(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113122
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】SARS-CoV-2ウイルス感染抑制用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/48 20060101AFI20240814BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240814BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240814BHJP
【FI】
A61K36/48
A61P31/14
A23L33/105
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024092510
(22)【出願日】2024-06-06
(62)【分割の表示】P 2020218195の分割
【原出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】509349141
【氏名又は名称】京都府公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】小野 知二
(72)【発明者】
【氏名】岩井 崇郎
(72)【発明者】
【氏名】村越 倫明
(72)【発明者】
【氏名】栗田 啓
(72)【発明者】
【氏名】松田 修
(72)【発明者】
【氏名】扇谷 えり子
(72)【発明者】
【氏名】新屋 政春
(57)【要約】
【課題】SARS-CoV-2ウイルスに対しては、未だ有効な感染抑制剤が提供されていない。加えて、感染抑制には、日常的な行動で簡便に行える方法が求められている。そこで、本発明は、経口摂取又は日常的なオーラルケア行動を行うだけで作業が簡便で、感染抑制効果に優れるSARS-CoV-2ウイルス感染抑制剤を目的とする。
【解決手段】ルイボスエキスであるSARS-CoV-2ウイルス感染抑制剤を有効成分として含有することよりなる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルイボスエキスであるSARS-CoV-2ウイルス感染抑制剤を有効成分として含有する、SARS-CoV-2ウイルス感染抑制用組成物。
【請求項2】
医薬品、医薬部外品、食品又は口腔ケア用品である、請求項1に記載のSARS-CoV-2ウイルス感染抑制用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SARS-CoV-2ウイルス感染抑制用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
SARS-CoV-2ウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こすウイルスである。
COVID-19の感染者への治療として、各種治療薬の投薬、血漿療法が試みられている。また、SARS-CoV-2ウイルスの感染予防対策として、ワクチンの開発が進められている。
【0003】
日常生活の中におけるCOVID-19の感染予防対策として、うがい、手洗い及びマスク着用が励行されている。
うがいや手洗いのように作業が簡便であり、かつ高い効果の感染予防対策が求められている。
例えば、特許文献1には、丁子、荊芥、艾葉、蘇葉等、特定の生薬を活性成分として含有する、動物のコロナウイルス感染症の予防及び治療剤が提案されている。特許文献1の発明によれば、特定の生薬を経口摂取に供することで、コロナウイルス感染症の予防及び治療を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、SARS-CoV-2ウイルスに対しては、未だ有効な感染抑制剤が提供されていない。加えて、感染抑制には、日常的な行動で簡便に行える方法が求められている。
そこで、本発明は、経口摂取又は日常的なオーラルケア行動を行うだけで、感染抑制効果に優れるSARS-CoV-2ウイルス感染抑制剤を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、「ルイボスエキスであるSARS-CoV-2ウイルス感染抑制剤を有効成分として含有する、SARS-CoV-2ウイルス感染抑制用組成物。」である。
本発明は以下の態様を有する。
<1>
オウバクエキス、塩化セチルピリジニウム、グリチルレチン酸、マキベリーエキス、月見草エキス、クルミポリフェノール、ワサビスルフィニル、インディアンデーツエキス、ギムネマエキス、甜茶エキス、ローズバッツエキス、クルクミン、オリーブ葉エキス、ブドウ種子エキス、ルイボスエキス、N-アセチルグルコサミン、パナキサトリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、SARS-CoV-2ウイルス感染抑制剤。
【0007】
<2>
<1>に記載のSARS-CoV-2ウイルス感染抑制剤を有効成分として含有する、SARS-CoV-2ウイルス感染抑制用組成物。
<3>
医薬品、医薬部外品、食品又は口腔ケア用品である、<2>に記載のSARS-CoV-2ウイルス感染抑制用組成物。
【0008】
<4>
オウバクエキス、塩化セチルピリジニウム、グリチルレチン酸、マキベリーエキス、月見草エキス、クルミポリフェノール、ワサビスルフィニル、インディアンデーツエキス、ギムネマエキス、甜茶エキス、ローズバッツエキス、クルクミン、オリーブ葉エキス、ブドウ種子エキス、ルイボスエキス、N-アセチルグルコサミン、パナキサトリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、SARS-CoV-2ウイルスの不活化剤。
<5>
オウバクエキス、塩化セチルピリジニウム、グリチルレチン酸、マキベリーエキス、月見草エキス、クルミポリフェノール、ワサビスルフィニル、インディアンデーツエキス、ギムネマエキス、甜茶エキス、ローズバッツエキス、クルクミン、オリーブ葉エキス、ブドウ種子エキス、ルイボスエキス、N-アセチルグルコサミン、パナキサトリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、SARS-CoV-2ウイルスの除去剤。
<6>
オウバクエキス、塩化セチルピリジニウム、グリチルレチン酸、マキベリーエキス、月見草エキス、クルミポリフェノール、ワサビスルフィニル、インディアンデーツエキス、ギムネマエキス、甜茶エキス、ローズバッツエキス、クルクミン、オリーブ葉エキス、ブドウ種子エキス、ルイボスエキス、N-アセチルグルコサミン、パナキサトリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、COVID-19の治療剤。
【0009】
<7>
オウバクエキス、塩化セチルピリジニウム、グリチルレチン酸、マキベリーエキス、月見草エキス、クルミポリフェノール、ワサビスルフィニル、インディアンデーツエキス、ギムネマエキス、甜茶エキス、ローズバッツエキス、クルクミン、オリーブ葉エキス、ブドウ種子エキス、ルイボスエキス、N-アセチルグルコサミン、パナキサトリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のSARS-CoV-2ウイルス感染抑制剤としての使用。
<8>
オウバクエキス、塩化セチルピリジニウム、グリチルレチン酸、マキベリーエキス、月見草エキス、クルミポリフェノール、ワサビスルフィニル、インディアンデーツエキス、ギムネマエキス、甜茶エキス、ローズバッツエキス、クルクミン、オリーブ葉エキス、ブドウ種子エキス、ルイボスエキス、N-アセチルグルコサミン、パナキサトリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のSARS-CoV-2ウイルス感染抑制剤の摂取又は投与を施す、SARS-CoV-2ウイルス感染抑制方法。
<9>
経口よる摂取又は投与である、<8>に記載のSARS-CoV-2ウイルス感染抑制方法。
<10>
オウバクエキス、塩化セチルピリジニウム、グリチルレチン酸、マキベリーエキス、月見草エキス、クルミポリフェノール、ワサビスルフィニル、インディアンデーツエキス、ギムネマエキス、甜茶エキス、ローズバッツエキス、クルクミン、オリーブ葉エキス、ブドウ種子エキス、ルイボスエキス、N-アセチルグルコサミン、パナキサトリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のSARS-CoV-2ウイルス感染抑制剤を含む口腔ケア用品を用い、口腔内に処置を施す、SARS-CoV-2ウイルス感染抑制方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のSARS-CoV-2ウイルス感染抑制剤によれば、経口摂取又は日常的なオーラルケア行動を行うだけでよく、利便性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(SARS-CoV-2ウイルス感染抑制剤)
本発明のSARS-CoV-2ウイルス感染抑制剤(以下、単に「感染抑制剤」ということがある)は、オウバクエキス、塩化セチルピリジニウム、グリチルレチン酸、マキベリーエキス、月見草エキス、クルミポリフェノール、ワサビスルフィニル、インディアンデーツエキス、ギムネマエキス、甜茶エキス、ローズバッツエキス、クルクミン、オリーブ葉エキス、ブドウ種子エキス、ルイボスエキス、N-アセチルグルコサミン、パナキサトリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0012】
本発明において、「感染抑制剤」は、感染の防止、COVID-19の症状緩和、COVID-19の重症化予防、COVID-19の早期回復等の治療剤、SARS-CoV-2ウイルスの不活化剤、SARS-CoV-2ウイルスの除去剤等を含む概念である。
【0013】
オウバクエキスは、オオバクから抽出された成分である。オウバクエキスの主成分は、ベルベリン、リモニン等である。オウバクエキスの抽出方法は、従来公知の方法が用いられ、例えば、水、親水性溶媒、疎水性溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出し、必要に応じて精製する方法が挙げられる。親水性溶媒としては、炭素数1~6の1価アルコール、炭素数2~6の多価アルコール等が挙げられる(以降において同じ)。
オウバクエキスの市販品としては、オウバク流エキスS(商品名、小城製薬社製)等が挙げられる。
感染抑制剤としてオウバクエキスを用いる場合、その投与量又は摂取量(以下、総じて「投与・摂取量」ということがある)は、0.1~10g/日が好ましく、0.5~5g/日がより好ましく、1.5~2g/日がさらに好ましい。
【0014】
塩化セチルピリジニウム(CPC)は、第4級アンモニウム塩の1種である。
塩化セチルピリジニウムの市販品としては、塩化セチルピリジニウム(富士フィルム和光純薬社製)等が挙げられる。
感染抑制剤として塩化セチルピリジニウムを用いる場合、その投与・摂取量は、0.1~100mg/日が好ましく、1~20mg/日がより好ましく、3~10mg/日がさらに好ましい。
【0015】
グリチルレチン酸は、五環式テルペノイド誘導体の1種である。
グリチルレチン酸の商品としては、β-グリチルレチン酸(丸善製薬社製)等が挙げられる。
感染抑制剤としてグリチルレチン酸を用いる場合、その投与・摂取量は、0.001~300mg/日が好ましく、0.01~10mg/日がより好ましく、0.1~1mg/日がさらに好ましい。
【0016】
マキベリーエキスは、マキベリーから抽出されたエキスである。マキベリーは、アルゼンチン及びチリのパタゴニア地方原産のホルトノキ科の常緑低木である。マキベリーエキスには、抗酸化成分であるアントシアニン類が多く含まれている。マキベリーエキスには、アントシアニン類の中でも特に抗酸化活性の強いデルフィニジン類が、カシスやビルベリー(ブルーベリーの1種)よりも多く含まれている。マキベリーエキスの抽出方法は、従来公知の方法が用いられ、例えば、水、親水性溶媒、疎水性溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出し、必要に応じて精製する方法が挙げられる。マキベリーエキスを感染抑制剤として用いる場合、マキベリーエキスの抽出方法は水抽出が好ましい。
マキベリーエキスの商品としては、マキベリーエキス-P35(MaquiBright)(商品名、総アントシアニン含有量:35質量%以上、総フィニジン類含有量:25%以上、オリザ油化社製)等が挙げられる。
マキベリーエキスを感染抑制剤として用いる場合、その投与・摂取量は、1~10000mg/日が好ましく、10~1000mg/日がより好ましく、20~500mg/日がさらに好ましい。
【0017】
月見草エキスは、メマツヨイグサから抽出されたエキスである。月見草エキスに含まれるポリフェノール類としては、没食子酸、エラグ酸、ペンタガロイルグルコース、カテキン、プロアントシアニジン等が挙げられる。月見草エキスの抽出方法は、従来公知の方法が用いられ、例えば、水、親水性溶媒、疎水性溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出し、必要に応じて精製する方法が挙げられる。
月見草エキスの商品としては、月見草エキス-P(商品名、オリザ油化社製)等が挙げられる。
感染抑制剤として月見草エキスを用いる場合、その投与・摂取量は、1~10000mg/日が好ましく、10~1000mg/日がより好ましく、20~500mg/日がさらに好ましい。
【0018】
クルミポリフェノールは、クルミの種子から採取された成分である。クルミポリフェノールは、種子の皮の部分のみに含まれており、その本体は加水分解型のポリフェノールで、主な成分は、Pedunculagin、Ellagic acid、Tellimagrandin I、Casuarictin、Tellimagranin II、Rugosin C、Casuarininである。
クルミポリフェノールの商品としては、クルミポリフェノール-P30(商品名、オリザ油化社製)等が挙げられる。
感染抑制剤としてクルミポリフェノールを用いる場合、その投与・摂取量は、1~10000mg/日が好ましく、10~1000mg/日がより好ましく、20~500mg/日がさらに好ましい。
【0019】
ワサビスルフィニルは、本わさび等から抽出される成分である。ワサビスルフィニルは、本わさびの根茎に多く含まれる。ワサビスルフィニルの主成分は、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(6-MSITC)であり、芥子油の一種である。
ワサビスルフィニルの商品としては、わさびスルフィニル(商品名、金印社製)等が挙げられる。
感染抑制剤としてワサビスルフィニルを用いる場合、その投与・摂取量は、1~10000mg/日が好ましく、10~1000mg/日がより好ましく、20~500mg/日がさらに好ましい。
【0020】
インディアンデーツエキスは、インディアンデーツ(タマリンドTamarindusindica L.)から抽出された成分である。インディアンデーツは、アフリカ原産の常緑高木植物で、アジア・アフリカ等の熱帯地方に自生し、インド・タイでは栽培が行われている。インディアンデーツエキスの主成分は、ポリフェノールである。インディアンデーツエキスの抽出方法は、従来公知の方法が用いられ、例えば、水、親水性溶媒、疎水性溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出し、必要に応じて精製する方法が挙げられる。
インディアンデーツエキスの商品としては、インディアンデーツエキスパウダーMF(商品名、丸善製薬社製)等が挙げられる。
感染抑制剤としてインディアンデーツエキスを用いる場合、その投与・摂取量は、1~10000mg/日が好ましく、10~1000mg/日がより好ましく、20~500mg/日がさらに好ましい。
【0021】
ギムネマエキスは、ギムネマから抽出された成分である。ギムネマは、中国南部、台湾、ベトナム、インド等熱帯各地に分布する常緑つる性植物である。ギムネマエキスの主成分は、ギムネマ酸である。ギムネマエキスの抽出方法は、従来公知の方法が用いられ、例えば、水、親水性溶媒、疎水性溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出し、必要に応じて精製する方法が挙げられる。
ギムネマエキスの商品としては、ギムネマエキス粉末FG(商品名、丸善製薬社製)等が挙げられる。
感染抑制剤としてギムネマエキスを用いる場合、その投与・摂取量は、1~10000mg/日が好ましく、10~1000mg/日がより好ましく、20~500mg/日がさらに好ましい。
【0022】
甜茶エキスは、甜茶から抽出された成分である。甜茶は、広西壮族自治区から広東省にかけて分布するバラ科の木イチゴ属の落葉灌木である。甜茶エキスの主成分としては、甜茶ポリフェノール(GOD)等のフェノール、タンニン等が挙げられる。甜茶エキスの抽出方法は、従来公知の方法が用いられ、例えば、水、親水性溶媒、疎水性溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出し、必要に応じて精製する方法が挙げられる。感染抑制剤として甜茶エキスを用いる場合、甜茶エキスの抽出方法は、熱水抽出が好ましい。
甜茶エキスの商品としては、甜茶エキスM粉末(商品名、GOD含有量:3.5質量%以上、ポリフェノール含有量:15質量%以上、丸善製薬社製)等が挙げられる。
感染抑制剤として甜茶エキスを用いる場合、その投与・摂取量は、1~10000mg/日が好ましく、10~1000mg/日がより好ましく、20~500mg/日がさらに好ましい。
【0023】
ローズバッツエキスは、セイヨウバラから抽出された成分である。セイヨウバラとしては、ダマスクバラ、ジャコウバラ、フランスバラ、コウシンバラ、ボタンバラ、ノイバラ、テリハノイバラ等が挙げられる。ローズバッツエキスの主成分としては、ローズ油(シトロネロール、ゲラニオール、リナロール等)、糖、タンニン、没食子酸、ペクチン等が挙げられる。ローズバッツエキスの抽出方法は、従来公知の方法が用いられ、例えば、水、親水性溶媒、疎水性溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出し、必要に応じて精製する方法が挙げられる。
ローズバッツエキスの商品としては、ローズバッツエキスパウダーMF(商品名、丸善製薬社製)等が挙げられる。
感染抑制剤としてローズバッツエキスを用いる場合、その投与・摂取量は、1~10000mg/日が好ましく、10~1000mg/日がより好ましく、20~500mg/日がさらに好ましい。
【0024】
クルクミンは、ウコン等から抽出されるポリフェノール化合物である。クルクミンは、クルクミン、デメトキシクルクミン及びビスデメトキシクルクミンの総称であり、前記3成分の混合物でもよい。クルクミンの抽出方法としては、従来公知の方法が用いられ、例えば、水、親水性溶媒、疎水性溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出し、必要に応じて精製する方法が挙げられる。感染抑制剤としてクルクミンを用いる場合、クルクミンの抽出方法としてはエタノール抽出が好ましい。
クルクミンの商品としては、クルクミンC3コンプレックス(商品名、クルクミン、デメトキシクルクミン及びビスデメトキシクルクミンの合計含有量:95質量%以上、サビンサ社製)等が挙げられる。
感染抑制剤としてクルクミンを用いる場合、その投与・摂取量は、1~10000mg/日が好ましく、3~1000mg/日がより好ましく、5~100mg/日がさらに好ましい。
【0025】
オリーブ葉エキスは、オリーブの葉から抽出された成分である。オリーブ葉エキスの主成分は、オレウロペインである。オリーブ葉エキスの抽出方法は、従来公知の方法が用いられ、例えば、水、親水性溶媒、疎水性溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出し、必要に応じて精製する方法が挙げられる。
オリーブ葉エキスの商品としては、オリーブリーフ(商品名、サビンサ社製)等が挙げられる。
感染抑制剤としてオリーブ葉エキスを用いる場合、その投与・摂取量は、1~10000mg/日が好ましく、10~1000mg/日がより好ましく、20~500mg/日がさらに好ましい。
【0026】
ブドウ種子エキスは、ブドウの種子から抽出された成分である。ブドウ種子エキスの主成分は、プロアントシアニジン、アントシアニン、フラボノール等である。ブドウ種子エキスの抽出方法は、従来公知の方法が用いられ、例えば、水、親水性溶媒、疎水性溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出し、必要に応じて精製する方法が挙げられる。感染抑制剤としてブドウ種子エキスを用いる場合、ブドウ種子エキスの抽出方法は、エタノール抽出が好ましい。
ブドウ種子エキスの市販品としては、ブドウ種子(商品名、サビンサ社製)等が挙げられる。
感染抑制剤としてブドウ種子エキスを用いる場合、その投与・摂取量は、1~10000mg/日が好ましく、10~1000mg/日がより好ましく、20~500mg/日がさらに好ましい。
【0027】
ルイボスエキスは、アスパラサス・リネアリス(Aspalathus linearis)から抽出された成分である。ルイボスエキスの抽出方法は、従来公知の方法が用いられ、例えば、水、エタノール又はこれらの混合溶媒で抽出する方法が挙げられるが、水で抽出する方法が好ましい。抽出後、溶媒中で活性炭、合成吸着剤等の多孔質吸着剤を接触させる工程を含んでもよい。ルイボスエキスに含まれる主成分は、ルテオリン、アスパラチン、エリオジクチオール-6-C-グルコシド、オリエンチン等である。
ルイボスエキスの市販品としては、ピュア・ルイボスエキスL(商品名、丸善製薬株式会社製)等が挙げられる。 感染抑制剤としてルイボスエキスを用いる場合、その投与・摂取量は、1~10000mg/日が好ましく、10~1000mg/日がより好ましく、20~500mg/日がさらに好ましい。
【0028】
N-アセチルグルコサミンは、糖の一種であるグルコサミンからグルコサミン6-リン酸を経て合成されるアミノ糖である。
感染抑制剤としてN-アセチルグルコサミンを用いる場合、その投与・摂取量は、10~10000mg/日が好ましく、50~5000mg/日がより好ましく、100~3000mg/日がさらに好ましい。
【0029】
パナキサトリオールは、ダンマラン系トリテルペン類に属する化合物であり、市販品より入手する方法、合成により得る方法、植物より得る方法等が挙げられ、前記の植物としては、朝鮮人参や田七人参等が挙げられる。パナキサトリオールは、単離物で感染抑制剤として用いられてもよいし、田七人参を加工した状態で感染抑制剤として用いられてもよい。
パナキサトリオールを田七人参から得る方法としては、特開2011-263313号公報に開示されている。上記公報に記載された発明は、田七人参粉末を、塩酸を含有する水-エタノール溶液で抽出して田七人参加水分解液とし、これを苛性ソーダで中和し、エタノール濃度を下げた後に濾過し、残渣を乾燥させることでパナキサトリオール(PT)を得ている。
【0030】
パナキサトリオール(PT)は、例えば、次の方法で得られる。田七人参粉末(松浦薬業株式会社製)1kgを、5.9質量%塩酸(2mol/L塩酸)を含む25質量%エタノール水溶液10Lに懸濁し、ゆっくり攪拌しながら70℃にて6時間反応させる。次いで、この反応液を氷上で冷却した後、5mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH7.0とする。次いで、前記pH調整後の溶液を蒸留水で10倍に希釈し、吸引濾過し、濾液と残渣に濾別する。得られた残渣を凍結乾燥し、180gの凍結乾燥粉末とする。前記凍結乾燥粉末を3質量%含む、エタノール溶液を調製する。次いで、濾紙を用いて、前記のエタノール溶液から不溶物を除去後、前記のエタノール溶液をロータリーエバポレーターで8倍に濃縮する。シリカゲル(シリカゲル60N、関東化学株式会社製)を充填したガラスカラムに、前記の濃縮したエタノール溶液を添加し、クロロホルム:エタノール=10:1(V/V)を溶離液として、カラム分取を行う。クロロホルム:エタノール=10:1(V/V)を展開溶媒とする順相TLC上で、Rf値が0.4に相当する画分を濃縮し、高純度のパナキサトリオール(PT)を得る。
【0031】
感染抑制剤としてパナキサトリオールを用いる場合、その投与・摂取量は、パナキサトリオールとして1~100mg/日が好ましく、2~50mg/日がより好ましく、3~30mg/日がさらに好ましい。
感染抑制剤としてパナキサトリオールを用いる場合、その投与・摂取量は、パナキサトリオールとして1~100mg/日が好ましく、2~50mg/日がより好ましく、3~30mg/日がさらに好ましい。
【0032】
上記の感染抑制剤の中でも、塩化セチルピリジニウム、マキベリーエキス、甜茶エキス、クルクミン、ブドウ種子エキス、ルイボスエキスが好ましい。これらの感染抑制剤であれば、SARS-CoV-2ウイルスに対する感染抑制効果をより高められる。上記の感染抑制剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0033】
(SARS-CoV-2ウイルス感染抑制用組成物)
本発明のSARS-CoV-2ウイルス感染抑制用組成物(以下、単に「感染抑制用組成物」ということがある)は、本発明の感染抑制剤を有効成分として含有する。「有効成分として含有する」とは、感染抑制効果を奏する程度に含まれていることを意味する。
【0034】
本発明の感染抑制用組成物は、本発明所望の効果を得られる限り、その摂取経路又は投与経路(以下、総じて、「摂取・投与経路」ということがある)は特に限定されない。摂取・投与経路としては、例えば、経口(例えば、口腔内、舌下等)、非経口(点眼、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、経鼻、経肺等)等が挙げられる。これらの中でも、侵襲性の少ない経路が好ましく、経口がより好ましい。また、オーラルケア製品である歯磨剤、洗口液、マウススプレー等、経口投与を目的としていないものの、口腔内の処置に用いる組成物に配合してもよい。
感染抑制用組成物の種類は、医薬品、医薬部外品、食品(機能性食品、飲料を含む)、口腔ケア用品、化粧料、空間処理剤(芳香剤等)、洗浄剤等が挙げられ、中でも、医薬品、医薬部外品、食品又は口腔ケア用品が好ましい。
【0035】
感染抑制用組成物の剤形は、摂取・投与経路等を勘案して適宜決定され、固体態様でもよいし、液体態様でもよい。
経口摂取又は経口投与における感染抑制用組成物の剤形としては、例えば、粉末、細粒、顆粒、カプセル、サッシェ、タブレット、ボーラス、ロゼンジ等の固体;水溶液、エキス、懸濁液、シロップ、エリキシル、エマルジョン、分散体等の液体;半液体状、クリーム状、ペースト状等が挙げられる。感染抑制用組成物は、ピルの形態(カプセル中の粉末又は濃縮液)又は(粉末茶を飲むのと同様に)水やお湯等の液体に分散した状態で摂取され得る粉末形態や顆粒形態(フリーズドライ顆粒を含む)で摂取し又は投与してもよい。
【0036】
経口摂取又は経口投与の医薬品又は医薬部外品である感染抑制用組成物としては、錠剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤、散剤、粉末剤、トローチ剤、丸剤、チュワブル剤、液剤、乳剤、懸濁剤、ゼリー剤、うがい薬、スプレー薬等が挙げられる。
【0037】
食品である感染抑制用組成物としては、特に制限はなく、例えば、飲料(清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、粉末飲料、果実飲料、乳飲料、ゼリー飲料等)、菓子類(クッキー、ケーキ、ガム、キャンディー、タブレット、グミ、饅頭、羊羹、プリン、ゼリー、アイスクリーム、シャーベット等)、水産加工品(かまぼこ、ちくわ、はんぺん等)、畜産加工品(ハンバーグ、ハム、ソーセージ、ウィンナー、チーズ、バター、ヨーグルト、生クリーム、マーガリン、発酵乳等)、スープ(粉末状スープ、液状スープ等)、主食類(ご飯類、麺(乾麺、生麺)、パン、シリアル等)、調味料(マヨネーズ、ショートニング、ドレッシング、ソース、たれ、しょうゆ等)が挙げられる。
【0038】
口腔ケア用品である感染抑制用組成物(以下、「口腔用組成物」ということがある)としては、例えば、歯磨剤、洗口剤、マウススプレー、口腔用パスタ、軟膏剤、貼付剤等が挙げられる。歯磨剤としては、例えば、練歯磨、液状歯磨、液体歯磨、潤製歯磨等が挙げられる。
加えて、口腔用組成物としては、口腔内に含んで口腔内の処置に用いる錠剤、グミ、キャンディー、チューインガム等が挙げられる。錠剤としては、例えば、錠菓、トローチ、タブレット等が挙げられる。
口腔用組成物は、用法に応じて、ペースト状、ゲル状、液状、固体状等の各種形態に調製して用いることができる。
上述の中でも、口腔用組成物としては、歯磨剤、洗口剤、錠剤、グミ、キャンディーが好ましく、歯磨剤、洗口剤がより好ましい。
【0039】
非経口投与の感染抑制用組成物の剤形は、固体、液体、半液体状、クリーム状、ペースト状、ゲル状等、特に限定されない。
非経口投与における感染抑制用組成物としては、例えば、点眼剤、眼科用剤、注射剤、経皮投与剤、経鼻投与剤、経肺投与剤等の医薬品及び医薬部外品が挙げられる。
点眼剤としては、水溶液、エキス、懸濁液、エマルジョン、分散体等の液体組成物が挙げられる。
眼科用剤としては、半液体状、クリーム状、ペースト等の組成物が挙げられる。
注射剤としては、溶液、エキス、懸濁液、エマルジョン、分散体等の液体等の静脈内注射剤、筋肉内注射剤又は皮下注射剤が挙げられる。
経皮投与剤としては、水溶液、エキス、懸濁液、エマルジョン、分散体等の液体等の組成物や、クリーム、ゲル(貼付剤等)が挙げられる。
経鼻投与剤としては、水溶液、エキス、懸濁液、エマルジョン、分散体等の液体、粉末、細粒等の組成物が挙げられる。
経肺投与剤としては、水溶液、エキス、懸濁液、エマルジョン、分散体等の液体、粉末、細粒等の組成物が挙げられる。
【0040】
<感染抑制用組成物中の感染抑制剤>
感染抑制用組成物中の感染抑制剤の含有量は、感染抑制用組成物の経口・摂取経路、感染抑制用組成物の剤形、感染抑制用組成物の種類、感染抑制剤の投与・摂取量、感染抑制剤の種類等を勘案して適宜設定される。
感染抑制用組成物が、対象者に摂取され又は投与される組成物(内服医薬品、内服医薬部外品、注射剤又は食品等、以下「摂取・投与型組成物」ということがある)の場合、感染抑制用組成物中の感染抑制剤の含有量は、感染抑制用組成物の総質量に対して、例えば、0.001~100質量%が好ましく、0.01~90質量%がより好ましい。感染抑制用組成物中の感染抑制剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0041】
摂取・投与型組成物において、感染抑制剤としてオウバクエキス、塩化セチルピリジウム及びグリチルレチン酸から選ばれる1種以上を感染抑制用組成物に配合する場合、感染抑制剤の配合量は、感染抑制用組成物の総質量に対して、0.01~90質量%が好ましく、1~80質量%がより好ましい。
【0042】
摂取・投与型組成物において、感染抑制剤としてマキベリーエキス、月見草エキス、クルミポリフェノール、ワサビスルフィニル、インディアンデーツエキス、ギムネマエキス、甜茶エキス、ローズバッツエキス、オリーブ葉エキス、ルイボスエキス、N-アセチルグルコサミンを感染抑制用組成物に配合する場合、感染防止剤の配合量は、感染抑制用組成物の総質量に対して、1~90質量%が好ましく、10~80質量%がより好ましい。
【0043】
摂取・投与型組成物において、感染抑制剤としてパナキサトリオールを感染抑制用組成物に配合する場合、感染防止剤の配合量は、感染抑制用組成物の総質量に対して、0.5~80質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましい。
【0044】
感染防止用組成物が口腔用組成物である場合、口腔用組成物中の感染抑制剤の含有量は、口腔用組成物の剤形、種類等を勘案して、適宜決定できる。口腔用組成物中の感染抑制剤の含有量は、口腔用組成物の総質量に対して、0.0001~100質量%の範囲で適宜決定される。口腔用組成物中の感染抑制剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0045】
口腔用組成物において、感染抑制剤としてオウバクエキス、塩化セチルピリジニウム、グリチルレチン酸、マキベリーエキス、月見草エキス、クルミポリフェノール、ワサビスルフィニル、インディアンデーツエキス、ギムネマエキス、甜茶エキス、ローズバッツエキス、クルクミン、オリーブ葉エキス、ブドウ種子エキス、ルイボスエキス、N-アセチルグルコサミン、パナキサトリオールを配合する場合、感染防止剤の配合量は、感染防止用組成物の総質量に対して0.0001~10質量%が好ましく、0.001~5質量%がより好ましい。
【0046】
<感染抑制用組成物中の任意成分>
摂取・投与型組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて任意成分を含有してもよい。任意成分としては、例えば各種添加剤が挙げられる。
任意成分の含有量は、本発明の効果を妨げない範囲で、目的に応じて適宜設定することができる。
【0047】
添加剤としては、各種甘味剤(白糖、果糖ブドウ糖液糖、ハチミツ、エリスリトール、マルチトール、フルクトース、還元パラチノース、キシリトール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース等)、安定化剤(エデト酸ナトリウム、水溶性高分子等)、可溶化剤(アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤等)、溶剤(精製水等)、ポリオール類(グリセリン、ポリエチレングリコール等)、防腐剤(パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等)、賦形剤(結晶セルロース、乳糖、マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポピドン等)、結合剤(澱粉、結晶セルロース等)、皮膜形成剤(ゼラチン、グリセリン、コハク化ゼラチン、ペクチン等)、基剤(中鎖脂肪酸トリグリセリド、ナタネ油等)、懸濁剤(サラシミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル等)、酸化防止剤、着香剤・香料、清涼化剤(メントール等)、着色剤、pH調整剤、緩衝剤等が挙げられる。
摂取・投与型組成物が医薬品又は医薬部外品である場合、上記添加剤に加えて、又は上記添加剤以外に、薬効成分を含有してもよい。
摂取・投与型組成物が食品である場合、上記添加剤に加えて、又は上記添加剤以外に、食品材料を含有していてもよい。食品材料は、特に限定されず、水、穀類、果物、野菜、食肉等が挙げられる。
【0048】
摂取・投与型組成物中の任意成分の含有量は、感染抑制用組成物の種類等を勘案して適宜決定され、例えば、感染抑制用組成物の総質量に対して、0~99.9質量%の範囲で決定される。
【0049】
口腔用組成物は、感染抑制剤に加えて、本発明の効果を妨げない範囲において、剤型に応じた適宜なその他の公知成分を必要に応じて配合できる。
口腔用組成物が歯磨剤である場合、口腔用組成物には、研磨剤、粘稠剤、粘結剤、界面活性剤、必要に応じて甘味剤、着色剤、防腐剤、香料、有効成分等を配合できる。
口腔用組成物が洗口剤である場合、口腔用組成物には、粘稠剤、粘結剤、界面活性剤、必要に応じて甘味剤、着色剤、防腐剤、香料、有効成分等を配合できる。
口腔用組成物が錠剤である場合、口腔用組成物には、ソルビトール、マルチトール等の糖アルコール、セルロース、乳糖、デキストリン等の賦形剤、微粒二酸化ケイ素、酸味料、甘味剤、着色剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、果汁、香辛料、有効成分等を配合できる。
口腔用組成物がグミである場合、口腔用組成物には、グリセリン、ゼラチン等の増粘剤やゲル化剤、糖類、酸味料、甘味剤、着色剤、乳化剤、果汁、有効成分等を配合できる。
口腔用組成物がチューインガムである場合、口腔用組成物には、ガムベース、食用ガム質等の結合剤、甘味剤、着色剤、酸味料、保存料、光沢剤、香料、有効成分等を配合できる。必要に応じて、チューインガムを糖衣で被覆してもよい。
【0050】
研磨剤としては、シリカ系研磨剤、リン酸カルシウム系研磨剤、炭酸カルシウム系研磨剤等が挙げられる。研磨剤の配合量は、通常、練歯磨の総質量に対して2~50質量%とされ、液状歯磨の総質量に対して0~30質量%とされる。
粘稠剤としては、ソルビトール、キシリトール等の糖アルコール、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。粘稠剤の配合量は、歯磨剤の総質量に対して、通常、5~50質量%とされる。
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体、キサンタンガム等のガム類、ゲル化性シリカ、ゲル化性アルミニウムシリカ等の有機又は無機粘結剤等が挙げられる。粘結剤の配合量は、歯磨剤の総質量に対して、通常、0.5~10質量%とされる。
【0051】
界面活性剤としては、口腔用組成物に一般的に用いられるアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合できる。アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、N-アシルサルコシン酸塩などが挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、糖脂肪酸エステル、糖アルコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、脂肪酸アルカノールアミドなどが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩等、両性界面活性剤としては、ベタイン系やイミダゾリン系のものが挙げられる。界面活性剤の配合量は、歯磨剤の総質量に対して、通常、0~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい。
【0052】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム等が挙げられる。
着色剤としては、赤色2号、青色1号、黄色4号等が、防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル等が挙げられる。
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及びこれら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3-l-メントキシプロパン-1,2-ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N-置換-パラメンタン-3-カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等が挙げられ、口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を使用できる。これら香料の配合量は、通常、歯磨剤、洗口剤の総質量に対して、0.00001~1質量%とされる。また、これら香料の配合量は、錠剤、グミ、チューインガムの総質量に対して、0.001~50質量%とされる。上記香料素材を使用した賦香用香料は、口腔用組成中に0.1~10%使用するのが好ましい。
【0053】
口腔用組成物は、本発明の感染抑制剤以外の有効成分を含有してもよい。感染抑制剤以外の有効成分としては、口腔用組成物に通常配合される公知のものを本発明の効果を妨げない範囲で配合できる。有効成分としては、イソプロピルメチルフェノール等の非イオン性殺菌剤、塩化ベンザルコニウム等のカチオン性殺菌剤、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸等の抗炎症剤、デキストラナーゼ等の酵素、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物、水溶性リン酸化合物、銅化合物、硝酸カリウム、乳酸アルミニウム、各種ビタミン類、植物抽出物等が挙げられる。上記有効成分の配合量は、本発明の感染抑制剤の効果を妨げない範囲で設定される。
【0054】
<感染抑制用組成物の製造方法>
摂取・投与型組成物の製造方法は、摂取・投与型組成物の種類や剤形に応じ、従来公知の製造方法が用いられる。
固形の摂取・投与型組成物の製造方法としては、感染抑制剤と、必要に応じて任意成分とを混合し、これを所望の剤形(粉末、細粒、顆粒、カプセル、タブレット等)に成形する方法が挙げられる。
液体の摂取・投与型組成物の製造方法としては、感染抑制剤と必要に応じて任意成分とを溶剤に分散する方法が挙げられる。
【0055】
口腔用組成物の製造方法は、感染抑制剤と必要に応じて任意成分とを混合し、又は溶剤に分散する方法が挙げられる。
【0056】
<感染抑制用組成物の使用方法>
感染抑制用組成物が摂取・投与型組成物の場合、感染抑制用組成物の使用方法(摂取方法又は投与方法)は、感染抑制剤の種類、感染抑制用組成物の剤形等に応じて適宜決定される。
例えば、摂取・投与型組成物の1日の当たりの摂取・投与量が、各感染抑制剤の好ましい摂取・投与量の範囲となるように、1回/日~10回/日摂取し、又は投与することが好ましい。
【0057】
感染抑制用組成物が口腔用組成物の場合、口腔用組成物の使用方法は、感染抑制剤の種類、口腔用組成物の剤形等に応じて適宜決定される。
例えば、口腔用組成物の1日の当たりの使用量において、各感染抑制剤の好ましい摂取・投与量の範囲で摂取できるように、1回/日~10回/日の口腔内の処置に使用することが好ましい。
【実施例0058】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
なお、表1~2中の「%」は特に断りのない限り、「質量%」を表す。
【0059】
(使用原料)
表1に、評価に用いた成分(評価成分)を記載した。表中、No.1~17が感染抑制剤である。表中、No.18~19は、感染抑制剤の比較成分である。
【0060】
(実施例1~29、比較例1~4)
表1に従い、各評価成分を溶媒に分散して、表中の濃度の各例の感染抑制用組成物を得た。得られた感染抑制用組成物について、感染抑制効果を評価した。
【0061】
(感染抑制効果)
・SARS-CoV-2ウイルスのウイルス液:2019-nCoV/Japan/AI/I-004/2020株(国立感染研3月2日付分与承認書の記載)の懸濁液。感染力価は下記細胞を用いたTCID50法で決定した。
・SARS-CoV-2ウイルスを感染させる細胞:Vero E6」(アフリカミドリザルの腎臓由来細胞)にTMPRSS2を強発現させ、SARS-CoV-2を効率よく感染できるようにした細胞(VeroE6+TMPRSS2)。
【0062】
<評価手順>
ウイルスに感染させた日をDay0とした。
・Day-1(Day0前日)
VeroE6+TMPRSS2(5×104cells/100μL/96well)を96穴プレートに撒き、CO2インキュベーター(37℃、5体積%CO2/95体積%空気)で培養した。培養液は、Dulbecco’s modified Eagle’s minimum essential medium(DMEM)(Nissui Pharmaceutical Co.Ltd.,Tokyo,Japan)supplemented with G418 disulfate (1mg/mL),penicillin(100units/mL),streptomycin(100μg/mL),5%fetal bovine serumである。
・Day0
(1)他のプレートの96穴に、MS(DMEM supplemented with 0.5% FBS)で希釈した各例の感染抑制用組成物2μLを入れ、このプレートの96穴のそれぞれにウイルス液200μL加え、5分間静置して、各例の感染抑制用組成物とウイルスとの混合液とした。
(2)96穴プレートに撒いた細胞の培養液を除去した。
(3)速やかに(1)で作製した混合液100Lを(2)の処理後のプレートの各穴に加え、培養した(37℃、5体積%CO2/95体積%空気)。
・Day3
(1)培養後のプレートの各穴にグルタルアルデヒド(固定液)100μLを加え、30分間静置し固定した。
(2)(1)で加えた固定液を除去し、水道水で洗浄した。
(3)(2)の後、各穴に1質量%クリスタルバイオレット液(染色液)を加え、30分間静置して染色した。
(4)(3)で加えた染色液を除去し、水道水で洗浄後、乾燥させた。
(5)プレートリーダーで、各穴の内容物のOD570を測定した。OD570の測定値に基づき、感染抑制率を算出し、下記評価基準に従って、評価した。
【0063】
≪評価基準≫
〇:感染抑制率50%以上。
△:感染抑制率0%超50%未満。
×:感染抑制率0%。
【0064】
【0065】
【0066】
表2に示すように、本発明を適用した実施例1~29には、いずれもSARS-CoV-2ウイルスの感染抑制効果が認められた。
本発明の感染抑制剤以外のエキスを用いた比較例1~4には、SARS-CoV-2ウイルスの感染抑制効果が認められなかった。
以上の結果から、本発明を適用することで、SARS-CoV-2ウイルスの感染抑制を図れることが確認された。
但し、実施例1~25、28、29は、参考例である。