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特開2024-113125太陽電池及びその製造方法、太陽光発電モジュール、太陽光発電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113125
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法、太陽光発電モジュール、太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/068 20120101AFI20240814BHJP
   H01L 31/072 20120101ALI20240814BHJP
   H01L 31/0224 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H01L31/06 300
H01L31/06 400
H01L31/04 260
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024092783
(22)【出願日】2024-06-07
(31)【優先権主張番号】202311724283.X
(32)【優先日】2023-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523183389
【氏名又は名称】トリナ・ソーラー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TRINA SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 2 Trina Road, Trina PV Park, Xinbei District, Changzhou, Jiangsu 213031, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン ダミン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン イーフェン
(72)【発明者】
【氏名】リョ ドンユン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】太陽電池及びその製造方法、太陽光発電モジュール、太陽光発電システムを提供する。
【解決手段】太陽電池は、半導体基板11と、第1導電型の第1エミッタ121と、第2導電型の第2エミッタ122と、を含み、半導体基板11は、対向して設けられた第1面及び第2面を含み、半導体基板11上に、第1方向に沿って間隔をおいて配置された第1領域11a及び第2領域11bが設けられ、第1方向は、半導体基板11の厚さ方向と垂直である。第1エミッタ121は、第1導電型であり、第1面上に設けられ、第1エミッタ121上にトレンチ13が設けられ、トレンチ13が第1エミッタ121を第1サブエミッタ1211と第2サブエミッタ1212とに分割する。第2エミッタ122は、第2導電型のであり、第1面上に設けられ、且つ第2領域11bに位置する。第2エミッタと第2面との最小距離は、第1エミッタと第2面との最小距離よりも小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して設けられた第1面及び第2面を含む半導体基板であって、前記半導体基板上に、第1方向に沿って間隔をおいて配置された第1領域及び第2領域が設けられ、前記第1方向は、前記半導体基板の厚さ方向と垂直である半導体基板と、
第1導電型を有し、前記第1面上に設けられた第1エミッタであって、前記第1エミッタ上にトレンチが設けられ、前記トレンチは、前記第1エミッタを、前記第1領域に位置する第1サブエミッタと前記第2領域に位置する第2サブエミッタとに分割する第1エミッタと、
第2導電型を有し、前記第1面上に設けられ、且つ前記第2領域に位置する第2エミッタと、を含み、
前記第2エミッタと前記第2面との間の最小距離は、前記第1エミッタと前記第2面との間の最小距離よりも小さい、ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記太陽電池は、
前記第1エミッタと前記半導体基板との間に設けられた第1トンネル層と、
前記第2エミッタと前記半導体基板との間に設けられた第2トンネル層と、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記トレンチは、前記第1トンネル層を貫通して、前記第1トンネル層を、前記第1領域に位置する第1部分と前記第2領域に位置する第2部分とに分割する、ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第2領域は、前記第1方向に沿って隣接して配置された第1サブ領域及び第2サブ領域を含み、前記第2サブ領域は、前記第1サブ領域の前記第1領域に近い側に位置し、
前記第2部分は、前記第2サブ領域の前記半導体基板を覆い、
前記第2トンネル層は、前記第1サブ領域の前記半導体基板の前記第1面、及び前記第2サブエミッタの前記トレンチから離れた側壁を少なくとも覆う、ことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第2トンネル層は、前記第2部分の前記トレンチから離れた側壁及び前記第2サブエミッタの前記半導体基板から離れた表面をさらに覆う、ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第2エミッタは、前記第2部分の前記トレンチから離れた側壁及び前記第2サブエミッタの前記半導体基板から離れた表面を覆う、ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第2部分の前記第1方向に沿った寸法をX1とし、前記第1サブ領域の前記第2トンネル層の前記第1方向に沿った寸法をX2とすると、0<X1/X2≦1/10となる、ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記トレンチは、前記半導体基板に延びている、ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第1サブ領域に位置する前記第2トンネル層と前記第2面との間の距離は、前記トレンチの前記第1面からなる底壁と前記第2面との間の距離以下である、ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記第1エミッタの前記半導体基板から離れた側及び前記第2エミッタの前記半導体基板から離れた側に第1誘電体層が設けられ、
前記第1誘電体層は、前記トレンチをさらに覆う、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記太陽電池は、前記トレンチを少なくとも覆う第1パッシベーション層をさらに含む、ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記第1パッシベーション層は、前記第1サブエミッタの前記半導体基板から離れた表面、及び前記第2エミッタの前記半導体基板から離れた表面をさらに覆う、ことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記半導体基板内に第1拡散領域及び第2拡散領域が設けられ、前記第1拡散領域及び前記第2拡散領域は、いずれも前記第1面から前記第2面に向かって延びており、
前記第1エミッタの前記半導体基板への正射影は、前記第1拡散領域の少なくとも一部を覆い、前記第2エミッタの前記半導体基板への正射影は、前記第2拡散領域の少なくとも一部を覆う、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記第1拡散領域は、前記第1方向に沿って間隔をおいて配置された第1サブ拡散領域及び第2サブ拡散領域を含み、前記第1サブエミッタの前記半導体基板への正射影は、前記第1サブ拡散領域と重なり、前記第2サブエミッタの前記半導体基板への正射影は、前記第2サブ拡散領域と重なる、ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記第1サブエミッタの前記第1方向に沿った寸法は、前記第2エミッタの前記第1方向に沿った寸法以上であり、
及び/又は、前記第1サブエミッタの前記半導体基板への正射影の面積は、第2エミッタの前記半導体基板への正射影の面積以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項16】
前記トレンチの底壁は、ピラミッドテクスチャ構造に構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項17】
半導体基板を提供するステップであって、前記半導体基板は、対向して設けられた第1面及び第2面を含み、前記半導体基板上に、第1方向に沿って間隔をおいて配置された第1領域及び第2領域が設けられ、前記第1方向は、前記半導体基板の厚さ方向と垂直であるステップと、
前記第1面上に第1導電型の第1エミッタを形成するステップと、
前記第2領域の前記第1面上に第2導電型の第2エミッタを形成するステップであって、前記第2エミッタと前記第2面との間の最小距離は、前記第1エミッタと前記第2面との間の最小距離よりも小さいステップと、
前記第1エミッタを前記第1領域に位置する第1サブエミッタと前記第2領域に位置する第2サブエミッタとに分割するトレンチを、前記第1エミッタ上に形成するステップと、を含む、ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項18】
前記第2領域は、前記第1方向に沿って隣接して配置された第1サブ領域及び第2サブ領域を含み、
前記第1面上に第1導電型の第1エミッタを形成するステップは、
前記第1面上に、積層された第1トンネル材料層、第1エミッタ材料層及び第1ケイ素-酸素含有誘電体層を形成し、且つ前記半導体基板に第1熱処理を行うステップと、
前記第1サブ領域の前記第1トンネル材料層、前記第1エミッタ材料層及び第1ケイ素-酸素含有誘電体層を除去するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項17に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項19】
前記第2領域の前記第1面上に第2導電型の第2エミッタを形成するステップは、
前記第1面上に、積層された第2トンネル材料層、第2エミッタ材料層及び第2ケイ素-酸素含有誘電体層を形成し、且つ前記半導体基板に第2熱処理を行うステップと、
前記第1領域及び前記第1領域と前記第2領域との間の領域である分離領域における、前記第2トンネル材料層、前記第2エミッタ材料層及び第2ケイ素-酸素含有誘電体層を除去するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項18に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項20】
請求項1~16のいずれか一項に記載の太陽電池を含む、ことを特徴とする太陽光発電モジュール。
【請求項21】
請求項20に記載の太陽光発電モジュールを含む、ことを特徴とする太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、太陽電池の技術分野に関し、特に、太陽電池及びその製造方法、太陽光発電モジュール、太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、光電効果によって光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置である。一般に、半導体加工技術を用いて基板の表面近傍にp-n接合を形成して半導体ウエハ又は基板上に太陽電池を製造する。
【0003】
櫛型バックコンタクト(Interdigitated Back-Contact:IBC)太陽電池のp-n接合は基板の裏面に設けられ、且つPドーピング領域及びNドーピング領域は基板の表面に沿って交互に配列される。基板の表面上に照射されて基板内に入射した太陽放射により、基板本体内に電子-正孔対を形成する。電子-正孔対は、基板の裏面のPドーピング領域及びNドーピング領域に移動し、それによってドーピング領域の間に電圧差を生じさせる。電流を太陽電池から外部回路に導くために、ドーピング領域を金属電極によって外部回路に接続する。従来の櫛型バックコンタクト太陽電池技術において、隣接するP型とN型ドーピング領域の間にトレンチを設けることにより、アイソレーションを提供して漏電を防止し、光電変換効率を向上させる。しかしながら、この太陽電池の構造的強度が低く、損傷しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに基づいて、太陽電池及びその製造方法、太陽光発電モジュール、太陽光発電システムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様において、本願の実施例は、半導体基板と、第1エミッタと、第2エミッタと、を含む太陽電池を提供する。半導体基板は、対向して設けられた第1面及び第2面を含み、前記半導体基板上に、第1方向に沿って間隔をおいて配置された第1領域及び第2領域が設けられ、前記第1方向は、前記半導体基板の厚さ方向と垂直である。第1エミッタは、第1導電型を有し、前記第1面上に設けられ、前記第1エミッタ上にトレンチが設けられ、前記トレンチは、前記第1エミッタを、前記第1領域に位置する第1サブエミッタと前記第2領域に位置する第2サブエミッタとに分割する。第2エミッタは、第2導電型を有し、前記第1面上に設けられ、且つ前記第2領域に位置する。前記第2エミッタと前記第2面との間の最小距離は、前記第1エミッタと前記第2面との間の最小距離よりも小さい。
【0006】
いくつかの実施例において、前記太陽電池は、前記第1エミッタと前記半導体基板との間に設けられた第1トンネル層と、前記第2エミッタと前記半導体基板との間に設けられた第2トンネル層と、をさらに含む。
【0007】
いくつかの実施例において、前記トレンチは、前記第1トンネル層を貫通して、前記第1トンネル層を、前記第1領域に位置する第1部分と前記第2領域に位置する第2部分とに分割する。
【0008】
いくつかの実施例において、前記第2領域は、前記第1方向に沿って隣接して配置された第1サブ領域及び第2サブ領域を含み、前記第2サブ領域は、前記第1サブ領域の前記第1領域に近い側に位置し、前記第2部分は、前記第2サブ領域の前記半導体基板を覆い、前記第2トンネル層は、前記第1サブ領域の前記半導体基板の前記第1面、及び前記第2サブエミッタの前記トレンチから離れた側壁を少なくとも覆う。
【0009】
いくつかの実施例において、前記第1サブ領域に位置する前記第2トンネル層と前記第2面との間の最小距離は、前記第1部分と前記第2面との間の最小距離よりも小さい。
【0010】
いくつかの実施例において、前記第2トンネル層は、前記第2部分の前記トレンチから離れた側壁及び前記第2サブエミッタの前記半導体基板から離れた表面をさらに覆う。
【0011】
いくつかの実施例において、前記第2エミッタは、前記第2部分の前記トレンチから離れた側壁及び前記第2サブエミッタの前記半導体基板から離れた表面を覆う。
【0012】
いくつかの実施例において、前記第2部分の前記第1方向に沿った寸法をX1とし、前記第1サブ領域の前記第2トンネル層の前記第1方向に沿った寸法をX2とすると、0<X1/X2≦1/10となる。
【0013】
いくつかの実施例において、前記トレンチは、前記半導体基板に延びている。
【0014】
いくつかの実施例において、前記第1サブ領域に位置する前記第2トンネル層と前記第2面との間の距離は、前記トレンチの前記第1面からなる底壁と前記第2面との間の距離以下である。
【0015】
いくつかの実施例において、前記第1エミッタの前記半導体基板から離れた側及び前記第2エミッタの前記半導体基板から離れた側に第1誘電体層が設けられ、前記第1誘電体層は、前記トレンチをさらに覆う。
【0016】
いくつかの実施例において、前記太陽電池は、前記トレンチを少なくとも覆う第1パッシベーション層をさらに含む。
【0017】
いくつかの実施例において、前記第1パッシベーション層は、前記第1サブエミッタの前記半導体基板から離れた表面、及び前記第2エミッタの前記半導体基板から離れた表面をさらに覆う。
【0018】
いくつかの実施例において、前記半導体基板内に第1拡散領域及び第2拡散領域が設けられ、前記第1拡散領域及び前記第2拡散領域は、いずれも前記第1面から前記第2面に向かって延びており、前記第1エミッタの前記半導体基板への正射影は、前記第1拡散領域の少なくとも一部を覆い、前記第2エミッタの前記半導体基板への正射影は、前記第2拡散領域の少なくとも一部を覆う。
【0019】
いくつかの実施例において、前記第1拡散領域は、前記第1方向に沿って間隔をおいて配置された第1サブ拡散領域及び第2サブ拡散領域を含み、前記第1サブエミッタの前記半導体基板への正射影は、前記第1サブ拡散領域と重なり、前記第2サブエミッタの前記半導体基板への正射影は、前記第2サブ拡散領域と重なる。
【0020】
いくつかの実施例において、前記第1サブエミッタの前記第1方向に沿った寸法は、前記第2エミッタの前記第1方向に沿った寸法以上であり、及び/又は、前記第1サブエミッタの前記半導体基板への正射影の面積は、第2エミッタの前記半導体基板への正射影の面積以上である。
【0021】
いくつかの実施例において、前記トレンチの底壁は、ピラミッドテクスチャ構造に構成される。
【0022】
第2態様において、本願の実施例は、太陽電池の製造方法を提供する。太陽電池の製造方法は、半導体基板を提供するステップであって、前記半導体基板は、対向して設けられた第1面及び第2面を含み、前記半導体基板上に、第1方向に沿って間隔をおいて配置された第1領域及び第2領域が設けられ、前記第1方向は、前記半導体基板の厚さ方向と垂直であるステップと、前記第1面上に第1導電型の第1エミッタを形成するステップと、前記第2領域の前記第1面上に第2導電型の第2エミッタを形成するステップであって、前記第2エミッタと前記第2面との間の最小距離は、前記第1エミッタと前記第2面との間の最小距離よりも小さいステップと、前記第1エミッタを前記第1領域に位置する第1サブエミッタと前記第2領域に位置する第2サブエミッタとに分割するトレンチを、前記第1エミッタ上に形成するステップと、を含む。
【0023】
いくつかの実施例において、前記第2領域は、前記第1方向に沿って隣接して配置された第1サブ領域及び第2サブ領域を含み、前記第1面上に第1導電型の第1エミッタを形成するステップは、前記第1面上に、積層された第1トンネル材料層、第1エミッタ材料層及び第1ケイ素-酸素含有誘電体層を形成し、且つ前記半導体基板に第1熱処理を行うステップと、前記第1サブ領域の前記第1トンネル材料層、前記第1エミッタ材料層及び第1ケイ素-酸素含有誘電体層を除去するステップと、を含む。
【0024】
いくつかの実施例において、前記第2領域の前記第1面上に第2導電型の第2エミッタを形成するステップは、前記第1面上に、積層された第2トンネル材料層、第2エミッタ材料層及び第2ケイ素-酸素含有誘電体層を形成し、且つ前記半導体基板に第2熱処理を行うステップと、前記第1領域及び前記第1領域と前記第2領域との間の領域である分離領域における、前記第2トンネル材料層、前記第2エミッタ材料層及び第2ケイ素-酸素含有誘電体層を除去するステップと、を含む。
【0025】
第3態様において、本願の実施例は、第1態様における太陽電池を含む太陽光発電モジュールを提供する。
【0026】
第4態様において、本願の実施例は、第3態様における太陽光発電モジュールを含む太陽光発電システムを提供する。
【発明の効果】
【0027】
本願の実施例にて提供される太陽電池及びその製造方法、太陽光発電モジュール、太陽光発電システムによれば、第1エミッタを第1サブエミッタと第2サブエミッタとに分割するトレンチを設けることによって、第1サブエミッタは第1領域に位置し、第2サブエミッタ及び第2エミッタは第2領域に位置し、即ち、トレンチは、第1領域のエミッタ(第1サブエミッタ)と第2領域のエミッタ(第2サブエミッタと第2エミッタ)とを隔てる。このように、一方では、第1領域と第2領域との間に分離を提供し、キャリア再結合を効果的に低減し、それによって太陽電池の効率を向上させることができ、他方では、第1エミッタと第2面との距離が第2エミッタと第2面との距離よりも大きい場合、即ち、第1エミッタの深さが第2エミッタの深さよりも小さい場合、従来技術では、第1エミッタと第2エミッタとの間に両者を分離するためのトレンチを設け、良好な分離効果を達成するために、トレンチの深さを第2エミッタの深さよりも大きくする必要があるが、本願の実施例では、第1エミッタ上にトレンチを設け、トレンチの深さを第1エミッタの深さよりも大きくするだけで、第1領域のエミッタ(第1サブエミッタ)と第2領域のエミッタ(第2サブエミッタと第2エミッタ)とを隔てることができ、それによってトレンチの深さを低減させるのに有利であり、さらに太陽電池の構造的強度を向上させ、太陽電池の破損の危険性を低減させるのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本願の実施例又は例示的な実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は例示的な実施例の説明で必要とされる図面について簡単に紹介する。以下の説明における図面は、本願の一部の実施例にすぎず、当業者にとって、創造的な労力を払うことなく、これらの図面から他の図面を得ることができることは明らかである。
図1】本願の一実施例にて提供される太陽電池の局所断面構造の概略図である。
図2】本願の別の実施例にて提供される太陽電池の局所断面構造の概略図である。
図3】本願のさらに別の実施例にて提供される太陽電池の局所断面構造の概略図である。
図4A】本願のさらに別の実施例にて提供される太陽電池の局所断面構造の概略図である。
図4B図4Aに示す太陽電池における第1エミッタ及び第2エミッタの深さの概略図である。
図5】本願の一実施例にて提供される太陽電池の製造方法のフローチャートである。
図6図5に示す製造方法の過程における局所断面構造の概略図である。
図7図5に示す製造方法の過程における局所断面構造の概略図である。
図8図5に示す製造方法の過程における局所断面構造の概略図である。
図9図5に示す製造方法の過程における局所断面構造の概略図である。
図10図5に示す製造方法の過程における局所断面構造の概略図である。
図11図5に示す製造方法の過程における局所断面構造の概略図である。
図12図5に示す製造方法の過程における局所断面構造の概略図である。
図13図5に示す製造方法の過程における局所断面構造の概略図である。
図14図5に示す製造方法の過程における局所断面構造の概略図である。
図15図5に示す製造方法の過程における局所断面構造の概略図である。
図16図5に示す製造方法の過程における局所断面構造の概略図である。
図17図5に示す製造方法の過程における局所断面構造の概略図である。
図18図5に示す製造方法を用いて製造した太陽電池の局所断面構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本願の上記の目的、特徴及び利点をより明確かつ理解しやすくするために、以下、本願の具体的な実施形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明では、本願の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、本願は、ここで説明したものとは異なる他の多くの形態で実施することができ、当業者であれば、本願の趣旨を逸脱することなく同様の改良を行うことができるため、以下に開示する具体的な実施例によって本願が限定されるものではない。
【0030】
別段の定義がない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本願が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本願の説明において本明細書で用いられる用語は、具体的な実施例を説明するためのものだけであり、本願を限定することを意図したものではない。
【0031】
要素又は層が他の要素又は層「・・・上にある」、「・・・に隣接している」、「に接続されている」又は「に結合されている」と呼ばれる場合、直接他の要素又は層の上にあるか、それに隣接しているか、それに接続されているか、又はそれに結合されているか、又は介在する要素又は層が存在してもよいことを理解すべきである。逆に、要素が他の要素又は層の「直接・・・上にある」、「・・・に直接隣接している」、「に直接接続されている」又は「に直接結合されている」と呼ばれる場合、介在する要素又は層が存在しないことを意味する。第1、第2、第3などの用語は、多様な要素、構成要素、領域、層、ドーピングタイプ及び/又は部分を説明するために用いられるが、これらの要素、構成要素、領域、層、ドーピングタイプ及び/又は部分は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解すべきである。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、ドーピングタイプ又は部分を、別の要素、構成要素、領域、層、ドーピングタイプ又は部分から区別するためにのみ用いられる。したがって、本願の教示から逸脱しない限り、以下で論じる第1要素、構成要素、領域、層、ドーピングタイプ又は部分は、第2要素、構成要素、領域、層、ドーピングタイプ又は部分として示されてもよい。
【0032】
空間的関係用語、例えば、「・・・下にある」、「・・・下方にある」、「下方の」、「・・・の下にある」、「・・・の上にある」、「上方の」などは、図面に示される1つの要素又は特徴と他の要素又は特徴との関係を説明するために本明細書で用いられる。空間的関係用語は、図面に示された向きに加えて、使用中及び動作中の要素又は特徴の異なる向きも含むことを理解すべきである。例えば、図面中の要素又は特徴が反転されると、「他の要素の下方にある」又は「その下にある」又は「下にある」と記載された要素又は特徴は、他の要素又は特徴の「上」にあるようになる。したがって、例示的な用語「・・・下方にある」及び「・・・下にある」は、上及び下の両方の向きを含んでもよい。さらに、要素又は特徴は、追加的な向き(例えば、90度回転した向き又は他の向き)を含んでもよく、本明細書で使用される空間的関係用語は、それに応じて解釈される。
【0033】
本明細書で使用される単数形の「一」、「1つ」、及び「前記/当該」は、文脈上明らかに別の意味を示さない限り、複数形も含んでもよい。「含む/含有する」又は「有する」などの用語は、述べられた特徴、全体、ステップ、動作、構成要素、部分又はこれらの組み合わせの存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、全体、ステップ、動作、構成要素、部分又はこれらの組み合わせの存在又は追加の可能性を排除するものではないことも理解すべきである。一方、本明細書において、用語「及び/又は」は、関連して列挙された項目の任意の及び全ての組み合わせを含む。
【0034】
ここでは本願の理想的な実施例(及び中間構造)の概略図である断面図を参照して本願の実施例を説明することにより、例えば、製造技術及び/又は公差に起因する示される形状の変化を予想することができる。したがって、本願の実施例は、ここに示される領域の特定の形状に限定されるべきではなく、例えば製造技術に起因する形状の偏差を含む。例えば、矩形として示される注入領域は、注入領域から非注入領域へのバイナリ変化ではなく、その縁に、概して、円形又は曲線の特徴及び/又は注入濃度勾配を有する。同様に、注入によって形成される埋め込み領域は、当該埋め込み領域と注入が行われる表面との間の領域における一部の注入をもたらし得る。したがって、図に示される領域は、実質的に模式的なものであり、それらの形状は、デバイスの領域の実際の形状を示すものではなく、本願の範囲を限定するものではない。
【0035】
本願において、ある要素が半導体基板のある領域に位置するとは、半導体基板の厚さ方向においてこの要素の位置がこの領域の位置に対応すること、すなわち、半導体基板の厚さ方向に垂直な方向へのこの要素の投影が、半導体基板の厚さ方向に垂直な方向へのこの領域の投影に位置することを意味する。
【0036】
第1態様において、図1図2図3及び図4Aを参照すると、本願の実施例は、太陽電池1を提供し、当該太陽電池1は、半導体基板11と、第1導電型の第1エミッタ121と、第2導電型の第2エミッタ122と、を含む。
【0037】
ここで、半導体基板11は、対向して設けられた第1面及び第2面を含む。半導体基板11上に、第1方向Xに沿って間隔をおいて配置された第1領域11a及び第2領域11bが設けられる。第1方向Xは、半導体基板11の厚さ方向と垂直である。ここでは、第1面は、太陽電池1の動作時に太陽から離反する側を指し、第2面は、太陽電池1の動作時に太陽に向かう側を指す。図1に示すように、いくつかの実施例では、半導体基板11の第2面は、テクスチャ構造を有することができるが、全体として平面である。
【0038】
さらに、第1エミッタ121は、第1面上に設けられる。第1エミッタ121上にトレンチ13が設けられ、トレンチ13が第1エミッタ121を第1サブエミッタ1211と第2サブエミッタ1212とに分割し、第1サブエミッタ1211が第1領域11aに位置し、第2サブエミッタ1212が第2領域11bに位置する。第2エミッタ122は、第1面上に設けられ、且つ第2領域11bに位置する。第2エミッタ122と第2面との間の最小距離は、第1エミッタ121と第2面との間の最小距離よりも小さい。トレンチ13は、半導体基板11の第1面に位置し、トレンチ13は、少なくとも第1エミッタ121を貫通し、且つ第1領域11aと第2領域11bとの間に位置する。
【0039】
いくつかの実施例では、図4Bを参照すると、第1エミッタ121及び第2エミッタ122の半導体基板11から遠い側に位置する第1方向Xに平行な共通平面Aを基準として、第1エミッタ121及び第2エミッタ122は、それぞれ、共通平面Aと、第1エミッタ121及び第2エミッタ122の半導体基板11に近い面との間の、半導体基板11の厚さ方向における距離として定義される深さH1、H2を有し、第2エミッタ122の深さH2は第1エミッタ121の深さH1よりも大きい。これにより、第2エミッタ122と第2面との間の最小距離は、第1エミッタ121と第2面との間の最小距離よりも小さい。
【0040】
理解されるように、第1導電型及び第2導電型の一方は、P型であり、他方は、N型である。本願の実施例において、第1導電型は、P型であり、第2導電型は、N型であり、半導体基板11は、N型半導体である。
【0041】
本願の実施例にて提供される太陽電池1は、第1エミッタ121を第1サブエミッタ1211と第2サブエミッタ1212とに分割するトレンチ13を設けることによって、第1サブエミッタ1211が第1領域11aに位置し、第2サブエミッタ1212及び第2エミッタ122が第2領域11bに位置し、即ち、トレンチ13が第1領域11aのエミッタ(第1サブエミッタ1211)と第2領域11bのエミッタ(第2サブエミッタ1212と第2エミッタ122)とを隔てる。このように、一方では、第1領域11aと第2領域11bとの間に分離を提供し、キャリア再結合を効果的に低減し、それによって太陽電池1の効率を向上させることができ、他方では、第1エミッタ121と第2面との距離が第2エミッタ122と第2面との距離よりも大きい場合、関連技術では第1エミッタ121と第2エミッタ122との間に両者を分離するためのトレンチ13を設け、良好な分離効果を達成するために、トレンチ13の深さを第2エミッタ122の深さよりも大きくする必要がある。これに対し、本願の実施例は、第1エミッタ121上にトレンチ13を設け、トレンチ13が第1エミッタ121を貫通するだけで、第1領域11aのエミッタ(第1サブエミッタ1211)と第2領域11bのエミッタ(第2サブエミッタ1212と第2エミッタ122)とを隔てることができ、それによってトレンチ13の深さを低減させるのに有利であり、さらに太陽電池1の構造的強度を向上させ、太陽電池1の破損の危険性を低減させるのに有利である。
【0042】
いくつかの実施例において、半導体基板11上に複数の第1領域11a及び複数の第2領域11bが設けられてもよく、当該複数の第1領域11a及び当該複数の第2領域11bは第1方向Xに沿って交互に配置され、即ち、隣接する2つの第2領域11bの間に1つの第1領域11aが設けられ、隣接する2つの第1領域11aの間に1つの第2領域11bが設けられる。
【0043】
さらに、半導体基板11の第1面上に複数の第1エミッタ121及び複数の第2エミッタ122が設けられ、当該複数の第1エミッタ121及び当該複数の第2エミッタ122は第1方向Xに沿って交互に配置される。さらに、1つの第1エミッタ121の両側にいずれも第2エミッタ122が設けられる場合、当該第1エミッタ121上に2つのトレンチ13が設けられ、2つのトレンチ13が第1エミッタ121を1つの第1サブエミッタ1211と2つの第2サブエミッタ1212とに分割し、2つの第2サブエミッタ1212が当該1つの第1サブエミッタ1211の第1方向Xに沿った両側に位置する。
【0044】
いくつかの実施例において、図1図2図3及び図4Aを参照すると、太陽電池1は、第1トンネル層141及び第2トンネル層142をさらに含み、第1トンネル層141は、第1エミッタ121と半導体基板11との間に設けられ、第2トンネル層142は、第2エミッタ122と半導体基板11との間に設けられる。第1トンネル層141及び第2トンネル層142を設けることにより、半導体基板11と第1エミッタ121又は第2エミッタ122との間の界面準位密度を低減させ、キャリアの再結合確率を低減し、太陽電池1の効率を向上させることができる。
【0045】
理解されるように、第1トンネル層141は、第1エミッタ121の半導体基板11に近い側に設けられ、トレンチ13は、第1トンネル層141を貫通してもよいし、第1トンネル層141を貫通しなくてもよいが、本願の実施例ではこれについて限定されない。
【0046】
いくつかの実施例において、トレンチ13は、第1トンネル層141をさらに貫通して、第1トンネル層141を、第1領域11aに位置する第1部分1411と第2領域11bに位置する第2部分1412とに分割する。このように、一方では、第1領域11aと第2領域11bとの間に良好な分離効果を実現することができ、他方では、エッチング液を用いてトレンチ13を作製する過程において、第1トンネル層141のエッチングを防止するための配慮が不要であり、エッチング過程でエッチング液の十分なエッチングが可能であり、エッチングプロセスの制御困難性を低減させるのに有利である。
【0047】
理解されるように、1つの第1エミッタ121上に2つのトレンチ13が設けられる場合、2つのトレンチ13は、いずれも第1トンネル層141を貫通して、第1トンネル層141を1つの第1部分1411と2つの第2部分1412とに分割してもよい。1つのトレンチ13のみは、第1トンネル層141を貫通して、第1トンネル層141を1つの第1部分1411と1つの第2部分1412とに分割してもよい。
【0048】
別の実施例において、トレンチ13が第1トンネル層141内に延在しておらず、このように、トレンチ13の深さを低減させ、それによって太陽電池1の構造的強度を向上させ、さらに太陽電池1の破損の危険性を低減させることができる。理解されるように、トレンチ13は、第1トンネル層141内に延在しているが、第1トンネル層141を完全に貫通していなくてもよい。
【0049】
いくつかの実施例において、第2領域11bは、第1方向Xに沿って隣接して配置された第1サブ領域11b1及び第2サブ領域11b2を含み、第2サブ領域11b2は、第1サブ領域11b1の第1領域11a及びトレンチ13に近い側に位置する。半導体基板11の第1領域11aの第1面と第2サブ領域11b2の第1面とは同一平面上に位置してもよく、当該平面に対して、半導体基板11の第1サブ領域11b1は、第2サブ領域11b2の第1面から第1サブ領域11b1の第1面までの半導体基板の厚さ方向における距離として定義される凹部深さD1を有する凹部構造であり、これにより、第2サブ領域11b2と第1サブ領域11b1との間に段差部を形成し、半導体基板11は第2サブ領域11b2と第1サブ領域との間に側壁11dを有する。 第1トンネル層141の第2部分1412は、第2サブ領域11b2の半導体基板11の第1面を覆う。第2トンネル層142は、第1サブ領域11b1の半導体基板11の第1面及び第2サブエミッタ1212のトレンチ13から離れた側壁を少なくとも覆う。
【0050】
太陽電池1を作製する過程において、まず、第1エミッタ121及び第1トンネル層141を作製し、次に、第2トンネル層142及び第2エミッタ122を作製してもよい。第2トンネル層142は第2サブエミッタ1212のトレンチ13から離れた側壁を覆うことにより、作製過程における加工精度を低減させ、太陽電池1の作製コストを低減させるのに有利である。
【0051】
いくつかの実施例において、第1サブ領域11b1に位置する第2トンネル層142と第2面との間の最小距離は、第1部分1411と第2面との間の最小距離よりも小さく、即ち、共通平面Aに対して、第1サブ領域11b1に位置する第2トンネル層142の深さは、第1部分1411の深さよりも大きい。理解されるように、第2トンネル層142を作製する前に、湿式プロセスを用いて第1サブ領域11b1の第1トンネル材料層2を除去するため、例えば図8-9に示すように、第1サブ領域11b1の半導体基板材料の一部をエッチング除去し、それによって第1サブ領域11b1の第2トンネル層142の深さを第1トンネル層141よりも深くする。
【0052】
いくつかの実施例において、図4Aを参照すると、第2トンネル層142は、第2部分1412のトレンチ13から離れた側壁及び第2サブエミッタ1212の半導体基板11から離れた表面をさらに覆う。このように、薄膜堆積プロセスによって第2トンネル層142を作製する場合、第2サブ領域11b2上の全ての層の側面及び半導体基板11の側面を含む、第2サブエミッタ1212の半導体基板11から離れた表面から第1サブ領域11b1の半導体基板11の第1面までを覆う連続的な膜層を形成できる。
【0053】
さらに、図4Aを参照すると、第2トンネル層142は、「Z」字状様である。
【0054】
いくつかの実施例において、第2サブエミッタ1212の半導体基板11から離れた表面に第1ケイ素-酸素含有誘電体層19が設けられ、第2トンネル層142は、第1ケイ素-酸素含有誘電体層19の半導体基板11から離れた表面を覆う。即ち、第1ケイ素-酸素含有誘電体層19は、第2サブ領域11b2の第2トンネル層142と第2サブエミッタ1212との間に配置される。
【0055】
いくつかの実施例において、図1図2及び図3を参照すると、第2エミッタ122は、第2部分1412のトレンチ13から離れた側壁及び第2サブエミッタ1212の半導体基板11から離れた表面を覆う。熱酸化プロセスによって第2トンネル層142を作製する際に、第2部分1412の側壁に第2トンネル層142が成長せず、第2部分1412の側壁を露出させ、第2エミッタ122を作製した後、第2エミッタ122は直接第2部分1412の側壁を覆う。
【0056】
いくつかの実施例において、第2サブエミッタ1212の半導体基板11から離れた表面に第1ケイ素-酸素含有誘電体層19が設けられ、第2エミッタ122は、第1ケイ素-酸素含有誘電体層19の半導体基板11から離れた表面を覆う。
【0057】
さらに、図1図2及び図3を参照すると、第2トンネル層142は、第2部分1412のトレンチ13から離れた側壁で分断されており、且つ間隔をおく2つの部分に分割されており、一部は、「L」字状構造であり、当該「L」字状構造は、第1サブ領域11b1の半導体基板11の第1面を覆い、且つ半導体基板11の側壁11dを覆う。他部は、第2サブエミッタ1212のトレンチ13から離れた側壁を覆う。
【0058】
いくつかの実施例において、第2部分1412の半導体基板11への正射影は、第2サブ領域11b2を覆う。
【0059】
いくつかの実施例において、第2エミッタ122の半導体基板11への正射影は、第1サブ領域11b1、及び第2サブ領域11b2の少なくとも一部を覆う。理解されるように、第2エミッタ122の半導体基板11への正射影は、第2サブ領域11b2の一部を覆ってもよいし、第2サブ領域11b2全体を覆ってもよい。
【0060】
いくつかの実施例において、第2部分1412の第1方向Xに沿った寸法をX1とし、第1サブ領域11b1の第2トンネル層142の第1方向Xに沿った寸法をX2とすると、0<X1/X2≦1/10となる。このように、一方では、トレンチ13が第1エミッタ121上に位置することを保証し、トレンチ13が分離機能を備えると同時に浅い深さを備えることを保証でき、他方では、第2部分1412の面積が大きくてキャリア再結合量が多くなることを回避することができる。
【0061】
いくつかの実施例において、第2サブ領域11b2の第1方向Xに沿った寸法X3とし、第1サブ領域11b1の第1方向Xに沿った寸法をX4とすると、0<X3/X4≦1/10となる。
【0062】
いくつかの実施例において、図1図3図4A及び図4Bを参照すると、トレンチ13は、半導体基板11まで延びており、即ち、トレンチ13は、半導体基板11内に延在している。つまり、半導体基板11の厚さ方向において、トレンチ13における半導体基板11の第1面と共通平面Aとの距離は、第1領域11aの第1面と共通平面Aとの距離よりも大きい。このように、一方では、トレンチ13による第1領域11a及び第2領域11bの分離効果をさらに向上させ、それによってキャリア再結合を効果的に低減させることができ、他方では、トレンチ13を作製する過程において、半導体基板11のエッチングを防止するための配慮が不要であり、エッチング過程でエッチング液の十分なエッチングが可能であり、エッチングプロセスの制御困難性を低減させるのに有利である。トレンチ13内の半導体基板11の第1面は、テクスチャ構造を有することができる。
【0063】
いくつかの実施例において、図2を参照すると、トレンチ13は、半導体基板11内に延在していない。このように、トレンチ13の深さを低減させ、太陽電池1の構造的強度を向上させ、太陽電池1の破損の危険性を低減させることができる。
【0064】
いくつかの実施例において、第1サブ領域11b1に位置する第2トンネル層142と第2面との間の距離は、トレンチ13の、半導体基板11の第1面からなる底壁と、第2面との間の距離以下である。即ち、トレンチ13の深さは、第1サブ領域11b1の第2トンネル層142の深さ以下である。なお、従来技術では、第1エミッタ121と第2エミッタ122との間に両者を分離するためのトレンチを設ける場合、良好な分離効果を達成するために、トレンチの深さを第2エミッタ122の深さよりも大きくする必要がある。これに対し、本願の実施例では、第1エミッタ121上にトレンチ13を設ける場合、トレンチ13の深さを第1エミッタ121の深さよりも大きくするだけで、第1領域11aのエミッタ(第1サブエミッタ1211)と第2領域11bのエミッタ(第2サブエミッタ1212と第2エミッタ122)とを隔てることができ、それによってトレンチ13の深さを低減させるのに有利であり、さらに太陽電池1の構造的強度を向上させ、太陽電池1の破損の危険性を低減させるのに有利である。
【0065】
いくつかの実施例において、図1図2図3及び図4Aを参照すると、第1エミッタ121の半導体基板11から離れた側及び第2エミッタ122の半導体基板11から離れた側に第1誘電体層15が設けられる。第1誘電体層15は、トレンチ13をさらに覆う。一例において、第1誘電体層15の材料は、窒化ケイ素である。
【0066】
このように、一方では、半導体基板11の第1面の一側に保護を形成でき、他方では、反射防止の役割を果たすことができる。
【0067】
いくつかの実施例において、図3及び図4Aを参照すると、太陽電池1は、トレンチ13の側壁及び底壁を少なくとも覆う第1パッシベーション層16をさらに含む。このように、トレンチ13が位置する領域が良好なパッシベーション効果を有することを少なくとも保証することができる。
【0068】
いくつかの実施例において、第1パッシベーション層16の材料は、酸化アルミニウムである。
【0069】
いくつかの実施例において、図3を参照すると、第1パッシベーション層16は、トレンチ13の側壁及び底壁のみを覆い、即ち、第1エミッタ121の半導体基板11から離れた側及び第2エミッタ122の半導体基板11から離れた側に第1パッシベーション層16が設けられていない。このように、電極の焼結過程において、第1誘電体層15を溶接すればよいので、電極ペーストにおいてエッチングの役割を果たすガラスフリットの含有量を低減させ、それによってガラスフリットによる第1エミッタ121及び第2エミッタ122のアブレーションダメージを低減させることができる。
【0070】
いくつかの実施例において、図4Aを参照すると、第1パッシベーション層16は、第1サブエミッタ1211の半導体基板11から離れた表面、及び第2エミッタ122の半導体基板11から離れた表面をさらに覆う。このように、一方では、太陽電池1に第1面の一側に良好なパッシベーション効果を有させることができ、他方では、第1パッシベーション層16がトレンチ13のみを覆う方式に比べて、太陽電池1の作製困難性を低減させることができる。
【0071】
いくつかの実施例において、図1図2図3及び図4Aを参照すると、半導体基板11内に第1拡散領域111及び第2拡散領域112が設けられ、第1拡散領域111及び第2拡散領域112は、いずれも第1面から第2面に向かって延びている。第1エミッタ121の半導体基板11への正射影は、第1拡散領域111の少なくとも一部を覆い、第2エミッタ122の半導体基板11への正射影は、第2拡散領域112の少なくとも一部を覆う。
【0072】
いくつかの実施例において、図1図3及び図4Aを参照すると、第1拡散領域111は、第1方向Xに沿って間隔をおいて配置された第1サブ拡散領域1111及び第2サブ拡散領域1112を含み、第1サブエミッタ1211の半導体基板11への正射影は、第1サブ拡散領域1111と重なり、第2サブエミッタ1212の半導体基板11への正射影は、第2サブ拡散領域1112と重なり、即ち、トレンチ13の下方に拡散領域が存在しない。このように、第1領域11aと第2領域11bとの間に良好な分離を提供でき、キャリア再結合を効果的に低減させ、それによって太陽電池1の効率を向上させることができる。
【0073】
いくつかの実施例において、図2を参照すると、トレンチ13の下方に第1拡散領域111が存在してもよい。
【0074】
いくつかの実施例において、第1サブエミッタ1211の第1方向Xに沿った寸法は、第2エミッタ122の第1方向Xに沿った寸法以上である。このように、第1サブエミッタ1211の占有領域は、第2エミッタ122の占有領域よりも大きいため、第1サブエミッタ1211と半導体基板11との間にp-n接合を形成し、キャリアの収集により有利であり、それによって太陽電池1の効率を向上させる。
【0075】
いくつかの実施例において、第1サブエミッタ1211の半導体基板11への正射影の面積は、第2エミッタ122の半導体基板11への正射影の面積以上である。このように、第1サブエミッタ1211と半導体基板11との間にp-n接合を形成し、第1サブエミッタ1211の面積をより大きくすることで、キャリアの収集により有利であり、それによって太陽電池1の効率を向上させる。
【0076】
いくつかの実施例において、図1図3及び図4Aを参照すると、トレンチ13の底壁は、ピラミッドテクスチャ構造に構成される。このように、太陽光の収集効率を向上させることができる。
【0077】
理解されるように、図2に示すように、トレンチ13の底壁は、平面であってもよい。
【0078】
いくつかの実施例において、図1図4Bを参照すると、太陽電池1は、第1電極181と、第2電極182と、をさらに含む。一例において、第1電極181は、第1誘電体層15を貫通して第1エミッタ121に電気的に接続され、第2電極182は、第1誘電体層15を貫通して第2エミッタ122に電気的に接続される。別の例において、第1電極181は、第1誘電体層15及び第1パッシベーション層16を貫通して第1エミッタ121に電気的に接続され、第2電極182は、第1誘電体層15及び第1パッシベーション層16を貫通して第2エミッタ122に電気的に接続される。
【0079】
いくつかの実施例において、太陽電池1は、半導体基板11の第2面上に設けられたパッシベーション層群17をさらに含む。一例において、パッシベーション層群17は、積層して設けられた反射防止層171及び第2パッシベーション層172を含み、第2パッシベーション層172は、半導体基板11と反射防止層171との間に設けられる。
【0080】
理解されるように、半導体基板11上に複数の第1エミッタ121及び複数の第2エミッタ122が設けられ、当該複数の第1エミッタ121及び当該複数の第2エミッタ122は第1方向Xに沿って交互に配置され、各第1エミッタ121はいずれも対応する1つの第1電極181に電気的に接続され、各第2エミッタ122はいずれも対応する1つの第2電極182に電気的に接続される。
【0081】
第2態様において、図5を参照すると、本願の実施例は、太陽電池の製造方法を提供し、当該製造方法は、第1態様における太陽電池1の製造に用いることができ、具体的には、当該製造方法は、以下のステップを含む。
【0082】
ステップS100:半導体基板11を提供する。半導体基板11は、対向して設けられた第1面及び第2面を含み、半導体基板11上に、第1方向Xに沿って間隔をおいて配置された第1領域11a及び第2領域11bが設けられる。第1方向Xは、半導体基板11の厚さ方向と垂直である。一例において、半導体基板11の材料は、シリコンであってもよい。
【0083】
理解されるように、当該ステップにおいて、デスミア液を用いて半導体基板11上の汚染物を除去することができる。一例において、デスミア液は、アルカリ溶液である。
【0084】
ステップS200:第1面上に第1導電型の第1エミッタ121を形成する。
【0085】
ステップS300:第2領域11bの第1面上に第2導電型の第2エミッタ122を形成する。第2エミッタ122と第2面との間の最小距離は、第1エミッタ121と第2面との間の最小距離よりも小さい。
【0086】
ステップS400:第1エミッタ121上にトレンチ13を形成し、トレンチ13が第1エミッタ121を、第1領域11aに位置する第1サブエミッタ1211と第2領域11bに位置する第2サブエミッタ1212とに分割する。
【0087】
理解されるように、第1導電型及び第2導電型の一方は、P型であり、他方は、N型である。本願の実施例において、第1導電型は、P型であり、第2導電型は、N型であり、半導体基板11は、N型半導体である。
【0088】
本願の実施例にて提供される太陽電池の製造方法は、第1エミッタ121を第1サブエミッタ1211と第2サブエミッタ1212とに分割するトレンチ13を設けることによって、第1サブエミッタ1211は第1領域11aに位置し、第2サブエミッタ1212及び第2エミッタ122は第2領域11bに位置し、即ち、トレンチ13は、第1領域11aのエミッタ(第1サブエミッタ1211)と第2領域11bのエミッタ(第2サブエミッタ1212と第2エミッタ122)とを隔てる。このように、一方では、第1領域11aと第2領域11bとの間に分離を提供し、キャリア再結合を効果的に低減し、それによって太陽電池1の効率を向上させることができる。他方では、第1エミッタ121と第2面との距離が第2エミッタ122と第2面との距離よりも大きい場合、即ち、第1エミッタ121の深さが第2エミッタ122の深さよりも小さい場合、従来技術では、第1エミッタ121と第2エミッタ122との間に両者を分離するためのトレンチを設け、良好な分離効果を達成するために、トレンチの深さを第2エミッタ122の深さよりも大きくする必要があるが、本願の実施例では、第1エミッタ121上にトレンチ13を設け、トレンチ13の深さを第1エミッタ121の深さよりも大きくするだけで、第1領域11aのエミッタ(第1サブエミッタ1211)と第2領域11bのエミッタ(第2サブエミッタ1212と第2エミッタ122)とを隔てることができ、それによってトレンチ13の深さを低減させるのに有利であり、さらに太陽電池1の構造的強度を向上させ、太陽電池1の破損の危険性を低減させるのに有利である。
【0089】
いくつかの実施例において、図6図7図8及び図9を参照すると、第2領域11bは、第1方向Xに沿って隣接して配置された第1サブ領域11b1及び第2サブ領域11b2を含む。ステップS200は、具体的には、以下のステップを含む。
【0090】
ステップS210:第1面上に、積層された第1トンネル材料層2、第1エミッタ材料層3及び第1ケイ素-酸素含有誘電体層19を形成し、且つ半導体基板11に第1熱処理を行う。
【0091】
例示的には、プラズマ酸化プロセス又は熱酸化プロセスを用いて第1トンネル材料層2を作製することができる。例示的には、第1エミッタ材料層3は、以下の2種類の方法によって作製できる。第1方法として、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition、プラズマ励起化学気相堆積)プロセスを用いてドーピング元素(例えばホウ素又はリン)を含む第1エミッタ材料層3を作製し、そしてPECVDプロセスを用いて第1エミッタ材料層3上に第1ケイ素-酸素含有誘電体層19を堆積する。第2方法として、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition、減圧化学気相堆積)プロセスを用いて第1エミッタ材料層3を作製し、当該第1エミッタ材料層3は、ドーピング元素(例えばホウ素又はリン)を含んでもよいし、ドーピング元素(例えばホウ素又はリン)を含まなくてもよい。
【0092】
例示的には、700℃~1100℃で第1熱処理を行うことができる。前述の第1方法を用いて第1エミッタ材料層3を作製する場合、当該第1熱処理工程は、第1エミッタ材料層3に含まれるドーピング元素(例えばホウ素又はリン)を活性化し、第1ケイ素-酸素含有誘電体層19は保護の役割を果たす。前述の第2方法を用いて第1エミッタ材料層3を作製する場合、さらに2つの場合に分けることができ、1つの場合は、第1エミッタ材料層3がドーピング元素(例えばホウ素又はリン)を含み、当該ドーピング元素が第1熱処理中に活性化され、同時に第1熱処理過程において高温酸化方式によって第1ケイ素-酸素含有誘電体層19を形成することであり、第2場合は、第1エミッタ材料層3がドーピング元素(例えばホウ素又はリン)を含まず、第1熱処理過程において第1エミッタ材料層3に外部からドーピング元素を、例えばホウ素拡散又はリン拡散によって導入する必要があり、同時に第1熱処理過程において第1ケイ素-酸素含有誘電体層19を形成することである。
【0093】
いくつかの実施例において、第1トンネル材料層2の材料は酸化シリコンであり、第1エミッタ材料層3の材料は、初期堆積後に微結晶アモルファスシリコン混合材料である。第1熱処理過程では、微結晶アモルファス混合材料がさらに結晶化し、それによってドーパントを含む結晶化シリコン材料層を形成する。なお、第1熱処理では、ドーパントが第1トンネル材料層2を通過して半導体基板11に入り、第1トンネル材料層2の下方の半導体基板11にドーパントを含む第1拡散領域111を形成する。
【0094】
ステップS220:第1サブ領域11b1の第1ケイ素-酸素含有誘電体層19、第1エミッタ材料層3及び第1トンネル材料層2を除去する。一例において、図8及び図9を参照すると、まず、レーザーを用いて第1サブ領域11b1の第1ケイ素-酸素含有誘電体層19を除去し、次に、第1エッチング溶液を用いて第1サブ領域11b1の第1エミッタ材料層3、第1トンネル材料層2及び第1拡散領域111を除去する。例示的には、第1エッチング溶液は、アルカリ性エッチング溶液であってもよい。
【0095】
いくつかの実施例において、図10図11図12及び図13を参照すると、ステップS300は、具体的には、以下のステップを含む。
【0096】
ステップS310:第1面上に、積層された第2トンネル材料層4、第2エミッタ材料層5及び第2ケイ素-酸素含有誘電体層6を形成し、且つ半導体基板11に第2熱処理を行う。
【0097】
例示的には、プラズマ酸化プロセス又は熱酸化プロセスを用いて第2トンネル材料層4を作製することができる。例示的には、第2エミッタ材料層5は、以下の2種類の方法によって作製できる。第1方法として、PECVDプロセスを用いて第2エミッタ材料層5を作製し、当該第2エミッタ材料層5にドーピング元素(第1エミッタ材料層3とは異なるタイプのドーピング元素であり、例えば第1エミッタ材料層3のドーピング元素がホウ素であれば、第2エミッタ材料層5のドーピング元素がリンであり、その逆も同様)を含み、そしてPECVDプロセスを用いて第2エミッタ材料層5上に第2ケイ素-酸素含有誘電体層6を堆積する。第2方法として、LPCVDプロセスを用いて第2エミッタ材料層5を作製し、当該第2エミッタ材料層5がドーピング元素(第1エミッタ材料層3のドーピング元素のタイプとは異なり、例えば第1エミッタ材料層3のドーピング元素がホウ素であれば、第2エミッタ材料層5のドーピング元素がリンであり、その逆も同様)を含んでもよいし、ドーピング元素(例えばホウ素又はリン)を含まなくてもよい。
【0098】
例示的には、700℃~1100℃で第2熱処理を行うことができる。前述の第1方法を用いて第2エミッタ材料層5を作製する場合、当該第2熱処理工程は、第2エミッタ材料層5に含まれるドーピング元素(例えばホウ素又はリン)を活性化し、第2ケイ素-酸素含有誘電体層6は保護の役割を果たす。前述の第2方法を用いて第2エミッタ材料層5を作製する場合、さらに2つの場合に分けることができ、1つの場合は、第2エミッタ材料層5がドーピング元素(例えばホウ素又はリン)を含み、当該ドーピング元素が第2熱処理中に活性化され、同時に、第2熱処理過程において高温酸化方式によって第2ケイ素-酸素含有誘電体層6を形成することであり、第2場合は、第2エミッタ材料層5がドーピング元素(例えばホウ素又はリン)を含まず、第2熱処理過程において第2エミッタ材料層5に外部からドーピング元素を、例えばホウ素拡散又はリン拡散によって導入する必要がある。なお、ここでのドーピング元素は第1エミッタ材料層3中のドーピング元素と異なるタイプのドーピング元素である。それと同時に、第2熱処理過程において第2ケイ素-酸素含有誘電体層6を形成する。
【0099】
いくつかの実施例において、第2トンネル材料層4の材料は酸化シリコンであり、第2エミッタ材料層5の材料は、初期堆積後に微結晶アモルファスシリコン混合材料である。第2熱処理過程では、微結晶アモルファス混合材料がさらに結晶化し、それによってドーパントを含む結晶化シリコン材料層を形成する。なお、第2熱処理では、ドーパントが第2トンネル材料層4を通過して半導体基板11に入り、第2トンネル材料層4の下方の半導体基板11にドーパントを含む第2拡散領域112を形成する。
【0100】
ステップS320:第1領域11a及び分離領域11cの第2ケイ素-酸素含有誘電体層6、第2エミッタ材料層5及び第2トンネル材料層4を除去する。ここで、第1領域11aと第2領域11bとの間の領域を分離領域11cと定義する。
【0101】
いくつかの実施例において、図12及び図13を参照すると、まず、レーザーを用いて第1領域11a及び分離領域11cの第2ケイ素-酸素含有誘電体層6を除去し、次に、第2エッチング溶液を用いて第1領域11a及び分離領域11cの第2エミッタ材料層5、第2トンネル材料層4を除去する。例示的には、第2エッチング溶液は、アルカリ性エッチング溶液であってもよい。
【0102】
いくつかの実施例において、図13及び図14を参照すると、ステップS400では、まず、レーザーを用いて第1ケイ素-酸素含有誘電体層19を除去し、それによってトレンチ13のエッチング窓を区画し、そして、研磨添加剤を含む第3エッチング溶液を用いて露出した第1エミッタ121及び第1トンネル層141を除去する。さらに、トレンチ13の直下の第1拡散領域111を除去してもよい。例示的には、第3エッチング溶液は、KOH及びTMAH(Tetramethylammonium hydroxide、水酸化テトラメチルアンモニウム)を含む。
【0103】
いくつかの実施例において、図15図16及び図17を参照すると、ステップS400の後に、さらに以下のステップを含む。
【0104】
ステップS500:半導体基板11の第2面及びトレンチ13の底壁にピラミッドテクスチャ構造を形成する。例示的には、テクスチャ化添加剤を含むアルカリ性エッチング溶液を用いて半導体基板11の第2面及びトレンチ13の底壁にピラミッドテクスチャ構造を形成する。一例において、アルカリ性エッチング溶液は、KOH及びTMAH(Tetramethylammonium hydroxide、水酸化テトラメチルアンモニウム)を含む。
【0105】
ステップS600:第1面の第1ケイ素-酸素含有誘電体層19及び第2ケイ素-酸素含有誘電体層6を除去する。なお、図16を参照すると、第2トンネル層142が第1ケイ素-酸素含有誘電体層19の一部を覆うため、当該第1ケイ素-酸素含有誘電体層19の一部は第2サブエミッタ1212の上方に残存する。例示的には、第1ケイ素-酸素含有誘電体層19及び第2ケイ素-酸素含有誘電体層6をフッ酸で除去することができる。
【0106】
ステップS700:第1面上に第1誘電体層15を形成し、第2面にパッシベーション層群17を形成する。なお、当該ステップでは、第1面に第1パッシベーション層16を形成してもよく、第1パッシベーション層16は、第1誘電体層15と半導体基板11との間に位置する。一例において、パッシベーション層群17は、反射防止層171と、第2パッシベーション層172と、を含んでもよく、第2パッシベーション層172は、反射防止層171と半導体基板11との間に位置する。
【0107】
ステップS800:第1面上に第1電極181及び第2電極182を形成する。具体的には、第1エミッタ121に対応する領域、及び第2エミッタ122に対応する領域に導電性ペーストを印刷し、そして焼結し、焼結の過程で、第1電極181は、第1誘電体層15を溶接して第1エミッタ121に接触し、第2電極182は、第1誘電体層15を溶接して第2エミッタ122に接触する。
【0108】
なお、図6図17は、太陽電池1の製造過程における局所断面構造の概略図である。当該太陽電池1の製造過程において、第2トンネル層142は、化学気相堆積プロセスによって形成され、当該第2トンネル層142は、第1ケイ素-酸素含有誘電体層19の側面及び上面を覆い、かつ、第2部分1412のトレンチ13から離れた表面を覆う。
【0109】
図18は、別の太陽電池1の製造完了後の局所断面構造の概略図である。当該太陽電池1の製造過程において、第2トンネル層142は、熱酸化プロセス又はプラズマ酸化プロセスによって作製されてなり、第2トンネル層142は、第1サブ領域11b1の半導体基板11及び第2サブエミッタ1212のトレンチ13から離れた表面を覆い、且つ第2トンネル層142は、第2部分1412のトレンチ13から離れた表面で分断されている。第1ケイ素-酸素含有誘電体層19の側面及び上面は、第2トンネル層142を覆っていない。
【0110】
本願の実施例において、方法におけるステップの少なくとも一部は、複数のステップ又は複数の段階を含んでもよく、これらのステップ又は段階は、必ずしも同じ時点で実行を完了する必要はなく、異なる時点で実行されてもよく、これらのステップ又は段階の実行順序も、必ずしも順次行われる必要はなく、他のステップ又は他のステップにおけるステップ又は段階の少なくとも一部と順番に又は交互に実行されてもよいことが理解されるべきである。
【0111】
第3態様において、本願の実施例は、第1態様における太陽電池を含む太陽光発電モジュールを提供する。
【0112】
例示的には、当該太陽光発電モジュールは、複数の太陽電池を含み、複数の太陽電池は、溶接テープによって直列に溶接され得、それによって単一の太陽電池によって生成された電気エネルギーを、後続の輸送のために集約する。具体的には、各太陽電池の第1電極は、隣接する1つの太陽電池の第2電極と溶接テープによって接続され、各太陽電池の第2電極は、隣接する他の太陽電池の第1電極と溶接テープによって接続されることにより、複数の太陽電池が直列に接続される。もちろん、太陽電池の間は、間隔をおいて配置されてもよいし、積層タイル形式を採用して積層されてもよい。
【0113】
さらに、太陽光発電モジュールは、パッケージ層及びカバープレート(図示せず)をさらに含み、パッケージ層が電池ストリングの表面を覆うために用いられ、カバープレートがパッケージ層の電池ストリングから離れた表面を覆うために用いられる。太陽電池は、全体又はマルチスライスの形式で電気的に接続されて複数の電池ストリングを形成し、複数の電池ストリングは直列及び/又は並列の方式で電気的に接続されている。具体的には、いくつかの実施例において、複数の電池ストリングの間は、導電性テープによって電気的に接続されてもよい。パッケージ層は、太陽電池の表面を覆う。例示的には、パッケージ層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体接着フィルム、ポリビニルオクテン共重合体接着フィルム、又はポリエチレンテレフタレート接着フィルムなどの有機パッケージ接着フィルムであってもよい。カバープレートは、ガラスカバープレート、プラスチックカバープレートなどの光透過機能を有するカバープレートであってもよい。
【0114】
本願の実施例にて提供される太陽光発電モジュールは、太陽電池1上に、第1エミッタ121を第1サブエミッタ1211と第2サブエミッタ1212とに分割するトレンチ13を設けることによって、第1サブエミッタ1211は第1領域11aに位置し、第2サブエミッタ1212及び第2エミッタ122は第2領域11bに位置し、即ち、トレンチ13は第1領域11aのエミッタ(第1サブエミッタ1211)と第2領域11bのエミッタ(第2サブエミッタ1212と第2エミッタ122)とを隔てる。このように、一方では、第1領域11aと第2領域11bとの間に分離を提供し、キャリア再結合を効果的に低減し、それによって太陽電池1の効率を向上させることができ、他方では、第1エミッタ121と第2面との距離が第2エミッタ122と第2面との距離よりも大きい場合、即ち、第1エミッタ121の深さが第2エミッタ122の深さよりも小さい場合、従来技術では、第1エミッタ121と第2エミッタ122との間に両者を分離するためのトレンチを設け、良好な分離効果を達成するために、トレンチの深さを第2エミッタ122の深さよりも大きくする必要があるが、本願の実施例では、第1エミッタ121上にトレンチ13を設け、トレンチ13の深さを第1エミッタ121の深さよりも大きくするだけで、第1領域11aのエミッタ(第1サブエミッタ1211)と第2領域11bのエミッタ(第2サブエミッタ1212と第2エミッタ122)とを隔てることができ、それによってトレンチ13の深さを低減させるのに有利であり、さらに太陽電池1の構造的強度を向上させ、太陽電池1の破損の危険性を低減させるのに有利である。
【0115】
第4態様において、本願の実施例は、第3態様における太陽光発電モジュールを含む太陽光発電システムを提供する。
【0116】
具体的には、太陽光発電システムは、地上発電所、屋上発電所、水面発電所などの太陽光発電所に適用することができ、ユーザ太陽光電源、太陽光街路灯、太陽光自動車、太陽光建物などの太陽光を利用して発電する設備又は装置に適用することができる。もちろん、理解されるように、太陽光発電システムの適用場面はこれらに限らない。つまり、太陽光発電システムは、太陽光発電が必要とされるあらゆる分野に適用可能である。太陽光発電システムネットワークを例にとると、太陽光発電システムは、太陽光発電アレイ、母線箱及びインバータを含み、太陽光発電アレイは、複数の太陽光発電モジュールのアレイの組み合わせであってもよく、例えば、複数の太陽光発電モジュールは、複数の太陽光発電アレイを構成し、太陽光発電アレイは、母線箱に接続され、母線箱は、太陽光発電アレイが発生する電流を集束し、集束した電流は、インバータを介して商用電力網が要求する交流電流に変換された後、商用電力網に接続されて太陽光の給電を実現する。
【0117】
本願の実施例にて提供される太陽光発電システムは、太陽電池1に、第1エミッタ121を第1サブエミッタ1211と第2サブエミッタ1212とに分割するトレンチ13を設けることによって、第1サブエミッタ1211は第1領域11aに位置し、第2サブエミッタ1212及び第2エミッタ122は第2領域11bに位置し、即ち、トレンチ13は第1領域11aのエミッタ(第1サブエミッタ1211)と第2領域11bのエミッタ(第2サブエミッタ1212と第2エミッタ122)とを隔てる。このように、一方では、第1領域11aと第2領域11bとの間に分離を提供し、キャリア再結合を効果的に低減し、それによって太陽電池1の効率を向上させることができ、他方では、第1エミッタ121と第2面との距離が第2エミッタ122と第2面との距離よりも大きい場合、即ち、第1エミッタ121の深さが第2エミッタ122の深さよりも小さい場合、関連技術では、第1エミッタ121と第2エミッタ122との間に両者を分離するためのトレンチを設け、良好な分離効果を達成するために、トレンチの深さを第2エミッタ122の深さよりも大きくする必要があるが、本願の実施例では、第1エミッタ121上にトレンチ13を設け、トレンチ13の深さを第1エミッタ121の深さよりも大きくするだけで、第1領域11aのエミッタ(第1サブエミッタ1211)と第2領域11bのエミッタ(第2サブエミッタ1212と第2エミッタ122)とを隔てることができ、それによってトレンチ13の深さを低減させるのに有利であり、さらに太陽電池1の構造的強度を向上させ、太陽電池1の破損の危険性を低減させるのに有利である。
【0118】
上記実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明の簡潔化のため、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを記載していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾が存在しない限り、本明細書に記載の範囲と考えるべきである。
【0119】
上記実施例は、本願のいくつかの実施形態のみを示し、その記述がより具体的且つ詳細であるが、それによって本願の保護範囲を制限するものと理解すべきではない。なお、当業者であれば、本願の概念から逸脱することなく、いくつかの変形及び改良を行うことができ、これらはいずれも本願の保護範囲に属する。したがって、本願の保護範囲は添付の特許請求の範囲に準じるものとする。
【符号の説明】
【0120】
1 太陽電池、11 半導体基板、11a 第1領域、11b 第2領域、11b1 第1サブ領域、11b2 第2サブ領域、11c 分離領域、111 第1拡散領域、1111 第1サブ拡散領域、1112 第2サブ拡散領域、112 第2拡散領域、121 第1エミッタ、1211 第1サブエミッタ、1212 第2サブエミッタ、122 第2エミッタ、13 トレンチ、141 第1トンネル層、1411 第1部分、1412 第2部分、142 第2トンネル層、15 第1誘電体層、16 第1パッシベーション層、17 パッシベーション層群、171 反射防止層、172 第2パッシベーション層、181 第1電極、182 第2電極、19 第1ケイ素-酸素含有誘電体層、2 第1トンネル材料層、3 第1エミッタ材料層、4 第2トンネル材料層、5 第2エミッタ材料層、6 第2ケイ素-酸素含有誘電体層。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18