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特開2024-113244オムツが不要に出来る洋式便器用車椅子
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  • 特開-オムツが不要に出来る洋式便器用車椅子 図1
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  • 特開-オムツが不要に出来る洋式便器用車椅子 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113244
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】オムツが不要に出来る洋式便器用車椅子
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/10 20060101AFI20240815BHJP
   A61G 5/12 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
A61G5/10 704
A61G5/12 701
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018080
(22)【出願日】2023-02-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】719003282
【氏名又は名称】村瀬 明春
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 明春
(57)【要約】      (修正有)
【課題】オムツ不要な生活ができる車椅子を提供する。
【解決手段】洋式便器便座の上に、車椅子座席が来るように移動し、該座席板を掌で両開きにし、座席と肘掛又付近の近接するところに磁石同士を引き合い力で開き固定させ、便座に直座して、排泄後洋式便器の温水、温風で清潔に処理出来た後、引き合い固定された左右の座席を手の平指で叩き元に戻す。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席板の直下に洋式便器を位置することができる車椅子であって、

前記車椅子は前記座席板が開閉する構造を有し、

前記車椅子の前記座席板に磁石を備えていることを特徴とする車椅子。
【請求項2】
前記座席板は左側座席板と右側座席板からなり、

前記左側座席板は磁石を備えており、
前記右側座席板は磁石を備えており、

前記左側座席板は、前記車椅子の座席板の左側端を支点として上方向に回動可であり、
前記右側座席板は、前記車椅子の座席板の右側端を支点として上方向に回動可能であることを特徴とする請求項1に記載の車椅子。

【請求項3】
前記車椅子の肘掛部分付近に磁石を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の車椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車椅子が座席板直下に洋式便器の便座を位置するように移動でき、車椅子の座席板が簡単に開くことで車椅子利用者は洋式便器の便座に直座することができる車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
車椅子利用者は、洋式便器の使用が自己のみでは不可能な場合が多いので、排泄時を考慮してオムツを着用する場合が多い。
そこで、車椅子利用者が一人で洋式便器の使用ができるようになればオムツの着用から解放される為、特許文献1または特許文献2の車椅子が提案されている。

【0003】
特許文献1では、車椅子や車椅子とベッドなどとの移乗装置に設けた座席板の折畳み機構に関し、車椅子利用者とベッドや便座等との間でのより容易な移乗を可能にする。
座席板を搭乗者の側方かつ展開時の位置より後上方へ面を垂直にした状態で折畳む。
具体的には、基端側をフレームの側枠に回動自在に枢着されたステイと、一側辺が当該ステイの先端に前後軸回りに回動自在に枢支連結された座席板とを備え、当該座席板が、前記ステイと側枠との枢着部におけるステイの回動と、前記ステイと座席板の側辺との枢支連結部における座席板の回動との合成動作により、搭乗者の側方かつ座席板の展開位置より後上方の位置に面を垂直にして折畳まれる。
前記ステイとして、フレームの側枠に縦軸回りに回動自在に枢着されたL形、逆L形ないし横T形ステイが用いられている。
【0004】
特許文献2では、通常の車椅子(自走式)で、車椅子自体を折畳んで、運搬を
良くするための、座席下のX材をなくし、該無くしたX材の場所に洋式便器へ、
車椅子の背後から挿入し、座席板直下に洋式便座が来る様にし、座席板は前後ニ
分割されており、丁番で連結された座席板をアコーデオン式に折畳む方式で、座
席板は四隅のベアリング側面が、リヤーフレーム側からフロントフレーム側に向
けて設けてあり、背凭れ側の二つは固定され、足先側二つのベアリングは可動自
由に動き、背凭れ側の固定されたベアリングの内輪には連通軸が使用されおり、該連通軸の一方に可動アームが装備され、該可動アームの連通軸とは反対側にワイヤーを結合させ、車椅子利用者が操作する座席収納レバーを操作することによって座席板を背凭れ側に折畳まれ、座席板直下に出現した洋式便座に直接座り用足しが出来る車椅子である。
即ち、特許文献1及び特許文献2の構造を有する車椅子であれば、車椅子利用者は自己の思いのみで排泄をなすことができるのでオムツの着用が不要となる。更に、車椅子利用者にとって尊厳も保たれることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2005/053592号
【特許文献2】特許第7165847号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2は座席板の開閉する構造が複雑であることから高価となることが課題である。また、構造が複雑になることから車椅子の重量が増し取扱い性が悪化する。
【0007】
特許文献1では、シート折畳み機構で、側枠に回動自由に支持された縦軸を逆L字形に加工し、該加工された横棒の部分で、側枠から遠い先端に図6のシート折畳み機構で座板と縦軸が連結され、縦軸が回動することにより座席板が開いたり、閉じたりする機構であり、
該縦軸を回動させている駆動ボックス7は図9が示すように側枠の外側に設置されており、駆動ボックス7内には、螺旋杆24と螺旋スリーブ79及びガススプリング71が装備されており、該ガススプリング71の上下の動きで、螺旋杆24と螺旋スリーブ79の作用により、縦軸が90度回動することで、座席板が開いたり、閉じたりする機構を有することから複雑となっている。
【0008】
特許文献2は、背凭れ側の固定ベアリング内輪にベアリング連通軸を通し、該ベアリング連通軸と平行に2枚の分割された座席板が、丁番で連結されている座席板と結合させ、該操作は背凭れ側の固定ベアリング連通軸の片方にアーム鋼材を取り付け、該アーム鋼材のベアリング連通軸と反対側にワイヤーを結び、該ワイヤーを引く為の座席収納レバーがフロントフレーム側に設置されており、該座席収納レバーとを連結させ、該座席収納レバーを操作することで座席板が、2つ折に畳まれたり、平座席になる機構である。
但し背凭れ側のベアリングは固定されているが、前側(フロント側)のベアリングは自在可動することができる構造であり、又アーム鋼材でワイヤーの反対向きに引きバネが設置されており、
ワイヤーやアーム鋼材又座席収納レバー等の多くの接点や部材を有していることから機構が複雑となっている。

即ち、本発明が解決する為の課題は、座席板の開閉構造を簡易化及び軽量化させることにより、低価格とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決させるために鋭意研究を進めた。その結果、少なくとも座席板に磁石を備えることのみで、前記課題を解決することに思い至った。

解決に至った背景は、磁石の吸着作用を利用することでモノを仮固定することができ、そして、その仮固定は指等の軽い動作で即座に解除することができることを思いついたからである。更に、磁石の反発作用を利用することで、従来バネ等で広げていた構造を磁石の反発作用のみで可能となることを思いついたことからである。

即ち、磁石を上手く活用することで、板の仮固定、板の仮固定の解除、2枚の板を広げること等が可能となった。つまり、それらを上手く組み合わせることで、従来ギアやバネや座席板開閉スイッチ等を用いていた複雑で重い機構を、磁石のみの使用で全てを実現することができることを思いついたからである。具体的な手段を以下に記す。

手段1として、
座席板の直下に洋式便器を位置することができる車椅子であって、
前記車椅子は前記座席板が開閉する構造を有し、
前記車椅子の前記座席板に磁石を備えていることを特徴とする車椅子、を提供する。

手段2として、
前記座席板は左側座席板と右側座席板からなり、
前記左側座席板は磁石を備えており、
前記右側座席板は磁石を備えており、
前記左側座席板は、前記車椅子の座席板の左側端を支点として上方向に回動可能であり、
前記右側座席板は、前記車椅子の座席板の右側端を支点として上方向に回動可能であることを特徴とする手段1に記載の車椅子、を提供する。

ところで、「右側」と「左側」という文言を使用しているが、図3及び図4でも示しているが、右側とは車椅子を正面から見て右側のことであり、同様に、左側とは車椅子を正面から見て左側のことを言う。

手段3として、
前記車椅子の肘掛部分付近に、磁石を備えていることを特徴とする手段2または手段3のいずれかに記載の車椅子、を提供する。


ところで、上記手段の文言の明確化を図るため、以下の文言を説明する。

「座席板」とは、車椅子利用者の体重を下部から支持する支持材である。板だけの場合もあるが、板にクッションや装飾材料を備えていてもよい。更に座席板が開閉する時に音がする場合があるので、その為に、ゴムマット等の消音材料を備えていてもよい。

「洋式便器」とは、便器の便座に直接座って用が足せる便器のことである。温水洗浄機能や温風乾燥機能、更に温かい便座機能を備えていてもよい。

「磁石」とは、永久磁石でも電磁石でもよい。更に、永久磁石としては、合金磁石、ボンド磁石、フェライト磁石、希土類磁石であってもよい。また、各々の磁石が引き付けあって作用していても反発して作用していてもよい。また、磁石の位置は、座席板の裏側に備えていてもよいし、座席板内に備えていてもよい。
又磁石の効力は、磁石同士の近接面が同極で反発し、異極で引き合う、又磁石と鉄の間では必ず引き合う性質がある。

「座席板が開閉する構造」とは、車椅子利用者が座席板を開閉するために、座席板を構成する1枚または複数枚の板が前後や左右や上下に動いて畳まれ又は折り畳まれて、座席板を開閉する機構をいう。
【発明の効果】
【0010】
本発明の特筆すべき効果は、磁石の作用を利用するのみであることから、操作機構的な物は何も使用されていないことである。重量も軽くすることができ、コストも抑えられ、操縦性も向上するので、お年寄りにも又身障者にも安心して使用でき、簡単で安価な車椅子を提供できたことである。

更に、想定外の効果としては、座席板を開閉する時の「操作性の簡易性」である。先行技術では、別動作として座席板の開閉操作を行う際、所謂座席開閉スイッチの操作が必要であった。これに対し、本発明においては磁石を利用することにより、車椅子利用者は立ち上がる際や座る際の「動さの中」で、指先で軽く座席板を上げる又は下げる又は横に動かすことで座席の開閉操作が可能となったことである。

具体的には、座席板として「右側座席板」と「左側座席板」の2枚構成にすることで最大の効果が表れた。即ち、車椅子利用者の上下動の過程において、上動(立ち上がる)の場合は右手で左側座席板を左手で右側座席板を軽く指先で触れて上げるだけ、即ちしゃくり上げるだけで座席板を開くことができる。同様に、下動(座る)の場合は両座席板を指先で軽く横に(内側に)動かすだけで座席板の開閉ができるようになったからである。

即ち、車椅子利用者の上下動の過程において座席開閉の操作が可能となることから、座席板開閉スイッチそのものも不要となった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】洋式便器と車椅子の平面図
図2】洋式便器と車椅子の側面図
図3】洋式便器と車椅子の座席板がフラットの正面図
図4】座席板が磁石の引き付けあう力で開かれている様子の正面図である。
図5】丁番で結合され折り畳まれた座席板の断面図で、座席板が磁石の反発力で開かれる様子の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、洋式便器9を使用し、清潔に処理が出来れば、オムツ内排泄の生活や、一人暮らしの方、又身障者の方々に簡単な動作で利用していただける車椅子を提供できる、図を用いて詳しく説明する。
【0013】
図1は、洋式便器の上に車椅子が移動する際の平面図を表しており、洋式便器9便座に、車椅子1座席板直下に来るように移動させる。ところで、座席板は体重支持の部分で、車椅子1が揺れた時、ベアリング4個の固定支持と、該ベアリング4個の内輪に座席加工挿入部分の強度だけでは不安があるので、フロントフレーム側補強金物3の背凭れ側に座席板の裏に、座席板滑り止め金物10を設置の特徴を持つ車椅子。
【0014】
図2は、洋式便器と車椅子の側面図を表している。車椅子1の座席板は、洋式便器9の便座に当たらない高さで移動できる高さとする。
【0015】
図3は、正面図を表しており、座席板5が左右(51,52)上方に開く様子と共に、座席板に備え付けられた磁石(61,62)も上方に移動し肘掛と接近し、その時肘掛、又は付近に備えられた磁石(81,82)が引き合い状態で固定される様子を示している。
【0016】
図4は、座席板が(51,52)座席板に備えられた磁石(61,62)と肘掛部付近に備えられた磁石(81,82)が引き合った状態で座席板が開いた状態で固定されている図である。ところで、この肘掛部付近に備えられた磁石であるが、この磁石の代わりに肘掛部付近が鉄材やニッケル材等の強磁性体であってもよい。即ち、座席板に設けられた磁石と肘掛部付近の強磁性体とが引き合うことができるからである。
【0017】
図1から図4はすべて磁石が引き合う力を利用した図であるが、図5は、磁石の近接面が同極の状態で反発力を利用している概略図面である。
具体的には、座席板Aと座席板Bは丁番を介して接続されており、各々の座席板には磁石Cと磁石Dとを備えている。その作用を得るために、磁石の反発作用を利用している図面である。従って、従来は例えば引きバネの作用により座席板が開かれていたが、本図面では磁石の反発力により座席板が開かれることとなる。座席板は、車椅子の進行方向と同じ方向で開かれてもよいし、車椅子の進行方向と90度異なる方向で開かれてもよい。
【0018】
上述の構造を有する車椅子とは例えば以下の通りとなる。

車椅子1が、座席5下に洋式便器9を背後から入れ込められる様に、座席5下には何も設けず、リヤーフレーム間とフロントフレーム間に車椅子1の座席5支持でもある四角形確保と、乗った人の体重の支えを保つ為の補助金物(2、3)を設け、該リヤーフレーム側補助金物2の下端に、L字形に折り曲げを設け、該折り曲げ部分の高さと、フロントフレーム側補助金物3の最上部の高さを同じ高さに合わせ座席底部の高さとし、洋式便器9に背後から入れ込み、車椅子1の座席が洋式便器の上に、容易に来れる様に移動できる高さとする特徴を持つ車椅子。
【0019】
両補助金物(2,3)は四角形固定と体重を支える支持をも兼ねた補助金物であって、座席はフロントフレーム側補助金物3の方向の正面から見た時、左右にニ分割されており、又座席の四隅にベアリング4の側面をリヤーフレーム側補助金物2及び、フロントフレーム側補助金物3と平行に固定し、座席隅をベアリング内輪に挿入できる様に加工し、又はベアリング内輪に連通軸を通して、該連通軸と座席を結合させる構造でもよい
【0020】
座席を左右に開き固定させる方法は、座席をフロントフレーム側補助金物3方向の正面から見て、手前の先端を左右手の平の指でしゃくり上げると、ベアリング4支点支持である為軽く回動し、座席の面と肘掛面の磁石を吸引状態に近接設置で、座席を開き固定させる特徴を持つ車椅子。
【0021】
座下5に空いた空間に現れた洋式便器9の便座に直接座り排泄が済んだら温水、温風で清潔に処理し、立脚して下着を整え、開いて固定されている左右の座席(51,52)を、左右手の平の指で叩けば座席(51,52)は平らなニ枚一対の座席5となり着座でき、洋式便器9の温水、温風を使用することで清潔に処理が出来る、オムツ内での排泄ではなく通常の生活で済む特徴を持つ車椅子。
【産業上の利用可能性】
【0022】
オムツ内での排泄処理で生活している方々や、一人暮らしの方々、又身障者の方々の日常生活での排泄、排尿の処理が洋式便器での温水、温風を使用により、清潔に処理が出来れば、介護人さんのオムツの取替も不要になりえる、何時もよおすかわからないことに付ききりならなくても、それらに関わる人たちの解放が現実となりえる可能性がある。
【符号の説明】
【0023】
1 車椅子
2 リヤーフレーム側補強金物
3 フロントフレーム側補強金物
4 ベアリング
5 座席板
51 左側座席板
52 右側座席板
6 磁石A
61 左側座席版に備えられている磁石A
62 右側座席版に備えられている磁石A
7 肘掛け
8 磁石B
81 左側肘掛に備えられている磁石B
82 右側肘掛に備えられている磁石B
9 洋式便器
10 座席滑り止め金物
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席板の直下に洋式便器を位置することができる車椅子であって、

前記車椅子は前記座席板が開閉する構造を有し、
前記座席版は左側座席板と右側座席板のみから構成され、

記左側座席板は磁石を備えており、
前記右側座席板は磁石を備えており、

前記左側座席板は、前記車椅子の座席板の左側端を支点として上方向に回動可能であり、
前記右側座席板は、前記車椅子の座席板の右側端を支点として上方向に回動可能であり、

前記磁石は、前記座席板が上方向に位置した時、前記車椅子の肘掛部分付近に備えられていることを特徴とする車椅子。

【請求項2】
前記車椅子の肘掛部に磁石を備えていることを特徴とする請求項1記載の車椅子
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】

本発明者は、上記課題を解決させるために鋭意研究を進めた。その結果、座席板を左右の2枚構成とし、各座席板に磁石を備えることで、前記課題を解決することに思い至った。



解決に至った背景は、磁石の吸着作用を利用することでモノを仮固定することができ、そして、その仮固定は指等の軽い動作で即座に解除することができることを思いついたからである。更に、磁石の反発作用を利用することで、従来バネ等で広げていた構造を磁石の反発作用のみで可能となることを思いついたことからである。



即ち、磁石を上手く活用することで、板の仮固定、板の仮固定の解除、2枚の板を広げること等が可能となった。つまり、それらを上手く組み合わせることで、従来ギアやバネや座席板開閉スイッチ等を用いていた複雑で重い機構を、磁石のみの使用で全てを実現することができることを思いついたからである。具体的な手段を以下に記す。


手段1として、

座席板の直下に洋式便器を位置することができる車椅子であって、

前記車椅子は前記座席板が開閉する構造を有し、
前記座席版は左側座席板と右側座席板のみから構成され、

記左側座席板は磁石を備えており、
前記右側座席板は磁石を備えており、

前記左側座席板は、前記車椅子の座席板の左側端を支点として上方向に回動可能であり、
前記右側座席板は、前記車椅子の座席板の右側端を支点として上方向に回動可能であり、

前記磁石は、前記座席板が上方向に位置した時、前記車椅子の肘掛部分付近に備えられていることを特徴とする車椅子。


手段2として、

前記車椅子の肘掛部に磁石を備えていることを特徴とする手段1記載の車椅子



ところで、「右側」と「左側」という文言を使用しているが、図3及び図4でも示しているが、右側とは車椅子を正面から見て右側のことであり、同様に、左側とは車椅子を正面から見て左側のことを言う。


ところで、上記手段の文言の明確化を図るため、以下の文言を説明する。



「座席板」とは、車椅子利用者の体重を下部から支持する支持材である。板だけの場合もあるが、板にクッションや装飾材料を備えていてもよい。更に座席板が開閉する時に音がする場合があるので、その為に、ゴムマット等の消音材料を備えていてもよい。

「洋式便器」とは、便器の便座に直接座って用が足せる便器のことである。温水洗浄機能や温風乾燥機能、更に温かい便座機能を備えていてもよい。

「磁石」とは、永久磁石でも電磁石でもよい。更に、永久磁石としては、合金磁石、ボンド磁石、フェライト磁石、希土類磁石であってもよい。また、各々の磁石が引き付けあって作用していても反発して作用していてもよい。また、磁石の位置は、座席板の裏側に備えていてもよいし、座席板内に備えていてもよい。

又磁石の効力は、磁石同士の近接面が同極で反発し、異極で引き合う、又磁石と鉄の間では必ず引き合う性質がある。

「座席板が開閉する構造」とは、車椅子利用者が座席板を開閉するために、座席板を構成する1枚または複数枚の板が前後や左右や上下に動いて畳まれ又は折り畳まれて、座席板を開閉する機構をいう。