(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113285
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】景品獲得ゲーム機
(51)【国際特許分類】
A63F 9/30 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
A63F9/30 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018160
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】502439625
【氏名又は名称】株式会社サファリゲームズ
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】岡 展宏
(72)【発明者】
【氏名】大石 吾郎
(57)【要約】
【課題】遊戯的要素を付加してゲーム性を向上する。
【解決手段】ターゲット16に一定の操作を加えることを条件に景品Xを獲得させる景品獲得ゲーム機11において、ターゲット16を振り子運動させるターゲット駆動機構17と、動くターゲット16に向かって振り下ろすように作用してターゲット16の動きを変化させる操作具18と、操作具18を回動させる操作具駆動機構19を設ける。ターゲット駆動機構17には、ターゲット16が操作具18によって、一定長さ以上引き下げられたときに景品Xを解放する景品保持機構71を接続する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットに一定の操作を加えることを条件に景品を獲得させる景品獲得ゲーム機であって、
前記ターゲットを運動させるターゲット駆動機構と、
動く前記ターゲットに作用して前記ターゲットの動きを変化させる操作具と、
前記操作具を動作させる操作具駆動機構と、
前記操作具が前記ターゲットに接触した後の継続した動作によって前記ターゲットの動きが一定以上変化させられたときに景品を解放する景品保持機構を備えた
景品獲得ゲーム機。
【請求項2】
前記ターゲット駆動機構による前記ターゲットの運動と、前記操作具駆動機構による前記操作具の動作の合致による前記ターゲットの一定以上の動きの変化が予想される当たりタイミングであるか否かを検出し、当たりタイミングである場合において、あらかじめ設定された選定条件に従って外れのときに前記ターゲット駆動機構または前記操作具駆動機構の少なくともいずれか一方に対して当たりタイミングからずらすズラシ動作を実行させる当否制御機構を備えた
請求項1に記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項3】
前記ターゲットが円または円弧の軌道を運動するものである
請求項1または請求項2に記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項4】
前記ターゲットが振り子である
請求項3に記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項5】
前記操作具が接近してくる前記ターゲットを引っかけて下方へ引き下げるものである
請求項4に記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項6】
前記操作具が前記ターゲットまたは前記ターゲットをつなぎとめる軸に引っかかる引っかけ部を有している
請求項1または請求項2に記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項7】
前記引っかけ部が相互間に隙間を有するフィンガ部を備えて構成されている
請求項6に記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項8】
前記フィンガ部の間隔がゲームの難易度に応じて変更可能である
請求項7に記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項9】
前記ターゲットと前記操作具が、これら相互間の上下方向または左右方向のうち少なくとも一方において相対移動可能に支持された
請求項1または請求項2に記載の景品獲得ゲーム機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、陳列した景品を遊戯者に獲得させる景品獲得ゲーム機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
景品獲得ゲーム機には、景品そのものをつかみ取らせるクレーンゲーム機のようなもののほか、たとえば下記特許文献1に開示されているように、景品とは別のターゲットに対して一定の操作を加えることを条件に景品を獲得させるものがある。特許文献1のゲーム機は、吊下がった状態のターゲットをフォークで下方に引っ張ると、景品の滑落を阻止している滑落阻止部材の係止が解除されて景品を獲得できるという構成を採用している。
【0003】
従来の景品獲得ゲーム機は、遊戯者が遊戯操作において狙う対象となる景品やターゲットが基本的に動かないものであったが、なかには下記特許文献2のように対象が動くものもあった。
【0004】
特許文献2のゲーム機は、一対の回転ドラムの間に複数本の吊持バーを横架して構成した景品保持体と、遊戯者が操作する移動機構で構成されている。景品保持体の吊持バーには、複数のフックが設けられており、フックには景品であるキーホルダが吊り下げられてある。フックは側面視L字形であり、先端を後方に向けている。このため、前方から物体が衝突すると、景品は落下することになる。移動機構には、景品に向けて移動する移動体が備えられている。遊戯では、回転ドラムの回転で観覧車のように移動する景品に対して移動体を衝突させて、その衝撃力で景品を落下させる。
【0005】
しかし、このゲーム機は、対象である景品が動くものではあるものの、移動体を対象に当てるだけの遊戯である。いわば、ゲームの本質は射撃ゲームや的当てゲームと同じであり、遊戯者に認識されるのは景品に向けての移動体の移動と、移動体と景品との衝突と、それに伴う景品の落下という一連の平凡な現象だけであって、面白みに欠ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4281344号公報
【特許文献2】特開平11-319303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、遊戯的要素を付加してゲーム性を向上することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのための手段は、ターゲットに一定の操作を加えることを条件に景品を獲得させる景品獲得ゲーム機であって、前記ターゲットを運動させるターゲット駆動機構と、動く前記ターゲットに作用して前記ターゲットの動きを変化させる操作具と、前記操作具を動作させる操作具駆動機構と、前記操作具が前記ターゲットに接触した後の継続した動作によって前記ターゲットの動きが一定以上変化させられたときに景品を解放する景品保持機構を備えた景品獲得ゲーム機である。
【0009】
この構成では、ターゲット駆動制御機構により運動するターゲットを、操作具駆動制御機構で動作する操作具で狙ってターゲットの動き(速さ)を変化させるとともに、操作具の一連の動作でターゲットの動きの変化を継続させる。この変化が一定以上実現できたときに、景品保持機構が景品を解放する。遊戯者は、ターゲットを狙って操作具を動作させたうえで、その操作具がターゲットに触れたのちに所望通りにターゲットを動かすような、たとえばターゲットを捕らえて引っ張る行為をするような感覚になる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、景品獲得のためには動くターゲットに対して操作具を単に当てるだけではなく、操作具によってターゲットに別の動きをさせる必要がある構成を採用しているので、あたかもターゲットを動かすような遊戯的要素が付加される。このため、ゲーム性を向上して、面白みを増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】ターゲットユニットの横断面図と操作側から見た側面図。
【
図4】ターゲットユニットのターゲット側から見た側面図。
【
図7】操作具の引っかけ部の内部構造を示す説明図。
【
図9】当否制御駆動機構の制御動作を示すフローチャート。
【
図11】ターゲット等の動きの例を示す概略説明図。
【
図12】ターゲット等の動きの例を示す概略説明図。
【
図13】ターゲット等の動きの例を示す概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0013】
図1に、この発明に係る景品獲得ゲーム機11の概要を示す説明図を、
図2にその外観の一例を示す。
【0014】
景品獲得ゲーム機11は、筐体12の内部の遊戯空間に景品Xを収容しており、少なくとも正面の操作面13側から遊戯空間内の景品Xを透視できるように構成されている。操作面13側には、遊戯者が操作を行う操作パネル14と、獲得された景品Xが払い出される景品払出口15が形成されている。遊戯空間内には、景品Xと共に、景品獲得ゲームを行わせるメカユニットが備えられている。
【0015】
この景品獲得ゲーム機11は、景品Xとは別のターゲット16に一定の操作を加えることを条件に景品を獲得させるものである。そのターゲット16は遊戯空間内を運動、つまり方向や速度に変化をつけるなどして移動するものであり、遊戯者はターゲット16に対して単に当てるだけのような単純操作ではない、ゲーム性を持った操作を行うことで景品Xを獲得できるように構成されている。
【0016】
ターゲット16の運動の態様は、例えばその軌道が直線状のもの、円形のもの、円弧状のもの、波を描くもの、放物線を描くものなどがあり、ターゲット16に対する操作の態様は、捕獲するようなものや掬い上げるようなもの、引っかけて引き下ろすようなものなど、多様である。
【0017】
以下、一例として、
図1に示したようにターゲット16が振り子運動をし、操作において接近してくるターゲット16を引っかけて一定距離引き下ろせたことを条件に景品Xを獲得させる景品獲得ゲーム機11を説明する。
【0018】
景品獲得ゲーム機11は、メカユニットとして、ターゲットユニット31と、操作具ユニット51と、景品保持機構71を備えている。ターゲットユニット31は、ターゲット16を運動させるターゲット駆動機構17を有している。操作具ユニット51は、動くターゲット16に作用する操作具18を動作させる操作具駆動機構19を有している。景品保持機構71は、操作具18がターゲット16の動きを一定以上変化させられたときに景品Xを解放する景品保持機構71を備えている。
【0019】
ターゲットユニット31のターゲット16は振り子であり、球形に形成されている。ターゲット16は、
図1に示したように、ターゲット駆動機構17によって遊戯空間内に吊り下げた状態で取り付けられている。ターゲット駆動機構17は、先端にターゲット16を有する1本の軸32と、軸32の基端を接続したターゲット駆動モータ33で構成される(
図3参照)。ターゲット駆動モータ33の回転で、軸32につなぎとめられたターゲット16は、ターゲット駆動モータ33の回転の駆動軸を中心として円弧の軌道を描いて振り子運動をすることになる(
図4参照)。
【0020】
振り子運動であるので、ターゲット16は鉛直面を移動し、鉛直方向下から一方側の上方へ上がっては降り、他方側の上方へ上がっては降りる揺れる運動をする。ターゲット16の運動方向は、前後方向、つまり操作面13に近づいたり操作面13から遠のいたりする方向に設定している。
【0021】
ターゲット駆動モータ33は、遊戯空間の上部、すなわち天井部から吊り下げられた垂下棒34の下部に取り付けられた保持器35に保持される。保持器35に対する取付けは、保持器35における前後方向、すなわち操作面13と奥行き方向とを結ぶ面に沿った面に、駆動軸を左右方向外側に向けてなされる。
【0022】
垂下棒34に対する保持器35の取付けは、ターゲット16が引き下げられたときに保持器35が下方へ移動するようになされている。すなわち、
図3、
図4に示したように、垂下棒34はアルミフレーム等で構成され、保持器35は、垂下棒34の側面に形成されているレール溝を摺動可能に保持される。保持器35は、常時は上方へ付勢されており、引き下げられたときに下動するように取り付けられている。付勢は、保持器35と垂下棒34の下端との間に保持した圧縮コイルばね36を利用するとよい。
【0023】
なお、
図3の(a)は保持器35より上の位置を切断箇所とする横断面図であり、図面における下方が操作面13側である。
図3の(b)は操作面13側から見た垂下棒34の側面図である。また
図4は、保持器35におけるターゲット駆動モータ33を有する側から見た側面図である。
【0024】
ターゲット駆動モータ33は、回転角度(回転量)や回転速度を高精度に制御できるようにエンコーダ付モータで構成される。
【0025】
保持器35の奥側の面、すなわち操作面13とは反対側に位置する面には、斜め上方へ延びるアーム37が形成されている(
図1、
図3(a),
図4参照)。アーム37は先端に、景品保持機構71の一部を構成するワイヤ72の端末を保持する。
【0026】
操作具ユニット51はターゲットユニット31よりも操作面13側に備えられる。
【0027】
操作具ユニット51の操作具18は全体として棒状であり、
図5に示したように、先端に引っかけ部18aを有している。具体的に操作具18は、直線状のアーム部52の先端にハンド部53を有し、ハンド部53の先端に平行な2本のフィンガ部54を有している。ハンド部53の先端部とフィンガ部54が、前述の引っかけ部18aである。なお
図5は、操作具18を水平にして操作面13から離れる内奥方向に向けた状態の平面を示している。
【0028】
この操作具18は、操作具駆動機構19によって回転可能に支持される。すなわち、アーム部52の基端は、ターゲット16の場合と同様に、モータで回転可能に支持されるが、
図1、
図6に示したようにアーム部52は偏心部材55を介して操作具駆動モータ56に接続されている。
【0029】
偏心部材55はおおよそ直方体形状であり、長手方向の一端にアーム部52が取り付けられ、操作具駆動モータ56の軸部に接続されている。偏心部材55におけるアーム部52が取り付けられる面と操作具駆動モータ56が接続される面とは、互に隣接して直角をなす面である。アーム部52が取り付けられる面は、前後方向に向いており、操作具駆動モータ56が接続される面は前後方向に沿っている。また、アーム部52の取付け位置は、操作具18をターゲット16側に向けた状態において、操作具駆動モータ56の軸部よりも上である。なお
図6は、操作具18を水平に延ばした状態の操作具ユニット51を操作面13側から見た側面図である。
【0030】
操作具駆動モータ56を保持する保持器57は、鉛直方向に延びる垂直棒58の下方側の部分に取り付けられる。この保持器57における操作面13とは反対側の内奥側の面に、操作具駆動モータ56が装着される。この操作具駆動モータ56も、回転角度(回転量)や回転速度を高精度に制御できるようにエンコーダ付モータで構成される。
【0031】
垂直棒58に対する保持器57の取付けは上下動可能になされている。すなわち、
図5、
図6に示したように、垂直棒58はアルミフレーム等で構成され、その側面に形成されているレール溝を摺動可能に保持器57が保持される。保持器57は、上下位置を微調整可能とする上下動機構61を介して垂直棒58に装着されている。上下動機構61は、ターゲット16と操作具18の上下方向における相対的な位置関係を変更するためのものである。上下動機構61は、たとえばモータ62とボールねじ63を有するリニアアクチュエータで構成するとよい。
【0032】
垂直棒58の上端は、
図1に示したように、横架されたレールに沿って摺動可能な支持部64を有している。また、垂直棒58の下端は、
図6に示したように左右動機構65で支持されている。左右動機構65は、ターゲット16と操作具18の左右方向における相対的な位置関係を変更するためのものである。この左右動機構65も、モータ66とボールねじ67を有するリニアアクチュエータで構成するとよい。
【0033】
上下動機構61と左右動機構65の移動範囲は、上下方向においてはターゲット16に対する操作具18の回動で確実に所定の作用ができる位置を含むように、左右方向においてはターゲット16と操作具18が前後方向に真っすぐ並ぶ位置を含むように設定される。
【0034】
このように、ターゲット16と操作具18が、これら相互間の上下方向と左右方向に相対移動可能に支持されている。
【0035】
また、操作具18のハンド部53には、
図7に示したように、フィンガ部54同士の間隔を変更可能にする隙間変更機構68が設けられている。隙間変更機構68は、ゲームの難易度に応じて隙間変更をするものである。その隙間は、ターゲット16をつなぎとめている軸32の太さを基準にして、それに近い幅狭か(高難易度)、それよりも広めの幅広か(低難易度)など、複数段階に調整できるように構成される。隙間変更機構68は、モータ68aの回転で往復動するピストン68bと、ピストン68bによって回動する一対のL字形レバー68cで構成するとよい。
【0036】
景品保持機構71は、ターゲットユニット31の保持器35に一端が接続されたワイヤ72と、
図1に示したようにワイヤ72の他端を接続した吊り下げ器73で構成される。吊り下げ器73は、フック74を回転可能に保持している。フック74はその回転軸より先にL字状の吊り部74aを有しており、吊り部74aの先端を操作面13側に向けている。このフック74は、ワイヤ72が一定長さ引っ張られたことを条件に、吊り部74aの先端を下げる方向に回転し、吊り部74aに挿嵌された景品Xの吊り環Xaが外れて、景品Xが落下するように構成されている。ワイヤ72は長さを調整して配索される。
【0037】
これらのほか、景品獲得ゲーム機11は、以下の構成を有している(
図8参照)。
【0038】
操作面13には、コイン投入口(図示せず)が形成され、これにはコイン投入検知器81が接続されている。そして、投入されたコインを検知するコイン投入検知器81にはタイマ82が接続されている。すなわち、投入されたコインはコイン投入検知器81で検知され、これがタイマ82による所定長さのゲーム時間の計時を開始する契機となる。また、ゲーム終了後の一定時間に更にコインが検知されたときに、連続プレーであると判断させるなどの設定が可能となる。
【0039】
操作パネル14には、
図1に示したように、操作具ユニット移動スイッチ83と、スタートスイッチ84が設けられている。操作具ユニット移動スイッチ83は、操作具ユニット51の上下動機構61と左右動機構65を動かすためのスイッチであり、前後左右に倒せるレバーで構成されている。スタートスイッチ84は、操作具18の動作を開始するためのスイッチであり、押しボタンで構成されている。
【0040】
遊戯空間内には、運動しているターゲット16の位置情報を検出するターゲット位置検出器85が備えられる。ターゲット位置検出器85は、適宜のカメラやセンサで構成できる。
【0041】
筐体12には、ディスプレイ86とスピーカ87が設けられ、状態(モード)に応じた所望の演出がなされるように構成される。その演出では、ターゲット16が動くものであるので、その動きに応じて変化する演出を行うようにするのが望ましい。
【0042】
また、景品払出口15の内部には、必要に応じて適宜のセンサからなる景品払出検出部88を設けて、払い出した景品の数を自動的にカウントして記憶するようにしてもよい。
【0043】
記憶部89には必要な情報が記憶される。記憶部89の構成要素としては、演出のための映像データや音声データのような演出データ記憶部、投入された金額を記憶するインカム情報記憶部、コイン投入検知器の検知信号に基づいて実行されたゲーム数を記憶するゲーム情報記憶部、払い出された景品数を記憶する払出景品数記憶部などがある。このほか、操作具のフィンガ間隔、操作具スピード、ターゲットスピード、ターゲット振り幅、操作具ユニット移動速度の違いによる自動設定用の難易度情報を記憶する難易度情報記憶部、さらには、当否制御機構の一部を構成する当否制御情報記憶部がある。
【0044】
当否情報記憶部を構成する当否制御情報は、当たりタイミングからずらすズラシ動作を実行させるために必要な情報であり、当たりタイミング情報と、適宜設定される抽選に必要な当選確率や上限金額のような選定条件情報で構成される。
【0045】
当たりタイミングとは、ターゲット駆動機構17によるターゲット16の運動と、操作具駆動機構19による操作具18の動作の合致によるターゲット16の一定以上の動きの変化が予想されるタイミングであり、そのターゲット16がある範囲で規定される。具体的には、当たりタイミングPは、ターゲット16がその軌道のうちのどの位置にあるときに、操作具18のスタートスイッチ84が入れられるとターゲット16が一定長さ引き下ろされるかによって、ターゲット16と操作具18のスビードや、ターゲット16の回転量、操作具18の形状等に基づいて定まる(
図10参照)。当たりタイミングPの幅は、ターゲット16と操作具18のスビードや、ターゲット16の回転量、操作具18の形状に応じて狭まったり広まったりする。
【0046】
当たりタイミングPか否かは、スタートスイッチ84が押されたときに、ターゲット位置検出器85によって位置検出されたターゲット16が当たりタイミングPの範囲にあるか否かで判断される。
【0047】
選定条件情報の当選確率や上限金額は、それぞれいわゆる抽選モード、天井モードのための情報であって、ゲームの難易度や景品の原価等に応じて変更可能に設定される。
【0048】
制御部91は、制御装置と演算装置を有し、ゲームを実現すために必要なコンピュータプログラムがインストールされている。各部をプログラムに従って駆動させ、入力に基づいて、記憶部に対してデータの読み出しや書き込みを行いながら、各部に所定の処理を実行させる。
【0049】
以下、景品獲得ゲーム機11の動作の概略について説明するとともに、当否制御機構、すなわち制御部91が当否制御情報を用いて行う動作について説明する。
【0050】
制御部91はプログラムに従って待機モードを実行し、ディスプレイ86による演出や、必要に応じてターゲット駆動機構17や操作具駆動機構19を駆動してのデモンストレーションとしての動きを実行させる。
【0051】
コイン投入検知器81がコインを検知して、この信号を制御部91が入力するとゲームが開始される。すなわち、制御部91は、ターゲット駆動機構17と操作具駆動機構19を初期状態にする。同時に、タイマ82によるゲーム時間の計時(カウントダウン)を開始し、あらかじめ定めた自動設定の難易度またはマニュアルで設定された難易度に基づいてターゲット駆動機構17の駆動を開始する。これにより、ターゲット16は一定の振り幅と速度で振り子運動をすることになる。また、制御部91は、ディスプレイ86やスピーカ87に対して記憶部89から読み出した所定の演出情報を出力する。
【0052】
ターゲット駆動機構17の初期状態は、ターゲット16を真下に下げる状態であり、操作具駆動機構19の初期状態は、
図1に示したように操作具18の先端をターゲット16側の斜め上に向けた状態である。
【0053】
遊戯者が操作パネル14から操作具ユニット移動スイッチ83を操作すると、制御部91は入力信号に従って上下動機構61と左右動機構65を駆動して、操作具ユニット51を移動する。
【0054】
遊戯者がスタートスイッチ84をON操作すると、制御部91は入力信号に従って、操作具ユニット51の操作具駆動モータ56を、あらかじめ定められた難易度を反映した所定条件で駆動させる。これにより、操作具18は、偏心部材55と共に回動し、下方へ移動することになるが、この時、当否制御機構が作動することになる。
【0055】
この当否制御駆動機構の制御動作を、
図9のフローチャートと、
図10の説明図を用いて説明する。
【0056】
制御部91が、スタートスイッチ84からのON信号の入力を待つこと(ステップS1)とタイマ82による計時を開始すること(ステップS2)等は前述のとおりである。
【0057】
これらの動作と同時に、制御部91はターゲット位置検出器85にターゲット16の位置を検出させる(ステップS3)。そして、その位置情報と記憶部89に記憶した当たりタイミング情報を対比して、当たりタイミングPに相当するか否かを判定する(ステップS4)。
【0058】
ステップS4で当たりタイミングPでないと判断した場合に、制御部91は何もせず、ターゲット駆動機構17と操作具駆動機構19の動作をそのまま継続させる(
図9のe1参照)。
【0059】
このとき、当たりタイミングPではないので、振り子運動をするターゲット16に向けて操作具18が回動しても、操作具18はターゲット16に接することなく空振りするか、接しても引っかけられないかして、ターゲット16を引き下ろすことはできない。つまり、景品Xは落下しない。
【0060】
当たりタイミングPであると判断した場合に、制御部91は現在のゲームが「当たり」か「外れ」かの判定をする(ステップS5)。
【0061】
「当たり」か「外れ」かは、景品Xの払い出しを許容するか否かの表現であり、前者の場合は払い出しが許容され、後者の場合には許容されない。
【0062】
選定条件が当選確率に基づくものである場合、制御部91は、公知のランダム演算を用いて確率演算を実行し、演算結果をあらかじめ設定された当選確率と対比して、「当たり」か「外れ」かの判定をする。選定条件が上限金額である場合、制御部91は、ゲーム回数に応じた積立金額と上限金額とを対比して、積立金額が上限金額に到達したか否かによって「当たり」か「外れ」かの判定をする。
【0063】
ステップS5で「当たり」と判断した場合に、制御部91は何もせず、ターゲット駆動機構17と操作具駆動機構19の動作をそのまま継続させる(
図9のe2参照)。
【0064】
このとき、当たりタイミングPであるので、振り子運動をするターゲット16に向かって操作具18が回動すると、操作具18はターゲット16に接するとともに、フィンガ部54を引っかけて、ターゲット16を引き下ろす蓋然性が高いことになる。ターゲット16が予め設定された一定長さ引き下ろされると、保持器35を介して下方へ引っ張られたワイヤ72が、吊り下げ器73のフック74を回転させて、景品Xを落下させる。
【0065】
ステップS5で「外れ」と判断した場合に、制御部91はズラシ動作を実行させる。すなわち、ターゲット駆動機構17または操作具駆動機構19に対して当たりタイミングPからずらす動作を行う(
図9のe3参照)。
【0066】
操作具駆動機構19にズラシ動作を行わせる場合、制御部91は、操作具駆動モータ56に対してミリ秒単位の速度変更制御を行う。つまり、ごくわずかな運動遅滞(速度を遅くする)や運動促進(速度を速める)を行わせる。このほか、スタートのタイミングをミリ秒単位の僅かな時間遅らせる、スタート遅延制御を行わせることもできる。
【0067】
ターゲット駆動機構17にズラシ動作を行わせる場合も、操作具駆動機構19で実行する場合と同様に、ターゲット駆動モータ33に対してミリ秒単位の幅でごく僅かな運動遅滞または運動促進を発生される。
【0068】
遅滞させるのか促進させるのか、どの程度のズラシとするのかは、スタートスイッチ84が押されたときのターゲット16が、一定幅の当たりタイミングPのうちのどの位置にあるのかによって判断される。
【0069】
当たりタイミングPの幅が広く、ターゲット駆動機構17または操作具駆動機構19のいずれか一方のみのズラシ動作では、タイミングをずらしたことが目視でわかるような状態となることが想定される場合には、ターゲット駆動機構17と操作具駆動機構19の双方にズラシ動作を行わせるとよい。
【0070】
ズラシ動作がなされた場合には、当たりタイミングPではあったがそのタイミングから外されるので、操作具18が回動しても、操作具18は空振りするか、ターゲット16に接しても引っかけられないかして、ターゲット16を引き下ろすことはできない。つまり、景品Xは落下しない。
【0071】
このように、景品を獲得できるのは、基本的にステップS4で当たりタイミングPと判断され、ステップS5で選定結果が「当たり」の場合である(
図9のe2参照)。
【0072】
以上のように、この景品獲得ゲーム機11は、振り子運動するターゲット16を操作具18で狙って作用させて、ターゲット16の動き(速さ)を変化させるとともに、操作具18の一連の動作で、ターゲット16を引き下げる構成を採用している。つまり、操作具18をターゲット16に単に当てるだけではなく、操作具18の一連の動作によってターゲット16に別の動きを与えて、その動きの変化を継続させることが、景品獲得の条件となる構成である。しかも、操作具18はもちろん、ターゲット16も動くものである。
【0073】
このため、この景品獲得ゲーム機11は、遊技機として見方によって難しそうに見える一方で、単純でありながらもつい見とれてしまうような振り子運動を利用しているので、遊戯者の興味を引く。そして、遊戯者には、運動するターゲットを捕らえて引っ張るような行為をするかのような感覚が得られるので、面白みが増すことになる。
【0074】
また、ターゲット16と操作具18の双方が動くものであるので、動作の設定の自由度を高めて、所望のゲーム性を持たせることができる。そして、ターゲット16と操作具18の動きを制御する構成であるため、当否制御の仕方についても、多様でゲーム性の高い設定が可能となる。
【0075】
そのうえ、たとえば景品を掴ませて獲得させるゲーム機の場合とは異なり、この景品獲得ゲーム機11は、当否制御機構による景品払出不許容の動作が目視でわからないように行えるので、この点でもゲーム性を高めることができる。
【0076】
また、ターゲット16は球形であり、操作具18の先端の引っかけ部18aを引っかけるように構成しているので、引っかけた後でも所定の引下げ動作が必ずできる構成ではない。特に、引っかけ部18aを複数本のフィンガ部54を備えて構成しているので、遊戯としての面白みをより高めることができる。
【0077】
さらには、ゲームの難易度の調節について、ターゲット16や操作具18の動きのみではなく、引っかけ部18aのフィンガ部54の間隔でも行えるので、多様な調節が可能であり、この点からも、ゲーム機としての価値を高められる。
【0078】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することができる。
【0079】
前述のように、ターゲット16も操作具18も、前述の動きに限定されるものではない。例えば、ターゲット16は、球形ではなく、たとえばサクランボ形やハート形など、物などを象った形状としてもよい。操作具18については一定の軌道で回動するのみではなく、たとえば直進した後に降下するなど、複数段階の一連の動きをするよう構成してもよい。また、操作具18は運動するターゲット16に対して引っかけに行くように動作するのではなく、接近してきたターゲット16を待ち構えて掴んで引っ張るような動作とするなど、ターゲット16に作用させるときに接近させる移動をさせない構成としてもよい。
【0080】
また、前述の例では、操作具18のほうをターゲット16に対して上下左右に位置移動可能にしたが、ターゲット16と操作具18の双方を移動可能にしても、ターゲット16のみを移動可能にしてもよい。また、難易度に差をつけるため、左右方向の相対移動、または上下方向の相対移動のみを可能にしてもよい。
【0081】
景品保持機構は、景品Xを吊り下げるほか、載置する構成などであってもよい。
【0082】
前述のようにターゲット16と操作具18の動きは様々に設定できるところ、先の説明では、理解しやすく親しみやすい振り子運動をするターゲット16を例示した。それ以外の例について、
図11~
図13の概略説明図を用いて付け加える。
【0083】
図11の(a)は、前述例のターゲット16と操作具18の動きの概略説明図である。図中、白抜き矢印Aは操作面から奥行方向を示す印であり、仮想線で示した平行四辺形Bは、立体的な空間を理解しやすくするための仮想の面である。実線の矢印Cは、操作具18の動きを表している。
【0084】
図11の(a)に見られるように、ターゲット16は左右方向に延びる軸Dを中心にして前後方向に揺動し、操作具18は、ターゲット16に対して手前側上方から引っかかるように動くことがわかる。
【0085】
この図の表現と同じ態様で、ターゲット16と操作具18の他の動きの例を、
図11の(b)以下に図示している。なお、操作具18の他の動きを表す矢印Cのターゲットの軌道に対する位置は一例であって、図示の位置に限定されるものではない。
【0086】
すなわち、
図11の(b)は、(a)とは異なり、ターゲット16の振り子運動を前後方向ではなく左右方向とした例である。
【0087】
図11の(c)は、ターゲット16が鉛直方向に延びる軸Dで水平方向に公転するようにした例である。操作具18の動きは、上からのほか、下からとすることもできる。
【0088】
図11の(d)は、ターゲット16が振り子とは逆に、上へ凸の円弧を描いて動くようにした例である。
図11の(e)は、その運動の鉛直面を、前後方向ではなく左右方向とした例である。
【0089】
図12の(a)は、振り子運動ではなく、ターゲット16が前後方向に動きながら上下方向にも動いて、山形の軌道を描くようにした例である。
図12の(b)は、そのターゲット16の移動方向を左右方向に変更した例である。
【0090】
図12の(c)は、ターゲット16が水平方向に直線を描いて走行するようにした例である。この場合、操作具18はターゲット16を押さえ込んで引き倒すような動きとすることができる。
図12の(d)は、水平に走行するターゲット16が直線ではなく曲線を描くようにした例である。
【0091】
図13の(a)は、
図12の(c)のターゲット16の動きに、上下運動を加えた例である。
図13の(b)は、
図12の(d)のターゲット16の動きに、上下運動を加えた例である。
【0092】
また、
図12の(c),(d)と、
図13(a),(b)の例では、平行四辺形Bを水平に描いてターゲット16の運動の基準となる面を水平としたが、この面を傾斜させた態様にすることもできる。この場合、たとえば流れ星を想起させるようなターゲットの運動を表現できる。同様に、
図11の(a),(b),(d),(e)と、
図12の(a),(b)については、ターゲット16の軌道がある面を操作面に対して傾けた態様としてもよく、
図11の(c)についても、ターゲット16の軌道がある面を水平に対して傾いた態様にしてもよい。
【0093】
このほか、図示を省略するが、前述のように操作具18をターゲット16の全体に対して作用させるのではなく、ターゲットの一部に対して、所定の操作を加えるように構成してもよい。たとえば、ターゲットを主部と従部で構成し、従部が主部に従属すものの、主部のみに運動機構を接続してその駆動を制御可能とする。そして、従部が主部から一定距離以上離されると、それが契機となって景品を獲得させるように構成できる。これは、たとえば移動する皿(主部)に乗った寿司(従部)を取るような動作として表現できる。この場合、従部は主部に対してワイヤ等で繋いでおくも、一定距離離れたことをセンサが検知するように構成して、物理的に非接続とすることもできる。
【符号の説明】
【0094】
11…景品獲得ゲーム機
16…ターゲット
17…ターゲット駆動機構
18…操作具
18a…引っかけ部
19…操作具駆動機構
31…ターゲットユニット
32…軸
51…操作具ユニット
54…フィンガ部
61…上下動機構
65…左右動機構
71…景品保持機構
X…景品