(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113219
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】育苗ポット
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20180101AFI20240815BHJP
【FI】
A01G9/02 620Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018032
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】593049914
【氏名又は名称】株式会社東海化成
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕太
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327NC02
2B327NC24
2B327ND03
2B327QA02
2B327QA04
2B327QB03
2B327QB11
2B327QB22
2B327VA06
(57)【要約】
【課題】画像が印刷された育苗ポットを提供する。
【解決手段】育苗ポット100は、ポット本体10を含む。ポット本体10は、ポット本体10の表面に印刷された画像20を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポット本体を含み、
前記ポット本体は、前記ポット本体の表面に印刷された画像を含む、
育苗ポット。
【請求項2】
前記画像は、MEKフリーインク印刷物である、
請求項1に記載の育苗ポット。
【請求項3】
前記ポット本体は、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、バイオマス材料含有樹脂製または生分解性樹脂製である、
請求項2に記載の育苗ポット。
【請求項4】
前記ポット本体は、軟質である、
請求項1または2に記載の育苗ポット。
【請求項5】
前記ポット本体の厚みは、0.1mm~0.5mmである、
請求項1または2に記載の育苗ポット。
【請求項6】
MEKフリーインクを使用した印刷により、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、バイオマス材料含有樹脂製または生分解性樹脂製のポット本体の表面に画像を印刷することを含む、
育苗ポットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育苗ポットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土と、植物の種または苗と、を収容可能な育苗ポットが知られている。
【0003】
特許文献1は、底部と、前記底部から立ち上がる側壁部と、前記側壁部の端縁に形成された開口部と、前記底部及び前記側壁部で囲まれ、培土及び苗を収容するための収容空間と、を備え、かつ、表示板を差し込み可能に構成した表示育苗ポットを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の育苗ポットでは、育苗ポットの製造メーカ名や商品名などの情報を表示する場合、情報が印刷されたシールを育苗ポットの表面に貼り付けたり、情報が印刷された表示板を育苗ポット内に挿入したりしていた。しかしながら、シールや表示板を使用すると、それらを廃棄する場合、ゴミが増えることになる。
【0006】
本発明は、画像が印刷された育苗ポットを提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、上記育苗ポットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下に掲げる態様の発明を提供する。
(項目1)
ポット本体を含み、
前記ポット本体は、前記ポット本体の表面に印刷された画像を含む、
育苗ポット。
【0009】
(項目2)
前記画像は、MEKフリーインク印刷物である、
項目1に記載の育苗ポット。
【0010】
(項目3)
前記ポット本体は、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、バイオマス材料含有樹脂製または生分解性樹脂製である、
項目2に記載の育苗ポット。
【0011】
(項目4)
前記ポット本体は、軟質である、
項目1から3のいずれか1項に記載の育苗ポット。
【0012】
(項目5)
前記ポット本体の厚みは、0.1mm~0.5mmである、
項目1から4のいずれか1項に記載の育苗ポット。
【0013】
(項目6)
MEKフリーインクを使用した印刷により、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、バイオマス材料含有樹脂製または生分解性樹脂製のポット本体の表面に画像を印刷することを含む、
育苗ポットの製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、ポット本体の表面に画像が印刷された育苗ポットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照しつつ、本発明の育苗ポット100について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0017】
育苗ポット100は、ポット本体10を含む。ポット本体10は、底壁11と、底壁11から立ち上がる側壁12と、を備える。ポット本体10の上端は開口している。底壁11および側壁12によって囲まれる空間内には、土および植物の種または苗が収容される。なお、
図1に示すポット本体10は四角形であるが、ポット本体10の形状は丸形など四角形以外の形状であってもよい。
【0018】
ポット本体10は、軟質であることが好ましい。ポット本体10の厚みは、例えば、0.1mm~0.5mmである。ポット本体10は、例えば、ブロー成形によって作製される。
【0019】
ポット本体10は、例えば、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、バイオマス材料含有樹脂製または生分解性樹脂製である。バイオマス材料含有樹脂とは、ポリエチレンもしくはポリプロピレンなどの非生分解性樹脂、またはポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)もしくはポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)などの生分解性樹脂に、デンプンや木粉などの植物由来の材料(バイオマス材料)を混合した樹脂のことである。また、生分解性樹脂としては、上記のPBS、PBATまたはPBSAが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
側壁12は、その外面に、画像20を含む。画像20は、例えば、インクジェット印刷によって印刷されている。画像20は、側壁12の外面に限定されず、側壁12の内面、底壁11の外面または底壁11の内面に印刷されていてもよい。画像20は、文字、図形、記号またはこれらの組み合わせを含む。画像20は、例えば、育苗ポット100の製造メーカ名または育苗ポット100の商品名である。画像20は、1次元コード(すなわち、バーコード)またはQRコード(登録商標)などの2次元コードであってもよい。
【0021】
一実施形態において、画像20は、ポット本体10を作製した後(すなわち、ポット本体10を立体的形状に加工した後)、ポット本体10に印刷される。画像20は、MEKフリーインクを用いたインクジェット印刷によって形成されていることが好ましい。MEKフリーインクとは、メチルエチルケトン(MEK)を含まないインクのことである。MEKフリーインクは、安価で、安全で、速乾性であるため、画像20を含む育苗ポット100を大量生産するのに適している。MEKフリーインクとしては、例えば、MK-14、MK-15またはMK-16(いずれも、株式会社キーエンス製)を使用できる。
【0022】
MEK含有インクを使用して印刷を行う場合、有機溶剤中毒予防規則(有機則)にしたがい、中毒の予防対策が必要になる。例えば、事業者は、有機溶剤作業主任者を選任したり、有機溶剤蒸気の発散源を密閉する設備を設置したりしなければならず、事業者にとって手間と多額の費用が掛かる。これに対し、MEKフリーインクを使用することにより、MEK含有インクを使用する場合のような中毒予防対策が不要になるため、育苗ポット100の製造コストを抑えることができる。
【0023】
一般に、軟質の育苗ポットの販売価格は、硬質の育苗ポットの販売価格に比べ安い。そのため、当業者の間で、軟質の育苗ポットの製造には、コストを掛けるべきではないと考えられている。既に述べたように、MEKフリーインクを使用することにより、育苗ポット100の製造コストを抑えることができるため、特に、軟質の育苗ポット100を安価に大量生産できる。
【0024】
多くのポット本体10は、ポリエチレン製またはポリプロピレン製であり、これらの素材に対するアルコール系インクの親和性(接着力)は低い。発明者が実験したところ、ポリエチレン製およびポリプロピレン製のポット本体10にアルコール系インクを使用して画像をインクジェット印刷しようとしても、アルコール系インクが弾かれ画像が印刷できなかったり、たとえ画像が印刷できたとしても、短時間で消えてしまったりした。一方で、発明者は、ポリエチレン、ポリプロピレン、バイオマス材料含有樹脂および生分解性樹脂に対するMEKフリーインクの親和性が高いことを見出し、それらの材料から成るポット本体10にMEKフリーインクを使用して画像20をインクジェット印刷したところ、MEKフリーインクがすぐに乾き、印刷された画像20は、長期にわたって消えず、維持された。
【符号の説明】
【0025】
100 育苗ポット
10 ポット本体
20 画像