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特開2024-113073可搬式の煙検知装置及び煙発生位置の特定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113073
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】可搬式の煙検知装置及び煙発生位置の特定方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/107 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
G08B17/107 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024091139
(22)【出願日】2024-06-05
(62)【分割の表示】P 2023069784の分割
【原出願日】2019-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2018183840
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018197343
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】松熊 秀成
(57)【要約】
【課題】監視区域の煙の発生位置を特定する作業が迅速且つ効率良く、確実に行える可搬式の煙検知装置及び煙発生位置の特定方法を提供する。
【解決手段】固定式の煙検知装置100が煙の発生を検知した後に、可搬式の煙検知装置10を使用して監視区域内を移動しながら吸引した空気中に含まれる煙を検出して煙の発生位置を特定する。検出開始時には、煙を検知する検知感度が固定式の煙検知装置100の検知感度よりも高い感度が初期感度に固定され、所定の煙検知信号を検出したときに、初期感度の固定が解除される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視区域の煙を検知する固定式の煙検知装置と併用され、前記監視区域内を移動しながら吸引した空気中に含まれる煙を検出して煙の発生位置を特定する可搬式の煙検知装置であって、
検出開始時には、前記煙を検知する検知感度が前記固定式の煙検知装置の前記検知感度よりも高い感度が初期感度に固定され、所定の煙検知信号を検出したときに、前記初期感度の固定が解除されることを特徴とする可搬式の煙検知装置。
【請求項2】
監視区域の煙を検知する固定式の煙検知装置が煙の発生を検知した後に、可搬式の煙検知装置を利用して煙の発生位置を特定する煙発生位置の特定方法であって、
前記固定式の煙検知装置の検出開始時には、前記可搬式の煙検知装置が前記煙を検知する検知感度を前記固定式の煙検知装置が前記煙を検知する検知感度よりも高い初期感度に固定し、前記可搬式の煙検知装置が前記初期感度にある状態で所定の煙検知信号を検出したときに、前記初期感度の固定を解除し、煙の検知感度を切替えながら前記監視区域内を移動して煙の発生位置を特定することを特徴とする煙発生位置の特定方法。
【請求項3】
監視区域内を移動しながら吸引した空気中に含まれる煙を検出して煙の発生位置を特定する可搬式の煙検知装置であって、
検出開始時には、前記監視区域の煙を検知する検知感度が所定の初期感度に固定され、前記初期感度にある状態で所定の煙検知信号を検出したときに、前記初期感度の固定が解除され、前記初期感度よりも低い前記検知感度に切替可能となることを特徴とする可搬式の煙検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視区域から吸引した空気中に含まれる微量の煙を検知する可搬式の煙検知装置及び煙発生位置の特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーバ等を設置したコンピュータルームや半導体製造設備等におけるクリーンルームには、煙を高感度で検知する固定式の煙検知装置が設けられている。この固定式の煙検知装置は、監視区域に設置したサンプリング管から空気を吸引し、その空気中に浮遊する極低濃度の煙を検知して作動するようにしている。
【0003】
このような固定式の煙検知装置が作動した場合、煙の発生位置が肉眼では捉えられない場合があることから、ホースの先端にサンプリング管を装着した持ち運び自在な可搬式の煙検知装置を使用し、監視区域内を移動しながら煙の発生位置を特定する作業を行うようにしている。
【0004】
また、従来の固定式の煙検知装置にあっては、サンプリング管に複数のサンプリング孔があることから、煙を検知しても煙の発生位置を特定することができないという問題がある。
【0005】
この問題を解決するため、防護空間の空気を吸引するサンプリング管に、例えば所定間隔で、吸引口を備えた光電式煙感知器を配置し、各光電式煙感知器にアドレスを設定しておくことで、煙を検知した光電式煙感知器のアドレスに基づき煙発生位置を特定できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-106678号公報
【特許文献2】特開2017-062820号公報
【特許文献3】特開2017-062821号公報
【特許文献4】特開2016-057791号公報
【特許文献5】特開2004-078807号公報
【特許文献6】国際公開W02013-031016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の可搬式の煙検知装置を用いて煙の発生位置を特定する作業にあっては、可搬式の煙検知装置における煙の検知感度を、固定式の煙検知装置における煙の検知感度よりも鈍くして作業を開始しているが、監視区域の煙は肉眼では確認できないほど薄い場合が少なくない。また、このような薄い煙が局所的に存在する範囲は監視区域全体のうちの狭い範囲である場合が多いので、初めから固定式の煙検知装置より低い煙の検知感度にして作業を始めると、煙の発生位置を見逃してしまう場合があり、また、監視区域を移動しながら煙の発生位置を特定する作業に手間と時間がかかる問題がある。
【0008】
また、従来の固定式の煙検知装置で監視区域内の煙発生区画を特定し、さらに可搬式の煙検知装置で詳細な煙発生位置を特定する方法については提案されていなかった。
【0009】
また、従来の固定式の煙検知装置にあっては、煙発生区画を特定するにあたって、サンプリング管の吸引位置毎に、光電式煙感知器を設けなければならないため、サンプリング管に設ける吸引口の数に応じて光電式煙感知器の数が増加し、設備構成が複雑化すると共に設備コストが大幅に増加する問題がある。
【0010】
本発明は、監視区域を移動しながら煙の発生位置を特定する作業が迅速且つ効率良く、確実に行えることを可能とする可搬式の煙検知装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、複雑化を避け、大幅な設備構成の増加を必要とすることなく少ない設備コストで煙の発生区画を特定可能とする固定式の煙検知装置を提供することを目的とする。
【0012】
更に、本発明は、固定式の煙検知装置で特定した監視区域内の煙の発生区画を可搬式の煙検知装置を用いて移動しながら煙の発生位置を絞り込んで特定する作業が迅速且つ効率良く、確実に行える煙発生位置の特定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[第1発明:可搬式の煙検知装置]
本願第1発明は、監視区域内を移動しながら監視区域内の空気を、サンプリング孔を介して吸引し、吸引した空気中に含まれる煙を検出して煙の発生位置を特定する可搬式の煙検知装置であって、
煙の検知感度を切替え制御する感度切替制御部を備え、
感度切替制御部は、動作開始時は、監視区域の煙を検知する固定式の煙検知装置における煙の検知感度と同じか又はそれよりも高い煙の検知感度を初期感度とし、このとき煙の検知感度の切替えは機能せず、固定式の煙検知装置が煙の発生を検知した後に監視区域内を移動しながら煙の発生位置を特定するのに使用される際には、初期感度から作業が開始され、煙の発生位置を特定するための使用中に、所定の煙検知信号を検出したときに、煙の検知感度の切替えが機能する状態にすることを特徴とする。
【0014】
ここで、固定式の煙検知装置における煙の検知感度とは、例えば、当該固定式の煙検知装置に接続されるサンプリング管の総延長が想定の最長であって、且つサンプリング管に設けるサンプリング孔が最多の条件で、監視区域の所定位置に所定濃度の煙が存在するときに、所定時間内に煙を検知して作動する検知感度、即ち、複数のサンプリング孔が設けられたサンプリング管の最先端に位置するサンプリング孔に対応した監視区域の所定位置に所定濃度の煙が存在するときに、この煙を所定時間内に検知して作動する検知感度(このとき検知できる煙濃度(%/m)、即ち上記所定濃度)を意味する。なお、サンプリング管に分岐等を設ける場合には、これらを考慮したうえで最も条件が厳しい位置のサンプリング孔に対応した位置の所定濃度の煙を所定時間内に検知して作動する感度(同様に、上記所定濃度)とする。
【0015】
(煙の検知感度の切替え機能)
感度切替制御部は、所定の煙検知信号を検出したときに、煙の検知感度を手動で切替える機能、又は、煙の検知感度を自動で切替える機能の、少なくとも一方を備える。
【0016】
(煙検知感度の手動切替と自動切替の組み合わせ機能)
感度切替制御部は、
煙の検知感度を手動で切替える手動感度切替機能と、
煙の検知感度を自動で切替える自動感度切替機能と、
手動感度切替機能又は自動感度切替機能を選択する選択手段と
を備え、
動作開始時および選択手段による選択時は、感度切替制御部は、監視区域の煙を検知する固定式の煙検知装置における煙の検知感度と同じか又はそれよりも高い煙の検知感度を初期感度とし、このとき煙の検知感度の切替えは機能せず、煙の発生位置を特定するための使用中に、所定の煙検知信号を検出したときに、選択手段により選択されている手動感度切替機能又は自動感度切替機能が機能する状態にする。
【0017】
(自動感度切替機能のリセット)
感度切替制御部は、
煙の検知感度を自動で切替える自動感度切替機能と、
自動感度切替機能により自動で切替えられた感度をリセットするリセット手段と
を備え、
動作開始時およびリセット手段によるリセット時は、感度切替制御部は監視区域の煙を検知する固定式の煙検知装置における煙の検知感度と同じか又はそれよりも高い煙の検知感度を初期感度とし、このとき煙の検知感度の切替えは機能せず、煙の発生位置を特定するための使用中に、所定の煙検知信号を検出したときに、自動感度切替機能が機能する状態にする。
【0018】
(自動切替で起動して手動で感度を切替える機能)
感度切替制御部は、
煙の検知感度を自動で切替える自動感度切替機能と、
煙の検知感度を手動で切替える手動感度切替機能と、
を備え、
動作開始時は、感度切替制御部は、監視区域の煙を検知する固定式の煙検知装置における煙の検知感度と同じか又はそれよりも高い煙の検知感度を初期感度とし、このとき煙の検知感度の切替えは機能せず、煙の発生位置を特定するための使用中に、所定の煙検知信号を検出したときに、自動感度切替機能及び手動感度切替機能が機能する状態とし、このとき、手動感度切替が行われたときには、感度切替制御部は、手動感度切替機能により切替えられた煙の検知感度を初期感度として煙の検知感度を自動で切替える。
【0019】
(煙発生位置の特定方法)
本発明は、監視区域の煙を検知する固定式の煙検知装置が煙の発生を検知した後に、可搬式の煙検知装置を利用して監視区域内を移動しながら監視区域内の空気をサンプリング孔を介して吸引し、吸引した空気中に含まれる煙を検出して煙の発生位置を特定する煙発生位置の特定方法であって、
可搬式の煙検知装置は、煙の検知感度が切替え可能であり、動作開始時は、固定式の煙検知装置における煙の検知感度と同じか又はそれよりも高い煙の検知感度を初期感度とし、このとき煙の検知感度の切替えは機能せず、煙の発生位置を特定するのに使用される際には、初期感度から作業が開始され、監視区域を移動しながら煙の発生位置を特定するための使用中に、所定の煙検知信号を検出したときに、煙の検知感度の切替えが機能する状態になり、煙の検知感度を切替えながら煙の発生位置を特定することを特徴とする。
【0020】
[第2発明:音及び又は振動で煙濃度を報知する可搬式の煙検知装置]
本願第2発明は、監視区域内を移動しながら監視区域内の空気を、サンプリング孔を介して吸引し、吸引した空気中に含まれる煙を検出して煙の発生位置を特定する可搬式の煙検知装置であって、
検知した煙濃度の変化に応じて、音及び/又は振動で報知を行う報知手段を備えたことを特徴とする。
【0021】
(煙濃度の変化の報知)
報知手段は、検知した煙濃度の変化に応じて音及び/又は振動の出力形態を変化させる。
【0022】
(煙濃度の変化傾向の報知)
報知手段は、検知した煙濃度の変化傾向に応じて音及び/又は振動の出力形態を異ならせる。
【0023】
(煙濃度の上昇傾向の報知)
報知手段は、検知した煙濃度の所定の変化傾向として上昇、停滞、下降のうち、少なくとも上昇傾向を音及び/又は振動により識別可能とする。
【0024】
(音及び/又は振動の出力周期の変化)
報知手段は、
所定音及び/又は所定振動の出力周期を変化させるものであり、
検知した煙濃度が上昇するときは、所定音及び/又は所定振動の出力周期を所定の短周期とするか、又は、煙濃度の上昇に応じて周期を短くさせ、
煙濃度が低下するときは、所定音及び/又は所定振動の出力周期を所定の長周期とするか、又は、煙濃度の下降傾向に応じて周期を長くさせ、
煙濃度変化が停滞傾向である場合は、所定音及び/又は所定振動の出力周期を所定の短周期と所定の長周期の間の所定周期とするか又は所定周期に固定して変化させない。
【0025】
(音及び/又は振動の出力デューティの変化)
報知手段は、
所定の繰り返し周期毎に所定音及び/又は所定振動の出力デューティを変化させるものであり、
検知した煙濃度が上昇するときは、所定音及び/又は所定振動の出力デューティを所定の最大出力デューティとするか、又は、煙濃度の上昇に応じて出力デューティを増加させ、
煙濃度が低下するときは、所定音及び/又は所定振動の出力デューティを所定の最小出力デューティとするか、又は、煙濃度の下降に応じて出力デューティを減少させ、
煙濃度変化が停滞傾向である場合は、所定音及び/又は所定振動の出力デューティを最大出力デューティと最小出力デューティの間の所定の出力デューティとするか又は所定出力デューティに固定して変化させない。
【0026】
[第3発明:固定式の煙検知装置]
本願第3発明は、
監視区域に配置され、サンプリング管を介して吸引した空気中に含まれる煙を検知する固定式の煙検知装置に於いて、
サンプリング管のサンプリング孔の所定数毎に対応して設けられた開閉弁と、
サンプリング管により吸引する空気量を略一定に保つように開閉弁を開閉制御する開閉弁制御部と、
サンプリング管を介して吸引した空気中に含まれる煙を検知したときに、開閉弁制御部による開閉弁の制御状態に基づいて煙発生位置を特定する煙検知制御部と、
が設けられたことを特徴とする。
【0027】
(開閉弁の順次開駆動)
開閉弁制御部は、開閉弁を所定台数ごとに、所定の順番に従い所定時間開駆動し、残りの開閉弁は閉駆動する制御を順次繰り返し、
煙検知制御部は、煙を検知したときに開駆動している開閉弁に対応した位置を煙発生位置に特定する。
【0028】
(開閉弁の開駆動時間)
複数の開閉弁を開駆動する開駆動時間は、開閉弁から吸引された空気がサンプリング管を介して煙検知装置本体に到達するまでの時間に基づいて設定される。
【0029】
(開閉弁の順次閉駆動)
開閉弁制御部は、開閉弁を所定台数ごとに、所定の順番に従い所定時間閉駆動し、残りの開閉弁は開駆動する制御を順次繰り返し、
煙検知制御部は、煙を検知している状態から煙を検知しない状態へ変化したときに、閉駆動している開閉弁に対応した位置を煙発生位置に特定する。
【0030】
(開閉弁の開放時間)
複数の開閉弁を閉駆動する閉駆動時間は、開閉弁から吸引された空気がサンプリング管を介して煙検知装置本体に到達するまでの時間に基づいて設定される。
【0031】
(開閉弁の開閉台数の個別設定)
また、開閉制御する開閉弁の所定台数は、順次繰り返す制御回に応じて個別に設定される。
【0032】
[第4発明:煙発生位置の特定方法]
本願第4発明は、固定式の煙検知装置で監視区域内の煙発生区画を特定し、その後に可搬式の煙検知装置を用いて当該煙発生区画内の煙発生位置を特定することを特徴とする。
【0033】
(第4発明の別形態)
また、本願第4発明の別の形態にあっては、固定式の煙検知装置で煙発生区画を特定し、当該煙発生区画において可搬式の煙検知装置を用いて煙発生位置を特定する煙発生位置の特定方法に於いて、
可搬式の煙検知装置を用いて火災発生位置を特定する場合に、固定式の煙検知装置の煙検知感度よりも高い感度を初期感度とし、このとき煙の検知感度の切替えは機能せず、煙発生区画内を移動しながら煙の発生位置を特定するのに使用される際には、初期感度から作業が開始され、煙の発生位置を特定するための使用中に、所定の煙検知信号を検出したときに、煙の検知感度の切替えが機能する状態となり、続いて、煙の検知感度を下げることにより、煙の発生位置を絞り込んで特定することを特徴とする。
【0034】
(開閉弁の開閉制御)
固定式の煙検知装置は、警戒区域に配置されたサンプリング管のサンプリング孔の所定数毎に対応して設けられた開閉弁を、サンプリング管により吸引する空気量を略一定に保つように開閉制御し、サンプリング管を介して吸引した空気中に含まれる煙を検知したときに、開閉弁の制御状態に基づいて煙発生区画を特定する。
【0035】
(開閉弁の表示灯による煙発生区画の報知)
固定式の煙検知装置は、開閉弁の配置位置に設けられた表示により、特定した煙発生区画を報知する。
【0036】
(煙検知器による煙発生区画の特定)
固定式の煙検知装置は、警戒区域に配置されたサンプリング管の吸引位置毎に、吸引した空気中に含まれる煙を検知する煙検知器が設けられ、煙検知器のID情報に基づいて煙発生区画を特定する。
【発明の効果】
【0037】
[本願第1発明の基本的な効果]
本発明の可搬式の煙検知装置及び煙発生位置の特定方法によれば、監視区域を移動しながら煙の発生位置を特定する作業を始める場合、可搬式の煙検知装置における煙の検知感度は、必ず、固定式の煙検知装置における煙の検知感度と同じか、又は、高い煙の検知感度を初期感度として始めるようにしたため、切替操作に係る作業開始時の感度設定ミスを防止し、従来のように始めから低感度とすることで狭い検知範囲にして作業を始めて煙の発生位置を見逃してしまうことがなく、監視区域を移動しながら煙の発生位置を特定する作業が迅速且つ効率良く、また確実に行えることを可能とする。
【0038】
また、固定式の煙検知装置における煙検知装置本体の煙の検知感度と同じか又はそれよりも高い検知感度を初期感度とし、このとき検知感度切替えは機能せず、煙の発生位置を特定するのに使用される際には、煙の検知感度の初期感度から作業が開始され、煙の発生位置を特定するための使用中に、所定の煙検知信号を検出したときに、煙の検知感度の切替えが機能する状態となるため、作業を始める際に、固定式の煙検知装置における煙の検知感度より低感度に切替えて作業を開始してしまうことを確実に防止でき、更に、煙の検知感度の初期感度で所定の煙検知信号を検出したときに煙の検知感度の切替えが機能する状態となり、その後、煙の検知感度を手動又は自動で、或いは手動及び自動で下げながら、また必要に応じ検知感度を手動又は自動で、或いは手動及び自動で上下しながら、煙の発生位置を絞り込む作業が可能となる。このため、迅速かつ効率良く、また確実に煙の発生位置を特定することができる。
【0039】
また、煙検知感度の手動感度切替機能と自動感度切替機能を選択的に組み合わせることにより、例えば最初は手動感度切替機能を選択して初期感度(高感度)から始め、反応を見ながら移動しつつ煙発生位置を探索していき、所定の煙検知信号が得られると手動で低感度に切替えることができるので、適宜、低感度に切替えながら絞り込みを進め、煙発生位置を相当絞り込んだ後は、自動感度切替機能に選択変更すると、初期感度から再スタートされるので、急に反応を失うことはなく、すぐに自動感度切替機能で適切な感度(低感度)に切替えられ、既に煙発生位置は相当絞り込まれているので、あとは切替操作に煩わされることなく自動で煙発生位置を特定する作業を進めることができる。
【0040】
また、最初は自動感度切替機能を選択して初期感度(高感度)から始め、反応を見ながら移動しつつ煙発生位置を探索していき、所定の煙検知信号が得られると自動で低感度に切り替わり、こうして範囲を絞っていき、途中で、急に煙検知信号が得られなくなったときには、手動感度切替機能に選択変更すると、このとき、初期感度(高感度)から再スタートされるので、煙発生位置の探索作業を状況に応じて効率良く進めることが可能になる。
【0041】
また、自動感度切替機能により自動で切替えられた感度をリセットするリセット手段を設けることにより、動作開始時は自動感度切替機能を選択して初期感度(高感度)から始め、反応を見ながら移動しつつ煙発生位置を探索していき、所定の煙検知信号が得られると自動で低感度に切り替わり、こうして範囲を絞っていき、途中で、急に煙検知信号が得られなくなったときには、リセット手段により自動感度切替機能をリセット操作すると、強制的に初期感度(高感度)に戻すことができ、初期感度(高感度)から再スタートされるので、煙発生位置の探索作業を状況に応じて効率良く進めることが可能になる。
【0042】
また、自動感度切替機能で初期感度(高感度)から開始し、作業途中に手動感度切替機能による手動切替操作を受け付けると、自動感度切替機能は初期感度から再スタートではなく手動で強制切替えした感度から自動感度切替を再スタートし、そうすると、自動感度切替機能における切替段階をスキップすることが出来るようになり、自動感度切替機能と手動感度切替機能の手動切替操作を細かく組み合わせることで、煙発生位置の探索作業を効率的に進めることが可能になる。
【0043】
[第2発明の基本的な効果]
本願第2発明は、監視区域内を移動しながら監視区域内の空気を、サンプリング孔を介して吸引し、吸引した空気中に含まれる煙を検出して煙の発生位置を特定する可搬式の煙検知装置であって、検知した煙濃度の変化に応じて、音及び/又は振動で報知を行う報知手段を備えたため、監視区域を移動しながら煙の発生位置を特定する作業を始める場合、作業者は煙濃度表示器を見なくとも煙濃度の変化を音及び/又は振動による報知で知ることができ、音及び/又は振動による報知から煙濃度の上昇する方向を探索しながら移動することで、効率良く煙発生位置を絞り込んで特定することができる。
【0044】
(煙濃度の変化の報知による効果)
また、報知手段は、検知した煙濃度の変化に応じて音及び/又は振動の出力形態を変化させるようにしたため、作業者は、警戒区域を移動しながら報知される音及び/又は振動から煙の濃度の変化をリアルタイムで認識しながら、効率良く煙発生位置を絞り込んで特定することができる。
【0045】
(煙濃度の変化傾向の報知による効果)
また、報知手段は、検知した煙濃度の変化傾向に応じて音及び/又は振動を出力形態を異ならせるようにしたため、作業者は、音及び/又は振動による報知で、煙濃度の下降傾向を知ったときはその方向から離れるように移動し、また、煙濃度の上昇傾向を知ったときはその傾向を示す方向に向かうように移動することで、効率良く煙発生位置を絞り込んで特定することができる。
【0046】
(煙濃度の上昇傾向の報知による効果)
報知手段は、検知した煙濃度の所定の変化傾向として上昇、停滞、下降のうち、少なくとも上昇傾向を音及び/又は振動により識別可能とするようにしたため、作業者は、音及び/又は振動による報知で、少なくとも煙濃度の上昇傾向を知ってその方向に向かうように移動することで、効率良く煙発生位置を絞り込んで特定することができる。
【0047】
(音及び/又は振動の出力周期の変化による効果)
また、報知手段は、所定音及び/又は所定振動の出力周期を変化させるものであり、検知した煙濃度が上昇するときは、音及び/又は振動の出力周期を所定の短周期とするか、又は、煙濃度の上昇に応じて周期を短くさせ、煙濃度が低下するときは、所定音及び/又は所定振動の出力周期を所定の長周期とするか、又は、煙濃度の下降傾向に応じて周期を長くさせ、煙濃度変化が停滞傾向である場合は、所定音及び/又は所定振動の出力周期を所定の短周期と所定の長周期の間の所定周期とするか又は所定周期に固定して変化させないようにしたため、作業者は警戒区域を移動しながら報知される所定音及び又は所定振動の出力周期の長短から煙の濃度の上昇、停滞、又は下降といった変化状況をリアルタイムで認識しながら、効率良く煙発生位置を絞り込んで特定することができる。
【0048】
(音及び/又は振動の出力デューティの変化による効果)
また、報知手段は、所定の繰り返し周期毎に所定音及び/又は所定振動の出力デューティを変化させるものであり、検知した煙濃度が上昇するときは、所定音及び/又は所定振動の出力デューティを所定の最大出力デューティとするか、又は、煙濃度の上昇に応じて出力デューティを増加させ、煙濃度が低下するときは、所定音及び/又は所定振動の出力デューティを所定の最小出力デューティとするか、又は、煙濃度の下降に応じて出力デューティを減少させ、煙濃度変化が停滞傾向である場合は、所定音及び/又は所定振動の出力デューティを最大出力デューティと最小出力デューティの間の所定の出力デューティとするか又は所定出力デューティに固定して変化させないようにしたため、例作業者は警戒区域を移動しながら報知される所定音又は所定振動の出力デューティの変化から煙濃度の上昇、停滞、又は下降といった変化状況をリアルタイムで認識しながら、効率良く煙発生位置を絞り込んで特定することができる。
【0049】
[第3発明の基本的な効果]
本発明は、監視区域に配置され、サンプリング管を介して吸引した空気中に含まれる煙を検知する固定式の煙検知装置に於いて、サンプリング管のサンプリング孔の所定数毎に対応して設けられた開閉弁と、サンプリング管により吸引する空気量を略一定に保つように開閉弁を開閉制御する開閉弁制御部と、サンプリング管を介して吸引した空気中に含まれる煙を検知したときに、開閉弁制御部による開閉弁の制御状態に基づいて煙発生位置を特定する煙検知制御部とが設けられたため、煙が検知されたときに、サンプリング管により吸引する空気量を略一定に保つように開閉制御している複数の開閉弁の制御状態に基づき煙発生位置が特定され、これを報知することで、肉眼では確認できない煙であっても、煙発生位置に存在する対象機器を調べることで、煙を発生している機器を特定して適切に対処することができる。
【0050】
また、煙の発生位置を特定するために複数の開閉弁を開閉制御していても、サンプリング管により吸引される空気量は略一定に保たれるため、煙検知装置本体に設けている吸引ポンプの吸引量を可変させるといった複雑な制御を行う必要がなく、装置の構成を簡単にすることができる。
【0051】
(開閉弁の順次開駆動による効果)
また、開閉弁制御部は、開閉弁を所定台数ごとに、所定の順番に従い所定時間開駆動し、残りの開閉弁は閉駆動する制御を繰り返し、煙検知制御部は、煙を検知したときに開駆動している開閉弁に対応した位置を煙発生位置に特定するようにしたため、常時閉鎖している複数の開閉弁を順番に所定時間開駆動して閉じる開閉制御を繰り返すことで、煙発生位置に近い開閉弁を一定時間開駆動したときに煙が検知され、煙が検知された時に開駆動している開閉弁から煙発生位置を特定して報知できる。
【0052】
また、サンプリング管に設けている複数の開閉弁は、その内の少なくとも1台のみが開駆動して空気を吸引しており、残りの開閉弁は閉駆動しており、サンプリング管により吸引する空気量は、サンプリング孔に相当する少なくとも開閉弁1台当りの吸引量とすれば良く、サンプリング管を介して吸引する空気の吸引量が大幅に低減し、小型の吸引ポンプで済むことから装置構成の小型化と低価格化が実現できる。
【0053】
(開閉弁の開駆動時間による効果)
また、複数の開閉弁を開駆動する開駆動時間は、開閉弁から吸引された空気がサンプリング管を介して煙検知装置本体に到達するまでの時間に基づいて設定されるようにしたため、開閉弁を開いて閉じるまでの間に、開駆動した開閉弁から吸引された空気は確実に煙検知装置本体に到達して煙の有無が検知できる。
【0054】
(開閉弁の順次閉駆動による効果)
また、開閉弁制御部は、開閉弁を所定台数ごとに、所定の順番に従い所定時間閉駆動し、残りの開閉弁は開駆動する制御を順次繰り返し、煙検知制御部は、煙を検知した状態から煙を検知しない状態へ変化したときに、閉駆動している開閉弁に対応した位置を煙発生位置に特定するようにしたため、常時開放している複数の開閉弁を順番に所定時間閉駆動して閉じる開閉制御を繰り返すことで、煙発生位置に近い開閉弁を一定時間閉駆動したときに煙の検知が断たれることで、煙を検知しない状態へ変化したときに、閉駆動している開閉弁から煙発生位置を特定して報知できる。
【0055】
また、サンプリング管に設けている複数の開閉弁は、その内の少なくとも1台が閉駆動して、残りの開閉弁が全て開放して空気を吸引しており、開閉弁を開閉駆動していても、煙検知は迅速且つ確実に行われ、同時に、閉駆動したときの煙の検知が断たれることで煙発生位置を確実に特定して報知することができる。
【0056】
(開閉弁の閉駆動時間による効果)
また、複数の開閉弁を閉駆動する閉駆動時間は、開閉弁から吸引された空気がサンプリング管を介して煙検知装置本体に到達するまでの時間に基づいて設定されたため、開閉弁を閉じて開くまでの間に、開閉弁から吸引されていた検知されている煙を含む空気が煙検知装置本体に届かなくなり、煙検知が確実に断たれることで煙発生位置を特定することができる。
【0057】
(開閉弁の開閉台数の個別設定による効果)
また、開閉制御する開閉弁の所定台数は、順次繰り返す制御回に応じて個別に設定されるようにしたため、設備設置状況、警戒区域の環境やサンプリング孔の位置等に応じて吸引条件を最適に保つことができる。
【0058】
(第4発明の基本的な効果)
本願第4発明は、固定式の煙検知装置で監視区域内の煙発生区画を特定し、その後に可搬式の煙検知装置を用いて当該煙発生区画内の煙発生位置を特定するようにしたため、固定式の煙検知装置によって監視区域内の所定の煙発生区画が特定され、当該区画内又はその近傍から可搬式の煙検知装置を使用して煙発生位置が特定できるので、煙発生位置の特定作業が効率良くされる。
【0059】
(第4発明の別形態による効果)
本願の第4発明の別の形態にあっては、固定式の煙検知装置で煙発生区画を特定し、当該煙発生区画において可搬式の煙検知装置を用いて煙発生位置を特定する煙発生位置の特定方法に於いて、可搬式の煙検知装置を用いて火災発生位置を特定する場合に、固定式の煙検知装置の煙検知感度よりも高い感度を初期感度とし、このとき煙の検知感度の切替えは機能せず、煙発生区画内を移動しながら煙の発生位置を特定するのに使用される際には、初期感度から作業が開始され、煙の発生位置を特定するための使用中に、所定の煙検知信号を検出したときに、煙の検知感度の切替えが機能する状態となり、続いて、煙の検知感度を下げることにより、煙の発生位置を絞り込んで特定するようにしたため、固定式の煙検知装置で煙発生区画が特定されたときに、可搬式の煙検知装置により特定された煙発生区画を移動しながら煙の発生位置を特定する作業を始める場合、可搬式の煙検知装置における煙の検知感度は、必ず、固定式の煙検知装置における煙の検知感度と同じか、又は、高い煙の検知感度を初期感度として始めることで、切替操作に係る作業開始時の感度設定ミスを防止し、従来のように始めから低感度として作業を始めることで煙の発生位置を見逃してしまうことがなく、監視区域を移動しながら煙の発生位置を特定する作業が迅速且つ効率良く、また確実に行えることを可能とする。
【0060】
また、可搬式の煙検知装置により煙発生位置を特定する作業を始める際に、固定式の煙検知装置における煙の検知感度より低感度に切替えて作業を開始してしまうことを確実に防止でき、更に、煙の検知感度の初期感度で所定の煙検知信号を検出したときに煙の検知感度の切替えが機能する状態となり、その後、煙の検知感度を下げながら煙の発生位置を絞り込む作業が可能となり、このため、迅速かつ効率良く、また確実に煙の発生位置を特定することができる。
【0061】
(開閉弁の開閉制御による効果)
また、固定式の煙検知装置は、サンプリング管のサンプリング孔の所定数毎に対応して設けられた開閉弁と、サンプリング管により吸引する空気量を略一定に保つように開閉弁を開閉制御する開閉弁制御部と、サンプリング管を介して吸引した空気中に含まれる煙を検知したときに、開閉弁制御部による開閉弁の制御状態に基づいて煙発生位置を特定する煙検知制御部とが設けられたため、煙が検知されたときに、サンプリング管により吸引する空気量を略一定に保つように開閉制御している複数の開閉弁の制御状態に基づき煙発生位置が特定され、これを報知することで、肉眼では確認できない煙であっても、煙発生位置に存在する対象機器を調べることで、煙を発生している機器を特定して適切に対処することができる。
【0062】
また、煙の発生位置を特定するために複数の開閉弁を開閉制御していても、サンプリング管により吸引される空気量は略一定に保たれるため、煙検知装置本体に設けている吸引ポンプの吸引量を可変させるといった複雑な制御を行う必要がなく、装置の構成を簡単にすることができる。
【0063】
(開閉弁の表示灯による煙発生区画の報知による効果)
また、固定式の煙検知装置は、開閉弁の配置位置に設けられた表示により、特定した煙発生区画を報知するようにしたため、開閉弁に設けられた表示灯が点灯又は点滅して特定した煙検知区画を示すことから、広い警戒区域であっても煙発生区画がどこかを簡単且つ容易に知って、可搬式の煙検知装置により煙発生位置を絞り込む作業を開始できる。
【0064】
(煙感知器による煙発生区画の特定による効果)
また、固定式の煙検知装置は、警戒区域に配置されたサンプリング管の吸引位置毎に、吸引した空気中に含まれる煙を検知する煙検知器が設けられ、煙検知器のID情報に基づいて煙発生区画を特定するようにしたため、複数の煙検知器を設けることで設備コストは増加するが、サンプリング管により空気を吸引するという簡単な制御による煙検知器の煙感知により確実に煙発生区画を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】可搬式の煙検知装置の実施形態を示した説明図
図2】可搬式の煙検知装置本体に設けた操作表示部を取り出して示した説明図
図3】煙の検知感度を切替操作する可搬式の煙検知装置本体の機能構成を示したブロック図
図4】固定式の煙検知装置の監視区域で本実施形態の可搬式の煙検知装置による煙発生位置を特定する作業を示した説明図
図5】煙の検知感度の自動切替えと手動切替えを選択可能とした可搬式の煙検知装置本体の機能構成を示したブロック図
図6】煙の検知感度の自動切替えと手動切替えを選択可能とした図5の操作表示部を示した説明図
図7】可搬式煙検知装置の実施形態を示した説明図
図8】煙濃度の変化を音で報知する可搬式装置本体の機能構成を示したブロック図
図9】煙濃度の下降と増加に対応したブザー音の出力パターンを示したタイムチャート
図10】煙濃度の変化を振動で報知する可搬式煙検知装置本体の機能構成を示したブロック図
図11】本願第3発明となる固定式の煙検知装置の実施形態を示した説明図
図12】煙を検知して煙発生位置を特定する煙検知装置本体の機能構成を示したブロック図
図13】常時閉鎖している開閉弁を一時的に順次開駆動する開閉弁制御を示したタイムチャート
図14図13の開閉弁制御により煙発生位置を特定する煙検知制御を示したフローチャート
図15】常時開放している開閉弁を一時的に順次閉駆動する開閉弁制御を示したタイムチャート
図16図15の開閉弁制御により煙発生位置を特定する煙検知制御を示したフローチャート
図17】固定式煙検知装置と可搬式煙検知装置を用いて煙発生位置を特定するための実施形態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0066】
[第1発明の実施形態]
(実施形態の基本的概念)
図1は可搬式の煙検知装置の実施形態を示した説明図、図2は可搬式の煙検知装置本体に設けた操作表示部を取り出して示した説明図、図3は煙の検知感度を切替操作する可搬式の煙検知装置本体の機能構成を示したブロック図である。
【0067】
本願第1発明による可搬式の煙検知装置の実施形態における基本的概念は、監視区域内を移動しながら監視区域内の空気を、サンプリング孔を介して吸引し、吸引した空気中に含まれる煙を検出して煙の発生位置を特定する可搬式の煙検知装置10であって、煙の検知感度を切替え制御する感度切替制御部42を備え、感度切替制御部42は、動作開始時は、監視区域の煙を検知する固定式の煙検知装置100(図3で後述)における煙の検知感度と同じか又はそれよりも高い煙の検知感度を初期感度とし、このとき煙の検知感度の切替えは機能せず、固定式の煙検知装置100が煙の発生を検知した後に監視区域内を移動しながら煙の発生位置を特定するのに使用される際には、初期感度から作業が開始され、煙の発生位置を特定するための使用中に、所定の煙検知信号を検出したときに、煙の検知感度の切替えが機能する状態にする、というものである。
【0068】
このような可搬式の煙検知装置10によれば、監視区域を移動しながら煙の発生位置を特定する作業を始める場合、可搬式の煙検知装置10における煙の検知感度は、必ず、固定式の煙検知装置100における煙の検知感度と同じか、又は、高い煙の検知感度を初期感度として始めるようにしたため、切替操作に係る作業開始時の感度設定ミスを防止し、従来のように始めから低感度とすることで狭い検知範囲にして作業を始めて煙の発生位置を見逃してしまうことがなく、監視区域を移動しながら煙の発生位置を特定する作業が迅速且つ効率良く、また確実に行えることを可能とする。
【0069】
また、本願第1発明の他の形態にあっては、監視区域の煙を検知する固定式の煙検知装置100が煙の発生を検知した後に、可搬式の煙検知装置10を利用して監視区域内を移動しながら監視区域内の空気をサンプリング孔を介して吸引し、吸引した空気中に含まれる煙を検出して煙の発生位置を特定する煙発生位置の特定方法であって、可搬式の煙検知装置10は、煙の検知感度が切替え可能であり、動作開始時は、固定式の煙検知装置10における煙の検知感度と同じか又はそれよりも高い煙の検知感度を初期感度とし、このとき煙の検知感度の切替えは機能せず、煙の発生位置を特定するのに使用される際には、初期感度から作業が開始され、監視区域を移動しながら煙の発生位置を特定するための使用中に、所定の煙検知信号を検出したときに、煙の検知感度の切替えが機能する状態になり、煙の検知感度を切替えながら煙の発生位置を特定する、というものである。以下詳細に説明する。
【0070】
(煙検知装置の構成)
図1乃至図3に基づいて、本発明による可搬式の煙検知装置の実施形態を説明する。
【0071】
図1に示すように、本実施形態に於ける可搬式の煙検知装置10は、持ち運び自在な煙検知装置本体12に対しサンプリング管14を着脱自在に設けている。
【0072】
サンプリング管14は、取手14dを備えたホルダ部14cの先端側に吸引パイプ14aが連結され、吸引パイプ14aの先端にサンプリング孔(吸引孔)14bを開口している。ホルダ部14cの基端側に可撓管であるホース14eを連結し、ホース14eは煙検知装置本体12のホース接続口16に着脱自在に連結している。
【0073】
煙検知装置本体12はハンドル18による手持ち或いはハンガーベルト等により肩に掛けて運びながら煙発生位置を特定する作業を行うことができ、上部には電源スイッチ20が設けられ、前面には操作表示部22が設けられている。
【0074】
操作表示部22は、図2に示すように、警報表示部24と感度切替操作部26を有し、警報表示部24には、煙濃度の増加に対応して点灯作動する注意灯24c、警戒灯24b、及び警報灯24aが設けられ、また、吸引チェック灯24d、障害代表灯24e、及び電源灯24fが設けられている。操作表示部22は、その全部又は一部をホルダ部14cに設けても良い。その際は必要に応じて煙検知装置本体12とホルダ部14cとを接続する電気配線を設ける。
【0075】
感度切替操作部26は、感度を切替える機能を有する感度切替手段であり、感度切替釦(スイッチ釦)26a,26b,26c,26dを備え、4段階に煙の検知感度を手動で切替可能としている。例えば感度切替釦26aは、0.005~0.1%/mの煙濃度で作動する最も高い1番目の煙の検知感度を選択し、感度切替釦26bは0.1~0.2%/mの煙濃度で作動する2番目の煙の検知感度を選択し、感度切替釦26cは0.2~0.5%/mの煙濃度で作動する3番目の煙の検知感度を選択し、感度切替釦26dは0.5~5.0%/mの煙濃度で作動する最も低い4番目の煙の検知感度を選択する。各感度切替釦は自照式(照光式)スイッチとなっており、選択されている感度が表示で判るようになっている。
【0076】
煙検知装置本体12は、図3に示すように、制御部30、煙検知ユニット32、吸引ユニット34、電池電源部36、電源スイッチ20、感度切替操作部26及び警報表示部24を有する。
【0077】
吸引ユニット34は、モータにより駆動される吸引ファンを備え、吸引ファンの回転駆動により、サンプリング孔14bを介して対象空間即ち監視区域から煙粒子を含む空気を吸引して吸引パイプ14aおよびホース14eを経由して煙検知ユニット32に取り込み、排気孔から排気するようにしている。
【0078】
煙検知ユニット32は、吸引して取り込んだ空気流に対し、例えばレーザ光源からのレーザ光を結像して検煙点を形成し、この検煙点を煙粒子が通過する場合に発生する散乱光を、フォトダイオードで受光して検知パルスを出力して所定時間間隔でカウントし、このカウント数に基づき煙を検知して煙検知信号を出力する。
【0079】
なお、レーザ光源以外にLED等の光源を使用しても良い。受光センサについてもフォトダイオードに限らず、各種の受光センサを適用するものであって良い。
【0080】
電池電源部36は、リチウムイオン電池等の二次電池を備え、コネクタ38に充電ユニットを接続することにより充電を可能としている。電池電源部36から他の各部へ電源が供給される。
【0081】
制御部30は、ハードウェアとしてCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等で構成され、CPUによるプログラムの実行により実現される煙検知制御部40と感度切替制御部42の機能が設けられている。
【0082】
煙検知制御部40は、初期感度或いは感度切替制御部42により設定された煙の検知感度に応じて検知された煙検知信号が煙検知ユニット32から出力されたときに、警報表示部24に設けている注意灯24c、警戒灯24b、警報灯24aを煙検知信号の煙濃度の増加を示す注意レベル、警戒レベル、警報レベルに応じて順次点灯して煙検知及び煙濃度の変化を報知させる。これら表示灯に代えて、又は加えて、検知パルスのカウント状況に応じて検知された煙濃度を可変表示するインジケータを設けても良い。煙検知制御部40では、現在設定されている煙の検知感度と煙検知信号(パルスカウント状況等)から、現在検出している煙濃度を概ね知ることができる。これに基づいて、現在検出している煙濃度に対応する上記表示を行うことができる。
【0083】
ここで、例えば、感度切替釦26aにより0.005~0.1%/mの煙濃度で作動する最も高い1番目の煙の検知感度を選択しているとき、煙検知ユニット32から0.005%/mの煙濃度に対応する煙検知信号が出力されると注意灯24cが点灯し、また例えば0.05%/mの煙濃度に対応する煙検知信号が出力されると警戒灯24bが点灯し、更に、これよりも高い所定濃度に対応するレベルの煙検知信号が検出されたときには、警報灯24aが点灯するようにしている。例えば0.1%/mの煙濃度に対応する煙検知信号が出力されると警報灯24aが点灯する。本実施形態では、警報灯24aが点灯することが作動に相当するものとして説明する。この点は他の本実施形態においても同様である。
【0084】
感度切替制御部42は、手動感度切替機能43を備え、電源スイッチ20の操作による電源投入後の動作開始時に、図4で後述するように、コンピュータルーム等の監視区域に設置されている固定式の煙検知装置における煙の検知感度と同じか又はそれよりも高い煙の検知感度を初期感度として設定し、このとき煙の検知感度の切替えは機能せず、したがって固定式の煙検知装置が作動したときの監視区域での煙の発生位置を特定するのに使用される際に、煙検知装置本体12に初期感度として設定された固定式の煙検知装置における煙の検知感度と同じか又はそれよりも高い煙の検知感度から作業が開始され、煙の発生位置を特定するための使用中に、所定の煙検知信号を検出したときに、感度切替操作部26による煙の検知感度の切替えが機能する状態とする制御を行う。
【0085】
初期感度は例えば工場出荷時に専用の設定装置により、制御部30のメモリに登録されている。或いは、固定式の煙検知装置から設定感度を読出し可能とし、これ以上の感度が初期感度として制御部30のメモリに登録されるようにしても良い。電源を投入したとき、制御部30は、感度切替制御部42の手動感度切替機能43により、メモリに登録された初期感度を読みだして煙検知制御部40にセットしてから動作を開始する。なお、初期感度はメモリに記憶する以外に、ディップスイッチ等により設定することもできる。
【0086】
また、例えば、電源投入後に別に設けた検知開始スイッチ等を操作させ、この操作があったときに吸引ファン等を駆動開始し、電気ソフト的なサンプリングを開始する前に、感度切替制御部42の手動感度切替機能43は、メモリに予め記憶された初期感度を煙検知制御部40に自動的にセットし、初期感度に基づく煙検知を開始するようにしても良い。
【0087】
初期感度は、例えば、監視区域の煙を検知するように設置された固定式の煙検知装置の煙の検知感度が0.1%/mの煙濃度で作動する(例えば前述の「警報レベル」となる)検知感度であったとすると、これ以上の感度、即ち例えば感度切替釦26aで選択する、0.005~0.1%/mの煙濃度で作動する感度に相当するものとする。なお、初期感度は、必ずしも感度切替釦26a~26dで選択できる感度と合わせる必要はなく、例えば感度切替釦26aで選択する感度を超える高感度であっても良い。
【0088】
ここで、可搬式の煙検知装置10に接続されているサンプリング管14およびホース(可撓管)14eの合計長さを固定式の煙検知装置に接続されているサンプリング管に比べて短くする、サンプリング孔を少なくする、単位時間当たり吸引流量を同じにするなどして、固定式の煙検知装置に比べてサンプリング孔からみた単位時間あたりの空気の吸引量により煙を有効に検知できる空間的な広がり(煙検知範囲)を大きくしている。このため、可搬式の煙検知装置10は広い監視区域の中に局在する煙の発生位置を特定する作業を効率的に行うことができる。
【0089】
また、固定式の煙検知装置における煙の検知感度と同じか又はそれよりも高い煙の検知感度を初期感度に設定した可搬式の煙検知装置10は、初期感度作業を始める際に、初期感度による作業開始から所定の煙検知信号、例えば初期感度によって作動するレベルに相当する煙検知信号を得るまでは、感度切替えが機能する状態にならず感度を切替えることが出来ないので、固定式の煙検知装置における煙の検知感度より低感度に切替えて作業を開始してしまうことを確実に防止できる。
【0090】
更に、可搬式の煙検知装置10は、煙の発生位置を特定するための作業中に、初期感度として設定されている煙の検知感度に対応した所定の煙検知信号を検出したときに、例えばソフトウェアのフラグを立て、このフラグが立った場合に初めて感度切替操作部26による検知感度の切替えが機能する状態になって切替えが出来るようになる。その後は、煙の検知感度を段階的に下げる(必要に応じて上下する)ことで煙の発生位置を絞り込む作業を行うことができる。
【0091】
感度切替制御部42の手動感度切替機能43は、動作開始時に前述した初期感度を煙検知制御部40にセットすると共に煙の検知感度の切替えを禁止又は無効とし、煙の発生位置を特定するための使用中に、初期感度において所定の煙検知信号を検出したときに、感度切替えの禁止又は無効を解除する制御を行うようにしても良い。ここで、感度切替えの禁止又は無効とは、切替操作はできるが、感度切替制御部42の手動感度切替機能43が切替操作を有効に受け付けない場合や、感度切替えに伴う検知動作は行うが、警報表示部24に検知結果を表示させない場合等が含まれる。
【0092】
また、感度切替の禁止/解除を行う場合に、感度切替制御部42の手動感度切替機能43で例えばシャッター機構を制御して感度切替釦26a~26dに設けたカバーを開閉することで感度切替操作禁止/解除を切替える、即ちカバー閉状態にすると操作が出来ず、カバー開状態にすると操作ができるようになる、といった方法も採用し得る。
【0093】
図4に基づいて、固定式の煙検知装置の監視区域で本実施形態の可搬式の煙検知装置による煙発生位置を特定する作業を説明する。
【0094】
図4の例においては、サーバが収納されたサーバラック106が配置されたコンピュータルーム104を監視区域として、固定式の煙検知装置100が設置されている。固定式の煙検知装置本体101からは監視区域にサンプリング管102が引き出され、サンプリング管102には所定間隔でサンプリング孔が形成されており、サンプリング孔を介して監視区域の空気を吸入して固定式の煙検知装置本体101に送り、可搬式の煙検知装置10における煙検知装置本体12と同じ構成により肉眼では確認できない極薄い(低濃度の)煙を検知して警報するようにしている。
【0095】
ここで、固定式の煙検知装置100における煙の検知感度は、前述したように、サンプリング管102に設けられた複数のサンプリング孔の内、固定式の煙検知装置本体101から最も遠いサンプリング孔の位置に対応する空間(そこに存在する空気が当該サンプリング孔から有効に吸引される空間領域)に所定濃度、例えば0.1%/mの濃度の煙が存在するときにこれを検知して作動するように設定している。
【0096】
固定式の煙検知装置本体101が煙を検知して作動すると、警報信号が監視室108に設置された超高感度煙監視盤110に送られ、火災警報が出力される。
【0097】
固定式の煙検知装置本体101により所定の煙検知信号が検知されて火災警報が出力された場合、係員は監視区域であるコンピュータルーム104に本実施形態の可搬式の煙検知装置10を持ち込み、コンピュータルーム104内を移動しながら、サンプリング管14の先端に設けたサンプリング孔14bを介して空気を吸引して煙発生位置を特定する作業を開始する。
【0098】
このとき、可搬式の煙検知装置10における煙の検知感度は、固定式の煙検知装置100の煙の検知感度と同じか、又は、それより高い煙の検知感度となる初期感度に設定され、且つこの状態で感度切替えは機能せず、煙の発生位置から離れた場所から作業を開始しても、速やかに煙を検知することができ、従来のように予め低感度とすることで作業を始めて煙の発生位置を見逃してしまうことがない。
【0099】
また、作業を開始してから可搬式の煙検知装置10が所定の煙検知信号の検出により作動すると、それまで機能していなかった感度切替操作部26による感度切替えが機能する状態となり、係員は、例えば、初期感度として設定されていた感度切替釦26aに対応した1番目の0.005~0.1%/mの煙の検知感度から2番目、3番目、4番目の煙の検知感度に段階的に下げることで、煙の発生位置を絞り込む作業を行う。
【0100】
[検知感度を自動切替えする他の実施形態]
図5及び図6に基づき、煙の検知感度の自動切替えと手動切替えを選択可能とした可搬式の煙検知装置本体の他の実施形態を説明する。
【0101】
可搬式の煙検知装置10における煙検知装置本体12は、図3と同様に、制御部30、煙検知ユニット32、吸引ユニット34、電池電源部36、電源スイッチ20、警報表示部24、感度切替操作部26を備え、制御部30には、図3と同様に、煙検知制御部40と感度切替制御部42が設けられるが、感度切替制御部42には図3の手動感度切替機能43に加え自動感度切替機能44が設けられ、図6に示すように、感度切替操作部26には、選択手段として機能する手動感度切替釦48と自動感度切替釦50が設けられている。
【0102】
手動感度切替釦48により煙の検知感度の手動切替えを選択した場合には、図1乃至図3の実施形態に示したと同様に、感度切替釦26a,26b,26c,26dの操作に基づく手動感度切替機能43による煙の検知感度の手動切替えを可能としている。自動感度切替釦50により煙の検知感度の自動切替えを選択した場合には、煙検知信号に基づき煙の検知感度を自動的に切替える自動感度切替機能44による感度切替制御が行われる。
【0103】
なお、手動感度切替機能43又は自動感度切替機能44による煙検知感度の手動切替え又は自動切替えのいずれにおいても、煙濃度の増加に対応して注意灯24c、警戒灯24b及び警報灯24aが順番に点灯し、煙検知と煙濃度の変化を知ることができる。
【0104】
本実施形態においても、図2乃至図3の実施形態と同様に固定式の煙検知装置における煙の検知感度と同じか又はそれよりも高い煙の検知感度が初期感度として登録され、電源投入後、手動感度切替釦48又は自動感度切替釦50の操作により選択された手動感度切替機能43又は自動感度切替機能44により、固定式の煙検知装置が煙を検知して監視区域での煙の発生位置を特定するのに使用される際には初期感度から開始するようになっており、このとき手動感度切替機能43又は自動感度切替機能44の感度切替えは機能しない状態になっている。そして、初期感度で煙の発生位置を特定するための使用中に、所定の煙検知信号を検出したときに、手動感度切替機能43又は自動感度切替機能44の感度切替えが機能する状態になる。
【0105】
感度切替えが機能する状態になると、手動感度切替釦48により煙の検知感度の手動切替えが選択されている場合には、図2乃至3の実施形態同様に感度切替釦26a,26b,26c,26dのいずれかにより切替えて選択された煙の検知感度による煙の検知を行い、一方、自動感度切替釦50により煙の検知感度の自動切替えが選択されている場合は、煙検知信号に基づき自動的に検知感度を切替える自動感度切替制御を行う。
【0106】
自動感度切替機能44による自動感度切替制御は、例えば、煙検知信号の信号レベルが所定のレベル範囲に入るように、煙の検知感度を例えばAGC(Automatic Gain Control)によって自動的に切替え制御する。
【0107】
即ち、自動感度切替機能44は、電気ソフト的な処理により、煙検知ユニット32から出力される煙検知信号の信号レベルが所定の上限閾値を超えると例えば信号増幅用アンプのゲインを低下させて検知感度を下げ、煙検知信号の信号レベルが所定の下限閾値を下回ると例えばアンプのゲインを増加させて検知感度を上げることで、所定のレベル範囲内に入るように煙の検知感度を自動切替しており、煙検知信号の信号レベルが所定のレベル範囲にあれば煙の検知感度を保ち、上限閾値を超えると煙の検知感度を低感度に切替え、下限レベルを下回ったら煙の検知感度を高感度に切替えるように制御する。
【0108】
なお、自動感度切替機能44による自動感度切替えのAGC制御は、制御部30から煙検知ユニット32に設けられたアンプのゲイン切替用アナログスイッチ、デジタルポテンショメータ、或いは電子ボリューム(これらは感度切替手段に相当する)を制御する構成とする。
【0109】
その結果、自動感度切替機能44により、煙の発生位置に近づくにつれて、自動的に煙の検知感度が下げられ、煙の発生位置を絞り込む作業を行うことができる。
【0110】
[煙検知感度の手動切替えと自動切替えを組み合わせた実施形態]
図5及び図6に示した可搬式の煙検知装置の他の実施形態として、感度切替制御部42は、煙の検知感度の手動切替えと自動切替えの適宜の組み合わせにより、煙発生位置を特定する作業を効率良く進めることができる。
【0111】
本実施形態は、図5及び図6に示したように、感度切替制御部42に手動感度切替機能43と自動感度切替機能44が設けられ、図6に示した感度切替操作部26に、選択手段として機能する手動感度切替釦48と自動感度切替釦50が設けられる。
【0112】
感度切替制御部42は、動作開始時および手動感度切替釦48と自動感度切替釦50による選択時は、監視区域の煙を検知する固定式の煙検知装置における煙の検知感度と同じか又はそれよりも高い煙の検知感度を初期感度とし、このとき煙の検知感度の切替えは機能せず、煙の発生位置を特定するための使用中に、所定の煙検知信号を検出したときに、手動感度切替釦48又は自動感度切替釦50により選択されている手動感度切替機能43又は自動感度切替機能44が機能する状態にする制御を行い、手動感度切替釦48と自動感度切替釦50による選択操作で手動感度切替機能43と自動感度切替機能44を適宜に組み合わせることで、煙発生位置の探索作業を効率化する。
【0113】
例えば、最初は手動感度切替釦48の操作により手動感度切替機能43を選択して初期感度(高感度)から作業を始め、反応を見ながら移動しつつ煙発生位置を探索して行く。手動感度切替機能43は所定の煙検知信号が得られると手動で低感度に切替えることができるので、感度切替釦26a~26dを、適宜、低感度に切替えながら絞り込みを進める。
【0114】
こうして煙発生位置を相当絞り込んだ後は、自動感度切替釦50の操作で自動感度切替機能44に選択変更すると、初期感度(高感度)から再スタートされるので、急に反応を失うことはなく、自動感度切替機能44で適切な感度(低感度)に切替えられる。このとき既に煙発生位置は相当絞り込まれているので、あとは切替操作に煩わされることなく自動感度切替機能44で煙発生位置の特定を進めることができる。
【0115】
また例えば、最初は自動感度切替釦50の操作で自動感度切替機能44を選択して初期感度(高感度)から始め、反応を見ながら移動しつつ煙発生位置を探索して行く。自動感度切替機能44は所定の煙検知信号が得られると自動で低感度に切り替わり、こうして範囲を絞って行く。途中で、急に煙検知信号が得られなくなったり相当大きくなったりといった急激な変動があるときには、手動感度切替釦48の操作で手動感度切替機能43に選択変更すると、このとき、初期感度(高感度)から再スタートされるので見失言う可能性は低くなっている。そのうえで、手動で適切な感度に切替えて固定できるので大きな変動の影響を抑止しつつ探索作業を行うことができる。これにより煙発生位置の探索作業を効率良く進めることが可能となる。
【0116】
[自動感度切替機能とリセット機能を備えた実施形態]
図5に示した感度切替制御部42に自動感度切替機能44が設けられ可搬式の煙検知装置の他の実施形態として、感度切替操作部26に更にリセット手段として機能するリセットスイッチを設ける。
【0117】
本実施形態の感度切替制御部42は、煙の検知感度を自動で切替える自動感度切替機能44と、自動感度切替機能44により自動で切り替えられる感度をリセットするリセットスイッチとを備え、動作開始時およびリセットスイッチによるリセット時は、監視区域の煙を検知する固定式の煙検知装置における煙の検知感度と同じか又はそれよりも高い煙の検知感度を初期感度とし、このとき煙の検知感度の切替えは機能せず、煙の発生位置を特定するための使用中に、所定の煙検知信号を検出したときに、自動感度切替機能44が機能する状態にする制御を行う。
【0118】
このため、例えば、可搬式の煙検知装置の電源を投入した動作開始時は、自動感度切替機能44により初期感度(高感度)から作業を始め、反応を見ながら移動しつつ煙発生位置を探索していき、所定の煙検知信号が得られると自動で低感度に切り替わり、こうして範囲を絞っていく。その途中で、急に煙検知信号が得られなくなったときには、リセットスイッチの操作により自動感度切替機能44をリセット操作すると、強制的に初期感度(高感度)に戻すことができ、初期感度(高感度)から再スタートされるので、再び煙検知信号が得られ、煙発生位置の探索作業を効率良く進めることが可能となる。
【0119】
[自動切替で起動して手動操作により感度を切替える実施形態]
図5に示した感度切替制御部42に手動感度切替機能43と自動感度切替機能44が設けられた可搬式の煙検知装置の他の実施形態として、自動感度切替機能44における初期感度の切替えに手動感度切替機能43による手動感度切替えを組み合わせる。
【0120】
本実施形態の感度切替制御部42は、煙の検知感度を自動で切替える自動感度切替機能44と、煙の検知感度を手動で切替える手動感度切替機能43とを備え、動作開始時は、監視区域の煙を検知する固定式の煙検知装置における煙の検知感度と同じか又はそれよりも高い煙の検知感度を初期感度とし、このとき煙の検知感度の切替えは機能せず、所定の煙検知信号を検出したときに、自動感度切替機能44及び手動感度切替機能43が機能する状態にし、このとき、手動感度切替え行われたときには、手動感度切替機能43により切替えられた煙の検知感度を初期感度として煙の検知感度を自動で切替える制御を行う。
【0121】
このため本実施形態により煙発生位置を特定する探索作業は、例えば、自動感度切替機能44により初期感度(高感度)から開始し、このとき、自動感度切替機能44及び手動感度切替機能43による低感度への切替えは機能せず、所定の煙検知信号を得られたとき、自動感度切替機能44及び手動感度切替機能43が機能する状態になる。
【0122】
こうして煙発生位置を探索する作業を進め、作業途中に手動感度切替機能43に対する感度切替釦26a~26dによる手動切替操作を受け付けると、自動感度切替機能44は初期感度から再スタートではなく、手動で強制切り替した感度から自動感度切替えを再スタートする。
【0123】
これにより、自動感度切替機能44における切替段階を手動感度切替機能43の切替操作でスキップすることが出来るようになり、自動感度切替機能44と手動感度切替機能43の手動切替操作を細かく組み合わせることで、効率的に煙発生位置を特定するための探索作業を進めることが可能になる。
【0124】
[第1発明の変形例]
図5及び図6の実施形態は、煙の検知感度を手動又は自動で切替えるようにしているが、煙の検知感度の自動切替えのみとしても良い。自動感度切替機能44による感度切替えは煙に対する感受性を切替えるものであって、上記以外に各種の方法を含む。例えば、アンプのゲインでなく、煙検知信号レベルに対する閾値(作動閾値等)を切替えるようにしても良いし、受光パルスのカウント閾値を切替えるようにしても良い。更には、煙検知ユニットにおける発光源の駆動電流など発光条件を切替えても良い。また、これらを組み合わせても良い。また、これらを適宜組み合わせても良い。
【0125】
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【0126】
[第2発明の実施形態]
(実施形態の基本的概念)
図7は本願第2発明に係る可搬式煙検知装置の実施形態を示した説明図、図8は煙濃度の変化を音により報知する可搬式煙検知装置本体の機能構成を示したブロック図、図9は煙濃度の下降と増加に対応したブザー音の出力パターンを示したタイムチャート、図10は煙濃度の変化を振動により報知する可搬式煙検知装置本体の機能構成を示したブロック図である。
【0127】
本願の第2発明における可搬式の煙検知装置の基本的概念は、監視区域内を移動しながら監視区域内の空気を、サンプリング孔を介して吸引し、吸引した空気中に含まれる煙を検出して煙の発生位置を特定する可搬式の煙検知装置10であって、検知した煙濃度の変化に応じて、音又は振動で報知を行う報知手段として機能する図8の音響報知部70又は図9の振動報知部72を備えたため、監視区域を移動しながら煙の発生位置を特定する作業を始める場合、作業者は煙濃度表示器60を見なくとも煙濃度の変化を音及び/又は振動による報知で知ることができ、音及び/又は振動による報知から煙濃度の上昇する方向を探索しながら移動することで、効率良く煙発生位置を絞り込んで特定することができる、というものである。
【0128】
例えば音響報知部70又は振動報知部72は、煙検知ユニット32で検知した煙濃度の上昇、停滞、又は下降傾向に応じ、音又は振動による報知の形態を変化させるので、作業者は、煙濃度の下降傾向や上昇傾向に加え、上昇又は低下傾向に煙濃度変化の停滞傾向を知り、例えば上昇傾向から停滞傾向に移行したときは、煙発生位置の直近に移動したことが認識でき、効率良く煙発生位置を絞り込んで特定することができる。以下詳細に説明する。
【0129】
[可搬式の煙検知装置の概要]
本実施形態の可搬式の煙検知装置10は、図7(A)に示すように、持ち運び自在な可搬式煙検知装置本体12に対しサンプリング管14を着脱自在に設けており、サンプリング管14のホルダ部14cには煙濃度をバーグラフにより表示する煙濃度表示器60が設 けられている。なお、煙濃度表示器60はバーグラフ表示以外に、煙濃度を数値表示するか、 又は指示計で指針表示、または数値表示しても良い。
【0130】
また、煙濃度表示器60には音響孔62が設けられ、内部にスピーカやブザー等の音響報知部が設けられている。これに対応してホース14eには、ホルダ部14cに設けた煙濃度表示器60や音響報知部を可搬式煙検知装置本体12と接続するための信号線が埋め込まれている。それ以外の構成は図1の実施形態と同じになることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0131】
(可搬式煙検知装置本体の機能構成)
可搬式煙検知装置本体12には、図8に示すように、制御部30、煙検知ユニット32、吸引ユニット34、電池電源部36、電源スイッチ20、感度切替操作部26、警報表示部28が設けられ、これらの構成及び機能は、図3に示した実施形態と同じになる。
【0132】
これに加え本実施形態にあっては、伝送部64が設けられ、ホースにより連結されるサンプリング管14側には、伝送部66、煙濃度表示器60及び音響報知手段として機能する音響報知部70が設けられている。
【0133】
煙検知制御部40は、煙検知ユニット32による検知パルスのカウント数に基づき出力された煙濃度検知信号を伝送部64に指示してサンプリング管14の伝送部66に伝送し、煙濃度表示器60に煙濃度をバーグラフ表示させる制御を行う。なお、煙濃度表示器60は、切替え操作又は手動又は自動の煙検知感度の切替えに連動して、煙濃度の表示レンジを切替えることができる。
【0134】
(煙濃度の音響報知)
可搬式煙検知装置本体12の煙検知制御部40は、煙検知ユニット32から出力された煙濃度検知信号の煙の濃度の変化に応じてサンプリング管14側に設けた音響報知部70から音を変化させる制御を行う。煙濃度変化は移動平均処理等に基づいて判定しても良い。
【0135】
煙検知制御部40による煙濃度の変化に応じて音響報知部70からの音を変化させる制御は、煙検知ユニット32で検知した煙濃度の所定の変化傾向を音及び又は振動で報知を行うものであり、例えば、検知した煙濃度の上昇、停滞、又は下降傾向に応じ、音による報知の形態を変化させる。
【0136】
煙検知制御部40による煙濃度の変化に応じて音響報知部70からの音を変化させる制御は、例えば次のA1~A3の制御とする。
(制御A1) 検知した煙濃度が上昇するときは(所定の上昇傾向であるときは)、音の出力周期を所定の短周期とするか、又は、煙濃度の上昇に応じて出力周期を短くさせる。(制御A2) 検知した煙濃度が下降するときは(所定の下降傾向であるときは)、音の出力周期を所定の長周期とするか、又は、煙濃度の下降傾向に応じて出力周期を長くさせる。
(制御A3) 検知した煙濃度変化が所定の停滞傾向である場合は、音の出力周期を所定の長周期と所定の短周期波の間の所定周期とするか又は所定周期に固定して変化させない。
【0137】
このような煙検知ユニット32で検知した煙濃度の変化に応じた制御A1~A3による音の出力周期の変化により、警戒区域内で可搬式の煙検知装置10を移動しながら煙の発生位置を特定する作業を行う作業者は、音の出力周期の変化から直感的に煙の濃度の上昇、停滞、又は下降といった変化状況をリアルタイムで認識しながら、効率良く煙発生位置を絞り込んで特定することができる。
【0138】
また、煙検知制御部40による煙濃度の変化に応じて音響報知部70からの音を変化させる制御の他の実施形態として、音響報知部50から所定周期毎に所定のブザー音の出力デューティを変化させるようにした場合、例えば次のB1~B3の制御とする。
(制御B1) 検知した煙濃度が上昇するときは、ブサー音の出力デューティを所定の最大出力デューティとするか、又は、煙濃度の上昇に応じてブサー音の出力デューティを増加させる。
(制御B2) 検知した煙濃度が下降するときは、ブザー音の出力デューティを所定の最小出力デューティとするか、又は、煙濃度の下降に応じてブサー音の出力デューティを減少させる。
(制御B3) 検知した煙濃度変化が停滞傾向である場合は、ブサー音の出力デューティを所定の最大出力デューティと所定の最小出力デューティの間の所定の出力デューティに固定するか又は所定の出力デューティに固定して変化させない。
【0139】
図9は煙濃度の下降と増加に対応したブザー音の出力パターンを示したタイムチャートである。図9(A)は煙濃度が下降する場合であり、繰り返し周期Tの内、オン時間T1をオフ時間(T-T1)より短くすることで出力デューティを減少させている。図9(B)は煙濃度が上昇する場合であり、オン時間T2とオフ時間(T-T2)を同じにして出力デューティを増加させている。
【0140】
このような煙検知ユニット32で検知した煙濃度の変化に応じた制御B1~B3のブサー音の出力デューティの変化により、警戒区域内で可搬式の煙検知装置10を移動しながら煙の発生位置を特定する作業を行う作業者は、所定音の出力デューティの変化から直感的に煙の濃度の上昇、停滞、又は下降といった変化状況をリアルタイムで認識しながら、効率良く煙発生位置を絞り込んで特定することができる。
【0141】
なお、音響報知部70からの煙濃度の変化に対応した音の変化として、「ピッ」、「ピピッ」、「ピピピッ」・・・・「ピピ・・・・ピッ」というように所定の音の出力ピッチを、煙濃度の上昇に応じて増加させ、煙濃度の下降に応じて減少させるようしても良いし、音の周波数や高低を変化させても良い。
【0142】
(煙濃度の振動報知)
図10に示す実施形態にあっては、可搬式煙検知装置本体12にホースにより連結されるサンプリング管14側には、例えば圧電振動体等を備えた振動報知部72が設けられる。
【0143】
可搬式煙検知装置本体12の煙検知制御部40は、煙検知ユニット32から出力された煙濃度検知信号の煙の濃度の変化に応じてサンプリング管14側に設けた振動報知部72から振動を変化させる制御を行う。
【0144】
煙検知制御部40による煙濃度の変化に応じて振動報知部72からの振動を変化させる制御は、煙検知ユニット32で検知した煙濃度の所定の変化傾向を振動で報知を行うものであり、例えば、検知した煙濃度の上昇、停滞、又は下降傾向に応じ、振動による報知の形態を変化させる。
【0145】
煙検知制御部40による煙濃度の変化に応じて振動報知部72からの振動を変化させる制御は、例えば次のC1~C3の制御とする。
(制御C1) 検知した煙濃度が上昇するときは(所定の上昇傾向であるときは)、振動の出力周期を所定の短周期とするか、又は、煙濃度の上昇に応じて出力周期を短くさせる。
(制御C2) 検知した煙濃度が下降するときは(所定の下降傾向であるときは)、振動の出力周期を所定の長周期とするか、又は、煙濃度の下降傾向に応じて出力周期を長くさせる。
(制御C3) 検知した煙濃度変化が所定の停滞傾向である場合は、振動の出力周期を所定の長周期と所定の短周期波の間の所定周期とするか又は所定周期に固定して変化させない。なお、変化させる振動の出力周期は、作業者がサンプリング管14のホルダ部14cを手にもった状態で感知できる例えば十数Hz以下の周波数範囲に対応した出力周期とする。
【0146】
このような煙検知ユニット32で検知した煙濃度の変化に応じた制御C1~C3による振動の出力周期の変化により、警戒区域内で可搬式の煙検知装置10を移動しながら煙の発生位置を特定する作業を行う作業者は、振動の出力周期の変化から直感的に煙の濃度の上昇、停滞、又は下降といった変化状況をリアルタイムで認識しながら、効率良く煙発生位置を絞り込んで特定することができる。
【0147】
また、煙検知制御部40による煙濃度の変化に応じて振動報知部72からの振動変化させる制御の他の実施形態として、振動報知部72から所定周期毎に所定の振動の出力デューティを変化させるようにした場合、例えば次のD1~D3の制御とする。
(制御D1) 検知した煙濃度が上昇するときは、振動の出力デューティを所定の最大出力デューティとするか、又は、煙濃度の上昇に応じて振動の出力デューティを増加させる。
(制御D2) 検知した煙濃度が下降するときは、振動の出力デューティを所定の最小出力デューティとするか、又は、煙濃度の下降に応じて振動の出力デューティを減少させる。
(制御D3) 検知した煙濃度変化が停滞傾向である場合は、振動の出力デューティを所定の最大出力デューティと所定の最小出力デューティの間の所定の出力デューティに固定するか又は所定の出力デューティに固定して変化させない。
【0148】
このような煙検知ユニット32で検知した煙濃度の変化に応じた制御D1~D3の所定振動の出力デューティの変化により、警戒区域内で可搬式の煙検知装置10を移動しながら煙の発生位置を特定する作業を行う作業者は、所定振動の出力デューティの変化から直感的に煙の濃度の上昇、停滞、又は下降といった変化状況をリアルタイムで認識しながら、効率良く煙発生位置を絞り込んで特定することができる。
【0149】
なお、図8に示した音響報知部70と図10に示した振動報知部72の両方をサンプリング管14のホルダ部14cに設け、検知した煙濃度の変化を音と振動の両方により報知するようにしても良い。
【0150】
[本願第3発明の実施形態]
(煙検知装置の実施形態の基本的概念]
図11は本願第3発明となる固定式の煙検知装置の実施形態を示した説明図、図12は煙を検知して煙発生位置を特定する煙検知装置本体の機能構成を示したブロック図である。
【0151】
本実施形態による煙検知装置100は、コンピュータルーム122等の警戒区域に配置され、サンプリング管14を介して吸引した空気中に含まれる煙を検知するものであって、サンプリング管14のサンプリング孔の所定数毎に、例えばサンプリング孔1つ毎に対応して開閉弁116-1~116-8が設けられ、開閉弁制御部46がサンプリング管14により吸引する時間当たり空気量を略一定に保つように開閉弁116-1~116-8を所定台数ごとに、例えば1台ごとに、所定の順番に従い所定時間開駆動し、残りの開閉弁は閉駆動する制御を繰り返し行っており、煙検知制御部44がサンプリング管14を介して吸引した空気中に含まれる煙を検知したときに、開閉弁116-1~116-8の制御状態に基づいて煙発生位置を特定して報知するというものである。
【0152】
これによって煙が検知されたときに、開閉弁116-1~116-8の内の開駆動している制御弁の位置に基づき煙発生位置が特定される。具体的には、例えば、開閉弁の制御状態、即ち煙が検知されたときに開制御している開閉弁がどの開閉弁であるかによって、煙を吸引したサンプリング孔の位置が判るので、警戒区域のうち当該サンプリング孔に対応する位置が煙発生位置であることが特定される。
【0153】
また、煙の発生位置を特定するために開閉弁116-1~116-8を開閉制御していても、サンプリング管14により吸引される時間当たり空気量は略一定に保たれるため、固定式煙検知装置本体に設けている吸引ポンプの吸引量を可変させるといった複雑な制御を行う必要がなく、装置の構成を簡単にすることができる。
【0154】
また、本実施形態による別の煙検知装置100は、開閉弁制御部146がサンプリング管14により吸引する時間当たり空気量を略一定に保つように開閉弁116-1~116-8を所定台数ごとに、例えば1台ごとに、所定の順番に従い所定時間閉駆動し、残りの開閉弁は開駆動する制御を繰り返し行っており、煙検知制御部44により煙を検知している状態から煙を検知しない状態へ変化したときの開閉弁116-1~116-8の制御状態に基づいて煙発生位置を特定して報知するというものである。
【0155】
この場合にも、煙を検知した状態から煙を検知しない状態へ変化したときに、複数の開閉弁16-1~16-8の内の閉駆動している制御弁の位置に基づき煙発生位置が特定される。具体的には、例えば、開閉弁の制御状態、即ち煙を検知した状態から煙を検知しない状態に変化したときに閉駆動している開閉弁がどの開閉弁であるかによって、煙を吸引したサンプリング孔の位置が判るので、警戒区域のうち当該サンプリング孔に対応する位置が煙発生位置であることが特定される。
【0156】
また、サンプリング管114により吸引される空気量は略一定に保たれるため、固定式煙検知装置本体112に設けている吸引ポンプの吸引量を可変させるといった複雑な制御を行う必要がない。
【0157】
なお、ここでは開閉弁を1台ごとに順次開駆動、或いは閉駆動する例を示しているが、複数台ごととしても良い。また、サンプリング管114により吸引される空気量を略一定に保つため、必要に応じて、一定数ごとでなく、開閉弁制御部46に予め登録した制御テーブル等により、制御回ごとに順次個別の駆動台数設定として良い。
【0158】
このようにして、例えば、肉眼では確認できない煙であっても、煙発生位置に存在する対象機器を調べることで、煙を発生している機器を特定して適切に対処することができる。
【0159】
以下、本実施形態による煙検知装置100の詳細を説明する。
【0160】
[固定式の煙検知装置の概要]
図11に示すように、サーバラック124が配置されたコンピュータルーム122等の監視区域には、本実施形態による固定式の煙検知装置100が設置される。固定式の煙検知装置100は、壁面に固定された固定式煙検知装置本体112と監視区域に敷設されたサンプリング管114で構成される。
【0161】
サンプリング管114は固定式煙検知装置本体112の上部から上向きに引き出され、天井面に近い位置で横方向に屈曲して、サーバラック124の上方に天井面に沿って水平に配置され、サンプリング管114の水平部分には、所定間隔でサンプリング孔を備えた開閉弁16-1~16-8が例えば下向きに配置されている。
【0162】
開閉弁16-1~16-8は例えば電磁弁が使用され、非通電状態で閉鎖し、通電状態で開放する常時閉鎖型の電磁弁を使用する。開閉弁16-1~16-8に対しては固定式煙検知装置本体112から点線で示すように個別に信号線(制御線)120が接続されており、固定式煙検知装置本体112の制御により、開閉弁16-1~16-8を個別に開閉駆動できるようにしている。
【0163】
なお、サンプリング管114は本実施形態のように直管として配置される以外に、複数系統に分けて分岐配置される場合等、適宜の配置が監視区域における防護対象に対応して行われる。また、サンプリング管114に設けた開閉弁16-1~16-8のサンプリング孔に、更に吸込管を接続してサーバラック124の筐体に連結し、サーバラック124単位に筐体内の空気を吸引するようにしても良い。
【0164】
また、本実施形態は、サンプリング管114のサンプリング孔の1つに対応して開閉弁16-1~16-8を設けているが、2つ以上の所定数のサンプリング孔毎に対応して開閉弁を設けるようにしても良い。
【0165】
固定式煙検知装置本体112は、サンプリング管114を介して吸引した空気中に含まれる煙を検知する。固定式煙検知装置本体112により検知する煙濃度は、例えば0.005%/m~5.0%/mの範囲とする。
【0166】
また、固定式煙検知装置本体112は、サンプリング管114に設けられた開閉弁16-1~16-8を例えば開閉弁16-1から順番に1台ずつ各々所定の開駆動時間T1~T8のあいだ開いた後に閉じる開閉動作を繰り返している。このため開閉弁16-1~16-8が1台ずつ各々所定の開駆動時間T1~T8のあいだ順番に開放され、各開駆動時間T1~T8の間に開放した開閉弁16-1のサンプリング孔から吸引された空気はサンプリング管114を介して固定式煙検知装置本体112に到達し、煙の有無が検知される。
【0167】
開閉弁16-1~16-8には煙発生位置を示すID情報としてアドレスA1~A8が予め設定されており、固定式煙検知装置本体112で煙を検知した場合、そのとき開駆動している開閉弁16-i(iは1~8の任意の値)のアドレスAiに基づき煙発生位置を特定し、監視室126等に設置された超高感度煙監視盤128に煙検知の旨と煙発生位置を含む信号を送信し、煙検知の旨と煙発生位置を示す煙検知警報(例えば火災警報表示、火災警報音等)を出力(報知)させる。
【0168】
[煙検知装置本体の構成]
図12に示すように、固定式煙検知装置本体112は、制御部130、煙検知ユニット132、吸引ユニット134、開閉弁駆動部136、操作部138、警報表示部140及び伝送部142を備える。
【0169】
吸引ユニット134は、モータにより駆動される吸引ファンを備え、吸引ファンの回転駆動によりサンプリング管114から空気を吸引して煙検知ユニット132を通過させて排気口から排気するようにしている。
【0170】
煙検知ユニット132は、吸引して取り込んだ空気流に対し、例えばレーザ光源からのレーザ光を結像して検煙点を形成し、吸引した空気が煙粒子を含むとき、この検煙点を煙粒子が通過する場合に発生する散乱光を、フォトダイオードで受光して検知パルスを出力して所定時間間隔でカウントし、このカウント数に基づき煙を検知して煙検知信号を出力する。
【0171】
なお、レーザ光源以外にLED等の光源を使用しても良い。受光センサについてもフォトダイオードに限らず、各種の受光センサを適用するものであって良い。
【0172】
開閉弁駆動部136はサンプリング管114に設けた図7の開閉弁16-1~16-8に対し信号線120を接続しており、信号線120に対する開駆動信号の出力により開閉弁16-1~16-8を1台ずつ個別に開駆動する。
【0173】
操作部138は電源スイッチ、リセットスイッチ、感度切替スイッチ等の煙検知に必要な各種の操作スイッチが設けられている。感度切替スイッチは、固定式煙検知装置本体112による煙の検知感度を切替える。
【0174】
警報表示部140は煙検知による警報表示やサンプリング管114のつまり等の障害検知による障害表示を行う。伝送部142は煙検知と煙発生位置を示す信号を図7に示した超高感度煙監視盤128に伝送する。
【0175】
制御部130は、ハードウェアとしてCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等で構成され、CPUによるプログラムの実行により実現される煙検知制御部144と開閉弁制御部46の機能が設けられる。
【0176】
煙検知制御部144は、煙検知ユニット132から出力される煙検知信号が煙の検知感度(検知すべき煙の所定濃度)に対応した所定条件(ここでは所定のカウント数)に達したときに煙を検知し、警報出力手段である警報表示部140に設けている警報灯を点灯又は点滅して煙検知を報知させると共に、伝送部142に指示して煙検知を示す信号を超高感度煙監視盤128に送信して煙検知警報(火災警報)を出力させる制御を行う。これに代えて、又は加えて、警報音を出力させるようにしても良い。
【0177】
また、煙検知制御部144は、煙を検知したときの開閉弁制御部46による開閉弁16-1~16-8の開閉制御状態に基づき煙発生位置を特定し、即ち、煙を検知したときに開駆動している開閉弁に対応した位置を煙検知位置に特定し、伝送部142に指示して煙発生位置を示す信号を超高感度煙監視盤128に送信して煙発生位置(火災発生位置)を表示させる制御を行う。
【0178】
開閉弁制御部46は、常時閉鎖型の開閉弁16-1~16-8を対象に、図13のタイムチャートに示すように、例えば固定式煙検知装置本体112に近い開閉弁16-1から最も遠い位置の開閉弁16-8に向けて順番に、開閉弁16-1~16-8毎に予め設定した各開駆動時間T1~T8のあいだ開駆動する制御を周期T0で繰り返す。
【0179】
ここで、開閉弁16-1~16-8の開駆動時間T1~T8は、開閉弁16-1~16-8の各々をサンプリング孔として開いてから、吸引した空気が固定式煙検知装置本体112の煙検知ユニット132に到達するまでの距離に応じた移動時間に所定の煙検知時間を加えた時間として設定されている。
【0180】
開駆動時間T1~T8は、サンプリング孔からの吸引空気の移動距離と、吸引ユニット134による時間当たり吸引量とサンプリング管114の内径で決まる空気の移動速度から算出可能であり、更に、サンプリング管114の配置形態は警戒区域により異なることから、設置後に開閉弁16-1~16-8のサンプリング孔から試験により煙を吸引させ、煙が検知されるまでの時間を実測して、これに基づき設定するようにしても良い。
【0181】
また、開閉弁16-1~16-8の内の1台を順次開駆動させる開閉制御により、開放している開閉弁の数で決まるサンプリング孔の数は常に1か所であり、このため開閉弁16-1~16-8の内の1台を順次閉駆動させる開閉制御を行ってもサンプリング管114の時間当たり吸引量は常に概ね一定であり、サンプリング孔の数に応じて吸引量を可変させるといった複雑な制御は不要であり、吸引ユニット134による安定した監視区域からの空気の吸引が可能となる。
【0182】
更に、開閉弁制御部46による開閉弁16-1~16-8の開閉制御により、サンプリング管114に対しては常に開閉弁1台が開放して1つのサンプリング孔のみから空気が吸引されている状態となっており、そのため、吸引ユニット134による空気の吸引量は、1つのサンプリング孔に対応した少ない吸引量でよく、その結果、吸引ファンを小型化でき、また、サンプリング管114の内径も小さくすることができ、設備構成を簡単にしてコストの低減が可能となる。
【0183】
[開閉弁の順次開制御に伴う煙検知制御]
図14のフローチャートに基づき、図11の制御部130による煙検知制御を説明する。図14に示すように、固定式煙検知装置本体112の制御部130は、ステップS1でサンプリング管114に設けた開閉弁16-1~16-8のアドレスAi及び開駆動時間Tiを、最初に開駆動する例えば開閉弁16-1のアドレスA1と開駆動時間T1に初期化している。
【0184】
続いて、制御部130は、ステップS2に進み、アドレスA1の開閉弁16-1を開駆動し、このとき他の開閉弁16-2~16-8は閉鎖しており、ステップS3で煙検知の有無を監視し、煙を検知している場合には超高感度煙監視盤128に煙検知の旨を示す信号を送信して煙検知警報(火災警報)を出力させる。一方、ステップS3で煙検知がない場合はステップS4で開駆動時間T1の経過を監視している。
【0185】
制御部130は、開駆動時間T1の間にステップS3で煙検知を判別するとステップS5に進み、このとき開閉弁16-1を開駆動していることから、煙発生位置をアドレスA1の開閉弁16-1によるサンプリング孔に対応した位置と特定し、煙検知の旨と、特定した煙発生位置を示す信号を超高感度煙監視盤128に送信し、煙発生位置を特定した煙検知警報を出力させる。あわせて、自己の警報表示部140でも煙検知警報を出力させる。
【0186】
一方、制御部130は、ステップS3,S5で煙を検知することなく開駆動時間T1が経過したとき、或いはステップS3,S4で煙が検知されて煙発生位置を特定した煙検知警報が行われた後は、ステップS6で最終アドレスA8か否か判別し、最終アドレスA8でない場合はステップS7でアドレスA1を次のアドレスA2に、開駆動時間T1をT2に更新してステップS2に戻り、次の開閉弁16-2の開駆動による煙検知を同様にして行う。
【0187】
また、制御部130はステップS6で最終アドレスA8を判別するとステップS1に戻り、再び、アドレスA1と開駆動時間T1に初期化してステップS2からの処理を繰り返す。
【0188】
なお、上記の実施形態では、開閉弁16-1~16-8の内の1台ごとに、所定の順番に従い所定時間T1~T8開駆動し、残りの開閉弁は閉駆動する制御を繰り返しているが、開閉弁16-1~16-8の内の所定台数ごとに、例えば2台ごとに、所定の順番に従い所定時間開駆動し、残りの開閉弁は閉駆動する制御を繰り返すようにしても良い。この場合、煙検知を判別したときに開駆動している2台の開閉弁によるサンプリング孔に対応した位置を煙発生位置と特定する。
【0189】
なお、ステップS3、S5で煙を検知して煙発生位置を特定した場合も、開駆動時間Tiが経過したらステップS6を介し、ステップS1からの処理を繰り返すようにしても良い。
【0190】
また、上記制御例ではステップS3で煙を検知したときに煙検知警報を、ステップS5で煙発生位置を特定したときに煙発生位置を特定した煙検知警報を出力させるようにしているが、ステップS13で煙を検知したときには煙検知警報を出力させず、ステップS5で煙発生位置を特定したときに、煙発生位置を特定した煙検知警報を出力させるようにしても良い。このようにすることで、煙発生状況を繰り返し確認することができ、信頼性が向上する。
【0191】
[開閉弁の順次閉駆動により煙発生位置を特定する他の実施形態]
次に、開閉弁の順次閉駆動に基づき煙発生位置を特定する煙検知装置の他の実施形態を説明する。
【0192】
本実施形態にあっては、図11のサンプリング管114に設けた開閉弁16-1~16-8は常時開放型の電磁弁とする。このため制御部130の開閉弁制御部46は、開閉弁駆動部136に指示して閉駆動信号を出力させることで、常時開放している開閉弁16-1~16-8を、1台ごとに、所定の順番に従い所定時間閉駆動し、残りの開閉弁は開放状態とする制御を行う。
【0193】
制御部130の開閉弁制御部46は、図15のタイムチャートに示すように、例えば固定式煙検知装置本体112に近い開閉弁16-1から最も遠い位置の開閉弁16-8に向けて1台ずつ順番に、開閉弁16-1~16-8毎に予め設定した閉駆動時間T11~T18のあいだ閉駆動する制御を周期T10で繰り返す。
【0194】
また、煙検知制御部144は、開閉弁16-1~16-8の内の何かの開閉弁16-iを開放しているときに、吸引した空気から煙が検知されている状態であって、次に開閉弁16-iを一時的に閉じてここからの空気の吸引を遮断したときに煙を検知しない状態へ変化した場合に、開閉弁16-iに対応して煙発生位置を特定し、伝送部142に指示して、煙検知の旨と、煙発生位置を示す信号を超高感度煙監視盤128に送信して煙発生位置を特定した煙検知警報を出力させる制御を行う。
【0195】
より具体的には、煙を検知した時点で煙発生の旨を超高感度煙監視盤128に送信し、続いて煙発生位置を特定してから煙発生位置情報を超高感度煙監視盤128に送信する。超高感度煙監視盤128はこれらを順次警報表示する。
【0196】
ここで、開閉弁16-1~16-8の閉駆動時間T11~T18は、開閉弁16-1~16-8の各々をサンプリング孔として閉じてから、閉じる前に吸引した空気が固定式煙検知装置本体112の煙検知ユニット132に到達するまでの距離に応じた移動時間に所定の煙検知時間を加えた時間として設定されている。なお、閉駆動時間T11~T18は一定としているが、異なった時間としてもよく、計算により求めて設定しても良いし、実測に基づいて設定するようにしても良い。
【0197】
このように開閉弁16-1~16-8を1台ずつ順次閉駆動させる開閉制御により、開放している開閉弁の数で決まるサンプリング孔の数は常に7か所であり、このため開閉弁16-1~16-8を1台ずつ順次閉駆動させる開閉制御を行ってもサンプリング管114の時間当たり吸引量は常に概ね一定であり、サンプリング孔の数に応じて吸引量を可変させるといった複雑な制御は不要であり、吸引ユニット134による安定した監視区域からの空気の吸引が可能となる。
【0198】
[開閉弁の順次閉制御に伴う煙検知制御]
図16のフローチャートに基づき、図14の制御部130による開閉弁の順次閉制御に伴う煙検知制御を説明する。
【0199】
図16に示すように、固定式煙検知装置本体112の制御部130は、ステップS11でサンプリング管114に設けた開閉弁16-1~16-8のアドレスAi及び閉駆動時間T1iを、最初に閉駆動する例えば開閉弁16-1のアドレスA1と閉駆動時間T11に初期化している。
【0200】
続いて、制御部130は、ステップS12に進み、アドレスA1の開閉弁16-1を閉駆動し、このとき他の開閉弁16-2~16-8は開放しており、ステップS13で煙検知の有無を監視し、煙を検知している場合には超高感度煙監視盤128に煙検知の旨を示す信号を送信して煙検知警報を出力させる。一方、ステップS13で煙検知がない場合はステップS16で閉駆動時間T11の経過を監視している。
【0201】
続いて制御部130は、ステップS16で閉駆動時間T11の経過を判別したとき、ステップS15で最終アドレスであるか否かを判別し、この場合最終アドレスではないことからステップS16に進んでアドレスA1をアドレスA2に、閉駆動時間T11を閉駆動時間Tに更新してステップS12で開閉弁16-2を閉駆動し、このとき他の開閉弁16-1、16-3~16-4は開放している。この制御状態でステップS13,S16の処理により駆動時間T12の経過を監視し、経過前に煙を検知しない状態に変化したことをステップS13で判別した場合には、ステップS14でアドレスA2の開閉弁16-2に対応する位置を煙発生位置として特定して超高感度煙監視盤128に煙発生位置情報を送信して煙発生位置を特定した煙検知警報を出力させる。
【0202】
また、制御部130は、ステップS16で閉駆動時間T12が経過しても煙を検知した状態が継続する場合は、煙発生位置の特定を行わず、ステップS15を介してステップS17に進み、アドレスA2をアドレスA3に、閉駆動時間T12を閉駆動時間T13に更新する。
【0203】
以下、制御部130はステップS17でアドレスと閉駆動時間を順次更新しながらステップS12からの処理を繰り返し、ステップS15で最終アドレスA8を判別するとステップS11に戻り、再び、アドレスA1と開駆動時間T11に初期化してステップS12からの処理を繰り返す。
【0204】
なお、ステップS13、S14で煙を検知して煙発生位置を特定した場合も、閉駆動時間Tiが経過したらステップS6を介し、ステップS1からの処理を繰り返すようにしても良い。このようにすることで、煙発生状況を繰り返し確認することができ、信頼性が向上する。
【0205】
また、上記制御例ではステップS13で煙を検知したときに煙検知警報を、ステップS14で煙発生位置を特定したときに煙発生位置を特定した煙検知警報を出力させるようにしているが、ステップS13で煙を検知したときには煙検知警報を出力させず、ステップS5で煙発生位置を特定したときに、煙発生位置を特定した煙検知警報を出力させるようにしても良い。例えば、煙検知警報として、ブザー音とあわせて煙発生区画に対応した表示を行う。また、音声メッセージ等により煙発生とその発生地区をアナウンスするようにする。
【0206】
また、上記の実施形態では、開閉弁16-1~16-8の内の1台ごとに、所定の順番に従い所定時間T11~T18閉駆動し、残りの開閉弁は開駆動する制御を繰り返しているが、開閉弁16-1~16-8の内の所定台数ごとに、例えば2台ごとに、所定の順番に従い所定時間閉駆動し、残りの開閉弁は開駆動する制御を繰り返すようにしても良い。この場合、煙を検知しない状態へ変化したことを判別したときに、閉駆動している2台の開閉弁によるサンプリング孔に対応した位置を煙発生位置と特定する。
【0207】
[開駆動制御と閉駆動制御の選択]
図13のタイムチャートに示した開閉弁の開駆動により煙発生位置を特定する開駆動制御と、図15のタイムチャートに示した開閉弁の閉駆動により煙発生位置を特定する閉駆動制御は、開閉弁の制御に係る電力等を考慮してどちらかを選択することができる。また、装置側で開駆動制御と閉駆動制御の選択を可能としても良い。
【0208】
[第3発明の変形例]
上記の実施形態は、常時閉鎖型又は常時開放型の開閉弁として電磁弁を使用しているが、モータ駆動により開閉される電動弁としても良い。開閉弁として電動弁を使用した場合には、サンプリング孔の開閉が時間的に緩やかに行われることで、サンプリング管による一定の吸引量の変動が抑制され、開閉弁を開閉しても安定した吸引が可能となる。
【0209】
また、上記の実施形態は、煙検知装置本体に近い側から順番に開閉弁を開駆動又は閉駆動しているが、複数の開閉弁の内の所定台数が順番に開駆動又は閉駆動されていれば良いことから、開閉弁を開駆動又は閉駆動する順番は必要に応じて適宜に定めることができる。
【0210】
また、上記で説明した開駆動で判定する形態と閉駆動で判定する形態は、装置側でその選択を可能としても良い。
【0211】
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【0212】
[第4発明に係る実施形態の基本的概念]
図17は固定式煙検知装置と可搬式煙検知装置を用いて煙発生位置を特定する煙発生位置の特定方法の実施形態を示した説明図である。
【0213】
本発明における煙発生位置の特定方法を実現する実施形態の基本概念は、コンピュータルーム122等の警戒区域に配置されたサンプリング管14からの空気の吸引により固定式煙検知装置10で煙発生区画を特定し、固定式の煙検知装置10で特定した煙発生区画においてサンプリング管14を備えた可搬式の煙検知装置100を移動しながら煙発生位置を特定するものであり、可搬式煙検知装置100を用いて火災発生位置を特定する場合に、固定式の煙検知装置10の煙検知感度よりも高い感度を初期感度とし、このとき煙の検知感度の切替えは機能せず、煙発生区画内を移動しながら煙の発生位置を特定するのに使用される際には、初期感度から作業が開始され、煙の発生位置を特定するための使用中に、所定の煙検知信号を検出したときに、煙の検知感度の切替えが機能する状態となり、続いて、煙の検知感度を下げることにより、煙の発生位置を絞り込んで特定するものであり、固定式の煙検知装置10で煙発生区画が特定されたときに、特定された煙発生区画を可搬式の煙検知装置100を移動しながら煙の発生位置を特定する作業を始める場合、可搬式の煙検知装置100における煙の検知感度は、必ず、固定式の煙検知装置10における煙の検知感度と同じか、又は、高い煙の検知感度を初期感度として始めるようにしたため、固定式の煙検知装置で煙発生区画が特定されたときに、可搬式の煙検知装置により特定された煙発生区画内又はその近傍を移動しながら煙の発生位置を特定する作業を始める場合、可搬式の煙検知装置における煙の検知感度は、必ず、固定式の煙検知装置における煙の検知感度と同じか、又は、高い煙の検知感度を初期感度として始めることで、切替操作に係る作業開始時の感度設定ミスを防止し、従来のように始めから低感度として作業を始めることで煙の発生位置を見逃してしまうことがなく、監視区域を移動しながら煙の発生位置を特定する作業が迅速且つ効率良く、また確実に行えることを可能とする。
【0214】
また、可搬式の煙検知装置により煙発生位置を特定する作業を始める際に、固定式の煙検知装置における煙の検知感度より低感度に切替えて作業を開始してしまうことを確実に防止でき、更に、煙の検知感度の初期感度で所定の煙検知信号を検出したときに煙の検知感度の切替えが機能する状態となり、その後、煙の検知感度を下げながら煙の発生位置を絞り込む作業が可能となり、このため、迅速かつ効率良く、また確実に煙の発生位置を特定することができる。以下詳細に説明する。
【0215】
(固定式の煙検知装置)
図17に示す固定式の煙検知装置10は、図11に示したと同じであり、開閉弁116-1~116-8に煙発生区画を表示するための表示灯15が設けられている点で相違する。開閉弁116-1~116-8に対しては固定式煙検知装置本体112から点線で示すように個別に信号線(制御線)120が接続されており、固定式煙検知装置本体112の制御により、開閉弁116-1~116-8を個別に開閉駆動でき、また、特定された煙発生区画を示すために表示灯150を点灯又は点滅するようにしている。また、可搬式の煙検知装置10は、図7及び図8の実施形態と同じものである。
【0216】
(煙発生位置を特定する作業)
図17に基づいて、本実施形態の煙発生位置の特定方法による作業を説明すると次のようになる。
【0217】
図17の例においては、サーバが収納されたサーバラック124が配置されたコンピュータルーム122を監視区域として、固定式の煙検知装置100が設置されている。固定式煙検知装置本体112からは監視区域にサンプリング管114が引き出され、サンプリング管114のサンプリング孔1つ毎に対応して開閉弁116-1~116-8が設けられ、サンプリング管114により吸引する時間当たり空気量を略一定に保つように開閉弁116-1~116-8を所定台数ごとに、例えば1台ごとに、所定の順番に従い所定時間開駆動し、残りの開閉弁は閉駆動する制御を繰り返し行っており、サンプリング管114を介して吸引した空気中に含まれる煙を検知したときに、開閉弁116-1~116-8の制御状態に基づいて煙発生位置を特定して報知するようにしている。
【0218】
固定式煙検知装置本体112が煙を検知して作動すると、煙発生区画情報を含む警報信号が監視室126に設置された超高感度煙監視盤128に送られ、煙発生区画を示した火災警報が出力され、また、サンプリング管114に設けている開閉弁116-1~116-8の配置位置に設けられた表示灯150の内、特定した煙発生区画の表示灯150が例えば点滅し、煙発生区画を表示する。
【0219】
このように固定式煙検知装置本体112により煙が検知されて火災警報が出力された場合、係員は監視区域であるコンピュータルーム122に例えば図7に示した可搬式の煙検知装置10を持ち込み、表示灯150が点滅している開閉弁116-iの場所が煙発生区画であることを知り、煙発生区画を中心に可搬式の煙検知装置10を移動しながら、サンプリング管14の先端のサンプリング孔から空気を吸引して煙発生位置を特定する作業を開始する。
【0220】
このとき、可搬式の煙検知装置10における煙の検知感度は、固定式の煙検知装置100の煙の検知感度と同じか、又は、それより高い煙の検知感度となる初期感度に設定され、且つこの状態で感度切替えは機能せず、煙の発生位置から離れた場所から作業を開始しても、速やかに煙を検知することができ、従来のように予め低感度とすることで作業を始めて煙の発生位置を見逃してしまうことがない。
【0221】
また、作業を開始してから可搬式の煙検知装置10が所定の煙検知信号の検出により作動すると、それまで機能していなかった感度切替えが機能する状態となり、係員は、例えば、初期感度として設定されていた図2に示す感度切替釦26aに対応した1番目の0.005~0.1%/mの煙の検知感度から2番目、3番目、4番目の煙の検知感度に段階的に下げることで、煙の発生位置を絞り込む作業を行う。
【0222】
このように係員が可搬式の煙検知装置10を移動しながら煙発生位置を絞り込む作業中、可搬式の煙検知装置10のサンプリング管14側に設けた煙濃度表示器46にそのとき検知している煙濃度が煙濃度表示器60にバーグラフ表示され、あわせて、図8に示した音響報知部70から煙濃度の変化に応じた音が出力され、移動中に例えば音の出力周期が長くなったら煙発生位置に近づいていることが分かり、音の出力周期が短くなったら煙発生位置から遠のいていることが分かり、このような音の変化を頼りに係員は効率良く煙発生位置に移動して絞込み、火災発生位置を発見して確認することができる。
【0223】
(サンプリング管の吸引位置に煙検知器を設けた固定式の煙検知装置)
本願第4発明による煙発生位置の特定方法に使用する固定式の煙検知装置100としては、図17のサンプリング管114に設けた開閉弁116-1~116-8に代えて、光電式の煙検知器を設けるようにしても良い。
【0224】
サンプリング管114の吸引位置に設けられた煙検知器は、吸引した空気中に含まれる煙を検知すると煙感知信号を固定式煙検知装置本体112に出力し、これにより固定式煙検知装置本体12は煙発生区画を特定した火災警報信号を超高感度煙監視盤128に出力し、煙検知器のID情報に基づいて火災発生区画(煙発生区画)を特定した火災警報を出力させる。
【0225】
また、サンプリング管114に設けられた煙検知器は発報表示灯を備えており、煙を感知すると発報表示灯を点灯又は点滅し、これにより煙発生区画を表示することができる。
【0226】
このようにサンプリング管114の吸引位置に煙検知器を設けた固定式の煙検知装置100は、複数の煙検知器を設けることで設備コストは増加するが、サンプリング管114により空気を吸引するという簡単な制御による煙検知器の煙感知により確実に煙発生区画を特定することができる。
【0227】
なお、サンプリング管114の吸引位置に煙検知器を設けた固定式の煙検知装置10で煙発生区画を特定したときの可搬式の煙検知装置10を用いた煙発生位置を特定する作業での操作は、サンプリング管114に開閉弁116-1~116-8を設けた固定式の煙検知装置100の場合と同じになる。
【0228】
また、図16の煙発生位置の特定に使用する可搬式の煙検知装置10は、図7の実施形態に限定されず、それ以外の実施形態による可搬式の煙検知装置10を使用することを妨げない。
【符号の説明】
【0229】
10:可搬式の煙検知装置
12:煙検知装置本体
14:サンプリング管
14b:サンプリング孔
16:ホース接続口
18:ハンドル
20:電源スイッチ
22:操作表示部
24:警報表示部
26:感度切替操作部
26a~26d:感度切替釦
30:制御部
32:煙検知ユニット
34:吸引ユニット
36:電池電源部
40:煙検知制御部
42:感度切替制御部
43:手動感度切替機能
44:自動感度切替機能
48:手動感度切替釦
50:自動感度切替釦
60:煙濃度表示器
62:音響孔
64,66:伝送部
70:音響報知部
72:振動報知部
100:固定式の煙検知装置
112:固定式煙検知装置本体
114:サンプリング管
116-1~116-8:開閉弁
120:信号線
122:コンピュータルーム
124:サーバラック
126:監視室
128:超高感度煙監視盤
130:制御部
132:煙検知ユニット
134:吸引ユニット
136:開閉弁駆動部
138:操作部
140:警報表示部
142:伝送部
144:煙検知制御部
146:開閉弁制御部
150:表示灯
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