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特開2024-113119太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール及び光起電力システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113119
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール及び光起電力システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0747 20120101AFI20240814BHJP
【FI】
H01L31/06 455
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024092432
(22)【出願日】2024-06-06
(31)【優先権主張番号】202311078019.3
(32)【優先日】2023-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523183389
【氏名又は名称】トリナ・ソーラー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TRINA SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 2 Trina Road, Trina PV Park, Xinbei District, Changzhou, Jiangsu 213031, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】韓 秉倫
(72)【発明者】
【氏名】陳 達明
(72)【発明者】
【氏名】楊 广涛
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電池の製造プロセスステップを減少し、製造コストを低減することができる、太陽電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板の第2の面の第2の領域に位置する第2の真性アモルファスシリコン層及び第2のトンネリング酸化物層を除去することと、第1の領域に位置する第1の真性アモルファスシリコン層及び第2の真性アモルファスシリコン層に第1の元素をドーピングし、第1の、第2のドーピング層を得ることと、第2の領域に位置する前記第1の真性アモルファスシリコン層に第2の元素をドーピングし、第3のドーピング層を得ることと、分離領域に分離構造を形成することにより、第1の領域に位置する第1のトンネリング酸化物層と第2の領域に位置する第1のトンネリング酸化物層とを分離し、且つ第1の領域に位置する第1のドーピング層及び第2のドーピング層両者と第2の領域に位置する第3のドーピング層とを分離することと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の製造方法であって、
対向して設けられた第1の面及び第2の面を有する基板を提供し、前記第2の面を第1の領域、第2の領域及び両者の間に位置する分離領域に分割するS1と、
前記基板の前記第2の面であって基板から離れる方向に沿って第1のトンネリング酸化物層、第1の真性アモルファスシリコン層、第2のトンネリング酸化物層及び第2の真性アモルファスシリコン層を順次積層して形成するS2と、
前記第2の領域に位置する前記第2の真性アモルファスシリコン層及び前記第2のトンネリング酸化物層を除去するS3と、
前記第1の領域に位置する前記第1の真性アモルファスシリコン層及び前記第2の真性アモルファスシリコン層に第1の元素をドーピングし、第1のドーピング層及び第2のドーピング層をそれぞれ得て、前記第2の領域に位置する前記第1の真性アモルファスシリコン層に第2の元素をドーピングし、第3のドーピング層を得るS4と、
前記分離領域に分離構造を形成することにより、前記第1の領域に位置する前記第1のトンネリング酸化物層と前記第2の領域に位置する前記第1のトンネリング酸化物層とを分離し、且つ前記第1の領域に位置する前記第1のドーピング層及び前記第2のドーピング層の両者と前記第2の領域に位置する前記第3のドーピング層とを分離するS5と、を含む、
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記S3の前に、さらに、
前記第2の真性アモルファスシリコン層の前記基板から離反する側にドーピング源層及び第1の保護層を順次積層して形成するS3aであって、前記ドーピング源層は、ドーピングに必要な前記第1の元素を提供するために用いられるS3aを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記S3は、具体的に、
前記第2の領域に位置する前記第1の保護層、前記ドーピング源層及び前記第2のトンネリング酸化物層から離反する一部の前記第2の真性アモルファスシリコン層をレーザーにより除去するS310aと、
前記第2の領域に位置し且つ前記第2のトンネリング酸化物層に隣接する残りの前記第2の真性アモルファスシリコン層、及び前記第2の領域に位置する前記第2のトンネリング酸化物層を湿式で除去するS320aと、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記S320aは、具体的に、
前記第2の領域に位置し且つ前記第2のトンネリング酸化物層に隣接する残りの前記第2の真性アモルファスシリコン層を湿式で除去するS321aと、
前記第1の領域に位置する前記第1の保護層の基板から離反する側にマスク層を形成するS322aと、
前記第2の領域に位置する前記第2のトンネリング酸化物層を湿式で除去するS323aと、
前記マスク層を除去するS324aと、を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記S4は、具体的に、
予め設定された温度で、前記ドーピング源層が前記第1の真性アモルファスシリコン層及び前記第2の真性アモルファスシリコン層に前記第1の元素をドーピングし、且つ予め設定された時間にわたって、前記第1のドーピング層及び前記第2のドーピング層をそれぞれ得ることと、
前記第2の領域に位置する前記第1の真性アモルファスシリコン層に前記第2の元素をドーピングし、前記第3のドーピング層を得ることと、を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記S4の後に、さらに、
前記ドーピング源層及び前記第1の保護層を除去することを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項7】
前記S3の前に、さらに、
前記第2の真性アモルファスシリコン層の前記基板から離反する側に第2の保護層を形成するS3bを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記S3は、具体的に、
前記第2の領域に位置する前記第2の保護層及び前記第2のトンネリング酸化物層から離反する一部の前記第2の真性アモルファスシリコン層をレーザーにより除去するS310bと、
前記第2の領域に位置し且つ前記第2のトンネリング酸化物層に隣接する残りの前記第2の真性アモルファスシリコン層、及び前記第2の領域に位置する前記第2のトンネリング酸化物層を湿式で除去するS320bと、を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記S320bは、具体的に、
前記第2の領域に位置し且つ前記第2のトンネリング酸化物層に隣接する残りの前記第2の真性アモルファスシリコン層を湿式で除去するS321bと、
前記第1の領域に位置する前記第2の保護層の基板から離反する側にマスク層を形成するS322bと、
前記第2の領域に位置する前記第2のトンネリング酸化物層を湿式で除去するS323bと、
前記マスク層を除去するS324bと、を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項10】
前記S4は、具体的に、
前記第2の領域に位置する前記第1の真性アモルファスシリコン層に前記第2の元素をドーピングし、前記第3のドーピング層を得ることと、
前記第3のドーピング層の前記基板から離反する側に第3の保護層を形成することと、
前記第1の領域に位置する前記第2の保護層を除去し、且つ前記第1の領域に位置する前記第1の真性アモルファスシリコン層及び前記第2の真性アモルファスシリコン層に前記第1の元素をドーピングし、前記第1のドーピング層及び前記第2のドーピング層を得ることと、を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項11】
前記S4の後に、さらに、
前記第3の保護層を除去することを含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項12】
前記S5の後に、さらに、
前記第2のドーピング層及び前記第3のドーピング層の前記基板から離反する側に、前記第2のドーピング層及び前記第3のドーピング層の基板から離反する側の表面を少なくとも覆う第1のパッシベーション反射低減層を形成し、前記基板の前記第1の面に第2のパッシベーション反射低減層を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項13】
さらに、
前記第1の領域に位置する前記第1のパッシベーション反射低減層の基板から離反する側に、前記第2のドーピング層に接続される第1の電極を形成することと、
前記第2の領域に位置する前記第1のパッシベーション反射低減層の基板から離反する側に、前記第3のドーピング層に接続される第2の電極を形成することと、を含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記第1のトンネリング酸化物層及び前記第2のトンネリング酸化物層の厚さは、いずれも1~2nmであり、前記第1のドーピング層、前記第2のドーピング層及び前記第3のドーピング層の厚さは、いずれも50~500nmである、
ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項15】
太陽電池であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の太陽電池の製造方法に基づいて製造され、前記太陽電池は、
対向して設けられた第1の面及び第2の面を有する基板であって、前記第2の面は、第1の領域、第2の領域、及び両者の間に位置する分離領域を含む基板と、
前記第1の領域内に位置し、且つ前記基板から離反する方向に沿って順次積層して設けられた第1のトンネリング酸化物層、第1のドーピング層、第2のトンネリング酸化物層及び第2のドーピング層と、
前記第2の領域内に位置し、且つ前記基板から離反する方向に沿って順次積層して設けられた第1のトンネリング酸化物層及び第3のドーピング層と、
分離構造であって、前記分離領域に位置し、前記分離構造は、前記第1の領域に位置する前記第1のトンネリング酸化物層と前記第2の領域に位置する前記第1のトンネリング酸化物層とを分離するために用いられ、前記分離構造は、さらに、前記第1の領域に位置する前記第1のドーピング層及び前記第2のドーピング層の両者と前記第2の領域に位置する前記第3のドーピング層とを分離するために用いられる分離構造と、を含む、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項16】
前記分離構造は、分離溝を含み、前記分離溝は、第1の方向に沿って前記第1のトンネリング酸化物層、前記第1のドーピング層、前記第2のトンネリング酸化物層、前記第2のドーピング層及び前記第3のドーピング層を貫通し、前記第1の方向は、前記基板が位置する平面に垂直である、ことを特徴とする請求項15に記載の太陽電池。
【請求項17】
請求項15に記載の太陽電池を含む、光起電力モジュール。
【請求項18】
請求項17に記載の光起電力モジュールを含む、光起電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、太陽電池の技術分野に関し、特に、太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール及び光起電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、光電池とも呼ばれ、太陽の光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する半導体デバイスである。環境に優しい製品であり、環境汚染を起こさず、太陽エネルギーは再生可能な資源であるため、太陽電池は幅広い開発の可能性がある新しい電池である。
【0003】
バックコンタクト電池(interdigitated back contact、略称IBC)の電極は、電池の裏面に位置するため、電池の受光面に対する遮蔽を小さくして電池の変換効率を向上させることができ、次第に産業化された高効率電池の主な研究開発方向になった。TOPCon(Tunnel Oxide passivated contact)電池におけるトンネリング酸化物層及びドープポリシリコン層のパッシベーションコンタクト構造は、シリコンウェーハ表面と金属との接触の再結合速度を効果的に低減することができ、TOPCon電池とIBC電池技術とを重ね合わせたTBC電池の効率が高く、研究のホットスポットとなっている。
【0004】
関連技術では、TBC電池の製造過程において、シリコン基板の背光面のP領域とN領域にそれぞれパッシベーションコンタクト構造を製造する場合、必要な工程ステップが多く、電池の製造コストが高くなり、電池の量産コストが高くなり、電池の量産に不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに基づいて、本願は、電池の製造プロセスステップを減少し、電池の製造コストを低減し、さらに電池の量産に有利であり、電池の量産コストを低減することができる、太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール及び光起電力システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1の態様の実施例は、
対向して設けられた第1の面及び第2の面を有する基板を提供し、前記第2の面を第1の領域、第2の領域及び両者の間に位置する分離領域に分割するS1と、
前記基板の前記第2の面であって基板から離れる方向に沿って第1のトンネリング酸化物層、第1の真性アモルファスシリコン層、第2のトンネリング酸化物層及び第2の真性アモルファスシリコン層を順次積層して形成するS2と、
前記第2の領域に位置する前記第2の真性アモルファスシリコン層及び前記第2のトンネリング酸化物層を除去するS3と、
前記第1の領域に位置する前記第1の真性アモルファスシリコン層及び前記第2の真性アモルファスシリコン層に第1の元素をドーピングし、第1のドーピング層及び第2のドーピング層をそれぞれ得て、前記第2の領域に位置する前記第1の真性アモルファスシリコン層に第2の元素をドーピングし、第3のドーピング層を得るS4と、
前記分離領域に分離構造を形成することにより、前記第1の領域に位置する前記第1のトンネリング酸化物層と前記第2の領域に位置する前記第1のトンネリング酸化物層とを分離し、且つ前記第1の領域に位置する前記第1のドーピング層及び前記第2のドーピング層の両者と前記第2の領域に位置する前記第3のドーピング層とを分離するS5と、を含む、
太陽電池の製造方法を提供する。
【0007】
そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS3の前に、当該方法は、さらに、
前記第2の真性アモルファスシリコン層の前記基板から離反する側にドーピング源層及び第1の保護層を順次積層して形成するS3aであって、前記ドーピング源層は、ドーピングに必要な前記第1の元素を提供するために用いられるS3aを含む。
【0008】
そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS3は、具体的に、
前記第2の領域に位置する第1の保護層、ドーピング源層及び前記第2のトンネリング酸化物層から離反する一部の前記第2の真性アモルファスシリコン層をレーザーにより除去するS310aと、
前記第2の領域に位置し且つ前記第2のトンネリング酸化物層に隣接する残りの前記第2の真性アモルファスシリコン層、及び前記第2の領域に位置する前記第2のトンネリング酸化物層を湿式で除去するS320aと、を含む。
【0009】
そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS320aは、具体的に、
前記第2の領域に位置し且つ前記第2のトンネリング酸化物層に隣接する残りの前記第2の真性アモルファスシリコン層を湿式で除去することと、
前記第1の領域に位置する前記第1の保護層の基板から離反する側にマスク層を形成することと、
前記第2の領域に位置する前記第2のトンネリング酸化物層を湿式で除去することと、
前記マスク層を除去することと、を含む。
【0010】
そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS4は、具体的に、
予め設定された温度で、前記ドーピング源層が前記第1の真性アモルファスシリコン層及び前記第2の真性アモルファスシリコン層に前記第1の元素をドーピングし、且つ予め設定された時間にわたって、前記第1のドーピング層及び前記第2のドーピング層をそれぞれ得ることと、
前記第2の領域に位置する前記第1の真性アモルファスシリコン層に前記第2の元素をドーピングし、前記第3のドーピング層を得ることと、を含む。
【0011】
そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS4の後に、当該方法は、さらに、
前記ドーピング源層及び前記第1の保護層を除去することを含む。
【0012】
そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS3の前に、当該方法は、さらに、
前記第2の真性アモルファスシリコン層の前記基板から離反する側に第2の保護層を形成するS3bを含む。
【0013】
そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS3は、具体的に、
前記第2の領域に位置する前記第2の保護層及び前記第2のトンネリング酸化物層から離反する一部の前記第2の真性アモルファスシリコン層をレーザーにより除去するS310bと、
第2の領域に位置し且つ前記第2のトンネリング酸化物層に隣接する残りの前記第2の真性アモルファスシリコン層、及び前記第2の領域に位置する前記第2のトンネリング酸化物層を湿式で除去するS320bと、を含む。
【0014】
そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS320bは、具体的に、
前記第2の領域に位置し且つ前記第2のトンネリング酸化物層に隣接する残りの前記第2の真性アモルファスシリコン層を湿式で除去することと、
前記第1の領域に位置する前記第2の保護層の基板から離反する側にマスク層を形成することと、
前記第2の領域に位置する前記第2のトンネリング酸化物層を湿式で除去することと、
前記マスク層を除去することと、を含む。
【0015】
そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS4は、具体的に、
前記第2の領域に位置する前記第1の真性アモルファスシリコン層に前記第2の元素をドーピングし、前記第3のドーピング層を得ることと、
前記第3のドーピング層の前記基板から離反する側に第3の保護層を形成することと、
前記第1の領域に位置する前記第2の保護層を除去し、且つ前記第1の領域に位置する前記第1の真性アモルファスシリコン層及び前記第2の真性アモルファスシリコン層に前記第1の元素をドーピングし、前記第1のドーピング層及び前記第2のドーピング層を得ることと、を含む。
【0016】
そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS4の後に、当該方法は、さらに、
前記第3の保護層を除去することを含む。
【0017】
そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS5の後に、当該方法は、さらに、
前記第2のドーピング層及び前記第3のドーピング層の前記基板から離反する側に、前記第2のドーピング層及び前記第3のドーピング層の基板から離反する側の表面を少なくとも覆う第1のパッシベーション反射低減層を形成し、前記基板の前記第1の面に第2のパッシベーション反射低減層を形成することを含む。
【0018】
そのうちのいくつかの実施例では、当該方法は、さらに、
前記第1の領域に位置する前記第1のパッシベーション反射低減層の基板から離反する側に、前記第2のドーピング層に接続される第1の電極を形成することと、
前記第2の領域に位置する前記第1のパッシベーション反射低減層の基板から離反する側に、前記第3のドーピング層に接続される第2の電極を形成することと、を含む。
【0019】
そのうちのいくつかの実施例では、前記第1のトンネリング酸化物層及び前記第2のトンネリング酸化物層の厚さは、いずれも1~2nmであり、前記第1のドーピング層、前記第2のドーピング層及び前記第3のドーピング層の厚さは、いずれも50~500nmである。
【0020】
本願の第2の態様の実施例は、
対向して設けられた第1の面及び第2の面を有する基板であって、前記第2の面は、第1の領域、第2の領域、及び両者の間に位置する分離領域を含む基板と、
前記第1の領域内に位置し、且つ前記基板から離反する方向に沿って順次積層して設けられた第1のトンネリング酸化物層、第1のドーピング層、第2のトンネリング酸化物層及び第2のドーピング層と、
前記第2の領域内に位置し、且つ前記基板から離反する方向に沿って順次積層して設けられた第1のトンネリング酸化物層及び第3のドーピング層と、
分離構造であって、前記分離領域に位置し、前記分離構造は、前記第1の領域に位置する前記第1のトンネリング酸化物層と前記第2の領域に位置する前記第1のトンネリング酸化物層とを分離するために用いられ、前記分離構造は、さらに、前記第1の領域に位置する前記第1のドーピング層及び前記第2のドーピング層の両者と前記第2の領域に位置する前記第3のドーピング層とを分離するために用いられる分離構造と、を含む、
太陽電池を提供する。
【0021】
そのうちのいくつかの実施例では、前記分離構造は、分離溝を含み、前記分離溝は、第1の方向に沿って前記第1のトンネリング酸化物層、前記第1のドーピング層、前記第2のトンネリング酸化物層、前記第2のドーピング層及び前記第3のドーピング層を貫通し、前記第1の方向は、前記基板が位置する平面に垂直である。
【0022】
本願の第3の態様の実施例は、第2の態様のいずれか一項に記載の太陽電池を含む、光起電力モジュールを提供する。
【0023】
本願の第4の態様の実施例は、第3の態様に記載の光起電力モジュールを含む、光起電力システムを提供する。
【発明の効果】
【0024】
上記太陽電池の製造方法は、基板に第1のトンネリング酸化物層、第1の真性アモルファスシリコン層、第2のトンネリング酸化物層及び第2の真性アモルファスシリコン層を順次積層して形成し、第2の領域に位置する第2の真性アモルファスシリコン層及び第2のトンネリング酸化物層を除去した後、第1の領域に位置する第1の真性アモルファスシリコン層及び第2の真性アモルファスシリコン層に第1の元素をドーピングし、第1のドーピング層及び第2のドーピング層を得て、第2の領域に位置する第1の真性アモルファスシリコン層に第2の元素をドーピングし、第3のドーピング層を得て、且つ分離領域に分離構造を形成することにより、基板の第2の面において、第1の領域及び第2の領域にそれぞれ位置するパッシベーションコンタクト構造を形成し、基板の第1の領域及び第2の領域にそれぞれパッシベーションコンタクト構造を作製するときに必要な工程ステップを減少し、さらに電池の製造プロセスステップを減少し、電池の製造コストを低減し、電池の量産に有利であり、電池の量産コストを低減することができる。
【0025】
また、第1の領域に位置する第1の真性アモルファスシリコン層及び第2の真性アモルファスシリコン層に第1の元素をドーピングする時、第1の元素は第2のトンネリング酸化物層によって第1の真性ポリシリコン層に拡散する必要があり、第2のトンネリング酸化物層は一定のバリア作用を有するため、過剰の第1の元素が第1の真性ポリシリコン層に拡散することを回避することができ、これにより第1のドーピング層のドーピング濃度を第2のドーピング層のドーピング濃度よりも小さくすることができ、それによって第1のドーピング層の光に対する寄生吸収を低減し、電池の効率を向上させることができ、後に電極を製造する時、第2のドーピング層と電極とのオーミックコンタクト効果を向上させ、電池の効率及び信頼性を向上させることができ、また、第2のトンネリング酸化物層が光に対して一定の反射作用を有し、それによって光利用率を向上させ、電池の効率をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本願のいくつかの実施例にて提供される太陽電池の製造方法のフローチャートである。
図2】本願のいくつかの実施例にて提供される太陽電池の製造方法の第1のフローチャートである。
図3図2の第1のフローチャートに対応する第1のプロセスのフローチャートである。
図4】本願のいくつかの実施例にて提供される太陽電池の製造方法において第2の領域に位置する第2の真性アモルファスシリコン層及び第2のトンネリング酸化物層を除去する第1の概略フローチャートである。
図5】本願のいくつかの実施例にて提供される太陽電池の製造方法の第2のフローチャートである。
図6図5の第2のフローチャートに対応する第2のプロセスのフローチャートである。
図7】本願のいくつかの実施例にて提供される太陽電池の製造方法において第2の領域に位置する第2の真性アモルファスシリコン層及び第2のトンネリング酸化物層を除去する第2の概略フローチャートである。
図8】本願のいくつかの実施例にて提供される太陽電池の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本願の上記目的、特徴及び利点をより明らかにしてわかりやすくするために、以下、図面を参照して本願の具体的な実施形態について詳細に説明する。本願の十分な理解を容易にするために、以下の説明で多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本願は、本明細書に記載された方法とは異なる多くの他の方法で実施することができ、当業者は、本願の内容に反せずに同様の改善を行うことができるので、本願は、以下に開示される具体的な実施例によって限定されない。
【0028】
本願の説明において、「中心」、「縦」、「横」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語が現われる場合、これらの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本願の説明の便宜及び簡略化のためのものであり、示される装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構築及び操作されなければならないことを示し又は暗示するものではなく、したがって、本願を限定するものとは理解できないことを理解されたい。
【0029】
なお、「第1の」、「第2の」という用語が現われる場合、これらの用語は、単に説明のためのものであり、相対的な重要性を示すか又は暗示するか、又は示される技術的特徴の数を暗黙的に示すものと理解すべきではない。したがって、「第1の」、「第2の」と定義された特徴は、少なくとも1つのその特徴を明示的又は暗黙的に含んでもよい。本願の説明において、「複数」は、特に断りのない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどを意味する。
【0030】
本願において、「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語が現われる場合、これらの用語は、別段の明示的な規定及び限定がない限り、広義に理解されるべきであり、例えば、特に明示的に限定されない限り、固定的な接続、取り外し可能な接続、又は一体的なものであってもよく、機械的接続でも電気的接続でもよく、直接的な連結でも介在媒体を介する間接的な連結でもよく、2つの要素の内部の連通、又は2つの要素の相互作用の関係であってもよい。本願における上記用語の具体的な意味は、当業者にとっては、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0031】
本願において、別段の明示的な規定及び限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあるなどの類似の記述がある場合、その意味は、第1の特徴及び第2の特徴が直接接触していること、又は第1の特徴及び第2の特徴が介在媒体を介して間接的に接触していることであってもよい。さらに、第1の特徴が第2の特徴「の上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上にあるか、又は単に第1の特徴が第2の特徴よりも水平高さが高いことを示す。第1の特徴が第2の特徴「の下」、「下方」及び「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の直下又は斜め下にあるか、又は単に第1の特徴が第2の特徴よりも水平高さが低いことを示す。
【0032】
なお、要素が別の要素に「固定されている」又は「設けられている」と称される場合、別の要素の上に直接あってもよく、又は介在する要素が存在してもよい。ある要素が別の要素に「接続されている」と見なされる場合、別の要素に直接接続されてもよく、又は介在する要素が同時に存在してもよい。存在する場合、本願で用いられている用語「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、「右」、及び類似の表現は、単に説明のためであり、唯一の実施形態であることを示すものではない。
【0033】
図1は、本願のいくつかの実施例にて提供される太陽電池の製造方法を示す。図1を参照すると、本願の第1の態様の実施例は、以下を含む太陽電池の製造方法を提供する。
【0034】
S1、対向して設けられた第1の面111及び第2の面112を有する基板110を提供し、第2の面112を第1の領域112a、第2の領域112b及び両者の間に位置する分離領域112cに分割する。
【0035】
具体的には、基板110は、P型シリコン基板110であってもよいし、N型シリコン基板110であってもよく、第1の面111は、受光面であってもよく、第2の面112は、背光面であってもよく、
【0036】
脱イオン水、KOH及び研磨添加剤で調合された薬液によって基板110の第1の面111及び第2の面112を研磨することができ、後の手順における基板110上のトンネリング酸化物層(第1のトンネリング酸化物層120及び第2のトンネリング酸化物層140)に接触する領域の平坦度を保証することができ、後に製造される第1のトンネリング酸化物層120、第2のトンネリング酸化物層140、第1の真性ポリシリコン層及び第2の真性対結晶シリコン層の平坦度及び均一性を向上させることに有利であり、それによって基板110に形成されたパッシベーションコンタクト構造のパッシベーション効果を向上させることができる。
【0037】
S2、基板110の第2の面112であって基板110から離れる方向に沿って第1のトンネリング酸化物層120、第1の真性アモルファスシリコン層130、第2のトンネリング酸化物層140及び第2の真性アモルファスシリコン層150を順次積層して形成する。
【0038】
具体的には、低圧化学気相堆積法によって基板110の第2の面112に第1のトンネリング酸化物層120、第1の真性アモルファスシリコン層130、第2のトンネリング酸化物層140及び第2の真性アモルファスシリコン層150を順次積層して形成してもよいが、もちろん、他の堆積方法で形成してもよく、本願では特に限定されない。
【0039】
S3、第2の領域112bに位置する第2の真性アモルファスシリコン層150及び第2のトンネリング酸化物層140を除去する。
【0040】
具体的には、レーザー、化学的腐食、フォトリソグラフィーなどの方法のうちの1つ以上の方法で第2の領域112bに位置する第2の真性アモルファスシリコン層150及び第2のトンネリング酸化物層140を除去してもよく、好ましくは、レーザーと化学的腐食の2つの方法を組み合わせて第2の領域112bに位置する第2の真性アモルファスシリコン層150及び第2のトンネリング酸化物層140を除去し、除去過程での第1の真性アモルファスシリコン層130への損傷を低減し、それによってドーピングによって得られた第3のドーピング層150aの性能を向上させ、電池の効率を向上させることに有利である。
【0041】
S4、第1の領域112aに位置する第1の真性アモルファスシリコン層130及び第2の真性アモルファスシリコン層150に第1の元素をドーピングし、第1のドーピング層130a及び第2のドーピング層130bをそれぞれ得て、第2の領域112bに位置する第1の真性アモルファスシリコン層130に第2の元素をドーピングし、第3のドーピング層150aを得る。
【0042】
第1の元素は、ボロン元素であってもよく、第2の元素は、リン元素であってもよく、第1の領域112aに位置する第1の真性アモルファスシリコン層130及び第2の真性アモルファスシリコン層150にボロン元素をドーピングすることにより、ドーピングによって得られた第1のドーピング層130a及び第2のドーピング層130bのドーピングタイプを一致させることができ、ボロン元素の真性アモルファスシリコン層(第1の真性アモルファスシリコン層及び第2の真性アモルファスシリコン層)における拡散係数がリン元素の拡散係数よりも遥かに小さいとともに、第2のトンネリング酸化物層は、一定のバリア作用を有するので、ドーピング濃度の低い第1のドーピング層130a及びドーピング濃度の高い第2のドーピング層130bを得ることができ、それによって第1のドーピング層130aの光に対する寄生吸収を低減し、電池の効率を向上させることができ、後に電極を製造する時、第2のドーピング層130bと電極とのオーミックコンタクト効果を向上させ、さらに電池の効率及び信頼性を向上させることができる。
【0043】
S5、分離領域112cに分離構造190を形成することにより、第1の領域112aに位置する第1のトンネリング酸化物層120と第2の領域112bに位置する第1のトンネリング酸化物層120とを分離し、且つ第1の領域112aに位置する第1のドーピング層130a及び第2のドーピング層130bの両者と第2の領域112bに位置する第3のドーピング層150aとを分離し、それによって再結合の発生を回避し、電池の効率を向上させることができる。
【0044】
上記態様における太陽電池の製造方法は、基板110に第1のトンネリング酸化物層120、第1の真性アモルファスシリコン層130、第2のトンネリング酸化物層140及び第2の真性アモルファスシリコン層150を順次積層して形成し、第2の領域112bに位置する第2の真性アモルファスシリコン層150及び第2のトンネリング酸化物層140を除去した後、第1の領域112aに位置する第1の真性アモルファスシリコン層130及び第2の真性アモルファスシリコン層150に第1の元素をドーピングし、第1のドーピング層130a及び第2のドーピング層130bを得て、第2の領域112bに位置する第1の真性アモルファスシリコン層130に第2の元素をドーピングし、第3のドーピング層150aを得て、且つ分離領域112cに分離構造190を形成することにより、基板110の第2の面112において、第1の領域112a及び第2の領域112bにそれぞれ位置するパッシベーションコンタクト構造を形成し、基板110の第1の領域112a及び第2の領域112bにそれぞれパッシベーションコンタクト構造を作製するときに必要な工程ステップを減少し、さらに電池の製造プロセスステップを減少し、電池の製造コストを低減し、電池の量産に有利であり、電池の量産コストを低減することができる。
【0045】
また、第1の領域112aに位置する第1の真性アモルファスシリコン層130及び第2の真性アモルファスシリコン層150に第1の元素をドーピングする時、第1の元素は第2のトンネリング酸化物層140によって第1の真性ポリシリコン層に拡散する必要があり、第2のトンネリング酸化物層140は一定のバリア作用を有するため、過剰の第1の元素が第1の真性ポリシリコン層に拡散することを回避することができ、これにより第1のドーピング層130aのドーピング濃度を第2のドーピング層130bのドーピング濃度よりも小さくすることができ、それによって第1のドーピング層130aの光に対する寄生吸収を低減し、電池の効率を向上させることができ、後に電極を製造する時、第2のドーピング層130bと電極とのオーミックコンタクト効果を向上させ、電池の効率及び信頼性を向上させることができ、また、第2のトンネリング酸化物層140が光に対して一定の反射作用を有し、それによって光利用率を向上させ、電池の効率をさらに向上させることができる。
【0046】
図2及び図3に関連して示されるように、そのうちのいくつかの実施例では、ステップS3の前に、当該方法は、さらに、
第2の真性アモルファスシリコン層150の基板110から離反する側にドーピング源層160及び第1の保護層170を順次積層して形成するS3aであって、ドーピング源層160は、ドーピングに必要な第1の元素を提供するために用いられるS3aを含む。
【0047】
ドーピング源層160は、ボロン源層であってもよく、例えば、常圧化学気相堆積法(Atmospheric Pressure Chemical Vapor Deposition、APCVD)によって第2の真性アモルファスシリコン層150の基板110から離反する側にホウ珪酸ガラス層を形成し、また、例えばボロン拡散管によって第2の真性アモルファスシリコン層150の基板110から離反する側に純ボロン層を形成する。第1の保護層170は、酸化ケイ素層、酸窒化ケイ素及び窒化ケイ素のうちの少なくとも1つであってもよく、第1の保護層170は、常圧化学気相堆積法によって作製されてもよいし、プラズマ強化化学気相堆積法(plasma enhanced chemical vapor deposition、PECVD)によって作製されてもよく、第1の保護層170の厚さは、50nm~100nmである。
【0048】
本実施例では、第2の真性アモルファスシリコン層150の基板110から離反する側にドーピング源層160及び第1の保護層170を順次積層して形成することにより、後にドーピング源層160によって第2の真性アモルファスシリコン層150及び第1の真性アモルファスシリコン層130に第1の元素をドーピングすることが容易になり、同じドーピングタイプの第1のドーピング層130a及び第2のドーピング層130bを得て、第1の保護層170は後に保護及びバリアの役割を果たすことができる。
【0049】
図2及び図3に関連して示されるように、そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS3は、具体的には、
第2の領域112bに位置する第1の保護層170、ドーピング源層160及び第2のトンネリング酸化物層140から離反する一部の第2の真性アモルファスシリコン層150をレーザーにより除去するS310aと、
第2の領域112bに位置し且つ第2のトンネリング酸化物層140に隣接する残りの第2の真性アモルファスシリコン層150、及び第2の領域112bに位置する前記第2のトンネリング酸化物層140を湿式で除去するS320aと、を含む。
【0050】
本実施例では、第2の領域112bに位置する第1の保護層170、ドーピング源層160及び第2のトンネリング酸化物層140から離反する一部の第2の真性アモルファスシリコン層150をレーザーにより除去し、第2の領域112bに位置し且つ第2のトンネリング酸化物層140に隣接する残りの第2の真性アモルファスシリコン層150、及び第2の領域112bに位置する第2のトンネリング酸化物層140を湿式で除去し、レーザー除去過程において、第2の真性アモルファスシリコン層150は犠牲層として、レーザーエネルギーを吸収することができ、第2のトンネリング酸化物層140はバリア層として、レーザーエネルギーの伝導を遮断し、レーザーによる第1の真性アモルファスシリコン層130への損傷を低減することができ、残りの第2の真性アモルファスシリコン層150及び第2のトンネリング酸化物層140を湿式で除去することにより、第1の真性アモルファスシリコン層130への損傷を回避することができ、それによってドーピングによって得られた第3のドーピング層150aの性能を確保し、電池の効率を向上させることができる。
【0051】
図4に示すように、そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS320aは、具体的には、以下を含む。
【0052】
S321a、第2の領域112bに位置し且つ第2のトンネリング酸化物層140に隣接する残りの第2の真性アモルファスシリコン層150を湿式で除去する。
【0053】
具体的には、研磨添加剤によって第2の領域112bに位置し且つ第2のトンネリング酸化物層140に隣接する残りの第2の真性アモルファスシリコン層150を除去することができ、当該研磨添加剤は第1の保護層170及び第2のトンネリング酸化物層140に損傷を与えず、それによって研磨添加剤による第1の真性アモルファスシリコン層130及びドーピング源層160への損傷を回避することができる。
【0054】
S322a、第1の領域112aに位置する第1の保護層170の基板110から離反する側にマスク層を形成する。
【0055】
具体的には、マスク層は、フォトレジスト層であってもよく、マスク層は、第2の領域112bに位置する第2のトンネリング酸化物層140を除去するときに第1の保護層170に対して保護の役割を果たすことができ、第1の保護層170が損傷を受けないことを保証し、その後の拡散に有利である。
【0056】
S323a、第2の領域112bに位置する第2のトンネリング酸化物層140を湿式で除去する。
【0057】
具体的には、酸液によって第2のトンネリング酸化物層140を除去してもよく、例えばフッ化水素溶液によって第2のトンネリング酸化物層140を除去してもよい。
【0058】
S324a、マスク層を除去する。
【0059】
なお、第1の保護層170の厚さは、50nm~100nmであってもよく、第2のトンネリング酸化物層140の厚さは、1~2nmであり、第1の保護層170の厚さは、第2のトンネリング酸化物層140の厚さよりも大きく、エッチングプロセスによって許容される条件では、第1の領域112aに位置する第1の保護層170の基板から離反する側にマスク層を形成する必要がなく、エッチングプロセスパラメータを制御することによって、第2の領域112bに位置する第2のトンネリング酸化物層140を除去する時、第1の保護層170への損傷を可能な限り低減する。
【0060】
そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS4は、具体的には、
予め設定された温度で、ドーピング源層160が第1の真性アモルファスシリコン層130及び第2の真性アモルファスシリコン層150に第1の元素をドーピングし、且つ予め設定された時間にわたって、第1のドーピング層130a及び第2のドーピング層130bをそれぞれ得ることを含む。
【0061】
具体的には、予め設定された温度は、850℃~1000℃であってもよく、予め設定された時間は、5min~25minであってもよく、第1の真性アモルファスシリコン層130及び第2の真性アモルファスシリコン層150の厚さに応じて決定することができ、例えば、第1の真性アモルファスシリコン層130の厚さが50nmであり、第2の真性アモルファスシリコン層150の厚さが100nmである場合、予め設定された温度は、890℃~920℃であってもよく、予め設定された時間は、8min~10minであってもよい。
【0062】
第2の領域に位置する第1の真性アモルファスシリコン層130に第2の元素をドーピングし、第3のドーピング層150aを得る。
【0063】
本実施例では、ドーピング拡散過程全体を同一の拡散管内で行うことができ、管を交換する必要がなく、拡散効率を向上させ、拡散工程を簡略化することができる。第1の保護層170のバリア作用により、ドーピング源層160における第1の元素による拡散管の汚染が回避され、拡散管によって第2の領域112bに位置する第1の真性アモルファスシリコン層130に第2の元素をドーピングする時、第1の保護層170は第2の元素が第1の領域112aに位置する第1の真性アモルファスシリコン層130及び第2の真性アモルファスシリコン層150に入ることを防止することができ、それによって得られた第1のドーピング層130a及び第2のドーピング層130bの両者のドーピングタイプが同じであり、第1のドーピング層130a及び第2のドーピング層130bの両者のドーピングタイプが第3のドーピング層150aのドーピングタイプと異なることを保証し、基板110に形成されたパッシベーションコンタクト構造のパッシベーション効果を保証することができる。
【0064】
そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS4の後に、当該方法は、ドーピング源層160及び第1の保護層170を除去することをさらに含む。
【0065】
具体的には、ドーピング源層160及び第1の保護層170を湿式で除去し、酸液(例えばHF酸)によってドーピング源層160及び第1の保護層170を除去してもよい。
【0066】
図5及び図6に関連して示されるように、そのうちのいくつかの実施例では、ステップS3の前に、当該方法は、さらに、
第2の真性アモルファスシリコン層150の基板110から離反する側に第2の保護層180を形成するS3bを含む。
【0067】
具体的には、第2の保護層180は、酸化ケイ素層、酸窒化ケイ素及び窒化ケイ素のうちの少なくとも1つであってもよく、第2の保護層180は、常圧化学気相堆積法、プラズマ強化化学気相堆積法などの堆積方法により作製されてもよい。第2の真性アモルファスシリコン層150の基板110から離反する側に第2の保護層180を形成することにより、後の製造工程において保護及びバリアの役割を果たすことができる。第2の保護層180の厚さは、50nm~100nmである。
【0068】
図5及び図6に関連して示されるように、そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS3は、具体的には、
第2の領域112bに位置する第2の保護層180及び第2のトンネリング酸化物層140から離反する一部の前記第2の真性アモルファスシリコン層150をレーザーにより除去するS310bと、
第2の領域112bに位置し且つ第2のトンネリング酸化物層140に隣接する残りの第2の真性アモルファスシリコン層150、及び第2の領域112bに位置する前記第2のトンネリング酸化物層140を湿式で除去するS320bと、を含む。
【0069】
本実施例では、第2の領域112bに位置する第2の保護層180及び第2のトンネリング酸化物層140から離反する一部の第2の真性アモルファスシリコン層150をレーザーにより除去し、残りの第2の真性アモルファスシリコン層150、及び第2の領域112bに位置する第2のトンネリング酸化物層140を湿式で除去し、レーザー除去過程において、第2の真性アモルファスシリコン層150は犠牲層として、レーザーエネルギーを吸収することができ、第2のトンネリング酸化物層140はバリア層として、レーザーエネルギーの伝導を遮断し、レーザーによる第1の真性アモルファスシリコン層130への損傷を低減することができ、残りの第2の真性アモルファスシリコン層150及び第2のトンネリング酸化物層140を湿式で除去することにより、第1の真性アモルファスシリコン層130への損傷を回避することができ、それによってドーピングによって得られた第3のドーピング層150aの性能を確保し、電池の効率を向上させることができる。
【0070】
図7に示すように、そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS320bは、具体的には、以下を含む。
【0071】
S321b、第2の領域112bに位置し且つ第2のトンネリング酸化物層140に隣接する残りの第2の真性アモルファスシリコン層150を湿式で除去する。
【0072】
具体的には、研磨添加剤によって第2の領域112bに位置し且つ第2のトンネリング酸化物層140に隣接する残りの第2の真性アモルファスシリコン層150を除去することができ、当該研磨添加剤は第2の保護層180及び第2のトンネリング酸化物層140に損傷を与えず、それによって研磨添加剤による第1の真性アモルファスシリコン層130への損傷を回避することができる。
【0073】
S322b、第1の領域112aに位置する第2の保護層180の基板110から離反する側にマスク層を形成する。
【0074】
具体的には、マスク層は、フォトレジスト層であってもよく、マスク層は、第2の領域112bに位置する第2のトンネリング酸化物層140を除去するときに第2の保護層180に対して保護の役割を果たすことができ、第2の保護層180が損傷を受けないことを保証し、その後の拡散に有利である。
【0075】
S323b、第2の領域112bに位置する第2のトンネリング酸化物層140を湿式で除去する。
【0076】
具体的には、酸液によって第2のトンネリング酸化物層140を除去してもよく、例えばフッ化水素溶液によって第2のトンネリング酸化物層140を除去してもよい。
【0077】
S324b、マスク層を除去する。
【0078】
なお、第2の保護層180の厚さは、50nm~100nmであってもよく、第2のトンネリング酸化物層140の厚さは、1~2nmであり、第2の保護層180の厚さは、第2のトンネリング酸化物層140の厚さよりも大きく、エッチングプロセスによって許容される条件では、第1の領域に位置する第2の保護層180の基板から離反する側にマスク層を形成する必要がなく、エッチングプロセスパラメータを制御することによって、第2の領域に位置する第2のトンネリング酸化物層140を除去する時、第2の保護層180への損傷を可能な限り低減する。
【0079】
そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS4は、具体的には、
第2の領域112bに位置する第1の真性アモルファスシリコン層130に第2の元素をドーピングし、第3のドーピング層150aを得ることと、
第3のドーピング層150aの基板110から離反する側に第3の保護層を形成することと、
第1の領域112aに位置する第2の保護層180を除去し、且つ第1の領域112aに位置する第1の真性アモルファスシリコン層130及び前記第2の真性アモルファスシリコン層150に第1の元素をドーピングし、第1のドーピング層130a及び第2のドーピング層130bを得ることと、を含む。
【0080】
本実施例では、第2の領域112bに位置する第1の真性アモルファスシリコン層130に第2の元素をドーピングする過程で、第2の保護層180がバリアの役割を果たし、第2の元素が第1の領域112aに位置する第1の真性アモルファスシリコン層130及び前記第2の真性アモルファスシリコン層150に拡散することを回避することができ、第3のドーピング層150aの基板110から離反する側に第3の保護層を形成し、第3の保護層がバリアの役割を果たし、第1の元素が第3のドーピング層150aに拡散することを回避することができ、それによって得られた第1のドーピング層130a及び第2のドーピング層130bの両者のドーピングタイプが同じであり、第1のドーピング層130a及び第2のドーピング層130bの両者のドーピングタイプが第3のドーピング層150aのドーピングタイプと異なることを保証し、基板110に形成されたパッシベーションコンタクト構造のパッシベーション効果を保証することができる。
【0081】
さらに、第3の保護層は、酸化ケイ素層、酸窒化ケイ素及び窒化ケイ素のうちの少なくとも1つであってよく、第2の保護層180は、常圧化学気相堆積法、プラズマ強化化学気相堆積法などの堆積方法によって作製されてもよい。
【0082】
そのうちのいくつかの実施例では、前記ステップS4の後に、当該方法は、第3の保護層を除去することをさらに含む。
【0083】
具体的には、第3の保護層を湿式で除去することができる。
【0084】
図8に示すように、そのうちのいくつかの実施例では、ステップS5の後に、当該方法は、さらに、
第2のドーピング層130b及び第3のドーピング層150aの基板110から離反する側に、第2のドーピング層130b及び第3のドーピング層150aの基板110から離反する側の表面を少なくとも覆う第1のパッシベーション反射低減層200aを形成し、基板110の前記第1の面に第2のパッシベーション反射低減層200bを形成することを含む。
【0085】
さらに、第1のパッシベーション反射低減層200a及び第2のパッシベーション反射低減層200bは、いずれも酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化ガリウム、窒化アルミニウム、酸窒化ケイ素のうちの少なくとも1つであってもよい。第1のパッシベーション反射低減層200a及び第2のパッシベーション反射低減層200bは、同期して形成されてもよい。
【0086】
そのうちのいくつかの実施例では、当該方法は、さらに、
第1の領域に位置する第1のパッシベーション反射低減層200aの基板110から離反する側に、第2のドーピング層130bに接続される第1の電極210を形成することと、
第2の領域に位置する第1のパッシベーション反射低減層200aの基板110から離反する側に、第3のドーピング層150aに接続される第2の電極220を形成することと、を含む。
【0087】
そのうちのいくつかの実施例では、第1のトンネリング酸化物層120及び第2のトンネリング酸化物層140の厚さは、いずれも1~2nmであり、第1のドーピング層130a、第2のドーピング層130b及び第3のドーピング層150aの厚さは、いずれも50~500nmである。
【0088】
図8に示すように、本願の第2の態様の実施例は、
対向して設けられた第1の面111及び第2の面112を有する基板110であって、第2の面112は、第1の領域112a、第2の領域112b、及び両者の間に位置する分離領域112cを含む基板110と、
第1の領域112a内に位置し、且つ基板110から離反する方向に沿って順次積層して設けられた第1のトンネリング酸化物層120、第1のドーピング層130a、第2のトンネリング酸化物層140及び第2のドーピング層130bと、
第2の領域112b内に位置し、且つ基板110から離反する方向に沿って順次積層して設けられた第1のトンネリング酸化物層120及び第3のドーピング層150aと、
分離構造190であって、分離領域112cに位置し、分離構造190は、第1の領域112aに位置する第1のトンネリング酸化物層120と第2の領域112bに位置する前記第1のトンネリング酸化物層120とを分離するために用いられ、分離構造は、さらに、第1の領域112aに位置する第1のドーピング層130a及び第2のドーピング層130bの両者と第2の領域112bに位置する第3のドーピング層150aとを分離するために用いられる分離構造190と、を含む、
太陽電池を提供する。
【0089】
本願の実施例における太陽電池は、第1の態様における製造方法により製造されることができ、電池の製造コストを低減し、電池の量産に有利であり、電池の量産コストを低減し、また、第1のドーピング層130aのドーピング濃度を第2のドーピング層130bのドーピング濃度よりも小さくすることができ、それによって第1のドーピング層130aの光に対する寄生吸収を低減し、電池の効率を向上させることができ、第2のドーピング層130bと電極とのオーミックコンタクト効果を向上させ、電池の効率及び信頼性を向上させることができ、また、第2のトンネリング酸化物層140が再結合を低減でき、同時に第2のトンネリング酸化物層140が光に対して一定の反射作用を有し、それによって光利用効率を向上させ、電池の効率をさらに向上させることができる。
【0090】
そのうちのいくつかの実施例では、分離構造190は、分離溝を含み、分離溝は、第1の方向Xに沿って第1のトンネリング酸化物層120、第1のドーピング層130a、第2のトンネリング酸化物層140、第2のドーピング層130b及び第3のドーピング層150aを貫通し、第1の方向Xは、基板110が位置する平面に垂直である。このように、第1の領域112aに位置する第1のトンネリング酸化物層120と第2の領域112bに位置する第1のトンネリング酸化物層120とを分離し、且つ第1の領域112aに位置する第1のドーピング層130a及び第2のドーピング層130bの両者と第2の領域112bに位置する第3のドーピング層150aとを分離することができ、それによって再結合の発生を回避し、電池の効率を向上させることができる。
【0091】
本願の第3の態様の実施例は、第2の態様のいずれか一項に記載の太陽電池を含み、さらに光起電力モジュールの効率を向上させる、光起電力モジュールを提供する。
【0092】
本願の第4の態様の実施例は、第3の態様に記載の光起電力モジュールを含み、さらに光起電力モジュールの効率を向上させる、光起電力システムを提供する。
【0093】
以上に述べた実施例の各技術的特徴は任意の組合せが可能であり、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴の可能な全ての組合せについて説明していないが、これらの技術的特徴の組合せに矛盾がない限り、全て本明細書に記載された範囲であると考えるべきである。
【0094】
以上に述べた実施例は、本願のいくつかの実施形態を表現しただけで、その説明が具体的かつ詳細であるが、それによって出願特許の範囲を制限するものと理解することはできない。指摘すべきことは、当業者にとっては、本願の構想を逸脱しないことを前提に、いくつかの変形及び改良を加えることができ、これらは本願の保護範囲に属するということである。したがって、本願発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲の内容を基準とすべきである。
【符号の説明】
【0095】
110 基板、111 第1の面、112 第2の面、112a 第1の領域、112b 第2の領域、112c 分離領域、120 第1のトンネリング酸化物層、130 第1の真性アモルファスシリコン層、130a 第1のドーピング層、130b 第2のドーピング層、140 第2のトンネリング酸化物層、150 第2の真性アモルファスシリコン層、150a 第3のドーピング層、160 ドーピング源層、170 第1の保護層、180 第2の保護層、190 分離構造、200a 第1のパッシベーション反射低減層、200b 第2のパッシベーション反射低減層、210 第1の電極、220 第2の電極、X 第1の方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8