(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113101
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】飛行体の飛行経路作成方法及び管理サーバ
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20240814BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20240814BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20240814BHJP
B64U 20/87 20230101ALI20240814BHJP
B64U 101/26 20230101ALN20240814BHJP
【FI】
G08G5/00
G01C21/34
B64U10/13
B64U20/87
B64U101:26
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024091891
(22)【出願日】2024-06-06
(62)【分割の表示】P 2020112341の分割
【原出願日】2019-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】518156358
【氏名又は名称】株式会社センシンロボティクス
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】深見 兼太郎
(72)【発明者】
【氏名】本田 剛
(57)【要約】 (修正有)
【課題】飛行体の飛行経路を作成する作業において、飛行経路の少なくとも一部に対して手入力等によりウェイポイントを設定する必要のない簡便な飛行経路生成方法及び管理サーバを提供すること、特に構造体の側方を一周できない環境下でも利用可能な飛行経路生成方法及び管理サーバを提供すること。
【解決手段】構造物の表面に沿って飛行する飛行体の飛行経路生成方法であって、構造物に関連する座標と、座標からの距離と、構造物に関連する高さまたは長さとを含むパラメータを設定するステップと、パラメータに基づき、飛行体が構造物の表面に沿って第1方向に往復しながら第1方向に対して垂直な第2方向に進む飛行経路を生成するステップと、を含む飛行経路生成方法。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の表面に沿って飛行する飛行体の飛行経路生成方法であって、
前記構造物に関連する座標と、前記座標からの距離と、前記構造物に関連する高さまた
は長さとを含むパラメータを設定するステップと、
前記パラメータに基づき、前記飛行体が構造物の表面に沿って第1方向に往復しながら
第1方向に対して垂直な第2方向に進む飛行経路を生成するステップと、
を含む飛行経路生成方法。
【請求項2】
前記飛行経路を生成するステップは、
前記構造物の側方を一周しない経路が生成可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の飛行経路生成方法。
【請求項3】
前記パラメータは、さらに、飛行速度、最低飛行高度、ウェイポイントの配置間隔の少
なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の飛行経路生成方法。
【請求項4】
前記飛行経路を生成するステップは、
前記座標及び前記距離により導かれる頂点を複数個有する多角形の前記頂点上を縦方向
に順次往復する、
ことを特徴とする請求項1乃至3に記載の飛行経路生成方法。
【請求項5】
前記飛行経路は、前記飛行体による撮像のための飛行経路であり、
前記パラメータは、さらに、撮像画像の第1方向または第2方向の少なくとも一方のオ
ーバーラップ率を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4に記載の飛行経路生成方法。
【請求項6】
前記飛行経路を第1の飛行経路とし、
前記パラメータに基づき、前記飛行体が構造物の周囲を飛行する第2の飛行経路を生成
するステップを、さらに含む、
ことを特徴とする請求項1乃至5に記載の飛行経路生成方法。
【請求項7】
前記第2の飛行経路を飛行することにより得た情報を基に、前記パラメータを補正し、
当該補正されたパラメータに基づき、前記第1の飛行経路を生成する、
ことを特徴とする請求項6に記載の飛行経路生成方法。
【請求項8】
構造物の表面に沿って飛行する飛行体の飛行経路を生成する管理サーバであって、
前記構造物に関連する座標と、前記座標からの距離と、前記構造物に関連する高さまた
は長さとを含むパラメータを設定するパラメータ設定部と、
前記パラメータに基づき、前記飛行体が構造物の表面に沿って第1方向に往復しながら
第1方向に対して垂直な第2方向に進む飛行経路を生成する飛行経路生成部と、
を備える管理サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体の飛行経路作成方法及び管理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローン(Drone)や無人航空機(UAV:Unmanned Aeria
l Vehicle)などの飛行体(以下、「飛行体」と総称する)が産業に利用され始
めている。こうした中で、特許文献1には、飛行体が予め設定された複数のウェイポイン
トにおいて撮影対象を順次撮影するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の開示技術では、飛行体の飛行経路を作成するために、
全てのウェイポイントを手入力等で予め設定して記憶させる必要がある。そのため、飛行
経路が長くなった際には、飛行経路全域に対してウェイポイントを設定することは手間が
かかるものとなり、特に作業時間が短く限定されている状況では、迅速性に欠けるもので
あった。
【0005】
また、従来から、構造体を周回するようにウェイポイントを設定して飛行経路を作成す
ることも知られているが、この場合、構造体が他の構造体と近接していると、構造体を周
回することができず、そもそも飛行経路を作成することができないという問題が生じ得る
。
【0006】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、飛行体の飛行経路を作成する作
業において、飛行経路の少なくとも一部に対して手入力等によりウェイポイントを設定す
る必要のない簡便な管理サーバ及び管理システムを提供すること、特に構造体の側方を一
周できない環境下でも利用可能な飛行経路生成方法及び管理サーバを提供することを目的
とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、構造物の表面に沿って飛行する飛行
体の飛行経路生成方法であって、前記構造物に関連する座標と、前記座標からの距離と、
前記構造物に関連する高さまたは長さとを含むパラメータを設定するステップと、前記パ
ラメータに基づき、前記飛行体が構造物の表面に沿って第1方向に往復しながら第1方向
に対して垂直な第2方向に進む飛行経路を生成するステップと、を含む飛行経路生成方法
、である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、特に、飛行体の飛行経路を作成する作業において、飛行経路の少なく
とも一部に対して手入力等によりウェイポイントを設定する必要のない簡便な飛行経路生
成方法及び管理サーバを提供することができ、特に構造体の側方を一周できない環境下で
も利用可能な飛行経路生成方法及び管理サーバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる管理システムの構成を示す図である。
【
図2】
図1の管理サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1のユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1の飛行体のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】
図1の管理サーバの機能を示すブロック図である。
【
図6】
図5のパラメータ情報記憶部の構造を示すブロック図である。
【
図7】本発明の実施の形態にかかる飛行経路生成方法のフローチャートである。
【
図8】本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例である。
【
図9】本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例である。
【
図10】本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例である。
【
図11】本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例である。
【
図12】本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例である。
【
図13】本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例である。
【
図14】本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例である。
【
図15】本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例である。
【
図16】本発明の実施の形態にかかる表示画面の応用例である。
【
図17】本発明の実施の形態にかかる表示画面の他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態によるフライト管理
サーバ及びフライト管理システムは、以下のような構成を備える。
[項目1]
構造物の表面に沿って飛行する飛行体の飛行経路生成方法であって、
前記構造物に関連する座標と、前記座標からの距離と、前記構造物に関連する高さまた
は長さとを含むパラメータを設定するステップと、
前記パラメータに基づき、前記飛行体が構造物の表面に沿って第1方向に往復しながら
第1方向に対して垂直な第2方向に進む飛行経路を生成するステップと、
を含む飛行経路生成方法。
[項目2]
前記飛行経路を生成するステップは、
前記構造物の側方を一周しない経路が生成可能である、
ことを特徴とする項目1に記載の飛行経路生成方法。
[項目3]
前記パラメータは、さらに、飛行速度、最低飛行高度、ウェイポイントの配置間隔の少
なくとも1つを含む、
ことを特徴とする項目1または2に記載の飛行経路生成方法。
[項目4]
前記飛行経路を生成するステップは、
前記座標及び前記距離により導かれる頂点を複数個有する多角形の前記頂点上を縦方向
に順次往復する、
ことを特徴とする項目1乃至3に記載の飛行経路生成方法。
[項目5]
前記飛行経路は、前記飛行体による撮像のための飛行経路であり、
前記パラメータは、さらに、撮像画像の第1方向または第2方向の少なくとも一方のオ
ーバーラップ率を含む、
ことを特徴とする項目1乃至4に記載の飛行経路生成方法。
[項目6]
前記飛行経路を第1の飛行経路とし、
前記パラメータに基づき、前記飛行体が構造物の周囲を飛行する第2の飛行経路を生成
するステップを、さらに含む、
ことを特徴とする項目1乃至5に記載の飛行経路生成方法。
[項目7]
前記第2の飛行経路を飛行することにより得た情報を基に、前記パラメータを補正し、
当該補正されたパラメータに基づき、前記第1の飛行経路を生成する、
ことを特徴とする項目6に記載の飛行経路生成方法。
[項目8]
構造物の表面に沿って飛行する飛行体の飛行経路を生成する管理サーバであって、
前記構造物に関連する座標と、前記座標からの距離と、前記構造物に関連する高さまた
は長さとを含むパラメータを設定するパラメータ設定部と、
前記パラメータに基づき、前記飛行体が構造物の表面に沿って第1方向に往復しながら
第1方向に対して垂直な第2方向に進む飛行経路を生成する飛行経路生成部と、
を備える管理サーバ。
【0011】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態による飛行体の飛行経路生成方法及び管理サーバについての
実施の形態を説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の
参照符号及び名称が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重
複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しな
い限り他の実施形態にも適用可能である。
【0012】
<構成>
図1に示されるように、本実施の形態における管理システムは、管理サーバ1と、一以
上のユーザ端末2と、一以上の飛行体4と、一以上の飛行体格納装置5とを有している。
管理サーバ1と、ユーザ端末2と、飛行体4と、飛行体格納装置5は、ネットワークを介
して互いに通信可能に接続されている。なお、図示された構成は一例であり、これに限ら
ず、例えば、飛行体格納装置5を有さずに、ユーザにより持ち運びされる構成などでもよ
い。
【0013】
<管理サーバ1>
図2は、管理サーバ1のハードウェア構成を示す図である。なお、図示された構成は一
例であり、これ以外の構成を有していてもよい。
【0014】
図示されるように、管理サーバ1は、複数のユーザ端末2と、飛行体4、飛行体格納装
置5と接続され本システムの一部を構成する。管理サーバ1は、例えばワークステーショ
ンやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド
・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0015】
管理サーバ1は、少なくとも、プロセッサ10、メモリ11、ストレージ12、送受信
部13、入出力部14等を備え、これらはバス15を通じて相互に電気的に接続される。
【0016】
プロセッサ10は、管理サーバ1全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受
信の制御、及びアプリケーションの実行及び認証処理に必要な情報処理等を行う演算装置
である。例えばプロセッサ10はCPU(Central Processing Un
it)および/またはGPU(Graphics Processing Unit)で
あり、ストレージ12に格納されメモリ11に展開された本システムのためのプログラム
等を実行して各情報処理を実施する。
【0017】
メモリ11は、DRAM(Dynamic Random Access Memor
y)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD(Hard
Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ
11は、プロセッサ10のワークエリア等として使用され、また、管理サーバ1の起動時
に実行されるBIOS(Basic Input / Output System)、
及び各種設定情報等を格納する。
【0018】
ストレージ12は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各
処理に用いられるデータを格納したデータベースがストレージ12に構築されていてもよ
い。
【0019】
送受信部13は、管理サーバ1をネットワークおよびブロックチェーンネットワークに
接続する。なお、送受信部13は、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Blu
etooth Low Energy)の近距離通信インターフェースを備えていてもよ
い。
【0020】
入出力部14は、キーボード・マウス類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力
機器である。
【0021】
バス15は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各
種制御信号を伝達する。
【0022】
<ユーザ端末2>
図3に示されるユーザ端末2もまた、プロセッサ20、メモリ21、ストレージ22、
送受信部23、入出力部24等を備え、これらはバス25を通じて相互に電気的に接続さ
れる。各要素の機能は、上述した管理サーバ1と同様に構成することが可能であることか
ら、各要素の詳細な説明は省略する。
【0023】
<飛行体4>
図4は、飛行体4のハードウェア構成を示すブロック図である。フライトコントローラ
41は、プログラマブルプロセッサ(例えば、中央演算処理装置(CPU))などの1つ
以上のプロセッサを有することができる。
【0024】
また、フライトコントローラ41は、メモリ411を有しており、当該メモリにアクセ
ス可能である。メモリ411は、1つ以上のステップを行うためにフライトコントローラ
が実行可能であるロジック、コード、および/またはプログラム命令を記憶している。ま
た、フライトコントローラ41は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GP
Sセンサ、近接センサ(例えば、ライダー)等のセンサ類412を含みうる。
【0025】
メモリ411は、例えば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離
可能な媒体または外部の記憶装置を含んでいてもよい。カメラ/センサ類42から取得し
たデータは、メモリ411に直接に伝達されかつ記憶されてもよい。例えば、カメラ等で
撮影した静止画・動画データが内蔵メモリ又は外部メモリに記録されてもよいが、これに
限らず、カメラ/センサ42または内蔵メモリからネットワークNWを介して、少なくと
も管理サーバ1やユーザ端末2、飛行体格納装置5のいずれかに1つに記録されてもよい
。カメラ42は飛行体4にジンバル43を介して設置される。
【0026】
フライトコントローラ41は、飛行体の状態を制御するように構成された図示しない制
御モジュールを含んでいる。例えば、制御モジュールは、6自由度(並進運動x、y及び
z、並びに回転運動θx、θy及びθz)を有する飛行体の空間的配置、速度、および/
または加速度を調整するために、ESC44(Electric Speed Cont
roller)を経由して飛行体の推進機構(モータ45等)を制御する。バッテリー4
8から給電されるモータ45によりプロペラ46が回転することで飛行体の揚力を生じさ
せる。制御モジュールは、搭載部、センサ類の状態のうちの1つ以上を制御することがで
きる。
【0027】
フライトコントローラ41は、1つ以上の外部のデバイス(例えば、送受信機(プロポ
)49、端末、表示装置、または他の遠隔の制御器)からのデータを送信および/または
受け取るように構成された送受信部47と通信可能である。送受信機49は、有線通信ま
たは無線通信などの任意の適当な通信手段を使用することができる。
【0028】
例えば、送受信部47は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネッ
トワーク(WAN)、赤外線、無線、WiFi、ポイントツーポイント(P2P)ネット
ワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信などのうちの1つ以上を利用することがで
きる。
【0029】
送受信部47は、センサ類42で取得したデータ、フライトコントローラ41が生成し
た処理結果、所定の制御データ、端末または遠隔の制御器からのユーザコマンドなどのう
ちの1つ以上を送信および/または受け取ることができる。
【0030】
本実施の形態によるセンサ類42は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、
GPSセンサ、近接センサ(例えば、ライダー)、またはビジョン/イメージセンサ(例
えば、カメラ)を含み得る。
【0031】
<管理サーバの機能>
図5は、管理サーバ1に実装される機能を例示したブロック図である。本実施の形態に
おいては、管理サーバ1は、通信部110、フライトミッション生成部120、過去飛行
経路呼出部130、レポート生成部140、記憶部160を備えている。フライトミッシ
ョン生成部120は、飛行経路生成部121を含む。また、記憶部160は、飛行経路情
報記憶部162、フライトログ記憶部164、パラメータ情報記憶部166の各種データ
ベースを含む。さらに、
図6に示すように、パラメータ情報記憶部166は、構造物座標
記憶部1621、距離記憶部1622、構造物高さ(長さ)記憶部1623、飛行速度記
憶部1624、最低飛行高度記憶部1625、ウェイポイント間隔記憶部1626を含む
。
【0032】
通信部110は、ユーザ端末2や、飛行体4、飛行体格納装置5と通信を行う。通信部
110は、ユーザ端末2から、フライト依頼を受け付ける受付部としても機能する。
【0033】
フライトミッション生成部120は、フライトミッションを生成する。フライトミッシ
ョンは、少なくとも飛行経路を含む。新たな飛行経路は、パラメータ情報記憶部166を
参照して飛行経路生成部121により生成され、飛行経路生成の具体例は後述するが、例
えば
図10や
図11に記載されるようなパラメータ情報を基に、全ての飛行経路が自動的
に生成される構成でもよいし、予め登録済みの飛行経路または過去に設定した飛行経路を
呼び出す構成でもよいし、構造物の形状の複雑さ若しくは構造物の周辺環境、許容される
作業時間及び作業量に応じて、一部のウェイポイントを手動で設定/編集するようにして
もよい。
【0034】
なお、飛行経路は、例えば、飛行体格納装置5を有さずに、ユーザにより機体を持ち運
びされた位置を飛行開始位置としたり、飛行終了位置においてユーザが機体を回収したり
する構成などでもよいし、管理サーバ1により管理された飛行体格納装置5の情報(例え
ば、位置情報や格納状態情報、格納機情報など)を基に、飛行開始位置または飛行終了位
置として選択された飛行体格納装置5の位置も含めた飛行経路として生成される構成でも
よい。
【0035】
過去飛行経路呼出部130は、飛行経路情報記憶部162を参照して、過去飛行経路を
今回の飛行経路として呼び出す。過去に生成された飛行経路は、飛行経路情報記憶部16
2に手動または自動で保存されている。なお、過去飛行経路は、呼出前または呼出後に飛
行経路の一部を変更可能である。
【0036】
パラメータ情報記憶部166は、飛行経路生成部121により飛行経路を生成する際に
用いられるパラメータ情報を格納している。具体的なパラメータの例としては、構造物に
関する座標と、当該座標からの距離と、構造物に関する高さ、飛行速度、最低飛行高度、
ウェイポイントの配置間隔、多角形の角数(構造物に関連する座標及び当該座標からの距
離により導かれる頂点の数)であり、特に飛行体4にて構造物を撮像する場合には、撮像
画像の縦方向または横方向の少なくとも一方のオーバーラップ率をさらに含む。
【0037】
レポート生成部140は、フライトログ記憶部164に基づいてユーザ端末2に送信す
るためのレポート情報を生成する。本実施の形態においては、例えば、フライトミッショ
ンにて設定された飛行経路上にて、飛行体4により取得された情報(静止画像、動画像、
音声その他の情報)が、フライトログ記憶部164に蓄積される。
【0038】
<飛行経路生成方法の一例>
図7-16を参照して、本実施形態にかかる飛行経路生成方法(特に、新規でフライト
プランを設定する際の飛行経路生成方法)について、本実施の形態における管理システム
の動作も含めて説明する。
図7には、本実施形態にかかる飛行経路生成方法のフローチャ
ートが例示されている。このフローチャートでは、例示的にユーザ端末2上でアプリケー
ションを起動する構成を示しているが、これに限らず、例えば管理サーバ1や飛行体格納
装置5がアプリケーションを起動可能なプロセッサと入出力装置を有し、各種設定等が可
能な構成であってもよい。なお、
図8-16は、本発明の実施の形態にかかる飛行経路生
成方法に関連する表示画面の一例である。
【0039】
まず、ユーザは、ユーザ端末2において、例えば飛行体のアプリケーションを起動する
(SQ101)。このアプリケーションは、例えばユーザ端末2に記憶されていてもよい
し、ネットワークを介して接続される管理サーバ1または他のサーバ(不図示)から提供
されるソフトウェア(いわゆるSaaS)であってもよい。必要に応じてログイン画面が
表示され、例えばログインIDやパスワードを要求する構成にしてもよい。
【0040】
次に、ユーザは、フライトプランを選択する(SQ102)。
図8に例示されるように
、ユーザ端末2の入出力部24に含まれる表示部には、例えば、過去飛行経路呼出部13
0により飛行経路情報162から呼び出された過去の飛行経路(フライトプラン)を表示
しており、ユーザは、これら過去の飛行経路の中から今回の飛行経路を選択してもよい(
SQ201)。また、事前にフライトプランを登録しておくようにしてもよく、さらに、
フライト済みのフライトプランを表示させないように設定可能としてもよい。また、ユー
ザは、過去のフライトプランや登録済みのフライトプランの編集が必要か選択し(SQ2
02)、新規のフライトプランとしてもよい。以下、ユーザが新規のフライトプランを作
成することを選択したとして説明を進める。
【0041】
次に、ユーザは、新規のフライトプランを作成する(SQ103)。
図9に例示される
ように「プラン名」や「エリア名」、「住所」などを設定して、新規のフライトプランの
作成を開始する。なお、ユーザ端末2上でAPI(Application Progr
amming Interface)やアプリケーションソフトなどを用いて、ここで入
力された「住所」から検索された地図を表示してもよく、ズームイン/ズームアウトも可
能にしてもよい。これにより、何れの地点のフライトプランを作成するかが、よりわかり
やすくなる。
【0042】
次に、ユーザは、飛行経路生成に関連するパラメータを設定する(SQ104)。例え
ば、
図10に例示されるように、ユーザは、構造物に関連する座標(例示では、中心座標
と記載されているが、これに限らない。)、当該座標からの距離(例示では、構造物の半
径と記載されているが、これに限らない。)、構造物に関連する高さまたは長さを設定す
る。それにより、例えば、飛行経路生成部121は、構造物に関連する座標から所定の方
角へ、ユーザに設定された距離を進んだ座標を、予め設定された多角形の1つ目の頂点と
して設定する。そして、当該多角形の形状から導かれる頂点間の中心角度とユーザに設定
された距離に基づき、全ての頂点の座標を設定する。最後に、当該頂点の座標と構造物に
関する高さまたは長さに基づき、縦方向の飛行経路101が設定される。なお、構造物に
関連する座標とは、例えば構造物の中心座標であり得るが、これに限らず、構造物が位置
する敷地内の何れかの座標であったり、複数の構造物の間の座標であったりと、構造物の
表面に沿って(構造物の外面のほか内面の少なくとも一部に沿うことも含む)飛行するに
あたり、ユーザが希望する飛行経路に合わせて適宜設定されるものである。また、構造物
に関連する座標とは、例えば平面上の座標(いわゆる、x軸座標とy軸座標)や緯度と経
度などであってもよい。
【0043】
そして、飛行経路生成部121は、さらに、各縦方向の飛行経路101を一度の飛行で
網羅的に飛べるように、横方向の飛行経路102でつなぐことで、最終的な飛行経路を生
成する。なお、例示した飛行経路に限らず、例えば、縦方向が地面に対して垂直でなくて
もよく、縦方向の飛行経路101の上端または下端を形成する多角形の頂点を始点または
終点として結んだ飛行経路であればよい。この場合、縦方向の飛行経路101が地面に対
して斜め方向である場合には、必要に応じて、少なくとも一部の横方向の飛行経路102
を省略してもよい。また、例えば、横方向の飛行経路102は、縦方向の飛行経路101
の上端または下端を始点または終点としていなくてもよく、途中に形成されていてもよい
。さらに、例えば、飛行体4が縦方向の飛行経路101を一端から他端まで飛行した後、
他端から飛行経路101を所定距離(一端までの距離も含む)を引き返し、横方向の飛行
経路102を介して次の飛行経路101に移行してもよい。
【0044】
さらに、最終的な飛行経路は、必ずしも構造体の側方を一周しない経路であってもよい
。すなわち、
図15に例示されるように、構造体が他の構造体と近接しているなど、全て
の側方を飛行できない場合であっても、対象部分の縦方向の飛行経路101及び横方向の
飛行経路102を生成しないことで飛行可能となる。また、これを応用して、
図16に例
示されるように、壁の一面だけに沿って飛行させたい場合には、例えば、四角形の飛行経
路を生成し、一点鎖線の部分の飛行経路201を生成しないようにする、または、削除す
ることで、点線の部分の飛行経路202により達成することが可能である。
【0045】
また、構造物に関する高さについては、飛行経路101を生成する際に、飛行体4が構
造物の頂部を超えるように、設定された構造物の高さに所定の高さを足した数値を用いて
もよい。そして、距離についても、特に安全性の観点から、設定された距離に所定の距離
を足した数値を用いて飛行経路を生成してもよい。
【0046】
また、
図10に例示されるように、構造物モデル103を表示するようにすると、より
飛行経路が適切かどうかをユーザが直感的に判定しやすい。この構造物モデル103は、
用意されたテンプレートから選択するようにしてもよいし、事前にユーザ又は他の事業者
等により作成されていたモデルでもよいし、本飛行経路を生成する前に飛行体4により取
得された情報に基づいて作成されたモデルでもよい。なお、ユーザ端末2上でAPI(A
pplication Programming Interface)やアプリケーシ
ョンソフトなどを用いて表示された地図上を選択することで、構造物に関する座標を指定
してもよい。また、構造物に関する座標からの距離や構造物に関する高さは、図示される
ように、スライドバーにより設定可能であってもよく、これに応じて、飛行経路101及
び102が動的に変化して表示されるようにしてもよい。
【0047】
さらに、
図11に例示されるように、ユーザが、飛行速度、最低飛行高度、多角形の頂
点の数、ウェイポイントの配置間隔(不図示)などを設定可能にしてもよい。また、飛行
経路生成の目的が、構造物の撮像である場合、撮像画像の縦方向または横方向の少なくと
も一方のオーバーラップ率を設定可能にしてもよい。この時、横方向のオーバーラップ率
は、多角形の角数や、カメラのズーム率などを設定することに用いてもよい。また、ユー
ザ端末2の表示画面に表示された飛行経路101及び102上に、ウェイポイントを表示
してもよい。
【0048】
次に、ユーザは、飛行体4にフライトの開始を指示する(SQ105)。例えば、
図1
2、
図13に例示されるように、飛行体4から受信した現在の位置情報104を、ユーザ
端末2に表示してもよい。また、飛行体4の現在位置を飛行経路101及び102上に動
的に表示されるようにしてもよい。
【0049】
次に、ユーザは、管理サーバ1にレポートの生成を指示する(SQ106)。
図14に
例示されるように、レポートとして、飛行体4が実際に飛行したルートを表示してもよい
。また、レポートとして、飛行体4が取得した情報(例えば、撮像画像など)を並べて表
示するようにしてもよい。さらに、飛行体4が取得した情報を取得した位置がわかるよう
に、飛行体4が実際に飛行したルート上にウェイポイントを選択すると、その位置で何れ
の情報が取得されたか強調される(例えば、撮像画像が色枠で囲われたり、マークが付与
されたり、拡大表示されたりなど)ようにしてもよいし、反対に、取得した情報を選択す
ると、ウェイポイントが強調される(例えば、ウェイポイントを示すマークの色や大きさ
が変更されたりなど)ようにしてもよい。また、ウェイポイントにIDを付与して、取得
された情報の周囲に当該IDを表示して、ウェイポイントと取得された情報が関連付けら
れていてもよい。
【0050】
このように、本発明は、飛行体の飛行経路を作成する作業において、飛行経路の少なく
とも一部に対して手入力等によりウェイポイントを設定する必要のない簡便な飛行経路生
成方法及び管理サーバを提供することができ、特に構造体の側方を一周できない環境下で
も利用可能な飛行経路生成方法及び管理サーバを提供することができる。
【0051】
<他の飛行経路生成方法の一例>
図17には、本発明の実施の形態にかかる飛行経路生成方法に関連する表示画面の他の
例である。
【0052】
本実施形態の飛行経路は、例えば、上述の飛行経路生成方法によって生成された飛行経
路で実際に飛行させる前に、構造物の状態や構造物の周辺の状態(風速や風向きなどの周
辺環境を含む)の確認等の目的で設けてもよい。この場合、本実施形態の飛行によって、
構造物に関連する座標や、当該座標からの距離、構造物に関連する高さまたは長さなどを
事前に確認し、確認時に得られた情報を基に、設定されたパラメータを増減して補正また
は修正してもよい。これにより、より正確な最終的な飛行経路を生成可能となる。
【0053】
また、本実施形態の飛行は、上述の目的等が達成されればよいため、
図17に示した経
路に限らず、例えば実際の飛行経路より上空又は低空を飛行する、所定方向の飛行を制限
する、飛行速度を増加または減少する、ウェイポイントの追加又は省略する、多角形の角
数を増加または減少する等の変更を加えた飛行経路であってもよい。さらに、上述の目的
や安全確認などの目的のために、本実施形態の飛行経路を単独で生成してもよい。
【0054】
なお、これまでの説明においては、縦方向に往復しながら横方向に進む構成について説
明したが、これに限らず、構造物に沿って横方向に往復しながら縦方向に進む構成であっ
てもよい。より具体的な例としては、例えば、鉛直横方向に延伸した管状の構造物の内側
および/または外側などであってもよいし、トンネルやビニルハウスなどの断面が半円(
いわゆる、かまぼこ型)の構造物の内側および/または外側であってもよい。この場合、
構造物に関する座標には高さ方向の座標(いわゆる、z軸座標)が加味され、当該座標か
ら縦方向に移動した先の座標などに基づき多角形を生成し、当該構造物の幅または長さに
関連した座標に応じて横方向に延伸させてもよい。
【0055】
また、特に構造物内部のような非GPS環境下では、少なくとも飛行開始位置において
、飛行体4の向きを取得してもよく、例えば上述したセンサ類42により、その向きを取
得してもよい。より具体的には、LIDAR等により構造物内部の状況を検知してもよい
。また、例えば当該取得した向きに基づいて、上述したフライトコントローラ41により
、飛行体4の向きを制御してもよい。
【0056】
また、上述の実施例では飛行体4による構造物の撮影を具体例としたが、例えば構造物
の点検であってもよく、構造物の内壁および/または外壁の所定の事象の有無を点検する
ために利用される装置、機器等を備えていてもよい。より具体的には、撮像装置(可視光
カメラ、赤外線カメラ、金属探知機、超音波測定器等)や、打鍵装置等、探知装置(金属
探知機)、集音装置、臭気測定器、ガス検知器、空気汚染測定器、検出装置(宇宙線、放
射線、電磁波等を検出するための装置)等の内壁を有する点検対象構造物の状態を知るた
めに必要な装置は全て採用され得る。
【0057】
本発明の飛行体は、マルチコプター・ドローン等の飛行機関連産業において利用するこ
とができ、さらに、本発明は、カメラ等を搭載した空撮用の飛行体としても好適に使用す
ることができる他、セキュリティ分野、農業、インフラ監視、測量、ゴルフ場やテニス場
などのスポーツ会場点検、工場・倉庫等建物の屋根や壁の点検、災害対応、遭難者捜索対
応等の様々な産業にも利用することができる。
【0058】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定
して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良
することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1 管理サーバ
2 ユーザ端末
4 飛行体