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特開2024-11309特性評価プログラム及び特性評価ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011309
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】特性評価プログラム及び特性評価ユニット
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0639 20230101AFI20240118BHJP
【FI】
G06Q10/06 332
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113209
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】508260094
【氏名又は名称】株式会社ジィ・ディー・エル
(74)【代理人】
【識別番号】100174805
【弁理士】
【氏名又は名称】亀山 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】田辺 和彦
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】実行の負荷を軽減しつつも精度の高い特性評価プログラム及び特性評価ユニットを提供する。
【解決手段】特性評価コンピュータ10は、入力装置15と、出力装置16と、外部記憶装置14と、入力装置15を介して被評価者の特性を問う質問を外部記憶装置14へ登録する質問登録装置11Aと、被評価者の特性を評価するためのアンケートを作成するアンケート作成装置11Bと、アンケートを出力するアンケート出力装置11Cと、アンケートの回答結果を外部記憶装置14へ登録する回答結果登録装置11Dと、外部記憶装置14に記憶された回答結果を分析する分析実行装置11Eと、分析実行装置11Eによる分析結果を出力装置16に出力する分析結果出力装置11Fと、各装置を制御する制御装置11Xと、して機能する。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被評価者に対して行われたアンケートの回答結果を記憶装置へ記憶する回答結果記憶ステップと、
前記記憶装置に記憶された前記回答結果を分析する分析実行ステップと、
前記分析結果を出力装置に出力する分析結果出力ステップと、
をコンピュータに実行させるための特性評価プログラムであって、
前記アンケートは、前記被評価者の特性を把握するための特性把握質問と、前記被評価者の回答の信頼度を把握するための信頼度把握質問と、を含み、
前記アンケートにおいては、前記信頼度把握質問と同一又は同質の質問が複数存在する一方、当該同一又は同質の質問は連続しておらず、
前記分析実行ステップは、
前記特性把握質問に関する回答結果に基づいて、前記被評価者の特性を分析する特性分析ステップと、
前記信頼度把握質問及び当該信頼度把握質問と同一又は同質の質問に対する回答のばらつき量を算出する信頼度分析ステップと、を備え、
前記分析結果出力ステップでは、
前記特性分析ステップにおける分析結果を示す特性分析結果識別子とともに、前記信頼度分析ステップにおける分析結果を示す信頼度分析結果識別子を出力し、
前記信頼度分析結果識別子は、前記特性分析結果識別子の両側の第1位置及び第2位置に位置し、
前記信頼度分析結果識別子の第1位置及び第2位置の間隔は、前記ばらつき量の大きさを表すことを特徴とする特性評価プログラム。
【請求項2】
前記信頼度分析ステップでは、前記同一又は同質の質問に対する回答の平均値と当該回答の値との差を算出することを特徴とする請求項1記載の特性評価プログラム。
【請求項3】
被評価者に対して行われたアンケートの回答結果を記憶装置へ記憶する回答結果記憶装置と、
前記記憶装置に記憶された前記回答結果を分析する分析実行装置と、
前記分析結果を出力装置に出力する分析結果出力装置と、
を備える特性評価ユニットであって、
前記アンケートは、前記被評価者の特性を把握するための特性把握質問と、前記被評価者の回答の信頼度を把握するための信頼度把握質問と、を含み、
前記アンケートにおいては、前記信頼度把握質問と同一又は同質の質問が複数存在する一方、当該同一又は同質の質問は連続しておらず、
前記分析実行装置は、
前記特性把握質問に関する回答結果に基づいて、前記被評価者の特性を分析する特性分析部と、
前記信頼度把握質問及び当該信頼度把握質問と同一又は同質の質問に対する回答のばらつき量を算出する信頼度分析部と、を備え、
前記分析結果出力装置は、
前記特性分析部における分析結果を表す特性分析結果識別子とともに、前記信頼度分析部における分析結果を表す信頼度分析結果識別子と、を出力し、
前記信頼度分析結果識別子は、前記特性分析結果識別子の両側の第1位置及び第2位置に位置し、
前記信頼度分析結果識別子の第1位置及び第2位置の間隔は、前記ばらつき量の大きさを表すことを特徴とする特性評価ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特性評価プログラム及び特性評価ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
企業などの組織にとって人事マネジメントは重要であり、その方向性が違っていると社員のやり甲斐は高まらず、また顧客は満足できず、その結果、組織は成長しない。従って、組織と個人の活力を向上していくためには、人事マネジメントがますます重要なものになっている。そして、より良い人事マネジメントの構築のためには、各社員に対する的確な人材評価も必要不可欠なものとなっている。
【0003】
ここで、人材評価とは、人事管理のために人材を評価する手続きの総称であり、人材アセスメントや人事考課などを含む。そして、人材アセスメントとは、職務につけようとする際に、候補者(応募者)が適任かどうかを評価するものであり、採用適性検査などの名称で広く行われている。また、人事考課とは、採用後の社員に対して定期的に行われる評価であり、「人事評価」や「業績評価」などの名称で呼ばれることが多い。
【0004】
人材アセスメントにおいては、候補者の面接を行う方法の他、性格検査や適性検査、能力検査等によって得られた本人の回答を一定のプログラムで処理して、候補者の特性を数値で分析、レポート化して判断する手法があるが、実際の現場では、両者が併用されることも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-67559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、現時点において、候補者の回答から分析するという手法にも幾つかの問題がある。一つ目は、候補者にとって回答に迷う質問、すなわち1つの選択肢に絞り切れない質問があった際、その都度、回答する選択肢がばらつくことである。そして、このような「回答のばらつきの大きさ」は、候補者の特性の把握にも大きく影響すると考えられるが、これをわかりやすく表示するツールが存在しない。
【0007】
二つ目は、候補者からの回答を基にして分析するため、先の読める頭の良い候補者にとっては、「この質問に対しては、どのように回答することが、この組織に求められるのだろう」と、推量しながら、本人の本来の行動や特性とは無関係な回答をして、分析レポートを有利な結論にしようとする、という点である。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑み、実行の負荷を軽減しつつも精度の高い特性評価プログラム及び特性評価ユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被評価者に対して行われたアンケートの回答結果を記憶装置へ記憶する回答結果記憶ステップと、前記記憶装置に記憶された前記回答結果を分析する分析実行ステップと、前記分析結果を出力装置に出力する分析結果出力ステップと、をコンピュータに実行させるための特性評価プログラムであって、前記アンケートは、前記被評価者の特性を把握するための特性把握質問と、前記被評価者の回答の信頼度を把握するための信頼度把握質問と、を含み、前記アンケートにおいては、前記信頼度把握質問と同一又は同質の質問が複数存在する一方、当該同一又は同質の質問は連続しておらず、前記分析実行ステップは、前記特性把握質問に関する回答結果に基づいて、前記被評価者の特性を分析する特性分析ステップと、前記信頼度把握質問及び当該信頼度把握質問と同一又は同質の質問に対する回答のばらつき量を算出する信頼度分析ステップと、を備え、前記分析結果出力ステップでは、前記特性分析ステップにおける分析結果を示す特性分析結果識別子とともに、前記信頼度分析ステップにおける分析結果を示す信頼度分析結果識別子を出力し、前記信頼度分析結果識別子は、前記特性分析結果識別子の両側の第1位置及び第2位置に位置し、前記信頼度分析結果識別子の第1位置及び第2位置の間隔は、前記ばらつき量の大きさを表すことを特徴とする。
【0010】
本発明は、被評価者に対して行われたアンケートの回答結果を記憶装置へ記憶する回答結果記憶装置と、前記記憶装置に記憶された前記回答結果を分析する分析実行装置と、前記分析結果を出力装置に出力する分析結果出力装置と、を備える特性評価ユニットであって、前記アンケートは、前記被評価者の特性を把握するための特性把握質問と、前記被評価者の回答の信頼度を把握するための信頼度把握質問と、を含み、前記アンケートにおいては、前記信頼度把握質問と同一又は同質の質問が複数存在する一方、当該同一又は同質の質問は連続しておらず、前記分析実行装置は、前記特性把握質問に関する回答結果に基づいて、前記被評価者の特性を分析する特性分析部と、前記信頼度把握質問及び当該信頼度把握質問と同一又は同質の質問に対する回答のばらつき量を算出する信頼度分析部と、を備え、前記分析結果出力装置は、前記特性分析部における分析結果を表す特性分析結果識別子とともに、前記信頼度分析部における分析結果を表す信頼度分析結果識別子と、を出力し、前記信頼度分析結果識別子は、前記特性分析結果識別子の両側の第1位置及び第2位置に位置し、前記信頼度分析結果識別子の第1位置及び第2位置の間隔は、前記ばらつき量の大きさを表すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、実行の負荷を軽減しつつも精度の高い特性評価プログラム及び特性評価ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】特性評価システムの概要を示す説明図である。
図2】特性評価コンピュータのハードウェア構成図である。
図3】管理サーバの機能ブロック図である。
図4】アンケートデータのデータ構造の概要を示す説明図である。
図5】アンケート回答結果データのデータ構造の概要を示す説明図である。
図6】分析結果の概要を示す説明図である。
図7】分析結果の概要を示す説明図である。
図8】(A)は、アンケートデータを用いた分析方法の概要を示すフロー図である。 (B)は、アンケートデータの作成方法の概要を示すフロー図である。
図9】アンケートソースデータのデータ構造の概要を示す説明図である。
図10】特性評価システム(変形例)の概要を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、特性評価システムは、特性評価コンピュータ10(特性評価ユニット)を備える。特性評価コンピュータ10は、所定のアンケートを通して、被評価者に対して特性評価を行うものである。
【0014】
図2に示すように、特性評価コンピュータ10は、CPU11と、RAM12と、ROM13と、外部記憶装置14と、入力装置15と、出力装置16と、入出力インターフェース18と、バス19と、を備えている。
【0015】
CPU11は、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて特性評価コンピュータ10の各種サービスを実現する。RAM12は、いわゆるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)であり、CPU11の作業領域として使用される。ROM13は、いわゆるROM(リード・オンリー・メモリ)であり、CPU11で実行される基本OSや各種プログラム(例えば、特性評価プログラム)を記憶する。
【0016】
外部記憶装置14は、各種プログラムの演算結果などを記憶するものであり、内蔵型の記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)、着脱可能な記憶装置(例えば、メモリーカード等)がある。なお、外部記憶装置14としては、NAS(ネットワークアタッチストレージ)のように、通信回線経由で接続されるものでもよい。
【0017】
入力装置15は、入力キーやキーボード、マウスであり、各種情報を入力する。出力装置16は、ディスプレイであり、各種動作状態を表示する。
【0018】
入出力インターフェース18は、通信回線における通信を可能にするものである。バス19は、CPU11、RAM12、ROM13、入力装置15、出力装置16、入出力インターフェース18などを一体的に接続して通信を行う配線となる。
【0019】
ROM13に記憶された基本OSや各種プログラムがCPU11によって実行されると、図3に示すように、特性評価コンピュータ10は、外部記憶装置14と、入力装置15と、出力装置16と、入出力インターフェース18と、入力装置15を介して被評価者の特性を問う質問を外部記憶装置14へ登録する質問登録装置11Aと、被評価者の特性を評価するためのアンケートを作成するアンケート作成装置11Bと、アンケートを出力するアンケート出力装置11Cと、アンケートの回答結果を外部記憶装置14へ登録する回答結果登録装置11Dと、外部記憶装置14に記憶された回答結果を分析する分析実行装置11Eと、分析実行装置11Eによる分析結果を出力装置16に出力する分析結果出力装置11Fと、各装置を制御する制御装置11Xと、して機能する。
【0020】
以下、各装置11C~11Xの詳細について説明する。なお、質問登録装置11A及びアンケート作成装置11Bの詳細は後述する。
【0021】
(アンケート出力装置)
アンケート出力装置11Cは、外部記憶装置14に登録されたアンケートに関するデータから任意のアンケートデータ100(図4)を読み込み、所定のアンケート画面を出力装置16へ出力する。
【0022】
図4に示すように、1つアンケートデータ100は、アンケートの固有の識別情報(アンケートID)と、アンケートを構成する特性把握質問の内容を示す情報(質問内容)と、特性把握質問の選択肢に関する情報(選択肢)と、特性把握質問ごとに固有の識別情報(質問ID)と、質問の表示順番を示す情報(表示順)と、質問内容のカテゴリーを示す情報(カテゴリー)と、が関連付けられる。
【0023】
特性把握質問は、コンピテンシーを把握するための質問である。ここで、コンピテンシーとは、達成指向、正確さ、他社貢献、創造力、スピード対応、主体性等であり、「成果をあげるための行動特性」をいう。特性把握質問の内容とは、達成指向を問う質問であれば、「ゴールを決めて物事を進めるのが好きだ。(ID=1)」や、「目標を達成できないと、悔しい気持ちになる。(ID=2)」等であり、正確さを問う質問であれば、「ミスをしないよう、仕事や作業に取り掛かる前に手順や要領を確認する。(ID=11)」や、「仕事や勉強をするときには、整理整頓を心掛けている。(ID=12)」等がある。
【0024】
特性把握質問の選択肢は、5つである。選択肢の内容は、「5 ほとんどあてはまる。 4 かなりあてはまる。 3 どちらともいえない。 2 あまりあてはまらない。 1 まったくあてはまらない。」のような段階形式(リッカート形式)となっている。なお、ここでは、特性把握質問の選択肢の数は5としたが、本発明はこれに限られず、3つ、4つ、または6つ以上であってもよい。
【0025】
表示順は、アンケートデータ100に関連付けられた特性把握質問において、どの順番で表示されるかを示すものである。アンケート出力装置11Cは、表示順の小さいほうから順番に、所定の質問内容及び選択肢を出力装置16に表示する。
【0026】
質問内容のカテゴリーは、他社貢献、創造力、達成指向、正確さ、スピード対応、主体性等、コンピテンシーについての分類を表す。
【0027】
1つのアンケートデータ100において、質問IDが同一の特性把握質問が複数存在する(例えば、表示順「1」の質問ID「1」と、表示順「22」の質問ID「1」)。同一の特性把握質問は、連続しないように並んでいる。より詳細には、「質問IDが同一の質問の間に、これとは異なる質問IDの質問が最低n個挿入される」といった条件を満たす。この場合において、nは、1でもよいし、2以上でもよいが、同一の質問を出されていることを被評価者に気づかれない程度であることが好ましい。また、1つのアンケートデータ100において、複数存在する同一の質問IDに対して、質問IDごとに固有の識別情報(信頼度把握ID)が関連付けられていてもよい。
【0028】
(回答結果登録装置)
回答結果登録装置11Dは、被評価者の入力装置15の操作を介して、アンケート回答結果データ110(図5)を外部記憶装置14へ登録するものである。より具体的には、回答結果登録装置11Dは、被評価者の入力装置15の操作を介して、被評価者の氏名、住所及び性別等の情報が関連付けられた識別情報(被評価者ID)、回答日時を示す情報(回答日時情報)と、を受け付け、これらを出力したアンケートデータ100に関連付けて、アンケート回答結果データ110とする。
【0029】
さらに、回答結果登録装置11Dは、被評価者の入力装置15の操作を介して、選択肢の回答情報(1~5)を質問IDごとに受付ける。次に、回答結果登録装置11Dは、受け付けた選択肢の回答情報(1~5)を、対応する質問IDごとに関連付け、外部記憶装置14へ更新する。
【0030】
(分析実行装置)
分析実行装置11Eは、外部記憶装置14に登録されたアンケート回答結果データ110に基づいて、被評価者の特性を分析するものであり、特性把握質問に関する回答結果に基づいて、被評価者の特性を分析する特性分析部11EAと、同一の質問に対する回答のばらつき量を算出する信頼度分析部11EBと、を備える。
【0031】
特性分析部11EAは、特性把握質問に関する回答結果に基づいて統計処理を行って、カテゴリーまたはコンピテンシーごとに、被評価者の特性を分析する(図6)。
【0032】
なお、特性把握質問に関し、ポジティブな質問とネガティブな質問がある場合には、いずれか一方の回答情報について、「回答選択肢が1の場合は5に変換し、回答選択肢が2の場合は4に変換し、・・・回答選択肢が5の場合は1に変換する」とした後に、統計処理を行ってもよい。
【0033】
信頼度分析部11EBは、質問IDが同一の特性把握質問の回答結果に対し、所定の統計処理を行って、アンケート回答データ110全体またはカテゴリーごとに、被評価者の回答の信頼度を分析する。
【0034】
(分析結果出力装置)
分析結果出力装置11Fは、分析実行装置11Eによる分析結果を出力装置16に出力する(図7(A)~7(B))。分析結果出力装置11Fは、特性分析部11EAにおける分析結果を示す特性分析結果識別子「★」とともに、信頼度分析部11EBにおける分析結果を示す信頼度分析結果識別子「☆」を出力する。信頼度分析結果識別子「☆」は、同一又は同質の質問に対する回答のばらつき量の大きさを表すものであり、特性分析結果識別子「★」の両側に表される(図7(C))。回答のばらつき量が大きくなるにつれて、特性分析結果識別子「★」の両側に並ぶ信頼度分析結果識別子「☆」の数が多くなるように表される。
【0035】
次に、図8(A)を用いて、アンケートデータ100を用いた分析方法について説明する。
【0036】
(アンケート出力ステップ)
特性評価コンピュータ10は、被評価者による入力装置15の操作を介して、特性評価プログラムを起動する。特性評価プログラムの起動後、アンケート出力装置11Cは、外部記憶装置14から任意のアンケートデータ100(図4)を読み込むとともに、被評価者の氏名、住所及び性別等の情報の入力を要求する。入力装置15の操作を介して、被評価者の氏名、住所及び性別等の情報が入力されると、当該情報を読み込んだアンケートデータ100に関連付けて、アンケート回答結果データ110として外部記憶装置14へ登録する。
【0037】
その後、アンケート出力装置11Cは、アンケート回答結果データ110に含まれる質問内容及び選択肢を、表示順に従って1つずつ出力装置16に表示する。
【0038】
(回答結果記憶ステップ)
入力装置15を介して、質問内容に対する回答結果が入力されると、回答結果登録装置11Dは、入力された回答情報と質問内容(質問ID)を関連付け、アンケート回答結果データ110を更新する(図5)。
【0039】
(分析実行ステップ)
分析実行装置11Eは、外部記憶装置14に登録されたアンケート回答結果データ110に基づいて、被評価者の特性を分析する。特性分析部11EAは、特性把握質問に関する回答結果に基づいて統計処理を行って、カテゴリーまたはコンピテンシーごとに、被評価者の特性を分析する(図6)。
【0040】
信頼度分析部11EBは、質問IDが同一の特性把握質問の回答結果に対し、所定の統計処理を行って、アンケート回答データ110全体またはカテゴリーごとに、被評価者の回答の信頼度を分析する。
【0041】
例えば、信頼度分析部11EBは、「質問ID=13」である同一の特性把握質問は、カテゴリーが「正確さ」であり、その回答結果が「1」と「2」の場合、その平均値「1.5」と回答結果との差(絶対値)「0.5」を算出し、これらを関連付けて登録する。次に、信頼度分析部11EBは、「質問ID=11」である同一の特性把握質問は、カテゴリーが「正確さ」であり、その回答結果が「2」と「3」の場合、その平均値「2.5」と回答結果との差「0.5」を算出し、これらを関連付けて登録する。
【0042】
また、信頼度分析部11EBは、「質問ID=5」である同一の特性把握質問は、カテゴリーが「達成指向」であり、その回答結果が「1」と「1」の場合、その平均値「1」と回答結果との差「0」を算出し、これらを関連付けて登録する。次に、信頼度分析部11EBは、「質問ID=1」である同一の特性把握質問は、カテゴリーが「達成指向」であり、その回答結果が「1」と「1」の場合、その平均値「1」と回答結果との差「0」を算出し、これらを関連付けて登録する。
【0043】
同様にして、信頼度分析部11EBは、さらに、質問IDが同一の特性把握質問の回答結果に対し、所定の統計処理を行って、アンケート回答データ110全体としての、被評価者の回答の信頼度を分析する。
なお、上記の例では、
「質問ID=1 平均値=1 平均値と回答結果との差=0」
「質問ID=5 平均値=2.5 平均値と回答結果との差=0.5」
「質問ID=13 平均値=1.5 平均値と回答結果との差=0.5」
「質問ID=11 平均値=1 平均値と回答結果との差=0」
であるため、「平均値と回答結果との差(絶対値)」の平均は、0.25(={(0+0.5+0.5+0)/4} と算出される。
【0044】
(分析結果出力ステップ)
分析結果出力装置11Fは、分析実行装置11Eによる分析結果を出力装置16に出力する。分析結果出力装置11Fは、特性分析部11EAによって得られた分析結果(図6)を出力装置16に出力する。さらに、分析結果出力装置11Fは、特性分析部11EAにおける分析結果を示す特性分析結果識別子「★」とともに、信頼度分析部11EBにおける分析結果を示す信頼度分析結果識別子「☆」を出力する。
【0045】
例えば、特性分析部11EAによる分析結果が6段階評価の「4.0」である場合、図7(A)~(B)のように、評価「4.0」のところに、特性分析結果識別子「★」が表示される。一方、信頼度分析部11EBにおける分析結果により、「平均値と回答結果との差(絶対値)」の平均が「0.25」の場合は、図7(A)のように表示され、「平均値と回答結果との差(絶対値)」の平均が「0.75」の場合は、図7(B)のように表示される。
【0046】
このように、特性分析部11EAによる分析結果が同程度の結果であっても、信頼度が高い結果がどちらであるかについて、信頼度分析結果識別子「☆」を用いて容易に判別できる。
【0047】
さらに、信頼度分析結果識別子「☆」を、特性分析結果識別子「★」とは独立して表示させてしまうと、分析結果を見た人によっては、「回答の信頼性」を「本人の信頼性」と読み違えてしまう可能性があるが、今回の発明では、同一軸の上に、特性分析結果識別子「★」及び信頼度分析結果識別子「☆」を表示する。このため、「回答の信頼性」を「本人の信頼性」と読み違えてしまう事態を回避できる。
【0048】
信頼度分析結果識別子「☆」をカテゴリーごとに行った場合において、例えば、上述の例では、カテゴリー「正確さ」に関する回答のばらつき量は「0.5」であり、カテゴリー「達成指向」に関する回答のばらつき量は「0」となる。このことから、当該被評価者は、カテゴリー「達成指向」に関しての信頼度は、カテゴリー「正確さ」に関しての信頼度よりも高いということもわかる。このため、被評価者に適用しようとする職種に求められるコンピテンシーとして、「達成指向」及び「正確さ」があげられるものの、「達成指向」のほうが「正確さ」よりも優先度が高い場合には、被評価者に対して、当該結果を適用してもよいという判断も可能となる。
【0049】
このように、本発明によれば、コンピテンシーに関する回答結果の分析のみならず、当該回答結果の信頼度の分析を行うとともに、両分析の結果を表示することができる。このため、被評価者が意図的に良い評価となるような回答をした場合であっても該回答結果の信頼度の分析結果から、信頼度の低いものであることを、アンケート実施者は把握することができる。
【0050】
また、信頼度分析部11EBによる結果が所定の条件(例えば、ばらつきの量が基準値以内である)を満たさない場合、アンケートを再度行う等してもよい。
【0051】
上記実施形態では、回答のばらつき量が大きくなるにつれて、特性分析結果識別子「★」から両側に並ぶ信頼度分析結果識別子「☆」の数が多くなるように表したが、本発明はこれに限られず、ばらつき量の大きさに応じて、第1位置(例えば左端)及び第2位置(例えば右端)の間隔が大きくなるように表し、第1位置の信頼度分析結果識別子「☆」から第2位置の信頼度分析結果識別子「☆」までのびる線分を表示してもよい(図7(D)。なお、第1位置及び第2位置の信頼度分析結果識別子の間の線分は省略してもよい。
【0052】
上記実施形態では、特性分析結果識別子を「★」とし、信頼度分析結果識別子を「☆」としたが、本発明はこれに限られず、特性分析結果識別子及び信頼度分析結果識別子を識別できるものであれば、他の識別子であってもよい。例えば、特性分析結果識別子及び信頼度分析結果識別子を、「所定の色で着色された四角形」としてもよい(図7(E))。また、信頼度分析結果識別子は、第1の信頼度分析結果識別子と、第2の信頼度分析結果識別子とを備えていてもよい。第1の信頼度分析結果識別子は、特性分析結果識別子の両隣に位置するものであり、第2の信頼度分析結果識別子は、特性分析結果識別子の外側に位置するものである。図7(E)に示した例では、特性分析結果識別子を「黒色の四角形」とし、第1の信頼度分析結果識別子が「灰色(図中ではハッチング)の四角形」であり、第2の信頼度分析結果識別子が「白色の四角形」である。
【0053】
次に、アンケートデータ100の作成に用いられる質問登録装置11A及びアンケート作成装置11Bについて説明する。
【0054】
特性評価コンピュータ10の質問登録装置11A(図3)は、入力装置15を介して、被評価者の特性を把握するための特性把握質問を外部記憶装置14へ登録する。外部記憶装置14へ登録された特性把握質問は、アンケートソースデータ130として記憶される(図9)。
【0055】
アンケート作成装置11B(図3)は、被評価者の特性を評価するためのアンケートを作成するものであり、外部記憶装置14に記憶された特性把握質問から任意の質問を抽出する特性把握質問抽出部11BAと、外部記憶装置14に記憶された信頼度把握質問から任意の質問を抽出する信頼度把握質問抽出部11BBと、抽出された複数の質問を、当該同一又は同質の信頼度把握質問が連続しないように並べ替える並替部11BCと、を備える。
【0056】
次に、アンケート作成の手順について説明する(図8(B))。
【0057】
(特性把握質問登録ステップ)
特性評価コンピュータ10の質問登録装置11A(図3)は、入力装置15を介して、被評価者の特性を把握するための特性把握質問を外部記憶装置14へ登録する。
【0058】
(特性把握質問抽出ステップ)
まず、特性把握質問抽出部11BA(図3)は、外部記憶装置14に記憶された特性把握質問から所定数の質問を抽出する。
【0059】
(信頼度把握質問抽出ステップ)
次に、信頼度把握質問抽出部11BB(図3)は、特性把握質問抽出部11BAによって抽出された特性把握質問から所定数の質問を抽出する。信頼度把握質問は、質問ごとに固有の識別情報(ID)が付与される。信頼度把握質問の識別情報は、抽出された特性把握質問の識別と同一のものであることが好ましい。
【0060】
(並替ステップ)
次に、並替部11BCは、抽出された特性把握質問及び信頼度把握質問について表示順序を変更する。この際、識別情報(ID)が同一の質問が、連続しないように並べ替える。なお、「識別情報(ID)が同一の質問の間に、最低n個の質問が挿入される」といった条件を定めておくとよい。この場合のnは、1でもよいし、2以上でもよい。これにより、並替部11BCによって並び替えられた質問において、同一又は同質の質問が複数存在する一方、当該同一又は同質の質問は連続して表示されなくなる。最後に、並替部11BCは、並び替えが終わった一連のアンケートデータに対し、当該表示順を質問IDごとに関連付け、アンケートデータ100(図4)として、外部記憶装置14へ登録する。
【0061】
上記実施形態では、特性把握質問は、コンピテンシーを把握するための質問としたが、本発明はこれに限られず、被評価者の「特性」を把握するための質問であればよい。ここで、「特性」とは、行動特性や、行動傾向、性格、気質など、本人を特徴付ける性向や性質、特性等を指す。
【0062】
上記実施形態では、1つのアンケートデータ100(図4)において、質問IDが同一の特性把握質問が2つ存在するとしたが、質問IDが同一の特性把握質問は複数あればよく、例えば、3つあってもよいし、4つ以上あってもよい。また、1つのアンケートデータにおいて、複数存在する質問IDが、2組存在してもよいし、3組または4組以上存在してもよいが、同一の質問を出されていることを被評価者に気づかれない程度であることが好ましい。
【0063】
上記実施形態では、信頼度把握質問は、特性把握質問から任意に抽出したものとしたが、本発明はこれに限られず、特性把握質問と同質のものでもよい。特性把握質問と同質の質問としては、元となる特性把握質問に対し、語順を入れ替えたものや、り、「て」「に」「を」「は」を変更したもの等としてもよい。
【0064】
上記実施形態において、カテゴリー「正確さ」についての分析結果が、中央値近辺にある場合、当該評価者が「正確なタイプなのか」「そうでないタイプなのか」の判別が困難な場合がある。この場合には、回答の信頼度を把握するために、アンケートデータ100に対し、「正確なタイプであるか否か」という質問や、「正確さと他社貢献のどちらが得意か?」といった2者択一の質問を適宜加えてもよい。
【0065】
なお、被評価者にとって適正な職務を分析する際には、コンピテンシーのうち、職務ごとに最も重要なもの、重要なもの、それほど重要でないもののようにランク付けを行い、ランクごとに分析を行なう、または、その結果を表示する、としてもよい。また、任意の職務について重要なコンピテンシーについては、職務に要求されるレベルと、被評価者のレベル(分析結果)とのギャップを示した上で、当該ギャップが小さくなるような施策を表示してもよい。
【0066】
上記実施形態では、特性評価コンピュータ10(スタンドアローンタイプ)の特性評価システムであったが、本発明はこれに限られず、情報端末210と管理サーバ220とを備える特性評価システム200でもよい(図10)。情報端末210は、通信回線250を介して管理サーバ220に対して所定の要求を行う。管理サーバ220は、通信回線250を介して接続する複数の特性評価コンピュータ10に対して、特性評価システムに必要なサービスを提供する。情報端末210及び管理サーバ220はいずれもコンピュータであるが、情報端末210は、前述した特性評価コンピュータ10が担う各種機能(図3)のうち入力装置15及び出力装置16、制御装置11Zの一部を担い、管理サーバ220は、前述した特性評価コンピュータ10(図3)のうち、各装置11A~11Zを担うとしてもよい。
【0067】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
10 特性評価コンピュータ
11 CPU
11A 質問登録装置
11B アンケート作成装置
11C アンケート出力装置
11D 回答結果登録装置
11E 分析実行装置
11F 分析結果出力装置
14 外部記憶装置
15 入力装置
16 出力装置




図1
図2
図3
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図6
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図8
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図10