(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113277
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】無線品質データ解析装置、同期処理用オフセット取得方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 17/318 20150101AFI20240815BHJP
H04W 24/08 20090101ALI20240815BHJP
【FI】
H04B17/318
H04W24/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018139
(22)【出願日】2023-02-09
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「「リアルタイムアプリケーションを支える動的制御型周波数共用技術に関する研究開発、技術課題ア-(3)-I 通信環境モニタリング技術」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(72)【発明者】
【氏名】玉井 森彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 晃朗
(72)【発明者】
【氏名】横山 浩之
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
(57)【要約】
【課題】センサ装置にデータ同期のための特別な構成、機能を追加することなく、比較的低コストでデータ間の同期処理を高精度に行う無線品質データ解析システム、無線品質データ解析装置を実現する。
【解決手段】無線品質データ解析装置100では、例えば、同一信号源の受信範囲にあるセンサ装置S_node1およびセンサ装置S_node2から取得されたIQデータに対して、信号強度データ生成処理、信号検出データ生成処理、オフセット取得処理、および、プリアンブル検出データ生成処理を行うことで、最適オフセット値を取得し、取得した当該最適オフセット値により、センサ装置S_node1およびセンサ装置S_node2から取得されたIQデータを同期させる(オフセット調整する)ことができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1センサ装置で取得される無線通信信号の復調信号のデータである第1IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、第1信号強度データを取得するとともに、前記第1センサ装置とは異なる第2センサ装置で取得される無線通信信号の復調信号のデータである第2IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、第2信号強度データを取得する信号強度データ生成処理部と、
前記第1信号強度データに対して、当該第1信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを第1信号検出データとして取得するとともに、前記第2信号強度データに対して、当該第2信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを第2信号検出データとして取得する信号検出データ生成処理部と、
時間軸方向に可変であるオフセットをずらしたとき、前記第1信号検出データのデータ列と前記第2信号検出データのデータ列との一致する度合いが所定の値よりも大きくなるオフセットを最適オフセットとして取得するオフセット算出処理部と、
を備える無線品質データ解析装置。
【請求項2】
第1センサ装置で取得される無線通信信号の復調信号のデータである第1IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、第1信号強度データを取得するとともに、前記第1センサ装置とは異なる第2センサ装置で取得される無線通信信号の復調信号のデータである第2IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、第2信号強度データを取得する信号強度データ生成処理部と、
前記第1信号強度データに対して、当該第1信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを第1信号検出データとして取得するとともに、前記第2信号強度データに対して、当該第2信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを第2信号検出データとして取得する信号検出データ生成処理部と、
前記第1信号検出データと前記第1IQデータとを用いて、所定の変調方式のプリアンブルに相当するタイミングを検出し、当該タイミングを示すデータである第1プリアンブル検出データを取得するとともに、前記第2信号検出データと前記第2IQデータとを用いて、所定の変調方式のプリアンブルに相当するタイミングを検出し、当該タイミングを示すデータである第2プリアンブル検出データを取得するプリアンブル検出データ生成処理部と、
時間軸方向に可変であるオフセットをずらしたとき、前記第1プリアンブル検出データのデータ列と前記第2プリアンブル検出データのデータ列との一致する度合いが所定の値よりも大きくなるオフセットを最適オフセットとして取得するオフセット算出処理部と、
を備える無線品質データ解析装置。
【請求項3】
前記プリアンブル検出データ生成処理部は、
前記第1信号検出データを開始時点とし、前記所定の変調方式により決定されるプリアンブルの繰り返し周期よりも長い所定の期間である自己相関値取得期間において、前記第1信号検出データを開始時点から前記自己相関値取得期間よりも短い期間である第1期間に含まれる前記第1IQデータに対して、自己相関値を取得し、取得した前記自己相関値に基づいて、前記所定の変調方式のプリアンブルに相当するタイミングを検出するとともに、
前記第2信号検出データを開始時点とし、前記所定の変調方式により決定されるプリアンブルの繰り返し周期よりも長い所定の期間である自己相関値取得期間において、前記第2信号検出データを開始時点から前記自己相関値取得期間よりも短い期間である第2期間に含まれる前記第2IQデータに対して、自己相関値を取得し、取得した前記自己相関値に基づいて、前記所定の変調方式のプリアンブルに相当するタイミングを検出する、
請求項2に記載の無線品質データ解析装置。
【請求項4】
前記プリアンブル検出データ生成処理部は、
前記自己相関値のとり得る範囲が所定の範囲となるように、前記自己相関値を正規化することで取得される正規化自己相関値に基づいて、前記所定の変調方式のプリアンブルに相当するタイミングを検出する、
請求項3に記載の無線品質データ解析装置。
【請求項5】
無線通信機器と、第1センサ装置と、前記第1センサ装置とは異なる第2センサ装置とを含む無線通信システムで用いられる同期処理用オフセット取得方法であって、
前記第1センサ装置で取得される無線通信信号の復調信号のデータである第1IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、第1信号強度データを取得するとともに、前記第2センサ装置で取得される無線通信信号の復調信号のデータである第2IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、第2信号強度データを取得する信号強度データ生成処理ステップと、
前記第1信号強度データに対して、当該第1信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを第1信号検出データとして取得するとともに、前記第2信号強度データに対して、当該第2信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを第2信号検出データとして取得する信号検出データ生成処理ステップと、
時間軸方向に可変であるオフセットをずらしたとき、前記第1信号検出データのデータ列と前記第2信号検出データのデータ列との一致する度合いが所定の値よりも大きくなるオフセットを最適オフセットとして取得するオフセット算出処理ステップと、
を備える同期処理用オフセット取得方法。
【請求項6】
無線通信機器と、第1センサ装置と、前記第1センサ装置とは異なる第2センサ装置とを含む無線通信システムで用いられる同期処理用オフセット取得方法であって、
前記第1センサ装置で取得される無線通信信号の復調信号のデータである第1IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、第1信号強度データを取得するとともに、前記第2センサ装置で取得される無線通信信号の復調信号のデータである第2IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、第2信号強度データを取得する信号強度データ生成処理ステップと、
前記第1信号強度データに対して、当該第1信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを第1信号検出データとして取得するとともに、前記第2信号強度データに対して、当該第2信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを第2信号検出データとして取得する信号検出データ生成処理ステップと、
前記第1信号検出データと前記第1IQデータとを用いて、所定の変調方式のプリアンブルに相当するタイミングを検出し、当該タイミングを示すデータである第1プリアンブル検出データを取得するとともに、前記第2信号検出データと前記第2IQデータとを用いて、所定の変調方式のプリアンブルに相当するタイミングを検出し、当該タイミングを示すデータである第2プリアンブル検出データを取得するプリアンブル検出データ生成処理ステップと、
時間軸方向に可変であるオフセットをずらしたとき、前記第1プリアンブル検出データのデータ列と前記第2プリアンブル検出データのデータ列との一致する度合いが所定の値よりも大きくなるオフセットを最適オフセットとして取得するオフセット算出処理ステップと、
を備える同期処理用オフセット取得方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の同期処理用オフセット取得方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信技術に関し、特に、無線品質の監視技術に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な機器の稼働状況の把握、制御などを目的として、工場、病院、商業施設などの屋内環境へのIoT(Internet of Things)デバイスの導入が進んでいる。
【0003】
対象環境下で期待される通信性能を達成、維持するためには、ネットワーク管理者が、対象環境下における無線品質の現状をできるだけ詳細に把握できることが重要である。例えば、対象環境下に複数のセンサノードを配置し、当該複数のセンサノードを用いて無線品質に関するデータを取得し、解析することで、ネットワーク管理者が、対象環境下における無線品質の現状を詳細かつ適切に把握することが可能となる。
【0004】
無線品質の把握に役立つデータの一つとして、信号強度データ(受信信号強度の時系列)がある。対象環境下の異なる位置に設置されたセンサノードにより信号強度データを取得することで、信号強度の時間的、空間的な変動の把握が可能となる。これにより、例えば特定の送信源からの信号が、どの位置にどのようなタイミングで届いているかを確認することができ、受信端末における受信品質や、意図しない干渉による影響の推定等に役立てることができる。ただし、このような把握を正確に行うためには、異なるセンサノードから取得される信号強度データ間を、同一時間軸上に同期することが求められる。
【0005】
データ間の同期を行う方法として、センサノード間で時刻同期プロトコル(NTP(Network Time Protocol)、 PTP(Precision Time Protocol)等)を実行し、同期された時計から得られるタイムスタンプをデータに付与することが考えられる(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】RFC 958 Network Time Protocol (NTP), september 1985.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記方法では、センサノードでデータが取得されたタイミングで、できるだけ即座にタイムスタンプを付与することが求められるため、センサノードの制御ソフトウェアへそのための特別な機能を搭載させる必要があり、実現のために相応のコストを要するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、センサノード(センサ装置)にデータ同期のための特別な構成、機能を追加することなく、比較的低コストでデータ間の同期処理を高精度に行う無線品質データ解析システム、無線品質データ解析装置、同期処理用オフセット取得方法およびプログラムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第1の発明は、信号強度データ生成処理部と、信号検出データ生成処理部と、オフセット算出処理部と、を備える無線品質データ解析装置である。
【0010】
信号強度データ生成処理部は、第1センサ装置で取得される無線通信信号の復調信号のデータである第1IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、第1信号強度データを取得するとともに、第1センサ装置とは異なる第2センサ装置で取得される無線通信信号の復調信号のデータである第2IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、第2信号強度データを取得する。
【0011】
信号検出データ生成処理部は、第1信号強度データに対して、当該第1信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを第1信号検出データとして取得するとともに、第2信号強度データに対して、当該第2信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを第2信号検出データとして取得する。
【0012】
オフセット算出処理部は、時間軸方向に可変であるオフセットをずらしたとき、第1信号検出データのデータ列と第2信号検出データのデータ列との一致する度合いが所定の値よりも大きくなるオフセットを最適オフセットとして取得する。
【0013】
この無線品質データ解析装置では、例えば、同一信号源の受信範囲にある第1センサ装置および第2センサ装置から取得されたIQデータに対して、信号強度データ生成処理、信号検出データ生成処理、オフセット取得処理を行うことで、最適オフセット値を取得し、取得した当該最適オフセット値により、第1センサ装置および第2センサ装置から取得されたIQデータを同期させる(オフセット調整する)ことができる。つまり、この無線品質データ解析装置では、センサ装置にデータ同期のための特別な構成、機能を追加する必要はなく、無線品質データ解析装置において、2つの異なるセンサ装置で取得されたIQデータに対して処理を行うことで、高精度に最適オフセット値を取得でき、当該最適オフセット値により第1センサ装置および第2センサ装置から取得されたIQデータを同期させる(オフセット調整する)ことができる。
【0014】
第2の発明は、信号強度データ生成処理部と、信号検出データ生成処理部と、プリアンブル検出データ生成処理部と、オフセット算出処理部と、を備える無線品質データ解析装置である。
【0015】
信号強度データ生成処理部は、第1センサ装置で取得される無線通信信号の復調信号のデータである第1IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、第1信号強度データを取得するとともに、第1センサ装置とは異なる第2センサ装置で取得される無線通信信号の復調信号のデータである第2IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、第2信号強度データを取得する。
【0016】
信号検出データ生成処理部は、第1信号強度データに対して、当該第1信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを第1信号検出データとして取得するとともに、第2信号強度データに対して、当該第2信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを第2信号検出データとして取得する。
【0017】
プリアンブル検出データ生成処理部は、第1信号検出データと第1IQデータとを用いて、所定の変調方式のプリアンブルに相当するタイミングを検出し、当該タイミングを示すデータである第1プリアンブル検出データを取得するとともに、第2信号検出データと第2IQデータとを用いて、所定の変調方式のプリアンブルに相当するタイミングを検出し、当該タイミングを示すデータである第2プリアンブル検出データを取得する。
【0018】
オフセット算出処理部は、時間軸方向に可変であるオフセットをずらしたとき、第1プリアンブル検出データのデータ列と第2プリアンブル検出データのデータ列との一致する度合いが所定の値よりも大きくなるオフセットを最適オフセットとして取得する。
【0019】
この無線品質データ解析装置では、例えば、同一信号源の受信範囲にある第1センサ装置および第2センサ装置から取得されたIQデータに対して、信号強度データ生成処理、信号検出データ生成処理、オフセット取得処理、および、プリアンブル検出データ生成処理を行うことで、最適オフセット値を取得し、取得した当該最適オフセット値により、第1センサ装置および第2センサ装置から取得されたIQデータを同期させる(オフセット調整する)ことができる。つまり、この無線品質データ解析装置では、センサ装置にデータ同期のための特別な構成、機能を追加する必要はなく、無線品質データ解析装置において、2つの異なるセンサ装置で取得されたIQデータに対して処理を行うことで、高精度に最適オフセット値を取得でき、当該最適オフセット値により第1センサ装置および第2センサ装置から取得されたIQデータを同期させる(オフセット調整する)ことができる。
【0020】
第3の発明は、第2の発明であって、プリアンブル検出データ生成処理部は、第1信号検出データを開始時点とし、所定の変調方式により決定されるプリアンブルの繰り返し周期よりも長い所定の期間である自己相関値取得期間において、第1信号検出データを開始時点から自己相関値取得期間よりも短い期間である第1期間に含まれる第1IQデータに対して、自己相関値を取得し、取得した自己相関値に基づいて、所定の変調方式のプリアンブルに相当するタイミングを検出する。また、プリアンブル検出データ生成処理部は、第2信号検出データを開始時点とし、所定の変調方式により決定されるプリアンブルの繰り返し周期よりも長い所定の期間である自己相関値取得期間において、第2信号検出データを開始時点から自己相関値取得期間よりも短い期間である第2期間に含まれる第2IQデータに対して、自己相関値を取得し、取得した自己相関値に基づいて、所定の変調方式のプリアンブルに相当するタイミングを検出する。
【0021】
これにより、この無線品質データ解析装置では、IQデータについて、自己相関値を取得し、取得した自己相関値に基づいて、最適オフセット値(同期タイミング)を取得できる。そして、取得した最適オフセット値により、第1センサ装置で取得したIQデータ、および、第2センサ装置で取得したIQデータを高精度に同期させる(オフセット調整して表示させる)ことができる。
【0022】
第4の発明は、第3の発明であって、プリアンブル検出データ生成処理部は、自己相関値のとり得る範囲が所定の範囲となるように、自己相関値を正規化することで取得される正規化自己相関値に基づいて、所定の変調方式のプリアンブルに相当するタイミングを検出する。
【0023】
これにより、この無線品質データ解析装置では、正規化自己相関値を用いて、最適オフセット値(同期タイミング)を取得でき、さらに高精度に、第1センサ装置で取得したIQデータ、および、第2センサ装置で取得したIQデータを同期させる(オフセット調整して表示させる)ことができる。
【0024】
第5の発明は、無線通信機器と、第1センサ装置と、第1センサ装置とは異なる第2センサ装置とを含む無線通信システムで用いられる同期処理用オフセット取得方法であって、信号強度データ生成処理ステップと、信号検出データ生成処理ステップと、オフセット算出処理ステップと、を備える。
【0025】
信号強度データ生成処理ステップは、第1センサ装置で取得される無線通信信号の復調信号のデータである第1IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、第1信号強度データを取得するとともに、第2センサ装置で取得される無線通信信号の復調信号のデータである第2IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、第2信号強度データを取得する。
【0026】
信号検出データ生成処理ステップは、第1信号強度データに対して、当該第1信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを第1信号検出データとして取得するとともに、第2信号強度データに対して、当該第2信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを第2信号検出データとして取得する。
【0027】
オフセット算出処理ステップは、時間軸方向に可変であるオフセットをずらしたとき、第1信号検出データのデータ列と第2信号検出データのデータ列との一致する度合いが所定の値よりも大きくなるオフセットを最適オフセットとして取得する。
【0028】
これにより、第1の発明と同様の効果を奏する同期処理用オフセット取得方法を実現することができる。
【0029】
第6の発明は、無線通信機器と、第1センサ装置と、第1センサ装置とは異なる第2センサ装置とを含む無線通信システムで用いられる同期処理用オフセット取得方法であって、信号強度データ生成処理ステップと、信号検出データ生成処理ステップと、プリアンブル検出データ生成処理ステップと、オフセット算出処理ステップと、を備える。
【0030】
信号強度データ生成処理ステップは、第1センサ装置で取得される無線通信信号の復調信号のデータである第1IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、第1信号強度データを取得するとともに、第2センサ装置で取得される無線通信信号の復調信号のデータである第2IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、第2信号強度データを取得する。
【0031】
信号検出データ生成処理ステップは、第1信号強度データに対して、当該第1信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを第1信号検出データとして取得するとともに、第2信号強度データに対して、当該第2信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを第2信号検出データとして取得する。
【0032】
プリアンブル検出データ生成処理ステップは、第1信号検出データと第1IQデータとを用いて、所定の変調方式のプリアンブルに相当するタイミングを検出し、当該タイミングを示すデータである第1プリアンブル検出データを取得するとともに、第2信号検出データと第2IQデータとを用いて、所定の変調方式のプリアンブルに相当するタイミングを検出し、当該タイミングを示すデータである第2プリアンブル検出データを取得する。
【0033】
オフセット算出処理ステップは、時間軸方向に可変であるオフセットをずらしたとき、第1プリアンブル検出データのデータ列と第2プリアンブル検出データのデータ列との一致する度合いが所定の値よりも大きくなるオフセットを最適オフセットとして取得する。
【0034】
これにより、第2の発明と同様の効果を奏する同期処理用オフセット取得方法を実現することができる。
【0035】
第7の発明は、第5の発明または第6の発明である同期処理用オフセット取得方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0036】
これにより、第1または第2の発明と同様の効果を奏する同期処理用オフセット取得方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを実現することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、センサノード(センサ装置)にデータ同期のための特別な構成、機能を追加することなく、比較的低コストでデータ間の同期処理を高精度に行う無線品質データ解析システム、無線品質データ解析装置、同期処理用オフセット取得方法およびプログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】第1実施形態に係る無線品質データ解析システム1000の概略構成図。
【
図2】第1実施形態に係る無線品質データ解析システム1000のセンサ装置S_node1の概略構成図。
【
図3】第1実施形態に係る無線品質データ解析装置100の概略構成図。
【
図4】第1実施形態に係る無線品質データ解析装置100のオフセット処理部2の概略構成図。
【
図5】無線品質データ解析システム1000の概略構成図であり、無線品質データ解析システム1000で実行される処理を説明するための図(センサ装置Aをセンサ装置S_node1に設定し、センサ装置Aをセンサ装置S_node2に設定した場合)。
【
図6】無線品質データ解析システム1000で実行される処理(オフセット処理)のフローチャート。
【
図7】無線品質データ解析システム1000で実行される処理(オフセット処理)のフローチャート。
【
図8】無線品質データ解析システム1000で実行される処理(オフセット処理)のフローチャート。
【
図9】無線品質データ解析システム1000で実行される処理(オフセット処理)のフローチャート。
【
図10】無線品質データ解析システム1000で実行される処理(オフセット処理)のフローチャート。
【
図11】無線品質データ解析装置100で実行される信号強度データ生成処理を説明するための図。
【
図12】無線品質データ解析装置100で実行される信号検出データ生成処理を説明するための図。
【
図13】無線品質データ解析装置100で実行されるプリアンブル検出データ生成処理を説明するための図。
【
図14】無線品質データ解析装置100で実行されるプリアンブル検出データ生成処理を説明するための図。
【
図15】無線品質データ解析装置100で実行されるプリアンブル検出データ生成処理を説明するための図。
【
図16】無線品質データ解析装置100で実行されるオフセット算出処理を説明するための図。
【
図17】無線品質データ解析装置100で実行されるオフセット算出処理を説明するための図。
【
図18】無線品質データ解析装置100で実行される可視化処理(同期した状態でセンサ装置A、Bで取得されたIQデータを表示する処理)を説明するための図。
【
図19】無線品質データ解析システム1000の概略構成図であり、無線品質データ解析システム1000で実行される処理を説明するための図(センサ装置Aをセンサ装置S_node2に設定し、センサ装置Aをセンサ装置S_node3に設定した場合)。
【発明を実施するための形態】
【0039】
[第1実施形態]
第1実施形態について、図面を参照しながら、以下、説明する。
【0040】
<1.1:無線品質データ解析システムの構成>
図1は、第1実施形態に係る無線品質データ解析システム1000の概略構成図である。
【0041】
図2は、第1実施形態に係る無線品質データ解析システム1000のセンサ装置S_node1の概略構成図である。
【0042】
図3は、第1実施形態に係る無線品質データ解析装置100の概略構成図である。
【0043】
図4は、第1実施形態に係る無線品質データ解析装置100のオフセット処理部2の概略構成図である。
【0044】
なお、説明便宜のため、
図1に示すように、無線品質データ解析システム1000に、センサ装置S_node1、センサ装置S_node2、および、センサ装置S_node3の3つセンサ装置が含まれ、通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtCの3つの通信機器が含まれる場合について、以下説明する。
【0045】
通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtCは、例えば、狭空間内(例えば、工場内)に設置される。そして、通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtCは、例えば、IEEE802.11a、b、g、n、ac、ax等の無線LAN規格に従い、互いに無線通信を行うことができる。通信機器RbtA、通信機器RbtB、および/または、通信機器RbtCは、例えば、無線通信機能付きの工作機械である。
【0046】
無線品質データ解析装置100と、1または複数のセンサ装置とは、無線または有線で接続されており、互いに通信することができる。
【0047】
(1.1.1:センサ装置)
センサ装置S_node1は、
図2に示すように、アンテナAnt1と、RF処理部Sen1と、IQデータ取得部Sen2と、第1通信インターフェースSen3とを備える。
【0048】
アンテナAnt1は、外部から放射(送信)された電波(RF信号)を受信するためのアンテナである。なお、アンテナAnt1は、送受信用アンテナであってもよい。
【0049】
RF処理部Sen1は、アンテナAnt1を介して、外部からRF信号を受信し、受信したRF信号に対して受信用のRF処理(RF復調処理、AD変換等)を実行し、RF処理後の信号Sig0(例えば、ベースバンドOFDM信号(RF復調信号(OFDM方式))(OFDM:orthogonal frequency-division multiplexing)、ベースバンドDSSS信号(RF復調信号(DSSS方式))(DSSS:Direct-sequence spread spectrum))を取得する。そして、RF処理部Sen1は、RF処理後の信号Sig0をIQデータ取得部Sen2に出力する。
【0050】
IQデータ取得部Sen2は、RF処理部Sen1から出力される信号Sig0を入力する。IQデータ取得部Sen2は、信号Sig0から、I成分信号(同相成分信号)のデータ(I成分データ)と、Q成分信号(直交成分信号)のデータ(Q成分データ)とを取得し、取得したI成分信号(同相成分信号)のデータ(I成分データ)およびQ成分信号(直交成分信号)のデータ(Q成分データ)を含むデータを、データDIQ
Snode(A=1)として、第1通信インターフェースSen3に出力する。なお、センサ装置S_nodei(i:自然数)で取得されるIQデータ(IQデータ取得部Sen2で取得されるデータ)を、データDIQ
Snode(A=i)と表記する。
【0051】
なお、無線品質データ解析システム1000に含まれるセンサ装置は、IQデータを取得するサンプリング周波数fsを、下記2つの数式を満たす自然数n1、n2が存在する周波数に設定し、データ取得(データサンプリング)を行うものとする。
n1=0.8[μs]×fs
n2=1.0[μs]×fs
第1通信インターフェースSen3は、例えば、有線または無線のネットワークを介して、外部の装置とデータ送受信を行うための通信インターフェースである。第1通信インターフェースSen3は、IQデータ取得部Sen2から出力されるデータDIQ
Snode(A=1)を入力し、当該データDIQ
Snode(A=1)を有線または無線のネットワークを介して通信できる形式のデータDtx(DIQ
Snode(A=1))(無線通信信号Dtx(DIQ
Snode(A=1)))にして外部(所定の宛先)に送信する。
【0052】
なお、センサ装置S_node2、および、センサ装置S_node3は、センサ装置S_node1と同様の構成を有している。
【0053】
(1.1.2:無線品質データ解析装置)
無線品質データ解析装置100は、
図3に示すように、第2通信インターフェース1と、オフセット処理部2と、可視化処理部3とを備える。
【0054】
第2通信インターフェース1は、例えば、有線または無線のネットワークを介して、外部の装置とデータ送受信を行うための通信インターフェースである。
【0055】
第2通信インターフェース1は、ネットワークを介して、センサ装置から送信される無線通信信号を受信する。ここで、第1のセンサ装置S_nodei(i:自然数)(これを、便宜上、「センサ装置A」という)から送信される無線通信信号を無線通信信号Dtx(DIQ
Snode(A))とし、第1のセンサ装置S_nodei(i:自然数)とは異なる第2のセンサ装置S_nodei(i:自然数)(これを、便宜上、「センサ装置B」という)から送信される無線通信信号を無線通信信号Dtx(DIQ
Snode(B))とする。そうすると、(1)第2通信インターフェース1は、ネットワークを介して、センサ装置Aから送信される無線通信信号Dtx(DIQ
Snode(A))を受信し、当該信号からデータDIQ
Snode(A)を取得し、取得したデータDIQ
Snode(A)をオフセット処理部2に出力する。また、(2)第2通信インターフェース1は、ネットワークを介して、センサ装置Bから送信される無線通信信号Dtx(DIQ
Snode(B))を受信し、当該信号からデータDIQ
Snode(B)を取得し、取得したデータDIQ
Snode(B)をオフセット処理部2に出力する。
【0056】
オフセット処理部2は、オフセット処理を行うための機能部であり、
図4に示すように、オフセット取得処理部21と、オフセット調整処理部22とを備える。
【0057】
オフセット取得処理部21は、
図4に示すように、第1信号強度データ生成処理部211と、第1信号検出データ生成処理部212と、第1プリアンブル検出データ生成処理部213と、第2信号強度データ生成処理部214と、第2信号検出データ生成処理部215と、第2プリアンブル検出データ生成処理部216と、オフセット算出処理部217とを備える。
【0058】
第1信号強度データ生成処理部211は、第2通信インターフェース1から出力されるデータDIQ
Snode(A)(このデータを、便宜上、ai
Snode(A)と表記する)を入力し、当該データDIQ
Snode(A)を用いて、信号強度データ生成処理を実行し、当該処理により取得されたデータを、データD11(このデータを、便宜上、bi
Snode(A)と表記する)として、第1信号検出データ生成処理部212に出力する。
【0059】
第1信号検出データ生成処理部212は、第1信号強度データ生成処理部211から出力されるデータD11を入力し、当該データD11に対して信号強度データ生成処理を実行し、当該処理により取得されたデータを、データD12(このデータを、便宜上、ci
Snode(A)と表記する)として、第1プリアンブル検出データ生成処理部213に出力する。
【0060】
第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、第2通信インターフェース1から出力されるデータDIQ
Snode(A)と、第1プリアンブル検出データ生成処理部213から出力されるデータD12とを入力する。第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、データDIQ
Snode(A)と、データD12とを用いて、プリアンブル検出データ生成処理を実行し、当該処理により取得されたデータを、データD13(このデータを、便宜上、di
Snode(A)と表記する)として、オフセット算出処理部217に出力する。
【0061】
第2信号強度データ生成処理部214は、第2通信インターフェース1から出力されるデータDIQ
Snode(B)(このデータを、便宜上、ai
Snode(B)と表記する)を入力し、当該データDIQ
Snode(B)を用いて、信号強度データ生成処理を実行し、当該処理により取得されたデータを、データD21(このデータを、便宜上、bi
Snode(B)と表記する)として、第2信号検出データ生成処理部215に出力する。
【0062】
第2信号検出データ生成処理部215は、第2信号強度データ生成処理部214から出力されるデータD21を入力し、当該データD21に対して信号強度データ生成処理を実行し、当該処理により取得されたデータを、データD22(このデータを、便宜上、ci
Snode(B)と表記する)として、第2プリアンブル検出データ生成処理部216に出力する。
【0063】
第2プリアンブル検出データ生成処理部216は、第2通信インターフェース1から出力されるデータDIQ
Snode(B)と、第2プリアンブル検出データ生成処理部216から出力されるデータD22とを入力する。第2プリアンブル検出データ生成処理部216は、データDIQ
Snode(B)と、データD22とを用いて、プリアンブル検出データ生成処理を実行し、当該処理により取得されたデータを、データD23(このデータを、便宜上、di
Snode(B)と表記する)として、オフセット算出処理部217に出力する。
【0064】
オフセット算出処理部217は、第1プリアンブル検出データ生成処理部213から出力されるデータD13と、第2プリアンブル検出データ生成処理部216から出力されるデータD23と、を入力する。オフセット算出処理部217は、データD13とデータD23とを用いて、オフセット取得処理を実行し、当該処理により取得されたデータを、データD_offsetとして、オフセット調整処理部22に出力する。
【0065】
オフセット調整処理部22は、第2通信インターフェース1から出力されるデータDIQ
Snode(A)およびデータDIQ
Snode(B)と、オフセット算出処理部217から出力されるデータD_offsetとを入力する。オフセット調整処理部22は、データDIQ
Snode(A)およびデータDIQ
Snode(B)と、データD_offsetとを用いて、オフセット調整処理を実行し、当該処理により取得されたデータを、データDo1Snode(A)およびデータDo1Snode(B)として、可視化処理部3に出力する。
【0066】
可視化処理部3は、オフセット処理部2から出力されるデータDo1Snode(A)およびデータDo1Snode(B)を入力し、当該データDo1Snode(A)およびデータDo1Snode(B)を用いて、可視化処理を行う。
【0067】
なお、「信号強度データ生成処理部」は、第1信号強度データ生成処理部211および第2信号強度データ生成処理部214に対応する。
【0068】
「信号検出データ生成処理部」は、第1信号検出データ生成処理部212および第2信号検出データ生成処理部215に対応する。
【0069】
「プリアンブル検出データ生成処理部」は、第1プリアンブル検出データ生成処理部213および第2プリアンブル検出データ生成処理部216に対応する。
【0070】
<1.2:無線品質データ解析システムの動作>
以上のように構成された無線品質データ解析システム1000の動作について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0071】
図5は、無線品質データ解析システム1000の概略構成図であり、無線品質データ解析システム1000で実行される処理を説明するための図である。
【0072】
図6~
図10は、無線品質データ解析システム1000で実行される処理(オフセット処理)のフローチャートである。
【0073】
図11は、無線品質データ解析装置100で実行される信号強度データ生成処理を説明するための図である。
【0074】
図12は、無線品質データ解析装置100で実行される信号検出データ生成処理を説明するための図である。
【0075】
図13~
図15は、無線品質データ解析装置100で実行されるプリアンブル検出データ生成処理を説明するための図である。
【0076】
図16、
図17は、無線品質データ解析装置100で実行されるオフセット算出処理を説明するための図である。
【0077】
図18は、無線品質データ解析装置100で実行される可視化処理(同期した状態でセンサ装置A、Bで取得されたIQデータを表示する処理)を説明するための図である。
【0078】
本実施形態では、2つのセンサ装置A,センサ装置Bの観測範囲(無線信号の受信可能範囲)について、観測範囲にある程度オーバーラップする領域が存在していることを仮定する。すなわち、センサ装置Aおよびセンサ装置Bが取得するIQデータ内に、同一信号源からの信号がある程度含まれていることを仮定する。このような場合、センサ装置Aおよびセンサ装置Bが取得するIQデータには、同一信号源からの無線フレームに該当する信号が含まれているので、同一信号源からの無線フレームの先頭の受信タイミングを抽出し、これを同期のための情報(同期タイミング)として用いる。
【0079】
本実施形態では、まず、
図5に示すように、(1)センサ装置Aの観測範囲が通信機器RbtAおよびセンサ装置S_node1を含む領域AR1であり、(2)センサ装置Bの観測範囲が通信機器RbtAおよびセンサ装置S_node2を含む領域AR2であり、センサ装置S_node1がセンサ装置Aに設定されており、センサ装置S_node2がセンサ装置Bに設定されている場合について、無線品質データ解析システム1000で実行される処理について説明する。
【0080】
センサ装置S_node1(センサ装置A)のRF処理部Sen1は、アンテナAnt1を介して、外部からRF信号を受信し、受信したRF信号に対して受信用のRF処理(RF復調処理、AD変換等)を実行し、RF処理後の信号Sig0(例えば、ベースバンドOFDM信号(RF復調信号(OFDM方式))(OFDM:orthogonal frequency-division multiplexing)、ベースバンドDSSS信号(RF復調信号(DSSS方式))(DSSS:Direct-sequence spread spectrum))を取得する。そして、センサ装置S_node1のRF処理部Sen1は、RF処理後の信号Sig0をIQデータ取得部Sen2に出力する。
【0081】
センサ装置S_node1のIQデータ取得部Sen2は、RF処理部Sen1から出力される信号Sig0から、I成分信号(同相成分信号)のデータ(I成分データ)と、Q成分信号(直交成分信号)のデータ(Q成分データ)とを取得し、取得したI成分信号(同相成分信号)のデータ(I成分データ)およびQ成分信号(直交成分信号)のデータ(Q成分データ)を含むデータを、データDIQ
Snode(A=1)(センサ装置Aをセンサ装置S_node1に設定した場合に、当該センサ装置により取得されるIQデータをデータDIQ
Snode(A=1)と表記する)として、第1通信インターフェースSen3に出力する。
【0082】
センサ装置S_node1の第1通信インターフェースSen3は、IQデータ取得部Sen2から出力されるデータDIQ
Snode(A=1)を入力し、当該データDIQ
Snode(A=1)を有線または無線のネットワークを介して通信できる形式のデータDtx(DIQ
Snode(A=1))(無線通信信号Dtx(DIQ
Snode(A=1)))にして無線品質データ解析装置100に送信する。
【0083】
センサ装置S_node2(センサ装置B)のRF処理部Sen1は、アンテナAnt1を介して、外部からRF信号を受信し、受信したRF信号に対して受信用のRF処理(RF復調処理、AD変換等)を実行し、RF処理後の信号Sig0(例えば、ベースバンドOFDM信号(RF復調信号(OFDM方式))(OFDM:orthogonal frequency-division multiplexing)、ベースバンドDSSS信号(RF復調信号(DSSS方式))(DSSS:Direct-sequence spread spectrum))を取得する。そして、センサ装置S_node2のRF処理部Sen1は、RF処理後の信号Sig0をIQデータ取得部Sen2に出力する。
【0084】
センサ装置S_node2のIQデータ取得部Sen2は、RF処理部Sen1から出力される信号Sig0から、I成分信号(同相成分信号)のデータ(I成分データ)と、Q成分信号(直交成分信号)のデータ(Q成分データ)とを取得し、取得したI成分信号(同相成分信号)のデータ(I成分データ)およびQ成分信号(直交成分信号)のデータ(Q成分データ)を含むデータを、データDIQ
Snode(B=2)(センサ装置Bをセンサ装置S_node2に設定した場合に、当該センサ装置により取得されるIQデータをデータDIQ
Snode(B=2)と表記する)として、第1通信インターフェースSen3に出力する。
【0085】
センサ装置S_node2の第1通信インターフェースSen3は、IQデータ取得部Sen2から出力されるデータDIQ
Snode(B=2)を入力し、当該データDIQ
Snode(B=2)を有線または無線のネットワークを介して通信できる形式のデータDtx(DIQ
Snode(B=2))(無線通信信号Dtx(DIQ
Snode(B=2)))にして無線品質データ解析装置100に送信する。
【0086】
無線品質データ解析装置100の第2通信インターフェース1は、ネットワークを介して、センサ装置A(センサ装置S_node1)から送信される無線通信信号Dtx(DIQ
Snode(A=1))を受信し、受信した当該無線通信信号からデータDIQ
Snode(A=1)を取得し、取得したデータDIQ
Snode(A=1)をオフセット処理部2に出力する。
【0087】
また、無線品質データ解析装置100の第2通信インターフェース1は、ネットワークを介して、センサ装置Bから送信される無線通信信号Dtx(DIQ
Snode(B=2))を受信し、当該信号からデータDIQ
Snode(B=2)を取得し、取得したデータDIQ
Snode(B=2)をオフセット処理部2に出力する。
【0088】
無線品質データ解析装置100のオフセット処理部2では、オフセット処理が実行される。これについて、
図6~
図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0089】
(ステップS1):
ステップS1において、ループ処理(ループ1)が開始される(条件を満たすまで繰り返し実行される)。具体的には、無線品質データ解析装置100において、2つのセンサ装置S_node1(センサ装置A)およびセンサ装置S_node2(センサ装置B)で取得されたIQデータDIQ
Snode(A=1)、DIQ
Snode(B=2)について、ステップS2~S4の処理が実行される。
【0090】
まず、ステップS1において、処理対象をIQデータDIQ
Snode(A=1)とし、処理をステップS2に進める。
【0091】
(ステップS2):
ステップS2(ステップS201~S207)において、信号強度データ生成処理が実行される。具体的には、以下の処理が実行される(
図7を参照)。
【0092】
(ステップS201、S202):
ステップS201において、信号強度データ生成処理のIQデータを集約するサンプル数を示すパラメータNが設定される(例えば、N=20に設定される)。
【0093】
ステップS202において、変数j(j:整数)が「0」に設定される(初期化処理)。
【0094】
(ステップS203):
ステップS203において、第1信号強度データ生成処理部211は、第2通信インターフェース1から出力されるデータDIQ
Snode(A)のN個のサンプル分のデータ(Nサンプル分のデータ)を入力(取得)する。なお、データDIQ
Snode(A)のN個のサンプルデータについて、i番目のIQデータのサンプルデータをai(i:整数、iはサンプル番号)と表記する。
【0095】
(ステップS204):
ステップS204において、第1信号強度データ生成処理部211は、N個のIQデータのサンプルデータa
iに対して、下記数式に相当する処理を行い、IQデータa
iの最大値を取得し、当該最大値をb
jとする。
【数1】
なお、第1信号強度データ生成処理部211は、上記処理(最大値取得処理)の代わりに、N個のIQデータのサンプルデータa
iに対して、下記数式に相当する処理を行い、IQデータa
iの平均値を取得し、当該平均値をb
jとしてもよい。
【数2】
なお、上記(数式1)、(数式2)において、|a
i|
2は、IQデータa
iの絶対値の2乗を表しており、IQデータa
iは、I成分とQ成分からなる複素数として表現されるので、
|a
i|
2=(a
iのI成分)
2+(a
iのQ成分)
2
として取得される。
【0096】
(ステップS205、S206):
ステップS205において、第1信号強度データ生成処理部211は、ステップS204において取得したデータbj(=bj
Snode(A=1))を含むデータを、データD12として、第1信号検出データ生成処理部212に出力する。
【0097】
ステップS206において、第1信号強度データ生成処理部211は、変数jを+1だけインクリメントする(j←j+1に相当する処理を行う)。
【0098】
(ステップS207):
ステップS207において、第1信号強度データ生成処理部211は、信号検出データ生成処理の処理対象とするデータが残っているか否かを判定し、(1)信号検出データ生成処理の処理対象とするデータが残っていると判定した場合、処理をステップS203に戻し、(2)信号検出データ生成処理の処理対象とするデータが残っていないと判定した場合、処理をステップS3に進める。
【0099】
ここで、
図11に、横軸を時間とし、縦軸を信号強度として、IQデータ列(IQデータa
iのデータ列)(一例)(
図11の上図)と、当該IQデータ列から信号強度データ生成処理により取得された信号強度データ列(信号強度データb
jのデータ列)(
図11の下図)を示す。
【0100】
図11は、N=5であり、信号データ生成処理において、N個のIQデータa
iの最大値を信号強度データb
jとして取得する場合を示している。
【0101】
図11に示すように、IQデータ列(IQデータa
iのデータ列)に対して、信号強度データ生成処理を実行することで、信号強度データ列(信号強度データb
jのデータ列)が取得される。
【0102】
(ステップS3):
ステップS3(ステップS301~S312)において、信号検出データ生成処理が実行される。具体的には、以下の処理が実行される(
図8を参照)。
【0103】
(ステップS301):
ステップS301において、第1信号検出データ生成処理部212は、変数j、フラグflg_in、および、変数yを、それぞれ、「0」に設定する(初期化処理)。すなわち、第1信号検出データ生成処理部212は、
j=0
flg_in=0
y=0
とする処理を行う。
【0104】
(ステップS302):
ステップS302において、ループ処理(ループ2)が開始される(条件を満たすまで繰り返し実行される)。具体的には、無線品質データ解析装置100の第1信号検出データ生成処理部212は、信号強度データbi(第1信号強度データ生成処理部211から出力されるデータD11(=bi
Snode(A=1)))に対して、各i=0,1,2,・・・,Nb-1(Nb:自然数、Nbは、信号検出データ生成処理の処理対象とする信号強度データbiのデータ数)でループ処理(ループ2)(ステップS303~S310の処理)が実行される。
【0105】
(ステップS303):
ステップS303において、第1信号検出データ生成処理部212は、信号強度データbiと信号強度データの閾値rthとを比較し、(1)bi≧rthである場合、処理をステップS304に進め、(2)bi≧rthではない場合、処理をステップS306に進める。なお、信号強度データの閾値rthは、予め所定の値に設定されているものとする(例えば、無線品質データ解析装置100の各機能部を制御する制御部(不図示)により、信号強度データの閾値rthは、予め所定の値に設定されているものとする)。信号強度データの閾値rthは、例えば、ノイズレベルと信号レベルが区別できる範囲内の所定の値とすればよい(例えば、信号強度データの閾値rthは、ノイズレベルよりも少し上の値に設定してもよい)。無線品質データ解析装置100では、プリアンブル検出データ生成処理により精度の高い同期タイミングを示すデータを取得できるため、信号検出データ生成処理での信号強度データを取得するための閾値rthは、大雑把に決めても問題ない(ノイズレベルよりも大きな値となる広範な範囲から閾値rthを設定することができる)。
【0106】
(ステップS304、S305):
ステップS304において、第1信号検出データ生成処理部212は、フラグflg_inの値が「0」であるか否かを判定し、(1)フラグflg_inの値が「0」である場合、処理をステップS305に進め、(2)フラグflg_inの値が「0」ではない場合、処理をステップS311に進める。
【0107】
ステップS305において、第1信号検出データ生成処理部212は、フラグflg_inの値を「1」にセットし、また、変数yの値をi(信号強度データbiのインデックス番号i)とし、処理をステップS311に進める。
【0108】
(ステップS306):
ステップS306において、第1信号検出データ生成処理部212は、フラグflg_inの値が「0」であるか否かを判定し、(1)フラグflg_inの値が「0」である場合、処理をステップS311に進め、(2)フラグflg_inの値が「0」ではない場合、処理をステップS307に進める。
【0109】
(ステップS307~S309):
ステップS307において、第1信号検出データ生成処理部212は、i-yの値と、信号の長さ(継続長)についての閾値nthとを比較し、(1)i-y≧nthである場合、処理をステップS308に進め、(2)i-y≧nthではない場合、処理をステップS310に進める。なお、信号の長さ(継続長)についての閾値nthは、予め所定の値に設定されているものとする(例えば、無線品質データ解析装置100の各機能部を制御する制御部(不図示)により、閾値nthは、予め所定の値に設定されているものとする)。
【0110】
ステップS308において、第1信号検出データ生成処理部212は、cj=yとする(信号検出データcjをデータyとする)。
【0111】
ステップS309において、第1信号検出データ生成処理部212は、変数jを+1インクリメントし(j←j+1)、変数numにjを代入する(num=j)。そして、処理をステップS310に進める。
【0112】
(ステップS310):
ステップS310において、第1信号検出データ生成処理部212は、フラグflg_inの値を「0」にし(リセットし)、処理をステップS311に進める。
【0113】
(ステップS311):
ステップS311において、第1信号検出データ生成処理部212は、ループ処理(ループ2)の処理対象のデータ(信号強度データbi)が残っているか否かを判定し、(1)ループ処理(ループ2)の処理対象のデータ(信号強度データbi)が残っていると判定した場合、処理をステップS302に戻し、上記と同様にして、ステップS303~S310の処理を実行し、(2)ループ処理(ループ2)の処理対象のデータ(信号強度データbi)が残っていないと判定した場合、処理をステップS312に進める。
【0114】
(ステップS312):
ステップS312において、第1信号検出データ生成処理部212は、ループ処理(ループ2)により取得された信号検出データcj、すなわち、信号検出データc0,c1,・・・,cnum-1(num個の信号検出データcj(j:自然数、0≦j≦num-1))を、データD12として、第1プリアンブル検出データ生成処理部213に出力する。
【0115】
ここで、
図12に、横軸を時間とし、縦軸を信号強度として、信号強度データのデータ列(信号強度データb
iのデータ列)(一例)(
図12の上図)と、当該信号強度データのデータ列から取得された信号検出データc
jとを示す。
【0116】
図12に示すように、上記の信号検出データ生成処理を行うことで、信号強度データb
jの値が閾値r
th以上となる信号強度データb
jが、n
th(
図12の場合、n
th=5)個以上連続して出現する信号パターン(信号強度データb
jの信号パターン)を検出することができる。そして、上記により検出した信号パターン(信号強度データb
jの信号パターン)の先頭の信号強度データb
jのインデックス番号jを、信号検出データc
iに代入することで、信号検出データc
iが取得される。
(1)
図12の場合、信号強度データb
7~b
12において、信号強度データb
jの値が閾値r
th以上であり、かつ、その継続期間が6(=12-7+1)であり、n
th(
図12の場合、n
th=5)以上であるので、当該部分が信号ありと判定される部分(信号パターン)であり、その先頭の信号強度データb
7のインデックス番号j=7が、信号検出データc
i(
図12の場合、c
0)に代入される(c
0=7)。
(2)また、
図12の場合、信号強度データb
17~b
18において、信号強度データb
jの値が閾値r
th以上であるが、その継続期間が2(=18-17+1)であり、n
th(
図12の場合、n
th=5)以上ではないので、当該部分は信号なしと判定される。
(3)また、
図12の場合、信号強度データb
32~b
37において、信号強度データb
jの値が閾値r
th以上であり、かつ、その継続期間が6(=37-32+1)であり、n
th(
図12の場合、n
th=5)以上であるので、当該部分が信号ありと判定される部分(信号パターン)であり、その先頭の信号強度データb
32のインデックス番号j=32が、信号検出データc
i(
図12の場合、c
1)に代入される(c
1=32)。
【0117】
(ステップS4):
ステップS4(ステップS401~S314)において、プリアンブル検出データ生成処理が実行される。プリアンブルは、IEEE802.11b(DSSS変調方式を採用)と、IEEE802.11a/g/n/ac/ax(OFDM変調方式を採用)の大きく分けて2種類が存在する。どちらの種類のプリアンブルにも共通する特徴として、信号の繰り返しが存在することが挙げられる。そこで、信号の繰り返しを自己相関関数の値を用いて検出し、最も自己相関関数の値が大きくなる際の繰り返しの周期が、DSSS変調もしくはOFDM変調による信号の周期であると判断し、当該周期に基づいて、DSSS変調もしくはOFDM変調による信号のプリアンブルを検出する。プリアンブル検出データ生成処理では、上記に基づいて、処理が実行される。具体的には、以下の処理が実行される(
図9を参照)。
【0118】
(ステップS401):
ステップS401において、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、変数kを「0」に設定する(初期化処理)。
【0119】
(ステップS402):
ステップS402において、ループ処理(ループ3)が開始される(条件を満たすまで繰り返し実行される)。具体的には、無線品質データ解析装置100の第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、信号検出データci(第1信号検出データ生成処理部212から出力されるデータD12(=ci
Snode(A=1)))に対して、各i=0,1,2,・・・,Nc-1(Nc:自然数、Ncは、プリアンブル検出データ生成処理の処理対象とする信号検出データciのデータ数)でループ処理(ループ3)(ステップS403~S412の処理)が実行される。
【0120】
(ステップS403):
ステップS403において、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、
n=N×ci
αj={an+j|jは0≦j≦L+τmax-1を満たす自然数}
={an,an+1,・・・,an+L+τmax-1}
とする。つまり、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、第2通信インターフェース1から上記αjに相当するIQデータ(αj={an,an+1,・・・,an+L+τmax-1}={an
Snode(A=1),an+1
Snode(A=1),・・・,an+L+τmax-1
Snode(A=1)}、n=N×ci)を取得する。各ciには、信号強度データについての添え字(インデックス番号)が入っている。信号強度データは、IQデータをN個ごとに集約したものなので、ciに該当する位置を開始時点とするIQサンプルデータは、aN×ciとなる。
【0121】
そして、n=N×ciとし、ciに該当する位置を開始時点とする長さL+τmaxのIQサンプルのIQサンプルデータは、上記のように、αj={an+j|jは0≦j≦L+τmax-1を満たす自然数}となる。
【0122】
(ステップS404):
ステップS404において、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、自己相関関数の値P(τ)を取得する。具体的には、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、下記数式に相当する処理を行い、τ
min≦τ≦τ
maxを満たすτについて、自己相関関数の値P(τ)を取得する。
【数3】
α
j
*:α
jの複素共役
(ステップS405):
ステップS405において、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、データα
j+τの絶対値の2乗の合計値R(τ)を取得する。具体的には、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、下記数式に相当する処理を行い、τ
min≦τ≦τ
maxを満たすτについて、R(τ)を取得する。
【数4】
(ステップS406):
ステップS406において、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、正規化自己相関関数の値M(τ)を取得する。具体的には、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、下記数式に相当する処理を行い、τ
min≦τ≦τ
maxを満たすτについて、正規化自己相関関数の値M(τ)を取得する。
【数5】
(ステップS407):
ステップS407において、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、τ
min≦τ≦τ
maxにおいて、正規化自己相関関数の値M(τ)が最大値となるときのτの値をτ
optとして取得する。つまり、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、下記数式に相当する処理を行い、τ
optを取得する。
【数6】
(ステップS407):
ステップS407において、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、M(τ
opt)の値と、正規化自己相関関数値用の閾値m
thとを比較し、(1)M(τ
opt)≧m
thである場合、処理をステップS409に進め、(2)M(τ
opt)≧m
thではない場合、処理をステップS413に進める。なお、正規化自己相関関数値用の閾値m
thは、予め所定の値に設定されているものとする(例えば、無線品質データ解析装置100の各機能部を制御する制御部(不図示)により、信号強度データの閾値m
thは、予め所定の値に設定されているものとする)。
【0123】
(ステップS409):
ステップS409において、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、法をndssとするτoptの剰余、すなわち、
τopt mod ndsss
を算出し、算出したτopt mod ndsssの値が「0」あるか否かを判定する。第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、(1)τopt mod ndsss=0である場合、処理をステップS411に進め、(2)τopt mod ndsss=0ではない場合、処理をステップS410に進める。なお、ndsssは、IQデータのサンプル列aiを取得したときのサンプリング周波数をfsとすると、
ndsss/fs=1.0[μs]
を満たす自然数である。1.0[μs]は、DSSS変調方式の信号のプリアンブルの繰り返し周期(同一信号が繰り返し出現する周期)に相当する時間である。
【0124】
(ステップS410):
ステップS410において、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、法をnofdmとするτoptの剰余、すなわち、
τopt mod nofdm
を算出し、算出したτopt mod nofdmの値が「0」あるか否かを判定する。第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、(1)τopt mod nofdm=0である場合、処理をステップS411に進め、(2)τopt mod nofdm=0ではない場合、処理をステップS413に進める。なお、nofdmは、IQデータのサンプル列aiを取得したときのサンプリング周波数をfsとすると、
ndss/fs=0.8[μs]
を満たす自然数である。0.8[μs]は、OFDM変調方式の信号のプリアンブルの繰り返し周期(同一信号が繰り返し出現する周期)に相当する時間である。
【0125】
なお、無線品質データ解析システム1000において、センサ装置がIQデータを取得するサンプリング周波数fsは、下記2つの数式を満たす自然数n1、n2が存在する周波数である。
n1=0.8[μs]×fs
n2=1.0[μs]×fs
(ステップS411、S412):
ステップS411において、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、プリアンブルが検出されたと判断し、プリアンブル検出データdkをciとする(dk=ci)。
【0126】
ステップS412において、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、変数kを+1インクリメントし(k←k+1)、変数numにkを代入する(num=k)。そして、処理をステップS413に進める。
【0127】
(ステップS413):
ステップS413において、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、ループ処理(ループ3)の処理対象のデータ(信号検出データci)が残っているか否かを判定し、(1)ループ処理(ループ3)の処理対象のデータ(信号検出データci)が残っていると判定した場合、処理をステップS402に戻し、上記と同様にして、ステップS403~S412の処理を実行し、(2)ループ処理(ループ3)の処理対象のデータ(信号検出データci)が残っていないと判定した場合、処理をステップS414に進める。
【0128】
(ステップS414):
ステップS414において、第1プリアンブル検出データ生成処理部213は、ループ処理(ループ3)により取得されたプリアンブル検出データdk、すなわち、プリアンブル検出データd0,d1,・・・,dnum-1(num個のプリアンブル検出データdk(k:自然数、0≦k≦num-1))を、データD13として、オフセット算出処理部217に出力する。
【0129】
ここで、
図13~
図15を用いて、プリアンブル検出データ生成処理の一例について説明する。
図13に示すように、信号検出データc
0=7を、プリアンブル検出データ生成処理の処理対象とする場合、時間相関値を求めるための期間は、
図13に示す期間T(c
j)(j=0)(L+τ
maxに相当する期間)となる。なお、
図13の場合、各設定値は、下記の通りである。
f
s=20[Msps](Msps:Megasamples per second)
N=20
L=200
τ
min=10、τ
max=40
n
dsss=20(1.0[μs]に相当)、n
ofdm=16(0.8[μs]に相当)
【0130】
そして、上記のように設定された場合、
図14に示すように、L個(L=200)のIQサンプル列{a
n,a
n+1,・・・,a
n+L-1}と、当該IQサンプル列よりもτ
minに相当する時間だけずれた(遅い時間にサンプルされた)IQサンプル列{a
n+τmin,a
n+τmin+1,・・・,a
n+τmin+L-1}との正規化自己相関関数の値M(τ
min)を取得する。
【0131】
次に、L個(L=200)のIQサンプル列{an,an+1,・・・,an+L-1}と、当該IQサンプル列よりもτmin+1に相当する時間だけずれた(遅い時間にサンプルされた)IQサンプル列{an+τmin+1,an+τmin+2,・・・,an+τmin+1+L-1}との正規化自己相関関数の値M(τmin+1)を取得する。
【0132】
そして、さらにIQサンプル1個に相当する時間をずらして同様の処理を、IQサンプル列{an,an+1,・・・,an+L-1}からのずれ量がτmaxに相当する時間となるまで、繰り返し行い、正規化自己相関関数の値M(τmin+2),・・・,M(τmax)を取得する。
【0133】
上記処理により、τ
max-τ
min+1個(
図14の場合、31個)の正規化自己相関関数の値M(τ
min),・・・,M(τ
max)が取得される。
【0134】
そして、上記により取得したτmax-τmin+1個の正規化自己相関関数の値M(τmin),・・・,M(τmax)において、M(τ)が最大値となるときのτが、τoptとして取得される。
【0135】
そして、正規化自己相関値M(τ)が最大となるτ
optについて、(1)M(τ
opt)≧m
thであり、かつ、τ
opt mod n
dsss=0である場合、あるいは、(2)M(τ
opt)≧m
thであり、かつ、τ
opt mod n
ofdm=0である場合、プリアンブル検出データd
kをd
k=c
i(
図13の場合、d
0=c
0)として検出する。
【0136】
例えば、プリアンブル検出データ生成処理により取得されたM(τ)が
図15の左図に示すようなデータである場合、τ=20、40において、M(τ)≧m
th(例えば、m
th=0.3に設定されているものとする)であり、かつ、τ
opt mod n
dsss=0(n
dsss=20)であるので、τ=20、40において、プリアンブル検出データd
k(そのときのc
iがプリアンブル検出データd
kとなる)が検出される(DSSS変調方式のプリアンブルが検出される)。
【0137】
また、プリアンブル検出データ生成処理により取得されたM(τ)が
図15の右図に示すようなデータである場合、τ=16、32において、M(τ)≧m
th(例えば、m
th=0.3に設定されているものとする)であり、かつ、τ
opt mod n
ofdm=0(n
ofdm=16)であるので、τ=16、32において、プリアンブル検出データd
k(そのときのc
iがプリアンブル検出データd
kとなる)が検出される(OFDM変調方式のプリアンブルが検出される)。
【0138】
(ステップS5):
ステップS5において、センサ装置S_node1(センサ装置A)で取得されたIQデータDIQ
Snode(A=1)に対して、第1信号強度データ生成処理部211、第1信号検出データ生成処理部212、および、第1プリアンブル検出データ生成処理部213により、ステップS2~S4の処理が実行された後、処理をステップS1に戻し、センサ装置S_node2(センサ装置B)で取得されたIQデータDIQ
Snode(B=2)に対して、第2信号強度データ生成処理部214、第2信号検出データ生成処理部215、および、第2プリアンブル検出データ生成処理部216により、ステップS2~S4の処理が、センサ装置S_node1(センサ装置A)で取得されたIQデータDIQ
Snode(A=1)に対して実行された処理と同様に、実行される。そして、センサ装置S_node1(センサ装置A)で取得されたIQデータDIQ
Snode(A=1)に対する処理が完了した場合、処理をステップS6に進める。
【0139】
なお、上記では、センサ装置S_node1(センサ装置A)で取得されたIQデータDIQ
Snode(A=1)に対する処理(ステップS2~S4の処理)と、センサ装置S_node2(センサ装置B)で取得されたIQデータDIQ
Snode(B=2)に対する処理(ステップS2~S4の処理)とが順番に(シリアルに)実行される場合について説明したが、これに限定されることはなく、センサ装置S_node1(センサ装置A)で取得されたIQデータDIQ
Snode(A=1)に対する処理(ステップS2~S4の処理)と、センサ装置S_node2(センサ装置B)で取得されたIQデータDIQ
Snode(B=2)に対する処理(ステップS2~S4の処理)とは、並行して処理される(パラレル処理により実行されるものであってもよい)。
【0140】
(ステップS6):
ステップS6において、オフセット算出処理が実行される。具体的には、以下の処理が実行される。
【0141】
(ステップS601):
ステップS601において、初期化処理が実行される。具体的には、オフセット算出処理部217は、(1)センサ装置A(センサ装置S_node1)が取得したIQデータDIQ
Snode(A=1)(=ai
Snode(A=1))から取得されたプリアンブル検出データdi
Snode(A=1)をdi
Aとし、(2)センサ装置B(センサ装置S_node2)が取得したIQデータDIQ
Snode(B=2)(=ai
Snode(B=2))から取得されたプリアンブル検出データdi
Snode(B=2)をdi
Bとする。さらに、オフセット算出処理部217は、連想配列h()を用意する。
【0142】
(ステップS602):
ステップS602において、ループ処理(ループ4)が開始される(条件を満たすまで繰り返し実行される)。具体的には、無線品質データ解析装置100のオフセット算出処理部217は、プリアンブル検出データdi
A(第1プリアンブル検出データ生成処理部213から出力されるデータD13(=di
Snode(A=1)))に対して、各i=0,1,2,・・・,NdA-1(NdA:自然数、NdAは、オフセット算出処理の処理対象とするプリアンブル検出データdi
Aのデータ数)でループ処理(ループ4)(ステップS603~S608の処理)が実行される。
【0143】
(ステップS603):
ステップS603において、ループ処理(ループ5)が開始される(条件を満たすまで繰り返し実行される)。具体的には、無線品質データ解析装置100のオフセット算出処理部217は、プリアンブル検出データdi
B(第2プリアンブル検出データ生成処理部216から出力されるデータD23(=di
Snode(B=2)))に対して、各i=0,1,2,・・・,NdB-1(NdB:自然数、NdBは、オフセット算出処理の処理対象とするプリアンブル検出データdi
Bのデータ数)でループ処理(ループ5)(ステップS604~S607の処理)が実行される。
【0144】
(ステップS604):
ステップS604において、オフセット算出処理部217は、
x=di
B-di
B
に相当する処理を実行し、データxを取得する。
【0145】
(ステップS605):
ステップS605において、オフセット算出処理部217は、ステップS604で取得されたデータxが、連想配列に登録されているか(h(x)が登録されているか)否かを判定する。当該判定の結果、(1)データxが連想配列に登録されている(h(x)が登録されている)と判定した場合、処理ステップS607に進め、(2)データxが連想配列に登録されていない(h(x)が登録されていない)と判定した場合、処理ステップS606に進める。
【0146】
(ステップS606):
ステップS606において、オフセット算出処理部217は、h(x)の登録処理を行う。すなわち、h(x)=1とする処理を行う。そして、処理をステップS608に進める。
【0147】
(ステップS607):
ステップS607において、オフセット算出処理部217は、h(x)の更新処理を行う。すなわち、h(x)←h(x)+1とする処理(h(x)の値を+1インクリメントする処理)を行う。そして、処理をステップS608に進める。
【0148】
(ステップS608):
ステップS608において、オフセット算出処理部217は、ループ処理(ループ5)の処理対象のデータ(プリアンブル検出データdi
B)が残っているか否かを判定し、(1)ループ処理(ループ5)の処理対象のデータ(プリアンブル検出データdi
B)が残っていると判定した場合、処理をステップS603に戻し、上記と同様にして、ステップS604~S607の処理を実行し、(2)ループ処理(ループ5)の処理対象のデータ(プリアンブル検出データdi
B)が残っていないと判定した場合、処理をステップS609に進める。
【0149】
(ステップS609):
ステップS609において、オフセット算出処理部217は、ループ処理(ループ4)の処理対象のデータ(プリアンブル検出データdi
A)が残っているか否かを判定し、(1)ループ処理(ループ4)の処理対象のデータ(プリアンブル検出データdi
A)が残っていると判定した場合、処理をステップS602に戻し、上記と同様にして、ステップS603~S608の処理を実行し、(2)ループ処理(ループ4)の処理対象のデータ(プリアンブル検出データdi
A)が残っていないと判定した場合、処理をステップS610に進める。
【0150】
(ステップS610、S611):
ステップS610において、オフセット算出処理部217は、下記数式に相当する処理を行い、データx
optを取得する。
【数7】
X={x|h(x)が登録されている}
そして、ステップS611において、オフセット算出処理部217は、上記により取得したデータx
opt(オフセット算出処理により算出した最適オフセット値に相当)を、データD_offsetとして、オフセット調整処理部22に出力する。
【0151】
ここで、
図16~
図17を用いて、オフセット算出処理の一例について説明する。
図16に示すように、センサ装置Aが取得したIQデータD
IQ
Snode(A=1)(=a
i
Snode(A=1))に対して、信号強度データ生成処理、信号検出データ生成処理を行い取得した信号検出データc
i
Aに対して、プリアンブル検出データ生成を行うことで、プリアンブル検出データd
i
Aが取得される(
図16の左側の図を参照)。また、センサ装置Bが取得したIQデータD
IQ
Snode(B=2)(=a
i
Snode(B=2))に対して、信号強度データ生成処理、信号検出データ生成処理を行い取得した信号検出データc
i
Bに対して、プリアンブル検出データ生成を行うことで、プリアンブル検出データd
i
Bが取得される(
図16の左側の図を参照)。
【0152】
そして、例えば、
図17に示すように、プリアンブル検出データd
i
A、d
i
Bが以下のデータである場合(一例)のオフセット算出処理について、説明する。
d
i
A={1,4,6,12、13}
d
i
B={5,7,10,12、18}
この場合、オフセット算出処理部217によるオフセット算出処理(上記で説明した処理)が実行されることで、
図17の右側に示した、データxとその連想配列h(x)のテーブルのように、連想配列h(x)が取得される。
図17のデータxとその連想配列h(x)のテーブルから分かるように、h(x)が最大となるときのxの値(=x
opt)は、「-6」である。したがって、オフセット算出処理で取得されるオフセット値(最適オフセット値)は、
図17の場合、「-6」である(x
opt=-6)。そして、
図16の右側の図に、プリアンブル検出データd
i
Aと、プリアンブル検出データd
i
Bを「-6」(x
opt=-6)だけ平行移動したデータとを示す。
図16の右側の図から、プリアンブル検出データd
i
Aと、プリアンブル検出データd
i
Bとにおいて、同期がとれていることが分かる。したがって、センサ装置Aで取得されたデータ(例えば、IQデータ)に対して、センサ装置Bで取得されたデータ(例えば、IQデータ)を、オフセット処理で取得されたオフセット「-6」(x
opt=-6)だけ平行移動させることで、同期がとれたデータ(時系列データ)を取得できる。
【0153】
(ステップS7):
ステップS7において、オフセット調整処理が実行される。具体的には、以下の処理が実行される。
【0154】
オフセット調整処理部22は、第2通信インターフェース1から出力されるデータDIQ
Snode(A)およびデータDIQ
Snode(B)と、オフセット算出処理部217から出力されるデータD_offsetとに対して、ステップS6で取得されたオフセット値(xopt)を用いたオフセット調整処理を実行する。つまり、オフセット調整処理部22は、データDIQ
Snode(A)に対して、データDIQ
Snode(B)を、オフセット値xoptに相当する時間だけ平行移動させることで、オフセット調整後データDo1Snode(B)を取得する。なお、オフセット調整処理部22は、データDIQ
Snode(A)を、そのまま、オフセット調整後データDo1Snode(A)として取得する。
【0155】
上記により取得された、オフセット調整後データDo1Snode(A)、および、オフセット調整後データDo1Snode(B)は、同期がとれたデータとなる。なお、オフセット調整処理部22は、オフセット調整処理を、上記とは逆に、データDIQ
Snode(B)を、そのまま、オフセット調整後データDo1Snode(B)とし、データDIQ
Snode(A)に対して、オフセット値xoptに相当する時間だけ平行移動させて(上記とは平行移動させる方向が逆になる)、オフセット調整後データDo1Snode(A)を取得することで実行するようにしてもよい。
【0156】
そして、オフセット調整処理部22は、上記により取得されたオフセット調整後データDo1Snode(A)、および、Do1Snode(B)を、可視化処理部3に出力する。
【0157】
可視化処理部3は、オフセット処理部2から出力されるデータDo1
Snode(A)およびデータDo1
Snode(B)を入力し、当該データDo1
Snode(A)およびデータDo1
Snode(B)を用いて、可視化処理(例えば、同期がとれたデータDo1
Snode(A)およびデータDo1
Snode(B)を時系列データとして表示する)を行う。例えば、
図18に示す場合、オフセット算出処理により、最適オフセット値x
optに相当する時間が-343730[μs]であり、センサ装置Bにより取得されたIQデータを、当該時間(オフセット時間)だけ時間軸方向に平行移動させることで、可視化処理が実行される。これにより、可視化処理部3は、
図18に示すように、オフセット調整された(同期がとれた)状態で、センサ装置Aで取得されたIQデータ、および、センサ装置Bで取得されたIQデータを表示させることができる(可視化処理部3による可視化処理の一例)。
【0158】
無線品質データ解析システム1000では、上記のように処理することで、センサ装置A(センサ装置S_node1)で取得されたIQデータと、センサ装置B(センサ装置S_node2)で取得されたIQデータとを同期させる(オフセット調整する)ことができる。
【0159】
そして、無線品質データ解析システム1000において、
図19に示すように、センサ装置S_node2をセンサ装置Aとし、センサ装置S_node3をセンサ装置Bとして、上記と同様の処理を行う。なお、
図19に示すように、(1)センサ装置Aの観測範囲が通信機器RbtBおよびセンサ装置S_node2を含む領域AR3であり、(2)センサ装置Bの観測範囲が通信機器RbtBおよびセンサ装置S_node3を含む領域AR3であるものとする。
【0160】
無線品質データ解析システム1000において、センサ装置S_node2をセンサ装置Aとし、センサ装置S_node3をセンサ装置Bとして、上記と同様の処理を行うことで、センサ装置A(センサ装置S_node2)で取得されたIQデータと、センサ装置B(センサ装置S_node3)で取得されたIQデータとを同期させる(オフセット調整する)ことができる。つまり、無線品質データ解析システム1000において、センサ装置S_node1~S_node3までを同期させることができる(同期した状態のデータを取得できる)。
【0161】
無線品質データ解析システム1000において、上記のように、同一信号源の受信範囲にあるセンサ装置A、センサ装置Bを順次変更させながら、無線品質データ解析システム1000での処理(上記処理)を行うことで、無線品質データ解析システム1000において、複数のセンサ装置で取得されるデータ(例えば、IQデータ)を同期させることができる(同期した状態のデータを取得できる)。
【0162】
≪まとめ≫
以上のように、無線品質データ解析システム1000では、同一信号源の受信範囲にあるセンサ装置Aおよびセンサ装置Bから取得されたIQデータに対して、無線品質データ解析装置100が、信号強度データ生成処理、信号検出データ生成処理、プリアンブル検出データ生成処理、オフセット取得処理を行うことで、最適オフセット値を取得し、取得した当該最適オフセット値により、センサ装置Aおよびセンサ装置Bから取得されたIQデータを同期させる(オフセット調整する)ことができる。つまり、無線品質データ解析システム1000では、センサ装置にデータ同期のための特別な構成、機能を追加する必要はなく、無線品質データ解析装置100において、センサ装置A、Bで取得されたIQデータに対して処理を行うことで、高精度に最適オフセット値を取得でき、当該最適オフセット値によりセンサ装置Aおよびセンサ装置Bから取得されたIQデータを同期させる(オフセット調整する)ことができる。
【0163】
また、無線品質データ解析システム1000では、無線品質データ解析装置100が、信号検出データ生成処理により取得した信号検出データci(信号強度が所定の閾値を超えるタイミングを示す信号)に対して、プリアンブル検出データ生成処理を行うことで、プリアンブル検出データdi(OFDM変調方式あるいはDSSS変調方式の信号のプリアンブルを検出したタイミングを示す信号)を取得し、取得したプリアンブル検出データdiを用いてオフセット算出処理を行う。このように処理することで、無線品質データ解析装置100では、センサ装置A、Bで取得されたIQデータから、プリアンブルの位置(タイミング)を高精度に特定できるプリアンブル検出データdiを取得でき、当該プリアンブル検出データdiを用いて、オフセット算出処理を行うため、極めて精度の高いオフセット算出処理を行うことができる。その結果、無線品質データ解析システム1000において、極めて精度の高い同期処理(オフセット調整処理)を行うことができる。
【0164】
以上のように、無線品質データ解析システム1000では、センサノードにデータ同期のための特別な構成、機能を追加することなく、比較的低コストでデータ間の同期処理を高精度に行うことができる。
【0165】
[他の実施形態]
上記実施形態では、無線品質データ解析システム1000において、無線品質データ解析装置100が、信号検出データ生成処理により取得した信号検出データci(信号強度が所定の閾値を超えるタイミングを示す信号)に対して、プリアンブル検出データ生成処理を行うことで、プリアンブル検出データdi(OFDM変調方式あるいはDSSS変調方式の信号のプリアンブルを検出したタイミングを示す信号)を取得し、取得したプリアンブル検出データdiを用いてオフセット算出処理を行う場合について説明したが、これに限定されることはない。例えば、無線品質データ解析装置100において、第1プリアンブル検出データ生成処理部213、第2プリアンブル検出データ生成処理部216を省略し、第1信号検出データ生成処理部212から出力される信号検出データと、第2信号検出データ生成処理部215から出力される信号検出データとが、オフセット算出処理部217に入力される構成を採用してもよい。これにより、実現するためのコストを下げつつ、無線品質データ解析装置100において、センサ装置A、Bで取得された信号検出データを用いて、オフセット算出処理を行うことで、オフセット値(最適オフセット値)を取得することができる。
【0166】
無線品質データ解析システム1000が
図1の構成の場合を例に説明したが、無線品質データ解析システム1000の構成は、上記(
図1等)に限定されるものではなく、センサ装置の位置、数等は、上記以外のものであってもよい。また、上記では、センサ装置が、通信機器とは別個に存在している場合について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、通信機器がセンサ装置を含む、あるいは、付加されたものであってもよい。
【0167】
また、上記実施形態の無線品質データ解析装置100とセンサ装置とは、無線により通信する場合、センサ装置のアンテナを用いて、無線品質データ解析装置とセンサ装置とが通信するようにしてもよい。
【0168】
また、上記実施形態において、無線品質データ解析装置100の機能の一部を、センサ装置側で実行するようにしてもよい。この場合、当該機能を実現する機能部を、センサ装置が有する構成とすればよい。
【0169】
また、上記実施形態で説明した無線品質データ解析システム1000、無線品質データ解析装置100において、各ブロックは、LSIなどの半導体装置により個別に1チップ化されても良いし、一部又は全部を含むように1チップ化されても良い。
【0170】
なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0171】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。
【0172】
また、上記各実施形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、プログラムにより実現されるものであってもよい。そして、上記各実施形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、コンピュータにおいて、中央演算装置(CPU)により行われる。また、それぞれの処理を行うためのプログラムは、ハードディスク、ROMなどの記憶装置に格納されており、ROMにおいて、あるいはRAMに読み出されて実行される。
【0173】
また、上記実施形態の各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。
【0174】
また、例えば、上記実施形態(変形例を含む)の各機能部を、ソフトウェアにより実現する場合、
図20に示したハードウェア構成(例えば、CPU(GPUであってもよい)、ROM、RAM、入力部、出力部等をバスBusにより接続したハードウェア構成)を用いて、各機能部をソフトウェア処理により実現するようにしてもよい。
【0175】
また、上記実施形態の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、当該ソフトウェアは、
図20に示したハードウェア構成を有する単独のコンピュータを用いて実現されるものであってもよいし、複数のコンピュータを用いて分散処理により実現されるものであってもよい。
【0176】
また、上記実施形態における処理方法の実行順序は、必ずしも、上記実施形態の記載に制限されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、実行順序を入れ替えることができるものである。また、上記実施形態における処理方法において、発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部のステップが、他のステップと並列に実行されるものであってもよい。
【0177】
前述した方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明の範囲に含まれる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、大容量DVD、次世代DVD、半導体メモリを挙げることができる。
【0178】
上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【0179】
また、本明細書内の記載、特許請求の範囲の記載において、「最適化」とは、最も良い状態にすることをいい、システム(モデル)を「最適化」するパラメータとは、当該システムの目的関数の値が最適値となるときのパラメータのことをいう。「最適値」は、システムの目的関数の値が大きくなるほど、システムが良い状態となる場合は、最大値であり、システムの目的関数の値が小さくなるほど、システムが良い状態となる場合は、最小値である。また、「最適値」は、極値であってもよい。また、「最適値」は、所定の誤差(測定誤差、量子化誤差等)を許容するものであってもよく、所定の範囲(十分収束したとみなすことができる範囲)に含まれる値であってもよい。
【0180】
なお、本発明の具体的な構成は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
【符号の説明】
【0181】
1000 無線品質監視システム
100 無線品質データ解析装置
S_node1~S_node3 センサ装置
2 オフセット処理部
21 オフセット取得処理部
211 第1信号強度データ生成処理部(信号強度データ生成処理部)
214 第2信号強度データ生成処理部(信号強度データ生成処理部)
212 第1信号検出データ生成処理部(信号検出データ生成処理部)
215 第2信号検出データ生成処理部(信号検出データ生成処理部)
213 第1プリアンブル検出データ生成処理部(プリアンブル検出データ生成処理部)
216 第2プリアンブル検出データ生成処理部(プリアンブル検出データ生成処理部)
217 オフセット算出処理部