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▶ 鍜治 巨規の特許一覧

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  • 特開-包装容器、緩衝材、及び包装品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113268
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】包装容器、緩衝材、及び包装品
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
B65D65/40 D ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018125
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】523046084
【氏名又は名称】鍜治 巨規
(74)【代理人】
【識別番号】100166589
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】鍜治 巨規
【テーマコード(参考)】
3E086
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AC07
3E086AD01
3E086AD22
3E086BA04
3E086BA14
3E086BA15
3E086BB02
3E086BB51
3E086BB62
3E086BB84
3E086CA40
(57)【要約】
【課題】使用済みワンプ紙を有効活用する。
【解決手段】包装容器(10)は、使用済みワンプ紙(20)により形成され、使用済みワンプ紙は、基材面(21)及び基材面の少なくとも片面に形成された防湿加工面(22)を含み、包装容器は、防湿加工面に含まれる素材が熱処理加工により変質して固化した接着部(13)を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装容器であって、
前記包装容器は、使用済みワンプ紙により形成され、
前記使用済みワンプ紙は、基材及び前記基材の少なくとも片面に形成された防湿加工面を含み、
前記包装容器は、前記防湿加工面に含まれる素材が熱処理加工により変質して固化した接着部を含む、
ことを特徴とする包装容器。
【請求項2】
請求項1に記載の包装容器において、
前記包装容器の外側面に、前記収容空間に収容された内容物を示す表示欄を備える、
ことを特徴とする包装容器。
【請求項3】
緩衝材であって、
前記緩衝材は、使用済みワンプ紙により形成され、
前記使用済みワンプ紙は、基材及び前記基材の少なくとも片面に形成された防湿加工面を含み、
前記緩衝材は、前記防湿加工面に含まれる素材が熱処理加工により変質して固化した接着部を含む、
ことを特徴とする緩衝材。
【請求項4】
使用済みワンプ紙からなる包装紙により内容物を包装した包装品であって、
前記使用済みワンプ紙は、基材及び前記基材の少なくとも片面に形成された防湿加工面を含み、
前記包装紙は、前記防湿加工面に含まれる素材が熱処理加工により変質して固化した接着部により包装状態が維持される、
ことを特徴とする包装品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器、緩衝材、及び包装品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パルプシート梱包用のワンプ紙例として、「パルプを主成分とするパルプシート梱包用ワンプ紙であって、乾燥紙力剤と湿潤紙力剤とが配合されており、この乾燥紙力剤と湿潤紙力剤との質量比が1対2以上4以下の範囲にあり、上記パルプに対する湿潤紙力剤の配合率が0.1質量%以上1.0質量%以下であり、Japan TAPPI紙パルプ試験方法 No.27「紙及び板紙-水中伸度試験方法」に準じて測定したマシン縦方向の水中伸度が0.2%以上であることを特徴とする(要約抜粋)」と開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-28876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷会社は製紙工場からワンプ紙に梱包された紙製品を購入する。紙製品を取り出した後、ワンプ紙は今まで廃棄されていた。しかし、使用済みのワンプ紙を焼却処分するにも、事業系ごみが有料化されたことで費用がかさみむという課題がある。また最近の環境問題への意識の高まりから再利用についての工夫が求められている。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、使用済みワンプ紙の有効活用に資する包装容器及び緩衝材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点における包装容器は、前記包装容器は、使用済みワンプ紙により形成され、前記使用済みワンプ紙は、基材及び前記基材の少なくとも片面に形成された防湿加工面を含み、前記包装容器は、前記防湿加工面に含まれる素材が熱処理加工により変質して固化した接着部を含む、とを特徴とする。
【0007】
好適には、包装容器の外側面に、前記収容空間に収容された内容物を示す表示欄を備えてもよい。
【0008】
また本発明の第2の観点における緩衝材は、前記緩衝材は、使用済みワンプ紙により形成され、前記使用済みワンプ紙は、基材及び前記基材の少なくとも片面に形成された防湿加工面を含み、前記緩衝材は、前記防湿加工面に含まれる素材が熱処理加工により変質して固化した接着部を含む、ことを特徴とする。
【0009】
また本発明の第3の観点における包装品は、使用済みワンプ紙からなる包装紙により内容物を包装した包装品であって、前記使用済みワンプ紙は、基材及び前記基材の少なくとも片面に形成された防湿加工面を含み、前記包装紙は、前記防湿加工面に含まれる素材が熱処理加工により変質して固化した接着部により包装状態が維持される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明よれば、使用済みワンプ紙の有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る包装容器(ごみ袋)の正面図である
図2】ワンプ紙の断面図である。
図3】第1実施形態に係るワンプ紙の平面図である。
図4】第1実施形態に係るワンプ紙の再利用までの流れを示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る緩衝材の正面図である。
図6】第2実施形態に係るワンプ紙の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。全図において同一の構成には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る包装容器(ごみ袋)の正面図である。図2は、ワンプ紙の断面図である。図3は、第1実施形態に係るワンプ紙の平面図である。
【0014】
図1のごみ袋10は、使用済のワンプ紙20(図2、3参照)を再利用した封筒状の包装容器の一例である。ワンプ紙20は、紙製品を梱包する包装紙である。紙製品を湿度から保護するため、ワンプ紙20は、防湿加工が施されている。
【0015】
ごみ袋10は、封筒状に形成され、略矩形状の表面11及び背面12を備える。表面11は略台形状の折返し部11aが連続して形成される。
【0016】
図2に示すように、ワンプ紙20は、パルプ素材を基材として用いられる。そして基材が露出した基材面21と基材面の片面に防湿加工を施して形成された防湿加工面22とを備える。一例として防湿加工面22は、基材面21の一表面に樹脂膜を形成したり、ろう付けをしてもよい。防湿加工面22を形成する樹脂、ろうといった物質は、家庭用アイロンの温度帯で変質し、常温で固化する特性を有すことが望ましい。
【0017】
表面11に含まれる防湿加工面22と、背面12に含まれる防湿加工面22とを向かい合わせて重ねられており、向かい合わされた表面11及び背面12の周縁部の3辺、底辺と2つの側辺に、例えば家庭用アイロンをあてて、防湿加工面22の樹脂又はろうを熱で溶かす熱処理加工を施す。これにより防湿加工面に含まれる素材が熱処理加工により変質し、冷却後に固化した接着部13が形成される。
【0018】
ここでいう変質とは、例えばろうのように固体から熱により液体に溶融したり、熱可塑性樹脂が熱により変形することを含む。
【0019】
図1に示すように向かい合わされた表面11及び背面12の周縁部の残り領域、上辺は接着していない開放縁14とする。これにより、表面11と背面12との間の空間は、開放縁14で囲まれた開口部から接着部13までに至る収容空間23として形成される。
【0020】
なお、図1では表面11及び背面12を別体に構成したので3辺に対して熱処理を行ったが、表面11及び背面12を一枚の使用済のワンプ紙20から形成した場合は、表面11と背面12とを防湿加工面22を内側にして折り曲げて向かい合わせ、底辺と一方の側辺だけに熱処理加工を施せばよい。
【0021】
表面11又は背面12の基材面21に、収容空間23に収容された内容物を示す表示欄15が設けられてもよい。図1の例では割れたガラス16をごみ袋10に入れたことを示すために、表示欄15の「ガラス」欄にチェックがつけられている。
【0022】
図1のごみ袋10は、使用済みのワンプ紙20を用いる点に本実施形態の特徴がある。図3に示すように、使用済のワンプ紙20は、梱包材として使用するため接着剤24が付着している箇所4や、折り皺25が深くついている箇所がある。よって、使用済みのワンプ紙20をごみ袋10として用いる場合は、接着剤が付着していない箇所や折り皺があが少ない箇所を選択して用いることが望ましい。
【0023】
図3では、使用済みのワンプ紙20の中央付近にごみ袋10の展開図10aを図示している。展開図10aは、説明のために図3に図示したが、ワンプ紙20に予め展開図10aを示す線図をプリントしておいてもよい。これにより、使用済みのワンプ紙20を再利用する際にどのような形に切り取ればよいかがわかりやすい。
【0024】
図4は、第1実施形態に係るワンプ紙20の再利用までの流れを示す図である。
【0025】
製紙工場から紙製品の出荷時にワンプ紙20で紙製品を梱包して出荷する(S1)。
【0026】
印刷工場ではワンプ紙20から紙製品を取り出す(S2)。従来は、ここでワンプ紙20を廃棄して清掃工場にて焼却されていた。
【0027】
本実施形態では、印刷工場から出た使用済のワンプ紙20を、再利用品加工業者が回収してごみ袋などの再利用品に加工する(S3)。印刷工場と再利用品加工業者は同一でもよいし、違ってもよい。
【0028】
再利用品としてごみ袋10に加工すると、清掃事務所などの清掃事業を担当する業績官(S4)経由で家庭(S5)へ、又は直接家庭(S5)にごみ袋10を配布する。
【0029】
各家庭ではごみをごみ袋10に入れて(S6)、ごみ集積所(S7)へ出す。
【0030】
ごみ袋10は耐水性があり、また鋭利なごみを入れても通常の紙やレジ袋に比べて破けにくいので、清掃員がごみ収集時に鋭利なごみでけがをするといった危険性を減らすことができる。
【0031】
その後、ごみ袋10は清掃工場に運ばれ(S8)、焼却されたり埋め立てられたりする。
【0032】
本実施形態によれば、従来は廃棄していた使用済のワンプ紙20を再利用することができ、ごみ量の削減や、ごみ収集時に鋭利なものを捨てる際の安全性への貢献が期待できる。
【0033】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、第1の実施形態と異なる使用済のワンプ紙の使用例である緩衝材30である。図5は、本発明の第2の実施形態に係る緩衝材の正面図である。図6は、第2実施形態に係るワンプ紙の平面図である。
【0034】
図5に示す緩衝材30は、図2の使用済みワンプ紙20により形成された略三角形状の第1面31、第2面32、第3面33、及び第4面34を含む中空の略三角錐状に形成される。三角錐状の内部は、空気が封入される。
【0035】
図6に示すように、使用済のワンプ紙20の防湿加工面22に緩衝材30の展開図30aをプロントしておいてもよい。
【0036】
緩衝材30は、荷物の梱包作業中に外箱と中身との間の隙間に入れて荷物の保護に使ってもよい。
【0037】
本実施形態によれば、従来は廃棄していた使用済のワンプ紙20を再利用することができ、ごみ量の削減や、ごみ収集時に鋭利なものを捨てる際の安全性への貢献が期待できる。
【0038】
本発明の、構造、システム、材料、各部材の連結、化学物質、などは、本発明の要旨を変更しない範囲で、様々に変更可能である。
【0039】
材質も、プラスチック、樹脂等を自由に選択することが可能である。
【0040】
例えば、2つ以上の部材を1つにすることも可能であるし、逆に、1つの部材を2つ以上の別の部材から構成して接続することも可能である。
【0041】
また、本実施形態では、使用済のワンプ紙を用いて包装容器や緩衝材を作成する例について説明したが、使用前のワンプ紙を用いても上記実施形態と同様の包装容器や緩衝材を作成することは可能である。例えばワンプ紙の製造過程で排出される廃棄対象となるワンプ紙、例えば印刷不良や不要な皺がつくことでワンプ紙としての使用を断念されて廃棄対象となったワンプ紙や、ワンプ紙の端を切り落としたときに生じる廃棄対象となるワンプ紙を、上記使用済のワンプ紙に代えて用いてもよい。この場合も、廃棄対象となるワンプ
の再利用を目的とすることから資源の有効活用という本発明の目的を達成することができる。
【0042】
また、使用済のワンプ紙の再利用品は、包装容器及び緩衝材に限らず、例えば紙製品をまとめた状態を保持するために用いる紙帯に用いてもよい。
【0043】
また本発明は、使用済みワンプ紙からなる包装紙により内容物を包装した包装品であってもよい。即ち、包装紙として使用済みワンプ紙を用い、使用済のワンプ紙は基材及び前記基材の少なくとも片面に形成された防湿加工面を含み、前記包装紙は、前記防湿加工面に含まれる素材が熱処理加工により変質して固化した接着部により包装状態が維持された包装品であってもよい。
【0044】
また、使用済みワンプ紙は、基材となるパルプ素材の両面に防湿加工面を有してもよい。
【0045】
制御の順序なども、所定の効果を有するのであれば、適宜変更可能である。
【0046】
また、上記実施形態は、あくまでも、現在のところの最良の形態の1つにすぎない。
【0047】
また、制御の順序なども、所定の効果を有するのであれば、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 :ごみ袋
10a :展開図
11 :表面
11a :折返し部
12 :背面
13 :接着部
14 :開放縁
15 :表示欄
16 :ガラス
20 :ワンプ紙
21 :基材面
22 :防湿加工面
23 :収容空間
24 :接着剤
25 :折り皺
30 :緩衝材
30a :展開図
31 :第1面
32 :第2面
33 :第3面
34 :第4面
図1
図2
図3
図4
図5
図6