(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113251
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】自動均し作業ロボット
(51)【国際特許分類】
E04G 21/10 20060101AFI20240815BHJP
E04F 21/24 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
E04G21/10 Z
E04F21/24 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018097
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592192907
【氏名又は名称】日建リース工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】依田 篤士
(72)【発明者】
【氏名】市原 英樹
(72)【発明者】
【氏名】矢島 清志
(72)【発明者】
【氏名】関山 正勝
(72)【発明者】
【氏名】山内 毅
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172GB01
(57)【要約】
【課題】打設コンクリート面の性状に応じて仕上げ作業を行うことができる床仕上げ用ロボットを開発する。
【解決手段】 打設コンクリート面の均し作業を行うモータ駆動型の床仕上げ用ロボットであって、
鏝回転軸と鏝回転軸に取り付けられたブレードとを有する鏝装置と、
ブレードの傾きを制御するブレード制御装置を備えており、
ブレード制御装置は、ブレードの傾きを調整する調整機構と調整機構を操作するコントローラを備えていることを特徴とする床仕上げ用ロボット。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打設コンクリート面の均し作業を行うモータ駆動型の床仕上げ用ロボットであって、
鏝回転軸と鏝回転軸に取り付けられたブレードとを有する鏝装置と、
ブレードの傾きを制御するブレード制御装置を備えており、
ブレード制御装置は、ブレードの傾きを調整する調整機構と調整機構を操作するコントローラを備えていることを特徴とする床仕上げ用ロボット。
【請求項2】
ブレードの傾きを調整する調整機構は、調整用モータを有し、
コントローラは、該調整用モータをコントロールすることを特徴とする請求項1記載の床仕上げ用ロボット。
【請求項3】
ブレードの傾きを調整する調整機構は、鏝装置の鏝回転軸に沿って上下動可能な上下動手段と、ブレードの軸に設けられたブレードアームと、上下手段とブレードアームを連結する接続リンクを備えており、調整用モータが上下動手段を駆動することを特徴とする請求項2記載の床仕上げ用ロボット。
【請求項4】
打設コンクリート面の状態を検知するコンクリート検知センサを備えており、
コンクリート検知センサの検知情報に基づいて、ブレードの傾きを制御することを特徴とする請求項1記載の床仕上げ用ロボット。
【請求項5】
コンクリート検知センサが、弾力検出センサあるいは振動検出センサ、レーザ距離センサであることを特徴とする請求項4記載の床仕上げ用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートを打設した床面に対して均しを行う作業ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
床スラブ用にコンクリートを打設した場合、平に仕上げるために鏝仕上げが行われる。
腰をかがめて広いビルの床面の鏝仕上げを手作業で行うことは辛い作業であり、職人の確保も容易ではない。
鏝作業用の機器の開発はいくつか行われている。
本出願人は、先に、特許文献1(特許第7129873号公報)として、均し作業と移動を兼用する回転ブレードを備えた、自動走行できる均し作業ロボットを提案した。
【0003】
特許文献2(特開2022-81216号公報)には、均し作業後の床スラブ90の上面92を走行しながら上面92の仕上げ作業を行う作業装置10と、作業対象領域の周囲に設置されたマーカー102A、102Bと、作業装置10に設けられた撮像装置112と、撮像装置112が撮像したマーカー102A及びマーカー102Bの少なくとも一方を含む画像によって作業装置10の自己位置を把握し作業経路に沿って作業装置10を走行させる制御装置と、を備えた仕上げ作業システム100が提案されている。
特許文献3(特開2021-123897号公報)には、鏝押さえ機構21による床面1の鏡面仕上げ作業前後の床面1の状態をハイパースペクトルカメラ30で撮像し、取得された、鏝押さえ作業前後の床面1の反射強度の差分から鏡面仕上げ作業の完了タイミングを判断する床コンクリート鏡面仕上げ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7129873号公報
【特許文献2】特開2022-81216号公報
【特許文献3】特開2021-123897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、打設コンクリート面の性状に応じて仕上げ作業を行うことができる床仕上げ用ロボットを開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、均し作業中に鏝のブレードの角度を制御して、打設コンクリートの状態に応じた床仕上げを行うことができる床仕上げロボットを開発した。本発明の要旨は次のとおりである。
1.打設コンクリート面の均し作業を行うモータ駆動型の床仕上げ用ロボットであって、
鏝回転軸と鏝回転軸に取り付けられたブレードとを有する鏝装置と、
ブレードの傾きを制御するブレード制御装置を備えており、
ブレード制御装置は、ブレードの傾きを調整する調整機構と調整機構を操作するコントローラを備えていることを特徴とする床仕上げ用ロボット。
2.ブレードの傾きを調整する調整機構は、調整用モータを有し、
コントローラは、該調整モータをコントロールすることを特徴とする1.記載の床仕上げ用ロボット。
3.ブレードの傾きを調整する調整機構は、鏝装置の鏝回転軸に沿って上下動可能な上下動手段と、ブレードの軸に設けられたブレードアームと、上下手段(プレート)とブレードアームを連結する接続リンクを備えており、調整用モータが上下動手段を駆動することを特徴とする2.記載の床仕上げ用ロボット。
4.打設コンクリート面の状態を検知するコンクリート検知センサを備えており、
コンクリート検知センサの検知情報に基づいて、ブレードの傾きを制御することを特徴とする1.記載の床仕上げ用ロボット。
5.コンクリート検知センサが、弾力検出センサあるいは振動検出センサ、レーザ距離センサなどであることを特徴とする4.記載の床仕上げ用ロボット。
【0007】
本発明は、次の構成を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0008】
1.本発明は、均し作業中に鏝のブレードの角度を制御して、打設コンクリートの状態に応じた床仕上げを行うことができる床仕上げロボットを開発した。コンクリートの打設経過によって、鏝仕上げ中のコンクリートの硬化状態や粗さ(凸凹)が変化することがあり、ブレードの傾きをロボットの稼働中に調整用モータを遠隔操作することによって、ブレードの傾きを調整して、コンクリートの状態に即応した仕上げ処理が可能となった。
2.ブレードの傾きを鏝の回転軸に沿って上下する手段で、制御することによって、鏝の回転軸の駆動に影響されずに、ブレードの傾きを制御できる。特に、上下手段を鏝回転軸の外側に設けたプレートとブレードの軸に設けられたブレードアームを接続リンクで連結して、プレートの上下に応じて、ブレードの傾きを調整できるようにした。複数のブレードを一枚のプレートの上下によって、同じ制動を行うことができる機構である。
3.搭載した打設コンクリート面の性状を検知する検知センサの検知情報に基づいて、ブレードの傾きをコントロールできるので、コンクリートの状態に応じた床仕上げをすることができる。検知センサとして、弾力検出センサあるいは振動検出センサ、レーザ距離センサなどを用いることができ、打設コンクリート面の硬化状態を数値として評価し、当該数値に基づいて、鏝装置の鏝回転軸が制御され、鏝回転軸を介して回転ブレードの角度が調整される。また、コンクリート表面は、弾力検出センサまたは振動検出センサ、レーザ距離センサによる数値情報に基づいて、定量的に所定の平滑度に仕上げることが可能となる。
4.均し作業と走行を行う床仕上げ用ロボットは、ほぼ水平な平板である回転するブレードで打設されたコンクリートに接地している。打設されたコンクリートが硬化し始める初期硬化の状態では、微妙な高度差や表面粗さの違いがあって、ブレードに対して抵抗差が生じる。コンクリートの硬化程度の差は、左右の回転ブレードへの抵抗差となり、蛇行走行など原因となり、均し作業の乱れとなる。本発明では、コンクリートの柔らかさや表面粗さを検知して、ブレードの傾きを調整できるので、走行が安定し、均しむらや蛇行走行を減少させることができる。その結果、床仕上げの品質向上とともに、床仕上げ作業の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】鏝装置の下部にコンクリ―の表面性状を検出するセンサを設けた例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
複数の鏝装置を備えた打設コンクリート面を仕上げる電動の均し作業ロボットにおいて、鏝装置は回転軸と回転軸に取り付けられた複数枚のブレードを備えており、鏝装置の回転軸は傾きと回転数が制御可能であって、鏝装置の回転軸の、設定ルートに沿って、均し作業を行いながら自動的に移動する自動均し作業ロボットである、回転数と傾きを制御して均し制御と走行制御がなされる床仕上げ用ロボットは、特許第7129873号に提案した。
本発明は、先に提案した床仕上げ用ロボットに、ブレードの傾きを仕上げ作業中に調整して、打設コンクリートの硬軟や波うちの状態に応じた、仕上げ作業を行うことができる、ブレード制御を設けた床仕上げ用ロボットを提案する。
【0011】
本発明は、打設コンクリート面の均し作業を行うモータ駆動型の床仕上げ用ロボットである。
鏝回転軸と鏝回転軸に取り付けられたブレードとを有する鏝装置を備えており、ブレードの傾きを制御するブレード制御装置を有し、ブレード制御装置は、ブレードの傾きを調整する調整機構と調整機構を操作するコントローラを備えている。
【0012】
ブレードの傾きを調整する機構は、鏝装置の回転軸に沿って設けられた、上下動手段とブレードの軸に設けたアームをリンクなどの連結手段で接続し、上下手段を昇降させることにより、ブレードのアームを揺動させて、それにしたがってブレードの軸を回動させることにより、ブレードの傾きを調整する。例えば、上下手段は、鏝装置の回転軸に沿って上下動する機構とし、上下動は調整モータを設けて、コントローラから調整モータを制御して、操作することができる。
調整モータから上下手段を駆動する手段として、ウォームギア構造などの手段を採用することができる。そして、上下手段として、プレートを用いて、一枚のプレートに各ブレードのアームと連結する接続リンクを設けると、各ブレードの傾きを同時に同量動かすことができる。
【0013】
また、本発明は、コンクリート面の性状を検知するコンクリート検知センサを設けて、検知情報に基づいて、ブレード制御装置を制御する。コンクリート検知センサとして、弾力検出センサ、振動検出センサ、レーザ距離センサなどを用いることができる。これらセンサの情報をコントローラに表示して、コントローラを操作して、ブレードの傾きを制御することができる。
【0014】
図1に床仕上げ用ロボットの概略図を示す。この床仕上げ用ロボットの基本構成は、先に特許第7129873号に提案した床仕上げ用ロボットと共通する。
この床仕上げ用ロボットは、次のような基本性能を備えている。設定ルートに沿って、均し作業を行いながら自動的に移動する自動均し作業ロボットである。さらに、ジャイロセンサを搭載して、回転を補正する制御を行って、機体の姿勢の乱れを防止して、移動制御の精度を向上させた自動均し作業ロボットである。コントローラによる無線操縦機能を備えており、作業員が操縦することもできる。
また、さらに、可搬性に優れた軽量、小型を実現したもので、打設後の柔らかいコンクリートにも対応でき、静穏性も備えた実用性に優れた自動均し作業ロボットでもある。均し作業と移動を兼用する回転ブレードを備えた床仕上げ用ロボットであって、自動走行でき、特に、柔らかなコンクリートでも均しと仕上げ作業ができる小型自動車に搭載でき、二人の作業員で持ち運びできる軽量小型である。
そして、更に、本発明では、この基本性能に、ブレードの傾き制御機能を設けた。軽量小型で、柔らかなコンクリートの均し仕上げに適用できるという特性を生かして、ブレードの傾き制御によって、均し仕上げの精度を向上させることができた。本発明の自動均し作業を行う床仕上げ用ロボットは、粗均しから均し仕上げ工程に活用される。均し仕上げは、数回から10回程度行われるので、この工程では、コンクリートの性状が変化していくので、それに合わせたブレードの傾きを制御する。
【0015】
床仕上げ用ロボット100には、鏝装置1の左右に鏝装置1a、1bを備えている。鏝装置1は鏝回転軸11と鏝回転軸11の下端に4枚の平板状のブレード12が取り付けられている。これらの装置は主フレーム111に搭載され、主フレーム111に接続される保護フレーム112が機体の外周に配置されている。
この床仕上げ用ロボット100には、鏝の制御装置である制御用コンピュータが搭載され、姿勢制御用センサ103としてレーザレンジファインダ、MEMSセンサ、ジャイロセンサを備え、機外にコントローラ3が備えられている。
【0016】
床仕上げ用ロボット100は、ブレード12が打設されたコンクリート面に接地して、移動しながら均し作業を行う。床仕上げ用ロボット100は、ティーチングなどの操作を、コントローラ3を用いて行って移動経路が設定される。レーザレンジファインダは、広角スキャン(例えば、水平方向270度)を行って、広範囲の二次元又は三次元距離計測を行う。均し作業を行う現場にある建築物の柱などを検知したデータに基づいて移動用のマーカを設定しながら地図情報が作成される。柱の代わりに、仮設のポールなどを設置して、作業範囲を設定することもできる。即ち、大面積の現場で、適切な柱などの目印がない場合は、仮設物を設けて、レーザレンジファインダなどのセンサによる目印とすることができる。
ジャイロセンサは、自動均し作業ロボット100の機体の回転を検出し、機体の方向性を補正する情報となる。
MEMSセンサも機体の回転を検出し、プロポセットによる操縦の際に利用される。
【0017】
軽量・静穏・小型である床仕上げ用ロボット100の機体の例を説明する。
主フレーム111の両端側に鏝装置1a、1bが取り付けられている。駆動系が主フレーム111の中央下部に取り付けられており、その上方にバッテリー150が備えられる。
バッテリーの下方に駆動用モータが配置されている。駆動用モータから伝達するギアボックスを介して設けられた駆動シャフト、駆動シャフトの両端にはベベルギアが接続され、ベベルギアを介して、鉛直方向に鏝装置の駆動力が伝達される。ベベルギアボックスの外周にサーボモータが配置されている。サーボモータは、鏝装置の回転軸を傾動制御して、自動均し作業ロボットの操行を制動する。鏝装置の回転軸に沿って、ブレードの角度調整機構が設けられていて、ブレードが接地する傾斜角度が変わって、接地圧が調整できるので、仕上げ作業を行うコンクリートの柔らかさや粗さに応じて最初に調整する。
機体の周囲を囲む保護フレーム112が、ステイ162を介して主フレーム111に取り付けられている。
【0018】
図2に鏝装置1の例を示す。
鏝装置1は、基本的に鏝回転軸11の下部にブレード12が4枚取り付けられていて、ブレード12を回転して、均し作業と走行を行う。前後左右の走行制御は、鏝回転軸11の傾きを制御することにより行われ、その傾き制御は、鏝角度制御装置131a、131bによって行われる。二つの鏝角度制御装置は直角に配置されているので、鏝回転軸の傾きを制御している。走行には、更に、ブレードの回転方向の調整によって、前後左右の走行ができる。
【0019】
ブレード制御装置2は、ブレードの傾きを調整する調整機構4と調整機構4を操作するコントローラ3を備えている。
ブレード調整機構4は、調整用モータ40、鏝装置1の鏝回転軸11に沿って上下動可能な上下動手段21(プレート43)と、ブレード12のブレード軸14に設けられたブレードアーム13と、上下手段21(プレート43)とブレードアーム13を連結する接続リンク22を備えている。調整用モータ40が上下動手段21(プレート43)をウォームギア手段などを介して上下に駆動する。
【0020】
この例では上下動手段21として、円盤状のプレート43を用いている。プレート43は、鏝回転軸11の外周に上下に摺動できるように設けられている。上下動は、プレート43側に取り付けられているウォームホイール41を調整用モータ40側に取り付けられているウォーム42によって調整される。調整用モータ40の制御をコントローラ3で行うことにより、リモートでブレード12が傾きを制御することができることになる。
【0021】
プレート43の下面に接続リンク22の上端が取り付けられ、接続リンク22の下端がブレードアーム13に取り付けられているので、プレート43の上下に応じてブレードアーム13が回動し、ブレード12のブレード軸14も回転して、ブレード12の傾きが変わることとなる。
4枚あるブレード12はプレート43の上下動に連動しているの、傾きの変化は同じになる。ブレードの回転によって、鏝仕上げと走行する床仕上げ用ロボットにおいて、ブレードの傾きが同じになることは重要なことである。
【0022】
図3に鏝装置の下部断面図構造の概略を示す。
中心に鏝回転軸11があり、その周囲に鏝回転軸外菅11aが設けられている。この鏝回転軸外菅11aは回転しない。
この鏝回転軸外菅11aにブレード調整機構4が取り付けられている。
鏝回転軸外菅11aに調整機構支持部材45を取り付け、その調整機構支持部材45にウォームホイール41を取り付ける。ウォームホイール41の外面には、調整モータ40の出力軸の取り付けられているウォーム42と噛み合う歯が形成されていて回転する。ウォームホイール41の内側には筒状になっていて内面ギア41aが形成されおり、調節ギア44と噛合している。
調節ギア44は、筒状であって鏝回転軸外管11aの周囲に環装されていて、鏝回転軸外管11aに沿って上下動できるように設置されている。本例では、調節ギア44の下部には円盤状のフランジ44aが設けられている。ウォーム42が回転するにしたがって、ウォームホイール41を介して調節ギア44が回動するとともにフランジ44aが上下動する。
【0023】
調節ギア44のフランジ44aの下面は、鏝回転軸外管11aに装環されているプレート43に当接している。プレート43は円盤体であって、調節ギア44の下部のフランジ44aと摺接して上下(回転はしない。)するように設置されている。
プレート43の下側には、接続リンク22が設けられている。プレート43が上下すると接続リンク22を介してブレード12の回転軸14が回動し、ブレードフィン16の傾きが調整されることとなる。
なお、床仕上げ用ロボット100の体重をブレード12が支えているので、プレート43には、接続リンク22を介して上向きの力が働き、調節ギア44の下部のフランジ44aと常に接している。
また、なお、調整モータ40の回転制御に基づいて、ブレード12の傾きを制御する構造はこれに限定されるものではない。
【0024】
鏝回転軸11の下部にはロータ11bが設けられていて、ロータ11bにブレード12が取り付けられている。本例では、ブレード12は4枚設けられており、ブレード12は鏝回転軸11とロータ11bの回転にしたがって水平に回転する。
ブレード12は、コンクリート面に摺接するブレードフィン16とブレード取付軸15、ブレード回転軸14、ブレードアーム13(
図3に図示されていない。)を有している。ブレード回転軸14はブレードの傾きを調整できるように、軸が回動できるように取り付けられている。
ブレード回転軸14がロータ11bに抜け止め機構を介して取り付けられる。ブレード回転軸14からブレードアーム13が腕状に固着されている。ブレード回転軸14には、ブレードの回転に伴って遠心力が働くが、抜け止め機構によって、抜け落ちが防止されている。
ブレードフィン16がブレード取付軸15の下面に取り付けられている。ブレード取付軸15をブレード回転軸14に取り付ける。ブレードフィン16は摩耗するので、ブレード取付軸15とブレード回転軸14は、螺子やスリット嵌合などの手段を用いて、交換可能に取り付けられる。
【0025】
ブレード12のブレードフィン16は常に接地圧を受けるので、ブレード回転軸14のブレードアーム13は上方向に回転するように付勢されている。この付勢によって、ブレードアーム13と接続している接続リンク22も上方に押し上げられることになるので、プレート43は調節ギア44の下側のフランジ44aに当接することになる。
常に、プレート43と調節ギア44下側フランジ44aが当接しているので、調整用モータ40でウォーム42を制御することにより、ブレード12の傾きを調整することができることになる。
【0026】
図4、5にブレード横断面の概略とブレードフィンの概略を示す。
図4(a)は、ブレードの横断面を示している。ブレード回転軸14の下側にブレード取付軸15、ブレード取付軸15の下側にブレードフィン16が取り付けられている。ブレード回転軸14には、ブレードアーム13が設けられている。
図4(b)は、ブレード回転軸14を示している。ブレード回転軸14の基端側はロータ取付端14aとなっている。ロータ取付端14a寄りにブレードアーム13が取り付けられており、ブレードアーム13から先端側がブレード取付軸15を装着する部分である。
ブレードフィン16は、コンクリート面と擦れて摩耗するので、ブレード取付軸15とともにブレード回転軸14に対して、ネジなどにより着脱できるように取り付けられる。また、ブレード回転軸とブレード取付軸は、凹溝、凸条などを設けて、ゆるみが生じないように取り付ける工夫をすることも重要である。ブレードフィンにはロボットの体重が載ることと、鏝回転軸やブレードフィンの傾きを操作するので、ブレードフィンと取付がしっかり固定していることは重要なことである。
【0027】
ロータ取付端14aは、ロータに装着される部分である。ブレードアーム13は、アーム13aがブレード回転軸14から横に延びるように固定されている。アーム13aを操作することによって、ブレード回転軸14が回転し、ブレードフィン16の傾きであるブレードの傾きθが調整される。
アーム13aを設けたことにより、ブレードの傾きθを調整するには、アームの長さを回すことになるので、微調整が容易になる。また、走行中に、アーム13a分の長さのモーメントを利用してブレードの傾きθを調整するので、制御に必要な負荷も小さくできる。
なお、先の発明に提案した、鏝装置の中心部にブレードの角度調整用のシャフトを設け、この角度調整用のシャフトをモータで操作することもできるが、この中心部シャフトは小径となり、微妙な角度調整を、遠隔操作で制御することは、アーム方式よりも難しくなる。
【0028】
図5に示すブレードフィン16は、ブレード取付軸15の下面に、コンクリート摺接辺16a側が長く、ブレード取付軸のロータ側端部側が短くなるように取り付けられる。そして、ブレードフィン16は、コンクリート摺接辺16a側が長く、ブレード取付軸15側の辺が短く形成され、ロータ側の辺が湾曲したロータ側湾曲辺16bに形成されている。これによって、こて回転軸11の直下にブレードフィンが存在しない部分が生じ、打設コンクリートの表面性状検出センサを設置することができる。そして、長いコンクリート摺接辺が回転するので、ロボットの移動に伴い、鏝回転軸の直下も均し作業が行われる。
【0029】
図6に、鏝装置の下部にコンクリートの表面性状を検出するセンサを設けた例を示す。
打設コンクリートを均す作業は、コンクリートの柔らかさや凹凸の状態に応じて、鏝のブレードの角度を調整する必要がある。作業者がコンクリートの表面の状態を判断して床仕上げ用ロボットのブレードの傾きを制御することもできる。手作業で床仕上げをする場合は、左官は、鏝の角度、押しつけ力、速さを調整しているが、職人のノウハウによるところが多い。
本発明では、コンクリートの表面性状の検出センサを搭載した床仕上げ用ロボットを提案する。客観的なデータに基づいて、ロボットを用いた床仕上げを実現した。また、コンクリートの表面性状を随時把握できることによって、操行制御も安定し、ロボットの蛇行も小さくすることができ、床仕上げ作業を短縮できる。
【0030】
コンクリートの表面性状の検出センサは、振動検出センサ、弾力検出センサ、レーザ距離センサ、ブレードの回転抵抗などを利用することができる。
振動検出センサは、例えば、コンクリート表面の凹凸に伴って、鏝装置が受ける振動を検出する。弾力センサは、コンクリート表面に接触させて、反発力から柔らかさ(硬さ)を検出する。レーザ距離センサは、レーザを用いてコンクリート表面の凹凸を検出することができる。回転抵抗は、凹凸やコンクリートの柔らかさなどを総合した数値が抵抗として示される。
【0031】
図6では、鏝回転軸11の下部にコンクリートの表面性状検出センサSを設けた例を示している。
鏝回転軸11の真下は、ブレードフィン16で仕上げ作業をしているコンクリート表面が露出しているので、検出対象として最適である。
振動センサも、鏝回転軸11の下部に設けることにより、安定させることができる。鏝回転軸の上部側では、軸に左右の振れが増幅し、また、機体に設けると駆動モータの振動や二つの鏝の振動がミックスする可能性があるが、鏝回転軸の下部で、鏝ブレードからの振動を均し作業中のコンクリート表面の性状として検出することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 鏝装置
11 鏝回転軸
11a 鏝回転軸外菅
11b ロータ
12 ブレード
13 ブレードアーム
14 ブレード回転軸
15 ブレード取付軸
16 ブレードフィン
16a コンクリート摺接辺
16b ロータ側湾曲辺
2 ブレード制御装置
21 上下動手段
22 接続リンク
3 コントローラ
4 ブレード調整機構
40 調整用モータ
41 ウォームホイール
41a 内面ギア
42 ウォーム
43 プレート43
44 調節ギア
44a フランジ
45 調整機構支持部材
100 床仕上げ用ロボット
103 姿勢制御用センサ
111 主フレーム
112 保護フレーム
131a 鏝角度制御装置
131b 鏝角度制御装置
150 バッテリー
162 ステイ
θ 傾き
S 表面性状検出センサ