IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特開-回転電機 図1
  • 特開-回転電機 図2
  • 特開-回転電機 図3
  • 特開-回転電機 図4
  • 特開-回転電機 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011304
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20240118BHJP
   H02K 1/279 20220101ALI20240118BHJP
   H02K 21/12 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H02K1/276
H02K1/279
H02K21/12 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113199
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】牧志 渉
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智則
(72)【発明者】
【氏名】菊池 駿介
【テーマコード(参考)】
5H621
5H622
【Fターム(参考)】
5H621BB01
5H621GA04
5H622AA03
5H622CA02
5H622CA05
5H622CB03
5H622CB05
5H622PP03
(57)【要約】
【課題】第1磁石及び第2磁石の着磁率を向上できる回転電機を提供する。
【解決手段】回転電機は、筒状のステータとステータの内側又は外側に配置されたロータ12とを備える。ロータ12は、筒状のロータコア21と複数の第1磁石22aと複数の第2磁石22bとを有する。第1磁石22a及び第2磁石22bの磁化方向は、ロータコア21の径方向に対して交差している。第2磁石22bの磁化方向は、第1磁石22aの磁化方向と異なっている。第1磁石22aと第2磁石22bは、ロータコア21の周方向において交互に配置されている。ロータコア21は、ステータと対向する第1面21aとは反対側に位置する第2面21bからロータコア21の径方向に凹む第1凹部241及び第2凹部242を有する。第1凹部241は、第1磁石22aのみとロータコア21の径方向に並んでいる。第2凹部242は、第2磁石22bのみとロータコア21の径方向に並んでいる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のステータと前記ステータの内側又は外側に配置された筒状のロータとを備え、
前記ロータは、円筒状のロータコアと、複数の第1磁石と、複数の第2磁石と、を有し、
前記第1磁石の磁化方向は、前記ロータコアの径方向に対して交差し、
前記第2磁石の磁化方向は、前記ロータコアの径方向に対して交差し、かつ前記第1磁石の磁化方向と異なり、
前記第1磁石と前記第2磁石は、前記ロータコアの周方向において交互に配置されている回転電機であって、
前記ロータコアは、前記ステータと対向する第1面とは反対側に位置する第2面から前記ロータコアの径方向に凹む第1凹部及び第2凹部を有し、
前記第1凹部は、前記第1磁石のみと前記ロータコアの径方向に並んでいるとともに、前記第2凹部は、前記第2磁石のみと前記ロータコアの径方向に並んでいることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記第1磁石及び前記第2磁石はそれぞれ、前記ロータコアの周方向に並ぶとともに前記ロータコアの径方向において前記第1面から前記第2面に向かうにつれて互いに離れるように配置された一対の磁石構成体によって構成され、
前記第1凹部及び前記第2凹部の幅は、前記ロータコアの径方向において前記第2面から前記第1面に向かうにつれて小さくなっている請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記第1磁石及び前記第2磁石はそれぞれ、前記ロータコアの周方向に並ぶとともに前記ロータコアの径方向において前記第1面から前記第2面に向かうにつれて互いに離れるように配置された一対の磁石構成体によって構成され、
前記第1凹部及び前記第2凹部の底部は、前記ロータコアの周方向において一方の前記磁石構成体と他方の前記磁石構成体との間に位置する請求項1に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筒状のステータとステータの内側に配置された筒状のロータとを備えるモータが開示されている。ロータは、筒状のロータコアと、複数の第1磁石と、複数の第2磁石とを有している。第1磁石の磁化方向は、ロータコアの径方向に対して交差している。第2磁石の磁化方向は、ロータコアの径方向に対して交差し、かつ第1磁石の磁化方向と異なっている。第1磁石と第2磁石は、ロータコアの周方向において交互に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-217269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1磁石及び第2磁石は、ロータコアに配置された状態で着磁装置によって着磁される。第1磁石及び第2磁石の磁化方向がロータコアの径方向に対して交差するように第1磁石及び第2磁石を着磁する場合、磁石の寸法やロータコアに対する磁石の配置によっては、第1磁石及び第2磁石において着磁されにくい部分が存在することがある。第1磁石及び第2磁石において着磁されにくい部分が存在すると、第1磁石及び第2磁石の着磁率が低下する。したがって、第1磁石及び第2磁石の磁化方向がロータコアの径方向に対して交差するように第1磁石及び第2磁石を着磁する場合の第1磁石及び第2磁石の着磁率の向上が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するための回転電機は、筒状のステータと前記ステータの内側又は外側に配置された筒状のロータとを備え、前記ロータは、円筒状のロータコアと、複数の第1磁石と、複数の第2磁石と、を有し、前記第1磁石の磁化方向は、前記ロータコアの径方向に対して交差し、前記第2磁石の磁化方向は、前記ロータコアの径方向に対して交差し、かつ前記第1磁石の磁化方向と異なり、前記第1磁石と前記第2磁石は、前記ロータコアの周方向において交互に配置されている回転電機であって、前記ロータコアは、前記ステータと対向する第1面とは反対側に位置する第2面から前記ロータコアの径方向に凹む第1凹部及び第2凹部を有し、前記第1凹部は、前記第1磁石のみと前記ロータコアの径方向に並んでいるとともに、前記第2凹部は、前記第2磁石のみと前記ロータコアの径方向に並んでいることを要旨とする。
【0006】
第1磁石及び第2磁石を着磁する際には、ロータコアの第1面側に第1着磁装置を配置するとともに、ロータコアの第2面側に第2着磁装置を配置する。第1着磁装置及び第2着磁装置はそれぞれ、ロータコアの周方向に並ぶ複数の着磁ティースを有している。そして、着磁ティースから出た磁束が第1磁石及び第2磁石を通ることによって、第1磁石及び第2磁石が着磁される。詳しくは、第1着磁装置の着磁ティースから出た磁束は、第1磁石及び第2磁石における第1面側の部位を通ってロータコアの周方向に隣り合う第1着磁装置の着磁ティースに戻る。これにより、第1磁石及び第2磁石の第1面側の部位が着磁される。ロータコアの第2面には、第1凹部及び第2凹部が設けられている。第1凹部は、第1磁石のみとロータコアの径方向に並んでいる。第2凹部は、第2磁石のみとロータコアの径方向に並んでいる。このため、ロータコアの第2面側の部位であって第1磁石のみと径方向に並ぶ部分の磁気抵抗は、第1凹部によって大きくなっている。これにより、第2着磁装置の着磁ティースから出た磁束がロータコアにおける第2面側の部位であって第1磁石のみと径方向に並ぶ部分を通ってロータコアの周方向に隣り合う第2着磁装置の着磁ティースに戻ることが妨げられる。また、ロータコアの第2面側の部位であって第2磁石のみと径方向に並ぶ部分の磁気抵抗は、第2凹部によって大きくなっている。これにより、第2着磁装置の着磁ティースから出た磁束がロータコアにおける第2面側の部位であって第2磁石のみと径方向に並ぶ部分を通ってロータコアの周方向に隣り合う第2着磁装置の着磁ティースに戻ることが妨げられる。したがって、第2着磁装置の着磁ティースから出た磁束は、第1磁石及び第2磁石における第2面側の部位を通ることになる。よって、第1磁石及び第2磁石における第2面側の部位が着磁されやすくなる。その結果、第1磁石及び第2磁石の着磁率が向上する。
【0007】
上記回転電機において、前記第1磁石及び前記第2磁石はそれぞれ、前記ロータコアの周方向に並ぶとともに前記ロータコアの径方向において前記第1面から前記第2面に向かうにつれて互いに離れるように配置された一対の磁石構成体によって構成され、前記第1凹部及び前記第2凹部の幅は、前記ロータコアの径方向において前記第2面から前記第1面に向かうにつれて小さくなっていてもよい。
【0008】
第1凹部の底部において第1凹部の幅は小さい方が好ましい。第1凹部の底部における第1凹部の幅が大きいと、第1凹部を区画する内面から第1磁石までの距離が短くなることによって、着磁後に磁束飽和が生じやすくなるためである。同様に、第2凹部の底部において第2凹部の幅は小さい方が好ましい。第2凹部の底部における第2凹部の幅が大きいと、第2凹部を区画する内面から第2磁石までの距離が短くなることによって、着磁後に磁束飽和が生じやすくなるためである。
【0009】
一方、ロータコアの第2面において第1凹部の幅は大きい方が好ましい。ロータコアの第2面における第1凹部の幅が大きい方が、ロータコアにおける第2面側の部位であって第1磁石のみと径方向に並ぶ部分の磁気抵抗が大きくなるためである。この場合、第2着磁装置の着磁ティースから出た磁束がロータコアにおける第2面側の部位であって第1磁石のみと径方向に並ぶ部分を通って隣り合う第2着磁装置の着磁ティースに戻ることがより妨げられる。同様に、ロータコアの第2面において第2凹部の幅は大きい方が好ましい。ロータコアの第2面における第2凹部の幅が大きい方が、ロータコアにおける第2面側の部位であって第2磁石のみと径方向に並ぶ部分の磁気抵抗が大きくなるためである。この場合、第2着磁装置の着磁ティースから出た磁束がロータコアにおける第2面側の部位であって第2磁石のみと径方向に並ぶ部分を通って隣り合う第2着磁装置の着磁ティースに戻ることがより妨げられる。したがって、第1磁石及び第2磁石における第2面側の部位がより着磁されやすくなる。
【0010】
以上のことから、第1凹部及び第2凹部の幅をロータコアの径方向において第2面から第1面に向かうにつれて小さくすることによって、着磁後の磁束飽和が生じにくくなるとともに、第1磁石及び第2磁石における第2面側の部位がより着磁されやすくなる。
【0011】
上記回転電機において、前記第1磁石及び前記第2磁石はそれぞれ、前記ロータコアの周方向に並ぶとともに前記ロータコアの径方向において前記第1面から前記第2面に向かうにつれて互いに離れるように配置された一対の磁石構成体によって構成され、前記第1凹部及び前記第2凹部の底部は、前記ロータコアの周方向において一方の前記磁石構成体と他方の前記磁石構成体との間に位置してもよい。
【0012】
第1凹部の底部がロータコアの周方向において第1磁石を構成する一対の磁石構成体の間に位置していない場合と比較して、第2着磁装置の着磁ヨークから出た磁束がロータコアにおける第2面側の部位であって第1磁石のみと径方向に並ぶ部分を通って隣り合う第2着磁装置の着磁ヨークに戻ることがより妨げられる。同様に、第2凹部の底部がロータコアの周方向において第2磁石を構成する一対の磁石構成体の間に位置していない場合と比較して、第2着磁装置の着磁ヨークから出た磁束がロータコアにおける第2面側の部位であって第2磁石のみと径方向に並ぶ部分を通って隣り合う第2着磁装置の着磁ヨークに戻ることがより妨げられる。よって、第1磁石及び第2磁石における第2面側の部位がより着磁されやすくなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1磁石及び第2磁石の着磁率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態における回転電機を示す平面図である。
図2】第1実施形態におけるロータを示す部分平面図である。
図3】第1実施形態におけるロータ及び着磁装置を示す部分断面図である。
図4】第2実施形態におけるロータを示す部分平面図である。
図5】第2実施形態におけるロータ及び着磁装置を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、回転電機を具体化した第1実施形態を図1図3にしたがって説明する。
<回転電機の構成>
図1に示すように、回転電機10は、筒状のステータ11と、筒状のロータ12とを備えている。本実施形態では、ロータ12は、ステータ11の内側に配置されている。したがって、本実施形態の回転電機10は、インナロータ型の回転電機である。
【0016】
ロータ12は、円筒状のロータコア21と、複数の第1磁石22aと、複数の第2磁石22bとを有している。図示しないが、ロータコア21は、磁性体からなる円板状の電磁鋼板が複数積層されることによって形成されている。第1磁石22a及び第2磁石22bは、例えば、ネオジム磁石である。
【0017】
ロータコア21は、第1面21a及び第2面21bを有している。第1面21aは、ステータ11と対向する面である。第2面21bは、ロータコア21の径方向において第1面21aとは反対側に位置する面である。インナロータ型の回転電機の場合、第1面21aは、ロータコア21の外周面である。第2面21bは、ロータコア21の内周面である。
【0018】
図2に示すように、ロータコア21は、複数の磁石挿通孔23を有している。複数の磁石挿通孔23は、ロータコア21の周方向に並んでいる。本実施形態の磁石挿通孔23は、ロータコア21を軸方向に貫通している。
【0019】
第1実施形態では、各磁石挿通孔23は、ロータコア21の周方向に並ぶ一対の挿通孔構成部230によって構成されている。一対の挿通孔構成部230は、ロータコア21の径方向において第1面21aから第2面21bに向かうにつれて互いに離れるように形成されている。つまり、磁石挿通孔23は、V字状に形成されている。本実施形態では、各挿通孔構成部230は、ロータコア21の第1面21aにおいて開口している。
【0020】
第1磁石22a及び第2磁石22bはそれぞれ、磁石挿通孔23に挿通されている。第1磁石22aと第2磁石22bは、ロータコア21の周方向において交互に並んでいる。図2において矢印で示すように、第1磁石22aの磁化方向及び第2磁石22bの磁化方向はそれぞれ、ロータコア21の径方向に対して交差している。第1磁石22aと第2磁石22bは、ロータコア21の周方向において同じ磁極同士が向かい合うように配置されている。つまり、第1磁石22aのS極と第2磁石22bのS極は、ロータコア21の周方向において向かい合っている。第1磁石22aのN極と第2磁石22bのN極は、ロータコア21の周方向において向かい合っている。したがって、第1磁石22aの磁化方向と第2磁石22bの磁化方向は異なっている。第1磁石22aの磁化方向は、ロータコア21の周方向における第1の向きである。第2磁石22bの磁化方向は、ロータコア21の周方向における第1の向きとは反対の向きである第2の向きである。
【0021】
第1実施形態では、第1磁石22a及び第2磁石22bはそれぞれ、一対の磁石構成体220によって構成されている。一方の磁石構成体220は、磁石挿通孔23を構成する一方の挿通孔構成部230に挿通されるとともに、他方の磁石構成体220は、磁石挿通孔23を構成する他方の挿通孔構成部230に挿通されている。したがって、一対の磁石構成体220は、ロータコア21の周方向において並んでいる。また、一対の磁石構成体220は、ロータコア21の径方向において第1面21aから第2面21bに向かうにつれて互いに離れるように配置されている。つまり、第1磁石22a及び第2磁石22bはそれぞれ、V字状をなしている。
【0022】
一対の磁石構成体220は、ロータコア21の周方向において異なる磁極同士が向かい合うように配置されている。つまり、一方の磁石構成体220のS極と他方の磁石構成体220のN極は、ロータコア21の周方向において向かい合っている。
【0023】
ロータコア21は、複数の第1凹部241と、複数の第2凹部242とを有している。第1凹部241及び第2凹部242はそれぞれ、ロータコア21の第2面21bからロータコア21の径方向に凹んだ部分である。本実施形態では、第1凹部241及び第2凹部242はそれぞれ、ロータコア21を軸方向に貫通している。言い換えると、第1凹部241及び第2凹部242はそれぞれ、ロータコア21の軸方向において連続的に設けられている。
【0024】
第1凹部241と第2凹部242は、ロータコア21の周方向において等間隔に配置されている。第1凹部241と第2凹部242は、ロータコア21の周方向において交互に並んでいる。第1凹部241は、第1磁石22aのみとロータコア21の径方向に並んでいる。第1凹部241は、第2磁石22bとはロータコア21の径方向に並んでいない。第2凹部242は、第2磁石22bのみとロータコア21の径方向に並んでいる。第2凹部242は、第1磁石22aとはロータコア21の径方向に並んでいない。
【0025】
本実施形態では、ロータコア21の軸方向から見た第1凹部241及び第2凹部242のそれぞれの形状は、三角形状である。第1凹部241及び第2凹部242のそれぞれの幅W24は、ロータコア21の径方向において第2面21bから第1面21aに向かうにつれて徐々に小さくなっている。第1凹部241及び第2凹部242のそれぞれの底部24aは、三角形の頂点に位置している。
【0026】
第1凹部241の深さ、すなわちロータコア21の第2面21bから第1凹部241の底部24aまでの距離は、ロータコア21の第2面21bから第1磁石22aまでの距離よりも長い。したがって、第1凹部241の底部24aは、ロータコア21の周方向において、第1磁石22aを構成する一対の磁石構成体220の間に位置している。すなわち、第1凹部241の底部24aは、ロータコア21の周方向において、第1磁石22aを構成する一方の磁石構成体220と他方の磁石構成体220との間に位置している。
【0027】
第2凹部242の深さ、すなわちロータコア21の第2面21bから第2凹部242の底部24aまでの距離は、ロータコア21の第2面21bから第2磁石22bまでの距離よりも長い。したがって、第2凹部242の底部24aは、ロータコア21の周方向において、第2磁石22bを構成する一対の磁石構成体220の間に位置している。すなわち、第2凹部242の底部24aは、ロータコア21の周方向において、第2磁石22bを構成する一方の磁石構成体220と他方の磁石構成体220との間に位置している。
【0028】
ロータコア21の第2面21bにおいてロータコア21の周方向に隣り合う第1凹部241と第2凹部242との間隔Pは、後述する第2着磁ティース55bの幅W55よりも大きい。
【0029】
<永久磁石の着磁装置>
図3に示すように、永久磁石の着磁装置50は、第1着磁装置51と第2着磁装置52とを備えている。なお、図3は断面図であるが、ハッチングを省略している。
【0030】
第1着磁装置51は、第1着磁コア53と第1着磁コイル54とを備えている。第1着磁コア53は、円筒状の第1着磁ヨーク53aと、複数の第1着磁ティース53bとを有している。第1着磁ティース53bの数は、第1磁石22aの数と第2磁石22bの数の合計と同数である。第1着磁ティース53bは、第1着磁ヨーク53aの内周面から突出している。複数の第1着磁ティース53bは、第1着磁ヨーク53aの周方向において等間隔に配置されている。第1着磁ヨーク53aの周方向に隣り合う第1着磁ティース53bの間には、第1スロットS1が形成されている。第1着磁コイル54は、第1着磁ティース53bに巻回されている。第1着磁コイル54の一部は、第1スロットS1を通過している。
【0031】
第2着磁装置52は、第2着磁コア55と第2着磁コイル56とを備えている。第2着磁コア55は、円筒状の第2着磁ヨーク55aと、複数の第2着磁ティース55bとを有している。第2着磁ティース55bの数は、第1着磁ティース53bの数と同数である。第2着磁ティース55bは、第2着磁ヨーク55aの外周面から突出している。複数の第2着磁ティース55bは、第2着磁ヨーク55aの周方向において等間隔に配置されている。第2着磁ヨーク55aの周方向に隣り合う第2着磁ティース55bの間には、第2スロットS2が形成されている。第2着磁コイル56は、第2着磁ティース55bに巻回されている。第2着磁コイル56の一部は、第2スロットS2を通過している。
【0032】
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用について第1磁石22a及び第2磁石22bの着磁方法とともに説明する。
【0033】
図3に示すように、永久磁石の着磁装置50は、着磁前の第1磁石22a及び第2磁石22bを有するロータ12に対して配置される。第1着磁装置51は、ロータコア21の第1面21a側、すなわちロータ12の外側に配置される。第2着磁装置52は、ロータコア21の第2面21b側、すなわちロータ12の内側に配置される。第1着磁ヨーク53aの軸方向及び第2着磁ヨーク55aの軸方向はそれぞれ、ロータコア21の軸方向と一致している。
【0034】
第1着磁ティース53bの先端面と第2着磁ティース55bの先端面とは、ロータ12を介して向かい合っている。第1着磁ティース53bの先端面と第2着磁ティース55bの先端面との間には、磁石22a,22bにおける第2面21b側の部位が位置している。また、第1スロットS1と第2スロットS2とは、ロータ12を介してロータコア21の径方向に並んでいる。第1スロットS1と第2スロットS2との間には、第1磁石22aにおける第1面21a側の部位及び第1凹部241、もしくは第2磁石22bにおける第1面21a側の部位及び第2凹部242が位置している。
【0035】
第1着磁コイル54及び第2着磁コイル56は通電される。第1着磁コイル54において第1スロットS1を通過する部分を流れる電流の向きは、第1着磁ヨーク53aの軸方向の一方に向かう向きと、第1着磁ヨーク53aの軸方向の他方に向かう向きとで、第1スロットS1毎に交互になるように設定されている。また、第2着磁コイル56において第2スロットS2を通過する部分を流れる電流の向きは、第2着磁ヨーク55aの軸方向の一方に向かう向きと、第2着磁ヨーク55aの軸方向の他方に向かう向きとで、第2スロットS2毎に交互になるように設定されている。第1実施形態では、第1着磁コイル54において第1スロットS1を通過する部分を流れる電流の向きと、第2着磁コイル56において当該第1スロットS1と径方向に並ぶ第2スロットS2を通過する部分を流れる電流の向きとは、同じ向きである。
【0036】
第1着磁ティース53bから出た磁束は、磁石22a,22bにおける第1面21a側の部位を通って、第1着磁ヨーク53aの周方向において隣り合う第1着磁ティース53bに戻る。これにより、第1磁石22a及び第2磁石22bにおける第1面21a側の部位が着磁される。
【0037】
ここで、ロータコア21に第1凹部241及び第2凹部242が設けられていない場合について説明する。この場合、図3において二点鎖線の矢印で示すように、第2着磁ティース55bから出た磁束は、ロータコア21における第2面21b側の部位であって第1磁石22aのみと径方向に並ぶ部分を通って、第2着磁ヨーク55aの周方向において隣り合う第2着磁ティース55bに戻る。第2着磁ティース55bから出た磁束は、ロータコア21における第2面21b側の部位であって第2磁石22bのみと径方向に並ぶ部分を通って、第2着磁ヨーク55aの周方向において隣り合う第2着磁ティース55bに戻る。つまり、第2着磁ティース55bから出た磁束は、磁石22a,22bを通ることなく、隣り合う第2着磁ティース55bに戻る。したがって、第1磁石22a及び第2磁石22bにおける第2面21b側の部位は着磁されにくい。
【0038】
これに対し、本実施形態では、ロータコア21は、第2面21bから凹む第1凹部241及び第2凹部242を有している。第1凹部241は、第1磁石22aのみとロータコア21の径方向に並んでいる。第2凹部242は、第2磁石22bのみとロータコア21の径方向に並んでいる。このため、ロータコア21の第2面21b側の部位であって第1磁石22aのみと径方向に並ぶ部分の磁気抵抗は、第1凹部241によって大きくなっている。したがって、第2着磁ティース55bから出た磁束がロータコア21における第2面21b側の部位であって第1磁石22aのみと径方向に並ぶ部分を通って隣り合う第2着磁ティース55bに戻ることが妨げられる。また、ロータコア21の第2面21b側の部位であって第2磁石22bのみと径方向に並ぶ部分の磁気抵抗は、第2凹部242によって大きくなっている。したがって、第2着磁ティース55bから出た磁束がロータコア21における第2面21b側の部位であって第2磁石22bのみと径方向に並ぶ部分を通って隣り合う第2着磁ティース55bに戻ることが妨げられる。
【0039】
第1実施形態では、第2着磁ティース55bから出た磁束は、第1磁石22a及び第2磁石22bにおける第2面21b側の部位を通って、第2着磁ティース55bと向かい合う第1着磁ティース53bに流れる。よって、第1磁石22a及び第2磁石22bにおける第2面21b側の部位は、ロータコア21に第1凹部241及び第2凹部242が設けられていない場合と比較して着磁されやすくなる。
【0040】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1-1)ロータコア21は、第2面21bからロータコア21の径方向に凹む第1凹部241及び第2凹部242を有している。第1凹部241は、第1磁石22aのみとロータコア21の径方向に並んでいる。第2凹部242は、第2磁石22bのみとロータコア21の径方向に並んでいる。このため、ロータコア21における第2面21b側の部位であって第1磁石22aのみと径方向に並ぶ部分の磁気抵抗は、第1凹部241によって大きくなっている。これにより、第1磁石22a及び第2磁石22bの着磁時において、第2着磁ティース55bから出た磁束がロータコア21における第2面21b側の部位であって第1磁石22aのみと径方向に並ぶ部分を通って、第2着磁ヨーク55aの周方向に隣り合う第2着磁ティース55bに戻ることが妨げられる。また、ロータコア21における第2面21b側の部位であって第2磁石22bのみと径方向に並ぶ部分の磁気抵抗は、第2凹部242によって大きくなっている。これにより、第1磁石22a及び第2磁石22bの着磁時において、第2着磁ティース55bから出た磁束がロータコア21における第2面21b側の部位であって第2磁石22bのみと径方向に並ぶ部分を通って、第2着磁ヨーク55aの周方向に隣り合う第2着磁ティース55bに戻ることが妨げられる。したがって、第2着磁ティース55bから出た磁束は、第1磁石22a及び第2磁石22bにおける第2面21b側の部位を通ることになる。よって、第1磁石22a及び第2磁石22bにおける第2面21b側の部位が着磁されやすくなる。その結果、第1磁石22a及び第2磁石22bの着磁率が向上する。
【0041】
(1-2)第1磁石22a及び第2磁石22bの着磁率を向上するための方法として、例えば、第1着磁コイル54に流す電流を大きくすることが考えられる。この場合、第1着磁ティース53bから出た磁束が磁石22a,22bにおける第2面21b側の部位まで到達しやすくなるため、第1磁石22a及び第2磁石22bにおける第2面21b側の部位は着磁されやすくなる。しかしながら、この方法では、着磁装置50のコストが増加したり、着磁装置50の消費電力が大きくなったりする。また、第1着磁コイル54に供給可能な電力にも限界がある。これに対し、本実施形態では、ロータコア21に第1凹部241及び第2凹部242を設けることによって、第2着磁装置52により第1磁石22a及び第2磁石22bにおける第2面21b側の部位を効率良く着磁している。したがって、より少ないエネルギーで第1磁石22a及び第2磁石22bを着磁することができる。
【0042】
(1-3)第1磁石22a及び第2磁石22bの着磁率を向上するための方法として、例えば、ロータコア21の第1面21a側の部位における第1磁石22aと第2磁石22bとの間に位置する部分に穴などを設けることが考えられる。この場合、第1着磁ティース53bから出た磁束が磁石22a,22bにおける第2面21b側の部位まで到達しやすくなるため、第1磁石22a及び第2磁石22bにおける第2面21b側の部位が着磁されやすくなる。しかしながら、ロータコア21の第1面21a側の部位に穴が設けられていると、回転電機10の運転時にステータ11の磁束がロータコア21を通りにくくなるため、トルクが低下する。これに対し、本実施形態では、ロータコア21の第2面21bに第1凹部241及び第2凹部242を設けることによって、第1磁石22a及び第2磁石22bにおける第2面21b側の部位を着磁しやすくしている。このため、回転電機10の運転時にステータ11の磁束がロータコア21を通りにくくなることを回避できる。よって、トルクの低下を回避できる。
【0043】
(1-4)本実施形態の第1磁石22a及び第2磁石22bはそれぞれ、ロータコア21の周方向に並ぶとともに、ロータコア21の径方向において第1面21aから第2面21bに向かうにつれて互いに離れるように配置された一対の磁石構成体220によって構成されている。
【0044】
この場合、第1凹部241の底部24aにおける第1凹部241の幅W24は小さい方が好ましい。第1凹部241の底部24aにおける第1凹部241の幅W24が大きいと、第1凹部241を区画する内面から第1磁石22aまでの間の距離が短くなることによって、着磁後に磁束飽和が生じやすくなるためである。同様に、第2凹部242の底部24aにおける第2凹部242の幅W24は小さい方が好ましい。第2凹部242の底部24aにおける第2凹部242の幅W24が大きいと、第2凹部242を区画する内面から第2磁石22bまでの間の距離が短くなることによって、着磁後に磁束飽和が生じやすくなるためである。
【0045】
一方、ロータコア21の第2面21bにおける第1凹部241の幅W24は大きい方が好ましい。ロータコア21の第2面21bにおける第1凹部241の幅W24が大きい方が、ロータコア21における第2面21b側の部位であって第1磁石22aのみと径方向に並ぶ部分の磁気抵抗が大きくなるためである。この場合、第2着磁ティース55bから出た磁束がロータコア21における第2面21b側の部位であって第1磁石22aのみと径方向に並ぶ部分を通って隣り合う第2着磁ティース55bに戻ることがより妨げられる。同様に、ロータコア21の第2面21bにおける第2凹部242の幅W24は大きい方が好ましい。ロータコア21の第2面21bにおける第2凹部242の幅W24が大きい方が、ロータコア21における第2面21b側の部位であって第2磁石22bのみと径方向に並ぶ部分の磁気抵抗が大きくなるためである。この場合、第2着磁ティース55bから出た磁束がロータコア21における第2面21b側の部位であって第2磁石22bのみと径方向に並ぶ部分を通って隣り合う第2着磁ティース55bに戻ることがより妨げられる。したがって、第1磁石22a及び第2磁石22bにおける第2面21b側の部位がより着磁されやすくなる。
【0046】
本実施形態では、第1凹部241及び第2凹部242の幅W24は、ロータコア21の径方向において第2面21bから第1面21aに向かうにつれて小さくなっている。よって、着磁後の磁束飽和が生じにくくなるとともに、第1磁石22a及び第2磁石22bにおける第2面21b側の部位がより着磁されやすくなる。
【0047】
(1-5)第1凹部241の底部24aは、ロータコア21の周方向において、第1磁石22aを構成する一対の磁石構成体220の間に位置している。このため、第1凹部241の底部24aがロータコア21の周方向において、第1磁石22aを構成する一対の磁石構成体220の間に位置していない場合と比較して、第2着磁ティース55bから出た磁束がロータコア21における第2面21b側の部位であって第1磁石22aのみと径方向に並ぶ部分を通って隣り合う第2着磁ティース55bに戻ることがより妨げられる。同様に、第2凹部242の底部24aは、ロータコア21の周方向において、第2磁石22bを構成する一対の磁石構成体220の間に位置している。このため、第2凹部242の底部24aがロータコア21の周方向において、第2磁石22bを構成する一対の磁石構成体220の間に位置していない場合と比較して、第2着磁ティース55bから出た磁束がロータコア21における第2面21b側の部位であって第2磁石22bのみと径方向に並ぶ部分を通って隣り合う第2着磁ティース55bに戻ることがより妨げられる。よって、第1磁石22a及び第2磁石22bにおける第2面21b側の部位がより着磁されやすくなる。
【0048】
(1-6)ロータコア21の第2面21bにおける第1凹部241と第2凹部242との間隔Pは、第2着磁ティース55bの幅W55よりも大きい。このため、第2着磁ティース55bの先端面全体がロータコア21の第2面21bと対向する。よって、第2着磁ティース55bから出た磁束がロータコア21に入りやすくなる。
【0049】
[第2実施形態]
以下、回転電機を具体化した第2実施形態を図4及び図5にしたがって説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
【0050】
図4に示すように、本実施形態では、磁石挿通孔23は、ロータコア21の径方向の中央よりも第1面21a側に寄せて形成されている。本実施形態では、ロータコア21の軸方向から見た磁石挿通孔23の形状は、長方形状である。
【0051】
図4において矢印で示すように、第1磁石22a及び第2磁石22bの磁化方向は、ロータコア21の径方向に対して交差している。第2実施形態では、第1磁石22a及び第2磁石22bの磁化方向は、ロータコア21の径方向に対してほぼ直交している。本実施形態の第1磁石22a及び第2磁石22bは、磁石挿通孔23に挿通されることによって、ロータコア21の径方向の中央よりも第1面21a側に寄せて配置されている。したがって、ロータコア21の径方向におけるロータコア21の第1面21aから磁石22a,22bまでの距離は、ロータコア21の径方向におけるロータコア21の第2面21bから磁石22a,22bまでの距離よりも短い。
【0052】
本実施形態では、ロータコア21の軸方向から見た第1凹部241及び第2凹部242のそれぞれの形状は、台形形状である。第1凹部241及び第2凹部242のそれぞれの幅W24は、ロータコア21の径方向において第2面21bから第1面21aに向かうにつれて徐々に大きくなっている。
【0053】
第1凹部241の底部24aにおける第1凹部241の幅W24aは、第1磁石22aの幅W22とほぼ同じである。第2凹部242の底部24aにおける第2凹部242の幅W24aは、第2磁石22bの幅W22とほぼ同じである。
【0054】
ロータコア21の第2面21bにおいてロータコア21の周方向に隣り合う第1凹部241と第2凹部242との間隔Pは、第2着磁ティース55bの幅W55とほぼ同じである。
【0055】
ロータコア21の径方向における第1磁石22aから第1凹部241までの距離Lは、ロータコア21の強度が確保される範囲内で短く設定されている。ロータコア21の径方向における第2磁石22bから第2凹部242までの距離Lは、ロータコア21の強度が確保される範囲内で短く設定されている。
【0056】
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用について第1磁石22a及び第2磁石22bの着磁方法とともに説明する。
【0057】
図5に示すように、永久磁石の着磁装置50は、着磁前の第1磁石22a及び第2磁石22bを有するロータ12に対して配置される。第1着磁装置51は、ロータコア21の第1面21a側、すなわちロータ12の外側に配置される。第2着磁装置52は、ロータコア21の第2面21b側、すなわちロータ12の内側に配置される。第1着磁ヨーク53aの軸方向及び第2着磁ヨーク55aの軸方向はそれぞれ、及びロータコア21の軸方向と一致している。なお、図5は断面図であるが、ハッチングを省略している。
【0058】
第1着磁ティース53bの先端面と第2着磁ティース55bの先端面とは、ロータコア21を介して向かい合っている。また、第1スロットS1と第2スロットS2とは、ロータ12を介してロータコア21の径方向に並んでいる。第1スロットS1と第2スロットS2との間には、第1磁石22a及び第1凹部241、もしくは第2磁石22b及び第2凹部242が位置している。
【0059】
第1着磁コイル54及び第2着磁コイル56は通電される。第2実施形態では、第1着磁コイル54において第1スロットS1を通過する部分を流れる電流の向きと、第2着磁コイル56において当該第1スロットS1と径方向に並ぶ第2スロットS2を通過する部分を流れる電流の向きとは、反対向きである。
【0060】
第1着磁ティース53bから出た磁束は、磁石22a,22bにおける第1面21a側の部位を通って、第2着磁ヨーク55aの周方向において隣り合う第1着磁ティース53bに戻る。これにより、第1磁石22a及び第2磁石22bにおける第1面21a側の部位が着磁される。
【0061】
ここで、ロータコア21に第1凹部241及び第2凹部242が設けられていない場合について説明する。この場合、図5において二点鎖線の矢印で示すように、第2着磁ティース55bから出た磁束は、ロータコア21における第2面21b側の部位であって第1磁石22aのみと径方向に並ぶ部分を通って、第2着磁ヨーク55aの周方向において隣り合う第2着磁ティース55bに戻る。第2着磁ティース55bから出た磁束は、ロータコア21における第2面21b側の部位であって第2磁石22bのみと径方向に並ぶ部分を通って、第2着磁ヨーク55aの周方向において隣り合う第2着磁ティース55bに戻る。つまり、第2着磁ティース55bから出た磁束は、磁石22a,22bを通ることなく、隣り合う第2着磁ティース55bに戻る。したがって、第1磁石22a及び第2磁石22bにおける第2面21b側の部位は着磁されにくい。
【0062】
これに対し、本実施形態では、ロータコア21は、第2面21bから凹む第1凹部241及び第2凹部242を有している。第1凹部241は、第1磁石22aのみとロータコア21の径方向に並んでいる。第2凹部242は、第2磁石22bのみとロータコア21の径方向に並んでいる。このため、ロータコア21の第2面21b側の部位であって第1磁石22aのみと径方向に並ぶ部分の磁気抵抗は、第1凹部241によって大きくなっている。したがって、第2着磁ティース55bから出た磁束がロータコア21における第2面21b側の部位であって第1磁石22aのみと径方向に並ぶ部分を通って隣り合う第2着磁ティース55bに戻ることが妨げられる。また、ロータコア21の第2面21b側の部位であって第2磁石22bのみと径方向に並ぶ部分の磁気抵抗は、第2凹部242によって大きくなっている。したがって、第2着磁ティース55bから出た磁束がロータコア21における第2面21b側の部位であって第2磁石22bのみと径方向に並ぶ部分を通って隣り合う第2着磁ティース55bに戻ることが妨げられる。
【0063】
第2実施形態では、第2着磁ティース55bから出た磁束は、磁石22a,22bにおける第2面21b側の部位を通って、第2着磁ヨーク55aの周方向において隣り合う第2着磁ティース55bに戻る。よって、第1磁石22a及び第2磁石22bにおける第2面21b側の部位は、ロータコア21に第1凹部241及び第2凹部242が設けられていない場合と比較して着磁されやすくなる。
【0064】
[本実施形態の効果]
第2実施形態では、第1実施形態の効果(1-1),(1-2)と同様の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0065】
(2-1)例えば、磁石22a,22bがロータコア21の径方向の中央に設けられている場合、ロータコア21の径方向における第1面21aから磁石22a,22bまでの距離と、ロータコア21の径方向における第2面21bから磁石22a,22bまでの距離は同じになる。この場合、第1着磁ティース53bから出た磁束が磁石22a,22bにおける第1面21a側の部位を通りやすくなるように、ロータコア21の第2面21bだけでなく、第1面21aにも第1凹部241及び第2凹部242を設けることが考えられる。しかしながら、ロータコア21の第1面21aに第1凹部241及び第2凹部242が設けられていると、回転電機10の運転時にステータ11の磁束がロータコア21を通りにくくなるため、トルクが低下する。
【0066】
これに対し、本実施形態では、磁石22a,22bは、ロータコア21の径方向の中央よりも第1面21a側に寄せて設けられている。このため、ロータコア21の径方向における第1面21aから磁石22a,22bまでの距離は短くなる。したがって、第1着磁ティース53bから出た磁束は、磁石22a,22bにおける第1面21a側の部位を通りやすくなる。よって、トルクを低下させることなく、第1磁石22a及び第2磁石22bの第1面21a側の部位を効率良く着磁できる。
【0067】
なお、ロータコア21の径方向における第1面21aから磁石22a,22bまでの距離が短くなる分、ロータコア21の径方向における第2面21bから磁石22a,22bまでの距離は長くなる。しかしながら、ロータコア21の第2面21bには第1凹部241及び第2凹部242を設けることができるため、第1磁石22a及び第2磁石22bの第2面21b側の部位も着磁できる。
【0068】
(2-2)例えば、第1凹部241の底部24aにおける第1凹部241の幅W24aが第1磁石22aの幅W22よりも大きい場合、第2着磁ティース55bから出た磁束が第1磁石22aを通って隣り合う第2着磁ティース55bに戻ることが妨げられる。一方、第1凹部241の底部24aにおける第1凹部241の幅W24aが第1磁石22aの幅W22よりも小さい場合、第1磁石22aのN極から出た磁束が自身のS極に戻りやすくなる。本実施形態では、第1凹部241の底部24aにおける第1凹部241の幅W24は、第1磁石22aの幅W22とほぼ同じである。したがって、第1磁石22aを着磁するための磁束の流れが第1凹部241によって妨げられることを回避できる。また、第1磁石22aのN極から出た磁束が自身のS極に戻りにくくなるため、第1磁石22aの磁力の一部が回転電機10の運転に寄与しない無駄な磁力になりにくい。
【0069】
同様に、第2凹部242の底部24aにおける第2凹部242の幅W24aが第2磁石22bの幅W22よりも大きい場合、第2着磁ティース55bから出た磁束が第2磁石22bを通って隣り合う第2着磁ティース55bに戻ることが妨げられる。一方、第2凹部242の底部24aにおける第2凹部242の幅W24aが第2磁石22bの幅W22よりも小さい場合、第2磁石22bのN極から出た磁束が自身のS極に戻りやすくなる。本実施形態では、第2凹部242の底部24aにおける第2凹部242の幅W24は、第2磁石22bの幅W22とほぼ同じである。したがって、第2磁石22bを着磁するための磁束の流れが第2凹部242によって妨げられることを回避できる。また、第2磁石22bのN極から出た磁束が自身のS極に戻りにくくなるため、第2磁石22bの磁力の一部が回転電機10の運転に寄与しない無駄な磁力になりにくい。
【0070】
(2-3)本実施形態では、ロータコア21の径方向における第1磁石22aから第1凹部241までの距離Lは、ロータコア21の強度が確保される範囲内で短く設定されている。距離Lが短いほど、第1磁石22aのN極から出た磁束が自身のS極に戻りにくくなる。また、ロータコア21の径方向における第2磁石22bから第2凹部242までの距離Lは、ロータコア21の強度が確保される範囲内で短く設定されている。距離Lが短いほど、第2磁石22bのN極から出た磁束が自身のS極に戻りにくくなる。したがって、磁石22a,22bの磁力の一部が回転電機10の運転に寄与しない無駄な磁力になりにくい。
【0071】
(2-4)ロータコア21の第2面21bにおける第1凹部241と第2凹部242との間隔Pは、第2着磁ティース55bの幅W55とほぼ同じである。このため、第2着磁ティース55bの先端面全体がロータコア21の第2面21bと対向する。よって、第2着磁ティース55bから出た磁束がロータコア21に入りやすくなる。
【0072】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0073】
○ ロータ12は、ステータ11の外側に配置されていてもよい。すなわち、回転電機10は、アウタロータ型の回転電機であってもよい。この場合、ロータコア21の内周面がステータ11と対向する第1面21aである。ロータコア21の外周面が第1面21aの反対に位置する第2面21bである。したがって、第1凹部241及び第2凹部242は、ロータコア21の外周面に設けられる。
【0074】
○ 第1実施形態において、挿通孔構成部230は、ロータコア21の第1面21aにおいて開口していなくてもよい。
○ 第1実施形態及び第2実施形態において、凹部241,242の形状は適宜変更されてもよい。
【0075】
例えば、ロータコア21の軸方向から見た凹部241,242の形状は、長方形状であってもよい。すなわち、凹部241,242の幅W24は、ロータコア21の径方向において一定であってもよい。
【0076】
例えば、凹部241,242の幅W24は、ロータコア21の径方向において徐々に変化していなくてもよい。凹部241,242の幅W24は、ロータコア21の径方向において多段階に変化していてもよい。
【0077】
例えば、ロータコア21の軸方向から見た凹部241,242の形状は、半円形状であってもよい。すなわち、凹部241,242を区画する内面は、弧状に延びていてもよい。
【0078】
○ 第1実施形態において、第1凹部241の深さ、すなわちロータコア21の第2面21bから第1凹部241の底部24aまでの距離は、ロータコア21の第2面21bから第1磁石22aまでの距離よりも短くてもよい。この場合、第1凹部241の底部24aは、ロータコア21の周方向において、第1磁石22aを構成する一対の磁石構成体220の間に位置しない。
【0079】
同様に、第2凹部242の深さ、すなわちロータコア21の第2面21bから第2凹部242の底部24aまでの距離は、ロータコア21の第2面21bから第2磁石22bまでの距離よりも短くてもよい。この場合、第2凹部242の底部24aは、ロータコア21の周方向において、第2磁石22bを構成する一対の磁石構成体220の間に位置しない。
【0080】
○ 第1実施形態において、ロータコア21の第2面21bにおける第1凹部241と第2凹部242との間隔Pは、第2着磁ティース55bの幅W55以下であってもよい。
○ 第2実施形態において、凹部241,242の底部24aにおける凹部241,242の幅W24aは、磁石22a,22bの幅W22より大きくてもよいし、磁石22a,22bの幅W22より小さくてもよい。また、ロータコア21の第2面21bにおける第1凹部241と第2凹部242との間隔Pは、第2着磁ティース55bの幅W55より広くてもよいし、第2着磁ティース55bの幅W55より狭くてもよい。なお、磁石22a,22bの幅W22や第2着磁ティース55bの幅W55によっては、ロータコア21の軸方向から見た凹部241,242の形状は、幅W24がロータコア21の径方向において第2面21bから第1面21aに向かうにつれて徐々に小さくなる台形形状になる場合もある。
【0081】
○ 第1実施形態及び第2実施形態のように、ロータコア21が複数の電磁鋼板が積層されることによって形成される場合、凹部241,242は、外周面から凹む凹部構成部を有する複数の電磁鋼板が積層されることによって形成される。この場合、ロータコア21を形成する全ての電磁鋼板が凹部構成部を有していてもよいし、ロータコア21を形成する複数の電磁鋼板のうちの一部が凹部構成部を有していてもよい。
【0082】
ロータコア21を形成する全ての電磁鋼板が凹部構成部を有する場合、第1実施形態及び第2実施形態のように、凹部241,242は、ロータコア21の軸方向において連続して設けられる。一方、一部の電磁鋼板が凹部構成部を有する場合、例えば、凹部構成部を有する電磁鋼板と凹部構成部を有していない電磁鋼板とを交互に積層することによって、凹部241,242をロータコア21の軸方向において不連続に設けてもよい。この場合、全ての電磁鋼板が凹部構成部を有している場合と比較して、ロータコア21の強度が高くなる。
【符号の説明】
【0083】
10…回転電機、11…ステータ、12…ロータ、21…ロータコア、21a…第1面、21b…第2面、22a…第1磁石、22b…第2磁石、24a…底部、220…磁石構成体、241…第1凹部、242…第2凹部。
図1
図2
図3
図4
図5