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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113293
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】路面異常検知装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240815BHJP
   E01C 23/01 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
G08G1/00 J
E01C23/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018175
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓
(72)【発明者】
【氏名】小林 こずえ
(72)【発明者】
【氏名】廖 宜駿
(72)【発明者】
【氏名】加藤 知弥
【テーマコード(参考)】
2D053
5H181
【Fターム(参考)】
2D053AA32
2D053AB02
2D053AC00
2D053FA02
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF22
(57)【要約】
【課題】必要最小限のセンサを用いて、路面形状の異常を検知することができる路面異常検知装置を提供する。
【解決手段】路面異常検知装置1は、自車両2の周囲に存在する構造物7を検出する3Dレーザセンサ3と、道路Rの路面状態データを含む3D地図情報を記憶する地図情報記憶部4と、3Dレーザセンサ3の点群データと3D地図情報とをマッチングさせて、自車両2の自己位置を推定する自己位置推定部11と、3Dレーザセンサ3の点群データに基づいて、自車両2の位置を含む走行路面領域Srの高さ形状を抽出する路面形状抽出部12と、走行路面領域Srの高さ形状データと3D地図情報における走行路面領域Srの路面状態データとを比較して、走行路面領域Srの路面形状の異常を判定する路面異常判定部13とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行している走行路の路面の異常を検知する路面異常検知装置であって、
前記自車両の周囲に存在する構造物を検出する3Dセンサと、
前記走行路の路面状態データを含む3D地図情報を記憶する地図情報記憶部と、
前記3Dセンサの検出データと前記地図情報記憶部に記憶された3D地図情報とをマッチングさせて、前記自車両の自己位置を推定する自己位置推定部と、
前記3Dセンサの検出データに基づいて、前記自己位置推定部により推定された前記自車両の位置を含む走行路面領域の高さ形状を抽出する路面形状抽出部と、
前記路面形状抽出部により抽出された前記走行路面領域の高さ形状データと前記地図情報記憶部に記憶された3D地図情報における前記走行路面領域の路面状態データとを比較して、前記走行路面領域の路面形状の異常を判定する路面異常判定部とを備える路面異常検知装置。
【請求項2】
前記路面形状抽出部は、前記走行路の幅方向に設定された検知幅の両端の高さ位置を基準高さ位置として、前記走行路面領域の高さ形状を抽出し、
前記路面異常判定部は、前記走行路面領域の高さ形状データと前記3D地図情報における前記走行路面領域の路面状態データとの差分に関する数値が閾値以上であるかどうかを判断し、前記差分に関する数値が前記閾値以上であるときに、前記走行路面領域の路面形状が異常であると判定する請求項1記載の路面異常検知装置。
【請求項3】
前記閾値は、前記3D地図情報の路面区間毎に設定される請求項2記載の路面異常検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面異常検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の路面異常検知装置としては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載の路面異常検知装置は、自動運転によって走行しながら道路の路面の状態をセンシングし、センシング情報を生成する車両と、車両によって生成されたセンシング情報を収集し、道路の路面の状態を検査する情報処理装置とを備えている。車両は、車両の周辺に存在する検査物の形状をスキャンする3Dセンサと、車両の周辺に存在する検査物を撮影する画像センサとを備えている。3Dセンサ及び画像センサは、センシング情報の生成に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-70993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、路面形状の異常がどこで発生したかを把握するために、3Dセンサ及び画像センサとは別に自車両の位置情報を取得するGPS等のセンサが必要となる。
【0005】
本発明の目的は、必要最小限のセンサを用いて、路面形状の異常を検知することができる路面異常検知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、自車両が走行している走行路の路面の異常を検知する路面異常検知装置であって、自車両の周囲に存在する構造物を検出する3Dセンサと、走行路の路面状態データを含む3D地図情報を記憶する地図情報記憶部と、3Dセンサの検出データと地図情報記憶部に記憶された3D地図情報とをマッチングさせて、自車両の自己位置を推定する自己位置推定部と、3Dセンサの検出データに基づいて、自己位置推定部により推定された自車両の位置を含む走行路面領域の高さ形状を抽出する路面形状抽出部と、路面形状抽出部により抽出された走行路面領域の高さ形状データと地図情報記憶部に記憶された3D地図情報における走行路面領域の路面状態データとを比較して、走行路面領域の路面形状の異常を判定する路面異常判定部とを備える。
【0007】
このような路面異常検知装置においては、3Dセンサの検出データと地図情報記憶部に記憶された3D地図情報とをマッチングさせることで、自車両の自己位置が推定される。そして、3Dセンサの検出データに基づいて、自車両の位置を含む走行路面領域の高さ形状が抽出される。そして、走行路面領域の高さ形状データと3D地図情報における走行路面領域の路面状態データとを比較することで、走行路面領域の路面形状の異常が判定される。このように3Dセンサの検出データと3D地図情報の路面状態データとを用いることにより、路面形状の異常が容易に判定される。また、自車両の自己位置を推定することにより、路面形状の異常の発生箇所の位置が分かる。このため、自車両の位置情報を取得するための専用のセンサを別途使用しなくて済む。これにより、3Dセンサという必要最小限のセンサを用いて、路面形状の異常を検知することができる。
【0008】
路面形状抽出部は、走行路の幅方向に設定された検知幅の両端の高さ位置を基準高さ位置として、走行路面領域の高さ形状を抽出し、路面異常判定部は、走行路面領域の高さ形状データと3D地図情報における走行路面領域の路面状態データとの差分に関する数値が閾値以上であるかどうかを判断し、差分に関する数値が閾値以上であるときに、走行路面領域の路面形状が異常であると判定してもよい。このような構成では、走行路の一定範囲内における路面形状のばらつきが大きい場合でも、或いは路面形状の局所的な高低差が大きい場合でも、路面形状の異常を高精度に検知することができる。
【0009】
閾値は、3D地図情報の路面区間毎に設定されてもよい。このような構成では、3D地図情報の路面区間毎に路面形状の変化具合が異なる場合でも、路面区間に応じた適切な閾値が設定される。従って、路面形状の異常を更に高精度に検知することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、必要最小限のセンサを用いて、路面形状の異常を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る路面異常検知装置の構成を示すブロック図である。
図2】自車両が道路の車線を走行する状態を示す概略平面図である。
図3図1に示されたECUにより実行される路面異常検知処理の手順を示すフローチャートである。
図4】走行路面領域の高さ形状データ及び3D地図情報における走行路面領域の路面状態データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る路面異常検知装置の構成を示すブロック図である。図1において、本実施形態の路面異常検知装置1は、図2に示されるように、自車両2の自動運転時に、自車両2が走行している道路R(走行路)の路面の異常を検知する装置である。路面異常検知装置1は、自車両2に搭載されている。
【0014】
路面異常検知装置1は、3Dレーザセンサ3と、地図情報記憶部4と、無線通信機5と、ECU(ElectronicControl Unit)6とを備えている。
【0015】
3Dレーザセンサ3は、図2に示されるように、自車両2の周囲にレーザLをスキャンして照射し、レーザLの反射光を受光することにより、自車両2の周囲に存在する構造物7までの距離を検出する3次元のレーザセンサである。3Dレーザセンサ3は、自車両2の周囲に存在する構造物7を検出する3Dセンサを構成する。構造物7は、例えば建物または壁等である。また、道路Rも構造物7の一つである。
【0016】
3Dレーザセンサ3としては、例えばLiDAR(Light Detection and Ranging)またはレーザレンジファインダ等が使用される。3Dレーザセンサ3は、点群データを検出データとして出力する。点群は、構造物7で反射される点(反射点)の集合である。
【0017】
地図情報記憶部4には、自車両2が走行するエリアの3D地図情報が記憶されている。3D地図情報は、自車両2が走行するエリアの構造物7が含まれる3次元の地図情報である。3D地図情報には、道路Rの路面の形状(凹凸)等の情報も路面状態データとして含まれている。3D地図情報は、3Dレーザセンサ3を用いて予め作成されている。3D地図情報は、点群で表されている。
【0018】
無線通信機5は、車車間通信(V2V)を用いて自車両2と後続車との間で無線通信を行ったり、路車間通信(V2I)を用いて自車両2と道路に設置された道路インフラ装置との間で無線通信を行ったり、車外通信(V2N)を用いて自車両2と道路管理システムのネットワークとの間で無線通信を行う。
【0019】
ECU6は、例えばCPU、ROM、RAM及び入出力インターフェース等から構成されている。ECU6は、自己位置推定部11と、路面形状抽出部12と、路面異常判定部13と、通知部14とを有している。
【0020】
自己位置推定部11は、3Dレーザセンサ3の点群データと地図情報記憶部4に記憶された3D地図情報とをマッチング(照合)させて、自車両2の自己位置を推定する。自己位置推定部11は、自車両2の自己位置として、自車両2の座標位置及び向き(姿勢)を推定する。
【0021】
路面形状抽出部12は、3Dレーザセンサ3の点群データに基づいて、自己位置推定部11により推定された自車両2の位置を含む走行路面領域Sr(図2参照)の高さ形状を抽出する。路面形状抽出部12は、自車両2が走行する車線の車線幅W(図2参照)の両端の高さ位置を基準高さ位置として、走行路面領域Srの高さ形状を抽出する。車線幅Wは、道路Rの幅方向に設定された検知幅に相当する。
【0022】
路面異常判定部13は、路面形状抽出部12により抽出された走行路面領域Srの高さ形状データと地図情報記憶部4に記憶された3D地図情報における走行路面領域Srの路面状態データとに基づいて、走行路面領域Srの路面形状の異常を判定する。
【0023】
路面異常判定部13は、走行路面領域Srの高さ形状データと3D地図情報における走行路面領域Srの路面状態データとの差分に関する数値が閾値以上であるかどうかを判断し、当該差分に関する数値が閾値以上であるときに、走行路面領域Srの路面形状が異常であると判定する。閾値は、3D地図情報の路面区間毎に設定される。
【0024】
通知部14は、路面異常判定部13による判定結果を無線通信機5を介して通知する。通知部14は、路面異常判定部13により走行路面領域Srの路面形状が異常であると判定されたときに、その旨を無線通信機5を介して通知する。
【0025】
図3は、ECU6により実行される路面異常検知処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、自車両2の自動運転が開始されると実行される。
【0026】
図3において、ECU6は、まず3Dレーザセンサ3の点群データを取得する(手順S101)。続いて、ECU6は、3Dレーザセンサ3の点群データと地図情報記憶部4に記憶された3D地図情報とをマッチングさせて、自車両2の自己位置を推定する(手順S102)。
【0027】
続いて、ECU6は、3Dレーザセンサ3の点群データに基づいて、自車両2の現在位置を含む走行路面領域Srの高さ形状を抽出する(手順S103)。走行路面領域Srの高さ形状は、例えば図4(a)に示されるように、走行路面領域Srにおける車線幅Wの方向に沿った高さ形状である。走行路面領域Srは、例えば3Dレーザセンサ3を含み、3Dレーザセンサ3からのレーザLの照射領域と重なる矩形状の領域である。
【0028】
このとき、車線幅Wの左右両端の高さ位置を基準高さ位置として、車線幅W内の走行路面領域Srの高さ形状が抽出される。基準高さ位置は、例えばゼロである。走行路面領域Srの高さ形状データは、自車両2の進行方向に沿って時系列に得られる。車線幅Wの左右両端の高さ位置は、例えば自車両2の進行方向の一定間隔の平均または移動平均等の統計処理によって算出される。
【0029】
続いて、ECU6は、3D地図情報における自車両2の現在位置を含む走行路面領域Srの路面状態データを抽出する(手順S104)。例えば図4(b)に示されるように、3D地図情報における車線幅W内の走行路面領域Srの路面状態データが抽出される。図4(b)に示される路面状態データは、見た目において路面の凹凸が存在しない平坦な状態となっている。
【0030】
続いて、ECU6は、3D地図情報における走行路面領域Srの路面状態データに基づいて、路面異常判定用の閾値を決定する(手順S105)。具体的には、ECU6は、3D地図情報の路面区間における路面形状(路面の凹凸)の高さのばらつき(例えば標準偏差σ)を求め、路面形状の高さのばらつきに応じた閾値(例えば3σ)を設定する。路面区間は、例えば3D地図情報において道路Rの所定距離毎に指定されている。路面区間は、走行路面領域Srと等しくてもよいし、或いは走行路面領域Srよりも広くてもよい。
【0031】
例えば、舗装路からなる路面区間と未舗装路からなる路面区間とでは、路面形状の高さのばらつきが異なるため、閾値が異なることとなる。また、舗装路からなる路面区間においても、舗装の材質が異なる場合には、路面形状の高さのばらつきが異なるため、閾値が異なることとなる。
【0032】
続いて、ECU6は、走行路面領域Srの高さ形状データと3D地図情報における走行路面領域Srの路面状態データとの差分に関する数値が閾値以上であるかどうかを判断する(手順S106)。走行路面領域Srの高さ形状データと3D地図情報における走行路面領域Srの路面状態データとの差分を求めることにより、走行路面領域Srの路面形状の変化が認識される。
【0033】
具体的には、ECU6は、車線幅Wの各要素毎に走行路面領域Srの高さ形状データと3D地図情報における走行路面領域Srの路面状態データとの差分の時系列のばらつき(計算区間の統計値)が所定の閾値以上であるかどうかを判断する。また、ECU6は、車線幅Wの各要素毎に走行路面領域Srの高さ形状データと3D地図情報における走行路面領域Srの路面状態データとの差分の最大値(瞬時値)が所定の閾値以上であるかどうかを判断する。車線幅Wの各要素は、例えば点群データにおける車線幅Wに沿った各点に相当する。
【0034】
このとき、例えば図4(b)に示されるように、3D地図情報における車線幅W内の走行路面領域Srの路面状態が平坦である場合には、車線幅Wの各要素毎の高さ形状データの時系列のばらつきが所定の閾値以上であるかどうかが判断されると共に、車線幅Wの各要素の高さ形状データの高低差が所定の閾値以上であるかどうかが判断されることとなる。
【0035】
車線幅Wの各要素毎に走行路面領域Srの高さ形状データと3D地図情報における走行路面領域Srの路面状態データとの差分の時系列のばらつきを判定することにより、道路Rの一定範囲内において路面の凹凸が全体的に大きくなっているかどうかが検知可能となる。車線幅Wの各要素毎に走行路面領域Srの高さ形状データと3D地図情報における走行路面領域Srの路面状態データとの差分の最大値を判定することにより、路面の凹凸が局所的に大きくなっているかどうかが検知可能となる。
【0036】
ECU6は、走行路面領域Srの高さ形状データと3D地図情報における走行路面領域Srの路面状態データとの差分に関する数値が閾値以上であると判断したときは、走行路面領域Srの路面形状が異常であると判定する(手順S107)。
【0037】
そして、ECU6は、走行路面領域Srの路面形状が異常である旨の路面異常通知信号を無線通信機5に出力し(手順S108)、上記の手順S101を再度実行する。路面異常通知信号には、路面形状が異常となっている場所の位置情報及び路面の状態情報が含まれている。
【0038】
すると、無線通信機5から後続車または道路インフラ装置に路面異常通知信号が送信されることで、後続車が路面異常箇所を回避して走行するような支援が行われる。また、無線通信機5から道路管理システムのネットワークに路面異常通知信号が送信されることで、道路インフラの修復が必要であることが道路管理業者に通知される。
【0039】
ECU6は、走行路面領域Srの高さ形状データと3D地図情報における走行路面領域Srの路面状態データとの差分に関する数値が閾値以上でないと判断したときは、走行路面領域Srの路面形状が異常でないと判定し(手順S109)、上記の手順S108を実行せずに、上記の手順S101を再度実行する。
【0040】
ここで、自己位置推定部11は、手順S101,S102を実行する。路面形状抽出部12は、手順S101,S103を実行する。路面異常判定部13は、手順S104~S107,S109を実行する。通知部14は、手順S108を実行する。
【0041】
以上のように本実施形態にあっては、3Dレーザセンサ3の点群データと地図情報記憶部4に記憶された3D地図情報とをマッチングさせることで、自車両2の自己位置が推定される。そして、3Dレーザセンサ3の点群データに基づいて、自車両2の位置を含む走行路面領域Srの高さ形状が抽出される。そして、走行路面領域Srの高さ形状データと3D地図情報における走行路面領域Srの路面状態データとを比較することで、走行路面領域Srの路面形状の異常が判定される。このように3Dレーザセンサ3の点群データと3D地図情報の路面状態データとを用いることにより、路面形状の異常が容易に判定される。また、自車両2の自己位置を推定することにより、路面形状の異常の発生箇所の位置が分かる。このため、自車両2の位置情報を取得するためのGPS等の専用のセンサを別途使用しなくて済む。これにより、3Dレーザセンサ3という必要最小限のセンサを用いて、路面形状の異常を検知することができる。また、GPS等の誤差に依存せずに、路面形状の異常を精度良く検知することができる。
【0042】
また、本実施形態では、路面異常検知装置1が自車両2に搭載されている。このため、外部のサーバとの通信を介さずに、自車両2において路面形状の異常が検知される。従って、外部のサーバとの通信遅延が無くなると共に、外部のサーバの処理が不要となるため、路面形状の異常を直ちに検知することができる。
【0043】
また、本実施形態では、道路Rの幅方向に設定された車線幅Wの両端の高さ位置を基準高さ位置として、走行路面領域Srの高さ形状が抽出され、走行路面領域Srの高さ形状データと3D地図情報における走行路面領域Srの路面状態データとの差分に関する数値が閾値以上であるときに、走行路面領域Srの路面形状が異常であると判定される。このため、道路Rの一定範囲内における路面形状のばらつきが大きい場合でも、或いは路面形状の局所的な高低差が大きい場合でも、路面形状の異常を高精度に検知することができる。
【0044】
また、本実施形態では、3D地図情報の路面区間毎に閾値が設定される。このため、3D地図情報の路面区間毎に路面形状の変化具合が異なる場合でも、路面区間に応じた適切な閾値が設定される。従って、路面形状の異常を更に高精度に検知することができる。
【0045】
また、本実施形態では、路面異常判定部13において、3D地図情報における走行路面領域Srの路面状態データに基づいて閾値を決定することにより、地図情報記憶部4に登録される3D地図情報の作成時に、路面区間毎の閾値を設定しなくて済む。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、自車両2が走行している道路Rの路面の異常検知を行う際に、路面異常判定用の閾値が決定されているが、特にそのような形態には限られない。路面異常判定用の閾値は、3D地図情報の路面区間に応じて予め設定され、3D地図情報の路面状態データと共に地図情報記憶部4に記憶されていてもよい。この場合、路面区間は、舗装路と未舗装路との違い及び舗装路における舗装の材質に応じて指定されてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、自車両2が走行する車線の車線幅Wの左右両端の高さ位置を基準高さ位置として、自車両2の現在位置を含む走行路面領域Srの高さ形状が抽出されているが、特にそのような形態には限られない。例えば、自車両2の車幅または自車両2が走行する道路Rの全幅の左右両端の高さ位置を基準高さ位置として、自車両2の現在位置を含む走行路面領域Srの高さ形状を抽出してもよい。この場合、自車両2の車幅及び道路Rの全幅は、道路Rの幅方向に設定された検知幅に相当する。
【0048】
また、上記実施形態では、3Dレーザセンサ3により自車両2の周囲に存在する構造物7が検出されているが、自車両2の周囲に存在する構造物7を検出する3Dセンサとしては、特に3Dレーザセンサ3には限られず、例えば自車両2の周囲を撮像する3Dカメラ等であってもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、自車両2の自動運転時に、自車両2が走行している道路Rの路面の異常が検知されているが、特にその形態には限られず、自車両2の手動運転時に路面の異常を検知してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…路面異常検知装置、2…自車両、3…3Dレーザセンサ(3Dセンサ)、4…地図情報記憶部、7…構造物、11…自己位置推定部、12…路面形状抽出部、13…路面異常判定部、R…道路(走行路)、Sr…走行路面領域、W…車線幅(検知幅)。
図1
図2
図3
図4