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  • 特開-樹脂フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113222
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】樹脂フィルム
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
B65D65/40 D BRF
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018041
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】立浪 忠志
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴史
【テーマコード(参考)】
3E086
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA13
3E086BA15
3E086BB85
3E086BB90
3E086CA01
3E086CA29
3E086CA35
3E086DA08
(57)【要約】
【課題】再生樹脂を含み、表面に凸部を有しながら外観が優れた樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】再生樹脂を含む可撓性の樹脂フィルムであって、この樹脂フィルムの表面には周縁から突出するように形成された凸部を1500cm2当たり1個以上有し、凸部の形成領域における樹脂フィルムの最大厚みは、凸部の形成領域以外の領域における樹脂フィルムの平均厚みよりも8μm以上大きく、さらに、凸部を有する少なくとも一方の表面の光沢度が200%以下である樹脂フィルム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生樹脂を含む可撓性の樹脂フィルムであって、
前記樹脂フィルムの表面には周縁から突出するように形成された凸部を1500cm2当たり1個以上有し、
前記凸部の形成領域における前記樹脂フィルムの最大厚みは、前記凸部の形成領域以外の領域における前記樹脂フィルムの平均厚みよりも8μm以上大きく、
さらに、前記凸部を有する少なくとも一方の前記表面の光沢度が200%以下である、
樹脂フィルム。
【請求項2】
前記凸部の形成領域における前記樹脂フィルムの前記最大厚みが、前記凸部の形成領域以外の領域における前記樹脂フィルムの前記平均厚みよりも5%以上大きい、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項3】
前記樹脂フィルムが、金属蒸着処理が施された金属蒸着樹脂フィルム層または金属層を含む、請求項1または2に記載の樹脂フィルム。
【請求項4】
前記樹脂フィルムが、前記再生樹脂を主成分として含有する樹脂フィルム層である再生樹脂フィルム層を含む、請求項1または2に記載の樹脂フィルム。
【請求項5】
前記再生樹脂フィルム層の主成分がポリエチレン樹脂であり、さらに前記再生樹脂フィルム層はポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂を含む、請求項4に記載の樹脂フィルム。
【請求項6】
前記凸部を有し且つ光沢度が200%以下である前記表面は、マット剤を含む材料がコーティングされるマット処理が施されている、請求項1または2に記載の樹脂フィルム。
【請求項7】
前記凸部を有し且つ光沢度が200%以下である前記表面は、凹凸加工が施された面を有するマット状樹脂フィルム層が積層されて形成されている、請求項1または2に記載の樹脂フィルム。
【請求項8】
請求項1または2に記載の樹脂フィルムを含む、フィルム容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂フィルム、およびそれを含むフィルム容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題などの観点から、熱可塑性樹脂などを含む使用済みプラスチック材を回収し、再生樹脂(再生樹脂材料)として、この再生樹脂を樹脂フィルム等の製造に用いる取り組み(マテリアルリサイクル)が行われている。けれども、このような再生樹脂を用いて樹脂フィルムを製造すると、不純物や相溶性が低い樹脂成分などが異物となり、この異物が起点となって表面が突出した部分(凸部、例えばフィッシュアイなど)が生じ、外観が損なわれる場合があった。したがって、再生樹脂を含む樹脂フィルムにおいては、このフィッシュアイなどによるフィルム外観の低下を防ぐことが求められる。
【0003】
そして、例えば特許文献1には、樹脂成形体の廃材を再利用した、フィッシュアイなどの外観欠点の少ない光学フィルムを製造する方法として、脂環式構造を有する重合体樹脂のバージン材を用いて成形された成形体を溶融し、再生ペレットを得る工程、および再生ペレットをフィルム状に成形する工程を含み、バージン材および再生ペレットの、JIS K7210に基づき、温度280℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレートの差が±5%以内であり、バージン材を用いて成形した厚さ3mmの板と、再生ペレットを用いて成形した厚さ3mmの板との、黄色度の差が1.5以下である再生ペレットを用いる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-218277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1の方法では特定の再生ペレットを用いる必要がある。よって、当業界においては、再生樹脂を含む樹脂フィルムについて、フィッシュアイなどによる外観の低下を防ぐための新たな技術の開発が引き続き求められている。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、再生樹脂を含み、表面に凸部を有しながら外観が優れた樹脂フィルム、およびそれを含むフィルム容器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、再生樹脂を含む可撓性の樹脂フィルムであって、樹脂フィルムの表面には周縁から突出するように形成された凸部を1500cm2当たり1個以上有し、この凸部の形成領域における樹脂フィルムの最大厚みは、凸部の形成領域以外の領域における樹脂フィルムの平均厚みよりも8μm以上大きく、さらに、凸部を有する少なくとも一方の表面の光沢度が200%以下である樹脂フィルムに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、再生樹脂を含み、最大厚みが所定以上である凸部を表面に有しながら外観が優れた樹脂フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る樹脂フィルムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を用いて説明する。なお、図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、一部については、便宜上、符号を付していない(省略している)箇所がある。さらに、図面に示された各部材の寸法比率は、発明の理解を容易にするために、実際の寸法比率とは異なる場合がある。
【0011】
<全体構成>
まず、本発明に係る樹脂フィルム、およびそれを含むフィルム容器の実施形態の全体構成について説明する。
本発明に係る樹脂フィルムは、以下の実施形態を包含するものである。
【0012】
本実施形態に係る樹脂フィルム100は、再生樹脂を含む可撓性の樹脂フィルムであって、この樹脂フィルム100の表面(少なくとも一方の表面)には周縁から突出するように形成された凸部33を1500cm2当たり1個以上有する。また、この凸部33の形成領域Fにおける樹脂フィルム100の最大厚みD1は、凸部33の形成領域F以外の領域における樹脂フィルム100の平均厚みD2よりも8μm以上大きい。さらに、凸部33を有する少なくとも一方の表面の光沢度が200%以下である。
【0013】
そして、本実施形態に係る樹脂フィルム100は、樹脂フィルムとしての特性を有する限り形状等は限定されないが、複数の樹脂フィルム層が積層されたシート形状の積層フィルム(積層樹脂フィルム)であると好適である。例えば、共押出積層フィルム層やドライラミネートフィルム層を含む積層フィルムとするのが製造のし易さなどの観点から好ましく、これらをいずれも含む構成や、これらのいずれかからなる構成などであっても良い。
ここで、「共押出積層フィルム層」とは、各樹脂フィルム層に用いる樹脂または樹脂混合物を、それぞれ別々の押出機で加熱溶融させ、必要に応じて厚みが10μm未満のアンカー層(接着層)を積層間に用いながらフィルム状に共押出成形されて積層および接合された多層樹脂フィルム層である。また、「ドライラミネートフィルム層」とは、接合させる樹脂フィルム層の各面の少なくとも一方の面に、溶剤により希釈された接着剤をコーティング後に乾燥することによって溶剤を揮発させてドライラミネート接着層を形成し、これらを積層させて、必要であれば加熱または加圧をして、このドライラミネート接着層により接合させた多層樹脂フィルム層である。
【0014】
さらに、本実施形態に係る樹脂フィルム100を使用して、この樹脂フィルム100を含むフィルム容器(可撓性のフィルム容器)を形成することができる。例えば、本実施形態に係る樹脂フィルム100が少なくともフィルム容器の前面、後面、および底面を構成するように且つ光沢度が200%以下の表面が容器外面側となるように折り畳まれ、周縁の対向する樹脂フィルム層(シーラント層)が接合されて、本実施形態に係る樹脂フィルム100が収容領域を包囲するように製袋されて袋状となったものなどが示される。なお、このフィルム容器は、底面を下側にして載置面に設置された状態で自立可能な形態に限定されるものではなく、例えば、自立せず寝かせて載置することを想定したものなどであっても良い。
そして、このフィルム容器の収容領域に収容物を収容して容器詰め品とすることもできる。つまり、フィルム容器の収容領域に収容物が収容された容器詰め品を得ることもできる。
【0015】
また、このフィルム容器には、収容物を収容および排出が可能な開口部が設けられているが、この開口部としては、繰り返し開閉可能な口栓構造を有する構成(スパウト)などが例示される。あるいは、この開口部は、収容領域における樹脂フィルム100(シーラント層どうし)の非接合部分であり、この非接合部分から収容物を収容し、ヒートシールなどによってこの非接合部分が接合されて密封された構成であって、収容物の排出時には密封されている開口部の一部が切除される構成あっても良く、フィルム容器の形態などに応じて適宜選択可能である。
【0016】
このフィルム容器の収容領域に収容可能な収容物としては、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、ボディーソープ、洗顔料、洗剤、漂白剤、柔軟剤、飲料、食品、エンジンオイルなどが挙げられる。なお、この収容物は、液体(ペースト状のものを含む)であっても良いし、固体(例えば、粒状のもの(顆粒状のものを含む)、あるいは粉状のものなど)であっても良い。
【0017】
<樹脂フィルムの層構成>
次に、本実施形態に係る樹脂フィルム100の層構成について図1を用いて詳細に説明する。なお、図1は、本実施形態に係る樹脂フィルム100の断面図の一例である。
【0018】
本実施形態に係る樹脂フィルム100の層構成は、少なくとも再生樹脂を含む樹脂材料により構成された樹脂フィルム層(再生樹脂含有樹脂フィルム層)を含む限り他は限定されない。例えば、樹脂フィルム層が再生樹脂含有樹脂フィルム層の単層である実施形態や、再生樹脂含有樹脂フィルム層と、バージン樹脂材料により構成された樹脂フィルム層(バージン樹脂フィルム層11)と、が複数積層された多層(積層フィルム)の実施形態などとすることができる。
【0019】
特に、本実施形態に係る樹脂フィルム100は、再生樹脂を主成分として含有する樹脂フィルム層である再生樹脂フィルム層21を含んでいても、上記した構成により本発明の効果が発揮されることが特徴である。この再生樹脂フィルム層21は、再生樹脂を主成分として含有するため異物31がより生じ易い傾向があり、フィルム表面に上記したような凸部33がより生じ易い傾向があるが、本実施形態に係る樹脂フィルム100は、再生樹脂フィルム層21を含んでいても外観が優れたものとなる。例えば、再生樹脂フィルム層21と、バージン樹脂フィルム層11と、が積層された多層(積層フィルム)の実施形態などが示される。
【0020】
ここで、この「主成分」とは、その樹脂フィルム層の全量に対して50質量%超含まれることを意味し、この割合は55質量%以上であっても良く、60質量%以上であっても良く、65質量%以上であっても良く、70質量%以上であっても良く、75質量%以上であっても良く、80質量%以上であっても良い。以下においても同様である。よって、再生樹脂フィルム層21は、再生樹脂が50質量%超含まれる樹脂フィルム層であるとも言える。そして、この再生樹脂の含有割合がより高くても(異物31がさらに生じ易い傾向であっても)、上記構成によって外観が優れたものとなる。
【0021】
本実施形態に係る樹脂フィルム100に含まれる樹脂フィルム層を構成する樹脂材料(バージン樹脂材料、再生樹脂材料)としては、例えば、ポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂などが挙げられる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。なお、このポリエチレン樹脂には、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、これらのいずれかを延伸した一軸延伸ポリエチレン(OPE)、二軸延伸ポリエチレン(BOPE)などが包含される。また、サトウキビの廃糖蜜などから製造されたバイオエタノールを脱水、重合することにより得られるバイオポリエチレン(BioPE)も包含される。そして、これらを2種以上混合して使用しても良い。また、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、非晶性ポリエチレンテレフタレート(非晶性PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)などが挙げられる。さらに、延伸ナイロン(ONy)、未延伸ナイロン(CNy)、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、MXD6等のポリアミド樹脂や、塩化ビニル樹脂(PVC)、塩化ビニリデン樹脂(PVDC)なども挙げられるが、これらに限定されない。そして、これらからなる群から選ばれる1つを、あるいは2以上を組み合わせて樹脂フィルム層の構成材料として使用することができる。
【0022】
なお、本実施形態に係る樹脂フィルム100は、再生樹脂フィルム層21を含む場合において、この再生樹脂フィルム層21の主成分がポリエチレン樹脂であり、さらにこの再生樹脂フィルム層21がポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂を含む構成であっても良い。ポリエチレン樹脂とポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂とは非相溶であるため、ポリエチレン樹脂を主成分とする再生樹脂フィルム層21において、含まれるポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂が異物31となってフィルム表面に凸部33(例えばフィッシュアイなど)がより生じ易い傾向があるが、本実施形態に係る樹脂フィルム100は、このような構成であっても外観が優れたものとなる。
ここで、この「主成分」も前述と同様の意味であり、ポリエチレン樹脂が50質量%超含まれる再生樹脂フィルム層21を意味しているが、この50質量%超含まれるポリエチレン樹脂は、再生樹脂(再生ポリエチレン樹脂)であっても良く、バージン樹脂(バージンポリエチレン樹脂)であっても良く、これら両方(再生ポリエチレン樹脂とバージンポリエチレン樹脂との合計)であっても良い。また、上記したポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂も、再生樹脂由来であっても良い。なお、再生樹脂フィルム層21が再生ポリエチレン樹脂を主成分として含む構成であっても同様の効果が発揮される。
【0023】
さらに、本実施形態に係る樹脂フィルム100は、樹脂フィルム層を含む限り、その面や層間などに印刷層(オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等により形成された層など)、保護層(メジウム印刷層、ニスやセルロースナノファイバー(CNF)等がコーティングされたコーティング層、UV吸収層など)、無機層(アルミ箔等の金属層など)等を含む実施形態であっても良い。さらに、無機酸化物(シリカ、アルミナなど)または金属(アルミなど)が樹脂フィルム層の面に蒸着された蒸着樹脂フィルム層を含んでいても良い。
【0024】
ここで、本実施形態に係る樹脂フィルム100の層構成(層配置)についてより具体的に説明する。本実施形態に係る樹脂フィルム100は、前述したように、再生樹脂含有樹脂フィルム層を1層以上含む限り他は限定されないが、例えば、再生樹脂を主成分として含有する再生樹脂フィルム層21を1層以上含む構成であっても良い。この場合において、フィルム容器への使用などの観点から、例えば図1に示すような、再生樹脂フィルム層21が2以上のバージン樹脂フィルム層11に挟まれて中間層として配置(積層)されている構成であるか、あるいはフィルム容器を形成したときに最も容器外部側となる樹脂フィルム層として再生樹脂フィルム層21が配置されていると好適である。フィルム容器に用いたときに、収容する収容物が再生樹脂フィルム層21と直接接しない構成とし易いからである。図1に示す実施形態では、再生樹脂フィルム層21が、蒸着処理が施されていない未蒸着バージン樹脂フィルム層15と、別の未蒸着バージン樹脂フィルム層15および金属蒸着バージン樹脂フィルム層17と、に挟まれて中間層として配置(積層)されている。なお、再生樹脂フィルム層21がフィルム容器を形成したときに最も容器外部側となる樹脂フィルム層として配置されている場合には、この再生樹脂フィルム層21に金属蒸着処理が施されていても良い。
【0025】
本実施形態に係る樹脂フィルム100の平均厚みD2(凸部33の形成領域F以外の領域における樹脂フィルム100の平均厚み)は、限定されるものではないが、下限は50μm以上であって良く、100μm以上であっても良く、120μm以上であっても良く、150μm以上であっても良い。上限は300μm以下であって良く、250μm以下であっても良く、200μm以下であっても良い。本実施形態に係る樹脂フィルム100がこのような平均厚みD2であり且つフィルム表面に最大厚みD1が所定以上である凸部33を有していても、上記した構成により外観が優れたものとなる。
ここで、この「平均厚み」とは、樹脂フィルム100における凸部33の形成領域F以外の領域を任意に10箇所選択してその厚みを厚み計(例えばMitutoyo社製、マイクロメータなど)によって測定し、それらの値を平均したものである。以下においても同様である。
【0026】
<凸部>
次に、本実施形態に係る樹脂フィルム100の表面に形成されている凸部33について図1を用いて詳細に説明する。
【0027】
本実施形態に係る樹脂フィルム100の表面には、周縁から突出するように形成された凸部33を1500cm2当たり(一方の表面における所定の表面積当たり)1個以上有する。そして、この凸部33の形成領域Fにおける樹脂フィルム100の最大厚みD1は、凸部33の形成領域F以外の領域における樹脂フィルム100の平均厚みD2よりも8μm以上大きい。つまり、この凸部33は、樹脂フィルム100の表面において周縁から突出するように形成され(例えば周縁から突出し且つ凸部33の形成領域Fの厚みが凸部33の形成領域F以外の領域における平均厚みD2よりも大きくなるように形成され)、さらにこの凸部33の形成領域Fにおける樹脂フィルム100の最大厚みD1が凸部33の形成領域F以外の領域における樹脂フィルム100の平均厚みD2よりも8μm以上大きくなっている。例えば図1の実施形態では、D1-D2が8μm以上となっており、さらに凸部33の形成領域Fの厚みは平均厚みD2より大きくなっている。なお、図1では、樹脂フィルム100の両方の表面に異物31の影響により形成された凸部33(対向する凸部33)を有する実施形態を示しているが、この凸部33が一方の表面のみに形成されている実施形態であってもよい。このような凸部33は、樹脂フィルム100の表面の外観を低下させ易い傾向があるが、本実施形態に係る樹脂フィルム100は、このような凸部33を有していても上記した構成により外観が優れたものとなる。この凸部33は、限定されるものではないが、周縁から略半球状に突出するように形成されたものなどが例示され、再生樹脂中に含まれる異物31により生じたフィッシュアイなどがより具体的な例として示される(図1)。そして、この最大厚みD1と平均厚みD2との差が8μm未満であるものは本実施形態に係る樹脂フィルム100の凸部33には包含されない。
【0028】
ここで、この「最大厚み」とは、凸部33の形成領域Fにおける樹脂フィルム100の最も大きい厚みである(図1のD1)。以下においても同様である。そして、本実施形態に係る樹脂フィルム100は、この凸部33の形成領域Fにおける最大厚みD1が、凸部33の形成領域F以外の領域における平均厚みD2よりも9μm以上、さらには10μm以上、さらには15μm以上、さらには18μm以上、さらには20μm以上、さらには25μm以上、さらには30μm以上であっても、上記した構成により外観が優れたものとなる。この差の上限は特段限定されないが、100μm以下であっても良く、80μm以下であっても良く、60μm以下であっても良い。
【0029】
また、本実施形態に係る樹脂フィルム100は、この凸部33の形成領域Fにおける樹脂フィルム100の最大厚みD1が、樹脂フィルム100の凸部33の形成領域F以外の領域における樹脂フィルム100の平均厚みD2よりも5%以上大きくても(平均厚みD2に対する割合として5%以上大きくても)、上記した構成により外観が優れたものとなる。つまり、平均厚みD2に対する最大厚みD1の比率が所定以上である場合でも同様の効果が発揮される。そして、この割合が6%以上、さらには8%以上、さらには10%以上、さらには12%以上、さらには15%以上、さらには20%以上であっても良い。この上限は特段限定されないが、50%以下であっても良く、40%以下であっても良く、35%以下であっても良い。
なお、再生樹脂含有樹脂フィルム層の凸部33を有し且つ光沢度が200%以下である表面側にバージン樹脂フィルム層11が1層以上積層された構成である場合、この凸部33の形成領域Fにおける最大厚みD1が、この積層されたバージン樹脂フィルム層11の合計の厚み(平均厚み)よりも10%以上、さらには20%以上大きい構成であっても良い。
【0030】
さらに、本実施形態に係る樹脂フィルム100は、この凸部33を表面1500cm2当たり1個以上有するが、これを2個以上、さらには5個以上、さらには8個以上、さらには10個以上有していても、上記した構成により外観が優れたものとなる。この上限は特段限定されないが、100個以下であっても良く、50個以下であっても良く、30個以下であっても良い。なお、この表面1500cm2当たりの凸部33の個数は、一方の表面における個数(一方の表面当たりの個数)であり、樹脂フィルム100の両面に形成された凸部33の個数を合計したものではない。
【0031】
なお、この凸部33の1個当たりの形成領域Fの面積(表面積)は、限定されるものではないが、下限は0.01mm2以上、さらには0.1mm2以上、さらには0.2mm2以上であって良く、上限は、150mm2以下、さらには120mm2以下、さらには100mm2以下、さらには70mm2以下、さらには50mm2以下、さらには25mm2以下、さらには10mm2以下、さらには5mm2以下、さらには1mm2以下であって良い。本実施形態に係る樹脂フィルム100は、このような表面積の凸部33をフィルム表面に有していても、上記した構成により外観が優れたものとなる。
また、図1に示すような、樹脂フィルム100の両方の表面に凸部33(対向する凸部33)を有する実施形態の場合、この凸部33の形成領域Fの面積(表面積)を用いて、樹脂フィルム100の両方の表面に形成された対向する凸部33の面積比および前述したD1-D2から、一方の凸部33の周縁からの突出の最大高さを算出することもできる。例えば、対向する凸部33の表面積が実質的に同じ場合(面積比が概ね1:1の場合)には、対向する凸部33のそれぞれの周縁からの突出の最大高さはいずれも4μm以上となる。そして、この対向する凸部33の少なくとも一方の周縁からの突出の最大高さが4.5μm以上、さらには5μm以上、さらには7.5μm以上、さらには9μm以上、さらには10μm以上、さらには12.5μm以上、さらには15μm以上であっても、上記した構成により外観が優れたものとなる。
【0032】
<光沢度>
次に、本実施形態に係る樹脂フィルム100の凸部33を有する表面の光沢度について詳細に説明する。
【0033】
本実施形態に係る樹脂フィルム100は、凸部33を有する少なくとも一方の表面の光沢度が200%以下となっている。つまり、樹脂フィルム100の一方の表面にのみ凸部33が形成されている場合には、その表面の光沢度が200%以下となっており、樹脂フィルム100の両方の表面にそれぞれ凸部33が形成されている場合には、その少なくとも一方の表面の光沢度が200%以下となっている。例えば、樹脂フィルム100に形成されている凸部33のうち、周縁からの突出が最も大きい凸部33を有する表面の光沢度が200%以下となっていても良い。なお、この「周縁からの突出が最も大きい凸部」とは、個々の凸部33を比較したときに、フィルム表面における周縁からの突出の最大高さが最も大きい意味である。
この最大厚みD1が所定以上である凸部33を有する少なくとも一方の表面(例えば周縁からの突出が最も大きい凸部33が形成されている表面)の光沢度を200%以下と厳密に調整することにより、このような凸部33を表面に有しながらその外観が優れた樹脂フィルム100となっている。そして、この光沢度は、例えば後述するマット処理等や印刷(印刷層)などにより調整することができる。
【0034】
ここで、この「光沢度」は、JIS Z8741(1997)による光入射角60度での光沢度を意味し、高光沢グロスチェッカー(例えば、堀場製作所社製のIG-410など)により測定される値である。なお、この表面の光沢度は、後述する実施例で示されるように、200%を境界としてこれ以下に厳密に調整することで十分な効果が発揮されるものであるが、この光沢度が197%以下であるのがさらに好ましく、195%以下であるのがさらに好ましい。
【0035】
そして、本実施形態に係る樹脂フィルム100は、金属蒸着処理が施された金属蒸着樹脂フィルム層または金属層を含む構成でも本発明の効果が十分に発揮されることが特徴である。例えば、金属蒸着樹脂フィルム層を含む複数の樹脂フィルム層が積層されて形成されている構成や、1以上の金属層と1以上の樹脂フィルム層(金属蒸着樹脂フィルム層を含んでいてもよい)とが積層されて形成されている構成でも本発明の効果が十分に発揮される。より具体的には、凸部33を有し且つ光沢度が200%以下である表面側から順に、AL-PET/PE、あるいはONy/AL-PET/PEの積層構成などが例示され、さらにこれらの外面側(凸部33を有し且つ光沢度が200%以下である表面側)に、後述するようなマット処理(マットニスコーティング等)が施されていてもよい。このAL-PETとは、PET層の内面側(上記例ではいずれもPE側)にアルミ蒸着が施されたアルミ蒸着PETの意味である。
金属蒸着樹脂フィルム層や金属層(特にバージン樹脂フィルム層11に金属蒸着処理が施された金属蒸着樹脂フィルム層)を含む樹脂フィルムの場合、その表面の光沢度がより高くなり易いことから、この表面に凸部33が形成されているとより目立ち易く外観が損なわれ易い傾向があるが、本実施形態に係る樹脂フィルム100は、このような構成であっても外観が優れることが特徴である。特に、この場合において、凸部33を有し且つ光沢度が200%以下である表面が後述するようなマット処理が施されている構成やマット状樹脂フィルム層が積層されて形成されている構成であると、本発明の効果がさらに発揮され易い。なお、金属蒸着樹脂フィルム層または金属層を含む場合においては、耐傷性などの観点から、金属蒸着樹脂フィルム層の金属蒸着面および金属層の両面が樹脂フィルム100の表面に配置されない層構成(積層構成)であるのが好ましい。例えば、樹脂フィルム100に含まれる金属蒸着樹脂フィルム層の金属蒸着面側および金属層の両面側に金属蒸着を含まない樹脂フィルム層(未蒸着樹脂フィルム層)が積層された層構成などであるのが好ましい。
【0036】
金属蒸着樹脂フィルム層としては、アルミ(Al)が蒸着処理されたアルミ蒸着樹脂フィルム層が代表例として挙げられるが、他の金属(金、銀、銅、亜鉛など)が蒸着処理されたものであっても良く、これらからなる群から選ばれる2以上が併用されて蒸着処理されたものであっても良い。また、金属層としては、金属箔(例えばアルミ箔、金箔等)などが例示される。
【0037】
さらに、この凸部33を有し且つ光沢度が200%以下である表面は、マット剤を含む材料がコーティングされるマット処理が施されている構成(マット処理が施された表面)であると好適である。この凸部33を有する表面の光沢度を200%以下に調整し易いからである。例えば、マット剤を含むマットニススプレー等の材料がこの凸部33を有する表面に塗布される処理などが例示される。
【0038】
このマット剤としては、凸部33を有する表面の光沢度を200%以下とすることが可能なものである限り限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、カーボンブラック等の微粉末、樹脂微粉末などが好ましいマット剤として示される。この微粉末のレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置によって測定される平均粒子径(体積積算分布50%径(D50))は、30μm以下などであって良い。そして、このようなマット剤をコーティング基材や溶媒などに分散させて(マットニス等)コーティング処理を行えば良い。マット剤のコーティング処理としては、例えば、マットニスをグラビア印刷、フレキソ印刷、凸版輪転印刷、オフセット印刷等の公知の印刷方法を用いて塗工する処理が例示される。
【0039】
また、この凸部33を有し且つ光沢度が200%以下である表面は、凹凸加工(平均厚みD2との差が8μm未満、さらには5μm未満、さらには1μm未満であるような微細な凹凸を形成する加工)が施された面を有するマット状樹脂フィルム層が積層されて(最表層として積層されて)形成されていても好適である。これもこの凸部33を有する表面の光沢度を200%以下に調整し易いからである。例えば、エンボス加工が施された面を有する樹脂フィルム層が、この面がフィルム表面側となるように積層されて形成された構成などが例示される。なお、この場合も、この光沢度が200%以下である表面の最も外面側(最表層)にマット状樹脂フィルム層が配置された構成だけでなく、このマット状樹脂フィルム層のさらに外面側に印刷層や保護層などの上記した凹凸加工に大きな影響を与えない樹脂フィルム層以外の層が少なくとも一部積層されている構成も包含される。
【0040】
この樹脂フィルム層の面に凹凸加工を施す方法としては、上記したエンボス加工以外に、フィラー(例えば平均粒子径D50が8μm未満、さらには4μm未満である無機フィラー)などを樹脂フィルム層に練りこむ方法(練りこみ)や、微細な砂を樹脂フィルム層の面に投射して、凹凸をつける方法(サンドマット)などが例示される。
【0041】
<樹脂フィルムの製造方法>
次に、本実施形態に係る樹脂フィルム100の製造方法について説明する。
【0042】
本実施形態に係る樹脂フィルム100は、少なくとも再生樹脂含有樹脂フィルム層を含むようにして樹脂フィルム100を製造する限りにおいて、公知の樹脂フィルム製造方法を任意に用いることができ、特段限定されない。
例えば、図1に示す実施形態のように、まず、再生樹脂を主成分として含有する再生樹脂フィルム層21(例えば再生PE層)をバージン樹脂材料により構成されたバージン樹脂フィルム層11(例えばPE層)が挟むようにして共押出成形されて積層および接合された共押出積層フィルム層を形成し、さらに、この共押出積層フィルム層と、金属蒸着処理が施された金属蒸着バージン樹脂フィルム層17(例えばAL-PET層)と、をドライラミネート接合する方法により、本実施形態に係る樹脂フィルム100を製造することができる。
【0043】
なお、この製造に用いる再生樹脂は、例えば、以下のような方法により使用済み樹脂フィルムまたは使用済みフィルム容器から得られたものであっても良い。
具体的には、使用済み樹脂フィルムまたは使用済みフィルム容器が回収され、必要に応じて洗浄された後、その細断物を溶融し、押出や圧偏などを行うことによって樹脂ペレット(再生樹脂ペレット)を形成する。そして、この樹脂ペレットを再生樹脂として再生樹脂フィルム層21の製造等に用いる。なお、再生樹脂フィルム層21の製造等において、この再生樹脂と、バージン樹脂と、を併用することも可能である。このようにして、使用済み樹脂フィルムまたは使用済みフィルム容器から新たな樹脂フィルムへの水平リサイクル(フィルムtoフィルム)を実現することができる。特に、本実施形態に係る樹脂フィルム100は、この再生樹脂の製造において、使用済み樹脂フィルムまたは使用済みフィルム容器の含まれる樹脂成分の種類による厳密な選別を行わなくても、上記した構成によって外観が優れた樹脂フィルムを得られることが特徴である。
【0044】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例にも限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
【実施例0045】
<試験I>
下記表1に示すような、アルミ蒸着PET層(AL-PET層)12μmと、PE層65μm再生PE層20μmPE層65μmが共押出された樹脂フィルム層とをドライラミネートしたフィルム構成(AL-PET12//PE65再生PE20PE65)であり、フィルムの平均厚みが165μmであり、さらにフィルムの最大厚みが平均厚みよりも9~10μm(5.5~6.1%)大きい図1に示すような凸部(それぞれの表面の凸部はほぼ同じ大きさ)をアルミ蒸着PET層側の表面1500cm2当たり1個(比較例3)または10個(比較例1)有する樹脂フィルムを作製した。さらに、この比較例1のアルミ蒸着PET層側の表面をマット処理してその光沢度を段階的に低下させ(比較例2、実施例2、実施例1)、同様に、比較例3のアルミ蒸着PET層側の表面をマット処理してその光沢度を段階的に低下させた(比較例4、実施例3)。
【0046】
なお、比較例1および比較例3におけるアルミ蒸着PET層側の表面の凸部の数は目視および厚み計(Mitutoyo社製、マイクロメータ)により確認し、凸部の最大厚み(μm)をこの厚み計により測定した。
また、比較例1および比較例3の平均厚み(μm)は、凸部の形成領域以外の領域を任意に10箇所厚み計(Mitutoyo社製、マイクロメータ)により測定し、その平均値とした。
さらに、各実施例および各比較例のアルミ蒸着PET層側の表面の光沢度(%)は、その都度、高光沢グロスチェッカー(堀場製作所社製、IG-410)を使用して測定した。
そして、マット処理は、アルミ蒸着PET層側の表面にプラスチック用密着スプレー(カンペハピオ社製)をコーティング後に、マット剤としてシリカを含むマットニススプレー(和信ペイント社製、水溶性ツヤ消しニススプレー)をコーティングすることによって施した。
【0047】
そして、これらについて、その都度、アルミ蒸着PET層側の表面を目視により確認し、以下の評価基準により外観評価を行った。つまり、同じ凸部について光沢度を変えて外観評価を行った。
◎:凸部が目視で全く確認できない(均一な表面と目視で全く区別できない)
○:凸部が目視で確認できない
△:凸部が目視で確認できる
×:凸部が目視で明瞭に確認できる
××:2個以上の凸部が目視で明瞭に確認できる
【0048】
この結果を下記表1下段に示す。まず、アルミ蒸着PET層側の表面の光沢度が200%よりも高い比較例の結果から、その光沢度が200%超であると外観が低下し、光沢度がより高いほど凸部が目立つことが明らかとなった。一方、アルミ蒸着PET層側の表面の光沢度が200%以下である実施例の結果から、この光沢度を200%以下とすることにより凸部が目視で確認できない状態となり、光沢度がより低いほど外観が好ましいことが明らかとなった。そして、実施例2と比較例2との対比や実施例3と比較例4との対比から、この光沢度が200%を境界として効果が大きく異なることが示された。
【0049】
【表1】
【0050】
<試験II>
下記表2に示すような、アルミ蒸着PET層12μmと、PE層65μm再生PE層20μmPE層65μmが共押出された樹脂フィルム層とをドライラミネートしたフィルム構成(AL-PET12//PE65再生PE20PE65)であり、フィルムの平均厚みが165μmであり、さらにフィルムの最大厚みが平均厚みよりも18~20μm(10.9~12.1%)大きい図1に示すような凸部(それぞれの表面の凸部はほぼ同じ大きさ)をアルミ蒸着PET層側の表面1500cm2当たり1個(比較例7)または10個(比較例5)有する樹脂フィルムを作製した。さらに、この比較例5のアルミ蒸着PET層側の表面をマット処理してその光沢度を段階的に低下させ(比較例6、実施例5、実施例4)、同様に、比較例7のアルミ蒸着PET層側の表面をマット処理してその光沢度を段階的に低下させた(比較例8、実施例6)。
なお、比較例5および比較例7における凸部の数、凸部の最大厚み(μm)、平均厚み(μm)、各実施例および各比較例におけるアルミ蒸着PET層側の表面の光沢度(%)の測定、ならびにマット処理は、いずれも試験Iと同様の方法により行った。
【0051】
そして、これらについて、その都度、アルミ蒸着PET層側の表面を目視により確認し、試験Iと同じ評価基準により外観評価を行った。つまり、これも同じ凸部について光沢度を変えて外観評価を行った。
この結果を下記表2下段に示す。これも、アルミ蒸着PET層側の表面の光沢度が200%よりも高い比較例の結果から、その光沢度が200%超であると外観が低下し、光沢度がより高いほど凸部が目立つことが明らかとなった。一方、アルミ蒸着PET層側の表面の光沢度が200%以下である実施例の結果から、この光沢度を200%以下とすることにより凸部が目視で確認できない状態となり、光沢度がより低いほど外観が好ましいことが明らかとなった。つまり、凸部の最大厚みが試験Iより大きくても、同様の結果となることが示された。そして、実施例5と比較例6との対比や実施例6と比較例8との対比から、この場合も光沢度が200%を境界として効果が大きく異なることが示された。
【0052】
【表2】
【0053】
<試験III>
下記表3に示すような、アルミ蒸着PET層12μmと、PE層65μm再生PE層20μmPE層65μmが共押出された樹脂フィルム層とをドライラミネートしたフィルム構成(AL-PET12//PE65再生PE20PE65)であり、フィルムの平均厚みが165μmであり、さらにフィルムの最大厚みが平均厚みよりも33~34μm(20.0~20.6%)大きい図1に示すような凸部(それぞれの表面の凸部はほぼ同じ大きさ)をアルミ蒸着PET層側の表面1500cm2当たり1個(比較例11)または10個(比較例9)有する樹脂フィルムを作製した。さらに、この比較例9のアルミ蒸着PET層側の表面をマット処理してその光沢度を段階的に低下させ(比較例10、実施例8、実施例7)、同様に、比較例11のアルミ蒸着PET層側の表面をマット処理してその光沢度を段階的に低下させた(比較例12、実施例9)。
なお、比較例9および比較例11における凸部の数、凸部の最大厚み(μm)、平均厚み(μm)、各実施例および各比較例におけるアルミ蒸着PET層側の表面の光沢度(%)の測定、ならびにマット処理は、いずれも試験Iと同様の方法により行った。
【0054】
そして、これらについて、その都度、アルミ蒸着PET層側の表面を目視により確認し、試験Iと同じ評価基準により外観評価を行った。つまり、これも同じ凸部について光沢度を変えて外観評価を行った。
この結果を下記表3下段に示す。これも、アルミ蒸着PET層側の表面の光沢度が200%よりも高い比較例の結果から、その光沢度が200%超であると外観が低下し、光沢度がより高いほど凸部が目立つことが明らかとなった。一方、アルミ蒸着PET層側の表面の光沢度が200%以下である実施例の結果から、この光沢度を200%以下とすることにより凸部が目視で確認できない状態となり、光沢度がより低いほど外観が好ましいことが明らかとなった。つまり、凸部の最大厚みが試験IIよりさらに大きくても、同様の結果となることが示された。そして、実施例8と比較例10との対比や実施例9と比較例12との対比から、この場合も光沢度が200%を境界として効果が大きく異なることが示された。
【0055】
【表3】
【0056】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含する。
<1>再生樹脂を含む可撓性の樹脂フィルムであって、
前記樹脂フィルムの表面には周縁から突出するように形成された凸部を1500cm2当たり1個以上有し、
前記凸部の形成領域における前記樹脂フィルムの最大厚みは、前記凸部の形成領域以外の領域における前記樹脂フィルムの平均厚みよりも8μm以上大きく、
さらに、前記凸部を有する少なくとも一方の前記表面の光沢度が200%以下である、
樹脂フィルム。
<2>前記凸部の形成領域における前記樹脂フィルムの前記最大厚みが、前記凸部の形成領域以外の領域における前記樹脂フィルムの前記平均厚みよりも5%以上大きい、<1>に記載の樹脂フィルム。
<3>前記樹脂フィルムが、金属蒸着処理が施された金属蒸着樹脂フィルム層または金属層を含む、<1>または<2>に記載の樹脂フィルム。
<4>前記樹脂フィルムが、前記再生樹脂を主成分として含有する樹脂フィルム層である再生樹脂フィルム層を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂フィルム。
<5>前記再生樹脂フィルム層の主成分がポリエチレン樹脂であり、さらに前記再生樹脂フィルム層はポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂を含む、<4>に記載の樹脂フィルム。
<6>前記凸部を有し且つ光沢度が200%以下である前記表面は、マット剤を含む材料がコーティングされるマット処理が施されている、<1>~<5>のいずれか1つに記載の樹脂フィルム。
<7>前記凸部を有し且つ光沢度が200%以下である前記表面は、凹凸加工が施された面を有するマット状樹脂フィルム層が積層されて形成されている、<1>~<5>のいずれか1つに記載の樹脂フィルム。
<8><1>~<7>のいずれか1つに記載の樹脂フィルムを含む、フィルム容器。
【符号の説明】
【0057】
100 樹脂フィルム
11 バージン樹脂フィルム層
15 未蒸着バージン樹脂フィルム層(PE層)
17 金属蒸着バージン樹脂フィルム層(AL-PET層)
21 再生樹脂フィルム層(再生PE層)
31 異物
33 凸部
F 凸部の形成領域
D1 凸部の形成領域における樹脂フィルムの最大厚み
D2 凸部の形成領域以外の領域における樹脂フィルムの平均厚み
図1