IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッドの特許一覧

特開2024-113085GP120 V3グリカン指向性抗体による療法に感受性であるHIV患者を同定する方法
<>
  • 特開-GP120  V3グリカン指向性抗体による療法に感受性であるHIV患者を同定する方法 図1
  • 特開-GP120  V3グリカン指向性抗体による療法に感受性であるHIV患者を同定する方法 図2
  • 特開-GP120  V3グリカン指向性抗体による療法に感受性であるHIV患者を同定する方法 図3
  • 特開-GP120  V3グリカン指向性抗体による療法に感受性であるHIV患者を同定する方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113085
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】GP120 V3グリカン指向性抗体による療法に感受性であるHIV患者を同定する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240814BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20240814BHJP
   C07K 14/16 20060101ALI20240814BHJP
   C07K 16/10 20060101ALI20240814BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240814BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20240814BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20240814BHJP
【FI】
A61K39/395 D
A61P31/18 ZNA
A61K39/395 S
C07K14/16
C07K16/10
C07K19/00
C12Q1/02
C12Q1/6869 Z
A61P31/18
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024091552
(22)【出願日】2024-06-05
(62)【分割の表示】P 2023008786の分割
【原出願日】2020-05-18
(31)【優先権主張番号】62/850,994
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500029420
【氏名又は名称】ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン モルト
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ エス. ペイス
(57)【要約】
【課題】GP120 V3グリカン指向性抗体による療法に感受性であるHIV患者を同定する方法の提供。
【解決手段】HIVの治療又は予防を必要とするヒト対象においてHIVを治療又は予防する方法であって、前記方法は:(a)以下のアミノ酸残基:N332グリカン、D325、並びにT63、L179、T320、及びH330からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染したヒト対象を同定することであって、前記アミノ酸位置が配列番号:4を参照している、同定することと、(b)第3の可変ループ(V3)、及び/又はN332オリゴマンノースグリカンを含む高マンノースパッチ内のgp120のエピトープに結合する、VH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む有効量の抗体又はその抗原結合フラグメントを、前記対象に投与することと、を含む、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年5月21日に出願された米国仮出願第第62/850,994号の利益を米国特許法119条(e)の下で主張するものであり、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2020年4月27日に作成されたこのASCII文は、1289PF_SL.txtと名付けられ、199,543バイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
ヒト免疫不全ウイルス(Human immunodeficiency virus:HIV)感染症及び関連疾患は、世界中で主要な公衆衛生問題である。HIV感染症に対する現在承認されている療法は、ウイルス逆転写酵素、プロテアーゼ酵素、及びインテグラーゼを標的とするが、これらの既存の薬物に対するHIVの耐性、長期毒性、及び毎日投与レジメンへの患者のアドヒアランスの欠如は、これらの療法に関連した問題であることが証明されている。したがって、新規なHIV薬物を発見及び開発することが重要である。
国際公開第2009/066702号、同第2012/030904号、同第2014/063059号、同第2016/149698号、同第2017/106346号;同第2018/075564号、及び同第2018/125813号、McCoy、「Retrovirology」(2018年)第15巻第70頁;Sok及びBurton、「Nat Immunol.」2018年、第19巻(11号):第1179~1188頁;Possasら、「Expert Opin Ther Pat.」2018年7月;第28巻(第7号):第551~560頁、並びにStephenson及びBarouch、「Curr HIV/AIDS Rep」(2016年)第13巻:第31~37頁は、HIV感染ドナーのメモリB細胞に由来するヒト抗HIV抗体を記載しており、この抗体はgp120のV3グリカン領域を標的とし、複数のクレードからのHIV-1種による感染を阻害することができる。抗体の治療的使用は、HIV gp120 V3グリカン領域抗体によって標的化され得るHIV-1種に感染した患者を同定する必要性に起因して、制限されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/066702号
【特許文献2】国際公開第2012/030904号
【特許文献3】国際公開第2014/063059号
【特許文献4】国際公開第2016/149698号
【特許文献5】国際公開第2017/106346号
【特許文献6】国際公開第2018/075564号
【特許文献7】国際公開第2018/125813号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】McCoy、「Retrovirology」(2018年)第15巻第70頁
【非特許文献2】Sok及びBurton、「Nat Immunol.」2018年、第19巻(11号):第1179~1188頁
【非特許文献2】Possasら、「Expert Opin Ther Pat.」2018年7月;第28巻(第7号):第551~560頁
【非特許文献2】Stephenson及びBarouch、「Curr HIV/AIDS Rep」(2016年)第13巻:第31~37頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
HIV gp120のV3グリカン領域を標的とする抗体による療法から、効果をもたらす可能性の最も高い患者を同定する方法が提供される。
したがって、一態様では、HIVの治療又は予防を必要とするヒト対象においてHIVを治療又は予防する方法が提供され、この方法は、(a)以下のアミノ酸残基:アミノ酸残基332位に対応する位置のグリコシル化アスパラギン(N332グリカン)、アミノ酸残基325位に対応する位置のアスパラギン酸塩(D325)、並びにアミノ酸残基63位に対応する位置のスレオニン(T63)、アミノ酸残基179位に対応する位置のロイシン(L179)、アミノ酸残基320位に対応する位置のスレオニン(T320)、及びアミノ酸残基置330位に対応する位置のヒスチジン(H330)からなる群から選択された1つ以上のアミノ酸残基、を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染したヒト対象を同定することと、(b)第3の可変ループ(V3)内のgp120のエピトープ及び/又はN332オリゴマンノースグリカンを含む高マンノースパッチに結合するVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む、有効量の抗体又はその抗原結合フラグメントを、対象に投与することと、を含み、アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している。いくつかの実施形態では、本方法は、以下のアミノ酸残基を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴う:i.N332グリカン、D325、及びT63;ii.N332グリカン、D325、及びL179;iii.N332グリカン、D325、及びT320;iv.N332グリカン、D325、及びH330;v.N332グリカン、D325、T63、及びL179;vi.N332グリカン、D325、T63、及びT320;vii.N332グリカン、D325、T63、及びH330;viii.N332グリカン、D325、L179、及びT320;ix.N332グリカン、D325、L179、及びH330;x.N332グリカン、D325、T320、及びH330;xi.N332グリカン、D325、T63、T320、及びH330;xii.N332グリカン、D325、T63、L179、及びT320;xiii.N332グリカン、D325、T63、L179、及びH330;xiv.N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330;又は、xv.N332グリカン、D325、T63、L179、T320、及びH330(アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している)。いくつかの実施形態では、本方法は、以下のアミノ酸残基を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴う:i.N332グリカン、D325、及びT63;ii.N332グリカン、D325、及びL179;iii.N332グリカン、D325、及びT320;又はiv.N332グリカン、D325、及びH330(アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している)。いくつかの実施形態では、本方法は、以下のアミノ酸残基を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴う:i.N332グリカン、D325、T63、及びL179;ii.N332グリカン、D325、T63、及びT320;iii.N332グリカン、D325、T63、及びH330;iv.N332グリカン、D325、L179、及びT320;v.N332グリカン、D325、L179、及びH330;又はvi.N332グリカン、D325、T320、及びH330(アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している)。いくつかの実施形態では、本方法は、以下のアミノ酸残基を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴う:i.N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330;ii.N332グリカン、D325、T63、T320、及びH330;iii.N332グリカン、D325、T63、L179、及びT320;又はiv.N332グリカン、D325、T63、L179、及びH330(アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している)。いくつかの実施形態では、本方法は、以下のアミノ酸残基を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴う:i.N332グリカン、D325、T63、及びH330;ii.N332グリカン、D325、T320、及びH330;iii.N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330;又はiv.N332グリカン、D325、T63、L179、T320、及びH330(アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している)。いくつかの実施形態では、対象は、以下のアミノ酸残基のうち1つ以上を更に含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象である:アミノ酸残基301のグリカン(グリカン301);アミノ酸残基のリジン677(K677);17位のトリプトファン(例えば、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、又はY)以外のアミノ酸残基(not_W17);747位のアルギニン(例えば、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、S、T、V、W、又はY)以外のアミノ酸残基(not_R747);insertion_321.01(例えば、任意のアミノ酸(例えば、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY)の、G321位とK322位との間への挿入);429位のグルタミン酸(E429);442位のグルタミン(Q442);335位のアルギニン(R335);165位のイソロイシン(I165);393位のセリン(S393);307位のイソロイシン(I307);295位のグリカン(295グリカン);及び/又は300位(N300)のアスパラギン(アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している)。いくつかの実施形態では、HIVの集団におけるHIV種の、少なくとも90%、例えば、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%は、列挙されたアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、投与された抗体又はその抗原結合フラグメントは、GS-9722(エリポビマブ)、GS-9721、PGT-121、PGT-121.66、PGT-121.414、PGT-122、PGT-123、PGT-124、PGT-125、PGT-126、PGT-128、PGT-130、PGT-133、PGT-134、PGT-135、PGT-136、PGT-137、PGT-138、PGT-139、10-1074、10-1074-J、VRC24、2G12、BG18、354BG8、354BG18、354BG42、354BG33、354BG129、354BG188、354BG411、354BG426、DH270.1、DH270.6、PGDM12、VRC41.01、PGDM21、PCDN-33A、BF520.1、及びVRC29.03からなる群から選択される抗体からのVH及びVL領域と競合するか、又はこれらを含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、GS-9722、GS-9721、PGT-121、PGT-121.66、PGT-121.414、PGT-124、PGT-134、GS-2872、10-1074、10-1074-J、PGT-122、及びPGT-123からなる群から選択される抗体からのVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、血清半減期を延長する1つ以上のアミノ酸置換を含む、Fc領域を含む抗体を、投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、指示位置(EUインデックス番号付け)において、以下のアミノ酸を含むFc領域を含む抗体を、投与することを含む:i.252位のチロシン、254位のスレオニン、及び256のグルタミン酸(YTE);又はii.428位のロイシン及び434位のセリン(LS)。いくつかの実施形態では、本方法は、指示位置(EUインデックス番号付け)において、以下のアミノ酸を含むFc領域を含む抗体を、投与することを含む:i.239位のアスパラギン酸塩及び332位のグルタミン酸塩(DE);ii.239位のアスパラギン酸塩、332位のグルタミン酸塩、及び330位のロイシン(DEL);iii.239位のアスパラギン酸塩、332位のグルタミン酸塩、及び236位のアラニン(DEA);又はiv.239位のアスパラギン酸塩、332位のグルタミン酸塩、236位のアラニン、及び330位のロイシン(DEAL)。いくつかの実施形態では、本方法は、抗原結合フラグメントを投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗原結合フラグメントは、scFv、Fab、Fab2、Fab’、F(ab’)、Fv、及びダイアボディからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体の1つ以上のアームである。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVに急性感染している。いくつかの実施形態では、抗体は、FiebigステージIV又はこれより早期、例えば、FiebigステージIII、FiebigステージII、又はFiebigステージIのHIV感染症を有するヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体は、血清転換されていないヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVに最近感染しており、例えば、1、2、3、若しくは4週間以内、又は検出前、血清転換若しくは症状の兆候の前に感染している。いくつかの実施形態では、抗体は、FiebigステージV又はFiebigステージVIのHIV感染症を有するヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVに慢性的に感染している。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVクレードBウイルスに感染している。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVクレードBウイルスに感染しており、本方法は、以下のアミノ酸残基を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴う:i.N332グリカン、D325、T63、及びH330;ii.N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330;又はiii.N332グリカン、D325、T63、L179、T320、及びH330。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVクレードAウイルスに感染している。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVクレードCウイルスに感染している。いくつかの実施形態では、本方法は、対象に、HIV感染症を治療するための1つ以上の追加の治療剤を投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、対象は、抗レトロウイルス療法(antiretroviral therapy:ART)を受けていない、又はARTは、抗体の投与前に中断される。
いくつかの実施形態では、ARTは、抗体又はその抗原結合フラグメントの1回以上の投与後に中断される。いくつかの実施形態では、本方法は、対象に、1つ以上の抗レトロウイルス療法(ART)剤を投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、以下からなる群から選択されるgp120のエピトープ又は領域に結合する、第2の抗体又はその抗原結合フラグメントを対象に投与することを更に含む:第2の可変ループ(V2)及び/又はEnv三量体先端;CD4結合部位(CD4bs);gp120/gp41界面;又は、gp120のサイレント面(silent face)。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2の可変ループ(V2)及び/又はEnv三量体先端におけるgp120のエピトープ又は領域に結合し、PG9、PG16、PGC14、PGG14、PGT-142、PGT-143、PGT-144、PGT-145、CH01、CH59、PGDM1400、CAP256、CAP256-VRC26.08、CAP256-VRC26.09、CAP256-VRC26.25、PCT64-24E、及びVRC38.01からなる群から選択される抗体からのV
H及びVL領域と競合するか又はこれらを含む。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合フラグメントは、CD4結合部位(CD4bs)におけるgp120のエピトープ又は領域に結合し、b12、F105、VRC01、VRC07、VRC07-523、VRC03、VRC06、VRC06b01VRC08、VRC0801、NIH45-46、GS-9723、GS-5423、3BNC117、3BNC60、VRC-PG04、PGV04;CH103、44-VRC13.01、1NC9、12A12、N6、N6LS(VRC-HIVMAB091-00-AB)、N49-P7、NC-Cow1、IOMA、CH235、及びCH235.12、N49P6、N49P7、N49P11、N49P9、及びN60P25からなる群から選択される抗体からのVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合フラグメントは、gp120/gp41界面におけるgp120のエピトープ又は領域に結合し、PGT-151、CAP248-2B、35O22、8ANC195、ACS202、VRC34、及びVRC34.01からなる群から選択される抗体からのVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合フラグメントは、gp120サイレント面のエピトープ又は領域に結合し、抗体VRC-PG05からのVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合フラグメントは、膜近位領域(membrane proximal region:MPER)におけるgp41のエピトープ又は領域に結合し、10E8、10E8v4、10E8-5R-100cF、4E10、DH511.11P、2F5、7b2、及びLN01からなる群から選択される抗体からのVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合フラグメントは、gp41の融合ペプチドのエピトープ又は領域に結合し、VRC34及びACS202からなる群から選択される抗体からのVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、TLRアゴニストを対象に投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、TLRアゴニストは、TLR2アゴニスト、TLR3アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、又はTLR9アゴニストである。いくつかの実施形態では、TLR7アゴニストは、ベサトリモド、イミキモド、及びレシキモドからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、本方法は、抗体又はその抗原結合フラグメントを複数回、任意にTLRアゴニストと共に所定の間隔で投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントの1回以上の投与後、対象は、抗レトロウイルス治療(ART)の非存在下において、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、少なくとも5年間、又はそれ以上、HIV又はAIDSの症状を呈しない。いくつかの実施形態では、抗体の1回以上の投与の後、対象は、抗レトロウイルス治療(ART)の非存在下において、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、又はそれ以上、500未満、例えば、400未満、300未満、200未満、100未満、50未満のHIVウイルス量(viral load)コピー/mL血液を有する
【0007】
別の態様では、第3の可変ループ(V3)内のgp120エピトープ及び/又はN332オリゴマンノースグリカンを含む高マンノースパッチに結合する、VH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む抗体又はその抗原結合フラグメントに感受性である、HIV又はHIVの集団に感染したヒト対象を同定する方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、以下のアミノ酸残基:アミノ酸残基332位に対応する位置のグリコシル化アスパラギン(N332グリカン)、アミノ酸残基325位に対応する位置にあるアスパラギン酸塩(D325)、並びに以下:アミノ酸残基63位に対応する位置のスレオニン(T63)、アミノ酸残基179位に対応する位置のロイシン(L179)、アミノ酸残基320位に対応する位置のスレオニン(T320)、及びアミノ酸残基330位に対応する位置のヒスチジン(H330)からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基(アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している)を含む、gp120、ヒト対象からの生体試料を同定することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、以下のアミノ酸残基を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴う:i.N332グリカン、D325、及びT63;ii.N332グリカン、D325、及びL179;iii.N332グリカン、D325、及びT320;iv.N332グリカン、D325、及びH330;v.N332グリカン、D325、T63、及びL179;vi.N332グリカン、D325、T63、及びT320;vii.N332グリカン、D325、T63、及びH330;viii.N332グリカン、D325、L179、及びT320;ix.N332グリカン、D325、L179、及びH330;x.N332グリカン、D325、T320、及びH330;xi.N332グリカン、D325、T63、T320、及びH330;xii.N332グリカン、D325、T63、L179、及びT320;xiii.N332グリカン、D325、T63、L179、及びH330;xiv.N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330;又は、xv.N332グリカン、D325、T63、L179、T320、及びH330(アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している)。いくつかの実施形態では、本方法は、以下のアミノ酸残基を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴う:i.N332グリカン、D325、及びT63;ii.N332グリカン、D325、及びL179;iii.N332グリカン、D325、及びT320;又はiv.N332グリカン、D325、及びH330(アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している)。いくつかの実施形態では、本方法は、以下のアミノ酸残基を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴う:i.N332グリカン、D325、T63、及びL179;ii.N332グリカン、D325、T63、及びT320;iii.N332グリカン、D325、T63、及びH330;iv.N332グリカン、D325、L179、及びT320;v.N332グリカン、D325、L179、及びH330;又はvi.N332グリカン、D325、T320、及びH330(アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している)。いくつかの実施形態では、本方法は、以下のアミノ酸残基を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴う:i.N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330;ii.N332グリカン、D325、T63、T320、及びH330;iii.N332グリカン、D325、T63、L179、及びT320;又はiv.N332グリカン、D325、T63、L179、及びH330(アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している)。いくつかの実施形態では、本方法は、以下のアミノ酸残基を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴う:i.N332グリカン、D325、T63、及びH330;ii.N332グリカン、D325、T320、及びH330;iii.N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330;又はiv.N332グリカン、D325、T63、L179、T320、及びH330(アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している)。いくつかの実施形態では、対象は、以下のアミノ酸残基のうち1つ以上を更に含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象である:アミノ酸残基301のグリカン(グリカン301);アミノ酸残基のリジン677(K677);17位のトリプトファン(例えば、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、又はY)以外のアミノ酸残基(not_W17);747位のアルギニン(例えば、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、S、T、V、W、又はY)以外のアミノ酸残基(not_R747);insertion_321.01(例えば、任意のアミノ酸(例えば、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY)の、G321位とK322位との間への挿入);429位のグルタミン酸(E429);442位のグルタミン(Q442);335位のアルギニン(R335);165位のイソロイシン(I165);393位のセリン(S393);307位のイソロイシン(I307);295位のグリカン(295グリカン);及び/又は300位(N300)のアスパラギン(アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している)。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、GS-9722、GS-9721、PGT-121、PGT-121.66、PGT-121.414、PGT-122、PGT-123、PGT-124、PGT-125、PGT-126、PGT-128、PGT-130、PGT-133、PGT-134、PGT-135、PGT-136、PGT-137、PGT-138、PGT-139、10-1074、10-1074-J、VRC24、2G12、BG18、354BG8、354BG18、354BG42、354BG33、354BG129、354BG188、354BG411、354BG426、DH270.1、DH270.6、PGDM12、VRC41.01、PGDM21、PCDN-33A、BF520.1、及びVRC29.03からなる群から選択される抗体からのVH及びVL領域と競合するか、又はこれらを含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、GS-9722、GS-9721、PGT-121、PGT-121.66、PGT-121.414、PGT-124、PGT-134、GS-2872、10-1074、10-1074-J、PGT-122、及びPGT-123からなる群から選択される抗体からのVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVに急性感染している。いくつかの実施形態では、抗体は、FiebigステージIV又はこれより早期のHIV感染症を有するヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体は、血清転換されていないヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVに最近感染している。いくつかの実施形態では、抗体は、FiebigステージV又はFiebigステージVIのHIV感染症を有するヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVに慢性的に感染している。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVクレードBウイルスに感染している。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVクレードBウイルスに感染しており、本方法は、以下のアミノ酸残基を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴う:i.N332グリカン、D325、T63、及びH330;ii.N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330;又はiii.N332グリカン、D325、T63、L179、T320、及びH330。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVクレードAウイルスに感染している。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVクレードCウイルスに感染している。
【0008】
本明細書に記載される方法の更なる実施形態に関して、いくつかの実施形態では、gp120アミノ酸は、対象から単離されたHIV又はHIVの集団から発現された1つ以上のgp120ポリペプチド配列において同定される。いくつかの実施形態では、gp120アミノ酸は、対象から単離されたHIV又はHIVの集団からのgp120ポリペプチドをコードする、1つ以上のgp120ポリヌクレオチド配列において同定される。種々の実施形態では、本方法は、HIVの集団からのgp120をコードするポリヌクレオチド配列に対して、次世代シーケンシング(next generation sequencing:NGS)を実施することを伴う。いくつかの実施形態では、gp120バリアントは、ウイルス集団の約1%の頻度レベル、例えばウイルス集団の約0.5%の頻度レベルまで検出される。いくつかの実施形態では、gp120アミノ酸は、対象からの1つ以上の生体試料において同定され、1つ以上の生体試料は、血液、末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cell:PBMC)、血清、血漿、精液、又はリンパ節から得られる。いくつかの実施形態では、本方法は、血清又は血漿試料中のHIV RNAの集団を同定することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、対象から1つ以上の生体試料を得るステップを更に含む。いくつかの実施形態では、2つ以上の生体試料は、対象から得られる。いくつかの実施形態では、2つ以上の生体試料は、2つ以上の異なる時点で同じ組織又は流体から得られる。いくつかの実施形態では、2つ以上の生体試料は、異なる組織若しくは流体、又は異なる解剖学的位置から得られる。
【0009】
定義
「a」及び「an」という単語は、特に明記しない限り、1つ以上を示す。
【0010】
「約」とは、基準の分量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量、又は長さに対して30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1%も変化する、分量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量、又は長さを意味する。「約」という用語と併せて使用される数値の文脈において論じられる、任意の実施形態では、約という用語を省略することができることが具体的に企図される。
【0011】
文脈により別途必要とされない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、「含む(comprise)」という単語及びその変形、例として「含む(comprises)」及び「含む
こと(comprising)」は、「含むが、これらに限定されない」として解釈されるべきである。「含む(comprise)」又は「含むこと(comprising)」という用語が本明細書で使用される場合、これらの用語が、「からなる(consist of)」又は「から本質的になる(consist essentially of)」又は「からなること(consisting of)」又は「から本質
的になること(consisting essentially of)」と置き換えられる実施形態を、本開示
は更に含むことが理解される。
【0012】
「からなること(consisting of)」とは、「からなること(consisting of)」という語句に続くあらゆるものを含み、及びこれに限定されることを意味する。したがって、「からなること(consisting of)」という語句は、列挙された要素が必要又は必須であり、他の要素が存在し得ないことを示す。
【0013】
「から本質的になること(consisting essentially of)」とは、その語句の後に列
挙された任意の要素を含み、この列挙された要素について本開示で指定された活性又は作用を妨害又は寄与しない、他の要素に限定されることを意味する。したがって、「から本質的になること(consisting essentially of)」という語句は、列挙された要素が必
要又は必須であるが、他の要素は任意によるものであり、列挙された要素の活性又は作用に影響を及ぼすか否かに応じ、存在しても又は存在しなくてもよいことを示す。
【0014】
「一実施形態」又は「実施形態」への本明細書全体を通した言及は、実施形態に関連して記載される特定の特性、構造、又は特徴が、本明細書に記載される少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通した様々な場所における「一実施形態では」又は「実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すものではない。更に、特定の特性、構造、又は特徴は、1つ以上の実施形態において任意の好適な様式で組み合わされてもよい。
【0015】
「増加した」又は「増強された」量は、典型的には「統計的に有意な」量であって、本明細書に記載される量又はレベルの、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、又は50倍以上(例えば、100、500、1000倍)(全ての整数及び間にある小数点、及び1超、例えば2.1、2.2、2.3、2.4等を含む)である増加を含み得る。これはまた、本明細書に記載の量又はレベルの、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%の増加も含み得る。
【0016】
「減少した」又は「低減された」量は、典型的には「統計的に有意な」量であって、本明細書に記載される量又はレベルの、約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、又は50倍以上(例えば、100、500、1000倍)(全ての整数及び間にある小数点、及び1超、例えば1.5、1.6、1.7、1.8等を含む)である低減を含み得る。これはまた、本明細書に記載の量又はレベルの、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%の低減も含み得る。
【0017】
「組成物」は、活性剤、例えば造影剤及び担体、不活性又は活性物質、例えば薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含み得る。組成物は、医薬組成物であってもよい。特定の実施形態では、組成物は無菌であり、使用される投薬量又は濃度において、エンドトキシンを実質的に含まない、又はレシピエントに無毒性である。
【0018】
「薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤」は、米国食品医薬品局によってヒト又は飼育動物での使用に許容可能であるとして承認されている、任意のアジュバント、担体、賦形剤、滑剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、染料/着色料、調味料、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒、又は乳化剤を含むが、これらに限定されない。
【0019】
「生体試料」又は「試料」は、検出可能なHIVを有するか、又は検出可能なHIVを有すると疑われる対象からの、任意の流体、細胞、又は固体組織試料を指す。
【0020】
「対象」、「個体」、又は「患者」は、ヒト及び非ヒト霊長類を含む、任意の哺乳動物を指す。特定の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
【0021】
「緩衝剤」という用語は、本明細書で使用する場合、薬学的に許容される賦形剤を示し、これは、医薬調剤のpHを安定化させる。好適な緩衝剤は当該技術分野において周知である。好適な薬学的に許容される緩衝剤としては、酢酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、クエン酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、トリス緩衝剤、及びリン酸緩衝剤が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、緩衝剤の濃度は、0.01mM~約1000mM、約0.1mM~約1000mM、約0.1mM~約500mM、約0.1~約200mM、約0.1~約100mM、約1mM~約1000mM、約1mM~約500mM、約1mM~約200mM、約1mM~約100mM、約1mM~約50mM、約2mM~約60mM、約4mM~約60mM、又は約4mM~約40mM、約5mM~約20mM、又は約5mM~約25mMである。
【0022】
「任意による(Optional)」又は「任意に(optionally)」とは、続いて記載される状況の事象が発生しても又は発生しなくてもよいこと、並びに記載が、当該事象又は状況が発生する事例及びこれが発生しない事例を含むことを意味する。
【0023】
「医薬組成物」は、生物学的に活性な化合物を、哺乳動物、例えばヒトに送達するために、当該技術分野において概ね受け入れられている化合物及び培地の製剤を指す。そのような培地は、任意の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含んでもよい。
【0024】
「有効量」又は「治療有効量」は、単独で、又は別の治療剤と組み合わせて、細胞、組織、又は対象に投与される場合、治療又は対象における有益な結果をもたらすのに充分である、抗体又はその抗原結合フラグメントの量を指す。「有効量」を構成する量は、抗体又はその抗原結合フラグメント及びその具体的な用途、並びに潜在的に、治療される対象の状態及びその重症度、投与様式、及び年齢に応じて変動するが、当業者は、当業者自身の知識及び本開示を考慮してこれを日常的に決定することができる。治療有効用量は、感染症若しくは疾患状態、又は感染症若しくは疾患の進行を、治療、予防、又は寛解させるのに充分な抗体又はその抗原結合フラグメントの量と、そのような状態の治療、治癒、予防、又は寛解の比率を増加させるのに充分な量と、を更に指す。単独で投与される個々の抗体又はその抗原結合フラグメントに適用される場合、治療有効用量は、その活性成分のみを指す。組合せに適用される場合、治療有効用量は、併用して投与されるか、連続的又は同時に投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす活性成分の組み合わせた量を指す。
【0025】
本明細書で使用する場合、「治療する」、「治療すること」、又は「治療」は、目的の疾患、傷害、又は状態(例えば、対象(例えば、目的の疾患又は状態を有する、ヒトなどの哺乳動物)におけるHIV-1感染症)の治療を包含し、かつ以下:(i)疾患、傷害、又は状態の進行を阻害すること、すなわち、その発症を止めること;(ii)疾患、傷害、又は状態を低減又は緩和すること、すなわち、疾患又は状態の後退を引き起こすこと;又は、(iii)疾患、傷害、又は状態から生じる症状を緩和すること。本明細書で使用する場合、「疾患」、「障害」、及び「状態」という用語は、互換的に使用され得る。本明細書で使用する場合、「阻害」、「治療」、「治療すること」、及び「寛解すること」は、互換的に使用され、例えば、症状の停滞、生存の延長、症状の部分的又は完全な寛解、及び状態、疾患、又は障害の部分的又は完全な根絶を指す。
【0026】
本明細書で使用する場合、「予防する」又は「予防」は、(i)対象において、特に、そのような対象が状態になりやすくされているが、まだ状態を有すると診断されていない場合、疾患、傷害、又は状態を予防又は阻害すること;又は、(ii)対象において、疾患、傷害、又は状態が生じる可能性を低減すること、を含む。
【0027】
本明細書で使用する場合、「抗体」という用語は、抗原エピトープに特異的に結合するために必要な可変領域配列を含む、単離又は組換え結合剤を意味する。したがって、抗体は、所望の生物活性、例えば、特定の標的抗原に結合することを示す、抗体又はそのフラグメントのいずれかの形態である。したがって、この用語は最も広い意味で使用され、これらが所望の生物活性を呈する限り、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、ナノボディ、ダイアボディ、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体フラグメント(scFv、Fab、及びFab2を含むが、これらに限定されない)を包含する。
【0028】
「ヒト抗体」という用語は、可能な非ヒトCDR領域を除いてヒト起源の配列を含有する抗体を指し、Ig分子の完全構造が存在することを意味せず、抗体がヒトにおいて最小限の免疫原性効果を有することのみを意味する。
【0029】
「抗体フラグメント」は、インタクトな抗体の一部、例えば、インタクトな抗体の抗原結合又は可変領域を含む。抗体フラグメントの例としては、以下が挙げられる:Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFvフラグメント;ダイアボディ;線状抗体(linear antibody)(例えば、Zapataら、「Protein Eng.」、第8巻(第10号):第1057~1062頁(1995年));一本鎖抗体分子(例えば、scFv);及び、抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体。抗体のパパイン消化により、各々が単一の抗原結合部位を有する「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメント、及び容易に結晶化する能力を反映する名称である残留「Fc」フラグメントが生成される。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有するF(ab’)2フラグメントを産生し、依然として抗原を架橋することができる。
【0030】
「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含有する、最小の抗体フラグメントである。この領域は、緊密な非共有結合において、1つの重鎖及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。この立体配置では、各可変ドメインの3つのCDRSは、典型的には相互作用して、VH-VL二量体の表面上に抗原結合部位を画定する。概して、6つのCDRは、抗体に対する抗原結合特異性を集合的に付与するが、6つのCDRのうちの1つ以上が欠失又は修飾される場合、例えば、アミノ酸挿入、欠失、又は置換によって、例えば1つ以上のCDRのアミノ酸配列を改変することによって維持される、抗原結合特異性の例が存在する。加えて、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)であっても、抗原を認識及び結合する能力を有するが、結合部位全体よりも低い親和性である。CDR中に存在する残基以外の残基はまた、PGT121で示されるような抗原結合及び/又は特異性、並びに軽鎖フレームワーク3内の残基を用いてgp120抗原と相互作用する、密接に関連した体細胞バリアントにもまた重要であり得、又はその役割を果たし得る(Julienら、「Science」第342巻:第1477~83頁(2013年);Julienら、「PLOS Pathog.」第9巻:第e1003342頁(2013年))。これらの残基は、PGT121及び関連する体細胞バリアント(例えば、PGT122、PGT123、PGT124、PGT133、PGT134、10-1074)においてその他の短い表面ループを延長する、以上な3つのアミノ酸挿入から部分的に生じ、これらは、HIV Env上のN332結合グリカン及びタンパク質残基の両方に接触し、LC CDR2とLC CDR3との間のPGT121軽鎖内に追加の(例えば、第4の)相補性決定領域(complementarity determining region:CDR)ループを効果的に形成する。
【0031】
用語「超可変領域」は、典型的には抗原結合に関与する、抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、概して、「相補性決定領域」又は「CDR」由来のアミノ酸残基(例えば、VLにおいて、約24~34個(L1)、50~56個(L2)、及び89~97個(L3)の残基、並びにVHにおいて、約31~35(H1)、50~65(H2)、及び95~102(H3の残基)を、Kabat番号付けシステムに従って番号付けして含み;Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、第5版、公衆衛生局、アメリカ国立衛生研究所(Bethesda、Md.)(1991年));及び/又は、「超可変ループ」由来のこれらの残基は、(例えば、VLにおいて、24~34個(L1)、50~56個(L2)、及び89~97個(L3)の残基、並びにVHにおいて、26~32個(H1)、52~56個(H2、及び95~101個(H3)の残基))を、Chothia番号付けシステムに従って番号付けして含み;Chothia及びLesk、「J.Mol.Biol.」第196巻:第901~917頁(1987年));及び/又は、「超可変ループ」由来のこれらの残基は、VCDR(例えば、VLにおいて、27~38(L1)、56~65(L2)、及び105~120(L3)の残基、並びにVHにおいて、27~38(H1)、56~65(H2)、及び105~120(H3)の残基))を、IMGT番号付けシステムに従って番号付けして含む;Lefranc,M.P.ら、「Nucl.Acids Res.」第27巻:第209~212頁(1999年)、Ruiz,M.ら、「Nucl.Acids Res.」第28巻:第219~221頁(2000年))。任意に、抗体は、以下の点(VLにおいて、28、36(L1)、63、74~75(L2)、及び123(L3)、並びにVHにおいて、28、36(H1)、63、74~75(H2)、及び123(H3)のうち1つ以上の点に対称的な挿入を有する(AHoに従って番号付けした場合);Honneger,A.及びPlunkthun,A.、「J.Mol.Biol.」第309巻:第657~670頁(2001年))。
【0032】
「Fab」フラグメントは、抗原に結合する抗体上の領域である。これは、重鎖及び軽鎖の各々の1つの定常ドメイン及び1つの可変ドメインから構成される。これらのドメインは、パラトープ(抗原結合部位)を、単量体のアミノ末端に形成する。2つの可変ドメインはこれらの特異的抗原上のエピトープに結合する。Fabフラグメントは、抗体ヒンジ領域から1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に少数の残基を付加する点において、Fab’フラグメントとは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有するFab’についての、本明細書における呼称である。F(ab’)2抗体フラグメントは、最初、これらの間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生された。抗体フラグメントの他の化学結合もまた知られている。
【0033】
任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの可変ドメイン又は定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、κ及びλと呼ばれる2つの明確に異なるタイプのうち1つに割り当てることができる。それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを、異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2に更に分割されてもよい。
【0034】
「一本鎖Fv」又は「scFv」又は「sFv」抗体フラグメントは、抗体のVHドメイン及びVLドメインを含み、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖中に存在する。いくつかの実施形態では、Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカを更に含み、これにより、sFvが抗原結合の所望の構造を形成することを可能にする。
【0035】
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントを指し、このフラグメントは、同じポリペプチド鎖(VH-VL)中で軽鎖可変ドメイン(VL)に結合された、重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカを用いることによって、ドメインは、別の鎖の相補性ドメインと対合し、2つの抗原結合部位を作り出す。ダイアボディは、以下においてより完全に記載されている:例えば、欧州特許第404,097号;国際公開第93/11161号、及びHollingerら、「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」第90巻:第6444~6448頁(1993年)。
【0036】
「単離」抗体又はその抗原結合フラグメントは、その自然環境の構成成分から同定並びに分離及び/又は回収されたものである。その自然環境の混入成分は、抗体の診断又は治療用途を妨害する材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク性又は非タンパク質性溶質を含むことがある。いくつかの実施形態では、抗体は、(1)ローリー法によって決定される抗体の95重量%超まで、例えば99重量%以上まで、(2)スピニングカップシーケネータ(spinning cup sequenator)の使用によってN末端若しくは内部アミノ
酸配列の少なくとも15残基を得るのに充分な程度まで、又は(3)クーマシーブルー若しくは銀染色を用いる還元若しくは非還元条件下においてSDS-PAGEによって均一になるまで、精製される。単離抗体は、組換え細胞内のインサイチュの抗体を含み、これは抗体の自然環境の少なくとも1つの構成成分が存在しなくなるためである。しかしながら、通常、単離抗体は、少なくとも1つの精製ステップにより調製される。
【0037】
特定のポリペプチド上の特定のポリペプチド又はエピトープに「特異的に結合する」又は「特異的な」、抗体又はその抗原結合フラグメントは、いかなる他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープにも実質的に結合することなく、特定のポリペプチド上の特定のポリペプチド又はエピトープに結合するものである。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、抗原、例えばHIV-1gp120ポリペプチドに特異的に結合し、解離定数Kdが、100nM以下、場合により10nM未満、場合により1nM未満、任意に0.5nM未満、任意に0.1nM未満、任意に0.01nM未満、又は任意に0.005nM未満であって、約4℃、25℃、37℃、又は42℃の温度で測定された、モノクローナル抗体、scFv、Fab、又は他の形態の抗体の形態である。抗体の親和性は、以下の従来技術により記載されている技術を用いて、容易に決定することができる:例えば、Scatchardら(「Ann.N.Y.Acad.Sci.USA」第51巻:第660頁(1949年)、ELISAアッセイ、バイオレイヤ干渉(biolayer interferometry:BLI)アッセイ、及び表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance:SP
R)アッセイ)。抗体の、抗原、細胞、又は組織への結合特性は、概して、免疫検出法、例えば、免疫組織化学(immuno-histochemistry:IHC)及び/又は蛍光活性化細胞選
別(fluorescence- activated cell sorting:FACS)などの免疫蛍光系アッセイ
などを用いて、決定及び評価してもよい。
【0038】
本明細書で使用する場合、「内在化する」抗体は、哺乳動物細胞上の抗原(例えば、細胞表面ポリペプチド又は受容体)に結合すると、細胞に取り込まれる(すなわち、それに入る)抗体である。内在化抗体は、当然ながら、抗体フラグメント、ヒト又はキメラ抗体、及び抗体コンジュゲートを含む。特定の治療用途では、インビボでの内在化が想到される。内在化された抗体分子の数は、細胞(特に感染細胞)を殺傷するか又は細胞の増殖を阻害するのに、充分であるか、又は適切である。抗体又は抗体コンジュゲートの効力に応じて、いくつかの例では、単一抗体分子の細胞への取込みは、抗体が結合する標的細胞を殺傷するのに充分である。例えば、ある特定の毒素は、抗体にコンジュゲートされた毒素の1分子の内在化が感染細胞を殺傷するのに充分であるように、殺傷するのに非常に強力である。
【0039】
「アンタゴニスト」抗体という用語は、最も広い意味で使用され、それが特異的に結合するエピトープ、ポリペプチド、又は細胞の生物活性を、部分的に又は完全に、遮断、阻害、又は中和する抗体を含む。アンタゴニスト抗体を同定する方法は、候補アンタゴニスト抗体によって特異的に結合したポリペプチド又は細胞を、候補アンタゴニスト抗体と接触させることと、ポリペプチド又は細胞と通常関連する1つ以上の生物活性における検出可能な変化を測定することと、を含み得る。
【0040】
「感染細胞の増殖を阻害する抗体」又は「増殖阻害性」抗体は、抗体によって結合されたHIV1エピトープを発現しているか又は発現することができる感染細胞に結合し、その測定可能な増殖阻害をもたらす、抗体である。好ましい増殖阻害性抗体は、適切な対照と比較して、20%超、好ましくは約20%~約50%、更により好ましくは50%超(例えば、約50%~約100%)、感染細胞の増殖を阻害し、この対照は、典型的には、試験される抗体で治療されない感染細胞である。増殖阻害は、細胞培養において約0.1~約30μg/mL又は約0.5nM~約200nMの抗体濃度で測定することができ、この増殖阻害は、抗体への感染細胞の曝露から、1~10日後に決定される。インビボでの感染細胞の増殖阻害は、当該技術分野において既知の様々な方法で決定することができる。抗体は、約1μg/kg~約100mg/kg体重での抗体の投与が、感染細胞のパーセント又は感染細胞の総数を、抗体の最初の投与から約5日~3ヶ月以内、好ましくは約5~30日以内に減少させる場合、インビボで増殖阻害性である。
【0041】
「アポトーシスを誘導する」抗体は、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞収縮、小胞体の拡張、細胞断片化、及び/又は膜小胞(アポトーシス体と呼ばれる)の形成によって決定されるように、プログラム細胞死を誘導する抗体である。好ましくは、細胞は、感染細胞である。アポトーシスに関連する細胞事象を評価するための様々な方法が利用可能である。例えば、ホスファチジルセリン(phosphatidyl serine:PS)の転座は、アネキシン結合によって測定することができ、DNA断片化はDNAラダリングによって評価することができる、DNA断片化を伴う核/クロマチン凝縮は、低二倍体細胞の任意の増加によって評価することができる。好ましくは、アポトーシスを誘導する抗体は、アネキシン結合アッセイにおける未治療細胞と比較して、約2倍~50倍、好ましくは約5倍~50倍、最も好ましくは約10~50倍のアネキシン結合をもたらす抗体である。
【0042】
抗体「エフェクタ機能」は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列バリアントFc領域)に起因する生物活性のものを指し、抗体アイソタイプによって変化する。抗体エフェクタ機能の例としては、以下が挙げられる:Clq結合及び補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合;抗体依存性細胞介在性細胞傷害活性(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity:ADCC);貪食(例えば、抗体依存性細胞介在性貪食(A
DCP));細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方調節;及びB細胞活性化。
【0043】
「抗体依存性細胞介在性細胞傷害活性」又は「ADCC」は、ある特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(Natural Killer:NK)細胞、好中球、及びマクロフ
ァージ)上に存在するFc受容体(Fc receptor:FcR)に結合した、分泌又は外因的に投与されたIgが、これらの細胞傷害性エフェクタ細胞が抗原担持標的細胞に特異的に結合し、続いて標的細胞を細胞毒で殺傷することを可能にする、細胞傷害性の形態を指す。抗体は細胞傷害性細胞を「備え(arm)」、そのような殺傷に必要とされる。ACC、
NK細胞を媒介する一次細胞はFcγRIIIのみを発現するが、単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcR発現は、Ravetch及びKinet、「Annu.Rev.Immunol」第9巻:第457~92頁(1991年)の、464頁の表4に概説されている。目的の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号又は米国特許第5,821,337号に記載されているものといったインビトロADCCアッセイを行ってもよい。このようなアッセイに有用なエフェクタ細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは、又は加えて、抗体又はその抗原結合フラグメントのADCC活性は、インビボで、例えば、Clynesら、「Proc.Natl.Acad.Sci.」(USA)第95巻:第652~656頁(1998年)に開示されているものといった動物モデルで評価されてもよい。
【0044】
「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を説明するものである。ある特定の実施形態では、FcRは、天然配列ヒトFcRである。更に、好ましいFcRは、IgG抗体(γ受容体)に結合するFcRであり、対立遺伝子バリアントを含むFcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体、あるいはこれら受容体のスプライス形態を含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)を含み、これらは主にその細胞質ドメインにおいて異なるアミノ酸配列を有し、活性化細胞質領域に融合されたFcγRIIB細胞外ドメインを含むFcγRIICを含む。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメイン内に、免疫受容チロシン系活性化モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based activation motif:ITAM)を含有する。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ド
メインに、免疫受容チロシン系抑制性モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based inhibition motif:ITIM)を含有する(Daeron、「Annu.Rev.Immu
nol.」第15巻:第203~234頁(1997年)の概説Mを参照されたい)。FcRは、Ravetch及びKinet、「Annu.Rev.Immunol」第9巻:第457~92頁(1991年);Capelら、「Immunomethods」第4巻:第25~34頁(1994年);及び、de Haasら、「J.Lab.Clin.Med.」第126巻:第330~41頁(1995年)に概説されている。今後同定されるものを含む他のFcRsは、本明細書では、「FcR」という用語に包含される。この用語はまた、胎児への母体IgGの伝達に関与する新生児受容体であるFcRnも含み(Guyerら、「J.Immunol.第117巻:第587頁(1976年)、及びKimら、「J.Immunol.」第24巻:第249頁(1994年))、これは、エンドサイトーシス後のFcRn依存性リサイクリングによる、リソソーム分解からのIgGのサルベージで役割を果たす。内皮細胞中の飲作用に続くFcRn結合は、抗体の長期薬物動態半減期を維持するために、重要であることが示されている。インビトロでの抗体のpH依存性ヒトFcRn結合の評価を実施して、好都合な臨床薬物動態の可能性の予測を得ることができる(Datta-Mannan及びWroblewski、「Drug Metab.Dispos.」第42巻:第1867~1872頁(2014年))。
【0045】
「ヒトエフェクタ細胞」は、1つ以上のFcRを発現し、エフェクタ機能を実行する、白血球である。好ましくは、細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクタ機能を実行する。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、PBMC、NK細胞、単球、細胞傷害性T細胞、及び好中球が挙げられ、PBMC及びNK細胞が好ましい。エフェクタ細胞は、天然源、例えば血液から単離されてもよい。
【0046】
「補体依存性細胞傷害」又は「CDC」は、補体の存在下における標的細胞の溶解を指す。標準的な補体経路の活性化は、それらの同族抗原に結合している抗体(適切なサブクラスの)に対する補体系(Clq)の第1の構成成分の結合によって、開始される。補体活性化を評価するために、CDCアッセイ(例えば、Gazzano-Santoroら、「J.Immunol.Methods」第202巻:第163頁(1996年)に記載)を実施してもよい。
【0047】
「中和抗体」は、宿主及び/又はインビトロ標的細胞中の感染を開始及び/又は永続化させる病原体の能力を、中和することができる抗体である。本明細書には中和モノクローナルヒト抗体及びその抗原結合フラグメントが記載され、抗体は、HIV由来の抗原、例えばgp120ポリペプチドを認識する。ある特定の実施形態では、「中和抗体」は、1.5超又は2.0超の中和指数でHIV-1ウイルス、例えばSF162及び/又はJR-CSFの侵入を阻害し得る(Kostrikis LGら、「Virol.」1996年;第70巻(第1号):第445~458頁)。「広域中和抗体」とは、中和アッセイにおいて、2つ以上のHIV-1ウイルス種(多様なクレード及びクレード内の異なる株由来)を中和する抗体を意味する。広域中和抗体は、HIV-1の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9以上の異なる株を中和してもよく、同じ又は異なるクレードに属する株を中和してもよい。特定の実施形態では、広域中和抗体は、少なくとも2、3、4、5、又は6つの異なるクレードに属する複数のHIV-1種を中和し得る。ある特定の実施形態では、モノクローナル抗体の阻害濃度は、中和アッセイにおいて投入ウイルスの約50%を中和するために、約0.0001μg/mL未満、約0.001μg/mL未満、約0.01μg/mL未満、約0.1μg/mL未満、約0.5μg/mL未満、約1.0μg/mL未満、約5μg/mL未満、約10μg/mL未満、約25μg/mL未満、約50μg/mL未満、又は約100μg/mL未満であり得る。
【0048】
HIVウイルスは、特定の群、M、N、O、及びPに分割され、このうちMは「主」群であり、全体的にHIV/AIDSの大部分を占める。これらの遺伝子配列に基づいて、群Mは、異なる地理的位置における有病率を伴うサブタイプ(クレードとも呼ばれる)に更に細分される。
【0049】
群M「サブタイプ」又は「クレード」は、遺伝子配列データによって特定される、HIV-1群Mのサブタイプである。群Mのサブタイプの例としては、サブタイプA~Kが挙げられる。サブタイプの一部は、より病原性があることが知られているか、又は異なる薬物療法に対して耐性である。また、異なるサブタイプのウイルス間の組換えに由来する「組換え流行株(circulating recombinant form)」又はCRFも存在し、これらは各々に番号が付けられている。CRF12_BFは、例えば、サブタイプB及びFの組換えである。サブタイプAは、西アフリカにおいて一般的である。サブタイプBは、ヨーロッパ、アメリカ、日本、タイ、及びオーストラリアにおいて優勢な形態である。サブタイプCは、南アフリカ、東アフリカ、インド、ネパール、及び中国の一部において優勢な形態である。サブタイプDは、概ね、東及び中央アフリカにおいてのみ見られる。サブタイプEは、非組換えとして同定されておらず、CRF01_AEとしてサブタイプAのみを組換えしている。サブタイプFは、中央アフリカ、南米、及び東ヨーロッパで見られる。サブタイプG(及びCRF02_AG)は、アフリカ及び中央ヨーロッパで見られる。サブタイプHは、中央アフリカに限定される。サブタイプIは、いくつかのサブタイプの「複合」組換えのためcpxを有するCRF04_cpxとして、ここで考慮される株を記述するために元々使用されていた。サブタイプJは、主に北、中央、及び西アフリカで見られ、カリビアンサブタイプKは、コンゴ民主共和国及びカメルーンに限定される。これらのサブタイプは、A1及びA2又はF1及びF2などのサブ-サブタイプ(sub-subtype)
に更に分割される場合がある。2015年には、サブタイプDプロテアーゼを有するサブタイプA、サブタイプD及びサブタイプGの組換え体である株CRF19が、キューバにおけるAIDSの急速な進行と強く関連することが見出された。
【0050】
「HIV指向性」は、宿主細胞の表面上に存在する受容体とのウイルス表面構造との相互作用によって部分的に決定される、特定の宿主細胞に対するHIVウイルスの特異性を指す。患者のウイルスのHIV指向性は、例えばシーケンシング分析によって、又はTROFILE(登録商標)アッセイ(monogrambio.com)によって測定され得る(以下を参照されたい。例えば、Leeら、「AIDS Res Hum Retroviruses.」(2013年)第29巻(第6号):第979~84頁)。
【0051】
HIVは、CD4+ヘルパT細胞などの様々な細胞、及びその表面上にCD4分子を発現するマクロファージに感染することができる。マクロファージ及びTヘルパ細胞へのHIV-1侵入は、標的細胞上のCD4分子との、ビリオンエンベロープ糖タンパク質(例えば、gp120)との相互作用によってのみならず、そのケモカイン共受容体との相互作用によっても媒介される。HIV-1又は非シンシチア誘導株(non-syncitia-inducing:NSI)のマクロファージ(M指向性)株は、侵入のためにβケモカイン受容体CC
R5を使用し、したがってマクロファージ及びCD4+T細胞内で複製することができる。これらの株は、R5ウイルスと呼ばれる。このCCR5共受容体は、ウイルス遺伝子サブタイプと無関係に、ほとんど全ての初代HIV-1単離株によって使用される。T指向性単離株、又はシンシチア誘導(syncitia-inducing:SI)株は、初代CD4+T細胞
内で、及びマクロファージ内で複製され、侵入のためにαケモカイン受容体、CSCR4を使用する。これらの株は、X4ウイルスと呼ばれる。CCR5受容体のみを使用するウイルスはR5と呼ばれ、CXCR4のみを使用するウイルスはX4と呼ばれ、両方を使用するウイルスは、X4R5又は二重/混合指向性と呼ばれる。しかしながら、共受容体単独の使用は、全てのR5ウイルスが増殖性感染症のためにマクロファージ上でCCR5を使用することができるわけではないため、ウイルス指向性を説明しない。
【0052】
本明細書にはまた、「非中和抗体」も記載され、これは、ある特定の実施形態では、ウイルスの1つ以上の株に結合するが、ウイルスを中和しない抗体である。しかしながら、Fc媒介性殺傷に関しては、非中和抗体は、抗体によって結合されているが中和されていないウイルス抗原を発現する細胞を、依然として排除することができる。したがって、ある特定の実施形態では、抗体はウイルス抗原に結合し、ウイルスを中和することなく、ウイルス感染細胞を排除することができる。
【0053】
用語「核酸分子」は、ヌクレオチドのポリマー形態を指し、RNA、cDNA、ゲノムDNA、並びに上記の合成形態及び混合ポリマーの、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方を含む。特定の実施形態では、ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリヌクレオチド、又はヌクレオチドのいずれかの種類の修飾された形態、及びこれらの組合せを指す。用語はまた、DNAの一本鎖及び二本鎖形態も含むが、これらに限定されない。加えて、ポリヌクレオチド、例えばcDNA又はmRNAは、自然発生及び/又は非自然発生ヌクレオチド結合によって一緒に結合された、自然発生ヌクレオチド及び修飾ヌクレオチドのいずれか又は両方を含み得る。核酸分子は、化学的又は生化学的に修飾されてもよく、又は当業者に容易に理解されるように、非天然又は誘導体化ヌクレオチド塩基を含有してもよい。そのような修飾としては、例えば、標識、メチル化、類似体による自然発生ヌクレオチドの1つ以上の置換、ヌクレオチド間修飾、例として、非荷電結合(uncharged linkage)(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメート等)、荷電結合(charged linkage)(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)、ペンダント部分(例えば、ポリペプチド)、インターカレータ(例えば、アクリジン、ソラレン等)、キレート剤、アルキル化剤、及び修飾結合(例えば、αアノマー核酸等)が挙げられる。上記の用語はまた、一本鎖、二本鎖、部分的な二重鎖型(duplexed)、三重鎖、ヘアピン型(hairpinned)、円形、及びパドロックコンフォーメーション(padlocked conformation)を含む、任意のトポロジカルコンフォーメーシ
ョン(topological conformation)を含むことも意図される。核酸配列への言及は、別
段明記されない限り、その補体を包含する。したがって、特定の配列を有する核酸分子への言及は、その相補的配列を有する相補鎖を包含すると理解されるべきである。この用語はまた、コドン最適化された核酸も含む。
【0054】
「操作可能に結合された」という用語は、通常は物理的に結合され、互いに機能的関係にある、2つ以上の核酸配列要素を指す。例として、プロモータは、プロモータがコード配列の転写又は発現を開始又は調節することができる場合、コード配列へ操作可能に結合され、この場合、コード配列は、「プロモータの制御下」にある理解されるべきである。
【0055】
本明細書で使用する場合、「置換」は、それぞれ異なるアミノ酸又はヌクレオチドによる、1つ以上のアミノ酸又はヌクレオチドの置き換えを示す。
【0056】
「単離された」核酸は、その自然環境の構成成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸は、核酸分子を通常は含有する細胞中に含有される核酸分子を含むが、しかし核酸分子は、染色体外、又はその天然染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0057】
「抗体又はそのフラグメントをコードする単離された核酸」は、単一のベクタ又は別個のベクタ中の核酸分子を含む、抗体の重鎖及び軽鎖(又はそのフラグメント)をコードする1つ以上のそのような核酸分子、並びに宿主細胞内の1つ以上の位置に存在するそのような核酸分子を指す。
【0058】
本明細書で使用する場合、「ベクタ」という用語は、それが結合される別の核酸を増殖させることができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクタと、それが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクタとを含む。ある特定のベクタは、それらが操作可能に結合された核酸の発現を誘導することができる。このようなベクタは、次を参照する。
【0059】
ポリヌクレオチド「バリアント」は、この用語が本明細書で使用される場合、本明細書で具体的に開示されるポリヌクレオチドと、1つ以上の置換、欠失、付加、及び/又は挿入が、典型的には異なるポリヌクレオチドである。そのようなバリアントは、自然発生であってもよく、又は例えば、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列の1つ以上を修飾することによって、本明細書に記載のコードされたポリペプチドの1つ以上の生物活性を評価することによって、及び/又は当該技術分野において周知の多くの技術のいずれかを用いることによって、合成的に生成されてもよい。
【0060】
ポリペプチド「バリアント」は、この用語が本明細書で使用される場合、本明細書で具体的に開示されるポリペプチドと、1つ以上の置換、欠失、付加、及び/又は挿入が、典型的に異なるポリペプチドである。そのようなバリアントは、自然発生であってもよく、又は例えば、本発明の上記のポリペプチド配列の1つ以上を修飾することによって、本明細書に記載のポリペプチドの1つ以上の生物活性を評価することによって、及び/又は当該技術分野において周知の多くの技術のいずれかを用いることによって、合成的に生成されてもよい。
【0061】
「バリアント」という用語はまた、1つ以上のヌクレオチド又はアミノ酸変異を含む、任意の自然発生又は遺伝子操作された分子を指してもよい。一実施形態では、分子は、抗体である。例えば、体細胞バリアントは、同じB細胞系統の一部であるか又は同じB細胞系統に由来する、全ての関連する自然発生抗体を包含し得る。遺伝子操作されたバリアントは、抗体に対して作製された全ての単一の変異又はコンビナトリアル変異を包含し得る。
【0062】
修飾は、本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの構造で行うことができ、望ましい特徴を有するバリアント又は誘導体ポリペプチドをコードする機能分子を得ることができる。ポリペプチドのアミノ酸配列を変更して、本発明のポリペプチドの、等価又は更には改良されたバリアント若しくは部分を作り出すことが望ましい場合、当業者は、典型的には、コードDNA配列のコドンのうち1つ以上を変化させる。
【0063】
例えば、ある特定のアミノ酸は、他のポリペプチド(例えば、抗原)又は細胞に結合する能力を明らかな程に失うことなく、タンパク質構造中の他のアミノ酸に置換され得る。これはタンパク質の生物学的機能活性を規定するタンパク質の結合能力及び性質であるため、タンパク質配列及び当然その基礎となるDNAコード配列において特定のアミノ酸配列置換を行うことができ、それでもなお同様の特性を有するタンパク質を得ることができる。したがって、開示された抗体及びその抗原結合フラグメントのポリペプチド配列、又は当該ポリペプチドをコードする対応するDNA配列に、それらの生物学的有用性又は活性を明らかな程に失うことなく、様々な変更を行うことができると想到さられる。
【0064】
多くの場合、ポリペプチドバリアントは、1つ以上の保存的置換を含有する。「保存的置換」は、アミノ酸が、同様の特性を有する別のアミノ酸に置換されたものであり、それによりペプチド化学の当業者は、ポリペプチドの二次構造及びヒドロパス性の性質が実質的に変化しなと予想する。
【0065】
ポリヌクレオチド及びポリペプチド配列を比較する場合、2つの配列は、以下に記載されるように最大対応のためにアラインメントされた場合、2つの配列中のヌクレオチド又はアミノ酸の配列が同一である場合、「同一」であると言われる。2つの配列間の比較は、典型的には、配列類似性の局所領域を同定及び比較するために、比較ウインドウにわたって比較することによって行われる。本明細書で使用する場合、「比較ウインドウ」は、少なくとも約20個の連続する位置、通常は30~約75、40~約50のセグメントを指し、配列は、2つの配列が最適にアラインメントされた後の同数の連続位置の参照配列と比較され得る。
【0066】
比較のための配列のアラインメントは、デフォルトパラメータを用いて、バイオインフォマティクスソフトウェア(DNASTAR,Inc.(Madison、WI))のLasergene suite中のMegalignプログラムを用いて行ってもよい。このプログラムは、以下の参考文献に記載されているいくつかのアラインメントスキームをまとめる:Dayhoff、「M.O.」(1978年)「A model of evolutionary change in proteins-Matrices for detecting distant relationships.」、In
Dayhoff,M.O.(編)、「Atlas of Protein Sequence and Structure」、National Biomedical Research Foundation(Washington DC)、第5巻、付録第3巻、第345~358頁;Hein J.(1990年)、「Unified Approach to Alignment and Phylogenes」、第626~645頁、「Methods in Enzymology」、第183巻、Academic Press,Inc.(San Diego、CA);Higgins,D.G.及びSharp,P.M.(1989年)、「CABIOS」第5巻:第151~153頁;Myers,E.W.及びMuller W.(1988年)、「CABIOS」第4巻:第11~17頁;Robinson,E.D.(1971年)、「Comb.Theor」第77巻:第105頁;Santou,N.Nes,M.(1987年)「Mol.Biol.Evol.」第4巻:第406~425頁;Sneath,P.H.A.及びSokal,R.R.(1973年)「Numerical Taxonomy-the Principles and Practice of Numerical Taxonomy」、Freeman Press(San Francisco,CA);Wilbur,W.J.及びLipman,D.J.(1983年)「Proc.Natl.Acad.,Sci.USA」第80巻:第726~730頁。
【0067】
あるいは、比較のための配列のアラインメントは、Smith及びWaterman(1981年)、「Add.APL.Math」第2巻:第482頁局所同一性アルゴリズムによって、Needleman及びWunsch(1970年)、「J.Mol.Biol.」第48巻:第443頁の同一性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson及びLipman(1988年)「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」第85巻:第2444頁の類似法の検索によって、これらのアルゴリズム(GAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、及びTFASTA、Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group(GCG)、575 Science Dr.(Madison、WI))のコンピュータ化実装によって、又は検査によって、行われてもよい。
【0068】
配列同一性パーセント及び配列類似性を決定するのに好適なアルゴリズムの一例は、BLAST及びBLAST2.0アルゴリズムであり、それぞれ、以下に記載されている:Altschulら、(1977年)「Nucl.Acids Res.」第25巻:第3389~3402頁及びAltschulら、(1990年)「J.Mol.Biol.」第215巻:第403~410頁。BLAST及びBLAST2.0は、例えば、本明細書に記載のパラメータと共に使用して、本明細書に記載のポリヌクレオチド及びポリペプチドの配列同一性パーセントを決定することができる。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、米国バイオテクノロジー情報センターを介して公的に入手可能である。
【0069】
例示的な一例では、累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータM(一対の一致する残基の報酬スコア(reward score;常に>0)及びN(ミスマッチ残基についてのペナルティスコア;常に<0)を用いて計算することができる。各方向におけるワードヒットの延長は、以下の場合に停止する:累積アラインメントスコアがその最大達成値から分量Xの分だけ低下する場合;累積スコアが1つ以上の負スコア残基のアラインメントの蓄積に起因してゼロ以下になる場合;又は、いずれかの配列の末端に到達する場合。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、及びXは、アラインメントの感受性及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、ワード長(W)11、期待値(E)10をデフォルトとして使用し、BLOSUM62スコアリングマトリックス(以下を参照されたい:Henikoff及びHenikoff(1989年)「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」第89巻:第10915頁)アラインメイトは、(B)50、期待値(E)10、M=5、N=-4、及び両鎖の比較をデフォルトとして使用する。
【0070】
アミノ酸配列については、スコアリングマトリックスを使用して累積スコアを計算することができる。各方向におけるワードヒットの延長は、以下の場合に停止する:累積アラインメントスコアがその最大達成値から分量Xの分だけ低下する場合;累積スコアが1つ以上の負スコア残基のアラインメントの蓄積に起因してゼロ以下になる場合;又は、いずれかの配列の末端に到達する場合。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、及びXは、アラインメントの感受性及び速度を決定する。
【0071】
1つのアプローチでは、「配列同一性の百分率」は、少なくとも20の位置の比較ウインドウにわたって最適にアラインメントされた2つの配列を比較することによって決定され、比較ウインドウにおけるポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の部分は、2つの配列のアラインメントのための参照配列(付加又は欠失を含まない)と比較して、20%以下、通常は5~15%、又は10~12%の付加又は欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。この百分率は、同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が両方の配列において生じる位置の数を決定して一致した位置の数を得ることによって、計算され、この一致した位置の数を参照配列内の位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で割り、結果に100を乗じることによって、配列同一性の百分率が得られる。
【0072】
「相同性」は、配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入して相同性の最大パーセントを達成した後の、非バリアント配列と同一である、ポリヌクレオチド又はポリペプチド配列バリアント中の残基の百分率を指す。
【0073】
「結合親和性」は、結合解離定数(Kd)又は見かけの親和性(例えば、EC50)値を指し得る。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
HIVの治療又は予防を必要とするヒト対象においてHIVを治療又は予防する方法であって、前記方法は:
(a)以下のアミノ酸残基:N332グリカン、D325、並びにT63、L179、T320、及びH330からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染したヒト対象を同定することであって、前記アミノ酸位置が配列番号:4を参照している、同定することと、
(b)第3の可変ループ(V3)、及び/又はN332オリゴマンノースグリカンを含む高マンノースパッチ内のgp120のエピトープに結合する、VH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む有効量の抗体又はその抗原結合フラグメントを、前記対象に投与することと、を含む、方法。
(項目2)
以下のアミノ酸残基:
i. N332グリカン、D325、及びT63;
ii. N332グリカン、D325、及びL179;
iii. N332グリカン、D325、及びT320;
iv. N332グリカン、D325、及びH330;
v. N332グリカン、D325、T63、及びL179;
vi. N332グリカン、D325、T63、及びT320;
vii. N332グリカン、D325、T63、及びH330;
viii. N332グリカン、D325、L179、及びT320;
ix. N332グリカン、D325、L179、及びH330;
x. N332グリカン、D325、T320、及びH330;
xi. N332グリカン、D325、T63、T320、及びH330;
xii. N332グリカン、D325、T63、L179、及びT320;
xiii. N332グリカン、D325、T63、L179、及びH330;
xiv. N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330;又は
xv. N332グリカン、D325、T63、L179、T320、及びH330、を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
以下のアミノ酸残基:
i. N332グリカン、D325、及びT63;
ii. N332グリカン、D325、及びL179;
iii. N332グリカン、D325、及びT320;又は
iv. N332グリカン、D325、及びH330、を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
以下のアミノ酸残基:
i. N332グリカン、D325、T63、及びL179;
ii. N332グリカン、D325、T63、及びT320;
iii. N332グリカン、D325、T63、及びH330;
iv. N332グリカン、D325、L179、及びT320;
v. N332グリカン、D325、L179、及びH330;又は
vi. N332グリカン、D325、T320、及びH330、を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを含む、項目1又は2に記載の方法。
(項目5)
以下のアミノ酸残基:
i. N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330;
ii. N332グリカン、D325、T63、T320、及びH330;
iii. N332グリカン、D325、T63、L179、及びT320;又は
iv. N332グリカン、D325、T63、L179、及びH330、を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを含む、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
以下のアミノ酸残基:
i. N332グリカン、D325、T63、及びH330;
ii. N332グリカン、D325、T320、及びH330;
iii. N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330;又は
iv. N332グリカン、D325、T63、L179、T320、及びH330、を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを含む、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記対象が、以下のアミノ酸残基:
i. グリカン301;
ii. K677;
iii. not_W17;
iv. not_R747;
v. insertion_321.01;
vi. E429;
vii. Q442;
viii. R335;
ix. I165;
x. S393;
xi. I307;
xii. 295グリカン;及び/又は
xiii. N300、のうち1つ以上を更に含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記HIVの集団におけるHIV種の、少なくとも90%、例えば、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%が、前記列挙されたアミノ酸残基を含む、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記投与された抗体又はその抗原結合フラグメントが、GS-9722、GS-9721、PGT-121、PGT-121.66、PGT-121.414、PGT-122、PGT-123、PGT-124、PGT-125、PGT-126、PGT-128、PGT-130、PGT-133、PGT-134、PGT-135、PGT-136、PGT-137、PGT-138、PGT-139、GS-2872、10-1074、10-1074-J、VRC24、2G12、BG18、354BG8、354BG18、354BG42、354BG33、354BG129、354BG188、354BG411、354BG426、DH270.1、DH270.6、PGDM12、VRC41.01、PGDM21、PCDN-33A、BF520.1、及びVRC29.03からなる群から選択される抗体からのVH及びVL領域と競合するか、又はこれらを含む、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、GS-9722、GS-9721、PGT-121、PGT-121.66、PGT-121.414、PGT-124、PGT-134、GS-2872、10-1074、10-1074-J、PGT-122、及びPGT-123からなる群から選択される抗体からのVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記抗体が、指示位置(EUインデックス番号付け)において、以下のアミノ酸:
i. 252位のチロシン、254位のスレオニン、及び256位のグルタミン酸(YTE);又は
ii. 428位のロイシン及び434位のセリン(LS)、を含むFc領域を含む、項目1~10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記抗体が、指示位置(EUインデックス番号付け)において、以下のアミノ酸:
i. 239位のアスパラギネート及び332位のグルタミネート(DE);
ii. 239位のアスパラギネート、332位のグルタミネート、及び330位のロイシン(DEL);
iii. 239位のアスパラギネート332位のグルタミネート、及び236位のアラニン(DEA);又は
iv. 239位のアスパラギネート、332位のグルタミネート、236位のアラニン、及び330位のロイシン(DEAL)、を含むFc領域を含む、項目1~11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
抗原結合フラグメントを投与することを含む、項目1~10のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記抗原結合フラグメントが、scFv、Fab、Fab2、Fab’、F(ab’)2、Fv、及びダイアボディからなる群から選択される、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記抗体が、多重特異性抗体である、項目1~14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記ヒト対象が、HIVに急性感染している、項目1~15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記抗体が、FiebigステージIV又はこれより早期のHIV感染症を有するヒト対象に投与される、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記抗体が、血清転換されていないヒト対象に投与される、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記ヒト対象が、HIVに最近感染している、項目1~15のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記抗体が、FiebigステージV又はFiebigステージVIのHIV感染症を有するヒト対象に投与される、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記ヒト対象が、HIVに慢性的に感染している、項目1~15のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記ヒト対象が、HIVクレードBウイルスに感染している、項目1~21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
以下のアミノ酸残基:
i. N332グリカン、D325、T63、及びH330;
ii. N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330;又は
iii. N332グリカン、D325、T63、L179、T320、及びH330、を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記ヒト対象が、HIVクレードAウイルスに感染している、項目1~23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記ヒト対象が、HIVクレードCウイルスに感染している、項目1~24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
HIV感染症を治療するための1つ以上の追加の治療剤を、前記対象に投与することを更に含む、項目1~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記対象が、抗レトロウイルス療法(ART)を受けていない、又はARTが、前記抗体の投与前に中断される、項目1~26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
ARTが、前記抗体又はその抗原結合フラグメントの1回以上の投与後に中断される、項目1~26のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記対象に、1つ以上の抗レトロウイルス療法(ART)剤を投与することを更に含む、項目1~26のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記対象に、以下:
i. 第2の可変ループ(V2)及び/又はEnv三量体先端;
ii. CD4結合部位(CD4bs);
iii. gp120/gp41界面;又は
iv. gp120のサイレント面、からなる群から選択されるgp120のエピトープ又は領域に結合する、第2の抗体又はその抗原結合フラグメントを投与することを更に含む、項目1~29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記第2の抗体又はその抗原結合フラグメントが、前記第2の可変ループ(V2)及び/又はEnv三量体先端におけるgp120のエピトープ又は領域に結合し、PG9、PG16、PGC14、PGG14、PGT-142、PGT-143、PGT-144、PGT-145、CH01、CH59、PGDM1400、CAP256、CAP256-VRC26.08、CAP256-VRC26.09、CAP256-VRC26.25、PCT64-24E、及びVRC38.01からなる群から選択される抗体からのVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記第2の抗体又はその抗原結合フラグメントが、前記CD4結合部位(CD4bs)におけるgp120のエピトープ又は領域に結合し、b12、F105、VRC01、VRC07、VRC07-523、VRC03、VRC06、VRC06b01 VRC08、VRC0801、NIH45-46、GS-9723、GS-5423、3BNC117、3BNC60、VRC-PG04、PGV04、CH103、44-VRC13.01、1NC9、12A12、N6、N6LS(VRC-HIVMAB091-00-AB)、N49-P7、NC-Cow1、IOMA、CH235、及びCH235.12、N49P6、N49P7、N49P11、N49P9、及びN60P25からなる群から選択される抗体からのVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む、項目30に記載の方法。
(項目33)
前記第2の抗体又はその抗原結合フラグメントが、前記gp120/gp41界面におけるgp120のエピトープ又は領域に結合し、PGT-151、CAP248-2B、35O22、8ANC195、ACS202、VRC34、及びVRC34.01からなる群から選択される抗体からのVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む、項目30に記載の方法。
(項目34)
前記第2の抗体又はその抗原結合フラグメントが、前記gp120サイレント面のエピトープ又は領域に結合し、抗体VRC-PG05からのVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む、項目30に記載の方法。
(項目35)
前記第2の抗体又はその抗原結合フラグメントが、膜近位領域(MPER)におけるgp41のエピトープ又は領域に結合し、10E8、10E8v4、10E8-5R-100cF、4E10、DH511.11P、2F5、7b2、及びLN01からなる群から選択される抗体からのVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む、項目30に記載の方法。
(項目36)
前記第2の抗体又はその抗原結合フラグメントが、前記gp41の融合ペプチドのエピトープ又は領域に結合し、VRC34及びACS202からなる群から選択される抗体からのVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む、項目30に記載の方法。
(項目37)
TLRアゴニストを前記対象に投与することを更に含む、項目1~36のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
前記TLRアゴニストが、TLR2アゴニスト、TLR3アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、又はTLR9アゴニストである、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記TLR7アゴニストが、ベサトリモド、イミキモド、及びレシキモドからなる群から選択される、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記抗体又はその抗原結合フラグメントの複数回の投与を含み、任意にTLRアゴニストを所定の間隔で投与することを含む、項目1~39のいずれか一項に記載の方法。
(項目41)
前記抗体又はその抗原結合フラグメントの1回以上の投与後、前記対象が、抗レトロウイルス治療(ART)の非存在下において、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、又はそれ以上、HIV又はAIDSの症状を示さない、項目1~40のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
前記抗体の1回以上の投与の後、前記対象が、抗レトロウイルス治療(ART)の非存在下において、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、又はそれ以上、500未満、例えば、400未満、300未満、200未満、100未満、50未満のウイルス量コピー/mL血液を有する、項目1~41のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
第3の可変ループ(V3)及び/又はN332オリゴマンノースグリカンを含む高マンノースパッチ内のgp120のエピトープに結合するVH及びVL領域と競合するか又はこれら含む、抗体又はその抗原結合フラグメントに感受性である、HIV又はHIVの集団に感染したヒト対象を同定する方法であって、前記方法は、前記ヒト対象由来の生体試料において、以下のアミノ酸残基:N332グリカン、D325並びにT63、L179、T320、及びH330からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含む、gp120を発現するHIVを同定することを含み、前記アミノ酸位置が、配列番号:4を参照している、方法。
(項目44)
前記対象が、以下のアミノ酸残基:
i. N332グリカン、D325、及びT63;
ii. N332グリカン、D325、及びL179;
iii. N332グリカン、D325、及びT320;
iv. N332グリカン、D325、及びH330;
v. N332グリカン、D325、T63、及びL179;
vi. N332グリカン、D325、T63、及びT320;
vii. N332グリカン、D325、T63、及びH330;
viii. N332グリカン、D325、L179、及びT320;
ix. N332グリカン、D325、L179、及びH330;
x. N332グリカン、D325、T320、及びH330;
xi. N332グリカン、D325、T63、T320、及びH330;
xii. N332グリカン、D325、T63、L179、及びT320;
xiii. N332グリカン、D325、T63、L179、及びH330;
xiv. N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330;又は
xv. N332グリカン、D325、T63、L179、T320、及びH330、を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記対象が、以下のアミノ酸残基:
i. N332グリカン、D325、及びT63;
ii. N332グリカン、D325、及びL179;
iii. N332グリカン、D325、及びT320;又は
iv. N332グリカン、D325、及びH330、を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している、項目43又は44に記載の方法。
(項目46)
前記対象が、以下のアミノ酸残基:
i. N332グリカン、D325、T63、及びL179;
ii. N332グリカン、D325、T63、及びT320;
iii. N332グリカン、D325、T63、及びH330;
iv. N332グリカン、D325、L179、及びT320;
v. N332グリカン、D325、L179、及びH330;又は
vi. N332グリカン、D325、T320、及びH330、を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している、項目43~45のいずれか一項に記載の方法。
(項目47)
以下のアミノ酸残基:
i. N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330;
ii. N332グリカン、D325、T63、T320、及びH330;
iii. N332グリカン、D325、T63、L179、及びT320;又は
iv. N332グリカン、D325、T63、L179、及びH330、を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを含む、項目43~46のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
以下のアミノ酸残基:
i. N332グリカン、D325、T63、及びH330;
ii. N332グリカン、D325、T320、及びH330;
iii. N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330;又は
iv. N332グリカン、D325、T63、L179、T320、及びH330、を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを含む、項目43~47のいずれか一項に記載の方法。
(項目49)
以下のアミノ酸残基:
i. グリカン301;
ii. K677;
iii. not_W17;
iv. not_R747;
v. insertion_321.01;
vi. E429;
vii. Q442;
viii. R335;
ix. I165;
x. S393;
xi. I307;
xii. 295グリカン;及び/又は
xiii. N300、を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを含む、項目43~48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記HIVの集団におけるHIV種の、少なくとも90%、例えば、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%が、前記列挙されたアミノ酸残基を含む、項目43~49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、GS-9722、GS-9721、PGT-121、PGT-121.66、PGT-121.414、PGT-122、PGT-123、PGT-124、PGT-125、PGT-126、PGT-128、PGT-130、PGT-133、PGT-134、PGT-135、PGT-136、PGT-137、PGT-138、PGT-139、10-1074、10-1074-J、VRC24、2G12、BG18、354BG8、354BG18、354BG42、354BG33、354BG129、354BG188、354BG411、354BG426、DH270.1、DH270.6、PGDM12、VRC41.01、PGDM21、PCDN-33A、BF520.1、及びVRC29.03からなる群から選択される抗体からのVH及びVL領域と競合するか、又はこれらを含む、項目43~50のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、GS-9722、GS-9721、PGT-121、PGT-121.66、PGT-121.414、PGT-124、PGT-134、GS-2872、10-1074、10-1074-J、PGT-122、及びPGT-123からなる群から選択される抗体からのVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む、項目43~51のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
前記ヒト対象が、HIVに急性感染している、項目43~52のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記抗体が、FiebigステージIV又はこれより早期のHIV感染症を有するヒト対象に投与される、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記抗体が、血清転換されていないヒト対象に投与される、項目53に記載の方法。
(項目56)
前記ヒト対象が、HIVに最近感染している、項目43~52のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記抗体が、FiebigステージV又はFiebigステージVIのHIV感染症を有するヒト対象に投与される、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記ヒト対象が、HIVに慢性的に感染している、項目43~52のいずれか一項に記載の方法。
(項目59)
前記ヒト対象が、HIVクレードBウイルスに感染している、項目43~58のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
以下のアミノ酸残基:
i.N332グリカン、D325、T63、及びH330;
ii. N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330;又は
iii. N332グリカン、D325、T63、L179、T320、及びH330、を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを含む、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記ヒト対象が、HIVクレードAウイルスに感染している、項目43~60のいずれか一項に記載の方法。
(項目62)
前記ヒト対象が、HIVクレードCウイルスに感染している、項目43~61のいずれか一項に記載の方法。
(項目63)
前記gp120アミノ酸が、前記対象から単離されたHIV又はHIVの集団から発現された、1つ以上のgp120ポリペプチド配列において同定される、項目1~63のいずれか一項に記載の方法。
(項目64)
前記gp120アミノ酸が、前記対象から単離されたHIV又はHIVの集団からの1つ以上のgp120ポリヌクレオチド配列において同定される、項目1~64のいずれか一項に記載の方法。
(項目65)
HIVの集団からのgp120をコードするポリヌクレオチド配列に対して、次世代シーケンシング(NGS)を実施することを含む、項目64に記載の方法。
(項目66)
gp120バリアントが、前記ウイルス集団の約1%の頻度レベルまで検出される、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記gp120アミノ酸が、前記対象由来の1つ以上の生体試料において同定され、前記1つ以上の生体試料が、血液、末梢血単核細胞(PBMC)、血清、血漿、精液、又はリンパ節から得られる、項目1~66のいずれか一項に記載の方法。
(項目68)
血清又は血漿試料中のHIV RNAの集団を同定することを含む、項目1~67のいずれか一項に記載の方法。
(項目69)
前記対象から1つ以上の生体試料を得るステップを更に含む、項目1~68のいずれか一項に記載の方法。
(項目70)
2つ以上の生体試料が、前記対象から得られる、項目69に記載の方法。
(項目71)
前記2つ以上の生体試料が、2つ以上の異なる時点で同じ組織又は流体から得られる、項目70に記載の方法。
(項目72)
前記2つ以上の生体試料が、異なる組織若しくは流体、又は異なる解剖学的位置から得られる、項目70に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】GS-9722(エリポビマブ)に対する感受性を予測する遺伝子型を有する、Zurich Primary HIV Infection Cohort Studyからのスクリーニングされた対象の数を示す。92の個体由来のART前の血漿試料を、GenoSure HIV Envelope RNA Assayにおいて分析した。「なし」は、HIVエンベロープ遺伝子中の特定のアミノ酸を選択されていない全てのスクリーニングされた個体を示す。アミノ酸位置は各カテゴリで示される。
【0075】
図2】GS-9722に対する感受性を予測する遺伝子型を有する、Zurich Primary HIV Infection Cohort StudyからのスクリーニングされたクレードB対象の数を示す。59のクレードB感染個体由来のART前の血漿試料を、GenoSure HIV Envelope RNA Assayにおいて分析した。「なし」は、HIVエンベロープ遺伝子中の特定のアミノ酸を選択されていない全てのスクリーニングされた個体を示す。アミノ酸位置は各カテゴリで示される。
【0076】
図3】Zurich Primary HIV Infection Cohort Studyからの、ART前の血漿試料由来のスウォーム(swarm)ウイルスに対するGS-9722に対する感受性を示す。陽性的中率が80.7%以上の29の試料からのウイルスをPHENOSENSE(登録商標)HIV Entry Assay(Monogram Biosciences)で分析した。アミノ酸位置は各カテゴリで示される。
【0077】
図4図4は、Zurich Primary HIV Infection Cohort Studyからの、ART前の血漿試料由来のスウォームウイルスからサブクローニングしたウイルスに対する、GS-9722に対する感受性を示す。スウォームウイルスが遺伝子型決定によって感受性であると予測され、かつ表現型決定によって敏感であると試験された、4つのART前の血漿試料からの20個の個々のウイルスを、PHENOSENSE(登録商標)HIV Entry Assay(Monogram Biosciences)で分析した。実線はスウォームウイルスに対するIC50を示す。
【発明を実施するための形態】
【0078】
1.序論
本方法は、部分的には、他のHIV抗原(例えば、gp41)又は同じHIV抗原の重複しないエピトープ(例えば、CD4結合部位又はV2先端領域の領域内のgp120に対して向けられる)に対する、追加の抗HIV抗体の共投与の非存在下において、抗HIVgp120V3-グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントの投与に応答する、HIV感染症患者集団の予想外の発見に基づく。このような患者は、V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントによって結合される、gp120タンパク質を有するHIVの種に感染している。
【0079】
全般的に、本方法は、以下:アミノ酸残基332位に対応する位置のグリコシル化アスパラギン(N332グリカン)、アミノ酸残基325位に対応する位置にあるアスパラギン酸塩(D325)、並びに以下:アミノ酸残基63位に対応する位置のスレオニン(T63)、アミノ酸残基179位に対応する位置のロイシン(L179)、アミノ酸残基320位に対応する位置のスレオニン(T320)、及びアミノ酸残基330位に対応する位置のヒスチジン(H330)のうち1つ以上のアミノ酸(アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している(すなわち、NCBI参照配列番号NP_057856.1の残基1-511))を含む、gp120を発現する、HIV又はHIVの集団に感染したヒト対象を同定することを伴う。種々の実施形態では、グリカンは、オリゴマンノースである。
【0080】
2.抗HIV gp120V3-グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントによる治療に応答する対象の同定。
いくつかの実施形態では、患者は、目的の指定されたアミノ酸位置、例えば332位及び325位、並びに63、179、320、及び330からなる群の1つ以上のアミノ酸位置に存在するHIV gp120アミノ酸残基を同定する、患者に感染しているHIV種の報告を受けることによって同定され、アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している。いくつかの実施形態では、患者は、gp120のアミノ酸配列、又は患者に感染しているHIV種のgp120タンパク質の目的の指定されたアミノ酸位置に存在するアミノ酸残基を決定するための、1つ以上のアッセイ(例えば、ポリヌクレオチドシーケンシング又はポリペプチドシーケンシング)を行うことによって同定される。対象から得られたgp120タンパク質の全長又は部分配列の同定は、ポリヌクレオチド又はポリペプチドレベルで決定することができる。いくつかの実施形態では、目的のgp120残基位置に存在するアミノ酸は、ポリペプチドレベルで決定される。
【0081】
種々の実施形態では、本方法は、N332グリカン、D325、及びT63を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴い、アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している。
【0082】
種々の実施形態では、本方法は、N332グリカン、D325、及びL179を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴い、アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している。
【0083】
種々の実施形態では、本方法は、N332グリカン、D325、及びT320を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴い、アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している。
【0084】
種々の実施形態では、本方法は、N332グリカン、D325、及びH330を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴い、アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している。
【0085】
種々の実施形態では、本方法は、N332グリカン、D325、T63、及びL179を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴い、アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している。
【0086】
種々の実施形態では、本方法は、N332グリカン、D325、T63、及びT320を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴い、アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している。
【0087】
いくつかの実施形態では、対象は、HIVクレードBウイルスに感染している。種々の実施形態では、本方法は、N332グリカン、D325、T63、及びH330を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴い、アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している。種々の実施形態では、本方法は、N332グリカン、D325、T63、L179、T320、及びH330を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴い、アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している。
【0088】
種々の実施形態では、本方法は、N332グリカン、D325、T320、及びH330を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴い、アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している。
【0089】
種々の実施形態では、本方法は、N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴い、アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している。いくつかの実施形態では、対象は、HIVクレードA及び/又はHIVクレードCウイルスに感染している。いくつかの実施形態では、対象は、HIVクレードA、クレードB、及び/又はHIVクレードCウイルスに感染している。
【0090】
種々の実施形態では、本方法は、N332グリカン、D325、T63、L179、及びT320を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴い、アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している。
【0091】
種々の実施形態では、本方法は、N332グリカン、D325、T63、L179、及びH330を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象を同定することを伴い、アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している。
【0092】
いくつかの実施形態では、対象は、以下のアミノ酸残基のうち1つ以上を更に含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染した対象である:アミノ酸残基301のグリカン(グリカン301);アミノ酸残基のリジン677(K677);トリプトファン(Trp、W)以外のアミノ酸残基(例えば、アラニン(Ala、A);システイン(Cys、C);アスパラギン酸塩又はアスパラギン酸(Asp、D);グルタミン酸塩又はグルタミン酸(Glu、E);フェニルアラニン(Phe、F);グリシン(Gly、G);ヒスチジン(His、H);イソロイシン(Ile、I);リジン(Lys、K);ロイシン(Leu、L);メチオニン(Met、M);アスパラギン(Asn、N);プロリン(Pro、P);グルタミン(Gln、Q);アルギニン(Arg、R);セリン(Ser、S);スレオニン(Thr、T);バリン(Val、V)、又は17位のチロシン(Tyr、Y))(not_W17);747位のアルギニン(例えば、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、S、T、V、W、又はY)以外のアミノ酸残基(not_R747);insertion_321.01(例えば、任意のアミノ酸(例えば、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY)の、G321位とK322位との間への挿入);429位のグルタミン酸(E429);442位のグルタミン(Q442);335位のアルギニン(R335);165位のイソロイシン(I165);393位のセリン(S393);307位のイソロイシン(I307);295位のグリカン(295グリカン);及び/又は300位(N300)のアスパラギン(アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している)。
【0093】
gp120
エンベロープ糖タンパク質gp120(又はgp120)は、HIVの外層の一部である120kDa糖タンパク質である。これ自体は、互いに結合され、gp41タンパク質によって膜に固定された、gp120の3つの分子からなるウイルス膜スパイクとして存在する。gp120は、細胞表面受容体との相互作用を通じて宿主細胞へのHIV侵入を促進するので、ウイルス感染に不可欠である。これらの受容体としては、DC-SIGN、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、及びCD4受容体が挙げられる。ヘルパT細胞上におけるCD4への結合は、gp120及びgp41におけるコンフォーメーション変化のカスケードの開始を誘導し、これは、ウイルスの宿主細胞膜との融合をもたらす。
【0094】
gp120は、HIV env遺伝子によりコードされる。env遺伝子は、およそ850個のアミノ酸の遺伝子産物をコードする。主要なenv産物はタンパク質gp160であり、これは、細胞プロテアーゼのフリンによって小胞体内でgp120(約480アミノ酸)及びgp41(約345アミノ酸)に切断される。
【0095】
gp120上のV3グリカン部位は、CCR5共受容体部位の一部分によって部分的に、及び周囲の偽装(camouflaging)グリカン(いわゆる「高マンノースパッチ」)によって部分的に、形成される(Sokら、「Immunity」(2016年)第45巻、第31~45頁)。V3グリカン部位に対する広域中和抗体(bnAb)は、HIV感染症に見られる全ての抗体の中で最も一般的である(Walkerら、「PLoS Pathog.」(2010年)第6巻:第e1001028頁(2010年);Landaisら、「PLoS Pathog.」(2016年)第12巻:e1005369頁;Georgievら、「Science」(2013年)第340巻:第751~756頁)。gp120のV3領域のコンセンサス配列(Milichら、「J Virol.」第67巻(第9号):5623-5634(1993)を、以下に提供する:
CTRPNNNTRKSIHIGPGRAFYTTGEIIGDIRQAHC(配列番号:1)。
【0096】
HIVクローンWITOの例示的なgp160ポリペプチドのアミノ酸配列を、以下に提供する(V3超可変ループを太字化し、N332の潜在的N-結合型グリコシル化部位を太字化し下線を引いた):
【表1】
【0097】
NCBI参照配列番号:NP_057856.1で同定されたHIVクローンの例示的なgp160ポリペプチドのアミノ酸配列を、以下に提供する(V3超可変ループを太字化し、N332の潜在的N-結合型グリコシル化部位を太字化し下線を引いた):
【表2】
【0098】
HXB2サブタイプB HIV-1単離株の例示的なgp120ポリペプチドのアミノ酸配列(GenBank受託番号:K0345;NCBI参照配列番号:NP_057856.1)の残基1-511に対応)を、以下に提供する(V3超可変ループを太字化し、N332の潜在的N-結合型グリコシル化部位を太字化し下線を引いた;シグナルペプチドには下線を引いている):
【表3】
【0099】
例示的なgp120ポリペプチドのアミノ酸配列を、以下に提供する:
【表4】
【0100】
別の例示的なgp120ポリペプチドのアミノ酸配列(bioafrica.net/proteomics/ENV-GP120prot.htmlを参照されたい)を、以下に提供する:
【表5】
【0101】
独立したヒト免疫不全ウイルスタイプ1(HIV-1)単離株の間のゲノム多様性は、同じ患者からの連続した単離株間では程度は低いが、単一患者の単離株内であっても、HIV-1の周知の特性である。この配列不均一性はゲノム全体に分布しているが、不均一性の大部分は、env遺伝子内に位置する。いくつかの異なる単離株からの予測されるアミノ酸配列の比較では、配列不均一性が、表面糖タンパク質であるgp120の5つの可変領域(V1~V5と指定)にクラスタ化されることが示されている。V3領域は、わずか35個アミノ酸長であるが、相当な配列可変性を呈する。興味深いことに、この可変性にもかかわらず、V3領域は、CD4細胞との相互作用を媒介する決定因子を含む。gp120可変性の増加は、より高いレベルのウイルス複製をもたらし、多様なHIV-1バリアントに感染した個体におけるウイルス適応性の増加を示唆する。潜在的N-結合型グリコシル化部位(potential N-linked glycosylation site:PNGS)の可変性はまた、ウイルス適応性の増加をもたらす。PNGSは、長鎖炭水化物のgp120の高可変領域への結合を可能にする。したがって、env中のPNGSの数は、中和抗体に対して多かれ少なかれ感受性を提供することによって、ウイルスの適応性に影響を及ぼし得る。
【0102】
生体試料
目的のHIV gp120アミノ酸残基は、対象からの生体試料中に存在する、又は存在すると疑われるHIVから決定される。生体試料は、HIVを含有することが知られているか、又は含有すると疑われる対象の固体組織又は生物流体であり得る。種々の実施形態では、生体試料は、血液、末梢血単核細胞(PBMC)、血清、血漿、精液、又はリンパ節を含むか、又はこれらに由来する。いくつかの実施形態では、生体試料は、胆汁、血液、血漿、血清、母乳、糞便、膿、唾液、皮脂、精液、汗、涙、尿、又は嘔吐物を含むか、又はこれらに由来する。例えば抗レトロウイルス(ART)療法によってウイルスレベルが抑制されている患者では、生体試料は、HIVリザーバを含有することが公知である又は含有すると疑われる対象の固体組織又は生物流体、例えば、潜在HIV感染CD4+T細胞(メモリ及び非メモリエフェクタCD4+T細胞を含む)、CD4+T細胞の造血前駆細胞、γδT細胞(メモリ及びメモリエフェクタγδT細胞を含む)、ナチュラルキラー(NK)細胞、骨髄細胞(単球及びマクロファージを含む)、骨髄細胞の造血前駆細胞、及び濾胞樹状細胞を含む、固体組織及び/又は生物流体を含む。潜在HIV感染細胞を保有し得る解剖学的リザーバとしては、リンパ組織、脳、及び中枢神経系、胃腸管及び腸管関連リンパ組織(gut-associated lymphoid tissue(GALT))、生殖器、肺、及び皮膚が挙げられる。潜在HIV感染細胞及びHIVリザーバを保有することが見出された組織及び細胞は、以下に記載されている:例えば、Kuoら、「Curr Opin
HIV AIDS.」(2018年)第13巻(第2号):第137~142頁;Mzingwaneら、「Rev Med Virol.」(2017年)3月;第27巻(第2号)、doi:10.1002/rmv.1924(PMID 28128885);Churchillら、「Nat Rev Microbiol.」(2016年)第14巻(第1号):第55~60頁;Bartonら、「Trends Microbiol.」(2016年)第24巻(第5号):345~355頁。これらは、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0103】
いくつかの実施形態では、複数の生体試料が、単一の患者から評価される。例えば、いくつかの実施形態では、2つ以上の異なる組織又は2つ以上の異なる解剖学的リザーバ由来の2つ以上の生体試料が、単一の患者から評価される。
【0104】
感染症のステージ
種々の実施形態では、ヒト対象は、成人、若年、又は乳児である。対象は、症候性(例えば、ウイルス血症)であっても無症候性(例えば、急性感染症又はART抑制)であってもよい。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVに急性感染しているか、最近感染している。ある特定の実施形態では、対象は、血清転換されていない。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVに慢性的に感染している。対象は、抗レトロウイルス療法(ART)のレジメンを受けていることが多いか、又は受けていなくてもよい。
【0105】
患者はFiebigステージI~VIに分類することができ、これは、陽性HIV-1臨床診断アッセイ(PCRによって測定されたウイルスRNA、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって測定されたp24及びp31ウイルス抗原)における連続的な増加に基づく。p24抗原は、HIV-1RNAレベルが10,000コピー/mLを超えて上昇すると、検出可能なHIV抗体の発症前に、上昇期中に血液で一過的に出現するウイルスコアタンパク質である。FiebigステージIでは、上昇ウイルス血症中に、血液中のHIV-1 RNAのみを検出することができる。FiebigステージIIは、p24抗原を検出する試験の結果が陽性になると、約7日後に開始する。FiebigステージIIIでは、p24抗原試験結果が陽性になってから約5日以内に、IgM抗HIV-1抗体を、充分に感受性である酵素免疫アッセイ(EIAs)(例えば、第3世代EIA)で検出することができる。ステージIIIは、典型的には、急性レトロウイルス性症状の発症から1~2週間後に生じる。FiebigステージIVは、不確定なウェスタンブロット試験の進行を表し、EIA試験で陽性結果が示されてから約3日後に発生する。明確に陽性のウェスタンブロット試験、FiebigステージVへの変換は、概ね、初期感染から更に7日後、又は約1ヶ月後に生じる。HIV感染症のFiebigステージは、以下に記載されている:例えば、Fiebigら、「AIDS.(2003年)第17巻(第13号):第1871~9頁;Cohenら、「J Infect Dis.」(2010年)第202巻、付録第2巻:第S270~7頁、及びMcMichaelら、「Nature Reviews Immunology」(2010年)第10巻:第11~23頁。これらは、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、評価された生体試料は、FiebigステージIV又はこれより早期、例えば、FiebigステージI、FiebigステージII、FiebigステージIII、又はFiebigステージIVのHIV感染症を有するヒト対象である。いくつかの実施形態では、評価された生体試料は、FiebigステージVのHIV感染症又はFiebigステージVIのHIV感染症を有する、ヒト対象由来由来である。
【0106】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象から生体試料を得るステップを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、目的の指定された位置、例えば332位及び325位、並びに63、179、320、及び330からなる群からの1つ以上のアミノ酸位置に存在するHIV gp120アミノ酸残基の報告を受けることを伴い、アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している。
【0107】
目的のgp120アミノ酸の決定
目的の指定位置、例えば、332及び325、並びに63、179、320、及び330からなる群からの1つ以上のアミノ酸位置(アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している)における、対象のHIV gp120配列でのアミノ酸残基の決定は、ポリヌクレオチド又はポリペプチドレベルで行うことができる。ポリヌクレオチドのレベルで、1つ以上の生体試料から単離された、HIV RNA、又はプロウイルスDNAは、当該技術分野において周知の方法を用いて配列することができる。いくつかの実施形態では、対象の2つ以上の生体試料から単離されたHIV RNA又はプロウイルスDNAが、シーケンシングされる。いくつかの実施形態では、2つ以上の生体試料は、異なる組織源(例えば、血液末梢血単核細胞、リンパ節、及び/又は精液)から得られる。いくつかの実施形態では、2つ以上の生体試料は、異なる時点、例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8週間離れた時点、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12ヶ月離れた時点で得られる。
【0108】
適宜、HIV envコード配列、特にgp120のV3可変領域をアニーリング及び増幅するプライマを、使用することができる。いくつかの実施形態では、プライマのネステッドセットを使用することができる。種々の実施形態では、RNAを直接シーケンシングするか、又は逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(reverse-transcriptase polymerase chain reaction:RT-PCR)を実施することができる。いくつかの実施形態では、Sangerシーケンシングは、例えばV3領域内のアミノ酸残基を決定するためにシーケンシングする場合、又は、疾患の早期Fiebigステージ、例えばFiebigステージIIIより早期、例えばFiebigステージI又はIIにおいて、患者由来の試料をシーケンシングする場合、実行することができる。種々の実施形態では、単一ゲノム増幅(single genome amplification:SGA)及びシーケンシングが行われる。単一ゲノム
増幅(SGA)の方法及び血漿HIVビリオンRNAのシーケンシング方法は、以下に記載されている:例えば、Salazar-Gonzalezら、(2008年)、「J Virol」第82巻:第3952~3970頁;及び、Keeleら、「Proc Natl Acad Sci USA.」(2008年)第105巻(第21号):第7552~7頁。本明細書に記載される方法で使用することができる、HIV gp120配列におけるアミノ酸配列変動を決定するためのSGAの適用は、以下に記載されている:例えば、Barら、「N Engl J Med.」(2016年)第375巻(第21号):第2037~2050頁;及び、Mendozaら、「Nature.」(2018年)第561巻(第7724号):第479~484頁。種々の実施形態では、ハイスループット、次世代シーケンシング(NGS)、超並列、又はディープシーケンシング技術を使用して、単一の患者又は対象由来の1つ以上の生体試料中のHIV種の集団から、少なくともV3可変領域を含む、gp120をシーケンシングする。このような場合、gp120の少なくともV3可変領域をコードする複数の核酸配列が、シーケンシングされ、アラインメントされる。いくつかの実施形態では、gp120の全長が、シーケンシングされる。患者由来の1つ以上の生体試料中のHIV種のgp120配列を決定するために使用することができる、NGSシーケンシングを行うための例示的なプラットフォームとしては、Illumina(Solexa)(illumina.com)、Ion torrent:Proton/PGM sequencing(thermofisher.com)、SOLiD(thermofisher.com)、及びSingle
Molecule、Real-Time(SMRT)Sequencing(Pacific Biosciences、pacb.com)が挙げられる。患者由来の少なくともV3グリカン領域を含む、HIV gp120を単離及びシーケンシングする方法であって、本方法に適用することができる方法は、以下に記載されている:例えば、Shiodaら、「J Virol.」(1997年)第71巻(第7号):第4871~81頁;Colonら、「J Virol Antivir Res.」(2015年)第4巻(第3号)、pii:143(PMID:27358904);Kafandoら、「PLoS One.」(2017年)第12巻(第12号):第e0189999頁;Hebberechtら、「PLoS One.」(2018年)第13巻(第4号):第e0195679頁、Andrewsら、「Sci Rep.」(2018年)第8巻(第1号):第5743頁、及びLandaisら、「Immunity.」(2017年)第47巻(第5号):第990~1003頁。適宜、核酸配列(「コンティグ」)のより短い配列リードは、gp120の少なくともV3可変領域を含む、より長い配列に組み立てることができる。本方法において適用することができるHIVゲノム配列のコンティグアセンブリの方法は、以下に記載されている:例えば、Huangら、「Bioinformation.」(2018年)第14巻(第8号):第449~454頁;Hienerら、「J Vis Exp.」(2018年)10月16日;(第140号)、doi:10.3791/58016;及び、Wymantら、「Virus Evol.」(2018年)5月18日;第4巻(第1号):vey007.doi:10.1093/ve/vey007。
【0109】
いくつかの実施形態では、単一患者における1つ以上の生体試料から得られるHIVの集団におけるgp120のシーケンシングされたV3可変領域の、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%は、アミノ酸残基332位に対応する位置のグリコシル化アスパラギン(N332グリカン)、アミノ酸残基325位に対応する位置にあるアスパラギン酸塩(D325)、並びに以下:アミノ酸残基63位に対応する位置のスレオニン(T63)、アミノ酸残基179位に対応する位置のロイシン(L179)、アミノ酸残基320位に対応する位置のスレオニン(T320)、及びアミノ酸残基330位に対応する位置のヒスチジン(H330)のうち1つ以上(アミノ酸位置は、配列番号:4を参照している)を含む、アミノ酸配列を含む。本明細書で使用する場合、所与のアミノ酸ポリマー又は核酸ポリマーの番号付けは、任意の所与のポリマー構成成分(例えば、包括的に「残基」とも呼ばれる、アミノ酸、ヌクレオチド)の位置が、所与のポリマー中の構成成分の実際の数値位置ではなく、選択されたアミノ酸又は核酸ポリマー中の同じ又は同等の位置(例えば、最適なアラインメント又はコンセンサス配列に基づく)を参照することによって指定される場合、選択された又は参照されるアミノ酸ポリマー又は核酸ポリマーの番号付け、「に対応する(corresponds to)」、「に対応している(corresponding to)」、又は「関連する(relative to)」。いくつかの実施形態では、HIV gp120バリアントは、ウイルス集団の約1%(例えば、1%の変異体又はバリアント頻度)の頻度レベルまで検出される。いくつかの実施形態では、HIV gp120バリアントは、ウイルス集団の約0.5%の頻度レベルまで検出される。経験則として、1%の頻度でバリアントを確実に検出するには、少なくとも1000コピー/mLのHIV RNAレベルが必要である。以下を参照されたい。例えば、Casadellaら、「Virus Research」第239巻(2017年)第69~81頁;Noguera-Julianら、「J Infect Dis.」(2017年)第216巻(付録9巻):第S829~S833頁、及びLeeら、「Sci Rep.」(2020年)第10巻(第1号):1634頁。
【0110】
3.抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントの投与
ある特定の実施形態では、本方法は、gp120のV3グリカン結合領域を標的とする、抗HIV抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は抗原結合分子を投与することを伴う。
【0111】
HIV-1は、HIVの主なファミリであり、世界中の全感染症の95%を占めている。HIV-2は、主に、少数の西アフリカ諸国で見られる。
【0112】
HIVウイルスは、特定の群、M、N、O、及びPに分割され、このうちMは「主」群であり、HIV/AIDSの大部分を占める。これらの遺伝子配列に基づいて、群Mは、異なる地理的位置における有病率を伴うサブタイプ(クレードとも呼ばれる)に更に細分される。
【0113】
群M「サブタイプ」又は「クレード」は、遺伝子配列データによって特定される、HIV-1群Mのサブタイプである。群Mのサブタイプの例としては、サブタイプA~Kが挙げられる。サブタイプの一部は、より病原性があることが知られているか、又は異なる薬物療法に対して耐性である。また、異なるサブタイプのウイルス間の組換えに由来する「組換え流行株」又はCRFも存在し、これらは各々に番号が付けられている。例えば、CRF12_BFは、サブタイプB及びFの組換えである。サブタイプAは、西アフリカにおいて一般的である。サブタイプBは、ヨーロッパ、アメリカ、日本、タイ、及びオーストラリアにおいて優勢な形態である。サブタイプCは、南アフリカ、東アフリカ、インド、ネパール、及び中国の一部において優勢な形態である。サブタイプDは、概ね、東及び中央アフリカにおいてのみ見られる。サブタイプEは、非組換えとして同定されておらず、CRF01_AEとしてサブタイプAのみを組換えしている。サブタイプFは、中央アフリカ、南米、及び東ヨーロッパで見られる。サブタイプG(及びCRF02_AG)は、アフリカ及び中央ヨーロッパで見られる。サブタイプHは、中央アフリカに限定される。サブタイプIは、いくつかのサブタイプの「複合」組換えのためcpxを有するCRF04_cpxとして、ここで考慮される株を記述するために元々使用されていた。サブタイプJは、主に北、中央、及び西アフリカで見られ、カリビアンサブタイプKは、コンゴ民主共和国及びカメルーンに限定される。これらのサブタイプは、A1及びA2又はF1及びF2などのサブ-サブタイプに更に分割されることがある。2015年には、サブタイプDプロテアーゼを有するサブタイプA、サブタイプD及びサブタイプGの組換え体である株CRF19が、キューバにおけるAIDSの急速な進行と強く関連することが見出された。
【0114】
本開示は、とりわけ、HIV感染細胞の表面上のgp120ポリペプチドのV3-グリカン領域を標的とする、ヒト抗HIV中和抗体(例えば、広域中和抗体)の投与を実施する方法を提供する。ウイルスエンベロープタンパク質に対する中和抗体は、感受性細胞の感染を阻止することによって、HIV-1曝露に対する適応免疫防御を提供する。広域中和は、抗体が、異なるクレードからのHIV-1単離株を中和することができることを示す。したがって、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、クレード交差(cross-clade)結合活性を有する。
【0115】
HIV gp120のV3グリカン領域に指向性である抗体及びその抗原結合フラグメント
本明細書に記載される方法のある特定の実施形態では、対象に、V3グリカン領域内、例えば、gp120の第3の可変ループ(V3)のエピトープ若しくは領域内の、HIV
gp120タンパク質、及び/又はN332オリゴマンノースグリカンを含む高マンノースパッチに結合する、抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は抗原結合分子、が投与される。ある特定の実施形態では、投与された抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は抗原結合分子は、細胞表面上に発現されたHIV-1抗原に結合し、感染細胞を排除又は殺傷する。
【0116】
ある特定の実施形態では、投与された抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は抗原結合分子は、HIV-1を標的とするヒト中和抗体(例えば、モノクローナル)であるか、又はこれに由来する。「中和抗体」は、宿主及び/又はインビトロ標的細胞中の感染を開始及び/又は永続化させるHIVの能力を、中和することができる抗体である。本開示は、中和モノクローナルヒト抗体を提供し、抗体は、HIV由来の抗原、例えばgp120ポリペプチドを認識する。ある特定の実施形態では、「中和抗体」は、HIV-1ウイルス、例えばSF162及び/又はJR-CSFの侵入を、中和指数1.5超又は2.0超で阻害し得る(Kostrikis LGら、「J.Virol.」第70巻(第1号):第445~458頁(1996年))。
【0117】
いくつかの実施形態では、投与された抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は抗原結合分子は、HIV-1を標的とするヒト広域中和抗体(例えば、モノクローナル)であるか、又はこれに由来する。「広域中和抗体」とは、中和アッセイにおいて、2つ以上のHIV-1ウイルス種(多様なクレード及びクレード内の異なる株由来)を中和する抗体を意味する。広域中和抗体は、HIV-1の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、又はそれ以上の異なる株を中和してもよく、同じ又は異なるクレードに属する株を中和してもよい。特定の実施形態では、広域中和抗体は、少なくとも2、3、4、5、又は6つの異なるクレードに属する複数のHIV-1種を中和してもよい。ある特定の実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントの阻害濃度は、中和アッセイにおいて投入ウイルスの約50%を中和するために、約0.0001μg/mL未満、約0.001μg/mL未満、約0.01μg/mL未満、約0.1μg/mL未満、約0.5μg/mL未満、約1.0μg/mL未満、約5μg/mL未満、約10μg/mL未満、約25μg/mL未満、約50μg/mL未満、又は約100μg/mL未満であり得る。
【0118】
第3の可変ループ(V3)中のgp120及び/又はN332オリゴマンノースグリカンを含む高マンノースパッチに結合する、本明細書に記載の方法で使用することができる、例示的な広域中和抗体としては、非限定的に以下が挙げられる:GS-9722(エリポビマブ)、GS-9721、PGT-121、PGT-121.66、PGT-121.414、PGT-122、PGT-123、PGT-124、PGT-125、PGT-126、PGT-128、PGT-130、PGT-133、PGT-134、PGT-135、PGT-136、PGT-137、PGT-138、PGT-139、10-1074、10-1074-J、VRC24、2G12、BG18、354BG8、354BG18、354BG42、354BG33、354BG129、354BG188、354BG411、354BG426、DH270.1、DH270.6、PGDM12、VRC41.01、PGDM21、PCDN-33A、BF520.1、及びVRC29.03。第3の可変ループ(V3)内のgp120及び/又はN332オリゴマンノースグリカンを含む高マンノースパッチに結合し、本明細書に記載の方法で使用することができる、追加の広域中和抗体は、以下に記載されている:例えば、国際公開第2012/030904号;国際公開第2014/063059号;同第2016/149698号;同第2017/106346号;同第2018/075564号、同第2018/125813号;同第2018/237148号、同第2019/226829号、同第2020/023827号、同第2020/056145号、及び Kerwinら、「J Pharm Sci.」2020年1月;第109巻(第1号):233~246頁。これらは、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0119】
HIV gp120 V3グリカン領域を標的とする、抗体又は抗原結合フラグメントの相補性決定領域(CDR)の例示的な配列を、表A1~A4に提供する。HIV gp120 V3グリカン領域を標的とする、抗体又は抗原結合フラグメントのVH及びVLの例示的な配列を、表Bに提供する。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【表9-4】
【表9-5】
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【表10-4】
【表10-5】
【表10-6】
【0120】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、VH-CDR1、VH-CDR2、及びVH-CDR3を含むVH;と、VL-CDR1、VL-CDR2、及び第2のVH-CDR3を含むVL;と、を含み、VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVH-CDR3は、以下に記載される配列を含む:配列番号:7、8、9、10、11、及び12;配列番号:7、13、9、10、11、及び12;配列番号:14、15、16、17、11、及び18;配列番号:14、19、20、17、11、及び18;配列番号:21、22、23、24、25、及び26;配列番号:21、22、27、24、25、及び26;配列番号:28、29、30、31、32、及び33;配列番号:34、35、36、37、25、及び38;配列番号:39、40、41、42、43、及び44;配列番号:45、46、47、48、49、及び50;配列番号:45、51、52、53、49、及び54;配列番号:55、56、57、58、59、及び44;配列番号:61、46、63、58、49、及び44;配列番号:64、65、66、67、68、及び69;配列番号:70、71、72、73、74、及び75;配列番号:76、77、78、79、80、及び75;配列番号:81、82、83、84、85、及び75;配列番号:85、86、87、88、89、及び90;配列番号:85、91、92、93、94、及び90;配列番号:85、96、92、93、94、及び90;配列番号:85、86、87、97、98、及び90;配列番号:85、99、100、101、102、及び95;配列番号:85、99、100、101、102、及び103;配列番号:85、99、100、104、102、及び90;配列番号:85、105、92、93、94、及び90;配列番号:85、99、100、101、102、及び107;配列番号:108、109、110、111、112、113;配列番号:108、114、115、111、116、及び117;又は、配列番号:108、118、119、111、120、及び121(KabatによるCDR)。
【0121】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、VH-CDR1、VH-CDR2、及びVH-CDR3を含むVH;と、VL-CDR1、VL-CDR2、及び第2のVH-CDR3を含むVL;と、を含み、VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVH-CDR3は、以下に記載される配列を含む:配列番号123、124、9、10、11、及び12;配列番号:125、126、16、17、11、及び18;配列番号:127、128、20、17、11、及び18;配列番号:129、130、23、24、25、及び26;配列番号:129、130、27、24、25、及び26;配列番号:131、132、30、31、32、及び33;配列番号:133、134、36、37、25、及び38;配列番号:135、136、41、42、43、及び44;配列番号:137、138、47、48、49、及び50;配列番号:137、138、52、53、49、及び54;配列番号:139、56、57、58、59、及び44;配列番号:141、138、63、58、49、及び44;配列番号:142、143、66、67、68、及び69;配列番号:144、145、72、73、74、及び75;配列番号:146、147、78、79、80、及び75;配列番号:146、147、83、84、85、及び75;配列番号:149、150、87、88、89、及び90;配列番号:151、150、87、88、89、及び90;配列番号:152、153、92、93、94、及び90;配列番号:151、150、87、97、98、及び90;配列番号:152、153、100、101、102、及び95;配列番号:152、153、100、101、102、及び103;配列番号:152、153、100、104、102、及び90;配列番号:152、153、100、101、102、及び107;配列番号:154、155、110、111、116、及び117;配列番号:156、157、115、111、116、及び117;又は、配列番号:158、159、119、111、120、及び121(ChothiaによるCDR)。
【0122】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、VH-CDR1、VH-CDR2、及びVH-CDR3を含むVH;と、VL-CDR1、VL-CDR2、及び第2のVH-CDR3を含むVL;と、を含み、VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVH-CDR3は、以下に記載される配列を含む:配列番号160、161、162、163、164、及び12;配列番号:165、166、167、168、164、及び18;配列番号:165、166、461、168、164、及び18;配列番号:169、170、171、168、164、及び18;配列番号:172、173、174、175、164、及び26;配列番号:172、173、176、175、164、及び26;配列番号:177、178、179、180、164、及び38;配列番号:181、182、183、184、185、及び33;配列番号:186、187、188、189、190、及び44;配列番号:191、192、193、194、195、及び50;配列番号:191、196、197、198、195、及び54;配列番号:199、200、201、202、399、及び44;配列番号:203、204、205、202、195、及び44;配列番号:206、207、208、209、210、及び69;211、212、213、214、215、及び75;配列番号:216、217、218、219、220、及び75;配列番号:221、217、83、223、224、及び75;配列番号:225、226、87、227、228、及び90;配列番号:229、226、87、227、228、及び90;配列番号:230、231、92、232、233、及び90;配列番号:230、234、92、232、233、及び90;配列番号:229、226、87、235、398、及び90;配列番号:230、236、100、232、233、及び95;配列番号:230、236、100、232、233、及び103;配列番号:230、236、100、237、233、及び90;配列番号:230、238、92、232、233、及び107;配列番号:239、240、110、241、242、及び113;配列番号:243、244、115、241、245、及び117;又は、配列番号:243、246、119、241、247、及び121(IMGTによるCDR)。
【0123】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、VH-CDR1、VH-CDR2、及びVH-CDR3を含むVH;と、VL-CDR1、VL-CDR2、及び第2のVH-CDR3を含むVL;と、を含み、VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVH-CDR3は、以下に記載される配列を含む:配列番号248、249、250、251、252、及び253;配列番号:248、254、250、251、252、及び253;配列番号:255、256、257、258、252、及び259;配列番号:260、261、262、258、252、及び259;配列番号:263、264、265、266、267、及び268;配列番号:263、264、397、266、267、及び268;配列番号:269、270、271、272、273、及び274;配列番号:275、276、277、278、279、及び280;配列番号:281、282、283、284、285、及び286;配列番号:287、288、289、290、291、及び286;配列番号:287、292、293、294、295、及び296;配列番号:297、298、299、300、301、及び286;配列番号:302、288、303、300、295、及び286;配列番号:304、305、306、307、308、及び309;配列番号:310、311、312、313、314、及び315;配列番号:316、316、318、319、320、及び315;配列番号:321、322、323、324、325、及び315;326、327、328、329、330、及び331;配列番号:332、327、328、329、330、及び331;配列番号:333、334、335、336、337、及び338;配列番号:333、339、335、336、337、及び338;配列番号:332、327、328、340、341、及び338;配列番号:342、343、344、336、345、及び346;配列番号:342、343、344、336、347、及び348;配列番号:342、343、344、349、350、及び338;配列番号:333、351、335、336、337、及び338;配列番号:342、343、344、336、347、及び352;配列番号:353、354、355、356、357、及び358;配列番号:359、360、361、356、362、及び363;又は、配列番号:359、364、365、356、366、及び358(HoneggerによるCDR)。
【0124】
本明細書に記載される方法において有用な、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントのCDR配列の例示的な実施形態は、表A1~表A4に提供される。
【0125】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、以下の配列番号から選択されるような、記載されるアミノ酸配列と、それぞれ、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を含むVH及びVLを含む:配列番号:400及び401;配列番号:402及び403;配列番号:402及び404;配列番号:462及び463;配列番号:464及び465;配列番号:405及び406;配列番号:466及び467;配列番号:407及び408;配列番号:409及び410;配列番号:411及び412;配列番号:413及び414;配列番号:415及び416;配列番号:417及び418;配列番号:419及び420;配列番号:421及び422;配列番号:423及び424;配列番号:425及び426;配列番号:427及び428;配列番号:429及び430;配列番号:431及び432;配列番号:433及び434;配列番号:435及び436;配列番号:437及び438;配列番号:439及び440;配列番号:441及び442;配列番号:443及び444;配列番号:445及び446;配列番号:447及び448;配列番号:449及び450;配列番号:451及び452;配列番号:453及び454;配列番号:455及び456;配列番号:457及び458;又は、配列番号:459及び460。本明細書に記載される方法において有用な、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントの可変ドメインVH及びVL配列の例示的な実施形態は、表Bに提供される。
【0126】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体は、以下に示すアミノ酸配列と、それぞれ、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一であり、指示位置に以下のアミノ酸の1つ以上を含む、VH及びVLアミノ酸配列を含む(Kabatによる位置番号付け):配列番号:400又は402(82a~82c位のSer-Ser-Val(SSV)又はThr-Gly-Val(TGV)、39位のGln(Q)、60位のAsn(N)、68位のHis(H)、105位のLys(K)、His(H)、若しくはThr(T)のいずれか1つ、2位のLeu(L)、32位のAla(A)、及び/又は95位のAla(A)のうち1つ以上を含む);並びに、配列番号401、403又は404(67位のGly(G)、67a位のTyr(Y)、Phe(F)、又はThr(T)、67b位のArg(R)、67c位のPro(P)、及び/又は103位のLys(K)のうち1つ以上を含む)。いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体は、以下に示すアミノ酸配列と、それぞれ、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一であり、指示位置に以下のアミノ酸の1つ以上を含む、VH及びVLアミノ酸配列を含む(Kabatによる位置番号付け):配列番号:400又は402(82a~82c位のThr-Gly-Val(TGV)、60位のAsn(N)、68位のHis(H)、105位のLys(K)、His(H)、及び/又はThr(T)いずれか1つ、のうち1つ以上を含む);並びに、配列番号:401、403、又は404(67位のGly(G)、67a位のTyr(Y)、Phe(F)、又はThr(T)、67b位のArg(R)、67c位のPro(P)、のうち1つ以上を含む)。
【0127】
血清半減期を増加させるFc変異
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体のFc領域又はFcドメインは、抗結合分子の血清半減期の増加を促進するアミノ酸修飾を含む。抗体の半減期を増加させる変異が記載されている。一実施形態では、CD3標的重鎖及びHIV抗原標的重鎖の一方又は両方のFc領域又はFcドメインは、252位(EU番号付け)におけるメチオニンからチロシンへの置換、254位(EU番号付け)におけるセリンからスレオニンへの置換、及び256位(EU番号付け)におけるスレオニンからグルタミン酸への置換を含む。例えば、米国特許第7,658,921号を参照されたい。「YTE変異体」と命名されたこのタイプの変異体は、同じ抗体の野生型バージョンと比較して、4倍増加した半減期を呈する(Dall’Acquaら、「J Biol Chem」第281巻:第23514~24頁(2006年);Robbieら、「Antimicrob Agents Chemotherap.」第57巻(第12号):第6147~6153頁(2013年))。ある特定の実施形態では、CD3標的重鎖及びHIV抗原標的重鎖の一方又は両方のFc領域又はFcドメインは、251~257位、285~290位、308~314位、385~389位、及び428~436(EU番号付け)におけるアミノ酸残基の、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上のアミノ酸置換を含む、IgG定常ドメインを含む。あるいは、M428L及びN434S(「LS」)置換は、多重特異性抗原結合分子の薬物動態半減期を増加させることができる。他の実施形態では、CD3標的重鎖及びHIV抗原標的重鎖の一方又は両方のFc領域又はFcドメインは、M428L及びN434S置換(EU番号付け)を含む。他の実施形態では、CD3標的重鎖及びHIV抗原標的重鎖の一方又は両方のFc領域又はFcドメインは、T250Q及びM428L(EU番号付け)変異を含む。他の実施形態では、CD3標的重鎖及びHIV抗原標的重鎖の一方又は両方のFc領域又はFcドメインは、H433K及びN434F(EU番号付け)変異を含む。
【0128】
エフェクタ活性を増強するFc変異
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体のFc領域又はFcドメインは、エフェクタ活性を増加させる、翻訳後及び/又はアミノ酸修飾を含み、例えば、改善されたFcγIIIa結合及び増加した抗体依存性細胞傷害性(antibody-dependent cellular cytotoxicity:ADCC)を有する。いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体のFc領域又はFcドメインは、Fc領域におけるDE修飾(すなわち、EU番号付けによる、S239D及びI332E)を含む。いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体のFc領域又はFcドメインは、Fc領域におけるDEL修飾(すなわち、EU番号付けによる、S239D、I332E、及びA330L)を含む。いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体のFc領域又はFcドメインは、Fc領域におけるDEA修飾(すなわち、EU番号付けによる、S239D、I332E、及びG236A)を含む。いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体のFc領域又はFcドメインは、Fc領域において、DEAL修飾(すなわち、EU番号付けによる、S239D、I332E、G236A、及びA330L)を含む。以下を参照されたい:例えば、米国特許第7,317,091号;同第7,662,925号;同第8,039,592号;同第8,093,357号;同第8,093,359号;同第8,383,109号;同第8,388,955号;同第8,735,545号;同第8,858,937号;同第8,937,158号;同第9,040,041号;同第9,353,187号;同第10,184,000号;及び、同第10,584,176号。エフェクタ活性を増加させる、例えば、改善されたFcγIIIa結合及び増加した抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有する追加のアミノ酸修飾としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない(EU番号付け):F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L;S298A/E333A/K334A;又は、第1のFcドメインにおける、L234Y/L235Q/G236W/S239M/H268D/D270E/S298A、及び第2のFcドメインにおける、D270E/K326D/A330M/K334E。C1q結合及び補体依存性細胞傷害性(CDC)を増加させるアミノ酸変異としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない(EU番号付け):S267E/H268F/S324T、又はK326W/E333S。エフェクタ活性を増強するFc領域変異は、以下に概説されている:例えばWangら、「Protein Cell」(2018年)第9巻(第1号):第63~73頁;及び、Saunders、「Front Immunol.」(2019年)第10巻:第1296頁。
【0129】
他の実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、修飾グリコシル化を有し、これは例えば、翻訳後又は遺伝子操作によって導入され得る。いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、例えば、抗体又はその抗原結合フラグメント中に存在するグリコシル化部位で脱フコシル化(afucosylate)されている。大半の承認され
たモノクロ-ナル抗体は、IgG1アイソタイプであり、2つのN-結合二分岐複合体型オリゴ糖が、Fc領域に結合している。Fc領域は、FcγRファミリの白血球受容体との相互作用を通じて、ADCCのエフェクタ機能を実行する。脱フコシル化モノクローナル抗体は、抗体のFc領域内のオリゴ糖がいかなるフコース糖単位も有しないように遺伝子操作された、モノクローナル抗体である。
【0130】
いくつかの実施形態では、適宜、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体のFc領域又はFcドメインは、血清半減期を増加させ、エフェクタ活性を増強するための、翻訳後及び/又はアミノ酸修飾を含み得る。
【0131】
4.2つ以上の抗HIV抗体による併用療法
ある特定の実施形態では、本開示は、HIV感染症を有する、又はHIV感染症を有するリスクがある、ヒト対象におけるHIV感染症を治療又は予防するための方法を、提供する。本方法は、治療有効量の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体若しくは抗原結合フラグメント、又は本明細書に開示されるように、その医薬組成物を、治療有効量の1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、1つ若しくは2つ、又は1つ~3つ)の追加の治療剤と組み合わせて、ヒト対象に投与することを含む。一実施形態では、感染症を有する又は感染症を有するリスクがあるヒト対象におけるHIV感染症を治療するための方法が提供され、この方法は、治療有効量の本明細書に開示される抗体又は抗体、又はその薬学的に許容される塩を、治療有効量の1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、1つ若しくは2つ、又は1つ~3つ)の追加の治療剤と組み合わせて、ヒト対象に投与することを含む。
【0132】
抗体の併用療法
いくつかの実施形態では、抗V3-グリカン抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2の抗HIV抗体と共投与される。いくつかの実施形態では、抗V3-グリカン抗体又はその抗原結合フラグメントは、以下からなる群から選択されるgp120のエピトープ又は領域に結合する、第2の抗HIV抗体と共に共投与される:(i)第2の可変ループ(V2)及び/又はEnv三量体先端;(ii)CD4結合部位(CD4bs);(iii)gp120/gp41界面;又は、(v)gp120のサイレント面。広域中和抗体によって結合されるgp120の前述のエピトープ又は領域は、以下に記載されている:例えば、McCoy、「Retrovirology」(2018年)第15巻:第70頁;Sok及びBurton、「Nat Immunol.」2018年、第19巻(11号):第1179~1188頁;Possasら、「Expert Opin Ther
Pat.」2018年7月;第28巻(第7号):第551~560頁;並びに、Stephenson及びBarouch、「Curr HIV/AIDS Rep」(2016年)第13巻:第31~37頁。これらは、全目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0133】
いくつかの実施形態では、併用療法は、抗V3グリカン抗体又はその抗原結合フラグメントと、別の抗HIV広域中和抗体又はbNAb(すなわち、複数のHIV-1ウイルス株を中和する中和抗体)との共投与を伴う。様々なbnAbは当該技術分野において既知であり、併用治療剤として使用されてもよい。使用する更なる例示的なbnAbとしては、以下からなる群から選択される、gp120のエピトープ又は領域と結合又は競合する、VH及びVLを含むものが挙げられる:(i)第2の可変ループ(V2)及び/又はEnv三量体先端;(ii)CD4結合部位(CD4bs);(iii)gp120/gp41界面;又は、(v)gp120のサイレント面。抗HIV抗体併用療法で使用するための例示的なbNABとしては、以下と結合又は競合する、VH及びVLを含むものが挙げられる:2F5、4E10、M66.6、CAP206-CH12、10E8、10E8v4、10E8-5R-100cF、DH511.11P、7b2、及びLN01(これらの全てがgp41のMPERに結合する);PG9、PG16、CH01-04(これらの全てがV1V2-グリカンに結合する)、2G12(これらは外側ドメイングリカンに結合する);b12、F105、VRC01、VRC07、VRC07-523、VRC03、VRC06、VRC06b01 VRC08、VRC0801、NIH45-46、GS-9723、GS-5423、3BNC117、3BNC60、VRC-PG04、PGV04;CH103、44-VRC13.01、1NC9、12A12、N6、N6LS(VRC-HIVMAB091-00-AB)、N49-P7、NC-Cow1、IOMA、CH235及びCH235.12、N49P6、N49P7、N49P11、N49P9、並びにN60P25(これら全てはCD4結合部位に結合する)。
【0134】
いくつかの実施形態では、併用療法は、第2の可変ループ(V2)及び/又はEnv三量体先端におけるgp120のエピトープ又は領域に結合し、PG9、PG16、PGC14、PGG14、PGT-142、PGT-143、PGT-144、PGT-145、CH01、CH59、PGDM1400、CAP256、CAP256-VRC26.08、CAP256-VRC26.09、CAP256-VRC26.25、PCT64-24E、及びVRC38.01からなる群から選択される抗体からのCDR並びに/又はVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む、抗体を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、併用療法は、CD4結合部位(CD4bs)におけるgp120のエピトープ又は領域に結合し、以下からなる群から選択される抗体からのCDR並びに/又はVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む、抗体を含む:b12、F105、VRC01、VRC07、VRC07-523、VRC03、VRC06、VRC06b01 VRC08、VRC0801、NIH45-46、GS-9723、GS-5423、3BNC117、3BNC60、VRC-PG04、PGV04;CH103、44-VRC13.01、1NC9、12A12、N6、N6LS(VRC-HIVMAB091-00-AB)、N49-P7、NC-Cow1、IOMA、CH235andCH235.12、N49P6、N49P7、N49P11、N49P9、及びN60P25。
【0136】
いくつかの実施形態では、併用療法は、gp120/gp41界面におけるgp120のエピトープ又は領域に結合し、PGT-151、CAP248-2B、35O22、8ANC195、ACS202、VRC34、及びVRC34.01からなる群から選択される抗体からのCDR並びに/又はVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む、抗体を含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、併用療法は、gp120サイレント面のエピトープ又は領域に結合し、抗体VRC-PG05からの第2のVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む、抗体を含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、併用療法は、膜近位領域(MPER)におけるgp41のエピトープ又は領域に結合し、10E8、10E8v4、10E8-5R-100cF、4E10、DH511.11P、2F5、7b2、及びLN01からなる群から選択される抗体からの第2のVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む、抗体を含む。いくつかの実施形態では、併用療法は、膜貫通タンパク質gp41の不変部位である、KLIC(配列番号:468として開示される、「KLIC」)のエピトープ又は領域に結合し、クローン3ヒトモノクロ-ナル抗体(Cl3hmAb)(Protheragen)由来の第2のVH領域及び第2のVLと競合するか又はこれらを含む、抗体を含む。以下を参照されたい:例えば、Vaniniら、「AIDS.」(1993年)第7巻(第2号):第167~74頁。
【0139】
いくつかの実施形態では、併用療法は、gp41の融合ペプチドのエピトープ又は領域に結合し、VRC34及びACS202からなる群から選択される抗体からの第2のVH及びVL領域と競合するか又はこれらを含む、抗体を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、併用療法は、HIV抗原に結合する多重特異性、例えば二重特異性又は三重特異性抗体を含む。HIV二重特異性抗体及び三重特異性抗体の例としては、MGD014、B12BiTe、BiIA-SG、TMB-二重特異性、SAR-441236、VRC-01/PGDM-1400/10E8v4、10E8.4/iMab、及び10E8v4/PGT121-VRC01が挙げられる。
【0141】
投与前に、bnAbは、増強された薬物様特性、低減された免疫原性、増強されたADCC、及び好適な薬物動態特性を有するように改善され得る。かかる抗体は、ビリオン又は感染細胞の表面上に発現されたHIVエンベロープ糖タンパク質に結合し、ウイルスの直接的な中和、並びにこれらの細胞の強力なNK、単球、及びPBMC殺傷の両方を媒介することが示された。この特性により、抗体は、ウイルスを中和することによってHIV感染症を治療することを可能にし、また、感染した個体内の潜在HIV感染細胞を殺傷して排除することが可能になり、場合によりHIVの滅菌治癒につながる。
【0142】
種々の実施形態では、抗HIV抗体療法の組合せで投与される全ての抗体は、上述のように、血清半減期を増加させる及び/又はエフェクタ活性を増強する、Fc及び/又は翻訳後修飾を有することができる。
【0143】
種々の実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメント、及び任意に組み合わされたbnAbは、インビボで送達することができ、例えば、投与されたmRNA又は遺伝子操作されたB細胞からインビボで発現させることができる。インビボで送達されるbnAbの例としては、以下が挙げられる:AAV8-VRC07;抗HIV抗体VRC01をコードするmRNA;及び、3BNC117をコードする遺伝子操作されたB細胞(Hartwegerら、「J.Exp.Med.」2019年、第1301号)。
【0144】
5.他の抗HIV治療剤との併用療法
ある特定の実施形態では、感染症を有する又は感染症を有するリスクがあるヒトにおけるHIV感染症を治療又は予防するための方法が提供され、この方法は、治療有効量の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントを、本明細書に開示されるように、治療有効量の1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、1つ若しくは2つ、又は1つ~3つ)の追加の治療剤と組み合わせて、ヒトに投与することを含む。一実施形態では、感染症を有する又は感染症を有するリスクがあるヒトにおけるHIV感染症を治療するための方法が提供され、この方法は、治療有効量の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントを、本明細書に開示されるように、治療有効量の1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、1つ若しくは2つ、又は1つ~3つ)の追加の治療剤と組み合わせて、ヒトに投与することを含む。
【0145】
一実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントを含む医薬組成物は、本明細書に開示されるように、1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、1つ若しくは2つ、又は1つ~3つ)の追加の治療剤、並びに薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と、組み合わせて提供される。
【0146】
ある特定の実施形態では、HIV感染症を治療するための方法が提供され、この方法は、HIV感染症の治療を必要とする患者に、治療有効量の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントを、本明細書に記載されるように、HIV感染症を治療するのに好適である治療有効量の1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて、投与することを含む。
【0147】
ある特定の実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の追加の治療剤と組み合わされる。ある特定の実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、2つの追加の治療剤と組み合わされる。他の実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、3つの追加の治療剤と組み合わされる。更なる実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、4つの追加の治療剤と組み合わされる。1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の追加の治療剤は、同じクラスの治療剤(例えば、1つ以上の抗HIV広域中和抗体)から選択される異なる治療剤であってもよく、及び/又は追加の治療剤は、異なるクラスの治療剤から選択してもよい。
【0148】
HIV併用療法の投与
ある特定の実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、本明細書に記載のように、1つ又は2つの追加の治療剤と共投与される。1つ以上の追加の治療剤と本明細書に開示される抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントとの共投与は、概して、本明細書に開示される抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントの同時又は連続した投与を指し、したがって、本明細書に開示される治療有効量の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメント及び1つ以上の追加の治療剤は、両方とも患者の体内に存在する。連続して投与される場合、組合せは、2回以上の投与で投与されてもよい。
【0149】
共投与は、1つ以上の追加の治療剤の単位投薬量の投与前又は投与後に、本明細書に記載されるように、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントの並行投与及び単位投薬量の投与を含む。例えば、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、本明細書に記載されるように1つ以上の追加の治療剤の投与の、数秒、数分、数時間、又は数日以内に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントの単位用量を最初に投与し、続いて数秒、数分、数時間、又は数日以内に1つ以上の追加の治療剤の単位用量を投与する。あるいは、1つ以上の追加の治療剤の単位用量を最初に投与し、続いて、本明細書に開示される抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントの単位用量を、数秒、数分、数時間、又は数日数以内に投与する。他の実施形態では、本明細書に開示される抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントの単位用量、を最初に投与し、続いて、1つ以上の追加の治療剤の単位用量を、一定の時間(例えば、1~12時間、1~24時間、1~36時間、1~48時間、1~60時間、1~72時間)後に投与する。更に他の実施形態では、1つ以上の追加の治療剤の単位用量を最初に投与し、続いて、本明細書に開示される抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントの単位用量を、一定の時間(例えば、1~12時間、1~24時間、1~36時間、1~48時間、1~60時間、1~72時間)後に投与する。
【0150】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、例えば、経口、静脈内、筋肉内、又は皮下投与用の、固体、液体、又は懸濁液形態として、患者に同時投与するための一体型剤形で、1つ以上の追加の治療剤と組み合わされる。
【0151】
ある特定の実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、HIVを治療するのに有用な1つ以上の他の化合物を任意に含有し得る、液体溶液又は懸濁液として製剤化される。ある特定の実施形態では、液体溶液又は懸濁液は、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド又は非ヌクレオチド阻害剤、逆転写酵素のHIVヌクレオシド又はヌクレオチド阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV非触媒性部位(又はアロステリック)インテグラーゼ阻害剤、薬物動態増強剤、及びこれらの組合せといった、HIVを治療するための別の活性成分を含有することができる。
【0152】
ある特定の実施形態では、そのような液体溶液又は懸濁液は、1日1回、毎週1回(すなわち、QW)、隔週1回(すなわち、1週間おきに1回、又は2週間に1回、又はQ2W)、毎月1回(すなわち、QM)、又は隔月1回(すなわち、1ヶ月に1回、又は2ヶ月に1回、又はQ2M)の投与又は投与間隔に適している。いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、1日に1回、週に1回(すなわち、QW)、隔週に1回(すなわち、1週間おきに1回、又は2週間に1回、又はQ2W)、毎月1回(すなわち、QM)、隔月1回投与(すなわち、1ヶ月に1回、又は2ヶ月に1回、又はQ2M)、3ヶ月に1回(すなわち、Q3M)、4ヶ月に1回(すなわち、Q4M)投与される。
【0153】
HIV併用療法
上記の実施形態では、追加の治療剤は、抗HIV剤であってもよい。HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド又は非ヌクレオチド阻害剤、逆転写酵素のHIVヌクレオシド又はヌクレオチド阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV非触媒性部位(又はアロステリック)インテグラーゼ阻害剤、HIV侵入阻害剤、HIV成熟阻害剤、HIVカプシド阻害剤、HIV Tat又はRev阻害剤、免疫調節剤(例えば、免疫刺激因子)、免疫療法剤、免疫調節剤、免疫療法剤、抗体薬物コンジュゲート、遺伝子修飾剤、遺伝子編集剤(gene editor)(例えば、CRISPR/Cas9、ジンクフィンガヌクレアーゼ、ホーミングヌクレアーゼ、合成ヌクレアーゼ(synthetic nuclease)、TALEN)、細胞治療(キメラ抗原受容体T細胞、CAR-T、及び遺伝子操
作T細胞受容体、TCR-T、自家T細胞治療など)、潜在反転剤(latency reversing
agent)、HIVカプシドを標的とする化合物、免疫に基づく療法、ホスファチジルイ
ノシトール3-キナーゼ(PI3K)阻害剤、HIV抗体、二重特異性抗体及び「抗体様」治療タンパク質、HIV p17マトリックスタンパク質阻害剤、IL-13アンタゴニスト、ペプチジル-プロリルシス-トランスイソメラーゼA修飾因子(モジュレーター)、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ阻害剤、補体C5a受容体アンタゴニスト、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、脂肪酸合成酵素阻害剤、HIV vif遺伝子修飾因子、Vif二量体化アンタゴニスト、HIV-1ウイルス感染性因子阻害剤、TATタンパク質阻害剤、HIV-1 Nef修飾因子(例えば、Nef阻害剤)、Hckチロシンキナーゼ修飾因子、混合系統キナーゼ-3(MLK-3)阻害剤、HIV-1スプライシング阻害剤、Revタンパク質阻害剤、インテグリンアンタゴニスト、ヌクレオタンパク質阻害剤、スプライシング因子修飾因子、COMMドメイン含有タンパク質1修飾因子、HIVリボヌクレアーゼH阻害剤、レトロサイクリン修飾因子、CDK-4阻害剤、CDK-6阻害剤、CDK-9阻害剤、樹状ICAM-3結合ノンインテグリン1阻害剤、HIV GAGタンパク質阻害剤、HIV POLタンパク質阻害剤、相補因子H修飾因子、ユビキチンリガーゼ阻害剤、デオキシシチジンキナーゼ阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、プロタンパク質転換酵素PC9刺激因子、ATP依存性RNAヘリカーゼDDX3X阻害剤、逆転写酵素プライミング複合体阻害剤、G6PD及びNADH-オキシダーゼ阻害剤、mTOR複合体1阻害剤、mTOR複合体2阻害剤、P-糖タンパク質修飾因子、tatタンパク質阻害剤、プロリルエンドペプチダーゼ阻害剤、ホスホリパーゼA2阻害剤、薬物動態増強剤、HIV遺伝子療法、TNFαリガンド阻害剤、IFNアンタゴニスト、HIVワクチン、及びこれらの組合せ。
【0154】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、HIVのための組合せ薬物、HIVを治療するための他の薬物、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIV逆転写酵素阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV非触媒性部位(又はアロステリック)インテラーゼ阻害剤、HIV侵入(融合)阻害剤、HIV成熟阻害剤、潜在反転剤、HIVカプシド阻害剤、HIV Tat又はRev阻害剤、免疫調節剤(例えば、免疫刺激因子)、免疫療法剤、免疫に基づく療法、PI3K阻害剤、HIV抗体及び二重特異性抗体、並びに「抗体様」治療タンパク質、並びにこれらの組合せからなる群から選択される。
【0155】
HIV組合せ薬物
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の追加の抗HIV治療剤と組み合わされる。組み合わせ可能な例示的抗HIV治療剤薬としては、以下が挙げられるが、これらに限定するものではない:ATRIPLA(登録商標)(エファビレンツ、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、及びエムトリシタビン);COMPLERA(登録商標)(EVIPLERA(登録商標);リルピビリン、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、及びエムトリシタビン);STRIBILD(登録商標)(エルビテグラビル、コビシスタット、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、及びエムトリシタビン);TRUVADA(登録商標)(テノホビルジソプロキシルフマル酸塩及びエムトリシタビン;TDF+FTC);DESCOVY(登録商標)(テノホビルアラフェナミド及びエムトリシタビン);ODEFSEY(登録商標)(テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン、及びリルピビリン);GENVOYA(登録商標)(テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン、コビシスタット、及びエルビテグラビル);BIKTARVY(ビクテグラビル+エムトリシタビン+テノホビルアラフェナミド)、アデホビル;アデホビルジピボキシル;コビシスタット;エムトリシタビン;テノホビル;テノホビルアラフェナミド及びエルビテグラビル;テノホビルジソプロキシル;テノホビルジソプロキシルフマル酸塩;テノホビルアラフェナミド;テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩;TRIUMEQ(登録商標)(ドルテグラビル、アバカビル、及びラミブジン);ドルテグラビル、アバカビル硫酸塩、及びラミブジン;ラルテグラビル;PEG化ラルテグラビル;ラルテグラビル及びラミブジン;マラビロク;テノホビル+エムトリシタビン+マラビロク、エンフビルチド;ALUVIA(登録商標)(KALETRA(登録商標);ロピナビル及びリトナビル);COMBIVIR(登録商標)(ジドブジン及びラミブジン;AZT+3TC);EPZICOM(登録商標)(LIVEXA(登録商標);アバカビル硫酸塩及びラミブジン;ABC+3TC);TRIZIVIR(登録商標)(アバカビル硫酸塩、ジドブジン、及びラミブジン;ABC+AZT+3TC);アタザナビル及びコビシスタット;アタザナビル硫酸塩及びコビシスタット;アタザナビル硫酸塩及びリトナビル;ダルナビル;ダルナビル及びコビシスタット;ドルテグラビル及びリルピビリン;ドルテグラビル及びリルピビリン塩酸塩;ドルテグラビル、アバカビル硫酸塩、及びラミブジン;ラミブジン、ネビラピン、及びジドブジン;ラルテグラビル及びラミブジン;ドラビリン、ラミブジン、及びテノホビルジソプロキシルフマル酸塩;ドラビリン、ラミブジン、及びテノホビルジソプロキシル;ドルテグラビル+ラミブジン、ラミブジン+アバカビル+ジドブジン、ラミブジン+アバカビル、ラミブジン+テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、ラミブジン+ジドブジン+ネビラピン、ロピナビル+リトナビル、ロピナビル+リトナビル+アバカビル+ラミブジン、ロピナビル+リトナビル+ジドブジン+ラミブジン、テノホビル+ラミブジン、並びにテノホビルジソプロキシルフマル酸塩+エムトリシタビン+リルピビリン塩酸塩、ロピナビル、リトナビル、ジドブジン、及びラミブジン;カボテグラビル+リルピビリン;elpida(エルスルファビリン(elsulfavirine);VM-1500;VM-1500A);リルピビリン;リルピビ
リン塩酸塩;アタザナビル硫酸塩及びコビシスタット;アタザナビル及びコビシスタット;ダルナビル及びコビシスタット;アタザナビル;アタザナビル硫酸塩;ドルテグラビル;エルビテグラビル;リトナビル;アタザナビル硫酸塩及びリトナビル;ダルナビル;ラミブジン;プロラスチン;ホスアンプレナビル;ホスアンプレナビルカルシウムエファビレンツ(fosamprenavir calcium efavirenz);エファビレンツ、ラミブジン、及びエ
ムトリシタビン;エトラビリン;ネルフィナビル;ネルフィナビルメシル酸塩;インターフェロン;ジダノシン;スタブジン;インジナビル;インジナビル硫酸塩;テノホビル及びラミブジン;ジドブジン;ネビラピン;サキナビル;サキナビルメシル酸塩;アルデスロイキン;ザルシタビン;チプラナビル;アンプレナビル;デラビルジン;デラビルジンメシル酸塩;Radha-108(レセプトール(receptol));ラミブジン及びテノホビルジソプロキシルフマル酸塩;エファビレンツ、ラミブジン、及びテノホビルジソプロキシルフマル酸塩;フォスファジド;ラミブジン、ネビラピン、及びジドブジン;アバカビル、及びアバカビル硫酸塩。
【0156】
他のHIV薬物
[04]本開示の薬剤と組み合わせることができるHIVを治療するための他の薬物の例としては、アスペルニグリンC、アセマンナン、アリスポリビル、BanLec、デフェリプロン、Gamimune、メトエンケファリン、ナルトレキソン、プロラスチン、REP9、RPI-MN、VSSP、H1ウイルス性、SB-728-T、1,5-ジカフェオイルキナ酸、rHIV7-shl-TAR-CCR5RZ、AAV-eCD4-Ig遺伝子療法、MazF遺伝子療法、BlockAide、ベビリマット誘導体、ABX-464、AG-1105、APH-0812、ブリオスタチン類似体、BIT-225、CYT-107、CS-TATI-1、フルオロ-β-D-アラビノース核酸(FANA)-修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド、FX-101、グリフィフィスシン、HGTV-43、HPH-116、HS-10234、ヒドロキシクロロキン、IMB-10035、IMO-3100、IND-02、JL-18008、LADAVRU、MK-1376、MK-2048、MK-4250、MK-8507、MK-8558、MK-8591(イスラトラビル)、NOV-205、OB-002H、ODE-Bn-TFV、M1-TFV、PA-1050040(PA-040)、PC-707、PGN-007、QF-036、S-648414、SCY-635、SB-9200、SCB-719、TR-452、TEV-90110、TEV-90112、TEV-90111、TEV-90113、RN-18、DIACC-1010、Fasnall、Immuglo、2-CLIPSペプチド、HRF-4467、トロンボスポンジン類似体、TBL-1004HI、VG-1177、xl-081、rfhSP-D、[18F]-MC-225、URMC-099-C、RES-529、及びVIR-576が挙げられる。
【0157】
HIVプロテアーゼ阻害剤
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、HIVプロテアーゼ阻害剤と組み合わされる。HIVプロテアーゼ阻害剤の例としては、アンプレナビル、アタザナビル、ブレカナビル、ダルナビル、ホスアンプレナビル、ホスアンプレナビルカルシウム、インジナビル、インジナビル硫酸塩、ロピナビル、ネルフィナビル、ネルフィナビルメシル酸塩、リトナビル、サキナビル、サキナビルメシル酸塩、チプラナビル、AEBL-2、DG-17、GS-1156、TMB-657(PPL-100)、T-169、BL-008、MK-8122、TMB-607、GRL-02031、及びTMC-310911が挙げられる。
【0158】
HIVリボヌクレアーゼH阻害剤
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、HIVリボヌクレアーゼH阻害剤と組み合わされる。組み合わせ可能なHIVリボヌクレアーゼH阻害剤の例としては、NSC-727447が挙げられ得る。
【0159】
HIV Nef阻害剤
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、HIV Nef阻害剤と組み合わされる。組み合わせ可能なHIV Nef阻害剤の例としては、FP-1が挙げられる。
【0160】
HIV逆転写酵素阻害剤
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、非ヌクレオシド又は非ヌクレオチド阻害剤と組み合わされる。逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド又は非ヌクレオチド阻害剤の例としては、ダピビリン、デラビルジン、デラビルジンメシル酸塩、ドラビリン、エファビレンツ、エトラビリン、レンチナン、ネビラピン、リルピビリン、ACC-007、ACC-008、AIC-292、F-18、KM-023、PC-1005、VM-1500A-LAI、PF-3450074、Elsulfavirine(徐放性経口、HIV感染症)、Elsulfavirine(長時間作用性注射可能ナノ懸濁液、HIV感染症)、及びElsulfavirine(VM-1500)が挙げられる。
【0161】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、HIVヌクレオシド又はヌクレオチド阻害剤と組み合わされる。逆転写酵素のHIVヌクレオシド又はヌクレオチド阻害剤の例としては、アデホビル、アデホビルジピボキシル、アズブジン、エムトリシタビン、テノホビル、テノホビルアラフェナミド、テノホビルアラフェナミドフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩、テノホビルジソプロキシル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルオクタデシルオキシエチルエステル(AGX-1009)、テノホビルジソプロキシルヘミフマル酸塩、VIDEX(登録商標)及びVIDEXEC(登録商標)(ジダノシン、ddl)、アバカビル、アバカビル硫酸塩、アロブジン、アプリシタビン、センサブジン、ジダノシン、エルブシタビン、フェスチナビル、フォサルブジンチドキシル、CMX-157、ダピビリン、ドラビリン、エトラビリン、OCR-5753、テノホビルジソプロキシルオロト酸塩、フォジブジンチドキシル、ラミブジン、フォスファジド、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、ロバホビルエタラフェナミド(GS-9131)、GS-9148、MK-8504、MK-8591、MK-858、VM-2500、及びKP-1461が挙げられる。
【0162】
HIVインテグラーゼ阻害剤
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、HIVインテグラーゼ阻害剤と組み合わされる。HIVインテグラーゼ阻害剤の例としては、エルビテグラビル、エルビテグラビル(持続放出性マイクロカプセル)、クルクミン、クルクミン誘導体、チコリ酸、チコリ酸誘導体、3,5-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸の誘導体、アウリントリカルボン酸、アウリントリカルボン酸誘導体、コーヒー酸フェネチルエステル、コーヒー酸フェネチルエステル誘導体、チロホスチン、チロホスチン誘導体、ケルセチン、ケルセチン誘導体、ラルテグラビル、PEG化ラルテグラビル、ドルテグラビル、JTK-351、ビクテグラビル、AVX-15567、カボテグラビル(長時間作用性注射液)、ジケトキノリン4-1誘導体、インテグラーゼ-LEDGF阻害剤、ledgins、M-522、M-532、MK-0536、NSC-310217、NSC-371056、NSC-48240、NSC-642710、NSC-699171、NSC-699172、NSC-699173、NSC-699174、スチルベンジスルホン酸、T-169、STP-0404、VM-3500、及びカボテグラビルが挙げられる。
【0163】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、HIV非触媒性部位、又はアロステリックなインテグラーゼ阻害剤(NCINI)と組み合わされる。HIV非触媒性部位、又はアロステリックなインテグラーゼ阻害剤(NCINI)の例としては、CX-05045、CX-05168、及びCX-14442が挙げられる。
【0164】
HIV侵入阻害剤
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、HIV侵入阻害剤と組み合わされる。HIV侵入(融合)阻害剤の例としては、AAR-501、LBT-5001、セニクリビロック、CCR5阻害剤、gp41阻害剤、CD4接着阻害剤、gp120阻害剤、gp160阻害剤、及びCXCR4阻害剤が挙げられる。
【0165】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、CCR5阻害剤と組み合わされる。CCR5阻害剤の例としては、アプラビロック、ビクリビロック、マラビロク、マラビロク(長時間作用性注入可能ナノエマルション)、セニクリビロック、レロンリマブ(PRO-140)、アダプタビル(RAP-101)、ニフェビロック(TD-0232)、抗gp120/CD4又はCCR5二重特異性抗体、B-07、MB-66、ポリペプチドC25P、TD-0680、チオラビロク(thioraviroc)、及びvMIP(Haimipu)が
挙げられる。
【0166】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、CXCR4阻害剤と組み合わされる。CXCR4阻害剤の例としては、プレリキサホル、ALT-1188、N15ペプチド、及びvMIP(Haimipu)が挙げられる。
【0167】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、gp41阻害剤と組み合わされる。gp41阻害剤の例としては、アルブビルジド(albuvirtide)、エンフビルチド、グリフィフィス
シン(gp41/gp120/gp160阻害剤)、BMS-986197、エンフビルチドバイオベター、エンフビルチドバイオシミラー、HIV-1融合阻害剤(P26-Bapc)、ITV-1、ITV-2、ITV-3、ITV-4、CPT-31、Cl3hmAb、PIE-12三量体、及びシフビルチドが挙げられる。
【0168】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、CD4接着阻害剤と組み合わされる。CD4接着阻害剤の例としては、イバリズマブ及びCADA類似体が挙げられる。
【0169】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、gp120阻害剤と組み合わされる。gp120阻害剤の例としては、抗HIV殺菌剤、Radha-108(レセプト-ル)3B3-PE38、BanLec、ベントナイト系ナノメディシン、ホステムサビルトロメタミン、IQP-0831、VVX-004、及びBMS-663068が挙げられる。
【0170】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、gp160阻害剤と組み合わされる。組み合わせることができるgp160阻害剤の例としては、ファングキノリンが挙げられる。
【0171】
HIV成熟阻害剤
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、HIV成熟阻害剤と組み合わされる。HIV成熟阻害剤の例としては、BMS-955176、GSK-3640254、及びGSK-2838232が挙げられる。
【0172】
潜在反転剤
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、HIV潜在反転剤と組み合わされる。1つ以上の多重特異性抗原結合分子と組み合わせ可能な潜在反転剤の例としては、本明細書に記載のように、以下が挙げられる:IL-15受容体アゴニスト(例えば、ALT-803;インターロイキン-15/Fc融合タンパク質(例えば、XmAb24306);組換えインターロイキン-15(例えば、AM0015、NIZ-985);PEG化IL-15(例えば、NKTR-255));Toll様受容体(TLR)アゴニスト(TLR7アゴニスト、例えばGS-9620及びTLR8アゴニスト、例えばGS-9688を含む)、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、例としてベルケイド、プロテインキナーゼC(PKC)活性化剤、Smyd2阻害剤、BET-ブロモドメイン4(BRD4)阻害剤、イオノマイシン、IAPアンタゴニスト(APG-1387、LBW-242などのアポトーシスタンパク質の阻害剤)、SMAC模倣物(TL32711、LCL161、GDC-0917、HGS1029、AT-406を含む)、Debio-1143、PMA、SAHA(スベラニロヒドロキサム酸、又はスベロイル、アニリド、及びヒドロキサム酸)、NIZ-985、IL-15調節抗体(IL-15、IL-15融合タンパク質、及びIL-15受容体アゴニスト、例えばALT-803を含む)、JQ1、ジスルフィラム、アンホテリシンB、及びユビキチン阻害剤、例えばラルガゾール類似体、APH-0812、及びGSK-343。HDAC阻害剤の例としては、ロミデプシン、ボリノスタット、及びパノビノスタットが挙げられる。PKC活性化剤の例としては、インドラクタム、プロストラチン、インゲノールB、及びDAG-ラクトンが挙げられる。
【0173】
Toll様受容体(TLR)アゴニスト
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、Toll様受容体(TLR)のアゴニスト、例えば、TLR1のアゴニスト(NCBI遺伝子番号:7096)、TLR2(NCBI遺伝子番号:7097)、TLR3(NCBI遺伝子番号:7098)、TLR4(NCBI遺伝子番号:7099)、TLR5(NCBI遺伝子番号:7100)、TLR6(NCBI遺伝子番号:10333)、TLR7(NCBI遺伝子番号:51284)、TLR8(NCBI遺伝子番号:51311)、TLR9(NCBI遺伝子番号:54106)、及び/又はTLR10(NCBI遺伝子番号:81793)と組み合わせられる。本明細書中に記載される1つ以上の多重特異性抗原結合分子と共投与又は組み合わせられ得るTLR7アゴニストの例としては、AL-034、DSP-0509、GS-9620(ベサトリモド)、ベサトリモド類似体、LHC-165、TMX-101(イミキモド)、GSK-2245035、レシキモド、DSR-6434、DSP-3025、IMO-4200、MCT-465、MEDI-9197、3M-051、SB-9922、3M-052、Limtop、TMX-30X、TMX-202、RG-7863、RG-7854、RG-7795、並びに米国特許出願公開第20100143301号(Gilead Sciences)、米国特許出願公開第20110098248号(Gilead Sciences)、及び米国特許出願公開第20090047249号(Gilead Sciences)、米国特許出願公開第20140045849号(Janssen)、米国特許出願公開第20140073642号(Janssen)、国際公開第2014/056953号(Janssen)、国際公開第2014/076221号(Janssen)、国際公開第2014/128189号(Janssen)、米国特許出願公開第20140350031号(Janssen)、国際公開第2014/023813号(Janssen)、米国特許出願公開第20080234251号(Array Biopharma)、米国特許出願公開第20080306050号(Array Biopharma)、米国特許出願公開第20100029585号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20110092485号(Ventirx
Pharma)、米国特許出願公開第20110118235号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20120082658号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20120219615号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20140066432号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20140088085号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20140275167号(Novira Therapeutics)、及び米国特許出願公開第20130251673号(Novira Therapeutics)に開示される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。共投与され得るTLR7/TLR8アゴニストは、NKTR-262、テルラトリモド、及びBDB-001である。本明細書中に記載される1つ以上の多重特異性抗原結合分子と共投与又は組み合わせられ得るTLR8アゴニストの例としては、E-6887、IMO-4200、IMO-8400、IMO-9200、MCT-465、MEDI-9197、モトリモド、レシキモド、GS-9688、VTX-1463、VTX-763、3M-051、3M-052、並びに米国特許出願公開第20140045849号(Janssen)、米国特許出願公開第20140073642号(Janssen)、国際公開第2014/056953号(Janssen)、国際公開第2014/076221号(Janssen)、国際公開第2014/128189号(Janssen)、米国特許出願公開第20140350031号(Janssen)、国際公開第2014/023813号(Janssen)、米国特許出願公開第20080234251号(Array Biopharma)、米国特許出願公開第20080306050号(Array Biopharma)、米国特許出願公開第20100029585号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20110092485号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20110118235号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20120082658号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20120219615号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20140066432号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20140088085号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20140275167号(Novira Therapeutics)、及び米国特許出願公開第20130251673号(Novira Therapeutics)に開示される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。共投与され得るTLR9アゴニストの例としては、AST-008、コビトリモド、CMP-001、IMO-2055、IMO-2125、リテニモド、MGN-1601、BB-001、BB-006、IMO-3100、IMO-8400、IR-103、IMO-9200、アガトリモド、DIMS-9054、DV-1079、DV-1179、AZD-1419、レフィトリモド(MGN-1703)、CYT-003、CYT-003-QbG10、チルソトリモド、及びPUL-042が挙げられるが、これらに限定されない。TLR3アゴニストの例としては、リンタトリモド、ポリ-ICLC、RIBOXXON(登録商標)、Apoxxim、RIBOXXIM(登録商標)、IPH-33、MCT-465、MCT-475、及びND-1.1が挙げられる。TLR4アゴニストの例としては、G-100及びGSK-1795091が挙げられる。
【0174】
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、ヒストンデアセチラーゼの阻害剤、例えば、ヒストンデアセチラーゼ1、ヒストンデアセチラーゼ9(HDAC9、HD7、HD7b、HD9、HDAC、HDAC7、HDAC7B、HDAC9B、HDAC9FL、HDRP、MITR;遺伝子番号9734)と組み合わせられる。HDAC阻害剤の例としては、アベキシノスタット、ACY-241、AR-42、BEBT-908、ベリノスタット、CKD-581、CS-055(HBI-8000)、CT-101、CUDC-907(フィメピノスタット)、エンチノスタット、ジビノスタット、モセチノスタット、パノビノスタット、プラシノスタット、キシノスタット(JNJ-26481585)、レスミノスタット、リコリノスタット、ロミデプシン、SHP-141、TMB-ADC、バルプロ酸(VAL-001)、ボリノスタット、チノスタムスチン、レメチノスタット、及びエンチノスタットが挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
サイクリン依存性キナーゼ(Cyclin-Dependent Kinase:CDK)阻害剤又はアンタゴニスト
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)の阻害剤又はアンタゴニスト、例えば、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4);NCBI遺伝子番号1019)、サイクリン依存性キナーゼ6(CDK6;NCBI遺伝子番号1021)、サイクリン依存性キナーゼ9(CDK9;NCBI遺伝子番号1025)と組み合わされる。いくつかの実施形態では、CDK4/CDK6/CDK9阻害剤又はアンタゴニストは、VS2~370からなる群から選択される。
【0176】
インターフェロン遺伝子刺激因子(Stimulator of Interferon Gene:STING)アゴニスト
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)と組み合わされる。いくつかの実施形態では、STING受容体アゴニスト又は活性化剤は、ADU-S100(MIW-815)、SB-11285、MK-1454、SR-8291、AdVCA0848、GSK-532、SYN-STING、MSA-1、SR-8291、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、サイクリック-GAMP(cGAMP)、及びサイクリック-ジ-AMPからなる群から選択される。
【0177】
RIG-Iアゴニスト
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、DExD/H-ボックスヘリカーゼ58(DDX58;別名、RIG-I、RIG1、RIGI、RLR-1、SGMRT2;NCBI遺伝子番号23586)のアゴニストと組み合わされる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の薬剤は、RGT-100などのRIG-I修飾因子、又はSB-9200などのNOD2修飾因子(別名、GS9992;イナリジビル)、及びIR-103と組み合わされる。例示的なRG-Iアゴニストは、Hemannら、「J Immunol」5月1日(2016年)第196巻(1号付録)第76.1頁に記載のKIN1148である。追加のRIG-Iアゴニストは、例えば、Elionら、「Cancer Res.」(2018年)第78巻(第21号):第6183~6195頁;及び、Liuら、「J Virol.」(2016)90(20):第9406~19頁に記載されている。RIG-Iアゴニストは、例えば、Invivogen(invivogen.com)から市販されている。
【0178】
LAG-3及びTIM-3阻害剤
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、抗TIM-3(別名、A型肝炎ウイルス細胞受容体2抗体(HAVCR2;NCBI遺伝子番号84868)、例えば、TSR-022、LY-3321367、MBG-453、INCAGN-2390と組み合わされる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、抗LAG-3(リンパ球活性化)(NCBI遺伝子番号3902)抗体、例えばレラトリマブ(ONO-4482)、LAG-525、MK-4280、REGN-3767、INCAGN2385と組み合わされる。
【0179】
カプシド阻害剤
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、カプシド阻害剤と組み合わされる。本開示の薬剤と組み合わせることができるカプシド阻害剤の例としては、カプシド重合阻害剤又はカプシド破壊化合物、HIVヌクレオカプシドp7(NCp7)阻害剤、例えば、アゾジカルボナミド、HIV p24カプシドタンパク質阻害剤、GS-6207、GS-CA1、AVI-621、AVI-101、AVI-201、AVI-301、及びAVI-CAN1-15シリーズ、PF-3450074など、並びに国際特許公開第2019/087016号に記載の化合物が挙げられる。
【0180】
免疫に基づく療法
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、免疫に基づく療法と組み合わされる。免疫に基づく療法の例としては、以下が挙げられる:Toll様受容体(TLR)修飾因子、例えば、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12、及びTLR13;プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)修飾因子;プログラム死リガンド1(PD-L1)修飾因子;IL-15修飾因子(例えば、IL-15受容体アゴニスト(例えば、ALT-803;インターロイキン-15/Fc融合タンパク質(例えば、XmAb24306);組換えインターロイキン-15(例えば、AM0015、NIZ-985);PEG化IL-15(例えば、NKTR-255));DermaVir;インターロイキン-7;プラケニル(ヒドロキシクロロキン);プロリュウキン(アルデスロイキン、IL-2);インターフェロンα;インターフェロンα-2b;インターフェロンα-n3;PEG化インターフェロンα;インターフェロンγ;ヒドロキシウレア;ミコフェノール酸モフェチル(MPA)及びそのエステル誘導体ミコフェノール酸モフェチル(MMF);リバビリン;ポリマーポリエチレンイミン(PEI);ゲポン(gepon);IL-12;WF-10;VGV-1;MOR-22;BMS-936559;CYT-107、ノルムフェロン、ペグインターフェロンα-2a、ペグインターフェロンα-2b、RPI-MN、STING修飾因子、RIG-I修飾因子、NOD2修飾因子、SB-9200、及びIR-103。
【0181】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、TLRアゴニストと組み合わされる。TLRアゴニストの例としては、ベサトリモド(GS-9620)、レフィトリモド、チルソトリモド、リンタトリモド、DSP-0509、AL-034、G-100、コビトリモド、AST-008、モトリモド、GSK-1795091、GSK-2245035、VTX-1463、GS-9688、LHC-165、BDB-001、RG-7854、テルラトリモド(telratolimod)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0182】
免疫チェックポイント受容体タンパク質修飾因子
種々の実施形態では、本明細書に記載される抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、阻害性免疫チェックポイントタンパク質若しくは受容体の1つ以上の遮断剤又は阻害剤と、及び/又は1つ以上の刺激性免疫チェックポイントタンパク質若しくは受容体の1つ以上の刺激因子、活性化剤、又はアゴニストと、組み合わされる。阻害性免疫チェックポイントの遮断又は阻害は、T細胞又はNK細胞活性化を積極的に調節し、感染細胞の免疫逃避を防止することができる。刺激性免疫チェックポイントの活性化又は刺激は、感染症治療における免疫チェックポイント阻害剤の効果を増強することができる。種々の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質又は受容体は、T細胞応答を調節する(例えば、Xuら、「J Exp Clin Cancer Res.」(2018年)第37巻:第110頁)。種々の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質又は受容体は、NK細胞応答を調節する(例えば、Davisら、「Semin Immunol.」(2017年)第31巻:第64~75頁、及びChiossoneら、「Nat Rev Immunol.」(2018年)第18巻(第11号):第671~688頁に概説されている)。
【0183】
本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントと組み合わせることができる免疫チェックポイントタンパク質又は受容体の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:CD27、CD70;CD40、CD40LG;CD47、CD48(SLAMF2)、膜貫通ドメイン及び免疫グロブリンドメイン含有2(TMIGD2、CD28H)、CD84(LY9B、SLAMF5)、CD96、CD160、MS4A1(CD20)、CD244(SLAMF4);CD276(B7H3);Vセットドメイン含有T細胞活性化阻害剤(1(VTCN1、B7H4);Vセット免疫調節性受容体(VSIR、B7H5、VISTA);免疫グロブリンスーパーファミリメンバ11(IGSF11、VSIG3);ナチュラルキラー細胞傷害性受容体3リガンド1(NCR3LG1、B7H6);HERV-H LTR関連2(HHLA2、B7H7);誘導性T細胞共刺激因子(ICOS、CD278);誘導性T細胞共刺激因子リガンド(ICOSLG、B7H2);TNF受容体スーパーファミリメンバ4(TNFRSF4、OX40);TNFスーパーファミリメンバ4(TNFSF4、OX40L);TNFRSF8(CD30)、TNFSF8(CD30L);TNFRSF10A(CD261、DR4、TRAILR1)、TNFRSF9(CD137)、TNFSF9(CD137L);TNFRSF10B(CD262、DR5、TRAILR2)、TNFRSF10(TRAIL);TNFRSF14(HVEM、CD270)、TNFSF14(HVEML);CD272(B及びTリンパ球関連(B and T lymphocyte associated(BTLA));TNFRSF17(BCMA、CD269)、TN
FSF13B(BAFF);TNFRSF18(GITR)、TNFSF18(GITRL);MHCクラスIポリペプチド関連配列A(MHC class I polypeptide-related sequence A(MICA));MHCクラスIポリペプチド関連配列B(MHC class I polypeptide-related sequence B(MICB));CD274(CD274、PDL1、PD-L1);プログラム細胞死1(PDCD1、PD1、PD-1);細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4、CD152);CD80(B7-1)、CD28;ネクチン細胞接着分子2(NECTIN2、CD112);CD226(DNAM-1);ポリオウイルス受容体(Poliovirus receptor:PVR)細胞接着分子(PVR、CD155);PVR関連免疫グロブリンドメイン含有(PVRIG、CD112R);Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT);T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有4(TIMD4;TIM4);A型肝炎ウイルス細胞受容体2(HAVCR2、TIMD3、TIM3);ガレクチン9(LGALS9);リンパ球活性化3(LAG3、CD223);シグナル伝達リンパ球活性化分子ファミリメンバ1(SLAMF1、SLAM、CD150);リンパ球抗原9(LY9、CD229、SLAMF3);SLAMファミリメンバ6(SLAMF6、CD352);SLAMファミリメンバ7(SLAMF7、CD319);UL16結合タンパク質1(ULBP1);UL16結合タンパク質2(ULBP2);UL16結合タンパク質3(ULBP3);レチノイン酸初期転写物1E(RAET1E;ULBP4);レチノイン酸初期転写物1G(RAET1G;ULBP5);レチノイン酸初期転写物1L(RAET1L;ULBP6);リンパ球活性化3(CD223);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメイン、及び長い細胞質側末端1(KIR、CD158E1);キラー細胞レクチン様受容体C1(KLRC1、NKG2A、CD159A);キラー細胞レクチン様受容体K1(KLRK1、NKG2D、CD314);キラー細胞レクチン様受容体C2(KLRC2、CD159c、NKG2C);キラー細胞レクチン様受容体C3(KLRC3、NKG2E);キラー細胞レクチン様受容体C4(KLRC4、NKG2F);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメイン、及び長い細胞質側末端1(KIR2DL1);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメイン、及び長い細胞質側末端2(KIR2DL2);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメイン、及び長い細胞質側末端3(KIR2DL3);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメイン、及び長い細胞質側末端1(KIR3DL1);キラー細胞レクチン様受容体D1(KLRD1);及び、SLAMファミリメンバ7(SLAMF7)。
【0184】
種々の実施形態では、本明細書に記載される抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、1つ以上のT細胞阻害性免疫チェックポイントタンパク質又は受容体の1つ以上の遮断剤又は阻害剤と組み合わされる。例示的なT細胞阻害性免疫チェックポイントタンパク質又は受容体としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:CD274(CD274、PDL1、PD-L1);プログラム細胞死1リガンド2(PDCD1LG2、PD-L2、CD273);プログラム細胞死1(PDCD1、PD1、PD-1);細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4、CD152);CD276(B7H3);Vセットドメイン含有T細胞活性化阻害剤(1(VTCN1、B7H4);Vセット免疫調節性受容体(VSIR、B7H5、VISTA);免疫グロブリンスーパーファミリメンバ11(IGSF11、VSIG3);TNFRSF14(HVEM、CD270)、TNFSF14(HVEML);CD272(B及びTリンパ球関連(BTLA));PVR関連免疫グロブリンドメイン含有(PVRIG、CD112R);Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT);リンパ球活性化3(LAG3、CD223);A型肝炎ウイルス細胞受容体2(HAVCR2、TIMD3、TIM3);ガレクチン9(LGALS9);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメイン、及び長い細胞質側末端1(KIR、CD158E1);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメイン、及び長い細胞質側末端1(KIR2DL1);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメイン、及び長い細胞質側末端2(KIR2DL2);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメイン、及び長い細胞質側末端3(KIR2DL3);並びに、キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメイン、及び長い細胞質側末端1(KIR3DL1)。種々の実施形態では、本明細書に記載される抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、1つ以上のT細胞刺激性免疫チェックポイントタンパク質又は受容体の1つ以上のアゴニスト又は活性化剤と組み合わされる。例示的なT細胞刺激性免疫チェックポイントタンパク質又は受容体としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:CD27、CD70;CD40、CD40LG;誘導性T細胞共刺激因子(ICOS、CD278);誘導性T細胞共刺激因子リガンド(ICOSLG、B7H2);TNF受容体スーパーファミリメンバ4(TNFRSF4、OX40);TNFスーパーファミリメンバ4(TNFSF4、OX40L);TNFRSF9(CD137)、TNFSF9(CD137L);TNFRSF18(GITR)、TNFSF18(GITRL);CD80(B7-1)、CD28;ネクチン細胞接着分子2(NECTIN2、CD112);CD226(DNAM-1);CD244(2B4、SLAMF4)、ポリオウイルス受容体(PVR)細胞接着分子(PVR、CD155)。例えば、Xuら、「J Exp Clin Cancer Res.」(2018年)第37巻:第110頁を参照されたい。
【0185】
種々の実施形態では、本明細書に記載される抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、1つ以上のNK細胞阻害性免疫チェックポイントタンパク質又は受容体の1つ以上の遮断剤又は阻害剤と組み合わされる。例示的なNK細胞阻害性免疫チェックポイントタンパク質又は受容体としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメイン、及び長い細胞質側末端1(KIR、CD158E1);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメイン、及び長い細胞質側末端1(KIR2DL1);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメイン、及び長い細胞質側末端2(KIR2DL2);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメイン、及び長い細胞質側末端3(KIR2DL3);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメイン、及び長い細胞質側末端1(KIR3DL1);キラー細胞レクチン様受容体C1(KLRC1、NKG2A、CD159A);及び、キラー細胞レクチン様受容体D1(KLRD1、CD94)。種々の実施形態では、本明細書に記載される抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、1つ以上のNK細胞刺激性免疫チェックポイントタンパク質又は受容体の1つ以上のアゴニスト又は活性化剤と組み合わされる。例示的なNK細胞刺激性免疫チェックポイントタンパク質又は受容体としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:CD16、CD226(DNAM-1);CD244(2B4、SLAMF4);キラー細胞レクチン様受容体K1(KLRK1、NKG2D、CD314);SLAMファミリメンバ7(SLAMF7)。例えば、Davisら、「Semin Immunol.」(2017年)第31巻:第64~第75頁;Fangら、「Semin Immunol.」(2017年)第31巻:第37~54頁、及びChiossoneら、「Nat Rev Immunol.」(2018)18(11):第671~688頁を参照されたい。
【0186】
いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1(CD274)、PD-1(PDCD1)、又はCTLA4のタンパク質性(例えば、抗体若しくはそのフラグメント、又は抗体ミメティック)阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1(CD274)、PD-1(PDCD1)、又はCTLA4の小有機分子阻害剤を含む。
【0187】
共投与され得るCTLA4の阻害剤の例としては、イピリムマブ、トレメリムマブ、BMS-986218、AGEN1181、AGEN1884、BMS-986249、MK-1308、REGN-4659、ADU-1604、CS-1002、BCD-145、APL-509、JS-007、BA-3071、ONC-392、AGEN-2041、JHL-1155、KN-044、CG-0161、ATOR-1144、PBI-5D3H5、BPI-002、並びに多重特異性阻害剤FPT-155(CTLA4/PD-L1/CD28)、PF-06936308(PD-1/CTLA4)、MGD-019(PD-1/CTLA4)、KN-046(PD-1/CTLA4)、MEDI-5752(CTLA4/PD-1)、XmAb-20717(PD-1/CTLA4)、及びAK-104(CTLA4/PD-1)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0188】
共投与され得るPD-L1(CD274)又はPD-1(PDCD1)の阻害剤の例としては、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、ピジリズマブ、AMP-224、MEDI0680(AMP-514)、スパルタリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、BMS-936559、CK-301、PF-06801591、BGB-A317(チスレリズマブ)、GLS-010(WBP-3055)、AK-103(HX-008)、AK-105、CS-1003、HLX-10、MGA-012、BI-754091、AGEN-2034、JS-001(トリパリマブ)、JNJ-63723283、ジェノリムズマブ(Genolimzumab)(CBT-501)、LZM-009、BCD-100、LY-3300054、SHR-1201、SHR-1210(カムレリズマブ)、Sym-021、ABBV-181(ブディジャリマブ)、PD1-PIK、BAT-1306、(MSB0010718C)、CX-072、CBT-502、TSR-042(ドスタルリマブ)、MSB-2311、JTX-4014、BGB-A333、SHR-1316、CS-1001(WBP-3155、KN-035、IBI-308(シンチリマブ)、HLX-20、KL-A167、STI-A1014、STI-A1015(IMC-001)、BCD-135、FAZ-053、TQB-2450、MDX1105-01、GS-4224、GS-4416、INCB086550、MAX10181、並びに多重特異性阻害剤FPT-155(CTLA4/PD-L1/CD28)、PF-06936308(PD-1/CTLA4)、MGD-013(PD-1/LAG-3)、FS-118(LAG-3/PD-L1)MGD-019(PD-1/CTLA4)、KN-046(PD-1/CTLA4)、MEDI-5752(CTLA4/PD-1)、RO-7121661(PD-1/TIM-3)、XmAb-20717(PD-1/CTLA4)、AK-104(CTLA4/PD-1)、M7824(PD-L1/TGFβ-ECドメイン)、CA-170(PD-L1/VISTA)、CDX-527(CD27/PD-L1)、LY-3415244(TIM3/PDL1)、及びINBRX-105(4-1BB/PDL1)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0189】
いくつかの実施形態では、CD274又はPDCD1の小分子阻害剤は、GS-4224、GS-4416、INCB086550、及びMAX10181からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、CTLA4の小分子阻害剤は、BPI-002を含む。
【0190】
種々の実施形態では、本明細書に記載される抗体又は抗原結合フラグメントは、BMS-986207、RG-6058、AGEN-1307などの抗TIGIT抗体と組み合わされる。
【0191】
TNF受容体スーパーファミリ(TNFRSF)メンバのアゴニスト又は活性化因子
種々の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、以下の1つ以上のTNF受容体スーパーファミリ(TNFRSF)メンバのアゴニストと組み合わされる:例えば、TNFRSF1A(NCBI遺伝子番号7132)、TNFRSF1B(NCBI遺伝子番号7133)、TNFRSF4(OX40、CD134;NCBI遺伝子番号7293)、TNFRSF5(CD40;NCBI遺伝子番号958)、TNFRSF6(FAS、NCBI遺伝子番号355)、TNFRSF7(CD27、NCBI遺伝子番号939)、TNFRSF8(CD30、NCBI遺伝子番号943)、TNFRSF9(4-1BB、CD137、NCBI遺伝子番号3604)、TNFRSF10A(CD261、DR4、TRAILR1、NCBI遺伝子番号8797)、TNFRSF10B(CD262、DR5、TRAILR2、NCBI遺伝子番号8795)、TNFRSF10C(CD263、TRAILR3、NCBI遺伝子番号8794)、TNFRSF10D(CD264、TRAILR4、NCBI遺伝子番号8793)、TNFRSF11A(CD265、RANK、NCBI遺伝子番号8792)、TNFRSF11B(NCBI遺伝子番号4982)、TNFRSF12A(CD266、NCBI遺伝子番号51330)、TNFRSF13B(CD267、NCBI遺伝子番号23495)、TNFRSF13C(CD268、NCBI遺伝子番号115650)、TNFRSF16(NGFR、CD271、NCBI遺伝子番号4804)、TNFRSF17(BCMA、CD269、NCBI遺伝子番号608)、TNFRSF18(GITR、CD357、NCBI遺伝子番号8784)、TNFRSF19(NCBI遺伝子番号55504)、TNFRSF21(CD358、DR6、NCBI遺伝子番号27242)、及びTNFRSF25(DR3、NCBI遺伝子番号8718)のうちの1つ以上。
【0192】
共投与され得る抗TNFRSF4(OX40)抗体の例としては、MEDI6469、MEDI6383、MEDI0562(タボリキシズマブ)、MOXR0916、PF-04518600、RG-7888、GSK-3174998、INCAGN1949、BMS-986178、GBR-8383、ABBV-368、並びに国際公開第2016179517号、国際公開第2017096179号、国際公開第2017096182号、国際公開第2017096281号、及び国際公開第2018089628号に記載の抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0193】
共投与され得る例示的な抗TNFRSF5(CD40)抗体としては、RG7876、SEA-CD40、APX-005M、及びABBV-428が挙げられるが、これらに限定されない。
【0194】
いくつかの実施形態では、抗TNFRSF7(CD27)抗体バルリルマブ(CDX-1127)は、共投与される。
【0195】
共投与され得る抗TNFRSF9(4-1BB、CD137)抗体の例としては、ウレルマブ、ウトミルマブ(PF-05082566)、AGEN2373、及びADG-106が挙げられるが、これらに限定されない。
【0196】
共投与され得る抗TNFRSF18(GITR)抗体の例としては、MEDI1873、FPA-154、INCAGN-1876、TRX-518、BMS-986156、MK-1248、GWN-323、並びに国際公開第2017096179号、国際公開第2017096276号、国際公開第2017096189号、及び国際公開第2018089628号に記載の抗体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、抗体又はそのフラグメント、共標的化TNFRSF4(OX40)及びTNFRSF18(GITR)は、共投与される。このような抗体は、例えば、国際公開第2017096179号及び同第2018089628号に記載されている。
【0197】
インターロイキン受容体アゴニスト
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、以下のインターロイキン受容体アゴニストと組み合わせられる:例えば、IL-2、IL-7、IL-15、IL-10、IL-12アゴニスト;IL-2受容体アゴニストの例、例えばプロリュウキン(アルデスロイキン、IL-2);PEG化IL-2(例えば、NKTR-214));IL-2の修飾されたバリアント(例えば、THOR-707)、ベンペガルデスロイキン、AIC-284、ALKS-4230、CUI-101、Neo-2/15;IL-15受容体アゴニスト、例えばALT-803、NKTR-255、及びhetIL-15、インターロイキン-15/Fc融合タンパク質、AM-0015、NIZ-985、SO-C101、IL-15Synthorin(PEG化IL-15)、P-22339、並びにIL-15-PD-1融合タンパク質N-809;IL-7の例としては、CYT-107が挙げられる。
【0198】
本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントと組み合わせることができる、追加のインターロイキン受容体アゴニストの例としては、以下が挙げられる:インターフェロンαインターフェロンα-2b;インターフェロンα-n3;PEG化インターフェロンα;インターフェロンγ;Flt3アゴニスト、例えばCDX-301;ゲポン;ノルムフェロン、ペグインターフェロンα-2a、ペグインターフェロンα-2b、RPI-MN。
【0199】
二重及び三重特異性ナチュラルキラー(NK)細胞エンゲージャ
種々の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、二重特異性NK細胞エンゲージャ(bi-specific NK-cell engager:BiKE)若しくは三重特異性NK細胞エンゲージャ(tri-specific NK-cell engager:TriKE)(例えば、Fcを有しない)、又はNK細胞活性化受容体
に対する二重特異性抗体(例えば、Fcを有する)、例えば、CD16A、C型レクチン受容体(CD94/NKG2C、NKG2D、NKG2E/H、及びNKG2F)、自然細胞傷害性受容体(NKp30、NKp44、及びNKp46)、キラー細胞C型レクチン様受容体(NKp65、NKp80)、Fc受容体FcγR(抗体依存性細胞傷害性を媒介)、SLAMファミリ受容体(例えば、2B4、SLAM6、及びSLAM7)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)(KIR-2DS、及びKIR-3DS)、DNAM-1、並びにCD137(4-1BB)と組み合わされる。共投与され得る例示的な抗CD16二重特異性抗体、BiKE、又はTriKEとしては、AFM26(BCMA/CD16A)及びAFM-13(CD16/CD30)が挙げられる。適宜、抗CD16結合二重特異性分子は、Fcを有してもよく、又は有しなくてもよい。BiKE及びTriKEについては、例えば、Felicesら、「Methods Mol Biol.」(2016年)第1441巻:第333~346頁;Fangら、「Semin
Immunol.」(2017年)第31巻:第37~54頁に記載されている。三重特異性NK細胞エンゲージャ(TRiKE)の例としては、OXS-3550、及びCD16-IL-15-B7H3TriKeが挙げられる。
【0200】
ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)阻害剤
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、PI3K阻害剤と組み合わされる。PI3K阻害剤の例としては、イデラリシブ、アルペリシブ、ブパルリシブ、CAIオロト酸塩、コパンリシブ、デュベリシブ、ジェダトリシブ、ネラチニブ、パヌリシブ(panulisib)、
ペリホシン、ピクチリシブ、ピララリシブ、プキチニブメシル酸塩(puquitinib mesylate)、リゴセルチブ、リゴセルチブナトリウム、ソノリシブ(sonolisib)、タセリシブ、AMG-319、AZD-8186、BAY-1082439、CLR-1401、CLR-457、CUDC-907、DS-7423、EN-3342、GSK-2126458、GSK-2269577、GSK-2636771、INCB-040093、LY-3023414、MLN-1117、PQR-309、RG-7666、RP-6530、RV-1729、SAR-245409、SAR-260301、SF-1126、TGR-1202、UCB-5857、VS-5584、XL-765、及びZSTK-474が挙げられる。
【0201】
α-4/β-7アンタゴニスト
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、α-4/β-7アンタゴニストと組み合わされる。インテグリンα-4/β-7アンタゴニストの例としては、PTG-100、TRK-170、アブリルマブ、エトロリズマブ、カロテグラストメチル、及びベドリズマブが挙げられる。
【0202】
薬物動態増強剤
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、薬物動態増強剤と組み合わされる。薬物動態増強剤の例としては、コビシスタット及びリトナビルが挙げられる。
【0203】
追加の治療剤
追加の治療剤の例としては、以下が挙げられる:国際公開第2004/096286号(Gilead Sciences);国際公開第2006/015261号(Gilead Sciences);国際公開第2006/110157号(Gilead Sciences);国際公開第2012/003497号(Gilead Sciences);国際公開第2012/003498号(Gilead Sciences);国際公開第2012/145728号(Gilead Sciences);国際公開第2013/006738号(Gilead Sciences);国際公開第2013/159064号(Gilead Sciences);国際公開第2014/100323号(Gilead Sciences)、米国特許第2013/0165489号(ペンシルバニア大学)、米国特許出願公開第2014/0221378号(日本たばこ)、米国特許出願公開第2014/0221380号(日本たばこ);国際公開第2009/062285号(Boehringer Ingelheim);国際公開第2010/130034号(Boehringer Ingelheim);国際公開第2013/006792号(Pharma Resources)、米国特許出願第20140221356号(Gilead Sciences)、米国特許出願第20100143301号(Gilead Sciences)、及び国際公開第2013/091096号(Boehringer Ingelheim)に開示されている化合物。
【0204】
HIV併用療法
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントは、以下から選択される、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の追加の治療剤と組み合わされる:ATRIPLA(登録商標)(エファビレンツ、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、及びエムトリシタビン);COMPLERA(登録商標)(EVIPLERA(登録商標);リルピビリン、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、及びエムトリシタビン);STRIBILD(登録商標)(エルビテグラビル、コビシスタット、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、及びエムトリシタビン);TRUVADA(登録商標)(テノホビルジソプロキシルフマル酸塩及びエムトリシタビン;TDF+FTC);DESCOVY(登録商標)(テノホビルアラフェナミド及びエムトリシタビン);ODEFSEY(登録商標)(テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン、及びリルピビリン);GENVOYA(登録商標)(テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン、コビシスタット、及びエルビテグラビル);アデホビル;アデホビルジピボキシル;コビシスタット;エムトリシタビン;テノホビル;テノホビルジソプロキシル;テノホビルジソプロキシルフマル酸塩;テノホビルアラフェナミド;テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩;TRIUMEQ(登録商標)(ドルテグラビル、アバカビル、及びラミブジン);ドルテグラビル、アバカビル硫酸塩、及びラミブジン;ラルテグラビル;ラルテグラビル及びラミブジン;マラビロク;エンフビルチド;ALUVIA(登録商標)(KALETRA(登録商標);ロピナビル及びリトナビル);COMBIVIR(登録商標)(ジドブジン及びラミブジン;AZT+3TC);EPZICOM(登録商標)(LIVEXA(登録商標);アバカビル硫酸塩及びラミブジン;ABC+3TC);TRIZIVIR(登録商標)(アバカビル硫酸塩、ジドブジン、及びラミブジン;ABC+AZT+3TC);リルピビリン;リルピビリン塩酸塩;アタザナビル硫酸塩及びコビシスタット;アタザナビル及びコビシスタット;ダルナビル及びコビシスタット;アタザナビル;アタザナビル硫酸塩;ドルテグラビル;エルビテグラビル;リトナビル;アタザナビル硫酸塩及びリトナビル;ダルナビル;ラミブジン;プロラスチン;ホスアンプレナビル;ホスアンプレナビルカルシウムエファビレンツ;エトラビリン;ネルフィナビル;ネルフィナビルメシル酸塩;インターフェロン;ジダノシン;スタブジン;インジナビル;インジナビル硫酸塩;テノホビル及びラミブジン;ジドブジン;ネビラピン;サキナビル;サキナビルメシル酸塩;アルデスロイキン;ザルシタビン;チプラナビル;アンプレナビル;デラビルジン;デラビルジンメシル酸塩;Radha-108(レセプトール);ラミブジン及びテノホビルジソプロキシルフマル酸塩;エファビレンツ、ラミブジン、及びテノホビルジソプロキシルフマル酸塩;フォスファジド;ラミブジン、ネビラピン、及びジドブジン;アバカビル、及びアバカビル硫酸塩。
【0205】
上記に列挙した追加の治療剤は、上記に列挙したクラスのうち2つ以上に含まれ得ることが、当業者には理解されるであろう。特定のクラスは、それらのクラスに列挙されるこれらの化合物の官能性を制限することを意図していない。
【0206】
具体的な実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、逆転写酵素のHIVヌクレオシド又はヌクレオチド阻害剤、及び逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤と組み合わされる。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、逆転写酵素のHIVヌクレオシド又はヌクレオチド阻害剤、及びHIVプロテアーゼ阻害化合物と組み合わされる。更なる実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、逆転写酵素のHIVヌクレオシド又はヌクレオチド阻害剤、及び逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤、並びに薬物動態増強剤と組み合わされる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、少なくとも1つの逆転写酵素のHIVヌクレオシド阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、及び薬物動態増強剤と組み合わされる。別の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、2つの逆転写酵素のHIVヌクレオシド又はヌクレオチド阻害剤と組み合わされる。
【0207】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、アバカビル硫酸塩、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルジソプロキシルヘミフマル酸塩、テノホビルアラフェナミド、又はテノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩と組み合わされる。
【0208】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミド、又はテノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩と組み合わされる。
【0209】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、アバカビル硫酸塩、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミド、及びテノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩からなる群から選択される第1の追加の治療剤、並びにエムトリシタビン及びラミブジンからなる群から選択される第2の追加の治療剤と組み合わされる。
【0210】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミド、及びテノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩からなる群から選択される第1の追加の治療剤、並びに第2の追加の治療剤と組み合わされ、第2の追加の治療剤は、エムトリシタビンである。
【0211】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントの、例えば、1mg~50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、400mg、500mg、1000mg、又は1500mgの範囲にある治療有効投薬量における、1つ以上の追加の治療剤と組み合わされる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントの、例えば、約0.1mg/kg~約0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、8mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、又は50mg/kgの範囲にある治療有効投薬量における、1つ以上の追加の治療剤と組み合わされる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントの、例えば、約5mg~約10mg、20mg、25mg、50mg、100mg、125mg、150mg、250mg、300mg、500mg、1000mg、又は1500の範囲にある治療有効投薬量における、1つ以上の追加の治療剤と組み合わされる。
【0212】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、5~30mgのテノホビルアラフェナミドフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩、又はテノホビルアラフェナミド、並びに200mgのエムトリシタビンと組み合わされる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、5~10、5~15、5~20、5~25、25~30、20~30、15~30、又は10~30mgのテノホビルアラフェナミドフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩、又はテノホビルアラフェナミド、並びに200mgのエムトリシタビンと組み合わされる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、10mgのテノホビルアラフェナミドフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩、又はテノホビルアラフェナミド、並びに200mgのエムトリシタビンと組み合わされる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、25mgのテノホビルアラフェナミドフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩、又はテノホビルアラフェナミド、並びに200mgのエムトリシタビンと組み合わされる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、投薬量の各組合せが具体的かつ個々に列挙された場合と同じく、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメント(例えば、本明細書に記載されるような、1mg~500mgの抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメント)の任意の投薬量における、本明細書で提供される薬剤と、組み合わされる。
【0213】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、200~400mgのテノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルジソプロキシルヘミフマル酸塩、又はテノホビルジソプロキシル、並びに200mgのエムトリシタビンと組み合わされる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、200~250、200~300、200~350、250~350、250~400、350~400、300~400、又は250~400mgのテノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルジソプロキシルヘミフマル酸塩、又はテノホビルジソプロキシル、並びに200mgのエムトリシタビンと組み合わされる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、300mgのテノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルジソプロキシルヘミフマル酸塩、又はテノホビルジソプロキシル、並びに200mgのエムトリシタビンと組み合わされる。抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、投薬量の各組合せが具体的かつ個々に列挙された場合と同じく、任意の投薬量(例えば、1mg~500mgの抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメント)における、本明細書で提供される薬剤と、組み合わされてもよい。
【0214】
長時間作用性HIV阻害剤
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、長時間作用性HIV阻害剤と共投与され得る。長時間作用性HIV阻害剤として開発されている薬物の例としては、カボテグラビルLA、リルピビリンLA、任意のインテグラーゼLA、VM-1500 LAI、マラビロク(LAI)、テノホビルインプラント、MK-8591インプラント、長時間作用性ドルテグラビルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0215】
一実施形態では、キットは、1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、1つ若しくは2つ、又は1つ~3つ)の追加の治療剤と組み合わせた、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントを含む。
【0216】
HIVワクチン
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、HIVワクチンと組み合わされる。HIVワクチンの例としては、以下が挙げられる:ペプチドワクチン、組換えサブユニットタンパク質ワクチン、生ベクタワクチン、DNAワクチン、HIV MAG DNAワクチン、CD4由来ペプチドワクチン、ワクチン併用(vaccine combinations)、アデノウイルスベク
タワクチン(例えば、Ad5、Ad26、又はAd35)、サルアデノウイルス(チンパンジー、ゴリラ、アカゲザル、すなわち、rhAd)、アデノ随伴ウイルスベクタワクチン、チンパンジーアデノウイルスワクチン(例えば、ChAdOX1、ChAd68、ChAd3、ChAd63、ChAd83、ChAd155、ChAd157、Pan5、Pan6、Pan7、Pan9)、コクサッキーウイルス系ワクチン、腸管系ウイルス系ワクチン、ゴリラアデノウイルスワクチン、レンチウイルスベクタ系ワクチン、二分割型(bi-segmented)又は三分割型アレナウイルス系ワクチン(例えば、LCMV、Pichinde)、三量体系HIV-1ワクチン、麻疹ウイルス系ワクチン、フラビウイルスベクタ系ワクチン、タバコモザイクウイルスベクタ系ワクチン、水痘帯状疱疹ウイルス系ワクチン、ヒトパラインフルエンザウイルス3(PIV3)系ワクチン、ポックスウイルス系ワクチン(改変ワクシニアウイルスアンカラ(modified vaccinia virus Ankara:
MVA)、オルソポックスウイルス由来NYVAC、及びアビポックス由来ALVAC(カナリアポックスウイルス)株);鶏痘ウイルス系ワクチン、ラブドウイルス系ワクチン、例えば、水疱性口内炎ウイルス(Vesicular stomatitis virus:VSV)及びマラバウイルス(marabavirus);組換えヒトCMV(rhCMV)系ワクチン、アルファウイ
ルス系ワクチン、例えば、セムリキ森林ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、及びシンドビスウイルス(例えば、Lauerら、「Clin Vaccine Immunol.」(2017年)第24巻(第1号):第e00298~16頁を参照のこと);LNP製剤化mRNA系治療ワクチン、及びLNP製剤化自己複製RNA/自己増幅RNAワクチン。
【0217】
HIVワクチンの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:抗CD40.Env-gp140ワクチン、Ad4-EnvC150、BG505 SOSIP.664 gp140アジュバントワクチン、BG505 SOSIP.GT1.1 gp140アジュバントワクチン、Chimigen HIVワクチン、ConM SOSIP.v7 gp140、rgp120(AIDSVAX)、ALVAC HIV(vCP1521)/AIDSVAX B/E(gp120)(RV144)、単量体gp120
HIV-1サブタイプCワクチン、MPER-656リポソームサブユニットワクチン、Remune、ITV-1、Contre Vir、Ad5-ENVA-48、DCVax-001(CDX-2401)、Vacc-4x、Vacc-C5、VAC-3S、マルチクレードDNA 組換えアデノウイルス-5(rAd5)、rAd5 gag-pol env A/B/Cワクチン、Pennvax-G、Pennvax-GP、Pennvax-G/MVA-CMDR、HIV-TriMix-mRNAワクチン、HIV-LAMP-vax、Ad35、Ad35-GRIN、NAcGM3/VSSP ISA-51、ポリICLCアジュバントワクチン、TatImmune、GTU-multiHIV(FIT-06)、ChAdV63.HIVconsv、gp140[δ]V2.TV1+MF-59、rVSVIN HIV-1 gagワクチン、SeV-EnvF、SeV-Gagワクチン、AT-20、DNK-4、ad35-Grin/ENV、TBC-M4、HIVAX、HIVAX-2、N123-VRC-34.01誘導エピトープ系HIVワクチン、NYVAC-HIV-PT1、NYVAC-HIV-PT4、DNA-HIV-PT123、rAAV1-PG9DP、GOVX-B11、GOVX-B21、GOVX-C55、TVI-HIV-1、Ad-4(Ad4-envクレードC+Ad4-mGag)、Paxvax、EN41-UGR7C、EN41-FPA2、ENOB-HV-11、PreVaxTat、AE-H、MYM-V101、CombiHIVvac、ADVAX、MYM-V201、MVA-CMDR、MagaVax、DNA-Ad5 gag/pol/nef/nev(HVTN505)、MVATG-17401、ETV-01、CDX-1401、SCaVIIを発現するDNA及びSevベクタワクチン、rcAD26.MOS1.HIV-Env、Ad26.改変HIVワクチン、Ad26.改変HIV+MVAモザイクワクチン+gp140、AGS-004、AVX-101、AVX-201、PEP-6409、SAV-001、ThV-01、TL-01、TUTI-16、VGX-3300、VIR-1111、IHV-001、並びに偽ビリオンワクチンなどのウイルス様粒子ワクチン、CombiVICHvac、LFn-p24 B/C融合ワクチン、GTU系DNAワクチン、HIV gag/pol/nef/env DNAワクチン、抗TAT HIVワクチン、コンジュゲートポリペプチドワクチン、樹状細胞ワクチン、gag系DNAワクチン、GI-2010、gp41 HIV-1ワクチン、HIVワクチン(PIKAアジュバント)、I i-key/MHCクラスIIエピトープハイブリッドペプチドワクチン、ITV-2、ITV-3、ITV-4、LIPO-5、マルチクレードEnvワクチン、MVAワクチン、Pennvax-GP、pp71-欠損HCMVベクタHIV gagワクチン、組換えペプチドワクチン(HIV感染症)、NCI、rgp160 HIVワクチン、RNActive HIVワクチン、SCB-703、Tat Oyiワクチン、TBC-M4、治療HIVワクチン、UBI HIV gp120、Vacc-4x+ロミデプシン、バリアントgp120ポリペプチドワクチン、rAd5 gag-pol env A/B/Cワクチン、DNA.HTI及びMVA.HTI、VRC-HIVDNA016-00-VP+VRC-HIVADV014-00-VP、INO-6145、JNJ-9220、gp145C.6980;eOD-GT8 60mer系ワクチン、PD-201401、env(A、B、C、A/E)/gag(C)DNA Vaccine、gp120(A,B,C,A/E)タンパク質ワクチン、PDPHV-201401、Ad4-EnvCN54、EnvSeq-1 Env HIV-1ワクチン(GLA-SEアジュバント)、HIV p24gagプライムブーストプラスミドDNAワクチン、HIV-1 iglb12中和VRC-01抗体刺激抗CD4ワクチン、MVA-BN HIV-1ワクチンレジメン、UBI HIV gp120、mRNA系予防ワクチン、VPI-211、並びにTBL-1203HI。
【0218】
産児制限(避妊)併用療法
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、産児制限又は避妊レジメンと組み合わされる。産児制限に使用される治療剤(避妊薬)としては、シプロテロン酢酸エステル、デソゲストレル、ジエノゲスト、ドロスピレノン、エストラジオール吉草酸エステル、エチニルエストラジオール、エチノジオール、エトノゲストレル、レボメフォラート、レボノルゲストレル、リネストレノール、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル、メストラノール、ミフェプリストン、ミソプロストール、ノメゲストロール酢酸エステル、ノルエルゲストロミン、ノルエチンドロン、ノルエチノドレル、ノルゲスチメート、オルメロキシフェン、セゲステロン酢酸エステル、ウリプリスタル酢酸エステル、及びこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0219】
遺伝子療法及び細胞療法
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、遺伝子又は細胞療法レジメンと組み合わされる。遺伝子療法及び細胞療法としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:遺伝子をサイレンシングするための遺伝子修飾;感染細胞を直接殺傷するための遺伝的アプローチ;感染細胞に対する免疫応答を増強するために患者自身の免疫系の大部分を置換するか、又は感染細胞を殺傷するために患者自身の免疫系を活性化するか、又は感染細胞を見つけて殺傷するように設計された、免疫細胞の注入;細胞活性を修飾して、感染に対する内因性免疫応答性を更に変更するための、遺伝的アプローチ。細胞療法の例としては、LB-1903、ENOB-HV-01、GOVX-B01、及びSupT1細胞系療法が挙げられる。樹状細胞療法の例としては、AGS-004が挙げられる。CCR5遺伝子編集剤としては、SB-728Tが挙げられる。CCR5遺伝子阻害剤としては、Cal-1が挙げられる。いくつかの実施形態では、C34-CCR5/C34-CXCR4発現CD4-陽性T細胞は、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントと共投与される。いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、AGT-103-形質導入自家T細胞療法又はAAV-eCD4-Ig遺伝子療法と共投与される。
【0220】
遺伝子編集剤
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、遺伝子編集剤、例えば、HIV標的遺伝子編集剤と組み合わされる。種々の実施形態では、ゲノム編集系は、CRISPR/Cas9複合体、ジンクフィンガヌクレアーゼ複合体、TALEN複合体、ホーミングエンドヌクレアーゼ複合体、及びメガヌクレアーゼ複合体からなる群から選択することができる。例示的なHIV標的化CRISPR/Cas9系としては、EBT-101が挙げられるが、これに限定されない。
【0221】
CAR-T細胞療法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor
:CAR)を発現するよう遺伝子操作された免疫エフェクタ細胞の集団と共投与することができ、CARは、HIV抗原結合ドメインを含む。HIV抗原は、HIVエンベロープタンパク質又はその一部、gp120又はその一部、gp120上のCD4結合部位、gp120CD4-誘導結合部位、gp120上のNグリカン、gp120のV2、gp41上の膜近位領域を含む。免疫エフェクタ細胞は、T細胞又はNK細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、又はこれらの組合せである。細胞は、自家又は同種異系であり得る。HIV CAR-Tの例としては、転換CAR-T、VC-CAR-T、抗CD4CART細胞療法、CD4CAR及びC46ペプチドを発現するように遺伝子操作された自家造血幹細胞が挙げられる。
【0222】
TCR-T細胞療法
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗HIV gp120 V3グリカン指向性抗体又は抗原結合フラグメントは、TCR-T細胞の集団と組み合わされる。TCR-T細胞は、ウイルス感染細胞の表面上に存在するHIV由来ペプチドを標的とするよう遺伝子操作される。
【0223】
6.キット
本明細書に記載されるように、診断及び治療方法を実行するためのキットが、更に提供される。いくつかの実施形態では、キットは、生体試料中のHIV種の少なくともgp120 V3グリカン領域を増幅及びシーケンシングするためのプライマを含む。いくつかの実施形態では、キットは、生体試料中のHIV種の少なくともgp120 V3グリカン領域を増幅及びシーケンシングするためのネステッドプライマの一式又はセットを含む。いくつかの実施形態では、キットは、全長gp120を増幅及びシーケンシングするための一対のプライマ又はネステッドプライマのセットを含む。いくつかの実施形態では、キットは、試料調製、核酸定量化、増幅及び/又はシーケンシング試薬、例えば、RNA及び/又はDNAを単離するための核酸単離試薬、タンパク質変性溶媒、緩衝剤、dNTP、逆転写酵素、ポリメラーゼ酵素、及び/又は検出標識を含む。いくつかの実施形態では、キットは、ライブラリ調製試薬、例えば、バーコード試薬及び/又は標的特異的プライマを含む。いくつかの実施形態では、キットは、例えば、本明細書に記載される診断方法の実施を容易にするために、分析ガイド及び/又はソフトウェアを含む。いくつかの実施形態では、キットは、生体試料中のHIV種の少なくともgp120 V3グリカン領域をシーケンシングし、gp120を発現するHIV種を検出又は同定するための指示書を含み、これは、アミノ酸残基332位に対応する位置のグリコシル化アスパラギン(N332グリカン)、アミノ酸残基325位に対応する位置のアスパラギン酸塩(D325)、並びにアミノ酸残基63位に対応する位置のスレオニン(T63)、アミノ酸残基179位に対応する位置のロイシン(L179)、アミノ酸残基320位に対応する位置のスレオニン(T320)、及びアミノ酸残基330位に対応する位置のヒスチジン(H330)のうち1つ以上のアミノ酸を含み、アミノ酸位置は、本明細書に記載されるように、配列番号:4(すなわち、NCBI参照配列番号NP_057856.1)の残基1-511)を参照している。
【0224】
一実施形態では、キットは、本明細書で提供されるように、HIV gp120 V3グリカン領域に対する抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又はそのような抗体若しくは抗原結合フラグメントなどをコードする1つ以上のポリヌクレオチドといった、本明細書に記載の医薬組成物の成分のうち1つ以上を含有する、1つ以上の容器(例えば、バイアル、アンプル、予め充填されたシリンジ)を含む1つ以上の医薬品パックを含む。いくつかの例では、キットは、本明細書に記載の医薬組成物を収容する。いくつかの実施形態では、キットは、HIV gp120 V3グリカン領域に対して抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又はそのような抗体若しくは抗原結合フラグメントなどをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを、水溶液中又は凍結乾燥形態で含む、1つ以上の容器を含む。任意に、このような容器に関連するものは、医薬品又は生物学的製品の製造、使用、又は販売を規制する政府機関によって規定される形態の通知であり得、この通知は、ヒト投与のための製造、使用、又は販売の機関による承認を反映している。
【実施例0225】
以下の実施例は、特許請求される発明を例示するために提供されるが、これを限定するものではない。
【0226】
実施例1
抗HIV gp120 V3-グリカン指向性抗体又はその抗原結合フラグメントによる療法に応答するHIV感染患者の同定
この実施例は、PGT121及びその誘導体、GS-9722(エリポビマブ)による中和に対するウイルス感受性に関連したEnv遺伝子型の同定を実証するものであり、PGT121/GS-9722に対する感受性についてのHIV感染対象のプレスクリーニングのためのものである。
【0227】
HIVエンベロープ遺伝子における高レベルの配列多様性は、広域中和抗体(bNAb)の臨床試験における対象のプレスクリーニングを、高い応答率の可能性を高めるため魅力的なものにする。PGT121及びGS-9722に対するウイルス感受性を予測するEnv遺伝子型を同定するために、本発明者らは、PGT121及びGS-9722中和データ並びに206クレードB Envの対応するEnv配列を調べた。
【0228】
GS-9722は、PGT121の遺伝子操作されたバリアントであり、PGT121及びGS-9722で試験した397のHIV株の間のPGT121及びGS-9722中和IC50の非常に統計学的に有意な相関によって証明されるように、PGT121と同じ中和活性を維持する(r=0.9698、P<0.0001)。したがって、本発明者らは、Gileadが支援する臨床試験に登録されたウイルス血症対象から単離された140個のクレードB Envで得られたGS-9722中和データを、Los Alamos HIV Sequence Database(n=66)から得られた公的に入手可能なPGT121中和データと組み合わせて、統計的検出力を高めた。
【0229】
完全長のEnvアミノ酸配列を、ClustalWを用いてアラインメントさせ、目視検査時に手動で調整した。PGT121/GS-9722による中和に対する感受性に関連した遺伝子型を同定するために、本発明者らは、フィッシャーの正確確率検定により、PGT121/GS-9722感受性ウイルス間の各残基におけるアミノ酸の頻度及び潜在的N-結合型グリコシル化部位(PNGS)を、PGT121/GS-9722耐性ウイルスの頻度と比較した。N-結合型グリコシル化モチーフはN-X-S/Tであり、Xは、プロリンを除く任意の残基である。PGT121/GS-9722に対する中和感受性を、IC50<1μg/mLと規定した。PGT121/GS-9722に対する感受性と統計的に有意に関連した残基については、陽性的中率(positive predictive value:PPV;すなわち、遺伝子型が存在する場合、Envが、PGT121/GS-9722に感受性である確率)及び感受性(すなわち、EnvがPGT121/GS-9722に感受性である場合、遺伝子型が存在する確率)を、以下のように計算した:
【表11】
【数1】
【0230】
マンホイットニー検定もまた適用して、Envを「感受性」対「耐性」としてするための1μg/mLカットオフとは無関係に、感受性の決定因子を同定した。
【0231】
PGT121/GS-9722に対する感受性と統計的に関連した、及び/又は以前にPGT121感受性と関連すると報告されている残基を、PPVの降順によってランク付けし、表2に列挙する。PGT121に対する感受性を付与すると以前に報告された残基のうち、307I、295PNGS、及び300PNGSは、このクレードBデータセットにおいてPGT121/GS-9722に対する感受性と統計的に関連しなかった。本発明者らは、PGT121/GS-9722に対する感受性と有意に関連する多くの以前に報告されていない残基を同定した。
【表12】
【0232】
エピトープは2つ以上の残基から構成されるので、PGT121/GS-9722に対する感受性と統計的に関連した遺伝子型決定因子の組合せを評価して、個々の遺伝子型決定因子を組み合わせることが、偽陽性よりも真陽性を優先的に濃縮することによってPPVを改善したかどうかを調べた。感受性が低い遺伝子型は、より多数の対象のスクリーニングを必要とするので、臨床試験に充分な数の対象を登録するのに感受性も考慮した。
【0233】
最も高いPPV及び感受性を提供した組合せ遺伝子型を、表3に列挙し、図1に示す。PGT121/GS-9722中和に対する感受性に関連した以前に報告されていない遺伝子型を組み込んだ、いくつかの組合せ遺伝子型は、以前に記載された遺伝子型のみを用いて達成可能であった場合よりも、高いPPVを提供した。得られた最も高いPPVは98.4%(アミノ酸N332グリカン/D325/H330/T63/T320/L179を含有するウイルスについて)であり、これは、遺伝子型選択なしでの62.6%の陽性的中率に対して57%の増加を表す。
【表13】
【0234】
クレードBについての表3のPGT121/GS-9722の組合せ遺伝子型を使用して、66のクレードA Env及び258のクレードC Envの中和データ及び対応するEnv配列を用いて、クレードA(表4)及びクレードC(表5)の、PPV、感受性、及び有病率を決定した。クレードA及びクレードCのデータセットは、Los Alamos HIV Sequence Databaseから得られた公的に入手可能なデータであった。クレードAについて得られた最も高いPPVは93.8%(アミノ酸N332グリカン/D325/H330/T320/L179を含有するウイルスについて)であり、これは、遺伝子型選択なしでの50%の陽性的中率に対して88%の増加を表す。クレードCについて得られた最も高いPPVは89.3%(アミノ酸N332グリカン/D325/H330/T320/L179を含有するウイルスについて)であり、これは、遺伝子型選択なしでの58.5%の陽性的中率に対して53%の増加を表す。
【表14】
【表15】
【0235】
クレードA、クレードB、及びクレードCウイルス配列について、PGT121/GS-9722組合せ遺伝子型に使用される個々のアミノ酸(T63、L179、T320、D325、H330、N332、NotP333、及びS/T334)の有病率を決定した(表6)。全てのアミノ酸は、クレードB、L179(51.5%)を除くクレードA、及びT63(10.1%)を除くクレードCにおいて、60%を超える有病率を示す。
【表16】
【0236】
10-1074は、HIV gp120のV3グリカン領域を標的とし、PGT121/GS-9722に関連する、広域中和抗体である。例えば、以下を参照されたい:Mouquetら、「Proc Natl Acad Sci U S A.」2012年11月20日;第109巻(第47号):第E3268~77頁、及びWalkerら、「Nature.」2011年9月22日;第477巻(第7365号):第466~70頁。表3のPGT121/GS-9722の組合せ遺伝子型を使用して、315のクレードBEnvの中和データ及び対応するEnv配列を用いて、10~1074のPPV、感受性、及び有病率を決定した(表7)。315のクレードBデータセットは、Gileadが支援する臨床試験に登録されたウイルス血症対象から単離された143のクレードB
Env、及びLos Alamos HIV Sequence Databaseから得られた公的に入手可能なデータからの172のクレードB Envからなった。得られた最も高いPPVは100%(アミノ酸N332グリカン/D325/H330/T63/T320/L179を含有するウイルスについて)であり、これは、遺伝子型選択なしでの62.2%の陽性的中率に対して61%の増加を表す。
【表17】
【0237】
続いて、最高スコアの遺伝子型アルゴリズム(表3)を適用して、チューリッヒ一次HIV感染コホート試験(Zurich Primary HIV Infection Cohort Study:ZPHI)からのHIV感染個体由来のART前の血漿試料を分析し、それらがGS-9722治療に感受性であるかどうかを予測した。合計92の個々の血漿試料を、HIVエンベロープ遺伝子のNGSアッセイで分析した(GenoSure HIV Envelope RNA Assay、Monogram Biosciences、South San Francisco、CA)。導出されたウイルス配列が配列可変性なしにアルゴリズムによって指定されたアミノ酸を含有する場合(指定された位置での配列可変性が0)、対象を、所与の遺伝子型について陽性として特徴付けた。これらの基準を用いて、47/92、37/92、32/92、27/92、22/92、及び16/92の対象が、GS-9722に対して感受性であると予測され(図1)、対応する陽性的中率は、それぞれ、80.7%、83.5%、86.1%、91.6%、93.7%、及び98.4%であった(表3)。クレードB感染対象について(92人中59人の対象)、35/59、27/59、22/59、23/59、18/59、及び12/59が、GS-9722に対して感受性であると予測され(図2)、対応する陽性的中率は、それぞれ、80.7%、83.5%、86.1%、91.6%、93.7%、及び98.4%であった(表3)。
【0238】
全対象(n=92)及びクレードBに感染した対象のサブセット(n=59)でのART前の血漿試料について、GS-9722感受性予測の組合せ遺伝子型に使用される個々のアミノ酸(T63、L179、T320、D325、H330、N332、NotP333、及びS/T334)の100%保存(指定された位置での配列可変性なし)を判定した(表8)。
【表18】
【0239】
GS-9722に対する感受性の遺伝子型予測を確認するために、ZPHI由来のART前の血漿試料からのウイルススウォームをクローニングし、GS-9722中和アッセイで評価した(PhenoSense HIV Entry Assay、Monogram Biosciences、South San Francisco、CA)。ウイルスは、陽性的中率が80.7%以上である29のクレードB試料に由来した。誘導されたウイルスは、IC50が1μg/mL以下である場合、GS-9722感受性であると特徴付けられた。これらの基準を用いて、25/29、20/22、16/18、18/20、14/16、及び10/11のウイルスが、GS-9722に対して感受性であると確認され(図2)、対応する陽性的中率は、それぞれ、80.7%、83.5%、86.1%、91.6%、93.7%、及び98.4%であった(表3)。
【0240】
GS-9722に対する遺伝子型予測及び表現型感受性を更に確認するために、ZPHI由来のART前の血漿試料からの4つのウイルススウォーム由来の20の個々のウイルスをサブクローニングし、GS-9722中和アッセイで評価した(PhenoSense HIV Entry Assay、Monogram Biosciences、South San Francisco、CA)。全ての個々のウイルスは、スウォームウイルスに匹敵するIC50で、GS-9722に感受性であった(図4)。
【0241】
本明細書に記載された実施例及び実施形態は例示のみを目的としており、それらに照らして様々な修正又は変更が当業者に示唆され、本出願の趣旨及び範囲並びに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書で引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
2024113085000001.app
【外国語明細書】