(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113238
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】車両制御システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240815BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240815BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240815BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240815BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20240815BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 D
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018069
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 ありさ
(72)【発明者】
【氏名】寺川 智充
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181DD02
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL15
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】交差点における交通流の活性化の可能性を高める技術の提供。
【解決手段】車両制御システムであって、進行方向が同一の車線を走行する複数の車両が進入予定の交差点における、車両の走行方向を推定する推定部と、交差点を直進予定の前記車両を、交差点を右左折予定の車両よりも優先的に交差点に進入させるように、車両を制御する制御部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向が同一の車線を走行する複数の車両が進入予定の交差点における、前記車両の走行方向を推定する推定部と、
前記交差点を直進予定の前記車両を、前記交差点を右左折予定の前記車両よりも優先的に前記交差点に進入させるように、前記車両を制御する車両制御部と
を備える、車両制御システム。
【請求項2】
前記車両制御部は、直進予定の前記車両が右左折予定の前記車両を追い越すように制御する、請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記車両制御部は、右左折予定の前記車両と直進予定の前記車両とが異なる車線を走行するように制御する、請求項2に記載の車両制御システム。
【請求項4】
前記車両制御部は、前記交差点に進入予定の前記車両を、前記交差点における走行予定の方向に基づいてグループ化し、グループ単位で前記車両を制御する、請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項5】
前記車両制御部は、前記交差点の信号が通行可能を示してから一定時間経過後に、右左折予定の前記車両が前記交差点へ進入するように制御する、請求項1に記載の車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交差点における交通流の活性化を図るための技術が知られている。例えば、特許文献1には、交差点に進入する車両が交錯する可能性がある場合に、進入態様を考慮して車両に優先度を設定し、優先度にしたがって、交差点への車両の進入を制御するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術においては、右左折車両の減速により交通流が悪化するのを防ぐために直進車両を優先して交差点に進入させる。しかしながら、直進車両と右左折車両が少ない台数で交互に並ぶ場合には、直進車両の動きを前方の右左折車両が妨げてしまい、交通流の活性化を妨げる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、交差点における交通流の活性化の可能性を高める技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、車両制御システムは、進行方向が同一の車線を走行する複数の車両が進入予定の交差点における、前記車両の走行方向を推定する推定部と、前記交差点を直進予定の前記車両を、前記交差点を右左折予定の前記車両よりも優先的に前記交差点に進入させるように、前記車両を制御する車両制御部とを備える。
【0007】
このように、車両制御システムは、進行方向が同一の車線を走行する複数の車両に対し、交差点を直進予定の車両を、右左折予定の車両よりも優先的に交差点に進入させるような制御を行う。これにより、直進予定の車両が交差点に進入するのを右左折車両が妨げるような状況を減らすことができ、したがって、交通量の活性化の可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】車両及び車両制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】グループ化処理を示すフローチャートである。
【
図4】右左折グループと直進グループが異なる車線に形成される場合を示す図である。
【
図5】右側に直進グループが形成され、左側の右左折グループが形成される場合を示す図である。
【
図6】進入タイミング制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)システム構成:
(2)処理:
(3)付記:
【0010】
(1)システム構成:
図1は、本実施形態における車両10及び車両制御システム20の構成を示すブロック図である。車両制御システム20は、各車両10の交差点における走行を制御する。車両10と車両制御システム20は、ネットワークNを介して通信を行うことができる。
図1において、車両10を1台のみ示しているが、車両制御システム20は、複数の車両10を制御する。
【0011】
車両10は、ICT(Information and Communication Technology)端末としての機能を有する自動車、いわゆるコネクテッドカーとして機能する。車両10は、さらに、加減速や操舵などの操作が、適宜車両制御システム20の制御に応じて行われる。車両10は、車両制御部100と、運転制御部110と、第1通信部120と、GNSS受信部131と、車速センサ132と、ジャイロセンサ133と、周辺センサ134と、を備えている。
【0012】
車両制御部100は、プロセッサやメモリを備え、車両10の各部を制御する。運転制御部110は、車両の挙動を制御する。運転制御部110は、例えば、図示しない車速制御部(例えば、制動制御部、変速制御部、スロットル制御部等)を含み、車速を制御する。運転制御部110は、目標速度標を設定し、車速が目標速度となるように車速制御部を制御する。運転制御部110はまた、操舵部を制御することにより、車線変更等、車両の進行方向を変更させる。
【0013】
第1通信部120は、ネットワークNを介して外部の装置と通信を行うための装置である。車両制御部100は、第1通信部120を介して他の車両10や車両制御システム20と通信を行う。車両制御部100、運転制御部110及び第1通信部120は、1または2以上のECU(Electronic Control Unit)として実現される。
【0014】
GNSS受信部131は、Global Navigation Satellite Systemの信号を受信する装置である。GNSS受信部131は、航法衛星からの電波を受信し、車両10の現在位置を算出するための信号を出力する。車速センサ132は、車両10が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。ジャイロセンサ133は、車両10の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両10の向きに対応した信号を出力する。車両制御部100は、走行中の道路において、車速センサ132およびジャイロセンサ133から出力された信号に基づいて推定される位置の軌跡である自立航法軌跡と図示しない地図情報とに基づいて車両10の現在位置を取得する。
【0015】
周辺センサ134は、車両10に設置され、車両10の周辺の画像を撮影するカメラを含む。撮影画像には、例えば、交差点を横断する歩行者、歩道を歩く歩行者などが含まれる。周辺センサ134はまた、前方等を走行している車両10を検出するセンサを含む。このようなセンサとしては、可視光カメラの他、ミリ波レーダ、LIDAR(Light Detection and Ranging)等が挙げられる。周辺センサ134は、車両10の前方の車両との車間距離を示す情報を出力する。車両制御部100は、この車間距離を示す情報を取得する。
【0016】
車両制御部100は、運転制御部110に制御目標を出力することにより、車両10の1つ前を走行する車両(前方車両)に対して自動追従走行させることができる。例えば、車両制御部100は、周辺センサ134により前方車両との車間距離を取得し、車間距離が一定の範囲内の値となる車速を特定する。そして、車両制御部100は、特定した車速を制御目標として、運転制御部110に出力する。制御目標は、種々の態様で特定され得る。例えば、車両制御部100は、車間距離が一定の範囲より大きければ、現在の車速より既定量だけ大きい車速を制御目標とする。また、車両制御部100は、車間距離が一定の範囲より小さければ、現在の車速より既定量だけ小さい車速を制御目標とする。さらに、車両制御部100は、車間距離が一定の範囲内であれば、現在の車速を制御目標とする。この結果、車両10と前方車両との車間距離が一定の範囲となるように制御される。すなわち、自動追従走行が行われる。
【0017】
次に、車両制御システム20について説明する。車両制御システム20は、制御部200と、第2通信部220と、記録媒体230と、を備えている。制御部200は、図示しないCPU、RAM、ROM等を備えており、記録媒体230やROMに格納されたプログラムを実行することができる。記録媒体230には、地図情報231が格納されている。
【0018】
地図情報231は、車両や信号機の位置の特定等に利用される情報であり、ノードとリンクによって定義された区間のネットワークを示している。地図情報231には、ノードの位置等を示すノードデータ、ノード間の区間の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータが含まれている。ノードは交差点に該当する。リンクデータには、道路の属性を示す情報が含まれており、当該属性には車線の数等が含まれる。
【0019】
制御部200は、記録媒体230やROM等に格納された車両制御プログラム210を実行することにより、推定部211及び車両制御部212として機能する。すなわち、以下において、推定部211及び車両制御部212が実行するものとして記載する処理は、制御部200が車両制御プログラム210を実行することにより実現される処理である。制御部200は、車両制御プログラムを実行することにより、後述のグループ化処理及び進入タイミング制御処理を含む車両制御処理を実行する。
【0020】
推定部211は、車両10が交差点を退出した場合に、車両10が次に進入予定の交差点における走行方向を推定する。すなわち、推定部211は、車両10が走行中のリンクの端に位置する交差点(ノード)における車両10の走行方向を推定する。本実施形態においては、推定部211は、車両10に対して設定された走行経路に従って走行方向を推定する。
【0021】
車両制御部212は、車両10の交差点における走行を制御するように、車両10に対して適宜、走行指示を送信する。なお、走行指示は、第2通信部220を介して、車両10に送信される。車両制御部212の処理については、
図2以降を参照しつつ詳述する。
【0022】
(2)処理:
図2は、車両制御システム20によるグループ化処理を示すフローチャートである。本実施形態においては、車両制御システム20は、各車両10に対して車速や操舵等の走行に関する走行指示を出すのに替えて、同一の方向に走行する複数車両をグループ化し、グループの先頭の車両に対して走行指示を出す。同一グループに属する、先頭以外の車両は、先頭の車両に追従して走行する。このように、車両はグループ単位で制御される。グループ化処理においては、このためのグループが設定される。
【0023】
以下では、同じ交差点に向かって同一の車線上を走る車両の群を車列と称する。また、進行方向における次の交差点で右折又は左折すると推定される車両、すなわち右左折予定の車両を右左折車両と称する。進行方向における次の交差点で直進すると推定される車両、すなわち直進予定の車両を直進車両と称する。
【0024】
グループ化処理は、例えば、数秒毎など、一定期間経過する度に行われるものとする。また、グループ化処理と並行して、推定部211は、各車両10が交差点を退出した場合に、車両10が次に進入予定の交差点における走行方向を推定するものとする。これにより、車列に含まれる各車両10が右左折車両であるか直進車両であるかが特定される。
【0025】
グループ化処理においては、車両制御部212は、1つの交差点に進入する1つの車列を処理対象として、以下の処理を行う。例えば、片側2車線の道路においては、2車線それぞれに対して、グループ化処理が行われる。グループ化処理においては、まず、ステップS100において、車両制御部212は、車列の先頭の車両が右左折車両であるか、直進車両であるかを確認する。車列の先頭が直進車両の場合には(ステップS100でN)、車両制御部212は、処理をステップS104へ進める。車列の先頭が右左折車両の場合には(ステップS100でY)、ステップS212は、処理をステップS102へ進める。ステップS102において、車両制御部212は、先頭から連続する右左折車両を同じ右左折グループに分類する。
【0026】
次に、ステップS104において、車両制御部212は、車列中に、グループに属さない右左折車両が存在するか否かを確認する。グループに属さない右左折車両が存在しない場合には(ステップS104でN)、車両制御部212は、処理をステップS106へ進める。ステップS106において、車両制御部212は、グループに属さないすべての車両を、同じ直進グループに分類する。以上でグループ化処理が完了する。
【0027】
一方で、ステップS104において、車列中に、グループに属さない右左折車両が存在する場合には(ステップS104でY)、車両制御部212は、処理をステップS108へ進める。ステップS108において、車両制御部212は、グループに属さない車両のうち、先頭の車両から右左折車両の直前までの車両を直進グループに分類する。次に、ステップS110において、車両制御部212は、グループに属さない車両のうち、先頭の車両から連続する右左折車両を右左折グループに分類する。
【0028】
次に、ステップS112において、車両制御部212は、車列中に、グループに属さない車両が存在するか否かを確認する。グループに属さない車両が存在する場合には(ステップS112でY)、車両制御部212は、処理をステップS104へ進める。グループに属さない車両が存在しない場合、すなわち車列中のすべての車両がグループに分類された場合には(ステップS112でN)、グループ化処理が完了する。
【0029】
以上のように、グループ化処理において、車両制御部212は、交差点における車両の走行予定の方向に基づいて、1又は2以上の右左折グループと、1又は2以上の直進グループと、にグループ化する。
【0030】
図3A及び
図3Bは、グループ化処理の説明図である。
図3Aに示すように、先頭車両が直進車両で、続く2台目と3台目が右左折車両で、4台目が直進車両であるとする。この場合、まず先頭車両が1台の直進グループに分類される。次に、2台目と、3台目が2台の右左折グループに分類される。次に、4台目が1台の直進グループに分類される。さらに、1台目が交差点に進入した後では、
図3Bに示すように、先頭と2台目が同じ右左折グループに分類され、次の3台目が直進グループに分類され、4台目が右左折グループに分類される。
【0031】
車両制御部212は、片側2車線道路の場合には、グループ化処理と並行して、直進車両には、右車線を現在の速度で走行させ、右左折車両には、左車線を減速して走行させるように、走行指示を出す。そして、車両制御部212は、直進車両を先に行かせた後に、右折車両を右側の車線に移動させるように、走行指示を出す。これにより、
図4に示すように、右側の車線には、直進グループが形成され、左側の車線には右左折グループが形成される。このように、車両制御部212は、直進車両と右左折車両が異なる車線を走行するように制御する。なお、この場合、右折車両は、直進車両が交差点に進入した後で、右車線に移動し、その後交差点に進入するように制御される。
【0032】
また、他の例としては、車両制御部212は、直進車両を左の車線に移動させ、右左折車両には、直進車両を先に行かせた後で、右側の車線に移動させるように、走行指示を出してもよい。この場合には、左折車両は、直進車両が交差点に進入した後で、左車線に移動し、その後交差点に進入するように制御される。
【0033】
また、片側3車線以上の道路の場合には、車両制御部212は、グループ化処理と並行して、直進車両に中央の車線を走行させ、左折車両に左側の車線を走行させ、右折車両に右側の車線を走行させるように、走行指示を出す。これにより、中央の車線には、直進車両グループが形成され、左側の車線には、左折車両のみの右左折グループ(左折グループ)が形成され、右側の車線には、右折車両のみの右左折グループ(右折グループ)が形成される。
【0034】
また、片側1車線の場合において、2台の車両が通行するのに十分な幅の道路や、対向車線にはみ出して通行することが可能な道路においては、車両制御部212は、以下の処理を行う。すなわち、車両制御部212は、グループ化処理と並行して、直進車両には、より右側を現在の速度で走行させつつ、右左折車両には、直進車両の左側を減速して走行させるように、走行指示を出す。これにより、
図5に示すように、右側に直進グループが形成され、その左側に右左折グループが形成されるようになる。以上のように、車両制御部212は、直進車両が右左折車両を追い越すように制御する。
【0035】
図6は、進入タイミング制御処理を示すフローチャートである。進入タイミング制御処理は、処理対象の車列に対応した信号が青信号(進入可能)である場合に実行される処理である。車両制御システム20は、信号機を管理する装置から信号の状態(青、赤、黄)を示す情報を受信できるものとする。進入タイミング制御処理においては、車両制御部212は、1つの交差点に同一方向から進入する車列を処理対象として以下の処理を行う。
【0036】
ステップS200において、車両制御部212は、車列の先頭が直進グループであるか右左折グループであるかを確認する。車列の先頭が直進グループの場合には(ステップS200でY)、車両制御部212は、処理をステップS202へ進める。車列の先頭が右左折グループの場合には(ステップS200でN)、車両制御部212は、処理をステップS204へ進める。ステップS202において、車両制御部212は、先頭の直進グループを交差点に進入させる走行指示を当該直進グループの先頭を走行する車両10に送信する。
【0037】
走行指示を受信した車両10においては、車両制御部100が走行指示に従い、制御目標を設定する。具体的には、車両制御部100は、現在の車速で交差点へ進入するような制御目標を設定する。そして、車両制御部100は、運転制御部110に制御目標を出力する。これにより、先頭の車両10は、減速することなく交差点へ進入し、交差点を直進するよう制御される。さらに、当該直進グループに属する他の車両は、前方車両と一定の車間距離を保ちながら、先頭車両に続いて順次交差点へ進入し、交差点を直進するよう制御される。
【0038】
ステップS202の後、ステップS204において、車両制御部212は、交差点において横断者の存在を確認すること(横断者確認)ができるか否かを確認し、さらに横断者確認が可能な場合には、横断者の有無を確認する。例えば、プローブ車両に設置されたカメラや歩行者などが携帯するカメラ、横断歩道に設置されたカメラ等により撮影された撮影画像から横断者の有無が確認可能であり、横断者の有無を示す情報を車両制御システム20が取得可能であるとする。この場合には、車両制御部212は、横断者確認可能と判断する。さらに、車両制御部212は、横断者の有無を示す情報において、横断者が存在することが示される場合に横断者が存在すると判断する。
【0039】
横断者確認可能であり、かつ横断者が存在しない場合には(ステップS204でY)、車両制御部212は、処理をステップS206へ進める。横断者確認が不可能な場合には(ステップS204でN)、車両制御部212は、処理をステップS208へ進める。また、横断者確認が可能であり、かつ横断者が存在する場合にも(ステップS204でN)、車両制御部212は、処理をステップS208へ進める。
【0040】
ステップS206において、車両制御部212は、次の右左折グループを交差点に進入させる走行指示を当該右左折グループの先頭を走行する車両10に送信する。車両制御部212は、その後処理をステップS210へ進める。
【0041】
走行指示を受信した車両10においては、車両制御部100が走行指示に従い制御目標を設定する。具体的には、車両制御部100は、減速して交差点へ進入するような制御目標を設定する。そして、車両制御部100は、運転制御部110に制御目標を出力する。これにより、先頭の車両10は、減速して交差点へ進入し、交差点を右折又は左折するよう制御される。そして、当該右左折グループの他の車両は、前方車両と一定の車間を保ちながら、先頭車両に続いて順次交差点へ進入するよう制御される。そして、交差点においては、各車両は、それぞれの走行経路に従い右折又は左折するよう制御される。
【0042】
ステップS208において、車両制御部212は、次の右左折グループを青信号の後半において、交差点に進入させるような走行指示を当該右左折グループの先頭を走行する車両10に送信する。以上で、進入タイミング制御処理が完了する。
【0043】
走行指示を受信した車両10においては、車両制御部100が走行指示に従い制御目標を設定する。本実施形態においては、車両制御部100は、青信号の時間が2分である場合において、青信号開始から1分経過した時点で当該右左折グループの先頭車両が交差点に進入するような制御目標を設定し、運転制御部110に制御目標を出力する。これにより、先頭の車両10は、減速して交差点まで進み、青信号開始から1分経過した時点で交差点に進入する。さらに、当該右左折グループの他の車両10は、前方車両と一定の車間距離を保ちながら、先頭車両に続いて順次交差点に進入し、交差点を右折又は左折するよう制御される。
【0044】
ステップS210においては、車両制御部212は、青信号が継続しているかを確認する。青信号が継続していない場合、すなわち、黄色信号又は赤信号に変化した場合には(ステップS210でN)、進入タイミング制御処理が完了する。青信号が継続している場合には(ステップS210でY)、車両制御部212は、処理をステップS212へ進める。ステップS212において、車両制御部212は、次の直進グループ、すなわち直前のステップS206において交差点に進入させた右左折グループに続く直進グループを、交差点に進入させる走行指示を当該直進グループの先頭を走行する車両10に送信する。車両制御部212は、その後処理をステップS204へ進める。なお、走行指示を受信した車両10における処理は、ステップS202において送信された走行指示を受信した車両10の処理と同様である。
【0045】
以上のように、本実施形態の車両制御システム20は、直進車両を右左折車両よりも優先的に交差点に進入させるように制御する。したがって、交差点における交通流の活性化の可能性を高めることができる。
【0046】
(3)付記:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。そうした第1の変形例としては、上述の実施形態を構成する車両制御システム20が備える各部(推定部211、車両制御部212)の機能の少なくとも一部は、例えば、車両10が備えることとしてもよい。また、他の例としては、車両制御システム20に替えて各車両10が車両制御処理を行うこととしてもよい。この場合、各車両10がグループ化処理を行うことになるが、車列の構成が等しいことから、いずれの車両10によるグループ化処理の結果も等しくなる。そして、先頭となった車両10は、進入タイミング制御処理に応じて走行し、それ以外の車両10は、前方車両に追従するように走行する。また他の例としては、1つの交差点に進入予定の複数台の車両のうち少なくとも1台の車両10が車両制御処理を行うこととしてもよい。この場合には、当該少なくとも1台の車両が、車両制御処理を行っていない車両に走行指示を出せばよい。
【0047】
また、第2の変形例としては、上記の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。例えば、
図2を参照しつつ説明したステップS108の処理とステップS110の処理は、その実行順番は限定されるものではない。例えば、ステップS110の処理の後にステップS108が行われてもよく、ステップS108の処理とステップS110の処理が並列に行われてもよい。
【0048】
第3の変形例としては、本実施形態においては、車両制御システム20は、車両10のうち、直進グループ及び右左折グループの先頭の車両10にのみ走行指示を出し、先頭以外の車両10は、先頭車両に追従するものとしたが、これに限定されるものではない。他の例としては、車両制御システム20は、実施形態において説明したような直進車両が右左折車両よりも優先的に交差点に進入するような制御のための走行指示を各車両10に送信してもよい。
【0049】
第4の変形例としては、本実施形態においては、車両10は、車両制御システム20の制御に応じて、加減速や操舵の操作が行われれるものとしたが、本機能は必須の構成ではない。他の例としては、車両10は、これらの機能を備えなくてもよい。この場合には車両制御システム20は、車両10に走行指示を送信し、車両10は、走行指示を音声等で出力してもよい。この場合には、運転者の操作により、減速や車線移動等が行われればよい。
【0050】
第5の変形例としては、推定部211は、交差点における車両10の走行方向を推定すればよく、そのための具体的な処理は実施形態に限定されるものではない。例えば、推定部211は、車両10における方向指示器の操作を示す情報を取得し、取得した情報に基づいて走行方向を推定してもよい。方向指示器が右折及び左折を示す場合には、推定部211は、それぞれ走行方向を右折及び左折と推定し、方向指示器の操作がなされていない場合には、走行方向を直進と推定する。
【0051】
第6の変形例としては、車両制御部212は、
図4を参照しつつ説明した進入タイミング制御処理のステップS208においては、青信号になってから一定時間経過後に、右左折車両が交差点に進入するように制御されればよい。すなわち、そのタイミングは、青信号の時間の半分が経過した時間に限定されるものではない。また、他の例としては、車両制御部212は、青信号の終了タイミングから一定時間前に右左折車両が交差点に進入するように制御してもよい。
【0052】
第7の変形例としては、車両制御部212は、進入タイミング制御処理において、左折車両については、横断者が存在しない場合には、青信号の後半まで待つことなく、交差点に進入させるように制御してもよい。また、車両制御部212は、右折車両については、横断者が存在せず、かつ対向車が存在しない場合には、青信号の後半まで待つことなく、交差点に進入させるように制御してもよい。これにより、より速やかな交差点への進入を実現することができる。
【0053】
さらに、本発明は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のようなシステムで実現される方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0054】
10…車両、20…車両制御システム、100…車両制御部、110…運転制御部、120…第1通信部、131…GNSS受信部、132…車速センサ、133…ジャイロセンサ、134…周辺センサ、200…制御部、210…車両制御プログラム、211…推定部、212…車両制御部、230…記録媒体、231…地図情報