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特開2024-113240エキスパンドメタル用ブラケットおよびエキスパンドメタルの取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113240
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】エキスパンドメタル用ブラケットおよびエキスパンドメタルの取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20240815BHJP
   E04F 13/12 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
E04F13/08 102D
E04F13/08 101B
E04F13/08 102K
E04F13/08 102N
E04F13/12 B
E04F13/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018071
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】591078929
【氏名又は名称】菊川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥野木 宏一
(72)【発明者】
【氏名】鷹羽 吉雄
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA48
2E110AA50
2E110AB04
2E110AB22
2E110BA13
2E110BB22
2E110BC12
2E110CA03
2E110CC03
2E110CC17
2E110DA12
2E110DC12
2E110EA04
2E110EA06
2E110GB01Z
2E110GB02
2E110GB06
(57)【要約】
【課題】エキスパンドメタルの裏側から曲がり具合に合わせて固定し、構造物にエキスパンドメタルを安定かつ強固に固着すること。
【解決手段】エキスパンドメタル用ブラケット10は、網目を構成する複数のストランド101と、ストランド101同士を結合する、断面視でへの字状に屈曲した複数のボンド102とを備えるエキスパンドメタル100を、壁200に固定するエキスパンドメタル用ブラケットであって、ボンド102に固着される固着部3と、固着部3から延出して壁200に取り付けられる基部6と、を備え、固着部3は、ボンド102に沿って屈曲している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
網目を構成する複数のストランドと、前記ストランド同士を結合する、断面視でへの字状に屈曲した複数のボンドとを備えるエキスパンドメタルを、構造物に固定するエキスパンドメタル用ブラケットであって、
前記ボンドに固着される固着部と、前記固着部から延出して前記構造物に取り付けられる基部と、を備え、
前記固着部は、前記ボンドに沿って屈曲している、
ことを特徴とするエキスパンドメタル用ブラケット。
【請求項2】
前記基部は、前記固着部が前記ボンドに固着された状態で、前記ボンドの周囲に配置されたいずれかの網目から露出するように、前記固着部から延出している、
ことを特徴とする請求項1に記載のエキスパンドメタル用ブラケット。
【請求項3】
前記基部は、前記固着部の一端部を片持ち支持するとともに、前記固着部が固着される前記ボンドに対して上方に配置された少なくとも2つの網目から露出する、
ことを特徴とする請求項2に記載のエキスパンドメタル用ブラケット。
【請求項4】
前記基部は、前記固着部の両端部に一対設けられ、前記固着部が固着される前記ボンドを挟んで上下あるいは左右に配置された少なくとも2つの網目から露出する、
ことを特徴とする請求項2に記載のエキスパンドメタル用ブラケット。
【請求項5】
前記固着部の端部において、前記固着部と前記基部とのなす角度は90度より大きい、
ことを特徴とする請求項4に記載のエキスパンドメタル用ブラケット。
【請求項6】
前記基部は、下向きに開口するとともに前記構造物に設けられた突起に係合する切欠部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエキスパンドメタル用ブラケット。
【請求項7】
網目状のエキスパンドメタルを、ブラケットを介して構造物に取り付けるエキスパンドメタルの取付構造であって、
前記エキスパンドメタルは、網目を構成する複数のストランドと、前記ストランド同士を結合する複数のボンドと、を備え、
前記ボンドは、断面視でへの字状に屈曲しており、
前記ブラケットは、前記ボンドに固着される固着部と、前記固着部から延出して前記構造物に取り付けられる基部と、を備え、
前記固着部は、前記ボンドに沿って屈曲している、
ことを特徴とするエキスパンドメタルの取付構造。
【請求項8】
前記基部は、前記固着部が前記ボンドに固着された状態で、前記網目から露出する位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項7に記載のエキスパンドメタルの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキスパンドメタル用ブラケットおよびエキスパンドメタルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エキスパンドメタルが、モルタル外装やフェンスまたは自動車車体用機器などに使用されている。エキスパンドメタルは、金属板をエキスパンド製造機によって千鳥状に切れ目を入れながら押し広げ、その切れ目を菱形や亀甲形に成形したメッシュ状の金属板である。
【0003】
従来のエキスパンドメタルは、外枠が設けられていた。そのため、エキスパンドメタルは、外枠を互いに結合することで、その外枠を建物の外壁に固定することができた。また、エキスパンドメタルの外枠を野外に配置することで、フェンスとして設置することもできた。
【0004】
近年、エキスパンドメタルは、デザインファサードとしても利用され、例えば、網目と網目を広げることで、開放感や遮断性を表現できる。また、エキスパンドメタルの起伏のある立体感は、見る角度によって異なる雰囲気を有し、奥行きを体感させることもできる。このようなエキスパンドメタルのデザイン性を活かし、外枠のないエキスパンドメタルのニーズが増加している。
【0005】
しかしながら、外枠のないエキスパンドメタルは、エキスパンドメタル同士を相互に結合することができず、外枠がある場合と比較して建物の外壁に設置することが容易ではない。また、エキスパンドメタルを建物の外壁に取り付ける際、エキスパンドメタルに留め具が必要となり、美観を害し、デザイン性が損なわれることもある。
【0006】
ここで、例えば、特許文献1のタイル懸架金具には、「ビス又は釘が貫通できる穴又は網目を有する帯状のパンチィングメタルまたはエキスパンドメタルなどの金属板又は金網であって、長さ方向を軸にして上部に角度30~90度の折り曲げ部分を有する」旨が、記載されている(特許文献1の要約書参照)。
【0007】
特許文献1に記載のタイル懸架金具は、基板の上半部を折り曲げ、その上部折り曲げ部がタイルの溝に嵌合し、且つタイルを懸架する構造である。このように、タイルを上部折り曲げ部に懸架するだけでタイルを建物の下地材に取り付けることができるので、タイルを建物の外壁に容易に設置できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003-27697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のタイル(エキスパンドメタル)は、上部折り曲げ部に懸架されているに過ぎないため、タイルの重さが上部折り曲げ部に集中的に掛かる。また、タイル懸架金具は、壁などの構造物に対してタイルががたつきやすくなる。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、構造物にエキスパンドメタルを安定かつ強固に固着する、エキスパンドメタル用ブラケットおよびエキスパンドメタルの取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明の上記課題を解決するために、エキスパンドメタル用ブラケットは、網目を構成する複数のストランドと、前記ストランド同士を結合する、断面視でへの字状に屈曲した複数のボンドとを備えるエキスパンドメタルを、構造物に固定するエキスパンドメタル用ブラケットであって、前記ボンドに固着される固着部と、前記固着部から延出して前記構造物に取り付けられる基部と、を備え、前記固着部は、前記ボンドに沿って屈曲していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、構造物にエキスパンドメタルを安定かつ強固に固着する、エキスパンドメタル用ブラケットおよびエキスパンドメタルの取付構造を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットに取り付けられる、エキスパンドメタルの概略の構成を示す説明図である。
図2】第1実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した側面図である。
図3】第1実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した上面図である。
図4】第1実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの斜視図である。
図5】第2実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した側面図である。
図6】第2実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの斜視図である。
図7】第3実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した側面図である。
図8】第3実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した斜視図である。
図9】第4実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した側面図である。
図10】第5実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した側面図である。
図11】第5実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した下面図である。
図12】第5実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの斜視図である。
図13】第6実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した側面図である。
図14】第6実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した下面図である。
図15】第6実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。また、各図において、同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0015】
<本実施形態>
[エキスパンドメタルの構成]
図1は、本実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットに取り付けられる、エキスパンドメタルの概略の構成を示す説明図である。図1に示すように、エキスパンドメタル100は、複数のストランド101と、複数のボンド102とを備えて構成されている。エキスパンドメタル100は、後述するエキスパンドメタル用ブラケット10に取り付けられることで、壁に設置される。
【0016】
エキスパンドメタル100は、1枚の金属素材で形成されている。エキスパンドメタル100は、波状の歯形(不図示)で金属素材を押し下げながら左右方向に等間隔で複数の切り込みを入れることで1つのストランド101が形成される。また、エキスパンドメタル100は、波状の歯型を左右方向にずらすとともに金属素材を左右方向と直交する方向に移動させて次の切り込みを入れることで、次のストランド101とボンド102とが形成される。エキスパンドメタル100は、この動作を繰り返すことで、上下に複数のストランド101及びボンド102が形成され、切り込みが複数の網目を形成する。
【0017】
なお、ストランド101の幅(すなわち金属素材を移動させる距離)は、特に限定されるものではなく、幅を広くすることで、所望の立体感を形成できる。また、この波状の歯型を押し下げる動作によって、ボンド102には断面視でへの字状に屈曲した屈曲部が必然的に形成されることとなる。
【0018】
切り込みにより複数の網目が形成されると、複数のストランド101は、網目と網目の間を広くすることで各ストランド101の角度が変わり、デザイン性を向上させ、開放感や、遮断性を生じさせる。これにより、ストランド101の各角度は、所望のデザインを実現する、網目の形状に応じて異なっている。
【0019】
ボンド102は、ストランド101同士を結合しており、断面視でへの字状に屈曲している。すなわち、ボンド102は、角度の異なる2つのストランド101を結合したへの字状を形成する。
【0020】
エキスパンドメタル100は、図1では、波状のストランド101が左右方向に延設されている。ストランド101の方向は、限定されるものではなく、例えば、外壁に対して図1に示すエキスパンドメタル100を90度回転させることで、ストランド101が延設する方向を縦方向に変更できる。また、エキスパンドメタル100は、例えば、アルミニウムやスチールまたは亜鉛めっき鋼板の金属板で形成されている。エキスパンドメタル100は、後述するエキスパンドメタル用ブラケット10を用いて、鉄骨で組み立てられた外壁の下地などに設置される。
【0021】
<第1実施形態>
[エキスパンドメタル用ブラケットの構成]
図2は、第1実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した側面図である。図3は、第1実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した上面図である。図4は、第1実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの斜視図である。
【0022】
図2から図4に示すように、エキスパンドメタル用ブラケット10は、固着部3と、基部6と、を備えている。
【0023】
固着部3は、エキスパンドメタル100のボンド102の裏側(壁200側)に固着されている。固着部3は、ボンド102に沿って屈曲している。固着部3は、エキスパンドメタル100の2つのストランド101に対応して、第1固着面1と第2固着面2とを有している。本実施形態では、第1固着面1と第2固着面2のそれぞれは、平面で形成されている。これにより、第1固着面1と第2固着面2のそれぞれは、対応するストランド101と隙間なく固着することができるので、固着部3は、ボンド102と安定かつ強固に固着することができる。
【0024】
基部6は、図2および図3に示すように、固着部3から延出して壁200に取り付けられる。基部6は、横片と縦片とからなり断面視で逆L字形状を呈する。基部6の左右幅は固着部3の左右幅よりも長い。固着部3は、基部6の横片の一端側に設けられている。基部6は、縦片の他端側が壁200に取り付けられている。基部6は、固着部3がボンド102に固着された状態で、ボンド102の周囲に配置されたいずれかの網目から露出するように、固着部3から延出している。基部6は、図1の左右方向に延出してもよく、また図1の上下方向に延出してもよい。図4では、基部6は、固着部3から右方向に延出している。
【0025】
この場合、ビス20は、固着部3の右側に位置するストランド101の網目から、ビス穴7に向けてビス留めすることができる。なお、ビス20とビス穴7は、固着部3の右側に一対形成されているが、一対に限定されるものではなく、二対形成されていてもよい。また、ビス20とビス穴7の位置は、固着部3に隣接するボンド102の網目に限定されず、固着部3から少し離れた網目でもよい。
【0026】
また、図3に示すエキスパンドメタル用ブラケット10の場合、基部6が左右の何れか一方の方向に延出しており、右側のエキスパンドメタル用ブラケット10のように、基部6が固着部3から左方向に延出していてもよい。
【0027】
なお、ビス穴4,5,7のそれぞれは、図4に示すように、各ビス20,21,22に対応して形成されている。しかしながら、ビス穴4,5,7は、これに限定されるものではない。例えば、ビス20,21,22の種類によっては下穴を必要としないビスも使用でき、ビス穴4,5,7は、必要に応じて形成される。
【0028】
これにより、エキスパンドメタル用ブラケット10は、図2および図3に示すように、壁200(構造物)に取り付けられる。
【0029】
壁200は、図3に示すように、一次下地201と二次下地202を備えて構成されている。一次下地201と二次下地202は、壁200を支える構造部材である。二次下地202は、コの字状に形成され、一次下地201とエキスパンドメタル用ブラケット10とを接合する。一次下地201と二次下地202は、ボルト25およびナット26で接合され、二次下地202と2つのエキスパンドメタル用ブラケット10は、各エキスパンドメタル用ブラケット10に対応するビス20により接合されている。
【0030】
エキスパンドメタル100は、図1に示したように、略波状になっている。そのため、エキスパンドメタル100の端には、エキスパンドメタル用ブラケット10を取り付けることができない。そこで、エキスパンドメタル用ブラケット10は、図3に示すように、端から波が半分ずれたところで、ボンド102を固着するように配置されている。
【0031】
<第2実施形態>
[エキスパンドメタル用ブラケットの構成]
図5は、第2実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した側面図である。図6は、第2実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した斜視図である。
【0032】
図5および図6に示すように、第2実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10aの基部8は、固着部3の一端部を片持ち支持するとともに、固着部3が固着されるボンド102に対して上方に配置された2つの網目から露出している。なお、第2実施形態では、一例として、2つの網目から露出しているが、数は2つに限定されるものではなく、2つ以上であればよい。
【0033】
図5および図6に示すように、エキスパンドメタル用ブラケット10aは、固着部3と、基部8とを有している。固着部3は、断面視で略へ字形状を呈する第1固着面1と第2固着面2とを有する。基部8は、固着部3の一端部を片持ち支持している。基部8は、壁200に対してL字状に形成され、地面に対して垂直方向上向きに延伸している。基部8のビス穴7は、固着部3が固着されるボンド102に対して上方に配置され、上下に連続して位置する2つの網目から露出している。
【0034】
第2実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10aは、固着部3に対して基部8が上下方向に延びているので、第1実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10と比較して基部8と壁との固定点に回転モーメントがかかりにくい。そのため、安定性を向上させることができる。
【0035】
なお、図5では、基部8は、上方向に延伸しているが、下方向に延伸していてもよい。また、図5および図6に示すエキスパンドメタル用ブラケット10aを、90度横向きに傾けるように設置してもよい。これにより、縦目のエキスパンドメタル100を設置することができる。
【0036】
<第3実施形態>
[エキスパンドメタル用ブラケットの構成]
図7は、第3実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した側面図である。図8は、第3実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した斜視図である。
【0037】
図7および図8に示すように、第3実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10bの基部9は、固着部3の両端部に一対設けられ、固着部3が固着されるボンド102を挟んで上下あるいは左右に配置された少なくとも2つの網目から露出している。なお、第3実施形態では、一例として、2つの網目から露出しているが、数は2つに限定されるものではなく、2つ以上であればよい。
【0038】
図7および図8に示すように、エキスパンドメタル用ブラケット10bは、固着部3と、固着部3の両端部に一対設けられた9とを備えて構成されている。第3実施形態では、各基部9は、固着部3から壁200に対し、L字状に形成されている。各基部9のそれぞれには、ビス穴7が設けられており、エキスパンドメタル用ブラケット10bは、壁200に対して、固着部3の上下方向または左右方向にビス20をビス留めすることができる。なお、図7では、ビス20は、エキスパンドメタル用ブラケット10bの上下方向に隣接するストランド101の隙間からビス留めされている。
【0039】
<第4実施形態>
[エキスパンドメタル用ブラケットの構成]
図9は、第4実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した側面図である。なお、第4実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10cは、第3実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10bの変形例である。
【0040】
図9に示すように、第4実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10cは、固着部3の端部において、固着部3と基部9bとのなす角度は90度より大きくなっている。図9に示すように、基部9aは、第3実施形態である固着部3と基部9とのなす角度が90度を示している。これに対し、第4実施形態では、基部9bは、固着部3と基部9とのなす角度が90度より大きいことにより、ユーザは、ビス22を固着部3に容易にビス留めしやすくなっている。
【0041】
<第5実施形態>
[エキスパンドメタル用ブラケットの構成]
図10は、第5実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した側面図である。図11は、第5実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した下面図である。図12は、第5実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの斜視図である。
【0042】
第5実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10dの基部11は、下向きに開口するとともに壁200(構造物)に設けられた寸切りボルト30(突起)に係合する切欠部11aを有している。なお、第5実施形態では、横目のエキスパンドメタル100を壁200に設置する場合について説明する。
【0043】
図10に示すように、第5実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10dの基部11は、固着部3から壁200(方立40)方向に延伸するとともに、下方向にも延伸している。そのため、基部11は、壁200と水平に保持されるように、切欠部11aにおいて、ファスナー41に固定された寸切りボルト30と係合する。
【0044】
すなわち、エキスパンドメタル用ブラケット10dの基部11は、図12に示すように、横片11bと、横片11bの左右の縁部(図12では左側)から下方に延出する縦片11cと、縦片11cの下端部から上向きに切り欠かれた切欠部11aとを有している。
【0045】
第5実施形態では、基部11における下方向への延伸(縦片11c)は、例えば、片側一方が下側に延伸していればよく、例えば、図12の横片11bの右側から下方向に延伸してもよい。さらに、縦片11cは、横片11bの左右の両側から下方向にそれぞれ延伸し、横片11bの左右の両側に切欠部11aを設けてもよい。
【0046】
第5実施形態では、図10及び図11に示すように、壁200側からエキスパンドメタル100に向けて、方立40と、ファスナー41とが伸びている。図10に示すように、方立40には、2組の寸切りボルト31およびナット32(ダブルナット)によりファスナー41が取り付けられている。また、図11に示すように、ファスナー41には、1個の寸切りボルト30と、2個のナット32(ダブルナット)が取り付けられている。また、寸切りボルト30には、向かい合う2個のナット32(ダブルナット)により、2組の接合部が形成されている。
【0047】
図11では、ファスナー41において、寸切りボルト30が2個のナット32(ダブルナット)を用いて固定される。また、寸切りボルト30に形成された2組の接合部には、それぞれ基部11の縦片11cが嵌合する。
【0048】
そのため、ユーザは、エキスパンドメタル100の裏側に、予めエキスパンドメタル用ブラケット10dを取り付けておく。これにより、ユーザは、エキスパンドメタル用ブラケット10dが取り付けられたエキスパンドメタル100を、ファスナー41に取り付けられた寸切りボルト30に上から引っ掛けることができる。ユーザは、基部11の縦片11cを2個のナット32(ダブルナット)で閉めることで、エキスパンドメタル用ブラケット10dを寸切りボルト30に固定することができる。
【0049】
このように、エキスパンドメタル用ブラケット10dのそれぞれは、接合部を形成する2個のナット32の隙間に基部11の縦片11cが上側から引っ掛けられ、2個のナット32を閉めることで固定される。
【0050】
<第6実施形態>
[エキスパンドメタル用ブラケットの構成]
図13は、第6実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した側面図である。図14は、第6実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの取付状態を示した下面図である。図15は、第6実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケットの斜視図である。
【0051】
第6実施形態は、第5実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10dに対して、基部11の位置を変更したものである。そのため、第6実施形態は、第5実施形態と同様に、エキスパンドメタル用ブラケット10eの基部12は、下向きに開口するとともに壁200(構造物)に設けられた寸切りボルト30(突起)に係合する切欠部12aを有している。これにより、第6実施形態では、縦目のエキスパンドメタル100を壁200に設置する場合について説明する。
【0052】
図13および図14に示すように、エキスパンドメタル用ブラケット10eは、図10および図11に対応しており、基本的な構成は、第5実施形態と同様である。すなわち、第6実施形態でも、ユーザは、エキスパンドメタル100の裏側に、予めエキスパンドメタル用ブラケット10eを取り付けておく。ユーザは、エキスパンドメタル用ブラケット10eが取り付けられたエキスパンドメタル100を、ファスナー41に取り付けられた寸切りボルト30に上から引っ掛ける。ユーザは、基部12を挟む2つのナット32(ダブルナット)を閉めることで、エキスパンドメタル用ブラケット10eを寸切りボルト30に固定することができる。
【0053】
また、図13および図14では、固着部3は、第1固着面1および第2固着面2において、ビス21,22の代わりにリベット23,24によりボンド102に固着されている。リベット23,24とは、頭部とネジ部のない胴部からなり、穴を開けた部材に本体を差し込み、専用工具で密着させることで、端部を塑性変形させて接合させる部材である。このように、固着部3は、ボンド102に固着されればよく、例えば、ビス21,22やリベット23,24などに限定されるものではない。
【0054】
<第7実施形態>
[エキスパンドメタル用ブラケットの構成]
第7実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10の構造は、図2から図4に示したように、網目状のエキスパンドメタル100を、エキスパンドメタル用ブラケット10を介して壁200(構造物)に取り付けるエキスパンドメタル100の取付構造であっる。
【0055】
エキスパンドメタル100は、網目を構成する複数のストランド101と、ストランド101同士を結合する複数のボンド102と、を備えている。ボンド102は、断面視でへの字状に屈曲しており、エキスパンドメタル用ブラケット10は、ボンド102に固着される固着部3と、固着部3から延出して壁200に取り付けられる基部6と、を備えて構成されている。固着部3は、ボンド102に沿って屈曲している。
【0056】
固着部3は、エキスパンドメタル100のボンド102の裏側(壁200側)に固着される。固着部3は、エキスパンドメタル100の2つのストランド101に対応して、第1固着面1と第2固着面2とを有している。第1固着面1と第2固着面2のそれぞれは、平面で形成される。これにより、固着部3は、ボンド102に沿って屈曲している。これにより、第1固着面1と第2固着面2のそれぞれは、対応するストランド101と隙間なく固着することができるので、固着部3は、ボンド102と安定かつ強固に固着することができる。
【0057】
さらに、第7実施形態のエキスパンドメタル用ブラケット10の構造において、基部6は、固着部3がボンド102に固着された状態で、網目から露出する位置に配置されていてもよい。
【0058】
基部6は、図2および図3に示すように、固着部3から延出して壁200に取り付けられる。基部6は、固着部3がボンド102に固着された状態で、ボンド102の周囲に配置されたいずれかの網目から露出する位置に配置されている。なお、基部6は、図1の左右方向に露出する位置に配置されてもよく、また図1の上下方向に露出する位置に配置されてもよい。例えば、図4では、基部6は、固着部3から右方向に露出する位置に配置されている。ビス20は、固着部3の右側に位置するストランド101の網目から、ビス穴7に向けてビス留めする。ビス20とビス穴7は、固着部3の右側に一対形成されているが、一対に限定されるものではなく、二対形成されていてもよい。
【0059】
以上説明したように、第1実施形態から第7実施形態に記載したエキスパンドメタル用ブラケット10~10eは、何れもエキスパンドメタル100の裏側からボンド102の曲がり具合に合わせて固定することができ、壁200にエキスパンドメタル100を安定かつ強固に固着することができる。
【0060】
<第1実施形態の作用・効果>
第1実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10は、網目を構成する複数のストランド101と、ストランド101同士を結合する、断面視でへの字状に屈曲した複数のボンド102とを備えるエキスパンドメタル100を、壁200に固定するエキスパンドメタル用ブラケットであって、ボンド102に固着される固着部3と、固着部3から延出して壁200に取り付けられる基部6と、を備え、固着部3は、ボンド102に沿って屈曲している。
【0061】
かかる構成によれば、固着部3は、エキスパンドメタル100の2つのストランド101に対応して、第1固着面1と第2固着面2とを有し、第1固着面1と第2固着面2のそれぞれは、平面で形成されている。よって、第1固着面1と第2固着面2のそれぞれは、対応するストランド101と隙間なく固着することができるので、固着部3は、ボンド102と安定かつ強固に固着することができる。
【0062】
例えば、ボンド102と固着部3の間に隙間が形成されていると、エキスパンドメタル100が振動しやすくなる。エキスパンドメタル100が振動すると、ボンド102から固着部3に振動による圧力が加わるため、固着部3に取り付けたビス21,22または壁200に取り付けたビス20など(リベット23,24も含む)が緩みやすくなる。
【0063】
これに対し、第1実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10は、エキスパンドメタル100の裏側から曲がり具合に合わせて隙間なく固定することができるので、壁200にエキスパンドメタル100を安定かつ強固に固着することができる。
【0064】
また、基部6は、固着部3がボンド102に固着された状態で、ボンド102の周囲に配置されたいずれかの網目から露出するように、固着部3から延出している。
【0065】
かかる構成によれば、基部6は、固着部3から右方向に延出しており、ビス20は、固着部3の右側に位置するストランド101の網目から、ビス穴7に向けてビス留めすることができる。
【0066】
これにより、第1実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10によれば、ビス20によりストランド101の網目から容易にビス留めすることができる。
【0067】
また、エキスパンドメタル用ブラケット10は、1枚の金属板(金属素材)で形成されているため、ユーザは、金属板を曲げるだけでエキスパンドメタル用ブラケット10を作製することができる。また、金属板を曲げる角度を、ボンド102を形成するストランド101の角度に容易に合わせることができるため、エキスパンドメタル用ブラケット10の固着部3は、エキスパンドメタル100のボンド102と固着することができ、固着する強度を向上させることができる。
【0068】
<第2実施形態の作用・効果>
また、第2実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10aの基部8は、固着部3の一端部を片持ち支持するとともに、固着部3が固着されるボンド102に対して上方に配置された少なくとも2つの網目から露出している。
【0069】
かかる構成によれば、基部8は、第1固着面1と第2固着面2とを有する固着部3が、エキスパンドメタル100のボンド102に固着された状態で、固着部3の一端部を片持ち支持している。これにより、第2実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10aによれば、固着部3の一端部を片持ちした基部8のビス穴7に、ビス留めすることができる。
【0070】
<第3実施形態の作用・効果>
また、第3実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10bの基部9は、固着部3の両端部に一対設けられ、固着部3が固着されるボンド102を挟んで上下あるいは左右に配置された少なくとも2つの網目から露出している。
【0071】
かかる構成によれば、各基部9は、固着部3から各基部9が壁200に対し、L字状に形成されている。これにより、第3実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10bによれば、壁200に対して、固着部3の上下方向または左右方向にビス20をビス留めすることができる。
【0072】
<第4実施形態の作用・効果>
また、第4実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10cは、第3実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10bに対して、固着部3の端部において、固着部3と基部9bとのなす角度は90度より大きくなっている。
【0073】
かかる構成によれば、基部9bは、固着部3と基部9とのなす角度が90度より大きいことにより、ビス22を固着部3にビス留めしやすくなっている。これにより、第4実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10cは、第3実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10bよりも、ビス22を固着部3に容易にビス留めしやすくなっている。
【0074】
さらに、固着部3と基部9とのなす角度が90度以下の場合、金属板の曲げ加工が困難になる。すなわち、エキスパンドメタル用ブラケット10cは、1枚の金属板で形成されているため、エキスパンドメタル用ブラケット10bを作製する際、金属板を内側に曲げる加工が発生する。これに対して、第4実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10cは、金属板を内側に曲げる加工を要することなく、ビス22を固着部3にビス留めしやすくなっている。
【0075】
<第5,第6実施形態の作用・効果>
また、第5,第6実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10d,10eの基部11,12は、下向きに開口するとともに壁200に設けられた寸切りボルト30に係合する切欠部11a,12aを有している。
【0076】
かかる構成によれば、第5,第6実施形態では、壁200側からエキスパンドメタル100に向けて、方立40と、ファスナー41とが伸びている。ユーザは、エキスパンドメタル100の裏側に、予めエキスパンドメタル用ブラケット10d,10eを取り付けておく。ユーザは、切欠部11a,12aが取り付けられたエキスパンドメタル100を、ファスナー41に取り付けられた寸切りボルト30に上から引っ掛ける。基部11を挟む2つのナット32(ダブルナット)をユーザが閉めることで、エキスパンドメタル用ブラケット10d,10eと寸切りボルト30とを固定する。
【0077】
これにより、第5,第6実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10d,10eは、ビス20を壁200にビス留めできない場所や、ユーザの手が届かない場所でも、エキスパンドメタル100を壁200に設置することができる。
【0078】
<第7実施形態の作用・効果>
第7実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10の構造は、網目状のエキスパンドメタル100を、エキスパンドメタル用ブラケット10を介して壁200に取り付けるエキスパンドメタル100の取付構造である。エキスパンドメタル100は、網目を構成する複数のストランド101と、ストランド101同士を結合する複数のボンド102と、を備えて構成されている。ボンド102は、断面視でへの字状に屈曲しており、エキスパンドメタル用ブラケット10は、ボンド102に固着される固着部3と、固着部3から延出して壁200に取り付けられる基部6と、を備えて構成されている。固着部3は、ボンド102に沿って屈曲している。
【0079】
かかる構成によれば、固着部3は、エキスパンドメタル100のボンド102の裏側(壁200側)に固着される。固着部3は、エキスパンドメタル100の2つのストランド101に対応して、第1固着面1と第2固着面2とを有している。第1固着面1と第2固着面2のそれぞれは、平面で形成される。これにより、固着部3は、ボンド102に沿って屈曲している。これにより、第1固着面1と第2固着面2のそれぞれは、対応するストランド101と隙間なく固着することができるので、固着部3は、ボンド102と強固に固着することができる。
【0080】
さらに、基部6は、固着部3がボンド102に固着された状態で、網目から露出する位置に配置されていてもよい。
【0081】
かかる構成によれば、基部6は、固着部3から左右方向または上下方向に延出して配置されており、ビス20は、固着部3の右側に位置するストランド101の網目から、ビス穴7に向けてビス留めすることができる。これにより、第7実施形態に係るエキスパンドメタル用ブラケット10によれば、ビス20によりストランド101の網目から容易にビス留めすることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 第1固着面
2 第2固着面
3 固着部
4,5,7 ビス穴
6,8,9,11,12 基部
10,10a,10b,10c,10d,10e エキスパンドメタル用ブラケット
11a,12a 切欠部
20,21,22 ビス
23,24 リベット
30,31 寸切りボルト
32 ナット
40 方立
41 ファスナー
100 エキスパンドメタル
101 ストランド
102 ボンド
200 壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15