(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113216
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】電子玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 17/00 20060101AFI20240815BHJP
A63H 17/32 20060101ALI20240815BHJP
A63H 33/00 20060101ALI20240815BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
A63H17/00 Z
A63H17/32
A63H33/00 P
G06K19/06 103
G06K19/06 178
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018025
(22)【出願日】2023-02-09
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北堀 剛広
(72)【発明者】
【氏名】塩出 葵
(72)【発明者】
【氏名】園田 拓真
(72)【発明者】
【氏名】松野下 大治
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA12
2C150CA08
2C150DF03
2C150EF16
2C150EF33
(57)【要約】
【課題】遊戯の興趣を向上する。
【解決手段】電子玩具10は、コードが記載され、遊戯者が乗ることが可能な敷物30と、遊戯者の操作によりコードを読み取り、対応した処理を実行可能な読取装置20と、を備える。読取装置20は、コードを読み取る読取手段41と、情報を出力する情報出力手段(スピーカー43)と、を備え、読取手段41で読み取ったコードに対応する情報を情報出力手段から出力可能とする。これにより、遊戯者が敷物30に乗った状態で読取装置20によりコードを読み取ることが可能となり、子供でも容易に遊戯を行うことができて遊戯の興趣を向上することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードが記載され、遊戯者が乗ることが可能な敷物と、
遊戯者の操作により前記コードを読み取り、対応した処理を実行可能な読取装置と、を備え、
前記読取装置は、
前記コードを読み取る読取手段と、
情報を出力する情報出力手段と、を備え、
前記読取手段で読み取った前記コードに対応する情報を前記情報出力手段から出力可能であることを特徴とする電子玩具。
【請求項2】
前記敷物は、
前記敷物の表面を構成する透明シートと、
前記透明シートの裏面側に設けられ、前記コードが印刷されたコード層と、
前記コード層の裏面側に設けられ、前記敷物を装飾する図柄が印刷された図柄層と、
前記図柄層の裏面側に設けられ、前記読取装置が前記コードを読み取る際に発する光を反射可能な被覆層と、
前記被覆層の裏面側を覆うように設けられた基材シートと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子玩具。
【請求項3】
前記コードは、フレキソ印刷により印刷されたものであることを特徴とする請求項1に記載の電子玩具。
【請求項4】
前記読取装置は、
一の前記コードについて、読み取る際の遊戯者の操作態様に基づき、当該コードに対応して前記情報出力手段から出力する情報を異ならせることが可能であることを特徴とする請求項1に記載の電子玩具。
【請求項5】
前記敷物は、
複数の領域が設けられ、前記領域ごとに定められた前記コードが記載されており、
前記読取装置は、
一の前記領域から読み取った前記コードに対応して前記情報出力手段から出力する情報を、当該一の前記領域の前記コードを読み取る前に読み取った他の前記領域の前記コードに応じて異ならせることが可能であることを特徴とする請求項1に記載の電子玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
ガイドブックの各所にコードを記載し、読取装置により読み取ることで各所の説明等を行う音声を出力可能としたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ガイドブックは手で持てる程度の大きさであり、一つのページに記載できる情報は限られてしまう。また、一方の手でガイドブックを持ちつつ他方の手で読取装置を持って読み取る必要があるため操作の自由度が低く、玩具として使用した場合に興趣の高い遊戯を行うことが困難であった。本発明の目的は、遊戯の興趣を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため第1の手段は、電子玩具において、
コードが記載され、遊戯者が乗ることが可能な敷物と、
遊戯者の操作により前記コードを読み取り、対応した処理を実行可能な読取装置と、を備え、
前記読取装置は、
前記コードを読み取る読取手段と、
情報を出力する情報出力手段と、を備え、
前記読取手段で読み取った前記コードに対応する情報を前記情報出力手段から出力可能であることを特徴とする。
【0006】
第2の手段は、第1の手段において、
前記敷物は、
前記敷物の表面を構成する透明シートと、
前記透明シートの裏面側に設けられ、前記コードが印刷されたコード層と、
前記コード層の裏面側に設けられ、前記敷物を装飾する図柄が印刷された図柄層と、
前記図柄層の裏面側に設けられ、前記読取装置が前記コードを読み取る際に発する光を反射可能な被覆層と、
前記被覆層の裏面側を覆うように設けられた基材シートと、を備えることを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第1の手段において、
前記コードは、フレキソ印刷により印刷されたものであることを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第1の手段において、
前記読取装置は、
一の前記コードについて、読み取る際の遊戯者の操作態様に基づき、当該コードに対応して前記情報出力手段から出力する情報を異ならせることが可能であることを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第1の手段において、
前記敷物は、
複数の領域が設けられ、前記領域ごとに定められた前記コードが記載されており、
前記読取装置は、
一の前記領域から読み取った前記コードに対応して前記情報出力手段から出力する情報を、当該一の前記領域の前記コードを読み取る前に読み取った他の前記領域の前記コードに応じて異ならせることが可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1の手段によれば、遊戯者が乗ることが可能な大きさの敷物にコードを記載したので、十分な広さの領域に多種多様な情報を記載することができ、遊戯の興趣を向上することができる。
また、遊戯者が敷物に乗って遊戯を行うことができるので、自重で敷物を押さえることができて両手で読取装置を扱うことができるとともに自由な姿勢で遊戯を行うことができ、子供でも容易に遊戯を行うことが可能となって遊戯の興趣を向上することができる。
【0011】
第2の手段によれば、被覆層により基材シートを隠蔽するとともに読取装置がコードを読み取る際に発する光を反射することで、コードの読み取りが容易になるとともに装飾性が向上し、遊戯の興趣を向上することができる。
【0012】
第3の手段によれば、微細なコードを高精細に印刷することができてコードを視認困難とすることができるので敷物の装飾性が向上し、遊戯の興趣を向上することができる。
【0013】
第4の手段によれば、一のコードについて多様な情報の出力態様を実現でき、遊戯の興趣を向上することができる。
【0014】
第5の手段によれば、一のコードについて多様な情報の出力態様を実現でき、遊戯の興趣を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】読取装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図5】敷物におけるコードの記載範囲の一例を説明する図である。
【
図6】敷物におけるコードの記載範囲の一例を説明する図である。
【
図7】敷物におけるコードの記載範囲の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように電子玩具10は、敷物30と読取装置20とを備える。
敷物30は、薄いシート状であって折り畳んで持ち運び可能であり、いわゆるレジャーシートとして使用可能なものである。大きさは任意に設定可能であるが、例えば90cm×120cmであって遊戯者が乗ることが可能な大きさとなっている。
読取装置20は、機関車を模した形状をしており、おおよそ長さ8cm、幅4cm、高さ5cmとなっていて、遊戯者が子供であっても片手で持つことのできる大きさ及び重さとなっている。
【0017】
この電子玩具10では、敷物30に図柄が描かれているとともに図柄に合わせてコードが記載されている。
遊戯者が読取装置20を図柄に合わせることで読取装置20がコードを読み取って対応する処理として例えば音声が出力されるようになっており、遊戯者が各所のコードを読み取って様々な音声を出力させることによる遊戯などを行うことが可能となっている。
遊戯者は敷物30に乗った状態で遊戯を行うことができるので、自重により敷物30を押さえることができ、両手を自由に使って遊戯を行うことができるとともに、自由な姿勢で遊戯を行うことができる。
【0018】
本実施形態では敷物30に図柄として地図が描かれている。この地図には、環状の線路である本線31と、本線31の内側に設けられた複数の支線32と、が描かれている。本線31にはトンネル33が描かれており、支線32には遊戯において目標となる位置を示す旗34が複数描かれている。
また、地図には破線で示す複数のエリア35が設けられており、各エリア35に付された名称を示す名称表示35aが描かれている。各エリア35には様々な図柄が描かれているがここでは図示を省略している。
エリア35の大きさは、おおよそ30cm×30cm程度とされており、遊戯者が敷物30に乗った状態でも少なくとも一つのエリア35の全体が見渡せるようになっている。
【0019】
これらの図柄には、図柄に対応したコードが記載されており、読取装置20を図柄に合わせることで、例えば図柄に対応した音声が読取装置20から出力されるようになっている。また、線路や各エリア35のような図柄が描かれている部分だけでなく、背景部分の一部にもコードが記載されている。
【0020】
地図の右上部には、読取装置20の設定を変更するために用いる図柄として、音量調節表示36が設けられている。音量調節表示36には、読取装置20から出力される音声の大きさを円の面積で模式的に示す複数の円形表示が設けられており、それぞれの円形表示に記載されたコードを読み取ることで読取装置20から出力される音声の大きさを変更できるようになっている。
また、地図の右上部には、読取装置20の設定を変更するために用いる図柄として、モード変更表示が設けられている。このモード変更表示には、メロディーモードを設定するメロディーモード設定表示37、フリーモードを設定するフリーモード設定表示38、おしごとモードを設定するおしごとモード設定表示39が設けられ、それぞれのモード変更表示に記載されたコードを読み取ることで読取装置20のモードを変更できるようになっている。
【0021】
図2には敷物30の断面を模式的に示した。敷物30は、表面に透明シート50を備え、透明シート50の裏面側に印刷層60が設けられ、印刷層60の裏面側に基材シート70が設けられている。
製造の過程においては、透明シート50の裏面側に印刷層60を形成し、この印刷層60が形成された透明シート50を基材シート70に張り付けるようになっている。
【0022】
透明シート50としては、例えば二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いることができる。
この透明シート50の裏面側に形成される印刷層60は、コードが印刷されたコード層61と、地図の図柄など敷物30を装飾する図柄が印刷された図柄層62と、白色などの単色で印刷された被覆層63と、を備えている。
このような印刷層60は、透明シート50の裏面に対してコード層61、図柄層62、被覆層63の順に印刷することで設けられる。
【0023】
コード層61に印刷されるコードは、読取装置20が読み取れるものであればどの様なものでも良いが、本実施形態では、例えば40マイクロメートルから65マイクロメートル程度の微細なドットを配することで構成したコードを用いている。
このコードは、一種類のコードにより識別可能とする一の図柄の領域よりも小さい面積を有するものであり、当該図柄の領域の全域に重なるように複数記載されている。また、コードはその形態から上下左右を区別可能なものとされ、一の図柄の領域には一種類のコードが複数記載され、一の図柄の領域に記載された複数のコードの向きは全て同じ向きとされている。
【0024】
このようなコードとしては、キードット、情報ドット及び格子ドットを所定の規則に従って配列した座標位置コード情報を有するドットパターンを、視認困難とするとともに光学的には読み取り可能に印刷したコードを用いることができる。
このドットパターンは、例えば他のドットとは識別可能に記載されたキードットを中心に5×5の格子ドットを配置し、4点の格子ドットに囲まれたブロック内に数値情報により配置の異なる情報ドットを配置することで情報を格納したものである。情報を取得する際には、コードとして読み取ったドットパターンから格子ドット、キードット及び情報ドットを抽出する処理を行い、この処理の結果から数値情報を取得する。
【0025】
このようなコードであると図柄の視認性を損なわずにコードを記すことができ、装飾性を向上することができる。
また、読取装置20でコードを読み取り可能とするために、コード層61はカーボンを含有するインクを用いてフレキソ印刷により印刷している。フレキソ印刷により印刷することによりグラビア印刷など他の印刷方法に比べて微細なドットを高精細に印刷することが可能となる。
もちろんこれ以外のコードであっても良く、遊戯者が容易に視認可能なコードであっても良い。例えば一次元コードのバーコードや、QRコード(登録商標)のような二次元コードを用いても良い。
【0026】
図柄層62は、読取装置20によるコードの読み取りを阻害しないようにカーボンを含有しないインクを用いている。シアン、マゼンタ、イエローのインクを用いることで多色の図柄を印刷可能であり、黒色についてはシアン、マゼンタ、イエローのインクにより擬似的な黒色を表現しても良いし、カーボンを含まない黒色のインクを用いても良い。
【0027】
被覆層63は、読取装置20によるコードの読み取りを阻害しないようにカーボンを含有しないインクを用いている。白色のような単色で印刷されており、基材シート70が透けないようにすることで図柄の見栄えを良くするとともに、コードの読み取りの際に基材シート70が影響しないようにしてコードの読み取りを容易にする機能を有する。
また、読取装置20がコードを読み取る際に発する光を必要量反射することで、コードの読み取りをより容易し、安定させる機能も有する。
被覆層63は1回の印刷により形成するようにしても良いし、複数回の印刷により形成するようにしても良い。複数回印刷することにより被覆層63が厚くなり、基材シート70の透けが少なくなって装飾性が向上するとともに、光の反射率が高まりコードの読取りがより容易になる。
【0028】
基材シート70は、敷物30の裏面を構成するPEクロス72と、PEクロス72と印刷層60の間に配されたPE接着層71と、を備える。
PEクロス72は、紐状のポリエチレンを編んだ素材で構成されている。PE接着層71は印刷層60が形成された透明シート50とPEクロス72とを接着するための素材である。
【0029】
なお、被覆層63は印刷により形成し、印刷層60に含まれるとしたが、これ以外の形態であっても良い。
例えば、印刷層60をコード層61と図柄層62で構成し、印刷層60が形成された透明シート50とPEクロス72とを接着するPE接着層71に、白い顔料のような読取装置20がコードを読み取る際に発する光を反射する材料を混ぜたものを用いるようにして、PE接着層71が被覆層63を兼ねるようにしても良い。この場合、被覆層63の裏面側を覆うように設けられた基材シート70にはPEクロス72が該当する。
また、印刷層60をコード層61と図柄層62で構成し、印刷層60と基材シート70との間に白いシート材料のような読取装置20がコードを読み取る際に発する光を反射するシートを配するようにし、これを被覆層63としても良い。
【0030】
図3には、読取装置20の斜視図を示した。
読取装置20は、機関車を模した形状をしており、コードを読み取る読取手段41や制御部40を備える本体部21と、本体部21の上側を覆うように取り付けられ、本体部21を装飾するボディ部22とを備えている。
本体部21の左右側面には係止部23が形成されており、この係止部23にボディ部22の側面下部に形成された係止片24を係止可能となっている。これにより本体部21に対してボディ部22を着脱可能に取り付けられるようになっており、ボディ部22のみを交換することも可能となっている。
【0031】
本体部21の底部には電源スイッチ25が設けられている。
また、本体部21の底部には、コードを読み取るための読取部26が設けられている。この読取部26は開口部となっており、内部にコードを読み取る読取手段41が設けられていて、敷物30に底部を接地した状態でコードを読み取ることができるようにされている。
【0032】
本体部21の側面には車輪の意匠が施されているが車輪は設けられておらず、本体部21の底部の大部分は平面とされ、読取装置20を敷物30に載置した際にはこの平面が接地するようになっている。これにより、読取装置20から手を離しても敷物30に安定して載置された状態とすることができる。
また底部における接地する部分の前端部27及び後端部28は曲面とされており、読取装置20を載置した状態で前後に摺動させる際の抵抗を少なくし、スムーズに摺動させることができるようにされている。
【0033】
特に、敷物30は屋外で使用する場合もあるので状況によっては敷物30が必ずしも平面ではない状態となることもあり、読取装置20を安定して載置できるとともに容易に摺動できるようにすることで、場所を問わず遊戯を行うことが可能となる。
さらに読取部26は、この接地する平面内に開口しているので、読取装置20を敷物30に載置した状態では敷物30により読取部26の開口部が完全に閉鎖された状態となる。
これにより、コードを読み取る際に外光の影響を受けることがなくなり、コードの読み取りを容易にすることができる。特に、敷物30は屋外で使用する場合もあるので日光のような強い外光が入り込む可能性があり、このような構成とすることで場所を問わず遊戯を行うことが可能となる。
【0034】
図4には、読取装置20の制御系の構成例を示すブロック図を示した。
制御部40は、演算処理を行うCPU、制御のための情報を記憶したROM、制御時の作業領域や記憶領域として用いるRAM、情報の入力を可能とする入力部、情報の出力を可能とする出力部などを備える。
読取手段41は、本体部21の裏面に形成された開口部である読取部26を介して敷物30に記載されたコードを読み取り、制御部40に読み取った情報を出力するものである。
本実施形態の読取手段41は、赤外線を発する発光部と、反射光を検出する検出部とを備え、コードに対して発した赤外線の反射光を検出することによりコードを読み取るものとなっている。
【0035】
データROM42には、音声データなどの各種データが格納されており、制御部40が読み取ったコードに基づき必要なデータを読み出すようになっている。
データROM42の内容が異なる本体部21を複数用意しておき、使用する本体部21を遊戯者が選択するようにすれば、一の敷物30であっても異なる遊戯を行うことができる。また、一のデータROM42に遊戯を行うために必要なデータの集合体であるデータセットを複数種類格納し、遊戯者が使用するデータセットを選択することで一の敷物30であっても異なる遊戯を行うことができるようにしても良い。この場合、本体部21に切り替えのための操作部等を設けて選択できるようにしても良いし、敷物30に記載されたコードを読み取ることにより選択できるようにしても良い。また、ボディ部22の一部又は全部に当該ボディ部22を識別可能なコードを記載し、当該コードを読み取ることにより当該ボディ部22に対応したデータセットを選択できるようにしても良い。また、データROM42を書き換え可能な記憶装置や交換可能な記憶媒体(メモリーカードやROMを内蔵したカセット等)とし、書き換えや交換により遊戯内容を変更可能としても良い。
【0036】
スピーカー43は、遊戯者に対して情報を出力する情報出力手段をなすものである。情報出力手段としては、スピーカー43以外にLEDのような発光手段や、液晶表示装置などの表示手段を備えることも可能である。
また、読取装置20には電池などで構成される電源44が備えられており、制御部40や各装置に電力が供給されるようになっている。
【0037】
このような構成を有する読取装置20において制御部40は、読取手段41からのコードの読取情報に基づき対応する処理として、例えばデータROM42に格納された音声データを取得してスピーカー43から音声を出力する処理を行う。
制御部40は、コードの読取情報からコードに含まれる情報の他、コードの向きの情報も取得可能となっている。
コードの向きの情報により、例えば同一のコードを読み取っている状態でのコードの向きの変化に基づき読取装置20をひねる動作を行ったことを検出可能となっており、静止状態でコードを読み取った場合と異なる情報を出力することが可能である。すなわち、一のコードについて読み取る際の遊戯者の操作態様に基づき、当該コードに対応して情報出力手段から出力する情報を異ならせることが可能である。
【0038】
図5から7には、敷物30におけるコードの記載範囲の一例を示した。これらの図においてはコードの記載範囲を網掛けにより示している。なお、図中における文字の視認性を確保するため、文字を囲むように網掛けを施していない白抜きの領域を設けているが、この白抜きの領域は網掛け部分と同等であってここにもコードが記載されている。
図5には、敷物30の右上部分におけるコードの記載範囲の一例を示した。
線路には、線路に沿うようにコードが記載されている。このうち、本線31と支線32には異なるコードが記載されており、読取装置20が判別できるようにされている。
【0039】
また、線路におけるコードの記載範囲は細かく区分けされており、本線31に設定された記載範囲であっても異なるコードが記載されている部分も存在する。
例えば、本線31における直線部分に設定された領域31aと、曲線部分に設定された領域31bとは異なるコードが記載されており、読取装置20が判別できるようにされている。また、トンネル33にも線路とは異なるコードが記載されており、読取装置20が判別できるようにされている。
【0040】
支線32についても同様に、支線32に設定された記載範囲であっても異なるコードが記載されている部分も存在する。例えば、領域32aと領域32bでは異なるコードが記載されている。
さらに、支線32において、遊戯において目標となる位置を示す旗34が描かれた部分の領域34aは、旗34の存在と旗34の種類を識別可能とするコードが記載されており、読取装置20がそれぞれの旗34を識別できるようにされている。
【0041】
また、各エリア35の名称表示35aには、エリア35を識別可能となるようにエリア35ごとに異なるコードが記載されている。各エリア35に描かれた様々な図柄にも、図柄を識別可能とするようにコードが記載されているが、ここでは図示を省略している。
音量調節表示36には、音量調節表示であることを示す文字部分の領域36aと、各円形表示を含む領域36b~36eのそれぞれを識別可能とするコードが記載されている。
また、モード変更表示をなすメロディーモード設定表示37、フリーモード設定表示38、おしごとモード設定表示39の各領域にもそれぞれを識別可能とするコードが記載されている。
また、背景部分の一部の領域82にもコードが記載されている。
【0042】
図6には、エリア35の一つであるもりエリアにおけるコードの記載範囲の一例を示した。
このエリア35には、エリア35の名称を示す名称表示35aと、複数の図形35b~35fと、扉81を備える家80の図柄が描かれている。また、モード変更表示をなすフリーモード設定表示38及びクイズモード設定表示35gが描かれている。これらの各表示には、それぞれを識別可能とするコードが記載されている。
【0043】
図7には、エリア35の一つであるしゃこエリアにおけるコードの記載範囲の一例を示した。
このエリア表示には、エリア35の名称を示す名称表示35aと、鍵盤を模した表示35h~35oと、楽器の名称を示す表示35p~35tと、モード変更表示をなすフリーモード設定表示38及びクイズモード設定表示35gが描かれている。これらの各表示には、それぞれを識別可能とするコードが記載されている。
なお、クイズモード設定表示35gに記載されたコードは、各エリアで異なっており、どのエリアのクイズモード設定表示35gであるかを識別可能となっている。
【0044】
次に、以上のような電子玩具10を用いた遊戯の一例について説明する。
読取装置20は、電源を投入すると各種の初期設定を行う処理の後、コードの読み取りを待機する状態となる。
電源投入時には4段階ある音量のうち小さい方から2段階目の音量が設定される。遊戯者は、音量調節表示36の円形表示の部分に記載されたコードを読み取ることで任意の音量に変更することが可能である。円形表示のコードを読み取った際には、対応する音量で確認音が出力される。
【0045】
また、電源投入時には遊戯モードとしてフリーモードが設定される。フリーモードは、遊戯者が敷物30の各所に読取装置20を合わせてコードを読み取り、読取装置20から対応する音声を出力させる遊戯を行う遊戯モードである。
読取装置20は、一部のコードを読み取った場合を除き、一のコードに対応する音声を出力している間に他の新たなコードの読み取りがあった場合は、出力中の音声を停止して新たなコードに対応する音声の出力を開始するようになっている。これにより遊戯者の行動に追従した違和感のない遊戯が可能となるようにしている。
【0046】
例えば、線路の本線31に読取装置20を合わせてコードを読み取ることで線路を走行する音が出力される。支線32のコードを読み取った場合は本線31よりも低速で走行する音が出力される。
また、本線31では直線部分と曲線部分とで異なるコードが記載されており、走行する音が異なるようになっている。また、トンネル33も線路とは異なるコードが記載されており、異なる音が出力されるようになっている。
支線32についても位置によって異なるコードが記載されており、支線32に沿って読取装置20を移動させた際に位置によって走行する音が変化するようになっている。
【0047】
また、各エリア35の図柄にもそれぞれを識別可能とするコードが記載されており、これらの図柄のコードを読み取ることで対応する音声が出力されるようになっている。
図6に示したもりエリアでは、図柄のコードを読み取ることで図柄の名称の音声が出力されるようになっており、例えば星の図柄35bのコードを読み取ることで「ほし」という音声が出力される。
また、家80のとびらのコードを読み取ることで「とびら」の音声が出力される。さらに、扉81のコードを読み取り可能な状態で、読取装置20を敷物30に対して垂直な軸を中心としてひねるように向きを変えることで、扉81が開く音が出力されるようになっている。すなわち、一のコードについて読み取る際の操作態様に基づき、当該コードに対応して情報出力手段から出力する情報が異なるようにしている。
【0048】
図7に示したしゃこエリアでは、鍵盤を模した表示35h~35oのコードを読み取ることで、対応する音階の音が出力されるようになっている。
音色は初期設定ではピアノとなっているが、楽器の名称を示す表示35p~35sのコードを読み取ることで対応する楽器の音色に変更される。ただし、たいこの表示35tについては、当該表示35tのコードを読み取った際に太鼓の音を出力するが音色の変更は行わない。
【0049】
また、所定のエリア35にはクイズモード設定表示35gが設けられており、このクイズモード設定表示35gのコードを読み取ることで遊戯モードがクイズモードに移行する。
クイズモード設定表示35gのコードはエリア35ごとに異なっており、どのエリア35のクイズモードを設定するか読取装置20で判別可能となっている。
クイズモードでは、該当するエリア35の特定のコードを読み取ることを指示する問題が出され、遊戯者が対応するコードを読み取ると正解音が出力され、対応しないコードを読み取ると不正解音が出力されるようになっている。
問題は複数用意されており、このうちからランダムに選択されるようになっている。
【0050】
図6に示したもりエリアのクイズモードでは、出題として図形の名称の音声が出力され、当該音声に対応する図形のコードを読み取ると正解音が出力され、当該音声に対応しない図形のコードを読み取ると不正解音が出力されるようになっている。
図7に示したしゃこエリアのクイズモードでは、出題として3つの連続した音階の名称の音声が出力され、当該音声に適合するように鍵盤を模した表示35h~35oのコードを読み取ると正解音が出力され、当該音声に適合しない鍵盤を模した表示35h~35oのコードを読み取ると不正解音が出力されるようになっている。
【0051】
この他のエリア35でも同様に、出題として各エリアにある特定の図柄等の名称の音声が出力され、当該音声に対応するコードを読み取ると正解音が出力され、当該音声に対応しないコードを読み取ると不正解音が出力されるようになっている。
クイズが終了すると遊戯モードはフリーモードに移行するようになっている。
【0052】
メロディーモード設定表示37のコードを読み取ることで遊戯モードがメロディーモードに設定される。メロディーモードはフリーモードと同様に遊戯者が敷物30の各所に読取装置20を合わせてコードを読み取り、読取装置20から対応する音声を出力させる遊戯を行う遊戯モードであるが、線路のコードを読み取った際に出力される音を走行音に替えてメロディーとする点が異なる。
メロディーは線路のコードを読み取ることができない状態となっても一定期間にわたり継続して出力され、当該期間に線路以外の他のコードを読み取った際にはメロディーに重ねて当該他のコードに基づく音声を出力するようにしている。
【0053】
おしごとモード設定表示39のコードを読み取ることで遊戯モードがおしごとモードに設定される。おしごとモードは、一の旗34を出発点とするとともに他の旗34を到着点とし、出発点から線路上をたどって到着点まで読取装置20を移動させるゲームを行う遊戯モードである。
おしごとモードが開始されると、まず出発点と到着点を示す音声が出力され、出発点のコードを読み取ることでゲームが開始される。移動の過程において一定期間にわたり線路上に記載されたコードが読み取れなくなった場合には線路から外れたと認識して線路に戻るように促す音声が出力される。そして、到着点のコードを読み取ることでゲームが終了する。ゲームの終了に伴い遊戯モードはフリーモードに移行する。
【0054】
このように、モード設定表示のコードを読み取って遊戯モードを変更することで、同一のコードを読み取った場合であっても異なる処理を行うことを可能としている。これにより多彩な遊戯が可能となり、遊戯の興趣を向上することができる。
すなわち、一の領域から読み取ったコードに対応して情報出力手段から出力する情報を、当該一の領域のコードを読み取る前に読み取った他の領域のコードに応じて異ならせることが可能であることとなる。
【0055】
なお、以上の実施形態においては敷物30に描く図柄を地図としたが、これに限られずどのような図柄でも良い。例えば、絵本の各ページを順に並べた図柄として絵本のストーリーに沿った遊戯を行うことができるようにしても良い。また、折り畳んだ状態で本の様にして、一部のエリアのみで遊戯を行うことが可能となる。
また、読取装置20においては、読取部26から読取手段41までの経路を直線としているが、経路の途中に鏡を配して経路を曲げるようにしても良い。このようにすることで、読取手段41の設計の自由度が増し、装飾性を向上することができる。
【0056】
また、読取装置20は、コードを読み取る際の操作態様としてひねる動作を検出可能としたが、これ以外の操作態様を検出可能としても良い。
例えば敷物30に平行な移動であるスライド動作を検出可能としても良い。さらに、スライド動作の検出と向きの検出とから読取装置20の敷物30に対する移動態様や移動経路を検出可能としても良く、例えば円を描くように読取装置20を移動させたことなどを検出可能としても良い。
【0057】
また、コードはその形態から上下左右を区別可能となっており、一の図柄に記載された複数のコードの向きは全て同じ向きとされていることから、コードを読み取った際のコードの向きから敷物30に対する読取装置20の向きを検出可能としても良い。
これにより、敷物30における読取装置20の位置及び向きを検出可能となり、一のコードを読み取った場合でも読取装置20の位置と向きに応じて情報出力手段から出力する情報を異ならせることが可能となる。
例えば、
図1において「4」の旗34が描かれた位置に、機関車の先頭が右向きとなるように読取装置20が載置されていることを検出した場合には、「右にみなとがあるよ」という音声を出力したり、「この先を左に曲がって」という音声を出力可能である。逆に
図1において「4」の旗34が描かれた位置に、機関車の先頭が左向きとなるように読取装置20が載置されていることを検出した場合には、「右にえきがあるよ」という音声を出力したり、「うみが見えるよ」という音声を出力可能である。
【0058】
また、読取装置20は、コードを読み取り可能なカメラを備えた携帯端末に、読み取ったコードに対応する処理が可能なアプリケーションをインストールすることで構成するようにしても良い。これにより、スマートフォンのような汎用性のある携帯端末を用いて遊戯を行うことが可能となる。
また、読取装置20に通信機能を備え、コードの読み取り結果を外部のサーバー等に通信回線を通じて送信するとともに、サーバーからコードに対応する音声データ等を読取装置20が受信して出力するようにしても良い。
また、読取装置20にBluetooth(登録商標)やWi-Fiなどの通信機能を備え、スマートフォンなどの外部端末と接続することにより、外部端末にインストールされたアプリケーションソフトと連動したり、外部端末がサーバーにアクセスして様々な情報に繋げたりすることで、遊戯性を拡張することが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
10 電子玩具
20 読取装置
30 敷物
41 読取手段
43 スピーカー(情報出力手段)
50 透明シート
60 印刷層
61 コード層
62 図柄層
63 被覆層
70 基材シート