(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011322
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ズボンのズレ下り防止のベルト取付構造
(51)【国際特許分類】
A41D 1/06 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A41D1/06 E
A41D1/06 501Z
A41D1/06 502E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113236
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】596122386
【氏名又は名称】永田 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100081824
【弁理士】
【氏名又は名称】戸島 省四郎
(72)【発明者】
【氏名】永田 秀幸
(57)【要約】
【課題】 ズボンの着用中でのズリ下りを確実に抑え、しかもズボンの脱着操作も通常のズボンと同様であって、何らの手間時間をかけずに行えて手軽に使用可能とするズボンのズレ下りを抑止できるベルト取付構造を提供する。
【解決手段】 ズボンの外側のウェスト位置に取付けられるウェストベルトの他に、そのウェストベルトの取付位置より下方のズボン裏地位置にU字状に上下に折り返した長方形状の生地の上端部を付着し、同U字状の折り返した内外に対向する生地の間に複数の縦長の変形可能な間隔保持部材を挿入するとともに、同間隔保持部材をU字状の内外の生地部分との間で接着材でもって固着するとともに、同固着した間隔保持部材の下方のU字状の内外の生地の折り返した中間の内端と上記間隔保持部材の固着した下端との間のベルト通し空間を形成し、同ベルト通し空間に第2ベルトを通して、第2ベルトによって前記間隔保持部材を人体側に密着させてU字状生地に働く摩擦力でズボンのズレ下りを抑止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズボンの生地の外面のウェスト位置に細長のウェストベルトを前記ズボンの外面に所定間隔をもって設けた複数のベルト通しに掛け通して巻装し、中間を下端にしてU字状に上下に折り返した1枚又は複数枚の長方形状の生地を、その折り返した前記各生地の二つの上端部を上方にしてズボンの胴廻りの裏地面に沿って配置するとともに、その上下に折り返した前記各生地の二つの上縁部を前記ズボンのウェスト位置のズボン裏地に縫糸又は接着材でもって付着し、その付着した部分を付着部とし、U字状に上下に折り返した各生地の外側生地部分と人体側の内側となる生地部分の二つ対向する生地部分の空間で且つ前記U字状生地の折り返し下端から所要のベルトの通し巾だけ離れた上方位置から生地の前記付着部の下端位置までの上下長さを有し且つ胴廻り方向に沿って所定間隔で複数個の縦長の長方形状の変形可能な間隔保持部材を配置し、そしてベルトの通し巾の前記上方位置から生地の前記付着部までの空間にある対向した前記U字状生地の前記内側・外側の生地部分と前記間隔保持部材とを縫糸又は接着材で一体的に接合させて上下方向に剛性を高めて座屈せずに上下方向の力を伝達でき且つ胴廻りの方向に対して人体外形になじむほどの変形可能性を有し、しかも前記内側生地の表面は人体又は肌着側と広い面積で密着してズレ下りに対して高い摩擦力の抗力を発生させる複合体を形成し、更に前記U字状の生地の折り返し下端から前記ベルトの通し巾の位置までの前記外側生地部分と前記内側生地部分との間にベルト通し空間を形成し、同ベルト通し空間に第2ベルトを通し、同第2ベルトをズボン前面となるベルト端に取付けたベルト止金具でベルト締めができるようにし、前記ウェストベルトを押し下げる力を前記複合体を介して第2ベルトのベルト全長で分散荷重させたことによる第2ベルトのベルト全長による高いベルト抗力と、さらに前記複合体の人体側となる内側の表面と人体又は肌着とに発生する摩擦力とによって受け止めて、ウェストベルト及びズボンのズレ下りを効果的に抑えることを特徴とする、ズボンのズレ下り防止のベルト取付構造。
【請求項2】
前記ズボンに巻装される前記ウェストベルトのバンド上縁と第2ベルトの上縁の巻装されるベルト上縁との間隔を30~80mmの範囲とした請求項1記載のズボンのズレ下がり防止ベルト取付構造。
【請求項3】
U字状生地の素材が皮生地で、間隔保持部材の素材が変形可能なプラスチック樹脂製である請求項1又は2記載のズボンのズレ下り防止ベルト取付構造。
【請求項4】
ズボンの生地の外面のウェスト位置に細長のウェストベルトを前記ズボンの外面に所定間隔をもって設けた複数のベルト通しに掛け通して巻装し、前記ズボンの胴廻りの裏地面で前記ウェストベルトの下端位置の内周に沿って、面ファスナー部分を有する一つ又は複数個の細長の第1面ファスナー帯を配置するとともに、同第1面ファスナー帯を前記胴廻りの裏地面に縫着し、1枚又は複数枚の長方形の第2生地を同第2生地の縦中間位置でU字状に折り返し、しかも、U字状に折り返された第2生地の対向した生地面間の上端と中間の折り返し内端との空間に、縦長形状の変形可能な第2間隔保持部材を所定ピッチで複数挿入し、折り返した前記第2生地の2つの折り返された第2生地の内面とその間に挿入された前記第2間隔保持部材のそれぞれの上部分を接着剤で互いに接着して接合するとともに、同接合の下方の折り返された第2生地の内面間に第2ベルトのベルト通し空間を残し、更にU字状に折り返された第2生地の外側となる生地面の上部位置に前記第1面ファスナー帯の面ファスナー部分と脱着自在に付着できる面ファスナー部分を有する第2面ファスナー帯を固着し、同第2面ファスナー帯をそれぞれ前記の面ファスナー部分の付着によって第1面ファスナー帯と脱着自在に取付けられるようにし、前記ベルト通し空間に第2ベルトを挿入した構造とし、前記第2ベルトの締付力でU字状折り返した第2生地に挿入された第2間隔保持部材を身体側に密着するように押圧して、第2生地の表面を人体又は人体の肌着側に押付けることによって第2生地にそれらの間の摩擦力でズレ下りの大きな抗力を発生させ、その結果としてズボンのズレ下りに対し、ズボンに固着した第1面ファスナー帯と前記面ファスナー部分で固着した第2面ファスナー帯とこれに固着した第2生地側面と人体側との上記摩擦の抗力で、ズボンのズレ下りを効果的に抑えることができるようにしたズボンのズレ下り防止のベルト取付構造。
【請求項5】
前記ズボンに巻装される前記ウェストベルトのバンド上縁と前記第2ベルトの上縁の巻装されるベルト上縁との間隔を70~100mmの範囲とした請求項4記載のズボンのズレ下り防止ベルト取付構造。
【請求項6】
U字状第2生地の素材が皮生地で、第2間隔保持部材の素材が変形可能なプラスチック樹脂製である請求項4又は5記載のズボンのズレ下り防止ベルト取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
人が着たズボンが人体に沿って下に着用中にズレ下らないように、ズボンを人体に密着させるズボンのズレ下り防止のベルト取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ズボンを人体にズリ下がりがないように着用するため、ズボンにウェストベルトをウェストの骨盤の上方の胴の括り部に掛け通すことでズボンのズリ落ちを防止している。しかし、括り部が少ない人では、このウェストベルトによる人体との係止力が弱くなって、ズボンが下方へ滑って、滑る毎にズボンを引き上げて、ウェストベルトで強く締めねばならなかった。又肥満の人の場合も胴廻りが大きくなって腰の上の括り部がない状態でズボンのズレ下りが発生し易いものであった。
かかるズボンのズレ下りを防止するにはウェストベルトを強く締めればズレ下りは改善するが、ウェストベルトが胴を締め過ぎて、人体の胴部を締め付けて人体の腸の調子を低下させ、血圧を高くするものであった。
【0003】
かかるズボンのズレ落ちを防止する方法として、肩に掛けたサスペンダーでズボンを吊り上げて、ズボンのズレ下がりを防ぐ方法がある。
しかしながら、サスペンダーは肌着の上又はシャツ、上着の内側で肩にサスペンダーを掛け渡すように取付けるため、サスペンダーの着付けに手間時間がかかるものとなっていた。更にサスペンダーは肩に荷重を常時与えるものであるので、肩に重さを感じさせるものであった。
【0004】
更に、特許文献1には、シャツの一部又はズボン上縁に面ファスナーを設け、そのズボン上縁の下方に第2ベルトのかくしベルトを配置し、第2ベルトのかくしベルトの所要ベルトの胴廻り位置に上方に延びた細長い合成樹脂約7本を布に包んだ構造の剛性があるベルト支持体を複数個所設け、同ベルト支持体の上部にシャツ又はズボン上縁に取付けた前記面ファスナーと脱着自在に付着する相手方となる面ファスナーの付着部を設けた構造としている。これによって特許文献1の発明ではズボンを下方に押し下げようとする引張荷重は、ウェストベルトによる主抗力と、ウェストベルトに荷重するズボン押下の引張荷重の一部は、面ファスナーを介してある程度剛性がある支持体を通じて下方の第2ベルト(かくしベルト)に荷重され、体に巻装した第2ベルトの抗力とによって受け止められる。
【0005】
このようにズボンを押し下げようとする引張荷重に対して、上方のウェストベルトと下方の第2ベルトとの二つの抗力によって、ズボンのズレ下りを抑えられるようになっている。即ち下方の第2ベルトがウェストベルトのズレ下りを下方から持ち上げるように補佐して防いでいると表現できる。
【0006】
しかしながら、大便のトイレの場合、ズボンを下方に下げるばかりでなく便座の前へ押し出して、人の尻が便座上に座れるようにするため、ズボンを前方へ移動させねばならない。そのため、一定長さの支持体では便座に座った姿勢にできにくいものであった。支持体の長さは歩行している直立状態で決められるものであり、便座での座姿勢では第2ベルトとウェストベルト間の拡がりによって便座に座る姿勢では第2ベルトとその定寸法の支持体の便座の座姿勢では第2ベルトと支持体の位置とが大きく変位するため、特許文献1の発明ではトイレ姿勢が難しいものとなっていた。
【0007】
又、引用文献1の発明で、第2ベルトであるかくしベルトのベルト支持体の上端の面ファスナーをシャツ側の面ファスナーに連結する例では、トイレ使用前に二つの面ファスナーを外し、使用後には面ファスナー同士を連結せねばならないが、その面ファスナーの分離と連結作業に手間と時間がかかるものとなっていた。更に、引用文献1の発明は、巾が短いかくしベルトの複数個所にベルト支持体の下端が取付けられているので、同ベルト支持体を介してウェストベルトの押し下げ力がかくしベルトのベルト支持体の下端位置に集中して、かくしベルトはベルト支持体のあるベルト個所に押し下げ力が集中して、かくしベルトのこの個所だけを波状にズレ下りが生起してかくしベルトがズレ下り易くなって、ウェストベルト・ズボンのズレ下りを抑止する力が弱いものであった。
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来のサスペンダーを使用したズボンのズレ下りの防止方法及び特許文献1のかくしベルトを使用するズレ防止構造での問題点である面ファスナーの脱着の手間・時間をなくし、更にウェストベルトからの押し下げ力を第2ベルトのベルト全長で分散支持することで第2ベルトのズレ下りをを抑えて、U字状の長方形の生地の摩擦力を使って効果的にズボンのズレ下りを少なくでき、更にトイレの時の便座に座る姿勢も無理なく行えるというズボンのズレを抑止できるベルト取付構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) ズボンの生地の外面のウェスト位置に細長のウェストベルトを前記ズボンの外面に所定間隔をもって設けた複数のベルト通しに掛け通して巻装し、中間を下端にしてU字状に上下に折り返した1枚又は複数枚の長方形状の生地を、その折り返した前記各生地の二つの上端部を上方にしてズボンの胴廻りの裏地面に沿って配置するとともに、その上下に折り返した前記各生地の二つの上縁部を前記ズボンのウェスト位置のズボン裏地に縫糸又は接着材でもって付着し、その付着した部分を付着部とし、U字状に上下に折り返した各生地の外側生地部分と人体側の内側となる生地部分の二つ対向する生地部分の空間で且つ前記U字状生地の折り返し下端から所要のベルトの通し巾だけ離れた上方位置から生地の前記付着部の下端位置までの上下長さを有し且つ胴廻り方向に沿って所定間隔で複数個の縦長の長方形状の変形可能な間隔保持部材を配置し、そしてベルトの通し巾の前記上方位置から生地の前記付着部までの空間にある対向した前記U字状生地の前記内側・外側の生地部分と前記間隔保持部材とを縫糸又は接着材で一体的に接合させて上下方向に剛性を高めて座屈せずに上下方向の力を伝達でき且つ胴廻りの方向に対して人体外形になじむほどの変形可能性を有し、しかも前記内側生地の表面は人体又は肌着側と広い面積で密着してズレ下りに対して高い摩擦力の抗力を発生させる複合体を形成し、更に前記U字状の生地の折り返し下端から前記ベルトの通し巾の位置までの前記外側生地部分と前記内側生地部分との間にベルト通し空間を形成し、同ベルト通し空間に第2ベルトを通し、同第2ベルトをズボン前面となるベルト端に取付けたベルト止金具でベルト締めができるようにし、前記ウェストベルトを押し下げる力を前記複合体を介して第2ベルトのベルト全長で分散荷重させたことによる第2ベルトのベルト全長による高いベルト抗力と、さらに前記複合体の人体側となる内側の表面と人体又は肌着とに発生する摩擦力とによって受け止めて、ウェストベルト及びズボンのズレ下りを効果的に抑えることを特徴とする、ズボンのズレ下り防止のベルト取付構造
2) 前記ズボンに巻装される前記ウェストベルトのバンド上縁と第2ベルトの上縁の巻装されるベルト上縁との間隔を30~80mmの範囲とした前記1)記載のズボンのズレ下がり防止ベルト取付構造
3) U字状生地の素材が皮生地で、間隔保持部材の素材が変形可能なプラスチック樹脂製である前記1)又は2)記載のズボンのズレ下り防止ベルト取付構造
4) ズボンの生地の外面のウェスト位置に細長のウェストベルトを前記ズボンの外面に所定間隔をもって設けた複数のベルト通しに掛け通して巻装し、前記ズボンの胴廻りの裏地面で前記ウェストベルトの下端位置の内周に沿って、面ファスナー部分を有する一つ又は複数個の細長の第1面ファスナー帯を配置するとともに、同第1面ファスナー帯を前記胴廻りの裏地面に縫着し、1枚又は複数枚の長方形の第2生地を同第2生地の縦中間位置でU字状に折り返し、しかも、U字状に折り返された第2生地の対向した生地面間の上端と中間の折り返し内端との空間に、縦長形状の変形可能な第2間隔保持部材を所定ピッチで複数挿入し、折り返した前記第2生地の2つの折り返された第2生地の内面とその間に挿入された前記第2間隔保持部材のそれぞれの上部分を接着剤で互いに接着して接合するとともに、同接合の下方の折り返された第2生地の内面間に第2ベルトのベルト通し空間を残し、更にU字状に折り返された第2生地の外側となる生地面の上部位置に前記第1面ファスナー帯の面ファスナー部分と脱着自在に付着できる面ファスナー部分を有する第2面ファスナー帯を固着し、同第2面ファスナー帯をそれぞれ前記の面ファスナー部分の付着によって第1面ファスナー帯と脱着自在に取付けられるようにし、前記ベルト通し空間に第2ベルトを挿入した構造とし、前記第2ベルトの締付力でU字状折り返した第2生地に挿入された第2間隔保持部材を身体側に密着するように押圧して、第2生地の表面を人体又は人体の肌着側に押付けることによって第2生地にそれらの間の摩擦力でズレ下りの大きな抗力を発生させ、その結果としてズボンのズレ下りに対し、ズボンに固着した第1面ファスナー帯と前記面ファスナー部分で固着した第2面ファスナー帯とこれに固着した第2生地側面と人体側との上記摩擦の抗力で、ズボンのズレ下りを効果的に抑えることができるようにしたズボンのズレ下り防止のベルト取付構造
5) 前記ズボンに巻装される前記ウェストベルトのバンド上縁と前記第2ベルトの上縁の巻装されるベルト上縁との間隔を70~100mmの範囲とした前記4)記載のズボンのズレ下り防止ベルト取付構造
6) U字状第2生地の素材が皮生地で、第2間隔保持部材の素材が変形可能なプラスチック樹脂製である前記4)又は5)記載のズボンのズレ下り防止ベルト取付構造
にある。
【発明の効果】
【0011】
請求項1,2,3記載の本発明では、上方の従来からのウェストベルトの下方に設けた第2ベルトは、ズボンの裏地に取付けた断面U字状の生地の下部に形成したベルト通し空間に挿入され、使用する際の面ファスナーによる取付け操作が不要であるので胴廻り方向のベルト止位置は自由で容易である。しかもこのU字状の生地の内ベルト通し空間の上縁から上方の付着部までの対向する二つの生地内面とその間の間隔保持部材とを一体的に接合させて複合体としているので、上下方向に剛性を高めて座屈せずに上下方向の力を伝達でき且つ胴廻りの方向に対して人体外形になじむ程の変形可能性を有し、しかも生地の人体側の外表面は人体又は肌着と広い面積で密着してズレ下りに対して高い摩擦力の抗力を発生させる複合体となり、これらに第2ベルトを挿入しベルトの長さを適切に調整して人体前面となる位置でベルト金具でベルト締めできる構造としている。第2ベルトは前記複合体を人体方向に締め付ける働きを有し生地の外表面に高い摩擦力を派生させてベルトのズレ下りを効果的に抑える。これによってU字状に折り返された長方形の生地は胴体に密着させて摩擦力を強く発生させ保持力とズレ下りの抗力となる。
【0012】
本発明の実施例1のU字状生地はズボン裏地に変位変形容易に取付けられるので、トイレ便座の座る姿勢も無理なくできる。
【0013】
請求項4,5,6の本発明では、U字状に折り返した第2生地は、その第2生地に取付けた第2面ファスナー帯とズボン側に固着した第1面ファスナー帯との面ファスナー部分の付着によって、第2生地はズボン側と脱着自在になっていて、更に第2生地の下方に通される第2ベルトによって第2生地の人体側の外表面を第2間隔保持部材を介して人体側又は肌着側に押し付けて、これらと第2生地の外表面との間に大きい摩擦力を発生させ、第2ベルトとその第2生地とで、ズボンのズレ下りの抗力を発生させ、ズボンのズレ下りを効果的に防ぐ。それとともに第2生地は第1及び第2面ファスナー帯によって脱着自在であるので、第2ベルトの上下位置の調整が容易であり、又洗濯時第2生地・第2ベルトを別に分離できるのでズボンの洗濯も容易である。更に、実施例2では第2生地が面ファスナー付着であるので脱着可能で所要の寸法の第2生地との交換も容易で、又第2ベルト位置の上下位置の調整も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1のズボンにおけるウェストベルトと第2ベルトと複合体を取付けた状態を示す説明図である。
【
図3】
図3は、実施例1の複合体の内部を示す展開図である。
【
図4】
図4は、実施例1の複合体の内側生地による摩擦発生状態の説明図である。
【
図5】
図5は、実施例2の第2生地の取付け構造を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施例2のズボン裏地と第1面ファスナー帯との関係を示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施例2の第2生地と挿入された間隔保持部材と第1面ファスナー帯と第2面ファスナー帯との取付け構造を示す縦断面図である。
【
図8】
図8は、実施例2の第2生地の外側の正面図である。
【
図9】
図9は、実施例2の第2生地の内側を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明では、間隔保持部材としては座屈しない程度のある程度の剛性を保有して上下の力の伝達ができて支持力を保持するもので、且つ人体形状に沿うように変形できる柔軟性がある素材がよく、変形できるプラスチック材が好ましい。
【実施例0016】
(
図1~4に示す実施例1)
図1~4に示す請求項1,2,3記載の発明の実施例1について以下の通り説明する。
ズボンJはデニム生地を使ったジーンズであり、ベルト通しBTはズボンJの上縁の外面に複数設けてあり、これに皮製ウェストベルトWBを通している。そしてU字状生地UKは縦辺176mmで長さ(横巾)350mm程の皮製の大きい長方形状生地を縦辺の中間を下端として上下に折り返したものをズボンJの裏面の胴廻りに二カ所設けている。従ってU字状生地UKは88mm×350mmの長方形状で折り返した生地部分をして外側生地UKOと内側生地UKIを有している。そして外側生地UKOと内側生地UKIの二つの上端部KJを前記ズボンJの上縁から25mm下方の内側位置に縫糸SSを縫止めして付着させて付着部KJFを形成している。
そして外側生地UKOと内側生地UKIの対向した生地面でその折り返し下端UKKから25mmのベルト巾位置から前記付着部KJFまでの範囲を接着材による接合領域としている。上記折り返し下端UKKから25mmの間は外側生地UKOと内側生地UKIとで形成されるベルト通し空間BSとなる。そして折り返し下端から約25mmのベルト通し空間RSの上端から58mm程上方の付着部KJFの下端まで外側生地UKOと内側生地UKIの間で55mm縦辺×25mm横巾で厚み1mmほどの変形可能なポリプロピレン製プラスチック板の間隔保持部材SBが20~45mmの間隔離して6個配置してある。もう一方のU字状生地UKも同じように6個の間隔保持部材SBが20~45mmの間隔離して配置している。そして第2ベルトSWの巾は18mmの綿製である。ウェストベルトWBの両端にはベルト金具WBKが取付けられ、又第2ベルトSWの両端にもベルト金具SWKが取付けられている。
そして、2つのU字状生地UKのベルト通し空間BSの上端から付着部KJFの下端との間で内側生地UKIと外側生地UKOで囲まれる間の上記プラスチック製の間隔保持部材SBと対向する各生地の生地面UKI,UKOは接着材C(ボンドクイック 登録商標・コニシ株式会社販売)によって互いに接合されて複合体FTを形成している。
【0017】
この実施例1ではズボンJの裏地の上縁下方に胴廻り方向に長い長方形状をした2つのU字状生地UKの上縁部は縫糸SSで縫着された付着部KJで連結されている。
従ってズボンJは通常通り着ることで2つのU字状生地UKは胴廻りの位置でズボンJの内側で人体側に挟まれた状態にある。
そして上方のウェストベルトWBと下方の第2ベルトSWを締めることで、皮製の対向したU字状生地UKの対向面及び内部の胴廻り方向に封入された6枚の間隔保持部材SBとを封入して接着材で一体化された複合体FTは、長方形状の複数の縦部材の間隔保持部材SBによって上下方向の剛性が高くなって変形変位するが座屈はしない状態にあって、第2ベルトSWで人体側に押し付けられるようになる。
従って、ウェストベルトWBのベルト押し下げの力は剛性を高めた複合体FTによって第2ベルトSWに荷重され、第2ベルトSWのベルト力でその押し下げ力のかなりの部分を支持してズレ下りを防止する。しかもウェストベルトWBの押し下げ力は複合体を介して下方の第2ベルトSWの全ベルトに分散して荷重することで第2ベルトSWのズレ下りもなく、高い支持力でウェストベルトWBの押し下げ力を受け止める。
【0018】
更に、上記複合体FTは変形変位可能であり、第2ベルトSWによって人体側へ引き寄せられて人体形状に倣うように変形変位する。これによって人体側の複合体FTのU字状生地の内側生地UKIが人体側の肌着又は人体に押し付けられて、その内側生地UKIの皮表面に高い摩擦力が働きこの複合体FTの摩擦力が、ズボンJ、ウェストベルトWBの下方へのズレ下りに対して抗力と働いて、ズレ下りを強く抑える。
【0019】
本発明の実施例1ではズボンJの内側に複合体が常時付着しているので特許文献1の如く、面ファスナーの分離・脱着のような使用する際の手間時間はなく、通常のズボンのみの場合と同様にして使用でき、しかもズボンのズレ下りを防止できる。
更に、トイレの便座に座る場合もズボンJの押し下げで複合体も押し下げられてトイレ便座に容易に座ることができる。又複合体は変形変位可能な自在さがあるので、ズボンJを下げて前方へ移動させてこの便座座りの姿勢に抵抗なくスムーズにできる。
このように、日常着用している間では本発明のズボンのズレ下りを効果的に抑え、しかもトイレをする場合の不便さはなくズボン着用と変わらない状態で使える。
【0020】
(実施例2)
請求項4,5,6の本発明の
図5~9に示す実施例2を以下詳細に説明する。
この実施例2は、実施例1の生地と同様に第2ベルトを通すU字状に折り返した第2生地を使用するが、実施例1のU字状生地はその上端部をズボンの裏生地に直接縫止めて固着するのに対し、実施例2ではU字状第2生地と、ズボンの裏生地とにそれぞれ面ファスナー帯を設け、面ファスナー同士を付着することで実施例2のU字状第2生地はズボンの裏地に脱着自在に取付けられるようにし、第2ベルトを使用する場合にズボン内側に第2生地を取付け、第2ベルトを使用しない場合には又は洗濯する場合等では、U字状第2生地を第1面ファスナー帯の面ファスナーから外すことができるようにしている。ズボンの裏生地の胴廻り部分に沿って第1面ファスナー帯を取付け、そしてU字状第2生地の折り返した上端部外側に第2面ファスナー帯を設け、第1面ファスナー帯から第2面ファスナー帯を互いに面ファスナー部分から脱着自在にできるようにしている。
【0021】
(実施例2の符号の説明)
実施例1と実施例2の共通の構成には、共通の用語と符号を用いている。
【0022】
図5~9に示す本発明の実施例2の用語と符号について説明する。実施例1と共通の用語には共通の符号を使用している。
図中、MFB1は実施例2の二つある第1面ファスナー帯で縦25mm、横長さは360mmと340mm程である。MF1は同第1面ファスナー帯MFB1に設けた面ファスナー部分、HTは第1面ファスナー帯MFB1をズボンJの胴廻り部の上端位置の裏生地に付着させる縫着部、UK2はU字状に折り返された高さ80mm、横長さ345mm程の第2生地、SB2は折り返された第2生地UK2の対向する生地面間挿入された65mm程の縦長の変形可能なポリプロピレン製プラスチック製の第2間隔保持材、Cは第2生地UK2の対向する内面とこの間に挿入された前記第2間隔保持材SB2の上部分を互いに接着する接着剤、BSは第2生地UK2の内面の下方に残された第2ベルトSWのベルト通し空間、MFB2はU字状に折り返された第2生地UK2の外側に設けた第2面ファスナー帯、MF2は同第2面ファスナー帯の面ファスナー部分である。
【0023】
図5~9に示す実施例2では、まずズボンJの裏生地の胴廻りのウェストベルトWBの位置の下端程の位置で細長の2個の第1面ファスナー帯MFB1の上端をそのズボン裏地の胴廻りに沿って縫止め(縫着部HT)で付着する。
次に、胴回りに延びた横長の2つのU字状に折り返した第2生地UK2の折り返した第2生地の対向する内面間に、所定ピッチで縦長の変形可能なポリプロピレン製プラスチック製の第2間隔保持材SB2を8又は9個程封入し、第2生地UK2の対向する内面と前記第2間隔保持材SB2とを下方のベルト通し空間BSを残して接着剤Cで接着する。この第2生地UK2のベルト通し空間BSに第2ベルトSWを通している。この二つある第2生地UK2の外側に設けた面ファスナー部分MF2を、ズボンJの裏生地に取付けた前記第1面ファスナー帯MFB1の面ファスナー部分MF1に対向するように設け、これらを押圧して連結させる。
【0024】
その後ウェストベルトWBと第2ベルトSWを締める。これによって、第2ベルトSWで締められて複数ある第2間隔保持部材SB2は人体側へ押圧されて、U字状に折り返された第2生地UK2の人体側側面は人体又は肌着と密着して、第2生地UK2はその密着による摩擦力による高い抗力は、第2生地UK2、及びこれの面ファスナー部分MF1で連結された第1面ファスナー帯MFB1及びこれと固着されたズボンJに伝達し、ズボンJのズレ下りが上記抗力で効果的に防止される。
【0025】
本実施例2では、U字状の第2生地UK2は第1面ファスナー帯MFB1と脱着自在であるので、第2生地UK2、及び第2ベルトSWの上下高さは調整可能であり、第2ベルトの位置を上下に調整可能にできる。しかも、別の縦横寸法が違う第2生地UK2を複数用意すれば、寸法が違う第2生地UK2の使用も自在にしている。又、更に洗濯する場合、第2生地UK2を取り外すことも容易であり、洗濯させないようにもできる。
以上のように実施例2は実施例1に比べ、更に使い易く、洗濯対応も容易にしている。