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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113225
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】電気光学装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3275 20160101AFI20240815BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240815BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240815BHJP
   H10K 59/12 20230101ALI20240815BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20240815BHJP
【FI】
G09G3/3275
G09G3/20 623H
H10K50/10
H10K59/12
H10K59/131
G09G3/20 621L
G09G3/20 623B
G09G3/20 623C
G09G3/20 623D
G09G3/20 621M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018045
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】太田 人嗣
【テーマコード(参考)】
3K107
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC33
3K107CC35
3K107CC43
3K107FF04
3K107HH02
3K107HH04
3K107HH05
5C080AA06
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD07
5C080FF12
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ06
5C080KK07
5C080KK43
5C080KK47
5C080KK49
5C380AA01
5C380AA03
5C380AB06
5C380AB34
5C380AC12
5C380BA11
5C380BA19
5C380BA29
5C380BA38
5C380BB02
5C380BB06
5C380CA12
5C380CA22
5C380CA26
5C380CA57
5C380CB17
5C380CC04
5C380CC07
5C380CC39
5C380CC63
5C380CC64
5C380CD014
5C380CD015
5C380CF07
5C380CF09
5C380CF43
(57)【要約】
【課題】電気光学装置におけるカップリング容量の容量値を抑える。
【解決手段】電気光学装置10は、走査線12と、データ線14と、走査線12とデータ線14との交差に対応して設けられ、OLEDを含む画素回路110と、OLEDの輝度に応じた電位のデータ信号をデータ信号出力線14cに出力するDA変換回路500と、一端がデータ信号出力線14cに接続され、他端がデータ線14に接続された容量素子59と、一端がデータ線14に接続された容量素子64と、データ信号が出力される前、または、データ信号が出力された後に、容量素子64における他端の電位をシフトさせるNOT回路62と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査線と、
第1データ線と、
前記走査線と前記第1データ線との交差に対応して設けられ、前記第1データ線の電位に応じた輝度で発光する第1発光素子を含む第1画素回路と、
前記第1発光素子の輝度に応じた電位の第1データ信号を第1出力線に出力する出力回路と、
2つの電極を有し、一方の電極が前記第1出力線に電気的に接続され、他方の電極が前記第1データ線に電気的に接続された第1カップリング容量と、
前記第1データ信号が出力される前、または、前記第1データ信号が出力された後に、前記第1データ線の電位をシフトさせるシフト回路と、
を含む電気光学装置。
【請求項2】
第2データ線と、
前記走査線と前記第2データ線との交差に対応して設けられ、前記第2データ線の電位に応じた輝度で発光する第2発光素子を含む第2画素回路と、
2つの電極を有し、一方の電極が第2出力線に電気的に接続され、他方の電極が前記第2データ線に電気的に接続された第2カップリング容量と、
2つの電極を有し、一方の電極が前記第1データ線に電気的に接続された第1容量素子と、
2つの電極を有し、一方の電極が前記第2データ線に電気的に接続された第2容量素子と、
を含み、
前記出力回路は、前記第2発光素子の輝度に応じた電位である第2データ信号を前記第2出力線に出力し、
前記シフト回路は、
前記第2データ信号が出力される前、または、前記第2データ信号が出力された後に、
前記第1容量素子における他方の電極電位をシフトさせることで、前記第1データ線の電位をシフトさせ、
前記第2容量素子における他方の電極電位をシフトさせることで、前記第1データ線の電位をシフトさせ、
前記第1容量素子の容量値と前記第2容量素子の容量値とが異なる
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
第2データ線と、
前記走査線と前記第2データ線との交差に対応して設けられ、前記第2データ線の電位に応じた輝度で発光する第2発光素子を含む第2画素回路と、
2つの電極を有し、一方の電極が第2出力線に電気的に接続され、他方の電極が前記第2データ線に電気的に接続された第2カップリング容量と、
2つの電極を有し、一方の電極が前記第1データ線に電気的に接続された第1容量素子と、
2つの電極を有し、一方の電極が前記第2データ線に電気的に接続された第2容量素子と、
を含み、
前記出力回路は、前記第2発光素子の輝度に応じた電位である第2データ信号を前記第2出力線に出力し、
前記シフト回路は、
前記第2データ信号が出力される前、または、前記第2データ信号が出力された後に、
前記第1容量素子における他方の電極電位をシフトさせることで、前記第1データ線の電位をシフトさせ、
前記第2容量素子における他方の電極電位をシフトさせることで、前記第1データ線の電位をシフトさせ、
前記第1容量素子における他方の電極電位のシフト量と前記第2容量素子における他方の電極電位のシフト量とが異なる
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第1カップリング容量および前記出力回路と、前記第1容量素子および前記シフト回路と、の間に、前記第1画素回路が配置される
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の電気光学装置を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、以下「OLED」という)素子などの発光素子を用いた電気光学装置が各種提案されている。電気光学装置では、走査線とデータ線との交差に対応して、上記発光素子や駆動トランジスターなどを含む画素回路が、表示すべき画像の画素に対応して設けられる構成が一般的である。
このような構成において、画素の階調レベルに応じた電位のデータ信号が駆動トランジスターのゲートノードに供給されると、当該駆動トランジスターは、ゲートノードおよびソースノードの間の電圧に応じた電流を発光素子に供給する。これにより、当該発光素子は、階調レベルに応じた輝度で発光する。
【0003】
データ信号を出力する回路は、データ線を短時間で充電するために、高い駆動能力が求められる。一方、高品位の表示を行うためには、駆動トランジスターのゲートノードにおける電位を高精度で制御して、細かい階調変化を表現することが求められる。そこで、データ信号を、カップリング容量を介してデータ線に出力することにより、データ信号の振幅範囲を圧縮して、駆動トランジスターのゲートノードに供給する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-171234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発光素子に電流を流さない状態、いわゆる黒表示状態とするためには、駆動トランジスターのゲートノードの電位を、当該駆動トランジスターのソースノードの電位に近づけなければならない。このためには、カップリング容量の容量値を大きくしなければならないが、カップリング容量の容量値を大きくするためには、ある程度のスペースを確保しなければならないので、細密化が困難になる、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る電気光学装置は、走査線と、第1データ線と、前記走査線と前記第1データ線との交差に対応して設けられ、前記第1データ線の電位に応じた輝度で発光する第1発光素子を含む第1画素回路と、前記第1発光素子の輝度に応じた電位の第1データ信号を第1出力線に出力する出力回路と、2つの電極を有し、一方の電極が前記第1出力線に電気的に接続され、他方の電極が前記第1データ線に電気的に接続された第1カップリング容量と、前記第1データ信号が出力される前、または、前記第1データ信号が出力された後に、前記第1データ線の電位をシフトさせるシフト回路と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る電気光学装置の斜視図である。
図2】電気光学装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図3】電気光学装置の画素回路を示す図である。
図4】電気光学装置の動作を示すタイミングチャートである。
図5】電気光学装置におけるオフセットの比較を示す図である。
図6】比較例に係る電気光学装置における電位の高低を示す図である。
図7】第2実施形態に係る電気光学装置の動作を示すタイミングチャートである。
図8】第3実施形態に係る電気光学装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図9】第4実施形態に係る電気光学装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図10】第5実施形態に係る電気光学装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図11】第6実施形態に係る電気光学装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図12】電気光学装置の画素回路を示す図である。
図13】電気光学装置を用いたヘッドマウントディスプレイを示す斜視図である。
図14】ヘッドマウントディスプレイの光学構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係る電気光学装置について図面を参照して説明する。なお、各図において、各部の寸法および縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
図1は、第1実施形態に係る電気光学装置10を示す斜視図である。電気光学装置10は、例えばヘッドマウントディスプレイなどにおいて画像を表示するマイクロ・ディスプレイ・パネルである。電気光学装置10は、OLEDを含む画素回路や、当該画素回路を駆動する駆動回路などを含む。画素回路や駆動回路等は半導体基板に集積化される。半導体基板は、典型的にはシリコン基板であるが、他の半導体基板であってもよい。
【0010】
電気光学装置10は、表示領域100で開口する枠状のケース192に収納される。電気光学装置10は、FPC基板194の一端に接続される。なお、FPCとは、Flexible Printed Circuitsの略称である。FPC基板194の他端には、図示省略されたホスト装置に接続される複数の端子196が設けられる。複数の端子196がホスト装置に接続されると、電気光学装置10には、当該ホスト装置からFPC基板194を介して映像データや同期信号などが供給される。
【0011】
なお、図において、X方向は、電気光学装置10における走査線の延在方向を示し、Y方向は、データ線の延在方向を示す。X方向およびY方向で定まる二次元平面が半導体基板の基板面である。Z方向は、X方向およびY方向に垂直であって、OLEDから発せられる光の出射方向である。
【0012】
図2は、電気光学装置10の電気的な構成を示すブロック図である。図に示されるように、電気光学装置10は、制御回路30、データ信号出力回路50、オフセット回路60、初期化回路70、表示領域100および走査線駆動回路120を含む。
表示領域100では、m行の走査線12が図においてX方向に沿って設けられ、n列のデータ線14が、Y方向に沿って、かつ、各走査線12と互いに電気的に絶縁を保つように設けられる。なお、m、nは、2以上の整数である。
【0013】
表示領域100には、画素回路110が、m行の走査線12とn列のデータ線14との交差に対応して設けられる。このため、画素回路110は、縦m行×横n列でマトリクス状に配列する。マトリクス配列のうち、行(ロウ)を区別するために、図において上から順に1、2、3、…、(m-1)、m行目と呼ぶことがある。同様にマトリクスの列(カラム)を区別するために、図において左から順に1、2、3、…、(n-1)、n列目と呼ぶことがある。
なお、走査線12を一般化して説明するために、1以上m以下の整数iが用いられる。同様に、データ線14を一般化して説明するために、1以上n以下の整数jが用いられる。
【0014】
制御回路30は、上位のホスト装置から供給される映像データVidや同期信号Syncに基づいて各部を制御する。映像データVidは、表示すべき画像における画素の階調レベルを例えば8ビットで指定する。
同期信号Syncには、映像データVidの垂直走査開始を指示する垂直同期信号や、水平走査開始を指示する水平同期信号、および、映像データの1画素分のタイミングを示すドットクロック信号が含まれる。
【0015】
本実施形態において表示すべき画像の画素と表示領域100における画素回路110とは一対一に対応する。
ホスト装置から供給される映像データVidにおいて階調レベルで示される明るさの特性と、画素回路110に含まれるOLEDの輝度の特性とは、必ずしも一致しない。そこで、制御回路30は、映像データVidで指定される階調レベルに対応した輝度でOLEDを発光させるために、映像データVidの8ビットを、本実施形態では例えば10ビットにアップコンバージョンして、映像データVdataとして出力する。このため、10ビットの映像データVdataは、映像データVidで指定される階調レベルに対応したデータになる。
【0016】
なお、アップコンバージョンには、入力である映像データVidの8ビットと、出力である映像データVdataの10ビットとの対応関係を予め記憶したルックアップテーブルが用いられる。また、制御回路30は、各部を制御するために各種の制御信号を生成するが、詳細については後述する。
【0017】
走査線駆動回路120は、各種の信号を出力して、制御回路30による制御にしたがって、m行n列で配列する画素回路110を1行毎に駆動するための回路である。例えば、走査線駆動回路120は、1、2、3、…、(m-1)、m行目の走査線12に、順に走査信号/Gwr(1)、/Gwr(2)、…、/Gwr(m-1)、/Gwr(m)を供給する。一般的には、i行目の走査線12に供給される走査信号が/Gwr(i)と表記される。走査線駆動回路120は、走査信号/Gwr(1)~/Gwr(m)の他にも各種の制御信号を出力するが、詳細については後述する。
【0018】
データ信号出力回路50は、走査線駆動回路120によって選択された行に位置する画素回路110に向けて、輝度に応じた電圧信号を出力する回路である。詳細には、データ信号出力回路50は、選択回路群52、第1ラッチ回路群54、第2ラッチ回路群56、n個のDA変換回路500、n個のトランジスター58およびn個の容量素子59を含む。
選択回路群52は、n列と一対一に対応した選択回路520を含み、第1ラッチ回路群54は、n列と一対一に対応した第1ラッチ回路L1を含み、第2ラッチ回路群56は、n列と一対一に対応した第2ラッチ回路L2を含む。また、n個のトランジスター58およびn個の容量素子59は、n列に一対一に対応する。
【0019】
すなわち、各例に対応して、選択回路520、第1ラッチ回路L1、第2ラッチ回路L2、DA変換回路500、トランジスター58および容量素子59の組が設けられる。ここで、j列目の選択回路520は、制御回路30から出力される映像データVdataのうち、j列目の映像データの選択をj列目の第1ラッチ回路L1に指示し、j列目の第1ラッチ回路L1は、当該指示にしたがって映像データVdataをラッチする。j列目の第2ラッチ回路L2は、j列目の第1ラッチ回路L1によりラッチされた映像データVdataを、制御回路30による制御にしたがって後述する書込期間においてj列目のDA変換回路500に出力する。
【0020】
j列目のDA変換回路500は、j列目の第2ラッチ回路L2から出力された10ビットの映像データVdataをアナログのデータ信号に変換し、j列目のデータ信号出力線14cおよび容量素子59を順に介してデータ線14に出力する。換言すれば、データ信号出力線14cはデータ線14と一対一に対応して設けられ、j列目のDA変換回路500における出力端は、j列目のデータ信号出力線14cに接続され、j列目の容量素子59の一端はj列目のデータ信号出力線14cに接続され、j列目の容量素子59の他端はj列目のデータ線14に接続される。
なお、各列のDA変換回路500の出力段には、実際には特に図示しないが、アナログに変換したデータ信号を、電源電圧を用いて電流増幅するアンプが設けられる。すなわち、j列目のデータ信号出力線14cには、j列目のDA変換回路500によって変換されたアナログのデータ信号が、j列目のアンプによって増幅されてデータ信号出力線14cに供給される。
【0021】
j列目に対応するトランジスター58のソースノードは電位Vrefの給電線に接続され、トランジスター58のドレインノードは当該j列目のデータ信号出力線14cに接続される。また、各列におけるトランジスター58のゲートノードには、制御回路30による制御信号/Grefが共通に供給される。
【0022】
オフセット回路60は、データ線14に一対一に対応して設けられた、NOT回路62および容量素子64の組の集合体である。各列のNOT回路62における電源電圧のうち、高位は電位Vadであり、低位は電圧ゼロの基準である電位Gndである。また、各列におけるNOT回路62の入力端には制御信号Gadが共通に供給される。j列目のNOT回路62の出力端は、当該j列目における容量素子64の一端に接続され、j列目における容量素子64の他端は、当該j列目のデータ線14に接続される。
【0023】
初期化回路70は、データ線14に一対一に対応して設けられたトランジスター72の集合体である。j列目に対応するトランジスター72のソースノードは電位Viniの給電線に接続され、トランジスター72のドレインノードは当該j列目のデータ線14に接続される。また、各列におけるトランジスター72のゲートノードには、制御回路30による制御信号/Giniが共通に供給される。
【0024】
図において1、2、…、(n-1)、n列目におけるデータ線14の電位が、順にVd(1)、Vd(2)、…、Vd(n-1)、Vd(n)と表記される。一般的には、j列目におけるデータ線14の電位はVd(j)と表記される。
【0025】
図3は、画素回路110を示す回路図である。m行n列で配列する画素回路110は電気的にみれば互いに同一である。このため、画素回路110については、i行j列に位置する画素回路110で代表させて説明する。
【0026】
図に示されるように、画素回路110は、OLED130と、p型のトランジスター121~125と、容量素子140とを含む。トランジスター121~125は、例えばMOS型である。なお、MOSとは、Metal-Oxide-Semiconductor field-effect transistorの略称である。
また、i行目の画素回路110には、走査信号/Gwr(i)のほか、制御信号/Gel(i)、/Gcmp(i)、/Gorst(i)が、走査線駆動回路120から供給される。
【0027】
制御信号/Gel(i)とは、1、2、…、(m-1)、m行目に対応して順に供給される制御信号/Gel(1)、/Gel(2)、…、/Gel(m-1)、/Gel(m)を一般化して表記したものである。同様に、制御信号/Gcmp(i)は、1、2、…、(m-1)、m行目に対応して順に供給される制御信号/Gcmp(1)、/Gcmp(2)、…、/Gcmp(m-1)、/Gcmp(m)を一般化して表記したものである。制御信号/Gorst(i)についても同様であり、1、2、…、(m-1)、m行目に対応して順に供給される制御信号/Gorst(1)、/Gorst(2)、…、/Gorst(m-1)、/Gorst(m)を一般化して表記したものである。
【0028】
OLED130は、画素電極131と共通電極133とで発光機能層132を挟持した表示素子である。画素電極131はアノードとして機能し、共通電極133はカソードとして機能する。なお、共通電極133は光透過性を有する。OLED130において、アノードからカソードに向かって電流が流れると、アノードから注入された正孔とカソードから注入された電子とが発光機能層132で再結合して励起子が生成され、白色光が発生する。
【0029】
カラー表示とする場合、発生した白色光が、例えば図示省略された反射層と半反射半透過層とで構成された光共振器にて共振し、R(赤)、G(緑)、B(青)のいずれかの色に対応して設定された共振波長で出射する。光共振器から光の出射側には当該色に対応したカラーフィルターが設けられる。したがって、OLED130からの出射光は、光共振器およびカラーフィルターによる着色を順に経て、観察者に視認される。なお、光共振器は図示省略されている。また、電気光学装置10が単に明暗のみの単色画像を表示する場合には、上記カラーフィルターが省略される。
【0030】
i行j列における画素回路110のトランジスター121にあっては、ゲートノードgがトランジスター122のドレインノードに接続され、ソースノードsが、電位Velが供給される給電線116に接続され、ドレインノードdがトランジスター123のソースノードおよびトランジスター124のソースノードに接続される。容量素子140にあっては、一端がトランジスター121のゲートノードgに接続され、他端が給電線116に接続される。このため、容量素子140は、トランジスター121におけるゲートノードgおよびソースノードsの間の電圧を保持する。
なお、容量素子140の他端は、給電線116以外であっても、電位がほぼ一定に保たれていればよいので、他の給電線に接続されてもよい。また、電位Velは、電源電圧の高位電位として用いられる。
【0031】
本実施形態において、容量素子140として、例えば、トランジスターの半導体層(下部の電極)とゲート電極層(上部の電極)とでトランジスターのゲート絶縁層を挟持することによって形成される、いわゆるMOS容量が用いられる。なお、容量素子140としては、トランジスター121のゲートノードgの寄生容量を用いてもよいし、半導体基板において互いに異なる導電層で絶縁層を挟持することによって形成される、いわゆるメタル容量を用いてもよい。
【0032】
i行j列における画素回路110のトランジスター122にあっては、ゲートノードがi行目の走査線12に接続され、ソースノードが当該j列目のデータ線14に接続される。i行j列における画素回路110のトランジスター123にあっては、ゲートノードに制御信号/Gcmp(i)が供給され、ドレインノードが当該j列目のデータ線14に接続される。i行j列における画素回路110のトランジスター124にあっては、ゲートノードに制御信号/Gel(i)が供給され、ドレインノードがOLED130のアノードである画素電極131およびトランジスター125のドレインノードに接続される。
i行j列における画素回路110のトランジスター125にあっては、ゲートノードに制御信号/Gorst(i)が供給され、ソースノードが、電位Vorstが供給されている電源配線である給電線に接続される。
【0033】
電位Vorstは、例えば電位Gnd、または、電位Gndに近い低位の電位である。具体的には、電位Vorstは、OLED130における画素電極131に給電された場合に、当該OLED130に電流が流れない程度の電位である。OLED130のカソードとして機能する共通電極133には、電位Vctが給電される。
なお、本説明において「電気的に接続され」または単に「接続され」とは、2以上の要素間の直接的または間接的な接続または結合を意味し、例えば半導体基板において2以上の要素間が直接的ではなくても、異なる配線層およびコンタクトホールを介して結合されることも含む。
【0034】
次に、電気光学装置10における動作について説明する。
【0035】
図4は、電気光学装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。電気光学装置10では、m行の走査線12がフレーム(V)の期間に1、2、3、…、m行目という順番で1行ずつ走査される。詳細には、図に示されるように、走査信号/Gwr(1)、/Gwr(2)、…、/Gwr(m-1)、/Gwr(m)が、走査線駆動回路120によって水平走査期間(H)毎に、順次排他的にLレベルになる。
【0036】
本説明において1フレーム(V)の期間とは、映像データVidで指定される画像の1コマを表示するのに要する期間をいう。1フレーム(V)の期間の長さは、垂直同期期間と同じであれば、例えば同期信号Syncに含まれる垂直同期信号の周波数が60Hzであれば、当該垂直同期信号の1周期分に相当する16.7ミリ秒である。また、水平走査期間(H)とは、1フレーム(V)の期間から垂直帰線期間を除いた期間を、mで割った期間であり、端的にいえば、走査信号/Gwr(1)~/Gwr(m)が順にLレベルになる時間の間隔である。
【0037】
本実施形態に係る電気光学装置10において1つの水平走査期間(H)は、時間の順に初期化期間(A)、補償期間(B)、オフセット期間(C)および書込期間(D)の4つの期間に分けられる。また、画素回路110の動作としては、上記4つの期間とは別に、さらに発光期間(E)が加わる。
【0038】
各水平走査期間(H)のうち、初期化期間(A)では、制御信号/GiniがLレベルであり、制御信号GadがHレベルであり、制御信号/GrefがLレベルである。補償期間(B)では、制御信号/GiniがHレベルに変化し、制御信号GadがHレベルを維持し、制御信号/GrefがLレベルを維持する。オフセット期間(C)では、制御信号/GiniがHレベルを維持し、制御信号GadがLレベルに変化し、制御信号/GrefがLレベルを維持する。書込期間(D)では、制御信号/GiniがHレベルを維持し、制御信号GadがLレベルを維持し、制御信号/GrefがHレベルに変化する。
【0039】
水平走査期間(H)における動作についてi行目を例にとって説明する。また、画素回路110については、i行j列の画素回路110を例にとって説明する。
【0040】
i行目の水平走査期間(H)において、走査信号/Gwr(i)がLレベルに変化すると、i行目の初期化期間(A)が開始する。初期化期間(A)は、(i-1)行目の水平走査期間(H)において各部に残存する電圧または電荷をリセットするための期間である。
【0041】
i行目の初期化期間(A)では、走査信号/Gwr(i)がLレベルであり、制御信号/Gcmp(i)がHレベルであり、制御信号/Gel(i)がHレベルであり、制御信号/Gorst(i)がLレベルである。
このため、i行目の画素回路110ではトランジスター124がオフ状態になり、トランジスター125がオン状態になるので、OLED130のアノードである画素電極131は電位Vorstになる。このため、当該OLED130が消灯するとともに、画素電極131が電位Vorstにリセットされる。なお、画素電極131をリセットするのは、OLED130には容量が寄生するので、直前の発光期間に印加された電圧の影響を排除するためである。
【0042】
また、i行目の初期化期間(A)では、各列のトランジスター72がオン状態であるので、各列のデータ線14は電位Viniになる。i行目の初期化期間(A)においてi行目の画素回路110では、トランジスター122がオン状態であるので、データ線14の電位Viniは、当該画素回路110のトランジスター121のゲートノードgに到達する。ただし、当該画素回路110のトランジスター124がオフ状態であるので、トランジスター121のソースノードからドレインノードに向けて電流が流れることはない。
【0043】
i行目の初期化期間(A)では、各列のトランジスター58がオン状態であるので、各列のデータ信号出力線14cが電位Vrefになる。i行目の初期化期間(A)では、各列のデータ線14が電位Viniであるので、各列の容量素子59は、電圧(Vini-Vref)に充電される。i行目の初期化期間(A)では、各列のNOT回路62の出力端が、すなわち各列の容量素子64における一端が、電位Gndであるので、各列の容量素子64は、電圧(Vini-Gnd)に充電される。
【0044】
初期化期間(A)の終了後、補償期間(B)になる。補償期間(B)は、i行目に位置するn個の画素回路110において、各トランジスター121のゲートノードgを、当該トランジスター121の閾値電圧に相当する閾値相当電位に収束させるための期間である。
【0045】
i行目の初期化期間(B)では、走査信号/Gwr(i)がLレベルを維持し、制御信号/Gcmp(i)がLレベルに変化し、制御信号/Gel(i)がHレベルを維持し、制御信号/Gorst(i)がLレベルを維持する。また、i行目の補償期間(B)では、各列のトランジスター72がオフ状態に変化する。
i行目の画素回路110では、トランジスター122のオン状態によってトランジスター121のゲートノードgが電位Viniである。ゲートノードgが電位Viniの状態で、トランジスター123がオン状態になるため、トランジスター121がダイオード接続になる。したがって、当該トランジスター121におけるゲートノードgおよびソースノードsの間の電圧は、当該トランジスター121の閾値電圧Vth(近い電圧)に収束する。すなわち、トランジスター121におけるゲートノードgおよびデータ線14の電位は閾値相当電位に収束する。
【0046】
i行目の補償期間(B)では、各列のトランジスター58がオン状態を維持するので、各列のデータ信号出力線14cが電位Vrefに保たれる。i行目の補償期間(B)では、各列のデータ線14は閾値相当電位に収束するので、各列の容量素子59では、一端が電位Vrefであって、他端が閾値収束電位の状態で充電される。
【0047】
本実施形態では、補償期間(B)の終了後、オフセット期間(C)になる。オフセット期間(C)は、トランジスター121におけるゲートノードgの電位を所定電位だけオフセット(シフト)するための期間である。
i行目のオフセット期間(C)では、走査信号/Gwr(i)がLレベルを維持し、制御信号/Gcmp(i)がHレベルに変化し、制御信号/Gel(i)がHレベルを維持し、制御信号/Gorst(i)がLレベルを維持する。
【0048】
また、i行目のオフセット期間(B)では、各列のトランジスター58がオン状態を維持し、各列のトランジスター72がオフ状態を維持して、制御信号GadがLレベルに反転する。このため、各列の容量素子の一端は電位Gndから電位Vadに上昇する。この電位上昇は、容量素子64を介してデータ線14の電位を上昇させる。i行目のオフセット期間(C)では、i行目の画素回路110におけるトランジスター122がオン状態であるので、データ線14の電位が上昇すると、当該i行目の画素回路110におけるトランジスター121のゲートノードgの電位も上昇する。
【0049】
オフセット期間におけるデータ線14およびゲートノードgの電位変化分は、容量素子64における一端における電位変化分に、「合成容量値」に対する容量素子64の容量値の比を、乗じた値である。ここでいう「合成容量値」とは、容量素子59、64、140およびデータ線14の寄生容量による合成容量の容量値である。なお、容量素子140の容量値は、他の容量値と比較して十分に小さい場合には、無視することができる。
【0050】
本実施形態では、オフセット期間(C)の終了後、書込期間(D)になる。書込期間(D)は、i行目に位置するn列分の画素回路110において、各トランジスター121のゲートノードgに、輝度に応じた電圧を印加するための期間である。
【0051】
i行目の書込期間(D)では、走査信号/Gwr(i)がLレベルを維持し、制御信号/Gcmp(i)がHレベルを維持し、制御信号/Gel(i)がHレベルを維持し、制御信号/Gorst(i)がLレベルを維持する。このため、i行目の画素回路110においてトランジスター122~125のオンまたはオフ状態はオフセット期間(C)から変化しない。
【0052】
ただし、書込期間(D)では、制御信号/GrefがHレベルに反転するので、各列のトランジスター58がオフ状態に変化する。また、各列のDA変換回路500には、i行目であって、列に対応する10ビットの映像データVdataが供給される。このため、DA変換回路500は、i行目であって列に対応した輝度レベルに応じた電位のデータ信号をデータ信号出力線14cに出力する。
各列における容量素子59の一端は、電位Vrefからデータ信号の電位に上昇する。この電位上昇は、当該容量素子59、データ線14およびトランジスター122を順に介してトランジスター121のゲートノードgに到達する。
書込期間におけるゲートノードgの電位変化分は、容量素子59の一端における電位上昇分に、「合成容量値」に対する容量素子59の容量値の比を、乗じた値である。
【0053】
走査信号/Gwr(i)がHレベルに変化したときに、i行目の書込期間(D)が終了する。走査信号/Gwr(i)がHレベルになると、i行j列の画素回路110ではトランジスター122がオフ状態になるが、ゲートノードgの電位と電位Velとの差の電圧は、容量素子140に保持される。
【0054】
書込期間(D)の終了後、例えば1水平走査期間経過後に発光期間(E)になる。発光期間(E)は、書込期間(D)に保持されたゲートノードgの電位に応じた電流をOLED130に流して発光させるための期間である。
i行目の発光期間(E)の前に、制御信号/Gorst(i)がHレベルになるので、トランジスター125がオフ状態になる。また、i行目の発光期間(E)に至ると、制御信号/Gel(i)がLレベルに反転するので、トランジスター124がオン状態になる。このため、OLED130には、容量素子140により保持されたゲートノードgの電位に応じた電流がトランジスター121によって流れる。このため、当該OLED130が、当該電流に応じた光学状態、すなわち、電流に応じた輝度で発光する。容量素子140により保持されたゲートノードgの電位は、トランジスター122を介して供給されたデータ線14の電位である。換言すると、当該OLED130は、当該データ線14の電位に応じた輝度で発光する。
【0055】
なお、図4は、発光期間(E)が連続した例であるが、制御信号/Gel(i)がLレベルになる期間は、間欠的であってもよいし、輝度調整に応じて調整されてもよい。また、発光期間(E)における制御信号/Gel(i)のレベルについては、HレベルとLレベルとの中間的なレベルを用いてもよい。
【0056】
i行目の水平走査期間(H)において、1~n列の画素回路110について同様な動作が実行される。また、図4では、i行目の水平走査期間(H)について着目し、当該水平走査期間(H)の動作について説明したが、同様な動作は、1、2、3、…、m行目の水平走査期間(H)について順次実行される。
【0057】
i行j列の画素回路110にけるゲートノードgの電位は、補償期間(B)における閾値相当電位から、オフセット期間(C)において電位変化分だけ上昇させ、この後の書込期間(D)においてi行j列の階調レベルに応じて変化させた電位である。同様な動作が他の画素回路110でも実行されるので、実施形態では、m行n列のすべての画素回路110にわたってトランジスター121の閾値が補償された状態で、OLED130に階調レベルに応じた電流が流れることになる。したがって、本実施形態では、輝度のばらつきが小さくなる結果、高品位な表示が可能になる。
【0058】
実施形態では、i行目の水平走査期間(H)において、j列目のデータ線14の電位Vd(j)は、図5(a)に示される通りになる。詳細には、電位V(j)は、初期化期間(A)において電位Viniになり、補償期間(B)の終期において閾値相当電位(Vel-Vth)に収束し、オフセット期間(C)において閾値相当電位から電位変化分だけ上昇する。なお、電位変化分を便宜的にVofsとすると、オフセット期間(C)においてオフセットされた電位は(Vel-Vth+Vofs)と表すことができる。電位V(j)は、書込期間(D)において電位(Vel-Vth+Vofs)から、白の相当にする電位Vwtから黒に相当する電位Vbkまでの範囲で、すなわち階調レベルに応じた電位へと、変化する。
【0059】
なお、黒に相当する電位Vbkとは、最低の階調レベルに相当する電位であり、白に相当する電位Vwtとは、最高の階調レベルに相当する電位である。また、本実施形態において、i行目の水平走査期間(H)では、走査信号/Gwr(i)がLレベルであるので、i行目の画素回路110においてトランジスター122がオン状態である。このため、i行目の水平走査期間(H)において、データ線14の電位Vd(j)は、i行j列の画素回路110におけるゲートノードgの電位と等しい。
【0060】
ここで、説明の便宜上、実施形態に対する比較例について説明する。比較例は、構成でいえば、オフセット回路60を有しない構成であり、オフセット期間(C)が存在しない。このため、比較例では、i行目の水平走査期間(H)において、j列目のデータ線14の電位Vd(j)は、図5(b)に示される通りになる。詳細には、電位V(j)は、初期化期間(A)において電位Viniになり、補償期間(B)の終期において閾値相当電位(Vel-Vth)に収束し、書込期間(D)において電位(Vel-Vth)から、白の相当にする電位Vwtから黒に相当する電位Vbkまでの範囲で変化する。
比較例では、黒に相当する電位が、実施例と比較して低くなるので、OLED130に微小電流が流れて発光してしまい、最低階調が明るく表現されて、コントラスト比が低下してしまう。
【0061】
比較例のように、オフセットしないで、書込期間(D)において黒に相当する電位Vbkを電位Vel程度まで高くするためは、図6に示されるように、電位Vrefを低くするとともに、DA変換回路500における出力段のアンプから出力される黒相当電位を高くする必要がある。このためには、書込期間(D)において、当該黒相当電位が、カップリング容量である容量素子59およびデータ線14を順に介してゲートノードgに到達したときに、電位Vel程度になるように、容量素子59の容量値を設計する必要がある。
DA変換回路500における出力段のアンプは、電源電圧(Vel-Gnd)で駆動されるので、アンプの出力電圧の範囲は、当該電源電圧よりも狭くなる。上記設計のように、アンプから出力される最高電位(黒相当電位)が、ゲートノードgに到達するときに、電位Vel程度になるように容量素子59の容量値を設計すると、アンプから出力される最低電位(白相当電位)が、ゲートノードgに到達するときに必要以上に高くなってしまうことがある。
【0062】
また、黒相当電位が電位Vel程度になるように容量素子59の容量値を設計すると、容量素子59として大きな容量値が必要になる。容量素子59はデータ線14毎に設けられるので、容量素子59として大きな容量値が要求されると、広い面積が必要になるので、データ線14の狭ピッチ化を阻害する要因になるだけでなく、チップサイズの増大に繋がってしまう。
【0063】
これに対して、本実施形態では、図5(a)に示されるように、オフセット期間(C)において、閾値相当電位(Vel-Vth)から電位変化分Vofsだけ高められ、書込期間(D)において、アンプの最高電位である黒相当電位が容量素子59およびデータ線14を順に介してゲートノードgに到達する。したがって、本実施形態によれば、黒相当電位が電位Vel程度になるように容量素子59の容量値を設計する必要がないので、データ線14の狭ピッチ化(細密化)が容易になるだけでなく、チップサイズの増大を回避することができる。
【0064】
第1実施形態では、各行の水平走査期間(H)において、オフセット期間(C)の後が書込期間(D)であったが、この順は入れ替えてもよい。そこで、先に書込期間(D)があり、この後にオフセット期間(C)とした第2実施形態について説明する。
【0065】
図7は、第2実施形態に係る電気光学装置10の動作を示すタイミングチャートである。第2実施形態では、図に示されるように、オフセット期間(C)と書込期間(D)との時間的な先後が第1実施形態(図4参照)と入れ替わっている。
詳細には、第2実施形態では、補償期間(B)の後に、書込期間(D)となる。
このため、i行目の水平走査期間(H)において、j列目のデータ線の電位Vd(j)は、
書込期間(D)において、補償期間(B)の終期における閾値相当電位から、階調レベルに応じた電位(Bk~Wtの範囲の電位)に変化し、その後、オフセット期間(C)において、電位変化分Vofsだけオフセットにより上昇する。
【0066】
なお、オフセット期間(C)による電位変化と書込期間(D)による電位変化とは、時間的な先後だけが異なる。このため、水平走査期間(H)の終了時におけるゲートノードgの電位は、第1実施形態と同一である。
このため、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、狭ピッチ化が容易になるだけでなく、チップサイズの増大を回避することができる。
【0067】
第1実施形態または第2実施形態では、データ線14の各列に対応して、容量素子59およびDA変換回路500等が設けられる。このため、データ線14の狭ピッチ化につれて、半導体基板において容量素子59およびDA変換回路500等を1列毎に配置することが困難になる。このため、容量素子59およびDA変換回路500等の配置を工夫すると、今度は、データ線14の寄生容量が列毎に異なってしまい、表示品位の低下を招く。
そこで、データ線14の寄生容量が列毎に異なっていても、表示品位の低下を抑えた第3実施形態について説明する。
【0068】
図8は、第3実施形態に係る電気光学装置10の電気的な構成について、各要素の配置とともに示す図である。
第3実施形態では、表示領域100において、画素回路110R、110Gおよび110Bは、m行で配列する走査線12と、n列で配列するデータ線14R、14Gまたは14Bとに対応して次のように設けられる。詳細には、赤の画素回路110Rが、i行目の走査線12と(j-2)列目のデータ線14Rとの交差に対応して設けられる。緑の画素回路110Gは、i行目の走査線12と(j-1)列目のデータ線14Gとの交差に対応して設けられる。青の画素回路110Bは、i行目の走査線12とj列目のデータ線14Bとの交差に対応して設けられる。
【0069】
画素回路110Rは、出射される光に赤色成分を含むOLED130を含み、画素回路110Gは、出射される光に緑色成分を含むOLED130を含み、画素回路110Bは、出射される光に青色成分を含むOLED130を含む。行が同一であって互いに隣り合う画素回路110R、110Gおよび画素回路110Bから出射する光の加法混色によって1個のカラー画素が表現される。したがって、本実施形態は、カラー画素でみれば、縦m行×横(n/3)列でマトリクス配列する画像を表示することになる。
【0070】
第3実施形態では、データ信号出力回路50が、データ線14Rに対応する回路群51R、データ線14Gに対応する回路群51G、および、データ線14Bに対応する回路群51Bとして、簡略化されて表示される。
詳細には、回路群51R、51G、51Bは、選択回路520、第1ラッチ回路L1、第2ラッチ回路L2、DA変換回路500、トランジスター58、データ信号出力線14cおよび容量素子59をまとめたものである。なお、図8では、DA変換回路500、データ信号出力線14cおよび容量素子59のみが図示され、他の要素は、省略されている。
【0071】
第3実施形態では、回路群51R、51G、51Bは、Y方向に沿ってこの順で配置し、X方向に沿って、データ線14R、14Gおよび14Bの3列分のピッチで配置する。このような配置では、平面視で、データ線14Gは回路群51Rを通過し、データ線14Bは回路群51Rおよび51Gを通過する。このため、第3実施形態では、データ線14R、14Gおよび14Bの長さが、この順で短くなっている。データ線14R、14Gおよび14Bの長さが異なると、データ線14R、14Gおよび14Bに寄生する容量値も異なることになる。具体的には、データ線14R、14G、14Bの寄生容量が、
14R<14G<14B
という関係になる。
【0072】
上述したように、オフセット期間におけるゲートノードgの電位変化分Vofsは、容量素子64における一端における電位変化分に、「合成容量値」に対する容量素子64の容量値の比を、乗じた値である。
第3実施形態では、データ線14R、14G、14Bに寄生する容量値が異なるので、なんらかの対策を施されなければ、電位変化分Vofsは、データ線14R、14G、14B毎に異なることになり、色ズレが発生して、表示品位の低下が免れない。
【0073】
そこで、第3実施形態では、オフセット回路60における容量素子64の容量値をデータ線14R、14G、14B毎に異ならせることにした。詳細には、オフセット回路60における容量素子64のうち、データ線14Rに対応したものを容量素子64Rとし、データ線14Gに対応したものを容量素子64Gとし、データ線14Bに対応したものを容量素子64Bとした。また、容量素子64R、64G、64Bの容量値は次のような関係にある。すなわち、
64R<64G<64B
という関係にある。
【0074】
オフセット期間におけるゲートノードgの電位変化分Vofsは、容量素子64R/64G/64Bにおける一端における電位変化分に、「合成容量値」に対する容量素子64の容量値の比を、乗じた値である。
第3実施形態では、データ線14R/14G/14Bに寄生する容量値が順に大きくなるのに対応して、容量素子64R/64G/64Bの容量値も順に大きくなるので、上記比は、データ線14、14G、14Bにおいて揃えることができる。このため、第3実施形態では、各列の電位変化分Vofsを揃えることができる。
【0075】
このように、第3実施形態によれば、データ線14R、14Gおよび14Bの寄生容量が異なっていても、電位変化分Vofsを、データ線14R、14Gおよび14Bで揃えることができる。このため、第3実施形態では、色ズレが抑えられて、表示品位の低下を抑えることができる。
【0076】
データ線14R、14G、14Bの寄生容量が異なる場合、第3実施形態では、オフセット期間(C)における各列の電位変化分Vofsを揃えるために、容量素子64R、64G、64の容量値を異ならせる手法を採用したが、これ以外の手法を用いても、各列の電位変化分Vofsを揃えることができる。
そこで、データ線14の寄生容量が列毎に異なっていても、第3実施形態とは別の手法で各列の電位変化分Vofsを揃える第4実施形態について説明する。
【0077】
図9は、第4実施形態に係る電気光学装置10の電気的な構成について、各要素の配置とともに示す図である。
第4実施形態が、第3実施形態と共通する点および相違する点は、次の通りである。
すなわち、第4実施形態では、データ線14R、14G、14Bの寄生容量が、14R<14G<14Bという関係にある点において第3実施形態と共通である。ただし、第4実施形態では、第1に、オフセット回路60における容量素子64の容量値が同じである点、および、第2に、オフセット回路60におけるNOT回路62の電源電位が列毎に異なる点、において第3実施形態と相違する。
【0078】
第4実施形態のオフセット回路60において、データ線14Rに対応するNOT回路62の電源電圧の高位は、電位VadRであり、データ線14Gに対応するNOT回路62の電源電圧の高位は、電位VadGであり、データ線14Bに対応するNOT回路62の電源電圧の高位は、電位VadBである。
【0079】
第4実施形態においても、データ線14Rの寄生容量、データ線14Gの寄生容量およびデータ線14Bの寄生容量が、第3実施形態と同様に、14R<14G<14Bという関係にあれば、電位VadR、VadGおよびVadBは次のような関係にある。すなわち、
VadR<VadG<VadB
という関係にある。
【0080】
オフセット期間におけるゲートノードgの電位変化分Vofsは、容量素子64における一端における電位変化分に、「合成容量値」に対する容量素子64の容量値の比を、乗じた値である。容量素子64における一端における電位変化分(他方の電極電位のシフト量)は、NOT回路62の電源電圧に等しい。データ線14R、14Gまたは14Bに寄生する容量値が大きくなれば、比が小さくなるが、第4実施形態では、容量素子64における一端における電位変化分が大きくなるので、各列の電位変化分Vofsを揃えることができる。
【0081】
このように、第4実施形態によれば、データ線14R、14Gおよび14Bの寄生容量が異なっていても、電位変化分Vofsを、データ線14R、14Gおよび14Bで揃えることができる。このため、第4実施形態では、第3実施形態と同様に、色ズレが抑えられて、表示品位の低下を抑えることができる。
【0082】
第1乃至第4実施形態に係る電気光学装置10では、表示領域100を基準にすると、Y方向の反対方向に沿って、データ信号出力回路50、オフセット回路60および初期化回路70が、この順で配置する構成であったが、この構成に限られない。そこで、オフセット回路60の位置を変更した第5実施形態について説明する。
【0083】
図10は、第5実施形態に係る電気光学装置10の電気的な構成を示すブロック図である。第5実施形態に係る電気光学装置10では、オフセット回路60が、表示領域100を基準にしてデータ信号出力回路50および初期化回路70の反対側に配置する。この構成によれば、半導体基板における表示領域100の外側領域のうち、表示領域100に対してY方向の領域幅、すなわちデータ信号出力回路50等が設けられる領域においてY方向に沿った長さ、を縮小することができる。
【0084】
なお、第5実施形態では、オフセット回路60が、表示領域100を基準にしてデータ信号出力回路50および初期化回路70の反対側に配置する構成であったが、オフセット回路60とともに初期化回路70が、表示領域100を基準にしてデータ信号出力回路50の反対側に配置する構成であってもよい。この構成によれば、データ信号出力回路50等が設けられる領域においてY方向に沿った長さをさらに縮小することができる。
【0085】
第1実施形態乃至第5実施形態のいずれかに係る電気光学装置10では、1個の画素回路110が、トランジスター121~125を有する構成であり、いわゆる5Trの構成であったが、1つの画素回路110において多数のトランジスターを有する構成では、細密化が困難であり、また、歩留まりの低下の原因になり得る。そこで、1個の画素回路110においてトランジスターの個数を減少させた第6実施形態について説明する。
【0086】
図11は、第6実施形態に係る電気光学装置10の電気的な構成を示すブロック図であり、図12は、当該電気光学装置10における画素回路110を示す図である。
図12に示されるように、第6実施形態では、1個の画素回路110が、トランジスター121~124を有する構成、いわゆる4Trの構成であり、第1実施形態(図3参照)の画素回路110におけるトランジスター125が存在しない。
【0087】
トランジスター125の代替として、図11に示されるように、初期化回路70において、列毎にトランジスター74が設けられる。トランジスター74は例えばn型である。各列のトランジスター74のゲートノードには、制御信号Gorstが共通に供給される。
j列目のトランジスター74におけるソースノードは、電位Vorstの給電線に接続され、当該j列目のトランジスター74におけるドレインノードは、当該j列目のデータ線14に接続される。
【0088】
第6実施形態では、特に図示しないが、初期化期間(A)が、例えば(A1)および(A2)に分けられる。
初期化期間(A1)では、制御信号/Giniおよび制御信号GorstがHレベルになる。したがって、各列においてトランジスター72がオフ状態になり、トランジスター74がオン状態になるので、各列のデータ線14は電位Vorstになる。
一方、i行目の初期化期間(A1)では、走査信号/Gwr(i)がHレベルの状態で、制御信号/Gcmp(i)および/Gel(i)がLレベルになる。このため、i行目の画素回路110において、トランジスター122がオフ状態になり、トランジスター123および124がオン状態になる。したがって、i行目の画素回路110において、OLED130のアノードである画素電極131には、データ線14、トランジスター123および124を順に介して電位Gndに接地される。このため、当該OLED130は消灯するとともに、画素電極131が電位Vorstにリセットされる。
【0089】
初期化期間(A2)では、制御信号/Giniおよび制御信号GorstがLレベルになる。したがって、各列においてトランジスター72がオン状態に変化し、トランジスター74がオフ状態に変化するので、各列のデータ線14は電位Viniになる。
一方、i行目の初期化期間(A1)では、走査信号/Gwr(i)がLレベルに変化し、制御信号/Gcmp(i)および/Gel(i)がHレベルになる。このため、i行目の画素回路110において、トランジスター122はオン状態に変化し、トランジスター123および124はオフ状態に変化する。したがって、i行目の画素回路110では、第1実施形態の初期化期間(A)と同様に、データ線14の電位Viniが、オン状態のトランジスター122を介して、トランジスター121のゲートノードgに到達する。
【0090】
第6実施形態において、補償期間(B)以降の動作は、第1実施形態または第2実施形態と同様である。
【0091】
第6実施形態に係る電気光学装置10では、1個の画素回路110がトランジスター121~124を有するので、第1実施形態と比較して、細密化が容易になり、また、歩留まりの低下を抑えることができる。
【0092】
上述した第1実施形態乃至第6実施形態(以下、実施形態等と呼ぶ)では、以下のように種々の変形または応用が可能である。
【0093】
実施形態等において、発光素子の一例としてOLED130を例示して説明したが、他の発光素子を用いてもよい。例えば発光素子としてLEDを用いてもよいし、照明機構を併用した液晶素子であってもよい。すなわち、発光素子としては、データ線14の電圧に応じた光学状態になる電気光学素子であればよい。
実施形態等では、DA変換回路500として10ビットの変換例を示したが、これに限られない。
【0094】
実施形態等では、画素回路110におけるトランジスター121の閾値電圧を補償する構成としたが、閾値電圧を補償しない構成、具体的にはトランジスター123が省略された構成にしてもよい。
また、発光期間(E)を制御しない構成、具体的にはトランジスター124が省略された構成にしてもよい。
トランジスター121~125等のチャネル型は、実施形態等に限定されない。また、これらのトランジスター121~125等は、適宜トランスミッションゲートに置き換えてもよい。
【0095】
次に、実施形態等に係る電気光学装置10を適用した電子機器について説明する。電気光学装置10は、画素が小サイズで高精細な表示な用途に向いている。そこで、電子機器として、ヘッドマウントディスプレイを例に挙げて説明する。
【0096】
図13は、ヘッドマウントディスプレイの外観を示す図であり、図14は、その光学的な構成を示す図である。
まず、図13に示されるように、ヘッドマウントディスプレイ300は、外観的には、一般的な眼鏡と同様にテンプル310や、ブリッジ320、レンズ301L、301Rを有する。また、ヘッドマウントディスプレイ300は、図14に示されるように、ブリッジ320近傍であってレンズ301L、301Rの奥側(図において下側)には、左眼用の電気光学装置10Lと右眼用の電気光学装置10Rとが設けられる。
電気光学装置10Lの画像表示面は、図14において左になるように配置している。これによって電気光学装置10Lによる表示画像は、光学レンズ302Lを介して図において9時の方向に出射する。ハーフミラー303Lは、電気光学装置10Lによる表示画像を6時の方向に反射させる一方で、12時の方向から入射した光を透過させる。電気光学装置10Rの画像表示面は、電気光学装置10Lとは反対の右になるように配置している。これによって電気光学装置10Rによる表示画像は、光学レンズ302Rを介して図において3時の方向に出射する。ハーフミラー303Rは、電気光学装置10Rによる表示画像を6時方向に反射させる一方で、12時の方向から入射した光を透過させる。
【0097】
この構成において、ヘッドマウントディスプレイ300の装着者は、電気光学装置10L、10Rによる表示画像を、外の様子と重ね合わせたシースルー状態で観察することができる。
また、このヘッドマウントディスプレイ300において、視差を伴う両眼画像のうち、左眼用画像を電気光学装置10Lが表示し、右眼用画像を電気光学装置10Rが表示すると、装着者に、表示された画像があたかも奥行きや立体感を持つかのように知覚させることができる。
【0098】
なお、電気光学装置10を含む電子機器については、ヘッドマウントディスプレイ300のほかにも、ビデオカメラやレンズ交換式のデジタルカメラなどにおける電子式ビューファインダー、携帯情報端末、腕時計の表示部、投写式プロジェクターのライトバルブなどにも適用可能である。
【0099】
以上に例示した形態から、例えば以下の態様が把握される。
【0100】
ひとつの態様(態様1)に係る電気光学装置は、走査線と、第1データ線と、前記走査線と前記第1データ線との交差に対応して設けられ、前記第1データ線の電位に応じた輝度で発光する第1発光素子を含む第1画素回路と、前記第1発光素子の輝度に応じた電位の第1データ信号を第1出力線に出力する出力回路と、2つの電極を有し、一方の電極が前記第1出力線に電気的に接続され、他方の電極が前記第1データ線に電気的に接続された第1カップリング容量と、前記第1データ信号が出力される前、または、前記第1データ信号が出力された後に、前記第1データ線の電位をシフトさせるシフト回路と、を含む。
【0101】
態様1によれば、第1カップリング容量の容量値を大きくすることなく、データ線の電位をシフト(オフセット)することができるので、細密化が容易になる。なお、第1データ信号が出力された後に、第1容量素子における他方の電極電位をシフトさせる構成であれば、データ線の電位が安定するので、表示品位を向上させることができる。
なお、OLED130が第1発光素子の一例であり、データ信号出力線14cが第1出力線の一例であり、DA変換回路500が出力回路の一例である。容量素子59が第1カップリング容量の一例であり、容量素子59の一端が、第1カップリング容量における一方の電極の一例であり、容量素子59の他端が、第1カップリング容量における他方の電極の一例である。容量素子64が第1容量素子の一例であり、容量素子64の一端が、第1容量素子における他方の電極の一例であり、容量素子64の他端が、第1容量素子における一方の電極の一例である。NOT回路62がシフト回路の一例である。
【0102】
態様1の具体的な態様2に係る電気光学装置は、第2データ線と、前記走査線と前記第2データ線との交差に対応して設けられ、前記第2データ線の電位に応じた輝度で発光する第2発光素子を含む第2画素回路と、2つの電極を有し、一方の電極が第2出力線に電気的に接続され、他方の電極が前記第2データ線に電気的に接続された第2カップリング容量と、2つの電極を有し、一方の電極が前記第1データ線に電気的に接続された第1容量素子と、2つの電極を有し、一方の電極が前記第2データ線に電気的に接続された第2容量素子と、を含み、前記出力回路は、前記第2発光素子の輝度に応じた電位である第2データ信号を前記第2出力線に出力し、前記シフト回路は、前記第2データ信号が出力される前、または、前記第2データ信号が出力された後に、前記第1容量素子における他方の電極電位をシフトさせることで、前記第1データ線の電位をシフトさせ、前記第2容量素子における他方の電極電位をシフトさせることで、前記第1データ線の電位をシフトさせ、前記第1容量素子の容量値と前記第2容量素子の容量値とが異なる。
【0103】
態様2によれば、第1データ線の寄生容量と第2データ線の寄生容量とが異なる場合でも、シフト後の電位を揃えることができるので、表示品位の向上を図ることができる。
なお、データ線14Gが第2データ線の一例であり、データ線14Gに対応したデータ信号出力線14cが第2出力線の一例である。画素回路110RのOLED130が第1発光素子の一例であり、画素回路110GのOLED130が第2発光素子の一例である。容量素子59Rが第1カップリング容量の一例であり、容量素子59Gが第2カップリング容量の一例であり、容量素子64Rが第1容量素子の一例であり、容量素子64Gが第2容量素子の一例である。
【0104】
態様1の具体的な態様3に係る電気光学装置は、第2データ線と、前記走査線と前記第2データ線との交差に対応して設けられ、前記第2データ線の電位に応じた輝度で発光する第2発光素子を含む第2画素回路と、2つの電極を有し、一方の電極が第2出力線に電気的に接続され、他方の電極が前記第2データ線に電気的に接続された第2カップリング容量と、2つの電極を有し、一方の電極が前記第1データ線に電気的に接続された第1容量素子と、2つの電極を有し、一方の電極が前記第2データ線に電気的に接続された第2容量素子と、を含み、前記出力回路は、前記第2発光素子の輝度に応じた電位である第2データ信号を前記第2出力線に出力し、前記シフト回路は、前記第2データ信号が出力される前、または、前記第2データ信号が出力された後に、前記第1容量素子における他方の電極電位をシフトさせることで、前記第1データ線の電位をシフトさせ、前記第2容量素子における他方の電極電位をシフトさせることで、前記第1データ線の電位をシフトさせ、前記第1容量素子における他方の電極電位のシフト量と前記第2容量素子における他方の電極電位のシフト量とが異なる。
態様3によれば、第1データ線の寄生容量と第2データ線の寄生容量とが異なる場合でも、シフト後の電位を揃えることができるので、表示品位の向上を図ることができる。
【0105】
態様1の具体的な態様4に係る電気光学装置は、前記第1カップリング容量および前記出力回路と、前記第1容量素子および前記シフト回路と、の間に、前記第1画素回路が配置される。態様4によれば、画素回路が配列する領域(表示領域)の外側領域が偏って幅広となる状況を改善することができる。
【0106】
態様5に係る電子機器では、態様1乃至4のいずれかに係る電気光学装置を含む。
【符号の説明】
【0107】
10…電気光学装置、12…走査線、14…データ線、14c…データ信号出力線、30…制御回路、50…データ信号出力回路、41…DA変換回路、59…容量素子、60…オフセット回路、62…NOT回路、64…容量素子、70…初期化回路、110、110R、110G、110B…画素回路、120…走査線駆動回路、121~125…トランジスター、130…OLED。
図1
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