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特開2024-113002多段階ポリマー生成の生成を効果的に制御するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113002
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】多段階ポリマー生成の生成を効果的に制御するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/01 20060101AFI20240814BHJP
   C08F 20/56 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
C08F2/01
C08F20/56
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024088483
(22)【出願日】2024-05-31
(62)【分割の表示】P 2019511938の分割
【原出願日】2017-08-31
(31)【優先権主張番号】62/382,062
(32)【優先日】2016-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】516051356
【氏名又は名称】ヨコガワ フルエンス アナリティクス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Yokogawa Fluence Analytics, Inc.
【住所又は居所原語表記】12875 CAPRICORN STREET, STAFFORD, TEXAS 77477 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】リード, ウェイン フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ドレンスキ, マイケル フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】レオナルディ, ナタリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】多段階及びマルチモーダルポリマーの生成を能動的に制御するための方法及び装置の提供。
【解決手段】単一の反応容器でマルチモーダルポリマーを生成する方法であって、少なくとも2つの段階でポリマー反応を生起することによってマルチモーダルポリマーを生成することであって、少なくとも2つの段階は第1のモード及び第2のモードの各々独自の特性を有するポリマーを生じ、ポリマー反応は単一の反応容器で起き、少なくとも1つの段階において第1のモードのポリマーの少なくとも1つの反応特性を監視すること、少なくとも1つの監視された反応特性に基づいて、複数のプロセス制御変数の少なくとも1つを修正することによって第1のモードのポリマーの発展を能動的に制御すること、第2のモードに関連する第2の目標軌道を判定すること、プロセス制御変数の少なくとも1つを修正することにより第2のモードの発展を能動的に制御すること、を含む方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の反応容器でマルチモーダルポリマーを生成する方法であって、
少なくとも2つの段階でポリマー反応を生起することによってマルチモーダルポリマーを生成することであって、前記少なくとも2つの段階は第1のモード及び第2のモードのポリマーを生じ、前記第1のモード及び第2のモードの各モードのポリマーは独自の特性を有し、前記ポリマー反応は単一の反応容器で起こる前記生成すること、
少なくとも1つの段階において前記第1のモードのポリマーの少なくとも1つの反応特性を監視すること、
少なくとも1つの監視された反応特性に基づいて反応軌道を判定することであって、複数のプロセス制御変数の少なくとも1つが、第1の目標軌道をたどるために前記反応軌道に基づいて修正されること、
前記少なくとも2つの段階の少なくとも1つでの前記ポリマー反応の間に、前記少なくとも1つの監視された反応特性に基づいて、複数のプロセス制御変数の少なくとも1つを修正することによって前記第1のモードのポリマーの発展を能動的に制御すること、
第2のモードに関連する第2の目標軌道を判定すること、
前記プロセス制御変数の少なくとも1つを修正することにより前記第2のモードの前記発展を能動的に制御すること
を含む前記方法。
【請求項2】
前記第1の目標軌道又は前記第2の目標軌道が基づく前記少なくとも1つの監視された反応特性が分子量、コポリマーの組成又は固有粘度(IV)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマー反応は、前記少なくとも2つの段階の第1段階としてフリーラジカル重合反応で及び前記少なくとも2つの段階の第2段階として低分子量集団の生成で生起される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複数の反応軌道を同時に判定することであって、前記複数の反応軌道のそれぞれが少なくとも1つの監視された反応特性に基づいている前記判定すること、
前記複数の反応軌道に基づいて少なくとも2つ以上のプロセス制御変数を同時に修正して、複数の監視された反応特性の前記軌道が同時に制御されるようにすること
をさらに含み、
複数の同時に制御される軌道が、M、粘度の低下、IV、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記マルチモーダルポリマーの少なくとも1つがマルチモーダル刺激反応性ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のモード又は前記第2のモードの前記少なくとも1つの監視された反応特性が、M、粘度の低下、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の目標軌道又は前記第2の目標軌道が基づく前記少なくとも1つの監視された反応特性が分子量であり、前記プロセス制御変数の少なくとも1つが連鎖移動剤の導入であり、かつ前記マルチモーダルポリマーがポリアクリルアミドから生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プロセス制御変数が、温度、撹拌速度、混合速度、撹拌、モノマーの導入、コモノマーの導入、開始剤の導入、クエンチャーの導入、分岐剤の導入、架橋剤の導入、連鎖移動剤の導入、抑制剤の導入、空気の導入、Oガスの導入、Nガスの導入、アルゴンガスの導入、酸の導入、塩基の導入、酸化還元剤の導入、及び触媒の導入からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
制御要素によって、前記第1のモードの前記発展から前記第2のモードへの連続反応器の切替えに関連する最適なクロスオーバーの目標軌道を判定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ポリマー溶液を収容し、少なくとも2つの段階でポリマー反応を生起してマルチモーダルポリマーを生成するように構成されている反応容器であって、前記少なくとも2つの段階のそれぞれは、独自の特性を備えるポリマーを生じる前記反応容器、
前記反応容器に収容される前記ポリマー溶液の少なくとも1つの反応特性を監視するように構成された1つ以上の検出器、及び
前記反応容器及び前記1つ以上の検出器と結合される制御要素であって、前記1つ以上の検出器によって監視される前記少なくとも1つの反応特性に基づいて複数のプロセス制御変数の少なくとも1つを修正することによって、所定の反応特性の発展を能動的に制御するように構成される前記制御要素
を備え、
前記制御要素が、前記1つ以上の検出器によって監視された前記少なくとも1つの反応特性に基づいて反応軌道を判定するようにさらに構成され、前記プロセス制御変数の少なくとも1つが第1の目標軌道をたどるために前記反応軌道に基づいて修正され、
前記制御要素が、第1のモードの前記発展から第2のモードへの連続反応器の切替えに関連するクロスオーバーの第2の目標軌道を判定し、前記プロセス制御変数の少なくとも1つを修正することにより前記第2のモードの前記発展を能動的に制御するようにさらに構成される装置。
【請求項11】
前記制御要素が、操作者が前記制御要素に所定の反応特性の前記発展を能動的に制御させ得るように構成されたインターフェースをさらに含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記制御要素が、複数の反応軌道を同時に判定するようにさらに構成され、前記複数の反応軌道のそれぞれが少なくとも1つの監視された反応特性に基づいている、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記制御要素が、前記複数の反応軌道に基づいて1つ以上のプロセス制御変数を修正して、複数の監視された反応特性の前記軌道が同時に制御されるようにさらに構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記複数の同時に制御される軌道が、M、粘度の低下、IV、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換からなる群から選択される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの反応特性が、M、粘度の低下、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、ならびに化学的置換からなる群から選択される、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記1つ以上の検出器及び制御要素がACOMPシステムの構成要素である、請求項10に記載の装置。
【請求項17】
第2の反応容器をさらに含み、前記反応容器及び前記第2の反応容器はそれぞれ、前記少なくとも2つの段階の少なくとも1つにおいてポリマー反応を生起するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項18】
前記ポリマー反応は、前記少なくとも2つの段階の第1段階としてフリーラジカル重合反応で及び前記少なくとも2つの段階の第2段階として低分子量集団の生成で生起される、請求項10に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の目標軌道が基づく前記少なくとも1つの反応特性が分子量であり、前記プロセス制御変数の少なくとも1つが連鎖移動剤の導入であり、かつ前記マルチモーダルポリマーがポリアクリルアミドから生成される、請求項10に記載の装置。
【請求項20】
前記プロセス制御変数が、温度、撹拌速度、混合速度、撹拌、モノマーの導入、コモノマーの導入、開始剤の導入、クエンチャーの導入、分岐剤の導入、架橋剤の導入、連鎖移動剤の導入、抑制剤の導入、空気の導入、Oガスの導入、Nガスの導入、アルゴンガスの導入、酸の導入、塩基の導入、酸化還元剤の導入、及び触媒の導入からなる群から選択される、請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、「Device and Methods to Actively Control Multi-Stage Polymer Production」と題する、2016年8月31日に出願された米国仮特許出願第62/382,062号からの優先権を主張する。それは、あらゆる目的のために、全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本願はポリマーの生成を制御することを対象とする。具体的には、本開示は、多段階及びマルチモーダルポリマーの生成を能動的に制御するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
実験室及びポリマーの製作において、変性ポリマー及びポリマーのブレンドが頻繁に生成されている。変性ポリマーは段階的に生成することができる。非限定的な例として、ポリアクリルアミドホモポリマーは、第1段階でフリーラジカル重合によって生成し、次いでNaOHなどの塩基で加水分解して中性のAm基及びアニオン性のCOO-基からなるコポリマー高分子電解質を形成することができる。2つ以上のプロセス工程を利用する変性ポリマーの他の多くの事例がある。変性の種類として、非限定的にスルホン化、PEG化、アミノ化、四級化、ヒドロキシル化、分岐、マルチブロック拡張、グラフト化、架橋、樹状化、明確なアーキテクチャの星形及び他の分岐構造の生成、ポリマーとナノ粒子及びマイクロ粒子とのハイブリダイゼーション、例えば、シリカ、二酸化チタン、純金属、金属酸化物、粘土、及び他の材料が挙げることができるが、これらに限定されないものを挙げることができる。
【0004】
マルチモーダルポリマーは、ブレンドに似ている場合があり、2つ以上の段階で生成され、各段階でそれ自体の特性や分布を備える独自のポリマーが生じる。例えば、高分子量モードのポリマーが、プラスチックなどの製品に機械的強度を付与することができる一方、際だって低い分子量の第2のモードにて組み合わせることは、押出成形などのマルチモーダルポリマーの製作工程に役立てることができる。マルチモーダルポリマーの他の例としては、可塑剤、相溶化剤、ならびにモーターオイル配合物にて頻繁に見出せる粘度及び燃焼時副生成物の制御因子が挙げられる。さらに他の例には、所望のナノ構造もしくはミクロ構造の形成または巨視的相分離の形成をもたらす不適合なポリマーの混合が含まれる。例には耐衝撃性ポリスチレンがあり、ポリスチレングラフトの有無にかかわらず、非相溶性ポリブタジエンがポリスチレンと共に存在し、ゴム状の微小介在物を形成して衝撃、可撓性、及びクラックの耐性を付与する。
【0005】
本願の実施形態は、添付の図面を参照して、単なる例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の例示的実施形態による、モノマーの供給がないバッチ反応についてモノマー軌道と比較した、フリーラジカル重合の間のモノマーの濃度の正弦波制御を用いた、モノマーの濃度の自動制御の実験結果を示す。
図2】本開示の例示的実施形態による、反応器の温度が変化しているときの自動的なM制御要素の結果を示し、Mw,t(t)の目標軌道を含んでおり、それは50.0g/mol-sの勾配で調子を合わせて直線的に増加している。
図3】本開示の例示的実施形態による、Mを下げ、マルチモードの集団を生成するCTAの追加と共に、本開示 のM制御要素を使用する反応についてのM(C)及びMw,inst(C)を示す。
図4】本開示の例示的実施形態による、図3のデータから得たMWDの計算を示しており、バイモダリティが全14の瞬間MWDの合計で見て取れ、それは挿入図のヒストグラムの振幅によって重み付けされ、正規対数型の瞬間MWDの計算のために挿入図のヒストグラム質量を使用しており、また14の正規対数型の瞬間MWDを示す。
図5】本開示の例示的実施形態による、本開示の自動M制御要素を使用し、CTAとしてギ酸ナトリウムを使用してMw,instの大幅な低下を生じさせ、第2の低分子量モードを作成する、バイモーダル集団の合成を示す。
図6】本開示の例示的実施形態による、図5及び対数正規分布(破線)からのバイモーダルポリマー最終生成物についてMw,instを用いて計算されたMWD、及びカラムがPEO分子量標準を用いて較正されたGPCによるPEO当量MWDを示す。
図7】本開示の例示的実施形態による、本開示の自動M制御要素を使用し、CTAとしてギ酸ナトリウムの自動添加を使用してMw,intの2つの大幅な減少を生成するトリモーダルな集団の合成を示す。
図8】本開示の例示的実施形態による、GPC及びMw,inst(滑らかな曲線)に基づくモデルベースのクロマトグラフィーではない計算によって判定される、図7からのトリモーダルポリマーの最終生成物のMWDを示す。
図9】本開示の例示的実施形態による、ACOMPシステム及び方法を示す。
図10】本開示の例示的実施形態による、同形変換反応対を示しており、それにおいて、破線で示されるように、目標軌道が、固定開始剤[KPS]での45℃~65℃へのTの上向きの増分でAmの重合によって確立され、第2の反応が、反応器への開始剤の能動的手動ポンピングで固定のT=45℃にてこの後者の軌道をたどった(第2の反応軌道は常に第1の軌道の3%以内であった)。
図11】同形M反応対を示し、それにおいては、目標軌道が固定開始剤[KPS]での5℃~65℃へのTの上向きの増分でAmの重合によって4確立された。第2の反応は、開始剤を反応器に能動的に手動でポンピングしながら、固定のT=45℃でこの後者をたどった。本開示の例示的実施形態による、第2の反応軌道は、常に第1の反応のもの軌道の10%以内であった。
図12】本開示の例示的実施形態による、ACOMP方法及びシステムを少なくとも部分的に含む装置及びシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
様々な態様は、図面に示されている配置及び手段に限定されないことを理解されたい。
【0008】
概要
本開示は、多段階及びマルチモーダルポリマーの生成を能動的に制御するための装置及び方法を提供する。本開示によれば、能動的に制御された多段階ポリマーの生成は、共存するマルチモーダルポリマーと同様に、複雑さの増したポリマーを生成することができる。第1の状態では、能動的な制御により、それぞれの新しい段階でポリマーの特徴を追加または変更する連続的なプロセスが可能になる。簡潔性のため、そのポリマーを「変性ポリマー」と呼ぶ。第2の状態では、能動的に制御される段階が、「マルチモーダルポリマー」を生成する。これは、異なるポリマーのロットを一緒にブレンドすることにより通常生成しなければならない、明らかに異なる特性のポリマーの混合物である。また、2つの状態は、連続的に生成された変性ポリマーがマルチモーダルポリマーと共存する場合に共存することができる。
【0009】
マルチモーダルポリマーが生成されるとき、関連するマルチモーダル分布が存在する。マルチモーダル分布は、分子量(MWD)、固有粘度(IVD)、組成(CD)、立体規則性(TD)、分岐(BD)などを含み得るが、これらに限定されない。変性及びマルチモーダルポリマーは、バッチまたは半バッチ反応で連続的に生成され、変性ポリマーの各モードの所望の特性が特定され、次いで能動的制御要素が各モードの生成を順に誘導する。能動的制御要素は、手動のタイプであっても、完全に自動のタイプであってもよい。本開示の方法は、生成されているモード特性、例えば分子量、IV、及び組成の値を頻繁に提供することができる装置の使用を含む。場合によっては、マルチモーダルポリマーは、異なる種類のポリマーのブレンドと同等である。マルチモーダル法は、1つの反応器または一連の反応器ですべて行われるので、異なるバッチからのポリマーをブレンドすることに関連したエネルギー及び時間集約的な工程を必要としない。対照的に、この方法によって生成される変性ポリマーは、異なるポリマーを一緒にブレンドするだけで達成させることができない。
【0010】
詳細な説明
説明を簡単かつ明瞭にするために、適切な場合に、対応する要素または類似の要素を示すべく異なる図面の間で参照符号を繰り返していることを理解されたい。さらに、本明細書に記載の実施形態の完全な理解を実現するために、多数の具体的な詳細を記載している。しかし、本明細書に記載の実施形態はこれらの具体的な詳細がなくても実施可能であることが、当業者に理解されよう。他の例では、説明されている関連する適切な特徴を不明瞭にしないために、方法、手順、及び構成要素は詳細には説明していない。当業者は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく他の構成要素及び構成を使用できることを理解されよう。最初に、1つ以上の実施形態の例示的な実装形態を以下に示すが、開示された装置及び方法は任意の数の技法を使用して実装され得ることを理解されたい。本開示は、本明細書に示された例示的な実装形態、図面、及び技法に決して限定されるべきではなく、それらの等価物の全範囲と共に添付の特許請求の範囲の範囲内で修正できる。また、この説明は、本明細書に記載の実施形態の範囲を限定するものとみなすべきではない。図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、本開示の詳細及び特徴をよりよく説明するために、特定の部分の比率を誇張させている。
【0011】
本開示を通して適用されるいくつかの定義をこれから提示する。「結合された」という用語は、直接的または間接的に介在する構成要素を介して接続されていると定義され、必ずしも物理的な接続に限定されない。「通信可能に結合された」という用語は、介在する構成要素を介して直接的または間接的に接続されると定義され、接続は必ずしも物理的接続に限定されず、上述の構成要素間のデータ転送を可能にする接続である。接続は、物体が永続的に接続されているかものであっても、取り外せるように接続されているものであってもよい。「comprise(含む)」、「include(含む)」及び「have(有する)」という用語は、本開示において互換的に使用される。「comprise(含む)」、「include(含む)」及び「have(有する)」という用語は、そのように記載されたものを含むが、必ずしもそれに限定されないことを意味する。
【0012】
本明細書で使用するとき、「ポリマー反応」という用語は、ポリマーを含む任意の種類の化学的または物理的反応を示す。「ポリマー反応」という用語は、非限定的に、モノマーまたはコモノマーからポリマーを共有結合で生成し(統計的またはランダムにコポリマーを生成する)、分岐または架橋反応を引き起こすこと、ポリマー結合を切断してより小さなポリマーを生成すること、ブロックコポリマーの生成を引き起こすこと、星型、櫛型、デンドリマー、環状または他の非常に特異的なポリマーのアーキテクチャの形成を引き起こすこと、ポリマーの化学的な変性を引き起こす任意の種類の反応、例えば、非限定的に負電荷及び/または正電荷、双性イオン、極性基にポリマーを含浸する、酸または塩基の特性にポリマーを含浸する、ナノまたはマイクロ粒子、例えばシリカ、金属、例えば銀または金、ゲル、金属酸化物、例えば二酸化チタン、粘土などにポリマーを連結する、またはそれらからポリマーを成長させること、及びポリマー及び他の粒子の可逆的または非可逆的な超分子の集合を引き起こすことが含まれる。
【0013】
モノマーからポリマーを生成する反応に関し、どの種類の重合作用機構を使用するかについての制限はない。そのため、連鎖成長及び段階式成長の反応が含まれる。前者にはフリーラジカル及び制御下のラジカル重合がある。制御下のラジカル重合は、非限定的に、開環メタセシス重合(ROMP)、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加断片化移動重合(RAFT)、及びニトロキシド媒介重合(NMP)などの方法を含み得る。ポリマー反応は、溶媒で、バルクで、またミセル、エマルジョン、逆エマルジョン、及び分散液などの不均一相で起こり得る。ポリオレフィンに使用されるようなメタロセン系連鎖成長が含まれる。段階式成長は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ポリイミド、ポリアミド、及びポリウレタンの生成に使用されるような重縮合反応を含む。
【0014】
本開示は、それが適用するポリマー反応器の種類に根本的な制限を課すものではない。本明細書で使用するとき、「ポリマー反応器」という用語は、「ポリマー反応容器」とも呼ばれ、ミリリットル以下の小ささでも、数万または数十万リットルの大きさでもあり得る反応器または反応容器を示す。それらは、ステンレス鋼またはアルミニウムなどの金属、ガラス、磁器、及びセラミックを含むがこれらに限定されない、多くの異なる材料で作ることができる。それらは、バッチタイプ、時に「セミバッチ」と呼ばれる試薬を供給することができるタイプ、または連続式であり得る。連続式反応器が使用される場合、本開示の装置及び方法は、連続式反応器の種類に従って異なるように適用してもよい。例えば、長い管状連続式反応器では、反応器を通る反応流体の軌道に沿った異なる点で、異なる能動的に制御されたプロセス段階が起こり得る。連続式撹拌槽型反応器では、反応器で定常状態に達し、複数のCSTRを連続的に流して配置して、能動的に制御された多段階プロセスの異なる段階に達することができる。
【0015】
本明細書で使用するとき、「多段階ポリマー」は、その性質が2つ以上の加工段階で変性されるポリマーである。それはまた「変性ポリマー」とも称することもある。多段階ポリマーは各段階で異なる特性を獲得するが、前の段階でポリマーから作り直される。このことは、「多段階ポリマー」と、後続のプロセス段階で別個の新しいポリマーが生成され、前の段階で生成されたポリマーと共存する「マルチモーダルポリマー」とを区別する。当然、場合によっては、例えば後続のプロセス段階が新しいポリマーを生成するだけでなく、以前に生成したポリマーを変性する場合など、多段階ポリマーとマルチモーダルポリマーの両方を同じセットのプロセスで生成することができる。
【0016】
本明細書で使用するとき、「モード」という用語は、分子量(MW)または組成などの特性のユニモーダルの分布を示す。本開示によれば、ポリマー集団の濃度、集団の質量または集団の質量のフラクションは、特性の関数である。例えば、xは特性であり得、C(x)はその特性を有するポリマーの濃度であり得る。幾何学的鎖長分布から生じるものなどのユニモーダルなMWDを考慮してよい。通常、単一モードの連続分布では、分布内に2つの変曲点がある。つまり、dC(x)/dx=0の2つの点である。
【0017】
本明細書で使用するとき、「マルチモダリティ」は、少なくとも2つのモードがポリマー集団に存在するときに生じる。本開示によれば、マルチモダリティの要件は、2つの異なるモードを生成する少なくとも2つの異なるプロセスがあり、各モードのポリマーが他のモードと区別可能であることである。組み合わされるポリマーのモードが互いに物理的に分離可能であることは必要でなく、単に、それらを順番に生成することに起因してそれらが共に存在していることだけが必要である。言い換えれば、モードを物理的に分離するための物理的な分離法は存在しない場合があるが、それらが共に存在する各モードを2つの別々のプロセスが作出することによる。
【0018】
分子量、組成、及び分岐などの特性に従ってポリマーを分離するための多数の方法がある。これらの方法としては、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、フィールドフローフラクショネーション(FFF)、マトリックス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF)、フーリエ変換質量分光法、及び結合の方法、例えば限定されないが、二次元GPC/SEC、及びCRYSTAF及び昇温溶離分別法(TREF)などのクロマトグラフィーの変形版が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本開示は、多段階及びマルチモーダルポリマーの生成を能動的に制御するための装置及び方法を提供する。特に、本開示は、異なるポリマーのロットを一緒にブレンドする必要なしに、単一の反応器でマルチモーダルポリマーを生成するための装置及び方法を提供する。本開示はまた、変性ポリマーまたは多段階ポリマーを順次生成するための装置及び方法を提供する。
【0020】
変性ポリマー及びマルチモーダルポリマーを生成するのに必要な能動的制御を達成するために、制御すべき反応特性を監視することができ、制御を可能にするのに十分な頻度でそれらを監視することができる必要がある。組成を制御すべき場合には、関与するコモノマーの変換の過程を区別し監視することができることが必要である。いくつかの例では、ラマン散乱や赤外線などの反応器内の分光プローブによって、十分に頻繁な測定を行うことができる。ACOMPプラットフォーム内では、コモノマーの区別は、屈折率、紫外線吸収、近IR、NMR、及び導電率によって達成されてきた。キラル分子がアキラル分子と混合されている場合、前者は旋光計、または他の円偏光二色性または円周複屈折などの光学活性のセンサと区別することができる。
【0021】
分子量を測定するために、ACOMPは、全強度光散乱、必要なとき(すなわち、ポリマーのz平均の二乗平均平方根の半径が入射光の波長のかなりの割合であるとき)に多角度を、ポリマーの濃度の判定と併せて利用する。また、固有粘度(IV)が分子量に関係しており、細管型粘度計はACOMP検出器の列において頻繁に使用される。IVが分子量と組み合わされるとき、それは分岐を評価するためにも使用できる。ACOMPでの低及び高剪断粘度の同時の測定も、剪断非ニュートン剪断挙動による分岐の評価に使用できる。
【0022】
能動的制御を実行するためには、反応全体の時間と比較して短い時間間隔で制御動作が実行できるようにするのに十分な頻度で、反応特性に関する情報が利用できなければならない。言い換えれば、データ取得の頻度は、所望の反応特性の制御が、制御下の特性の大幅な偏差が生じ得る時間よりもはるかに短い時間で実行されるものでなければならない。「大幅な偏差」は、どの程度の制御を望むかによって異なる。例えば、限定しないが、ある場合には目標軌道の35%以内に所望の特性を制御することが許容され得るが、他の場合には10%、5%以内、またはさらに1%未満の偏差に制御することが要求され得る。したがって、反応特性情報の十分な頻度は、目標軌道からの所望の偏差範囲内で特性を制御するのに十分頻繁でなければならない。M、IV、または組成などの反応特性についての目標軌道は、通常、最終的な生成物の特性を最適化してそれらに至るプロセスを最適化するために、オフラインで確立される。次いで、目標軌道が実行され、続いて、ポリマー反応プロセスの間、能動制御手段が続く。
【0023】
例えば、典型的なACOMPシステムは、M、粘度の低下、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、ならびにコモノマーの組成などの複数の反応特性を毎秒1回測定する。さらに速い速度やさらに遅い速度も可能であるが、これは一般に数十分または数時間続く反応における頻度という大まかな意味を付与する。事実、データ測定の周期(周波数の逆数)が、偏差を制御するのに必要な時間スケール内に十分にあるとき、そのような測定は頻繁に、「重合反応の自動連続オンライン監視(ACOMP)」反応という用語のように「連続」と呼ばれる。ポリマー生成業界と研究所の両方で広く採用されているような手動サンプリング方法は、能動的制御のために十分に高い頻度を有することはめったにない。同様に、オンラインクロマトグラフィー方法も一般に十分な頻度がないが、ただしそれらは本開示に従って採用できる。
【0024】
1つ以上の反応特性(例えば、分子量、組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換)の軌道の制御は、温度と、以下のモノマー、コモノマー、分岐剤、架橋剤、連鎖移動剤、抑制剤、気体、例えば空気、O、N、及びアルゴン、酸、塩基、酸化還元剤、及び触媒の少なくとも1つを反応器へ混合することと、供給することを非限定的に含む、「反応制御変数」とも呼ばれるプロセス制御変数によって制御することができる。
【0025】
反応段階の間の1つ以上の反応変数の能動的制御は、本開示による3つの手段のうちの1つによって達成することができる。第1に、「手動の能動的制御」において、人間は、十分な頻度の適切な特性のデータにアクセスし、それにおいて前記人間は、上述のように1つ以上のプロセス制御変数を手動で制御することによって、1つ以上の適切な特性に対する特定の反応目標軌道をたどる。第2に、どの制御変数を操作者が手動で制御すべきかを指示するために計算アルゴリズムを使用することができ、「計算支援の能動的制御」を可能にする。第3に、プロセス制御変数は、自動的な能動制御を可能にする計算ベースの制御要素により、自動的に制御できる。
【0026】
プロセス制御変数はまた、反応特性のモニタリングにより判定されるような反応軌道に基づいて制御され得る。本明細書で使用するとき、「反応軌道」という用語は、従属変数に対する、M、IV、または組成などの反応特性の特定の数学的形態を示す。重合反応における最も一般的な従属変数は時間及びポリマーの濃度であるが、組成、分岐度などの他のものを含むことができる。反応軌道は、そのユニモーダルまたはマルチモーダルの特性のすべてを含むポリマーの最終的な特性を決定する。そのため、反応軌道を制御することによって、最終ポリマーの特性が制御される。
【0027】
通常、反応軌道は可能な限り厳密に目標軌道に追従するように能動的に制御される。目標軌道は、時間に対する、または濃度に対する、またはバッチ式もしくは半バッチ式反応器における他の変数に対する反応特性を含むものとして頻繁に考えられるが、この概念はまた連続的な反応に当てはまる。連続反応器は通常一定の等級のポリマー、すなわち規定された物理的及び化学的特性を有するポリマーを連続的に生成するために定常状態で動作する。生成時に反応器がポリマーの等級を変えるとき、「等級」は本開示で使用されるような「モード」と等価であり、ある定常状態から別の状態へ移行することが必要であり、様々な動作条件、例えばコモノマーの供給の速度、触媒、他の試薬、温度、圧力などが必要となる。変化する間、異なるモードのポリマーの生成に類似して、2つの等級の間で生成されるポリマーは、どちらの等級の仕様にも適合しないため、多くの場合拒否され、エネルギー、原料、及び時間のかなりの無駄につながる。最適なクロスオーバーの目標軌道をオフラインで判定し、オンラインで実施することができ、その結果能動的制御により、等級のクロスオーバーに使用される時間、材料及びエネルギーが最小化される。
【0028】
特定の反応特性、例えば非限定的にACOMPなどの方法によるポリマー合成中に頻繁にまたは連続的に測定できる、累積的な重量平均分子量Mを考慮することができ、また一般的な特性Xをさらに考慮することができる。反応器の内容のオンラインでの監視は、反応器XにおけるXの累積的な値を生み出す。Xの蓄積とその結果の分布は、Xの瞬間的な値、つまりXinst、及びXinstのポリマーの濃度が累積する集団にどれだけ追加されるかによって異なる。具体的には、XとXinstの関係は、定義上、次式となる。

(1)
【0029】
(C)は、ACOMPシステムの光散乱及び濃度検出器から直接測定される。Mw,inst(C)は、次式により式1に従ってM(C)のACOMP値から計算することができる。
(2)
【0030】
及びCの一次ACOMP値からMw,instを計算することで、MWDの瞬間的な重量の平均をたどることが可能になり、合成が進行するときにMWDのヒストグラム表現を作成することが可能になる。式1のXは、他のIV、組成などのいずれかの特性を表すことができる。この時点まで、すべての量はモデルに依存せず、一次検出器の測定値に基づいている。
【0031】
本開示の装置及び方法は、所望の変性ポリマーまたはマルチモーダルポリマー、またはその両方の混合物を達成するために2つ以上の反応器を含み得る。所望のポリマーを生成するのに必要とされるすべての反応制御変数を提供するために単一の反応器を備え得ることが多いが、2つ以上の反応器を使用して、それぞれプロセスの1つ以上の異なる段階が行われる場合が多い。例えば、プロセスの第2段階は、第1の容器が耐えられない温度、圧力または試薬を含み、第2反応器を必要とすることを伴い得る。第2の反応器は、より高い温度、圧力、腐食性材料に耐えるための材料及び仕様で構築でき、より高い粘度混合能力を有する。複数のそのような段階は、2つより多い反応器を必要とし得る。続く段階における中間または最終ポリマー生成物はまた、特別な取扱い手段が必要となる可能性がある。例えば、第1段階または初期の段階では、ポリマー中間体は十分に低い粘度のために汲み上げられるが、後期の段階または最終段階では粘性が高くなり得、掬い取るか掻き取る必要がある場合がある。規模の経済性、生産処理能力、質、及び保守の必要性の低減は、それぞれがプロセスの1つ以上の段階に専用の複数のポリマー反応器を有することによって成し遂げられることが頻繁にある。
【0032】
1つより多い反応器を使用する場合、本開示は、反応器の少なくとも1つを能動的な制御のために備えられることを規定する。すべての段階を能動的に制御することは必ずしも必要ではなく、一部の例として、能動的制御によって、ポリマーが質量分布または組成分布などの特定の状態にされ、その後能動的制御を必要としない段階、例えば、残存するモノマーを重合すること、または少量の残存するモノマーを監視することが利用される。
【0033】
マルチモーダルポリマーの例としては、1)組成物のブレンド、2)分子量のブレンド、3)制御下のラジカル重合によって生成されたマルチモーダルポリマー、及び4)制御下のラジカル重合によって生成されたマルチモーダル刺激反応性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。組成物のブレンドは、所望のMWD(すなわちC(M)、ここでMはモル質量)が得られるまでモノマーAを先に供給することにより生成される、ホモポリマーAとホモポリマーBのバイモーダルのブレンドであり得る。MWDは能動的制御によって生成される。次いで、ホモポリマーBに対する所望のC(M)が能動的制御を用いて得られるまで、モノマーBを供給する。第2のモードの生成中に幾らかのコポリマーが生成される場合、それは独自の特性を有する第3のコポリマーモードを構成する。後者は上記の定義による変性(または多段階)ポリマーである。ブレンドは次にバイモーダルホモポリマーA及びホモポリマーB、及び変性ポリマー、コポリマーABの1つになる。
【0034】
マルチモーダルポリマーはまた、分子量のブレンドを含み得る。2つ以上の分子量モードを有することが望ましい場合が多い。例えば、長鎖はポリマーに引張強度を付与でき、それを短鎖とブレンドすると加工性を高めることができる。この場合、各MWDモードは順次生成される。
【0035】
例えば、高MWモードは、高いモノマー対開始剤比を有することによって、最初に生成することができる。モードの詳細、すなわちMW軌道の詳細は、モノマー及び/または開始剤が反応器内に流れることや、温度の変化などの変数によって、制御することができる。原則としてフリーラジカル重合では、モノマーの濃度を増大させるとMWが増大するが、Tと開始剤を増大させるとMWが減少する。後者の場合、Tと開始剤を増大させると反応速度も増大し、これは反応の所望の結果に応じて、望ましい場合も望ましくない場合もある。能動的制御要素は、MWが確実に目的の経路をたどるようにする。モード1のポリマーの特定量の濃度がC1に達すると、第2のモードを開始することができる。これは、はるかに低い分子量のモードを作り出すMの大幅な低下を含み得る。温度及び開始剤を増大させると分子量が低下する可能性があるが、Mの変化で1桁またはそれより多い大きさに近いものが望まれる場合、その効果は通常十分大きいものではない。この場合、連鎖移動剤を添加することができ(CTA)、これは転化率の速度論が変わらないという利点を有し、温度の変化を必要とせず、Mの大幅な減少を成し遂げることができる。次いで、この第2のモードの軌道は、このモードにおけるポリマーの濃度がC2に達するまで、望み通りに制御することができる。より多くのモードを追加することができ、例えば、第3のモードの濃度C3に達するまで、より多くのCTAを追加してMをさらに大幅に低下させることができる。
【0036】
また、2つ以上の特性について目標軌道を提供し、それぞれ個々の目標軌道と厳密に一致するように反応軌道を同時に制御するための手段を提供することが可能である。例えば、M及び所与のモードの組成は、独自の特定の目標軌道を有することができ、それらの各々は、プロセスの間の能動的制御が続く。その後の各モードは、M及び組成に対する新しい目標軌道のセットを有することができる。
【0037】
他の例で、別々のM及びIVの目標軌道を確立することが望ましい場合がある。通常、MとIVはそれらのアーキテクチャ、例えば線形ポリマー、単に分岐するポリマー、櫛型分岐、デンドリマーなどのアーキテクチャに従って決定論的に連結されている。MとIVが決定論的に連結されない経路をたどるためには(この点は、Mの軌道の確立が、変わらないようにIVの軌道を定め、また逆も然りであるということを意味する)、アーキテクチャを制御する必要がある。これは、分枝剤、封鎖剤、抑制剤、架橋剤などのような試薬を添加することによって行うことができる。また、制御変数へのコモノマーの供給を他の制御変数に対して加えることによって、目標軌道及び同時に2つより多い特性、例えばM、IV、及び組成の制御を課すことが可能である。そのような場合、Mw,instと瞬間的なIV、IVinstとの間の瞬間的な関係が、それぞれの目標軌道を確立し、プロセス変数を制御するために使用される。固有粘度(IV)は、ポリマーの濃度ゼロ及び剪断速度ゼロにおける粘度の低下(RV)の限界である。分岐、架橋及び他のアーキテクチャの特徴は、高い剪断、ポリマー溶液の非ニュートン挙動を制御する。したがって、低剪断力(IVに非常に近いRVをもたらす)及び高剪断力での同時の測定は、目標軌道をたどる際のアーキテクチャの指標として、使用することができる。
【0038】
最終モードでは、どれほど生成されたとしても、モノマー濃度を100万につき100部(ppm)などの非常に低い残留値まで減少させることが有利な場合があり、またそれが必要なことが頻繁にある。10ppm以下の残留モノマーを必要とする、ヒト用アクリルアミド系ポリマーなどの製品があり、電子及び光学コーティングなどのいくつかの非常に厳密な用途では、必要量は1ppm未満になる可能性がある。低いppmを達成するためには、単に反応条件を最後のモードと同じに保ち、設定値ppmまでモノマーの枯渇を監視するだけで十分である可能性がある。あるいは、より多くの開始剤を添加する及び/または温度を上昇させると、反応が設定点ppmにさらに迅速に到達することが可能になる。
【0039】
次のモードの合成を続ける前に、または最終段階として、ある段階でポリマーを変性することが望ましい場合がある。変性は、非限定的にスルホン化、アミノ化、PEG化、酸または塩基加水分解、炭酸化、水酸化、四級化、及びリン酸化の多くの種類のものであり得る。所望の変性の段階に到達して次のモードの合成が始まるまで、変性は能動的制御を用いて実施することができる。
【0040】
例は、荷電部分COO-を有する荷電ポリマー、すなわち高分子電解質を生成するためのNaOHによるポリアクリルアミドの加水分解である。NaOHの量、温度及び加水分解の時間は、鎖のモノマーのどの部分がCOO-に変性されるかを決定する。導電性、粘度、及び光散乱はすべて、変性するポリマーの電荷が増加するにつれて顕著な変化を示し、能動的制御を用いて変性条件を変えて目標の変性特性を最適化することができる。変更が完了すると、次のモードが生成され得る。例は、ポリビニルピロリドンまたはポリアクリルアミドなどの中性ポリマーの合成を続けて、それにより高分子電解質と中性ポリマーとのブレンドを生成するものである。
【0041】
また、追加してもよい追加のモードには、制御下のラジカル重合によって生成されるマルチモーダルポリマーが含まれる。制御下のラジカル重合では、分子量は、モノマーとCRP剤(例えば、RAFT剤)の比によって頻繁に制御される。この場合、所望の分子量経路から逸脱していなければ、分子量は監視が必要であるだけで、能動的に制御する必要はない。対照的に、組成物はコモノマーの供給により能動的に制御することができる。これは、各々の最終的なポリマー鎖が、様々なプロセス段階によって鎖に染み込んだマルチモーダルシグネチャを有することができるので、興味深いクラスのマルチモーダルポリマーを形成する。これにより、「グラジエントコポリマー」と称することがある多成分の鎖が生じる。しかし、本発明では、2つ以上のコモノマーの異なる濃度を受動的にもたらして天然の反応性の比が組成の勾配を決定することによって、勾配を生じる必要はない。むしろ、本開示によれば、コモノマーの供給を能動的に制御することによって、ポリマーに沿って特定の組成物を随意に付与することが可能である。したがって、これは必ずしも滑らかな「勾配」をもたらすわけではないが、様々な所望の組成シーケンス間で急な遷移の勾配を伴う特定の組成のポリマー鎖に沿った部分を生じることができる。この例では、ポリマー自体がマルチモーダルであるのに対して、フリーラジカル重合では、ポリマーの 亜集団のブレンドがあり、各集団はそれ自体の特性を有する。
【0042】
また、マルチモーダルポリマーの例として、制御下のラジカル重合によって生成されたマルチモーダル刺激反応性ポリマーを挙げることができる。最後の例に関して、CRP及び関連する方法から生じる可能性がある種類のポリマーは刺激反応性ポリマーであり、時に「スマート材料」と呼ばれる。これらは特定のコポリマーの組成を有することを特徴とし、特定のアーキテクチャのポリマーを生成することによって達成されることが多く、頻繁に単なる直鎖よりも複雑になる。そのようなアーキテクチャは、環状ポリマー、星形、デンドリマー、及びキャビタンドを含み得る。本発明は、組成を能動的に制御し、分子量を監視して、所望の組成及び分子量特性が、所望のアーキテクチャの枠組の中で達成されるようにする。
【0043】
制御変数には、モノマー、コモノマー、開始剤、クエンチャー、連鎖移動剤、酸化還元試薬、分岐剤、架橋剤、分岐と架橋の両方に役立つ薬剤、不活性ガス、例えばN、Oなどのフリーラジカル反応に影響を与えるガス、及び温度の変化、撹拌(stir、agitation)の添加が挙げられるが、これらに限定されない。これらのそれぞれに対する制御方式を発展させることができる。
【0044】
本開示によれば、限定されないが、フリーラジカル重合の間にMの能動的制御をするための方法が提供される。この方法は、2つの基本原理に基づいているか、多くのパラメータを有する任意の詳細な速度論的モデルまたは推論モデルを含み得る制御要素を含み得る。ACOMPシステム(重合反応の自動的な連続的オンラインでの監視)と組み合わせたアクリルアミド(Am)のフリーラジカル重合、及び手動の能動的制御と完全自動の能動的制御の両方を使用して、2つの基本原理を備える制御要素を検証した。
【0045】
瞬時的な鎖の速度論的質量Mはモノマーの濃度Cに比例し、瞬時的な重量平均分子量Mw,instは速度論的質量Mに比例する。
(3)
【0046】
比例定数pは、式3の関係を構成するすべての複雑なパラメータを、それらのうちのいずれかを明示的に知る必要なしに包含する。例えば、典型的な標準的フリーラジカル反応速度モデルでは、pは次式で得られる。

(4)
【0047】
式中、kは伝搬定数、kは停止定数、kは連鎖移動定数、[R]はフリーラジカル濃度、[CTA]は連鎖移動剤の濃度、dは、終了のどれほどの割合が不均衡によるもので、組み換えによるもので、また重量平均連鎖長と最も可能性の高い(速度論的)連鎖長の瞬間的な関係であるかに依拠するオーダーの、無次元の定数である。
【0048】
これらのパラメータの各々は、温度の急な関数であり得、pの複雑さをさらに増大させるために、[R]が追加の項から構成される。フリーラジカル重合の準定常状態近似値(QSSA)では、例えば、

(5)
【0049】
式中、Fは開始剤の効率、kは開始剤分解速度定数、及び[I]は開始剤の濃度である。(Dotson, N.A.;Galvan, R.;Laurence, R.L.;Tirrel, M. Polymerization Process Modelling;VCH Pub.: New York, 1996を参照のこと)。また、これらには険しい温度依存性があり得、[I]は概して時間依存性がある。
【0050】
モノマーの重合速度は、モノマーの濃度に比例する。すなわち、以下のものになる。

(6)
【0051】
比例しているパラメータα(t)は経時的に変化し得る。フリーラジカル重合については、α(t)は他のいくつかのパラメータを包含する。例えば、典型的な速度論モデルでは、

(7)
【0052】
式中、[R]は、パラメータの変化、例えば、式5のパラメータの変化によって経時的に変化する可能性があり、kは、温度、連鎖長、反応環境の粘度、及び他の量の両者によって、変化する可能性がある。
【0053】
本開示の制御要素は堅牢である。なぜなら、例えば、以前に監視されたバッチ反応において判定したように、C(t)の仮説の値が使用された後、反応中に間隔をおいてαを再計算することができ、新しい値はすべてのパラメータの変化をこの単一の実験的に測定されたパラメータに包含するからである。反応中のα(t)の再計算はまた、仮説の値の誤差を修正する。ある場合には、仮説の値を使用せずに、反応の間にα(t)(または制御に必要な他のいずれかの測定可能なパラメータ)が初めて測定されるまで、初期の条件(例えば温度及び試薬の濃度)の下で反応を進行させる。
【0054】
この特定の制御要素では、単一の制御変数が使用され、濃縮されたモノマーリザーバ(51%Am)から反応器へのモノマーの流速、すなわち、セミバッチ操作が使用される。
【0055】
この流速はQ(t)と表され、それは、Q(t)の自動計算、及び目標軌道Mw,(t)をたどるために必要なMの制御を実現する計算値に対するリザーバポンプの自動設定である。反応器からのACOMP抽出速度がq(t)であり、これは通常小さく、0.25と0.5cm/分の間であり、一定に保たれる。以下では無視できるものとして扱われている。反応器からのこの流出は、ACOMPの測定のために希釈されて調整される連続的な試料の流れをもたらす。V(t)は反応器の液体の体積であり、Vは初期の体積である。
【0056】
区間dtにわたるモノマー濃度dCの変化は、次式により得られる。

(8)
【0057】
’はリザーバにおけるモノマーの濃度であり、V(t)は時間の関数としての反応器の体積である。
【0058】
この制御要素は、他の制御変数、非限定的に、組成と分子量の両方を同時に制御するための複数のモノマーの供給、反応速度を増し分子量を減少させるための開始剤の供給、反応を遅くするまたは停止させるための空気やOといった抑制剤の供給、低分子量への連鎖移動剤の供給、ポリマーを相互作用またはカプセル化するための界面活性剤の供給、分岐剤及び架橋剤の試薬の供給、ならびに温度の変化の利用に拡張することができる。
【0059】
式8は、モノマー濃度C(t)を制御下のプロセス特性とすることを可能にし、それはそれ自体で価値があることが頻繁にあり得、pが導入されると、Mの制御からわずか一歩離れる。Cm,t(t)はC(t)の目標軌道を示す。そのとき、目的は、反応中のC(t)をCm,t(t)に従うものにさせることになる。
【0060】
この制御要素は、このとき、反応を有限の制御区間Δtに分割し、Δtはi番目の制御区間の持続時間であり、Δtは反応全体の持続時間と比較して非常に短い。それにより、短い区間で線形として近似される変数と特性の変化が可能になる。tで始まる制御区間iの開始時に、この区間にわたるモノマーの変化の必要量ΔCm,t,i,は、t+Δtにおける目標軌道の値から現在の測定値C(t)を引いたものである。

(9)
【0061】
式8においてdtをΔtに拡張し、また式9を使用して、必要な流速Q(t)を次式により計算する。

(10)
【0062】
次に、制御要素は、tにおいてモノマー供給ポンプをQ(t)に設定する。
【0063】
式10において、α(t)はα(t)の最新の値である。以下のように、反応している間の任意の先行する時間間隔Δτにわたってα(t)を計算することができる。ポリマーが生成される速度は

(11)
【0064】
であり、その結果質量のバランスにより、いつでもポリマーの濃度が

(12)
【0065】

となり、式中、Cm,oは反応器のモノマーの初期の量である。C(t)はACOMPによって直接測定され、

はポンプの流速の自動的な積分によって分かり、V(t)は次式で得られる。


(13)
【0066】
式中、qは一定のACOMP離脱速度である。したがって、α(t)を、次式によりtより前の任意の先行する時間間隔Δτにわたって計算することができる。

(14)
【0067】
使用されるΔτの実際の値は信号/雑音の考慮事項により、制御区間の値Δtに対応する必要はない。
【0068】
図1は、上記の手法を用いたモノマー濃度の制御の例を示している。これにおいて、Cm,tに対する非単調な軌道を、対応するバッチ反応における単純な指数関数的な減衰からそれを強く離すために選択した。正弦波の形態


(15)
【0069】
が使用されており、式中、ω=2.5×10-4×πラジアン/秒である。反応はT=55℃で行った。
【0070】
制御要素の結果は非常に優れており、目標軌道から2%の誤差範囲内に十分収まり、実際、サイクルの前半において目標軌道と区別ができない。また図1に示しているのは、モノマーの供給を伴わない同等の純粋なバッチ反応におけるモノマー濃度の軌道である。
【0071】
を制御するには、式3で導入された比例パラメータp(t)を使用することが必要である。最初に、Mw,instまたはM(t)に対する目標軌道を求めた。前者の場合、目標軌道はMw,inst,t(t)と表される。次に、Mw,t(C)制御軌道が式3に従って求められる。C(t)は既知であるので、ここではMw,inst,t(t)に関する表現が用いられる。
【0072】
時間tから未来の時間Δtまで考慮するとMw,t(t+Δt)は、以下のように記せ、
(16)
【0073】
式中、Mw,t(t+Δt)は、実験的なMw,eがt+Δtにおいてあるべき値であり、ここでMw,e(t)はACOMPから実験的に測定された値である。一次に拡大させて、

(17)
【0074】
とし、式16を次のように記すことが可能になる。

(18)
【0075】
これは、一連の切り捨てを正当化するために、幾ばくかのCが累積された後に適用される。すなわち、C>>ΔCのときである。また、ACOMP光散乱検出器からMw,e(t)の正確な測定値を得るために、有限のCを累積することも必要である。
【0076】
ここで、第1の積分は、目標Mw,t(C)がtであるべきものであるが、目標Mw,t(t+Δt)はt+Δtで達成されることが望ましい。したがって、これを達成するには、軌道をtからt+Δtまで補正する必要があり、区間は実際の実験的に測定されたMw,e(t)から始まる。したがって、0~Cまでの最初の積分はMw,e(t)に置き換えられる。さらに、濃度の区間C(t)からC(t+Δt)にわたる平均Mw,instを<Mw,inst,t>と呼ぶことで、式18の第2の積分に対する平均の定理を想起することができる。その結果、

(19)
【0077】
式中、ΔC=C(t+Δt)-C(t)であり、実験的なMw,t(t)によるM(t)の上述した置き換えに従って、Mw,t(t)は実験的な瞬間的重量平均Mw,inst,e(t)によって求められる。

(20)
【0078】
ΔC/Cにおいて一次のみに項を保持すると、以下が得られる。


(21)
【0079】
このとき、ΔMw,t(t)は、Mw,e(t+Δt)がMw,t(t+Δt)に等しくなるように、時間Δtにわたり発展することが余儀なくされるMの増分であると定義される。

(22)
【0080】
これにより、式21を次式のように書き直すことができる。

(23)
【0081】
tからt+Δtまでの区間にわたる<Mw,inst,t>と平均モノマー濃度<C>との間の関係を用いて、

(24)
【0082】
及び

(25)
【0083】
は、次式
(26)
【0084】
に至り、以下の二次方程式を得る。

(27)
【0085】
これにより、

(28)
という解が得られる。
【0086】
この制御要素は、量が制御区間Δtにわたって線形に変化するには制御区間が十分に短いと仮定している。それは反応の持続時間よりもはるかに短い。そのため、

(29)
【0087】
であり、したがって、

(30)
【0088】
であり、制御区間ΔtにわたるCの要求される変化は、

(31)
【0089】
となり、

(32)
【0090】
を用いることで流速Q(t)が得られ、それに対してモノマー供給ポンプは全制御区間Δtにわたって

(33)
【0091】
または

(34)
【0092】
と設定すべきであり、式中<C>は式28に由来する。
【0093】
pの値は、tの前の任意の区間Δτにわたって再計算することができる。

(35)
【0094】
式中、ΔMw,exp(t)は、Mw,e(t)とMw,e(t-Δτ)との間の差である。

(36)
【0095】
図2は、Mw,t(t)の目標軌道を示し、50.0g/mol-sの勾配で時間と共に線形に増加する。制御要素の堅牢性を検証するために、反応中に温度を45℃から57℃まで段階的に上昇させた。pとαを再計算して、直線Mw,t(t)をまたぐ濃い黒点で見て取れるように、制御要素の優れた特性が得られた。自動的に計算されたαの値は、1.0×10-4-1~2.5×10-4-1の範囲であり、pは4.0×10~9.0×10の範囲であった。これらのデータは、反応器の温度が反応中に著しく変化した場合でも、詳細な速度論モデルを必要とせずに制御要素がいかに機能し続けるかを実証している。
【0096】
本開示の少なくとも1つの態様によれば、フリーラジカル重合間に能動的な組成及び分子量の制御をするための方法が提供される。この方法は、ACOMPプラットフォームを用いたフリーラジカル共重合中のコモノマーA及びBの組成の制御に、上記の分子量単独重合制御要素の手法を拡張する制御要素を含む。そのため、これにより分子量とコポリマーの組成の同時の制御が可能になる。したがって、各モードの任意のM特性及び組成特性を特定することが可能である。例えば、限定するものではないが、第1のモードは一定のM及び一定の組成を有することができ、第2のモードは異なる一定のM及び異なる一定の組成を有することができ、第3のモードはさらに別の一定のM及び組成を有することができるなどである。別の例として、限定するものではないが、任意のモードで一定のMを増加、減少または保持しながら、そのモードの一定の組成を増加、減少または保持することが可能であり、2つ以上の続くモードに対しても同様である。上記で説明したモデルに依存しないというモデルの手法は、限定するものではないが、速度論モデルも、反応速度比などの速度論的なモデルのパラメータも必要としない。また、マルチモーダルポリマーを生成する際の所与の適用に最も適していると考えられる任意のレベルの複雑さで、速度論的モデルを組み込んだ制御要素を使用することも可能である。
【0097】
特に注目すべきは、組成の制御が制御下のラジカル重合(RADT、ATRP、NMP、ROMPなど)のようなリビング型の反応にも同様に十分適用されることである。フリーラジカル共重合作用とリビング型の共重合作用の以下の方法による組成分布の生成の違いは、以下の通りである。フリーラジカル重合において、ポリマー鎖は、反応の全長と比較して非常に迅速に開始、伝播及び終了する(例えば、数十分続く反応の個々のポリマーを生成する間のミリ秒)。そのため、制御要素は種々の組成を有する鎖の分布を生じさせる。リビングの場合には、成長する各ポリマーは、理想的には、すべてのモノマーが使い果たされるか、そうでなければ反応が終了するまで成長し続ける。したがって、組成物の軌道は各々の鎖の長さに沿って生じる。つまり、個々の鎖に沿って組成物の勾配が存在する。後者を制御することができると、2つ以上のコモノマーが鎖に沿って相互作用する様式は、多くの異なる種類の立体配座、相、及び形態学的構造をもたらす可能性があるため、著しく異なる特性の材料を生成することができる。
【0098】
上記のホモポリマーの場合、単一の速度定数α及び分子量比例定数ρが必要であり、それらはそれぞれ反応している間に再計算できる。コポリマー系に拡張するために、速度α及びαを導入し、区間Δtにわたり、ポリマーに変換されるA及びBの量は、次のようになる。

(37a、b)
【0099】
式中、A及びBはモノマーA及びBの濃度を表す。α及びαは反応を通して変化する可能性があり、したがって反応している間に再計算すべきであるが、α及びαは一定のままである場合が見出された。(A.M. Alb, P. Enohnyaket, R. Shunmugam, G.N. Tew, W.F. Reed, ‘‘Quantitative contrasts in the copolymerization of acrylate and methacrylate monomers’’, Macromolecules, 39, 8283-8292, 2006を参照)。
【0100】
モノマー濃度と瞬間的な分子量Mw,instとの間の関係の問題は、より複雑になる可能性がある。ホモポリマーの場合、比例定数は、基礎となるすべての速度とパラメータを、単一の再計算可能な定数pにまとめる。

(38)
【0101】
式中、mはモノマー濃度である。
【0102】
コポリマーの場合、総モノマー濃度mは、

(39)
により得られる。
【0103】
式38は、任意の比較的短い区間にわたって成り立つが、今やpの従属性は、任意の基礎にある相対的な反応性及び比A/Bを暗黙に含むようにも拡張される。AとBの値は、所与の目標軌道に対して、任意の時点のそれらの比A/Bまでのみ求めるので、式44の合計は、任意の値mを有することができる。式38及び反応している間の任意の時点のpの値を使用して、Mw,instを特定することができ、それはその時点のmの値を固定し、3つの変数A、B、及びmのセット、したがって目標軌道Mw,instを完成させることは、目標組成軌道と同時に規定されることが可能である。
【0104】
p(A,B)は反応を通して測定することができるので、組成と分子量の同時の制御が可能である。コポリマー中のコモノマーが、組成分布に著しい幅があるときに使用される溶媒において顕著に異なるdn/dcを有する場合、コポリマーの光散乱によるMの計算が遥かに複雑になることに留意されたい。この問題はACOMPを使用して解決されているが、特定の実装が必要である。(P. Enohnyaket, T. Kreft, A. M. Alb, M. Drenski, W. F. Reed, “Determination of molecular mass during online monitoring of copolymerization reactions”, Macromolecules, 40, 8040-8049, 2007を参照。)
【0105】
本開示の制御要素は、反応器へコモノマーの別々のセミバッチを供給することに依拠する。2つのリザーバがあり、1つは濃度C’でのモノマーA用であり、もう1つは濃度C’でのB用である。リザーバA及びBからの流速は、独立して制御することができ、任意の時点tに、それぞれ流速Q(t)及びQ(t)で反応器に供給する。制御要素の目的は、反応全体にわたって必要な流速Q(t)及びQ(t)を自動的に計算し調整することである。したがって、Q(t)及びQ(t)の解は以下の展開で求められる。
【0106】
本開示の少なくとも1つの態様によれば、累積及び瞬間のフラクショナルな組成が、制御要素に必要とされ得る。変換に関してACOMPシステムが測定する主な量は、各モノマーAとBの濃度である。反応の任意の時点におけるポリマーの形態A及びBの各モ
ノマーの量は、以下の式によって質量のバランスから見出せる。

(40a、b)
【0107】
Aからなるポリマーの累積フラクションはfであり、Bの累積フラクションはfである。

(41a、b)
【0108】
式中、f(t)+f(t)=1であり、ポリマーの総濃度は、次式のものとなる。

(42)
【0109】
任意の時間tにおいて生成されたポリマー鎖におけるAの瞬間の最も可能性の高いフラクションは、次式のものとなる。

(43)
【0110】
dA=-dA=αAdtであるので、Fは、

(44)
と記すことができる。
【0111】
式44は、各コモノマーの消費量を求めるだけでなく、瞬間の最も可能性の高い組成Fも求めるので、α及びαの能力を示す。F=1-Fであるため、Fを求めて制御することに集中すれば十分であり、Fは自動的に従う。したがって、組成の制御要素が、反応中に測定されたα及びαの値に直接基づくことが可能である。当然、最も可能性の高い値の周りに組成の分布がある。ここでは、Fの最も可能性の高い瞬間的な値を「組成の平均値」と称することにする。最も可能性の高い値から完全な構成分布を作成するために、ACOMPにおいてモデルの分布が以前に使用されていた。したがって、Fの測定値及び任意の適切な組成分布モデルに基づいて、組成の完全分布をオンラインでリアルタイムに作成することができる。(A. Giz, A. Oncul Koc, H. Giz, A.M. Alb, W.F. Reed ‘‘Online monitoring of reactivity ratios, composition, sequence length, and molecular weight distributions during free radical copolymerization’’ , Macromolecules, 35, 6557-6571, 2002を参照)。
【0112】
少なくとも一部の例では、制御要素は、目標組成軌道fA,t(t)及び目標総モノマー軌道m(t)をたどる。式38及びpの測定値を併せて、目標M軌道を目標組成軌道と共に同時にたどることができる。制御要素は、最終組成分布C(F)を生成し、ここで、C(F)dFは、FからF+dFまでの区間内のモノマーA、Fのフラクショナルな組成を有する鎖の濃度である。瞬間的な値の平均Fに関して、以下のようになる。

(45)
【0113】
これから、式44とは別に、次式により、f(t)、A、及びCのACOMPの測定値から直接F(t)を計算することもできる。

(46)
【0114】
操作上、C(F)が、例えばgPROMSなどの最適化プログラムによってオフラインで確立され、所望の経路fA,t(t)が確立される。これは、t、A、及びCがすべてACOMPと同時に認識されるため、f(A)またはf(C)と表すこともできる。
【0115】
組成軌道f(t)を定義すると、総モノマー濃度m(t)の軌道を特定することが必要となる。これに対する基礎は、コモノマーを生成する速度及び量を求めるためと、p(A/B)が既知または近似であるならば、所望のまたは理論的分子量軌道をMw,t(t)と確立できることである。この後者の場合、そのために、組成と分子量の両方の軌道を同時に制御することが可能である(この後者は式38を介する)。さらに、反応中に必要に応じて頻繁に再測定することができるα及びαの値は、式44においてFを直接求めるために使用することができ、したがって所望の標的組成軌道をたどることが可能になる。
【0116】

さらなる詳細では、制御区間が設定され、Δtと、t+Δtにおける軌道の値が以下の通りとなる。

(47)
【0117】
これをΔCの一次まで拡張すると、次式が得られる。

(48)
【0118】
平均の定理を使用して、第2の積分は、tからt+ΔtにわたるFの平均値に関して、以下の式に従って<F>として表すことができる。

(49)
【0119】
したがって、ΔCの一次に対して、以下になる。

(50)
【0120】
制御増分Δf(t)は、t+Δtにおけるfの所望の値と、tにおける実際の測定値f(t)との間の差であり、すなわち、

(51)
【0121】
であり、そのため、

(52)
【0122】
であり、式37a、bを使用して、以下のようになる。

(53)
【0123】
したがって、重要な制御パラメータ<F>は、直接測定可能な量と必要な制御増分Δf(t)との組み合わせから分かる。
【0124】
このとき、制御区間Δtが、量の変化が区間にわたり線形になるのに十分に短くなるように取得される。そのため、次式のようになる。

(54)
【0125】
これにより、目標軌道をたどるためにどのF(t+Δt)が必要であるかを見出すための条件が生じる。

(55)
【0126】
式中、F(t)は式49に従ってtにおいて既知である。F(t+Δt)は次のように記すことができる。

(56)
【0127】
総モノマー軌道を、ΔBを次のように表すために使用することができる。

(57)
【0128】
式中、Δmは、所望の総単量体軌道m(t)に従うために、tからt+Δtまでの総モノマー濃度の差である。

(58)
【0129】
これを式57に代入し、ΔAについて解き、単純化すると、次式となる。


(59a)
【0130】
同様の手順により、ΔBが得られる。

(59b)
【0131】
このとき、Δtに対する総変化ΔAは、Δtにわたる重合作用によるAの損失、及びΔtにわたるポンプ注入されたAの量に起因し、

(60)
【0132】
これは、自動的にポンプ速度Q(t)を設定した後に求めたものを生じる。

(61a)
【0133】
同様に、モノマーBリザーバからのポンプ速度Q(t)は、以下になる。

(61b)
【0134】
V(t)は、時間tにおける反応器の体積であり、リザーバA及びBからの流体の流入と、ACOMP回収率qからの流出との両方を考慮に入れて計算される。

(62)
【0135】
式中、Vは反応器の初期の体積である。
【0136】
組成、fA,t(t)、及び総モノマー濃度m(t)についての所望の目標軌道は、オフラインで確立され、実施されるべきである。あるいは、同時の組成とMw,inst,t制御を成し遂げるために、組成とMw,instの目標軌道をオフラインで判定し、Mw,inst,tに従うように式38を介してm(t)を反応中に調整する。制御区間tの始めに、次の特性を測定して制御要素A(t)、B(t)、M(t)に送信する。制御要素は、上述したように、その最新の値α及びαを使用して、A及びBの量を計算する。
【0137】
この処理は、より多いコモノマーのうちの3つを有するコポリマーに拡張することができる。例えば、ターポリマーは3つのコモノマーA、B、及びCを含み、各f、f、及びfの累積的なフラクショナル組成は、濃度A(t)、B(t)、及びC(t)の連続した測定によって見出される。後者の時間依存的な濃度はまた、任意の時間間隔α(t)、α(t)、及びα(t)にわたって、対応する速度定数を生じる。それぞれの瞬間的なフラクション、F(t)、F(t)、及びF(t)は、任意の時点tにおいて、式49と同様に、次式により計算される。

(63)
【0138】
また、F(t)、及びF(t)についても同様であり、正規化の条件は、F(t)=1-F(t)-F(t)に適用される。このような場合、pを測定することができ、m(t)=A(t)+B(t)+C(t)であるため、Mw,inst(t)の同時の制御も式49によって行うことができる。この手順は、Mw,inst制御と共に、任意の数Nのコモノマーに拡張することができる。
【0139】
組成の制御についてこれまでに概説した手法は、式44にしたがって、目標組成軌道FA,tと、αとαの測定値から直接計算されるFA,tの測定値とを使用することによって、合理化することができることに留意されたい。
【0140】
実施例1-マルチモーダルポリマー:ポリアクリルアミドのためのバイモーダルMWD
トリモーダルポリマーの能動的に制御された生成の例は、連鎖移動剤(CTA)、ギ酸ナトリウムの自動的な添加と共に、上述のM制御要素を使用するAmのフリーラジカル重合を伴い、反応の第2段階における低分子量の集団の生成を惹起し、また、第3段階におけるさらに低い分子量を惹起する。図3は、M(C)及びMw,inst(C)の結果を、CTAの2回の添加が行われた箇所と共に示す。CTAを追加するたびに、Mw,instは急激に低下する。
【0141】
図4の差し込み図は、図3から得たMw,inst値のヒストグラムを示し、図4の主要なグラフは、形式の対数正規分布を使用して、このヒストグラムから計算されたMWDを示す。

(64)
【0142】
それは、最も可能性の高い(ピーク)分子量M及びMWDの幅σによって完全に特徴付けられる。M、M、及びMの値は、次式によってこれら2つのパラメータに関連付けられる。

(65)
【0143】
/M=2の予想される瞬間的なMWDの幅に対して、σ=In(2)=0.6931であり、これによって、次式で瞬間的なMをMw,instと相関させることが可能になる。

(66)
【0144】
14個の瞬間的なMWDの一部を、図4にて14個の瞬間的なMWDすべての合計と共に示している。正味の結果はバイモーダルである(図3にて見て取れるCTAの2つの添加に起因するMの減少の効果は、図4の単一の低質量モードでは共に不鮮明になる)。
【0145】
上記と類似した他の例を図5に示す。この図ではCTAを1回だけ添加し、バイモダリティをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した。累積Mは反応の最初の40%について増加し、その時点でCTAが添加され、その後Mはなだらかに低下する。対照的に、Mw,instは、最初の40%について10g/mol付近でほぼ一定の値を有し、その後CTAの添加後に約0.04×10まで急激に低下し、その後一定のままである。最初の40%では、自動制御要素は、この値で一定になるようにMw,instを一定に保つようにし、次いで40%の時点でCTAを自動的に注入し、次いで反応の残りの60%についてMw,instを一定に保った。
【0146】
図6は、やはりM/M=2を用いて、図5のMw,instと共に、上述した対数正規分布を用いたMWDの計算を示す。また、図6は、GPCにより判定されたPEO当量MWDも示す。このために、島津製作所のクロマトグラフィー屈折率検出器を使用して、Polymer Standard Services(Amherst、マサチューセッツ州)リニアXLカラムから溶出するポリマーの濃度を測定し、島津製作所の高圧液体クロマトグラフィーポンプを使用して、GPCの流れを促した。Polymer Standard Servicesによって提供されるポリ(エチレンオキシド)、PEO、分子量の標準を利用して、カラムを較正した。
【0147】
計算されたMWDと、GPCによって測定されたMWDとの間の一致は、良好であり、以下の点を考慮しなければならない:(1)PEO標準は、絶対的な分子量ではなく、pAmについての「PEO当量」質量を測定するのみである。対照的に、ACOMPにてM及びMを求めるために使用する分子量は、光散乱からのものであり、これは標準による較正に依存しない絶対的な方法である;(2)GPCの分離は正確に対数正規であるわけではなく、各モードは計算されたモードより少し広い;(3)GPCの分解能は完全ではなく、カラムの細部、注入濃度などに大きく依拠する。分子量分解能がより高いカラムは、高分子量モードと低分子量モードの間により深いトラフを示す可能性がある。これは例えば、図6のMWDの計算に見られる;(4)ACOMPからMw,instを取得することはまだ正確な科学になっていないので、計算されたMWDには必ずいくらかの誤差がある;(5)M/M=2の対数正規分布がMWDの計算の根底にある。
【0148】
図7は、トリモーダル分子量ポリマーを合成して、最終生成物に3つのMWDモードの各々のほぼ等しい濃度を自動的に生成する別の例を示す。図7において、3つのモードのそれぞれのMは、リザーバから反応器へAmを添加することによって制御され、続く2つのMWDモードにおいて、Mw,instを低下させるためにCTAの2つの自動的な添加を追加した。最終生成物の質量の約1/3を、各Mモードについて生成した。反応器の累積重量平均分子量Mは、CTAが自動的に添加されるたびに測定可能な不連続性を示すだけであるが、Mw,instの値は急激に大きく減少する。第1のモードMw,instでは約1.5×10g/molであり、第2のモードでは2×10g/molに低下し、第3のモードでは4×10g/molに低下している。したがって、最終生成物は、それらのピーク分子量において因子の75倍まで分離したポリマーMWDモードを含む。
【0149】
図8は、M/M=2である対数正規分布を使用する計算されたMWD、及び最終生成物のMw,instの値のスペクトル(2つの曲線の滑らかな方)と共に、図7で生成したトリモーダルポリマーの最終生成物のGPCに基づくMWDを示す。各方法で生成されたMWDはよく一致しているが、どちらの方法でも3つのMWDすべてを解決することはできない。これは、モードのピークを十分に分離させていても、分布が非常に広く、互いに重なり合っているため、3つのモードすべての分解が妨げられているという事実に起因する。(同様の状況が、例えば、2つの別々の重なり合う光強度分布が、それらの供給源の間の特定の最小角度間隔が適合するまで互いに分解できない、いわゆる「レイリー基準」において、回折にて生じる)。MWDを判定するオンラインのACOMPの方法が、GPCなどの物理的な分離に頼らずに3つすべてのMWDモードを示している(図7)という事実は、ACOMP方法の能力、及び本開示の方法によって生成されたマルチモーダル集団を分解するその能力を実証している。
【0150】
実施例2-マルチモーダル集団を生成するための装置
変性(または多段階)ポリマー及びマルチモーダルポリマーを生成することができる装置が、Advanced Polymer Monitoring Technologies,Inc.(ニューオーリンズ、ルイジアナ州)により構築された。装置はACOMPシステムと制御インターフェースを含んでいた。操作者は、Logix5000プログラミングソフトウェアのRockwell Factory Talk View SE環境を利用して構築された、カスタム設計のヒューマンマシンインターフェース(HMI)を介して、ACOMP/CIシステムと対話する。これは、Rockwell Control Logix PLCを介してすべてのACOMPハードウェアとインターフェースさせていた。すべてのセンサと検出器の信号は、Rockwellのデータベーステーブルにローカルでコンパイルされ、その後Open Platform Communicationsゲートウェイ(OPC)を介してACOMP Analysisパッケージに送信した。ACOMP AnalysisソフトウェアはC++でプログラムされており、それは反応及びポリマーの特性の特徴付けのためにすべての適切なセンサ及び検出器の信号を解釈する。オンラインの分析データを受信し、様々なプロセス変数を調整するために制御信号を送信するACOMP Controllerソフトウェアは、Python 3.5で発展され、これはまたOPCゲートウェイを介してRockwellオートメーションと通信する。本願で、制御要素は濃縮リザーバから反応器へのAmの流速を調節した。
【0151】
図9は、本開示の少なくとも例示的な実施形態による例示のACOMPシステム及び方法を示す。試料は、実験に応じて0.25~0.50cm/分の速度で抽出ポンプによって反応器再循環ループから連続的に抽出され、溶媒ポンプからの溶媒(これらの実験では蒸留水)で直ちに急冷させて、80倍に希釈し、混合室で均質にし、そこから試料はGilson(Middelton、WI)による4波長UV/Vis検出器UV/Vis 159検出器を通って流れていき、それが、重合している間のモノマーの吸収を連続的に監視する。ポリマーの転化率は、245nmの波長を用いて計算した。UV/Vis検出器を流れ過ぎた後、試料の流れのフラクションを均一濃度ポンプで分流して、4つの角度65°、90°、115°、130°でカスタムに構築した多角度レーザ光散乱(MALS)検出器と、カスタムに構築した単一の細管型粘度計とを含む残りの検出器の列を経る、連続的でパルスフリーの流れを達成させている。ACOMP/CIにより判定される反応及びポリマー特性に基づいて、反応器の温度、窒素、モノマーまたは開始剤の供給を調節して、重合作用の所望の局面を制御することができる。本研究では、総CとMの軌道はバッチモードで温度と開始剤の流れを利用して手動の能動的制御により制御され、CとMの完全自動の能動的制御は、セミバッチモードのモノマーの流れで達成した。図9に示したもの以外にもACOMPシステム用の他の多くの特定の実施形態がある。他の構成を備えるACOMPシステムは、本開示の精神及び範囲内にある。
【0152】
反応器から第1の検出器、すなわちUV検出器までの遅延は85秒であった。制御の計算においてこの遅延の時間を補正すべく、30秒前からリアルタイムの現在の瞬間tに至る順方向の線形回帰を、Cに対して使用した。
【0153】
モノマー及びポリマーの濃度、粘度の低下、η、M及び回転<S>zのz平均の二乗平均半径を計算するためUVの吸収、粘度、及びMALSを使用することは、先行するACOMPの刊行物で詳述されている。後者について、通常のZimmの式が使用された。式中、IR(θ)は、散乱角θにおけるポリマー溶液からの過剰なレイリー散乱比であり、

(67)
【0154】
式中、Cはポリマーの濃度であり、qは、以下の散乱ベクトルの大きさである。

(68)
【0155】
Kは、次式により垂直に偏光された入射光に対して得られる光学定数である。

(69)
【0156】
式中、dn/dCは、屈折率nの溶媒におけるポリマーの微分屈折率であり、Nはアボガドロ数であり、λは入射レーザの真空波長である。水中のAmに対してdn/dc=0.181cm/gを用い、35mWのLaser Maxの線形偏光小型ダイオードレーザから、n=1.333、及びλ=660nmであった。(Zimm, B. H. The Scattering of Light and the Radial Distribution Function of High Polymer Solutions. J. Chem. Phys. 1948, 16, 1093-1099;Zimm, B. H. Apparatus and Methods for Measurement and Interpretation of the Angular Variation of Light Scattering;Preliminary Results on Polystyrene Solutions. J. Chem. Phys. 1948, 16, 1099-1115を参照)。
【0157】
式67において、Aは第2のビリアル係数の複合的な平均である。ポリアクリルアミド最終生成物では3.29×10-4cm-mol/g+/-20%であることが見出されており、Mにわずかに依拠しており、そのために一定の補正因子として用いた。検出器の列のpAmの最大濃度は4×10-4g/cmであり、これは、推定値でMが約10g/molの値に対して、2A約Cが約0.26という、式72における補正係数に至る。Aにおける20%のエラーバーで、これは、最高濃度でのMw及び高いMについて5%の最大のシステム上の誤差をもたらす。
【0158】
実施例3-手動の能動制御の例
手動の能動制御及び自動制御の両方が、APMT ACOMP/CIシステムで実行されてきた。この手法では、時間内にCm,t(t)またはMw,t(t)の目標軌道が確立され、操作者は目標軌道をたどるように手動で制御変数を操作した。これは、安全性やその他の理由から人間の操作者の関与を維持した方がよいと考えられる、研究開発室や製造施設などで有用である可能性がある。また、これは、上記の完全自動では扱われていない、制御変数として温度と開始剤を使用することを例示している。
【0159】
図10は、1L反応器で30gのAmと0.45g/LのKPSとのAmフリーラジカル重合についての目標軌道を示す。これにおいて、Amのフラクショナルな転化率C(t)/Cm,oは目標軌道であり、式中Cm,oはAmの出発濃度である。目標軌道は、約8,000秒にわたって45℃~62℃までの区間で反応器の温度を段階的に上昇させることによって得られた。後続の反応は、制御軌道C(t)/Cmoをたどることが目的であり、45℃にて等温で実施され、操作者の判断で流速が制御されるポンプを介して、開始剤を添加した。操作者は、モノマー濃度(フラクショナルな転化率として示す)を、モデル経路の3%以内にどうにか制御した。これら2つの反応は、温度及び開始剤の転化率に関して「同形反応対」と呼ぶことができる。「同形」は、軌道が(本質的に)同じであるが、温度と開始剤が同じ軌道に到達するための2つの異なる制御変数であることを示している。
【0160】
図11は、温度及び開始剤におけるMについての同形反応対を示す。制御軌道は、図10の段階的温度モデルの反応から生成されたMを示す。第1の反応に従うことを意図した第2の反応は、等温であり、45℃に保持し、操作者の判断で開始剤の流れを伴った。図11は、後者の軌道が制御軌道の10%以内をたどっていることを示しており、灰色の網掛けを施した領域で示されている。
【0161】
図8のモノマー濃度経路は、速度論の基本的な考察から分かるように、Mにおける同形反応対には至らないということに留意されたい。Cが両方の反応において同じである場合、式3によると(ここでは[CTA]=0)pは両方に対して同じであり、このことは、k/k[R]が両方に対して同じである場合に限り、Mが両者に対して同じであるのに必要とされる。しかし、Tが増加すると、[R]は、式4におけるkの温度に対する指数関数的な依存性に起因して、急激に増加する。また、kとkが温度依存性であるため、等温の反応と温度の段階的な反応でpは同じになり得ず、そのため、図11の結果をもたらすには個々の制御反応が必要であった。
【0162】
本開示の少なくとも1つの態様によれば、上記の技法及び方法は、図12またはそのいずれかの部分に示されているシステム及び装置で使用することができる。図12に示すように、ポンプ200は高粘度を処理することができる。ポンプ200は、歯車、ねじ、またはローブポンプであり得る。中程度の粘度の場合には、蠕動ポンプも使用することができる。ポンプ200は、入口ライン202を介して反応器201から反応器の流体(溶質濃度Crを有する)を流量Qrで抽出する。この流れの大部分は再循環ライン204を介して反応器201に再循環させ、一方、所望のフラクションが、平均流速Qcで出口206及び/または分流器210を介して混合室208に供給される。分流器210は能動型または受動型のいずれでもよい。受動型は単に「Y字形」とすることができ、この場合、「Y字形」から反応器に戻って混合室(208)に入る細管の長さ及び内径が、流体の流れの分割を制御する。能動型分流器210は三方電磁弁であり得、それは通常反応器に送り返すが、プログラム可能論理制御要素(PLC)212または同様の電子装置によって作動させることができ、混合室208に流れを周期的に分流させ、平均Qcを達成するようにする。ポンプ214は、速度Qs1で溶媒を溶媒リザーバ215から引き出し、それを、出口218を介して混合室208に供給し、そこで反応器の流体と溶媒の両方が混合され、以下の濃度をもたらす。

(74)
【0163】
この時点で、単段階ミキサーは、流速Qp2で、ライン222及びポンプ220を介して、濃度Ccの流体を検出器の列240に単に供給する。二段階の希釈器で、化合物の二次的な段階Sは、ライン228を介して速度Qs2で、溶剤リザーバ215から溶剤を出す追加のポンプ226を含む。ポンプ220及び226の出口(それぞれ224と230)からの液体の流れは、例えば超小容量のマイクロボアの高圧「T型」ミキサー232(例えばUpchurch,Inc.)、または他の受動型もしくは能動型の混合用装置で混合される。したがって、ライン234を介してミキサー232から検出器の列240への流速は、Q=Qs2+Qp2であり、検出器の列240に到達する溶質の濃度は、

(75)
である。
【0164】
この実施形態では、検出器の列240は、単一または多角度光散乱検出器242(LS)、屈折計244(RI)、粘度計246(V)、及び紫外/可視分光光度計248(UV)からなる。他の種類及び組み合わせの検出器も可能である。例えば、これらの測定装置のうちの1つ以上を省くことができる。検出器の列240から流れ出る流体は、廃棄物容器249に進む。
【0165】
非再循環の実施形態は、速度Qcで反応器の流体をまさに引き出し、混合室208を直接供給する。他のすべての流速と濃度は、依然上記の通りである。この手法の主な違いは、流体要素のサンプリングと、検出器の列によるその測定との間で、遅延する時間が長くなることである。
【0166】
混合室208の能動型混合要素250、例えば小型モータによって回転させられる回転式ベーンを図12に示す。低粘度の流体の場合は、受動型要素で代用できる。混合室208は通常大気に通気され、反応器から来るいずれかの気泡が吐き出され、検出器の流れに引き込まれないようにする。能動的または受動的オーバーフロー252(O)、及び/またはレベルセンサが装置に含まれることが好ましい(図12を参照)。後者の場合、レベルセンサはPLC212と協働して能動分流器210を制御する。この場合、溶媒再循環ループを導入してもよく、それによって、同様にPLC212によって動作される第2の能動分流器が、間隔を置いて、所望の平均Qs1を供給する。レベルセンサなしの能動的オーバーフローの場合、混合室208の一定量の混合流体は、速度Qwで他の低粘度ポンプによって排出され、Qw+Qp2=Qc+Qs1となる。混合室208の流体の体積Vは、組み合わされた流量Qs1+Qcと共に、以下に従って、混合室の流体要素の平均滞留時間t(したがって、室の反応時間)を求める。


(76)
【0167】
は、ACOMPで依然監視できる反応が発展するまでの時間の下限を設定する。通常、tは数十秒から数百秒のオーダーである。混合室208がΔtの区間で能動型分流器204(複数可)によってパルスで供給される場合、混合室208は、t>>Δtである限り、反応器の流体及び/または溶媒の別々の注入を円滑なものにする。市販のソレノイド型分流器は、典型的にはミリ秒または数十ミリ秒のオーダーの反応時間を有し、そのため後者の基準を満たすことは困難ではなく、したがって混合室208の総溶質濃度を一定に維持でき、その結果検出器の信号が混合室208の濃度変動に起因するピークまたは脈動を示さない。
【0168】
ポンプ214、220、226は、高い粘性の液体をポンピングする必要はなく、ポンプ200は実施形態における唯一の高粘度ポンプである。混合室208は大気に通気されているので、ポンプ214はいかなる大きな背圧に対しても作動する必要はなく、したがって非常に安価な蠕動ポンプ、ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプ、または他のタイプのポンプを使用することができる。ポンプ220、226は、典型的には20psi~1000psiのオーダーで、低粘度の混合される試料流体を、検出器の列240の背圧に対してポンピングできなければならない。その適用に対しては、多くの市販のピストンポンプが存在する。
【0169】
図12に示すように、調整モジュール256は、ポンプ200の出口206と一直線上にある。調整モジュール256は、溶媒及び/またはモノマーを蒸発させるために反応器の流体を加熱すること、または反応器の流体を濾過することなどの機能を果たすことができる。調整モジュール256はまた、混合室208の出口218などの、図表の他の箇所に配置することができる。
【0170】
包含される本開示の陳述
陳述1:単一の反応容器でマルチモーダルポリマーを生成する方法であって、反応容器で少なくとも2つの段階でポリマー反応を生起してマルチモーダルポリマーを生成すること;少なくとも1つの段階において少なくとも1つの反応特性を監視すること;前記少なくとも2つの段階の少なくとも1つでポリマーを前記生成する間に、前記少なくとも1つの監視された反応特性に基づいて、少なくとも1つのプロセス制御変数を修正することによってモードの発展を能動的に制御することを含む前記方法。
【0171】
陳述2:前記少なくとも1つの監視された反応特性に基づいて反応軌道を判定することをさらに含み、前記プロセス制御変数が、目標軌道をたどるために前記反応軌道の判定に基づいて修正される、陳述1に記載の方法。
【0172】
陳述3:第1のモードの前記発展から第2のモードへの連続反応器の切替えに関連する最適なクロスオーバーの第2の目標軌道を判定すること;及び少なくとも1つのプロセス制御変数を修正することにより第2のモードの前記発展を能動的に制御することであって、前記プロセス制御変数が、前記第2の目標軌道に基づいて修正される前記制御することをさらに含む、陳述1または陳述2に記載の方法。
【0173】
陳述4:目標軌道が基づく前記反応特性が分子量である、陳述2または陳述3に記載の方法。
【0174】
陳述5:目標軌道が基づく前記反応特性がコポリマーの組成である、陳述2または陳述3に記載の方法。
【0175】
陳述6:目標軌道が基づく前記反応特性が固有粘度(IV)である、陳述2または陳述3に記載の方法。
【0176】
陳述7:複数の反応軌道を同時に判定することであって、前記複数の反応軌道のそれぞれが少なくとも1つの監視された反応特性に基づいている前記判定することをさらに含む、先行の陳述2~6のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
陳述8:前記複数の反応軌道に基づいて1つ以上のプロセス制御変数を修正して、複数の監視された反応特性の前記軌道が同時に制御されるようにすることをさらに含む、先行の陳述2~7のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
陳述9:前記複数の同時に制御される軌道が、M、粘度の低下、IV、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換からなる群から選択される、先行の陳述2~8のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
陳述10:能動的に制御することが自動的な能動的制御を含む、先行の陳述1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
陳述11:能動的に制御することが手動の能動的制御を含む、先行の陳述1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0181】
陳述12:能動的に制御することが、計算支援の能動的制御を含む、先行の陳述1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0182】
陳述13:前記少なくとも2つの段階の少なくとも1つ以上が、制御下のラジカル重合の形態を含む、先行の陳述1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0183】
陳述14:前記マルチモーダルポリマーがマルチモーダル刺激反応性ポリマーを含む、先行の陳述1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
陳述15:前記モードの前記特性が、M、粘度の低下、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換からなる群から選択される、先行の陳述1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
陳述16:少なくとも1つの反応特性を前記監視することが、ラマン散乱、赤外分光法、屈折率、紫外線吸収、伝導率、光学活性、円偏光二色性、円複屈折、NMR、全強度光散乱、多角度全強度光散乱、動的光散乱、細管型粘度測定、低及び高剪断粘度の同時の測定からなる群から選択される少なくとも1つを測定することを含む、先行の陳述1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
陳述17:前記反応特性が、前記反応容器のラマン散乱または赤外分光プローブによって監視されるコモノマーの前記転化率である、先行の陳述1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0187】
陳述18:前記反応特性が、全強度光散乱または多角度全強度光散乱によって監視される分子量である、先行の陳述1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0188】
陳述19:前記反応特性が、細管型粘度計によって監視される固有粘度(IV)である、先行の陳述1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0189】
陳述20:前記反応特性が、低及び高剪断粘度の同時の測定によって監視される分岐である、先行の陳述1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
陳述21:前記反応特性が、M及びIVの同時の測定によって監視される分岐である、先行の陳述1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0191】
陳述22:前記プロセス制御変数が、温度、撹拌速度、混合速度、撹拌、モノマーの導入、コモノマーの導入、開始剤の導入、クエンチャーの導入、分岐剤の導入、架橋剤の導入、連鎖移動剤の導入、抑制剤の導入、空気の導入、Oガスの導入、Nガスの導入、アルゴンガスの導入、酸の導入、塩基の導入、酸化還元剤の導入、及び触媒の導入からなる群から選択される、先行の陳述1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0192】
陳述23:少なくとも1つの反応特性を監視することが、少なくとも0.1秒につき1回~約30秒につき1回の測定を行うことを含む、先行の陳述1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
陳述24:ポリマーを順次変性する方法であって、反応容器で少なくとも2つの段階でポリマー反応を生起して変性ポリマーを生成すること;少なくとも1つの段階において少なくとも1つの反応特性を監視すること;前記少なくとも2つの段階の少なくとも1つで前記ポリマーを前記生成する間に、前記少なくとも1つの監視された反応特性に基づいて、少なくとも1つのプロセス制御変数を修正することによって、所定の反応特性の前記発展を能動的に制御することを含む前記方法。
【0194】
陳述25:前記少なくとも1つの監視された反応特性に基づいて反応軌道を判定することをさらに含み、前記プロセス制御変数が、前記反応軌道の判定に基づいて修正される、陳述24に記載の方法。
【0195】
陳述26:目標軌道が基づく前記所定の反応特性が分子量である、陳述24または陳述25に記載の方法。
【0196】
陳述27:目標軌道が基づく前記所定の反応特性がコポリマーの組成である、陳述24または陳述25に記載の方法。
【0197】
陳述28:目標軌道が基づく前記所定の反応特性が固有粘度(IV)である、陳述24または陳述25に記載の方法。
【0198】
陳述29:複数の反応軌道を同時に判定することであって、前記複数の反応軌道のそれぞれが少なくとも1つの監視された反応特性に基づいている前記判定することをさらに含む、先行の陳述24~28のいずれか1つに記載の方法。
【0199】
陳述30:前記複数の反応軌道に基づいて1つ以上のプロセス制御変数を修正して、複数の監視された反応特性の前記軌道が同時に制御されるようにすることをさらに含む、先行の陳述24~29のいずれか1つに記載の方法。
【0200】
陳述31:前記複数の同時に制御される軌道が、M、粘度の低下、IV、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換からなる群から選択される、先行の陳述24~30のいずれか1つに記載の方法。
【0201】
陳述32:能動的に制御することが自動的な能動的制御を含む、先行の陳述24~31のいずれか1つに記載の方法。
【0202】
陳述33:能動的に制御することが手動の能動的制御を含む、先行の陳述24~32のいずれか1つに記載の方法。
【0203】
陳述34:能動的に制御することが、計算支援の能動的制御を含む、先行の陳述24~33のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
陳述35:前記少なくとも2つの段階の少なくとも1つ以上が、制御下のラジカル重合の形態を含む、先行の陳述24~34のいずれか1つに記載の方法。
【0205】
陳述36:前記変性ポリマーが刺激反応性ポリマーを含む、先行の陳述24~35のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
陳述37:前記反応特性が、M、粘度の低下、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、ならびに化学的置換からなる群から選択される、先行の陳述24~36のいずれか1つに記載の方法。
【0207】
陳述38:少なくとも1つの反応特性を前記監視することが、ラマン散乱、赤外分光法、屈折率、紫外線吸収、伝導率、光学活性、円偏光二色性、円複屈折、NMR、全強度光散乱、多角度光散乱、細管型粘度測定、低及び高剪断粘度の同時の測定からなる群から選択される少なくとも1つを測定することを含む、先行の陳述24~37のいずれか1つに記載の方法。
【0208】
陳述39:目標軌道が基づく前記反応特性が、前記反応容器のラマン散乱または赤外分光プローブによって監視されるコモノマーの前記転化率である、先行の陳述24~38のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
陳述40:目標軌道が基づく前記反応特性が、全強度光散乱または多角度光散乱によって監視される分子量である、先行の陳述24~39のいずれか1つに記載の方法。
【0210】
陳述41:目標軌道が基づく前記反応特性が、細管型粘度計によって監視される固有粘度(IV)である、先行の陳述24~40のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
陳述42:目標軌道が基づく前記反応特性が、低及び高剪断粘度の同時の測定によって監視される分岐である、先行の陳述24~41のいずれか1つに記載の方法。
【0212】
陳述43:前記プロセス制御変数が、温度、撹拌速度、混合速度、撹拌、モノマーの導入、コモノマーの導入、開始剤の導入、クエンチャーの導入、分岐剤の導入、架橋剤の導入、連鎖移動剤の導入、抑制剤の導入、空気の導入、Oガスの導入、Nガスの導入、アルゴンガスの導入、酸の導入、塩基の導入、酸化還元剤の導入、及び触媒の導入からなる群から選択される、先行の陳述24~42のいずれか1つに記載の方法。
【0213】
陳述44:少なくとも1つの反応特性を監視することが、少なくとも0.1秒につき1回~約30秒につき1回の測定を行うことを含む、先行の陳述24~43のいずれか1つに記載の方法。
【0214】
陳述45:前記変性ポリマーが、マルチモーダルポリマーと変性ポリマーとの組み合わせを含む、先行の陳述24~44のいずれか1つに記載の方法。
【0215】
陳述46:第1のモードの前記発展から第2のモードへの連続反応器の切替えに関連する最適なクロスオーバーの第2の目標軌道を判定すること;及び少なくとも1つのプロセス制御変数を修正することにより第2のモードの前記発展を能動的に制御することであって、前記プロセス制御変数が、前記第2の目標軌道に基づいて修正される前記制御することをさらに含む、先行の陳述24~45のいずれか1つに記載の方法。
【0216】
陳述47:ポリマー溶液を収容し、少なくとも2つの段階でポリマー反応を生起するように構成されている反応容器;前記反応容器に収容される前記ポリマー溶液の少なくとも1つの反応特性を監視するように構成された1つ以上の検出器;及び前記反応容器及び前記1つ以上の検出器と結合される制御要素であって、前記検出器によって監視される前記少なくとも1つの反応特性に基づいて少なくとも1つのプロセス制御変数を修正することによって、所定の反応特性の前記発展を能動的に制御するように構成される前記制御要素を備える装置。
【0217】
陳述48:前記制御要素が、操作者が前記制御要素に所定の反応特性の前記発展を能動的に制御させ得るように構成されたインターフェースをさらに含む、陳述47に記載の装置。
【0218】
陳述49:前記制御要素が、前記検出器によって監視された前記少なくとも1つの反応特性に基づいて反応軌道を判定するようにさらに構成され、前記プロセス制御変数が前記反応軌道の判定に基づいて修正される、陳述47または陳述48に記載の装置。
【0219】
陳述50:目標軌道が基づく前記所定の反応特性が分子量である、先行の陳述47~49のいずれか1つに記載の装置。
【0220】
陳述51:目標軌道が基づく前記所定の反応特性がコポリマーの組成である、先行の陳述47~49のいずれか1つに記載の装置。
【0221】
陳述52:目標軌道が基づく前記所定の反応特性が固有粘度(IV)である、先行の陳述47~49のいずれか1つに記載の装置。
【0222】
陳述53:前記制御要素は、複数の反応軌道を同時に判定するようにさらに構成され、前記複数の反応軌道のそれぞれが少なくとも1つの監視された反応特性に基づいている、先行の陳述47~52のいずれか1つに記載の装置。
【0223】
陳述54:前記制御要素は、前記複数の反応軌道に基づいて1つ以上のプロセス制御変数を修正して、複数の監視された反応特性の前記軌道が同時に制御されるようにさらに構成される、先行の陳述47~53のいずれか1つに記載の装置。
【0224】
陳述55:前記複数の同時に制御される軌道が、M、粘度の低下、IV、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換からなる群から選択される、先行の陳述47~54のいずれか1つに記載の装置。
【0225】
陳述56:前記反応特性が、M、粘度の低下、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、ならびに化学的置換からなる群から選択される、先行の陳述47~55のいずれか1つに記載の装置。
【0226】
陳述57:陳述前記1つ以上の検出器は、ラマン散乱、赤外分光法、屈折率、紫外線吸収、伝導率、光学活性、円偏光二色性、円複屈折、NMR、全強度光散乱、多角度光散乱、細管型粘度測定、低及び高剪断粘度の同時の測定からなる群から選択される少なくとも1つを測定するように構成される、先行の陳述47~56のいずれか1つに記載の装置。
【0227】
陳述58:前記反応特性がコモノマーの前記転化率であり、前記検出器が前記反応容器と結合させたラマン散乱または赤外分光プローブである、先行の陳述47~57のいずれか1つに記載の装置。
【0228】
陳述59:前記反応特性が、全強度光散乱または多角度光散乱によって監視される分子量である、先行の陳述47~58のいずれか1つに記載の装置。
【0229】
陳述60:前記反応特性が固有粘度(IV)であり、前記検出器が細管型粘度計である、先行の陳述47~58のいずれか1つに記載の装置。
【0230】
陳述61:前記反応特性が、低及び高剪断粘度の同時の測定によって監視される分岐である、先行の陳述47~58のいずれか1つに記載の装置。
【0231】
陳述62:前記プロセス制御変数が、温度、撹拌速度、混合速度、撹拌、モノマーの導入、コモノマーの導入、開始剤の導入、クエンチャーの導入、分岐剤の導入、架橋剤の導入、連鎖移動剤の導入、抑制剤の導入、空気の導入、Oガスの導入、Nガスの導入、アルゴンガスの導入、酸の導入、塩基の導入、酸化還元剤の導入、及び触媒の導入からなる群から選択される、先行の陳述47~61のいずれか1つに記載の装置。
【0232】
陳述63:前記検出器が、少なくとも0.1秒につき1回~約30秒につき1回の測定を行うように構成されている、先行の陳述47~62のいずれか1つに記載の装置。
【0233】
陳述64:前記検出器及び制御要素がACOMPシステムの構成要素である、先行の陳述47~63のいずれか1つに記載の装置。
【0234】
陳述65:第2の反応容器をさらに含み、前記反応容器及び前記第2の反応容器はそれぞれ、前記少なくとも2つの段階の少なくとも1つにおいてポリマー反応を生起するように構成される、先行の陳述47~64のいずれか1つに記載の装置。
【0235】
陳述66:前記制御要素が、第1のモードの前記発展から第2のモードへの連続反応器の切替えに関連する最適なクロスオーバーの第2の目標軌道を判定し、少なくとも1つのプロセス制御変数を修正することにより第2のモードの前記発展を能動的に制御するようさらに構成され、前記プロセス制御変数が、前記第2の目標軌道に基づいて修正される、先行の陳述47~65のいずれか1つに記載の装置。
【0236】
陳述67:単一の反応容器でマルチモーダルポリマーを生成する方法であって、反応容器で少なくとも2つの段階でポリマー反応を生起してマルチモーダルポリマーを生成すること;少なくとも1つの段階において少なくとも1つの反応特性を監視すること;前記少なくとも2つの段階の少なくとも1つでポリマーを前記生成する間に、前記少なくとも1つの監視された反応特性に基づいて、少なくとも1つのプロセス制御変数を修正することによって、第1のモードの前記発展を能動的に制御すること;前記少なくとも1つの監視された反応特性に基づいて反応軌道を判定することであって、前記プロセス制御変数が、第1の目標軌道をたどるために前記反応軌道の判定に基づいて修正される前記判定すること;第1のモードの前記発展から第2のモードへの連続反応器の切替えに関連する最適なクロスオーバーの第2の目標軌道を判定すること;及び少なくとも1つのプロセス制御変数を修正することによって第2のモードの前記発展を能動的に制御すること、ここで前記プロセス制御変数は前記第2の目標軌道に基づいて修正される、を含む前記方法。
【0237】
陳述68:前記モードの前記特性が、M、粘度の低下、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換からなる群から選択される、陳述67に記載の方法。
【0238】
陳述69:少なくとも1つの反応特性を前記監視することが、ラマン散乱、赤外分光法、屈折率、紫外線吸収、伝導率、光学活性、円偏光二色性、円複屈折、NMR、全強度光散乱、多角度全強度光散乱、動的光散乱、細管型粘度測定、低及び高剪断粘度の同時の測定からなる群から選択される少なくとも1つを測定することを含む、陳述67または陳述68に記載の方法。
【0239】
陳述70:前記プロセス制御変数が、温度、撹拌速度、混合速度、撹拌、モノマーの導入、コモノマーの導入、開始剤の導入、クエンチャーの導入、分岐剤の導入、架橋剤の導入、連鎖移動剤の導入、抑制剤の導入、空気の導入、Oガスの導入、Nガスの導入、アルゴンガスの導入、酸の導入、塩基の導入、酸化還元剤の導入、及び触媒の導入からなる群から選択される、先行の陳述67~69のいずれか1つに記載の方法。
更に包含される本開示の項目を以下に示す。
(1)
単一の反応容器でマルチモーダルポリマーを生成する方法であって、
少なくとも2つの段階でポリマー反応を生起することによってマルチモーダルポリマーを生成することであって、前記少なくとも2つの段階のそれぞれはモードのポリマーを生じ、各モードのポリマーは独自の特性を有し、前記ポリマー反応は単一の反応容器で起こる前記生成すること、
少なくとも1つの段階において前記モードのポリマーの少なくとも1つの反応特性を監視すること、
前記少なくとも2つの段階の少なくとも1つでの前記ポリマー反応の間に、前記少なくとも1つの監視された反応特性に基づいて、少なくとも1つのプロセス制御変数を修正することによって前記モードのポリマーの発展を能動的に制御すること
を含む前記方法。
(2)
前記少なくとも1つの監視された反応特性に基づいて反応軌道を判定することをさらに含み、前記プロセス制御変数が、目標軌道をたどるために前記反応軌道の判定に基づいて修正される、(1)に記載の方法。
(3)
目標軌道が基づく前記反応特性が分子量、コポリマーの組成又は固有粘度(IV)である、(2)に記載の方法。
(4)
前記ポリマー反応は、第1段階としてフリーラジカル重合反応で及び第2段階として低分子量集団の生成で生起される、(1)に記載の方法。
(5)
複数の反応軌道を同時に判定することであって、前記複数の反応軌道のそれぞれが少なくとも1つの監視された反応特性に基づいている前記判定すること、
前記複数の反応軌道に基づいて1つ以上のプロセス制御変数を修正して、複数の監視された反応特性の前記軌道が同時に制御されるようにすること
をさらに含み、
前記複数の同時に制御される軌道が、M、粘度の低下、IV、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換からなる群から選択される、(2)に記載の方法。
(6)
前記マルチモーダルポリマーがマルチモーダル刺激反応性ポリマーを含む、(1)に記載の方法。
(7)
前記モードの前記特性が、M、粘度の低下、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換からなる群から選択される、(1)に記載の方法。
(8)
前記プロセス制御変数が、温度、撹拌速度、混合速度、撹拌、モノマーの導入、コモノマーの導入、開始剤の導入、クエンチャーの導入、分岐剤の導入、架橋剤の導入、連鎖移動剤の導入、抑制剤の導入、空気の導入、Oガスの導入、Nガスの導入、アルゴンガスの導入、酸の導入、塩基の導入、酸化還元剤の導入、及び触媒の導入からなる群から選択される、(1)に記載の方法。
(9)
目標軌道が基づく前記反応特性が分子量であり、前記プロセス制御変数が連鎖移動剤の導入であり、かつ前記マルチモーダルポリマーがポリアクリルアミドから生成される、(1)に記載の方法。
(10)
ポリマー溶液を収容し、少なくとも2つの段階でポリマー反応を生起してマルチモーダルポリマーを生成するように構成されている反応容器であって、前記少なくとも2つの段階のそれぞれは、独自の特性を備えるポリマーを生じる前記反応容器、
前記反応容器に収容される前記ポリマー溶液の少なくとも1つの反応特性を監視するように構成された1つ以上の検出器、及び
前記反応容器及び前記1つ以上の検出器と結合される制御要素であって、前記検出器によって監視される前記少なくとも1つの反応特性に基づいて少なくとも1つのプロセス制御変数を修正することによって、所定の反応特性の前記発展を能動的に制御するように構成される前記制御要素
を備える装置。
(11)
前記制御要素が、操作者が前記制御要素に所定の反応特性の前記発展を能動的に制御させ得るように構成されたインターフェースをさらに含む、(10)に記載の装置。
(12)
前記制御要素が、前記検出器によって監視された前記少なくとも1つの反応特性に基づいて反応軌道を判定するようにさらに構成され、前記プロセス制御変数が前記反応軌道の判定に基づいて修正される、(11)に記載の装置。
(13)
前記制御要素が、複数の反応軌道を同時に判定するようにさらに構成され、前記複数の反応軌道のそれぞれが少なくとも1つの監視された反応特性に基づいている、(10)に記載の装置。
(14)
前記制御要素が、前記複数の反応軌道に基づいて1つ以上のプロセス制御変数を修正して、複数の監視された反応特性の前記軌道が同時に制御されるようにさらに構成される、(13)に記載の装置。
(15)
前記複数の同時に制御される軌道が、M、粘度の低下、IV、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換からなる群から選択される、(14)に記載の装置。
(16)
前記反応特性が、M、粘度の低下、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、ならびに化学的置換からなる群から選択される、(10)に記載の装置。
(17)
前記プロセス制御変数が、温度、撹拌速度、混合速度、撹拌、モノマーの導入、コモノマーの導入、開始剤の導入、クエンチャーの導入、分岐剤の導入、架橋剤の導入、連鎖移動剤の導入、抑制剤の導入、空気の導入、Oガスの導入、Nガスの導入、アルゴンガスの導入、酸の導入、塩基の導入、酸化還元剤の導入、及び触媒の導入からなる群から選択される、(10)に記載の装置。
(18)
前記検出器及び制御要素がACOMPシステムの構成要素である、(10)に記載の装置。
(19)
第2の反応容器をさらに含み、前記反応容器及び前記第2の反応容器はそれぞれ、前記少なくとも2つの段階の少なくとも1つにおいてポリマー反応を生起するように構成される、(10)に記載の装置。
(20)
前記制御要素が、第1のモードの前記発展から第2のモードへの連続反応器の切替えに関連する最適なクロスオーバーの第2の目標軌道を判定し、少なくとも1つのプロセス制御変数を修正することにより第2のモードの前記発展を能動的に制御するようさらに構成され、前記プロセス制御変数が、前記第2の目標軌道に基づいて修正される、(12)に記載の装置。
(21)
前記ポリマー反応は、第1段階としてフリーラジカル重合反応で及び第2段階として低分子量集団の生成で生起される、(10)に記載の装置。
(22)
目標軌道が基づく前記反応特性が分子量であり、前記プロセス制御変数が連鎖移動剤の導入であり、かつ前記マルチモーダルポリマーがポリアクリルアミドから生成される、(10)に記載の装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の反応容器でマルチモーダルポリマーを生成する方法であって、
少なくとも2つの段階でポリマー反応を生起することによってマルチモーダルポリマーを生成することであって、前記少なくとも2つの段階は第1のモード及び第2のモードのポリマーを生じ、前記第1のモード及び第2のモードの各モードのポリマーは独自の特性を有し、前記ポリマー反応は単一の反応容器で起こる前記生成すること、
少なくとも1つの段階において前記第1のモードのポリマーの少なくとも1つの反応特性を監視すること、
少なくとも1つの監視された反応特性に基づいて反応軌道を判定することであって、複数のプロセス制御変数の少なくとも1つが、第1の目標軌道をたどるために前記反応軌道に基づいて修正されること、
前記少なくとも2つの段階の少なくとも1つでの前記ポリマー反応の間に、前記少なくとも1つの監視された反応特性に基づいて、複数のプロセス制御変数の少なくとも1つを修正することによって前記第1のモードのポリマーの発展を能動的に制御すること、
第2のモードに関連する第2の目標軌道を判定すること、
前記プロセス制御変数の少なくとも1つを修正することにより前記第2のモードの前記発展を能動的に制御すること
を含む前記方法
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0239
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0239】
陳述70:前記プロセス制御変数が、温度、撹拌速度、混合速度、撹拌、モノマーの導入、コモノマーの導入、開始剤の導入、クエンチャーの導入、分岐剤の導入、架橋剤の導入、連鎖移動剤の導入、抑制剤の導入、空気の導入、Oガスの導入、Nガスの導入、アルゴンガスの導入、酸の導入、塩基の導入、酸化還元剤の導入、及び触媒の導入からなる群から選択される、先行の陳述67~69のいずれか1つに記載の方法。
更に包含される本開示の項目を以下に示す。
(1)
単一の反応容器でマルチモーダルポリマーを生成する方法であって、
少なくとも2つの段階でポリマー反応を生起することによってマルチモーダルポリマーを生成することであって、前記少なくとも2つの段階のそれぞれはモードのポリマーを生じ、各モードのポリマーは独自の特性を有し、前記ポリマー反応は単一の反応容器で起こる前記生成すること、
少なくとも1つの段階において前記モードのポリマーの少なくとも1つの反応特性を監視すること、
前記少なくとも2つの段階の少なくとも1つでの前記ポリマー反応の間に、前記少なくとも1つの監視された反応特性に基づいて、少なくとも1つのプロセス制御変数を修正することによって前記モードのポリマーの発展を能動的に制御すること
を含む前記方法。
(2)
前記少なくとも1つの監視された反応特性に基づいて反応軌道を判定することをさらに含み、前記プロセス制御変数が、目標軌道をたどるために前記反応軌道の判定に基づいて修正される、(1)に記載の方法。
(3)
目標軌道が基づく前記反応特性が分子量、コポリマーの組成又は固有粘度(IV)である、(2)に記載の方法。
(4)
前記ポリマー反応は、第1段階としてフリーラジカル重合反応で及び第2段階として低分子量集団の生成で生起される、(1)に記載の方法。
(5)
複数の反応軌道を同時に判定することであって、前記複数の反応軌道のそれぞれが少なくとも1つの監視された反応特性に基づいている前記判定すること、
前記複数の反応軌道に基づいて1つ以上のプロセス制御変数を修正して、複数の監視された反応特性の前記軌道が同時に制御されるようにすること
をさらに含み、
前記複数の同時に制御される軌道が、M、粘度の低下、IV、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換からなる群から選択される、(2)に記載の方法。
(6)
前記マルチモーダルポリマーがマルチモーダル刺激反応性ポリマーを含む、(1)に記載の方法。
(7)
前記モードの前記特性が、M、粘度の低下、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換からなる群から選択される、(1)に記載の方法。
(8)
前記プロセス制御変数が、温度、撹拌速度、混合速度、撹拌、モノマーの導入、コモノマーの導入、開始剤の導入、クエンチャーの導入、分岐剤の導入、架橋剤の導入、連鎖移動剤の導入、抑制剤の導入、空気の導入、Oガスの導入、Nガスの導入、アルゴンガスの導入、酸の導入、塩基の導入、酸化還元剤の導入、及び触媒の導入からなる群から選択される、(1)に記載の方法。
(9)
目標軌道が基づく前記反応特性が分子量であり、前記プロセス制御変数が連鎖移動剤の導入であり、かつ前記マルチモーダルポリマーがポリアクリルアミドから生成される、(1)に記載の方法。
(10)
ポリマー溶液を収容し、少なくとも2つの段階でポリマー反応を生起してマルチモーダルポリマーを生成するように構成されている反応容器であって、前記少なくとも2つの段階のそれぞれは、独自の特性を備えるポリマーを生じる前記反応容器、
前記反応容器に収容される前記ポリマー溶液の少なくとも1つの反応特性を監視するように構成された1つ以上の検出器、及び
前記反応容器及び前記1つ以上の検出器と結合される制御要素であって、前記検出器によって監視される前記少なくとも1つの反応特性に基づいて少なくとも1つのプロセス制御変数を修正することによって、所定の反応特性の前記発展を能動的に制御するように構成される前記制御要素
を備える装置。
(11)
前記制御要素が、操作者が前記制御要素に所定の反応特性の前記発展を能動的に制御させ得るように構成されたインターフェースをさらに含む、(10)に記載の装置。
(12)
前記制御要素が、前記検出器によって監視された前記少なくとも1つの反応特性に基づいて反応軌道を判定するようにさらに構成され、前記プロセス制御変数が前記反応軌道の判定に基づいて修正される、(11)に記載の装置。
(13)
前記制御要素が、複数の反応軌道を同時に判定するようにさらに構成され、前記複数の反応軌道のそれぞれが少なくとも1つの監視された反応特性に基づいている、(10)に記載の装置。
(14)
前記制御要素が、前記複数の反応軌道に基づいて1つ以上のプロセス制御変数を修正して、複数の監視された反応特性の前記軌道が同時に制御されるようにさらに構成される、(13)に記載の装置。
(15)
前記複数の同時に制御される軌道が、M、粘度の低下、IV、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換からなる群から選択される、(14)に記載の装置。
(16)
前記反応特性が、M、粘度の低下、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、ならびに化学的置換からなる群から選択される、(10)に記載の装置。
(17)
前記プロセス制御変数が、温度、撹拌速度、混合速度、撹拌、モノマーの導入、コモノマーの導入、開始剤の導入、クエンチャーの導入、分岐剤の導入、架橋剤の導入、連鎖移動剤の導入、抑制剤の導入、空気の導入、Oガスの導入、Nガスの導入、アルゴンガスの導入、酸の導入、塩基の導入、酸化還元剤の導入、及び触媒の導入からなる群から選択される、(10)に記載の装置。
(18)
前記検出器及び制御要素がACOMPシステムの構成要素である、(10)に記載の装置。
(19)
第2の反応容器をさらに含み、前記反応容器及び前記第2の反応容器はそれぞれ、前記少なくとも2つの段階の少なくとも1つにおいてポリマー反応を生起するように構成される、(10)に記載の装置。
(20)
前記制御要素が、第1のモードの前記発展から第2のモードへの連続反応器の切替えに関連する最適なクロスオーバーの第2の目標軌道を判定し、少なくとも1つのプロセス制御変数を修正することにより第2のモードの前記発展を能動的に制御するようさらに構成され、前記プロセス制御変数が、前記第2の目標軌道に基づいて修正される、(12)に記載の装置。
(21)
前記ポリマー反応は、第1段階としてフリーラジカル重合反応で及び第2段階として低分子量集団の生成で生起される、(10)に記載の装置。
(22)
目標軌道が基づく前記反応特性が分子量であり、前記プロセス制御変数が連鎖移動剤の導入であり、かつ前記マルチモーダルポリマーがポリアクリルアミドから生成される、(10)に記載の装置。
また、更に包含される本開示の項目を以下に示す。
(A-1)
単一の反応容器でマルチモーダルポリマーを生成する方法であって、
少なくとも2つの段階でポリマー反応を生起することによってマルチモーダルポリマーを生成することであって、前記少なくとも2つの段階は第1のモード及び第2のモードのポリマーを生じ、前記第1のモード及び第2のモードの各モードのポリマーは独自の特性を有し、前記ポリマー反応は単一の反応容器で起こる前記生成すること、
少なくとも1つの段階において前記第1のモードのポリマーの少なくとも1つの反応特性を監視すること、
少なくとも1つの監視された反応特性に基づいて反応軌道を判定することであって、複数のプロセス制御変数の少なくとも1つが、第1の目標軌道をたどるために前記反応軌道に基づいて修正されること、
前記少なくとも2つの段階の少なくとも1つでの前記ポリマー反応の間に、前記少なくとも1つの監視された反応特性に基づいて、複数のプロセス制御変数の少なくとも1つを修正することによって前記第1のモードのポリマーの発展を能動的に制御すること、
第2のモードに関連する第2の目標軌道を判定すること、
前記プロセス制御変数の少なくとも1つを修正することにより前記第2のモードの前記発展を能動的に制御すること
を含む前記方法。
(A-2)
前記第1の目標軌道又は前記第2の目標軌道が基づく前記少なくとも1つの監視された反応特性が分子量、コポリマーの組成又は固有粘度(IV)である、(A-1)に記載の方法。
(A-3)
前記ポリマー反応は、前記少なくとも2つの段階の第1段階としてフリーラジカル重合反応で及び前記少なくとも2つの段階の第2段階として低分子量集団の生成で生起される、(A-1)に記載の方法。
(A-4)
複数の反応軌道を同時に判定することであって、前記複数の反応軌道のそれぞれが少なくとも1つの監視された反応特性に基づいている前記判定すること、
前記複数の反応軌道に基づいて少なくとも2つ以上のプロセス制御変数を同時に修正して、複数の監視された反応特性の前記軌道が同時に制御されるようにすること
をさらに含み、
複数の同時に制御される軌道が、M 、粘度の低下、IV、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換からなる群から選択される、(A-1)に記載の方法。
(A-5)
前記マルチモーダルポリマーの少なくとも1つがマルチモーダル刺激反応性ポリマーを含む、(A-1)に記載の方法。
(A-6)
前記第1のモード又は前記第2のモードの前記少なくとも1つの監視された反応特性が、M 、粘度の低下、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換からなる群から選択される、(A-1)に記載の方法。
(A-7)
前記第1の目標軌道又は前記第2の目標軌道が基づく前記少なくとも1つの監視された反応特性が分子量であり、前記プロセス制御変数の少なくとも1つが連鎖移動剤の導入であり、かつ前記マルチモーダルポリマーがポリアクリルアミドから生成される、(A-1)に記載の方法。
(A-8)
前記プロセス制御変数が、温度、撹拌速度、混合速度、撹拌、モノマーの導入、コモノマーの導入、開始剤の導入、クエンチャーの導入、分岐剤の導入、架橋剤の導入、連鎖移動剤の導入、抑制剤の導入、空気の導入、O ガスの導入、N ガスの導入、アルゴンガスの導入、酸の導入、塩基の導入、酸化還元剤の導入、及び触媒の導入からなる群から選択される、(A-1)に記載の方法。
(A-9)
制御要素によって、前記第1のモードの前記発展から前記第2のモードへの連続反応器の切替えに関連する最適なクロスオーバーの目標軌道を判定することをさらに含む、(A-1)に記載の方法。
(A-10)
ポリマー溶液を収容し、少なくとも2つの段階でポリマー反応を生起してマルチモーダルポリマーを生成するように構成されている反応容器であって、前記少なくとも2つの段階のそれぞれは、独自の特性を備えるポリマーを生じる前記反応容器、
前記反応容器に収容される前記ポリマー溶液の少なくとも1つの反応特性を監視するように構成された1つ以上の検出器、及び
前記反応容器及び前記1つ以上の検出器と結合される制御要素であって、前記1つ以上の検出器によって監視される前記少なくとも1つの反応特性に基づいて複数のプロセス制御変数の少なくとも1つを修正することによって、所定の反応特性の発展を能動的に制御するように構成される前記制御要素
を備え、
前記制御要素が、前記1つ以上の検出器によって監視された前記少なくとも1つの反応特性に基づいて反応軌道を判定するようにさらに構成され、前記プロセス制御変数の少なくとも1つが第1の目標軌道をたどるために前記反応軌道に基づいて修正され、
前記制御要素が、第1のモードの前記発展から第2のモードへの連続反応器の切替えに関連するクロスオーバーの第2の目標軌道を判定し、前記プロセス制御変数の少なくとも1つを修正することにより前記第2のモードの前記発展を能動的に制御するようにさらに構成される装置。
(A-11)
前記制御要素が、操作者が前記制御要素に所定の反応特性の前記発展を能動的に制御させ得るように構成されたインターフェースをさらに含む、(A-10)に記載の装置。
(A-12)
前記制御要素が、複数の反応軌道を同時に判定するようにさらに構成され、前記複数の反応軌道のそれぞれが少なくとも1つの監視された反応特性に基づいている、(A-10)に記載の装置。
(A-13)
前記制御要素が、前記複数の反応軌道に基づいて1つ以上のプロセス制御変数を修正して、複数の監視された反応特性の前記軌道が同時に制御されるようにさらに構成される、(A-12)に記載の装置。
(A-14)
前記複数の同時に制御される軌道が、M 、粘度の低下、IV、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、及び化学的置換からなる群から選択される、(A-13)に記載の装置。
(A-15)
前記少なくとも1つの反応特性が、M 、粘度の低下、転化率、モノマー及びポリマーの濃度、コモノマーの組成、分岐、加水分解度、ならびに化学的置換からなる群から選択される、(A-10)に記載の装置。
(A-16)
前記1つ以上の検出器及び制御要素がACOMPシステムの構成要素である、(A-10)に記載の装置。
(A-17)
第2の反応容器をさらに含み、前記反応容器及び前記第2の反応容器はそれぞれ、前記少なくとも2つの段階の少なくとも1つにおいてポリマー反応を生起するように構成される、(A-10)に記載の装置。
(A-18)
前記ポリマー反応は、前記少なくとも2つの段階の第1段階としてフリーラジカル重合反応で及び前記少なくとも2つの段階の第2段階として低分子量集団の生成で生起される、(A-10)に記載の装置。
(A-19)
前記第1の目標軌道が基づく前記少なくとも1つの反応特性が分子量であり、前記プロセス制御変数の少なくとも1つが連鎖移動剤の導入であり、かつ前記マルチモーダルポリマーがポリアクリルアミドから生成される、(A-10)に記載の装置。
(A-20)
前記プロセス制御変数が、温度、撹拌速度、混合速度、撹拌、モノマーの導入、コモノマーの導入、開始剤の導入、クエンチャーの導入、分岐剤の導入、架橋剤の導入、連鎖移動剤の導入、抑制剤の導入、空気の導入、O ガスの導入、N ガスの導入、アルゴンガスの導入、酸の導入、塩基の導入、酸化還元剤の導入、及び触媒の導入からなる群から選択される、(A-10)に記載の装置。