(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113155
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】エンコーダ用反射型光学式スケール、反射型光学式エンコーダ、エンコーダ用反射型光学式スケールの製造方法、およびエンコーダ用反射型光学式スケール多面付け体
(51)【国際特許分類】
G01D 5/347 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
G01D5/347 110C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024093672
(22)【出願日】2024-06-10
(62)【分割の表示】P 2024518169の分割
【原出願日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】P 2022123423
(32)【優先日】2022-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】今井 剛
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外周ダレ領域が低減されたエンコーダ用反射型光学式スケールを提供する。
【解決手段】第1面、および第1面に対向する第2面を有する、円盤状の金属基材と、金属基材の第1面側に、金属基材の円周方向に沿ってパターン状に配置された低反射層と、を有する、エンコーダ用反射型光学式スケールであって、金属基材は、少なくとも上記第1面側の反射率が50%以上であり、厚さが0.05mm以上、0.60mm以下であり、金属基材は上記第1面側の外周縁にダレを有し、ダレの幅が500μm以下であり、金属基材は中心孔を備えた有孔円盤状であり、有孔円盤状の金属基材の外内径差が8mm以上、13mm以下であり、金属基材の厚さT1に対する金属基材の外周端における厚さT2の割合(T2/T1)が0.70以上、0.90以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面、および前記第1面に対向する第2面を有する、円盤状の金属基材と、
前記金属基材の前記第1面側に、前記金属基材の円周方向に沿ってパターン状に配置された低反射層と、を有する、エンコーダ用反射型光学式スケールであって、
前記金属基材は、少なくとも前記第1面側の反射率が50%以上であり、厚さが0.05mm以上、0.60mm以下であり、
前記金属基材は前記第1面側の外周縁にダレを有し、前記ダレの幅が500μm以下であり、
前記金属基材は中心孔を備えた有孔円盤状であり、
前記有孔円盤状の金属基材の外内径差が8mm以上、13mm以下であり、
前記金属基材の厚さT1に対する前記金属基材の外周端における厚さT2の割合(T2/T1)が0.70以上、0.90以下である、エンコーダ用反射型光学式スケール。
【請求項2】
前記金属基材がステンレス製基材である、請求項1に記載のエンコーダ用反射型光学式スケール。
【請求項3】
前記金属基材は前記第1面側の内周縁にダレを有し、前記ダレの幅が500μm以下である、請求項1に記載のエンコーダ用反射型光学式スケール。
【請求項4】
前記金属基材の外周面と、前記低反射層の外周面との距離D1が、500μm以上、1500μm以下である、請求項1に記載のエンコーダ用反射型光学式スケール。
【請求項5】
前記金属基材は、ダレの量が10μm以上、500μm以下である、請求項1に記載のエンコーダ用反射型光学式スケール。
【請求項6】
第1面、および前記第1面に対向する第2面を有する、円盤状の金属基材と、
前記金属基材の前記第1面側に、前記金属基材の円周方向に沿ってパターン状に配置された低反射層と、を有する、エンコーダ用反射型光学式スケールであって、
前記金属基材の外周面と、前記低反射層の外周面との距離D1が、500μm以上、1500μm以下である、エンコーダ用反射型光学式スケール。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のエンコーダ用反射型光学式スケールと、
前記エンコーダ用反射型光学式スケールの前記低反射層が配置された側の表面に、測定光を照射する光源と、
前記エンコーダ用反射型光学式スケールからの反射光を検出する光検出器と、を備えることを特徴とする反射型光学式エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンコーダ用反射型光学式スケール、反射型光学式エンコーダ、エンコーダ用反射型光学式スケールの製造方法、およびエンコーダ用反射型光学式スケール多面付け体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、制御機構を備えるサーボモータ等に光学式エンコーダが使用されている。光学式エンコーダには、透過型エンコーダと反射型エンコーダがあるが、反射型エンコーダは透過型エンコーダに比べて光路が短く、小型化、薄型化が容易であり、また、発光素子や受光素子の位置決めが不要であり組み立てが容易であるという利点を有する。
【0003】
反射型光学式エンコーダは、反射型光学式スケール、スケールに光を照射するLED等の光源、及びスケールからの反射光を検出する光検出器を含む。反射型光学式スケールは、反射領域(高反射領域)と非反射領域(低反射領域)が交互に配置され、反射領域における光の反射率は、非反射領域における光の反射率よりも高い(例えば、特許文献1)。
これにより、スケールから反射し光検出器に入射する光の強さは、スケールの位置の変化により強弱を生じる。光検出器は、スケールの位置が測長方向に移動することによって生じる光の強弱を検出する。反射型光学式エンコーダは、検出された光の強弱にしたがって、このスケールの位置の変位情報を処理し、位置情報を取得しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、反射型光学式スケールは、複数の反射型光学式スケールが並んで配置されている多面付け体を個片化することによって製造される。個片化工程においては、加工精度が良好であることから、エッチング加工によって個片化する場合が多い。しかしながら、エッチング加工による個片化は、コスト面で不利である。
【0006】
そのため、本願の発明者は、反射型光学式スケールの多面付け体を、打ち抜き加工により個片化する方法を試みた。しかしながら、打ち抜き加工により個片化されたスケールは、外周縁にダレ(以下、外周ダレともいう)が生じる。本願の発明者は、低反射層が形成されている領域である低反射領域に外周ダレが生じると、低反射層の剥がれやヒビが発生する場合があることを知見した。従って、打ち抜き加工により外周ダレが生じる領域には、予め低反射層を配置しないことを検討した。一方で、通常、エンコーダ用の光学式スケールにはエンコーダ装置に応じて所定サイズの低反射領域が求められるため、光学式スケールの外周端部に低反射層の非形成領域を設けると、実際のスケールサイズが大きくなってしまう。そこで、打ち抜き加工による外周ダレ領域が低減されたエンコーダ用反射型光学式スケールが求められている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、外周ダレ領域が低減されたエンコーダ用反射型光学式スケールを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態は、第1面、及び上記第1面に対向する第2面を有する、円盤状の金属基材と、上記金属基材の上記第1面側に、上記金属基材の円周方向に沿ってパターン状に配置された低反射層と、を有する、エンコーダ用反射型光学式スケールであって、上記金属基材は、少なくとも上記第1面側の反射率が50%以上であり、上記金属基材の厚さが0.05mm以上、0.60mm以下であり、上記金属基材は上記第1面側の外周縁にダレを有し、上記ダレの幅が500μm以下である、エンコーダ用反射型光学式スケールを提供する。
【0009】
本開示の他の一実施形態は、上述のエンコーダ用反射型光学式スケールと、上記エンコーダ用反射型光学式スケールの上記低反射層が配置された側の表面に、測定光を照射する光源と、上記エンコーダ用反射型光学式スケールからの反射光を検出する光検出器と、を備えることを特徴とする反射型光学式エンコーダを提供する。
【0010】
本開示の他の一実施形態は、第1面、及び上記第1面に対向する第2面を有し、少なくとも上記第1面側の反射率が50%以上であり、上記金属基材の厚さが0.05mm以上、0.60mm以下である被加工用金属基材、並びに上記被加工用金属基材の上記第1面側に多面付けされた、円周状に配置されたパターン状の低反射層、を有し、各々の上記低反射層の外周面よりも外側に上記エンコーダ用反射型光学式スケールの外周打ち抜き予定線が形成された多面付け体を作製する工程と、上記多面付け体を上記外周打ち抜き予定線で打ち抜いて個片化することにより、エンコーダ用反射型光学式スケールを得る個片化工程と、を有する、エンコーダ用反射型光学式スケールの製造方法を提供する。
【0011】
本開示の他の一実施形態は、第1面、及び上記第1面に対向する第2面を有し、少なくとも上記第1面の反射率が50%以上であり、上記金属基材の厚さが0.05mm以上、0.60mm以下である被加工用金属基材と、上記被加工用金属基材の上記第1面側に多面付けされた、円周状に配置されたパターン状の低反射層と、を有し、各々の上記低反射層の外周面よりも外側に上記エンコーダ用反射型光学式スケールの外周打ち抜き予定線が形成された多面付け体であって、上記エンコーダ用反射型光学式スケールの外周打ち抜き予定線と、上記低反射層の外周面との距離が、500μm以上、1500μm以下である、エンコーダ用反射型光学式スケール多面付け体を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本開示においては、外周ダレ領域が低減されたエンコーダ用反射型光学式スケールを提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示におけるエンコーダ用反射型光学式スケールを例示する概略上面図である。
【
図2】本開示におけるエンコーダ用反射型光学式スケールを例示する部分拡大断面図である。
【
図3】本開示におけるエンコーダ用反射型光学式スケールを例示する概略断面図である。
【
図4】本開示における反射型光学式エンコーダを例示する概略斜視図である。
【
図5】本開示におけるエンコーダ用反射型光学式スケール多面付け体を例示する概略上面図である。
【
図6】本開示におけるエンコーダ用反射型光学式スケールの製造方法における個片化工程で用いる打ち抜き加工装置を例示する概略断面図である。
【
図7】実験例1-1~1-6および実験例2-1~2-5の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、エンコーダ用反射型光学式スケール、反射型光学式エンコーダ、エンコーダ用反射型光学式スケールの製造方法、およびエンコーダ用反射型光学式スケール多面付け体を実施態様に含む。以下、本開示の実施態様を、図面等を参照しながら説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0015】
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」、あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含む。また、本明細書において、ある部材の面に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面側に」または「面に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含む。
【0016】
また、本明細書において、「エンコーダ用反射型光学式スケール」を単に「光学式スケール」と称する場合がある。
【0017】
以下、本開示におけるエンコーダ用反射型光学式スケール、反射型光学式エンコーダ、エンコーダ用反射型光学式スケールの製造方法、およびエンコーダ用反射型光学式スケール多面付け体について詳細に説明する。
【0018】
A.エンコーダ用反射型光学式スケール
図1は、本開示におけるエンコーダ用反射型光学式スケールの一例を示す概略上面図である。
図2(a)は、
図1の点線枠a部分のA-A拡大断面図である。
図2(b)は、
図1の点線枠b部分のB-B拡大断面図である。
【0019】
図1および
図2に示すエンコーダ用反射型光学式スケール10は、第1面1aと、第1面に対向する第2面1bとを有する、円盤状の金属基材1と、金属基材1の第1面1a側に、金属基材1の円周方向に沿ってパターン状に配置された低反射層2とを有する。本開示において、金属基材1は、少なくとも第1面1aの反射率が所定の値以上であり、金属基材1自体の厚さが所定の範囲である。さらに、金属基材1は、
図2(b)に示すように、第1面1a側の外周縁にダレPを有し、ダレPの幅Xが所定の値以下である。
図1のエンコーダ用反射型光学式スケール10は、有孔円盤状を有しており、低反射層2が設けられた領域である低反射領域R2と、低反射層2が設けられていない領域である高反射領域R1とが周方向に交互に配置されている。低反射領域R2は、エンコーダ用反射型光学式スケール10の厚さ方向において、金属基材1および低反射層2を有する。高反射領域R1は、金属基材1を有する。上記高反射領域R1における光の反射率は、上記低反射領域R2における光の反射率よりも高い。なお、上記高反射領域R1における光の反射率、および上記低反射領域R2における光の反射率は、同一の波長および同一の入射角での反射率を示すものである。
【0020】
本開示におけるエンコーダ用反射型光学式スケールは、金属基材の第1面側の外周縁にダレを有し、ダレの幅が所定の値以下である。このような金属基材の外周縁にダレを有する光学式スケールは、通常、打ち抜き加工により製造されたものである。そのため、エッチング加工により製造された光学式スケールに比べ、コスト面で有利である。また、このような金属基材の外周ダレ領域が低減された光学式スケールは、低反射層の非形成領域の幅を狭くすることができるため、スケールのサイズの拡大を抑制しつつ、低反射層の剥がれやヒビを抑制することができる。以下、本開示のエンコーダ用反射型光学式スケールについて詳細に説明する。
【0021】
1.金属基材
(1)外周ダレ
本開示における金属基材は、円盤状であり、第1面と、上記第1面に対向する第2面とを有し、第1面側の外周縁にダレを有する。さらに、本開示における金属基材のダレの幅は、500μm以下であり、450μm以下が好ましく、400μm以下がより好ましく、350μm以下が特に好ましい。ダレの幅が大きすぎると低反射層の形成領域に重複してしまい、低反射層の剥がれやヒビが生じるおそれがある。一方、本開示における金属基材のダレの幅は、例えば10μm以上であり、100μm以上であってもよく、200μm以上であってもよく、250μm以上であってもよい。ダレの幅が小さすぎるとスケールにうねりが生じてしまうおそれがある。
具体的には、本開示における金属基材のダレの幅は、例えば、10μm以上、500μm以下であり、100μm以上、450μm以下が好ましく、200μm以上、400μm以下がより好ましく、250μm以上、350μm以下が特に好ましい。
【0022】
本明細書において、ダレの幅とは、
図2(b)に示すように、金属基材1の第1面1aがダレ始める点と、金属基材1の外周面1cの延長線上との距離Xをいう。
上記ダレの幅、すなわち距離Xの測定方法としては、以下の通りである。まず、金切り鋏、シャーリング、レーザーカットなどの方法を用いて、金属基材を第1面に対して垂直方向に切断し、切断面を研磨機を用いて平面に研磨して測定サンプルを得る。測定サンプルの切断面を、切断面に対して垂直方向から顕微鏡にて観察し、金属基材1の第1面1aがダレ始める点と、金属基材1の外周面1cの延長線上との距離Xを測定する。金属基材1の第1面1aがダレ始める点とは、金属基材1の第1面の平面部分と平行ではなくなる点、具体的に、垂直方向に3μm以上離れた点とする。また、上記外周ダレの幅は、スケールの円周を30°刻み、合計12ポイントで観察および測定した平均値とする。
【0023】
本開示における金属基材のダレの量は、例えば、500μm以下であり、450μm以下が好ましく、400μm以下がより好ましく、350μm以下が特に好ましい。ダレの量が大きすぎるとスケールの強度不足による破損などのおそれがある。一方、本開示における金属基材のダレの量は、例えば、10μm以上であり、200μm以上が好ましく、250μm以上がより好ましく、300μm以上が特に好ましい。ダレの量が小さすぎるとスケールにうねりが生じてしまうおそれがある。
具体的には、本開示における金属基材のダレの量は、例えば、10μm以上、500μm以下であり、200μm以上、450μm以下が好ましく、250μm以上、400μm以下がより好ましく、300μm以上、350μm以下が特に好ましい。
【0024】
本明細書において、ダレの量とは、
図2(b)に示すように、金属基材1の外周面1cの上端(ダレと外周面1cとの境界点)と、金属基材の第1面1aの延長線との距離Yをいう。
上記ダレの量、すなわち距離Yの測定方法としては、上述したダレの幅の測定方法と同様の方法で測定サンプルを作製し、距離Yを測定する。なお、金属基材1の外周面1cの上端(ダレと外周面1cとの境界点)とは、金属基材1の外周面1cと平行ではなくなる点、具体的に、平面方向に3μm以上離れた点とする。
【0025】
また、後述する金属基材の厚さT1に対する金属基材の外周端における厚さT2の割合(T2/T1)は、例えば、0.70以上であり、0.80以上であってもよい。T2/T1が小さすぎるとスケールの強度不足による破損などのおそれがある。一方、上記割合は、例えば、0.90以下であり、0.87以下であってもよい。T2/T1が大きすぎるとスケールにうねりが生じてしまうおそれがある。
具体的には、本開示における金属基材の厚さT1に対する金属基材の外周端における厚さT2の割合(T2/T1)は、0.70以上、0.90以下が好ましく、0.80以上、0.87以下がより好ましい。
【0026】
本開示における金属基材が有孔円盤状である場合、第1面側の内周縁にダレ(以下、内周ダレともいう)を有していてもよい。内周ダレの幅および量は、上記外周ダレの幅および量と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0027】
(2)反射率
本開示における金属基材は、少なくとも第1面の反射率が50%以上であり、55%以上であってもよく、60%以上であってもよい。上記反射率は、例えば、100%以下である。
具体的には、本開示における金属基材の第1面の反射率は、例えば、50%以上、100%以下であり、55%以上、100%以下が好ましく、60%以上、100%以下がより好ましい。
【0028】
なお、ここでいう反射率とは、例えば光学式エンコーダで用いられる検出光に対する反射率であり、入射する光が500nm~1000nmの範囲内のいずれかの波長である場合に、入射角が5°~70°の範囲において、反射率が上記範囲であることがより好ましい。反射率の測定方法としては、株式会社島津製作所製 SolidSpec 3700DUVを使用し、照射ビームサイズ:約6mm×15mmを用いることができる。P偏光、S偏光とも測定を行い、和の平均をとることで、45°直線偏光を計算し、反射率を算出する。金属基材の反射率が上記範囲であれば、高反射領域での反射率と低反射領域での反射率の差が大きいため、光検出器による誤検出を防ぎ、信号の検出精度を高めることができる。
【0029】
(3)厚さ
本開示における金属基材は、厚さT1が、0.05mm以上であり、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましい。金属基材の厚さが上記範囲であれば、エンコーダ用の反射型光学式スケールとしての強度が十分となる。一方、金属基材の厚さT1は、0.60mm以下であり、0.50mm以下が好ましく、0.4mm以下がより好ましい。金属基材の厚さが上記範囲であれば、外周ダレの幅を上記範囲とすることが容易となる。なお、金属基材の厚さT1とは、ダレ領域を除いた、金属基材の平均厚さをいう。
具体的には、本開示における金属基材の厚さT1は、0.05mm以上、0.60mm以下であり、0.10mm以上、0.50mm以下が好ましく、0.30mm以上、0.40mm以下がより好ましい。
【0030】
(4)その他
上記反射率を有し、かつ、上記外周ダレ幅が得られる金属基材の材質としては、ステンレス(SUS)、銅、アルミニウム等が挙げられる。
【0031】
また、本開示における金属基材は円盤状であり、例えば、中心孔を備えた有孔円盤状であってもよいし、中心孔を備えていなくてもよい。金属基材が有孔円盤状である場合、平面視において、外径は、例えば15mm以上であり、20mm以上であってもよい。一方、外径は、例えば70mm以下であり、60mm以下であってもよい。具体的には、外径は、例えば15mm以上、70mm以下であり、20mm以上、60mm以下であってもよい。また、内径は、例えば、5mm以上、20mm以下である。また、外径と内径との差(外内径差)は、例えば、8mm以上、13mm以下である。この範囲であれば、打ち抜き加工の際に生じるスケールのうねりを抑制できる。
【0032】
2.低反射層
本開示における低反射層は、金属基材の第1面側に、金属基材の円周方向に沿ってパターン状に設けられる。本開示において、低反射層が設けられている領域である低反射領域は、波長領域500nm~1000nmの範囲内のいずれかの波長における反射率が、例えば、10%以下であり、5%以下であってもよく、1%以下であってもよい。一方、低反射領域の上記反射率は、例えば、0%以上である。具体的には、本開示における低反射領域の上記反射率は、例えば、0%以上、10%以下であり、0%以上、5%以下が好ましく、0%以上、1%以下がより好ましい。
【0033】
本開示のエンコーダ用反射型光学式スケールは、金属基材の外周面から、500μm内側までの領域に、低反射層を有さないことが好ましい。本開示のエンコーダ用反射型光学式スケールにおける金属基材は外周ダレを有し、ダレの幅が500μm以下である。金属基材の外周面から、500μm内側までの領域に、低反射層を有さないことにより、低反射層の剥がれやヒビを抑制することができる。
【0034】
具体的には、
図2(b)に示すように、金属基材1の外周面1cと、低反射層2の外周面2cとの距離D1は、500μm以上が好ましく、550μm以上がより好ましく、600μm以上が特に好ましい。距離D1が上記範囲であれば、低反射層の剥がれやヒビを容易に抑制することができる。一方、上記距離D1は、例えば、1500μm以下であり、1000μm以下が好ましく、900μm以下がより好ましい。上記距離D1が、上記範囲であれば、エンコーダ用反射型光学式スケールのサイズの拡大を抑制することができる。
具体的には、上記距離D1は、例えば500μm以上、1500μm以下であり、550μm以上、1000μm以下が好ましく、600μm以上、900μm以下がより好ましい。
【0035】
なお、上記距離D1の値は、第1面、および上記第1面に対向する第2面を有する、円盤状の金属基材と、上記金属基材の上記第1面側に、上記金属基材の円周方向に沿ってパターン状に配置された低反射層と、を有する、エンコーダ用反射型光学式スケールにおいても、適用されるものである。
【0036】
本開示における低反射層は、金属基材の第1面側に、金属基材の円周方向に沿ってパターン状に設けられる。低反射層としては、低反射層が設けられている領域である低反射領域に入射する光の反射率が、高反射領域に入射する光の反射率よりも小さければ、その構成は特に限定されない。
【0037】
本開示においては、金属基材側から、金属クロム膜と、金属クロム膜上に順不同に形成された酸化クロム膜及び窒化クロム膜との3層構造を有することが好ましい。このような低反射層であれば、波長領域500nm~1000nmの範囲内のいずれかの波長において、低反射領域に入射する光の反射率が、10%以下、好ましくは5%以下、更には1%以下まで下げることができる。一方、低反射領域の上記反射率は、例えば、0%以上である。具体的には、本開示における上記低反射領域の反射率は、例えば、0%以上、10%以下であり、0%以上、5%以下が好ましく、0%以上、1%以下がより好ましい。
【0038】
なお、上記低反射領域の反射率は、入射角5°~70°の範囲内のいずれかの角度において、上記範囲を満たすことが好ましい。そのため、高反射領域での反射率と低反射領域での反射率との差を大きくすることができる。また、金属クロムのみを準備すれば、反応性スパッタ等を利用することにより、容易に酸化クロム膜及び窒化クロム膜を形成することができる。更に、高精細のパターニングも酸化ケイ素膜と比較して容易に行うことができる。
【0039】
本明細書において、「金属クロム膜上に順不同に形成された、酸化クロム膜及び窒化クロム膜」とは、金属クロム膜、酸化クロム膜、および窒化クロム膜の順で形成されていてもよいし、金属クロム膜、窒化クロム膜、および酸化クロム膜の順で形成されていてもよいことを意味する。
【0040】
例えば、
図3(a)に示すエンコーダ用反射型光学式スケール10の低反射層2は、金属基材1側から、金属クロム膜2cと、上記金属クロム膜2c上に形成された窒化クロム膜2bと、窒化クロム膜2b上に形成された酸化クロム膜2aと、を有する。一方、
図3(b)に示すエンコーダ用反射型光学式スケール10の低反射層2は、金属基材1側から、金属クロム膜2cと、上記金属クロム膜2c上に形成された酸化クロム膜2aと、酸化クロム膜2a上に形成された窒化クロム膜2bと、を有する。
【0041】
低反射領域の最表面は、低反射層の酸化クロム膜又は窒化クロム膜の表面であることが好ましく、特に、酸化クロム膜の表面であることが好ましい。より効果的に、低反射領域での反射率を低減できるからである。
【0042】
以下、「金属クロム膜、窒化クロム膜、酸化クロム膜がこの順に配置された低反射層」を第一仕様の低反射層、「金属クロム膜、酸化クロム膜、窒化クロム膜がこの順に配置された低反射層」を第二仕様の低反射層と称する。
【0043】
(1)第一仕様の低反射層
本仕様の低反射層は、基材側から、金属クロム膜、窒化クロム膜、酸化クロム膜がこの順に配置されている。本仕様の低反射層を有する低反射領域は、光源から照射された光の波長領域500nm~1000nmの範囲内のいずれかの波長における反射率を5%以下、特に0.5%以下まで下げることができるとともに、波長変化に対する反射率変化が緩やかであり、反射率の制御が容易となる。具体的には、上記反射率を0%以上、5%以下に、特に、0%以上、0.5%以下に下げることができる。以下、各層について詳細に説明する。
【0044】
(a)金属クロム膜
本仕様においては、金属クロム膜は金属基材上に設けられている。金属クロム膜は、金属クロムからなる層である。金属クロム膜は、実質的に光源から照射された光を透過しない層であり、透過率が0.0%以上1.0%以下であることが好ましい。透過率は、(株)島津製作所製の分光光度計(MPC-3100)等を用いて測定することができる。膜厚は、例えば、40nm以上、好ましくは、70nm以上である。
【0045】
ここで、各部材の「厚み」とは、一般的な測定方法によって得られる厚みをいう。厚みの測定方法としては、例えば、触針で表面をなぞり凹凸を検出することによって厚みを算出する触針式の方法や、分光反射スペクトルに基づいて厚みを算出する光学式の方法等が挙げられる。具体的には、ケーエルエー・テンコール株式会社製の触針式膜厚計P-15を用いて厚みを測定することができる。なお、厚みとして、対象となる部材の複数箇所における厚み測定結果の平均値が用いられてもよい。
【0046】
金属クロム膜の形成方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD)が用いられる。
【0047】
(b)窒化クロム膜
本仕様における窒化クロム膜は、金属クロム膜と酸化クロム膜との間に配置されている。窒化クロム膜は、酸化窒化クロムや酸化窒化炭化クロム等とは異なり、その主成分がクロム及び窒素であり、クロム及び窒素以外の不純物を実質的に含有しない。
【0048】
窒化クロム(CrNx)膜のCrとNとの原子比率を表すxとしては、0.4以上1.1以下であることが好ましい。
【0049】
また、窒化クロム膜は、膜全体を100原子%として、クロム及び窒素の割合が80%以上100%以下の範囲内、中でも、90%以上100%以下の範囲内の純度が好ましい。不純物としては、例えば、水素、酸素、炭素等が含まれていても良い。
【0050】
窒化クロム膜の膜厚(TN)は、好ましくは5nm以上100nm以下の範囲内、特に10nm以上80nm以下の範囲内であることが好ましい。また、後述する酸化クロム膜の膜厚(TO)との関係において、波長が850nmの場合には、TNとTOとの合計が40nm以上、波長が550nmの場合には、TNとTOとの合計が20nm以上であることが好ましい。このような膜厚範囲であれば、上記範囲外である場合に比べ、低反射領域における反射率を容易に、10%以下、特には5%以下と低くすることができる。更には、窒化クロム膜の膜厚(TN)は、緑色から赤外(500nm以上1000nm以下程度)領域全域における反射率を低減することが容易となるため、10nm以上80nm以下の範囲内が好ましい。
【0051】
窒化クロムの形成方法としては、例えば反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD)が用いられる。反応性スパッタ法の利用に際しては、アルゴン(Ar)ガス中に窒素を導入し、Crターゲットを用いた反応性スパッタリング法にて窒化クロム膜を成膜することができる。この際、窒化クロム膜の組成の制御は、Arガス、窒素ガスの割合を制御することにより行うことができる。
【0052】
(c)酸化クロム膜
酸化クロム膜は、窒化クロム膜上に形成されており、その主成分がクロム及び酸素であり、酸化窒化クロムや酸化窒化炭化クロム等とは異なり、クロム及び酸素以外の不純物を実質的に含有しない。
【0053】
酸化クロム(CrOy)膜のCrとOとの原子比率を表すyとしては、1.4以上2.1以下であることが好ましい。
【0054】
具体的には、酸化クロム膜は、膜全体を100原子%として、クロム及び酸素の割合が80~100%の範囲内、中でも、90%以上100%以下の範囲内の純度が好ましい。不純物として、水素、窒素、炭素等が含まれていても良い。
【0055】
酸化クロム膜の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは5nm以上100nm以下の範囲内、特に10nm以上80nm以下の範囲内であることが好ましい。また、酸化クロムの膜厚(TO)は、窒化クロム膜の膜厚(TN)との合計膜厚が上記「(1)第一仕様の低反射層 (b)窒化クロム膜」で記載した範囲となることが好ましい。更には、酸化クロム膜の膜厚(TO)は、緑色~赤外(500以上1000nm以下程度)領域全域における反射率を低減することが容易となるため、10nm以上65nm以下の範囲内が好ましい。
【0056】
酸化クロムの形成方法としては、例えば反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD)が用いられる。反応性スパッタ法の利用に際しては、アルゴン(Ar)ガス中に酸素を導入し、Crターゲットを用いた反応性スパッタリング法にて酸化クロム膜を成膜することができる。この際、酸化クロム膜の組成の制御は、Arガス、酸素ガスの割合を制御することにより行うことができる。
【0057】
(2)第二仕様の低反射層
本仕様の低反射層は、金属基材側から、金属クロム膜、酸化クロム膜、窒化クロム膜がこの順に配置されている。本仕様の低反射層を有する低反射領域は、光源から照射された光の波長領域500nm以上1000nm以下の範囲内のいずれかの波長における反射率を5%以下、特に1%以下まで下げることができる。具体的には、上記反射率を0%以上、5%以下に、特に、0%以上、1%以下に下げることができる。以下、各層について詳細に説明する。
【0058】
(a)金属クロム膜
本仕様における金属クロム膜は、基材上に形成されている。金属クロム膜の詳細は上述した「(1)第一仕様の低反射層 (a)金属クロム膜」と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0059】
(b)酸化クロム膜
本仕様における酸化クロム膜は、金属クロム膜と窒化クロム膜との間に配置されている。膜厚は、特に限定されないが、例えば、好ましくは5nm~60nm、特に10nm~50nmの範囲内であることが好ましい。さらに、後述する窒化クロム膜の膜厚との関係を満たすことが好ましい。より確実に、低反射領域の波長領域500nm~1000nmの範囲内のいずれかの波長における反射率を10%以下、特には5%以下と低くすることができるからである。
【0060】
更には、酸化クロム膜の膜厚(TO)は、緑色~赤外(500~1000nm程度)領域全域における反射率を低減することが容易となるため、5nm~35nmの範囲内が好ましい。
【0061】
その他の酸化クロム膜の物性、組成及び形成方法の詳細は、上述した「(1)第一仕様の低反射層 (c)酸化クロム膜」と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0062】
(c)窒化クロム膜
本仕様の窒化クロム膜は、酸化クロム膜上に形成されている。本仕様の窒化クロム膜の膜厚は特に限定されないが、例えば、好ましくは5nm以上100nm以下の範囲内、特に10nm以上80nm以下の範囲内であることが好ましい。更に、酸化クロム膜の膜厚(TO)との関係において、波長が850nmの場合には、TNとTOとの合計が30nm以上、波長が550nmの場合には、TNとTOとの合計が15nm以上であることが好ましい。更には、本仕様の窒化クロム膜の膜厚(TN)は、緑色から赤外(500nm以上1000nm以下程度)領域全域における反射率を低減することが容易となるため、10nm以上、60nm以下の範囲内が好ましい。
【0063】
本開示における低反射層の形成方法は特に限定されないが、選択エッチングやリフトオフによって製造することができる。具体的には、金属基材上に、例えば、スパッタ法等により、金属クロム膜を形成し、その後、窒化クロム膜及び酸化クロム膜を形成する。次に、金属クロム膜、窒化クロム膜及び酸化クロム膜をフォトリソグラフィ及びエッチングによってパターニングすることで、パターン状の低反射層を製造することができる。
【0064】
また、別の方法としては、金属基材上にレジストパターンを形成し、スパッタリング法等の公知の真空製膜法を用いて、金属クロム膜、窒化クロム膜及び酸化クロム膜を形成する。その後、レジストパターンを除去することでレジストパターン直上に形成された金属クロム膜、窒化クロム膜、酸化クロム膜をリフトオフし、窒化クロム膜及び酸化クロム膜のパターンを得る方法によっても形成することができる。
【0065】
本開示における低反射領域は、波長領域500nm以上、1000nm以下の範囲内のいずれかの波長における反射率が、例えば、10%以下であり、5%以下であってもよく、1%以下であってもよい。
具体的には、本開示における低反射領域の上記反射率は、例えば、0%以上、10%以下であり、0%以上、5%以下が好ましく、0%以上、1%以下がより好ましい。なお、低反射領域の反射率は、入射角5°以上70°以下の範囲内のいずれかの角度において、上記範囲を満たすことが好ましい。低反射領域の最表面は、低反射層の酸化クロム膜又は窒化クロム膜の表面であることが好ましく、特に、酸化クロム膜の表面であることが好ましい。より効果的に、低反射領域での反射率を低減することができるからである。
【0066】
3.他の層構成
本開示におけるエンコーダ用反射型光学式スケールは、上記金属基材および上記低反射層以外に、他の層を有していてもよい。例えば、本開示におけるエンコーダ用反射型光学式スケールは、金属基材と低反射層との間に保護層を有していてもよい。
【0067】
保護層は、透明性を有し、また、金属基材を保護する機能を有することが好ましい。保護層を設けることにより、低反射層をパターン状に形成する際のエッチング時に、金属基材の表面が荒れて表面粗さが大きくなる恐れがない。そのため、光の乱反射を抑制することができる。保護層は、平面視において、金属基材の全域に設けられていてもよいし、一部領域に設けられていてもよい。
【0068】
保護層の材料としては、透明性を有し、高反射層を保護することができる材料であれば特に限定されず、有機材料、無機材料のいずれであってもよい。
【0069】
有機材料は、樹脂を含むことが好ましい。保護層に用いられる樹脂としては、透明性を有する保護層を得ることができる樹脂であれば特に限定されず、例えば、紫外線や電子線等の電離放射線の照射により硬化する電離放射線硬化性樹脂、加熱により硬化する熱硬化性樹脂等が挙げられる。具体的には、ノボラック系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂が好ましい。ノボラック系樹脂としては、中でもフェノールノボラック樹脂が好ましい。電気特性に優れ、帯電による不具合を抑制することができるためである。アクリル系樹脂としては、中でもペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレートなどの三官能以上のアクリレートが好ましい。光硬化性を高めることができるためである。エポキシ系樹脂としては、フルオレン構造を有するエポキシアクリレート樹脂が好ましい。耐熱性、密着性、耐薬品性が向上するためである。エポキシ系樹脂としては、カルドエポキシ樹脂も好ましい。優れた透明性、耐熱性、表面硬度、平坦性を付与できるためである。有機材料は、樹脂の他に、重合開始剤や各種添加剤等が含まれていてもよい。
【0070】
無機材料としては、無機化合物が挙げられる。無機化合物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、チタン、ホウ素、イットリウム、ジルコニウム、セリウム、亜鉛等の金属元素または非金属元素の酸化物、酸化窒化物、窒化物、酸化炭化物、酸化炭化窒化物等が挙げられる。特に、二酸化ケイ素(SiO2)が好ましい。無機化合物は、単独で用いてもよいし、上述の材料を任意の割合で混合して用いてもよい。
【0071】
4.エンコーダ用反射型光学式スケール
本開示のエンコーダ用反射型光学式スケールは、通常、ロータリーエンコーダ用の光学式スケールとして用いられる。エンコーダ用反射型光学式スケールは円盤状であり、例えば、中心孔を備えた有孔円盤状であってもよく、中心孔を備えていなくてもよい。本開示のエンコーダ用反射型光学式スケールが有孔円盤状である場合、平面視において、外径は、例えば15mm以上であり、20mm以上であってもよい。一方、外径は、例えば70mm以下であり、60mm以下であってもよい。具体的には、外径は、例えば15mm以上、70mm以下であり、20mm以上、60mm以下であってもよい。また、内径は、例えば、5mm以上20mm以下である。また、外径と内径との差(外内径差)は、例えば、8mm以上、13mm以下である。この範囲であれば、打ち抜き加工の際に生じるスケールのうねりを抑制できる。
【0072】
また、本開示のエンコーダ用反射型光学式スケールは、後述する「C.エンコーダ用反射型光学式スケールの製造方法」により製造することができる。
【0073】
B.反射型光学式エンコーダ
本開示においては、上述したエンコーダ用反射型光学式スケールと、上記エンコーダ用反射型光学式スケールの上記低反射層が配置された側の表面に、測定光を照射する光源と、上記エンコーダ用反射型光学式スケールからの反射光を検出する光検出器と、を備えることを特徴とする反射型光学式エンコーダを提供する。
【0074】
図4は本開示におけるエンコーダ用反射型光学式スケールを備える反射型光学式エンコーダの一例を示す概略斜視図である。本開示における反射型光学式エンコーダ100は、エンコーダ用反射型光学式スケール10を含み、更に、光源21と、光検出器22とを含む。
図4においては、固定スリット23が光検出器22とエンコーダ用反射型光学式スケール10との間に配置されている。本開示のエンコーダは、上述した外周ダレが低減されたエンコーダ用反射型光学式スケールを有するため、上述した理由により、コスト面で有利であり、また、低反射層の剥がれやヒビを抑制することができるため、良好なエンコーダ特性を有する。
【0075】
1.エンコーダ用反射型光学式スケール
エンコーダ用反射型光学式スケールとしては、上述した「A.エンコーダ用反射型光学式スケール」で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0076】
2.光源
光源としては、例えばLED(発光ダイオード)やレーザー等である。光源から照射される光の波長λは、例えば、緑色から赤外(500nm以上1000nm以下程度)領域である。光学式スケール10に対する光の入射角度は、例えば、5°以上70°以下である。
【0077】
3.光検出器
光検出器は、光学式スケールで反射された光を検出する。光検出器は、例えば、フォトダイオードや撮像素子などの受光素子(例えば、光電変換素子)を含む。
【0078】
4.その他
本開示における反射型光学式エンコーダは、光検出器とエンコーダ用反射型光学式スケールとの間に固定スリットを含んでもよい。固定スリットを設けることで、光検出器が受光する光量の変化が大きくなり、検出感度を向上させることができる。固定スリットは、光源とエンコーダ用反射型光学式スケールとの間に設けてもよい。
【0079】
C.エンコーダ用反射型光学式スケールの製造方法
本開示においては、第1面、及び上記第1面に対向する第2面を有し、少なくとも上記第1面の反射率が50%以上であり、厚さが0.05mm以上、0.60mm以下である被加工用金属基材、並びに上記被加工用金属基材の上記第1面側に多面付けされた、円周状に配置されたパターン状の低反射層、を有し、各々の上記低反射層の外周面よりも外側に上記エンコーダ用反射型光学式スケールの外周打ち抜き予定線が形成された多面付け体を作製する工程と、上記多面付け体を上記外周打ち抜き予定線で打ち抜いて個片化することにより、エンコーダ用反射型光学式スケールを得る個片化工程と、を有する、エンコーダ用反射型光学式スケールの製造方法を提供する。
【0080】
図5は、上記多面付け体作製工程において作製する多面付け体50の概略上面図である。本開示における多面付け体50は、少なくとも第1面の反射率が所定の値以上であり、厚さが所定の範囲である被加工用金属基材51と、被加工用金属基材51の第1面側に多面付けされた、円周状に配置されたパターン状の低反射層2とを有する。本開示における多面付け体50は、各々の低反射層2の外側にエンコーダ用反射型光学式スケールの外周打ち抜き予定線Lが形成されている。個片化工程において外周打ち抜き予定線Lで打ち抜いて個片化することにより、エンコーダ用反射型光学式スケールが得られる。
【0081】
1.多面付け体作製工程
本工程では、少なくとも第1面の反射率が50%以上であり、厚さが0.05mm以上、0.60mm以下である被加工用金属基材と、被加工用金属基材の第1面側に多面付けされた、円周状に配置されたパターン状の低反射層と、を有し、各々の低反射層の外周面よりも外側にエンコーダ用反射型光学式スケールの外周打ち抜き予定線が形成された多面付け体を作製する。
【0082】
被加工用金属基材の第1面の反射率および厚さとしては、上記金属基材の第1面の反射率および厚さと同様である。被加工用金属基材の平面視における大きさは、パターン状の低反射層が多面付け可能な大きさであれば、特に限定されない。
【0083】
低反射層としては、上記「A.エンコーダ用反射型光学式スケール」に記載した低反射層と同様である。また、被加工用金属基材の第1面側に、パターン状の低反射層を多面付けする方法としては、上記「A.エンコーダ用反射型光学式スケール」に記載した低反射層の形成方法と同様である。
【0084】
本開示における多面付け体は、
図5に示すように、各々の低反射層2の外周面よりも外側にエンコーダ用反射型光学式スケールの外周打ち抜き予定線Lが形成されている。エンコーダ用反射型光学式スケールの外周打ち抜き予定線Lと、低反射層2の外周面との距離D2は、500μm以上が好ましく、550μm以上がより好ましく、600μm以上が特に好ましい。上記距離D2が、上記範囲であれば、打ち抜き加工時に低反射層が形成されている領域に外周ダレが生じにくいため、低反射層の剥がれやヒビを抑制することができる。一方、距離D2は、例えば1500μm以下であり、1000μm以下が好ましく、900μm以下がより好ましい。上記距離D2が、上記範囲であれば、エンコーダ用反射型光学式スケールのサイズの拡大を抑制することができる。具体的には、距離D2は、例えば500μm以上、1500μm以下であり、550μm以上、1000μm以下が好ましく、600μm以上、900μm以下がより好ましい。
【0085】
なお、有孔円盤状のエンコーダ用反射型光学式スケールを製造するための多面付け体には、エンコーダ用反射型光学式スケールの中心孔を打ち抜くための内周打ち抜き予定線が形成されていてもよい。
【0086】
2.個片化工程
本工程においては、上記多面付け体作製工程で作製した多面付け体を、上記外周打ち抜き予定線で打ち抜いて個片化することにより、エンコーダ用反射型光学式スケールを得る。
【0087】
図6は、本開示におけるエンコーダ用反射型光学式スケールの製造方法における個片化工程で用いる打ち抜き加工装置の一例を示す概略図である。
図6(a)および
図6(b)に示すように、多面付けされた多面付け体50を下刃61を有する下ステージ62上に載置し、下ステージ62を上方向に、上刃64を有する上ステージ63を下方向に動かし、押し込むことによって、多面付け体50を打ち抜き、個々のエンコーダ用反射型光学式スケール10を得ることができる。この際、外周打ち込み予定線および内周打ち込み予定線に、上刃の位置を合わせる。また、上刃64の対向となる位置に、金属基材の押さえ部材65を配置することが好ましい。押さえ部材65により、打ち抜き加工時に上刃64とセットで金属基材を挟み込み、バリ、ダレの少ない打ち抜き加工を行う事ができる。
【0088】
本開示においては、本工程におけるクリアランスの幅を、例えば0.020mm以下、好ましくは0.017mm以下、より好ましくは0.015mm以下とすることにより、エンコーダ用反射型光学式スケールの上記外周ダレの幅を上記範囲とすることが容易となる。一方、クリアランスの幅は、例えば0.003mm以上であり、0.004mm以上が好ましく、0.006mm以上がより好ましい。クリアランスの幅が上記範囲であることにより、打ち抜き装置の刃への負担を低減することができる。なお、クリアランスの幅とは、
図6(b)に示すように、上刃64の端面と下刃61の端面との幅方向の距離Cをいう。具体的には、クリアランスの幅は、例えば0.003mm以上、0.020mm以下であり、0.004mm以上、0.017mm以下が好ましく、0.006mm以上、0.015mm以下がより好ましい。
【0089】
本工程で得られるエンコーダ用反射型光学式スケールは、上記「A.エンコーダ用反射型光学式スケール」に記載したエンコーダ用反射型光学式スケールの内容と同様である。
【0090】
D.エンコーダ用反射型光学式スケール多面付け体
本開示においては、第1面と、上記第1面に対向する第2面とを有し、少なくとも上記第1面の反射率が50%以上であり、厚さが0.05mm以上、0.60mm以下である被加工用金属基材と、上記被加工用金属基材の上記第1面側に多面付けされた、円周状に配置されたパターン状の低反射層と、を有し、各々の上記低反射層の外周面よりも外側に上記エンコーダ用反射型光学式スケールの外周打ち抜き予定線が形成された多面付け体であって、上記エンコーダ用反射型光学式スケールの外周打ち抜き予定線と、上記低反射層の外周面との距離が、500μm以上、1500μm以下である、エンコーダ用反射型光学式スケール多面付け体を提供する。
【0091】
本開示のエンコーダ用反射型光学式スケール多面付け体によれば、エンコーダ用反射型光学式スケールの外周打ち抜き予定線と、上記低反射層の外周面との距離が、所定の範囲であることにより、打ち抜き加工時に生じる外周ダレが低反射層が形成されている領域にまで生じにくくなるため、低反射層の剥がれやヒビを抑制することができる。また、エンコーダ用反射型光学式スケールのサイズの拡大を抑制することができる。
【0092】
本開示のエンコーダ用反射型光学式スケール多面付け体は、上記「C.エンコーダ用反射型光学式スケールの製造方法」に記載した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0093】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
【実施例0094】
以下、実験例を示し、本開示をさらに説明する。
【0095】
(実験例1-1)
厚さ0.3mmの被加工用SUS製基材を準備した。
図6に示す打ち抜き加工用装置を用い、被加工用SUS製基材に打ち抜き加工を施し、外径23.5mm、内径15.0mmの有孔円盤状のSUS製基材を得た。この際、クリアランスの幅Cを0.004mmとした。得られた有孔円盤状のSUS製基材の外周ダレの幅を測定した。結果を
図7(a)に示す。
【0096】
(実験例1-2)
また、クリアランスの幅を0.015mmに変更した以外は、実験例1-1と同様に、有孔円盤状のSUS製基材を得た。得られた有孔円盤状のSUS製基材の外周ダレの幅を測定した。結果を
図7(a)に示す。
【0097】
(実験例1-3)
被加工用SUS製基材の厚さを0.4mmに変更した以外は、実験例1-1と同様に、有孔円盤状のSUS製基材を得た。得られた有孔円盤状のSUS製基材の外周ダレの幅を測定した。結果を
図7(a)に示す。
【0098】
(実験例1-4)
被加工用SUS製基材の厚さを0.4mm、クリアランスの幅を0.009mmに変更した以外は、実験例1-1と同様に、有孔円盤状のSUS製基材を得た。得られた有孔円盤状のSUS製基材の外周ダレの幅を測定した。結果を
図7(a)に示す。
【0099】
(実験例1-5)
被加工用SUS製基材の厚さを0.4mm、クリアランスの幅を0.012mmに変更した以外は、実験例1と同様に、有孔円盤状のSUS製基材を得た。得られた有孔円盤状のSUS製基材の外周ダレの幅を測定した。結果を
図7(a)に示す。
【0100】
(実験例1-6)
被加工用SUS製基材の厚さを0.4mm、クリアランスの幅を0.015mmに変更した以外は、実験例1と同様に、有孔円盤状のSUS製基材を得た。得られた有孔円盤状のSUS製基材の外周ダレの幅を測定した。結果を
図7(a)に示す。
【0101】
図7(a)の結果から、外周ダレの幅は、クリアランスの幅によって変化しないことが確認された。一方、実験例1-1~実験例1-2と、実験例1-3~実験例1-6とを比較すると、金属基材の厚さが厚いほど、外周ダレの幅が大きいことが確認された。
【0102】
(実験例2-1)
厚さ0.3mmの被加工用SUS製基材を準備した。
図6に示す打ち抜き加工用装置を用い、被加工用SUS製基材に打ち抜き加工を施し、外径23.5mm、内径15.0mm、外内径差8.5mmの有孔円盤状のSUS製基材を得た。得られた有孔円盤状のSUS製基材の外周ダレの幅を測定した。結果を
図7(b)に示す。
【0103】
(実験例2-2)
実験例2-1と同様の方法で、外径21.96mm、内径9.16mm、外内径差12.8mmの有孔円盤状のSUS製基材を得た。得られた有孔円盤状のSUS製基材の外周ダレの幅を測定した。結果を
図7(b)に示す。
【0104】
(実験例2-3)
被加工用SUS製基材の厚さを0.4mmとした以外は、実験例2-1と同様の方法で、外径23.5mm、内径15.0mm、外内径差8.5mmの有孔円盤状のSUS製基材を得た。得られたSUS製基材の外周ダレの幅を測定した。結果を
図7(b)に示す。
【0105】
(実験例2-4)
被加工用SUS製基材の厚さを0.4mmとした以外は、実験例2-1と同様の方法で、外径25.3mm、内径13.8mm、外内径差11.5mmの有孔円盤状のSUS製基材を得た。得られたSUS製基材の外周ダレの幅を測定した。結果を
図7(b)に示す。
【0106】
(実験例2-5)
被加工用SUS製基材の厚さを0.4mmとした以外は、実験例2-1と同様の方法で、外径21.96mm、内径9.16mm、外内径差12.8mmの有孔円盤状のSUS製基材を得た。得られたSUS製基材の外周ダレの幅を測定した。結果を
図7(b)に示す。
【0107】
上記
図7(b)の結果から、外周ダレは、SUS製基材の外内径差によらないことが確認された。一方、金属基材の厚さが厚いほど、外周ダレが大きいことが確認された。
【0108】
すなわち、本開示においては、以下の発明を提供できる。
[1]
第1面と、上記第1面に対向する第2面とを有する、円盤状の金属基材と、上記金属基材の上記第1面側に、上記金属基材の円周方向に沿ってパターン状に配置された低反射層と、を有する、エンコーダ用反射型光学式スケールであって、上記金属基材は、少なくとも上記第1面の反射率が50%以上であり、厚さが0.05mm以上、0.60mm以下であり、上記金属基材は上記第1面側の外周縁にダレを有し、上記ダレの幅が500μm以下である、エンコーダ用反射型光学式スケール。
【0109】
[2]
上記金属基材がSUS製基材である、[1]に記載のエンコーダ用反射型光学式スケール。
【0110】
[3]
前記金属基材は中心孔を備えた有孔円盤状である、[1]または[2]に記載のエンコーダ用反射型光学式スケール。
【0111】
[4]
前記金属基材は前記第1面側の内周縁にダレを有し、前記ダレの幅が500μm以下である、[3]に記載のエンコーダ用反射型光学式スケール。
【0112】
[5]
前記有孔円盤状の金属基材の外内径差が8mm以上、13mm以下である、[3]または[4]に記載のエンコーダ用反射型光学式スケール。
【0113】
[6]
前記金属基材の厚さT1に対する前記金属基材の外周端における厚さT2の割合(T2/T1)が0.70以上、0.90以下である、[1]から[5]までのいずれかに記載のエンコーダ用反射型光学式スケール。
【0114】
[7]
前記金属基材の外周面と、前記低反射層の外周面との距離D1が、500μm以上、1500μm以下である、[1]から[6]までのいずれかに記載のエンコーダ用反射型光学式スケール。
【0115】
[8]
前記金属基材は、ダレの量が10μm以上、500μm以下である、[1]から[7]までのいずれかに記載のエンコーダ用反射型光学式スケール。
【0116】
[9]
第1面、および前記第1面に対向する第2面を有する、円盤状の金属基材と、
前記金属基材の前記第1面側に、前記金属基材の円周方向に沿ってパターン状に配置された低反射層と、を有する、エンコーダ用反射型光学式スケールであって、前記金属基材の外周面と、前記低反射層の外周面との距離D1が、500μm以上、1500μm以下である、エンコーダ用反射型光学式スケール。
【0117】
[10]
[1]から[9]までのいずれかに記載のエンコーダ用反射型光学式スケールと、上記エンコーダ用反射型光学式スケールの上記低反射層が配置された側の表面に、測定光を照射する光源と、上記エンコーダ用反射型光学式スケールからの反射光を検出する光検出器と、を備えることを特徴とする反射型光学式エンコーダ。
【0118】
[11]
第1面と、上記第1面に対向する第2面とを有し、少なくとも上記第1面の反射率が50%以上であり、厚さが0.05mm以上、0.60mm以下である被加工用金属基材と、上記被加工用金属基材の上記第1面側に多面付けされた、円周状に配置されたパターン状の低反射層と、を有し、上記低反射層の外周面よりも外側に上記エンコーダ用反射型光学式スケールの外周打ち抜き予定線が形成された多面付け体を作製する工程と、上記多面付け体を上記外周打ち抜き予定線で打ち抜いて個片化することにより、エンコーダ用反射型光学式スケールを得る個片化工程と、を有する、エンコーダ用反射型光学式スケールの製造方法。
【0119】
[12]
第1面と、上記第1面に対向する第2面とを有し、少なくとも上記第1面の反射率が50%以上であり、厚さが0.05mm以上、0.60mm以下である被加工用金属基材と、上記被加工用金属基材の上記第1面側に多面付けされた、円周状に配置されたパターン状の低反射層と、を有し、上記低反射層の外周面よりも外側に上記エンコーダ用反射型光学式スケールの外周打ち抜き予定線が形成された多面付け体であって、上記エンコーダ用反射型光学式スケールの外周打ち抜き予定線と、上記低反射層の外周面との距離が、500μm以上、1500μm以下である、エンコーダ用反射型光学式スケール多面付け体。