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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113091
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】端末
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
H04L27/26 112
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024091690
(22)【出願日】2024-06-05
(62)【分割の表示】P 2022522456の分割
【原出願日】2020-05-14
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100169797
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】芝池 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】原田 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】永田 聡
(72)【発明者】
【氏名】リュー ジェン
(72)【発明者】
【氏名】リュー ウェンジャ
(72)【発明者】
【氏名】コウ ギョウリン
(57)【要約】
【課題】Faster-Than-Nyquist(FTN)などによる時間領域の圧縮率に応じた適切な巡回プレフィックス(CP)を設定し得る端末を提供する。
【解決手段】端末は、複数のシンボルによって構成されるスロットを送受信する。端末は、シンボルの時間領域における圧縮の程度に基づいて、シンボルに付加される巡回プレフィックスの長さを設定する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンボルに巡回プレフィックスを付加して送信する送信部と、
前記シンボルを時間領域で圧縮する場合、前記巡回プレフィックスの長さを長く設定する制御部を備える送信装置。
【請求項2】
前記圧縮の程度は、前記時間領域に適用される圧縮係数に基づく請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記圧縮係数が小さくなるに連れて、前記巡回プレフィックスの長さを長くする請求項2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記制御部は、最小の前記圧縮係数と対応付けられた前記巡回プレフィックスの長さを
設定する請求項2又は3に記載の送信装置。
【請求項5】
シンボルに巡回プレフィックスを付加して送信し、
前記シンボルを時間領域で圧縮する場合、前記巡回プレフィックスの長さを長く設定することを含む送信装置の送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信を実行する端末、特に、Faster-Than-Nyquist(FTN)伝送など、時間領域の圧縮をサポートする端末に関する。
【背景技術】
【0002】
3rd Generation Partnership Project(3GPP)は、5th generation mobile communication system(5G、New Radio(NR)またはNext Generation(NG)とも呼ばれる)を仕様化し、さらに、Beyond 5G、5G Evolution或いは6Gと呼ばれる次世代の仕様化も進めている。
【0003】
3GPPのRelease 15(NR)の仕様では、無線フレーム(10ms)は、複数のサブフレーム(1ms)によって構成されること、及びスロットは、14シンボルによって構成されることが規定されている(非特許文献1)。
【0004】
また、現在のNRの仕様は、ナイキストレートに基づいており、Faster-Than-Nyquist(FTN)伝送をサポートしていない。FTNは、ナイキストレートよりも高速なレートでシンボルを多重することによって、ナイキストレート伝送に比較して周波数利用効率(SE)を向上することができる(非特許文献2)。
【0005】
具体的には、FTNは、シンボル間干渉(ISI:Inter-Symbol Interference)及びサブキャリア間干渉(ICI:Inter-subCarrier Interference)を許容して、シンボル及び/またはサブキャリアを高密度に多重することによって周波数利用効率を改善する。
【0006】
また、52.6GHzを超え、71GHzまでをサポートするNRについても検討が進められている(非特許文献3)。さらに、Beyond 5G、5G Evolution或いは6G(Release-18以降)は、71GHzを超える周波数帯もサポートすることを目標としている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】3GPP TS 38.211 V15.8.0, 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; NR; Physical channels and modulation(Release 15)、3GPP、2019年12月
【非特許文献2】H. Lin, N. Lahbabi, P. Siohan and X. Jiang, "An efficient FTN implementation of the OFDM/OQAM system", 2015 IEEE International Conference on Communications (ICC), London, 2015, pp. 4787-4792
【非特許文献3】"New WID on Extending current NR operation to 71 GHz", RP-193229, 3GPP TSG RAN Meeting #86, 3GPP, 2019年12月
【発明の概要】
【0008】
52.6GHzを超えるような高周波数帯域を用いる場合、位相雑音及び伝搬損失の増大が問題となる。また、ピーク対平均電力比(PAPR)及びパワーアンプの非線形性に対してより敏感となる。
【0009】
このような問題を考慮すると、時間領域(time domain)におけるFTNと、Discrete Fourier Transform - Spread Orthogonal Frequency Division Multiplexing(DFT-s-OFDM)とを組み合わせることが考えられる。これにより、周波数利用効率とPAPRとの改善を両立し得る。
【0010】
しかしながら、FTNによる時間領域の圧縮率(圧縮係数と呼ばれてもよい)が可変であることを考慮すると、当該圧縮率と、OFDMシンボルに付加される巡回プレフィックス(CP)の長さとの関係は、必ずしも適切ではない可能性がある。
【0011】
そこで、以下の開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、Faster-Than-Nyquist(FTN)などによる時間領域の圧縮率に応じた適切な巡回プレフィックス(CP)を設定し得る端末の提供を目的とする。
【0012】
本開示の一態様は、複数のシンボルによって構成されるスロットを送受信する送受信部(FTN変調モジュール及びFTN復調モジュール)と、前記シンボルの時間領域における圧縮の程度に基づいて、前記シンボルに付加される巡回プレフィックスの長さを設定する制御部とを備える端末(UE200)である。
【0013】
本開示の一態様は、複数のシンボルによって構成されるスロットを送受信する送受信部(FTN変調モジュール及びFTN復調モジュール)と、前記シンボルの時間領域に適用される圧縮係数を設定する制御部とを備え、前記制御部は、複数の異なる指標のそれぞれと対応付けられた前記圧縮係数を設定する端末(UE200)である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、無線通信システム10の全体概略構成図である。
図2図2は、FTNとDFT-s-OFDMとを組み合わせにおける時間領域の変化を示す図である。
図3図3は、時間領域(time domain)のFTN変調(圧縮)前後におけるCP及びOFDMシンボルの構成例を示す図である。
図4図4は、gNB100及びUE200の概略機能ブロック構成図である。
図5図5は、時間領域にFTNが適用されない通常のCP及びOFDMシンボルの構成例を示す図である。
図6図6は、動作例1-1に係るCP及びOFDMシンボルの基本構成例を示す図である。
図7図7は、動作例1-1に係るCP及びOFDMシンボルの構成例(α=1、オプション1)を示す図である。
図8図8は、動作例1-1に係るCP及びOFDMシンボルの構成例(α=1、オプション2)を示す図である。
図9図9は、動作例1-1に係るCP及びOFDMシンボルの構成例(α=0.8)を示す図である。
図10図10は、動作例1-1に係るCP及びOFDMシンボルの構成例(α=0.5)を示す図である。
図11A図11Aは、動作例1-2-2に係るCP及びOFDMシンボルの構成例(その1, α=1)を示す図である。
図11B図11Bは、動作例1-2-2に係るCP及びOFDMシンボルの構成例(その1, α=0.8)を示す図である。
図11C図11Cは、動作例1-2-2に係るCP及びOFDMシンボルの構成例(その1, α=0.5)を示す図である。
図12A図12Aは、動作例1-2-2に係るCP及びOFDMシンボルの構成例(その2, α=1)を示す図である。
図12B図12Bは、動作例1-2-2に係るCP及びOFDMシンボルの構成例(その2, α=0.8)を示す図である。
図12C図12Cは、動作例1-2-2に係るCP及びOFDMシンボルの構成例(その2, α=0.5)を示す図である。
図13図13は、動作例2に係るターゲット指標、MCS及び圧縮係数(α)の組み合わせ例を示す図である。
図14図14は、動作例2-1に係る圧縮係数(α)のテーブルの例(MCS 0)を示す図である。
図15図15は、動作例2-1に係る圧縮係数(α)のテーブルの例(MCS 10)を示す図である。
図16図16は、動作例2-1に係る圧縮係数(α)のテーブルの例(MCS 28)を示す図である。
図17図17は、動作例2-2に係る圧縮係数(α)のテーブルの例(ロスレス確保)を示す図である。
図18図18は、動作例2-2に係る圧縮係数(α)のテーブルの例(PAPR最適化)を示す図である。
図19図19は、動作例2-2に係る圧縮係数(α)のテーブルの例(スループット最適化)を示す図である。
図20図20は、UE200のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0016】
(1)無線通信システムの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る無線通信システム10の全体概略構成図である。無線通信システム10は、5G New Radio(NR)に従った無線通信システムであり、Next Generation-Radio Access Network 20(以下、NG-RAN20、及び端末200(以下、UE200、User Equipment)を含む。
【0017】
NG-RAN20は、無線基地局100(以下、gNB100)を含む。なお、gNB及びUEの数を含む無線通信システム10の具体的な構成は、図1に示した例に限定されない。
【0018】
NG-RAN20は、実際には複数のNG-RAN Node、具体的には、gNB(またはng-eNB)を含み、5Gに従ったコアネットワーク(5GC、不図示)と接続される。なお、NG-RAN20及び5GCは、単に「ネットワーク」と表現されてもよい。
【0019】
gNB100は、5Gに従った無線基地局であり、UE200と5Gに従った無線通信を実行する。gNB100及びUE200は、複数のアンテナ素子から送信される無線信号を制御することによって、より指向性の高いビームを生成するMassive MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)、複数のコンポーネントキャリア(CC)を束ねて用いるキャリアアグリゲーション(CA)、及びUEと2つのNG-RAN Nodeそれぞれとの間において同時に通信を行うデュアルコネクティビティ(DC)などに対応することができる。
無線通信システム10は、FR1及びFR2に対応する。各FRの周波数帯は、次のとおりである。
【0020】
・FR1:410 MHz~7.125 GHz
・FR2:24.25 GHz~52.6 GHz
FR1では、15, 30または60kHzのSub-Carrier Spacing(SCS)が用いられ、5~100MHzの帯域幅(BW)が用いられてもよい。FR2は、FR1よりも高周波数であり、60,または120kHz(240kHzが含まれてもよい)のSCSが用いられ、50~400MHzの帯域幅(BW)が用いられてもよい。
【0021】
なお、SCSは、numerologyと解釈されてもよい。numerologyは、3GPP TS38.300において定義されており、周波数領域(frequency domain)における一つのサブキャリアスペーシングと対応する。
【0022】
さらに、無線通信システム10は、FR2の周波数帯域よりも高周波数帯域にも対応し得る。具体的には、無線通信システム10は、52.6GHzを超え、114.25GHzまでの周波数帯域に対応してよい。
【0023】
また、当該高周波数帯域は、さらに区分されても構わない。例えば、71GHz以下の周波数レンジと、71GHzを超える周波数レンジとに区分されてもよい。
【0024】
特にこのような高周波数帯域では、キャリア間の位相雑音の増大が問題となる。このため、より大きな(広い)SCS、またはシングルキャリア波形の適用が必要となり得る。
【0025】
また、伝搬損失が大きくなるため、より狭いビーム(すなわち、より多数のビーム)が必要となり得る。さらに、PAPR及びパワーアンプの非線形性に対してより敏感となるため、より大きな(広い)SCS(及び/または、より少ない数のFFTポイント)、PAPR低減メカニズム、またはシングルキャリア波形が必要となり得る。
【0026】
このような問題を解決するため、本実施形態では、特に、52.6GHzを超える帯域を用いる場合、より大きなSCS(例えば、480kHz, 960kHz)が用いられてもよい。さらに、Discrete Fourier Transform - Spread Orthogonal Frequency Division Multiplexing(DFT-s-OFDM)が、より広く適用されてもよい。
【0027】
また、無線通信システム10は、Faster-Than-Nyquist(FTN)伝送をサポートできる。FTNは、ナイキストレートよりも高速なレートでシンボル(具体的には、OFDMシンボル、適宜、シンボルと省略する)を多重することによって、ナイキストレート伝送に比較して周波数利用効率を向上することができる。
【0028】
FTNは、上りリンク(UL)及び下りリンク(DL)の何れか一方のみに適用されてもよいが、UL及びDLの両方へのFTNを除外するものではない。
【0029】
FTNは、シンボル間干渉(ISI:Inter-Symbol Interference)及びサブキャリア間干渉(ICI:Inter-subCarrier Interference)を許容して、OFDMシンボルを高密度に多重することによって周波数利用効率を改善できる。なお、周波数利用効率は、単に利用効率と呼ばれてもよいし、スペクトル効率(Spectral Efficiency(SE))などと呼ばれてもよい。
【0030】
図2は、FTNとDFT-s-OFDMとを組み合わせにおける時間領域の変化を示す。
【0031】
非直交サブキャリアは、以下のように表現できる。
【0032】
・Sub-Carrier Spacing(SCS)(Δf)×OFDMシンボル(T)=α<1s
ここで、αは、FTN変調係数或いは圧縮係数と呼ぶ。なお、圧縮係数は、FTNによる時間領域の圧縮率を意味してよく、単に圧縮率などと呼ばれてもよい。また、圧縮係数は、必ずしもFTNによる時間領域の圧縮率を意味しなくてもよく、FTN以外の他の方式と関連する係数であってもよい。
【0033】
なお、上述したような非直交サブキャリアの波形は、非直交波形(Non-Orthogonal Waveform (NOW))と呼ばれてもよい。
【0034】
図2に示すように、時間領域(time domain)におけるFTN変調前とFTN変調後とを比較すると、FTN変調後では、OFDMシンボルのシンボル長は、FTN変調係数αによってスケーリングされる。また、このような特徴から、αは、Squeezing factor(絞り係数)などと呼ばれてもよい。
【0035】
具体的には、シンボル長は、FTN変調前よりも短くなる、つまり、FTN変調前と比較すると、OFDMシンボルは、時間領域(time domain)において圧縮される。圧縮の程度は、αによってコントロールできる。
【0036】
なお、時間領域は、時間方向などと呼ばれてもよく、シンボル長は、シンボルの時間長、シンボル長さ、シンボル期間或いはシンボル時間などと呼ばれてもよい。
【0037】
このように時間領域においてFTNが適用(FTN変調)されており、非直交波形(NOW)は、以下のように表現されてもよい。
【0038】
・DFT-s-OFDM+時間領域(time domain)のFTN
この場合、巡回プレフィックス(CP)の長さは、NOWの時間領域に適用される圧縮係数(α)に基づいて設定されることが望ましい。また、シンボル間干渉(ISI)及びサブキャリア間干渉(ICI)をキャンセルするため、低複雑度の最小平均自乗誤差(MMSE)-ICI cancelation FDE(周波数領域等化)がサポートされることが望ましい。
【0039】
図3は、時間領域(time domain)のFTN変調(圧縮)前後におけるCP及びOFDMシンボルの構成例を示す。具体的には、図3は、図2に示したOFDMシンボルをより詳細に示している。
【0040】
図3に示すように、圧縮係数αに基づくCP長(N_CP^α)は、以下のように表現できる。
【0041】
【数1】
【0042】
また、図3では、CP長は、シンボル時間(TU)との関係から、TCPとして表現されてもよい。TU及びTCPは、時間を単位(例えば、μ秒)して表現されてもよい。
【0043】
図3に示すように、FTNによる時間領域の圧縮前におけるCPを含むシンボル長は、以下のように表現できる。
【0044】
【数2】
【0045】
また、FTNによる時間領域の圧縮後におけるCPを含むシンボル長は、以下のように表現できる。
【0046】
【数3】
【0047】
(2)無線通信システムの機能ブロック構成
次に、無線通信システム10の機能ブロック構成について説明する。具体的には、gNB100及びUE200の機能ブロック構成について説明する。
【0048】
図4は、gNB100及びUE200の概略機能ブロック構成図である。gNB100及びUE200は、同様の概略機能ブロック構成を有するため、以下、UE200の機能ブロックを例として説明する。
【0049】
上述したように、無線通信システム10では、DFT-s-OFDM(下りリンク(DL)及び上りリンク(UL)の何れにも適用可能)、及びFTNが適用可能である。
【0050】
限られた数のRFチェーンは、SEを低下させ得るが、FTNは、時間領域において圧縮された(絞られた)波形を用いることによって、SEを向上し得る。
【0051】
図4に示す概略機能ブロック構成図は、FTN及びDFT-s-OFDMに関連する部分を主に示している点に留意されたい。図4では、送信(TX)側と受信(RX)側とに区分して、関連する機能ブロックが示されている。
【0052】
上述したように、非直交波形(NOW)は、DFT-s-OFDMと時間領域のFTNとの組み合わせによって生成されると解釈されてよい。
【0053】
送信側では、DFT-s-OFDMが用いられるため、選択された変調方式による変調後、DFTプリコーディング(拡散)が施され、シンボルにサブキャリアのマッピングが実行される。サブキャリアとは、搬送波周波数の異なる正弦波であり、送信されるシンボルの種類に応じて各サブキャリアの位相や振幅が設定される。ここでは、FTNの適用が考慮され、低い周波数のサブキャリアへの集中的なマッピングが実行される。
【0054】
その後、複数のシンボルに対して、逆高速フーリエ変換(IFFT)が実行され、時間信号系列を出力する。入力された複数のシンボルは、個別のサブキャリアによって並列して伝送される。また、IFFT後のOFDM信号に対して、巡回プレフィックス(CP)が付加される。
【0055】
また、送信側では、CP付加の後段、つまり、DFT-s-OFDMの後には、FTN変調モジュール(時間領域圧縮モジュール)が設けられる。
【0056】
FTN変調モジュールは、FTNに従って、ナイキストレートよりも高速なレートでOFDMシンボルを多重化する。具体的には、FTN変調モジュールは、アップサンプリング、及び当該サンプリング後の波形成形機能などを有する。
【0057】
受信側は、上述した送信側と逆の処理を実行する。受信側には、最小平均自乗誤差(MMSE)規範に基づいた周波数領域等化(FDE)機能(MMSE-ICI cancelation FDE)が実装される。これにより、MMSE規範に基づく周波数領域のイコライジングが実行され、BER(Bit Error Rate)特性を改善し得る。
【0058】
具体的には、FDEを用いたDFT-s-OFDMとFTNとの組み合わせは、適度な信号対雑音比(SNR)の増加を犠牲にしつつ、DFT-s-OFDM単体よりもSEを改善し得る。また、FDEを用いたDFT-s-OFDMとFTNとの組み合わせは、CP-OFDMを用いた場合と同様のBER及びSEの性能を達成し得る。
【0059】
また、受信側では、CP除去の前段には、FTN復調モジュール(時間領域伸長モジュール)が設けられる。FTN復調モジュールは、マッチドフィルタ(整合フィルタ)及びダウンサンプリング機能などを有する。
【0060】
FTN変調モジュール及びFTN復調モジュールは、複数のシンボル(具体的には、OFDMシンボル、或いはFTN後であるためFTNシンボルと呼んでもよい)によって構成されるスロットを送受信する。本実施形態において、FTN変調モジュール及びFTN復調モジュールは、送受信部を構成する。
【0061】
スロットとは、無線フレームに含まれる時間方向(時間領域と呼んでもよい)の範囲(期間)である。本実施形態では、14シンボル/スロットがサポートされるが、14シンボルの整数倍のシンボルが含まれるスロットもサポートされてもよい。
【0062】
FTN変調モジュール及びFTN復調モジュールは、異なるスロットパターンを有する複数種類の無線フレームを送受信してもよい。異なるスロットパターンとは、無線フレームに含まれるULシンボル、DLシンボル及びフレキシブルシンボルの数、シンボル長、スロット境界またはシンボル境界の少なくとも何れかが異なることを意味してよい。
【0063】
図4に示す制御部は、UE200の送信側及び受信側を構成する各機能ブロックを制御する。特に、本実施形態では、制御部は、シンボル(OFDMシンボル)の時間領域における圧縮の程度に基づいて、当該シンボルに付加される巡回プレフィックス(CP)の長さを設定することができる。
【0064】
具体的には、制御部は、時間領域(time-domain)に適用される圧縮係数αに基づいてCPの長さを設定することができる。換言すると、制御部は、シンボル(OFDMシンボル)の時間領域に適用される圧縮率を設定することができる。
【0065】
αは、上述したように、時間領域の圧縮率を示す値であり、基本的には、1.0以下の値を採ってよい。α=1.0の場合、OFDMシンボル(CP含む)の時間領域は圧縮されない。なお、αの値は、このような値の逆数或いは分数などによって示されてもよい。
【0066】
αが1.0以下の値を採る場合、制御部は、圧縮係数(α)が小さくなるに連れて、CPの長さを長くしてよい。例えば、制御部は、α=0.5の場合、α=1.0の場合よりもCP長を長くしてよい。
【0067】
或いは、制御部は、最小の圧縮係数(αmin)と対応付けられたCPの長さを設定してもよい。具体的には、制御部は、αが1.0未満の複数の値を採る場合でも、最小のα(例えば、0.5)と対応付けられたCP長を設定してもよい。
【0068】
また、制御部は、複数の異なる指標のそれぞれと対応付けられた圧縮係数を設定することもできる。
【0069】
複数の異なる指標とは、ターゲットとする品質の指標と解釈されてもよい。具体的には、ロスレス確保、PAPR最適化またはスループット最適化が挙げられる。ターゲットとする品質の指標に応じて、適切なαの値は異なり得る。
【0070】
制御部は、ターゲットとする当該指標に応じたαの値を設定することができる。例えば、制御部は、ロスレス確保をターゲットとする場合、ロスレス確保と対応付けられたαの値を設定することができる。同様に、制御部は、PAPR最適化をターゲットとする場合、PAPR最適化と対応付けられたαの値を設定することができ、スループット最適化をターゲットとする場合、スループット最適化と対応付けられたαの値を設定することができる。
【0071】
また、制御部は、このような当該指標に応じたαの値を設定する場合、Modulation and Coding Scheme(MCS)に応じた圧縮係数を設定してもよい。つまり、制御部は、ターゲットとする指標毎に、変調方式及び符号化率の少なくとも何れかに応じたαの値を設定することができる。
【0072】
具体的には、制御部は、MCS Indexと対応付けられたαの値を設定することができる。MCS Indexは、3GPP TS38.214の5.1.3章などにおいて規定されている。MCS Indexは、0~28の値を採り得る。MCS Indexの値によって、Modulation Order(Qm, 変調方式)、及びCode Rate(符号化率)が規定されている。
【0073】
例えば、制御部は、MCS Index 0, 10, 28と対応付けられたαの値を設定することができる。また、各MCS Indexと対応付けられたαの値は、1つでもよいし複数でもよい。MCS Indexと対応付けられたαの値の例については、さらに後述する。
【0074】
或いは、制御部は、このような当該指標に応じたαの値を設定する場合、インデックスと圧縮係数との対応付けに基づいて、圧縮係数を設定してもよい。当該対応付けは、ターゲットとする指標(ロスレス確保、PAPR最適化またはスループット最適化)毎に規定されてよい。
【0075】
具体的には、制御部は、任意のインデックスと、αの値とが対応付けられたテーブルに基づいて、αの値を決定してもよい。当該テーブルは、ターゲットとする指標毎に構成されて構わない。
【0076】
当該インデックスは、MCS Indexと同様に、0~28の値を採ってもよい。つまり、既存のMCS Indexのテーブル(3GPP TS38.214の5.1.3章)を流用して、任意のインデックスと、αの値とが対応付けられたテーブルが構成されてもよい。
【0077】
また、制御部は、このような当該指標に応じたαの値を設定する場合、ネットワークからの上位レイヤにおけるシグナリングに基づいて、αの値、つまり、圧縮係数を設定してもよい。
【0078】
具体的には、制御部は、無線リソース制御レイヤ(RRC)におけるシグナリングに基づいてαの値を設定することができる。より具体的には、ターゲットとする指標毎、或いは複数の指標に共通であるRRCのパラメータ(情報要素(IE)と解釈されてもよい)が用いられてよい。なお、当該パラメータの例については、さらに後述する。
【0079】
なお、UE200は、NRに従った無線通信を実行するため、規定されている参照信号、制御信号、制御チャネル及びデータチャネルに関する処理をサポートする。
【0080】
例えば、UE200は、Demodulation reference signal(DMRS)、及びPhase Tracking Reference Signal (PTRS)などの参照信号(RS)を用いた処理を実行する。
【0081】
DMRSは、データ復調に用いるフェージングチャネルを推定するための端末個別の基地局~端末間において既知の参照信号(パイロット信号)である。PTRSは、高い周波数帯で課題となる位相雑音の推定を目的した端末個別の参照信号である。
【0082】
なお、参照信号には、DMRS及びPTRS以外に、Channel State Information-Reference Signal(CSI-RS)及びSounding Reference Signal(SRS)も含まれる。
【0083】
また、UE200は、制御チャネルを介して、RRCなどの制御信号を送受信する。
【0084】
チャネルには、制御チャネルとデータチャネルとが含まれる。制御チャネルには、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)、PRACH(Physical Random Access Channel)、及びPBCH(Physical Broadcast Channel)などが含まれる。
【0085】
また、データチャネルには、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)、及びPUSCH(Physical Downlink Shared Channel)などが含まれる。データとは、データチャネルを介して送信されるデータを意味してよい。
【0086】
また、UE200は、Protocol Data Unit (PDU)ならびにService Data Unit (SDU)の送受信を実行する。具体的には、UE200は、複数のレイヤ(媒体アクセス制御レイヤ(MAC)、無線リンク制御レイヤ(RLC)、及びパケット・データ・コンバージェンス・プロトコル・レイヤ(PDCP)など)におけるPDU/SDUの組み立て/分解などを実行する。
【0087】
(3)無線通信システムの動作
次に、無線通信システム10の動作について説明する。具体的には、gNB100及びUE200が、FTNによるOFDMシンボルの時間領域における圧縮を実行しつつ、当該圧縮の程度に基づいてCP長を設定する動作、及びターゲットとする品質の指標(ロスレス確保、PAPR最適化またはスループット最適化)と対応付けられた圧縮係数(α)を設定する動作について説明する。
【0088】
なお、以下では、UE200の動作を例として説明する。
【0089】
(3.1)前提
5G Evolution或いは6Gなどでは、高周波数帯域における広帯域幅の利用が想定される。上述したように、DFT-s-OFDMと組み合われたFTNは、高い周波数利用効率(SE)及び電力効率(PE)を実現し得る。
【0090】
しかしながら、単純にFTNとDFT-s-OFDMとを組み合わせた場合、処理などが極めて複雑となる。そこで、複雑性を低減しつつ、高いSE及びPEを達成するため、本実施形態では、DFT-s-OFDMと、時間領域(time domain)のFTNとの組み合わせである非直交波形(NOW)が用いられる。NOWは、DL及び/またはULに適用可能である。
【0091】
複雑性を低減させたNOWをサポートするため、CP長は、NOWに関するパラメータ、具体的には、圧縮係数(α)に基づいて設定されることが望ましい。また、ターゲットとする異なる品質の指標に応じた圧縮係数(α)が設定されることが望ましい。
【0092】
図5は、時間領域にFTNが適用されない通常のCP及びOFDMシンボルの構成例を示す。金的に、CPは、マルチパスによる遅延によって発生するISIを排除するために用いられる。CP長は、FFTサイズ、SCS及びOFDMシンボルのインデックスに基づいて決定される。なお、Extended CPは、60kHzのSCSでのみサポートされている。
【0093】
CP長は、以下のように表現できる。
【0094】
【数4】
【0095】
図5では、Δf=30kHz, FFT size N_f=2048の場合におけるCP及びOFDMシンボルの構成例が示されている。N_CP, I^μの"I"は、OFDMシンボルのインデックス(OFDM symbol index)を意味する。lは、0~27の値を採り得る。
【0096】
図5に示すように、OFDM symbol index (l)=0 or 14の場合、CP長は、160サンプルになる。また、OFDM symbol index (l)≠0 or 14の場合、CP長は、144サンプルになる。
【0097】
3GPP Release-15, 16(NR)では、直交波形の利用が前提となっており、NOWはサポートされていない。以下では、OFDMシンボル(スロットと読み替えてもよい)の時間領域の圧縮率に基づくCP長の設定動作、及びターゲットとする異なる品質の指標に応じた圧縮係数(α)の設定動作について説明する。
【0098】
(3.2)動作概要
動作例1は、NOWを用いつつ、OFDMシンボルの時間領域の圧縮率に基づくCP長の設定に関する。
【0099】
また、動作例2は、ターゲットとする異なる品質の指標に応じた圧縮係数(α)の設定に関する。
【0100】
具体的には、動作例1及び動作例2は、以下のように構成される。
【0101】
(動作例1)
(動作例1-1):CP長は、FFTサイズ、SCS及び(時間領域)OFDM symbol indexのみでなく、圧縮係数(α)に基づいて設定される。
【0102】
(動作例1-2):CP長の設定動作
(動作例1-2-1):圧縮係数(α)によるCP長の設定
(動作例1-2-2):RRCレイヤによる個別のCP長の設定
(動作例2)
(動作例2-1):ターゲットとする異なる品質の指標を含む新たなテーブルの定義
(動作例2-2):ターゲットとする異なる品質の指標毎に新たなテーブルを定義
(動作例2-3):RRCレイヤのパラメータを用いたαの値の設定
このような動作例1または動作例2によって、ISI及びICIをキャンセルでき、かつ複雑性を低減させた受信装置(UEまたはgNB)を構成し得る。また、直交波形を用いる場合と比較して、より高いSE及びPEを達成し得る。
【0103】
なお、CP長について規定する3GPP TS38.211の5.3.1章の内容は、見直されて構わない。例えば、圧縮係数(α)に関する新たなテーブルが規定されてもよい。また、RRCレイヤなどにおける新たなシグナリングが規定されてもよい。
【0104】
(3.3)動作例1
本動作例では、CP長は、圧縮係数(α)にも基づいて設定される。NOWの場合、CPは、以下に示す2つの機能を有する。
【0105】
・マルチパス遅延によって発生するISIを排除する。
【0106】
・FTNの時間領域圧縮に起因するISIを排除する(NOW特有の新たな機能)。
【0107】
(3.3.1)動作例1-1
本動作例では、CP長は、FFTサイズ、SCS及び(時間領域)OFDM symbol indexのみでなく、圧縮係数(α)に基づいて設定される。α=1の場合、CP長の設定において、パルス整形フィルタの影響を考慮するか否かのオプションがあってもよい。
【0108】
具体的には、以下に示すオプション1,2が挙げられる。
【0109】
(オプション1):パルス整形フィルタの影響を考慮したCP長の設定
この場合、CP長は、以下のように計算できる。
【0110】
【数5】
【0111】
(オプション2):パルス整形フィルタの影響を考慮しないCP長の設定
この場合、CP長は、以下のように計算できる。
【0112】
【数6】
【0113】
図6は、動作例1-1に係るCP及びOFDMシンボルの基本構成例を示す。また、本動作例では、CP長は、以下のように表現できる。
【0114】
【数7】
【0115】
ここで、L=0,2,…,2nは、NOWのパルス整形フィルタ前後の両サイドから切り詰められた長さを意味してよい。
【0116】
また、5G Evolution或いは6Gでは、より大きなSCSがサポートされる可能性があるため、より大きなSCS(μ)が提供されてもよい。
【0117】
図7は、動作例1-1に係るCP及びOFDMシンボルの構成例(α=1、オプション1)を示す。また、図8は、動作例1-1に係るCP及びOFDMシンボルの構成例(α=1、オプション2)を示す。
【0118】
図7及び図8では、SCS Δf =30kHz、FFT size N_f=2048であり、NOWのパルス整形フィルタ前後の両サイドから切り詰められた長さL=10の場合における構成例が示されている。数式としては、以下のように表現できる。
【0119】
【数8】
【0120】
図7及び図8に示すように、オプション1とオプション2とでは、CP長が異なっている。具体的には、オプション1のCP長は、オプション2のCP長よりも長い。
【0121】
図9は、動作例1-1に係るCP及びOFDMシンボルの構成例(α=0.8)を示す。また、図10は、動作例1-1に係るCP及びOFDMシンボルの構成例(α=0.5)を示す。なお、SCS及びFFTサイズなどは、図7及び図8に示した構成例と同様の条件である。
【0122】
図9及び図10に示すように、αの値が小さく(つまり、圧縮率が高く)なるに連れて、CP長が長くなってよい。具体的には、α=0.8のCP長よりもα=0.5のCP長が長い。
【0123】
(3.3.2)動作例1-2
本動作例では、CP長が暗黙的または明示的な通知によって設定される。具体的には、CP長は、圧縮係数(α)に応じて暗黙的に設定されてよい(動作例1-2-1)。この場合、αは、3GPPの仕様において予め規定された固定値であってもよいし、RRCまたは下りリンク制御情報(DCI)を用いて設定されてもよい。
【0124】
或いは、CP長は、RRCを用いて明示的に設定されてもよい(動作例1-2-2)。この場合、以下のようなオプションが設定されてもよい。
【0125】
(オプション1):CP長は、最小圧縮係数αminに基づいてRRCを用いて設定される
この場合、αminを示すため、新たなRRCパラメータ(情報要素(IE)またはIEを構成するフィールドでもよい)、例えば、NOW-minCompressionFactorが導入されてもよい。
【0126】
また、αminは、1つのみ設定されてもよいし、複数設定されてもよい。αminが1つのみ設定される場合、全てのαは、同一のセットに属してよい。
【0127】
一方、αminが複数設定され、複数のαが異なるセットに属する場合、各セットと対応するαminが設定されてよい。或いは、αが複数セットのうちのある1セットに属する場合、そのセットに対応するαminが用いられてもよい。
【0128】
(オプション2):CP長は、圧縮係数αに基づいてRRCを用いて設定される
この場合、αを示すため、新たなRRCパラメータ(情報要素(IE)またはIEを構成するフィールドでもよい)、例えば、NOW-CompressionFactorが導入されてもよい。
【0129】
図11A,11B及び11Cは、動作例1-2-2に係るCP及びOFDMシンボルの構成例(その1)を示す。図11A,11B及び11Cは、α=1, 0.8, 0.5にそれぞれ対応する。図11A,11B及び11Cは、上述したオプション1と対応し、αminが1つのみ設定される場合における構成例を示す。
【0130】
具体的には、図11A,11B及び11Cに示すように、α=1, 0.8, 0.5の値を採り得るが、このうち、最小のα、つまり、α=0.5がαminとして設定される({α=1, 0.8, 0.5}∈αmin=0.5)。このため、結果的には、全てα=0.5が適用され、同一のCP長が設定される。
【0131】
図12A,12B及び12Cは、動作例1-2-2に係るCP及びOFDMシンボルの構成例(その2)を示す。図12A,12B及び12Cは、α=1, 0.8, 0.5にそれぞれ対応する。図12A,12B及び12Cも、上述したオプション1と対応し、αminが複数設定される場合における構成例を示す。
【0132】
具体的には、図12A,12B及び12Cに示すように、α=1, 0.8, 0.5の値を採り得るが、このうち、小さい方のα2つがαmin1及びαmin2として設定される({α=1, 0.8}∈αmin1=0.8; {α=0.5}∈αmin2=0.5)。このため、α=1(図12A)には、αmin1=0.8が適用される。
【0133】
なお、本動作例でも、SCS及びFFTサイズなどは、図7及び図8に示した構成例と同様の条件である。
【0134】
(3.4)動作例2
本動作例では、ターゲットとする異なる品質の指標に応じた圧縮係数(α)が設定される。具体的には、上述したように、ロスレス確保、PAPR最適化またはスループット最適化の指標に応じたαが設定される。
【0135】
なお、ロスレス確保とは、パルス整形フィルタ(pulse shaping filter)によってカットされる部分が生じないようにしつつ、時間領域の圧縮を図るものと解釈されてよい。また、UE200の観点では、PAPRは低いことが望ましいことから、PAPR最適化とはPAPRの低減を図るものと解釈されてよい。
【0136】
スループット最適化とは、低BERを担保しつつより小さいαが設定されることでスループット(伝送速度)向上を図るものと解釈されてよい。
【0137】
図13は、動作例2に係るターゲット指標、MCS及び圧縮係数(α)の組み合わせ例を示す。図13に示すように、ターゲットとする品質の指標毎に、αの算定方法は、異なり得る。
【0138】
また、MCS、具体的には、変調方式(QPSK, 16QAM, 64QAM)及び/またはCode Rate(CR)の高低に応じてαの算定方法は異なってもよい。
【0139】
(3.4.1)動作例2-1
本動作例では、ターゲットとする異なる品質の指標を含む新たなテーブルが定義される。図14,15及び16は、動作例2-1に係る圧縮係数(α)のテーブルの例を示す。具体的には、図14,15及び16に示されるテーブルは、MCS 0, 10, 28(MCS Index)とそれぞれ対応する。
【0140】
図14,15及び16に示すように、MCS Indexと対応付けられ、複数の異なるαの値が規定されたテーブルが用いられてよい。また、MCSに応じて、ロスレス確保、PAPR最適化またはスループット最適化の指標に応じた異なるαの値が設定されてよい。さらに、当該指標向け以外のαの値(0.9, 0.8, 0.75など)が設定されてもよい。
【0141】
また、圧縮係数(α)を通知するため、DCIに新たなフィールド(例えば、CompressionFactor scaling)が設けられてもよい。
【0142】
(3.4.2)動作例2-2
本動作例では、ターゲットとする異なる品質の指標毎に新たなテーブルを定義される。図17,18及び19は、動作例2-2に係る圧縮係数(α)のテーブルの例を示す。具体的には、図17,18及び19に示されるテーブルは、ロスレス確保、PAPR最適化またはスループット最適化とそれぞれ対応する。
【0143】
図17,18及び19に示すように、ターゲット指標と対応付けられ、複数の異なるαの値が規定されたテーブルが用いられてよい。
【0144】
また、ターゲット指標毎の圧縮係数(α)を通知するため、DCIに新たなフィールド(例えば、CompressionFactorLossless scaling, CompressionFactorPapr scaling, CompressionFactorThroughput scaling)が設けられてもよい。
【0145】
(3.4.3)動作例2-3
本動作例では、RRCレイヤのパラメータを用いてαの値が設定される。具体的には、以下のようなオプションが設定されてもよい。
【0146】
(オプション1):新たなRRCレイヤのパラメータ(例えば、NOW-CompressionFactorSet)が導入され、ターゲット指標に対して1つのαの値が示される。
【0147】
この場合、当該パラメータが設定されていない場合、UE200は、デフォルト値(例えば、1)を想定してよい。
【0148】
(オプション2):3つの新たなRRCレイヤのパラメータ(例えば、NOW-CompressionFactorLosslessSet、NOW-CompressionFactorPaprSet、NOW-CompressionFactorThroughputSet)が導入され、ターゲット指標に応じた3つのαの値が示される。
【0149】
この場合も、当該パラメータが設定されていない場合、UE200は、デフォルト値(例えば、1)を想定してよい。
【0150】
(4)作用・効果
上述した実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。具体的には、UE200は、シンボル(OFDMシンボル)の時間領域における圧縮の程度に基づいて、当該シンボルに付加される巡回プレフィックス(CP)の長さを設定することができる。
【0151】
このため、時間領域におけるFTNと、DFT-s-OFDMとが組み合わされる場合でも、当該圧縮の程度に応じた適切なCPを設定するこができる。
【0152】
本実施形態では、UE200は、時間領域に適用される圧縮係数αに基づいてCP長を設定することができる。このため、FTNなどによる時間領域の圧縮率に応じた適切なCP長を迅速かつ容易に設定し得る。
【0153】
本実施形態では、UE200は、圧縮係数(α)が小さくなるに連れて、CPを長くすることができる。このため、時間領域の圧縮率が高い場合でも、安定したシンボルの受信を継続し得る。
【0154】
本実施形態では、UE200は、最小の圧縮係数(αmin)と対応付けられたCP長を設定することができる。このため、複数のαが用いられる場合でも、より確実にシンボルの受信を継続し得る。
【0155】
また、UE200は、複数の異なるターゲット指標(ロスレス確保、PAPR最適化またはスループット最適化)のそれぞれと対応付けられた圧縮係数を設定することもできる。
【0156】
このため、最適化の対象とする指標に応じた適切な時間領域の圧縮率を設定することができる。
【0157】
本実施形態では、UE200は、ターゲット指標毎に、変調方式及び符号化率の少なくとも何れかに応じたαの値を設定することができる。このため、ターゲット指標及びMCSの組み合わせに応じた適切な圧縮係数(α)を設定できる。
【0158】
本実施形態では、UE200は、このような当該指標に応じたαの値を設定する場合、任意のインデックス或いはMCS Indexと同様のインデックスと、圧縮係数との対応付けに基づいて、圧縮係数を設定できる。このため、例えば、MCS Indexと同様の構成を踏襲しつつ、圧縮係数を柔軟に設定できる。
【0159】
本実施形態では、UE200は、このような当該指標に応じたαの値を設定する場合、ネットワークからの上位レイヤ(RRCなど)におけるシグナリングに基づいて、αの値、つまり、圧縮係数を設定することができる。このため、ネットワーク主導によって適切なαの値を設定し得る。
【0160】
(5)その他の実施形態
以上、実施形態について説明したが、当該実施形態の記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0161】
例えば、上述した実施形態では、FTNによって時間領域における圧縮係数が変化する例について説明したが、このような時間領域における圧縮係数は、必ずしもFTNに基づくものでなくても構わない。つまり、FTNなどの変調方式に関わらず、単に時間領域における圧縮係数(圧縮率)が規定されても構わない。
【0162】
上述した実施形態では、時間領域におけるFTNと、DFT-s-OFDMとが組み合わされる例について説明したが、このような組み合わせも、必ずしも必須ではない。
【0163】
また、上述した実施形態の説明に用いたブロック構成図(図4)は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的または論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的または論理的に分離した2つ以上の装置を直接的または間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置または上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0164】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。例えば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。何れも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0165】
さらに、上述したUE200は、本開示の無線通信方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図20は、UE200のハードウェア構成の一例を示す図である。図20に示すように、UE200は、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006及びバス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0166】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。当該装置のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つまたは複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0167】
UE200の各機能ブロック(図4参照)は、当該コンピュータ装置の何れかのハードウェア要素、または当該ハードウェア要素の組み合わせによって実現される。
【0168】
また、UE200における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0169】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU)によって構成されてもよい。
【0170】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。さらに、上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行されてもよいし、2つ以上のプロセッサ1001により同時または逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
【0171】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、Read Only Memory(ROM)、Erasable Programmable ROM(EPROM)、Electrically Erasable Programmable ROM(EEPROM)、Random Access Memory(RAM)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施形態に係る方法を実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0172】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、Compact Disc ROM(CD-ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記録媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0173】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0174】
通信装置1004は、例えば周波数分割複信(Frequency Division Duplex:FDD)及び時分割複信(Time Division Duplex:TDD)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。
【0175】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0176】
また、プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0177】
さらに、当該装置は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、Programmable Logic Device(PLD)、Field Programmable Gate Array(FPGA)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部または全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0178】
また、情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、Downlink Control Information(DCI)、Uplink Control Information(UCI)、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング、Medium Access Control(MAC)シグナリング、報知情報(Master Information Block(MIB)、System Information Block(SIB))、その他の信号またはこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0179】
本開示において説明した各態様/実施形態は、Long Term Evolution(LTE)、LTE-Advanced(LTE-A)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4th generation mobile communication system(4G)、5th generation mobile communication system(5G)、Future Radio Access(FRA)、New Radio(NR)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、Ultra Mobile Broadband(UMB)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、Ultra-WideBand(UWB)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせなど)適用されてもよい。
【0180】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0181】
本開示において基地局によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。基地局を有する1つまたは複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局及び基地局以外の他のネットワークノード(例えば、MMEまたはS-GWなどが考えられるが、これらに限られない)の少なくとも1つによって行われ得ることは明らかである。上記において基地局以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MME及びS-GW)であってもよい。
【0182】
情報、信号(情報等)は、上位レイヤ(または下位レイヤ)から下位レイヤ(または上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
【0183】
入出力された情報は、特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報は削除されてもよい。入力された情報は他の装置へ送信されてもよい。
【0184】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0185】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0186】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0187】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(Digital Subscriber Line:DSL)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0188】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術の何れかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、またはこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0189】
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一のまたは類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)は、キャリア周波数、セル、周波数キャリアなどと呼ばれてもよい。
【0190】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0191】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0192】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるため、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0193】
本開示においては、「基地局(Base Station:BS)」、「無線基地局」、「固定局(fixed station)」、「NodeB」、「eNodeB(eNB)」、「gNodeB(gNB)」、「アクセスポイント(access point)」、「送信ポイント(transmission point)」、「受信ポイント(reception point)、「送受信ポイント(transmission/reception point)」、「セル」、「セクタ」、「セルグループ」、「キャリア」、「コンポーネントキャリア」などの用語は、互換的に使用され得る。基地局は、マクロセル、スモールセル、フェムトセル、ピコセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
【0194】
基地局は、1つまたは複数(例えば、3つ)のセル(セクタとも呼ばれる)を収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局(Remote Radio Head:RRH)によって通信サービスを提供することもできる。
【0195】
「セル」または「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局、及び基地局サブシステムの少なくとも一方のカバレッジエリアの一部または全体を指す。
【0196】
本開示においては、「移動局(Mobile Station:MS)」、「ユーザ端末(user terminal)」、「ユーザ装置(User Equipment:UE)」、「端末」などの用語は、互換的に使用され得る。
【0197】
移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0198】
基地局及び移動局の少なくとも一方は、送信装置、受信装置、通信装置などと呼ばれてもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、移動体に搭載されたデバイス、移動体自体などであってもよい。当該移動体は、乗り物(例えば、車、飛行機など)であってもよいし、無人で動く移動体(例えば、ドローン、自動運転車など)であってもよいし、ロボット(有人型または無人型)であってもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、必ずしも通信動作時に移動しない装置も含む。例えば、基地局及び移動局の少なくとも一方は、センサなどのInternet of Things(IoT)機器であってもよい。
【0199】
また、本開示における基地局は、移動局(ユーザ端末、以下同)として読み替えてもよい。例えば、基地局及び移動局間の通信を、複数の移動局間の通信(例えば、Device-to-Device(D2D)、Vehicle-to-Everything(V2X)などと呼ばれてもよい)に置き換えた構成について、本開示の各態様/実施形態を適用してもよい。この場合、基地局が有する機能を移動局が有する構成としてもよい。また、「上り」及び「下り」などの文言は、端末間通信に対応する文言(例えば、「サイド(side)」)で読み替えられてもよい。例えば、上りチャネル、下りチャネルなどは、サイドチャネルで読み替えられてもよい。
【0200】
同様に、本開示における移動局は、基地局として読み替えてもよい。この場合、移動局が有する機能を基地局が有する構成としてもよい。
無線フレームは時間領域において1つまたは複数のフレームによって構成されてもよい。時間領域において1つまたは複数の各フレームはサブフレームと呼ばれてもよい。サブフレームはさらに時間領域において1つまたは複数のスロットによって構成されてもよい。サブフレームは、ニューメロロジー(numerology)に依存しない固定の時間長(例えば、1ms)であってもよい。
【0201】
ニューメロロジーは、ある信号またはチャネルの送信及び受信の少なくとも一方に適用される通信パラメータであってもよい。ニューメロロジーは、例えば、サブキャリア間隔(SubCarrier Spacing:SCS)、帯域幅、シンボル長、サイクリックプレフィックス長、送信時間間隔(Transmission Time Interval:TTI)、TTIあたりのシンボル数、無線フレーム構成、送受信機が周波数領域において行う特定のフィルタリング処理、送受信機が時間領域において行う特定のウィンドウイング処理などの少なくとも1つを示してもよい。
【0202】
スロットは、時間領域において1つまたは複数のシンボル(Orthogonal Frequency Division Multiplexing(OFDM))シンボル、Single Carrier Frequency Division Multiple Access(SC-FDMA)シンボルなど)で構成されてもよい。スロットは、ニューメロロジーに基づく時間単位であってもよい。
【0203】
スロットは、複数のミニスロットを含んでもよい。各ミニスロットは、時間領域において1つまたは複数のシンボルによって構成されてもよい。また、ミニスロットは、サブスロットと呼ばれてもよい。ミニスロットは、スロットよりも少ない数のシンボルによって構成されてもよい。ミニスロットより大きい時間単位で送信されるPDSCH(またはPUSCH)は、PDSCH(またはPUSCH)マッピングタイプAと呼ばれてもよい。ミニスロットを用いて送信されるPDSCH(またはPUSCH)は、PDSCH(またはPUSCH)マッピングタイプBと呼ばれてもよい。
【0204】
無線フレーム、サブフレーム、スロット、ミニスロット及びシンボルは、何れも信号を伝送する際の時間単位を表す。無線フレーム、サブフレーム、スロット、ミニスロット及びシンボルは、それぞれに対応する別の呼称が用いられてもよい。
【0205】
例えば、1サブフレームは送信時間間隔(TTI)と呼ばれてもよいし、複数の連続したサブフレームがTTIと呼ばれてよいし、1スロットまたは1ミニスロットがTTIと呼ばれてもよい。つまり、サブフレーム及びTTIの少なくとも一方は、既存のLTEにおけるサブフレーム(1ms)であってもよいし、1msより短い期間(例えば、1-13シンボル)であってもよいし、1msより長い期間であってもよい。なお、TTIを表す単位は、サブフレームではなくスロット、ミニスロットなどと呼ばれてもよい。
【0206】
ここで、TTIは、例えば、無線通信におけるスケジューリングの最小時間単位のことをいう。例えば、LTEシステムでは、基地局が各ユーザ端末に対して、無線リソース(各ユーザ端末において使用することが可能な周波数帯域幅、送信電力など)を、TTI単位で割り当てるスケジューリングを行う。なお、TTIの定義はこれに限られない。
【0207】
TTIは、チャネル符号化されたデータパケット(トランスポートブロック)、コードブロック、コードワードなどの送信時間単位であってもよいし、スケジューリング、リンクアダプテーションなどの処理単位となってもよい。なお、TTIが与えられたとき、実際にトランスポートブロック、コードブロック、コードワードなどがマッピングされる時間区間(例えば、シンボル数)は、当該TTIよりも短くてもよい。
【0208】
なお、1スロットまたは1ミニスロットがTTIと呼ばれる場合、1以上のTTI(すなわち、1以上のスロットまたは1以上のミニスロット)が、スケジューリングの最小時間単位となってもよい。また、当該スケジューリングの最小時間単位を構成するスロット数(ミニスロット数)は制御されてもよい。
【0209】
1msの時間長を有するTTIは、通常TTI(LTE Rel.8-12におけるTTI)、ノーマルTTI、ロングTTI、通常サブフレーム、ノーマルサブフレーム、ロングサブフレーム、スロットなどと呼ばれてもよい。通常TTIより短いTTIは、短縮TTI、ショートTTI、部分TTI(partialまたはfractional TTI)、短縮サブフレーム、ショートサブフレーム、ミニスロット、サブスロット、スロットなどと呼ばれてもよい。
【0210】
なお、ロングTTI(例えば、通常TTI、サブフレームなど)は、1msを超える時間長を有するTTIで読み替えてもよいし、ショートTTI(例えば、短縮TTIなど)は、ロングTTIのTTI長未満かつ1ms以上のTTI長を有するTTIで読み替えてもよい。
【0211】
リソースブロック(RB)は、時間領域及び周波数領域のリソース割当単位であり、周波数領域において、1つまたは複数個の連続した副搬送波(subcarrier)を含んでもよい。RBに含まれるサブキャリアの数は、ニューメロロジーに関わらず同じであってもよく、例えば12であってもよい。RBに含まれるサブキャリアの数は、ニューメロロジーに基づいて決定されてもよい。
【0212】
また、RBの時間領域は、1つまたは複数個のシンボルを含んでもよく、1スロット、1ミニスロット、1サブフレーム、または1TTIの長さであってもよい。1TTI、1サブフレームなどは、それぞれ1つまたは複数のリソースブロックで構成されてもよい。
【0213】
なお、1つまたは複数のRBは、物理リソースブロック(Physical RB:PRB)、サブキャリアグループ(Sub-Carrier Group:SCG)、リソースエレメントグループ(Resource Element Group:REG)、PRBペア、RBペアなどと呼ばれてもよい。
【0214】
また、リソースブロックは、1つまたは複数のリソースエレメント(Resource Element:RE)によって構成されてもよい。例えば、1REは、1サブキャリア及び1シンボルの無線リソース領域であってもよい。
【0215】
帯域幅部分(Bandwidth Part:BWP)(部分帯域幅などと呼ばれてもよい)は、あるキャリアにおいて、あるニューメロロジー用の連続する共通RB(common resource blocks)のサブセットのことを表してもよい。ここで、共通RBは、当該キャリアの共通参照ポイントを基準としたRBのインデックスによって特定されてもよい。PRBは、あるBWPで定義され、当該BWP内で番号付けされてもよい。
【0216】
BWPには、UL用のBWP(UL BWP)と、DL用のBWP(DL BWP)とが含まれてもよい。UEに対して、1キャリア内に1つまたは複数のBWPが設定されてもよい。
【0217】
設定されたBWPの少なくとも1つがアクティブであってもよく、UEは、アクティブなBWPの外で所定の信号/チャネルを送受信することを想定しなくてもよい。なお、本開示における「セル」、「キャリア」などは、「BWP」で読み替えられてもよい。
【0218】
上述した無線フレーム、サブフレーム、スロット、ミニスロット及びシンボルなどの構造は例示に過ぎない。例えば、無線フレームに含まれるサブフレームの数、サブフレームまたは無線フレームあたりのスロットの数、スロット内に含まれるミニスロットの数、スロットまたはミニスロットに含まれるシンボル及びRBの数、RBに含まれるサブキャリアの数、並びにTTI内のシンボル数、シンボル長、サイクリックプレフィックス(Cyclic Prefix:CP)長などの構成は、様々に変更することができる。
【0219】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、またはこれらのあらゆる変形は、2またはそれ以上の要素間の直接的または間接的なあらゆる接続または結合を意味し、互いに「接続」または「結合」された2つの要素間に1またはそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合または接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1またはそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」または「結合」されると考えることができる。
【0220】
参照信号は、Reference Signal(RS)と略称することもでき、適用される標準によってパイロット(Pilot)と呼ばれてもよい。
【0221】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0222】
上記の各装置の構成における「手段」を、「部」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0223】
本開示において使用する「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0224】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0225】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0226】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0227】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【0228】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0229】
10 無線通信システム
20 NG-RAN
100 gNB
200 UE
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 ストレージ
1004 通信装置
1005 入力装置
1006 出力装置
1007 バス
図1
図2
図3
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図11B
図11C
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図12B
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