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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000113
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20231225BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20231225BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20231225BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20231225BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
H01L25/08 Y
H01L21/02 B
H01L21/02 C
H01L27/11556
H01L27/11582
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098680
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蘆立 浩明
(72)【発明者】
【氏名】竹石 知之
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA10
5F083JA03
5F083JA05
5F083JA39
5F083MA06
5F083MA16
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB04
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH04
(57)【要約】
【課題】複数の基板を適切に接合する。
【解決手段】一つの実施形態によれば、半導体装置の製造方法において、第1の基板に第1の構造を形成する。第1の基板における第1の構造が形成された第1の主面に支持基板を接合して第1の接合体を形成する。支持基板は、第1の基板より剛性が高い。第1の接合体から第1の基板を除去する。第2の基板に第2の構造を形成する。第3の基板に第3の構造を形成する。第2の基板における第2の構造が形成された第2の主面と第3の基板における第3の構造が形成された第3の主面とを接合して第2の接合体を形成する。第2の接合体から第3の基板を除去する。第1の接合体における第1の基板が除去されて露出された第4の主面と第2の接合体における第3の基板が除去されて露出された第5の主面とを接合して第3の接合体を形成する。第3の接合体から支持基板を除去する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板に第1の構造を形成することと、
前記第1の基板における前記第1の構造が形成された第1の主面に前記第1の基板より剛性の高い支持基板を接合して第1の接合体を形成することと、
前記第1の接合体から前記第1の基板を除去することと、
第2の基板に第2の構造を形成することと、
第3の基板に第3の構造を形成することと、
前記第2の基板における前記第2の構造が形成された第2の主面と前記第3の基板における前記第3の構造が形成された第3の主面とを接合して第2の接合体を形成することと、
前記第2の接合体から前記第3の基板を除去することと、
前記第1の接合体における前記第1の基板が除去されて露出された第4の主面と前記第2の接合体における前記第3の基板が除去されて露出された第5の主面とを接合して第3の接合体を形成することと、
前記第3の接合体から前記支持基板を除去することと、
を備えた半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記支持基板のヤング率は、前記第1の基板のヤング率より高い
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記支持基板の断面2次モーメントは、前記第1の基板の断面2次モーメントより大きい
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記支持基板の厚さは、前記第1の基板の厚さより厚い
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1の構造は、第1の方向を長手方向とし、
前記支持基板は、前記第1の基板の反対側の主面にそれぞれが前記第1の方向に延び前記第1の方向に交差する第2の方向に並ぶ複数の凸状パターンを有する
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1の構造は、第1のメモリセルアレイ構造を含み、
前記第2の構造は、回路構造を含み、
前記第3の構造は、第2のメモリセルアレイ構造を含む
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造方法では、複数の基板が接合されて半導体装置が製造されることがある。このとき、複数の基板を適切に接合することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-163970号公報
【特許文献2】国際公開第2007/136064号
【特許文献3】特許第5857094号公報
【特許文献4】特開2018-148071号公報
【特許文献5】特開2018-152419号公報
【特許文献6】特開2018-160522号公報
【特許文献7】特開2020-047706号公報
【特許文献8】特開2020-145279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、複数の基板を適切に接合できる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、半導体装置の製造方法が提供される。半導体装置の製造方法では、第1の基板に第1の構造を形成する。半導体装置の製造方法では、第1の基板における第1の構造が形成された第1の主面に支持基板を接合して第1の接合体を形成する。支持基板は、第1の基板より剛性が高い。半導体装置の製造方法では、第1の接合体から第1の基板を除去する。半導体装置の製造方法では、第2の基板に第2の構造を形成する。半導体装置の製造方法では、第3の基板に第3の構造を形成する。半導体装置の製造方法では、第2の基板における第2の構造が形成された第2の主面と第3の基板における第3の構造が形成された第3の主面とを接合して第2の接合体を形成する。半導体装置の製造方法では、第2の接合体から第3の基板を除去する。半導体装置の製造方法では、第1の接合体における第1の基板が除去されて露出された第4の主面と第2の接合体における第3の基板が除去されて露出された第5の主面とを接合して第3の接合体を形成する。半導体装置の製造方法では、第3の接合体から支持基板を除去する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図。
図2】実施形態における基板の各チップ領域を示す平面図。
図3】実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図。
図4】実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図。
図5】実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図。
図6】実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図。
図7】実施形態における支持基板の構成を示す斜視図。
図8】実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図。
図9】実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図。
図10】実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図。
図11】実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体装置の製造方法を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(実施形態)
実施形態にかかる半導体装置の製造方法では、複数の基板が接合されて半導体装置1が製造されるが、複数の基板を適切に接合するための工夫が施される。例えば、半導体装置1は、図1図11に示すよう製造される。以下では、基板2の表面2aに垂直な方向をZ方向とし、Z方向に垂直な面内で互いに直交する2方向をX方向及びY方向とする。
【0009】
図1(a)~図1(c)、図3図4(a)、図5(a)、図7(a)~図11(b)は、半導体装置1の製造方法を示すXZ断面図である。図2(a)は、基板2における複数のチップ領域CPの配列を示すXY平面図であり、図2(b)は、チップ領域CP内の概略レイアウトを示すXY平面図である。図3は、図1(b)のA部分を拡大して示すXZ断面図である。図4(a)は、図3のB部分を拡大して示すXZ断面図である。図4(b)は、図4(a)をC-C線に沿って切った場合の断面を示すXY断面図である。図5(b)は、図5(a)と同じ工程を示すYZ断面図である。図6は、半導体装置1の製造方法に用いられる支持基板5の構成を示す斜視図である。
【0010】
半導体装置1の製造方法では、図1(a)~図7(c)の工程と図8(a)~図10(a)の工程とが並行して行われる。図1(a)~図7(c)の工程と図8(a)~図10(a)の工程とがいずれも完了すると、図10(b)~図11(b)の工程が行われる。各工程は、実際には、図2(a)に示すように、複数のチップ領域CPが搭載された基板を用いて行われるが、簡略化のため、各XZ断面図・YZ断面図では、1つのチップ領域CPが搭載された基板の断面を例示する。
【0011】
図1(a)の工程では、基板2を準備する。基板2は、略円盤形状を有し、XY平面視において、略円形状を有する。基板2は、+Z側に表面2aを有し、-Z側に裏面2bを有する。基板2は、半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料で形成され得る。基板2は、Z方向幅が概ねW1である。
【0012】
図1(b)の工程では、基板2の表面2aに絶縁膜3を堆積した後、導電膜を堆積し、導電膜をパターニングして、図3に示すように、導電層17を形成する。絶縁膜3は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。導電層17は、ポリシリコン等の半導体で形成され得る。その後、導電層17の+Z側に、絶縁層16と犠牲層(図示せず)とを交互に複数回堆積して積層体SST1aを形成する。絶縁層16は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。犠牲層は、シリコン窒化物等の絶縁層16との間でエッチング選択比を確保可能な絶縁物で形成され得る。各絶縁層16及び各犠牲層は、概ね同様な膜厚で堆積され得る。
【0013】
図2(b)に示す分断膜SLTの形成位置がX方向に延びるライン状に開口されたレジストパターンを最も-Z側の絶縁層16の上に形成する。レジストパターンを形成する際に、基板2の露光処理が行われるが、露光処理の前及び/又は後において基板2が熱処理される。レジストパターンをマスクとしてRIE(Reactive Ion Etching)法などの異方性エッチングを行い、積層体SST1aをXZ方向に貫通する溝を形成する。そして、溝に分断膜SLTが埋め込まれる。分断膜SLTは、絶縁物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。分断膜SLTは、積層体SST1a内をXZ方向に延びてY方向に分断する。分断膜SLTは、-Y側の積層体SST1と+Y側の積層体SST1とに分断する。各積層体SST1では、絶縁層16及び各犠牲層が交互に複数回積層されている。各積層体SST1は、XY平面視でX方向を長手方向とする略矩形状を有する。
【0014】
図3に示すメモリホールMHの形成位置が開口されたレジストパターンを各積層体SST1の最も+Z側の導電層15の+Z側及び分断膜SLTの+Z側に形成する。レジストパターンを形成する際に、基板2の露光処理が行われるが、露光処理の前及び/又は後において基板2が熱処理される。レジストパターンをマスクとしてRIE法などの異方性エッチングを行い、積層体SST1を貫通し導電層17に到達するメモリホールMHを形成する。
【0015】
メモリホールMHの側面及び底面に、図4(a)、図4(b)に示すように、絶縁膜BLK1、絶縁膜TNLが順に堆積される。絶縁膜BLK1は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。絶縁膜TNLにおけるメモリホールMHの底面の部分が選択的に除去される。
【0016】
メモリホールMHの側面及び底面に半導体膜CHが堆積される。半導体膜CHは、実質的に不純物を含まない半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され得る。そして、メモリホールMHにコア部材CRが埋め込まれる。コア部材CRは、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。これにより、積層体SST1をZ方向に貫通する柱状体CLが形成される。
【0017】
積層体SST1の犠牲層が除去される。除去によって形成された空隙の露出された面に絶縁膜BLK2が形成される。絶縁膜BLK2は、アルミニウム酸化物等の絶縁物で形成され得る。空隙には、さらに、導電層15が埋め込まれる。導電層15は、導電物(例えば、タングステンなどの金属)を主成分とする材料で形成され得る。これにより、導電層15と絶縁層16とが交互に繰り返し積層された積層体SST1が形成される。
【0018】
これにより、複数のメモリセルが3次元的に配列されたメモリセルアレイ構造MAR1が形成される。メモリセルアレイ構造MAR1では、積層体SST1における複数の導電層15と複数の半導体膜CHとが交差する複数の位置に複数のメモリセルが形成される。なお、導電層17は、メモリセルアレイ構造MAR1におけるソース領域SLとして機能する。複数の導電層15のうち最も-Z側の導電層15は、ソース側選択ゲート線SGSとして機能する。複数の導電層15のうち最も+Z側の導電層15は、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する。複数の導電層15のうち残りの導電層15は、それぞれ、ワード線WLとして機能する。
【0019】
また、絶縁膜3がさらに堆積され、絶縁膜3における柱状体CLに対応した位置にホールが形成されるとともに、導電層15のX方向端部に対応した位置にホールが形成される。ホールに導電物(例えば、銅等を主成分とする材料)が埋め込まれてプラグBC、プラグCCが形成される。さらに、プラグBC、プラグCCの+Z側に導電膜が堆積され、導電膜がパターニングされる。これにより、導電膜BL、導電膜CFが形成される。導電膜BLは、メモリセルアレイ構造MAR1に対するビット線BLとして機能する。
【0020】
図1(c)の工程では、絶縁膜3の+Z側の主面3aを覆うように、絶縁膜4が堆積される。絶縁膜4は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。これにより、複数のチップ領域CP1を含む基板2が得られる。各チップ領域CP1は、メモリセルアレイ構造MAR1を含み、アレイチップとも呼ばれる。
【0021】
ここで、各積層体SST1は、X方向を長手方向とし、互いに熱膨張率の異なる層が交互に複数回積層される構造である。積層体SST1は、その製造過程で熱処理等により複数層の間で熱膨張率の差による応力を持ちやすい。積層体SST1は、+Z側のX方向幅が-Z側のX方向幅より大きい。
【0022】
絶縁膜4の+Z側の面4a近傍でX方向にテンサイル応力が作用すれば、基板2には、Y方向の反りがほとんど発生せず、X方向の反りが発生する可能性がある。基板2は、YZ断面視で比較的平坦であるが、XZ断面視で-Z側に凸に反る可能性がある。
【0023】
あるいは、絶縁膜4の主面4a近傍でX方向にコンプレッシブ応力が作用すれば、基板2には、Y方向の反りがほとんど発生せず、X方向の反りが発生する可能性がある。基板2は、YZ断面視で比較的平坦であるが、XZ断面視で+Z側に凸に反る可能性がある。
【0024】
これに対して、図5(a)、図5(b)の工程では、支持基板5が用意される。支持基板5は、略円盤形状を有し、XY平面視において、略円形状を有する。支持基板5は、+Z側に主面5aを有し、-Z側に主面5bを有する。支持基板5は、Z方向幅が概ねW2である。
【0025】
支持基板5は、基板2より剛性が高い。支持基板5は、第1の条件と第2の条件との少なくとも一方を満たすように構成され、基板2より剛性が高い。
【0026】
第1の条件は、支持基板5が基板2より固いことを含む。第1の条件は、支持基板5が基板2よりヤング率が高い材料で形成されることを含む。基板2が半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料で形成される場合、支持基板5は、第1の群に含まれる1以上の物質を主成分とする材料で形成され得る。第1の群は、鋳鉄、鋼、ベリリウム、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、炭化ケイ素、ジルコニア、酸化アルミニウム、オスミウム、炭化タングステン、白金、コンスタンタン、インバール、ダイヤモンド、ニッケル、ニクロム、スチール繊維、炭素繊維を含む。
【0027】
第2の条件は、支持基板5が基板2より変形しにくい断面形状を有することを含む。第2の条件は、Z方向を含む断面に関して、支持基板5の断面2次モーメントが基板2の断面2次モーメントより大きい。支持基板5のZ方向厚さW2が基板2のZ方向厚さW1より厚くてもよい。
【0028】
支持基板5は、X方向の剛性がY方向の剛性より大きくてもよい。支持基板5は、図6に示すように、主面5bに複数の凸状パターン5c-1~5c-10を有していてもよい。複数の凸状パターン5c-1~5c-10は、Y方向に離間しながら並ぶ。各凸状パターン5cは、XY平面視でライン状のパターンを含む。各凸状パターン5cは、X方向に延びる。各凸状パターン5cは、支持基板5の主面5bからZ方向に突出する。複数の凸状パターン5c-1~5c-10により、支持基板5は、X方向の剛性がY方向の剛性より高い。
【0029】
図5(a)、図5(b)に示すように、基板2と支持基板5とを、主面4aと主面5aとがZ方向に対向するように配置させる。このとき、複数の凸状パターン5c-1~5c-10は、支持基板5における基板2と反対側を向く主面5bに配されていてもよい。
【0030】
図7(a)の工程では、基板2と支持基板5とをZ方向に互いに近付け、絶縁膜4の主面4aと支持基板5の主面5aとを接合させる。絶縁膜4の主面4aと支持基板5の主面5aとは、接着剤を介して接合されてもよいし、直接接合で接合されてもよい。このとき、基板2、支持基板5が加熱・加圧されてもよい。これにより、基板2と支持基板5とが接合面BF1で接合された接合体6が形成される。
【0031】
このとき、支持基板5は、基板2より剛性が高く、基板2の反りを対して変形しにくいため、基板2の反りを矯正して小さくすることができる。これにより、反りが矯正され小さくされた接合体6が得られる。
【0032】
図7(b)の工程では、接合体6から基板2が除去される。基板2の除去は、基板2が-Z側から研磨されることで行われてもよいし、さらにウェットエッチングが併用されてもよい。これにより、接合体6aの各チップ領域CP1aにおいて、絶縁膜3の-Z側の主面3bが露出される。
【0033】
図7(c)の工程では、絶縁膜3の主面3bを覆うように、絶縁膜7が堆積される。絶縁膜7は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。チップ領域CP(図2(a)参照)ごとに絶縁膜3におけるホール及び/又は溝が形成される。ホール及び/又は溝に導電物(例えば、銅等を主成分とする材料)が埋め込まれて電極PD1が形成される。これにより、接合体6bの各チップ領域CP1bにおいて、絶縁膜7の-Z側の主面7aが露出され、主面7aに複数の電極PD1が配される。
【0034】
図8(a)の工程では、基板102を準備する。基板102は、略円盤形状を有し、XY平面視において、略円形状を有する。基板102は、-Z側に主面102aを有し、+Z側に主面102bを有する。基板102は、半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料で形成され得る。基板102は、Z方向幅が概ねW3である。基板102のZ方向幅W3は、支持基板5のZ方向幅W2(図5(a)、図5(b)参照)より薄くてもよい。
【0035】
図8(b)の工程では、基板102に、積層体SST2を含むメモリセルアレイ構造MAR2が形成される。基板102には、複数のメモリセルアレイ構造MAR2が形成されてもよい。積層体SST2を含むメモリセルアレイ構造MAR2は、図1(b)の工程に示す工程と同様に形成され得る。
【0036】
図8(c)の工程では、絶縁膜103の-Z側の主面103aを覆うように、絶縁膜107が堆積される。絶縁膜107は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。チップ領域CP(図2(a)参照)ごとに絶縁膜103におけるホール及び/又は溝が形成される。ホール及び/又は溝に導電物(例えば、銅等を主成分とする材料)が埋め込まれて電極PD2が形成される。これにより、複数のチップ領域CP2を含む基板102が得られる。各チップ領域CP2は、メモリセルアレイ構造MAR2を含み、アレイチップとも呼ばれる。各チップ領域CP2では、絶縁膜107の-Z側の主面107aが露出され、主面107aに複数の電極PD2が配される。
【0037】
図9(a)の工程では、基板202が用意される。基板202は、半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料で形成され得る。基板202は、+Z側に主面202aを有し、-Z側に主面202bを有する。
【0038】
基板202の主面202aにおける一部の領域に不純物が導入されたり、主面202aに導電膜が堆積されパターニングされたりして、トランジスタTRの電極が形成される。導電膜は、導電性が付与される半導体(例えば、ポリシリコン)で形成され得る。トランジスタTRを覆って絶縁膜207が堆積される。絶縁膜207は、シリコン酸化物で形成され得る。その後、絶縁膜207にトランジスタTRの電極を露出するホールが形成され、導電物(例えば、タングステンなど)が埋め込まれることなどにより配線構造が形成される。これにより、トランジスタTRを含む回路構造CMが形成される。
【0039】
さらに絶縁膜207が堆積され、絶縁膜207におけるホール及び/又は溝が形成される。ホール及び/又は溝に導電物(例えば、銅等を主成分とする材料)が埋め込まれて電極PD3が形成される。これにより、複数のチップ領域CP3を含む基板202が得られる。各チップ領域CP3は、回路構造CMを含み、回路チップとも呼ばれる。各チップ領域CP3では、絶縁膜207の+Z側の主面207aが露出され、主面207aに複数の電極PD3が配される。
【0040】
基板102の主面107aと基板202の主面207aとは、それぞれ、プラズマ照射等により活性化されてもよい。基板102と基板202とを、主面107aと主面207aとが対向するように配置させる。主面107aにおける電極PD2のXY位置と主面207aにおける電極PD3のXY位置とが対応するように、基板102のXY位置と基板202のXY位置とがアライメントされる。
【0041】
ここで、メモリセルアレイ構造MAR2が基板102に反りを発生させやすいが、回路構造CMは基板202に反りを発生させにくい。すなわち、反りが大きい基板102と反りが小さい基板202との接合であるため、反りが小さい基板202を基準として反りが大きい基板102の接合のずれを考慮して、基板102のXY位置と基板202のXY位置とをアライメントすることができる。
【0042】
図9(b)の工程では、基板102と基板202とをZ方向に互いに近付け、絶縁膜107の主面107aと絶縁膜207の主面207aとを接合させる。このとき、基板104、基板204が加熱・加圧されてもよい。これにより、反りが大きい基板102と反りが小さい基板202とを接合でき、電極PD2と電極PD3とを容易に位置合わせして接合することができる。
【0043】
これにより、基板102と基板202とが接合面BF2で接合された接合体206が形成される。接合面BF2では、絶縁膜107の主面107aと絶縁膜207の主面207aとが直接接合で接合され、電極PD2と電極PD3とが直接接合で接合される。
【0044】
図9(c)の工程では、接合体206から基板102が除去される。基板102の除去は、基板102が+Z側から研磨されることで行われてもよいし、さらにウェットエッチングが併用されてもよい。これにより、接合体206aの各チップ領域CP2aにおいて、絶縁膜103の+Z側の主面103bが露出される。
【0045】
図10(a)の工程では、絶縁膜103の主面103bを覆うように、絶縁膜108が堆積される。絶縁膜108は、シリコン酸化物等の絶縁物で形成され得る。絶縁膜108におけるホール及び/又は溝が形成される。ホール及び/又は溝に導電物(例えば、銅等を主成分とする材料)が埋め込まれて電極PD4が形成される。これにより、接合体206bの各チップ領域CP2bにおいて、絶縁膜108の主面108bが露出され、主面108bに複数の電極PD4が配される。
【0046】
図10(b)の工程では、図7(c)の接合体6bと図10(a)の接合体206bとを、主面7aと主面108bとが対向するように配置させる。主面7aにおける電極PD1のXY位置と主面108bにおける電極PD4のXY位置とが対応するように、接合体6bのXY位置と接合体206bのXY位置とがアライメントされる。
【0047】
ここで、メモリセルアレイ構造MAR2が接合体206bに反りを発生させやすいが、接合体6bは支持基板5により反りが矯正され得る。すなわち、反りが大きい接合体206bと反りが小さい接合体6bとの接合であるため、反りが小さい接合体6bを基準として反りが大きい接合体206bの接合のずれを考慮して、接合体6bのXY位置と接合体206bのXY位置とをアライメントすることができる。
【0048】
図11(a)の工程では、接合体6bと接合体206bとをZ方向に互いに近付け、主面7aと主面108bとを接合させる。このとき、支持基板5、基板202が加熱・加圧されてもよい。これにより、反りが小さい接合体6bと反りが大きい接合体206bとを接合でき、電極PD1と電極PD4とを容易に位置合わせして接合することができる。
【0049】
これにより、接合体6bと接合体206bとが接合面BF3で接合された接合体306が形成される。接合面BF3では、絶縁膜7の主面7aと絶縁膜108の主面108bとが直接接合で接合され、電極PD1と電極PD4とが直接接合で接合され得る。
【0050】
図11(b)の工程では、接合体306から支持基板5が除去される。支持基板5の除去は、支持基板5が-Z側から研磨されることで行われてもよいし、さらにウェットエッチングが併用されてもよい。あるいは、支持基板5が接着剤を介して絶縁膜4に接着されている場合、接着剤にレーザーを照射して熱的に変質させて強度を弱くし、接着剤にブレードを挿入することで支持基板5が除去されてもよい。これにより、接合体306aの各チップ領域CPにおいて、絶縁膜4の+Z側の主面4bが露出される。
【0051】
各チップ領域CPでは、チップ領域CP3、チップ領域CP2b、チップ領域CP1bがZ方向に積層される。各チップ領域CPでは、回路チップCP3にアレイチップCP2b、アレイチップCP1bが積層された構造が形成される。この構造は、マルチスタックアレイ構造と呼んでもよい。接合体306aをチップ領域CPの境界でダイシングすることで、複数のチップ領域CPを個片化する。これにより、マルチスタックアレイ構造のチップ領域CPを含む半導体装置1が得られる。
【0052】
以上のように、実施形態では、メモリセルアレイ構造MAR1が形成された基板2に支持基板5を接合させて反りが矯正された接合体6bを得る。その後、反りが矯正された接合体6bとメモリセルアレイ構造MAR2が形成された接合体206bとを接合し接合体306を形成する。これにより、反りが小さい接合体6bと反りが大きい接合体206bとを接合でき、電極PD1と電極PD4とを容易に位置合わせして接合することができる。すなわち、複数の基板を適切に接合できる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1 半導体装置、2、102,202 基板、5 支持基板、6,6a,6b,206,206a,206b,306,306a 接合体、CM 回路構造、MAR1,MAR2 メモリセルアレイ構造。
図1
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図11