(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113286
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】配膳セット、配膳用盆、配膳用カバー及び給食提供方法
(51)【国際特許分類】
A47G 23/06 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
A47G23/06 D
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018164
(22)【出願日】2023-02-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】523319243
【氏名又は名称】さくらホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180921
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】永松 康朗
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115AA22
3B115AA23
3B115DB06
(57)【要約】
【課題】 本願発明は、介護・福祉事業の現場である各施設のサテライトキッチンにおける作業負担をさらに軽減することが可能な配膳セット等を提供することを目的とする。
【解決手段】 複数の容器と、前記容器を載せる板状の盆とを備える、配膳セットであって、前記容器は、飲食物を収容する収容部と、前記収容部の下部に位置する凸部である収容部下凸部とを有し、前記盆は、前記容器に対向する盆上面に、前記凸部の形状に対応する凹凸である盆上面凹凸部を有する、配膳セットである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器と、前記容器を載せる板状の盆とを備える、配膳セットであって、
前記容器は、
飲食物を収容する収容部と、
前記収容部の下部に位置する凸部である収容部下凸部とを有し、
前記盆は、前記容器に対向する盆上面に、前記凸部の形状に対応する凹凸である盆上面凹凸部を有する、配膳セット。
【請求項2】
前記収容部下凸部は、前記盆上面凹凸部の段差以上の高さを有する、請求項1記載の配膳セット。
【請求項3】
前記収容部下凸部は、食器の高台である、請求項2記載の配膳セット。
【請求項4】
前記盆は、複数の前記容器の前記収容部下凸部の形状に対応する形状の凹凸である、複数の前記盆上面凹凸部を有する、請求項3記載の配膳セット。
【請求項5】
前記容器を覆う板状のカバーをさらに備え、
前記カバーは、
前記カバーの前記容器に対向するカバー下面にある凹凸であるカバー下面凹凸部と、
前記カバーの前記下面とは反対側の面であるカバー上面にある凹凸であるカバー上面凹凸部とを有し、
前記盆は、前記盆の底面にある凹凸である盆底面凹凸部を有し、
前記カバー下面凹凸部の形状は、前記容器の前記収容部の開口部を覆う形状であり、
前記カバー上面凹凸部の形状は、前記盆底面凹凸部の形状に対応している、請求項1から4のいずれかに記載の配膳セット。
【請求項6】
前記カバーは、前記カバー上面に、食札を保持する食札保持部を有する、請求項5記載の配膳セット。
【請求項7】
前記容器として、
第1容器と、
前記第1容器とは高さが異なる第2容器とがあり、
前記カバー下面凹凸部は、前記第1容器及び前記第2容器の高さの差異に対応する高さの段差を有する、請求項5記載の配膳セット。
【請求項8】
前記カバー上面も、前記第1容器及び前記第2容器の高さの差異に対応する高さの段差を有する、請求項7記載の配膳セット。
【請求項9】
飲食物を収容する収容部と、前記収容部の下部に位置する凸部である収容部下凸部とを有する容器を載せる板状の配膳用盆であって、
前記容器に対向する上面に、前記収容部下凸部の形状に対応する形状の凹凸である盆上面凹凸部を有し、
前記盆上面凹凸部の段差は、前記収容部下凸部の高さ以下である、配膳用盆。
【請求項10】
複数の容器を覆う板状の配膳用カバーであって、
前記容器に対向するカバー下面は、前記容器の開口部に対応する形状をしており、
前記カバー下面とは反対側の面であるカバー上面に食札を保持する食札保持部を備える、配膳用カバー。
【請求項11】
複数の容器と、前記容器を載せる板状の盆とを備える配膳セットを使用した、給食提供方法であって、
前記容器は、
飲食物を収容する収容部と、
前記収容部の下部に位置する凸部である収容部下凸部とを有し、
前記盆は、前記容器に対向する盆上面に、前記収容部下凸部の形状に対応する形状の凹凸である盆上面凹凸部を有し、
前記飲食物を収容する前記容器が、対応する前記盆上面凹凸部に合わせて前記盆に載せられた状態とするセットステップと、
前記セットステップにおいて用意された前記配膳セットを運搬する運搬ステップとを含む、給食提供方法。
【請求項12】
前記配膳セットは、複数の前記容器を覆う板状のカバーをさらに備えるものであり、
前記カバーは、食札を保持する食札保持部を有し、
前記セットステップの前に、
食札を印刷する印刷ステップと、
前記食札を前記カバー保持部に保持させる食札保持ステップをさらに含む、請求項11記載の給食提供方法。
【請求項13】
前記印刷ステップの前に、
情報端末から前記食札に印字されるべき食札情報を入力する入力ステップと、
前記食札情報を送信する送信ステップと、
サーバが、前記食札情報を受信する受信ステップとをさらに含む、請求項12記載の給食提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、配膳セット、盆、カバー及び給食提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の給食事業においては、原材料費の高騰や、調理員の人手不足に対応するため、セントラルキッチンで一括して調理を行う仕組みの導入が進んでいる(非特許文献1)。
【0003】
一般に、セントラルキッチンでは、食品の下処理から調理までが行われる。その調理済み食品がサテライトキッチンに配送され、サテライトキッチンでは、被提供者の食札に合わせた盛付及び配膳が行われる。
【0004】
食札とは、被提供者の名前と食事の種類・献立内容などの食事の情報が記載されている用紙のことで、一般に、食事の盆に添えられているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】定司哲夫監修、吉田雄次著、幸書房出版、医療介護法人のためのセントラルキッチンの計画と運用
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年の介護・福祉事業の現場である各施設における人手不足は深刻化していて、各施設におけるさらなる負担軽減が必要である。
【0008】
そこで、本願発明は、介護・福祉事業の現場である各施設のサテライトキッチンにおける作業負担をさらに軽減することが可能な配膳セット等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明の第1の観点は、複数の容器と、前記容器を載せる板状の盆とを備える、配膳セットであって、前記容器は、飲食物を収容する収容部と、前記収容部の下部に位置する凸部である収容部下凸部とを有し、前記盆は、前記容器に対向する盆上面に、前記凸部の形状に対応する凹凸である盆上面凹凸部を有する、配膳セットである。
【0010】
本願発明の第2の観点は、第1の観点の配膳セットであって、前記収容部下凸部は、前記盆上面凹凸部の段差以上の高さを有する。
【0011】
本願発明の第3の観点は、第2の観点の配膳セットであって、前記収容部下凸部は、食器の高台である。
【0012】
本願発明の第4の観点は、第3の観点の配膳セットであって、前記盆は、複数の前記容器の前記収容部下凸部の形状に対応する形状の凹凸である、複数の前記盆上面凹凸部を有する。
【0013】
本願発明の第5の観点は、第1から第4のいずれかの観点の配膳セットであって、前記容器を覆う板状のカバーをさらに備え、前記カバーは、前記カバーの前記容器に対向するカバー下面にある凹凸であるカバー下面凹凸部と、前記カバーの前記下面とは反対側の面であるカバー上面にある凹凸であるカバー上面凹凸部とを有し、前記盆は、前記盆の底面にある凹凸である盆底面凹凸部を有し、前記カバー下面凹凸部の形状は、前記容器の前記収容部の開口部を覆う形状であり、前記カバー上面凹凸部の形状は、前記盆底面凹凸部の形状に対応している。
【0014】
本願発明の第6の観点は、第5の観点の配膳セットであって、前記カバーは、前記カバー上面に、食札を保持する食札保持部を有する。
【0015】
本願発明の第7の観点は、第5又は第6の観点の配膳セットであって、前記容器として、第1容器と、前記第1容器とは高さが異なる第2容器とがあり、前記カバー下面凹凸部は、前記第1容器及び前記第2容器の高さの差異に対応する高さの段差を有する。
【0016】
本願発明の第8の観点は、第7の観点の配膳セットであって、前記カバー上面も、前記第1容器及び前記第2容器の高さの差異に対応する高さの段差を有する。
【0017】
本願発明の第9の観点は、飲食物を収容する収容部と、前記収容部の下部に位置する凸部である収容部下凸部とを有する容器を載せる板状の配膳用盆であって、前記容器に対向する上面に、前記収容部下凸部の形状に対応する形状の凹凸である盆上面凹凸部を有し、前記盆上面凹凸部の段差は、前記収容部下凸部の高さ以下である、配膳用盆である。
【0018】
本願発明の第10の観点は、複数の容器を覆う板状の配膳用カバーであって、前記容器に対向するカバー下面は、前記容器の開口部に対応する形状をしており、前記カバー下面とは反対側の面であるカバー上面に食札を保持する食札保持部を備える、配膳用カバーである。
【0019】
本願発明の第11の観点は、複数の容器と、前記容器を載せる板状の盆とを備える配膳セットを使用した、給食提供方法であって、前記容器は、飲食物を収容する収容部と、前記収容部の下部に位置する凸部である収容部下凸部とを有し、前記盆は、前記容器に対向する盆上面に、前記収容部下凸部の形状に対応する形状の凹凸である盆上面凹凸部を有し、前記飲食物を収容する前記容器が、対応する前記盆上面凹凸部に合わせて前記盆に載せられた状態とするセットステップと、前記セットステップにおいて用意された前記配膳セットを運搬する運搬ステップとを含む、給食提供方法である。
【0020】
本願発明の第12の観点は、第11の観点の給食提供方法であって、前記配膳セットは、複数の前記容器を覆う板状のカバーをさらに備えるものであり、前記カバーは、食札を保持する食札保持部を有し、前記セットステップの前に、食札を印刷する印刷ステップと、前記食札を前記カバー保持部に保持させる食札保持ステップをさらに含む。
【0021】
本願発明の第13の観点は、第12の観点の給食提供方法であって、前記印刷ステップの前に、情報端末から前記食札に印字されるべき食札情報を入力する入力ステップと、前記食札情報を送信する送信ステップと、サーバが、前記食札情報を受信する受信ステップとをさらに含む。
【0022】
また、本願発明を、食札情報の入力を受け付ける入力部と、前記食札情報の送信を行う送信部と、前記食札情報の受信を行う受信部と、前記食札情報に基づいて食札を印刷機に印刷させる食札印刷支持部とを備える食札印刷システムと捉えてもよい。
【0023】
また、本願発明を、上記の食札印刷システムを用いた食札印刷方法と捉えてもよい。さらに、本願発明を、コンピュータに、上記の食札印刷方法を実行させるためのプログラムと捉えてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本願発明の各観点によれば、容器の収容部下凸部と盆の上面凹凸部を対応させることにより、盆上の容器の位置を安定させることが可能になる。そのため、セントラルキッチンから各施設の食事提供場所まで安定に運搬することが可能になる。したがって、セントラルキッチン側で被提供者の食札に合わせて盛付まで行い、そのまま運搬することが容易となる。よって、食事提供場所における盛付及び配膳の作業負担を軽減することが可能になる。
【0025】
また、従来の高齢者向けの盆は、食器の安定を重視して食器が深く挿入される挿入部を有していた(例えば、特許文献1)。そのため、盆上に食器を安定に保持できるものの、通常の食器を持ち上げる動作とは異なり、食器を持ち上げるには両手で持ち上げる動作を要した。すなわち、片手では食器を持ち上げにくかった。
【0026】
本願発明の第2の観点によれば、通常の食事と同様に容器を持ち上げて食事をしたいという利用者側のニーズと、運搬時にこぼれにくい状態にしたいという食事提供者側のニーズとを両立することが可能になる。
【0027】
本願発明の第3の観点によれば、自然な見た目の配膳セットを提供することが可能になる。そのため、利用者に違和感を感じさせることなく配膳セットを利用してもらうことが容易となる。
【0028】
本願発明の第4の観点によれば、多様な容器及び容器配置に、一種類の盆で対応することが可能になる。そのため、セントラルキッチンにおいて朝食・昼食・夕食と異なる種類の食器を用いる場合にも、多種類の盆を用意する必要を低減し、セントラルキッチンにおける配膳フローの負担を軽減することが可能となる。
【0029】
本願発明の第5の観点によれば、盆上に食器を配置した状態の配膳セットを複数積み重ねることが可能である。このため、セントラルキッチンから各施設へと運搬する際、運搬スペースを効率的に用いることが可能となる。
【0030】
しかも、本願発明の第5の観点によれば、盆上に容器を配置したままスチームを用いて加温しても、容器の収容部内への水分の混入を抑えることが可能になる。
【0031】
本願発明の第6又は第12の観点によれば、カバー上面に食札を配置することができる。そのため、利用者から離れたセントラルキッチンにおいて、利用者のアレルギー等の個別事情をふまえた配膳が容易となる。しかも、各施設に配膳セットが到着して配布する際にも、適切な配膳セットをスムーズに配布することが可能になる。
【0032】
本願発明の第7の観点によれば、複数の高さが異なる容器に対応するカバーを備える配膳セットを提供することが可能になる。
【0033】
本願発明の第8の観点によれば、通常はカバーの上面を平坦にして見た目を整えるところ、段差を許容する代わりにカバーの容積を減らすことが可能となる。そのため、カバーの素材を節約し、軽量かつ安価な配膳セットを提供することが可能になる。
【0034】
本願発明の第13の観点によれば、利用者から離れたセントラルキッチンにおいて、利用者のアレルギー等の個別事情をリアルタイムに把握することが容易となる。そのため、急な体調変化等に合わせて柔軟に対応できる給食提供方法が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本願発明の実施例1に係る配膳セット1の概要を示す図である。
【
図2】本願発明の実施例1に係る配膳セット1の盆5の写真である。
【
図3】本願発明の実施例1に係る配膳セット1のカバー7の写真である。
【
図4】本願発明の実施例1に係る配膳セット1を積み重ねた状態を示す写真である。
【
図5】本願発明の実施例1に係る配膳セット1を使用した給食提供方法のフロー図である。
【
図6】食札情報の入力フォームの一例を示す図である。
【
図7】容器の種類、組合せ及び配置のバリエーションが
図1とは異なる配膳セットの概要を示す図である。
【
図8】容器の種類、組合せ及び配置のバリエーションが
図1及び
図7とは異なる配膳セットの概要を示す図である。
【
図9】本願発明の実施例1に係る配膳セット1の盆の六面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して本願発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本願発明の実施例は、以下に記載する内容に限定されるものではない。
【実施例0037】
図1は、本願発明の実施例1に係る配膳セット1(本願請求項記載の「配膳セット」の一例)の概要を示す図である。また、
図1(a)は、盆の上に4つの容器を配置してカバーを被せていない状態を示す図である。
図1(b)は、(a)にカバーを被せた状態の上方斜視図である。
図1(c)は、(a)にカバーを被せた状態の下方斜視図である。
【0038】
配膳セット1は、複数の容器3と、盆5と、カバー7とを備える。容器3は、物を収容する収容部9と、収容部9の下部に位置する収容部下凸部11とを有する。また、容器3には、複数の種類のものがある。例えば、
図1(a)には、第1容器3
1と、第1容器3
1とは高さが異なる第2容器3
2とが含まれている。
【0039】
収容部下凸部11は、食器の高台であり、後述の盆上面凹凸部の段差以上の高さを有する。ここで、収容部下凸部11を食器の高台とすることにより、自然な見た目の配膳セットを提供することが可能になる。
【0040】
図2は、盆5の(a)上面と(b)底面を示す写真である。盆5は、複数の容器を載せるものであって、板状の板部13と、複数の盆上面凹凸部15と、盆底面凹凸部17と、持ち手19を有する。盆上面凹凸部15は、板部13の上面に位置する凹凸であり、複数の容器3の収容部下凸部11の形状に対応している。
【0041】
ここで、盆5の盆上面凹凸部15に、各容器3の収容部下凸部11が対応するように配置されることにより、盆5の上に容器3の位置を安定させることが可能になる。そのため、本願発明の配膳セット1を用いれば、盛付後の状態でも後述の運搬ステップに耐え得る。よって、セントラルキッチンで各利用者の食札に合わせて盛付を行うことができ、食事提供場所における盛付の作業負担を軽減することが可能になる。
【0042】
盆底面凹凸部17は、盆5の底面にある凹凸であり、後述のカバー上面凹凸部21の形状に対応している。
【0043】
図3は、カバー7の(a)盆5に被せた状態のカバーの上面の写真と、(b)カバー7の内側の写真である。カバー7は、容器3を覆うものであって、カバー上面凹凸部21と、食札用凹凸部23と、第1カバー部25と、第2カバー部27とを有する。
【0044】
カバー上面凹凸部21は、カバーの上面にある凹凸であり、盆底面凹凸部17の形状に対応している。
図4は、配膳セット1を積み重ねた状態の写真である。
図4に示す通りカバー上面凹凸部21と盆底面凹凸部17の形状が対応していることにより、盆5の上に容器3を配置した状態の配膳セット1を複数積み重ねることが可能である。また、盆5の上に容器3を配置したまま加温しても、収容部9内への水分の混入を抑えることが可能になる。さらに、
図4に示すように、カバーの側面に構造上許容される範囲でなるべく大きな開口を設けることにより、加熱蒸気が容器(食器)に直接接触し効率よく加温する事が可能になる。
【0045】
食札用凹凸部23は、カバー7の上面にある凹凸であり、食札の形状に対応している。これにより、カバー7の上面に食札を配置することができるため、セントラルキッチンで各食札に合わせて盛付された食事を各施設においてスムーズに配布することが可能になる。
【0046】
第1カバー部29は、第1容器31の高さに対応している。第2カバー部31は、第2容器32の高さに対応している。また、カバー7の上面は、第1カバー部29と、第2カバー部31とで構成される段差を有する。これにより、カバー7が、複数の高さが異なる容器に対応することが可能になる。また、通常はカバー7の上面を平坦にして見た目を整えるところ、あえて段差を設けてカバー7の容積を減らしているため、カバー7の素材を節約し、軽量かつ安価な食器セット1を提供することが可能になる。このように段差を設けてカバーが容器3(食器)に密着する淵の部分よりも容器の中央に対応する部分を高くすることにより、容器3(食器)の内容物が容器の側面より高く盛り付けられてもカバーに押し潰されないようにし、自然な盛付を可能にしている。
【0047】
図5に、配膳セットを使用した給食提供方法のフローを示す。まず、食札情報入力ステップにおいて、各利用者又は施設運営者等が食札に記入されるべき情報である食札情報を情報端末から入力する。続いて、食札情報送信ステップにおいて、入力された食札情報が情報端末からインターネットを介してクラウドサーバに送信する。続いて、食札情報受信ステップにおいて、各利用者又は施設運営者等がインターネットを介して入力した食札情報をクラウドサーバが受信する。
【0048】
図6は、各利用者又は施設運営者等が食札情報を入力する入力フォームの一例を示す図である。
図6に示す通り、各利用者又は施設運営者等は、入力フォームに従って、利用者の氏名、主食の形態、主食の分量、主菜及び副菜の形態、及び、個人対応の必要事項等を入力する。
【0049】
サーバが受信した食札情報は、食札印刷ステップにおいて、個人毎におおよそ名刺サイズの紙である食札に印刷される。印刷された食札は、食札配置ステップにおいて、盆の上面の食札用凹凸部に配置される。
【0050】
次に、セントラルキッチンにおける盛付ステップにおいて、食札を確認しつつ、各利用者の食事内容に合わせて盛付が行われる。また、容器3が盆5に配置される。ここで、容器3は、各容器の収容部下凸部が盆上の盆上面凹凸部に対応する位置にくるように配置される。配膳セットに盛り付けられた食品は、急速冷却ステップにおいて、調理から90分以内に中心温度が3℃以下になるよう急速冷凍され、0℃~3℃の低温で保存される。
【0051】
さらに、配膳セットに盛り付けられた食品は、運搬ステップにおいて、低温状態のまま、セントラルキッチンから各食事提供場所まで運搬される。各食事提供場所まで運搬された食品は、加温ステップにおいて、配膳セットごとスチームコンベンションに入れられ、加温される。加温された食品は、配布ステップにおいて、配膳セットごと各利用者に配布される。
【0052】
各利用者が食事を済ませると、食器回収・返送ステップにおいて、配膳セットは回収される。改修された配膳セットは、各食事提供場所からセントラルキッチンに返送される。最後に、洗浄ステップにおいて、返却された配膳セットがセントラルキッチンで洗浄される。
【0053】
以上の通り、本願発明の配膳セットを用いた給食方法においては、従来は各食事提供場所にて行われていた盛付、配膳及び洗浄をセントラルキッチン側で担うことが可能になる。このため、食事提供場所のスタッフは、送られてきた配膳セットを食札に記載された利用者に対して配布するのみでよい。したがって、スタッフの作業負担が軽減される。
【0054】
また、従来の高齢者向けの盆は、食器が深く挿入される挿入部を有していた。そのため、盆上に食器を安定に保持できるものの、食器を持ち上げにくかった。本願発明の配膳セットによれば、容器は盆に深く挿入されることはなく、自然な形で配置されるため、利用者が持ち上げやすい。よって、容器を持ち上げて食事をしたいという利用者側のニーズと、運搬時にこぼれにくい状態にしたいという食事提供者側のニーズを両立することが可能になる。
【0055】
図7及び
図8は、盆は実施例1と同一で、盆の上に配置している容器の種類、組合せ及び配置のバリエーションが実施例1とは異なる配膳セットの概要を示す図である。
図7(a)及び
図8(a)は、
図1(a)と同様にカバーを被せていない状態の配膳セットを示す図である。
図7(b)及び(c)は、
図7(a)の配膳セットに実施例1と同一のカバーを被せたものを示す図である。
図8(b)及び(c)は、
図8(a)の配膳セットに実施例1とは異なるカバーを被せたものを示す図である。
【0056】
以上の通り、盆は、複数の異なる容器に対応可能であり、同一の盆で少なくとも3パターンの容器の種類、組合せ及び配置に対応している。また、カバーは、容器の種類、組合せ及び配置に合わせて、適宜使い分けることが可能である。
【0057】
図9は、盆の六面図であり、(a)正面図,(b)背面図,(c)左側面図,(d)右側面図,(e)平面図,(f)底面図である。
【0058】
図10は、
図1及び
図7に示したカバーの六面図であり、(a)正面図,(b)背面図,(c)左側面図,(d)右側面図,(e)平面図,(f)底面図である。
【0059】
図11は、
図8に示したカバーの六面図であり、(a)正面図,(b)背面図,(c)左側面図,(d)右側面図,(e)平面図,(f)底面図である。
前記カバー下面凹凸部は、前記容器の淵の部分よりも前記容器の中央に対応する部分を高くすることにより、前記容器に前記飲食物が前記容器の側面より高く盛り付けられても前記カバーに押し潰されない、請求項1記載の配膳セット。
前記カバー下面凹凸部は、前記容器の淵の部分よりも前記容器の中央に対応する部分を高くすることにより、前記容器に前記飲食物が前記容器の側面より高く盛り付けられても前記カバーに押し潰されない、請求項1記載の配膳セット。