(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113118
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】太陽電池及びその作製方法、光起電力モジュール及び光起電力システム
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20240814BHJP
H01L 31/18 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H01L31/04 260
H01L31/04 440
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024092429
(22)【出願日】2024-06-06
(31)【優先権主張番号】202311518068.4
(32)【優先日】2023-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523183389
【氏名又は名称】トリナ・ソーラー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TRINA SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 2 Trina Road, Trina PV Park, Xinbei District, Changzhou, Jiangsu 213031, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲ゾウ▼ 楊
(72)【発明者】
【氏名】劉 成法
(72)【発明者】
【氏名】陳 紅
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電極の一部の領域が低濃度ドーピング領域と接触する場合を改善し、基板表面のパッシベーションを向上させる、太陽電池及びその作製方法等を提供する。
【解決手段】太陽電池のドーピング層は、低濃度ドーピング領域と、高濃度ドーピング領域と、を含み、高濃度ドーピング領域は、本体領域、接続領域及びエッジ領域を含み、電極は、電極本体、接続電極及びエッジ電極を含む。本体領域は、電極本体にほぼ対応し、接続領域及びエッジ領域は、接続電極及びエッジ電極に対応するより多くの空間を提供することができる。本体領域のドーピング濃度、接続領域のドーピング濃度、エッジ領域のドーピング濃度及び低濃度ドーピング領域のドーピング濃度が順次小さくなることにより、さらに電極の一部の領域と低濃度ドーピング領域とのオーミックコンタクト状況を改善すると同時にキャリア再結合を減少させることができ、基板表面のパッシベーションを向上させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
第1の表面を有する基板と、
前記基板の第1の表面に設けられるドーピング層であって、低濃度ドーピング領域と、高濃度ドーピング領域と、を含み、前記高濃度ドーピング領域は、本体領域、前記本体領域の第1の方向に沿う両側に位置するエッジ領域、及び前記エッジ領域と前記本体領域との間に位置する接続領域を含むドーピング層と、
前記基板の第1の表面の一側に設けられる第1の電極であって、前記第1の電極の前記基板への正投影は、前記ドーピング層の前記高濃度ドーピング領域の前記基板への正投影範囲内に位置し、且つ前記第1の電極は、前記高濃度ドーピング領域とオーミックコンタクトを形成する第1の電極と、を含み、
ただし、前記第1の電極は、スクリーン印刷及び焼結の方式により作製され、前記第1の電極は、電極本体、前記電極本体の前記第1の方向に沿う両側に位置するエッジ電極、及び前記電極本体と前記エッジ電極との間に位置する接続電極を含み、前記接続電極は、対応する前記電極本体に接続され、且つ対応する前記エッジ電極に接続されているか、又は接続されておらず、
前記電極本体の前記基板への正投影は、前記ドーピング層の前記本体領域の前記基板への正投影範囲内に位置し、前記エッジ電極の前記基板への正投影、及び前記接続電極の前記基板への正投影は、いずれも前記ドーピング層の前記高濃度ドーピング領域の前記基板への正投影範囲内に位置し、且つ前記接続電極の前記基板への正投影は、前記ドーピング層の前記エッジ領域の前記基板への正投影範囲内に位置せず、
前記本体領域のドーピング濃度、前記接続領域のドーピング濃度、前記エッジ領域のドーピング濃度及び前記低濃度ドーピング領域のドーピング濃度は、順次小さくなる、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記本体領域の接合深さ、前記接続領域の接合深さ、前記エッジ領域の接合深さ及び前記低濃度ドーピング領域の接合深さは、順次小さくなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記高濃度ドーピング領域の接合深さは、1.0μm~2.6μmであり、前記低濃度ドーピング領域の接合深さは、0.6μm~1.6μmである、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記本体領域のシート抵抗、前記接続領域のシート抵抗、前記エッジ領域のシート抵抗及び前記低濃度ドーピング領域のシート抵抗は、順次大きくなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記高濃度ドーピング領域のシート抵抗は、40Ω/□~120Ω/□であり、前記低濃度ドーピング領域のシート抵抗は、160Ω/□~300Ω/□である、
ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1の方向に沿って、前記本体領域の寸法、前記接続領域の寸法及び前記エッジ領域の寸法は、順次小さくなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第1の方向に沿って、前記高濃度ドーピング領域の寸法は、20μm~120μmである、
ことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記基板は、P型基板を含み、前記ドーピング層は、リンドーピング層であり、又は、
前記基板は、N型基板を含み、前記ドーピング層は、ボロンドーピング層である、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項9】
太陽電池の作製方法であって、
基板を提供することと、
前記基板の第1の表面にドーピング層を拡散形成することと、
前記ドーピング層の目標領域にドーピングを行い、高濃度ドーピング領域を形成することであって、前記高濃度ドーピング領域は、本体領域、前記本体領域の第1の方向に沿う両側に位置するエッジ領域、及び前記エッジ領域と前記本体領域との間に位置する接続領域を含み、前記ドーピング層における前記目標領域以外の領域は、低濃度ドーピング領域であり、前記本体領域のドーピング濃度、前記接続領域のドーピング濃度、前記エッジ領域のドーピング濃度及び前記低濃度ドーピング領域のドーピング濃度は、順次小さくなることと、
スクリーン印刷及び焼結の方式により前記基板の第1の表面の一側に第1の電極を形成することであって、前記第1の電極の前記基板への正投影は、前記ドーピング層の前記高濃度ドーピング領域の前記基板への正投影範囲内に位置し、且つ前記高濃度ドーピング領域とオーミックコンタクトを形成し、前記第1の電極は、電極本体、前記電極本体の前記第1の方向に沿う両側に位置するエッジ電極、及び前記電極本体と前記エッジ電極との間に位置する接続電極を含み、前記接続電極は、対応する前記電極本体に接続され、且つ対応する前記エッジ電極に接続されているか、又は接続されておらず、前記電極本体の前記基板への正投影は、前記ドーピング層の前記本体領域の前記基板への正投影範囲内に位置し、前記エッジ電極の前記基板への正投影、及び前記接続電極の前記基板への正投影は、いずれも前記ドーピング層の前記高濃度ドーピング領域の前記基板への正投影範囲内に位置し、且つ前記接続電極の前記基板への正投影は、前記ドーピング層の前記エッジ領域の前記基板への正投影範囲内に位置しないことと、を含む、
ことを特徴とする太陽電池の作製方法。
【請求項10】
前記ドーピング層の目標領域にドーピングを行い、高濃度ドーピング領域を形成することは、
レーザードーピングプロセスによって前記目標領域にドーピングを行い、前記高濃度ドーピング領域を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の太陽電池の作製方法。
【請求項11】
前記レーザードーピングプロセスは、一回レーザードーピングプロセスである、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池の作製方法。
【請求項12】
前記第1の方向に沿って、レーザースポットの寸法と前記高濃度ドーピング領域の寸法との比は、1である、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池の作製方法。
【請求項13】
前記第1の方向に沿って、レーザースポットの寸法は、20μm~120μmである、
ことを特徴とする請求項12に記載の太陽電池の作製方法。
【請求項14】
レーザー出力は、20W~150Wであり、レーザー照射周波数は、20KHZ~3000KHZであり、レーザー走査速度は、10m/s~50m/sである、
ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の作製方法。
【請求項15】
請求項1~7のいずれか一項に記載の太陽電池を含み、又は、
請求項9~14のいずれか一項に記載の太陽電池の作製方法により作製される太陽電池を含む、光起電力モジュール。
【請求項16】
請求項15に記載の光起電力モジュールを含む、光起電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、太陽電池の技術分野に関し、特に、太陽電池及びその作製方法、光起電力モジュール及び光起電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
選択的エミッタ(selective emitter、SE)レーザードーピング技術は、基板の表面の接触領域に拡散して高濃度ドーピング領域を形成し、非接触領域に低濃度ドーピングする技術である。選択的エミッタ電極は接触領域の接触抵抗を低減し、太陽電池の直列抵抗を低減することができ、同時に低濃度ドーピング領域はキャリア再結合を効果的に減少させ、基板表面のパッシベーションを向上させることができる。
【0003】
しかしながら、上記過程では、電極の一部の領域が低濃度ドーピング領域と接触する場合があり、基板表面のパッシベーションに影響を与えてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに基づいて、本願は、電極の一部の領域が低濃度ドーピング領域と接触する場合を改善し、基板表面のパッシベーションを向上させる、太陽電池及びその作製方法、光起電力モジュール及び光起電力システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の一態様によれば、本願の実施例は、
第1の表面を有する基板と、
基板の第1の表面に設けられるドーピング層であって、低濃度ドーピング領域と、高濃度ドーピング領域と、を含み、高濃度ドーピング領域は、本体領域、本体領域の第1の方向に沿う両側に位置するエッジ領域、及びエッジ領域と本体領域との間に位置する接続領域を含むドーピング層と、
基板の第1の表面の一側に設けられる第1の電極であって、第1の電極の基板への正投影は、ドーピング層の高濃度ドーピング領域の基板への正投影範囲内に位置し、且つ高濃度ドーピング領域とオーミックコンタクトを形成する第1の電極と、を含み、
ただし、第1の電極は、電極本体、電極本体の第1の方向に沿う両側に位置するエッジ電極、及び電極本体とエッジ電極との間に位置する接続電極を含み、
電極本体の基板への正投影は、ドーピング層の本体領域の基板への正投影範囲内に位置し、エッジ電極の基板への正投影、及び接続電極の基板への正投影は、いずれもドーピング層の高濃度ドーピング領域の基板への正投影範囲内に位置し、且つ接続電極の基板への正投影は、ドーピング層のエッジ領域の基板への正投影範囲内に位置せず、
本体領域のドーピング濃度、接続領域のドーピング濃度、エッジ領域のドーピング濃度及び低濃度ドーピング領域のドーピング濃度は、順次小さくなる、
太陽電池を提供する。
【0006】
そのうちの一実施例において、本体領域の接合深さ、接続領域の接合深さ、エッジ領域の接合深さ及び低濃度ドーピング領域の接合深さは、順次小さくなる。
【0007】
そのうちの一実施例において、高濃度ドーピング領域の接合深さは、1.0μm~2.6μmであり、低濃度ドーピング領域の接合深さは、0.6μm~1.6μmである。
【0008】
そのうちの一実施例において、本体領域のシート抵抗、接続領域のシート抵抗、エッジ領域のシート抵抗及び低濃度ドーピング領域のシート抵抗は、順次大きくなる。
【0009】
そのうちの一実施例において、高濃度ドーピング領域のシート抵抗は、40Ω/□~120Ω/□であり、低濃度ドーピング領域のシート抵抗は、160Ω/□~300Ω/□である。
【0010】
そのうちの一実施例において、第1の方向に沿って、本体領域の寸法、接続領域の寸法及びエッジ領域の寸法は、順次小さくなる。
【0011】
そのうちの一実施例において、第1の方向に沿って、高濃度ドーピング領域の寸法は、20μm~120μmである。
【0012】
そのうちの一実施例において、基板は、P型基板を含み、ドーピング層は、リンドーピング層であり、又は、
基板は、N型基板を含み、ドーピング層は、ボロンドーピング層である。
【0013】
本願の別の態様によれば、本願の実施例は、
基板を提供することと、
基板の第1の表面にドーピング層を拡散形成することと、
ドーピング層の目標領域にドーピングを行い、高濃度ドーピング領域を形成することであって、高濃度ドーピング領域は、本体領域、本体領域の第1の方向に沿う両側に位置するエッジ領域、及びエッジ領域と本体領域との間に位置する接続領域を含み、ドーピング層における目標領域以外の領域は、低濃度ドーピング領域であり、本体領域のドーピング濃度、接続領域のドーピング濃度、エッジ領域のドーピング濃度及び低濃度ドーピング領域のドーピング濃度は、順次小さくなることと、
基板の第1の表面の一側に第1の電極を形成することであって、第1の電極の基板への正投影は、ドーピング層の高濃度ドーピング領域の基板への正投影範囲内に位置し、且つ高濃度ドーピング領域とオーミックコンタクトを形成し、第1の電極は、電極本体、電極本体の第1の方向に沿う両側に位置するエッジ電極、及び電極本体とエッジ電極との間に位置する接続電極を含み、電極本体の基板への正投影は、ドーピング層の本体領域の基板への正投影範囲内に位置し、エッジ電極の基板への正投影、及び接続電極の基板への正投影は、いずれもドーピング層の高濃度ドーピング領域の基板への正投影範囲内に位置し、且つ接続電極の基板への正投影は、ドーピング層のエッジ領域の基板への正投影範囲内に位置しないことと、を含む、
太陽電池の作製方法を提供する。
【0014】
そのうちの一実施例において、ドーピング層の目標領域にドーピングを行い、高濃度ドーピング領域を形成することは、
レーザードーピングプロセスによって目標領域にドーピングを行い、高濃度ドーピング領域を形成することを含む。
【0015】
そのうちの一実施例において、レーザードーピングプロセスは、一回レーザードーピングプロセスである。
【0016】
そのうちの一実施例において、第1の方向に沿って、レーザースポットの寸法と高濃度ドーピング領域の寸法との比は、1である。
【0017】
そのうちの一実施例において、第1の方向に沿って、レーザースポットの寸法は、20μm~120μmである。
【0018】
そのうちの一実施例において、レーザー出力は、20W~150Wであり、レーザー照射周波数は、20KHZ~3000KHZであり、レーザー走査速度は、10m/s~50m/sである。
【0019】
本願のさらに別の態様によれば、本願の実施例は、以上のいずれかの実施例における太陽電池を含み、又は、
以上のいずれかの実施例における太陽電池の作製方法により作製される太陽電池を含む、光起電力モジュールを提供する。
【0020】
本願のさらに他の態様によれば、本願の実施例は、以上のいずれかの実施例における光起電力モジュールを含む、光起電力システムを提供する。
【発明の効果】
【0021】
上記太陽電池及びその作製方法、光起電力モジュール及び光起電力システムにおいて、太陽電池のドーピング層は、低濃度ドーピング領域と、高濃度ドーピング領域と、を含み、高濃度ドーピング領域は、本体領域、接続領域及びエッジ領域を含み、電極は、電極本体、接続電極及びエッジ電極を含む。本体領域は、電極本体にほぼ対応し、接続領域及びエッジ領域は、接続電極及びエッジ電極に対応するより多くの空間を提供することができる。本体領域のドーピング濃度、接続領域のドーピング濃度、エッジ領域のドーピング濃度及び低濃度ドーピング領域のドーピング濃度が順次小さくなることにより、さらに電極の一部の領域と低濃度ドーピング領域とのオーミックコンタクト状況を改善すると同時にキャリア再結合を減少させることができ、基板表面のパッシベーションを向上させ、さらに太陽電池の開放電圧を改善し、太陽電池の曲線因子及び太陽電池の変換効率を向上させる。
【0022】
本願の実施例の追加の態様及び利点は、以下の説明で部分的に示され、部分的に以下の説明から明らかになるか、又は本願の実施例の実施によって理解されるであろう。
【0023】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読むことによって、当業者には様々な他の利点及び利益が明らかになるであろう。図面は、好ましい実施形態を示す目的でのみ用いられ、本願を限定するものではない。また、全ての図面において、同じ部品を同じ符号で示す。図面において、
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本願の一実施例における太陽電池の構造模式図である。
【
図2】
図1のAにおける部分拡大構造模式図である。
【
図3】本願の一実施例におけるドーピング層の各領域の電子顕微鏡図である。
【
図4】本願の一実施例における第1の電極の基板への正投影及びドーピング層の高濃度ドーピング領域の基板への正投影の模式図である。
【
図5】本願の別の実施例における第1の電極の基板への正投影及びドーピング層の高濃度ドーピング領域の基板への正投影の模式図である。
【
図6】本願のさらに別の実施例における第1の電極の基板への正投影及びドーピング層の高濃度ドーピング領域の基板への正投影の模式図である。
【
図7】本願の一実施例における太陽電池の作製方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本願の上記目的、特徴及び利点をより明らかにしてわかりやすくするために、以下、図面を参照して本願の具体的な実施形態について詳細に説明する。本願の十分な理解を容易にするために、以下の説明で多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本願は、本明細書に記載された方法とは異なる多くの他の方法で実施することができ、当業者は、本願の内容に反せずに同様の改善を行うことができるので、本願は、以下に開示される具体的な実施例によって限定されない。
【0026】
本願の説明において、「中心」、「縦」、「横」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語が現われる場合、これらの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本願の説明の便宜及び簡略化のためのものであり、示される装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構築及び操作されなければならないことを示し又は暗示するものではなく、したがって、本願を限定するものとは理解できないことを理解されたい。
【0027】
なお、「第1の」、「第2の」という用語が現われる場合、これらの用語は、単に説明のためのものであり、相対的な重要性を示すか又は暗示するか、又は示される技術的特徴の数を暗黙的に示すものと理解すべきではない。したがって、「第1の」、「第2の」と定義された特徴は、少なくとも1つのその特徴を明示的又は暗黙的に含んでもよい。本願の説明において、「複数」は、特に断りのない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどを意味する。
【0028】
本願において、「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語が現われる場合、これらの用語は、別段の明示的な規定及び限定がない限り、広義に理解されるべきであり、例えば、特に明示的に限定されない限り、固定的な接続、取り外し可能な接続、又は一体的なものであってもよく、機械的接続でも電気的接続でもよく、直接的な連結でも介在媒体を介する間接的な連結でもよく、2つの要素の内部の連通、又は2つの要素の相互作用の関係であってもよい。なお、以下の説明及び添付の特許請求の範囲において、1つの特徴がもう1つの特徴に「電気的に接続される」ことは、1つの特徴がもう1つの特徴と直接接触して電力伝送又は電流伝送経路を形成することだけでなく、1つの特徴ともう1つの特徴との間の介在特徴を含み、当該1つの特徴、もう1つの特徴及びそれらの間の介在特徴が電力伝送経路又は電流伝送経路を形成して電力伝送又は電流伝送を実現する。本願における上記用語の具体的な意味は、当業者にとっては、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0029】
本願において、別段の明示的な規定及び限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあるなどの類似の記述がある場合、その意味は、第1の特徴及び第2の特徴が直接接触していること、又は第1の特徴及び第2の特徴が介在媒体を介して間接的に接触していることであってもよい。さらに、第1の特徴が第2の特徴「の上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上にあるか、又は単に第1の特徴が第2の特徴よりも水平高さが高いことを示す。第1の特徴が第2の特徴「の下」、「下方」及び「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の直下又は斜め下にあるか、又は単に第1の特徴が第2の特徴よりも水平高さが低いことを示す。
【0030】
なお、要素が別の要素に「固定されている」又は「設けられている」と称される場合、別の要素の上に直接あってもよく、又は介在する要素が存在してもよい。ある要素が別の要素に「接続されている」と見なされる場合、別の要素に直接接続されてもよく、又は介在する要素が同時に存在してもよい。存在する場合、本願で用いられている用語「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、「右」、及び類似の表現は、単に説明のためであり、唯一の実施形態であることを示すものではない。
【0031】
図1は、本願の一実施例における太陽電池の構造模式図を示す。
図2は、
図1のAにおける部分拡大構造模式図を示し、
図3は、本願の一実施例におけるドーピング層の各領域の電子顕微鏡図を示し、説明の便宜上、本願の実施例に関連する内容のみを示している。
【0032】
図1及び
図2を参照すると、本願の実施例は、基板100、ドーピング層200及第1の電極e1を含む、太陽電池を提供する。
【0033】
説明の便宜上、まず本願の実施例に係る方向を例示的に説明する。第1の方向F1は、第1の電極e1の幅方向であり、後に示すドーピング層200の高濃度ドーピング領域z2の幅方向でもあり、ドーピング層200の高濃度ドーピング領域z2における各領域の幅方向である。第2の方向F2は、太陽電池の厚さ方向であり、つまり、基板100の厚さ方向、ドーピング層200の厚さ方向及び第1の電極e2の厚さ方向は、いずれも第2の方向F2であり、後に示す太陽電池における他の層の厚さ方向も第2の方向F2である。第3の方向F3は、第1の電極e1の長手延在方向であり、後に示すドーピング層200の高濃度ドーピング領域z2の長手延在方向でもあり、ドーピング層200の高濃度ドーピング領域z2における各領域の長手延在方向である。第1の方向F1、第2の方向F2及び第3の方向F3は、互いに垂直であってもよい。
【0034】
なお、他の実施例において、第1の電極e1の長手延在方向、ドーピング層200の高濃度ドーピング領域z2の長手延在方向及びドーピング層200の高濃度ドーピング領域z2における各領域の長手延在方向は、略同一方向であってもよい。
【0035】
基板100は、入射光を受けて光キャリアを生成するために用いられる。例示的には、太陽電池は、TOPCon電池(Tunnel Oxide Passivated Contact、トンネリング酸化物層パッシベーションコンタクト)であってもよい。基板100は、実際の必要に応じて選択することができる。例示的には、基板100は、シリコン基板であってもよい。基板100のドーピングタイプは特に限定されない。例えば、当該基板100は、N型ドーピングシリコン基板であってもよく、又は、P型ドーピングシリコン基板であってもよい。本願の実施例において、これに関しては特に限定しない。本願の実施例において、基板100は、N型単結晶シリコンウェーハであってもよい。
【0036】
基板100は、第1の表面m1を有する。もちろん、基板100は、第1の表面m1に対向して設けられた第2の表面m2をさらに有する。第1の表面m1及び第2の表面m2は、第2の方向F2に沿って対向して設けられる。第1の表面m1及び第2の表面m2は、いずれも入射光を受けるために用いられることができる。本願の実施例において、第1の表面m1は、受光面であり、第2の表面m2は、背光面である。理解されるように、受光面及び背光面は相対的なものであり、受光面は、具体的には太陽電池において又は光起電力モジュールにおいて基板100上で太陽光が主に照射される表面である。太陽電池技術の発展に伴い、背光面も主に周囲環境からの反射光や散乱光からの太陽光のエネルギーを受けるようになった。第1の表面m1には、通常、テクスチャード構造が設けられ、当該テクスチャード構造は、光吸収面積を増加させることができ、光生成電流を向上させ、太陽電池の効率を向上させることに寄与する。
【0037】
ドーピング層200は、基板100の第1の表面m1に設けられる。ドーピング層200は、基板100とPN接合を形成するために用いられ、ドーピング層200は、N型ドーピング半導体層であってもよいし、P型ドーピング半導体層であってもよい。本願の実施例において、ドーピング層200は、P型ドーピング半導体層であり、P型非晶質シリコン層、P型微結晶シリコン層又はP型ナノ結晶シリコン層のいずれかであってもよい。特定の使用状況に応じて柔軟に設定することができ、本願の実施例は、これに関しては特に限定しない。
【0038】
ドーピング層200は、低濃度ドーピング領域z1と、高濃度ドーピング領域z2と、を含む。
図3を併せて参照して、高濃度ドーピング領域z2は、本体領域z21、本体領域z21の第1の方向F1に沿う両側に位置するエッジ領域z23、及びエッジ領域z23と本体領域z21との間に位置する接続領域z22を含む。つまり、本体領域z21の第1の方向F1に沿う両側に一つの接続領域z22がそれぞれ接続され、各接続領域z22の、当該接続領域z22が接続される本体領域z21から離反する側に、一つのエッジ領域z23が接続されている。本体領域z21のドーピング濃度、接続領域z22のドーピング濃度、エッジ領域z23のドーピング濃度及び低濃度ドーピング領域z1のドーピング濃度は、順次小さくなる。
【0039】
理解されるように、低濃度ドーピング領域z1及び高濃度ドーピング領域z2は相対的なものである。ドーピング後の半導体中のドーピング元素の濃度に応じて、半導体へのドーピングを低濃度ドーピングと高濃度ドーピングに分けることができ、対応するドーピング後の半導体は低濃度ドーピング半導体と高濃度ドーピング半導体である。低濃度ドーピングは比重ドーピングの低いドーピング濃度を示し、記述した例では、ドーピング濃度の定性的な表示は相対的なものである。定性的なドーピング濃度に関連する具体的な定量的ドーピング濃度は、具体的な実施形態に基づいて変化することができる。例えば、ドーピング層200にP型ドーピング元素を低濃度ドーピングすることはP+型ドーピングと表せ、P+型半導体を得る。応じて、ドーピング層200にP型ドーピング元素を高濃度ドーピングすることはP++型ドーピングと表せ、P++型半導体を得る。P++型ドーピングで発生する正孔はP+型ドーピングで発生する正孔よりも多い。
【0040】
本願の実施例において、同一の高濃度ドーピング領域z2に対して、本体領域z21、接続領域z22及びエッジ領域z23の位置関係は、相対的なものである。
図3を併せて参照して、説明の便宜上、
図3において四角で対応する領域を囲み、エッジ領域z23は、その位置する高濃度ドーピング領域z2のエッジ位置に位置し、本体領域z21は、その位置する高濃度ドーピング領域z2の中間位置にほぼ位置し、接続領域z22は、対応してその位置する高濃度ドーピング領域z2における本体領域z21とエッジ領域z23との間の位置に位置する。本体領域z21のドーピング濃度、接続領域z22のドーピング濃度、エッジ領域z23のドーピング濃度は、順次小さくなり、即ち高濃度ドーピング領域z2におけるドーピング濃度が変化し、高濃度ドーピング領域z2の中間位置から両側のエッジ位置へと、ドーピング濃度が順次小さくなる。しかしながら、低濃度ドーピング領域z1に対して、高濃度ドーピング領域z2の最小ドーピング濃度は、低濃度ドーピング領域z1のドーピング濃度よりも高い。
【0041】
第1の電極e1は、基板100の第1の表面m1の一側に設けられる。第1の表面m1が受光面である場合、第1の電極e1は正面電極である。第1の電極e1は、電極本体e11、電極本体e11の第1の方向F1に沿う両側に位置するエッジ電極e13、及び電極本体e11とエッジ電極e13との間に位置する接続電極e12を含む。つまり、電極本体e11の第1の方向F1に沿う両側に一つの接続電極e12がそれぞれ接続され、各接続電極e12の、当該接続電極e12が接続される電極本体e11から離反する側に、一つのエッジ電極e13が設けられる。
【0042】
なお、第1の電極e1は、スクリーン印刷及び焼結の方式により作製されてもよい。第1の電極e1を実際に印刷する過程において、第1の電極e1は、異なる程度のオフセット部分及びスパッタ分離される部分が存在する。第1の電極e1は、前述した電極本体e11、接続電極e12及びエッジ電極e13に大別できる。
【0043】
同一の第1の電極e1に対して、電極本体e11、接続電極e12及びエッジ電極e13の位置関係は、相対的なものである。エッジ電極e13は、その位置する第1の電極e1のエッジ位置に位置し、電極本体e11は、その位置する第1の電極e1の中間位置にほぼ位置し、接続電極e12は、対応してその位置する第1の電極e1の電極本体e11とエッジ電極e13との間の位置に位置する。接続電極e12は、対応する電極本体e11に接続され、且つ対応するエッジ電極e13に接続されていてもよいし、接続されていなくてもよい。
【0044】
第1の電極e1の基板100への正投影は、ドーピング層200の高濃度ドーピング領域z2の基板100への正投影範囲内に位置し、且つ高濃度ドーピング領域z2とオーミックコンタクトを形成する。
【0045】
具体的には、電極本体e11の基板100への正投影は、ドーピング層200の本体領域z21の基板100への正投影範囲内に位置する。エッジ電極e13の基板100への正投影、及び接続電極e12の基板100への正投影は、いずれもドーピング層200の高濃度ドーピング領域z2の基板100への正投影範囲内に位置し、且つ接続電極e12の基板100への正投影は、ドーピング層200のエッジ領域z23の基板100への正投影範囲内に位置しない。
【0046】
なお、第1の電極e1の電極本体e11は、高濃度ドーピング領域z2の本体領域z21に対応して作製される。第1の電極e1の接続電極e12の基板100への正投影は、高濃度ドーピング領域z2の本体領域z21の基板100への正投影範囲内に位置してもよい。第1の電極e1の接続電極e12の基板100への正投影は、高濃度ドーピング領域z2の接続領域z22の基板100への正投影範囲内に位置してもよい。第1の電極e1の接続電極e12の基板100への正投影は、一部が高濃度ドーピング領域z2の本体領域z21の基板100への正投影範囲内に位置し、他の一部が高濃度ドーピング領域z2の接続領域z22の基板100への正投影範囲内に位置してもよい。第1の電極e1のエッジ電極e13の基板100への正投影は、高濃度ドーピング領域z2の本体領域z21の基板100への正投影範囲内、高濃度ドーピング領域z2の接続領域z22の基板100への正投影範囲内又は高濃度ドーピング領域z2のエッジ領域z23の基板100への正投影範囲内に位置してもよい。もちろん、第1の電極e1のエッジ電極e13の基板100への正投影は、一部が高濃度ドーピング領域z2の本体領域z21の基板100への正投影範囲内に位置し、他の一部が高濃度ドーピング領域z2の接続領域z22の基板100への正投影範囲内に位置するか、又は、一部が高濃度ドーピング領域z2の接続領域z22の基板100への正投影範囲内に位置し、他の一部が高濃度ドーピング領域z2のエッジ領域z23の基板100への正投影範囲内に位置してもよい。
【0047】
図4は、本願の一実施例における第1の電極e1の基板100への正投影及びドーピング層200の高濃度ドーピング領域z2の基板100への正投影の模式図を示す。
図5は、本願の別の実施例における第1の電極e1の基板100への正投影及びドーピング層200の高濃度ドーピング領域z2の基板100への正投影の模式図を示す。
図6は、本願のさらに別の実施例における第1の電極e1の基板100への正投影及びドーピング層200の高濃度ドーピング領域z2の基板100への正投影の模式図を示し、説明の便宜上、本願の実施例に関連する内容のみを示している。
図4~
図6では一部の投影のみを示し、且つ各投影の相対的な位置関係を示すだけで、投影の形状を制限するものではない。
【0048】
第1の電極e1の電極本体e11の基板100への正投影を第1の投影y1、接続電極e12の基板100への正投影を第2の投影y2、エッジ電極e13の基板100への正投影を第3の投影y3、ドーピング層200の本体領域z21の基板100への正投影を第4の投影y4、接続領域z22の基板100への正投影を第5の投影y5、エッジ領域z23の基板100への正投影を第6の投影y6と定義する。
【0049】
図4を例にすると、第1の投影y1及び第2の投影y2が第4の投影y4の範囲内に位置し、第3の投影y3が第5の投影y5の範囲内に位置する場合を示す。
図5を例にすると、第1の投影y1及び第2の投影y2が第4の投影y4の範囲内に位置し、第3の投影y3の一部が第5の投影y5の範囲内に位置し、他の一部が第6の投影y6の範囲内に位置する場合を示す。
図6を例にすると、第1の投影y1が第4の投影y4内に位置し、第2の投影y2が第5の投影y5の範囲内に位置し、第3の投影y3が第6の投影y6の範囲内に位置する場合を示す。
【0050】
具体的な使用状況に応じて、高濃度ドーピング領域z2における各領域の大きさを対応して設定してもよく、ここでは特に限定されるものではない。
【0051】
これにより、高濃度ドーピング領域z2を本体領域z21、接続領域z22及びエッジ領域z23に設けることにより、接続領域z22及びエッジ領域z23は、接続電極e12及びエッジ電極e13により多くの作製空間を提供することができる。本体領域z21のドーピング濃度、接続領域z22のドーピング濃度、エッジ領域z23のドーピング濃度及び低濃度ドーピング領域z1のドーピング濃度が順次小さくなることにより、電極の一部の領域と低濃度ドーピング領域z1とのオーミックコンタクト状況を改善すると同時にキャリア再結合を減少させることができ、基板100の表面のパッシベーションを向上させ、さらに太陽電池の開放電圧を改善し、太陽電池の曲線因子及び太陽電池の変換効率を向上させる。
【0052】
いくつかの実施例では、引き続き
図1及び
図2を参照すると、本体領域z21の接合深さ、接続領域z22の接合深さ、エッジ領域z23の接合深さ及び低濃度ドーピング領域z1の接合深さは、順次小さくなる。ここで、接合深さとは、ドーピング層200の第2の方向F2に沿う深さであり、つまり、ドーピング層200の基板100から離反する側の表面からドーピング層200と基板100との間の界面までの距離を意味する。なお、
図1及び
図2に示す本体領域z21、接続領域z22、エッジ領域z23及び低濃度ドーピング領域z1は、位置関係上の概略に過ぎない。
【0053】
理解されるように、ドーピング層200における対応する領域の接合深さが大きいほど、当該領域と基板100との接触面積が大きくなる。本体領域z21の接合深さ、接続領域z22の接合深さ、エッジ領域z23の接合深さ及び低濃度ドーピング領域z1の接合深さが順次小さくなる場合、第1の電極e1と基板100との接触抵抗を低減し、太陽電池の変換効率を増加させることができる。
【0054】
いくつかの実施例では、引き続き
図1及び
図2を参照すると、高濃度ドーピング領域z2の接合深さは、1.0μm~2.6μmであり、低濃度ドーピング領域z1の接合深さは、0.6μm~1.6μmである。つまり、本体領域z21の接合深さ、接続領域z22の接合深さ、エッジ領域z23の接合深さは、1.0μm~2.6μmの範囲内であり、且つ順次小さくなり、低濃度ドーピング領域z1の接合深さは、エッジ領域z23の接合深さよりも小さい。例えば、本体領域z21の接合深さ、接続領域z22の接合深さ、エッジ領域z23の接合深さ及び低濃度ドーピング領域z1の接合深さは、順次2.6μm、2μm、1.5μm、1μmであってもよい。使用状況に応じて設定してもよく、ここでは特に限定されるものではない。
【0055】
このように、ドーピング層200各領域の接合深さを適切な範囲にすることによって、第1の電極e1と基板100との接触抵抗をさらに低減し、太陽電池の変換効率を増加させることができる。
【0056】
いくつかの実施例では、引き続き
図1及び
図2を参照すると、本体領域z21のシート抵抗、接続領域z22のシート抵抗、エッジ領域z23のシート抵抗及び低濃度ドーピング領域z1のシート抵抗は、順次大きくなる。ここで、シート抵抗は、ドーピング濃度の大きさの表現であり、シート抵抗が高いことは、ドーピングが少なく、接合深さが浅いことを意味し、シート抵抗が低いことは、ドーピングが多く、接合深さが深く、接触抵抗が小さいことを意味する。このように、本体領域z21のシート抵抗、接続領域z22のシート抵抗、エッジ領域z23のシート抵抗及び低濃度ドーピング領域z1のシート抵抗を順次大きくすることによって、第1の電極e1と基板100との接触抵抗を低減し、太陽電池の変換効率を増加させることができる。
【0057】
いくつかの実施例では、引き続き
図1及び
図2を参照すると、高濃度ドーピング領域z2のシート抵抗は、40Ω/□~120Ω/□であり、低濃度ドーピング領域z1のシート抵抗は、160Ω/□~300Ω/□である。つまり、本体領域z21のシート抵抗、接続領域z22のシート抵抗、エッジ領域z23のシート抵抗は、1.0μm~2.6μmの範囲内であり、且つ順次大きくなり、低濃度ドーピング領域z1のシート抵抗は、エッジ領域z23のシート抵抗よりも大きい。例えば、本体領域z21のシート抵抗、接続領域z22のシート抵抗、エッジ領域z23のシート抵抗及び低濃度ドーピング領域z1のシート抵抗は、順次40Ω/□、80Ω/□、100Ω/□、200Ω/□であってもよい。
【0058】
このように、ドーピング層200各領域のシート抵抗を適切な範囲にすることによって、第1の電極e1と基板100との接触抵抗をさらに低減し、太陽電池の変換効率を増加させることができる。
【0059】
いくつかの実施例では、引き続き
図1及び
図2を参照すると、第1の方向F1に沿って、本体領域z21の寸法、接続領域z22の寸法及びエッジ領域z23の寸法は、順次小さくなる。当該寸法は、即ち幅に対応する。ここで、本体領域z21の第1の方向F1に沿う両側に位置する接続領域z22の幅は、同じであってもよいし、異なっていてもよく、本体領域z21の第1の方向F1に沿う両側に位置するエッジ領域z23の幅は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。例示的には、本体領域z21の第1の方向F1に沿う両側に位置する接続領域z22の幅は、同じ又はほぼ同じであり、本体領域z21の第1の方向F1に沿う両側に位置するエッジ領域z23の幅は、同じ又はほぼ同じであり、第1の電極e1が本体領域z21の第1の方向F1に沿う両側にずれる確率は、ほぼ一致するので、前述「同じ又はほぼ同じ」の場合、第1の電極e1に作製空間をより良く提供することができる。
【0060】
このように、第1の電極e1の幅及び第1の電極e1における各部の構成と合わせて、本体領域z21、接続領域z22及びエッジ領域z23の3つの領域の幅を対応して設定することができ、所望の作製空間を提供すると同時に、さらに接触抵抗を改善するとともにキャリア再結合を低減し、基板100の表面のパッシベーションを向上させ、さらに太陽電池の開放電圧を改善し、太陽電池の曲線因子及び太陽電池の変換効率を向上させることに有利である。
【0061】
いくつかの実施例では、引き続き
図1及び
図2を参照すると、第1の方向F1に沿って、高濃度ドーピング領域z2の寸法は、20μm~120μmである。例示的には、高濃度ドーピング領域z2の幅は、20μm、50μm、70μm、85μm、100μm又は120μmであってもよい。このように、使用上の必要に応じて、高濃度ドーピング領域z2の幅を柔軟に設定することができる。
【0062】
いくつかの実施例では、引き続き
図1及び
図2を参照すると、基板100は、P型基板を含み、ドーピング層200は、リンドーピング層であり、又は、基板100は、N型基板を含み、ドーピング層200は、ボロンドーピング層である。つまり、基板100がP型基板である場合、リン拡散の方式を採用することができ、形成されるドーピング層200はリンドーピング層であり、基板100がN型基板である場合、ホウ素拡散の方式を採用することができ、形成されるドーピング層200はボロンドーピング層である。本願の実施例において、基板100がN型基板であることを例として説明し、このとき、ドーピング層200は、P型ドーピングであってもよく、例えば、ホウ素ドーピングのドーピング層(P+型エミッタとも呼ばれる)であってもよい。
【0063】
実際の使用状況に応じて、所望のタイプの基板100及び対応する拡散方式を対応して選択してもよく、ここでは特に限定されるものではない。
【0064】
いくつかの実施例では、引き続き
図1を参照すると、太陽電池は、ドーピング層200の基板100から離反する側の表面に積層して設けられた第1のパッシベーション膜層300をさらに含む。第1の電極e1は、第1のパッシベーション膜層300のドーピング層200から離反する側の表面に設けられ、且つ高濃度ドーピング領域z2とオーミックコンタクトを形成する。
【0065】
第1のパッシベーション膜層300は、太陽電池において表面パッシベーションの役割及び反射防止の役割を果たし、基板100の表面のダングリングボンドをより良く化学的にパッシベーションし、且つ太陽電池の正面で反射防止効果を果たすことができる。
【0066】
例示的には、
図1を例にすると、第1のパッシベーション膜層300は、ドーピング層200に順次積層された第1のパッシベーション層310及び第1の反射防止層320を含む。第1のパッシベーション層310は、単一層構造又は多層構造を採用してもよく、パッシベーション層の材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素のうちの少なくとも1つであってもよい。また、第1のパッシベーション層310は、化学堆積の方式によって形成されることができる。第1の反射防止層320は、多層構造を採用してもよい。多層構造の第1の反射防止層320において、各層の材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素であってもよい。
【0067】
いくつかの実施例では、引き続き
図1を参照すると、太陽電池は、基板100の第2の表面m2に順次積層して設けられたパッシベーションコンタクト層400及び第2のパッシベーション膜層500をさらに含む。例えば、パッシベーションコンタクト層400は、基板100の第2の表面m2に直接積層されてもよく、第2のパッシベーション膜層500は、パッシベーションコンタクト層400に直接積層して設けられてもよい。
【0068】
例示的には、パッシベーションコンタクト層400は、基板100の第2の表面m2に順次積層されたトンネリング酸化物層410及びドープポリシリコン層420を含んでもよい。トンネリング酸化物層410は、基板100の第2の表面m2の界面パッシベーションを実現するために用いられ、化学的パッシベーションの効果を果たす。具体的には、基板100の表面のダングリングボンドを飽和させることによって、基板100の第2の表面m2の界面欠陥準位密度を低減し、それによって基板100の第2の表面m2の再結合中心を減少させてキャリア再結合速度を低減する。ただし、トンネリング酸化物層410の材料は、誘電体材料、例えば、酸化ケイ素、フッ化マグネシウム、酸化ケイ素、非晶質シリコン、ポリシリコン、炭化シリコン、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム又は酸化チタンのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0069】
パッシベーションコンタクト層400は、基板100の表面でのキャリアの再結合を低減することができ、それによって太陽電池の開放電圧を増加させ、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
【0070】
第2のパッシベーション膜層500は、同様に単層又は多層構造を採用してもよく、第2のパッシベーション膜層500の材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素であってもよい。第2のパッシベーション膜層500は、パッシベーションコンタクト層400に積層された少なくとも1層の第2の反射防止層(図示せず)を含む。このように、基板100の第2の表面m2側の太陽光の反射率を減少させ、基板100の第2の表面m2側の太陽光の吸収率を向上させることができ、第2のパッシベーション膜層500はパッシベーション及び反射防止の役割を同時に果たす。
【0071】
いくつかの実施例では、引き続き
図1を参照すると、太陽電池は、第2のパッシベーション膜層500のパッシベーションコンタクト層400から離反する側に位置する第2の電極e2をさらに含む。第2の電極e2は、ドープポリシリコン層420とオーミックコンタクトしている。
【0072】
なお、本願の実施例における1つの膜層が他の構造層に積層されることは、当該他の構造層に直接積層される場合、又は他の構造層を介して当該他の構造層に設けられる場合を含み、積層は当該1つの膜層の設置範囲を限定するためだけに用いられる。
【0073】
図7は、本願の一実施例における太陽電池の作製方法のフローチャートを示し、説明の便宜上、本願の実施例に関連する内容のみを示している。
【0074】
同じ発明概念に基づいて、
図7を参照し、且つ
図1及び
図2を併せて参照すると、本願の実施例は、
基板100を提供するステップS110と、
基板100の第1の表面m1にドーピング層200を拡散形成するステップS120と、
ドーピング層200の目標領域にドーピングを行い、高濃度ドーピング領域z2を形成するステップS130であって、高濃度ドーピング領域z2は、本体領域z21、本体領域z21の第1の方向F1に沿う両側に位置するエッジ領域z23、及びエッジ領域z23と本体領域z21との間に位置する接続領域z22を含み、ドーピング層200における目標領域以外の領域は、低濃度ドーピング領域z1であり、本体領域z21のドーピング濃度、接続領域z22のドーピング濃度、エッジ領域z23のドーピング濃度及び低濃度ドーピング領域z1のドーピング濃度は、順次小さくなるステップS130と、
基板100の第1の表面m1の一側に第1の電極e1を形成するステップS140であって、第1の電極e1の基板100への正投影は、ドーピング層200の高濃度ドーピング領域z2の基板100への正投影範囲内に位置し、且つ高濃度ドーピング領域z2とオーミックコンタクトを形成し、第1の電極e1は、電極本体e11、電極本体e11の第1の方向F1に沿う両側に位置するエッジ電極e13、及び電極本体e11とエッジ電極e13との間に位置する接続電極e12を含み、電極本体e11の基板100への正投影は、ドーピング層200の本体領域z21の基板100への正投影範囲内に位置し、エッジ電極e13の基板100への正投影、及び接続電極e12の基板100への正投影は、いずれもドーピング層200の高濃度ドーピング領域z2の基板100への正投影範囲内に位置し、且つ接続電極e12の基板100への正投影は、ドーピング層200のエッジ領域z23の基板100への正投影範囲内に位置しないステップS140と、を含む、
太陽電池の作製方法を提供する。
【0075】
ステップS110において、研磨プロセス、テクスチャリングプロセス及び洗浄プロセスによって基板100に対して関連する処理を行ってもよい。研磨プロセスは、化学的研磨プロセスでもよいし、物理的研磨プロセスでもよい。例えば、アルカリ研磨であってもよく、アルカリ研磨の溶液はKOH、NaOH、TMAHなどのアルカリ溶液であってもよい。テクスチャリングプロセスはアルカリテクスチャリングでもよい。例えば、研磨、テクスチャリング添加剤と合わせて20~80℃の条件で基板100の不純物洗浄及びピラミッドテクスチャード製造を行うことができる。具体的な使用状況に応じて選択してもよく、本願の実施例は、これに関しては特に限定しない。テクスチャリングプロセスによって、基板100の対応する表面にテクスチャード構造を形成することができる。
【0076】
ステップS120において、基板100のタイプに応じて、対応する拡散方式を選択してもよい。基板100がN型基板100であることを例として、高温ホウ素拡散を行ってドーピング層200を作製することができる。具体的な使用状況に応じて設定してもよく、本願の実施例は、これに関しては特に限定しない。例示的には、高温ホウ素拡散経路のホウ素源は、臭化ホウ素、塩化ホウ素などであってもよく、拡散温度は900℃~1100℃であり、低濃度拡散シート抵抗は、160Ω/□~300Ω/□であり、接合深さは、0.6μm~1.6μmである。
【0077】
ステップS130において、レーザードーピングプロセスによってドーピング層200の目標領域をドーピングし、高濃度ドーピング領域z2を形成することができる。ここで、レーザーの出力及びプロセス時間を調整することで、所望の高濃度ドーピング層200を得る。例えば、レーザー出力は、20W~150Wであり、レーザー照射周波数は、20KHZ~3000KHZであり、レーザー走査速度は、10m/s~50m/sである。また例えば、レーザードーピングプロセスは、一回レーザードーピングプロセスであってもよい。
【0078】
理解されるように、レーザー出力が20W~150W、レーザー照射周波数が20KHZ~3000KHZ、レーザー走査速度が10m/s~50m/sである場合、レーザー出力、レーザー照射周波数及びレーザー走査速度の3者を合わせることで、一回レーザードーピングプロセスだけで所望の高濃度ドーピング領域z2を得ることに有利である。この過程で、一回レーザーによりレーザースポットの中心からエッジまでの下向きの熱拡散を形成することを達成し、さらにレーザースポットの中心領域に高濃度ドーピング領域を形成し、レーザースポットのエッジ領域z23に接続領域z22を形成し、熱スパッタリングによりレーザーエッジ外のエッジ領域z23を形成するようになった。これに加えて、一回レーザードーピングプロセスは、基板100に対する損傷をさらに低減することができる。
【0079】
なお、レーザースポットの第1の方向F1に沿う寸法は、レーザースポットの幅とみなすことができ、所望の本体領域z21の幅に応じて決定することができる。例示的には、第1の方向F1に沿って、レーザースポットの寸法と高濃度ドーピング領域z2の寸法との比は、1である。例えば、第1の方向F1に沿って、レーザースポットの寸法は、20μm~120μmである。レーザースポットの寸法は、20μm、30μm、50μm、70μm、80μm、100μm又は120μmであってもよい。
【0080】
ステップS140において、スクリーン印刷及び焼結プロセス、レーザー転写プロセス、又はメッキプロセスなどの他のプロセスによって基板100の第1の表面m1の一側に第1の電極e1を形成することができる。
【0081】
本願の実施例において、スクリーン印刷及び焼結プロセスにより第1の電極e1を作製する。ここで、第1の電極e1と高濃度ドーピング領域z2との位置合わせが容易となるように、位置合わせマークに基づいて第1の電極e1を印刷することができる。位置合わせマークは、レーザープロセスにより設定することができる。この過程で、仮に印刷にずれが生じたとしても、接続領域z22及びエッジ領域z23はより多くの印刷空間を提供することができ、第1の電極e1の本体電極は、本体領域z21に位置し、接続電極e12は、本体領域z21又は接続領域z22に位置する可能性があり、エッジ電極e13は、本体領域z21、接続領域z22又は分離領域に位置する可能性がある。第1の電極e1と高濃度ドーピング領域z2との位置関係は、前述したいくつかの実施例の内容を参照することができ、ここではその説明を省略する。スクリーン印刷プロセスによって第1の電極e1を印刷した後、さらに焼結プロセスによって焼結する。焼結ピーク温度は、650℃~900℃であってもよい。
【0082】
ステップS140の後に、基板100の第2の表面m2の一側に第2の電極e2を形成することができる。第2の電極e2の実施形態は、第1の電極e1を参照することができ、ここでは説明を省略する。ただし、第1の電極e1及び第2の電極e2は、基板100を基準として対称的に設けられてもよい。
【0083】
理解されるように、基板100、ドーピング層200、第1の電極e1に関する実施形態及び様々なパラメータ範囲は、前述したいくつかの実施例において詳細に説明されているので、ここでは説明を省略する。同様に、上記に示した作製方法により作製される太陽電池が備える利点についても、前述したいくつかの実施例に示す内容を参照することができるため、ここではその説明を省略する。
【0084】
いくつかの実施例では、引き続き
図1を参照すると、ステップS130の後に、ステップS140の前に、さらに、以下を含む。
【0085】
まず、ドーピング過程で生じた不純物及びその他の不純物を洗浄プロセスによって洗浄する。例えば、ドーピング過程で生じた不純物は、ホウケイ酸ガラスでありえる。当該洗浄過程は、主にBSGを除去するために用いられるが、同時に製造過程で基板100の表面に吸着された金属又は他の不純物も除去される。
【0086】
続いて、基板100の第2の表面m2にトンネリング酸化物層410を順次堆積し、及びドープポリシリコン層420を製造し、パッシベーションコンタクト層400を形成する。トンネリング酸化物層410の厚さは、1nm~3nmであってもよい。トンネリング酸化物層410の上面にドープポリシリコン層420を製造する方法はまずLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition、低圧化学気相堆積法)又はPECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition、プラズマ増強化学気相堆積)を用いて真性ポリシリコン層を堆積し、さらに拡散及びリンドーピングを行ってもよい。ドープポリシリコン層420の厚さは、20nm~220nmであってもよく、シート抵抗は、30Ω/□~90Ω/□であってもよい。
【0087】
次に、洗浄プロセスによって上記各層を製造する時に生じた不純物及びその他の不純物を洗浄する。例えば、各層を製造する時に生じた不純物は、リンシリカガラスでありえる。当該洗浄過程は、主に第2の表面m2のPSGを除去すると同時に、第1の表面m1側に乱れたポリシリコンを除去するために用いられるが、同時に製造過程で基板100の表面に吸着された金属又は他の不純物も除去される。
【0088】
その後、ドーピング層200の基板100から離反する側の表面に第1のパッシベーション膜層300を堆積し、ドープポリシリコン層420のトンネリング酸化物層410から離反する側の表面に第2のパッシベーション膜層500を堆積してよい。第1のパッシベーション膜層300は順次堆積された第1のパッシベーション層310及び第1の反射防止層320を含む。第2のパッシベーション膜層500は、第2の反射防止層を含む。ここで、プレート又は管状装置によって第1のパッシベーション層310の堆積を行ってもよく、第1のパッシベーション層310の厚さは、2nm~20nmであってもよい。第1の反射防止層320の厚さ及び第2のパッシベーション膜の厚さは、いずれも40nm~100nmであってもよい。
【0089】
なお、上記に示したいくつかのステップ又は段階は、必ずしも同一の時刻で実行完了する必要はなく、異なる時刻で実行してもよく、これらのステップ又は段階の実行順序も必ずしも順次行う必要はなく、他のステップ又は他のステップにおけるステップ又は段階の少なくとも一部と、順番又は交互に実行してもよい。使用の要件に応じて選択してもよく、ここでは特に限定されるものではない。
【0090】
以下、レーザードーピングプロセスによってドーピング層200の目標領域にドーピングを行い、高濃度ドーピング領域z2を形成することを例として、本願の実施例において作製される太陽電池を例示的に説明する。
【0091】
本願の一実施例において、レーザードーピングプロセスのパラメータは、レーザー出力55W、レーザー照射周波数50KHZ、レーザー走査速度25m/s、レーザースポットの幅80μmである。本体領域のシート抵抗が80Ω/□、接合深さが2μm、幅が65μmである。接続領域のシート抵抗が90Ω/□、接合深さが1.9μm、幅が10μmである。エッジ領域のシート抵抗が100Ω/□、接合深さが1.8μm、幅が5μmである。太陽電池の変換効率が26%である。
【0092】
一比較例では、レーザードーピングプロセスのパラメータは、レーザー出力100W、レーザー照射周波数120KHZ、レーザー走査速度30m/s、レーザースポットの幅140μmである。本体領域のシート抵抗が100Ω/□、接合深さが2.6μm、幅が130μmである。接続領域のシート抵抗及びエッジ領域のシート抵抗が120Ω/□、接合深さが2.2μm、幅が10μmである。太陽電池の変換効率が25.4%である。
【0093】
その他の条件は、上記2組の実験データにおいて同じである。この比較例では、接続領域の幅及び非接続領域の幅と第1の電極の幅との両立が不十分であるので、開放電圧及び曲線因子が低下して太陽電池の変換効率が低下する。
【0094】
同じ発明概念に基づいて、本願の実施例は、以上のいずれかの実施例における太陽電池を含み、又は、以上のいずれかの実施例における太陽電池の作製方法により作製される太陽電池を含む、光起電力モジュールを提供する。
【0095】
さらに、太陽電池は、複数設けられてもよく、太陽電池は、モノリシック又は複数個に分割して電気的に接続して複数の電池ストリングを形成することができ、複数の電池ストリングは、直列及び/又は並列の方式で電気的に接続される。太陽電池モジュールは、電池ストリングの表面を覆うための封止層と、電池ストリングから離れる封止層の表面を覆うためのカバープレートと、をさらに含んでもよい。具体的には、いくつかの実施例では、複数の電池ストリングの間は、導電帯によって電気的に接続されてもよい。封止層は、太陽電池の表面を覆う。例示的には、封止層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンオクテン共重合体フィルム、又はポリエチレンテレフタレートフィルムなどの有機封止フィルムであってもよい。カバープレートは、ガラスカバープレート、プラスチックカバープレートなどの透光機能を有するカバープレートであってもよい。
【0096】
以上のいずれかの実施例における太陽電池が備える利点、又は以上のいずれかの実施例における太陽電池の作製方法により作製される太陽電池が備える利点は、当該光起電力モジュールが同様に備えるので、ここでは説明を省略する。
【0097】
同じ発明概念に基づいて、本願の実施例は、以上のいずれかの実施例における光起電力モジュールを含む、光起電力システムを提供する。上記光起電力モジュールが備える利点は、当該光起電力システムが同様に備えるので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0098】
理解されるように、光起電力システムは、地上発電所、屋根発電所、水面発電所などの光起電力所に適用することができ、また、需要者太陽光電源、太陽光街灯、太陽光自動車、太陽光建物などの太陽光エネルギーを利用して発電する設備又は装置に適用することができる。もちろん、理解されるように、光起電力システムの適用場面はこれに限定されず、つまり、光起電力システムは、光起電力を必要とするあらゆる分野に適用可能である。光起電力システム網を例にとると、光起電力システムは、光起電力アレイ、コンバージェンスボックス及びインバータを含むことができ、光起電力アレイは、複数の太陽電池1のアレイの組合せであってもよく、例えば、複数の太陽電池1は、複数の光起電力アレイを構成することができ、光起電力アレイは、コンバージェンスボックスに接続され、コンバージェンスボックスは、光起電力アレイが発生する電流を合流することができ、合流された電流は、インバータを介して商用電力網に要求される交流電流に変換された後、商用電力網に接続されて太陽光エネルギーの供給を実現する。
【0099】
以上に述べた実施例の各技術的特徴は任意の組合せが可能であり、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴の可能な全ての組合せについて説明していないが、これらの技術的特徴の組合せに矛盾がない限り、全て本明細書に記載された範囲であると考えるべきである。
【0100】
以上に述べた実施例は、本願のいくつかの実施形態を表現しただけで、その説明が具体的かつ詳細であるが、それによって出願特許の範囲を制限するものと理解することはできない。指摘すべきことは、当業者にとっては、本願の構想を逸脱しないことを前提に、いくつかの変形及び改良を加えることができ、これらは本願の保護範囲に属するということである。したがって、本願発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲の内容を基準とすべきである。
【符号の説明】
【0101】
基板100、第1の表面m1、第2の表面m2、
ドーピング層200、低濃度ドーピング領域z1、高濃度ドーピング領域z2、本体領域z21、第4の投影y4、接続領域z22、第5の投影y5、エッジ領域z23、第6の投影y6、
第1のパッシベーション膜層300、第1のパッシベーション層310、第1の反射防止層320、
パッシベーションコンタクト層400、トンネリング酸化物層410、ドープポリシリコン層420、
第2のパッシベーション膜層500、
第1の電極e1、電極本体e11、第1の投影y1、接続電極e12、第2の投影y2、エッジ電極e13、第3の投影y3、第2の電極e2、
第1の方向F1、第2の方向F2、第3の方向F3、
ステップS110、S120、S130、S140。