(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113038
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】細胞の自動凍結・解凍設備
(51)【国際特許分類】
C12M 1/02 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
C12M1/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024090423
(22)【出願日】2024-06-04
(62)【分割の表示】P 2022189908の分割
【原出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】521493190
【氏名又は名称】博訊生物科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】秘 心吾
(72)【発明者】
【氏名】林 志煌
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 信斐
(72)【発明者】
【氏名】許 家宜
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自動搬送設備のロボットアームによるクライオチューブの出し入れ作業を容易に行うことができる細胞の自動凍結・解凍設備を提供する。
【解決手段】出入り部1と、ロボットアーム2と、プログラムフリーザー3と、ラックキャリア4と、凍結保存タンク5と、キャリア搬出入機構6と、プレート移送機構7と、ドライバス8と、細胞培養容器一時保管棚9と、蓋体自動開閉装置10とを含む。ラックキャリア4は、フレーム本体と複数のカセットプレートを含み、フレーム本体は複数の仕切り壁を備え、いずれかの二つの仕切り壁の間に複数のプレート収容部が設けられ、複数のカセットプレートはそれぞれ、複数のプレート収容部に分離可能に結合されると共に、各カセットプレート上にクライオチューブを保持するための保持穴を複数有することを特徴とする。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞の自動凍結・解凍設備であって、出入り部と、ロボットアームと、プログラムフリーザーと、ラックキャリアと、凍結保存タンクと、キャリア搬出入機構と、プレート移送機構と、ドライバスと、細胞培養容器一時保管棚と、蓋体自動開閉装置とを含み、
前記出入り部は、クライオチューブ又は細胞培養容器の出入りに用いられ、
前記ロボットアームは、前記クライオチューブ又は細胞培養容器の搬送に用いられ、
前記プログラムフリーザーは、前記ロボットアームによって前記出入り部から搬入されたクライオチューブの冷却に用いられ、
前記ラックキャリアは、フレーム本体と複数のカセットプレートを含み、該フレーム本体は、複数の仕切り壁を備え、いずれかの二つの該仕切り壁の間に複数のプレート収容部が設けられ、該複数のカセットプレートはそれぞれ、前記複数のプレート収容部に分離可能に結合されると共に、該各カセットプレート上に、クライオチューブを保持するための保持穴を複数有し、
前記凍結保存タンクの内部に凍結保存空間を有し、
前記キャリア搬出入機構は、前記ラックキャリアを前記凍結保存タンクの凍結保存空間に搬出入するために用いられ、
前記プレート移送機構は、前記複数のカセットプレートのうちの一つを、前記キャリア搬出入機構によって前記凍結保存空間から移出された前記ラックキャリア上の複数のプレート収容部のうちの一つに載置または取り出しに用いられ、
前記ドライバスは、前記ロボットアームによって前記プレート移送機構上のカセットプレートから搬入された前記クライオチューブの加熱に用いられ、
前記細胞培養容器一時保管棚は、前記ロボットアームによって前記出入り部から搬入された前記細胞培養容器の一時的な保管に用いられ、
前記蓋体自動開閉装置は、前記ロボットアームによって前記ドライバスから搬入されたクライオチューブの蓋体の開閉、及び該ロボットアームによって前記細胞培養容器一時保管棚から搬入された細胞培養容器の蓋体の開閉に用いられることを特徴とする細胞の自動凍結・解凍設備。
【請求項2】
前記細胞の自動凍結・解凍設備は、その内部温度が室温よりも低い冷蔵室を含み、前記ラックキャリア、凍結保存タンク及びキャリア搬出入機構は該冷蔵室内に配置され、
前記プレート移送機構は、前記冷蔵室の内部に進出可能に該冷蔵室の外部に配置され、該冷蔵室の内部に進入して前記複数のカセットプレートのうちの一つを、前記複数のプレート収容部のうちの一つに載置または取り出しに用いられることを特徴とする請求項1に記載の細胞の自動凍結・解凍設備。
【請求項3】
前記細胞の自動凍結・解凍設備は、前記冷蔵室に連通すると共にその壁面上にロボットアーム進出開口部が設置される低温チャンバと、該ロボットアーム進出開口部を選択的に開閉する断熱蓋と、を含み、
前記プレート移送機構は前記低温チャンバ内に配置され、
前記ロボットアームは、前記断熱蓋によって開放された前記ロボットアーム進出開口部を通って、前記プレート移送機構上のカセットプレートのクライオチューブに届くことを特徴とする請求項2に記載の細胞の自動凍結・解凍設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生化学実験設備に関し、特に、細胞の自動凍結・解凍設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
細胞調製プロセスにおいて、大量培養した細胞は、所定の処理を経た後に、クライオチューブに分注されて、凍結保存タンク(液体窒素タンクまたは気体窒素タンク)内に凍結保存する。その細胞の凍結保存方法について詳しく説明すると、細胞が充填されたクライオチューブは、まずプログラムフリーザーに入れて細胞の温度を-80度までに徐々に冷却し、その後、-80度まで冷却したクライオチューブをチューブ載置棚に移し、そのチューブ載置棚全体を凍結保存タンク内に入れて凍結保存する。一方、細胞を解凍する場合は、まず、チューブ載置棚全体を凍結保存タンクから引き出し、解凍対象物の細胞が充填されたクライオチューブをチューブ載置棚から取り出して解凍設備に移載して緩やかに温めて解凍し、その後、解凍した細胞をクライオチューブから培養液が充填された培養容器に移せば、細胞解凍作業が完了する。
【0003】
しかしながら、従来技術の細胞調製プロセスにおいては、細胞を凍結保存または解凍する際に、チューブ載置棚全体を凍結保存タンクから引き出さなければならないので、凍結保存されている全ての細胞が常温環境下にしばらく置かれることを強いられる。さらに、従来技術のチューブ載置棚は一体成型された多層架構式棚であることから、自動設備のロボットアームを介して中間層及び棚の内側に収容されているクライオチューブを出し入れすることは困難であり、これにより、従来技術のチューブ載置棚におけるクライオチューブの出し入れ作業は人力で行わなければならず、そのため、クライオチューブの出し入れ作業を行う際に時間と手間がかかるので、取り出す対象以外の細胞は常温環境下に放置する時間がさらに長くなるので、不要な昇温を招き、細胞の凍結保存に悪影響を与える虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第US2020/0114344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、分離可能に結合されているフレーム本体、カセットプレートを備えることで、クライオチューブの出し入れ作業を行う際に、フレーム本体から所要のカセットプレートを取り出してクライオチューブの出し入れを行い、このような設計により、自動搬送設備のロボットアームによるクライオチューブの出し入れ作業を容易に行うことができるので、細胞の凍結解凍作業を自動化にすることが可能となる、細胞の自動凍結・解凍設備及びそれに用いられるラックキャリアを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、細胞の自動凍結・解凍設備に用いられるラックキャリアを提案しており、当該ラックキャリアは、フレーム本体と複数のカセットプレートを含み、
前記フレーム本体は複数の仕切り壁を備え、いずれかの二つの該仕切り壁の間に複数のプレート収容部が設けられ、
前記複数のカセットプレートはそれぞれ、前記複数のプレート収容部に分離可能に結合されると共に、該各カセットプレート上にクライオチューブを保持するための保持穴を複数有することを特徴とする。
【0007】
前記各仕切り壁上に複数の支持リブが設置され、前記複数のプレート収容部は、隣り合う両該仕切り壁上の相対向する両該支持リブから構成され、
前記各カセットプレートはそれぞれ、いずれかの前記二つの仕切り壁の支持リブ上に分離可能に支持されることを特徴とする。
【0008】
前記各支持リブ上に抜け防止突起を有し、前記各カセットプレート上に、二つの前記支持リブの抜け防止突起を受ける抜け防止凹部を二つ有することを特徴とする。
【0009】
前記フレーム本体は中心軸を有し、前記複数の仕切り壁は、該中心軸を中心に囲繞するように間隔を置いて配置されると共に該中心軸の径方向に沿って延出し、前記各カセットプレートは扇形であることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、細胞の自動凍結・解凍設備をさらに提案しており、当該細胞の自動凍結・解凍設備は、出入り部と、ロボットアームと、プログラムフリーザーと、ラックキャリアと、凍結保存タンクと、キャリア搬出入機構と、プレート移送機構と、ドライバスと、細胞培養容器一時保管棚と、蓋体自動開閉装置とを含み、
前記出入り部は、クライオチューブ又は細胞培養容器の出入りに用いられ、
前記ロボットアームは、前記クライオチューブ又は細胞培養容器の搬送に用いられ、
前記プログラムフリーザーは、前記ロボットアームによって前記出入り部から搬入されたクライオチューブの冷却に用いられ、
前記ラックキャリアは、フレーム本体と複数のカセットプレートを含み、
前記フレーム本体は、複数の仕切り壁を備え、いずれかの二つの該仕切り壁の間に複数のプレート収容部が設けられ、
前記複数のカセットプレートはそれぞれ、前記複数のプレート収容部に分離可能に結合されると共に、該各カセットプレート上に、クライオチューブを保持するための保持穴を複数有し、
前記凍結保存タンクの内部に凍結保存空間を有し、
前記キャリア搬出入機構は、前記ラックキャリアを前記凍結保存タンクの凍結保存空間に搬出入するために用いられ、
前記プレート移送機構は、前記複数のカセットプレートのうちの一つを、前記キャリア搬出入機構によって前記凍結保存空間から移出された前記ラックキャリア上の複数のプレート収容部のうちの一つに載置または取り出しに用いられ、
前記ドライバスは、前記ロボットアームによって前記プレート移送機構上のカセットプレートから搬入された前記クライオチューブの加熱に用いられ、
前記細胞培養容器一時保管棚は、前記ロボットアームによって前記出入り部から搬入された前記細胞培養容器の一時的な保管に用いられ、
前記蓋体自動開閉装置は、前記ロボットアームによって前記ドライバスから搬入されたクライオチューブの蓋体の開閉、及び該ロボットアームによって前記細胞培養容器一時保管棚から搬入された細胞培養容器の蓋体の開閉に用いられることを特徴とする。
【0011】
前記細胞の自動凍結・解凍設備は、その内部温度が室温よりも低い冷蔵室を含み、前記ラックキャリア、凍結保存タンク及びキャリア搬出入機構は該冷蔵室内に配置され、
前記プレート移送機構は、前記冷蔵室の内部に進出可能に該冷蔵室の外部に配置され、該冷蔵室の内部に進入して前記複数のカセットプレートのうちの一つを、前記複数のプレート収容部のうちの一つに載置または取り出しに用いられることを特徴とする。
【0012】
前記細胞の自動凍結・解凍設備は、前記冷蔵室に連通すると共にその壁面上にロボットアーム進出開口部が設置される低温チャンバと、該ロボットアーム進出開口部を選択的に開閉する断熱蓋と、を含み、
前記プレート移送機構は前記低温チャンバ内に配置され、
前記ロボットアームは、前記断熱蓋によって開放された前記ロボットアーム進出開口部を通って、前記プレート移送機構上のカセットプレートのクライオチューブに届くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の優れた点は、係るラックキャリアのフレーム本体とカセットプレートとは分離可能に構成されていることで、使用時に、キャリア搬出入機構を介してラックキャリアを凍結保存タンクから搬出し、次に、プレート移送機構を介して所要のカセットプレートをフレーム本体から取り出す仕組みとなっていることで、ロボットアームによるクライオチューブの出し入れ作業を行うことが可能となり、このように、ロボットアームによる中間層及び棚の内側に載置されるクライオチューブの出し入れ作業を迅速かつ容易に行うことができ、また、出し入れ作業中にラックキャリアを凍結保存タンク内に先に戻すことができることで、取り出す対象以外の細胞が凍結保存タンクから出される時間が短くなるので、不要な昇温を効果的に抑え、細胞の凍結保存への悪影響を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の細胞の自動凍結・解凍設備の斜視図である。
【
図2】本発明の細胞の自動凍結・解凍設備における、冷蔵室が配置される側から見た斜視透視図である。
【
図3】本発明の細胞の自動凍結・解凍設備における、低温チャンバが配置される側から見た斜視透視図である。
【
図4A】本発明の細胞の自動凍結・解凍設備における、出入り部にチューブ仮置きラックを載置した状態を示す上面視断面図である。
【
図4B】本発明の細胞の自動凍結・解凍設備における、出入り部に細胞培養容器を載置した状態を示す上面視断面図である。
【
図5】本発明のラックキャリアと棚プレート移送機構との位置関係図である。
【
図6】本発明のカセットプレートとフレーム本体の分解斜視図である。
【
図7】本発明のプレート移送機構を示す斜視図である。
【
図8】本発明のロボットアームを示す斜視図である。
【
図9】本発明のロボットアームの局部拡大図である。
【
図10】本発明において、細胞の凍結保存作業を行う様子を示す模式図である。
【
図11】本発明において、細胞の解凍作業を行う様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面及び本発明の好適な実施例を参照しながら、本発明が予め決められた発明の目的を達成するために講じた技術的手段をさらに詳述する。
【0016】
図1、
図4A、
図4B及び
図10に示すように、本発明に係る細胞の自動凍結・解凍設備は、出入り部1、ロボットアーム2、プログラムフリーザー3、ラックキャリア4、凍結保存タンク5、キャリア搬出入機構6、プレート移送機構7、ドライバス8、細胞培養容器一時保管棚9、蓋体自動開閉装置10、冷蔵室11、低温チャンバ12及び断熱蓋13を含む。
【0017】
図3、
図4A及び
図4Bに示すように、前記出入り部1は、チューブ仮置きラックBや細胞培養容器Cの出入りに用いられる。
【0018】
図10及び
図11に示すように、使用時には、前記出入り部1に載置されたクライオチューブAは、前記ロボットアーム2により前記プログラムフリーザー3に移載されて、プログラムフリーザー3内で徐々に降温される。尚、
図8及び
図9に示すように、本発明の好適な実施例において、前記ロボットアーム2は、前記出入り部1に載置されるクライオチューブAを挟持する第1グリッパ21、及び細胞培養容器Cを挟持する第2グリッパ22を有することが好ましい。
【0019】
図5及び
図6に示すように、前記ラックキャリア4は、フレーム本体41及び複数のカセットプレート42を含む。前記フレーム本体41は、複数の仕切り壁411を備え、いずれかの二つの該仕切り壁411の間に複数のプレート収容部412が設けられ、前記複数のカセットプレート42がそれぞれ、それらのプレート収容部412に分離可能に結合される。前記各カセットプレート42上には、クライオチューブAを収容するためのチューブ保持穴421を複数有し、クライオチューブAが、前記ロボットアーム2によってチューブ保持穴421に移載されて収容される。
【0020】
本実施例において、前記各仕切り壁411上には支持リブ413が複数設置され、前記複数のプレート収容部412は、いずれかの仕切り壁411上の複数の支持リブ413と、隣り合う他方の仕切り壁411上の位置合わせされている複数の支持リブ413とから構成され、前記各カセットプレート42は、いずれかの隣り合う両仕切り壁411の間の支持リブ413上に支持される。また、各支持リブ413上に抜け防止突起414を有し、これと対応するように、各カセットプレート42上に、該抜け防止突起414を受ける抜け防止凹部422を二つ有し、このような構成により、支持リブ413上に支持されているカセットプレート42が不意に脱落することを防止する。さらに、本実施例においては、前記フレーム本体41は中心軸415を有し、前記複数の仕切り壁411は、該フレーム本体41の中心軸415を中心として囲繞するように間隔を置いて配置され、かつ該中心軸415の径方向に沿って延在する。尚、前記カセットプレート42は扇形を呈するプレートであることが好ましいが、これに限定されるものではない。また、前記フレーム本体41とカセットプレート42との結合構造は、上述した構造に限定されるものではなく、カセットプレート42とフレーム本体41は分離可能に組み合わせされるものであればよい。
【0021】
前記凍結保存タンク5の内部には凍結保存空間を有する。
【0022】
前記キャリア搬出入機構6は、前記ラックキャリア4の前記凍結保存タンク5への出し入れを行うために用いられる。
【0023】
前記プレート移送機構7は、前記キャリア搬出入機構6によって前記凍結保存タンク5の凍結保存空間から搬出されたラックキャリア4上の複数のプレート収容部412のうちの一つに、前記カセットプレート42を載置したり、又は搬出されたプレート収容部412から所要のカセットプレート42を取り出したりするために用いられる。具体的に述べると、
図5及び
図7に示すように、前記プレート移送機構7は、レール部材71と、該レール部材71上を移動可能かつ前記カセットプレート42を挟持可能な挟持部材72を含む。プレート移送機構7によるカセットプレート42の出し入れを行う際に、挟持部材72はレール部材71に沿って前記キャリア搬出入機構6によって凍結保存空間から搬出されたラックキャリア4に向かって移動して、ラックキャリア4のプレート収容部412にカセットプレート42を載置したり、又はラックキャリア4のプレート収容部412からカセットプレート42を取り出したりする。尚、前記プレート移送機構7の具体的な構造は上述した構成に限定されるものではない。
【0024】
前記ドライバス8は、前記ロボットアーム2によって前記プレート移送機構7上のカセットプレート42から移載されてきたクライオチューブAの温度を徐々に上昇させていくために用いられる。
【0025】
前記細胞培養容器一時保管棚9は、前記ロボットアーム2によって前記出入り部1から移載されてきた前記細胞培養容器Cを一時保管するために用いられる。
【0026】
前記蓋体自動開閉装置10は、前記ロボットアーム2によって前記ドライバス8から移載されてきたクライオチューブAの蓋体、及びロボットアーム2によって前記細胞培養容器一時保管棚9から移載されてきた細胞培養容器Cの蓋体を開閉するために用いられる。
【0027】
図1~
図4A及び
図4Bに示すように、本考案の好適な実施例における細胞の自動凍結・解凍設備は、冷蔵室11、低温チャンバ12及び断熱蓋13を含み、該冷蔵室11の冷蔵空間の内部温度は、外部温度よりも低く、約摂氏4度であることが好ましい。前記低温チャンバ12は、前記冷蔵室11に連通するように設置され、冷蔵室11の冷蔵空間の延長として機能し、該低温チャンバ12の壁面上に、ロボットアーム進出開口部121が設置される。前記断熱蓋13は、前記ロボットアーム進出開口部121の設置位置に設置され、該ロボットアーム進出開口部121を選択的に開閉する。
【0028】
尚、本実施例において、前記ラックキャリア4、凍結保存タンク5及びキャリア搬出入機構6は前記冷蔵室11内に配置される。前記プレート移送機構7は、該冷蔵室11の内部に進出可能に前記低温チャンバ12の内部に配置される。詳しく説明すると、該プレート移送機構7は、該低温チャンバ12と冷蔵室11との間の連通路を通って、該冷蔵室11の内部に進入して、前記複数のカセットプレート42のうちの一つを、前記複数のプレート収容部412のうちの一つに載置したりまたは取り出したりする。前記ロボットアーム2は、前記断熱蓋13によって開放された前記ロボットアーム進出開口部121を通って、前記プレート移送機構7に載せられているカセットプレート42に移動して、クライオチューブAをカセットプレート42のチューブ保持穴421に放置したり、またはチューブ保持穴421内に収容されている複数のクライオチューブAのうちの一つを取り出したりする。
【0029】
前記冷蔵室11、低温チャンバ12及び断熱蓋13の設置により、前記ラックキャリア4、及びその上に載せられているカセットプレート42、クライオチューブAが前記凍結保存タンク5から搬出された後、室温環境に直接曝されることなく、温度が比較的に低い低温空間内に留まるので、細胞の凍結保存安定性を向上させることができる。
【0030】
以下、本考案の好適な実施例に係る細胞の自動凍結・解凍設備の一連の自動出し入れ動作について説明する。
【0031】
【0032】
RFID(Radio Frequency Identification, RFID)識別情報が予め書き込まれたクライオチューブAに凍結保存対象の細胞液を注入した後、当該クライオチューブAをチューブ仮置きラックBに入れて、出入り部1に載置する。
図9及び
図10に示すように、続いて、ロボットアーム2は、そのRFID読み取り装置23を介してRFID識別情報を読み取り、特定のクライオチューブAをチューブ仮置きラックBから取り出して、プログラムフリーザー3に移載して一回目の降温を行わせ、一方、クライオチューブAが取り出されたチューブ仮置きラックBは出入り部1から回収される。当該クライオチューブAの一回目の降温が終了した後、凍結保存タンク5のフタが開き、キャリア搬出入機構6がラックキャリア4を凍結保存タンク5から搬出し、プレート移送機構7がラックキャリア4に収容されている複数のカセットプレート42のうちの一つをフレーム本体41から分離させて取り出し、その後、ロボットアーム2は、一回目の降温が終了した当該クライオチューブAを、先ほどプレート移送機構7により移出された当該カセットプレート42に移載する。最後に、プレート移送機構7が、当該クライオチューブAを載置したカセットプレート42を再びフレーム本体41のプレート収容部412に戻し、キャリア搬出入機構6がラックキャリア4を凍結保存タンク5の凍結保存空間内に搬入して、当該凍結保存タンク5のフタが閉じれば、細胞の凍結保存作業が完了する。
【0033】
さらに、
図4B及び
図11により細胞の解凍作業について説明する。
【0034】
細胞の解凍作業を行う前に、細胞培養容器Cに予めRFID識別情報を書き込むと共に、外部の分注装置(該分注装置は本発明に含まない)を介して細胞培養液を注入し、その後、当該細胞培養容器Cを出入り部1に入れて、ロボットアーム2により細胞培養容器一時保管棚9に移載して待機させる。
図11を参照し、細胞の解凍作業を行う時には、まず、ロボットアーム2は細胞培養容器一時保管棚9に待機中の細胞培養容器Cを取り出して、当該細胞培養容器Cの蓋体を開けるために、蓋体自動開閉装置10に搬送して待機させる。それと同時に、凍結保存タンク5のフタが開き、キャリア搬出入機構6がラックキャリア4を凍結保存タンク5から引き上げるように搬出し、プレート移送機構7は、ラックキャリア4上における解凍対象物の細胞液が充填されたクライオチューブAを収容するカセットプレート42を、フレーム本体41から取り出し、次に、ロボットアーム2は、RFID識別情報を読み取り、当該クライオチューブAをドライバス8に移載して解凍させる。特定のクライオチューブAをドライバス8に移載すると、プレート移送機構7は当該カセットプレート42を再びフレーム本体41に戻し、キャリア搬出入機構6はラックキャリア4を凍結保存タンク5内に搬送し、その後、凍結保存タンク5のフタが閉じられる。続いて、クライオチューブA内の細胞液が融けた後に、ロボットアーム2は、当該クライオチューブAの蓋体を開けるために、当該クライオチューブAを蓋体自動開閉装置10に搬送する。蓋体自動開閉装置10に搬送した細胞培養容器C及びクライオチューブAの両方の蓋体を開放した後、クライオチューブA内の融けた細胞液を細胞培養容器Cに注入し、蓋体自動開閉装置10を介して当該細胞培養容器Cの蓋体を再び閉める。最後に、ロボットアーム2は、細胞液が注入された細胞培養容器CのRFID識別情報を読み取って、当該細胞培養容器Cを出入り部1に移動させれば、細胞の解凍作業が完了し、一方、細胞液が出されたクライオチューブAは、その蓋体が閉じられた後ゴミ収集箱14に捨てられて処分する。尚、出入り部1に移載された、細胞液を注入した細胞培養容器Cは、外部の搬送手段を介して細胞培養機構(該搬送手段及び細胞培養機構は、本発明に含まない)に搬送され、後続の細胞培養が行われる。
【0035】
本発明の優れた点は、係るラックキャリア4のフレーム本体41とカセットプレート42とは分離可能に構成されていることで、使用時に、キャリア搬出入機構6を介してラックキャリア4を凍結保存タンク5から搬出し、次に、プレート移送機構7を介して所要のカセットプレート42をフレーム本体41から取り出す仕組みとなっていることで、ロボットアーム2によるクライオチューブAの出し入れ作業を行うことが可能となり、このように、ロボットアーム2による中間層及び棚の内側に載置されるクライオチューブAの出し入れ作業を迅速かつ容易に行うことができ、また、出し入れ作業中にラックキャリア4を凍結保存タンク5内に先に戻すことができることで、取り出す対象以外の細胞が凍結保存タンク5から出される時間が短くなるので、不要な昇温を効果的に抑え、細胞の凍結保存への悪影響を防止することができる。
【0036】
以上の説明は、本発明の好適な実施形態に過ぎず、本発明に対して何ら限定を行うものではない。本発明について、比較的好適な実施形態をもって上記のとおり開示したが、これは本発明を限定するものではなく、すべての当業者が、本発明の技術構想を逸脱しない範囲において、本発明の技術の本質に基づいて上記の実施形態に対して行ういかなる簡単な修正、変更及び修飾も、依然としてすべて本発明の技術構想の範囲内にある。
【符号の説明】
【0037】
A クライオチューブ
B チューブ仮置きラック
C 細胞培養容器
1 出入り部
2 ロボットアーム
21 第1グリッパ
22 第2グリッパ
23 RFID読み取り装置
3 プログラムフリーザー
4 ラックキャリア
41 フレーム本体
411 仕切り壁
412 プレート収容部
413 支持リブ
414 抜け防止突起
415 中心軸
42 カセットプレート
421 チューブ保持穴
422 抜け防止凹部
5 凍結保存タンク
6 キャリア搬出入機構
7 プレート移送機構
71 レール部材
72 挟持部材
8 ドライバス
9 細胞培養容器一時保管棚
10 蓋体自動開閉装置
11 冷蔵室
12 低温チャンバ
121 ロボットアーム進出開口部
13 断熱蓋
14 ゴミ収集箱