(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113288
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】検出システム
(51)【国際特許分類】
G01B 7/16 20060101AFI20240815BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20240815BHJP
【FI】
G01B7/16 R
B60N2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018167
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】木佐貫 義勝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 博光
【テーマコード(参考)】
2F063
3B087
【Fターム(参考)】
2F063AA25
2F063BB01
2F063BB02
2F063CA09
2F063DA01
2F063DA05
2F063DD06
2F063FA00
2F063KA01
3B087DE08
3B087DE09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】柔軟体の変形を検出する技術を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、検出システムが提供される。この検出システムは、少なくとも1つの検出装置を備える。検出装置のそれぞれは、第1の導電体と、第2の導電体と、信号部と、を備える。第1の導電体および第2の導電体は、外力に応じて変形可能な柔軟体の表面または内部に配設される。第1の導電体と第2の導電体との位置関係は、柔軟体が所定の第1の方向に伸びるように変形することに伴い変化する。信号部は、第1の導電体および第2の導電体の合成抵抗値に関する信号を出力可能に構成される。合成抵抗値は、第1の導電体と第2の導電体との位置関係の変化に応じて変化する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出システムであって、
少なくとも1つの検出装置を備え、
前記検出装置のそれぞれは、第1の導電体と、第2の導電体と、信号部と、を備え、
前記第1の導電体および前記第2の導電体は、外力に応じて変形可能な柔軟体の表面または内部に配設され、ここで、
前記第1の導電体と前記第2の導電体との位置関係は、前記柔軟体が所定の第1の方向に伸びるように変形することに伴い変化し、
前記信号部は、前記第1の導電体および前記第2の導電体の合成抵抗値に関する信号を出力可能に構成され、ここで、前記合成抵抗値は、前記第1の導電体と前記第2の導電体との位置関係の変化に応じて変化する、もの。
【請求項2】
請求項1に記載の検出システムにおいて、
前記第1の導電体と前記第2の導電体とは、前記柔軟体が前記第1の方向に伸びるように変形することに伴い、前記第1の方向とは異なる第2の方向における前記第1の導電体と前記第2の導電体との間の距離である間隔距離が短くなるように構成され、これにより、前記合成抵抗値が減少する、もの。
【請求項3】
請求項2に記載の検出システムにおいて、
前記第1の導電体および前記第2の導電体は、線状に延び、
前記第2の導電体は、前記第1の導電体から分岐するように接続され、
前記第1の導電体と前記第2の導電体との間の接触領域は、前記柔軟体が前記第1の方向に伸びることにより増加するように構成される、もの。
【請求項4】
請求項2に記載の検出システムにおいて、
前記第1の導電体および/または前記第2の導電体は、互いに接続されることにより所定の内部領域を規定するように構成される環状構造を有する、もの。
【請求項5】
請求項1に記載の検出システムにおいて、
前記第1の導電体および前記第2の導電体は、前記柔軟体の変形に伴い伸縮可能な導電糸を用いて形成される、もの。
【請求項6】
請求項1に記載の検出システムにおいて、
複数の前記検出装置を備え、
前記検出装置のそれぞれは、前記第1の方向への前記柔軟体の変形量に対して異なる変化率で前記合成抵抗値を出力するように構成される、もの。
【請求項7】
請求項1に記載の検出システムにおいて、
さらに、前記柔軟体および前記合成抵抗値を測定する測定部のうちの少なくとも1つを備える、もの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、障害者、人型ロボットの身体挙動を検知するシステムに使用される引張変形検知布において、編物または織物の伸縮を静電容量の変化として検出することにより、検知システムとしての消費電力を抑制する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の引張変形検知布は、複数の導電糸を含んで構成された編物または織物を一方向に伸縮自在にすると共に、その伸縮に伴って前記導電糸の隣接するもの同士の間隔が変化し、その隣接する導電糸同士間は絶縁状態が維持されるように構成され、隣接する各導電糸の端部が静電容量を測定するための一対の電極とされていることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、編物等のような柔軟体の変形を検出する技術には、未だ改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、検出システムが提供される。この検出システムは、少なくとも1つの検出装置を備える。検出装置のそれぞれは、第1の導電体と、第2の導電体と、信号部と、を備える。第1の導電体および第2の導電体は、外力に応じて変形可能な柔軟体の表面または内部に配設される。第1の導電体と第2の導電体との位置関係は、柔軟体が所定の第1の方向に伸びるように変形することに伴い変化する。信号部は、第1の導電体および第2の導電体の合成抵抗値に関する信号を出力可能に構成される。合成抵抗値は、第1の導電体と第2の導電体との位置関係の変化に応じて変化する。
【0007】
このような構成によれば、よりよい柔軟体の変形を検出する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】検出システム1の構成の一例を示す図である。
【
図2】検出ユニット3の全体的な構成を示す図である。
【
図3】
図2に示される検出装置3aの詳細を示す図である。
【
図4】外力Fによる布帛23の変形に伴う検出装置3aの変形を示す図である。
【
図5】
図3に示される検出装置3aの具体例を示す写真である。
【
図7】外力Fによる布帛23の変形に伴う、
図6に示される検出装置3aの変化を示す図である。
【
図8】内部領域SP1を規定する環状構造を備える検出装置3aの具体例を示す写真である。
【
図9】検出導体部32が三角形状に構成された、検出装置3aの第2の別例を示す図である。
【
図10】検出装置3aの第3の別例を示す図である。
【
図11】第1の方向D1の距離の変化によって合成抵抗値の変化が生じる検出ユニット3の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0または1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、または量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、およびメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.検出システム1の構成の概要について
本節では、検出システム1の構成の概要について説明する。
図1は、検出システム1の構成の一例を示す図である。
図1に示されるように、検出システム1は、座席2と、検出ユニット3と、測定部4と、情報処理装置5と、を備える。
【0014】
<座席2>
座席2は、人が着座可能に構成されており、人が着座することによって変形するように構成される。具体的には、座席2は、人等が着座する座面を含む座部21と、座部21に着座した人等がもたれかかるための榻背部22と、柔軟体としての布帛23と、少なくとも検出ユニット3と、を備える。
【0015】
布帛23は、座部21および榻背部22等の座席2の構成要素の少なくとも一部を包むように構成される。布帛23の表面は、布帛23の厚みに平行な厚み方向Dtによって規定することができる。厚み方向Dtは、布帛23の表面に対してほぼ垂直である。なお、布帛23の表面が曲面を含む場合、厚み方向Dtは、当該曲面の局所的な法線を規定する方向となる。布帛23は、外力Fに応じて変形可能に構成されている。具体的には、布帛23は、布帛23の表面に沿った方向の外力Fに対しては当該外力Fとほぼ方向に伸縮するように変形し、厚み方向Dtに沿った方向の外力Fに対しては当該外力Fとほぼ平行な方向に屈曲するように変形し、これに伴い、布帛23の表面に沿った方向に伸縮するように変形する。したがって、外力Fによる外力Fの変形は、布帛23の表面に沿った方向の変形によって表現することができる。
【0016】
<検出ユニット3>
検出ユニット3は、人が座席2に着座することによる座部21および榻背部22を包む布帛23の変形を検出可能に構成されている。検出ユニット3は、布帛23の変形により、検出ユニット3の電気特性としての抵抗値が変化するように構成されている。複数の検出ユニット3のそれぞれは、布帛23の表面または内部に、布帛23の表面に沿って所定の分布で配置されている。本実施形態では、検出ユニット3は、互いに布帛23の表面または内部に、布帛23の表面に沿って格子状に配置されている。本実施形態では、検出ユニット3の詳細は後述される。
【0017】
<測定部4>
測定部4は、検出ユニット3の電気特性を測定可能に構成され、信号線Lを介して検出ユニット3と電気的に接続されている。本実施形態の測定部4は、検出ユニット3に含まれる各種導電体(例えば、後述される信号部31および検出導体部32)の合成抵抗値を測定するように構成され、例えば、検出ユニット3による電圧降下を測定可能な電圧計である。なお、測定部4は、電流計やLCRメータなどであってもよい。
【0018】
<情報処理装置5>
情報処理装置5は、測定部4による測定結果を取得し、座席2の変形量の分布を算出する種々の情報処理を実行するように構成される。情報処理装置5は、通信バス50と、通信部51と、記憶部52と、プロセッサ53と、表示部54と、HMIデバイス55とを備え、これらの構成要素が情報処理装置5の内部において通信バス50を介して電気的に接続されている。各構成要素についてさらに説明する。
【0019】
通信部51は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、3G/LTE/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、情報処理装置5は、通信部51およびネットワークを介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0020】
記憶部52は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、プロセッサ53によって実行される情報処理装置5に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部52は、プロセッサ53によって実行される情報処理装置5に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0021】
プロセッサ53は、情報処理装置5に関連する全体動作の処理・制御を行う。プロセッサ53は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。プロセッサ53は、記憶部52に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、情報処理装置5に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部52に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例であるプロセッサ53によって具体的に実現されることで、プロセッサ53に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、プロセッサ53は単一であることに限定されず、機能ごとに複数のプロセッサ53を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0022】
表示部54は、情報処理装置5筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。表示部54は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイおよびプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、情報処理装置5の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0023】
HMIデバイス55は、ヒューマン・マシン・インターフェースデバイスである。HMIデバイス55は、情報処理装置5の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、HMIデバイス55は、表示部54と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード、音声認識装置、ジェスチャ検出装置、視線検出装置、生体信号検出装置、撮像装置などを採用してもよい。すなわち、HMIデバイス55がユーザによってなされた操作入力を受け付ける。HMIデバイス55は、応答として、通信バス50を介し操作入力に対応する信号をプロセッサ53に転送する。プロセッサ53が必要に応じて所定の制御や演算を実行しうる。HMIデバイス55は、ユーザからの入力を受付可能に構成されている入力部を含むともいえる。
【0024】
2.検出ユニット3の構成例について
本節では、前述した検出ユニット3の一例について説明する。
図2は、検出ユニット3の全体的な構成を示す図である。
図3は、
図2に示される検出装置3aの詳細を示す図である。
図2に示すように、検出ユニット3は、少なくとも1つの(本実施形態では複数であり、具体的には5つである。)検出装置3a~3eを備える。これらの検出装置3a~3eは、検出装置3aおよび検出装置3eを端部として、検出装置3a~3eの順に、互いに直列に接続されている。検出装置3a~3eのそれぞれは、布帛23の表面に沿って布帛23の表面または内部に配設されている。そのため、布帛23に対して加えられる外力Fが、布帛23の変形を通じて検出装置3a~3eに伝達される。本実施形態の検出装置3a~3eは、互いに第1の方向D1に沿って線状に(例えば直線状に)配置されている。第1の方向D1は、布帛23の表面に沿った方向であり、厚み方向Dtとほぼ垂直となる。第1の方向D1は、検出装置3a~3eによって検出しやすい布帛23の変形方向を規定し、布帛23の伸縮方向ともいえる。第1の方向D1は布帛23の特性および用途に応じて適宜設定可能であるが、特に布帛23の変形量が大きい方向、例えば布帛23のバイアス方向であるとよい。これにより、検出システム1による布帛23の変形量の検出精度を向上することができる。以下、説明の便宜上、布帛23の表面に沿った方向であって、上記第1の方向D1と垂直な方向を第2の方向D2という。第2の方向D2は、第1の方向D1を基準とする検出ユニット3の幅を規定する方向ともいえる。
【0025】
検出装置3a~3eは、布帛23の表面に沿った方向の変形を検出するように構成されている。検出装置3a~3eのそれぞれは、所定の第1の方向D1に検出装置3a~3eのそれぞれは、信号部31と、少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の検出導体部32と、を備える。本実施形態の信号部31および検出導体部32は、布帛23の変形に伴い伸縮可能な導電糸を用いて形成される。導電糸による信号部31および検出導体部32(さらには、検出装置3a~3e)の形成方法は任意であるが、例えば布帛23への編み込みによって形成される。これにより、信号部31および検出導体部32は、布帛23の表面または内部に配設される。このような構成によれば、布帛23にこれらの導電体(本実施形態では信号部31および検出導体部32)を配設するのが容易となる。導電糸としては、銅線、金線などの金属線、炭素繊維、ポリエステル、ナイロンなどの導電繊維、導電性ゴムなど任意である、なお、信号部31および検出導体部32を構成する部材は、導電糸に限られず、布帛23の変形に伴い弾性変形可能であれば任意である。本実施形態では、信号部31は、第1の導電体として機能し、検出導体部32は、第2の導電体として機能する。したがって、信号部、第1の導電体、第2の導電体等の検出装置3a~3eを構成する部材は、それぞれが別体として構成されている必要はない。
【0026】
信号部31は、隣り合う他の検出装置3a~3eの信号部31と接続されている。本実施形態では、5つの検出装置3a~3eの信号部31は、一体となるように構成されている。本実施形態の信号部31は、第1の方向D1に沿って線状に延びている。
【0027】
検出導体部32は、第1の方向D1とは異なる方向に線状に延びる。線状に延びる検出導体部32は、その両端として接続端部321と開放端部322とを備える。
【0028】
接続端部321は、信号部31の端部以外、言い換えれば線状に延びる信号部31の線の途中に接続されている。これにより、検出導体部32は、信号部31から分岐するように接続される。
【0029】
開放端部322は、接続端部321とは異なり、少なくとも布帛23が変形していない状態では信号部31等の他の導電体とは接続されていない。そのため、開放端部322は、信号部31の両端に電圧が印加された場合、布帛23が変形していない状態では開放端部322には信号部31からの電流が分流しないように構成されている。
【0030】
本実施形態では、検出導体部32のそれぞれは、第1の方向D1および第2の方向D2の双方と異なる方向に延びており、信号部31に対して第1の方向D1から第2の方向D2に向かって傾斜角θで傾斜するように構成されている。このとき、検出導体部32は、接続端部321以外の位置では信号部31と直接接触していない。傾斜角θは任意であるが、具体的には例えば、0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1,2,4,6,8,10,12,14,16,18,20度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であっても、0より大きければこれらの数値未満の値であってもよい。布帛23が変形していない状態における傾斜角θが大きいほど、布帛23の第1の方向D1への変形によって信号部31と検出導体部32との接触領域Rが大きくなりやすくなる。そのため、傾斜角θは、検出装置3a~3eにおける布帛23の変形量の検出感度を制御するためのパラメータの1つとなる。本実施形態では、検出装置3a~3eのそれぞれにおける検出導体部32の傾斜角θは、検出装置3a~3eの順に大きくなる。したがって、検出装置3a~3eのそれぞれは、第1の方向D1への布帛23の変形量に対して異なる変化率で合成抵抗値を出力するように構成される。このような構成によれば、より多様な変形に対する合成抵抗値を検出することができる。異なる変化率とは、第1の方向D1への布帛23の単位長さの変化量あたりの合成抵抗値の変化量を示し、これらの変化量が線形の関係である場合、その線形関係の傾きをいう。
【0031】
本実施形態では、検出ユニット3の両端に位置する検出装置3a,3eのそれぞれは、接続部33を1つずつ備える。接続部33は、検出ユニット3と測定部4とを接続するための端子であり、検出装置3a~3eに含まれる信号部31の両端にそれぞれ1つずつ設けられている。接続部33のそれぞれは、信号線Lを通じて測定部4に接続されており、測定部4は、接続部33の両端の電圧降下量を測定することにより、検出ユニット3全体の合成抵抗値を測定することができる。そのため、一対の接続部33は、検出ユニット3の測定端子として機能する。本実施形態では当該接続部33は、接続ポートのような物理的な端子でなく、信号線Lと検出ユニット3との接続点によって規定される仮想的な端子である。当該接続は、導電糸による編み込み、はんだ等の導電性接着部材による接着など、任意の態様で実装可能である。
【0032】
測定部4は、このように構成された検出ユニット3に対して、信号線Lおよび接続部33を介して検出装置3a~3eの信号部31に対して電圧を印加する。これにより、信号部31に電流が流れる。このとき、検出導体部32が接続端部321以外の領域で信号部31と接触している場合、信号部31に流れる電流の一部が、接続端部321から検出導体部32に分流し、信号部31に再び戻る導電経路が構成される。本実施形態の検出導体部32が信号部31と接触する場合、当該信号部31と検出導体部32との回路モデルは、信号部31によって表される抵抗体と、検出導体部32によって表される抵抗体との並列接続として表される。そのため、当該導電経路が形成されることにより、信号部31と検出導体部32との合成抵抗値が低下することとなる。すなわち、合成抵抗値は、信号部31と検出導体部32との位置関係の変化に応じて変化する。このとき、信号部31は、信号部31および検出導体部32の合成抵抗値に関する信号を他の検出装置3a~3eおよび接続部33を介して測定部4に出力可能に構成される。測定部4は、このようにして出力される以下、説明の便宜上、検出装置3a~3eのそれぞれに含まれる信号部31と検出導体部32との合成抵抗値を、検出装置3a~3eの合成抵抗値ということがある。
【0033】
ここで、上述した検出装置3a~3eの合成抵抗値の変化と布帛23との変形との関係について説明する。
図4は、外力Fによる布帛23の変形に伴う検出装置3aの変形を示す図である。なお、他の検出装置3b~3eも、
図4に示される検出装置3aと同様に変形する。ここでは、外力Fは、布帛23に対して第1の方向D1に沿って加えられている。これにより、布帛23は、布帛23が所定の第1の方向D1に伸びるように変形し、これに伴い信号部31と検出導体部32との位置関係が変化する。このような構成によれば、布帛23の変形に伴い、第1の導電体と第2の導電体との空間が変化する。これに伴い、信号部31と検出導体部32との接触状態が変化するため、これらの導電体の合成抵抗値が変化する。したがって、検出システム1は、このような導電体の合成抵抗値の変化に起因する電気信号の変化量から、布帛23の変形をより定量的に検出することができる。例えば、布帛23に加える外力Fを大きくするにつれて布帛23の第1の方向D1に伸びる変形量が大きくなる。これに伴い、検出導体部32は、接続端部321が信号部31と接続された状態で、第1の方向D1に拡大されるように伸びるように変形する。これにより、信号部31と検出導体部32とは、第1の方向D1とは異なる第2の方向D2における第1の導電体と第2の導電体との間の距離である間隔距離Wが短くなる。間隔距離Wが短くなるにつれて、傾斜角θもまた小さくなる。これにより、信号部31と検出導体部32との接触領域Rが増加することで、上述した作用に基づき検出装置3a~3eの合成抵抗値が減少する。このような構成によれば、布帛23の第1の方向D1への変形によって合成抵抗値が変化するため、布帛23の第1の方向D1の変形を定量的に検出することができる。このとき、当該変形に伴い、その結果、信号部31と検出導体部32とが少なくとも第2の方向D2において第1の導電体と第2の導電体との間の接触領域Rは、布帛23が第1の方向D1に伸びることにより増加するように構成される。このような構成によれば、布帛23の変形に応じて導電体の合成抵抗値が変化するため、布帛23の変形量を電気信号として検出することが可能となる。このとき、布帛23の変形に応じて第1の導電体と第2の導電体の位置関係が変化するため、布帛23の変形を定量的に検出することができる。
【0034】
図5は、
図3に示される検出装置3aの具体例を示す写真である。
図5(a)および
図5(b)に示されるように、検出ユニット3は、複数の検出装置3a~3eを直列的に接続することで、木のような意匠性の高い形状で実装され得る。例えば
図5(a)に示されるように、信号部31および検出導体部32等の導電体は、完全な直線上でなくてもよく、それぞれが延びる方向に沿ってジグザグ縫いによって実装されていてもよい。これにより、信号部31および検出導体部32の伸縮性を高めることができるため、検出ユニット3を布帛23に取り付けることによる布帛23の自然な変形を阻害する可能性を低減することができる。
【0035】
また、
図5(b)に示されるように、信号部31は、第1の方向D1と完全に一致するように直線的に延びていなくてもよく、おおよそ第1の方向D1の方向に沿っていれば、曲線的に構成されていてもよい。また、各検出装置3a~3eのそれぞれにおける検出導体部32の数は任意であり、信号部31の第2の方向D2における両側に対称的に配置されていなくてもよい。例えば、信号部31の片側にのみ、検出導体部32が配置されていてもよい。さらに、検出装置の数は、上述の
図3や
図5(a)で述べたような5つでなくてもよく任意であり、例えば、1つであっても、6つ以上であってもよい。さらに、信号部31に接続されている検出導体部32から、さらに検出導体部32が分岐するように構成されていてもよい。このような構成によれば、より複雑で意匠性の高い形状をもつ検出ユニット3を実装することができる。なお、信号部31と検出導体部32とは一連の導電糸によって一体となるように布帛23に配設されていてもよい。すなわち、信号部31と検出導体部32とが別体として個別に設けられている必要はない。
【0036】
3.検出装置3aの別例について
本節では、上述した検出装置3aの第1の別例について説明する。本節で説明する検出装置3aは、上述した検出装置3aとは異なり、信号部31および/または検出導体部32が、互いに接続されることにより所定の内部領域SP1を規定するように構成される環状構造を有するように構成される。このような構成によれば、導電体の配置を布帛23に応じて効率的に行うことができる。なお、環状構造は、信号部31と検出導体部32とが接続されることによって構成されていても、検出導体部32同士が接続されることによって構成されていてもよい。
【0037】
図6は、検出装置3aの第1の別例を示す図である。なお、本実施形態では、1つの検出装置3aによって検出ユニット3が実装されているが、前節までに説明した検出ユニット3と同様に、複数の検出装置3aによって構成されていてもよい。
図6に示される検出装置3aは、2つの信号部31と、2つの検出導体部32と、2つの接続部33と、を備える。接続部33は、前節にて述べられた接続部33と同様に、信号線Lを介して測定部4に接続されている。本実施形態では、2つの検出導体部32の一方が第1の導電体として機能し、2つの検出導体部32の他方が第2の導電体として機能する。
【0038】
本実施形態の信号部31のそれぞれは、異なる2つの接続部33にそれぞれ接続されており、対応する接続部33から第1の方向D1に沿って、他の接続部33に向かうように延びている。また、信号部31は、接続部33から第1の方向D1に延びるにつれて、第2の方向D2に拡大するように分岐している。すなわち、信号部31は、接続部33からいわゆるV字状に延びている。
【0039】
本実施形態の検出導体部32は、線状ではなく楕円形状であり、その長軸は第1の方向D1に沿って延び、その短軸は第2の方向D2に沿って延びている。検出導体部32のそれぞれは、2つの接続端部321を備え、各接続端部321は第1の方向D1に離れて位置する信号部31の分岐の端部に接続されている。これにより、検出導体部32は、ある信号部31の分岐の端部と、当該信号部31とは異なる信号部31の分岐の端部とを機械的および電気的に接続する。このように、信号部31のそれぞれが有する2つの先端のそれぞれから検出導体部32が延びることにより、2つの検出導体部32が第2の方向D2に並んで配設される。これにより、2つの信号部31および2つの検出導体部32によって環状構造が規定され、その環状構造の内部に内部領域SP1が構成される。なお、本実施形態では、内部領域SP1には布帛23のような非導電体が配置されている。このように、内部領域SP1は、検出導体部32同士の第1の方向における電気的接触を規制可能であれば任意であり、中空空間でなくてもよい。
【0040】
このように構成された検出装置3aでは、測定部4によって接続部33の両端に印加される電圧によって、接続部33→信号部31→検出導体部32の並列接続体→接続部33という導電経路が構成される。そのため、本実施形態の検出装置3aの合成抵抗値は、特に2つの検出導体部32という抵抗体の並列接続をした際の抵抗値となる。
【0041】
図7は、外力Fによる布帛23の変形に伴う、
図6に示される検出装置3aの変化を示す図である。
本実施形態では、これらの検出導体部32の一部は、布帛23が変形していない状態において互いに接触している。2つの検出導体部32のそれぞれは、例えば、検出導体部32の楕円の短径を規定する部分の接線同士が重なる程度に接触している。これにより、検出導体部32の間で接触領域Rが形成され、一方の検出導体部32から他方の検出導体部32への導電経路が形成される。布帛23の変形に伴い接触領域Rが広がるにつれて検出導体部32間の導電経路が大きくなる。これにより、検出装置3aの合成抵抗値が下がる。このような構成によれば、布帛23が変形していない状態から変形する際の検出装置3aの合成抵抗値の変化を連続的にすることができるため、布帛23の変形量の定量的な評価が容易となる。なお、2つの検出導体部32は、布帛23が変形指定ない状態において互いに接触していなくてもよい。これにより、布帛23の変形によって検出導体部32同士が接触することで検出導体部32間の導電経路が開通する。そのため、検出装置3aの合成抵抗値が、検出導体部32同士が接触していない場合に比べて劇的に変化するため、例えば、布帛23の変形量が所定の閾値に達したか否かを検出しやすくなる。
【0042】
図8は、内部領域SP1を規定する環状構造を備える検出装置3aの具体例を示す写真である。なお、当該検出装置3aにおいて、検出導体部32はほぼ直線状となるように構成されている。そのため、上述した検出装置3aの第1の別例において、検出導体部32は線状に構成されていてもよい。
図11に示されるように、検出装置3aは複数の検出装置3aを備えており、これに伴い複数の環状構造を有している。これらの環状構造の形状は任意であり、
図8(a)に示されるように、複数の環状構造によって規定される内部領域SP1のそれぞれは、第1の方向D1に沿って延びるように構成されていてもよい。また、
図8(b)に示されるように、内部領域SP1のそれぞれは、その一部が円形上に構成されていてもよく、また、第1の方向D1以外の方向に沿って延びていてもよい。また、
図8(c)に示されるように、内部領域SP1の大きさは互いに異なっていてもよい。例えば、検出装置3aにおいて中央の内部領域SP1の面積または体積は、外縁に位置する内部領域SP1の面積または体積に比べて大きく構成されていてもよい。これにより、検出装置3a全体としての合成抵抗値の変化量を均一にし、より線形性を担保しやすくすることができる。
【0043】
4.その他
上記検出システム1の態様はあくまで一例であり、これに限られない。
【0044】
上述したように、検出導体部32の形状は線状に限られない。例えば、検出導体部32の形状は、上述したように楕円形状であってもよく、三角形状、波線形状など、任意である。
図9は、検出導体部32が三角形状に構成された、検出装置3aの第2の別例を示す図である。
図9に示される例では、2つの直角三角形状の検出導体部32が2つの信号部31の間を第1の方向D1に延びる。このとき、検出導体部32の第2の方向D2における長さが、一方の信号部31から他方の信号部31に向かうにつれて減少するように構成されている。これにより、布帛23の変形に伴い、接触領域Rが連続的に変化するため、布帛23の変形に対する検出装置3aの合成抵抗値の変化を線形にしやすくなる。
【0045】
検出装置3aが複数の検出導体部32が並列に接続されるように構成される場合、当該検出導体部32の数は上述した第1の別例のように2つに限られない。
図10は、検出装置3aの第3の別例を示す図である。
図10に示されるように、検出装置3aの第3の別例では、3以上の検出導体部32が2つの信号部31の間を線状に並列に延びている。このとき、第3の別例では、第1の方向D1における検出導体部32の長さは、互いに異なっている。特に、第2の方向D2において隣り合う2つの検出導体部32の第1の方向D1における長さは、互いに異なっている。具体的には、複数の検出導体部32のうち、第2の方向D2において中央に位置する検出導体部32は、第2の方向D2において端に位置する検出導体部32に比べて長くなるように構成されている。これにより、布帛23の変形に対する線形性をより担保しやすくなる。これに伴い、信号部31は、直線状ではなく、曲線状、具体的には円弧状に構成されている。
【0046】
検出装置3aの合成抵抗値の変化は、信号部31および/または検出導体部32の第2の方向D2における間隔距離Wの変化によって生じるものに限られない。当該合成抵抗値の変化は、例えば第1の方向D1の距離の変化によって生じるものであってもよい。
図11は、第1の方向D1の距離の変化によって合成抵抗値の変化が生じる検出ユニット3の一例を示す図である。
【0047】
図11に示される検出ユニット3は、3つの検出装置3a~3cを備え、これらの検出装置3a~3cは、2つの接続部33の間で互いに直列接続されている。なお、接続部33と検出装置3aおよび接続部33と検出装置3cとの間は、信号部31によって接続されている。検出装置3a~3cのそれぞれは、第2の方向D2を往復しながら第1の方向D1に沿って延びる導電体34を備える。当該導電体34は、いわゆるジグザグ縫いによって構成されており、第1の方向D1において所定の周期長L1で進みながら、第2の方向D2を往復するように延びている。当該周期長検出装置3a~3cは、第1の方向D1における周期長L1が異なっており、検出装置3a、検出装置3b、検出装置3cの順に周期長L1が短くなるように構成される。周期長L1が短くなるにつれて、第1の方向D1において隣り合う導電体34の距離が短くなり、これに伴い当該導電体34同士の接触領域Rが大きくなる。
【0048】
なお、
図11中では説明の便宜上、導電体34同士が離れて配置されているように図示されているが、これらの導電体34は、布帛23が変形していない状態ではほぼ接触した状態で配置されている。このような状態から布帛23が第1の方向D1に変形することにより、隣り合う導電体34の第1の方向D1における距離、すなわち周期長L1が長くなり、接触領域Rが小さくなっていく。その結果、隣り合う導電体34同士の導電経路が狭くなり、検出装置3a全体の合成抵抗値が大きくなる。ここで、当該接触領域Rの変化量は、検出装置3aの周期長L1に依存する。したがって、検出装置3a~3cのそれぞれは、互いに布帛23の第1の方向D1の変形量に対する合成抵抗値の増加量が異なる。具体的には、布帛23が変形していない状態における周期長L1が短くなるにつれて、検出装置3aによる布帛23の変形量に対する合成抵抗値の変化量が大きくなる。したがって、当該周期長L1は、検出装置3aによる布帛23の変形を検出する際の感度を規定するパラメータである。
【0049】
一方、隣り合う一周期分の導電体34が、ジグザグ縫いの端部以外で接触領域Rをもたなくなると、検出装置3aの合成抵抗値が最大となる。そのため、当該検出装置3aによって検出可能な布帛23の変形量は、布帛23が変形していない状態での周期長L1に依存する。そのため、検出装置3aによる検出感度を向上させるために周期長L1を短くすると、検出装置3aによって検出可能な変形量の上限が小さくなる可能性がある。そこで、本実施形態では、互いに異なる周期長L1の検出装置3a~3cを直列接続することによって検出ユニット3を構成している。これにより、例えば、布帛23の変形量が、周期長L1が最も短い検出装置3cによって検出可能な上限値を超えた場合であっても、検出装置3cより周期長L1が長い検出装置3a,3bによって、当該上限値以上の布帛23の変形を検出することができる。したがって、布帛23の変形量の感度と検出可能範囲の両立を図ることができる。
【0050】
なお、検出装置3a~3cの接続態様は直列接続に限られず、並列接続であってもよい。また、導電体34の形状は、ジグザグ縫いのように第2の方向D2に往復するものに限られず、例えば三重縫いなどのように厚み方向Dtおよび第1の方向D1を往復するようなものであってもよい。そのため、上記技術的思想は、第2の方向D2に往復するジグザグ縫いのように第2の方向D2に往復するものの少なくとも一部の態様を除いてもよい。
【0051】
上記検出システム1等は、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0052】
(1)検出システムであって、少なくとも1つの検出装置を備え、前記検出装置のそれぞれは、第1の導電体と、第2の導電体と、信号部と、を備え、前記第1の導電体および前記第2の導電体は、外力に応じて変形可能な柔軟体の表面または内部に配設され、ここで、前記第1の導電体と前記第2の導電体との位置関係は、前記柔軟体が所定の第1の方向に伸びるように変形することに伴い変化し、前記信号部は、前記第1の導電体および前記第2の導電体の合成抵抗値に関する信号を出力可能に構成され、ここで、前記合成抵抗値は、前記第1の導電体と前記第2の導電体との位置関係の変化に応じて変化する、もの。
【0053】
このような構成によれば、柔軟体の変形に応じて導電体の合成抵抗値が変化するため、柔軟体の変形量を電気信号として検出することが可能となる。このとき、柔軟体の変形に応じて第1の導電体と第2の導電体の位置関係が変化するため、柔軟体の変形を定量的に検出することができる。
【0054】
(2)上記(1)に記載の検出システムにおいて、前記第1の導電体と前記第2の導電体とは、前記柔軟体が前記第1の方向に伸びるように変形することに伴い、前記第1の方向とは異なる第2の方向における前記第1の導電体と前記第2の導電体との間の距離である間隔距離が短くなるように構成され、これにより、前記合成抵抗値が減少する、もの。
【0055】
このような構成によれば、柔軟体の第1の方向への変形によって合成抵抗値が変化するため、柔軟体の第1の方向の変形を定量的に検出することができる。
【0056】
(3)上記(2)に記載の検出システムにおいて、前記第1の導電体および前記第2の導電体は、線状に延び、前記第2の導電体は、前記第1の導電体から分岐するように接続され、前記第1の導電体と前記第2の導電体との間の接触領域は、前記柔軟体が前記第1の方向に伸びることにより増加するように構成される、もの。
【0057】
このような構成によれば、柔軟体の変形に伴い、第1の導電体と第2の導電体との空間が変化する。これに伴い、第1の導電体と第2の導電体との接触状態が変化するため、これらの導電体の合成抵抗値が変化する。したがって、このような導電体の合成抵抗値の変化に起因する電気信号の変化量から、柔軟体の変形をより定量的に検出することができる。
【0058】
(4)上記(2)または(3)に記載の検出システムにおいて、前記第1の導電体および/または前記第2の導電体は、互いに接続されることにより所定の内部領域を規定するように構成される環状構造を有する、もの。
【0059】
このような構成によれば、導電体の配置を柔軟体に応じて効率的に行うことができる。
【0060】
(5)上記(1)~(4)の何れか1つに記載の検出システムにおいて、前記第1の導電体および前記第2の導電体は、前記柔軟体の変形に伴い伸縮可能な導電糸を用いて形成される、もの。
【0061】
このような構成によれば、柔軟体にこれらの導電体を配設するのが容易となる。
【0062】
(6)上記(1)~(5)の何れか1つに記載の検出システムにおいて、複数の前記検出装置を備え、前記検出装置のそれぞれは、前記第1の方向への前記柔軟体の変形量に対して異なる変化率で前記合成抵抗値を出力するように構成される、もの。
【0063】
このような構成によれば、より多様な変形に対する合成抵抗値を検出することができる。
【0064】
(7)上記(1)~(6)の何れか1つに記載の検出システムにおいて、さらに、前記柔軟体および前記合成抵抗値を測定する測定部のうちの少なくとも1つを備える、もの。
もちろん、この限りではない。
【0065】
最後に、本開示に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0066】
1 :検出システム
2 :座席
21 :座部
22 :榻背部
23 :布帛
3 :検出ユニット
3a :検出装置
3b :検出装置
3c :検出装置
3d :検出装置
3e :検出装置
31 :信号部
32 :検出導体部
321 :接続端部
322 :開放端部
33 :接続部
34 :導電体
4 :測定部
5 :情報処理装置
50 :通信バス
51 :通信部
52 :記憶部
53 :プロセッサ
54 :表示部
55 :HMIデバイス
D1 :第1の方向
D2 :第2の方向
Dt :厚み方向
F :外力
L :信号線
L1 :周期長
R :接触領域
SP1 :内部領域
W :間隔距離
θ :傾斜角