(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113226
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】昇降機
(51)【国際特許分類】
B66F 7/14 20060101AFI20240815BHJP
B66F 9/06 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
B66F7/14
B66F9/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018046
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】森本 浩人
(72)【発明者】
【氏名】山本 彬裕
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA03
3F333AB20
3F333AE08
3F333CA01
3F333DA02
3F333DB05
(57)【要約】
【課題】耐久性の高い昇降機を実現すること。
【解決手段】容器等の物品を保持可能な保持部材と、この保持部材を螺合支持する上下方向の螺子軸を備え、この螺子軸の回転によって保持部材を昇降させる構成とした昇降機において、螺子軸の上部を、この螺子軸の軸心を中心とする回転を許容し、かつ、この螺子軸の軸心方向への移動を規制する上側軸受部で吊持支持し、この上側軸受部に、機体の外部から潤滑剤を供給可能な上側潤滑剤供給路の終端部を連通させる。また、上側軸受部に、螺子軸に作用する上下方向の荷重を受けるスラスト軸受部を備え、上側潤滑剤供給路の終端部から、このスラスト軸受部に潤滑剤が供給される構成とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器等の物品を保持可能な保持部材(4)と、この保持部材(4)を螺合支持する上下方向の螺子軸(16)を備え、この螺子軸(16)の回転によって前記保持部材(4)を昇降させる構成とした昇降機において、前記螺子軸(16)の上部を、この螺子軸(16)の軸心を中心とする回転を許容し、かつ、この螺子軸(16)の軸心方向への移動を規制する上側軸受部(19)で吊持支持し、この上側軸受部(19)に、機体(1)の外部から潤滑剤を供給可能な上側潤滑剤供給路(UL)の終端部を連通させたことを特徴とする昇降機。
【請求項2】
前記上側軸受部(19)に、前記螺子軸(16)から作用する上下方向の荷重を受けるスラスト軸受部(23)を備え、前記上側潤滑剤供給路(UL)の終端部から、このスラスト軸受部(23)に潤滑剤が供給される構成とした請求項1に記載の昇降機。
【請求項3】
前記スラスト軸受部(23)には、前記螺子軸(16)から作用する上方向の荷重を受ける下側の第1スラスト軸受(23A)と、前記螺子軸(16)から作用する下方向の荷重を受ける上側の第2スラスト軸受(23B)とを含み、前記第1スラスト軸受(23A)の周囲に環状の第1室(US)を形成し、前記上側潤滑剤供給路(UL)の終端部を、この第1室(US)に連通させた請求項2に記載の昇降機。
【請求項4】
前記第1スラスト軸受(23A)と第2スラスト軸受(23B)との間に、前記螺子軸(16)の外周面に沿う環状の第2室(NM)を形成し、前記上側潤滑剤供給路(UL)から前記第1室(US)に圧入された潤滑剤が、前記第2室(NM)を通過して第2スラスト軸受(23B)に至る構成とした請求項3に記載の昇降機。
【請求項5】
前記上側軸受部(19)における第2スラスト軸受(23B)の上側に、前記螺子軸(16)を回転自在に支持する上側ラジアル軸受(24)を設け、この上側ラジアル軸受(24)の上側に第3室(MS)を形成し、前記第2スラスト軸受(23B)を通過した潤滑剤が、前記上側ラジアル軸受(24)を通過して、前記第3室(MS)に至る構成とした請求項4に記載の昇降機。
【請求項6】
前記上側軸受部(19)の上部に、前記第3室(MS)から潤滑剤を排出する上側潤滑剤排出路(DR)を設けた請求項5に記載の昇降機。
【請求項7】
前記螺子軸(16)の下部を軸受する下側軸受部(44)を設け、この下側軸受部(44)に設けた下側ラジアル軸受(48)に対して、前記螺子軸(16)の下端部を、その軸心方向へ摺動自在に遊嵌し、前記下側軸受部(44)における下側ラジアル軸受(48)の下側の部位に第4室(LS)を形成し、機体(1)の外部から潤滑剤を供給可能な下側潤滑剤供給路(DL)の終端部を、この第4室(LS)に連通させ、前記下側軸受部(44)の下部に、前記第4室(LS)から潤滑剤を排出する下側潤滑剤排出路(RD)を設けた請求項6に記載の昇降機。
【請求項8】
前記上側潤滑剤供給路(UL)の始端部に設けた上側供給口(P1)と、前記下側潤滑剤供給路(DL)の始端部に設けた下側供給口(P2)とを、機体(1)の上下方向中間部において近接配置した請求項7に記載の昇降機。
【請求項9】
前記上側供給口(P1)から潤滑剤を圧入することによって、前記上側潤滑剤供給路(UL)から前記第3室(MS)にわたって残存する潤滑剤が前記上側潤滑剤排出路(DR)から押し出され、前記下側供給口(P2)から潤滑剤を圧入することによって、前記下側潤滑剤供給路(DL)から前記第4室(LS)にわたって残存する潤滑剤が前記下側潤滑剤排出路(RD)から押し出される構成とした請求項8に記載の昇降機。
【請求項10】
前記螺子軸(16)に螺合した螺合部材(65)に前記保持部材(4)の基端部を取り付け、前記螺子軸(16)の横側を囲うように配置した壁体(3)に、前記保持部材(4)の基部を外部へ突出させた状態で上下動可能とする開口部(14)を形成し、前記上側潤滑剤排出路(DR)の終端と、前記上側供給口(P1)と、前記下側供給口(P2)とを、平面視において前記開口部(14)の近傍に配置し、前記開口部(14)の左右両縁部に、側面視で互いの先端部が重合する左右のカバー(EC,MC)の夫々の基部を取り付け、この左右のカバー(EC,MC)の先端部間に形成される隙間(ES)から、前記上側潤滑剤排出路(DR)からの潤滑剤の排出状態を視認可能な構成とした請求項9に記載の昇降機。
【請求項11】
前記左右一側のカバー(MC)の内側部に、前記上側潤滑剤供給路(UL)と下側潤滑剤供給路(DL)を配策した請求項10に記載の昇降機。
【請求項12】
前記螺合部材(65)に、この螺合部材(65)の上部に滞留した潤滑剤が螺子軸(16)の回転によって前記開口部(14)側に飛散するのを防止する板体(B1)を設けた請求項11に記載の昇降機。
【請求項13】
前記保持部材(4)を、その上昇端部において反転させる反転手段(CT)を備え、前記保持部材(4)が上昇するときに生じる下方向への荷重を前記第2スラスト軸受(23B)で受け、前記保持部材(4)がその上昇端部で反転するときに生じる上方向への衝撃的な荷重を前記第1スラスト軸受(23A)で受ける構成とした請求項3から請求項12のいずれか一項に記載の昇降機。
【請求項14】
前記保持部材(4)が反転するときに生じうる前記螺子軸(16)の上方移動が、前記下側軸受部(44)において許容される構成とした請求項13に記載の昇降機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器等の物品を昇降させる昇降機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
種々の加工工場において、原材料を収容した容器等を持ち上げる工程を省力化するために昇降機が用いられている。
例えば、食品加工工場では、食品または食品の原材料を収容した容器を持ち上げ、加工装置へ供給する工程がある。
これを省力化するために、容器を保持して上昇させた後に反転させ、この容器に収容されていた原材料を加工装置へ投入する昇降機が設置されている。
【0003】
このような昇降機として、特許文献1には、容器を保持する保持部材と、この保持部材を螺合支持する上下方向の螺子軸を備え、この螺子軸の回転によって保持部材を上昇させ、上昇端において保持部材ごと容器を反転させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1には、保持部材を螺合支持する螺子軸の軸受構造が開示されていない。
通常、上下方向の螺子軸は、この螺子軸の上端部と下端部の夫々をラジアル軸受で軸受支持される。
そして、螺子軸を回転駆動し、原材料を収容した容器を上昇させる際に、この容器の重量や螺子軸自体の重量によって、螺子軸から下端部側のラジアル軸受に下方向への荷重が作用する。
しかし、このようなラジアル軸受は、螺子軸から下方向へ作用する荷重を支持するためのものではない。
このため、螺子軸の下端部にスラスト軸受を付加し、この下方向に向かう荷重を支持する必要がある。
【0006】
一方、容器を、その上昇端部で保持部材ごと反転させる機構を備えた場合、この反転時に、原材料を収容した容器の重量による衝撃的な荷重が、螺子軸を引き上げる方向に作用する。
この衝撃的な荷重が、螺子軸から上端部側のラジアル軸受に、上方向への荷重として作用するため、螺子軸の上端部にもスラスト軸受を付加し、この上方向に向かう荷重を支持する必要がある。
以上の荷重支持の目的のみからすれば、スラスト軸受が、螺子軸の上端部と下端部の夫々に分散配置されることになる。
【0007】
しかしながら、例えば上述の食品加工工場では、衛生上の理由から、特に作業後に各加工装置の洗浄が行われ、これによって床面に水が溜まりやすい環境にある。
このため、螺子軸の下端部周辺に水が浸入しやすく、この水によって螺子軸の下端部に備えたスラスト軸受の潤滑状態が悪化し、早期に摩耗しやすくなり、耐久性が低下する問題が生じる。
【0008】
本発明は、上述のような課題を解決し、耐久性の高い昇降機を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、容器等の物品を保持可能な保持部材(4)と、この保持部材(4)を螺合支持する上下方向の螺子軸(16)を備え、この螺子軸(16)の回転によって前記保持部材(4)を昇降させる構成とした昇降機において、前記螺子軸(16)の上部を、この螺子軸(16)の軸心を中心とする回転を許容し、かつ、この螺子軸(16)の軸心方向への移動を規制する上側軸受部(19)で吊持支持し、この上側軸受部(19)に、機体(1)の外部から潤滑剤を供給可能な上側潤滑剤供給路(UL)の終端部を連通させたことを特徴とする昇降機とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記上側軸受部(19)に、前記螺子軸(16)から作用する上下方向の荷重を受けるスラスト軸受部(23)を備え、前記上側潤滑剤供給路(UL)の終端部から、このスラスト軸受部(23)に潤滑剤が供給される構成とした請求項1に記載の昇降機とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記スラスト軸受部(23)には、前記螺子軸(16)から作用する上方向の荷重を受ける下側の第1スラスト軸受(23A)と、前記螺子軸(16)から作用する下方向の荷重を受ける上側の第2スラスト軸受(23B)とを含み、前記第1スラスト軸受(23A)の周囲に環状の第1室(US)を形成し、前記上側潤滑剤供給路(UL)の終端部を、この第1室(US)に連通させた請求項2に記載の昇降機とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記第1スラスト軸受(23A)と第2スラスト軸受(23B)との間に、前記螺子軸(16)の外周面に沿う環状の第2室(NM)を形成し、前記上側潤滑剤供給路(UL)から前記第1室(US)に圧入された潤滑剤が、前記第2室(NM)を通過して第2スラスト軸受(23B)に至る構成とした請求項3に記載の昇降機とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記上側軸受部(19)における第2スラスト軸受(23B)の上側に、前記螺子軸(16)を回転自在に支持する上側ラジアル軸受(24)を設け、この上側ラジアル軸受(24)の上側に第3室(MS)を形成し、前記第2スラスト軸受(23B)を通過した潤滑剤が、前記上側ラジアル軸受(24)を通過して、前記第3室(MS)に至る構成とした請求項4に記載の昇降機とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記上側軸受部(19)の上部に、前記第3室(MS)から潤滑剤を排出する上側潤滑剤排出路(DR)を設けた請求項5に記載の昇降機とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記螺子軸(16)の下部を軸受する下側軸受部(44)を設け、この下側軸受部(44)に設けた下側ラジアル軸受(48)に対して、前記螺子軸(16)の下端部を、その軸心方向へ摺動自在に遊嵌し、前記下側軸受部(44)における下側ラジアル軸受(48)の下側の部位に第4室(LS)を形成し、機体(1)の外部から潤滑剤を供給可能な下側潤滑剤供給路(DL)の終端部を、この第4室(LS)に連通させ、前記下側軸受部(44)の下部に、前記第4室(LS)から潤滑剤を排出する下側潤滑剤排出路(RD)を設けた請求項6に記載の昇降機とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記上側潤滑剤供給路(UL)の始端部に設けた上側供給口(P1)と、前記下側潤滑剤供給路(DL)の始端部に設けた下側供給口(P2)とを、機体(1)の上下方向中間部において近接配置した請求項7に記載の昇降機とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、前記上側供給口(P1)から潤滑剤を圧入することによって、前記上側潤滑剤供給路(UL)から前記第3室(MS)にわたって残存する潤滑剤が前記上側潤滑剤排出路(DR)から押し出され、前記下側供給口(P2)から潤滑剤を圧入することによって、前記下側潤滑剤供給路(DL)から前記第4室(LS)にわたって残存する潤滑剤が前記下側潤滑剤排出路(RD)から押し出される構成とした請求項8に記載の昇降機とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、前記螺子軸(16)に螺合した螺合部材(65)に前記保持部材(4)の基端部を取り付け、前記螺子軸(16)の横側を囲うように配置した壁体(3)に、前記保持部材(4)の基部を外部へ突出させた状態で上下動可能とする開口部(14)を形成し、前記上側潤滑剤排出路(DR)の終端と、前記上側供給口(P1)と、前記下側供給口(P2)とを、平面視において前記開口部(14)の近傍に配置し、前記開口部(14)の左右両縁部に、側面視で互いの先端部が重合する左右のカバー(EC,MC)の夫々の基部を取り付け、この左右のカバー(EC,MC)の先端部間に形成される隙間(ES)から、前記上側潤滑剤排出路(DR)からの潤滑剤の排出状態を視認可能な構成とした請求項9に記載の昇降機とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、前記左右一側のカバー(MC)の内側部に、前記上側潤滑剤供給路(UL)と下側潤滑剤供給路(DL)を配策した請求項10に記載の昇降機とする。
【0020】
請求項12に記載の発明は、前記螺合部材(65)に、この螺合部材(65)の上部に滞留した潤滑剤が螺子軸(16)の回転によって前記開口部(14)側に飛散するのを防止する板体(B1)を設けた請求項11に記載の昇降機とする。
【0021】
請求項13に記載の発明は、前記保持部材(4)を、その上昇端部において反転させる反転手段(CT)を備え、前記保持部材(4)が上昇するときに生じる下方向への荷重を前記第2スラスト軸受(23B)で受け、前記保持部材(4)がその上昇端部で反転するときに生じる上方向への衝撃的な荷重を前記第1スラスト軸受(23A)で受ける構成とした請求項3から請求項12のいずれか一項に記載の昇降機とする。
【0022】
請求項14に記載の発明は、前記保持部材(4)が反転するときに生じうる前記螺子軸(16)の上方移動が、前記下側軸受部(44)において許容される構成とした請求項13に記載の昇降機とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、保持部材を螺合支持する螺子軸の上部を、この螺子軸の軸心方向への移動を規制する上側軸受部で吊持支持することで、この螺子軸の下部にスラスト軸受等を設ける必要がなくなり、この螺子軸の下部周辺に水等が浸入したとしてもこの水等の影響を受けにくくなる。
また、比較的大きな負荷の掛かる上側軸受部に、機体の外部から潤滑剤を容易に供給できる。
以上によって昇降機の耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図4】螺子軸の上部周辺を破断し一部展開して示す説明用側面図である。
【
図6】
図5における断面図であって、(a)はA-A断面図、(b)はB-B断面図である。
【
図7】螺子軸の下部周辺を破断し一部展開して示す説明用側面図である。
【
図10】螺子軸に対する保持部材の螺合状態を模式的に示す側断面図である。
【
図11】螺子軸による容器の支持構成を示す説明用平面図である。
【
図12】昇降機の上部を一部破断して示す説明用側面図である。
【
図13】上側軸受部と上側潤滑剤供給路の配置を示す説明用平面図である。
【
図14】上側供給口と下側供給口の配置を示す説明用側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を実施するための形態においては、食肉加工場にて使用されるリフターと呼ばれる昇降機を一実施例として、以下に詳述する。
なお、この昇降機に物品が導入される方向を基準として、その導入方向上流側を「前側」、導入方向下流側を「後側」と定義し、導入方向下流側に向いた状態での左手側を「左側」、右手側を「右側」と定義して説明する。
【0026】
(昇降機の基本構成)
図1~
図3に示すように、昇降機(請求項の「機体」)1は、パイプ材を枠組みして形成した機台フレーム2の左側の部位に上下方向の支柱フレーム(請求項の「壁体」)3を立設し、この支柱フレーム3に支持されて昇降するリフトアーム(請求項の「保持部材」)4を備えて構成する。
【0027】
(機台フレーム)
図1~
図3に示すように、機台フレーム2は、前後方向の左右の側部フレーム5の間を、複数の左右方向のフレーム6で連結して一体形成する。
左右の側部フレーム5の各前後端部には、転向自在な移動用のローラー7と、機台フレーム2を持ち上げてローラー7を対地浮上させるアジャストボルト8A式のストッパー8を備える。
【0028】
なお、左右の側部フレーム5の前端部は上側に膨らむように湾曲させ、この湾曲部の下方空間に前側のローラー7を配置する。
また、左右の側部フレーム5の前端部および後部から、縦フレーム9を立ち上げ、これら4つの縦フレーム9の上端部を、横フレーム10で接続して囲繞フレーム11を形成する。
この囲繞フレーム11によって、支柱フレーム3の下部周辺が囲われる。
【0029】
さらに、前部左側の縦フレーム9を上方へ延設させ、その上端部にスイッチボックス12を支持する。
このスイッチボックス12の後方には制御ボックス12Aを配置する。
【0030】
(支柱フレーム)
図1~
図3、
図7に示すように、機台フレーム2における左左右方向のフレーム6と左側の側部フレーム5にわたって板体13を溶接固定し、この板体13に形成した穴に、支柱フレーム3の下端部を没入させる。
そして、支柱フレーム3の下部外周に固定した支持板3Aを板体13の上面に載置した状態で、この支持板3Aと板体13をボルト3Bで締結固定する。
【0031】
図3、
図11、
図13に示すように、支柱フレーム3は、広幅の鋼板(またはステンレス板)を折り曲げて、平断面視でコ字状に形成する。
この支柱フレーム3の下端部(底面)に、平面視で矩形の底板3Cを固定して閉塞する。
この支柱フレーム3の右側面に開放部(請求項の「開口部」)14を形成し、この開放部14から左側へ偏倚した位置に、この開放部14の左側部を覆うカバーを設ける。
このカバーについては後述する。
【0032】
(上側軸受部)
図4~
図10に示すように、支柱フレーム3の内側中心部には、上下方向の螺子軸16を回転自在に配置する。
また、この螺子軸16を回転駆動する電動モーター17を、支柱フレーム3の上端左側部に取り付ける。
図4、
図5に示すように、支柱フレーム3の上端部に水平方向の支持板18を固定し、この支持板18に形成した貫通穴に、上側軸受部19を上側から嵌入させて取り付ける。
【0033】
この上側軸受部19は、その外径を上下方向で3段階に異なる直径に形成し、その中心部に上下方向の貫通穴を形成する。
この上側軸受部19に形成された上下方向中間部の中径部21を、支持板18の貫通穴に嵌合し、上部の大径部20の下面を支持板18の上面に載置した状態で固定する。
【0034】
この上側軸受部19における下部の小径部22の内周には、上下2段の溝を形成し、下側の溝に、上方向への荷重を受ける第1スラスト軸受23Aを嵌入させて設置する。
また、上側の溝に、下方向への荷重を受ける第2スラスト軸受23Bを嵌入させて設置する。
【0035】
また、上側軸受部19における小径部22から中径部21にわたる内周には、ラジアル軸受(請求項の「上側ラジアル軸受」)24を嵌入させ、このラジアル軸受24の上面をC型止め輪25で位置規制して固定する。(以下、各図面における軸受の符号は、その軸受における転動体(玉)に引き出し線を入れているが、この転動体のみを指すものではなく、軸受全体を指すものである。)
【0036】
そして、上側軸受部19における小径部22の下面から下方へ突設した環状の突設部26に、浅い受け皿状の下側蓋部材27を下側から嵌合させ、小径部22にボルト(図示省略)で締結固定する。
これにより、小径部22の下面が下側蓋部材27によって覆われる。
【0037】
この下側蓋部材27の中心部には貫通穴を形成しており、この貫通穴の内周面に形成した段差部に、環状のシール部材29を配置する。
これにより、上述の下側蓋部材27を小径部22に締結固定した状態で、シール部材29の上面が突設部26の下面に当接して保持される。
また、最上部の大径部20の内周面は、中径部21の内周面よりも大径に形成し、この大径部20の内周面と中径部21の内周面との間に段差部を形成する。
【0038】
一方、螺子軸16の上部における螺子山形成部よりも上側の部位を2段階に小径化し、螺子山形成部に隣接する1段階目の小径部16Aに環状のスペーサー35を嵌入させ、螺子山形成部と小径部16Aの間に形成される段差部で位置決めしておく。
この状態で、螺子軸16の上端部を、上側軸受部19に形成された貫通穴に下側から挿通する。
これによって、螺子軸16における1段階目の小径部16Aが、ラジアル軸受24と、第1スラスト軸受23Aと、第2スラスト軸受23Bに嵌入して軸受される。
【0039】
また、スペーサー35の上面が第1スラスト軸受23Aの下面によって当接支持される。(なお、第1スラスト軸受23Aと第2スラスト軸受23Bを、請求項において「スラスト軸受部23」と称する。)
すなわち、螺子軸16の小径部16Aが、ラジアル軸受24の内環の内周面と、第2スラスト軸受23Bにおける上側プレート23BUの内周面と、第1スラスト軸受23Aにおける下側プレート23ADの内周面とに嵌合し固定される。
【0040】
一方、ラジアル軸受24の外環の外周面は、上側軸受部19における中径部21の内周面に嵌合して保持される。
また、第2スラスト軸受23Bにおける下側プレート23BDが、上述の上下2段の溝の間に形成される突起部38の上面に当接した状態で嵌合固定される。
これにより、第2スラスト軸受23Bに掛かる下方向への荷重が、この突起部38の上面で支持される。
【0041】
また、第1スラスト軸受23Aにおける上側プレート23AUが、突起部38の下面側に当接した状態で嵌合固定される。
これにより、第1スラスト軸受23Aに掛かる上方向への荷重が、この突起部38の下面で支持される。
【0042】
また、シール部材29の内周面にスペーサー35の外周面が当接する。
そして、螺子軸16の上端から厚さの異なる2つのスペーサー36,37を嵌入させ、下側の薄い方のスペーサー36を螺子軸16における1段階目の小径部16Aの外周に嵌合させる。
【0043】
また、上側の厚い方のスペーサー37は、螺子軸16における2段階目の小径部16Bの外周に嵌合させる。
そして、大径部20の内周面に上側蓋部材30を上側から嵌入させ、この上側蓋部材30を大径部20にボルト31で締結固定する。
【0044】
この上側蓋部材30の中心部には貫通穴を形成しており、この貫通穴の内周面に形成した段差部に、環状のシール部材32を、その外周面と下面の一部を接触させた状態で支持させる。
これによって、上側のスペーサー37の外周面に、シール部材32の内周面が当接する。
【0045】
また、小径部16Bに、従動スプロケット39を嵌合させ、キー40で螺子軸16との相対的な回転を規制する。
そして、小径部16Bにおける従動スプロケット39の上面側の部位にカラー41を嵌合させ、小径部16Bの上端に形成した螺子部42にダブルナット43を螺合して締結する。
【0046】
以上により、螺子軸16の上端部が、この螺子軸16の軸心を中心とする回転を許容された状態で、吊持支持される。
なお、この螺子軸16において吊持支持される部位は、上端部に限らず、上下方向中間部から上端部にわたる範囲で適宜選択できる。
【0047】
(上側軸受部内の潤滑剤通路)
図4~
図6に示すように、上側軸受部19における第1スラスト軸受23Aの下部外周に環状の第1空間(請求項の「第1室」)USを形成する。
そして、この第1空間USの一部を上側軸受部19の外部へ連通させる連通路URを形成する。
【0048】
この連通路URの外側端部に、上側潤滑剤供給路(金属パイプより形成)ULの上端部に接続されたL字型の上側ジョイントUJの先端部を螺合接続する。
そして、第1スラスト軸受23Aの上側プレート23AUの内周面と、螺子軸16における小径部16Aの外周面との間に、環状の隙間NDを形成する。
【0049】
また、第2スラスト軸受23Bの下側プレート23BDの内周面と、螺子軸16における小径部16Aの外周面との間に、環状の隙間NUを形成する。
そして、突起部38の内周面と、螺子軸16における小径部16Aの外周面との間に、環状の第2空間(請求項の「第2室」)NMを形成する。
【0050】
また、上側軸受部19において、ラジアル軸受24を嵌入させた部位の内周面におけるラジアル軸受24よりも下側の部位と、第2スラスト軸受23Bの上側プレート23BUの外周面との間に、環状ないし鍔状の空間TSを形成する。
また、上側軸受部19において、ラジアル軸受24を嵌入させた部位の下面の内周縁と、第2スラスト軸受23Bの上側プレート23BUの外周面との間に隙間NTを形成する。
【0051】
そして、上側軸受部19における中径部21の内周面と、前述の下側のスペーサー36の外周面との間に、環状ないし鍔状の第3空間(請求項の「第3室」)MSを形成する。
この第3空間MSの一部に連通する連通路MRを中径部21の外周側へ向けて形成し、この連通路MRの外周側端部に、下向きの排出路(請求項の「上側潤滑剤排出路」)DRの上端部を連通させて形成する。
この排出路DRは、下側蓋部材27に貫通形成した排出口DSに連通させる。
【0052】
(潤滑材の通過経路)
上側潤滑剤供給路ULから供給されるグリス等の潤滑剤は、上側ジョイントUJから連通路URへ圧入され、第1空間USに至り、第1スラスト軸受23Aに供給される。
この第1スラスト軸受23Aに供給された潤滑剤は、第1スラスト軸受23Aの上側プレート23AUと下側プレート23ADの間の空間において、多数の転動体(玉)の間を通過し、螺子軸16の2段目の小径部の外周面方向へ送られる。
この潤滑剤は、隙間NDを上方へ通過して第2空間NMに入る。
【0053】
この第2空間NM内を満たした潤滑剤は、隙間NUを通過して第2スラスト軸受23Bの上側プレート23BUと下側プレート23BDの間の空間において、多数の転動体(玉)の間を通過した後、隙間NTを上方へ通過して空間TSに入る。
空間TSを満たした潤滑剤は、ラジアル軸受24の外環24Aと内環24Bの間の空間において、多数の転動体(玉)の間を上方へ通過し、さらにC型止め輪25の内側空間を通過して第3空間MSに入る。
【0054】
第3空間MSを満たした潤滑剤は、連通路MRを通過して排出路DRへ押し出され、排出口DSから下方へ排出されて落下する。
以上の潤滑剤の通過により、第1スラスト軸受23Aと第2スラスト軸受23Bとラジアル軸受24に新しい潤滑剤が十分に供給され、この新しい潤滑剤によって、残存していた古い潤滑剤(第1スラスト軸受23A、第2スラスト軸受23B、ラジアル軸受24等の磨耗によって発生した金属粉を含んだグリス等)が押し出されて排出される。
【0055】
なお、上側潤滑剤供給路ULから供給された新しい潤滑剤は、まず、スラスト軸受部23に供給され、このスラスト軸受部23に形成された空間や隙間を十分に満たしてから上側へ移動し、ラジアル軸受24に供給される。
また、スラスト軸受部23内の潤滑剤が減少することがあったとしても、上側のラジアル軸受24の転動体(玉)の間に貯留されていた潤滑剤が下側へ移動し、スラスト軸受部23内に供給される。
【0056】
これによって、比較的負荷の高いスラスト軸受部23における潤滑剤の充填率が高まり、第1スラスト軸受23Aおよび第2スラスト軸受23Bの耐久性が向上する。
【0057】
(下側軸受部)
図7、
図8に示すように、上述の底板3Cの上面に、下側軸受部44をボルト45で締結固定する。
この下側軸受部44は、皿状部材46を主体に形成し、この皿状部材46の内周に下側のラジアル軸受(請求項の「下側ラジアル軸受」)48を嵌入させる。
このラジアル軸受48の下面は、皿状部材46の内周下部に形成した段差部に載置された状態で支持される。
【0058】
また、螺子軸16の下端部を挿通する貫通穴を形成した蓋部材49を、皿状部材46の上面に嵌合させて固定する。
この蓋部材49における貫通穴の上部内周面には段差部を形成し、この段差部によって、シール部材50の外周面と下面の一部を位置決めする。
【0059】
また、螺子軸16の下端部を3段階に小径化し、1段階目の小径部16Cの外周面に、軸心方向視で円形の板部材55を挟持部材56と螺子57によって締結固定する。
そして、螺子軸16の下端部における2段階目の小径部16Dをラジアル軸受48の内周に上下方向移動自在(軸心方向移動自在)に嵌入させ、螺子軸16の軸心を中心とした回転のみを支持する。
この状態で、螺子軸16の1段階目の小径部16Cの外周面は、上述のシール部材50の内周面に回転自在に当接する。
【0060】
以上により、螺子軸16の下端部(下部)が、回転自在および上下方向移動自在(軸心方向移動自在)に軸受される。
これによって、ラジアル軸受48には、螺子軸16から上下方向の荷重が伝わることが略無い状態で、螺子軸16の軸心回りの回転の調心作用を奏する。
この構成により、螺子軸16は、上側軸受部19で吊持ち状態で支持(請求項の「吊持支持」)される。
【0061】
(下側軸受部内の潤滑剤通路)
蓋部材49内における螺子軸16の2段階目の小径部16Dの外周に位置し、ラジアル軸受48とシール部材50との間に位置する部位に、環状の空間SLを形成する。
そして、蓋部材49の肉厚内に横方向に穿設した連通路RLの終端部を、空間SLの一部に連通させる。
【0062】
また、蓋部材49の外周部に開口した連通路RLの始端部に、下側潤滑剤供給路(金属パイプにより形成)DLの下端部に接続されたL字型の下側ジョイントDJの先端部を螺合接続する。
また、蓋部材49の下面とラジアル軸受48の上面との間に、空間SLに連通する環状の隙間NPを形成する。
【0063】
一方、皿状部材46の内部におけるラジアル軸受48の下側の部位に空間LS(請求項の「第4室」)を形成し、この空間LSの底壁に形成した貫通孔53と、底板3Cに形成した排出用の貫通孔54と連通させる。
この貫通孔53と貫通孔54によって排出路(請求項の「下側潤滑剤排出路」)RDが形成される。
【0064】
(潤滑材の通過経路)
下側潤滑剤供給路DLから供給されるグリス等の潤滑剤は、下側ジョイントDJから連通路RLへ圧入され、空間SLから隙間NPに入り、ラジアル軸受48に供給される。
このラジアル軸受48に供給された潤滑剤は、このラジアル軸受48の外環48Aと内環48Bの間の空間において、多数の転動体(玉)の間を下方へ通過する。
【0065】
多数の転動体の間を下方へ通過した潤滑剤は、ラジアル軸受48の下面を支持する段差部と、内環48Bの外周面との間に形成された隙間NBを通過して、空間LSに入る。
空間LSに入った古い潤滑剤は、排出路RDから下方へ排出される。
【0066】
以上の潤滑剤の通過により、ラジアル軸受48に新しい潤滑剤が十分に供給され、この新しい潤滑剤によって、残存していた古い潤滑剤(ラジアル軸受48等の磨耗によって発生した金属粉を含んだグリス等)が押し出されて排出される。
【0067】
(伝動)
図4、
図9に示すように、支柱フレーム3の上端部に固定した支持板18に電動モーター17を支持し、この電動モーター17の出力軸58に取り付けた駆動スプロケット59と、螺子軸16の上端部に取り付けた従動スプロケット39との間に伝動チェーン60を巻き掛ける。
また、この電動モーター17は、物品を上昇および下降させるために正転および逆転するため、このときに生じる伝動チェーン60の弛みを吸収するテンション機構を、伝動チェーン60の張設範囲の両側に設ける。
【0068】
すなわち、駆動スプロケット59と従動スプロケット39の間の中間位置に、2つのテンションアーム61,61によって移動自在に支持されたテンションスプロケット62,62を配置する。
そして、各テンションスプロケット62,62を伝動チェーン60の平行軌跡部分に対して各外側から当接させ、各テンションスプロケット62,62を、互いに接近する方向へ付勢するテンションスプリング63を介したテンションロッド64で連動させる。
【0069】
(操作装置)
図2に示すように、上述のスイッチボックス12の前面には、最上部に上昇スイッチ12Uを設け、最下部に下降スイッチ12Dを設け、上下中間部に停止スイッチ12Sを設け、下降スイッチ12Dの右側に非常停止スイッチ12Kを設ける。
上昇スイッチ12Uを押すことで電動モーター17が正転駆動してリフトアーム4が上昇し、下降スイッチ12Dを押すと電動モーター17が逆転駆動してリフトアーム4が下降する。
【0070】
このリフトアーム4の上昇または下降中において停止スイッチ12Sを押すと、この時点で電動モーター17の回転駆動が停止し、リフトアーム4はその位置を保持する。
また、リフトアームの上昇または下降中および昇降停止中において、非常停止スイッチ12Kを押し込み操作すると、この非常停止スイッチ12Kは押し込まれた状態(ONした状態)でロックされる(機械的に保持される)。
【0071】
この状態で上昇スイッチ12Uおよび下降スイッチ12Dを操作しても、電動モーター17は回転駆動せず、リフトアーム4は昇降しない。
なお、押し込まれた状態の非常停止スイッチ12Kは、回転操作することによってロックが解除される。
これらのシーケンス制御は、制御ボックス12A内の制御回路によって行われる。
【0072】
(螺子軸とリフトアーム側との螺合部)
図10、
図11に示すように、支柱フレーム3の内部には、前後左右の四面を板体71,72で囲った平面視で矩形の箱型の螺合部材65を、螺子軸16に螺合させて設ける。
この螺合部材65における前面の左右両側部と後面の左右両側部を、支柱フレーム(請求項の「壁体」)3の内側隅部に設けた樹脂製の摺動案内部材67に摺接させる。
この摺動案内部材67によって、螺合部材65が上下方向(昇降方向)へ円滑に摺動案内される。
【0073】
また、
図10に一部模式的に示すように、螺合部材65において、前後に対向する板体71,71間を連結する左右の板体72,72を設け、右側の板体72の右側面に連結部材68の基部を連結する。
これにより、連結部材68は上述の開放部14から右側へ突出した状態で支持される。
【0074】
また、板体71,71および板体72,72によって囲われた上下方向の空間部に、螺子軸16を挿通し、この螺子軸16に、板体72側にピン73で回り止めを施された筒状の雌螺子部材74を螺合する。
この雌螺子部材74は、その内周面に、螺子軸16の螺子部に螺合する雌螺子を形成している。
この雌螺子部材74の上端面は、対向する板体71,71の上端部間を連結するとともに螺子軸16の挿通孔を有したボス部材75の下面に当接する。
【0075】
また、螺子軸16上における雌螺子部材74から所定距離下方に離れた部位に、落下防止用の雌螺子部材76を螺合する。
この落下防止用の雌螺子部材76は、板体71,72に当接することで回り止めされ、その上端部から上方へ延出する円錐台形状の突起部77を有する。
【0076】
上述の雌螺子部材74と螺子軸16との螺合状態に滑りを生じたような場合に、この突起部77が雌螺子部材74の下端部に形成された下向きの環状溝78に嵌り込み、螺合部材65の落下が防止される。
【0077】
(リフトアーム)
図10、
図11に示すように、連結部材68の縦壁部の後端部右側面に支持板70を固定し、この支持板70に形成した貫通孔に、左右方向の支持軸79の左端部を挿通して固定する。
また、支持板70の上端部には、ステー80を介してアジャストボルト81を取り付ける。
そして、上述のようにして片持ち状態で支持された支持軸79に、リフトアーム4を回転自在に支持する。
【0078】
このリフトアーム4は、支持軸79に回転自在に遊嵌した軸筒82と、この軸筒82の左端部に基部を溶接し上方へ延設された上部アーム83と、軸筒82の中間部と左端部に基部を溶接し前方へ延設された左右の支持アーム84から構成する。
左右の支持アーム84の中間部よりも前側の部位は、幅方向を上下方向に向けた板状に形成する。
【0079】
この板状の部位にスリットを形成し、このスリットに、容器85の左右両側面に固定した係合片86を挿入することで、この容器85が左右の支持アーム84によって支持される。
なお、容器85の上面は開放されており、容器85の底部にキャスター87を備え、容器85の後側上部にハンドル88を備える。
【0080】
(リフトアームの反転機構)
上述のアジャストボルト81に、上部アーム83に固定したブロック(図示省略)が当接することで、リフトアーム4における支持軸79を支点とした回動位置が規制される。
図1~
図3に示すように、上部アーム83の上端部に形成した貫通孔に、左右方向の支持ピン91を挿通して固定し、この支持ピン91の右側延出端部に、ガイドローラー92を回転自在に軸支して取り付ける。
【0081】
一方、
図1、
図3、
図15、
図16に示すように、支柱フレーム3の上部後面に、逆L字形状に屈曲した断面コ字型のガイドレール93を設ける。
図1、
図15に示すように、このガイドレール93は、その右側面を開放した状態で、上下方向の板状の台座94から後方へ突設した補強板95の左側面に固定する。
なお、ガイドレール93の下端部には、拡開した案内部96を形成する。
【0082】
図16に示すように、上述の台座94における上端部と下端部にはボルト挿通孔を形成し、一方、支柱フレーム3の上部後面に固定した当て板97には多数の螺子孔98を形成する。
この多数の螺子孔98は、上下方向に所定の間隔で配置されており、台座94に形成したボルト挿通孔と螺子孔98にボルト99を挿通して螺合し、締結固定することで、ガイドレール93が支柱フレーム3に取り付けられる。
ボルト99を螺合する螺子孔98を選択することで、ガイドレール93の高さを調節することができる。
【0083】
しかして、
図1に示すように、電動モーター17が正転駆動し、螺子軸16の回転によって螺合部材65と共に支持軸79が上昇し、左右の支持アーム84に支持された容器85が上昇する。
そして、上部アーム83の上端に軸支されたガイドローラー92が、案内部96からガイドレール93内に侵入し、このガイドレール93の屈曲部を経て水平部に至り、後方へ案内される。
【0084】
支持軸79が上昇するにつれて、上部アーム83は支持軸79の軸心を中心として後下方へ回動し、これによって左右の支持アーム84が上方へ回動し、この左右の支持アーム84の先端が支持軸(支点)79を越えて後方へ移動する。
これにより、
図1に示すように、容器85は後方へ反転移動し、内部の収容物が排出される。
なお、
図1では、説明の便宜上、上昇前の容器85およびリフトアーム4と、反転後の容器85およびリフトアーム4との双方を実線で示している。
【0085】
以上のように、ガイドレール93によってガイドローラー92を案内し、左右の支持アーム84を支点越えさせる機構(請求項の「反転手段」)CTを備える。
【0086】
(開放部のカバー)
図11~
図14に示すように、支柱フレーム3の右側面に形成した開放部14を覆う外側カバーECを設ける。
すなわち、平面視でL字形状に屈折形成した外側カバー(請求項の「左のカバー」)ECの前端縁部を、支柱フレーム3における開放部14の前側縁部に固定する。
また、この外側カバーECの後端縁は、連結部材68の外側において、支持板70の前側近傍の位置まで延在させる。
【0087】
一方、平面視でクランク状に屈折形成した内側カバー(請求項の「右のカバー」)MCの後端縁部を、支柱フレーム3における開放部14の後側縁部に固定する。
また、この内側カバーMCの前端縁を、板体72と連結部材68との連結部の近傍の位置まで延在させる。
【0088】
なお、支柱フレーム3の右側面視において、外側カバーECの後端部と、内側カバーMCの前端部とを重合させる。
これにより、開放部14の右側面が、上下方向の全域にわたって覆われる。
【0089】
また、支柱フレーム3の背面視において、外側カバーECの後端を、支柱フレーム3の右側面および内側カバーMCの右側面に対して右側方へ偏倚させる。
これによって、内側カバーMCの右側面と外側カバーECの左側面との間に、連結部材68が突出状態で昇降する隙間ESが形成される。
そして、この隙間ESから、支柱フレーム3の内部を視認することができる。
【0090】
(潤滑剤の供給構造)
また、
図13に示すように、前述の上側軸受部19の潤滑剤供給側の連通路URと、潤滑剤排出側の連通路MRとを、平面視で螺子軸16の軸心を中心とした放射方向において、略90度だけ位相を異ならせて配置する。
これによって、連通路MRに接続された上側潤滑剤供給路ULは、支柱フレーム3の開放部14の後側縁部において、支柱フレーム3側の折り返し端部と内側カバーMCとの間に形成された空間に配策される。
【0091】
また、連通路MRに連通した排出口DSは、開放部14に臨む位置に配置される。
これによって、排出口DSから排出されて落下する潤滑剤を、作業者が隙間ESから視認しながら、潤滑剤の圧入作業を行うことができる。
【0092】
すなわち、
図1、
図13、
図14に示すように、金属パイプで形成された上側潤滑剤供給路ULの下端部を、囲繞フレーム11の横フレーム10よりもやや低い位置まで下方へ延在させる。
そして、この延在端部(下端部)に設けた上部圧入口(請求項の「上側供給口」)P1を、内側カバーMCの内側の部位において、この内側カバーMCに形成した上部貫通孔H1に臨ませて配置し、支柱フレーム3側の折り返し部に上部ステーS1を介して取り付ける。
【0093】
これによって、作業者は、上部圧入口P1の栓を外し、潤滑剤圧入具(グリスガン等)の先端部を上部貫通孔H1から差し込んで上部圧入口P1に連通させ、新しい潤滑剤を圧入しながら、上側軸受部19の排出口DSから押し出される古い潤滑の落下を、隙間ESから目視にて確認することができる。
【0094】
同様に、下側潤滑剤供給路DLの上端部に設けた下部圧入口(請求項の「下側供給口」)P2を、上部圧入口P1の下側近傍の部位に配置し、内側カバーMCに形成した下部貫通孔H2に臨ませて配置し、支柱フレーム3側の折り返し部に下部ステーS2を介して取り付ける。
これによって、上部圧入口P1からの上側軸受部19への潤滑剤の供給作業と、下部圧入口P2からの下側軸受部44への潤滑剤の供給作業を能率よく行うことができる。
【0095】
(潤滑剤の飛散防止構造)
図10~
図12に示すように、前述の螺合部材65におけるボス部材75の外周部に、側面視で矩形状の板状部材(請求項の「板体」)B1の下部をボルトB2で固定する。
この板状部材B1は、開放部14に臨む部位に配置され、ボス部材75の上面よりも高い位置まで上下方向に延在する。
【0096】
しかして、通常、螺合部材65が上昇する際に、螺子軸16に付着していた潤滑剤がボス部材75によって削がれ、このボス部材75上に堆積し、螺子軸16の回転等によって外周方向へ飛散する。
この潤滑剤の飛散を板状部材B1によって遮蔽ないし規制し、開放部14から外部への潤滑剤の飛散を防止することができる。
【0097】
(上限検出部およびオーバーラン検出部)
図15、
図16に示すように、台座94の上部に平断面視L字型の支持板100の下端部を固定し、この支持板100の上部に、ステー101を締結固定する。
このステー101は側面視で逆U字状に形成し、上限検出用スイッチ102とオーバーラン検出用スイッチ103を取り付ける。
【0098】
上述の支持板100に取り付けた上下のL字型プレート(図示省略)が、上限検出用スイッチ102側の上限検出用揺動アーム104と、オーバーラン検出用スイッチ103側のオーバーラン検出用揺動アーム105の夫々に当接するように配置する。
【0099】
(作動説明)
容器85の左右の係合片86を左右の支持アーム84のスリットに挿通させ、スイッチボックス12の上昇スイッチ12Uを操作すると、電動モーター17が駆動し、螺子軸16の回転によって螺合部材65と左右のリフトアーム4が一体的に上昇する。
この上昇によって、上部アーム83に取り付けられたガイドローラー92が、ガイドレール93の案内部96から侵入して後方へ案内されることで、左右のリフトアーム4が支持軸79を中心として上方回動し、容器85が反転した姿勢となる。
これによって、容器85から収容物が排出される。
【0100】
このように容器85が反転した状態では、上述の支持板70に取り付けた上下のL字型プレート(図示省略)が、上限検出用スイッチ102側の上限検出用揺動アーム104に当接し、電動モーター17への電流供給が自動的に遮断される。
また、上限検出用スイッチ102の故障や断線等によって電動モーター17への電流供給が遮断されない場合には、支持板70に取り付けた上下のL字型プレートが、オーバーラン検出用スイッチ103側のオーバーラン検出用揺動アーム105に当接することで、電動モーター17への電流供給が自動的に遮断される。
すなわち、オーバーラン検出用スイッチ103が安全装置として機能する。
【0101】
以上は、食肉加工場にて使用される昇降機(リフター)について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、工業用の原材料を昇降させる昇降機等にも適用できる。
【符号の説明】
【0102】
1 昇降機(機体)
3 支柱フレーム(壁体)
4 リフトアーム(保持部材)
14 開放部(開口部)
19 上側軸受部
23A 第1スラスト軸受
23B 第2スラスト軸受
24 ラジアル軸受(上側ラジアル軸受)
48 ラジアル軸受(下側ラジアル軸受)
US 第1空間(第1室)
UL 上側潤滑剤供給路
NM 第2空間(第2室)
MS 第3空間(第3室)
DR 排出路(上側潤滑剤排出路)
DL 下側潤滑剤供給路
RD 排出路(下側潤滑剤排出路)
LS 空間(第4室)
CT 反転機構(反転手段)
EC 外側カバー(左のカバー)
MC 内側カバー(右のカバー)
P1 上部圧入口(上側供給口)
P2 下部圧入口(下側供給口)
B1 板状部材(板体)