(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011324
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】荷重計
(51)【国際特許分類】
E02D 5/80 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
E02D5/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113238
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】391005950
【氏名又は名称】株式会社東横エルメス
(71)【出願人】
【識別番号】391005891
【氏名又は名称】ブイ・エス・エル・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】峯尾 卓光
(72)【発明者】
【氏名】樋川 健次
(72)【発明者】
【氏名】片桐 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏之
(72)【発明者】
【氏名】関口 尚明
(72)【発明者】
【氏名】高原 正樹
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041GA01
2D041GC12
(57)【要約】
【課題】アンカーヘッドがずれることがない荷重計を提供する。
【解決手段】
略円筒状の受圧体と、前記受圧体の外周に設ける、上端面が前記受圧体の上端面より上に位置する略円筒状のアンカーヘッドガイドと、からなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状の受圧体と、
前記受圧体の外周に設ける、上端面が前記受圧体の上端面より上に位置する略円筒状のアンカーヘッドガイドと、
からなる荷重計。
【請求項2】
前記受圧体は、内面にセンサを貼付する円筒体と、前記円筒体の上部に設ける中空円板状の受圧カバーと、からなり、
前記受圧カバーは、内周縁から下方に突出する内周筒を有することを特徴とする、
請求項1に記載の荷重計。
【請求項3】
対向する前記内周筒と前記円筒体の内周面との間にセンサ保護材を充填することを特徴とする、
請求項2に記載の荷重計。
【請求項4】
前記受圧体は、外周縁から下方に突出する外周筒を有し、
前記外周筒は前記円筒体の外周に位置し、
前記外周筒の外周面には周方向に連続する嵌合溝を有し、
前記アンカーヘッドガイドの外周側から内周側に貫通して螺合する固定ボルトを有し、
前記アンカーヘッドガイドを貫通した固定ボルトの先端が前記嵌合溝内に位置することを特徴とする、
請求項3に記載の荷重計。
【請求項5】
前記アンカーヘッドガイドは、一部を切り欠いて平面視略C字状を呈することを特徴とする、
請求項4に記載の荷重計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラウンドアンカーに作用する引張力を計測する荷重計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
グラウンドアンカーは、地中に造成する定着部と地表付近に設ける法枠や擁壁等の構造物を高強度の引張材で連結し、引張材に作用させた引張力を利用して、構造物を安定させるシステムである。
従来知られているグラウンドアンカーは、地盤中に造成した定着部と構造物を、引張材101を介して連結する。そして、引張材101の頭部に設けたアンカーヘッド102とアンカープレート103からなる定着具を介して、構造物に形成した台座104から構造物に引張力を作用させる(
図6)。
【0003】
グラウンドアンカーに作用する引張力は、設置した地盤の変形や引張材等の経年劣化による低下が懸念される。このため、グラウンドアンカーに作用する引張力を計測することで、地盤の変形やグラウンドアンカーの健全性の指標とすることができる。
引張力の計測は、アンカーヘッド102とアンカープレート103の間に設ける荷重計105にかかる荷重を、荷重計105の内部に設けたひずみゲージにより計測することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アンカーヘッド102とアンカープレート103の間に荷重計105を設けたとき、正確な引張力を計測するためには、アンカーヘッド102と荷重計105の軸心(中心)を合わせる必要がある。
従来のアンカーヘッド102と荷重計105は平面で接触しており、アンカーヘッド102施工時にアンカーヘッド102と荷重計105がずれるおそれがある。
【0006】
本発明は、アンカーヘッドがずれることがない荷重計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本願の荷重計は、略円筒状の受圧体と、前記受圧体の外周に設ける、上端面が前記受圧体の上端面より上に位置する略円筒状のアンカーヘッドガイドと、からなる。
前記受圧体は、内面にセンサを貼付する円筒体と、前記円筒体の上部に設ける中空円板状の受圧カバーと、からなり、前記受圧カバーは、内周縁から下方に突出する内周筒を有してもよい。
対向する前記内周筒と前記円筒体の内周面との間にセンサ保護材を充填してもよい。
前記受圧体は、外周縁から下方に突出する外周筒を有し、前記外周筒は前記円筒体の外周に位置し、前記外周筒の外周面には周方向に連続する嵌合溝を有し、前記アンカーヘッドガイドの外周側から内周側に貫通して螺合する固定ボルトを有し、前記アンカーヘッドガイドを貫通した固定ボルトの先端が前記嵌合溝内に位置してもよい。
前記アンカーヘッドガイドは、一部を切り欠いて平面視略C字状を呈してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
(1)アンカーヘッドがアンカーヘッドガイドの内径に収まるため、アンカーヘッドと受圧体の軸心がずれることがなく、施工時の位置決めも容易である。
(2)嵌合溝は受圧カバーの外周筒に連続して設けてあるため、アンカーヘッドガイドの正確な位置決めをしなくても受圧体に固定することができる。
(3)アンカーヘッドガイドの切り欠きにケーブル引き出し部やケーブルが収まることで、アンカーヘッドガイドによりケーブル引き出し部やケーブルが保護される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】本発明の荷重計を用いたグラウンドアンカーの説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の荷重計を詳細に説明する。
【0011】
(1)荷重計の構成(
図1~4)
本発明の荷重計は受圧体1の外周に、略円筒状のアンカーヘッドガイド2を設ける。
【0012】
(2)受圧体
受圧体1は、円筒体11と、円筒体11の上部に被せる中空円板状の受圧カバー12と、からなる
円筒体11の内周面にはセンサ(ひずみゲージ)Sを設ける。
センサS用のケーブルは円筒体11の側面に設けたケーブル引き出し部111から、本実施例においては上方に取り出す。
受圧カバー12は中空円板状であり、内周縁から下方に突出する内周筒121と、外周縁から下方に突出する外周筒122を有する。また、受圧カバー12の上面には、アンカーヘッド3の下面に接する受圧部123を有する。
受圧カバー12を円筒体11に被せたとき、内周筒121は円筒体11の内周面と対向して所定の距離離れており、外周筒122は円筒体11の外周に位置する。
外周筒122の外周には、連続する嵌合溝124を設ける。
受圧カバー12は、外周から外周筒122を貫通し、円筒体11に設けた雌ネジ状の固定ボルト孔112に螺合する受圧カバー固定ボルト125により固定する。受圧カバー固定ボルト125の頭部は嵌合溝124内に収める。
円筒体11の内周面と対向する内周筒の外周面との間には、樹脂からなるセンサ保護材13を充填する。
【0013】
(3)アンカーヘッドガイド
アンカーヘッドガイド2は、略円筒状であり、受圧体1の外周に設ける。
アンカーヘッドガイド2の上端面は、受圧体1の受圧カバー12の上端面より上に位置する。
アンカーヘッドガイド2は、外周に所定の間隔でボルト穴21を設け、ボルト穴21の底部に内周側に貫通するネジ孔22を設け、ネジ孔22に螺合してアンカーヘッドガイド2を貫通し、先端を受圧カバー12の嵌合溝124に嵌合する固定ボルト23により受圧体1に固定する。嵌合溝124は受圧カバー12の外周筒122に連続して設けてあるため、アンカーヘッドガイド2の正確な位置決めをしなくても受圧体1に固定することができる。
また、本実施例においては、センサS用のケーブルをケーブル引き出し部111から上方に取り出すため、アンカーヘッドガイド2の一部に切り欠き24を設けることにより、平面視略C字状を呈する。切り欠き24にケーブル引き出し部111やケーブルが収まることで、アンカーヘッドガイド2によりケーブル引き出し部111やケーブルが保護される。
【0014】
(4)グラウンドアンカー
本発明の荷重計を用いたグラウンドアンカーは、荷重計にアンカー4を挿通し、楔5を介してアンカー4の上端を固定したアンカーヘッド3により受圧体1の上部を、アンカー4を挿通したアンカープレート6により下部を、それぞれ挟持する。アンカーヘッド3はアンカーヘッドガイド2の内周に収まる径とする。
そして、アンカーヘッド3からの軸力を受圧カバー12の上面の受圧部123で受けて円筒体11に伝達し、アンカープレート6からの反力を円筒体11の下面により受けることで、発生する圧縮力をセンサSにより計測する。
アンカーヘッド4がアンカーヘッドガイド2の内径に収まるため、アンカーヘッド4と受圧体1の軸心がずれることがなく、施工時の位置決めも容易である。
アンカーヘッド4には、本実施例の形状に限らず、従来のアンカー頭部の形状が採用できる。
【符号の説明】
【0015】
1 受圧体、11 円筒体、111 ケーブル引き出し部、112 固定ボルト孔、12 受圧カバー、121 内周筒、122 外周筒、123 受圧部、124 嵌合溝、125 固定ボルト、13 センサ保護材
2 アンカーヘッドガイド、21 ボルト穴、22 ネジ孔、23 固定ボルト、24 切り欠き
3 アンカーヘッド
4 アンカー
5 楔
6 アンカープレート