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特開2024-113096HFA-134A中のRPL554を含む吸入による投与用医薬組成物
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  • 特開-HFA-134A中のRPL554を含む吸入による投与用医薬組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113096
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】HFA-134A中のRPL554を含む吸入による投与用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20240814BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20240814BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20240814BHJP
   A61P 11/00 20060101ALN20240814BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K47/06
A61P43/00 111
A61P11/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024091837
(22)【出願日】2024-06-05
(62)【分割の表示】P 2021517866の分割
【原出願日】2019-10-09
(31)【優先権主張番号】1816447.5
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
2.プルロニック
3.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】515259535
【氏名又は名称】ヴェローナ ファーマ ピーエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(72)【発明者】
【氏名】スパーゴ、ピーター リオネル
(72)【発明者】
【氏名】ヘイウッド、フィリップ エー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】吸入による投与に適した液体医薬組成物を提供する。
【解決手段】ヒトまたは動物の体の治療における使用のための液体医薬組成物であって、吸入による投与に適し、
(i)9,10-ジメトキシ-2-(2,4,6-トリメチルフェニルイミノ)-3-(N-カルバモイル-2-アミノエチル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-2H-ピリミド[6,1-a]イソキノリン-4-オン(RPL554)を含む粒子の懸濁液;および
(ii)1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA-134a)である希釈剤を含み、前記液体医薬組成物が組成物の総重量に対して0.05重量%未満の界面活性剤を含有する液体医薬組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)9,10-ジメトキシ-2-(2,4,6-トリメチルフェニルイミノ)-3-(N-カルバモイル-2-アミノエチル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-2H-ピリミド[6,1-a]イソキノリン-4-オン(RPL554)を含む粒子の懸濁液;および
(ii)1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA-134a)である希釈剤
を含む、吸入による投与に適した液体医薬組成物であって、前記液体医薬組成物が界面活性剤を実質的に含まない液体医薬組成物。
【請求項2】
液体医薬組成物が共溶媒および界面活性剤から選択されるいずれの追加の賦形剤も実質的に含まない、請求項1に記載の液体医薬組成物。
【請求項3】
液体医薬組成物がいずれの追加の賦形剤も実質的に含まない、請求項1または請求項2に記載の液体医薬組成物。
【請求項4】
液体医薬組成物が組成物の総重量に対して0.2重量%未満の前記界面活性剤または前記追加の賦形剤を含有する、好ましくは、液体医薬組成物が組成物の総重量に対して0.1重量%未満の前記界面活性剤または前記追加の賦形剤を含有する、前述の請求項のいずれか1項に記載の液体医薬組成物。
【請求項5】
粒子が粒子の総重量に対して少なくとも50重量%のRPL554を含む、好ましくは、粒子が粒子の総重量に対して少なくとも99重量%のRPL554を含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の液体医薬組成物。
【請求項6】
RPL554が唯一の活性剤である、前述の請求項のいずれか1項に記載の液体医薬組成物。
【請求項7】
実質的に(i)RPL554および(ii)1,1,1,2-テトラフルオロエタンからなる、前述の請求項のいずれか1項に記載の液体医薬組成物。
【請求項8】
組成物の総重量に対して少なくとも99.5重量%の(i)RPL554および(ii)1,1,1,2-テトラフルオロエタンを含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の液体医薬組成物。
【請求項9】
RPL554を含む粒子が約0.2μmから約5μmのDv50(体積による粒子サイズの中央値)値を有する粒子サイズ分布を有する、前述の請求項のいずれか1項に記載の液体医薬組成物。
【請求項10】
液体医薬組成物中のRPL554を含む粒子の濃度が約0.1mg/mLから約200mg/mLである、前述の請求項のいずれか1項に記載の液体医薬組成物。
【請求項11】
加圧式定量吸入器による投与に適した、前述の請求項のいずれか1項に記載の液体医薬組成物。
【請求項12】
前述の請求項のいずれか1項に記載の液体医薬組成物を含む加圧式定量吸入器。
【請求項13】
ヒトまたは動物の体の治療における使用のための、請求項1から11のいずれか1項に記載の液体医薬組成物。
【請求項14】
喘息、アレルギー性喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎、気管支炎、気腫、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人呼吸困難症候群(ARDS)、ステロイド抵抗性喘息、重症喘息、小児喘息、嚢胞性線維症、肺線維症、肺の線維症、間質性肺疾患、皮膚障害、アトピー性皮膚炎、乾癬、眼の炎症、脳虚血、炎症性疾患および自己免疫疾患から選択される疾患または状態の治療または予防における使用のための、請求項1から11のいずれか1項に記載の液体医薬組成物。
【請求項15】
疾患または状態が慢性閉塞性肺疾患(COPD)である、請求項14に記載の使用のための液体医薬組成物。
【請求項16】
有効量の請求項1から11のいずれか1項に記載の液体医薬組成物を対象に投与することを含む、前記対象における請求項14または請求項15に定義の疾患または状態を治療または予防する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸器用薬物を含む液体医薬組成物、および前記液体医薬組成物を含む加圧式定量吸入器(pMDI)に関する。
【背景技術】
【0002】
RPL554(9,10-ジメトキシ-2-(2,4,6-トリメチルフェニルイミノ)-3-(N-カルバモイル-2-アミノエチル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-2H-ピリミド[6,1-a]イソキノリン-4-オン)は、デュアルPDE3/PDE4阻害剤であり、WO00/58308に記載されている。複合PDE3/PDE4阻害剤として、RPL554は、抗炎症および気管支拡張の両方の作用を有し、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患の治療において有用である。RPL554の構造を以下に示す。
【0003】
【化1】
【0004】
RPL554は、典型的には、呼吸器疾患の治療におけるその有効性に鑑み、吸入により投与される。ネブライザーによるRPL554の投与が知られている(WO2016/042313)。しかしながら、加圧式定量吸入器(pMDI)を使用して呼吸器用薬物を投与することが、しばしば望ましい。
【0005】
RPL554の塩を含むpMDI製剤は、WO2015/173551で想定されている。RPL554と第2の活性剤および界面活性剤との組み合わせを含むpMDI製剤が、WO2014/140648に記載されている。
【0006】
既知のpMDI製剤戦略は、広範囲の異なる噴射剤、賦形剤、共溶媒および界面活性剤の使用を含み得、そしてそれらの懸濁液、溶液または混合物の形態をとってもよい。例え
ば、pMDI製剤は、アルカン(例えばプロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン)、ヒドロフルオロアルカン(HFA、例えばHFA-227、HFA-134aおよびHFA 152a)、エーテル(例えばジメチルエーテル)およびヒドロフルオロオレフィン(HFO、例えばHFO-1234zeおよびHFO-1234yf)などの1つ以上の噴射剤を含んでもよい。エタノールおよび水などの共溶媒は、通常、pMDI製剤に含まれる。pMDI製剤に通常含まれる賦形剤は、抗酸化剤、防腐剤、湿潤剤、キレート剤、乳化剤、香料、緩衝剤、潤滑剤、懸濁剤、および等張化剤を含む。
【0007】
希釈剤への溶解度が低い薬物は、しばしば懸濁液として処方される。そのような懸濁液製剤において、重要な考慮事項は、薬物粒子の均一な分散である。集積、相分離、および凝集は、計量用量の変動につながり得る。従って、界面活性剤および共溶媒などの追加の賦形剤は、通常、懸濁液の特性を改善するために懸濁液製剤で使用される。懸濁液製剤のためのさらなる考慮事項は、粒子サイズ分布の考慮事項である。薬物の粒子サイズ分布は、通常、呼吸可能な範囲(典型的には5μm未満)に維持される。
【0008】
pMDIに含まれる成分のそれぞれは、製剤化される薬物の素性に大きく依存する製剤の安定性および有効性に多くの影響を有し得る。そのような影響は、事前に確実に予測することはできない。pMDIにおける使用のための薬物の正しい製剤は、製剤が臨床現場でうまく使用できることを保証するために重要である。
【発明の概要】
【0009】
RPL554の粒子および希釈剤/噴射剤としてHFA-134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)を含み、界面活性剤を実質的に含まない液体医薬組成物が、加圧式定量吸入器によるRPL554の送達に特に有利であることは、本発明の驚くべき発見である。この液体医薬組成物に関連する多くの利点が見い出された。RPL554およびHFA-134aの特定の組み合わせが、好ましい懸濁液特性および凝集の低減を備えた懸濁液pMDI製剤につながることが見い出された。界面活性剤の存在を必要とすることなく、化学的および物理的に安定な製剤が達成されるかもしれないことも見い出された。
【0010】
本発明の組成物から界面活性剤を省略することができることは、非常に有利である。それは、RPL554が、界面活性剤などの賦形剤に対するアレルギー性炎症反応のリスクが高い、COPDおよび喘息などの状態に苦しんでいる患者に使用される可能性が高いためである。さらに、適切なpMDIを達成するために界面活性剤が必要であると示唆するWO2014/140648の教示を考慮すると、界面活性剤なしで、有効成分の粒子の集積または凝集なしに、適切な長期安定性を達成できることは驚くべきことである。
【0011】
また、RPL554の粒子は、エタノールなどの共溶媒の存在下でオストワルド熟成(懸濁中の粒子の成長)に対して脆弱であることが予想外に見い出された。粒子サイズの増大は、製剤中に存在する粒子の呼吸可能な画分を減少させ得るため、オストワルド熟成を回避することが重要である。本発明の液体医薬製剤は、RPL554粒子のオストワルド熟成を回避することが見い出されている。
【0012】
本発明は、(i)9,10-ジメトキシ-2-(2,4,6-トリメチルフェニルイミノ)-3-(N-カルバモイル-2-アミノエチル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-2H-ピリミド[6,1-a]イソキノリン-4-オン(RPL554)を含む粒子の懸濁液;および(ii)1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA-134a)である希釈剤を含む、吸入による投与に適した液体医薬組成物であって、前記液体医薬組成物が実質的に界面活性剤を含まない液体医薬組成物を提供する。
【0013】
本発明はさらに、本発明の液体医薬組成物を含む加圧式定量吸入器を提供する。
【0014】
本発明はまた、ヒトまたは動物の体の治療における使用のための本発明の液体医薬組成物を提供する。本発明の液体医薬組成物は、喘息、アレルギー性喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎、気管支炎、気腫、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人呼吸器困難症候群(ARDS)、ステロイド抵抗性喘息、重症喘息、小児喘息、嚢胞性線維症、肺線維症(lung fibrosis)、肺の線維症(pulmonary fibrosis)、間質性肺疾患、皮膚障害、アトピー性皮膚炎、乾癬、眼の炎症、脳虚血、炎症性疾患および自己免疫疾患から選択される疾患または状態の治療または予防において使用されてもよい。
【0015】
本発明はまた、有効量の本発明の液体医薬組成物を対象に投与することを含む、前記対象における本明細書で定義されるような疾患または状態を治療または予防する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、圧力定格のガラスバイアル内の懸濁液性能の視覚的評価の概略図を示す。
図2図2は、各製品強度の噴射剤混合物に対する沈降スコアを示す。
図3図3は、液相にディップチューブを配置した24時間後のテスト保存容器(canister)の図を示す。
図4図4は、オレイン酸ありまたはなしの場合の、エタノール濃度を増加させたときのRPL554溶解度グラフを示す。
図5図5は、pMDI製剤の製品強度に対する平均微粒子用量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
本発明の液体医薬組成物は、9,10-ジメトキシ-2-(2,4,6-トリメチルフェニルイミノ)-3-(N-カルバモイル-2-アミノエチル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-2H-ピリミド[6,1-a]イソキノリン-4-オン(RPL554)の粒子の懸濁液を含む。誤解を避けるために、RPL554は遊離塩基の形態である。液体医薬組成物中に存在する粒子の大部分は、典型的には希釈剤中で懸濁している状態であるが、本発明の液体医薬組成物中の粒子の一部または全てが、例えば一定期間の貯蔵後に、液体医薬組成物を含有する容器の底に沈降してしまっているかもしれない。それら粒子は、任意の適切な方法で、例えば、液体医薬組成物の攪拌によって(例えば液体医薬組成物を含む保存容器を振とうすることによって)、再懸濁されてもよい。
【0018】
液体医薬組成物中の希釈剤は、HFA-134aとして知られ、式CHFCFを有する1,1,1,2-テトラフルオロエタンである。希釈剤はまた、噴射剤として作用する。典型的には、HFA-134aは液体医薬組成物の唯一の希釈剤である。別の実施態様においては、液体医薬組成物は、液体医薬組成物中の希釈剤の総重量に対して90重量%を超えるHFA-134aを含む希釈剤を含む。希釈剤は、液体医薬組成物中の希釈剤の総重量に対して、95重量%を超えるHFA-134a、98重量%を超える、または99.5重量%を超えるHFA-134aを含んでもよい。希釈剤は、実質的にHFA-134aからなってもよい。実質的にある成分からなる組成物は、典型的には、その成分および当該組成物が実質的に構成される当該成分の実質的な特性に著しく影響を及ぼすことのない他の任意の成分のみを含む。典型的には、希釈剤は、HFA-134aからなる。希釈剤は、液体医薬組成物の液体成分に対応する。
【0019】
液体医薬組成物は、界面活性剤を実質的に含まない。本明細書で使用される場合、組成
物は、それが組成物の総重量に対して0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満の特定の成分、例えば、0.001重量%未満の特定の成分を含有する場合、特定の成分を「実質的に含まない」。典型的には、液体医薬組成物は、界面活性剤を含まない。
【0020】
界面活性剤の例は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤または双性イオン性界面活性剤を含む。誤解を避けるために、液体医薬組成物は、従って、レシチン、オレイン酸、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルアルコール、オリゴ乳酸、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル(例えば、PEG 300、PEG 600、PEG 1000、Brij 30、Brij 35、Brij 56、Brij 76およびBrij 97)、ポリプロピレングリコール(例えばPPG 2000)、グルコシドアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル、グリセロールアルキルエステル、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル(ポリソルベート、例えばポリソルベート20、ポリソルベート60およびポリソルベート80)、ソルビタンアルキルエステル(例えばソルビタンモノラウレート(スパン20)、ソルビタンモノオレエート(スパン80)およびソルビタントリオレエート(スパン85))、コカミドMEA、コカミドDEA、ドデシルジメチルアミンオキシド、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロック共重合体(ポロキサマー)、ポリエチレングリコールとポリプロピレンオキシドのブロック共重合体(例えばプルロニック(Pluronic)界面活性剤)およびポリエトキシル化獣脂アミン(POEA)を実質的に含まない。
【0021】
好ましい実施態様においては、本発明の液体医薬組成物は、実質的にエタノールを含まない。
【0022】
より好ましくは、液体医薬組成物は、共溶媒および界面活性剤から選択されるいかなる追加の賦形剤も実質的に含まない。液体医薬組成物は、より典型的には、いかなる共溶媒も含まず、いかなる界面活性剤も含まない。
【0023】
共溶媒の例は、エタノール、ペンタン、水、イソプロパノール、グリセロールおよびプロピレングリコールを含む。
【0024】
好ましい実施態様においては、液体医薬組成物は、いかなる追加の賦形剤も実質的に含まない。追加の賦形剤は、例えば、上記のような界面活性剤もしくは共溶媒、または抗酸化剤、防腐剤、湿潤剤、可溶化剤、乳化剤、香味剤、キレート剤、保湿剤、等張化剤、pH調整剤、分散剤および懸濁補助剤から選択される賦形剤であってもよい。
【0025】
液体医薬組成物は、組成物の総重量に対して、0.2重量%未満の前記界面活性剤または前記追加の賦形剤を含有してもよい。例えば、液体医薬組成物は、組成物の総重量に対して、0.1重量%未満の前記界面活性剤または前記追加の賦形剤を含有してもよい。液体医薬組成物は、組成物の総重量に対して、例えば、0.05重量%未満、0.01重量%未満、または0.001重量%未満の前記界面活性剤または前記追加の賦形剤を含有してもよい。
【0026】
典型的には、全てのAPIの総重量に基づいて、本発明の液体組成物中の活性医薬成分(API)の少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも99重量%は、RPL554である。
【0027】
より典型的には、RPL554は、液体医薬組成物中の唯一の活性剤である。この実施
態様においては、本発明の液体医薬組成物は、他の活性剤(例えばムスカリン受容体拮抗薬またはベータアドレナリン受容体作動薬)を実質的に含まない。
【0028】
上記で説明したように、HFA-134aおよびRPL554の粒子を含み、いかなる追加の賦形剤も実質的に含まない液体医薬組成物は、多くの利点を有することが見い出された。従って、典型的には、液体医薬組成物は、実質的に(i)RPL554および(ii)1,1,1,2-テトラフルオロエタンからなる。より典型的には、液体医薬組成物は、組成物の総重量に対して、少なくとも99.5重量%の(i)RPL554および(ii)1,1,1,2-テトラフルオロエタンを含む。液体医薬組成物は、例えば(i)RPL554および(ii)1,1,1,2-テトラフルオロエタンからなってもよい。
【0029】
本発明の液体医薬組成物は、例えば(i)0.005から5重量%の量のRPL554、および(ii)95から99.995重量%の量の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA-134a)を含んでもよく、ここで、重量%は、液体医薬品の総重量に対するものである。典型的には、RPL554およびHFA-134aの総量は、組成物の総重量に対して少なくとも99重量%である。
【0030】
RPL554の粒子は、吸入に適した液体医薬組成物での使用に適したいずれのサイズであってもよい。典型的には、RPL554の粒子は、微粉化粒子である。例えば、RPL554の粒子は、10μm以下または約0.1μmから約8μmのDv50(体積による粒子サイズの中央値)値を有してもよい。
【0031】
典型的には、粒子は、約0.2μmから約5μmのDv50値を有する粒子サイズ分布を有する。より典型的には、RPL554の粒子は、約0.7μmから約3.0μmのDv50値を有する粒子サイズ分布を有する。例えば、RPL554の粒子は、0.9μmから2.7μmのDv50値を有する粒子サイズ分布を有してもよい。しばしば、RPL554の粒子は、約1.1μmから約2.1μmのDv50値を有する粒子サイズ分布を有する。
【0032】
Dv50値は、体積分布における粒子サイズの中央値である。すなわち、粒子の体積の半分は、Dv50値よりも小さい直径を有する粒子に含まれ、粒子の体積の半分は、Dv50値よりも大きい直径を有する粒子に含まれる。これは、粒子サイズ分布を記述するためのよく知られた方法である。
【0033】
粒子は、典型的には、約0.4μmから約1.0μmのDv10値を有する粒子サイズ分布を有する。粒子は、典型的には、約2.0μmから約4.0μmのDv90値を有する粒子サイズ分布を有する。Dv10値は粒子径を反映し、サンプルの体積の10%がDv10値よりも小さい粒子径を有する粒子に含まれる。Dv90値は粒子径を反映し、サンプルの体積の90%がDv90値よりも小さい粒子径を有する粒子に含まれる。
【0034】
Dv50値を測定するのに使用される手法は、典型的には、レーザー回折である。例えば、RPL554粒子は、典型的には、レーザー回折によって測定されるように、約0.2μmから約5μmのDv50値を有する粒子サイズ分布を有する。粒子サイズ分布分析は、Malvern Spraytecを湿式分散セルと組み合わせて使用するレーザー回折によって実施され得る。典型的には、Malvern Spraytecの機器パラメータは、以下のとおりである。
【0035】
・粒子-標準の不透明粒子;
・屈折率粒子-1.50;
・屈折率(虚数)-0.50;
・粒子の密度-1.00;
・分散剤の屈折率-1.33;
・コントローラーユニット-1000RPM;
・測定タイプ-時間指定;
・初期サンプリング時間-30秒;
・あいまいさ-20%-30%;
・分散剤-脱イオン水中の1%ポリソルベート20
【0036】
RPL554の粒子は、任意の薬学的に許容されるサイズ縮小プロセスまたは粒子サイズ制御された製造プロセスによって製造されてもよい。例えば、粒子は、RPL554の溶液を噴霧乾燥することによって、制御された結晶化によって、または固体形態のRPL554のサイズ縮小によって、例えば、エアジェットミリング、機械的微粉化または媒体ミリングによって生成されてもよい。
【0037】
液体医薬組成物中のRPL554を含む粒子の濃度は、吸入器の作動ごとの活性化合物の意図された用量に基づいて変更されてもよい。例えば、粒子の濃度は、液体医薬組成物を含む吸入器の作動ごとに送達されるRPL554の用量が5μg/作動から1500μg/作動であるようなものであってもよい。粒子の濃度は、作動ごとに送達されるRPL554の用量が50μg/作動から1000μg/作動であるようなものであってもよい。
【0038】
液体医薬組成物中のRPL554を含む粒子の濃度は、約0.01mg/mLから約400mg/mLであってもよい。液体医薬組成物中のRPL554を含む粒子の濃度は、典型的には、約0.1mg/mLから約200mg/mLである。より典型的には、液体医薬組成物中のRPL554の粒子の濃度は、約0.5mg/mLから約20mg/mLである。
【0039】
例えば、液体医薬組成物中のRPL554の粒子の濃度は、約0.1mg/mLから約3.0mg/mLまたは約0.5mg/mLから約2.0mg/mLであってもよい。液体医薬組成物中のRPL554の粒子の濃度は、約5.0mg/mLから約20mg/mLまたは約6.0mg/mLから約10mg/mLであってもよい。
【0040】
液体医薬組成物中のRPL554を含む粒子の濃度は、約0.01%w/wから約5.0%w/wであってもよい。液体医薬組成物中のRPL554を含む粒子の濃度は、典型的には、約0.05%w/wから約2.0%w/wである。
【0041】
液体医薬組成物は、典型的には、吸入による投与に適している。液体医薬組成物は、より典型的には、加圧式定量吸入器による投与に適している。加圧式定量吸入器は、加圧液化噴射剤を使用してエアロゾル化された用量の液体医薬組成物を送達する吸入器である。加圧式定量吸入器は、典型的には、液体医薬組成物、計量バルブ、アクチュエーター、およびマウスピースを含む保存容器(またはバイアル)を含む。
【0042】
本発明は、本明細書で定義されるような液体医薬組成物を含む加圧式定量吸入器を提供する。pMDIは当業者によく知られており、多くのそのようなデバイスが市販されており、典型的なデバイスは、AeroBid Inhaler System(Forest Pharmaceuticals)、Atrovent Inhalation Aerosol(Boehringer Ingelheim)、Flovent(登録商標)(GlaxoSmithKline)、Maxair Inhaler(3M)、Proventil(登録商標) Inhaler(Schering)およびSerevent(登録商標) Inhalation Aerosol(GlaxoSmithK
line)を含む。
【0043】
液体医薬組成物を含む加圧定量吸入器は、作動時に、1.0μmから5.0μmの中央質量空気力学的直径(MMAD)を有する液体医薬組成物のエアロゾルを提供するように構成されてもよい。MMADは、公定要件(欧州薬局方(Ph.Eur.)メソッド第2.9.18章およびおよび米国薬局方<601>章)に従って次世代インパクター(Next Generation Impactor)を使用して測定されてもよい。
【0044】
本発明は、ヒトまたは動物の体の治療における使用のための本明細書で定義される液体医薬組成物を提供する。典型的には、液体医薬組成物は吸入によって投与される。
【0045】
液体医薬組成物は、典型的には、喘息、アレルギー性喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎、気管支炎、気腫、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人呼吸困難症候群(ARDS)、ステロイド抵抗性喘息、重症喘息、小児喘息、嚢胞性線維症、肺線維症(lung fibrosis)、肺の線維症(pulmonary fibrosis)、間質性肺疾患、皮膚障害、アトピー性皮膚炎、乾癬、眼の炎症、脳虚血、炎症性疾患および自己免疫疾患から選択される疾患または状態の治療または予防における使用のためのものである。好ましくは、疾患または状態は、COPDまたは喘息である。より好ましくは、疾患または状態は慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。
【0046】
典型的には、液体医薬組成物は、液体医薬組成物を含むpMDIから作動あたり5μgから1000μgの計量された公称用量での吸入によって投与される。例えば、作動あたりの計量された公称用量は、10μgから500μgであってもよい。典型的には、pMDIの2つの作動は、単一の用量を提供するために連続して吸入されてもよい。
【0047】
典型的には、液体医薬組成物を含むpMDIから放出される用量は、計量された公称用量の80%から95%である。
【0048】
典型的には、液体医薬組成物は、1日あたり2から8回のpMDIの作動を介して患者に投与される。
【0049】
本発明は、以下の実施例によってより詳細に説明される。
【実施例0050】
材料および方法
使用材料は以下のとおりである。
・API:微粉化RPL554。微粉化RPL554の特性を以下の表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
・噴射剤:HFA-134aおよびHFA-227ea
・共溶媒:Hyman Kimiaから入手したエチルアルコール/脱水アルコール(100%USP-NFエタノール)
・界面活性剤:Croda International plc.から入手したオレイン酸(Ph.Eur./BP)
・試薬:分析グレードの化学物質が試験全体を通じて使用された。
・金属箔で裏打ちされたポリプロピレンクロージャーを有するホウケイ酸ガラスバイアル(VWR、部品番号215-3905)
・ガラスバイアル:15mlの圧力定格の透明なガラスバイアル(Neville&Moore、部品番号0771C3/A3)
・バルブ:BespakおよびAptar63μlバルブ
・缶:Presspart 14ml缶
・アクチュエーター:Presspartアクチュエーター
【0053】
全てのサンプルは、Pamasolハンドクリンパーおよびフィラーを使用して実験室で調製された。全てのサンプルは、超音波浴に30秒間浸漬することによって混合された。
【0054】
全ての分析方法は、完全に開発され、インビトロ試験はDUSAチューブおよびNext Generation Impaction(NGI)を使用して実施された。
【0055】
分析時に使用した分析試験方法は、以下のとおりである。
・公定要件(欧州薬局方(Ph.Eur)-吸入の準備(0671)および米国薬局方<601>章)に従って実施される送達された用量試験
・公定要件(欧州薬局方(Ph.Eur.)メソッド第2.9.18章およびおよび米国薬局方<601>章)に従って次世代インパクター(Next Generation
Impactor)を使用して実施される空気力学的粒子サイズ分布(APSD)テスト
【0056】
実施例1-適切な噴射剤の評価
実験は、RPL554を含むpMDI懸濁液製剤の希釈剤としての使用のための2つの噴射剤、HFA-134aおよびHFA-227eaの適合性を比較するために実施された。表2は、評価された2つの噴射剤の主要な物理的および化学的特性を示す。
【0057】
【表2】
【0058】
サンプルは、必要な量のRPL554(表3を参照)を15mlの圧力定格の透明なガラスバイアルに追加することによって作成された。噴射剤、HFA-134a、HFA-227ea、またはその2つの組み合わせ(表4を参照)をバルブから添加し、サンプルを超音波浴で30秒間混合した。11.6g(±0.5g)の同じターゲット充填重量が全てのサンプルに使用された。噴射剤中のAPI粒子の出現は、沈降速度および凝集挙動の両方に関して評価された(図1を参照)。高速カメラを使用してガラスバイアルの画像を記録することにより、懸濁攪拌後に製剤の沈降速度を視覚的に評価した。懸濁液の品質は、30秒で沈降または浮遊した活性粒子の量に基づいて、1は沈降/クリームに最も速く(すなわち、望ましくない)、10は沈降/クリームに最も遅い(すなわち、許容できる)という1から10の沈降スコアを割り当てることによって決定された。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
結果
HFA-134a中のRPL554製剤は、振とうすると容易に懸濁し、振とうを停止した後、急速な凝集と緩やかな沈降が観察された。HFA-227eaおよびHFA-134a/HFA-227eaのブレンド(50/50)中の製剤も、振とうすると容易に懸濁した。しかしながら、両方のHFA-227ea含有製剤について、振とうの停止後にクリーミングが観察された。HFA-227ea製剤は、振とう後、より明確で大きなフロックとともに、容器の壁への粒子の付着の証拠を示した。
【0062】
各製品強度の噴射剤(純粋または混合物)を使用した沈降スコアを図2にグラフで示す。これは、より高いHFA-134a含有量の製剤で最もよいスコア(すなわち、最も遅い沈降)が観察されたことを示す。粉末の充填量が増えるため、製品の強度が増すにつれて沈降スコアは低下した。表5は、個々の沈降スコアを示す。
【0063】
【表5】
【0064】
表5からわかるように、希釈剤としてHFA-134aを含む製剤は、希釈剤としてHFA-227eaを含む製剤と比較して一貫して改善された沈降スコアを有することが予想外に見い出された。より高い割合のHFA-134aを含む製剤は、より高い割合のHFA-227eaを含む製剤と比較して、より少ない凝集、より少ないクリーミングおよびより少ない接着につながることが見い出された。
【0065】
従って、HFA-134aは、RPL554の粒子の懸濁液を含む液体医薬組成物用の唯一の希釈剤として有利に使用されるかもしれないことが見い出された。
【0066】
実施例2-適切な追加の添加剤の評価
懸濁液の特性を改善することを追求するために、追加の賦形剤の含有が調査された。特に、界面活性剤(オレイン酸、Ph.Eur./BP)および共溶媒(エタノール、100%USP-NF)をさらに含む製剤を調製した。試験した製剤の組成および観察された沈降スコアを表6に示す。
【0067】
【表6】
【0068】
オレイン酸およびエタノールを含む製剤の懸濁液スコアは、一般に、そのような賦形剤を含まない製剤と同等またはそれよりも低いことが観察された。しかしながら、いくつかのサンプルでは、RPL554が溶解して再結晶したように見えることが観察された。追加の賦形剤へのRPL554の溶解度を評価するために、溶解度分析を実施した。
【0069】
実施例3-RPL554のエタノールへの溶解度
RPL554は、もともとは、表7に示されるUSP/BP溶解度基準に従って、エタノールに実質的に不溶性であると見なされていた。しかしながら、最低の製品強度(10μg/作動)での溶解および再結晶の観察は、オレイン酸の存在下でのエタノール中でのRPL554の溶解度のさらなる調査を促した。
【0070】
【表7】
【0071】
実験方法
サンプルは、1.5mgのRPL554をエタノール、オレイン酸およびHFA-134aを有するプレーンな14mLアルミニウム保存容器に追加することによって調製した。50:1のエタノール/オレイン酸比を維持するために、賦形剤を保存容器に追加した(表8を参照)。RPL554、エタノールおよびHFA-134aのみを含有する対応する保存容器も製造された。保存容器は、短縮されたディップチューブを有する63μLのpMDIバルブで圧着され(図3)、バルブを介してHFA-134aで11.6gまで充填された。ディップチューブの長さは、液体噴射剤/共溶媒相にのみ伸びるのに十分であった(すなわち、API粒子が沈降した後)。サンプルを超音波浴に30秒間入れた。
【0072】
【表8】
【0073】
全ての保存容器を周囲温度で24時間放置して、沈降させ、溶解平衡を確立した。溶解したAPIの量を測定するために、各保存容器から直立位置で(バルブステムに取り付けられたカニューレを通して)10.0cmのメスフラスコに5回発射した。フラスコを脱水エタノールで容量調整し、UV/Visible分光法(Perkin Elmer、モデルラムダ35)を使用して溶液を分析した。RPL554の濃度は、3点検量線に対して定量的に計算された。
【0074】
結果
溶解したRPL554の量は、エタノール濃度の増加とともに増加した。製剤中のオレイン酸の存在は、RPL554の溶解度に影響がないようであった(図4)。
【0075】
RPL554のエタノールへの溶解度の以前の評価は、USP/BP基準による「実質的に不溶性」の分類につながった。もともとの評価は、分析試薬グレードのエタノールを使用して実施された。今回は、脱水アルコール(100%USP-NFエタノール、すなわちバルクpMDI HFA製剤懸濁液の製造において通常使用されるエタノールのグレード)を使用して溶解度を再評価したところ、RPL554のエタノールへの溶解度は、USP/BP基準によると「非常にわずかに溶ける」である、2000中約1部であることがわかった。従って、予想外に、RPL554は、エタノールにいくらかの溶解度を有することが見い出された。
【0076】
懸濁液製剤用には、化学的および物理的不安定性に関する潜在的な問題を回避するために、APIの共溶媒/噴射剤混合物への溶解度は最小限であるべきである。賦形剤としてのオレイン酸およびエタノールの使用に関連するいかなる利点も、RPL554の溶解およびRPL554粒子のオストワルド熟成に対する脆弱性によって大幅に上回られることが見い出された。従って、RPL554の最も有望なpMDI製剤は、HFA-134aのみのRPL554の懸濁液製剤であることが確立された。
【0077】
実施例4-HFA-134aのみの製剤の検証
HFA-134aのみの製剤をさらに評価し、圧力定格のガラスバイアル中でサンプルを調製することにより、RPL554がpMDIを介した送達のために十分に懸濁されることが確認された。3つの製品強度(50、150および500μg/作動)が選択された。これらの製剤の視覚的評価は、市販のHFA-134aのみのpMDI製品と同等の懸濁液品質および沈降速度を示した。
【0078】
RPL554 HFA-134aのみの懸濁液ベースの製剤の製品性能属性は、Aptar63μLバルブで圧着された3つの強度(50、150および500μg/作動)の14mLプレーンアルミニウム保存容器中で実験室サンプルを調製することによってさらに評価された。サンプルを超音波浴で30秒間混合した後、4日間保管、反転させた後、次世代インパクション(NGI)による送達用量均一性(DDU)および空気力学的粒子サイズ分布(APSD)を分析した。
【0079】
送達される用量均一性(DDU)
送達された用量均一性分析は、各製品強度の3つのサンプルで、保存容器の寿命の最初、中間および最後に3回実施された。平均送達用量の結果を表9に示す。
【0080】
全体として、平均送達用量は、各製品強度について予想される標的ラベル表示に近かった。
【0081】
ショット重量
保存容器の寿命の最初、中間および最後にショット重量を測定し、生涯にわたる製品性能を評価した。
【0082】
実験室で調製されたサンプルのショット重量は、80.35±0.54mg(RSD=0.67%、n=9)の平均値で全てのサンプルにわたって一貫していることが見い出された。63μLのHFA-134aの理論上のショット重量は、77.2mgである。
【0083】
空気力学的粒子サイズ分布(APSD)
試験された製剤の微粒子画分(微粒子画分、5μm未満の粒子サイズでの%用量)を決定するために、空気力学的粒子サイズ分布を測定した。結果を表9に示す。
【0084】
【表9】
【0085】
決定された微粒子用量(FPD)および製品強度の相関関係を図5に示す。用量比例性が観察された。
【0086】
実施例5-製剤の安定性
安定性試験は、全てのRPL554製剤強度で実施された。それぞれ25℃/60および40℃/75%RHで実施された安定性試験について、RPL554 HFA-134a pMDI、500μg/作動生成物の実施例データを表10および表11に示す。データは、6か月の安定期間にわたっての一貫した性能を示す。
【0087】
【表10】
【0088】
【表11】
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは動物の体の治療における使用のための液体医薬組成物であって、吸入による投与に適し、
(i)9,10-ジメトキシ-2-(2,4,6-トリメチルフェニルイミノ)-3-(N-カルバモイル-2-アミノエチル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-2H-ピリミド[6,1-a]イソキノリン-4-オン(RPL554)を含む粒子の懸濁液;および
(ii)1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA-134a)である希釈剤
を含み、前記液体医薬組成物が組成物の総重量に対して0.05重量%未満の界面活性剤を含有する液体医薬組成物。
【外国語明細書】