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特開2024-113015水溶性ケイ素を含有する美容健康用組成物の製造方法および水溶性イオン化ケイ素の調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113015
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】水溶性ケイ素を含有する美容健康用組成物の製造方法および水溶性イオン化ケイ素の調整方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/141 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
C01B33/141
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024089356
(22)【出願日】2024-05-31
(62)【分割の表示】P 2019223295の分割
【原出願日】2019-12-10
(31)【優先権主張番号】P 2019032030
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】513258598
【氏名又は名称】炭プラスラボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(72)【発明者】
【氏名】横山 功
(72)【発明者】
【氏名】横山 宏章
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水溶性ケイ素が多く含まれ、健康および美容に有用な美容健康用組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】イオン化および均質化した水溶性ケイ素の水溶液を製造する方法であって、非水溶性・非晶質のケイ素化合物である二酸化ケイ素を、所定の温度および圧力の条件下で、水素による還元加工を行なった海洋深層水、または活性炭フィルターによるイオン交換にてミネラルを濃縮させた海洋深層水を用いて溶解反応を生じさせることを特徴とする。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン化および均質化した水溶性ケイ素の水溶液を製造する方法であって、
非水溶性・非晶質のケイ素化合物である二酸化ケイ素を、
所定の温度および圧力の条件下で、
水素による還元加工を行なった海洋深層水、または活性炭フィルターによるイオン交換にてミネラルを濃縮させた海洋深層水を用いて溶解反応を生じさせることを特徴とする水溶性ケイ素の水溶液を製造する方法。
【請求項2】
前記水溶性ケイ素は、オルトケイ酸であることを特徴とする請求項1記載の水溶性ケイ素の水溶液を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱物由来のケイ酸、植物由来のケイ酸、富士・箱根・霧島・桜島地区の温泉・ 湧き水・溶岩・岩石由来のケイ酸の少なくとも一つを用いた水溶性ケイ素を含有する美容健康用組成物の製造方法に関する。また、活性炭または食用炭を用いた水溶性イオン化ケイ素の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
竹は、古来より特別なものを含むとして崇められており、「かぐや姫(竹取物語)」は、日本最古の物語と言われ、日本各地に伝説がある。近年、竹の効用が広く知られるようになってきている。例えば、竹炭で地下水を加工することで生成された飲料水や、竹炭を含む洗浄剤が広く提案されている。例えば、特許文献1では、洗浄剤としての粉砕した炭を袋に入れて、洗濯物と共に洗濯機に投入する手法が開示されている。このような洗浄剤は、環境への負担や安全性の面で優れており、使用状態によってはかなり良好な洗浄効果が得られる。
【0003】
また、特許文献2では、竹炭を原料とする健康食品が提案されている。特許文献2では、竹炭を5~10μmの大きさに粉砕し、ゼラチンを混練して乾燥固化し、粒状にしている。また、竹炭を5~10μmの大きさに粉砕し、グルコマンナンを混練して成形固化し、粒状とし、さらに前記竹炭に乳酸菌を担持させている。この健康食品を摂取することによって、ミネラルが供給されると共に、体内に沈殿した有害物質が吸着され排出されることが記載されている。
【0004】
また、特許文献3では、炭から溶出したミネラル成分を含有するミネラル水が配合された化粧料が提案されている。この化粧料では、ミネラル水は、少なくともCa(カルシウム)、K(カリウム)、Mg(マグネシウム)を含有する炭の洗浄液及び/又は炭の煮沸液であり、Mgを1としたとき、Caを1.5~3.5、Kを8.0~12.0の割合で含有する。使用する炭は、白炭、黒炭のいずれも好ましく、原木は、竹のほか、ウバメガシ、ブナ、ナラ、イネ、スギ、ヒノキ、アカマツ、クロマツ、クヌギ、コナラ等が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-140492号公報
【特許文献2】特開2005-13109号公報
【特許文献3】特開2001-302444号公報
【特許文献4】特開2014-181144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように有用な竹であるが、竹に多く含まれるケイ素を有効利用する事で、健康食品や化粧品に活用できる可能性については、まだ十分に研究されていなかった。すなわち、ケイ素は、人間の身体に必要な必須ミネラルであるが、人間の体の中ではケイ素を作ることができないため、摂取する必要がある。成人では1日あたり約10~40mgのケイ素が消耗されており、20歳代をピークとして、ケイ素を蓄える能力が徐々に低下し、40歳代を越えるとケイ素は、顕著に減っていくことが知られている。このため、海藻類、玄米、大豆など、ケイ素含有量が多いとされている食物を摂取することが必要であるが、現代の食生活では十分な量のケイ素を摂取することが容易ではないため、サプリメントで補うことが必要であると言われている。
【0007】
また、美容の観点からも、ケイ素の効用が広く知られるようになっている。ケイ素は、ケイ酸塩として、皮膚や骨、毛髪、爪、血管、細胞壁など、人間の身体のさまざまな部位に含まれており、健やかな素肌や強い骨、しなやかな髪を維持するために、ケイ素が関係している。最近の研究では、骨粗鬆症の予防にもケイ素が効果を奏することが分かっている。ケイ素にはカルシウムよりも骨を強くすることが米国フラミンガム研究により知られている。
【0008】
一方、従来から、植物由来のケイ素は安全であり、鉱物由来のケイ素は安全でないと誤解されることがある。これは、植物に含まれるケイ素は非晶質である一方、鉱物由来のケイ素は結晶性を有しているから危険であると説明されることがあるが、そもそも植物は、土壌中ケイ素を吸収し育っており、元を辿れば鉱物由来ケイ素であることからこの説明は正確で はない。すなわち、植物由来のケイ素だから安全という訳ではなく、植物由来のケイ素で あっても、例えば、もみ殻を数百°C程度の低温処理にて炭化した場合には、結晶質ケイ素ができあがり、アスベストに類似した危険性(例えば、吸い込むと発ガンの可能性など) を呈することが分かっている。特許文献4には、もみ殻を炭化する温度が、500°Cを下回ると、炭化時に発がん性物質であるベンツピレンが生成し、また、もみ殻を炭化する温度が700°Cを上回ると、もみ殻中の非晶質ケイ素が結晶化して水に溶け難く、生体に吸収され難くなるばかりか、場合によっては、人体に対して発がん性を有してしまうという危険性が発生することが開示されている。
【0009】
また、特許文献4には、稲わらを炭化する温度が、500℃を下回ると、炭化時に発がん性物質であるベンツピレンが生成し、また、稲わらを炭化する温度が700℃を上回ると、稲わら中の非晶質ケイ素化合物が結晶化して水に溶け難く、生体に吸収され難くなるばかりか、場合によっては、人体に対して発がん性を有してしまうという不具合が発生することが開示されている
【0010】
このように、植物由来のケイ素であっても、温度条件により危険なものとなる場合がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、水溶性ケイ素が多く含まれ、健康および美容に有用な美容健康用組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の水溶性ケイ素を含有する美容健康用組成物の製造方法は、植物由来のケイ酸、富士・箱根・霧島・桜島地区の温泉・湧き水・溶岩・岩石由来のケイ酸の少なくとも一つを、活性炭または食用炭でろ過濃縮化する工程と、前記濃縮化されたケイ酸または鉱物由来のケイ酸を、気圧が1気圧~5気圧、温度が500℃~2000℃の条件下で、海洋深層水を用いて溶解反応を生じさせる工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
【0013】
(2)また、本発明の水溶性ケイ素を含有する美容健康用組成物の製造方法において、前記美容健康用組成物は、重量比で5.7%~13.8%のケイ素を含有することを特徴とする。
【0014】
(3)また、本発明の水溶性ケイ素を含有する美容健康用組成物の製造方法は、水素による還元加工を行なった海洋深層水または活性炭フィルターによるイオン交換にてミネラルを濃縮させた海洋深層水と混合し、温度に加えて、圧力を活用して溶融反応を生じさせて水溶性ケイ素を均質化する工程をさらに含み、水溶性イオン化ケイ素を生成することを特徴とする。
【0015】
(4)また、本発明の水溶性イオン化ケイ素の調整方法は、植物由来のケイ酸、富士・箱根・霧島・桜島地区の温泉・湧き水・溶岩・岩石由来のケイ酸の少なくとも一つを、活性炭または食用炭を用いてろ過濃縮化を行なう工程と、前記濃縮化されたケイ酸または鉱物由来のケイ酸を、所定の温度または所定の温度および圧力の条件下で、水素による還元加工を行なった海洋深層水または活性炭フィルターによるイオン交換にてミネラルを濃縮させた海洋深層水を用いて溶解反応を生じさせて水溶性ケイ素を生成しつつ、均質化する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水溶性ケイ素を十分に含んだ美容健康用組成物を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】本実施形態に係る美容健康用組成物の製造工程を示すフローチャートである。
図1B】本実施形態に係る美容健康用組成物の製造工程を示すフローチャートである。
図2】X線回折分析の結果を示す図である。
図3】X線回折分析の結果を示す図である。
図4】X線回折分析の結果を示す図である。
図5】X線回折分析の結果を示す図である。
図6】人の大動脈中のケイ素含有量が年齢と共に変化する様子を示す図である。
図7】コラーゲン生成の相乗効果を示す図である。
図8】コラーゲン生成の相乗効果を示す図である。
図9】水溶性ケイ素の行方のモデルを示す図である。
図10】水溶性イオン化ケイ素の働きを示す図である。
図11A】コラーゲン31.25μg/mLの試験区におけるヒアルロン酸産生率(無添加を100%とした相対比率)の2品と3品の比較を示す図である。
図11B】コラーゲン125μg/mLの試験区におけるヒアルロン酸産生率(無添加を100%とした相対比率)の2品と3品の比較を示す図である。
図11C】コラーゲン500μg/mLの試験区におけるヒアルロン酸産生率(無添加を100%とした相対比率)の2品と3品の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明者らは、竹がケイ素を吸収しやすいことに着目し、竹炭や竹炭灰から抽出したケイ酸を健康食品または化粧品に適用することを見出し、また、鉱物由来のケイ酸、植物由来のケイ酸など、種々のケイ酸を、活性炭または食用炭でろ過濃縮化し、温度・圧力を加え、海洋深層水を活用して溶解反応を生じさせ水溶化する事によって、水溶性ケイ素を製造することができることを見出し、本発明に至った。そして、本実施形態では、濃縮イオン化された海洋深層水を用いることを特徴とする。より具体的には、溶融工程において、ミネラルを濃縮させた海洋深層水(本明細書においては、これらの海洋深層水を 「濃縮イオン化海洋深層水」と呼称することもある。)を用い、ケイ酸に対し温度・圧力を加える事によって、水溶性ケイ素の中でも特別にナノ化された「水溶性イオン化ケイ素」を製造する事が可能となった。
【0019】
すなわち、本発明の美容健康用組成物の製造方法は、植物由来のケイ酸、富士・箱根・霧島・桜島地区の温泉・湧き水・溶岩・岩石由来のケイ酸の少なくとも一つを、活性炭または食用炭でろ過濃縮化する工程と、前記濃縮化されたケイ酸または鉱物由来のケイ酸、を気圧が1気圧~5気圧、温度が500℃~2000℃の条件下で、海洋深層水を用いて溶解反応を生じさせる工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
【0020】
これにより、本発明者らは、水溶性ケイ素を十分に含んだ美容健康用組成物を提供することを可能とした。以下、本発明の実施形態について、具体的に説明する。
【0021】
まず、植物由来のケイ酸と鉱物由来のケイ酸とは、どちらも元来、ケイ酸として相違はなく、どちらのケイ酸であっても、加工時の温度処理により、人体にとって危険性の高い結晶質になるか、または人体にとって危険ではない非晶質になるかが決まる。また、非晶質のケイ素化合物であったとしても、水に溶けない二酸化ケイ素(シリカ)が出来上がる場合と、水に溶ける水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)が出来る場合とがある。水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)のことを言葉のイメージの良さからシリカと呼ぶことが多いが、正式には「非水溶性・非晶質のケイ素化合物」がシリカ(二酸化ケイ素)であり、飲用しても身体には有益でも有害でもない物質となる。シリカ(二酸化ケイ素)は、ガラス、砂、乾燥剤などに使用される他、粉末の流動性改善のための賦形剤として食品添加物に使われている。非水溶性(不溶性)であり身体には吸収されず、便と共に排出される。ケイ素を健康維持や美容に役立てるのであれば、速やかに浸透する「水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)」を用いる必要がある。
【0022】
これに対し、本実施形態では、鉱物由来、植物由来を問わず、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)の水溶液を作ることができ、それをフリーズドライすることにより粉体化する。すなわち、食品添加物の二酸化ケイ素(シリカ)と水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)とは同じ非晶質ケイ素ではあるものの、前者は不溶性で身体に吸収されない、後者は水溶性で身体に吸収される点で異なる。
【0023】
本実施形態では、例えば、竹林で収穫された竹を原料とした竹炭から溶出する成分を抽出して竹炭抽出液を作成する一方、前記竹炭を製造する際に生じる灰から溶出する成分を抽出して竹炭灰抽出液を作成する。これらの竹炭抽出液および竹炭灰抽出液を混合することで、混合液を得る。そして、このケイ酸を含む混合液を活性炭または食用炭でフィルタリング(ろ過濃縮)する。そして、所定の温度および圧力の条件下において、海洋深層水を用いて前記ろ過濃縮されたケイ酸を溶融する工程を行った結果として、重量比で5.7%~13.8%という従来には見られなかった多量の水溶性のケイ素を含有する美容健康用組成物を実現することが可能となる。
【0024】
次に、本実施形態に係る美容健康用組成物の製造工程について説明する。図1Aにおいて、まず、竹炭抽出液を作製する。すなわち、竹を収穫し(ステップS1)、収穫した竹を、炭窯において、気圧が1気圧~3気圧、温度が500℃~1500℃の条件下で処理する(ステップS2)。竹の部位は特に限定されるわけではなく、竹の幹のみならず、根や葉を用いても良い。また、一般的な竹であっても良いが、鉱物由来の水溶性ケイ素または植物由来の水溶性ケイ素の少なくとも一方が散布された土壌で生育した竹を用いることが望ましい。しかし、本願発明は、これに限定されるわけではない。この処理の条件については、本発明は、これに限定されるわけではない。このように炭窯で生成された竹炭を、水中で加熱することにより、竹炭抽出液が得られる(ステップS3)。
【0025】
次に、ステップS2において、竹が炭化する際に生じる灰を、水に加えて、加熱・撹拌し、竹炭灰抽出液を得る(ステップS4)。次に、上記竹炭抽出液および竹炭灰抽出液を混合し、混合液を得る(ステップS5)。次に、活性炭(または食用炭)で混合液をろ過し、ケイ酸をろ過濃縮化する(ステップS6)。次に、所定の温度・圧力の条件下で、海洋深層水を用いて前記ろ過濃縮されたケイ酸を溶融し、水溶性ケイ素を生産する(ステップS7)。以上のように、竹を例として説明したが、本願発明は、これに限られず、竹以外の、もみ殻や稲わら、ススキなどイネ科植物やスギナなどケイ素高含有植物を利用することも可能である。
【0026】
図1Bは、本実施形態に係る美容健康用組成物の製造工程を示すフローチャートである。本実施形態では、上記ステップS7において、海洋深層水の代わりに、「水素による還元加工を行なった海洋深層水または活性炭フィルターによるイオン交換にてミネラルを濃縮させた海洋深層水(以下、「濃縮イオン化海洋深層水」とも呼称する。)」と混合し(ステップS8)、温度に加えて、圧力を活用して「ろ過濃縮されたケイ酸」の溶融反応を生じさせて(ステップS9)、水溶性ケイ素を生産しつつ、均質化する(ステップS10)ことも可能である。これにより、水溶性ケイ素濃縮液のイオン活性が向上し、浸透力に優れたナノレベルの水溶性イオン化ケイ素を製造することができる。
【0027】
また、「プラント・オパール」を含む土を水に希釈・溶解させて、活性炭フィルターを通過させて濃縮する方法を採ることも可能である。すなわち、イネ科などの植物では、細胞の中にガラス質のものがつくられ、植物が枯れた後も土の中に半永久的に残ることが知られている。このようなガラス質のものがプラント・オパールと呼ばれている。プラント・オパール(Plant Opal、またはPhytolith)は、この土壌中に残された植物珪酸体(シリカボディ)の総称である。イネ・タケ・ヨシ・ススキなど、イネ科植物中に、珪質化した細胞として存在する。種類によってひとつひとつの形が異なり、植物が枯死した後も土壌中に化石として残るため、遺跡の分析にも使用される。このような「プラント・オパール」を含む土を水に希釈・溶解させ、活性炭フィルターを通過させてことで、ケイ酸を濃縮することも可能である。
【0028】
また、富士の湧き水・温泉水なども活性炭または食用炭でろ過収集(ろ過濃縮化)することができる。ケイ酸を回収し、それに温度圧力を加え、海洋深層水を活用して溶解反応を生じさせて、水溶性ケイ素に変換するようにしても良い。本実施形態では、竹林に、水溶性ケイ素、フルボ酸、水素を含む海洋深層水を散布するようにしても良い。これにより、ケイ素高含有の竹を育てることが可能となる。
【0029】
なお、上記竹炭抽出液および竹炭灰抽出液を混合するに際し、従来から使用されている各種撹拌方法を用いることできるが、液中に水素気泡を発生させる工程を含めることも可能である。水素気泡とは、直径がナノレベル~30μm程度の気泡である(いわゆる「ナノバブル水素」)。このように、水素気泡を発生させ、還元環境下にすることによって、含有ミネラルが活性化し、混合効率を向上させることができる。また、液中の微細な浮遊物を凝集させ、除去することが可能となる。また、水のクラスターを小さくし、洗浄効果を向上させる効果もあると考えられる。
【0030】
[検証例1]
本実施形態に係る美容健康用組成物が含有するケイ素の重量比を測定した。以下の表は、測定結果を示す。
【0031】
【表1】
この表に示すように、本実施形態に係る美容健康用組成物は、竹抽出水溶性ケイ素超濃縮溶液においては、7.13%のケイ素を含有しており、鉱物由来の水溶性ケイ素超濃縮溶液においては、11.5%のケイ素を含有している。一般的に、ケイ素を多く含む食品が知られており、ある測定結果によれば、100gあたり、「カラス麦」が600mg、「きび」が500mg、「大麦」が233mg、「じゃがいも」が200mg、「小麦」が160mgであるとされている。これらに対し、本実施形態に係る美容健康用組成物は、竹抽出水溶性ケイ素超濃縮溶液では、100g当たりのmg数に換算すると、7130mgであり、一般の食品に対して10倍以上のケイ素を含有していることとなる。これは、鉱物由来または植物由来の水溶性ケイ素の少なくとも一方が散布された土壌で生育した竹を原料としたことも要因と考えられる。また、鉱物由来の水溶性ケイ素超濃縮溶液では、100g当たりのmg数に換算すると、11500mgであり、さらに多くのケイ素を含有していることとなる。
【0032】
[検証例2]
本実施形態に係る美容健康用組成物の製造工程において、活性炭(または食用炭)によるフィルタリングによって、どの程度ケイ素が除去されてしまうかについて検証した。分析資料として、機能性ヤシ殻活性炭と、伊那赤松妙炭の2種類を用いた。使用機器は、ICP発光分析装置(島津製作所株式会社製ICPS-8100)とし、検証に用いるケイ素を、「和光純薬社製ICP用ケイ素標準液1000ppm」、「水溶性珪素umo超濃縮溶液」とした。試験方法は、以下の通りである。すなわち、ビーカーに水200mLを入れ、umoを20滴または40滴滴下する。次に、この溶液をろ紙にてろ過し、ろ過ブランクとする。次に、炭試料0.5gを添加し、スターラーにて3分間撹拌後、ろ紙でろ過する。次にICPにてケイ素濃度を測定した。測定結果は、以下の通りである。
【0033】
【表2】
【表3】
機能性ヤシ殻活性炭は、合成着色料、重金属、塩素、トリハロメタン、食物油脂、ニコチン、タール、プリン体等を始め、終末糖化物質AGEs、胆汁酸も吸着することが分かっており、食品規格の機能性炭であることが広く知られている。上記検証例2では、このように高い吸着機能を有する機能性ヤシ殻活性炭であるが、ケイ素に関しては、吸着率が低い。このことは、本実施形態に係る美容健康用組成物の製造工程において、機能性ヤシ殻活性炭によるフィルタリングでは、ケイ素はほとんど吸着されず、混合液中に残存していることとなる。その他の不要物については、機能性ヤシ殻活性炭によって除去される。これにより、本実施形態に係る美容健康用組成物は、ケイ素の含有率が大変高く、不要物が存在しにくい高純度・高品質化されることが分かる。
【0034】
[検証例3]
検証例3では、X線回折分析により、結晶性の有無を検証した。試験日時は、「平成30年2月2日」であり、試験場所は、「滋賀県東北部工業技術センター」である。分析試料は、「(A)東海化学社製酸化ケイ素粉末、(B)umo粉末、(C)液体ケイ素(乾燥処理)、(D)液体ケイ素(半生状態)」の4種類である。ここで、「(A)東海化学社製酸化ケイ素粉末」とは、食品添加物であり、身体に吸収されない非晶質・微粒二酸化ケイ素(シリカ)である。「(B)umo粉末」とは、APAコーポレーション社の水溶性ケイ素粉末である。「(C)液体ケイ素(乾燥処理)」とは、本実施形態に係る水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)の濃縮溶液のフリーズドライ粉末である。「(D)液体ケイ素(半生状態)」とは、本実施形態に係る水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)の濃縮溶液の乾燥中の半生状態である。使用機器は、「株式会社リガク製 RINT2200V/PC」である。
【0035】
図2図5は、このX線回折分析の結果を示す図である。図2は東海化学社製酸化ケイ素粉末の分析結果を示し、図3はumo粉末の分析結果を示し、図4は液体ケイ素(乾燥処理)の分析結果を示し、図5は液体ケイ素(半生状態)の分析結果を示す。X線回折の分析は、物質ごとに特有のピークが出現する場所が決まっていることから、ピークの出現する場所によって物質を特定するものである。結晶性の低い物質は、そのピークが出ないか、ピークが出たとしてもその幅が広がる。一方、結晶がある場合は、X線を当てた時に、X線が一定の角度で反射するため、ピークが出現することとなる。本分析結果の通り、各試料では、ピークは検出されなかったため、各試料は、非結晶成分のみからなると判断することができる。このことから、(A)~(D)のいずれの試料も非晶質であり、安全であることが確認された。
【0036】
以上説明したように、本発明者らは、「活性酸素の中で最も悪質とされるヒドロキシルラジカルを消去する水素」、「活性酸素発生の90%を占めるという腸内にこびり付く汚れを吸着し排出する事が期待できる炭」、および、「身体の細胞壁や血管、骨などの組織を強くして酸化・糖化から身体を守るバリア機能を期待できる水溶性ケイ素」が三位一体となって、健康に有益な効果を及ぼすことを期待して開発に力を注いできた。そして、本実施形態に係る美容健康用組成物は、水溶性ケイ素を多量に含有するため、健康食品や化粧品として使用することによって、肌の弾力を保つのに必要なエラスチン、潤い成分であるヒアルロン酸、皮膚のバリア機能(特に保湿効果)を高めるセラミド等を結び付け、肌を丈夫にする。また、水溶性ケイ素は、皮膚のたんぱく質(ケラチン)の結びつきを強める働きがあるため、皮膚のバリア機能をサポートし、保湿を担い、肌のキメを整える効果を奏する。例えば、シャンプー、リンス、コンディショナーや化粧水、歯磨き剤、ネイルケア用品、まつ毛ケア用品、眉毛ケア用品などに配合する事で、髪の毛・皮膚・歯・歯肉・爪・まつ毛・眉毛に水溶性ケイ素を直接補い、バリア機能を強化する事も期待できる。このように、水溶性ケイ素がケラチン同士の結びつきを強め、乾燥肌の予防や改善に役立つこととなる。また、水溶性ケイ素は、血管を丈夫にする機能を有するため、血行が良くなり、新陳代謝も高まることが期待される。
【0037】
水溶性ケイ素は人体にも含まれ、毛髪・爪・血管・骨・歯・関節や細胞壁などに存在しており、生体内の水溶性ケイ素はコラーゲンを束ねる作用を持ち、骨・歯・毛髪・爪・コラーゲンの再生や補強、維持に役立つ他、肌の保湿などにも影響を及ぼす。また、水溶性ケイ素は皮膚(真皮層)・毛髪・爪等に含まれ、コラーゲン・セラミド・エラスチン・ヒアルロン酸・コンドロイチンなどを結び付け、肌のハリや弾力を維持し、組織を束ね丈夫にする機能を有する。さらに、セラミド、乳酸菌、水溶性ケイ素を組み合わせることによって、優れた美容健康効果が得られることが知られている。すなわち、セラミドは、皮膚のバリア機能(特に保湿効果)を高めて、表皮の水分の蒸発を抑える機能を有し、乳酸菌は、整腸作用と共に免疫力増加機能や抗アレルギー機能を有し、更に水溶性ケイ素は、肌(皮膚)におけるコラーゲンの合成を促進させ、コラーゲン層間の接着および上質化を担う機能を有することから、これらを組み合わせることによって美容健康効果が発揮されることが期待される。更に、水溶性ケイ素は腸壁から吸収され、血管を通る際、血管内部の付着物を可溶化する作用があり、動脈硬化の予防にも効果がある。さらに、植物の成長の促進、あるいは茎の強化を図る機能を有している。なお、イチゴ栽培においては、水溶性ケイ素によってうどんこ病の発生を10分の1程度に抑えられる効果がある。また、米国のオバマ大統領が2012年一般教書演説にて画期的ガン治療法として取り上げた「光免疫療法」にて使用される色素「IR700」の水溶化にもケイ素が活用されている。
【0038】
植物由来のケイ酸も、鉱物由来のケイ酸も同一条件下にて温度圧力を加え、海洋深層水を活用した加工を施すことで、水溶性ケイ素を得ることはできるが、それぞれケイ素以外に含まれるミネラルバランスは異なるため、大地の恵み・植物の恵みを共に満喫するのであれば、植物性水溶性ケイ素・鉱物性水溶性ケイ素の濃縮液をミックスすることで、相乗効果を期待することもできる。
【0039】
また、古くから、日本の里山に生息し、放置された竹林が生態系を破壊する原因となっているが、本実施形態に係る美容健康用組成物は、竹を有効に活用するため、河川や海の浄化や森林保護に貢献することが可能となる。さらに、本実施形態に係る美容健康用組成物は、水溶性ケイ素を多量に含有するため、畜産へ応用することによって、種々の効果が期待できる。例えば、水溶性ケイ素により、ブロイラーにおける肉質改善作用や糞尿臭低下の作用が知られている。また、近年、カルシウムよりもケイ素の方が骨を強くすることが米国フラミンガム研究により、知られている(論文タイトル:Dietary Silicon Intake Is Positively Associated With Bone Mineral Density in Men and Premenopausal Women of the Framingham Offspring Cohort)。本実施形態に係る美容健康用組成物を鶏に与えることで、丈夫な卵を産む可能性が高くなると考えられる。
【0040】
さらに、本実施形態に係る美容健康用組成物は、建築塗料に混ぜ込むことによって、被塗装物の耐久性を向上させることに貢献し得ると考えられる。例えば、本実施形態に係る美容健康用組成物を、塗料に混入させることによって、被塗装物の劣化抑制や抗菌性、抗カビ性、防ダニ性等の機能を向上させることができると考えられる。
【0041】
また、地球上におけるケイ素の循環は、生物の根幹となる炭素の循環と密接に関連していることが知られている。例えば、シリカ被殻を有するケイ藻(珪藻)は、海洋における主要な一次生産者であり、地球上の炭酸固定(植物や一部の微生物が空気中から取り込んだ二酸化炭素を炭素化合物として留めておく機能のことをいう。)の約20%を担っている。ケイ藻の生育には、被殻の材料となる可溶性のオルトケイ酸(Si[OH]4)が必須であり、元素比で炭素のおよそ1/7にも相当する大量のケイ素が取り込まれる。オルトケイ酸は、主に鉱物(鉱物態シリカ)の風化作用によって生じ、それが河川を通じて水溶化し海洋に流れ込むことで供給される。
【0042】
すなわち、オルトケイ酸は、ケイ藻に取り込まれ、生物態シリカへと変換される。シリカ被殻の比重は大きいため、ケイ藻やその遺骸は徐々に深層へと沈降する。また、ケイ藻が動物プランクトンなどに捕食されて生じる糞粒としても生物態シリカは有機物とともに沈降する。生物態シリカは非晶質であるため、比較的溶解しやすく、大半は沈降の過程で再度溶解して可溶性のオルトケイ酸に戻るが、一部は海底へと到達する。この過程で、有機物も一緒に海洋深層に沈降するため、シリカの沈降は炭素を海洋表層(有光層)から海洋深層へと引き込む「生物ポンプ」として機能している。沈降して堆積したシリカは、長い時間をかけて鉱物態シリカへと変化する。このようにケイ素は、地球上を循環しているが、最近では人間活動の影響がこのケイ素の循環(ひいては炭素の循環)にも及んでいることが危惧されている。
【0043】
例えば、ダムの建設などにより陸域に停滞水域が形成されると、そこで淡水ケイ藻によるケイ酸の消費や、可溶化してオルトケイ酸になりうるシリカ含有微粒子の沈降が生じ、下流へのケイ酸供給量が低下する。海洋に流れ込むオルトケイ酸量が減少すると、ケイ藻の生育が制限される。このため、本来であればケイ藻に消費される窒素やリンなどの栄養分が別の生物に取り込まれることになり、ケイ藻以外の植物プランクトンである渦鞭毛藻などの優占化へとつながる。これは、有害赤潮の増加の原因とも言われている。また、優占する一次生産者が交代することで、食物連鎖にも変化が起こり、近年のクラゲの大発生にもつながっている可能性が指摘されている。このように、ケイ素の循環は、環境や生態系にも大きな影響を与えていることが明らかになりつつある。
【0044】
ここで、ケイ素およびその関連物質について説明する。ここで、国際原子量表(2010)に基づいて、原子量を「Si 28.0855」、「H 1.00794」、「O 15.9994」として、小数第3位を四捨五入する。ケイ素は、「Si」で表され、原子量は28.09である。人体に必要とされる1日あたりのケイ素量は、「10~40mg」であり、ケイ素として摂取目安量が用いられている。次に、シリカは二酸化ケイ素とも呼ばれ、「SiO」で表され、分子量は60.09(28.09+16.00×2=60.09)である。無水であり、水溶性ケイ素ではないものの、「シリカ」という言葉の響きの良さから、水溶性ケイ素の別名として「シリカ」と呼称される事がある。ただし、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)とシリカ(二酸化ケイ素)は下記分子式・分子量の通り、異なる物質である。シリカ(二酸化ケイ素)が水和してH2Oが1つ追加されてメタケイ酸に、更に水和しH2Oが1つ追加されてオルトケイ酸に変化し、生体に取り込まれ有効活用され易くなる。水溶性ケイ素とは含水シリカ(含水ケイ酸)であり、メタケイ酸またはオルトケイ酸の形をとる物質を指す。山や岩石を構成する非水溶性シリカ(二酸化ケイ素)が水H2Oと結び付いて溶け出し、メタケイ酸に変化。更に水和が進み(H2O追加)、より生体に吸収されやすいオルトケイ酸に変化し海洋へと達し、食物連鎖の底辺である「植物プランクトン ケイ藻」に取り込まれ連鎖し、生体内への活用が進んで行く。繰り返しになるものの、ミネラルウォーターとして販売されている「温泉や湧き水由来の飲むシリカ(ケイ素)」とは、岩石(シリカ・二酸化ケイ素・ケイ酸・無水ケイ酸) より溶け出し、美肌の湯成分として飲泉に長年愛用されている「水溶性ケイ素」(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・ 含水ケイ酸)を含む事を指している。ところで、「ケイ素/シリカ」=「28.09/60.09」=「0.47」倍となる。また、「シリカ/ケイ素」=「60.09/28.09」=「2.14」倍であり、これらのことから、シリカ(二酸化ケイ素、SiO)=ケイ素(Si)×1/0.47=ケイ素(Si)×2.14となる(日本食品分析センター使用の換算値に基づく)。
【0045】
次に、メタケイ酸は、「HSiO」で表され、分子量は78.1(1×2+28.09+16.00×3=30.09+48.0=78.09)である。このことから、メタケイ酸は、シリカ(ケイ酸、二酸化ケイ素)が水和して、「HO+SiO=HSiO」に変化したものであるといえる。
また、以下の関係が見出される。
「ケイ素/メタケイ酸」=「28.09/78.09」=「0.36」倍
「メタケイ酸/ケイ素」=「78.09/28.09」=「2.78」倍
「シリカ/メタケイ酸」=「60.09/78.09」=「0.77」倍
「メタケイ酸/シリカ」=「78.09/60.09」=「1.30」倍
【0046】
次に、オルトケイ酸は、「HSiO」で表され、分子量は、78.1(1×4+28.09+16.00×4=32.09+64.0=96.09)である。上記メタケイ酸の分子式と比べて更に「HO」が付いて水和化した形を採る。水溶性ケイ素は、最終的に「オルトケイ酸(H)」の形で存在し、、その生物地球化学的循環は珪藻によって制御されている。この「オルトケイ酸(HSiO)」は、「Si(OH)」であり、Siを中心として、「OH基が4つ手を握る綺麗な形の分子構造」を取っており、吸収性により優れている。
また、以下の関係が見出される。
「ケイ素/オルトケイ酸」=「28.09/96.09」=「0.29」倍
「オルトケイ酸/ケイ素」=「96.09/28.09」=「3.42」倍
「シリカ/オルトケイ酸」=「60.09/96.09」=「0.63」倍
「オルトケイ酸/シリカ」=「96.09/60.09」=「1.60」倍
【0047】
ここで、1日の推奨摂取目安量について説明する。上述したように、「シリカ/ケイ素」=「60.09/28.09」=「2.14」倍、「メタケイ酸/ケイ素」=「78.09/28.09」=「2.78」倍、「オルトケイ酸/ケイ素」=「96.09/28.09」=「3.42」倍、である。ケイ素単体での1日推奨摂取目安量は、「10~40mg」であることから、シリカ、メタケイ酸、オルトケイ酸に換算した場合の1日推奨摂取目安量は、ケイ素量からの各換算値範囲内と考えられる。すなわち、水溶性ケイ素を構成する「ケイ素」として「10~40mg」、水溶性ケイ素を構成する「シリカ」として「21.4~85.6mg(10~40mg×2.14倍)」、水溶性ケイ素であるメタケイ酸として「27.8~111.2mg(10~40mg×2.78倍)」、水溶性ケイ素であるオルトケイ酸として「34.2~136.8mg(10~40mg×3.42倍)」となる。
【0048】
「Gerd Bendz」編集の文献「Biochemistry of Silicon and Related Problems (Nobel Foundation Symposia)」によれば、「人の大動脈中のケイ素含有量は、年齢と共に変化する」とされている。図6に示すように、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)は、誕生時に体内にあった数値を100とすると、個人差を無視すると、40歳までに約半分に減ってしまう。人間は、必要な水溶性ケイ素を自分の身体でつくることができないため、美容と健康を維持するためには、積極的に水溶性ケイ素を摂取することが重要である。
【0049】
水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)は、人体にも含まれ、毛髪・爪・血管・骨・歯・関節や細胞壁などに存在しており、生体内の水溶性ケイ素はコラーゲンを束ねる作用を持ち、骨・歯・毛髪・爪・コラーゲンの再生や補強、維持に役立つ他、肌の保湿などにも影響を及ぼす。また、水溶性ケイ素は皮膚(真皮層)・毛髪・爪等に含まれ、コラーゲン・セラミド、エラスチン・ヒアルロン酸・コンドロイチンなどを結び付け、肌のハリや弾力を維持し、組織を束ね丈夫にする機能を有する。さらに、セラミドまたはヒアルロン酸、乳酸菌、水溶性ケイ素を組み合わせることによって、優れた美容健康効果が得られることが知られている。すなわち、セラミドは、皮膚のバリア機能(特に保湿効果)を高めて、表皮の水分の蒸発を抑える機能を有し、ヒアルロン酸は、皮膚の保水機能を高めて乾燥を防ぎ、乳酸菌は、整腸作用と共に免疫力増加機能や抗アレルギー機能を有し、更に水溶性ケイ素は、肌(皮膚)におけるコラーゲンの合成を促進させ、コラーゲン層間の接着および上質化を担う機能を有することから、これらを組み合わせることによって美容健康効果が発揮されることが期待される。更に、水溶性ケイ素は腸壁から吸収され、血管を通る際、血管内部の付着物を可溶化する作用があり、動脈硬化の予防にも効果がある。さらに、植物の成長の促進、あるいは茎の強化を図る機能を有している。
【0050】
また、美容への更なる相乗効果が期待できるため、本実施形態に係る水溶性ケイ素(水溶性イオン化ケイ素である場合も含む)に対して、ツバキエキス(種子・花・葉)や赤松樹皮エキス末、バラの花びら抽出エキス末を添加しても良い。また、コラーゲン・セラミド・エラスチン・ヒアルロン酸・コンドロイチン、ケラチン、プロテオグリカン、ツバメの巣エキス、真珠層パール粉末、卵殻膜ペプチド、大豆胚芽イソフラボン由来「ダイゼイン」「エクオール」、酒粕エキス、シルク末、乳酸菌、乳酸菌発酵エキスを添加しても良い。
【0051】
米国の「フラミンガム子孫研究」では、ケイ素(水溶性ケイ素に含有)の摂取量と骨密度(BMD)に密接な関係があるとされた。この研究では、30代から80代までの研究対象者の男女2846人の食生活において、「ケイ素摂取量」の測定結果に応じて4グループに分けて比較した。その結果、男性や閉経前の女性では、ケイ素摂取量が多いほど、大腿骨頚部の骨密度が高いことが判明した。これにより、ケイ素の骨粗鬆症予防に対する効果が期待されている。このように、ケイ素の重要性が明らかになったことから、欧米では、身体に吸収されやすい水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)の健康補助食品・サプリメントはかなり以前より注目されており、欧米のケイ素商品の市場はすでに非常に莫大な規模となっている。人間の骨は、ハイドロキシアパタイトが約70%、コラーゲンが約30%で構成されており、それらに芯を通し、組織として強固なものにするのが水溶性ケイ素である。このため、水溶性ケイ素、ハイドロキシアパタイト、およびコラーゲンを含有することによって、これら3成分のコラボレーションによる相乗効果は大きいことが期待される。
【0052】
植物由来のケイ酸も鉱物由来のケイ酸も同一条件下にて温度・圧力をかけて海洋深層水を用いた加工を施すことで水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)を得ることはできるが、それぞれケイ素以外に含まれるミネラルバランスは異なるため、大地の恵み・植物の恵みを共に満喫するのであれば、植物性水溶性ケイ素・鉱物性水溶性ケイ素の各濃縮液をミックスすることで、相乗効果を期待することもできる。なお、竹の他に、稲(稲わら・もみ殻)・ササ・キビ・ススキ・サトウキビ・ムギ等のイネ科植物、スギナ、トクサなどケイ素高含有植物を用いても良い。また、水晶・石英などの鉱物由来ケイ酸を用いても良い。霧島(霧島連山)や箱根の天然水や温泉水由来のケイ酸を配合しても良い。また、富士山溶岩マリモ・パウダーより溶出するケイ酸を活用したり、富士山の湧き水や温泉水に豊富に含まれるケイ酸を掛け合わせたりする事により、ケイ酸以外に含まれるミネラルの更なる相乗効果を期待できる。「富士山のミネラルの恵み」と、「海洋深層水ミネラルの恵み」は、まさに高低ミネラルの恵みであり、陰陽のミネラルバランスの恵みであると言うことができる。なお、富士山の湧き水、温泉水、溶岩などには「バナジウム」が含まれており、「バナジウム」は、糖尿病への効果が期待できることが知られている。本実施形態においても、「バナジウム」を含有することによって、糖尿病への効果が期待できるようになる。
【0053】
また、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)を多く含むミネラルウォーターの産地は、おもに富士・箱根地域や九州地方に分布している。九州地方は、阿蘇・雲仙・霧島・久住・桜島・別府といった世界有数の火山・温泉群を有しており、このエリアの地層にはケイ酸が多く含まれ、長い時間をかけて水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)に変わり、水の中に溶け出している事が知られている。また、水溶性ケイ素を豊富に含む霧島の温泉水については、「はるか昔、イザナギノミコトとイザナミノミコトが、足腰の立たないヒルコノミコトを船にのせ、たどり着いた「なげきの杜」で温泉治療をさせた」という神話が知られている。本実施形態においても、霧島や桜島の湧き水や天然水由来のケイ酸を活用しても良い。
【0054】
また、桜島産のミネラルウォーターは、天然ゲルマニウムを含有する場合がある。ゲルマニウムは、酸素と結合し、酸素を運搬する機能を果たし、体内のインターフェロンを活性化させることが分かってきている。このため、本実施形態においても、桜島産のミネラルウォーターを用いることによって、天然ゲルマニウムの利点を得ることができる可能性もある。興味深い事に、炭素(原子番号6)、ケイ素(原子番号14)、ゲルマニウム(原子番号32)は、周期表において同じ第14族元素に属しており、価電子に「s」の4電子を持つ電子構造を有しつつ、それぞれ固有の健康効果を期待できる特徴を有している。
【0055】
このように、美容健康用組成物にコラーゲン・セラミド・水溶性ケイ素を加えることが有意義 であるが、本発明者らは、コラーゲン生成についての相乗効果について、研究機関による研究結果に基づいて検証した。試験物質は、(a)コラーゲン、(b)水溶性イオン化ケイ素超濃縮液、(c)セラミド(1%セラミド溶液)であり、試験方法は、以下の通りとした。すなわち、正常ヒト皮膚線維芽細胞を培養し、対数増殖期に移行させると同時に、必要細胞数を確保し、正常ヒト皮膚線維芽細胞を「96well micro plate」に「1×104cells/100μL/well」の濃度で播種した。次に、24時間前培養を行ない、培養液を除去し、調整した試験サンプル溶液を各wellに加え48時間の培養を行なった。次に、培養上清を回収し、この培養上清について、ELISAコラーゲンキットにより測定し、細胞タンパク質で補正した値で示した。結果は、次の表の通りである。
【表4】
【0056】
このように、「コラーゲン 31.25(μg/mL)」と「セラミド(1%セラミド溶液) 125(μg/mL)」の組み合わせで、増殖率が128.8%(28.8%増加)となり、「コラーゲン 31.25(μg/mL)」と「セラミド(1%セラミド溶液) 125(μg/mL)」と「水溶性イオン化ケイ素 125(μg/mL)」との組み合わせで、増殖率が148.3%(48.3%増加)となった。この結果を、図7に示す。また、「コラーゲン 125(μg/mL)」と「セラミド(1%セラミド溶液) 125(μg/mL)」の組み合わせで、増殖率が165.2%(65.2%増加)となり、「コラーゲン 125(μg/mL)」と「セラミド(1%セラミド溶液) 125(μg/mL)」と「水溶性イオン化ケイ素 125(μg/mL)」との組み合わせで、増殖率が208.8%(108.8%増加)となった。この結果を、図8に示す。このように、「水溶性イオン化ケイ素」添加により、コラーゲン・セラミドの2種混合に対して、統計的に有意なレベルにて、高い相乗作用が確認された(有意差検定(Studentのt検定) vs. 2種混合:p値<0.001)。
【0057】
また、本発明者らは、ヒアルロン酸生成についての相乗効果について、研究機関による研究結果に基づいて検証した。すなわち、正常ヒト皮膚繊維芽細胞を用いたヒアルロン酸産生効果試験を、被験物質として、「コラーゲン」、「水溶性イオン化ケイ素超濃縮液」、「セラミド(1%セラミド溶液)」に対して、単体および各被験物質の組み合わせで試験を実施した。
【0058】
試験物質を、(A)コラーゲン、(B)水溶性イオン化ケイ素超濃縮液、(C)セラミド(1%セラミド溶液)(以下、「セラミド」と呼称する)とした。また、「陽性対照」として、N-アセチルグルコサミン(Lot No. 013-12181、富士フイルム和光純薬株式会社)、「陰性対照」として、PBS溶液を用いた。使用細胞を、「クラボウ 正常ヒト皮膚繊維芽細胞」とし、培液を、「培地:D-MEM培地(富士フィルム和光純薬株式会社)」とした。
【0059】
試験方法は、以下の通りである。(A)正常ヒト皮膚線維芽細胞を培養し、必要細胞数を確保した。(B)正常ヒト皮膚線維芽細胞を「96well micro plate」に「1×104 cells / 100μL / well」の濃度で各プレートに播種した。(C)24時間前培養を行った。(D)前培養後培養液を除去し、調整した試験物質溶液を各wellに加え、48時間の培養を行った。(E)培養終了後、培養上清を回収し、ELISAヒアルロン酸キットにより培養上清中のヒアルロン酸産生量を測定した。
【0060】
試験結果の計算方法は、以下の通りである。(A)ヒアルロン酸産生量は、細胞数に比例するタンパク量で除算してタンパク量当たりのヒアルロン酸産生量を算出した。(B)相対的な評価として、Control群のヒアルロン酸産生量を100%として換算し、試験物質のヒアルロン酸産生率を算出した。(C)細胞生存率、ヒアルロン酸産生量、ヒアルロン酸産生率は、ControlとStudentのt検定により有意差を検定した。各試験区のデータは、3回独立で試験を実施し、有意差検定を実施した。有意水準は、両側検定で「p<0.05」とした。結果は、以下の表の通りである。
【表5】
このように、コラーゲンとセラミドの組み合わせに、水溶性イオン化ケイ素を加える3品混合では、コラーゲン「31.25μg/mL」以上の試験区でヒアルロン酸産生量が2品の組み合わせと比較して有意に促進され、水溶性イオン化ケイ素の相乗効果が認められた。すなわち、被験物質の組み合わせによる相乗効果は、2種類の組み合わせよりも、3種類を組み合わせることにより、さらにヒアルロン酸産生量を増加させることが示された。
【0061】
さらに、コラーゲンとセラミドの組み合わせに、水溶性イオン化ケイ素を加える3品混合では、コラーゲン31.25μg/mL以上の試験区でヒアルロン酸産生量が2品の組み合わせと比較して有意に促進され、水溶性イオン化ケイ素の相乗効果が認められた。この様子を図11A図11Cに示す。
【0062】
また、ケイ素は、海の宝石と言われる「桜エビ」の生育・甲殻形成に大きな影響を与えている事が知られている。世界的にも貴重な桜エビは、台湾と駿河湾の2箇所でしか獲る事ができない。日本国内の水揚げ量のほぼ100%が静岡県駿河湾産である。図9に示すように、駿河湾に注がれる富士湧き水など河川には、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)が豊富に含まれており、桜エビの稚エビ期に餌となる植物プランクトン「ケイ藻」の骨格形成に重要なファクターとなる。桜エビに取り込まれたケイ藻は「生体内ケイ素」として食物連鎖を通じて、生物生育に欠かさない美のミネラルとしての役割を担っている。すなわち、水や温泉から川を通じて海(駿河湾)へと辿り着き、植物プランクトン「ケイ藻」の身体を構成する重要成分となり、桜エビをはじめとする駿河湾の豊かな生態系、食物連鎖を通じて、日本人の身体の骨格、組織を強くする働きを担っている。「鉱物ケイ素→植物ケイ素→生体内ケイ素へと変遷し、食物連鎖を経て、再び便や死骸となり海底や大地へと戻り、長い年月を経て鉱物ケイ素へと変化する」という流れが「地球上のケイ素循環」となる。このように、ケイ素は、地球上を長い年月をかけて循環し、鉱物・植物・生体内を移動しており、人体にも不可欠な「美のミネラル」であるといえる。本実施形態に係る水溶性ケイ素(水溶性イオン化ケイ素である場合も含む)を含有する美容健康用組成物は、このようなケイ素の利点を有効に活用するものである。
【0063】
また、水素による還元加工を行なった海洋深層水または活性炭フィルターによるイオン交換にてミネラルを濃縮させた海洋深層水(本明細書においては、これらの海洋深層水を「濃縮イオン化海洋深層水」と呼称することもある。)と混合し、温度に加えて、圧力を活用して溶融反応を生じさせて、水溶性ケイ素を均質化する工程を含むことも可能である。これにより、水溶性ケイ素濃縮液のイオン活性が向上し、浸透力に優れたナノレベルの水溶性イオン化ケイ素を製造することができる。
【0064】
本発明者らは、第三者機関を介して、本実施形態に係る水溶性イオン化ケイ素の皮膚浸透性試験を行なった。この試験では、本実施形態に係る水溶性イオン化ケイ素と市販の水溶性ケイ素とを比較することで皮膚浸透性の評価を行なった。すなわち、試験検体を、本実施形態に係る水溶性イオン化ケイ素、市販の水溶性ケイ素とし、被験者を51歳男性とし、被験部位を右前腕内側とした。試験方法は、まず、試験検体の浸透性を目視できるようにするため、それぞれの試験検体に蛍光剤を所定量添加した。被験者は、被験部位を暴露して着座姿勢にて一定条件(室温:25℃、湿度50%)にした試験室内の環境に慣れるため、約10分間の馴化を行なった。馴化終了後、被験部位に3cm×3cmの試験区を2箇所設定し、片方を「本実施形態に係る水溶性イオン化ケイ素」試験区、もう片方を「市販の水溶性ケイ素」試験区とした。それぞれの試験区に検体20μL滴下して、試験区内に均一に塗り広げた。次に、双方の試験区全体に蒸留水をスプレーして散布した後、直ちにブラックライトを照射して、蛍光色の発光の有無を観察した。
【0065】
結果は、「本実施形態に係る水溶性イオン化ケイ素」の試験区においては、蛍光剤の発色は認められず、「市販の水溶性ケイ素」の試験区のみが蛍光発色が認められた。このことから、「市販の水溶性ケイ素」は、皮膚上に蛍光剤が残存していたことから、皮膚浸透現象が起きていないと考えられる一方、「本実施形態に係る水溶性イオン化ケイ素」は、蛍光剤の残存発色がないことから、皮膚への浸透が起きたと考えられる。図10は、水溶性イオン化ケイ素の働きを示す図である。図10に示すように、水溶性ケイ素は、コラーゲンなどと結びつき、皮膚の隙間を埋めて弾力を保つ役割を果たしている。ただし、水溶性ケイ素そのものでは皮膚に浸透しにくいため、本実施形態では、特殊加工により浸透率に優れた「水溶性イオン化ケイ素」を実現した。これにより、浸透率が高くなり、皮膚の活力を取り戻したり、皮膚の再構築が可能となったりするなど、更なる効果が期待できる。
【0066】
また、本発明者らは、第三者機関を介して、本実施形態に係る水溶性イオン化ケイ素について、フィルター通過試験を行なった。すなわち、本実施形態に係る水溶性イオン化ケイ素1mLに、イオン交換水100mLを加えて、フォースミルで1分間攪拌後、30分間静置した液について、試験した。結果は、次の表の(注1)である。また、本実施形態に係る水溶性イオン化ケイ素について、フィルター通過試験を行なった。すなわち、本実施形態に係る水溶性イオン化ケイ素1mLに、イオン交換水100mLを加えて、フォースミルで1分間攪拌後、30分間静置し、200nmのメンブランフィルターでろ過した液について試験した。結果は、次の表の(注2)である。
【表6】
このように、200nmのフィルターを用いていない(注1)と、200nmのフィルターを用いた(注2)とが、両方ともほぼ等しいケイ素測定値を示したということは、本実施形態に係る水溶性イオン化ケイ素は、ナノレベルの極めて小さいサイズであることが明らかになった。このようなナノレベルのサイズであることから、上記のように、高い皮膚浸透性を示すものと理解される。
【0067】
なお、富士・箱根・霧島・桜島地区の温泉・湧き水・溶岩・岩石由来のケイ酸の少なくとも一つを、活性炭または食用炭を用いてろ過濃縮化を行ない、所定の温度および圧力の条件下において、濃縮イオン化海洋深層水を活用し、溶解反応を生じさせて、前記ろ過濃縮されたケイ酸を水溶化し均質化することによって、水溶性イオン化ケイ素を調整することが可能である。このような調整により、水溶性ケイ素を低分子化させて浸透力を向上させることが可能となる。
【0068】
すなわち、富士湧水・温泉水由来のケイ酸、竹・もみ殻など植物由来のケイ酸のいずれにおいても、活性炭フィルターを活用し濃縮抽出した後で、濃縮されたケイ酸について、温度と圧力を用いて、濃縮イオン化海洋深層水を活用し溶解反応を生じさせ均質化することによって、同じケイ酸を水溶化加工し低分子化するという意味において、同一品質の水溶性イオン化ケイ素を製造することが可能となる。
【0069】
より具体的には、植物由来水溶性ケイ素を作る場合は、まずは植物を炭と灰にし、活性炭フィルターを通過させてケイ酸を濃縮する。更に、濃縮したケイ酸について、温度・圧力を加えて濃縮イオン化海洋深層水にて溶融する事で、「水溶性ケイ素」を生成しつつイオン化・均質化して「水溶性イオン化ケイ素」へと変換できる。
【0070】
また、富士や霧島などの湧き水・温泉水由来水溶性ケイ素を作る場合は、活性炭フィルターを通過させて、ケイ酸を濃縮する。更に、濃縮したケイ酸について、温度・圧力を加えて、濃縮イオン化海洋深層水にて溶融する事で「水溶性ケイ素」を生成しつつイオン化・均質化して「水溶性イオン化ケイ素」へと変換できる。
【0071】
また、鉱物はもともとケイ酸を多量に含有しており、中でも水晶・石英・雲母は高純度含有のため、活性炭フィルターを用いて濃縮する必要は無い。このため、そのまま温度・圧力を加えて濃縮イオン化海洋深層水にて溶融することで、「水溶性ケイ素」を生成しつつイオン化・均質化して「水溶性イオン化ケイ素」へと変換できる。
【0072】
なお、竹の代わりに、稲(稲わら・もみ殻)・ササ・キビ・ススキ・サトウキビ・ムギ等のイネ科植物、スギナ、トクサなどケイ素高含有植物を用いることもできる。また、水晶・石英・雲母などの鉱物由来ケイ酸や、竹由来、もみ殻・笹・サトウキビ・スギナなど植物由来ケイ酸についても、最終工程にて温度・圧力を加え、濃縮イオン化海洋深層水にて溶融する事によって、全て均一かつ同質の水溶性イオン化ケイ素へと変換することが可能である。
【0073】
なお、本実施形態に係る美容健康用組成物は、濃縮溶液としての液体であっても良く、それをデキストリンなどへのスプレードライや包接加工しての粉末の形態を採っても良い。また、それをフリーズドライすることによる粉末であっても良い。
【0074】
[イオン化アパタイトの配合]
実施形態に係る美容健康用組成物は、「ハイドロキシアパタイト」と、クエン酸を含有する経口組成物(以下、「イオン化アパタイト」と呼称する。)と混合しても良い。水溶性ケイ素(水溶性イオン化ケイ素である場合も含む)とイオン化アパタイトとを混合することによって、サプリメントなどの健康 補助食品 への応用が可能となる。上述した通り、フラミンガム研究によれば、骨強化にはカルシウ ム摂取よりケイ素摂取が有効とされているため、水溶性ケイ素(水溶性イオン化ケイ素である場合も含む)とあわせて、イオ ン化アパタイトを摂取するによって、骨や歯が強化されて、骨粗しょう症や口腔ケア、ア ンチエイジングケアへの活用が期待できる。
【0075】
ハイドロキシアパタイトについては、ホタテ貝殻由来ハイドロキシアパタイト(天然生体由来かつ低結晶で定義されるバイオアパタイト:登録商標)を用いることが望ましい。ハイドロキシアパタイトは、人の歯のエナメル質の約97%を占め、また、骨の約65%を占める成分であり、リン酸とカルシウムから構成される。生体親和性が高く、中性~弱アルカリ性で、人体にとって安全であると言われている。そして、ハイドロキシアパタイトは、歯のエナメル質とほぼ同じ成分であることから、人が食事や歯磨きをした際に歯の表面にできた傷や、脱灰による初期の虫歯を再石灰化し、修復する機能を持つ。なお、天然生体由来のハイドロキシアパタイトの代わりに、鉱物由来のハイドロキシアパタイトを用いても良い。
【0076】
また、ハイドロキシアパタイトは、1分子中に10個のカルシウム原子を有しており、このカルシウム原子は、イオン交換により、カドミウム、鉛などの様々な金属と置換される。このようなイオン交換性によって、重金属等の有害物質を吸着する機能を有する。また、ハイドロキシアパタイトは、複雑な結晶構造を有し、表面が電荷を帯びていることから、細菌、ウィルス、花粉等を吸着する機能を有する。さらに、ハイドロキシアパタイトは、色素を吸着する機能や、過酸化脂質を吸着する機能を有する。
【0077】
一般的に流通しているハイドロキシアパタイトは、鉱物(燐灰石)を原料として合成されるものが多いが、本実施形態に係るイオン化アパタイトでは、天然のホタテ貝殻を原料している。ただし、本発明は、ホタテ貝殻由来のハイドロキシアパタイトに限定されるわけではなく、サンゴ、 魚の鱗・骨、牛骨など哺乳類骨、海藻、卵殻、ウニ殻、しじみ貝殻、牡蠣殻、真珠、ドロマイト、風化貝(カミオニシキ貝)などを原料とした天然生体由来ハイドロキシアパタイトを用いることも可能である。また、真珠母体に活用される貝殻に由来するハイドロキシアパタイトを用いることも可能である。この場合、例えば、アコヤガイ、クロチョウガイ、アワビなどの貝殻が好適である。
【0078】
天然生体由来ハイドロキシアパタイトは、鉱物由来ハイドロキシアパタイトと異なり、アパタイト結晶構造の中にマグネシウムやナトリウムなど天然の微量ミネラルを含有する点で生体親和性が高いと言われている。さらに、海洋深層水を添加することによって、カルシウム以外の天然イオン化ミネラルを追加補給することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態では、風化貝(カミオニシキ貝)、化石サンゴパウダーおよびドロマイトを、ハイドロキシアパタイトの代わりに用いることが可能である。風化貝(カミオニシキ貝)、化石サンゴパウダーおよびドロマイトは、ハイドロキシアパタイトではないが、良質なカルシウム以外のミネラルを保有しており、歯や骨に対して、カルシウム補給との相乗効果を生む可能性が期待される。
【0080】
[線虫を用いた抗老化作用についての検証例(顆粒の場合)]
本発明者らは、本実施形態に係るイオン化アパタイトが線虫の平均寿命に与える影響について着目し、第三者による試験結果に基づいて、検討を行なった。すなわち、抗酸化成分を含む食品を摂取することによって、老化に伴って起きる体内の活性酸素除去能力の低下を抑制することができ、老化による生活習慣病などの予防が期待できると言われているが、食品の機能性評価は主に「in vitro」で行なわれる。生体内での効果を実証するためには、「in vivo」の生物試験が必要となる。この「in vivo」試験においては、マウスなどの代わりとなる生物に、線虫の1種である「Caenorhabditis elegans」がある。この「C.elegans」は、寿命が3週間程度であり、約1mmの土壌に生息する非寄生性の線虫である。全ての遺伝子が解明されており、様々な生命現象を解析する実験のモデル生物として世界中で試験に用いられている。
【0081】
本実施形態での試験方法は、次の通りである。すなわち、以下の表に示す「S-medium」に餌となる大腸菌OP-50株を懸濁させ、線虫(fer-15変異株)の培養液とした。この培養液を用いて線虫が成虫になるまで培養(20℃、100rpm)を行なった。その後、以下の表に示す「S-buffer」にて線虫を回収、洗浄後、NaOH溶液およびハイター(登録商標)を用いて線虫の体を溶解させ、体内から卵を回収した。回収した卵は、20℃で1晩培養し、孵化させた。孵化させたL1幼虫は、24穴マイクロプレートを用い加熱処理大腸菌OP-50株(死菌体)を餌として、26.5℃で同調培養を行なった。このとき、マイクロプレートの1穴あたり線虫が約20匹となるように調整した。イオン化アパタイト(顆粒)を100mg/mLの濃度で純水に溶解したものを原液とし、卵回収後、5日目に原液を0.22μmのフィルターでろ過減菌を行ない、培養液中の終濃度が、原液の10倍、100倍、1000倍希釈となるようにマイクロプレート各穴に加えた。その後、数日ごとに顕微鏡下で線虫の生存率を調べ、5日目の生存数を100%として、「Kaplan Meier法」により、生存率曲線を描き、ログランク検定によりp値を算出した。また、生存日数より平均寿命を算出した。結果は、以下の通りである。
【表7】
【表8】
【表9】
【0082】
本実施形態に係るイオン化アパタイト(顆粒)は、すべての処理区において、コントロールに対して統計学的に有意な寿命の延長が認められた(p値<0.05)。特に、10倍希釈時にはコントロールと比べて16.6%も寿命が延びており、また1000倍希釈時においても統計上有意な平均寿命の延伸作用が確認できる事から、薄めても実用面にて高い抗老化作用を期待できる事が分かった。
【0083】
[線虫を用いた抗老化作用についての検証例(粉末の場合)]
本発明者らは、本実施形態に係るイオン化アパタイトが線虫の平均寿命に与える影響について着目し、第三者による試験結果に基づいて、検討を行なった。試験方法は、次の通りである。すなわち、「S-medium」に餌となる大腸菌OP-50株を懸濁させ、線虫(fer-15変異株)の培養液とした。この培養液を用いて線虫が成虫になるまで培養(20℃、100rpm)を行なった。その後、「S-buffer」にて線虫を回収、洗浄後、NaOH溶液およびハイター(登録商標)を用いて線虫の体を溶解させ、体内から卵を回収した。回収した卵は、20℃で1晩培養し、孵化させた。孵化させたL1幼虫は、24穴マイクロプレートを用い加熱処理大腸菌OP-50株(死菌体)を餌として、26.5℃で同調培養を行なった。このとき、マイクロプレートの1穴あたり線虫が約20匹となるように調整した。イオン化アパタイト(粉末)を100mg/mLの濃度で純水に溶解したものを原液とし、卵回収後、5日目に原液を0.22μmのフィルターでろ過減菌を行ない、培養液中の終濃度が、原液の10倍、100倍、1000倍希釈となるようにマイクロプレート各穴に加えた。その後、数日ごとに顕微鏡下で線虫の生存率を調べ、5日目の生存数を100%として、「Kaplan Meier法」により、生存率曲線を描き、ログランク検定によりp値を算出した。また、生存日数より平均寿命を算出した。結果は、以下の通りである。
【表10】
【0084】
本実施形態に係るイオン化アパタイト(粉末)は、すべての処理区において、コントロールに対して統計学的に有意な寿命の延長が認められた(p値<0.05)。特に10倍、100倍希釈時よりもさらに希釈した1000倍における延伸効果が最も高く、コントロールと比べて15.86%も寿命が延びており、特筆すべき数値が得られた。これにより、薄めても実用面にて高い抗老化作用を期待できる事が分かった。
【0085】
さらに、比較例を説明する。鉱物由来ハイドロキシアパタイトは、多くの口腔ケア用品に活用されている。本発明者らは、鉱物由来ハイドロキシアパタイトの「抗老化作用」について、第三者による試験結果に基づいて、検討を行なった。試験方法は、次の通りである。すなわち、「S-medium」に餌となる大腸菌OP-50株を懸濁させ、線虫(fer-15変異株)の培養液とした。この培養液を用いて線虫が成虫になるまで培養(20℃、100rpm)を行なった。その後、「S-buffer」にて線虫を回収、洗浄後、NaOH溶液およびハイター(登録商標)を用いて線虫の体を溶解させ、体内から卵を回収した。回収した卵は、20℃で1晩培養し、孵化させた。孵化させたL1幼虫は、24穴マイクロプレートを用い加熱処理大腸菌OP-50株(死菌体)を餌として、26.5℃で同調培養を行なった。このとき、マイクロプレートの1穴あたり線虫が約20匹となるように調整した。鉱物由来ハイドロキシアパタイトを100mg/mLの濃度で純水に溶解したものを原液とし、卵回収後、5日目に原液を0.22μmのフィルターでろ過減菌を行ない、培養液中の終濃度が、原液の10倍、100倍、1000倍希釈となるようにマイクロプレート各穴に加えた。その後、数日ごとに顕微鏡下で線虫の生存率を調べ、5日目の生存数を100%として、「Kaplan Meier法」により、生存率曲線を描き、ログランク検定によりp値を算出した。また、生存日数より平均寿命を算出した。結果は、以下の通りである。
【表11】
【表12】
【表13】
【0086】
このように、鉱物由来ハイドロキシアパタイトは、すべての処理区において、コントロールに対して平均寿命の短縮が認められた。特に100倍希釈時の鉱物由来ハイドロキシアパタイトは、コントロールに対して平均寿命が統計学的に有意に短縮していた(p値<0.05)。
【0087】
[イオン化率の検証例]
本発明者らは、本実施形態に係るイオン化アパタイトのイオン化率を検証した。検体として、本実施形態に係るイオン化アパタイトとし、比較例1として、ホタテ貝殻由来ハイドロキシアパタイト、ホタテ貝殻由来ハイドロキシアパタイトを粉砕しナノパウダー化した分散液を検体とした。各検体を5gに水50mLを加え、30分間振とう後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過した液について、リンとカルシウムの含有量をICP発光分析法にて測定した。ただし、検体重量から算出した。また、pHについては、1%の水溶液について、ガラス電極法によって測定した。測定結果を次の表に示す。
【0088】
【表14】
[考察]
上記の検証の結果、本実施形態に係るイオン化アパタイトは、元素材である「ホタテ貝殻由来ハイドロキシアパタイト」や「ホタテ貝殻由来ハイドロキシアパタイトのナノ分散液」を大きく上回る数値が認められた。すなわち、イオン化アパタイトは、ハイドロキシアパタイトの配合率が、80%程度であるが、100%の元素材のホタテ貝殻由来ハイドロキシアパタイトを大幅に上回るイオン化率を有していることが分かった。さらに、イオン化アパタイトは、「ホタテ貝殻由来ハイドロキシアパタイトを、1kg当たり数万円をかけて粉砕し、<ナノレベル>にした分散液体」よりも大幅に高いイオン化率を有していることが分かった。
【0089】
歯の脱灰から虫歯へ進行させないためには、砂糖の代用糖として脱灰の原因となる酸を産生しないキシリトール等の糖アルコールを使用することに加え、唾液に溶解しやすいカルシウムを供給することが重要であることが知られている。人間の唾液には、再石灰化に必要なリン酸イオンは十分にあるが、カルシウムイオンは十分ではない。つまり、リン酸イオン濃度は十分であるが、カルシウムイオン濃度はその半分量以下である。本実施形態に係るイオン化アパタイトは、上記の通り、リン酸イオンと共に、多量のカルシウムイオンを供給することができるため、初期の「う蝕」で失われたミネラルを補給するのに十分なカルシウムイオンを唾液中に溶かしこむことが可能となる。ハイドロキシアパタイトは、カルシウムイオンとリン酸イオンを歯に供給するため、歯の再石灰化を促進する。その上で、唾液中では、リン酸イオンに比べて相対的にカルシウムイオンが不足するため、多量のカルシウムイオンを供給できるイオン化アパタイトは、更に有用な効果を期待することが可能となる。そして、水溶性ケイ素(水溶性イオン化ケイ素である場合も含む)とイオン化アパタイトとを混合することによって、これらの相乗効果により、歯や骨を強化でき、骨粗しょう症予防に有効であると考えられる。
【0090】
なお、本実施形態において、海洋深層水については、脱塩することが望ましいが、脱塩しなくても構わない。脱塩をするかどうかに関わらず、本発明は成立する。
【0091】
[その他の原料との配合]
クルクミン(curcumin)は、ウコンなどに含まれる黄色のポリフェノール化合物であり、豆苗エキス(エンドウ芽エキス)は、アナゲイン(登録商標)という原料も販売され、エンドウ豆の新芽から抽出した水溶性エキスである。これらを本実施形態に係る水溶性ケイ素(水溶性イオン化ケイ素である場合も含む)に配合することによって、美髪効果、美肌効果、美爪効果が期待される。特に、上述したように「水溶性イオン化ケイ素」と組み合わせることによって、組織を強くする相乗効果が期待される。
【0092】
本実施形態に係る水溶性ケイ素(水溶性イオン化ケイ素である場合も含む)に、ガゴメ昆布パウダーを配合することも可能である。なお、ガゴメ昆布の他にアカモク、メカブ、アスコフィルム、ガニアシ、海藻ダルスなどの海藻由来素材を用いても良い。
【0093】
最近の研究により、ガゴメ昆布には「F‐フコイダン」「U‐フコイダン」「G‐フコイダン」という3種類のフコイダンがあり、その中でも「F‐フコイダン」に特に強い育毛効果があることが分かっている。ガゴメ昆布フコイダンは、毛髪の成長因子の生産を増やし、毛母細胞の増殖を促進するとされている。この成長因子は、「FGF‐7」というタンパク質の一種で、人のヘアサイクルの成長期を伸ばし、毛髪の育成期間を延ばすとされている。毛髪は、成長期間が伸びた分だけ成長できるため、太く強い髪の毛を育成することが可能となる。また、休止期に入った毛根を、より早く成長期に移行させる効果もあり、さらに毛髪の成長期間を延ばすことが可能である。また、ガコメ昆布の海藻類特有の保湿効果も高く、頭皮の潤いを保持し、良好な頭皮環境を維持すると期待できる。
【0094】
本実施形態に係る水溶性ケイ素(水溶性イオン化ケイ素である場合も含む)に、「ガゴメ昆布・メカブ・アスコフィルム」などを加える事で、それらに豊富に含まれるフコイダンとのコラボレーションが可能となり、皮膚粘膜が強化され美肌・美髪への相乗効果を期待できる。またケイ素原子Siに4つのOH基を有し、吸収性・吸着性に優れる水溶性ケイ素(水溶性イオン化ケイ素である場合も含む)「オルトケイ酸」に対して水素加工を施す事で、水と反応して水素が発生し、ガゴメ昆布・メカブ・アスコフィルムなど海藻由来素材の「とろみ」との相乗効果により、水素が抜け難くなり抗酸化作用の持続を期待できる。
【0095】
また、本実施形態に係る水溶性ケイ素(水溶性イオン化ケイ素である場合も含む)と、海藻抽出物(アスコフィラム・ノドサム,メカブ海藻抽出物)とのコラボレーションも有用である。海藻については、「メカブ(ワカメ):Undaria pinnatifida」や、「アスコフィラム:Ascophyllum nodosum」が特に有用である。「メカブ(ワカメ)」については、ワカメの根元の肉厚でヒダ状の「胞子嚢群」を特に「メカブ」と呼ばれているが、メカブには、人の健康に必要な高度不飽和脂肪酸類が比較的多く含まれており、メカブのヌメリの主成分は、アルギン酸、フコイダンと呼ばれる酸性多糖類で、特にフコイダンは免疫成分として注目されている成分である。「アスコフィラム」は、「アルギット」とも呼ばれ、北欧や北米などを中心に自生している褐藻類の一種で、日本近海で獲れるヒバマタに近い藻類である。ノルウェーでは、乾燥させてお茶として飲用されている一方、工業的には食品添加物(安定剤)であるアルギン酸の原料として、また肥料・飼料としても使用されている。これらの原料とコラボレーションを図ることによって、これらに豊富に含まれるフコインダンによる免疫賦活作用や抗腫瘍作用、皮膚粘膜を修復する作用等が期待でき、それらに加わった水溶性ケイ素が粘膜を整えてガードする働きをする事で、作用増強を期待することができる。
【0096】
以上説明したように、本実施形態に係る水溶性ケイ素(水溶性イオン化ケイ素である場合も含む)によれば、美容用途に広く活用することが可能となる。さらにフコイダンを豊富に含む「ガゴメ昆布・アカモク・メカブ・アスコフィルム・ガニアシ・海藻ダルス」などの海藻由来素材とのコラボレーションにより、美肌・美髪・美爪・育毛などへの効果を期待できる。
【0097】
水溶性ケイ素(水溶性イオン化ケイ素である場合も含む)は、シリカ(二酸化ケイ素)にHO分子が加わり水和化しており、ケイ素原子Siに4つのOH基を有する分子「オルトケイ酸」は吸収性・吸着性に特に優れている。これに水素加工を施す事で、水溶性ケイ素(水溶性イオン化ケイ素である場合も含む)に水素が担持され、高濃度水素発生パウダーを製造することができる。また、焼成サンゴカルシウム水素パウダーやシルク水素パールパウダーと水溶性ケイ素(水溶性イオン化ケイ素である場合も含む)とのコラボレーションは、ミネラルや良質なアミノ酸を補いつつ、水素による悪玉活性酸素消去能と、水溶性ケイ素(水溶性イオン化ケイ素である場合も含む)の美容効果を同時に享受できる事から高い相乗効果を見込める。さらに、機能性食用炭、還元発酵乳酸菌、水溶性ケイ素(水溶性イオン化ケイ素である場合も含む)とのコラボレーションは、機能性食用炭による悪玉物質(酸化や糖化の原因物質)吸着除去効果、還元発酵乳酸菌による悪玉菌消去活性(悪玉物質と反応して活性酸素を生み出す悪玉菌をクレンズ)、水溶性ケイ素(水溶性イオン化ケイ素である場合も含む)によるバリア機能(酸化や糖化の原因物質から組織を保護)を同時に享受でき、高い相乗効果を見込める。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
【手続補正書】
【提出日】2024-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン化および均質化した水溶性ケイ素の水溶液を製造する方法であって、
非水溶性・非晶質のケイ素化合物である二酸化ケイ素を、
所定の温度および圧力の条件下で、
水素による還元加工を行なった海洋深層水、または活性炭フィルターによるイオン交換にてミネラルを濃縮させた海洋深層水を用いて溶解反応を生じさせることを特徴とする水溶性ケイ素の水溶液を製造する方法。
【請求項2】
気圧が1気圧~5気圧、温度が500℃~2000℃の条件下で、水素による還元加工を行なった海洋深層水、または活性炭フィルターによるイオン交換にてミネラルを濃縮させた海洋深層水を用いて溶解反応を生じさせることを特徴とする請求項1記載の水溶性ケイ素の水溶液を製造する方法。
【請求項3】
前記水溶性ケイ素は、含水ケイ酸であることを特徴とする請求項1記載の水溶性ケイ素の水溶液を製造する方法。