(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113215
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】物品排出玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 17/44 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
A63H17/44
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018024
(22)【出願日】2023-02-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓哉
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA12
2C150CA06
2C150CA08
(57)【要約】
【課題】複数の載置部に収容された物品(自動車玩具に限定されない)を1つのスロープから排出することができる比較的簡素な構造の物品排出玩具を提供すること。
【手段】 物品排出面からの高さが互いに異なる場所に配置され、物品の留置及び留置解除が可能に構成され、留置解除した前記物品を送り出す複数の載置部と、複数の載置部の配置場所に対応する箇所を移動可能な可動支持部と、が設けられた玩具本体と、可動支持部に上端部が回動可能に取り付けられ、可動支持部の移動に伴って載置部の送出口に繋がり物品を受け取る受取り口を有し、可動支持部の移動に伴って勾配を変化させ、受け取った物品を物品排出面に排出するスロープと、を備え、可動支持部は、移動に伴って、受取り口に繋がる送出口に対応する載置部に留置解除を行わせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品排出面よりも高い場所に配置され、載置された物品の留置及び留置解除が可能に構成され、留置解除した前記物品を送り出す送出口を有する複数の載置部と、前記複数の載置部の配置場所に対応する箇所を移動可能な可動支持部と、が設けられた玩具本体と、
前記可動支持部に上端部が回動可能に取り付けられ、前記可動支持部の移動に伴って前記送出口に繋がり前記送出口からの前記物品を受け取る受取り口を有するとともに、前記可動支持部の移動に伴って勾配を変化させ、受け取った前記物品を前記物品排出面に排出するスロープと、を備え、
前記複数の載置部は、前記物品排出面からの高さが互いに異なる場所に配置され、
前記可動支持部は、移動に伴って、前記受取り口に繋がる前記送出口に対応する前記載置部に留置解除を行わせる、
ことを特徴とする物品排出玩具。
【請求項2】
前記玩具本体には、前記可動支持部の移動案内をする案内レールが設けられ、
前記可動支持部は、前記案内レールに沿って移動可能に構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の物品排出玩具。
【請求項3】
前記複数の載置部は、高さ方向に一列に並んで配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の物品排出玩具。
【請求項4】
前記可動支持部は、前記スロープの前記受取り口が最上部の前記載置部の前記送出口よりも上方となる第3位置まで前記案内レールに沿って引上げ可能に構成され、
前記玩具本体には、前記可動支持部を前記第3位置で係止するとともに係止を解除させる係止装置が設けられている、
ことを特徴とする請求項3に記載の物品排出玩具。
【請求項5】
前記載置部の載置面は、前記物品の送出方向に向けて下り勾配を有し、
前記載置部には、前記物品を留置する第1位置と前記物品を留置解除する第2位置との間で動作するストッパが設けられ、
前記可動支持部には、前記受取り口が前記送出口に繋がる際に前記ストッパのストッパ操作部に当接して前記ストッパを前記第2位置まで動作させる当接部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項3に記載の物品排出玩具。
【請求項6】
前記載置部に対応して、前記ストッパを前記第1位置にロックするロック位置と、前記ストッパのロックを解除するロック解除位置との間で動作可能な操作子を備え、前記操作子が前記ロック位置にあるとき、当該操作子に対応する前記載置部の箇所で前記可動支持部の下降が停止させられる、ことを特徴とする請求項5に記載の物品排出玩具。
【請求項7】
前記可動支持部が上昇するときに、前記当接部材が前記ストッパ操作部に摺接して前記ストッパ操作部から逃げ前記ストッパが前記第1位置を維持する、ことを特徴とする請求項6に記載の物品排出玩具。
【請求項8】
前記載置部には、
仕切りによって区画され、送出方向に直交する方向に並び、それぞれに前記物品が載置可能な複数の物品収容部が設けられ、
前記スロープには、
前記複数の物品収容部のそれぞれに対応して、仕切りによって区画された軌道が複数設けられている、
ことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の物品排出玩具。
【請求項9】
前記物品は自動車玩具である、ことを特徴とする請求項8に記載の物品排出玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品排出玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品排出玩具の一例として、保持手段で車載台に玩具車両を設置した状態で車載台をタワーの上まで上昇させ、上昇位置で車載台を係止手段で係止し、係止解除手段によって当該係止を解除することで、車載台を落下させ、落下位置で保持手段による保持を解除することで玩具車両を発射させるようにした玩具車両発射玩具が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記玩具車両発射装置によれば、複数の玩具車両を発射させるのに複数の車載台を設けている。
しかし、複数の玩具車両を発射させるのに、各載置台ごとに、昇降手段、係止手段及び保持手段を必要とするため、構造が複雑となるという問題があった。また、発射のたびに載置台を上昇させる必要があり、連続発射には不向きであった。
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、複数の載置部に収容された物品(自動車玩具に限定されない)を1つのスロープから連続的に排出することができる比較的簡素な構造の物品排出玩具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、
物品排出面よりも高い場所に配置され、載置された物品の留置及び留置解除が可能に構成され、留置解除した前記物品を送り出す送出口を有する複数の載置部と、前記複数の載置部の配置場所に対応する箇所を移動可能な可動支持部と、が設けられた玩具本体と、
前記可動支持部に上端部が回動可能に取り付けられ、前記可動支持部の移動に伴って前記送出口に繋がり前記送出口からの前記物品を受け取る受取り口を有するとともに、前記可動支持部の移動に伴って勾配を変化させ、受け取った前記物品を前記物品排出面に排出するスロープと、を備え、
前記複数の載置部は、前記物品排出面からの高さが互いに異なる場所に配置され、
前記可動支持部は、移動に伴って、前記受取り口に繋がる前記送出口に対応する前記載置部に留置解除を行わせる、
ことを特徴とする。
【0006】
第2の手段は、第1の手段であって、
前記玩具本体には、前記可動支持部の移動案内をする案内レールが設けられ、
前記可動支持部は、前記案内レールに沿って移動可能に構成されている、ことを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第2の手段であって、前記複数の載置部は、高さ方向に一列に並んで配置されている、ことを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第3の手段であって、
前記可動支持部は、前記スロープの前記受取り口が最上部の前記載置部の前記送出口よりも上方となる第3位置まで前記案内レールに沿って引上げ可能に構成され、
前記玩具本体には、前記可動支持部を前記第3位置で係止するとともに係止を解除させる係止装置が設けられている、
ことを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第3の手段であって、
前記載置部の載置面は、前記物品の送出方向に向けて下り勾配を有し、
前記載置部には、前記物品を留置する第1位置と前記物品を留置解除する第2位置との間で動作するストッパが設けられ、
前記可動支持部には、前記受取り口が前記送出口に繋がる際に前記ストッパのストッパ操作部に当接して前記ストッパを前記第2位置まで動作させる当接部材が設けられている、
ことを特徴とする。
【0010】
第6の手段は、第5の手段であって、
前記載置部に対応して、前記ストッパを前記第1位置にロックするロック位置と、前記ストッパのロックを解除するロック解除位置との間で動作可能な操作子を備え、前記操作子が前記ロック位置にあるとき、当該操作子に対応する前記載置部の箇所で前記可動支持部の下降が停止させられる、ことを特徴とする。
【0011】
第7の手段は、第6の手段であって、前記可動支持部が上昇するときに、前記当接部材が前記ストッパ操作部に摺接して前記ストッパ操作部から逃げ前記ストッパが前記第1位置を維持する、ことを特徴とする。
【0012】
第8の手段は、第1~第7の手段のいずれかであって、
前記載置部には、
仕切りによって区画され、送出方向に直交する方向に並び、それぞれに前記物品が載置可能な複数の物品収容部が設けられ、
前記スロープには、
前記複数の物品収容部のそれぞれに対応して、仕切りによって区画された軌道が複数設けられている、
ことを特徴とする。
【0013】
第9の手段は、第8の手段であって、前記物品は自動車玩具である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の手段によれば、配置の高さが互いに異なる複数の載置部に載置した物品が留置された状態で、1つのスロープを複数の載置部の各々に繋げることで、複数の載置部に留置しておいた物品を順に連続的に排出することができる、比較的簡素な構造の物品排出玩具を実現することができる。
【0015】
第2の手段によれば、可動支持部が案内レールに沿って移動するので、可動支持部の移動を円滑に行うことができる。
【0016】
第3の手段によれば、高さ方向に並んだ載置部から物品を順に排出することができる。
【0017】
第4の手段によれば、可動支持部を引き上げた状態で係止できるので、遊び勝手のよい物品排出玩具を実現することができる。
【0018】
第5の手段によれば、載置部の載置面が送出方向に向けて下り勾配を有し、物品がストッパによって留置されているので、ストッパを外すだけで、簡単に物品を排出させることができる。
【0019】
第6の手段によれば、操作子により第2位置にロックされている箇所では可動支持部が停止するとともに物品が排出されず、操作子によりロックを解除することで可動支持部が下降を再開するとともに物品を排出するので、遊びのバリエーションを増やすことができる。
【0020】
第7の手段によれば、可動支持部を上昇するときには、ストッパが動作しないので、物品の排出を防止することができる。
【0021】
第8の手段によれば、各載置部から複数の物品が並んだ状態で同時に排出されるので、規模の大きな物品排出玩具を実現することができる。
【0022】
第9の手段によれば、複数の載置部に載置された自動車玩具を1つのスロープから発車させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態に係る物品排出玩具(発射玩具)を示した斜視図である。
【
図9】左の可動支持部の内部構造を示した斜視図である。
【
図14】(A)、(B)は、フロアスイッチの動作状態を示す平面図である。
【
図16】螺旋状の載置部のストッパ及びその周辺を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0025】
《玩具の概略》
図1は、実施形態に係る物品排出玩具を示した斜視図である。
この物品排出玩具は、手押し式の自動車玩具80を収容し排出することができる立体駐車場を模した発車玩具10として構成されている。
発車玩具10は、多数の自動車玩具80を収容可能な玩具本体20と、玩具本体20に収容された自動車玩具80を排出するスロープ60とを備える。
玩具本体20は、高床式の建物となっている。この玩具本体20には、1階~4階及び屋上の各フロアに対応する部分が、自動車玩具80を載置する載置部21A、21B、21C、21D、21Eを構成している。載置部21A~21Eについては略同一構成のため、個別に説明する必要がある場合を除き、載置部21A~21Eの代わりに載置部21としてその共通事項を一緒に説明するものとする。
また、玩具本体20の左隣には、螺旋状のスロープ22を含んで構成され自動車玩具80を載置する載置部23が設けられている。
さらに、玩具本体20には、ハンドル24が設けられている。ハンドル24にはスロープ60の上端部が取り付けられている。ハンドル24は昇降可能に構成され、ハンドル24の昇降に伴ってスロープ60の勾配が変化する。ハンドル24は、最上位置(第3位置)で係止可能となっており、最上位置で係止されたハンドル24はスタートスイッチ25の押下によって下降する。
また、玩具本体20には、各載置部21に対応してフロアスイッチ26A、26B、26C、26D、26Eが設けられている。フロアスイッチ26A~26Eについては略同一構成のため、個別に説明する必要がある場合を除き、フロアスイッチ26A~26Eの代わりにフロアスイッチ26としてその共通事項を一緒に説明するものとする。このフロアスイッチ26は、対応する載置部21の自動車玩具80の発車及び停車を制御するものである。
【0026】
《遊び方の概略》
今、載置部21、23に自動車玩具80が載置され、ハンドル24が最上位置(初期位置)で止められ、且つ、載置部21の横のフロアスイッチ26の全てが「発車」側にあるものとする。
この状態でスタートスイッチ25を押下すると、ハンドル24が自動的に下降を始める。この下降は、ハンドル24が最下位置に到達するまで継続する。
ハンドル24が下降するとスロープ60の上端部も下がり、その下降位置に応じて、スロープ60の受取り口が載置部21の送出口に順次に繋がってゆく。
そして、スロープ60の受取り口が載置部21の送出口に繋がると、載置部21から自動車玩具80がスロープ60上に送り出される。これにより、自動車玩具80がスロープ60を下って床面(排出面)に排出される。また、最下の載置部21に収容された自動車玩具80が排出されると同時に、載置部23に載置されていた自動車玩具80も同時に床面に排出される。
【0027】
次に、載置部21、23に自動車玩具80が載置され、ハンドル24が最上位置(初期位置)で止められ、且つ、フロアスイッチ26の一部が「停車」側にある場合について説明する。
この場合には、「発射」側に操作されているフロアスイッチ26に対応する載置部21においては上述と同様にして自動車玩具80がスロープ60を通じて排出される。
一方、「停車」側に操作されているフロアスイッチ26に対応する載置部21の箇所では下降してきたハンドル24が停止するとともに、当該載置部21からは自動車玩具80が排出されない。この場合、当該載置部21から自動車玩具80を排出させるには、当該載置部21に対応するフロアスイッチ26を「発車」側に操作する。これにより、ハンドル24が下降を再開し、当該載置部21から自動車玩具80が排出される。
なお、最下の載置部21に収容された自動車玩具80が排出されると同時に、載置部23に載置されていた自動車玩具80も同時に床面に排出される点は上記と同じである。
【0028】
《玩具本体20》
図2は、玩具本体20を前側から見た斜視図、
図3は、玩具本体20を後側から見た斜視図である。
玩具本体20は、高床式で壁のない開放性の高い4階建ての収容部を構成している。
この玩具本体20では、1階~4階及び屋上に対応する部分がそれぞれ1つの載置部21を構成している。各載置部21には、
図5に示すように、前4台、後ろ4台の自動車玩具80が載置可能となっている。1階~4階の載置部21への自動車玩具80の載置は、玩具本体20に後側から行うことができる。また、屋上の載置部21には、上から或いはスロープ60Bを使って自動車玩具80を載置することができる。
【0029】
載置部21の右に配置された操作盤20aには、各載置部21に対応してフロアスイッチ26が1つずつ設けられている。フロアスイッチ26は、対応する載置部21の自動車玩具80の留置及び留置解除を介して自動車玩具80の停車及び発車を行わせるためのものである。
また、玩具本体20の左隣には、螺旋状のスロープ22を含んで構成され自動車玩具80を縦列状態で載置する載置部23が設けられている。載置部23の排出口23aにはストッパ70が設けられ、ストッパ70の動作により、載置部23に載置された自動車玩具80の留置及び留置解除が行われ、自動車玩具80の停車及び発車がなされる。
また、玩具本体20の前面左右には、上下方向に延在する案内レール33L、33Rが設けられ、この案内レール33L、33Rにはハンドル24が取り付けられている。
【0030】
〈載置部21〉
図4は、載置部21Dの斜視図、
図5は、載置部21Dの平面図である。
載置部21A~21C及び21Eは略同一構成なので、載置部21Dの図面を用いて全ての載置部21について説明する。
載置部21は、自動車玩具80を載置する載置面30を備えている。載置面30は前面側に向けて下り勾配を有している。各載置面30には、仕切り21aによって区画された収容部30a、30b、30c、30dが並設されている。
なお、屋上の載置部21Eの仕切り21aは、後部側で欠損しており、欠損部で自動車玩具80を走行させ、例えば、スロープ60Bを上った自動車玩具80を各載置部21或いは載置部23まで導くことができる。
【0031】
載置部21に付設された送出口34には、収容部30a~30dのそれぞれに対応してストッパ35a、35b、35c、35dが設けられている。ストッパ35a~35dについては略同一構成のため、個別に説明する必要がある場合を除き、ストッパ35a~35dの総称としてストッパ35を用いるものとする。ストッパ35a~35dは、
図6に示すように、軸36と一体的に連結されており、第1位置と第2位置との間で回動する。ストッパ35は、常態で第1位置を取るように1つのコイルばね36aによって第1位置に向けて付勢されている。
このストッパ35は、第1位置では自動車玩具80のフロントに接触し、自動車玩具80を載置面上に停車(留置)させる(
図5参照)。また、ストッパ35は、第2位置では自動車玩具80のフロントと非接触(留置解除)となり、自動車玩具80を発車させる。
【0032】
〈ハンドル24〉
ハンドル24は、発車ゲートを模してアーチ状に構成されている。このハンドル24の両側に位置する左右基端部33L、33Rは、左右の案内レール33L、33Rに係合している。
すなわち、ハンドル24の左右基端部は、スロープ60の可動支持部37L、37Rを構成している(
図2参照)。
図7及び
図8(平面図)に示すように、この可動支持部37L、37Rには、上下方向に延在する凹部38L、38Rが形成されている。そして、凹部38L、38Rの箇所で案内レール33L、33Rの縁に係合している。ハンドル24にはローラ(図示せず)が設けられており、当該ローラは案内レール33L、33Rの表面に当接し、ハンドル24の昇降に伴って案内レール33L、33Rの表面上を転動し、ハンドル24の昇降を円滑にする。
【0033】
可動支持部37Lには、
図9に示すように、歯車機構から構成される調速機39が設けられている。調速機39は、ハンドル24の下降速度を調整するもので、1つの歯車39aが、レール33Lの表面に形成されたラック歯39bに噛合している。また、可動支持部37Lには、スロープ60を取り付けるためのピン40L(
図2参照)が設けられている。
一方、可動支持部37Rには、ストッパ動作装置41と、スロープ60を取り付けるためのピン40Rとが設けられている。ピン40Rは左右に移動可能となっており、左方向に付勢され、その付勢力によってスロープ60の孔64R(
図15参照)に係合する。
【0034】
(ストッパ動作装置41)
図10は、ストッパ動作装置41の斜視図、
図11は、ストッパ動作装置41の右面図である。
可動支持部37Rには、ストッパ動作装置41として、左右方向に延在する軸42aを中心に所定角度範囲内で回動可能な回動部材42と、回動部材42に設けられ且つ左右方向に延在する軸43aを中心に所定角度範囲内で回動可能な当接部材43と、左右方向に移動可能なロック部材44とが設けられている。
【0035】
回動部材42は、第4位置と第5位置との間で軸42aを中心に回動可能に構成されている。回動部材42は、可動支持部37L、37Rへのスロープ60の取付けによってロック部材44が右に移動することで第4位置に固定される。
【0036】
当接部材43は、回動部材42に対して第6位置と第7位置との間で軸43aを中心に回動可能に構成されていて、軸43aに巻装されたトーションばね(図示せず)によって第6位置に向けて付勢されている。
【0037】
当接部材43は、回動部材42が第4位置に固定された状態で、ハンドル24が下降するときには第6位置にあり、ストッパ35のストッパ操作部53に上方から当接し、ストッパ操作部53と摺接することにより、ストッパ35をコイルばね36aの付勢力に抗して第2位置に動作させる。これにより、ストッパ35による自動車玩具80の留置が解除される。なお、当接部材43は、ストッパ35が第2位置に動作することで、ストッパ35のストッパ操作部53の箇所をすり抜ける。
一方、当接部材43は、回動部材42が第4位置に固定された状態で、ハンドル24が上昇するときには、第6位置でストッパ35のストッパ操作部53に下方から当接し、ストッパ操作部53と摺接することにより、当接部材43がトーションばね(図示せず)の付勢力に抗して第7位置の方向に動作する(
図11の2点鎖線参照)。これによって、ストッパ35を動作させることなく、当接部材43がストッパ35のストッパ操作部53の箇所をすり抜ける。
【0038】
次に、左右の可動支持部37L、37Rにスロープ60が取り付けられていない場合について説明する。
この場合には、ロック部材44が左右方向に移動可能な状態にある。この状態でハンドル24が下降するときには、当接部材43がストッパ35のストッパ操作部53に上方から当接すると、当接部材43とストッパ操作部53とが摺接することにより、回動部材42が第5位置まで回動する。これにより、当接部材43がストッパ35のストッパ操作部53から逃げ、ストッパ35が動作されない。
【0039】
〈ハンドル係止装置45〉
図12は、ハンドル係止装置45の斜視図である。ハンドル係止装置45は、最上位置でハンドル24を係止するとともに係止解除を行うものである。このハンドル係止装置45は、玩具本体20の屋上に立設された構造物20b(
図3参照)に設けられている。
玩具本体20の固定部には、係止部材46が設けられている。係止部材46は第8位置と第9位置との間で動作する。そして、係止部材46はコイルばね47によって第8位置に向けて付勢されている。一方、ハンドル24の可動支持部37Rの後面には係止凹部48が形成されている。
そして、ハンドル24が上昇し、第8位置にある係止部材46の爪46aの下面に係止凹部48の上縁が当接すると、係止部材46が第9位置に動作し、係止凹部48に爪46aが合致した所で、コイルばね47の付勢力によって係止部材46が第8位置に戻って係止凹部48と爪46aが嵌合し、ハンドル24が最上位置で係止される。
また、係止部材46には、上向き傾斜面46bが形成されている。一方、係止部材46の上方にはスタートスイッチ25が設けられている。そして、係止凹部48と爪46aとが嵌合している状態で、スタートスイッチ25が押下されると、スタートスイッチ25が係止部材46の上向き傾斜面46bに摺接することにより、係止部材46が第9位置に動作し、係止凹部48と爪46aとが非嵌合となり、ハンドル24の係止が解除される。
【0040】
《フロアスイッチ26》
図13は、フロアスイッチ26の斜視図、
図14(A)、(B)は、フロアスイッチ26の動作状態を示す平面図である。
フロアスイッチ26は、左右方向に動作可能なスライド部材50を備える。スライド部材50には、凸部51aを持つ弾性片51と、摘み52とが設けられている。そして、摘み52を左右に操作することで、凸部51aが、操作盤20aの固定部に設けた凹部(図示せず)に嵌合することで、フロアスイッチ26が左右いずれかに位置に係止される。
摘み52が左(停車側)に操作されたとき(
図14(A))、スライド部材50がストッパ35の右端部のストッパ操作部53に当接してストッパ35の回転がロックされる。これにより、ストッパ35による自動車玩具80の留置が解除されず、自動車玩具80が停車したままの状態となる。また、ストッパ35の回転がロックされることにより、ストッパ操作部53に当接した当接部材43が止められることになり、ハンドル24の下降が停止することになる。
この状態で、摘み52が右(発車側)に操作されると、スライド部材50がストッパ35の右端部のストッパ操作部53に非当接となって、ストッパ35の回転ロックが解除される(
図14(B))。これにより、ハンドル24が再び下降し、ストッパ24による自動車玩具80の留置が解除され、自動車玩具80がスロープ60に送り出される。
【0041】
《スロープ60》
図15は、スロープ60の分解斜視図である。
スロープ60は、第1パーツ61、第2パーツ62及び第3パーツ63から構成されている。
第1パーツ61は、受取り口側の一端部が可動支持部37L、37Rに取り付けられるもので、当該一端部には左右に係合孔64L、64Rが形成されている。係合孔64L、64Rは、突起40L、40Rに嵌合される。また、第1パーツ61の右側壁65Rの外面の一部65aには、上記ロック部材44の円錐状突起44aに当接し、ロック部材44を右に動作させる。これにより、ロック部材44の斜面44bが回動部材42に当接し、回動部材42が第4位置に固定される。なお、右側壁65Rの外面の一部65aと円錐状突起44aとの当接は、ハンドル24に昇降によって、第1パーツ61が回動を行っても継続的になされる。
第2パーツ62は、第1パーツ61の他端部に取り付けられるものである。第2パーツ62には、舌片62aが形成され、この舌片62aに第1パーツ61の他端部を乗せ、第1パーツ61の左右の側壁65L、65Rを第2パーツ62の左右の側壁66L、66Rの内側に嵌め込むことによって、第2パーツ62は第1パーツ61に取り付けられる。
第3パーツ63は、第2パーツ62に、幅方向に延在する軸(図示せず)を介して回動可能に取り付けられている。この第3パーツ63は、使用時には、床面に着座する。
このように構成されたスロープ60には、4つの収容部30a、30b、30c、30dに対応して、仕切り(支持せず)によって区画された4つの軌道68a、68b、68c、68dが形成されている(
図1参照)。
【0042】
《載置部23》
載置部23は、螺旋状のスロープを備え、排出口23aにはストッパ70が設けられている。このストッパ70はコイルばね71によって上昇位置に向けて付勢されている。そして、ストッパ70は、上昇位置で自動車玩具80を停車させ、下降位置で自動車玩具80を発車させる。
ストッパ70には突子72が付設され、突子72は、軸73aを中心に回動可能な操作片73の一面に形成された長孔73bに係合している。
操作片73は、ハンドル24の可動支持部37Lの下面が当接することにより、操作され、ストッパ70を下降させる。
【0043】
《実施形態の効果》
以上のように構成された発車玩具10によれば、次のような主たる効果を得ることができる。
【0044】
第1に、配置の高さが互いに異なる複数の載置部21に物品が留置された状態で、1つのスロープ60を複数の載置部21の各々に繋げることで、複数の載置部21に留置されていた自動車玩具80を連続的に排出する、比較的に簡素な発車玩具10を実現することができる。
【0045】
第2に、案内レール33L、33Rに沿って可動支持部37L、37Rが自重で下降するので、可動支持部37L、37Rを円滑に移動させることができるとともに、モータやゼンマイ等の動力源を必要としないため、比較的に安価な発車玩具10を実現することができる。
【0046】
第3に、高さ方向に並んだ載置部21を高い方から順に排出させることができる。
【0047】
第4に、引き上げたハンドル24を係止することができるので、遊び勝手がよく、例えば自動車玩具80の載置が簡単に行えることになる。
【0048】
第5に、載置面30が送出方向に向けて下り勾配を有し、自動車玩具80がストッパ35によって留置されているので、ストッパ35を外すことにより、簡単に自動車玩具80を排出させることができる。
【0049】
第6に、ハンドル24を引き上げるときには、ストッパ35が外れないので、自動車玩具80の発車を防止することができる。
【0050】
第7に、可動支持部各載置部21から複数の自動車玩具80が並んだ状態で排出されるので、規模が大きな発車玩具10を実現することができる。
【0051】
第8に、フロアスイッチ26により第2位置にロックされている箇所では可動支持部37L、37Rが停止するとともに自動車玩具80が排出されず、フロアスイッチ26によりロックを解除することで可動支持部37L、37Rが移動を再開するとともに自動車玩具80を排出するので、遊びのバリエーションを増やすことができる。
【0052】
《変形例》
上記実施形態では、高さ方向に1列に複数の載置部21を設けたが、階段状に複数の載置部21を設けてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、物品に一例として自動車玩具80を説明したが、ボールその他の物品であってもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、載置面30が送出方向に向けて下り勾配を有し、自動車玩具80がストッパ35によって留置され、ストッパ35を外すことにより、自動車玩具80を排出させるように構成したが、ストッパ35側が固定され、載置面30の傾斜角度を変更することにより、自動車玩具80の留置及び留置解除を行うように構成されていてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、可動支持部37L,37Rの下降を自重により、引上げを人手により行うこととしたが、モータによって昇降を行うようにしてもよい。
【0056】
また、屋上階と1階の間の階の載置部21を自由に増減させる(積み上げる)ことを可能としてもよい。
【0057】
さらには、フロアスイッチ26について、ストッパ35のストッパ操作部53ごとスライドさせる機構を設けるなどしてハンドル24がその場で停止せず通過していくようなモードを設けて、遊びの幅を広げることとしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 発車玩具
20 玩具本体
21A~21E 載置部
21a 仕切り
23 載置部
24 ハンドル
25 スタートスイッチ
26A~26E フロアスイッチ
30 載置面
30a~30d 収容部
33L、33R 案内レール
35a~35d ストッパ
37L、37R 可動支持部
41 ストッパ動作装置
45 ハンドル係止装置
60 スロープ
60B スロープ
68a~68d 軌道
70 ストッパ
80 自動車玩具