,ワン(Wang)Y,グエン(Nguyen)DL,リード(Reed)MI,スミディ(Smiddy)NM,パーカー(Parker)JS,ファロン(Fallon)JK,スミス(Smith)PC,シムズ(Sims)CE,マグネス(Magness)ST,アルブリットン(Allbritton)NL著,「薬物輸送研究の為の剛性の勾配を有する足場上に作り出された初代結腸上皮の単層(A Monolayer of Primary Colonic Epithelium Generated on a Scaffold with a Gradient of Stiffness for Drug Transport Studies)」,アナリティカル・ケミストリー(Analytical Chemistry)2018年;第90巻:p.13331-13340
【非特許文献12】キグレイ(Quigley)EMM著,「健康及び疾患に於けるガット細菌(Gut bacteria in health and disease)」,ガストロエンテロロジー&ヘパトロジー(Gastroenterology & hepatology),2013年;第9巻:p.560-569
【非特許文献13】ガニョン(Gagnon)M,ベルナー(Berner)AZ,シェルベ(Chervet)N,シャサール(Chassard)C,ラクロワ(Lacroix)C著,「サルモネラ接着及び侵入を検討する為のCaco-2、HT-29、及び粘液分泌HT29-MTX腸細胞モデルの比較(Comparison of the Caco-2, HT-29 and the mucus-secreting HT29-MTX intestinal cell models to investigate Salmonella adhesion and invasion)」,ジャーナル・オブ・マイクロバイオロジカル・メソッズ(Journal of Microbiological Methods),2013年;第94巻:p.274-279
【非特許文献14】ルスフルール(Lesuffleur)T,バルバット(Barbat)A,デュソー(Dussaulx)E,ツヴァイバウム(Zweibaum)A著,「HT-29ヒト結腸癌細胞のメトトレキサートに対する成長適応は柱状吸収及び粘液分泌細胞に分化する其れ等の能力に関連する(Growth adaptation to methotrexate of HT-29 human colon carcinoma cells is associated with their ability to differentiate into columnar absorptive and mucus-secreting cells)」,キャンサー・リサーチ(Cancer Research),1990年;第50巻:p.6334-6343
【非特許文献15】ヌスラト(Nusrat)A,フォンエイヒェル・シュトライバー(von Eichel-Streiber)C,ターナー(Turner)JR,ヴェルカーデ(Verkade)P,マダラ(Madara)JL,パルコス(Parkos)CA著,「クロストリジウム・ディフィシル毒素はタイトジャンクション蛋白質の膜マイクロドメイン局在を変改する事に依って上皮バリア機能を破壊する(Clostridium difficile Toxins Disrupt Epithelial Barrier Function by Altering Membrane Microdomain Localization of Tight Junction Proteins)」,インフェクション・アンド・イミュニティー(Infection and Immunity),2001年;第69巻:p.1329-1336
【非特許文献16】サトー(Sato)T,ブリーズ(Vries)RG,スニッペルト(Snippert)HJ,ファンデウェテリンク(van de Wetering)M,バーカー(Barker)N,シュタンゲ(Stange)DE,ファンエス(van Es)JH,アボ(Abo)A,クジャラ(Kujala)P,ピーターズ(Peters)PJ,クレバース(Clevers)H著,「単一のLgr5幹細胞は間葉系ニッチなしに陰窩-絨毛構造をインビトロで築く(Single Lgr5 stem cells build crypt-villus structures in vitro without a mesenchymal niche)」,ネイチャー(Nature),2009年;第459巻:p.262-U147
【非特許文献17】ダテ(Date)S,サトー(Sato)T著,「ミニガットオルガノイド:幹細胞ニッチの再構成(Mini-Gut Organoids: Reconstitution of Stem Cell Niche)」,シェクマン(Schekman)R編,アニュアル・レビュー・オブ・セル・アンド・デベロップメンタル・バイオロジー(Annual Review of Cell and Developmental Biology),Vol31,第31巻,2015年:p.269-289
【非特許文献18】サトー(Sato)T,シュタンゲ(Stange)DE,フェラント(Ferrante)M,ブリーズ(Vries)RGJ,ファンエス(van Es)JH,ファンデンブリンク(van den Brink)S,ファンフート(van Houdt)WJ,プロンク(Pronk)A,ヴァンガープ(van Gorp)J,シアセマ(Siersema)PD,クレバース(Clevers)H著,「ヒト結腸、腺腫、腺癌、及びバレット上皮からの上皮オルガノイドの長期拡大培養(Long-term Expansion of Epithelial Organoids From Human Colon, Adenoma, Adenocarcinoma, and Barrett's Epithelium)」,ガストロエンテロロジー(Gastroenterology),2011年;第141巻:p.1762-1772
【非特許文献19】イン(Yin)XL,ファリン(Farin)HF,ファンエス(van Es)JH,クレバース(Clevers)H,ランガー(Langer)R,カープ(Karp)JM著,「Lgr5(+)腸幹細胞及び其れ等の子孫のニッチ非依存的な高純度培養(Niche-independent high-purity cultures of Lgr5(+) intestinal stem cells and their progeny)」,ネイチャー・メソッズ(Nature Methods),2014年;第11巻:p.106-112
【非特許文献20】フェトフラー(Fatehullah)A,アップルトン(Appleton)PL,ナトケ(Nathke)IS著,「腫瘍形成の間の腸管に於ける細胞及び組織極性:細胞は依然として正しい上下方向を知るが、組織の秩序は失われる(Cell and tissue polarity in the intestinal tract during tumourigenesis: cells still know the right way up, but tissue organization is lost)」,フィロソフィカル・トランザクションズ・オブ・ザ・ロイヤル・ソサエティー・B-バイオロジカル・サイエンシズ(Philosophical Transactions of the Royal Society B-Biological Sciences),2013年;第368巻:p.20130014
【非特許文献21】ムーン(Moon)C,ヴァンデュッセン(VanDussen)KL,ミヨシ(Miyoshi)H,スタッペンベック(Stappenbeck)TS著,「IgAトランスサイトーシスを調節する因子を評価する為の初代マウス腸上皮細胞単層培養系の開発(Development of a primary mouse intestinal epithelial cell monolayer culture system to evaluate factors that modulate IgA transcytosis)」,ムコサル・イミュノロジー(Mucosal Immunology),2014年;第7巻:p.818-828
【非特許文献22】ヴァンデュッセン(VanDussen)KL,マリンショー(Marinshaw)JM,シャイク(Shaikh)N,ミヨシ(Miyoshi)H,ムーン(Moon)C,ター(Tarr)PI,チョルバ(Ciorba)MA,スタッペンベック(Stappenbeck)TS著,「患者に基づくアッセイを容易化する為の強化ヒト胃腸上皮培養系の開発(Development of an enhanced human gastrointestinal epithelial culture system to facilitate patient-based assays)」,ガット(Gut),2015年;第64巻:p.911-920
【非特許文献23】イン(In)J,フォルケ・アーベル(Foulke-Abel)J,ザコス(Zachos)NC,ハンセン(Hansen)A-M,ケイパー(Kaper)JB,バーンスタイン(Bernstein)HD,ハルシュカ(Halushka)M,ブラット(Blutt)S,エステス(Estes)MK,ドノヴィッツ(Donowitz)M,コブバスンジャック(Kovbasnjuk)O著,「腸管出血性大腸菌はヒト幹細胞由来コロノイドに於いて粘液及び微絨毛間ブリッジを縮減する(Enterohemorrhagic Escherichia coli Reduces Mucus and Intermicrovillar Bridges in Human Stem Cell-Derived Colonoids)」,セルラー・アンド・モレキュラー・ガストロエンテロロジー・アンド・ヘパトロジー(Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology),2016年;第2巻:p.48-62.e3
【非特許文献24】コズカ(Kozuka)K,ヒー(He)Y,クー・マッコイ(Koo-Mccoy)S,クマラスワミ(Kumaraswamy)P,ニー(Nie)B,ショー(Shaw)K,チャン(Chan)P,レッドベター(Leadbetter)M,ヒー(He)L,ルイス(Lewis)JG,ジョン(Zhong)Z,シャルモット(Charmot)D,バラー(Balaa)M,キング(King)AJ,コールドウェル(Caldwell)JS,シーゲル(Siegel)M著,「ヒト及びマウス腸上皮細胞単層プラットフォームの開発及びキャラクタリゼーション(Development and Characterization of a Human and Mouse Intestinal Epithelial Cell Monolayer Platform)」,ステム・セル・レポーツ(Stem Cell Reports)2017年;第9巻:p.1976-1990
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
此の概要は本開示の主題の幾つかの実施形態を列記し、多くのケースでは、此れ等の実施形態の変形及び順列を列記する。此の概要は数々の及び様々な実施形態を単に例示する。所与の実施形態の1つ以上の代表的特徴の言及は同様に例示的である。典型的には、斯かる実施形態は言及される特徴(単数又は複数)の有り又は無しに存在し得る;同様に、其れ等の特徴は、此の概要に於いて列記されるか否かにかかわらず本開示の主題の他の実施形態に適用され得る。過剰な繰り返しを避ける為に、此の概要は斯かる特徴の全ての可能な組み合わせを列記又は示唆はしない。
【0010】
幾つかの実施形態では、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトを生ずる方法が本明細書に於いて提供され、細胞支持体構造の上側表面の少なくとも或る部分が幹細胞に依って被覆される迄、上側表面及び下側表面両方を有する細胞支持体構造の上側表面上の粘液産生細胞に分化する事が出来る幹細胞(例えば、腸上皮幹細胞、基底幹細胞、人工多能性幹細胞、及び同類)を培養する事と、幹細胞を更に培養して、粘液産生細胞(例えば、杯細胞GC)及び他の細胞型(OC。エンテロサイト、腸内分泌細胞、パネート細胞、幹細胞等を包含する)を含む細胞単層を生ずる事とを含み、細胞単層は基底側及び内腔(頂端)側を有し、細胞単層の粘液産生細胞は細胞単層の内腔側に粘液層を確立し、其れに依って、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトを生ずる。粘液層は微小物体にとって実質的に又は完全に透過不可能であり得る。幾つかの態様では、粘液層の厚さは約1ミクロンから約1cmであり得る。幾つかの実施形態では、粘液層の厚さは約30ミクロンから約1cmであり得る。GC対OCの比は幾つかの実施形態では約0.1%から約99.9%の範囲であり得る。
【0011】
幾つかの実施形態では、基底リザーバが粘液産生細胞を含む細胞単層の基底側の下方に存在し、内腔リザーバが粘液産生細胞を含む細胞単層の内腔側の上方に存在し、基底リザーバ及び内腔リザーバは其々が液体培地を含む。方法は、更に:内腔リザーバ内の液体培地を取り除いて、粘液産生細胞を含む細胞単層の内腔側に気液界面を生ずる事、及び/又は内腔リザーバ内の液体培地の体積を、細胞単層の内腔側の上方に於いて、約0.001mmから約10mm、任意に約0.001mmから約1mmの範囲の深さに調整する事を含む(粘液層は液体培地及び細胞単層の間にある(又は発生する))。幾つかの実施形態では、方法は、更に、粘液産生細胞を含む細胞単層の内腔側に又は其の上方に、不透過性の物理的バリア及び/又は部分的に透過性の物理的バリアを配置する事を含み得る。幾つかの態様では、不透過性の物理的バリア及び/又は部分的に透過性の物理的バリアは、粘液産生細胞を含む細胞単層及び/又は細胞単層の粘液産生細胞に依って生ずる粘液層の内腔側と直接的接触をしている。液体培地は不透過性の物理的バリア及び/又は部分的に透過性の物理的バリアと粘液産生細胞を含む細胞単層及び/又は粘液層の内腔側との間にあり得、液体培地の深さは約0.001mmから約10mm、任意に約0.001mmから約1mmの範囲である。幾つかの実施形態では、液体培地はホルモン、化学的添加剤、食品添加剤、細菌代謝物、及び/又は高張塩溶液を含む(ホルモン、化学的添加剤、食品添加剤、細菌代謝物、及び/又は高張塩溶液)。幾つかの実施形態では、幹細胞は、上皮幹細胞、腸上皮幹細胞、基底幹細胞、人工多能性幹細胞、呼吸器幹細胞、胃幹細胞、鼻腔幹細胞、生殖器官細胞(子宮頸部、膣、子宮)、尿道細胞、嗅覚細胞、口腔細胞、舌細胞、及び/又は結膜細胞である。幾つかの実施形態では、幹細胞は腸上皮幹細胞である。粘液層は約1から約100ミクロンのサイズ範囲のビーズ又は微生物にとって実質的に透過不可能であり得る。
【0012】
幾つかの実施形態では、力が細胞単層の表面に平行して適用される。幾つかの実施形態では、力は表面張力の力の適用又は機械的な力の適用を含む。幾つかの実施形態では、機械的な力は、攪拌子、細胞表面に平行して動く半固体材料、及び/又は細胞表面の上側に於けるスラリーの循環である。
【0013】
幾つかの実施形態では、本明細書に於いて開示される方法に依って生ずる粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトが本明細書に於いて提供される。幾つかの実施形態では、粘液層は基底側及び内腔側を含み、基底側は粘液産生細胞に隣接し且つ下方である。
【0014】
幾つかの実施形態では、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトが本明細書に於いて提供され、粘液層は微小物体(micro-objective)にとって実質的に透過不可能である。粘液層は約1ミクロンから約1cmの厚さを含み得る。粘液層は約1ミクロンから約100ミクロンのサイズ範囲の微小物体にとって透過不可能であり得る。幾つかの実施形態では、粘液層は基底側及び内腔側を含み得、基底側は粘液産生細胞に隣接し且つ下方である。
【0015】
幾つかの実施形態では、細胞単層の粘液層を横断する(透過する)生物、薬物、又は粒子の能力を決定する方法が本明細書に於いて提供され、方法は、本明細書に於いて開示される生細胞コンストラクトの粘液層の内腔側を生物、薬物、又は粒子と接触させる事と、生物、薬物、又は粒子が粘液層中へと動く距離を測定し、其れに依って、生細胞コンストラクトの細胞単層の粘液層を横断する(透過する)生物、薬物、又は粒子の能力を決定する事とを含む。
【0016】
幾つかの実施形態では、粘液層を含む細胞単層に感染する生物の能力を研究及び評価する方法が本明細書に於いて提供され、本明細書に於いて開示される生細胞コンストラクトの粘液層の内腔側を生物と接触させる事と、生物が粘液層を横断し生細胞コンストラクトの細胞単層に接触するかどうかを決定する事とを含む。生物が粘液層を横断し細胞単層に接触すると決定される時には、生物は、粘液層を含む細胞単層に感染する能力があると決定される。
【0017】
幾つかの実施形態では、生物に依る感染を防止又は縮減する薬物の有効性を評価する方法が本明細書に於いて提供され、本明細書に於いて開示される生細胞コンストラクトの粘液層の内腔側を生物と接触させる事と、生細胞コンストラクトの粘液層の内腔側を薬物と接触させる事と、生物が細胞単層の粘液層を透過及び/又は生細胞コンストラクトの細胞単層の1つ以上の細胞に感染するかどうかを決定する事とを含む。薬物は、コントロール(即ち、生物とは接触させられるが、薬物とは接触させられない)と比較して、生物が粘液層を透過及び/又は生細胞コンストラクトの細胞単層の1つ以上の細胞に感染しない場合には、感染を防止又は縮減する事に有効であると決定される。生物が粘液層を透過及び/又は生細胞コンストラクトの細胞単層の1つ以上の細胞に感染する場合には、有効ではないと決定される。生物を生細胞コンストラクトの粘液層の内腔側と接触させる事は、薬物を生細胞コンストラクトの粘液層の内腔側と接触させる事に先行するか、同時か、又は後であり得る。
【0018】
幾つかの実施形態では、生物に依る侵入、粒子に依る接触、及び/又は化学物質/化合物に依る接触に対する粘液層を含む細胞の免疫学的応答を評価する方法が本明細書に於いて提供され、本明細書に於いて開示される生細胞コンストラクトの粘液層の内腔側を生物、粒子、及び/又は化学物質/化合物と接触させる事と、生細胞コンストラクトの細胞単層の細胞を免疫応答に関連するマーカー(例えば、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン、神経伝達物質、及び/又は抗微生物ペプチド)の産生についてアッセイし、其れに依って、生物、粒子、及び/又は化学物質/化合物に依る接触に対する生細胞コンストラクトの細胞単層の免疫学的応答を評価する事とを含む。生物は細菌、ウイルス、真菌、原虫、及び/又は蠕虫であり得る。
【0019】
幾つかの実施形態では、インビトロ細胞系に於いて粘液制御異常を評価する方法が本明細書に於いて開示され、本明細書に於いて開示される生細胞コンストラクトの粘液層を研究する事を含み、培養される幹細胞は粘液制御異常に関連する疾患を有する対象からであるか、及び/又は培養される幹細胞は健康な対象からであり、且つ粘液制御異常に関連する疾患からの幹細胞を概括する様に遺伝子編集され;研究する事は、生細胞コンストラクトの粘液層を、厚さ、組成、粘度、微小物体に依る透過度、感染する微生物の能力、及び/又は薬物に対する応答性について評価する事を含み;其れに依って、インビトロ細胞系に於いて粘液制御異常を評価する。幾つかの実施形態では、粘液制御異常に関連する疾患は、炎症性腸疾患、便秘、嚢胞性線維症、過敏性腸症候群、リーキーガット症候群、細菌異常増殖症候群、セリアック病、乳糖不耐症、過剰ガス症候群、下痢性疾患、及び/又はポリープ・虫垂炎である。
【0020】
本開示の前述の及び他の対象及び態様は下で提示される明細書に於いて詳細に説明される。
【0021】
本開示の主題に依って全体的に又は部分的に達成される本開示の主題の実施形態が本明細書に於いて上で申し立てられている。他の実施形態は、本明細書に於いて下で最良に記載される付随する例との組み合わせにされる時に、記載が進むに連れて明白に成るであろう。
【0022】
本開示の主題は次の図を参照する事に依ってより良く理解され得る。図中のコンポーネントは必ずしも一定縮尺ではなく、代わりに、本開示の主題の原理を(多くの場合には概略的に)例解する事に重点が置かれる。図中の同類の参照数字は異なる視点に於いて一貫して対応するパーツを指定する。本開示の主題の更なる理解は、付随する図面の例解に於いて提示される実施形態の参照に依って得られ得る。例解される実施形態は本開示の主題を実行する為の系を単に例示するが、本開示の主題の作用の方法及び構成両方は、一般的に、其れ等の更なる目標及び利点と一緒に、図面及び次の記載の参照に依ってより容易に理解され得る。図面は、添付又は爾後に補正される請求項に於いて特定して提示される本開示の主題の範囲を限定する事ではなく、単に本開示の主題を明瞭化及び例示する事が意図される。
【0023】
本開示の主題のより完全な理解の為に、此処で次の図面の参照が成される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1Aから1Eは、インビトロ粘液層を作り出す為の本開示に従う系及び方法の概略図を提供する。
図1Aは気液界面(ALI)培養を提供する。頂端側は空気に対して露出され、液体又は培地は取り除かれており、粘液がコンパクト化した形態で蓄積する事を許す。
図1Bは改変されたALI培養を例解する。頂端側に於いて液体の体積はコントロールされ、粘液がコンパクト化した形態で及び増大した水和を有して蓄積する事を許す。
図1Cは多孔質膜の代わりとしての足場の使用の例を例解する。
図1Dは、蓄積した粘液を封じ込める為の部分的に透過性の物理的バリア(セパレータ)の使用の例を提供する。
図1Eは、粘液蓄積をコントロールする為の不透過性の物理的バリア(ブロッカー)の使用の例を例解する。
【
図2】
図2Aから2Eは、頂端上皮側からの液体を取り除いた(removal)コンパクトな粘液層の作出の概略的な例解(ALI培養)、及び齎されたデータを提供する。
図2Aは、浸漬並びにALI培養フォーマットを示す概略図であり、幹細胞(SC)、粘液産生杯細胞(GC)、他の非粘液産生細胞(OC)、及びムチン(又は希釈されたムチン)(M)を包含する。
図2Bはパラフィン包埋された単層の断面の免疫蛍光染色を示す(Muc2及び核が標識されている)。矢印は杯細胞を区分する。A:頂端側;B:基底側。下側パネル(i、ii、及びiii)は、上側の2つのパネルに於ける対応する点線枠に依ってマークされたより高倍率の領域を示す。
図2CはSEMに依って検査されたヒト結腸単層の頂端表面トポグラフィーを示す。上側パネル:浸漬培養。下側パネル:ALI培養。
図2D及び2Eでは、共焦点顕微鏡法に依る視覚化の為に、粘液層に1μm赤色蛍光ビーズ(
図2D)又はGFP発現大腸菌(
図2E)を重層した。腸細胞の核はヘキスト33342に依って染色した。点線は粘液とマイクロビーズ又は大腸菌との間の境界を示す。
【
図3】
図3Aから3Gは、水和した粘液層が、血管作動性腸ペプチド(VIP)とインキュベーションされた上皮から細菌又はマイクロビーズを分離する事を示す。
図3Aは培養フォーマットを示す概略図である。VIPはルーメン又は内腔側LSへの水の動きを容易化し、此れは粘液層を水和する。
図3Bは、24hのインキュベーション後のVIPに依る濃度依存的な水分泌を示すデータのグラフ的な図示である。
図3Cはピンセットに依って上皮から持ち上げられた水和した粘液層の画像である。
図3Dは、其々0、2、4、及び6日に於ける細菌を分離する粘液蓄積を有している組織を示す代表的な側面共焦点顕微鏡写真を包含する。GFP発現大腸菌及び核が標識されている。
図3EはALIの期間に対する粘液厚さのプロットである。
図3Fは、粘液層が1μm赤色蛍光ビーズを上皮から分離したという事を示す代表的な側面共焦点顕微鏡写真である。
図3GはSEMに依って検査された上皮の頂端表面トポグラフィーの画像を示す。上皮を明らかにする為に、粘液層を部分的に取り除いた(点線)。上側の右パネルは粘液層の上方の且つ上皮表面には不在の細菌(桿状構造)を示す。
【
図4】
図4Aから4Fは、VIPに依って強化された粘液層の不在下又は存在下に於けるヒト結腸上皮に対するC.ディフィシルA毒素の効果を示す。
図4Aは細胞培養系を示す概略的な例解である。
図4B及び4CはA毒素に対する4h暴露後の上皮の透過性(
図4B)及びIL-8分泌(
図4C)を示す。
図4Dは共焦点顕微鏡画像を示し、頂端膜のF-アクチンアーキテクチャ(上側パネル)及びZO-1に依って染色するタイトジャンクション(下側パネル)を示す。
図4E及び4FはA毒素に対する8h暴露後の上皮の透過性(
図4E)及びIL-8分泌(
図4F)を示す。対応のないt検定:*P<0.05;**P<0.005;#統計的に有意ではない。N=条件当たり3サンプル。スケールバー=20μm。
【
図5】
図5Aから5Eは、VIPに依って強化された粘液層の不在下又は存在下に於けるGFP発現大腸菌(GFP-EC)、上皮、及びPBMCの24h共培養後のサイトカイン産生を示す。
図5Aは共培養セットアップを示す概略的な例解である。
図5Bから5Eのグラフ的な図示は、24hに渡る基底側に於けるサイトカインの産生を示す:(
図5B)IL-8、(
図5C)TNF-α、(
図5D)IL-6、及び(
図5E)IL-1β。対応のないt検定:**P<0.005;#統計的に有意ではない。N=条件当たり3サンプル。
【発明を実施するための形態】
【0025】
此処で、本開示の主題が本明細書に於いて以降でより詳しく記載され、此れに於いては、本開示の主題の全てではなく幾つかの実施形態が記載される。実際に、本開示の主題は多くの異なる形態で実施され得、本明細書に於いて提示される実施形態に限定されると解されるべきではない;寧ろ、此れ等の実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たす様に提供される。
【0026】
別様に定義されない限り、本明細書に於いて用いられる全ての技術及び科学用語は、本開示の主題が属する分野の業者に依って普通に理解される同じ意味を有する。本明細書に於いて本開示の主題の記載に用いられる術語は、特定の実施形態を記載する目的の為のみであり、本開示の主題について限定的である事を意図しない。
【0027】
本明細書に於いて引用される全ての公開物、特許出願、特許、及び他の参照は、参照が提出されている文及び/又は段落に該当する教示について、其れ等の全体が参照に依って組み込まれる。
【0028】
文脈が別様に指示しない限り、本明細書に記載される本開示の主題の種々の特徴は何れかの組み合わせで用いられ得るという事が特に意図される。其の上、本開示の主題は、本開示の主題の幾つかの実施形態では、本明細書に於いて提示される何れかの特徴又は特徴の組み合わせが排除又は除外され得るという事をもまた企図する。例解すると、明細書が、組成物がコンポーネントA、B、及びCを含むという事を申し立てる場合には、A、B、若しくはCの何れか又は其れ等の組み合わせが単数で又は何れかの組み合わせで除外され得、請求されずにあり得るという事が特に意図される。
【0029】
同類の番号は一貫して同類の要素を言う。図に於いては、或る種の線、層、コンポーネント、要素、又は特徴の厚さは明瞭性の為に誇張され得る。用いられる所では、別様に規定されない限り、破線は任意の特徴又は作用を例解する。
【0030】
本開示の主題及び添付の請求項の記載に用いられる単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明瞭に別様に指示しない限り、複数形も包含する事が意図される。
【0031】
また、本明細書に於いて用いられる「及び/又は」は、関連する列記されている項目の何れか及び1つ以上の全ての可能な組み合わせ、並びに選択的に(「又は」)解釈される時には組み合わせの欠如を言い、包摂する。
【0032】
量又は濃度及び同類等の測定可能な値を言う時に本明細書に於いて用いられる用語「約」は、規定の値、及び規定の値の±10%、±5%、±1%、±0.5%、又は更には±0.1%の変動を包摂する事が意味される。例えば、「約X」は、Xが測定可能な値である所では、X、及びXの±10%、±5%、±1%、±0.5%、又は更には±0.1%の変動を包含する事が意味される。測定可能な値について本明細書に於いて提供される範囲は、其の中の何れかの他の範囲及び/又は個々の値を包含し得る。
【0033】
本明細書に於いて用いられる「X及びYの間」及び「約X及びYの間」等の句はX及びYを包含すると解釈されるべきである。本明細書に於いて用いられる「約X及びYの間」等の句は「約X及び約Yの間」を意味し、「約XからY」等の句は「約Xから約Y」を意味する。
【0034】
或る要素が別の要素「の上にある」、に「取り付けられる」、に「接続される」、と「結び付けられる」、「に接触する」等と言われる時には、其れが直接的に他方の要素の上にあり、取り付けられ、接続され、結び付けられ、及び/若しくは接触し得るか、又は介在する要素もまた存在し得るという事は理解されるであろう。対照的に、或る要素が例えば別の要素「の直接的に上にある」、に「直接的に取り付けられる」、に「直接的に接続される」、と「直接的に結び付けられる」、又は「に直接的に接触する」と言われる時には、介在する要素は存在しない。別の特徴「に隣接して」配される構造又は特徴を言う事は、隣接する特徴にオーバーラップするか又は下に重なる部分を有し得るという事もまた当業者に依って了解されるであろう。
【0035】
空間的に相対的な用語、例えば「の下」、「の下方」、「下側」、「の上」、「上側」、及び同類は、図に於いて例解されている通り、別の要素(単数若しくは複数)又は特徴(単数若しくは複数)に対する或る要素の又は特徴の関係性を記載する為の記載の容易さから、本明細書に於いて用いられ得る。
【0036】
第1の、第2の等の用語は、種々の要素、コンポーネント、領域、層、及び/又は切片を記載する為に本明細書に於いて用いられ得るが、此れ等の要素、コンポーネント、領域、層、及び/又は切片は此れ等の用語に依って限定されるべきではないという事は理解されるであろう。寧ろ、此れ等の用語は、1つの要素、コンポーネント、領域、層、及び/又は切片を別の要素、コンポーネント、領域、層、及び/又は切片から区別する為にのみ用いられる。其れ故に、本明細書に於いて論じられる第1の要素、コンポーネント、領域、層、又は切片は、本開示の主題の教示から逸脱する事なしに、第2の要素、コンポーネント、領域、層、又は切片と呼称され得る。作用(又はステップ)のシークエンスは、特に別様に指示されない限り、請求項又は図に於いて提出される順序に限定されない。
【0037】
本明細書に於いて用いられる用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」は、申し立てられる特徴、完全体、ステップ、作用、要素、及び/又はコンポーネントの存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、完全体、ステップ、作用、要素、コンポーネント、及び/又は其れ等の群の存在又は追加を妨げない。
【0038】
本明細書に於いて用いられる移行句「から本質的に成る」は、請求項の範囲が、請求項に記載される規定の材料又はステップと請求される発明の基本的な及び新規の性質(単数又は複数)に実質的に影響しない物とを包摂すると解釈されるべきである事を意味する。其れ故に、用語「から本質的に成る」は、本発明の請求項に用いられる時には、「含む」と同等であると解釈される様に意図されない。
【0039】
本明細書に於いて用いられる用語「増大する」、「増大する事」、「増大した」、「強化する」、「強化された」、「強化する事」、及び「強化」(並びに其れ等の文法上の変形)は、コントロールと比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、50%、75%、100%、150%、200%、300%、400%、500%、又はより多くの上昇を言い表す。
【0040】
本明細書に於いて用いられる用語「縮減する」、「縮減された」、「縮減する事」、「縮減」、「逓減」、及び「減少」(並びに其れ等の文法上の変形)は、例えば、コントロールと比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、35%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%の減少を言い表す。特定の実施形態では、縮減は、検出可能な活性又は量を齎さずに又は本質的に齎さずにあり得る(即ち、有意でない量、例えば約10%又は更には5%未満を齎し得る)。
【0041】
本明細書に於いて用いられる用語「微小物体」は約0.1~100μmの寸法を有する物体を意味し、此れは粘液層の透過可能性を決定する為に用いられ得る。微小物体の例は微生物(例えば細菌)及び微粒子(例えばビーズ)を包含するが、是等に限定されない。
【0042】
本開示は、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトを作り出す方法の発見を記載し、此れは例えばヒト及び動物対象の腸管及び/又は生殖器官に存在するインビボの粘液層を概括する。厚いインビボ様の粘液バリアは、微生物叢の為のガット環境の首尾良い再現にとって重要であり得、粘膜の薬物及び粒子送達を検討する為のインビトロツールとしても働き得る。粘液産生はインビトロ細胞系に於いて以前に観察されているが、此れ等の系は、インビボの状況で見出される粘液層を模倣する粘液層を再現する様な十分な数量又は密度で粘液を生ずる能力はなかった。何れかの特定の理論に限定される事なしに、此れ等の以前のインビトロ細胞系の粘液は、其れが浸漬培養系に於いて杯細胞から分泌された後に急速に希釈され得、因って、蓄積し高密度の層(微生物及び微粒子にとって実質的に透過不可能)を形成する能力がないという事が本明細書に於いて仮定される。本明細書に記載される通り、本開示の主題は此れ等の限定を克服する。
【0043】
幾つかの実施形態では、且つ
図1Aから1Eに示されている通り、本開示は、粘液分泌杯細胞GC及び他の非粘液産生細胞OC、例えばエンテロサイト、腸内分泌細胞、パネート細胞、幹細胞等の組み合わせ又は混合物を含有する細胞層を含むリザーバR内の生細胞コンストラクト(細胞は細胞に対して内腔側LS又は頂端側及び基底側BSを有し、多孔質マトリックス(PM)/足場/ベースを細胞の下方に有する);並びに、細胞の頂端/内腔側LSの上方に於ける粘液蓄積を容易化して、高密度のインビボ様の粘液層を形成する方法を提供する。GC対OCの比は幾つかの実施形態では約0.1%から約99.9%の範囲であり得る。其れ故に、本明細書に於いて開示される生細胞コンストラクトの細胞単層は、幾つかの態様では、粘液産生細胞及び非粘液産生細胞の混合物を含み得る。
【0044】
粘液分泌細胞を含有する細胞層を作り出す為には、上皮幹細胞が多孔質膜の表面上で拡大培養される。細胞を支持する為に、膜は薄い(例えば、約1から1,000ナノメートル)細胞外マトリックス(ECM)若しくは他の化学物質に依って又は厚い(例えば、約1から約100,000マイクロメートル)ハイドロゲル足場材料(ECM若しくは合成ハイドロゲル)に依ってコーティングされ得る。表面の或る部分が細胞に依って被覆される迄、細胞は培地中で成長させられる。幹細胞SCは、其れ等が表面を被覆し始める及び/又は隣接する培地中の栄養素を消費するに連れて自発的に分化する事を許され得る。代替的には、細胞は、粘液産生細胞(例えば、杯細胞(GC))及び他の細胞型(OC)の形成を促す異なる培地に切り替えられ得るか、又は分化を誘導する為の化学的添加剤が培地に組み込まれ得る(例えば、酪酸、骨形成蛋白質(BMP)、ガンマセクレターゼ阻害剤(例えばDAPT、LY411575、ジベンザゼピン)等。
【0045】
其れから、粘液層が、
図2Aから2Eに例解される通り異なる方法を用いて頂端細胞側/内腔細胞側LSに確立され得る。例えば、
図2Aに示されている通り、気液界面(ALI)培養が調製され得、此れに於いては液体又は培地が頂端リザーバ又は内腔側LS又は内腔リザーバから取り除かれる。ALI条件は、粘液産生杯細胞GC及び/又はOC(上皮を形成する)の上方に於いて、(基底側BSとは反対の)内腔側LSの頂端表面に沿って、高密度のコンパクト化した層又はコンパクト化した粘液層CMLとして、粘液蓄積を可能にする。幾つかの実施形態では、ALI条件は、(a)分泌される粘液の希釈を最小化する事、(b)表面張力若しくは他の効果を原因とする細胞表面に対する力を増大させる事(此れ等は粘液産生及び/又は分泌を促進する)、及び/又は(c)細胞の上方の局所的な培地オスモラリティを増大させる事等に依って、高密度の又は濃縮された粘液層CMLの蓄積を許し得る。其れ等の表面に於ける蒸発を原因とする粘液産生杯細胞GC)を通る水の動きもまた粘液産生を刺激し得る。例1を見よ。
【0046】
別の例として、改変されたALI培養が
図1Bに示されている通り調製され得る。此のアプローチは、細胞単層の上方に蓄積した粘液が、高密度で、水和し、且つインビボ様である、即ち水和した粘液層である様に、粘液産生細胞単層の頂端/内腔側LS上の液体培地の高さのコントロールを提供する。経時的に蓄積する粘液がALIの物に対して相対的により水和した状態である様に、約0.001mmから約10mmの範囲の液体又は培地深さが頂端又は内腔細胞側LSの上方に提供及び維持され得る。リザーバRの内腔側LSの液体/培地の体積は、実験的な必要に依存して幅広い粘液密度及びコンパクト性を有する粘液を生ずる様にコントロールされ得る。
【0047】
幾つかの実施形態では、1つ以上の材料又は物質が、頂端細胞表面の上方に水性のフィルムを維持する事を補助する為に細胞の頂端表面又は内腔側に追加され得、また、経時的に所望の液体高さをプログラミング又は維持する事を補助する為に用いられ得る。例えば、半液体塊(例えばハイドロゲル)、気体不透過性膜、気体透過性膜、及び吸湿材料(蜂蜜、グリセリン、糖、ナイロン、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)、ポリカーボネート、セルロース、及びポリ(メタクリル酸メチル))が、頂端表面に置かれ得る。化学試薬、ホルモン、食品代謝物、細菌生成物、及び他の化合物もまた、所望の流体高さ並びに結果的に粘液の厚さ及び密度をもまたプログラミングする事を補助する為に培養系に追加され得る。ホルモンが内腔水分泌を促進する為に基底培地に追加される例2を見よ。
【0048】
此処で
図1Cに目を向けると、其の上で細胞単層、例えば分化した上皮細胞が培養され得る多孔質膜PMの使用に加えて、幾つかの態様では、斯かる細胞は多孔質の又は非多孔質の足場上で培養又は支持され得る。細胞単層を支持する足場の例は、ハイドロゲル(天然及び合成)、多孔質材料、非多孔質材料、プラスチック、セラミック等を包含するが、是等に限定されない。他の例は無機材料又は有機及び無機材料のコンポジットを包含する。支持体に好適な無機材料の例は、ガラス、ヒドロキシアパタイト、45S5バイオガラス等のバイオガラス、リン酸カルシウム、ケイ素、酸化ケイ素、酸化チタン、金、酸化アルミニウム等を包含するが、是等に限定されない。本来的に多孔質ではない所では、此れ等の材料は、焼結、エッチング、リーチング、リソグラフィー等を包含するが是等に限定されない種々の方法に依って多孔質に成され得る。例えば、ケイ素及び金の多孔質メッシュがリソグラフィー/エッチングに依って作製され得る。かかる足場は多孔質膜PM上で支持され得るか又は其れに隣接して置かれ得る。
【0049】
図1Dは、粘液希釈を防止及び粘液の高密度の層の形成を補助する為の、リザーバR内の内腔側LS上の細胞単層の上側に配置されているセパレータ(半透過性の/部分的に透過性の物理的バリア)の使用を示す。セパレータはムチンにとっては不透過性だが例えば水にとっては透過性であり得る。此れ等のセパレータの例は、多孔質膜、ハイドロゲル(例えばアガロース、ゼラチン、コラーゲン、マトリゲル(登録商標)等)、多孔質材料、半液体塊、油(例えばミネラルオイル、パーフルオロカーボン等)、固体フローター(例えばワックス、プラスチック等)、及びメッシュ(ナイロン、フォトレジスト、ポリジメチルシロキサン、及び他の合成ポリマー等)を包含するが、是等に限定されない。セパレータは水性培地(単数又は複数)又は粘液構成成分に対する拡散バリアとして作用し得る。
【0050】
代替的には、幾つかの実施形態では、高密度の粘液層の蓄積を容易化する為に、不透過性の物理的バリア(ブロッカー)もまた
図1Eに示されている通り用いられ得る。不透過性の物理的バリアは、リザーバR内の粘液産生細胞単層の上側に(上方に)、即ち内腔側LS上に配置され得る。不透過性の物理的バリア又はブロッカーは、其れが粘液蓄積を封じ込める様にムチン及び水にとって不透過性であり得る。ブロッカーの例は、ハイドロゲル(例えばアガロース、ゼラチン、コラーゲン、マトリゲル(登録商標)等)、多孔質材料、油(例えばミネラルオイル、パーフルオロカーボン等)、固体フローター(例えばワックス、プラスチック等)、及びメッシュ(ナイロン、フォトレジスト、ポリジメチルシロキサン、及び他の合成ポリマー等)を包含するが、是等に限定されない。
【0051】
粘液層の密度を更に強化する為に、粘液産生細胞単層の表面上に高密度の粘液層を作り出す為の追加の方法が用いられ得る。例えば、幾つかの実施形態では、ALIに依って作り出されるメニスカス形成の間に存在し得る表面張力の力のインパクトを(粘液を希釈する事なしに)模倣する為に、表面力又は機械刺激が粘液産生細胞を含む細胞単層の表面に適用され得る。非希釈的な様式で剪断力を行使する為のメカニズムは、攪拌子、細胞の上方の層又は材料の機械的回転、細胞表面上に重層された粘稠な層に依って誘導される表面に平行した前後の動き(此れはロッキング運動を例えば機械的ロッカーに依って提供する事を包含し得る)を包含し得るが、是等に限定されない。粘液産生及び蓄積を容易化する為に、機械刺激が例えば内腔側LSのリザーバR内に於いてもまた細胞表面に適用され得る。機械刺激は、流体の流れに依って頂端表面に適用される剪断応力、頂端粘液層の機械的引っ掻き、及び/又は蠕動等を模倣する為の細胞の周期的変形を包含し得るが、是等に限定されない。
【0052】
粘液産生細胞を含む細胞単層の上方に於ける粘液層の形成を容易化する為に、本明細書に於いて記載される方法の何れかの組み合わせが用いられ得る。本明細書に記載される方法及び方法の組み合わせを調整する事に依って、異なる厚さ、異なる密度、及び異なる密度/厚さの領域を包含する異なる特性を有する粘液層が作り出され得る。
【0053】
従って、幾つかの実施形態では、本開示の主題は、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトを生ずる方法を提供し得、方法は:(a)細胞支持体構造の上側表面の少なくとも或る部分が幹細胞に依って被覆される迄、粘液産生細胞に分化する事が出来る幹細胞(例えば、腸上皮幹細胞、基底幹細胞、人工多能性幹細胞、及び同類)を上側表面及び下側表面両方を有する細胞支持体構造の上側表面上に於いて培養する事と;(b)幹細胞を更に培養して、粘液産生細胞(例えば杯細胞)を含む細胞単層を生ずる事とを含み、細胞単層は基底側及び内腔(頂端)側を有し、細胞単層の粘液産生細胞は細胞単層の内腔側に粘液層を確立し、且つ粘液層は微小物体にとって実質的に透過不可能であり、其れに依って、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトを生ずる。幾つかの実施形態では、粘液層は約1ミクロンから約1cmの厚さを有し得る。
【0054】
幾つかの実施形態では、本開示の主題は、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトを生ずる方法を提供し得、方法は:(a)細胞支持体構造の上側表面の少なくとも或る部分が幹細胞に依って被覆される迄、粘液産生細胞に分化する事が出来る幹細胞(例えば、腸上皮幹細胞、基底幹細胞、人工多能性幹細胞、及び同類)を上側表面及び下側表面を有する細胞支持体構造の上側表面上に於いて培養する事と;(b)幹細胞を更に培養して、粘液産生細胞(例えば杯細胞)を含む細胞単層を生ずる事とを含み、細胞単層は基底側及び内腔(頂端)側を有し、細胞単層の粘液産生細胞は細胞単層の内腔側に粘液層を確立し、粘液層は約1ミクロンから1cmの厚さを有し、其れに依って、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトを生ずる。幾つかの実施形態では、粘液層は微小物体にとって透過不可能又は実質的に透過不可能であり得る。
【0055】
幾つかの実施形態では、本開示の主題は、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトを生ずる方法を提供し得、方法は:(a)細胞支持体構造の上側表面の少なくとも或る部分が幹細胞に依って被覆される迄、粘液産生細胞に分化する事が出来る幹細胞(例えば、腸上皮幹細胞、基底幹細胞、人工多能性幹細胞、及び同類)を上側表面及び下側表面両方を有する細胞支持体構造の上側表面上に於いて培養する事と;(b)幹細胞を更に培養して、粘液産生細胞(例えば杯細胞)を含む細胞単層を生ずる事とを含み、細胞単層は基底側及び内腔(頂端)側を有し、細胞単層の粘液産生細胞は第1の粘液層及び第2の粘液層を細胞単層の内腔側に確立し、第1の粘液層は第2の粘液層の上方に於いて且つ隣接し、第2の粘液層は細胞単層の上方に於いて且つ隣接し、第2の粘液層は微小物体にとって透過不可能又は実質的に透過不可能であり、其れに依って、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトを生ずる。幾つかの実施形態では、第2の粘液層の厚さは本明細書に更に記載される通り約1ミクロンから約1cmであり得る。
【0056】
幾つかの実施形態では、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトを生ずる方法が提供され、方法は:(a)細胞支持体構造の上側表面の少なくとも或る部分が幹細胞に依って被覆される迄、粘液産生細胞に分化する事が出来る幹細胞(例えば、腸上皮幹細胞、基底幹細胞、人工多能性幹細胞、及び同類)を上側表面及び下側表面両方を有する細胞支持体構造の上側表面上に於いて培養する事と;(b)幹細胞を更に培養して、粘液産生細胞(例えば杯細胞)を含む細胞単層を生ずる事とを含み、細胞単層は基底側及び内腔(頂端)側を有し、細胞単層の粘液産生細胞は第1の粘液層及び第2の粘液層を細胞単層の内腔側に確立し、第1の粘液層は第2の粘液層の上方に於いて且つ隣接し、第2の粘液層は細胞単層の上方に於いて且つ隣接し、第2の粘液層は約1ミクロンから1cmの厚さを含み、其れに依って、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトを生ずる。幾つかの実施形態では、第2の粘液層は微小物体にとって透過不可能又は実質的に透過不可能であり得る。
【0057】
幾つかの実施形態では、本開示の主題の方法に於いて、基底リザーバが粘液産生細胞の細胞層の基底側の下方に画定され得、内腔リザーバが粘液産生細胞を含む細胞単層の内腔側の上方に画定され得、基底リザーバ及び内腔リザーバは其々が液体培地を含み得る;方法は、更に:(a)内腔リザーバ内の液体培地を取り除いて、粘液産生細胞を含む細胞層の内腔側に気液界面を生ずる事;及び/又は(b)内腔(頂端)リザーバ内の液体培地の体積を、細胞単層の内腔側の上方に於いて、約0.001mmから約10mm、任意に約0.001mmから約1mmの範囲の深さに調整する事を含む。幾つかの実施形態では、粘液層は液体培地及び細胞単層の間に存在するか又は発生する。其れ故に、幾つかの実施形態では、液体の体積は、粘液産生細胞に依る粘液の産生に先行してか、間か、又は後に調整され得る。一度粘液産生細胞が生細胞コンストラクト中に存在すると、少なくとも薄い粘液のフィルムが粘液産生細胞(例えば杯細胞)に依って恒常的に生じ得る。其れから、粘液の厚い層が内腔リザーバ内の液体の体積の調整後に蓄積し得る。幾つかの実施形態では、粘液層は細胞単層の表面上に於いて連続的であり得るか、又は其れは不連続であり得る。
【0058】
幾つかの実施形態では、本開示に有用な幹細胞は、上皮幹細胞、腸上皮幹細胞、基底幹細胞、人工多能性幹細胞、呼吸器幹細胞、胃幹細胞、鼻腔幹細胞、生殖器官細胞(子宮頸部、膣、子宮)、尿道細胞、嗅覚細胞、口腔細胞、舌細胞、及び/又は結膜細胞を包含し得るが、是等に限定されない。幾つかの実施形態では、幹細胞は腸上皮幹細胞である。
【0059】
幾つかの実施形態では、粘液産生細胞を含む細胞単層を含む生細胞コンストラクトは、粘液産生細胞(例えば杯細胞)に加えて1つ以上の異なる細胞型(例えば、1、2、3、4、5、又はより多く)を含み得る。本明細書に於いて用いられる「細胞型」は、或る種に於ける形態学的に又は表現型的に別個の細胞形態同士を言う。幾つかの実施形態では、細胞支持体構造上に配置される細胞は、健康な、炎症した、又は有疾患のヒト又は動物組織からであり得る。幾つかの実施形態では、本開示の主題の生細胞コンストラクトを作ることに有用な細胞は、炎症性腸疾患、便秘、嚢胞性線維症、過敏性腸症候群、リーキーガット症候群、細菌異常増殖症候群、セリアック病、乳糖不耐症、過剰ガス症候群、下痢性疾患、及び/又はポリープ・虫垂炎を包含するが、是等に限定されない粘液制御異常を含む疾患を有するヒト又は動物組織からであり得る。
【0060】
幾つかの実施形態では、本開示の主題の細胞層は、例えば
図1Aから1Eに例解されている通り平らな2次元的(dimenional)であり得る。幾つかの実施形態では、本開示の主題の細胞単層は、例えばインビボの腸の陰窩構造又は陰窩-絨毛構造を模倣する様に3次元的(dimentional)形状又は構造にもまた折り畳まれ得る。
【0061】
幾つかの実施形態では、本開示の主題の方法は、更に、不透過性の物理的バリア及び/又は部分的に透過性の(即ち半透過性の)物理的バリアを粘液産生細胞を含む細胞単層の内腔側に又は其の上方一面に(且つ粘液層の上に又は上方/上方一面に)配置する事を含み得る。幾つかの実施形態では、液体/水の動き又は水蒸気の動きをコントロールする事に依って、水の通行が制御され得る。
【0062】
幾つかの実施形態では、不透過性の及び/又は部分的に透過性の物理的バリアは、粘液産生細胞を含む細胞単層の内腔側に直接的に又は粘液層(既に存在する場合)上に直接的に配置され得る。詰まり、不透過性の及び/又は部分的に不透過性の物理的バリアは、粘液産生細胞及び/又は粘液層との直接的な接触をする様に配置され得る。代替的には、物理的バリアが配置される時には、液体培地が物理的バリアと粘液産生細胞及び/又は粘液層との間に存在し得る。幾つかの実施形態では、物理的バリアと粘液産生細胞及び/又は粘液層との間に存在する時には、液体培地は、細胞単層の内腔側の上方に於いて(及び/又は粘液層の内腔側の上方に於いて)且つ物理的バリアの下方に於いて、約0.001mmから約10mm、任意に約0.001mmから約1mmの範囲の深さで存在し得る。
【0063】
幾つかの実施形態では、液体培地の体積は、(物理的バリア有り若しくは無しの)内腔(頂端)リザーバ内に於いて又は細胞の内腔側に於いて、細胞単層の内腔側の上方に於いて約0.001mmから約10mmの範囲の深さであり得る(例えば、約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、若しくは1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、10mm、又は其の中の何れかの値若しくは範囲)(例えば、約0.005mmから約10mm、0.01mmから約10mm、約0.05mmから約10mm、0.1mmから約10mm、約0.5mmから約10mm、1mmから約10mm、約5mmから約10mm、約0.001mmから約1mm、約0.005から約1mm、0.01mmから約1mm、約0.05mmから約1mm、0.1mmから約1mm、約0.5mmから約1mm、約0.001mmから約0.1mm、約0.005から約0.1mm、0.01mmから約0.1mm、約0.05mmから約0.1mm、0.1mmから約0.1mm、約0.5mmから約0.1mm、又は其の中の何れかの値若しくは範囲)。
【0064】
本明細書に於いて用いられる「部分的に透過性の物理的バリア」はムチンにとっては不透過性又は実質的に不透過性であるが、水はバリアを通過し得る。其れ故に、幾つかの実施形態では、部分的に透過性の物理的バリアは約100kDaの分子量カットオフ(MWCO)を有し得る。即ち、バリアは約100kDaよりも多大な(>)分子にとって不透過性である。幾つかの実施形態では、部分的に透過性のバリアは約100から約150kDaのMWCOを有し得る)。ムチンは約200kDa~200MDaの分子量を有する。
【0065】
本明細書に於いて用いられる「不透過性の物理的バリア」は、少なくとも実質的に、好ましくは完全に、液体培地(例えば水)及びムチンにとって不透過性である。
【0066】
其れ故に、幾つかの実施形態では、ムチン産生細胞単層の表面上に又は近くにムチンを封じ込める為に、不透過性の物理的バリア又は部分的に透過性の物理的バリアが用いられ得る。幾つかの実施形態では、其れが細胞単層に依って生ずるに連れてのムチンの液体培地に依る希釈を防止又は縮減する為に、不透過性の物理的バリア及び/又は部分的に透過性の物理的バリアが用いられ得る。
【0067】
物理的バリアの限定しない例は、半液体塊(例えばハイドロゲル)、気体不透過性の膜、気体透過性の膜、及び吸湿材料(蜂蜜、グリセリン、糖、ナイロン、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)、ポリカーボネート、セルロース、及びポリ(メチルメタクリレート))を包含する。幾つかの実施形態では、部分的に透過性の(例えば、約100kDaの分子量カットオフ)物理的バリアは、多孔質膜を包含する多孔質材料、幾つかの合成ポリマー、ハイドロゲル(例えば、アガロース、ゼラチン、コラーゲン、マトリゲル(登録商標)等)、幾つかの油、及び/又はメッシュ(例えば、ナイロン、フォトレジスト、ポリジメチルシロキサン、及び他の合成ポリマー等)を包含し得るが、是等に限定されない。幾つかの実施形態では、蒸気透過性の(粘液不透過性の)物理的バリアが用いられ得る。本開示の主題に有用な蒸気透過性の膜の限定しない例は、コーティング/フィラーなしのポリジメチルシロキサン(PDMS)、幾つかの合成ポリマー、及び/又はメッシュを包含する。不透過性の膜(水及びムチンにとって不透過性)の限定しない例は、固体フローター(例えば、ワックス、プラスチック等)、メッシュ(ナイロン、フォトレジスト、ポリジメチルシロキサン、及び他の合成ポリマー等)、油(例えば、ミネラルオイル、パーフルオロカーボン、天然油等)、及び/又は合成ポリマーを包含する。
【0068】
幾つかの実施形態では、本開示の主題の生細胞コンストラクトの粘液層の厚さは、約1ミクロンから約1cm(10,000ミクロン)であり得る(例えば、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、600、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、335、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10,000ミクロン、又は其の中の何れかの値若しくは範囲)。其れ故に、幾つかの実施形態では、粘液層の厚さは、約2ミクロンから約1cm、約3ミクロンから約1cm、約4ミクロンから約1cm、約5ミクロンから約1cm、約6ミクロンから約1cm、約7ミクロンから約1cm、約8ミクロンから約1cm、約9ミクロンから約1cm、約10ミクロンから約1cm、約20ミクロンから約1cm、約30ミクロンから約1cm、約40ミクロンから約1cm、約50ミクロンから約1cm、約60ミクロンから約1cm、約70ミクロンから約1cm、約80ミクロンから約1cm、約90ミクロンから約1cm、約100ミクロンから約1cm、約200ミクロンから約1cm、約300ミクロンから約1cm、約400ミクロンから約1cm、約500ミクロンから約1cm、約1000ミクロンから約1cm、約1500ミクロンから約1cm、約30ミクロンから約7500ミクロン、約40ミクロンから約7500ミクロン、約50ミクロンから約7500ミクロン、約60ミクロンから約7500ミクロン、約70ミクロンから約7500ミクロン、約80ミクロンから約7500ミクロン、約90ミクロンから約7500ミクロン、約100ミクロンから約7500ミクロン、約500ミクロンから約7500ミクロン、約1000ミクロンから約7500ミクロン、約30ミクロンから約5000ミクロン、約40ミクロンから約5000ミクロン、約50ミクロンから約5000ミクロン、約60ミクロンから約5000ミクロン、約70ミクロンから約5000ミクロン、約80ミクロンから約5000ミクロン、約90ミクロンから約5000ミクロン、約100ミクロンから約5000ミクロン、約500ミクロンから約5000ミクロン、約1000ミクロンから約5000ミクロン、約30ミクロンから約2500ミクロン、約40ミクロンから約2500ミクロン、約50ミクロンから約2500ミクロン、約60ミクロンから約2500ミクロン、約70ミクロンから約2500ミクロン、約80ミクロンから約2500ミクロン、約90ミクロンから約2500ミクロン、約100ミクロンから約2500ミクロン、約200ミクロンから約2500ミクロン、約300ミクロンから約2500ミクロン、約500ミクロンから約2500ミクロン、約10ミクロンから約1000ミクロン、約20ミクロンから約1000ミクロン、約30ミクロンから約1000ミクロン、約40ミクロンから約1000ミクロン、約50ミクロンから約1000ミクロン、約60ミクロンから約1000ミクロン、約70ミクロンから約1000ミクロン、約80ミクロンから約1000ミクロン、約90ミクロンから約1000ミクロン、約100ミクロンから約1000ミクロン、約200ミクロンから約1000ミクロン、約300ミクロンから約1000ミクロン、約500ミクロンから約1000ミクロン、約30ミクロンから約500ミクロン、約40ミクロンから約500ミクロン、約50ミクロンから約500ミクロン、約60ミクロンから約500ミクロン、約70ミクロンから約500ミクロン、約80ミクロンから約500ミクロン、約90ミクロンから約500ミクロン、約100ミクロンから約500ミクロン、約200ミクロンから約500ミクロン、約30ミクロンから約400ミクロン、約50ミクロンから約400ミクロン、約70ミクロンから約400ミクロン、約100ミクロンから約400ミクロン、約50ミクロンから約350ミクロン、約70ミクロンから約350ミクロン、約100ミクロンから約350ミクロン、約50ミクロンから約300ミクロン、約70ミクロンから約300ミクロン、約100ミクロンから約300ミクロン、約30ミクロンから約250ミクロン、約50ミクロンから約250ミクロン、約30ミクロンから約200ミクロン、約50ミクロンから約200ミクロン、約100ミクロンから約200ミクロン、約30ミクロンから約150ミクロン、約50ミクロンから約150ミクロン、約1ミクロンから約100ミクロン、約5ミクロンから約100ミクロン、約10ミクロンから約100ミクロン、約20ミクロンから約100ミクロン、約30ミクロンから約100ミクロン、約50ミクロンから約100ミクロン、又は其の中の何れかの範囲若しくは値であり得る。
【0069】
幾つかの実施形態では、本開示の主題の生細胞コンストラクトの粘液産生細胞に依って生ずる粘液層は、微小物体(の集団)(例えば、約0.1ミクロンから約100ミクロン(例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100ミクロン(μm))のサイズ範囲の微生物又はマイクロ粒子(例えばビーズ))にとって透過不可能又は実質的に透過不可能であり得る(例えば、約0.1から約5μm、約0.1から約10μm、約0.1から約2μm、約0.1から約30μm、約0.1から約40μm、約0.1から約50μm、約0.1から約60μm、約0.1から約70μm、約0.5から約5μm、約0.5から約10μm、約0.5から約2μm、約0.5から約30μm、約0.5から約40μm、約0.5から約50μm、約0.5から約60μm、約0.5から約70μm、約0.5から約80μm、約0.5から約90μm、約0.5から約100μm、約1から約5μm、約1から約10μm、約1から約2μm、約1から約30μm、約1から約40μm、約1から約50μm、約1から約60μm、約1から約70μm、約1から約80μm、約1から約90μm、約1から約100μm、約2から約5μm、約2から約10μm、約2から約20μm、約2から約50μm、約2から約70μm、約2から約80μm、約2から約90μm、約2から約100μm、約5から約20μm、約5から約50μm、約5から約70μm、約5から約80μm、約5から約90μm、約5から約100μm、約10から約20μm、約10から約50μm、約10から約70μm、約10から約80μm、約10から約90μm、約10から約100μm、又は其の中の何れかの量若しくは範囲)。粘液の透過可能性を測定する為に有用な微生物は例えば細菌であり得る。当分野に於いて公知である粘液層の透過性を確かめる為に用いられ得る細菌の限定しない例は、例えばフィルミクテス、バクテロイデテス、アクチノバクテリア、プロテオバクテリア、バクテロイデス、クロストリジウム、フィーカリバクテリウム、ユーバクテリウム、ルミノコッカス、ペプトコッカス、ペプトストレプトコッカス、及びビフィドバクテリウムを包含し得る。幾つかの実施形態では、細菌はエスケリキアspp.又はラクトバシラスspp.の属であり得る)。加えて、粘液層の透過可能性/透過不可能性(impenetrabiltiy)を決定する為に有用な微小物体(microobjective)は、約0.1ミクロンから約100ミクロンのサイズを有するマイクロ粒子(例えばビーズ)であり得る。一般的に、透過性を測定する為に有用なマイクロ粒子は球状であり、1つ以上のポリマーに依って構成される(例えばビーズ)。
【0070】
本明細書に於いて用いられる「実質的に透過不可能」は、微小物体の集団の約70%超が粘液層を透過する能力がない(例えば、微小物体の集団の約70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%超、及び其の中の何れかの範囲又は値;例えば、約70%から約99%、約75%から約99%、約80%から約99%、約85%から約99%、約90%から約99%、約95%から約99%、及び其の中の何れかの範囲又は値は、粘液層を透過する能力がない)、及び/又は透過する微小物体が粘液層の厚さ中へと約30%未満の距離(又は粘液層の内腔側から粘液層の基底側への距離の30%未満)を移動し得る(例えば、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30%;例えば、約0.5%から約30%、約1%から約30%、約5%から約30%、約10%から約30%、約15%から約30%、約20%から約30%、約0.5%から約20%、約1%から約20%、約5%から約20%、約10%から約20%、約15%から約20%、約20%から約25%、約0.5%から約15%、約1%から約15%、約5%から約15%、約10%から約15%、約0.5%から約10%、約1%から約10%、約5%から約10%、約0.5%から約5%、約1%から約5%、約2.5%から約5%、約0.5%から約1%、及び其の中の何れかの範囲又は値)という事を意味する。幾つかの実施形態では、実質的に透過不可能である粘液層は、微小物体の集団の90%超(例えば、約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%、及び其の中の何れかの範囲又は値;例えば約90%から約99%)にとって透過不可能であり得る。幾つかの実施形態では、実質的に透過不可能である粘液層は90%超にとって透過不可能であり得、透過する微小物体は粘液層の内腔側から粘液層の基底側への距離の10%未満(例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10%未満)を移動する。
【0071】
本明細書に於いて用いられる「透過不可能」は、微小物体の集団の約99%超(例えば、約99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9、100%、及び其の中の何れかの範囲又は値;例えば99~100%)が粘液層を透過する能力がない、及び/又は透過する微小物体が粘液層の厚さ中へと約10%未満の距離を移動する(例えば、粘液層の内腔側から粘液層の基底側への距離の10%未満)(例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10%未満)という事を意味する。
【0072】
本明細書に於いて用いられる「細胞支持体構造」は、其れの上に1つ以上の細胞及び/又は組織が配置され得る何れかの構造であり得、例えば何れかの多孔質又はメッシュ膜を包含する有機、無機、又は其れ等のコンポジットであり得る。
【0073】
幾つかの実施形態では、細胞支持体構造は、典型的には下で論じられる他の成分との組み合わせで、コラーゲン等の有機ポリマーを含み得る。幾つかの実施形態では、支持体は多孔質である。支持体は、下でもまた論じられる通り、其れに構造的な支持を持たせる為に、多孔質担体(例えば、多孔質膜、メッシュ、無機グリッド、ハイドロゲル、又は其れ等の組み合わせ)上に提供又はマウントされ得る。支持体は、(例えば、肉眼的解剖的構造を真似る為に)平らな、管状の、湾曲した、球形の、楕円体等を包含する何れかの好適な形状又は構成であり得、其れ等の(there)コンポジットを包含する。
【0074】
其れ故に、本開示の主題に有用な細胞支持体構造は、膜、ECM(細胞外マトリックス)、ハイドロゲル、天然若しくは合成ポリマー、及び/又は2若しくは3次元的な足場、並びに/或いは其れ等の何れかの組み合わせを包含し得るが、是等に限定されない。幾つかの実施形態では、例えば、内腔リザーバの下側の壁は細胞支持体構造(例えば膜)であり得る。幾つかの実施形態では、細胞支持体構造はマイクロ構造を含み得る(例えば、約1mm未満のサイズを有するフィーチャ(例えば、約100、200、又は300ミクロンの深さ、最高で800又は1000ミクロンの深さ若しくはより多く、及び/又は約10又は50ミクロンの幅、最高で100又は200ミクロンの幅若しくはより多く;例えば、マイクロウェル、ポスト、及び/又は溝)。幾つかの実施形態では、細胞支持体構造は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリカーボネート(PC)、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリエーテルスルホン(PES)、酢酸セルロース、再生セルロース、セルロースニトリド、ナイロン、カーボングリッド、グラフェンフィルム、ガラス、バイオガラス(例えば、45S5バイオガラス)、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、金、ニッケル、及び/若しくはステンレス鋼、又は其れ等の何れかの組み合わせに依って構成され得る。
【0075】
幾つかの実施形態では、天然には多孔質でない本開示の主題の細胞支持体構造として有用な材料は、焼結、エッチング、リーチング、リソグラフィー、レーザーマイクロマシニング等を包含するが、是等に限定されない方法に依って多孔質に成され得る。例えば、ケイ素及び金の多孔質メッシュがリソグラフィー/エッチングに依って作製され得る。幾つかの実施形態では、フォトリソグラフィーに依ってマイクロ若しくはナノポアを有するフィルム又はマイクロ若しくはナノメッシュへと作製されるフォトレジスト等の光反応性ポリマーが、細胞支持体構造に用いられ得る。幾つかの実施形態では、ソフトリソグラフィー又はモールド成形に依って多孔質フィルム又はマイクロ/ナノメッシュへと作製されるポリジメチルシロキサン(PDMS)又はEcoFlex等のエラストマーフィルムもまた、細胞支持体構造として用いられ得る。幾つかの実施形態では、細胞支持体構造は、脱水された又はフレキシブルだが強いマトリックス、例えばコラーゲン若しくはフィブリンフィルム又はコンポジットでもまたあり得る。
【0076】
細胞及び/又は組織は、追加の接着蛋白質又は細胞外マトリックス有り又は無しに、細胞支持体構造又は足場上に置かれ得る。幾つかの実施形態では、足場は、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、エラスチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラチン硫酸、ヒアルロン酸、エンゲルブレス・ホルム・スワームマウス肉腫細胞に依って分泌されるゼラチン質蛋白質混合物(例えばマトリゲル(登録商標)、Geltrex(登録商標)、MaxGel(商標)等)、及び/又は市販で利用可能な細胞基質(例えば、CELLstart(商標)CTS(商標))、及び其れ等の何れかの組み合わせ(例えば、コラーゲン/マトリゲル(登録商標)混合物)を包含するが是等に限定されない細胞外マトリックス(ECM)材料を含み得る。幾つかの実施形態では、天然ポリマー、合成ポリマー、及びハイブリッドハイドロゲルからのハイドロゲルが、2次元又は3次元で足場を築く為に用いられ得る。天然ポリマー及び合成ポリマーの例は、キトサン、アガロース、アルギン酸(例えば、AlgiMatrix(登録商標))、フィブリン、絹、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸ポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、合成ペプチド、ポリN-イソプロピルアクリルアミド、及び/又はポリアクリルアミド、及び/又は其れ等の何れかの組み合わせを包含するが、是等に限定されない。幾つかの実施形態では、足場の表面は、ポリ-l-リジン、RGDペプチド、及び他のインテグリン認識ペプチドセグメントを包含するが是等に限定されないECM分子、天然若しくは合成ポリマー、又は合成ペプチドの何れか1つ又は組み合わせに依って、細胞接着を促進する様に人工され得る。幾つかの実施形態では、本開示の主題に有用な細胞支持体構造は、細胞性材料(免疫細胞若しくは他の細胞型、組織、血液)又は非細胞性材料(薬物、ポリマービーズ、磁性粒子等)と混合され得る。幾つかの実施形態では、細胞支持体構造は2又は3次元的なマイクロパターン又はマイクロ構造を含み得る。
【0077】
幾つかの実施形態では、生細胞コンストラクトの細胞は、例えば、細胞層を通る水平衡に寄与し、其れに依って粘液層の形成を補助し得る添加剤、化合物、及び/又は溶液を含む液体培地に依って培養され得る。幾つかの実施形態では、添加剤、化合物、及び/又は溶液は、ホルモン、化学的添加剤、食品添加剤、細菌代謝物、及び/又は高張塩溶液を包含し得るが、是等に限定されない。幾つかの実施形態では、添加剤、化合物、及び/又は溶液は、内腔リザーバ(細胞単層の内腔側)内に及び/又は基底リザーバ(細胞単層の基底側)内に存在し得る/導入され得る。其れ故に、例えば、細胞単層を通る流体の動きの平衡を補助する為に、腸ルーメンへの水及び電解質の分泌を刺激するホルモンが細胞単層の基底側(基底リザーバ)に追加され得る。対照的に、食品添加剤及び細菌代謝物が細胞単層の内腔側(内腔リザーバ)に追加され得る。
【0078】
幾つかの実施形態では、本開示の主題に有用なホルモンは、血管作動性腸ペプチド(VIP)、5-ヒドロキシトリプタミン(セロトニン、5-HT)、P物質、骨形成蛋白質(BMP)、ガストリン、コレシストキニン、セクレチン、グレリン、モチリン、胃抑制ポリペプチド、レプチン、グルカゴン様ペプチド、ソマトスタチン、及び/又はニューロテンシンを包含し得るが、是等に限定されない。
【0079】
有用な化学的添加剤の限定しない例は、酪酸、ジベンザゼピン、ガンマセクレターゼ阻害剤(DAPT、LY411575)、フォルスコリン、グアイフェネシン、カルバコール、プロスタグランジン、ホルボール(phorbal)エステル(ホルボール12-ミリスタート13-アセタート)、ヒスタミン、及び/又はN-(1-オキソブチル)-環状3’,5’-(リン酸水素)2’-ブタノアート-アデノシン一ナトリウム塩(即ち、ジブチリル-cAMPナトリウム塩)(CAS16980-89-5)を包含するが、是等に限定されない。
【0080】
例示的な食品添加剤はN-ニトロソアナバシン、マタイレシノール(matairesimol)、及び/又はカフェインを包含する。
【0081】
幾つかの実施形態では、細菌代謝物は短鎖脂肪酸を包含し得るが、此れに限定されない。
【0082】
幾つかの実施形態では、本開示の主題に有用である高張塩溶液中の塩は、ナトリウム、塩素、カリウム、マグネシウム、リン酸、炭酸、及び/又はリチウムを包含し得るが、是等に限定されない。幾つかの実施形態では、高張溶液中の塩の濃度は、約1mMから約1000mMであり得る(例えば、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、600、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、335、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、1000mM、及び其の中の何れかの値又は範囲)。其れ故に、幾つかの実施形態では、溶液中の塩の濃度は、約5mMから約50mM、約5mMから約100mM、約10mMから約100mM、約10mMから約250mM、約10mMから約500mM、約10mMから約1000mM、約50mMから約100mM、約50mMから約500mM、約50mMから約1000mM、約100mMから約250mM、約100mMから約500mM、約100mMから約1000mM、約200mMから約500mM、約200mMから約1000mM、約300mMから約500mM、約300mMから約800mM、約300mMから約1000mM、約400mMから約500mM、約400mMから約800mM、約400mMから約1000mM、約500mMから約750mM、約500mMから約1000mM、約600mMから約1000mM、約700mMから約1000mM、約800mMから約1000mM、及び其の中の何れかの値又は範囲であり得る。
【0083】
細胞及び/又は組織の成長/維持に有用な何れかの物質が基底リザーバ又は内腔リザーバに導入され得る。幾つかの実施形態では、物質は、フィブロネクチン;ラミニン;上皮成長因子(EGF);R-スポンジン(spondin);ノギン(Noggin);サイトカイン(例えば、インターロイキン(例えば、IL-6、IL-17、IL-22)、腫瘍壊死因子(TNF));エフリン受容体(例えば、エフリンB、EphB);骨形成蛋白質(BMP、BMP-2、BMP-7);Wnt(ウイングレス関連インテグレーション部位)(例えば、Wnt3、Wnt3A、及び他のWnt);ノッチシグナル伝達因子(ノッチ受容体);Dll1/4;ノギン(Noggin);Grem1;Grem2;酢酸;酪酸;プロピオン酸(proprionate)、デスアミノチロシン、カテコールアミン(例えば、ドーパミン、ノルエピネフリン)、サイトカイン、及び/又は短鎖脂肪酸を包含し得るが、是等に限定されない。
【0084】
幾つかの実施形態では、粘液層を確立する事を補助する為に、力が例えば細胞層の表面に平行して適用され得る。幾つかの実施形態では、力は例えば表面張力の力(例えば、気液界面(ALI))の適用であり得るか、又は其れは機械的な力の適用に依ってであり得る。機械的な力の適用の限定しない例は、攪拌子、細胞表面に平行して半固体材料(例えば、ハイドロゲル)を動かす事、及び/又は細胞表面の上側に於いてスラリーを循環させる事に依って作り出される動きを包含する。
【0085】
本開示の主題は、更に、粘液産生細胞を含む細胞単層と粘液層とを含む生細胞コンストラクトを提供し、粘液層は、微小物体(例えば、微生物(例えば細菌)又はマイクロ粒子(例えばビーズ))にとって透過不可能又は実質的に透過不可能である。幾つかの実施形態では、粘液層は、約0.1から約100ミクロンのサイズ範囲の微小物体にとって透過不可能又は実質的に透過不可能であり得る。幾つかの実施形態では、粘液層は厚さ(深さ)が約1ミクロンから約1cmであり得る。幾つかの実施形態では、本開示の主題の生細胞コンストラクトの粘液層は基底側及び内腔側を含み得、基底側は粘液層の下方で且つ粘液産生細胞に隣接し(直接的に上方であり)、内腔側は粘液及び粘液産生細胞の上方で且つ内腔リザーバ内の液体培地又は空気に隣接する(直接的に下方である)。
【0086】
本開示の主題は、更に、本開示の主題の生細胞コンストラクトを用いる方法を提供し、(a)細胞の粘液層を横断する(透過する)生物、薬物、又は粒子の能力;(b)生物に依る侵入又は粒子及び/若しくは化学物質/化合物との接触に対する粘液層を含む細胞の免疫学的応答;(c)粘液層を含む細胞に感染する生物の能力;(d)生物に依る感染を防止するか又は感染する生物の能力を縮減する薬物の有効性;(e)炎症性腸疾患、便秘、嚢胞性線維症、過敏性腸症候群、リーキーガット症候群、細菌異常増殖症候群、セリアック病、乳糖不耐症、過剰ガス症候群、下痢性疾患、及び/又はポリープ・虫垂炎を包含するが是等に限定されない疾患に於ける粘液の制御異常を研究する事を包含するが、是等に限定されない。
【0087】
其れ故に、幾つかの実施形態では、本開示の主題は、細胞単層の粘液層を横断する(透過する)生物、薬物、又は粒子の能力を決定する方法を提供し:本開示の主題の生細胞コンストラクトの粘液層の内腔側を生物、薬物、又は粒子と接触させる事と;生物、薬物、又は粒子が粘液層中へと/を通って(例えば、粘液層の内腔側から粘液層の基底側に)動く距離を測定し、其れに依って、生細胞コンストラクトの細胞単層の粘液層を横断する(透過する)生物、薬物、又は粒子の能力を決定する事とを含む。幾つかの実施形態では、生物、薬物、又は粒子が粘液層中へと動く距離は経時的に測定され得、其れに依って、生細胞コンストラクトの細胞単層の粘液層中への/を通る生物、薬物、又は粒子の動きの速度を決定する。
【0088】
幾つかの実施形態では、粘液層を含む細胞単層に感染する生物の能力を研究及び評価する方法が提供され、方法は:本開示の主題の生細胞コンストラクトの粘液層の内腔側を生物と接触させる事と;生物が粘液層を横断し、生細胞コンストラクトの細胞単層に接触するかどうかを決定する事とを含む。生物が粘液層を横断し細胞単層に接触すると決定される時には、生物は、粘液層を含む細胞単層に感染する能力があると決定される。
【0089】
幾つかの実施形態では、生物に依る感染を防止するか又は感染する生物の能力を縮減する薬物の有効性を評価する方法が提供され:本開示の主題の生細胞コンストラクトの粘液層の内腔側を生物と接触させる事と;生細胞コンストラクトの粘液層の内腔側を薬物と接触させる事と、生物が粘液層を透過及び/又は生細胞コンストラクトの細胞単層の1つ以上の細胞に感染するかどうかを決定する事とを含む。生物が、コントロール(即ち、生物とは接触させられるが、薬物とは接触させられない)と比較して粘液層を透過しない及び/又は生細胞コンストラクトの細胞単層の1つ以上の細胞に感染しない場合には、薬物は、感染を防止する事又は感染する生物の能力を縮減する事に有効であると決定される。幾つかの実施形態では、生細胞コンストラクトの粘液層の内腔側を生物と接触させる事は、生細胞コンストラクトの粘液層の内腔側を薬物と接触させる事に先行するか、同時か、又は後である。幾つかの実施形態では、生物の約25%から約100%が粘液層を透過する事を防止及び/又は殺害される時には、薬物は有効であると決定され得る(例えば、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%、及び其の中の何れかの範囲又は値が、粘液層を透過する事を防止及び/又は殺害される。
【0090】
幾つかの実施形態では、本開示の主題は、生物の侵入、粒子に依る接触、及び/又は化学物質/化合物に依る接触に対する粘液層を含む細胞単層の免疫学的応答を評価する方法を提供し:本開示の主題の生細胞コンストラクトの粘液層の内腔側を生物、粒子、及び/又は化学物質/化合物と接触させる事と;生細胞コンストラクトの細胞単層の細胞を免疫応答に関連するマーカー(例えば、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン、神経伝達物質、及び/又は抗微生物ペプチド)の産生についてアッセイする事とを含み、其れに依って、生物、粒子、及び/又は化学物質/化合物に依る接触に対する生細胞コンストラクトの細胞単層の免疫学的応答を評価する。
【0091】
幾つかの実施形態では、化学物質及び/又は化合物は、食物代謝物及び/又は細菌代謝物、例えばビタミン又は短鎖脂肪酸を包含し得るが、是等に限定されない。
【0092】
本開示の主題の方法及び生細胞コンストラクトを用いて研究され得る生物は、何れかの生物であり得、例えば細菌、ウイルス、真菌、原虫、及び/又は蠕虫を包含する。其れ故に、例えば、生物に依る感染を防止/感染する生物の能力を縮減する薬物の有効性を評価する為に及び/又は生物に依る接触に応答した生細胞コンストラクトの細胞の免疫学的応答を評価する為に、何れかの細菌、ウイルス、真菌、原虫、又は蠕虫は、細胞の粘液層を透過する其の能力について研究され得る。
【0093】
幾つかの実施形態では、生物は細菌であり得る。細菌の限定しない例は、エスケリキアspp.、エルシニアspp.、サルモネラspp.、カンピロバクターspp.、クロストリジウムspp.、ヘリコバクターspp.、バクテロイデスspp.、ペプトストレプトコッカスspp.、ビブリオspp.、シゲラspp.、サルモネラspp.、リステリアspp.、及びスタフィロコッカスspp.の属からの物を包含する。幾つかの実施形態では、細菌は、アシネトバクター・バウマニ、アクチノマイセス・イスラエリ、バシラス・アンスラシス、バクテロイデス・フラジリス、バルトネラ・ヘンセラエ、ボルデテラ・パーツシス、ボレリア・ブルグドルフェリ、ボレリア・ガリニイ、ボレリア・アフゼリル、ボレリア・リカレンシス、ブルセラ・アボルタス、ブルセラ・カニス、ブルセラ・メリテンシス、ブルセラ・スイス、バークホルデリア・シュードマレイ、カンピロバクター・ジェジュニ、クラミジア・ニューモニエ、クラミジア・トラコマチス、クラミドフィラ・シッタシ、クロストリジウム・ボツリナム、クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・パーフリンジェンス、クロストリジウム・テタニ、コリネバクテリウム・アミコラタム、コリネバクテリウム・ジフテリアエ、コクシエラ・バーネティ、エールリキア・カニス、エールリキア・シャフェンシス、エンテロコッカス・フェカーリス、エンテロコッカス・フェシウム、大腸菌、腸管毒素原性大腸菌、腸管病原性大腸菌、腸管侵入性大腸菌、腸管出血性大腸菌、フランシセラ・ツラレンシス、ヘモフィルス・インフルエンザ、ヘリコバクター・ピロリ、クレブシエラ・ニューモニエ、レジオネラ・ニューモフィラ、レプトスピラ種、リステリア・モノサイトゲネス、マイコバクテリウム・レプラエ、マイコバクテリウム・ツベルクローシス、マイコプラズマ・ニューモニエ、ナイセリア・ゴノレア、ナイセリア・メニンジティディス(meningitidus)、パラクラミジア、シュードモナス・エルギノーザ、ノカルジア・アステロイデス、リケッチア・リケッチ、サルモネラ・ボンゴリ、サルモネラ・エンテリカ、スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミディス、スタフィロコッカス・サプロフィティカス、ストレプトコッカス・アガラクチア、ストレプトコッカス・ニューモニエ、ストレプトコッカス・ピオゲネス、ストレプトコッカス・ビリダンス、トレポネーマ・パリダム、ビブリオ・コレラ、ビブリオ・バルニフィカス、ビブリオ・パラヘモリティカス、及び/又はエルシニア・ペスティスを包含し得るが、是等に限定されない。
【0094】
幾つかの実施形態では、生物は原虫であり得る。原虫の限定しない例は、アメーボゾア、エクスカバータ、及び/又はクロムアルベオラータの門からの物を包含する。幾つかの実施形態では、原虫は、アメーバspp.、エントアメーバspp.、プラスモジウムspp.、ジアルジアspp.、及び/又はトリパノソーマspp.の属からの物を包含し得るが、是等に限定されない。幾つかの実施形態では、原虫は、エントアメーバ・ヒストリティカ、クリプトスポリジウム・パルバム、クリプトスポリジウム・ホミニス、サイクロスポラ・カエタネンシス、及び/又はジアルジア・ランブリアを包含し得るが、是等に限定されない。
【0095】
幾つかの実施形態では、生物はウイルスであり得る。ウイルスの限定しない例は、単純ウイルス、バリセロウイルス、サイトメガロウイルス、ロゼオロウイルス、リンホクリプトウイルス、ラディノウイルス、アデノウイルス、アストロウイルス、カリシウイルス、マストアデノウイルス、アルファパピローマウイルス、ベータパピローマウイルス、ガンマパピローマウイルス、ミューパピローマウイルス、ニューパピローマウイルス、ポリオーマウイルス、モルシポックスウイルス、オルトポックスウイルス、パラポックスウイルス、アルファトルクウイルス、ベータトルクウイルス、ガンマトルクウイルス、ゲミサーキュラーウイルス、エリスロウイルス、ディペンドウイルス、ボカウイルス、コルチウイルス、ロタウイルス、シードルナウイルス、ヘペウイルス、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、トロウイルス、マムアストロウイルス、ノロウイルス、サポウイルス、フラビウイルス、ヘパシウイルス、ペギウイルス、カルディオウイルス、コサウイルス、エンテロウイルス、ヘパトウイルス(例えばA型肝炎)、コブウイルス、パレコウイルス、ロサウイルス、サリウイルス、アルファウイルス、ルビウイルス、デルタウイルス、リッサウイルス、ベシキュロウイルス、フィロウイルス科、エボラウイルス、マールブルグウイルス、パラミクソウイルス科、ヘニパウイルス、モルビリウイルス、レスピロウイルス、ルブラウイルス、メタニューモウイルス、ニューモウイルス、アレナウイルス、ペリブニヤウイルス科、オルトブニヤウイルス、ハンタウイルス、ナイロウイルス、フェヌイウイルス科、フレボウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、トゴトウイルス、ガンマレトロウイルス、デルタレトロウイルス、レンチウイルス、スプマウイルス、及び/又はオルトヘパドナウイルスを包含する。
【0096】
幾つかの実施形態では、生物は、腸管吸虫、回虫、蟯虫、及び/又は条虫を包含するが、是等に限定されない蠕虫であり得る。幾つかの実施形態では、蠕虫は、アスカリスspp.、アンシロストーマspp.、トリクリスspp.、ストロンギロイデスspp.、ネカトールspp.、スキストソーマspp.、及び/又はトリキネラspp.の属からの蠕虫を包含し得るが、是等に限定されない。蠕虫の更なる限定しない例は、アスカリス・ランブリコイデス(回虫)、アンシロストーマ・ドゥオデナーレ(鉤虫)、ネカトール・アメリカヌス(鉤虫)、ストロンギロイデス・ステルコラリス、トリキネラ・スピラリス、及び/又はトリクリス・トリキウラ(鞭虫)を包含する。
【0097】
幾つかの実施形態では、生物は真菌であり得る。真菌の限定しない例は、カンジダspp.、アスペルギルスspp.、ムコールspp.、フザリウムspp.、ブラストミセスspp.、コクシジオイデスspp.、クリプトコッカスspp.、ヒストプラスマspp.、リゾプスspp.、リクテイミアspp.、ニューモシスティスspp.、スポロスリックスspp.、及び/又はカニングハメラspp.の属からの物を包含する。真菌の更なる限定しない例は、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・トロピカリス、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・フミガーツス、アスペルギルス・ニガー、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、クリプトコッカス・ガッティ、ニューモシスティス・イロベチイ、及び/又はトルロプシス・グラブラタを包含する。
【0098】
本開示の主題は、更に、インビトロ細胞系に於いて粘液制御異常を評価する方法を提供する。幾つかの実施形態では、インビトロ細胞系に於いて粘液制御異常を評価する方法は、粘液制御異常に関連する疾患を有する対象からの幹細胞から本開示の主題の生細胞コンストラクトを作り出す事を含む。幾つかの実施形態では、本開示の主題の生細胞コンストラクトは、ゲノム編集(例えばCRISPR-Cas9、TALEN、メガヌクレアーゼ)に依って粘液制御異常に関連する疾患からの細胞を概括する様に改変されている健康な対象からの幹細胞から作り出され得る。其れから、其の様に作り出されたインビトロ細胞系からの粘液層は、本明細書に記載される通り、厚さ、組成、粘度、微小物体に依る透過度、感染する微生物の能力、及び/又は薬物に対する応答性を包含するが是等に限定されない性質について研究され得る。粘液制御異常に関連する疾患は、炎症性腸疾患、便秘、嚢胞性線維症、過敏性腸症候群、リーキーガット症候群、細菌異常増殖症候群、セリアック病、乳糖不耐症、過剰ガス症候群、下痢性疾患、及び/又はポリープ・虫垂炎を包含するが、是等に限定されない。
【0099】
此処で、本開示の主題が次の例の参照に依って記載される。此れ等の例は、請求項の範囲を本開示の主題に限定する事を意図せず、寧ろ、或る種の実施形態を例示する事が意図されるという事は了解される筈である。当業者に思い浮かぶ例示される方法の何れかの変形は、本開示の主題の範囲内に収まる事が意図される。
【実施例0100】
次の例は本開示の主題の種々の実施形態を更に例解する為に包含される。然し乍ら、本開示に照らして、当業者は、本開示の主題の趣旨及び範囲から逸脱する事なしに、開示される具体的な実施形態に多くの変更が成され得るという事を了解し、依然として同類の又は類似の結果を得る筈である。
【0101】
例1~4の材料及び方法
コラーゲンハイドロゲル上に於けるヒト結腸上皮幹細胞のインビトロ拡大培養.ヒト由来腸上皮幹細胞を拡大培養する為には、単層培養技術を以前に公開されたプロトコールに従って用いた27,30。手短には、結腸陰窩を死体ドナー(男性、23歳)の横行結腸組織標本から単離し、1,000陰窩/標準的な6ウェル培養プレート(1mm厚コラーゲンハイドロゲルを保有する)のウェルの密度でコラーゲンハイドロゲルに直接的にプレーティングし、4mLの幹細胞用培地を重層した(SM-表1)。培地は48時間毎に換えた。細胞のコンフルエンシーが≧80%に達した時に(典型的には5~7日)、単層を継代し、新鮮なコラーゲンハイドロゲル上で1:3の継代比で継代培養した27,30。細胞をP11に於いて核型分析し、10個の塗沫標本中の10個が正常な核型を呈した。本明細書の全ての実験は細胞をP15未満の継代数で用いた。
【0102】
ヒト結腸上皮の単層上の粘液層の生成.多孔質膜(0.4μmポアサイズ、コーニング・インコーポレイテッド(Corning Incorporated)、#3460)を保有するトランズウェルインサートを、リン酸緩衝食塩水(PBS)中に於いて37℃で一晩、1vol%マトリゲルに依ってコーティングした。細胞プレーティングに先行して、インサートをPBS×1に依ってリンスした。腸上皮細胞は上に記載されている手続きに従って継代した。ただし、細胞は拡大培養培地に懸濁し(EM-表1)、トランズウェルインサートの上側区画に直接的にプレーティングした。6ウェルプレートの1つのウェルからの細胞を6つの別々の12ウェルトランズウェルインサート内に分散した(上側[頂端]リザーバ内に1mL、下側[基底]リザーバ内に2mL)。培地は48h毎に交換した。細胞分化及び粘液産生を誘導する為に、培地を5日後に分化培地に切り替えた(DM-表1)。浸漬培養には、1mLのDMを頂端リザーバに、2mLを基底リザーバに追加した。其の後、培地を48h毎に交換した。ALI培養には、頂端リザーバ内の培地を完全に吸い取り、1mLのDM又はDM-VIP(330ng/mLのVIP[アナスペック・インク(AnaSpec, Inc.)、#AS-22872]を含有するDM)を基底リザーバに追加し、其の後、培地を24h毎に交換した。第10日迄に、系はキャラクタリゼーション及びサイトカインアッセイに好適であった。
【0103】
【0104】
ヒト結腸上皮及び粘液層のキャラクタリゼーション.細胞及び粘液層をカルノア液(エタノール6:酢酸3:クロロホルム1、v/v/v)に依って4℃で2hに渡って固定した。組織をエタノールに依って脱水し、切片化の為にパラフィン包埋した。切片を抗Muc2抗体(サンタクルーズバイオテクノロジー(Santa Cruz Biotechnology)、#sc-15334)に依って染色して粘液層を明らかにし(Muc2は結腸粘液層の主要な構造コンポーネントである)、細胞の核のDNAはヘキスト33342に依って染色した(サーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)、#62249)30。粘液層及び細胞の頂端の特徴を明らかにする為に、組織を(浸漬及びALI培養では)カルノア液又は(DM-VIPありのALI培養では)グリオキサール何方かに依って4℃で2hに渡って固定し、段階的なエタノールに依って脱水し(25%、50%、75%、及び100%)、臨界点乾燥装置(トーシミス・リサーチ・コーポレーション(Tousimis Research Corporation)Semidri-PVT3)に依って乾燥し、スパッタコーター(クレシントン・サイエンティフィック・インスツルメンツ(Cressington Scientific Instruments)108)に依って10nm金属でコーティングし、SEM(FEI-Quanta200ESEM、FEIカンパニー)に依って検査した。
粘液層の細菌分離能を実証する為には、2μg/mLのヘキスト33342を含有する1mL培地を基底リザーバに1hに渡って追加する事に依って、上皮生細胞を第1にヘキスト33342に依って染色し、其れから、2億コロニー形成単位(cfu)/mLの密度のGFP-EC(ATCC、#25922GFP)又は108ビーズ/mLの密度の1μm赤色蛍光ビーズ(サーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)、#F13083)の0.5mLの懸濁液を頂端リザーバに追加した。20minの播種後に、トランズウェルインサートをカバーガラス上に置き、組織をオリンパス株式会社FluoView-FV3000共焦点レーザー走査顕微鏡に依ってイメージングした。
【0105】
A毒素実験.0又は12μg/mLの天然のC.ディフィシルA毒素蛋白質(アブカムPLC(Abcam PLC)、#ab123999)及び5mg/mLのFITC-デキストラン(シグマ・アルドリッチCo.LLC(Sigma-Aldrich Co. LLC)、#FD40S)の混合物の20μLを、ヒト結腸上皮単層(±粘液)の頂端側に追加した。此れは広がって180μm液体層を形成した。1mLのハンクス平衡塩溶液(カルシウム/マグネシウム有り。10%ウシ胎児血清及び10mMのHEPESを補った)を基底区画に追加した。150μLのサンプルを基底区画から2、4、8、及び24hに於いて収集した。収集されたサンプルの蛍光強度をマイクロプレートリーダーに依って測定し、パーセントの透過性を%透過性=100×(サンプル-ブランク)/(トランズウェル-ブランク)として計算した。式中、「トランズウェル」は細胞なしのインサートから収集された液体を指示する。細胞をエタノールに依って固定し、ファロイジン(サーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)、#R37110)及びZO-1抗体(プロテインテックグループ・インク(Proteintech Group, Inc.)、#21773-1-AP)に依って染色して、F-アクチン及びタイトジャンクションを明らかにした。
【0106】
大腸菌及びPBMCとの共培養.新鮮な正常なヒトPBMCをフィジシャンズ・プラズマ・アライアンス(Physician's Plasma Alliance)(ジョンソンシティ、TN)から購入した。PBMCを10%ウシ胎児血清(FBS)及び100μg/mlゲンタマイシンを含有するRPMI培地に286万細胞/mLで懸濁した。GFP-ECを100μg/mLアンピシリンを有する栄養素ブロスに依って培養した。2億cfu/mLの密度のGFP-ECの懸濁液を10mLリン酸緩衝食塩水(PBS)に依って調製し、2300gで遠心し、PBSに依って2回洗浄した。GFP-ECを、10%FBSを含有する0.2mLのRPMI培地に再懸濁した。コントロールされていない細菌成長を避ける為に、ゲンタマイシン(100μg/ml)を培地に追加した54。5日に渡るDMに依る浸漬培養の結腸単層では、培地を上側及び下側リザーバ両方から吸い取った。5日に渡るDM-VIPに依るALI培養の物では、培地を下側リザーバからのみ吸い取った。20μLのGFP-EC懸濁液(2000万cfu)を上皮の頂端側に追加した。500μLのPBMC懸濁液(143万)を基底リザーバに追加した。24hの共培養後に、基底リザーバからの培地を収集し、5000rpmで6minに渡って遠心し、小分けし、-20℃で保存した。
【0107】
サイトカインの定量.サイトカイン(IL-8、IL-6、IL-1β、及びTNF-α)の濃度は製造者の説明書に従ってELISAキット(サーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific))を用いて決定した。測定が所与のキットの直線範囲内に収まる様に、サンプルを(IL-8では)40×、(IL-6では)10×、又は(IL-1β及びTNF-αでは)5×希釈した。3つのサンプルを各条件について用いた。無処置のコントロールと比較したサイトカイン濃度の変化を対応のない両側t検定に依って統計的に分析した。全ての図に於いて、「**」はp<0.005、「*」はp<0.05、「#」は統計的に有意ではないの印である。
【0108】
例1
気液界面(ALI)培養はコンパクトな粘液層が頂端結腸上皮上に蓄積する事を可能化する
最初に、粘液層の生成を助ける為に、気液界面(ALI)培養を試験した。何故なら、標準的な浸漬培養に於いて上に重なる培地は、粘液が分泌されるに連れて其れを希釈して行き、高密度の粘液層が形成される事を防止し得るという仮説が立てられたからである。横行結腸から得られたヒト上皮幹細胞をマトリゲルコーティングされたトランズウェル(多孔質膜)にプレーティングし、拡大培養培地(EM)中で5日に渡って培養して、細胞が増殖しコンフルエントな単層を形成する事を可能化した。第5日に、培地を分化培地(DM)に切り替え、細胞を浸漬培養(頂端及び基底リザーバ両方に培地)として又はALI培養(基底リザーバのみに培地)としての何方かで追加の5日に渡って培養した(
図2A)。DM中の成長因子の不在を原因として、細胞は其れ等の増殖能を失い、結腸細胞、杯細胞、及び腸内分泌細胞の混合物から構成される成熟した細胞系列に自発的に分化した
29。培養の第10日に、粘液層は浸漬培養では不在であった(
図2B)。
図2Cに示されている通り、走査電子顕微鏡法(SEM)に依って観た時に、粘液層は此れ等の単層上には可視ではなく、上皮及び其の頂端特徴(杯細胞の分泌顆粒、矢印)が容易く明らかであった(
図1C、上側パネル)。以前に記載されている通り、溶解したムチンが酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)に依って内腔培地中に検出可能であった
30。其れ故に、杯細胞に依って分泌されるムチンは培地に依って急速に希釈され、其れ故に、高密度の生理的なハイドロゲルを築く能力がないという事が可能であった。
【0109】
ALI培養では、連続的な粘液層(Muc2
+)が免疫蛍光に依って上皮の頂端表面全体に観察された(
図2B)。此の粘液層の厚さは不均質であり、76から154μmの範囲であった。粘液は場合に依っては杯細胞に関連していた(
図2Bの矢印に依って指示されている)。SEMに依って観た時に、粘液は上皮の連続的な被覆を実証し(
図2C、下側パネル)、SEMイメージングに要求される脱水プロセスを原因とする散在した割れ目を有した。高密度の粘液層の下の細胞は視覚化され得なかった(右パネルの高倍率画像)。此処で見られる通り粘液分泌を強化する為には、希釈のポテンシャルに加えて、粘液産生にインパクトを及ぼす種々のメカニズムが作用可能であり得る。ALI培養は呼吸器系並びに胃及び腸に由来する幾つかの組織培養された腫瘍細胞株に於ける粘液産生を増大させる事が示されているが
31-37、此の効果は以前には初代腸組織を用いて実証されていない。ALIとの組み合わせでの機械的な力は、腫瘍細胞の母地に依る粘液産生を強化する事が示されており、其の為、薄い流体層に依って行使される表面張力の力は寄与因子であり得る
37。残存する水の薄いフィルムのオスモラリティの増大を原因として、蒸発もまた追加の刺激を提供し得る。何故なら、高オスモル溶液はヒト気管支上皮細胞に於いて粘液過分泌を引き起こす事が示されているからである
38,39。最後に、オスモラリティの変化は結腸上皮細胞に依るトレフォイルファクター3の産生をもまた刺激する事が公知であり、此れは粘液の品質及び密度を改善する様に作用する
8,40。
【0110】
コンパクトな粘液層がマイクロビーズ又は細菌を上皮から有効に分離する為のバリアとして働くかどうかを決定する為に、1μm赤色蛍光ビーズ(
図2D)又は緑色蛍光蛋白質(GFP)発現大腸菌(GFP-EC)の懸濁液(
図2E)を、ヘキスト33342に依って染色された上皮のALI培養後の内腔リザーバに追加した。其れから、粘液層の厚さを共焦点顕微鏡法に依って評価した(
図2D及び2E)。上皮細胞からのビーズ及び細菌の距離は
図2D及び2Eに示されている代表的な画像に於いては71から381μmの範囲であり、138±62μmの平均を有した(N=3つの場所)。此の粘液層はマイクロビーズ又は細菌を分離する為のバリアとして有効に作用したが、其れは不均質な厚さを有する粘液の集塊を形成した。
【0111】
例2
改変されたALI培養に於いて内腔の水分泌を促進する事に依って、水和した厚い粘液層が作出され得る
細菌代謝を起源とする気体が大腸のルーメン内に存在する;然し乍ら、インビボの内腔表面は、主として、高い水含量を保有する非消化性の材料及び老廃物との接触をしている。其れ故に、幾つかの実施形態では、頂端表面に於ける水の不在を原因として、上に記載されているALI培養はインビボの腸内腔環境を詳しくは反映しない。実際に、結腸粘膜の水及び電解質のホメオスタシスは、水がルーメン内に及び外に動く事に依って平衡化されている。健康な成人では、ルーメンから外への水の動きの速度は17.8mL/minであり、ルーメン内への物は16mL/minであり、1.85mL/minの正味の水流出を齎し、糞便の固化を引き起こす
41。腸ホルモン、例えば5-ヒドロキシトリプタミン(セロトニン;5-HT)、血管作動性腸ペプチド(VIP)、及びP物質は、大腸の内腔内容物の流体平衡又は水含量を制御する事に主要な役割を演ずる
42。均一な厚さの厚い高度に水和した途切れない粘液層を生ずる為の戦略を開発する為に、VIP含有DM(DM-VIP)を用いるホルモンVIPに対する基底上皮表面の暴露を用いて、上皮を通る流体の動きの平衡を補助した(
図3A)。VIPは内因性のホルモンであり、健康な成人の血漿中濃度は14から76pg/mLの範囲である
43。腸に於ける其の役割は、腸ルーメンへの水及び電解質の分泌を刺激する事である
44。VIPは、杯細胞に依る粘液分泌及び産生を増大させ、杯細胞への系列配分を強化する様にもまた作用し得る
45。
【0112】
水分泌を刺激するVIPの機能を検証する為に、ヒト結腸幹細胞をEMに依って5日に渡って培養した。第5日に、基底培地を変動するVIP濃度を有するDMに切り替え、細胞をALI培養条件下に置いた。24h後に、頂端リザーバに蓄積した水を収集し、分析天秤に依って秤量した。VIPの不在下では、頂端リザーバ内の水の蓄積は測定可能ではなかった。VIPの存在下では、水の分泌はVIP濃度依存的であり、210pg/mLの有効用量50(ED
50)を有した(
図3B)。VIP濃度が>1ng/mLである時に、プラトーに達した。此の飽和濃度では、420μmのリザーバ内の水の深さに対応する凡そ42mg/cm
2の水がVIPとの24hインキュベーション後に蓄積した。
【0113】
DM-VIP(飽和濃度のVIPを含有するDM)に依るALI培養では、液体の層が24h以内に頂端側に蓄積し、此の液体層は5~6日の分化培養条件の間に維持された。頂端液体層は段々粘稠に成り、5日には、滑り性の粘液ハイドロゲルが作り出された。此れは視覚化の為にピンセットに依って上皮から持ち上げられ得た(
図3C)。此れ等の条件下では、粘液厚さは粘液蓄積の期間(即ち、ALIプラスDM-VIP下に於ける時間)に依存的であった。経時的な粘液層の蓄積を実証する為に、ヒト結腸上皮細胞を、5日に渡るEMに依る浸漬培養に依って、次に6日に渡るDM-VIPに依る培養に依って、上に記載されているALI条件下に於いて維持した。共焦点イメージングを0、2、4、及び6日に行った。単層の細胞核はヘキスト33342に依って染色した。GFP-ECの懸濁液を記載した通り粘液層に重層し、細菌及び上皮細胞の間の距離をマイクロビーズについて記載されている通り測定した。大腸菌(矢印に依って標識されている)及び核(矢印に依って標識されている)の間の距離は、粘液層コンポーネントが経時的に細菌を上皮から有効に分離したという事を示している(
図3D)。第0及び2日に、細菌は上皮の頂端表面との接触をしていた。4日後に、細菌を分離する粘液層は厚さが142±21μmであった(N=3サンプル)。6日後に、細菌及び上皮単層の間の分離に依って示される通り、粘液層の厚さは302±28μmに増大していた。
図3Dを見よ。此れ等の結果は、粘液厚さがALIの期間に依って容易に調整され得るという事を実証している(
図3E)。可能性として、其の水含量の結果として流動及び再分布する其の能力を原因として、粘液の厚さは表面に渡って一定であった(302±28μm)。1μm赤色蛍光ビーズを粘液層に重層する事に依って、類似の結果が観察された(
図3F)。此のインビトロで作り出された粘液層は、上皮を内腔微生物及びマイクロビーズから隔離する為の有能なバリアを形成する事に依って、インビボの結腸の内側粘液層の性質に似通っている
46。粘液及び上皮両方を視覚化する為に、サンプルを脱水し、粘液を上皮から部分的に取り除いた(
図3Gの点線が境界である)。大腸菌は粘液層の表面のみに見出され、上皮との接触をしては見られなかった。再び、此の結果は、水和した粘液層が上皮及び微生物を隔離する為のバリアを形成したという事を実証している(
図3G)。
【0114】
ALI培養法は気管支上皮細胞47、ケラチノサイト48、腺癌腸細胞株37、及び腸オルガノイド49に用いられている。ALIは市販製品に依って多孔質膜インサート上で初代小腸上皮細胞を培養する為にもまた用いられている(MatTekコーポレーションからのMatTekコーポレーション(MatTek Corporation)の3D組織モデル)。然し乍ら、MatTekの3D組織モデルは、コントロール可能な厚さで以ってマイクロビーズ又は細菌を分離する高密度の連続的な粘液層を支持する事は示されていない。出願人は上のALI戦略(DM又はDM-VIP)を用いて初代ヒト小腸(空腸)上皮細胞を試験したが、高密度の且つ厚い粘液層は作り出されなかった。本開示の方法は初代ヒト結腸細胞に適用可能であり、此れ等のデータは、インビボ様の粘液の性質を保有するインビトロ結腸粘液系の作出を初めて示す。
【0115】
例3
粘液層は初代ヒト結腸上皮に対するC.ディフィシル毒素の効果を妨害する
粘液層がインビトロ結腸上皮モデルの生理学的な該当性を改善するという事を実証する為に、初代ヒト結腸上皮(GC及び/又はOC)を粘液層の不在下又は存在下に於いてC.ディフィシル毒素に暴露した(
図4A)。C.ディフィシルはホストGTPアーゼ(Rho、Rac、及びCdc42を包含する)を不活性化する事が出来る2つの強力な毒素A及びBを生じ、上皮バリアの変改、ヒト腸粘膜へのダメージ、及び結腸の炎症に至る
50。浸漬培養法に於いて、粘液層の不在下では、A毒素は細胞のダメージを速やかに誘導し、最も早い変化は2hの毒素インキュベーション以内に観察された。4hには、毒素処置された上皮単層では、細胞間透過性が有意に増大し(
図4B)、IL-8分泌もまた有意に強化された(
図4C)。頂端F-アクチン構造及びZO-1タイトジャンクション両方は毒素処置に依って顕著に変改された。コントロールの上皮単層は頂端刷子縁に於ける秩序立ったF-アクチンとZO-1の連続的な「チキンワイヤー」パターンとを有したが、A毒素処置された単層は、細胞の球状化、正常なF-アクチンの乱れ及び破壊、並びにZO-1アーキテクチャの分解を見せた(
図4D)。此の傾向は8h(
図4E及び4F)及び24hに於いて観察された。此れ等の結果は、A毒素が上皮バリア機能を破壊し、免疫学的応答を誘起するという事を実証している。此れは他の腸上皮モデルについての以前の研究と整合する
15,51,52。
【0116】
ALIプラスDM-VIPに依って作り出される粘液層の存在下では、透過性及びIL-8産生の変化(
図4B及び4C)、並びに細胞形態学、F-アクチン及びZO-1アーキテクチャ(
図4D)の点では、4hに於いて、毒素処置に対する細胞の応答は観察されなかった。然し乍ら、透過性及びIL-8産生の変化が8hに観察された(
図4E及び4F)。此れ等の結果は、粘液層が毒素の物理的バリア又はトラップとして働き、其の結果、其れ等は(粘液結合部位の有り無しに拘らず)純粋な拡散に依って上皮に達し、対流混合は上皮への毒素移動を加速させる能力が最早なかったという事を示唆する。此れ等の知見は、我々の腸粘液-上皮が、C.ディフィシル感染についてホスト及び病原体の因子を研究する為の改善された生理学的に該当するモデルである事を示唆する。
【0117】
例4
粘液層は物理的バリアとして働き、細菌に依って誘導される免疫応答を無くす
インビボでは、粘液層は、片利共生微生物をホスト上皮から隔離する為の物理的バリアとして働く事に依って、粘膜免疫系の不可欠なコンポーネントとして作用する。此の物理的隔離を原因として、片利共生微生物はホスト炎症性応答を開始する事なしに上皮と共存する
6。インビトロ粘液層が同じ保護機能を供し得るという事を実証する為に、上皮単層を大腸菌(内腔側)及び末梢血単核細胞(PBMC、基底側)と24hに渡って粘液層の不在下(浸漬法に依って培養した)又は存在下(ALIプラスDM-VIP法に依って作り出した)に於いて共培養した(
図5A)。基底上皮側から分泌される炎症性サイトカインを定量した(
図5Bから5E)。大腸菌への暴露なしでは、PBMCは比較的低いレベルのサイトカインを生じた。PBMC及び上皮の共培養は類似のレベルのサイトカインを生じた。然し乍ら、上皮が粘液層の不在下に於いて細菌に暴露された後には、細菌無しのコントロールの物に対して相対的にサイトカイン産生の有意な増大が観察された。此れ等の結果は、粘液を産生しないCaco-2細胞が非病原性大腸菌の存在下に於いて成長させられる時に得られる物に類似である
53,54。
【0118】
対照的に、粘液層の存在下では、共培養された大腸菌に対するサイトカイン応答は無くなった。大腸菌に依る攻撃なしでは、PBMC、上皮、及び粘液層との共培養は比較的低いレベルのサイトカインを生じた。大腸菌との24h共培養後に、サイトカイン産生は細菌無しの物と統計的に異ならなかった。此れ等のデータは、粘液層が微生物を上皮から機能的に隔離する為に首尾良く働き、其れ故に免疫応答を無くし、インビボ条件を真似たという事を実証している。
【0119】
本開示の主題の範囲から逸脱する事なしに、本開示の主題の種々の詳細は変えられ得るという事は理解されるであろう。更に其の上、前述の記載は例解のみの目的の為であり、限定の目的の為ではない。
【0120】
参照
全ての特許、特許出願、及び其れ等の公開物、科学雑誌記事、及びデータベースエントリー(例えば、GENBANK(登録商標)データベースエントリー及び其の中の全ての利用可能な注釈)を包含するが是等に限定されない本明細書に列記される全ての参照は、其れ等が本明細書に於いて採用される方法論、技術、及び/又は組成物を補うか、説明するか、背景を提供するか、又は教示する程度迄、其れ等の全体が参照に依って本明細書に組み込まれる。
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22. ヴァンデュッセン(VanDussen)KL,マリンショー(Marinshaw)JM,シャイク(Shaikh)N,ミヨシ(Miyoshi)H,ムーン(Moon)C,ター(Tarr)PI,チョルバ(Ciorba)MA,スタッペンベック(Stappenbeck)TS著,「患者に基づくアッセイを容易化する為の強化ヒト胃腸上皮培養系の開発(Development of an enhanced human gastrointestinal epithelial culture system to facilitate patient-based assays)」,ガット(Gut),2015年;第64巻:p.911-920
23. イン(In)J,フォルケ・アーベル(Foulke-Abel)J,ザコス(Zachos)NC,ハンセン(Hansen)A-M,ケイパー(Kaper)JB,バーンスタイン(Bernstein)HD,ハルシュカ(Halushka)M,ブラット(Blutt)S,エステス(Estes)MK,ドノヴィッツ(Donowitz)M,コブバスンジャック(Kovbasnjuk)O著,「腸管出血性大腸菌はヒト幹細胞由来コロノイドに於いて粘液及び微絨毛間ブリッジを縮減する(Enterohemorrhagic Escherichia coli Reduces Mucus and Intermicrovillar Bridges in Human Stem Cell-Derived Colonoids)」,セルラー・アンド・モレキュラー・ガストロエンテロロジー・アンド・ヘパトロジー(Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology),2016年;第2巻:p.48-62.e3
24. コズカ(Kozuka)K,ヒー(He)Y,クー・マッコイ(Koo-Mccoy)S,クマラスワミ(Kumaraswamy)P,ニー(Nie)B,ショー(Shaw)K,チャン(Chan)P,レッドベター(Leadbetter)M,ヒー(He)L,ルイス(Lewis)JG,ジョン(Zhong)Z,シャルモット(Charmot)D,バラー(Balaa)M,キング(King)AJ,コールドウェル(Caldwell)JS,シーゲル(Siegel)M著,「ヒト及びマウス腸上皮細胞単層プラットフォームの開発及びキャラクタリゼーション(Development and Characterization of a Human and Mouse Intestinal Epithelial Cell Monolayer Platform)」,ステム・セル・レポーツ(Stem Cell Reports)2017年;第9巻:p.1976-1990
25. ノエル(Noel)G,ベイツ(Baetz)NW,スターブ(Staab)JF,ドノヴィッツ(Donowitz)M,コブバスンジャック(Kovbasnjuk)O,パセッティ(Pasetti)MF,ザコス(Zachos)NC著,「粘膜ガットの生理及びホスト-病原体相互作用を検討する為の初代ヒトマクロファージ-エンテロイド共培養モデル(A primary human macrophage-enteroid co-culture model to investigate mucosal gut physiology and host-pathogen interactions)」,サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports),2017年;第7巻:p.45270
26. プザン(Puzan)M,ホシック(Hosic)S,ギオ(Ghio)C,コッペス(Koppes)A著,「腸幹細胞分化及び上皮単層機能の腸管神経系制御(Enteric Nervous System Regulation of Intestinal Stem Cell Differentiation and Epithelial Monolayer Function)」,サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports),2018年;第8巻:p.6313
27. ワン(Wang)YL,ディサルボ(DiSalvo)M,グナセカラ(Gunasekara)DB,ダットン(Dutton)J,プロクター(Proctor)A,レバー(Lebhar)MS,ウィリアムソン(Williamson)IA,スピア(Speer)J,ハワード(Howard)RL,スミディ(Smiddy)NM,ブルトマン(Bultman)SJ,シムズ(Sims)CE,マグネス(Magness)ST,アルブリットン(Allbritton)NL著,「初代結腸又は直腸上皮細胞の自己複製する単層(Self-renewing Monolayer of Primary Colonic or Rectal Epithelial Cells)」,セルラー・アンド・モレキュラー・ガストロエンテロロジー・アンド・ヘパトロジー(Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology),2017年;第4巻:p.165-+
28. マッドン(Madden)LR,グエン(Nguyen)TV,ガルシア・モヒカ(Garcia-Mojica)S,シャー(Shah)V,レ(Le)AV,ペイエ(Peier)A,ビスコンティ(Visconti)R,パーカー(Parker)EM,プレスネル(Presnell)SC,グエン(Nguyen)DG,レッティング(Retting)KN著,「バイオプリンティングされた3D初代ヒト腸組織はネイティブな生理及びADME/Tox機能の様相をモデリングする(Bioprinted 3D Primary Human Intestinal Tissues Model Aspects of Native Physiology and ADME/Tox Functions)」,アイサイエンス(iScience),2018年;第2巻:p.156-167
29. ワン(Wang)Y,キム(Kim)R,ファン(Hwang)S-HJ,ダットン(Dutton)J,シムズ(Sims)CE,アルブリットン(Allbritton)NL著,「幹細胞由来ヒト腸上皮単層プラットフォームに依るインターロイキン8分泌の分析(Analysis of Interleukin 8 Secretion by a Stem-Cell-Derived Human-Intestinal-Epithelial-Monolayer Platform)」,アナリティカル・ケミストリー(Analytical Chemistry),2018年;第90巻:p.11523-11530
30. ワン(Wang)YL,キム(Kim)R,グナセカラ(Gunasekara)DB,リード(Reed)MI,ディサルボ(DiSalvo)M,グエン(Nguyen)DL,ブルトマン(Bultman)SJ,シムズ(Sims)CE,マグネス(Magness)ST,アルブリットン(Allbritton)NL著,「成形された上皮単層を通る化学物質勾配の適用に依るヒト結腸陰窩アレイの形成(Formation of Human Colonic Crypt Array by Application of Chemical Gradients Across a Shaped Epithelial Monolayer)」,セルラー・アンド・モレキュラー・ガストロエンテロロジー・アンド・ヘパトロジー(Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology),2018年;第5巻:p.113-130
31. ウィットカット(Whitcutt)MJ,アドラー(Adler)KB,ウー(Wu)R著,「培養気道上皮細胞の分化の極性を維持する為の二相チャンバー系(A biphasic chamber system for maintaining polarity of differentiation of cultured respiratory tract epithelial cells)」,インビトロ・セルラー&デベロップメンタル・バイオロジー(In Vitro Cellular & Developmental Biology),1988年;第24巻:p.420-428
32. グレイ(Gray)TE,グズマン(Guzman)K,デイビス(Davis)CW,アブドラ(Abdullah)LH,ネッテスハイム(Nettesheim)P著,「連続経代された正常なヒト気管気管支上皮細胞の粘液線毛分化(Mucociliary differentiation of serially passaged normal human tracheobronchial epithelial cells)」,アメリカン・ジャーナル・オブ・レスピラトリー・セル・アンド・モレキュラー・バイオロジー(American Journal of Respiratory Cell and Molecular Biology),1996年;第14巻:p.104-112
33. レアドン(Raredon)MSB,ガエディ(Ghaedi)M,カル(Calle)EA,ニクラソン(Niklason)LE著,「呼吸器上皮のスケーラブルな培養及び分化の為の回転バイオリアクター(A Rotating Bioreactor for Scalable Culture and Differentiation of Respiratory Epithelium)」,セル・メディシン(Cell Medicine),2015年;第7巻:p.109-121
34. オボイル(O'Boyle)N,サザーランド(Sutherland)E,ベリー(Berry)CC,デイビース(Davies)RL著,「気液界面に於けるヒツジ気道上皮細胞分化の時間的ダイナミクス(Temporal dynamics of ovine airway epithelial cell differentiation at an air-liquid interface)」,プロスワン(Plos One),2017年;第12巻
35. オータニ(Ootani)A,トダ(Toda)S,フジモト(Fujimoto)K,スギハラ(Sugihara)H著,「気液界面は培養に依る胃表面粘液細胞(GSM06)の分化を促進する(An air-liquid interface promotes the differentiation of gastric surface mucous cells (GSM06) in culture)」,バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochemical and Biophysical Research Communications),2000年;第271巻:p.741-746
36. ヨコヤマ(Yokoyama)F,サカタ(Sakata)Y,オータニ(Ootani)A,フジセ(Fujise)T,カキモト(Kakimoto)T,アメモリ(Amemori)S,シライシ(Shiraishi)R,クロキ(Kuroki)T,ツナダ(Tsunada)S,イワキリ(Iwakiri)R,フジモト(Fujimoto)K著,「気液界面に依って誘導される胃表面粘液細胞(GSM06)の分化は分裂促進因子活性化蛋白質キナーゼ経路に依って部分的に制御される(Differentiation of gastric surface mucous cells (GSM06) induced by air-liquid interface is regulated partly through mitogen-activated protein kinase pathway)」,ジャーナル・オブ・ガストロエンテロロジー・アンド・ヘパトロジー(Journal of Gastroenterology and Hepatology),2007年;第22巻:p.2310-2315
37. ナバビ(Navabi)N,マクガキン(McGuckin)MA,リンデン(Linden)SK著,「胃腸細胞株は機械的刺激に依ってセミウェット界面に於いて培養される時に粘着性の粘液層を有する極性化した上皮を形成する(Gastrointestinal Cell Lines Form Polarized Epithelia with an Adherent Mucus Layer when Cultured in Semi-Wet Interfaces with Mechanical Stimulation)」,プロスワン(Plos One),2013年;第8巻
38. エルキンズ(Elkins)MR,バイ(Bye)PTP著,「高張食塩水のメカニズム及び適用(Mechanisms and applications of hypertonic saline)」,ジャーナル・オブ・ザ・ロイヤル・ソサエティ・オブ・メディシン(Journal of the Royal Society of Medicine),2011年;第104巻:p.S2-S5
39. J.T,J.M.P,V.P.K,X.D.Z著,「ヒト気道上皮細胞に於ける高張性に依る粘液分泌に対する浸透圧応答エレメント結合蛋白質の効果(Effect of osmotic response element binding protein on mucus secretion with hypertonicity in human airway epithelial cells)」,中華医学雑誌(Zhonghua Yi Xue Za Zhi),2011年;第91巻:p.549-553
40. ラデキン(Ludeking)A,フェガート(Fegert)P,ブリン(Blin)N,ゴット(Gott)P著,「浸透圧変化及びエタノールは胃腸細胞株に於けるTFF遺伝子発現を改変する(Osmotic changes and ethanol modify TFF gene expression in gastrointestinal cell lines)」,フェブス・レターズ(Febs Letters),1998年;第439巻:p.180-184
41. シールズ(Shields)R,マイルズ(Miles)JB,ギルバートソン(Gilbertson)C著,「原発性アルドステロン症を有する患者のインタクトな結腸に依る水及び電解質の吸収及び分泌(Absorption and secretion of water and electrolytes by the intact colon in a patient with primary aldosteronism)」,ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal),1968年;第1巻:p.93-96
42. ワプニール(Wapnir)RA,タイヒベルク(Teichberg)S著,「腸分泌の制御メカニズム:栄養素吸収への関与(Regulation mechanisms of intestinal secretion: implications in nutrient absorption)」,ザ・ジャーナル・オブ・ニュートリショナル・バイオケミストリー(The Journal of Nutritional Biochemistry),2002年;第13巻:p.190-199
43. コーク(Koch)TR,ミッチェナー(Michener)SR,ゴー(Go)VLW著,「下痢を有する患者に於ける血漿中の血管作動性腸ポリペプチド濃度決定(Plasma vasoactive intestinal polypeptide concentration determination in patients with diarrhea)」,ガストロエンテロロジー(Gastroenterology),1991年;第100巻:p.99-106
44. シュワルツ(Schwartz)CJ,キンバーグ(Kimberg)DV,シーリン(Sheerin)HE,フィールド(Field)M,サイード(Said)SI著,「腸粘膜に於けるアデニル酸シクラーゼ及び能動的電解質分泌の血管作動性腸ペプチド刺激(Vasoactive intestinal peptide stimulation of adenylate cyclase and active electrolyte secretion in intestinal mucosa)」,ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(Journal of Clinical Investigation),1974年;第54巻:p.536-544
45. ウー(Wu)X,コンリン(Conlin)VS,モランプディ(Morampudi)V,リズ(Ryz)NR,ナセル(Nasser)Y,ビンダー(Bhinder)G,ベルグストロム(Bergstrom)KS,ユー(Yu)HB,ウォーターハウス(Waterhouse)CCM,バカン(Buchan)AMJ,ポペスク(Popescu)OE,ギブソン(Gibson)WT,ワシェク(Waschek)JA,バランス(Vallance)BA,ヤコブソン(Jacobson)K著,「血管作動性腸ポリペプチドはマウスに於いて腸バリアのホメオスタシス及び大腸炎からの保護を促進する(Vasoactive Intestinal Polypeptide Promotes Intestinal Barrier Homeostasis and Protection Against Colitis in Mice)」,プロスワン(Plos One),2015年;第10巻:p.e0125225
46. ヨハンソン(Johansson)MEV,グスタフソン(Gustafsson)JK,ホルメン・ラーソン(Holmen-Larsson)J,ジャバー(Jabbar)KS,シャ(Xia)L,シュー(Xu)H,ギシャン(Ghishan)FK,カルバーリョ(Carvalho)FA,ジュワーツ(Gewirtz)AT,フェーヴァル(Sjovall)H,ハンソン(Hansson)GC著,「ネズミ大腸炎モデル及び潰瘍性大腸炎を有する患者両方に於いて、細菌は正常では透過不可能な結腸の内側粘液層を透過する(Bacteria penetrate the normally impenetrable inner colon mucus layer in both murine colitis models and patients with ulcerative colitis)」,ガット(Gut),2014年;第63巻:p.281-291
47. リン(Lin)HX,リ(Li)H,チョウ(Cho)HJ,ビアン(Bian)S,ロー(Roh)HJ,リー(Lee)MK,キム(Kim)JS,チョン(Chung)SJ,シム(Shim)CK,キム(Kim)DD著,「気道薬物輸送研究の為のインビトロモデルとしてのヒト気管支上皮細胞単層の気液界面(ALI)培養(Air-liquid interface (ALI) culture of human bronchial epithelial cell monolayers as an in vitro model for airway drug transport studies)」,ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンシズ(Journal of Pharmaceutical Sciences),2007年;第96巻:p.341-350
48. バーンスタム(Bernstam)LI,ヴォーン(Vaughan)FL,バーンスタイン(Bernstein)IA著,「気液界面に於いて成長したケラチノサイト(Keratinocytes grown at the air-liquid interface)」,インビトロ・セルラー&デベロップメンタル・バイオロジー(In Vitro Cellular & Developmental Biology),1986年;第22巻:p.695-705
49. オータニ(Ootani)A,リ(Li)XN,サンジョルジ(Sangiorgi)E,ホー(Ho)QT,ウエノ(Ueno)H,トダ(Toda)S,スギハラ(Sugihara)H,フジモト(Fujimoto)K,ワイスマン(Weissman)IL,カペッキ(Capecchi)MR,クオ(Kuo)CJ著,「Wnt依存的な幹細胞ニッチ内に於ける持続的なインビトロ腸上皮培養(Sustained in vitro intestinal epithelial culture within a Wnt-dependent stem cell niche)」,ネイチャー・メディシン(Nature Medicine),2009年;第15巻:p.1-U140
50. フォート(Voth)DE,バラード(Ballard)JD著,「クロストリジウム・ディフィシル毒素:疾患に於ける作用及び役割のメカニズム(Clostridium difficile toxins: mechanism of action and role in disease)」,クリニカル・マイクロバイオロジー・レビューズ(Clinical microbiology reviews),2005年;第18巻:p.247-263
51. ヒー(He)D,ソウギオウルジス(Sougioultzis)S,ヘイゲン(Hagen)S,リウ(Liu)J,キーテス(Keates)S,キーテス(Keates)AC,ポゾウラキス(Pothoulakis)C,ラモント(LaMont)JT著,「クロストリジウム・ディフィシルA毒素はミトコンドリアの酸素ラジカル生成に依ってヒト結腸細胞IL-8放出を誘発する(Clostridium difficile toxin A triggers human colonocyte IL-8 release via mitochondrial oxygen radical generation)」,ガストロエンテロロジー(Gastroenterology),2002年;第122巻:p.1048-1057
52. マヒダ(Mahida)YR,マハ(Makh)S,ハイド(Hyde)S,グレイ(Gray)T,ボレイロ(Borriello)SP著,「ヒト腸上皮細胞に対するクロストリジウム・ディフィシルA毒素の効果:細胞剥離後のインターロイキン8産生及びアポトーシスの誘導(Effect of Clostridium difficile toxin A on human intestinal epithelial cells: induction of interleukin 8 production and apoptosis after cell detachment)」,ガット(Gut),1996年;第38巻:p.337-347
53. ハラー(Haller)D,ボーデ(Bode)C,ハメス(Hammes)WP,ファイファー(Pfeifer)AMA,シフリン(Schiffrin)EJ,ブルム(Blum)S著,「非病原性細菌は腸上皮細胞/白血球共培養に依る差別的サイトカイン応答を誘起する(Non-pathogenic bacteria elicit a differential cytokine response by intestinal epithelial cell/leucocyte co-cultures)」,ガット(Gut),2000年;第47巻:p.79-87
54. パーレサック(Parlesak)A,ハラー(Haller)D,ブリンツ(Brinz)S,バウアーライン(Baeuerlein)A,ボーデ(Bode)C著,「単核白血球及び非病原性細菌との区画化共培養モデルに於ける分化CACO-2細胞に依るサイトカイン放出の調節(Modulation of Cytokine Release by Differentiated CACO-2 Cells in a Compartmentalized Coculture Model with Mononuclear Leucocytes and Nonpathogenic Bacteria)」,スカンジナビアン・ジャーナル・オブ・イミュノロジー(Scandinavian Journal of Immunology),2004年;第60巻:p.477-485